【要約四半期連結財務諸表注記】
1.報告企業
ヤマハ発動機株式会社(以下「当社」という。)は日本に所在する株式会社です。当第1四半期連結会計期間(2024年3月31日に終了した3ヶ月間)及び当第1四半期連結累計期間(2024年3月31日に終了した3ヶ月間)の要約四半期連結財務諸表は、当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)並びに関連会社及び共同支配企業に対する持分により構成されています。
当社グループは、二輪車、船外機、サーフェスマウンターなどの開発、製造、販売を世界各国で行っています。また、これらの事業における販売活動をサポートするために、顧客及び販売店に対して金融サービス事業を営んでいます。主な生産拠点は、日本、米国、インドネシア、タイ、インド、フィリピン、ベトナム、台湾、ブラジルにあります。
2.作成の基礎
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、四半期連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たしており、同規則第93条の規定によりIAS第34号に準拠して作成しています。
当社グループは2024年1月1日に開始する当連結会計年度の第1四半期連結会計期間よりIFRSを初めて適用しており、当連結会計年度の年次の連結財務諸表がIFRSに準拠して作成する最初の連結財務諸表となります。IFRSへの移行日は2023年1月1日です。
また、当社グループはIFRSへの移行にあたり、IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」(以下「IFRS第1号」という。)を適用しています。
IFRSへの移行が、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に与える影響は、「12.初度適用」に記載しています。
要約四半期連結財務諸表の発行は、2024年5月14日に当社代表取締役社長 日髙祥博によって承認されています。
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、「3.重要性がある会計方針」に記載している公正価値で測定する金融商品、確定給付負債(資産)、及びトルコ、アルゼンチンの連結子会社における超インフレ会計の適用等を除き、取得原価を基礎として作成しています。
当社グループの要約四半期連結財務諸表の表示通貨は、当社の機能通貨である日本円であり、百万円未満を切り捨てています。
3.重要性がある会計方針
以下の会計方針は、本要約四半期連結財務諸表(移行日の連結財政状態計算書を含む)に記載されているすべての期間に適用しています。
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していると判断しています。
当社グループは、投資先の議決権の過半数を有していなくても、意思決定機関を実質的に支配しており、当該議決権が投資先の関連性のある活動を一方的に指図する実質上の能力を有するのに十分である場合には、投資先に対してパワーを有していると判断しています。
子会社には、当社の子会社が支配するストラクチャード・エンティティも含まれています。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失した日までの間、当社の連結財務諸表に含まれます。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えています。当社グループ間の重要な債権債務残高及び内部取引高、並びに当社グループ間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
支配を喪失しない子会社に対する所有持分の変動は、資本取引として会計処理しています。
当社グループの持分及び非支配持分の帳簿価額は、持分の変動に応じ調整され、非支配持分の調整額と支払対価又は受取対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しています。
子会社に対する支配を喪失した場合には、支配喪失後も保持する持分を、支配喪失日現在の公正価値で再測定し、再測定及び持分の処分に係る利得又は損失を、純損益に認識しています。
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配をしていない企業をいいます。
当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。
当社グループが保有する議決権は20%未満であるものの、役員の派遣及び被投資会社との重要な取引等により、重要な影響力が認められると判断される場合には、関連会社に含めています。
共同支配企業とは、当社グループを含む複数の当事者が取決めに対する契約上合意された支配を共有し、関連性のある活動に関する意思決定に際して、支配を共有している当事者の全員一致の合意を必要としており、かつ、当社グループが当該取決めの純資産に対する権利を有している企業をいいます。
関連会社及び共同支配企業への投資は、持分法によって会計処理しています。
また、連結財務諸表には、他の株主との関係等により、決算日を統一することが実務上不可能であるため、当社の決算日と異なる日を決算日とする持分法適用会社に対する投資が含まれています。当該持分法適用会社の決算日は主に6月末日であり、決算日の差異より生じる期間の重要な取引又は事象の影響については調整を行っています。
関連会社又は共同支配企業に対する重要な影響力を喪失し、持分法の適用を中止する場合は、売却持分に係る売却損益を純損益として認識するとともに、残存持分について公正価値で測定し、当該評価差額をその期の純損益として認識しています。
企業結合は取得法を用いて会計処理しています。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社グループが発行する資本持分の取得日の公正価値の合計として測定しています。
被取得企業における識別可能な資産及び負債は、以下を除いて、取得日の公正価値で測定しています。
・繰延税金資産・負債及び従業員給付契約に関連する資産・負債
・被取得企業の株式に基づく報酬契約
・IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的に分類される資産又は処分グループ
移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、取得日における識別可能な取得した資産と引き受けた負債の正味価額を上回る場合は、その超過額をのれんとして計上しています。反対に下回る場合には、直ちに純損益として認識しています。
当社グループは、非支配持分を公正価値で測定するか、又は識別可能な純資産の認識金額の比例割合で測定するかを個々の企業結合取引ごとに選択しています。
デューデリジェンス費用等の、企業結合に関連して発生する取得関連費用は、発生時に費用処理しています。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した期の末日までに完了していない場合は、完了していない項目を暫定的な金額で報告しています。
取得日から1年以内の測定期間に入手した新たな情報が、取得日時点で認識された金額の測定に影響を及ぼすものである場合には、取得日時点で認識した暫定的な金額を遡及的に修正しています。
段階的に達成される企業結合の場合、当社グループが以前に保有していた被取得企業の資本持分は取得日の公正価値で再評価され、発生した利得又は損失があれば純損益又はその他の包括利益に認識しています。
条件付対価は取得時に公正価値で認識し、認識後の公正価値変動は、上記測定期間中の測定に該当する場合には取得対価を修正し、そうでない場合には公正価値の変動として純損益に認識しています。
(3) 外貨換算
当社グループ各社の財務諸表は、当該企業の機能通貨で作成しています。機能通貨以外の通貨(外貨)での取引は、取引日の為替レート又はそれに近似するレートで機能通貨に換算しています。
期末日における外貨建貨幣性項目は、報告期間の期末日の為替レートで機能通貨に換算しています。公正価値で測定する外貨建非貨幣性項目は、当該公正価値の測定日における為替レートで機能通貨に換算しています。
換算及び決済より生じる換算差額は、純損益で認識しています。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品から生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しています。
在外の連結子会社、関連会社及び共同支配企業(以下「在外営業活動体」という。)の資産及び負債については報告期間の期末日の為替レート、収益及び費用については、為替レートが著しく変動している場合及び超インフレ経済下にある在外活動営業体を除き、期中平均為替レートを用いて円貨に換算しています。
なお、超インフレ経済下の在外営業活動体の財務諸表は、インフレーションの影響を反映させており、収益及び費用は期末日の為替レートにより表示通貨に換算しています。
その結果生じた換算差額は、その他の包括利益として認識の上、その他の資本の構成要素に含めています。在外営業活動体を処分し、支配、重要な影響力又は共同支配企業の取決めを喪失した場合は、この在外営業活動体に関連する換算差額の累積額を純損益に振り替えています。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期日の到来する短期投資から構成されています。
当社グループは、金融資産について契約の当事者となった時点で当初認識しています。なお、金融資産の通常の方法による売買は、取引日において認識又は認識の中止を行っています。
金融資産は当初認識時に以下のとおり分類しています。
(a) 償却原価で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローの回収を目的とした事業モデルの中で金融資産が保有されていること。
・契約上のキャッシュ・フローが元本及び元本残高に対する利息のみであること。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方を目的とした事業モデルの中で金融資産が保有されていること。
・契約上のキャッシュ・フローが元本及び元本残高に対する利息のみであること。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
投資先との取引関係の維持又は強化を主な目的として保有する株式などの資本性金融資産については、当初認識時にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定し、当該指定を継続的に適用しています。
(d) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
(a)から(c)以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される金融資産は公正価値で測定していますが、それ以外の金融資産は取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算した金額で測定し、当初に認識しています。
重要な金融要素を含んでいない営業債権は、取引価格で測定しています。
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
(a) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価により測定しています。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額はその他の包括利益として認識しています。減損に係る利得又は損失、利息収益及び為替差損益は純損益として認識しています。
当該金融資産の認識を中止した場合は、その他の包括利益を通じて認識された利得又は損失の累計額をその他の資本の構成要素から純損益に組替調整しています。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額はその他の包括利益として認識しています。
当該金融資産の認識を中止した場合は、その他の包括利益を通じて認識された利得又は損失の累計額をその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
なお、当該金融資産からの配当金については、純損益として認識しています。
(d) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額は、純損益として認識しています。
当社グループでは、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識しています。
金融資産のステージ分類
当社グループは、期末日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、損失評価引当金の認識・測定に当たっては、金融資産に係る信用リスクの著しい増加の有無及び信用減損の有無によって金融資産を以下のステージに分類しています。
ステージ1:信用リスクの著しい増加が見受けられない。
ステージ2:信用リスクの著しい増加が見受けられるが、信用減損は見受けられない。
ステージ3:信用リスクの著しい増加、信用減損がともに顕在化している。
期末日時点で金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合(ステージ1)、期末日後12ヶ月以内に発生する可能性がある債務不履行から生じる予想信用損失(12ヶ月の予想信用損失)に基づいて損失評価引当金を算定しています。一方、期末日時点で金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合(ステージ2及び3)には、当該金融資産の予想存続期間にわたり発生する可能性のあるすべての債務不履行から生じる予想信用損失(全期間の予想信用損失)に基づいて損失評価引当金を算定しています。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権については、ステージ1とステージ2を区分せず、常に全期間の予想信用損失に基づいて損失評価引当金を算定しています。
金融資産の全部又は一部について回収の合理的な見込みがないものと判断される場合には、当該金融資産の全部又は一部の帳簿価額を直接償却しています。
金融資産に係る損失評価引当金の繰入額は、純損益で認識しています。損失評価引当金を減額する事象が発生した場合は、損失評価引当金の戻入額を純損益で認識しています。
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は当社グループが金融資産を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合にのみ金融資産の認識を中止しています。
当社グループは、金融負債について契約の当事者となった時点で当初認識し、償却原価で測定する金融負債、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しています。
金融負債は、純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される金融負債は公正価値で測定していますが、それ以外の金融負債は取得に直接起因する取引コストを公正価値から控除した金額で測定し、当初に認識しています。
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
償却原価で測定する金融負債については、実効金利法による償却原価により測定しています。
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債については、当初認識後公正価値で測定し、その変動については当期の純損益として認識しています。
金融保証契約は、当初認識後、以下のいずれか高い方の金額で測定しています。
・上記①(ⅲ)金融資産の減損に従って算定した損失評価引当金の金額
・当初測定額からIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の原則に従って認識した収益の累計額を控除した額
当社グループは、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中において特定された債務が履行により消滅、免責、取消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しています。
金融資産及び金融負債は、当社グループが残高を相殺する法的権利を有し、かつ純額で決済するか又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書で相殺し、純額で表示しています。
当社グループは、為替リスク及び金利リスクを管理する目的で、為替予約、通貨スワップ契約及び金利スワップ契約などのデリバティブ取引を行っています。
デリバティブは契約の当事者となった時点の公正価値で当初認識し、その後も公正価値で事後測定しています。公正価値の変動額は純損益として認識しています。
なお、上記デリバティブについて、ヘッジ会計を適用しているものはありません。
金融サービス事業に係る債権(以下「金融債権」という。)は、連結財政状態計算書において、元本残高、未稼得利息収入及び損失評価引当金を加味した純額で表示しています。
金融債権のポートフォリオは主に当社グループの事業の性質と金融債権の特性を質的側面から考慮して決定しており、以下の3つに分類しています。
消費者向け販売金融債権は、主に、消費者との割賦契約に係る債権により構成され、クレジットカードのリボルビング払い債権を含んでいます。
これらの債権は、取得時に所定の信用基準を満たした顧客に対してのみ認識されます。また、取得後、当社グループは割賦代金の回収及び契約の履行について責任を有します。
割賦債権の契約期間は主に5年から15年です。当該債権は償却原価から損失評価引当金を控除して計上しています。
ディーラー向け販売金融債権は、主に、ディーラーの在庫購入のための融資に係る債権から構成され、当社グループはディーラーの与信を管理しています。
これらの債権は、取得時に所定の信用基準を満たしたディーラーに対してのみ認識されます。また、取得後、当社グループは卸売代金の回収及び契約の履行について責任を有します。
当該債権は償却原価から損失評価引当金を控除して計上しています。
ファイナンス・リース債権は、主にゴルフカーのリース契約に係る債権です。リースの契約期間は主に3年から6年です。
当該債権は、取得時に所定の信用基準を満たした顧客に対してのみ認識され、取得後、当社グループはリース資産の所有権を引き受けます。また、当社グループはリース料債権の回収及び契約の履行について責任を有します。
当該債権は残存価額を含む将来キャッシュ・フローの割引現在価値で計上しています。
当社グループは、金融債権について、報告日ごとに予想信用損失を見積り、予想信用損失に対して損失評価引当金を計上しています。
販売金融債権に対する予想信用損失は、信用リスク評価プロセスの一環として行われている体系的かつ継続的なレビュー及び評価、過去の損失の実績、ポートフォリオの規模及び構成、現在の経済的な事象及び状況、担保資産の見積公正価値及びその十分性、経済状況の動向などの将来予測情報、並びにその他の関連する要因に基づき、ポートフォリオ別に測定しています。
① 消費者向け販売金融債権
消費者向け販売金融債権については、債務不履行となる確率の変化や延滞日数を指標として当該販売金融債権の信用リスクが著しく増大したか否かを判定しています。30日超期日経過の場合には、その信用リスクは著しく増大したものとみなしています。期末日時点で、販売金融債権に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を見積もって当該販売金融債権に係る損失評価引当金の額を算定しています。一方、期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合は、その販売金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該販売金融債権に係る損失評価引当金の額を算定しています。債務者による債務不履行又は延滞等の契約違反等、販売金融債権が信用減損している証拠がある場合に信用減損していると判断し、過去の貸倒実績や将来の回収可能価額などをもとに、その販売金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該販売金融債権に係る損失評価引当金の額を算定しています。
予想信用損失の算定にあたっては、リスク特性に基づいてグルーピングした上で、経済状況に合致した算定モデルを適用し、過去の実績に基づく債務不履行の確率と債務不履行時損失率をもとに、現在の状況、失業率等のマクロ経済要因等の将来の経済状況の予測を反映させています。
内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
② ディーラー向け販売金融債権
ディーラー向け販売金融債権については、内部におけるリスク評価を基礎として信用状況別に債権を区分しています。この区分の変化を指標として、販売金融債権に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したか否かを判定しています。なお、30日超期日経過の場合には、その信用リスクは著しく増大したものとみなしています。期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を見積もって当該販売金融債権に係る損失評価引当金の額を算定しています。
一方、期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合は、その販売金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該販売金融債権に係る損失評価引当金の額を算定しています。債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による債務不履行又は延滞等の契約違反等、販売金融債権が信用減損している証拠がある場合に信用減損していると判断し、過去の貸倒実績や将来の回収可能価額などをもとに、その販売金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を個別に見積もって当該販売金融債権に係る損失評価引当金の額を算定しています。
予想信用損失の見積りにあたっては、過去の実績に基づく債務不履行の確率と債務不履行時損失率をもとに、現在及び将来の経済状況の予測を反映させています。
内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
③ ファイナンス・リース債権
ファイナンス・リース債権については、常に全期間の予想信用損失を見積もって損失評価引当金の額を算定しています。内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い価額で測定しています。
正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び見積販売費用を控除した額です。
取得原価は、主として総平均法に基づいて算定しており、購入原価、加工費及び現在の場所及び状態に至るまでに要したすべての費用を含んでいます。
原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
取得原価には、当該資産の取得に直接関連する費用、解体、除去及び設置していた場所の原状回復費用が含まれ、維持及び修理のための支出は発生時の費用として認識しています。
それぞれの見積耐用年数に応じて、定額法で減価償却しています。
残存価額、見積耐用年数及び償却方法は各連結会計年度の末日には見直しを行い、必要に応じ変更しています。
主な有形固定資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
建物及び構築物 主に2年~75年
機械及び装置 主に2年~22年
連結財政状態計算書上の有形固定資産には、リース取引による使用権資産を含みます。
使用権資産の会計処理については「(11)リース」に記載しています。
のれんは償却せず、減損テストを毎年実施し、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
のれんの減損損失は純損益において認識され、その後の戻し入れは行っていません。
減損については「(12)非金融資産の減損」に記載しています。
原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
それぞれの見積耐用年数に応じて、定額法で償却しています。
見積耐用年数及び償却方法は各連結会計年度の末日には見直しを行い、必要に応じ変更しています。
(a) 開発資産
開発活動による支出は、その開発を完成させる技術上の実行可能性に加えて、その成果を使用又は売却する意図・能力及びそのための技術、財務その他の資源を利用でき、かつ将来の経済的便益を得られる可能性が高く、その支出を信頼性をもって測定可能な場合に、無形資産として認識しています。
見積耐用年数は、主に5年から10年です。
(b) その他の無形資産
その他の無形資産は主にソフトウェアであり、その見積耐用年数は主に5年です。
当社グループは、契約の締結時に契約がリースであるか又はリースを含んでいるかを判定しています。
契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでいると判定しています。
契約がリースであるか又はリースを含んでいる場合、リース開始日において使用権資産及びリース負債を認識しています。
使用権資産の測定は原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で、連結財政状態計算書において「有形固定資産」に含めて表示しています。
取得原価は、リース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整しています。使用権資産は、原資産のリース期間又は見積耐用年数のいずれか短い期間にわたり、定額法で減価償却しています。
リース負債はリース開始日現在で支払われていないリース料の割引現在価値で測定し、連結財政状態計算書において「その他の金融負債」に含めて表示しています。
現在価値の測定に際しては、リースの計算利子率が容易に算定できる場合、当該利子率を割引率として使用し、そうでない場合は追加借入利子率を使用しています。
当初認識後、リース負債に係る金利及び支払われたリース料を反映するよう、実効金利法に基づき帳簿価額を増減しています。
リース負債に係る金利は、リース負債残高に対して毎期一定の率の金利を生じさせる金額で、金融費用として認識しています。
金融費用は、連結損益計算書において、使用権資産の減価償却費と区別して表示しています。
なお、リース期間が12ヶ月以内の短期リース及び少額資産のリースは、リース料をリース期間にわたって、定額法により純損益として認識しています。
リースの契約時に、原資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合はファイナンス・リースに、それ以外の場合はオペレーティング・リースに分類しています。
ファイナンス・リース取引においては、リース投資未回収総額の現在価値を、リース期間の起算日に収益に認識し、対応する金額をリース債権として認識しています。
オペレーティング・リース取引においては、対象の原資産を連結財政状態計算書に計上しています。
棚卸資産及び繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産の帳簿価額は、報告期間の末日ごとに減損の兆候の有無を評価しています。
減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っています。のれん、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能ではない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず回収可能価額を毎年同じ時期に見積っています。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分費用控除後の公正価値のうちいずれか高い方の金額としています。
使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。
減損損失は、資産、資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額を下回る場合に純損益として認識しています。
資金生成単位(又は資金生成単位グループ)について認識した減損損失は、まず当該単位(又は資金生成単位グループ)に配分したのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に各資産の帳簿価額に基づいた比例按分により他の資産に配分しています。
過年度に減損損失を認識したのれん以外の資産については、その回収可能価額の算定に使用した想定事項に変更が生じた場合等、損失の減少又は消滅の可能性を示す兆候が存在しているかについて評価しています。
そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が帳簿価額を超える場合は、算定した回収可能価額と過年度の減損損失を認識しなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻し入れています。
ただし、のれんに関する減損損失は戻し入れしません。
持分法適用会社に対する投資に減損の客観的な証拠による兆候が存在する場合には、投資全体の帳簿価額について単一の資産として減損テストを行っています。なお、持分法適用会社に対する投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは区分して認識しないため、個別に減損テストを実施していません。
継続的使用ではなく、売却取引により回収が見込まれる資産及び資産グループのうち、現況で直ちに売却することが可能で、当社グループの経営者が売却を確約しており、期末日後1年以内に売却が完了する予定である資産を売却目的保有に分類しています。
売却目的で保有する非流動資産は、帳簿価額と、売却費用控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定し、減価償却又は償却を中止しています。
当社グループは、確定給付型の企業年金基金制度、確定給付型の退職一時金制度及び確定拠出年金制度を設けています。
(a) 確定給付制度
当社グループの確定給付型制度は、確定給付制度に係る債務(以下「確定給付制度債務」という。)の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額で、確定給付負債(資産)を認識しています。確定給付制度債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付の見積額を現在価値に割り引くことによって算定しています。この計算は、毎年、独立した年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っています。
確定給付制度が積立超過である場合には、確定給付資産の純額を当該確定給付制度の積立超過額あるいは資産上限額(アセットシーリング)のいずれか低い金額で測定しています。
割引率は、当社グループの確定給付制度債務に関する将来の給付支払見込日までの期間に満期が近似する優良社債の期末日時点の市場利回りに基づき算定しています。
確定給付制度の当期勤務費用及び確定給付負債(資産)の純額に係る利息の純額は純損益として認識しています。
確定給付制度の再測定額は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。
制度の改訂による従業員の過去の勤務に係る確定給付制度債務の増減は、純損益として認識しています。
(b) 確定拠出制度
確定拠出制度については、確定拠出制度に支払うべき拠出額を、従業員が関連する勤務を提供した時に費用として認識しています。
賃金等の短期従業員給付は、勤務の対価として支払うと見込まれる金額を、従業員が関連する勤務を提供した時点で従業員給付費用として純損益に認識しています。
賞与は、法的債務又は推定的債務を有し、かつ、信頼性のある見積りが可能な場合に負債として認識しています。
有給休暇は、将来の有給休暇の権利を増加させる勤務を従業員が提供した時点で負債として認識しています。
過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に、引当金を認識しています。
貨幣の時間的価値が重要な場合には、債務の決済に必要と見込まれる支出の現在価値で引当金を測定しています。
現在価値の算定に当たっては、貨幣の時間的価値及び当該債務に特有のリスクを反映した税引前の利率を割引率として使用しています。
主な引当金の計上基準は、以下のとおりです。
製品保証引当金
販売済製品の保証期間中の品質保証に関する費用、その他販売済製品の品質問題に対処する費用に充てるため、発生額を個別に見積もることができる費用については当該費用を、その他については、保証期間に基づいて売上収益に経験率(品質保証に関する費用/売上収益)を乗じて計算した額を計上しており、顧客及び販売店からの請求等に応じて取り崩しています。
当社グループは、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に(又は充足するに応じて)収益を認識する
当社グループの収益の源泉は、提供する財又はサービスの性質の違いにより、主として商品及び製品の販売と、金融サービスセグメントにおける金融サービスの提供に区分されます。
当社グループは、商品及び製品に対する支配が顧客に移転した時点で収益を認識しています。通常は、商品及び製品を顧客に引き渡した時点で、支配が顧客に移転したと判断しています。
なお、一定期間にわたりサービスを提供する取引には、主に有償の延長保証及びメンテナンスサービスの提供があり、履行義務の充足に応じて収益を認識しています。このほか、一部の契約においては、長期間の工事や開発の受託を伴うものがあり、これらについても契約に規定されている履行義務の充足に応じ、一定期間にわたり収益を認識しています。
取引価格については、顧客との契約に基づく対価により算定しています。対価の金額に重要な金融要素は含まれていません。
また、主に販売店に対して、特定期間の販売実績や特定モデルの販売台数等に基づき販売奨励金を支給することがあります。この販売奨励金は、報告された販売実績に基づく支給見込額を、対応する期間の売上収益の金額から控除しています。
なお、顧客との契約には、提供した商品及び製品が合意された仕様に従っていない等の場合には無償で修理又は部品の交換等を行うことを保証する条項が含まれており、この保証に関連する費用に対して、当社グループは製品保証引当金を認識しています。製品保証引当金に関する会計方針は、(15)引当金に記載しています。
金融サービスの収益のうち、債権の利息収益については、利息相当額を契約期間にわたり認識しています。ファイナンス・リースに係る債権の利息収益は、利息相当額をリース期間にわたり認識しています。オペレーティング・リースから生じる収益は、リース料総額をリース期間で按分し認識しています。
政府補助金は、当社グループが補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られた時に公正価値で測定し、認識しています。
資産に関する補助金は、繰延収益として認識し、関連資産の見積耐用年数にわたり規則的に純損益で認識しています。
収益に関する補助金は、関連費用と対応させるために必要な期間にわたり、規則的に収益として認識、表示しています。
法人所得税は、当期税金及び繰延税金から構成されています。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本又はその他の包括利益として認識する項目を除き、純損益として認識しています。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しています。税額の算定に使用する税率及び税法は、報告期間の末日までに制定又は実質的に制定されているものです。
また、法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき税務ポジションが発生する可能性が高い場合には、合理的な見積額を資産又は負債として認識しています。
繰延税金は、報告期間の末日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と、関連する税務基準額との差額である一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して認識しています。
繰延税金資産は、将来減算一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して、それらを回収できる課税所得が生じる可能性が高い範囲において認識し、繰延税金負債は、原則としてすべての将来加算一時差異について認識しています。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産又は負債を認識していません。
・企業結合取引ではなく、取引時に会計上の利益にも税務上の課税所得(欠損金)にも影響を与えず、かつ、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引から発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異のうち、予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が高くない場合
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、一時差異の解消時期をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しています。未認識の繰延税金資産は毎期再評価され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識しています。
繰延税金資産及び負債は、当連結会計年度末に制定又は実質的に制定されている法律に基づいて、当該資産が実現される又は負債が決済される時点において適用されると予測される税率を用いて測定しています。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ、法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しています。
なお、各四半期における法人所得税費用は、年間の見積実効税率に基づいて算定しています。
また、当社グループは、「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール(IAS第12号「法人所得税」の改訂)」(2023年5月公表)を適用しています。
なお、当社グループは、本改訂における例外規定を適用し、経済協力開発機構が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金に関して、認識及び開示を行っていません。また、当社グループは、制度対象となる構成事業体各社の直近の税務申告書、国別報告書及び財務諸表に基づきグローバル・ミニマム課税制度適用に伴う潜在的な影響を評価した結果、第2の柱の法人所得税に対する重要性があるエクスポージャーを想定していません。
基本的1株当たり四半期利益は、親会社の所有者に帰属する純損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の期中平均株式数で除して算定しています。
希薄化後1株当たり四半期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して算定しています。
当社が発行した普通株式は資本として分類し、発行価額を資本金及び資本剰余金に含めています。
当社グループが取得した自己株式は、取得原価で認識し、資本の控除項目としています。
自己株式を売却した場合は、受取対価を資本の増加として認識し、帳簿価額と受取対価の差額は資本剰余金に含めています。
4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
IFRSに準拠した要約四半期連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針の適用、資産・負債及び収益・費用の報告額並びに偶発資産・偶発負債の開示に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っています。実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、これらの見積りや仮定は継続して見直しています。会計上の見積りの変更による影響は、見積りを変更した報告期間及びその影響を受ける将来の報告期間において認識しています。
当社の要約四半期連結財務諸表に重要な影響を与える会計方針の適用に際して行った判断に関する情報は、以下のとおりです。
・開発から生じた無形資産の認識(「3.重要性がある会計方針(10)のれん及び無形資産」)
当社の要約四半期連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の見積り及び仮定に関する情報は、以下のとおりです。
・金融商品の公正価値の測定(「3.重要性がある会計方針(5)金融商品」「9.金融商品」)
・金融サービス事業に係る損失評価引当金(「3.重要性がある会計方針(7)金融サービス事業に係る損失評価引当金」)
5.未適用の会計基準
要約四半期連結財務諸表の承認日までに公表されている基準書及び解釈指針の新設又は改訂のうち、当社グループが早期適用していない主なものは以下のとおりです。当社グループの要約四半期連結財務諸表に与える影響は現在評価中です。
6.事業セグメント
当社グループの事業セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会等が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、製品の種類及び販売市場等の類似性に基づき、「ランドモビリティ」、「マリン」、「ロボティクス」、「金融サービス」の4つを報告セグメントとしています。
各報告セグメントの主要な製品は以下のとおりです。
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「3.重要性がある会計方針」における記載と同一です。
報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値です。
セグメント間の内部売上収益又は振替高は、市場実勢価格に基づいています。
前第1四半期連結累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年3月31日)
(注)1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、ゴルフカー、発電機、汎用エンジン、除雪機に係る事業を含んでいます。
2 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
3 セグメント利益又は損失(△)の合計は、要約四半期連結損益計算書の営業利益と一致しています。
当第1四半期連結累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日)
(注)1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、ゴルフカー、発電機、汎用エンジン、除雪機に係る事業を含んでいます。
2 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
3 セグメント利益又は損失(△)の合計は、要約四半期連結損益計算書の営業利益と一致しています。
7.売上収益
当社は「6.事業セグメント」に記載のとおり、製品の種類及び販売市場等の類似性に基づき、「ランドモビリティ」、「マリン」、「ロボティクス」、「金融サービス」の4つを報告セグメントとしています。
うち、金融サービス以外のセグメントでは主に製品の受渡時等に一時点で収益を認識しており、金融サービスセ
グメントの収益は、主にIFRS第9号「金融商品」に基づく利息収入及びIFRS第16号「リース」に基づくリース収益等の顧客との契約から生じる収益以外の収益です。
これらの報告セグメントを仕向地(外部顧客の所在地)を基礎とし、国又は地域別に分解しています。
前第1四半期連結累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年3月31日)
当第1四半期連結累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日)
8.配当金
配当に関する事項は、以下のとおりです。
前第1四半期連結累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年3月31日)
(注)2024年1月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行いました。1株当たり配当額については、当該株式分割前の配当金の額を記載しています。
当第1四半期連結累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日)
(注)2024年1月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行いました。1株当たり配当額については、当該株式分割前の配当金の額を記載しています。
9.金融商品
(1)金融商品の公正価値
当社グループにおける公正価値ヒエラルキーのレベルの定義は、以下のとおりです。
レベル1:同一の資産又は負債に関する活発な市場における公表価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1に含まれる公表価格以外の、直接又は間接に観察可能な価格を使用して算定された公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法より算定された公正価値
公正価値の測定に使用される公正価値ヒエラルキーのレベルは、公正価値の測定に用いた重要なインプットのうち、最もレベルの低いインプットに応じて決定しています。
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替が生じた場合には、各期末日に発生したものとして認識しています。
② 公正価値の測定方法
資産及び負債の公正価値は、関連市場情報及び適切な評価方法を使用して決定しています。
資産及び負債の公正価値の測定方法及び前提条件は、以下のとおりです。
(現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務)
これらの公正価値は、短期間で決済されるものであるため、帳簿価額と近似しています。
(その他の金融資産、その他の金融負債)
デリバティブは、主に為替予約、通貨スワップ契約及び金利スワップ契約で構成されています。
為替予約の公正価値は先物相場により測定しています。通貨スワップ契約及び金利スワップ契約の公正価値は、取引先金融機関等から提示された価格等に基づき測定しています。したがって、デリバティブの公正価値の測定は、レベル2に分類しています。
上場株式の公正価値は、市場における公表価格に基づいて測定しており、活発な市場で取引されているため、レベル1に分類しています。
非上場株式・出資金等の公正価値は、マーケットアプローチ、インカムアプローチ等に基づく評価等を用いて測定しているため、レベル3に分類しています。
(販売金融債権)
変動金利建ての販売金融債権については、短期間に市場金利を反映することから、公正価値は損失評価引当金控除後の償却原価と近似していると考えられるため、償却原価を基に信用リスク相当の損失評価引当金を控除することにより算定しており、レベル2の公正価値により測定しています。
また、固定金利建ての販売金融債権については、回収期間ごとに将来キャッシュ・フローを国債の利回り等適切な指標に信用スプレッドを上乗せした利率で割り引いた現在価値を基に公正価値を算出しており、レベル2の公正価値により測定しています。
(社債及び借入金)
変動金利建ての社債及び借入金については、短期間に市場金利を反映することから、公正価値は帳簿価額と近似していると考えられるため、当該帳簿価額によっており、レベル2の公正価値により測定しています。
また、固定金利建ての社債及び借入金については、返済期間ごとに同様の社債発行又は同様の借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値を基に公正価値を算出しており、レベル2の公正価値により測定しています。
経常的に公正価値で測定する金融資産及び金融負債の公正価値は以下のとおりです。
移行日 (2023年1月1日)
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2023年12月31日)
(単位:百万円)
当第1四半期連結会計期間 (2024年3月31日)
(単位:百万円)
前連結会計年度及び当第1四半期連結累計期間において、公正価値レベル1とレベル2の間の重要な振替は行われていません。
経常的に公正価値で測定するレベル3の金融資産の増減は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注)1 観察不能なインプットのうち、割引率が上昇した場合は、株式の公正価値は減少する関係にあります。一方、割引率が下降した場合は、株式の公正価値は増加する関係にあります。
2 その他の包括利益に含まれる利得又は損失は、要約四半期連結包括利益計算書上の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産」及び「在外営業活動体の換算差額」に表示しています。
3 前第1四半期連結累計期間及び当第1四半期連結累計期間においてレベル3からの振替は、投資先の連結子会社化によるものです。
レベル3に区分された株式の公正価値の測定に関する重要な観察不能なインプットは、類似企業のExit倍率及び割引キャッシュ・フロー法に用いられる割引率等です。移行日の割引率の加重平均値は35%から45%であり、前連結会計年度末及び当第1四半期連結会計期間末における割引率の加重平均値はいずれも30%から40%です。移行日のExit倍率の加重平均値は31.5倍から38.5倍であり、前連結会計年度末及び当第1四半期連結会計期間末におけるExit倍率の加重平均値はいずれも28.5倍から34.9倍です。公正価値は類似企業のExit倍率の上昇(低下)、割引率の低下(上昇) により増加(減少) します。
なお、観察不能なインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合に見込まれる公正価値の増減は重要ではありません。これらの見積りに当たっては、それぞれの場合に照らして妥当と思われる評価方法に基づいていますが、発行企業の財務状況及び将来の展望、取引の成否等の重要な仮定に対する不確実性や、異なる仮定及び見積方法を用いることにより、公正価値が大きく変化することがあります。
レベル3に区分された株式は、当社グループの連結決算会計方針に従い、当社グループの財務及び経理部門が公正価値測定の対象となる金融商品の性質、特徴及びリスクを最も適切に反映できる評価技法及びインプットを用いて公正価値を測定しています。公正価値の測定結果は外部専門家の評価結果を含めて、財務部門の責任者がレビューと承認を行っています。
償却原価で測定する金融資産及び金融負債の帳簿価額と公正価値は以下のとおりです。
なお、帳簿価額と公正価値が近似するものは含めていません。
(単位:百万円)
(注) 上記の償却原価で測定する金融資産及び金融負債の公正価値ヒエラルキーはすべてレベル2に分類しています。
10.後発事象
(自己株式の取得)
当社は、2024年2月14日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づき、自己株式取得に係る事項を決議し、取得しています。
1.自己株式の取得を行う理由
株主還元と資本効率の向上を図ることを目的としています。
2.取得に係る事項の内容
(1)取得対象株式の種類 当社普通株式
(2)取得しうる株式の総数 1,900万株(上限)
(発行済株式総数(自己株式除く)に対する割合 1.9%)
(3)株式の取得価額の総額 200億円(上限)
(4)取得期間 2024年2月15日~2024年7月31日
(5)取得方法 東京証券取引所における市場買付
3.四半期報告書提出日の属する月の前月末現在における取得状況
(1)取得対象株式の種類 当社普通株式
(2)取得した株式の総数 3,341,600株
(3)株式の取得価額の総額 4,725,928,786円
(4)取得期間 2024年4月1日~2024年4月30日(約定ベース)
(5)取得方法 東京証券取引所における市場買付
なお、上記取締役会決議以降に取得した自己株式の総数及び取得価額の総額は以下のとおりです。
(1)取得した株式の総数 10,662,300株
(2)取得価額の総額 14,725,845,586円
(取得による企業結合)
当社は、2023年12月26日開催の取締役会において、ドイツ Torqeedo GmbH(以下「Torqeedo社」という。)の全株式を取得し、子会社化することについて決議し、2024年1月12日付でTorqeedo社の全株式を保有するドイツDEUTZ AGと株式譲渡契約を締結、2024年4月3日付で全株式を取得しました。
1.企業結合の概要
(1)被取得企業の概要
被取得企業の名称: Torqeedo GmbH
事業の内容: 電動の船外機、船内機、PODドライブ、ハイブリッドシステム、バッテリー、アクセサリーの製造・販売
(2)企業結合を行う主な理由
Torqeedo社は、マリン電動領域のパイオニアのブランドであり、電動船外機、電動船内機、バッテリー、各種アクセサリーなど豊富な製品群を取り扱っています。欧州を中心に小型電動市場で販売を伸ばしており、成長を続けています。また、電動モーターやプロペラ、電源系統に関する多くの特許を保有し、次世代環境技術の研究開発能力・量産設備・開発リソースを有しています。
今回のTorqeedo社の買収は、当社が中期経営戦略として推進する「マリン版CASE」戦略の"Electric"の分野における開発力強化を目的としています。また、マリン業界でのカーボンニュートラル対応を加速するとともに、早期の小型電動推進機ラインナップ構築に寄与します。さらに、当社が長年培ってきた艇体設計技術、マリンエンジン技術などのノウハウを組み合わせることで中型電動船外機にもシナジーを生み出し、成長する電動推進船市場におけるリーディングカンパニーを目指します。
(3)取得日
2024年4月3日
(4)被取得企業の支配の獲得方法
現金を対価とする株式の取得
(5)取得した議決権付資本持分の割合
100%
2.被取得企業の取得原価及び対価の種類ごとの内訳
3.主要な取得関連費用の内容及び金額
デューデリジェンス費用等 277百万円(概算)
要約四半期連結財務諸表の承認日までに当該企業結合の当初の会計処理が完了していないため、当企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の公正価値並びにその主な内訳、のれん、当社グループに与える影響に関する詳細な情報は、開示していません。
11.1株当たり四半期利益
基本的1株当たり四半期利益及び算定上の基礎、希薄化後1株当たり四半期利益及び算定上の基礎は以下のとおりです。
(注)2024年1月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行いました。前連結会計年度の期首に当該株式
分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり四半期利益、希薄化後1株当たり四半期利益を算定しています。
12.初度適用
当社グループは、当第1四半期連結会計期間からIFRSに準拠した要約四半期連結財務諸表を開示しています。
我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準(以下「日本基準」という。)に準拠して作成された直近の連結財務諸表は2023年12月31日に終了する連結会計年度に関するものであり、IFRSへの移行日は2023年1月1日です。
(1)IFRS第1号の免除規定
IFRS第1号は、IFRSを初めて適用する企業に対して、原則として遡及的にIFRSを適用することを求めています。ただし、IFRS第1号では、IFRSで要求される基準の一部について任意に遡及適用を免除する規定及び強制的に遡及適用を禁止する例外規定が定められています。当社グループが採用した任意の免除規定は以下のとおりです。
① 企業結合
初度適用企業は、IFRS移行日前に行われた企業結合に対して、IFRS第3号「企業結合」(以下「IFRS第3号」という。)を遡及適用しないことを選択することが認められています。当社グループは、当該免除規定を適用し、移行日前に行われた企業結合に対して、IFRS第3号を遡及適用しないことを選択しています。
この結果、移行日前の企業結合から生じたのれんの金額並びに関連会社及び共同支配企業におけるのれん相当額については、日本基準に基づく移行日時点での帳簿価額によっています。なお、のれんについては、減損の兆候の有無に関わらず、移行日時点で減損テストを実施しています。
② 在外営業活動体の換算差額
IFRS第1号では、移行日現在の在外営業活動体の為替換算差額の累計額を零とみなすことを選択することが認められています。
当社グループは、在外営業活動体の為替換算差額の累計額を移行日現在で零とみなすことを選択しています。
③ リース
IFRS第1号では、借手のリースにおけるリース負債及び使用権資産を認識する際に、すべてのリース取引についてリース負債及び使用権資産を移行日において測定することが認められています。当社グループはリース負債を移行日において測定しており、当該リース負債について、残りのリース料を移行日における借手の追加借入利率で割り引いた現在価値としています。また、使用権資産を移行日において測定しており、リース負債と同額としています。
なお、リース期間が移行日から12ヶ月以内に終了するリース及び原資産が少額であるリースについて、当該リースに関連したリース料をリース期間にわたって、定額法により純損益として認識しています。
④ 金融商品の分類の指定
IFRS第1号では、移行日時点で存在する事実及び状況に基づき、資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定をすることが認められています。
当社グループは、移行日時点で存在する事実状況に基づき、資本性金融商品についてその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定しています。
(2)IFRS第1号の強制的な例外規定
IFRS第1号は、「見積り」、「金融資産及び金融負債の認識の中止」、「非支配持分」、「金融資産の分類及び測定」及び「金融資産の減損」等について、IFRSの遡及適用を禁止しています。
当社グループはこれらの項目について移行日より将来に向かって適用しています。
(3)調整表
日本基準からIFRSへの移行が、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに及ぼす影響は、以下のとおりです。
当社グループは、日本基準において、2023年1月1日から、米国基準を採用する北米子会社において、米国財務会計基準審議会会計基準編纂書(ASC)第326号「金融商品-信用損失」を適用しており、下表の移行日の日本基準の列には当該会計方針の変更による影響額を反映しています。
なお、調整表の「表示組替」には利益剰余金及び包括利益に影響を及ぼさない項目を、「認識及び測定の差異」には利益剰余金及び包括利益に影響を及ぼす項目を含めて表示しています。
① 資本に対する調整
移行日(2023年1月1日)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
前第1四半期連結会計期間 (2023年3月31日)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2023年12月31日)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
② 資本に対する調整に関する注記
(ⅰ)表示組替
表示組替の主な内容は、以下のとおりです。
A.現金及び現金同等物
預入期間が3ヶ月超の定期預金について、日本基準では、「現金及び預金」に含めていましたが、IFRSでは、流動資産の「その他の金融資産」に含めています。また、日本基準では、「その他」として表示していた短期運用資産 (3ヶ月以内のもの)を、IFRSでは、「現金及び現金同等物」として表示しています。
B.営業債権及びその他の債権
日本基準では、区分掲記していた「受取手形、売掛金及び契約資産」を、IFRSでは、流動資産の「営業債権及びその他の債権」として表示しています。
また、日本基準では、「貸倒引当金」として表示していた損失評価引当金(営業債権及びその他の債権)を、IFRSでは、流動資産の「営業債権及びその他の債権」より直接控除(減額)しています。
C.販売金融債権
日本基準では、「貸倒引当金」として表示していた損失評価引当金 (販売金融債権)を、IFRSでは、「販売金融債権」より直接控除(減額)しています。
D.棚卸資産
日本基準では、区分掲記していた「商品及び製品」、「仕掛品」、「原材料及び貯蔵品」を、IFRSでは、「棚卸資産」として表示しています。
E.持分法で会計処理されている投資
日本基準では、「その他」に含めて表示していた持分法で会計処理されている投資を、IFRSでは、「持分法で会計処理されている投資」として区分掲記しています。
F.営業債務及びその他の債務
日本基準では、区分掲記していた「支払手形及び買掛金」、「電子記録債務」を、IFRSでは、「営業債務及びその他の債務」として表示しています。
G.社債及び借入金
日本基準では、区分掲記していた「短期借入金」、「1年内償還予定の社債」、「1年内返済予定の長期借入金」を、IFRSでは、流動負債の「社債及び借入金」として表示しています。
また、日本基準では、区分掲記していた「社債」、「長期借入金」については、IFRSでは、非流動負債の「社債及び借入金」として表示しています。
H.未払費用
日本基準では、流動負債の「その他」に含めて表示していた未払費用を、IFRSでは、「未払費用」として区分掲記しています。
I.引当金
日本基準では、区分掲記していた「製品保証引当金」、「その他の引当金」を、IFRSでは、「引当金」として表示しています。
(ⅱ) 認識及び測定の差異
認識及び測定の差異の主な内容は、以下のとおりです。
a.棚卸資産に対する調整
日本基準では、販売・管理・開発部門に関連する消耗品等を貯蔵品として計上していましたが、IFRSでは、棚卸資産の定義を満たさない貯蔵品については、利益剰余金で調整しています。また、日本基準では、製造原価として棚卸資産に含めていた開発費について、IFRSでは、費用処理を行っています。
その結果、「棚卸資産」の金額が減少しています。
b.リース取引に対する調整
日本基準では、借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っていました。
IFRSでは、借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分がないため、基本的にすべてのリース取引について「有形固定資産」に含まれている使用権資産はその賃借が見込まれる期間に定額法で減価償却を行い、「その他の金融負債」に含まれているリース負債は利息を調整のうえ、負債計上をしています。
その結果、「有形固定資産」及び非流動負債の「その他の金融負債」の金額がそれぞれ増加しています。
c.のれん及び無形資産に対する調整
日本基準において、費用処理していた一部の開発費用について、IFRSでは、IAS第38号「無形資産」における開発費の資産化の要件を満たしたものを無形資産として計上しています。資産化された開発費は、見積耐用年数に応じて、定額法で償却しています。開発費の見積耐用年数は、主に5年から10年です。
その結果、「のれん及び無形資産」の金額が増加しています。
d.繰延税金資産及び繰延税金負債に対する調整
日本基準において、IFRSへの調整に伴い、一時差異が発生したこと等により、「繰延税金資産」及び「繰延税金負債」の金額を調整しています。
e.製品保証引当金に対する調整
日本基準では、引当金決済に必要な支出の一部又は全部が他の者から補填されると見込まれる場合は、補填を控除後の純額で引当金を計上していましたが、IFRSでは、企業が義務を決済すれば補填を受けられることがほぼ確実なときに、かつ、そのときにのみ、補填を認識し、別個の資産として引当金額の範囲内で認識しています。
その結果、流動資産の「その他の金融資産」及び流動負債の「引当金」がそれぞれ増加しています。
f.従業員給付(退職給付を除く)に対する調整
日本基準では、未消化の有給休暇について会計処理が求められておらず、対応する負債は認識していませんでしたが、IFRSでは、将来の有給休暇の権利を生じさせる勤務を従業員が提供した時点で負債として認識しています。
その結果、「その他の流動負債」の金額が増加しています。
g.資本性金融商品に対する調整
日本基準では、非上場株式等の市場価格のない株式等について、取得原価を基礎として計上し、財政状態の悪化等に応じ必要により減損処理を行っていましたが、IFRSでは公正価値により測定し、生じた差額を「その他の資本の構成要素」として認識しています。
h.退職給付に係る調整
日本基準では、数理計算上の差異は、発生時に「その他の包括利益累計額」で認識し、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数で翌年度から定額法により費用処理していました。
IFRSでは、数理計算上の差異は発生時に「その他の資本の構成要素」に認識し、直ちに「利益剰余金」に振り替えています。
i.在外営業活動体の為替換算差額
IFRS適用にあたってIFRS第1号にある在外営業活動体の換算差額累計額の免除規定を適用し、移行日現在で在外営業活動体の為替換算差額の累計額を零とみなすことを選択し、「利益剰余金」で認識しています。
③ 利益剰余金に対する調整
(単位:百万円)
④ 包括利益に対する調整
前第1四半期連結累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
⑤ 包括利益に対する調整に関する注記
(ⅰ)表示組替
日本基準では、「販売費及び一般管理費」、「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」及び「特別損失」に表示していた項目を、IFRSでは、財務関連項目を「金融収益」又は「金融費用」に、それ以外の項目については、「販売費及び一般管理費」、「その他の収益」、「その他の費用」、「持分法による投資損益」としてそれぞれ表示しています。また、日本基準では、区分掲記していた「法人税、住民税及び事業税」及び「法人税等調整額」を、IFRSでは、「法人所得税費用」として一括して表示しています。
(ⅱ)認識及び測定の差異
a.開発費に対する調整
日本基準では、製造原価に含めていた開発費を、IFRSでは、「販売費及び一般管理費」に含めており、製造原価として棚卸資産に含まれていた開発費については、費用処理を行っています。この結果、「売上原価」が減少し、「販売費及び一般管理費」が増加しています。
b.退職給付に対する調整
日本基準では、数理計算上の差異は、発生時に「その他の包括利益累計額」で認識し、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数で翌年度から定額法により費用処理していました。IFRSでは、数理計算上の差異等の確定給付制度の再測定を「その他の包括利益累計額」で認識し、直ちに「利益剰余金」に振り替え、組替調整による純損益への認識は行わないことから「売上原価」、「販売費及び一般管理費」が増加し、「確定給付制度の再測定」を調整しています。
c.資本性金融商品に対する調整
日本基準では、非上場株式等の市場価格のない株式等は、財政状態の悪化等に応じ必要により減損処理を行っていましたが、IFRSでは、公正価値で測定しています。また、資本性金融資産について、日本基準では、売却損益及び減損損失を純損益として認識していましたが、IFRSでは、公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する指定を行った場合には、公正価値の変動額を「その他の包括利益」として認識しています。
d.税効果に対する調整
日本基準では、未実現損益の消去に伴う税効果について、売却元の税率を使用していましたが、IFRSでは、売却先の税率を使用して算定するとともに回収可能性を再検討しています。
⑥ キャッシュ・フローに対する調整
日本基準では、オペレーティング・リースについて賃貸借処理を行っていたため、そのリース料支払額は営業活動によるキャッシュ・フローに区分していましたが、IFRSでは、使用権資産とともに認識したリース負債の返済に該当するため、財務活動によるキャッシュ・フローに区分しています。
該当事項はありません。