当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、金融引き締めが継続されるとともに地政学リスクの高まりも意識される状況だったものの、インフレは鈍化傾向にあり、全体として底堅い動きとなりました。
米国では堅調な雇用情勢のもと個人消費が増加しており景気は底堅く推移した一方、欧州では景気の停滞が続きました。アジアでは景気回復の動きが続いているものの、中国では個人消費の停滞や不動産市場の悪化などにより景気回復への遅れが懸念される状況で推移しました。日本では、雇用・所得環境が改善するなかで景気は緩やかな回復基調で推移しました。
このような状況のなかで、当社グループは2030年を見据えた長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』を実現させるため、その事業拡大・収益力強化フェーズである『中期経営計画2026 (CCC-Ⅱ)』の初年度として、パッケージ分野を中心にボタニカルインキシリーズなど環境配慮型製品を軸としたサステナブルな製品の積極展開をグループ全体で推進しました。機能性材料事業では、従来製品の拡販に加え、インクジェットインキにおいては衣食住をターゲットとした新市場への拡大や、画像表示材料においても新分野への展開などに取り組みました。
売上高は、アジアを中心に拡販が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、591億5千2百万円(前年同期比9.1%増加)となりました。
利益面では、海外における販売数量の増加に加え、日本における販売価格の改定効果や、海外においては原材料価格が前年同期を下回る水準で推移するなかでインキコストの削減により収益性が改善したことなどから、営業利益は39億2千6百万円(前年同期比60.8%増加)となりました。経常利益は39億9千9百万円(前年同期比29.2%増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、27億3千万円(前年同期比35.5%増加)となりました。
なお、2024年12月期第1四半期連結会計期間より、連結損益計算書の「営業外収益 その他」に計上していた「受取ロイヤリティー」を「売上高」に含めて計上することに変更したため、「売上高」及び「営業利益」の前年同期比(%)は当該会計方針の変更を反映した遡及適用後の数値との比較となっております。(以下、各セグメントにおいても同様。)
(参考)USドルの期中平均為替レート
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第1四半期 連結会計期間 |
2024年12月期 |
148.61円 |
2023年12月期 |
132.34円 |
セグメントの業績を示すと、次の通りであります。
(単位:百万円) |
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売上高 |
営業利益又は営業損失(△) |
|||||||
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前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
(※)実質 |
前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
印刷インキ・ 機材(日本) |
12,976 |
12,229 |
△747 |
△5.8% |
△5.8% |
221 |
353 |
132 |
59.8% |
印刷インキ (アジア) |
11,799 |
14,868 |
3,069 |
26.0% |
14.4% |
763 |
1,591 |
828 |
108.5% |
印刷インキ (米州) |
18,719 |
20,371 |
1,652 |
8.8% |
△3.4% |
1,111 |
1,322 |
210 |
18.9% |
印刷インキ (欧州) |
4,674 |
5,518 |
844 |
18.1% |
3.6% |
△143 |
207 |
351 |
- |
機能性材料 |
4,126 |
4,428 |
302 |
7.3% |
2.2% |
534 |
645 |
110 |
20.7% |
報告セグメント計 |
52,295 |
57,417 |
5,121 |
9.8% |
1.1% |
2,486 |
4,119 |
1,632 |
65.7% |
その他 |
3,864 |
3,203 |
△660 |
△17.1% |
△17.1% |
122 |
67 |
△55 |
△45.0% |
調整額 |
△1,932 |
△1,467 |
464 |
- |
- |
△167 |
△260 |
△92 |
- |
合計 |
54,227 |
59,152 |
4,924 |
9.1% |
0.8% |
2,441 |
3,926 |
1,484 |
60.8% |
(※)実質増減率:海外連結子会社の為替換算の影響を除いた増減率
印刷インキ・機材(日本)
外国人観光客の増加が続いているものの、コロナ禍以前のようなモノ消費への需要が高まらないことに加え、日用品、食品、飲料など多くのアイテムで値上げの影響による買い控えの動きが長期化していることもあり、パッケージ関連ではグラビアインキ、フレキソインキともにやや低調に推移しました。印刷情報関連では、デジタル化の影響により市場の構造的な縮小が続いていることなどから、新聞インキ、オフセットインキともに低調に推移しました。このような状況のなか、販売価格の改定効果はあったものの、販売が低調に推移したことにより印刷インキ全体では前年同期を下回りました。機材につきましては、販売が低調に推移したことにより印刷製版用材料、機械販売ともに前年同期を下回りました。これらの結果、売上高は122億2千9百万円(前年同期比5.8%減少)となりました。
利益面では、印刷インキ、機材ともに販売が低調に推移したことに加え、経費の増加があったものの、販売価格の改定効果が寄与し、営業利益は3億5千3百万円(前年同期比59.8%増加)となりました。
印刷インキ(アジア)
主力であるパッケージ関連のグラビアインキは、インドネシア、インド、ベトナム、タイ、バングラデシュなど各地で販売が好調に推移しました。印刷情報関連では、インドで販売が堅調に推移しました。売上高は、販売が好調に推移したことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから148億6千8百万円(前年同期比26.0%増加)となりました。
利益面では、販売が好調なことに加え、原材料価格も前年同期を下回る水準で推移したことなどから、営業利益は15億9千1百万円(前年同期比108.5%増加)となりました。
印刷インキ(米州)
主力のパッケージ関連では、顧客での在庫調整などによる需要の落ち込みから持ち直しの動きがあったことに加え、ブラジルなど南米でも販売が堅調であったこともあり、フレキソインキ及びグラビアインキ全体として販売は緩やかながら回復基調で推移しました。メタルインキは環境負荷の観点からアルミ缶に対する需要が高まっているという背景のもと、販売は堅調に推移しました。また印刷情報関連であるオフセットインキは、市場の構造的な縮小もあり低調に推移しました。売上高は、販売価格が下落した影響があるものの、販売数量が増加したことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、203億7千1百万円(前年同期比8.8%増加)となりました。
利益面では、人件費を中心に経費の増加は続いているものの、原材料価格が前年同期を下回る水準で推移したことなどから、営業利益は13億2千2百万円(前年同期比18.9%増加)となりました。
印刷インキ(欧州)
パッケージ関連を中心として需要の落ち込みなどから持ち直しの動きがあるなか、メタルインキの販売が堅調であったことに加え、ドイツからの販売も好調であったこともあり、販売は回復基調で推移しました。売上高は、販売数量が増加したことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、55億1千8百万円(前年同期比18.1%増加)となりました。
利益面では、販売数量が増加したことに加え、原材料価格が前年同期を下回る水準で推移したことなどから、営業利益は2億7百万円(前年同期は1億4千3百万円の営業損失)となりました。
機能性材料
インクジェットインキは全体としては堅調に推移し前年同期を上回りました。カラーフィルター用顔料分散液はパネルディスプレイ市況の改善が続いたことなどから前年同期を上回りました。トナーは市況の低迷による顧客での在庫調整の動きが長引いていることなどから前年同期を下回りました。これらの結果に加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、売上高は44億2千8百万円(前年同期比7.3%増加)となりました。
利益面では、デジタル印刷材料の販売が増加したことなどから、営業利益は6億4千5百万円(前年同期比20.7%増加)となりました。
(2)財政状態
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金は減少したものの、売上債権や有形固定資産が増加したこと、株価の上昇に伴う時価評価や持分法により投資有価証券が増加したことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比95億4千8百万円(4.9%)増加の2,036億3千6百万円となりました。
負債は、仕入債務が減少したものの、借入金の残高が増加したことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比27億1千9百万円(3.1%)増加の911億5千5百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の増加に加え、その他の包括利益累計額が増加したことなどから、前連結会計年度末比68億2千9百万円(6.5%)増加の1,124億8千万円となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1)当面の対処すべき課題の内容
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
2)株式会社の支配に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、当社の株式会社の支配に関する基本方針について、重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は11億9千5百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当社は、2024年2月28日開催の取締役会において、当社子会社のMAOMING SAKATA INX CO.,LTD.(茂名阪田油墨有限公司)の全出資持分をMAOMING HUACAI INK CO.,LTD.(茂名華彩油墨有限公司)に譲渡することを決議し、2024年3月12日付にて持分譲渡契約を締結いたしました。
その内容につきましては、前連結会計年度の有価証券報告書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載の通りであります。