【要約四半期連結財務諸表注記】
1.報告企業
ID&Eホールディングス株式会社(以下「当社」という。)は日本に所在する株式会社です。その登記されている本社および主要な事業所の住所は当社のウェブサイト(https://www.id-and-e-hd.co.jp)で開示しています。2024年3月31日に終了する9か月間の当社の要約四半期連結財務諸表は、当社およびその子会社(以下「当社グループ」という。)、ならびに当社グループの関連会社および共同支配企業に対する持分により構成されています。
当社グループの事業内容は、コンサルティング事業、都市空間事業、エネルギー事業です。各事業の内容については注記「6.セグメント情報」に記載しています。
2.作成の基礎
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(平成19年内閣府令第64号)第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定により、IAS第34号に準拠して作成しています。
要約四半期連結財務諸表は、年次連結財務諸表で要求されているすべての情報が含まれていないため、日本工営が2023年9月28日に提出した同社の2022年7月1日から2023年6月30日までの連結会計年度の連結財務諸表と併せて利用されるべきものです。
本要約四半期連結財務諸表は、2024年5月15日に取締役代表執行役社長 新屋浩明によって承認されています。
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、公正価値で測定されている特定の金融商品等を除き取得原価を基礎として作成しています。
当社グループの各社の個別財務諸表は、それぞれの機能通貨で作成されています。当社グループの各社は主として現地通貨を機能通貨としていますが、その会社が営業活動を行う主要な経済環境の通貨が現地通貨以外である場合は、現地通貨以外を機能通貨としています。
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨とし、単位を百万円としています。また、百万円未満の端数は切り捨てています。
3.重要性がある会計方針
本要約四半期連結財務諸表において適用する重要性がある会計方針は、本要約四半期連結財務諸表に記載されているすべての期間について、特段の記載がない限り、同一の会計方針が適用されています。
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していると判断しています。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めています。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えています。当社グループ間の債権債務残高および内部取引高、ならびに当社グループ間の取引から発生した未実現損益は、要約四半期連結財務諸表の作成に際して消去しています。
子会社の包括利益については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させています。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しています。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されています。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得または損失は純損益として認識しています。
子会社の決算日は一部当社と異なっています。決算日の異なる子会社については、当社決算日において、仮決算を実施しています。
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務および営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配をしていない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。
関連会社については、当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法によって会計処理しています。関連会社に対する投資には、取得に際して認識されたのれん(減損損失累計額控除後)が含まれています。
関連会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社の財務諸表に調整を加えています。
関連会社の決算日は一部当社と異なっています。決算日の異なる関連会社については、当社決算日において、仮決算を実施しています。
共同支配企業とは、当社グループを含む複数の当事者が経済活動に対する契約上合意された支配を共有し、その活動に関連する戦略的な財務上および営業上の決定に際して、支配を共有する当事者すべての合意を必要とする企業をいいます。
当社グループが有する共同支配企業については、持分法によって会計処理しています。
企業結合は取得法を用いて会計処理しています。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、当社に発生した被取得企業の旧所有者に対する負債および当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。取得対価が識別可能な資産および負債の公正価値を超過する場合は、要約四半期連結財政状態計算書においてのれんとして計上しています。反対に下回る場合には、直ちに要約四半期連結損益計算書において純損益として計上しています。
非支配持分を公正価値で測定するか、または識別可能な純資産の認識金額の比例持分で測定するかについては、企業結合ごとに選択しています。
仲介手数料、弁護士費用、デュー・デリジェンス費用等の、企業結合に関連して発生する取引コストは、発生時に費用処理しています。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した四半期連結会計年度末までに完了していない場合は、完了していない項目を暫定的な金額で報告しています。取得日時点に存在していた事実と状況を、取得日当初に把握していたら認識される金額の測定に影響を与えていたと判断される期間(以下「測定期間」という。)に入手した場合、その情報を反映して、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しています。新たに得た情報が、資産と負債の新たな認識をもたらす場合には、追加の資産と負債を認識しています。測定期間は最長で1年間です。
なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しているため、当該取引からのれんは認識していません。
被取得企業における識別可能な資産および負債は、以下を除いて、取得日の公正価値で測定しています。
・繰延税金資産・負債および従業員給付契約に関連する資産・負債
・被取得企業の株式に基づく報酬契約
・IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的に分類される資産または処分グループ
段階的に達成される企業結合の場合、当社グループが以前保有していた被取得企業の持分は支配獲得日の公正価値で再測定し、発生した利得または損失は純損益として認識しています。
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、当社の機能通貨である円で表示しています。また、グループ内の各企業はそれぞれ独自の機能通貨を定めており、各企業の取引はその機能通貨により測定しています。
外貨建取引は、取引日における直物為替レートまたはそれに近似するレートにより機能通貨に換算しています。
外貨建の貨幣性資産および負債は、連結決算日の直物為替レートにより機能通貨に換算しています。当該換算および決算により生じる換算差額は純損益として認識しています。ただし、その他の包括利益を通じて測定される金融資産、およびキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しています。
在外営業活動体の資産および負債は決算日の直物為替レートにより、収益および費用は取引日の直物為替レートまたはそれに近似するレートにより、それぞれ円貨に換算し、その換算差額はその他の包括利益として認識しています。
在外営業活動体が処分された場合には、当該営業活動体に関連する累積換算差額を処分した期の純損益として認識しています。
当社グループは、金融資産について、純損益またはその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、償却原価で測定する金融資産に分類しています。この分類は、当初認識時に決定しています。
当社グループは、金融資産に関する契約の当事者となった取引日に当該金融商品を認識しています。
金融資産は、以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は、公正価値で測定する金融資産に分類しています。
なお、当社グループは、一部の資本性金融商品に対する投資について、公正価値の変動を純損益としてではなくその他の包括利益を通じて認識するという取消不能の選択を行っています。
すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される場合を除き、公正価値に取引コストを加算した金額で測定しています。
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価で測定しています。
実効金利法による償却および認識が中止された場合の利得および損失については、純損益として認識しています。
公正価値で測定する金融資産は原則として純損益を通じて公正価値で測定します。
ただし、資本性金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、公正価値の変動額はその他の包括利益として認識しています。投資を処分したときに、その他の包括利益を通じて認識された利得または損失の累計額をその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
なお、配当金は純損益として認識しています。
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、または金融資産を譲渡し、当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しています。当社グループが、移転した当該金融資産に対する支配を継続している場合には、継続的関与を有している範囲において、資産と関連する負債を認識しています。
償却原価で測定する金融資産については、予想信用損失に対する損失評価引当金を認識しています。
当社グループは、期末日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、期末日後12か月以内に生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失を損失評価引当金として認識しています。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失と等しい金額を損失評価引当金として認識しています。
信用リスクが著しく増加しているか否かの評価を行う際には、期日経過情報のほか、当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報(内部格付、外部格付等)を考慮しています。
なお、金融資産に係る信用リスクが期末日現在で低いと判断される場合には、当該金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していないと評価しています。
ただし、営業債権および契約資産については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で損失評価引当金を認識しています。
予想信用損失は、契約に従って企業に支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、企業が受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額の現在価値として測定しています。
当社グループは、金融資産の予想信用損失を、以下のものを反映する方法で見積っています。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況および将来の経済状況の予測についての、期末日において過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
著しい景気変動等の影響を受ける場合には、上記により測定された予想信用損失に、必要な調整を行うこととしています。
当社グループは、ある金融資産の全体または一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、金融資産の総額での帳簿価額を直接減額しています。
金融資産に係る損失評価引当金の繰入額は、純損益として認識しています。損失評価引当金を減額する事象が生じた場合は、損失評価引当金戻入額を純損益として認識しています。
当社グループは、金融負債について、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債と償却原価で測定する金融負債のいずれかに分類しています。この分類は、当初認識時に決定しています。
当社グループは、金融負債に関する契約の当事者となった取引日に当該金融商品を認識しています。
すべての金融負債は、純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される場合を除き、公正価値に取引コストを控除した金額で測定しています。
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債については、当初認識後公正価値で測定し、その変動については純損益として認識しています。
償却原価で測定する金融負債については、実効金利法による償却原価で測定しています。
実効金利法による償却および認識が中止された場合の利得および損失については、純損益として認識しています。
当社グループは、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、または失効となった時に、金融負債の認識を中止しています。
金融資産および金融負債は、当社グループが残高を相殺する法的権利を有し、かつ純額で決済するかまたは資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、要約四半期連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しています。
当社グループは、為替リスクや金利リスクをそれぞれヘッジするために、金利通貨スワップ契約等のデリバティブを利用しています。これらのデリバティブは、契約が締結された時点の公正価値で当初認識され、その後も公正価値で再測定しています。デリバティブの公正価値変動は、要約四半期連結損益計算書において純損益として認識しています。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金および容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
有形固定資産については、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去および土地の原状回復費用、および資産計上すべき借入コストが含まれています。
土地および建設仮勘定以外の各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で計上されています。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりです。
・建物及び構築物 2~50年
・機械装置及び運搬具 2~20年
・工具、器具及び備品 2~20年
なお、見積耐用年数、残存価額および減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
のれんは要約四半期連結財政状態計算書において、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
当初認識時におけるのれんの測定は、「(2) 企業結合」に記載しています。
のれんの償却は行わず、年次かつ減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。
のれんの減損損失は要約四半期連結損益計算書において認識され、その後の戻入れは行っていません。
個別に取得した無形資産は、原価モデルを採用し、当初認識時に取得原価で測定されます。
のれん以外の無形資産は、当初認識後、耐用年数を確定できない無形資産および未だ使用可能でない無形資産を除いて、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却され、取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
なお、見積耐用年数、残存価額および償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
耐用年数を確定できない無形資産および未だ使用可能でない無形資産については、償却を行わず年次かつ減損の兆候が存在する場合にはその都度、個別にまたは資金生成単位で減損テストを実施しています。
耐用年数を確定できない無形資産は、取得原価から減損損失累計額を控除した額で測定しています。
投資不動産は、賃貸収入またはキャピタル・ゲイン、もしくはその両方を得ることを目的として保有する不動産です。投資不動産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
土地以外の各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数(2~50年)にわたって、定額法により算定しています。
なお、見積耐用年数、残存価額および減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
(借手側)
契約がリースであるか否か、または契約にリースが含まれているか否かについては、法的にはリースの形態をとらないものであっても、契約の実質に基づき判断しています。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該取引をリースと判断しています。
当社グループは、非リース構成部分をリース構成部分と区別せずに、単一のリース構成部分として会計処理することを選択しています。
リース取引におけるリース負債は、リース開始日におけるリース料総額の未決済分を、リースの計算利子率または借手の追加借入利子率を使って割引いた割引現在価値として測定を行っています。なおリース料総額は、以下を含みます。
・固定リース料から受け取ったリース・インセンティブを控除した金額
・変動リース料のうち、指数またはレートに応じて決まる金額
・残価保証に基づいて借手が支払うと見込まれる金額
・購入オプションを借手が行使することが合理的に確実である場合の当該オプションの行使価格
・リースの解約に対するペナルティの支払額(リース期間が借手によるリース解約オプションの行使を反映している場合)
使用権資産については、リース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整し、リース契約に基づき要求される原状回復義務等のコストを加えた額で当初の測定を行っています。
使用権資産は、使用権資産の耐用年数またはリース期間のいずれか短い期間にわたり規則的に、減価償却を行っています。
リース料は、リース負債残高に対して一定の利子率となるように、金融費用とリース負債残高の返済部分とに配分しています。金融費用は要約四半期連結損益計算書上、使用権資産に係る減価償却費と区分して表示しています。
延長オプションや解約オプションの行使可能性の評価に変更が生じた場合、リース負債を再測定しています。リース負債を再測定した場合には、リース負債の再測定の金額を使用権資産の修正として認識しています。ただし、リース負債の再測定による負債の減少額が使用権資産の帳簿価額より大きい場合、使用権資産をゼロまで減額したあとの金額は純損益で認識します。
なお、リース期間が12か月以内に終了するリースおよび原資産が少額であるリースについて、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり定額法または他の規則的な基礎のいずれかにより費用として認識しています。
(貸手側)
当社グループが、資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてを移転するものではないリースは、オペレーティング・リースに分類しています。オペレーティング・リース取引においては、対象となる資産を要約四半期連結財政状態計算書に計上しており、受取リース料は要約四半期連結損益計算書においてフリーレント期間を含むリース期間にわたって定額法により収益として認識しています。
繰延税金資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っています。のれんおよび耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず回収可能価額を毎年同じ時期に見積っています。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値および当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割引いています。減損テストにおいて個別にテストされない資産は、継続的な使用により他の資産または資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資金生成単位にてテストを行っています。のれんの減損テストを行う際には、のれんが配分される資金生成単位を、のれんが関連する最小の単位を反映して減損がテストされるように統合しています。企業結合により取得したのれんは、結合のシナジーが得られると期待される資金生成単位に配分しています。
当社グループの全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを生成しません。全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を決定しています。
減損損失は、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に純損益として認識しています。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しています。
のれんに関連する減損損失は戻入れていません。その他の資産については、過去に認識した減損損失は、毎期末日において損失の減少または消滅を示す兆候の有無を評価しています。回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻入れています。減損損失は、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費および償却額を控除した後の帳簿価額を上限として戻入れています。
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しています。賞与および有給休暇費用については、それらを支払う法的もしくは推定的な義務を負っており、信頼性のある見積りが可能な場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しています。
当社グループは、従業員の退職給付制度として確定給付企業年金制度と退職一時金制度を設けています。
当社グループは、確定給付制度債務の現在価値および関連する当期勤務費用ならびに過去勤務費用を、予測単位積増方式を用いて算定しています。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しています。
確定給付制度に係る負債または資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しています。ただし、確定給付制度が積み立て超過である場合は、確定給付資産の純額は、制度からの返還または制度への将来掛金の減額の形で利用可能な経済的便益の現在価値を資産上限額としています。また、確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額は営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)として純損益に認識しています。
確定給付制度の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
過去勤務費用は、発生した期の純損益として処理しています。
また、当社グループは、確定給付型の制度として、建設コンサルタンツ厚生年金基金(総合設立)に加入しています。自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができない制度であるため、確定拠出制度と同様に、対応する期間に従業員が企業に提供した勤務と交換に支払われるべき金額を費用として認識しています。
当社グループは本邦の公的年金制度に対して掛金を拠出しています。当該公的年金制度(確定拠出制度)への拠出は、発生時に費用処理され、従業員給付に含めて処理しています。
当社は、持分決済型の株式に基づく報酬制度として、取締役に対して譲渡制限付株式を付与しています。譲渡制限付株式は付与日の公正価値で見積り、権利確定までの期間にわたり販売費及び一般管理費として計上するとともに、対応する金額を要約四半期連結財政状態計算書の資本として認識しています。
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、現在の法的または推定的義務を有しており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しています。貨幣の時間的価値が重要な場合には、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値および当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割引いています。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しています。
当社グループでは、IFRS第16号「リース」に基づく保有不動産賃貸収入を除く顧客との契約について、以下のステップを適用することにより、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5:履行義務の充足時に(または充足するにつれて)収益を認識する。
「コンサルティング事業」、「都市空間事業」、「エネルギー事業」は主に土木・建築・電力に関する計画・設計・監理等のサービスの提供を行っています。
当社グループの事業は、通常、(a)履行義務の充足によって提供される便益を、その履行につれて顧客が同時に受け取って消費する、(b)履行義務の充足が資産を創出するかまたは増価させ、その創出または増価につれて顧客が当該資産を支配する、または、(c)履行義務の充足が他に転用できる資産を創出せず、当社グループが現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利を有している場合のいずれかに該当するため、一定の期間にわたり充足される履行義務です。
売上収益は、履行義務の完全な充足に向けた進捗度を合理的に測定できる場合は進捗度の測定に基づいて、進捗度を合理的に測定できない場合は履行義務の結果を合理的に測定できるようになるまで発生したコストの範囲で、認識しています。
進捗度の測定は、当社グループの事業の主な原価要素は人件費、外注費であり、原則として、原価予算と実際発生原価を基礎としています。
大型立軸水力案件の原価予算の見積りでは、参照する類似案件等の情報が乏しく、外注費等の重要な仮定が含まれているため、総原価の見積りは事後的に変動する可能性があります。
総原価の見積りの精度を担保するために、工種別に細分化した予算管理を行い、決算期毎に見積総原価の妥当性の個別確認を行うことにより、原価等の異常値を早期発見し、適時に原価予算の見直しを実施するという対策をとっています。
また、一部の大規模案件の進捗度の測定は、稼働および経費の実績(出来高)を基礎としています。請求予定額をもって売上計上する場合は、案件管理者の承認手続きを経た出来高実績証憑に基づいて認識しています。
契約資産は顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する権利のうち、時の経過以外の条件付きの権利です。契約負債は財またはサービスを顧客に移転する前に、顧客から対価を受け取っているまたは対価の支払期限が到来しているものです。
取引の対価は、契約上のマイルストン等により概ね履行義務の充足の進捗に応じて受領しており、履行義務の完全な充足から主として60日以内に決済を完了しています。取引の対価には重大な金融要素を含んでいません。
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られたときに公正価値で認識しています。
政府補助金が費用項目に関連する場合は、補助金で補償することが意図されている関連コストを費用として認識する期間にわたって、規則的に収益として認識しています。資産に関する補助金は、当該補助金の金額を資産の取得原価から控除しています。
法人所得税費用は、当期税金および繰延税金から構成されています。これらは、その他の包括利益または資本に直接認識される項目から生じる場合、および企業結合から生じる場合を除き、純損益として認識しています。
当期税金は、税務当局に対する納付または税務当局からの還付が予想される金額で測定しています。税額の算定に使用する税率および税法は、期末日までに制定または実質的に制定されているものです。
繰延税金は、資産および負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との差額である一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除に対して認識しています。
繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識され、繰延税金資産は将来減算一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、すべての将来減算一時差異等について認識しています。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産および負債を計上していません。
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・子会社、関連会社に対する投資および共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合、または当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が高くない場合
・子会社、関連会社に対する投資および共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消する時期をコントロールすることができ、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額または一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しています。未認識の繰延税金資産は毎期見直され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識しています。
繰延税金資産および負債は、期末日までに制定または実質的に制定されている税率および税法に基づいて、資産が実現する期間または負債が決済される期間に適用されると予想される税率および税法によって測定しています。
繰延税金資産および負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しています。
なお、要約四半期連結財務諸表における法人所得税費用は、見積年次実効税率を基に算定しています。
基本的1株当たり四半期利益は、親会社の所有者に帰属する四半期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。希薄化後1株当たり四半期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しています。
事業セグメントとは、他の事業セグメントとの取引を含む、収益を稼得し費用を発生させる事業活動の構成単位です。すべての事業セグメントの事業の成果は、個別にその財務情報が入手可能なものであり、かつ各セグメントへの経営資源の配分および業績の評価を行うために、当社の取締役会が定期的にレビューしています。
自己株式は取得原価で評価され、資本から控除しています。当社の自己株式の購入、売却または消却において利得または損失は認識していません。なお、帳簿価額と売却時の対価との差額は資本として認識しています。
意図した使用または販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産に関して、その資産の取得、建設または生産に直接起因する借入コストは、当該資産の取得原価の一部として資産化しています。
その他の借入コストは、それが発生した期間の費用として認識しています。
4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
IFRSに準拠した要約四半期連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の金額に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定を行うことが要求されています。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。
見積りおよびその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、見積りを見直した会計期間およびそれ以降の将来の会計期間において認識されます。
経営者が行った要約四半期連結財務諸表の金額に重要な影響を与える判断および見積りは以下のとおりです。
5.事業の季節性
当社グループの営業形態として、下期に進捗する業務の割合が大きく、売上収益計上に季節変動が生じています。
6.セグメント情報
① 報告セグメントの決定方法
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社取締役会が、経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、傘下に製品・サービス別の主要事業会社を置き、各主要事業会社は取り扱う製品・サービスの包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しています。したがって、当社グループは主要事業会社を基礎とした製品・サービス別セグメントから構成されており、「コンサルティング事業」、「都市空間事業」、「エネルギー事業」の3つを報告セグメントとしています。
② 各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
「コンサルティング事業」は、日本国内外における河川・水資源、上下水道、農業農村整備・開発、ダム・発電、交通・運輸(道路・鉄道・港湾・空港)、都市・地域開発、地質・防災・砂防、環境、情報システムなどに係わる調査、計画、評価、設計、工事監理、マネジメント等の業務を営んでいます。
「都市空間事業」は、都市空間形成における事業組成、計画・設計、運営を営んでいます。
「エネルギー事業」は、電力機器、制御装置などの製造・販売ならびに機電・通信施設などの計画・設計、工事、工事監理ならびに分散型エネルギーリソースを活用したエネルギーマネジメント事業を営んでいます。
注記「3.重要性がある会計方針」に従って作成した当社グループの報告セグメントによる収益および業績は以下のとおりです。
なお、セグメント間の内部売上収益又は振替高は、市場価格等を勘案し、価格交渉の上決定した取引価格に基づいています。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.「その他」の区分は収益を稼得していない、または付随的な収益を稼得するに過ぎない構成単位のものです。
2.「調整」はセグメントに配分されていない全社費用と、セグメント間取引消去です。
7.資本及びその他の資本項目
当第3四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)
(1) 第三者割当増資
該当事項はありません。
当社は、2023年7月14日開催の取締役会決議に基づき、取締役および執行役に対する譲渡制限付株式報酬として2023年8月10日付で新株式の発行を行い、当第3四半期連結累計期間において、資本金が22百万円、資本準備金が22百万円それぞれ増加しています。
この結果、当第3四半期連結会計期間末において、資本金が7,522百万円、資本剰余金が6,510百万円となっています。
8.配当金
配当金の支払額は以下のとおりです。
当社は、2023年7月3日付で、単独株式移転の方法により、日本工営の完全親会社として設立されました。配当金の支払額は下記の完全子会社の定時株主総会において決議された金額です。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)
9.売上収益
売上収益はサービス提供地域に基づき地域別に分解しています。売上収益の分解とセグメント収益との関連は以下のとおりです。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)
10.その他の収益
その他の収益の内訳は以下のとおりです。
(注)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、㈱QPS研究所株式の評価益が4,023百万円含まれています。
11.1株当たり利益
希薄化後1株当たり四半期利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
希薄化後1株当たり四半期利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
12.金融商品の公正価値
公正価値で測定する金融商品について、測定に用いたインプットの観察可能性および重要性に応じた公正価値測定額を、レベル1からレベル3まで分類しています。
レベル1:活発な市場における同一の資産または負債の市場価格(無調整)
レベル2:レベル1以外の、観察可能な価格を直接または間接的に使用して算出された公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法から算出された公正価値
金融商品の公正価値の算定方法は以下のとおりです。
短期間で決済されるため、公正価値は帳簿価額に近似しています。
上場株式の公正価値については、期末日の市場価格によって算定しています。非上場株式の公正価値については、割引将来キャッシュ・フローに基づく評価技法、類似会社の市場価格に基づく評価技法および純資産価値に基づく評価技法等により算定しています。預入期間が3か月を超える定期預金や預り金については、短期間で決済されるため、公正価値は帳簿価格に近似しています。
デリバティブは、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産または金融負債として、取引先金融機関から提示された価格に基づいて算定しています。
企業結合による条件付対価は、アーンアウト契約に基づき、NIPPON KOEI MOBILITY SDN. BHD.の2022年12月期から2024年12月期までの累計税引後利益が目標に達しなかった場合、株式取得対価の30%が返金されます。当該条件付対価についても、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産として認識しています。条件付対価の公正価値は、返金される可能性がある金額について、目標達成確率を加味した現在価値で算定しています。条件付対価に係る公正価値変動額は、「金融費用」または「金融収益」に計上しています。
借入金は、将来キャッシュ・フローを新規に同様の契約を実行した場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しています。
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額と公正価値は以下のとおりです。
(注) 1.上記の表には、償却原価で測定する金融商品のうち、帳簿価額が公正価値と近似するものを含めていません。
2.長期借入金の公正価値はレベル2に分類しています。
公正価値で測定する金融商品の公正価値ヒエラルキーは以下のとおりです。
当第3四半期連結会計期間(2024年3月31日)
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、振替を生じさせた事象または状況の変化が生じた日に認識しています。当四半期連結会計年度において、公正価値レベル1とレベル2の間の重要な振替は行われていません。
レベル3に分類された金融商品については、経営管理部門責任者により承認された評価方針および手続きに従い、外部の評価専門家または適切な評価担当者が評価および評価結果の分析を実施しています。評価結果は経営管理部門責任者によりレビューされ、承認されています。
レベル3に分類された金融商品に係る重要な観察不能なインプットは、割引率、PER、PBR、非流動性ディスカウントです。
割引率の下落(上昇)、PERの上昇(下落)、PBRの上昇(下落)、非流動性ディスカウントの下落(上昇)により、公正価値は増加(減少)します。なお、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合に見込まれる公正価値の増減は重要ではありません。
レベル3に分類された金融商品の当期首から当期末までの変動は以下のとおりです。
(注) 1.純損益に含まれている利得及び損失は、決算日時点の純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものです。純損益に認識した利得及び損失のうち、四半期連結会計期間末において保有する金融資産に係るものは、当第3四半期連結累計期間において△0百万円です。これらの利得及び損失は、要約四半期連結損益計算書の「その他の収益」および「その他の費用」に含まれています。
2.当第3四半期連結累計期間のレベル3からの振替は、投資先が上場したことによるものです。
13.偶発債務
訴訟事件
当社グループは、現在係争中の一部の事案について、推定的義務を有するものの、当該義務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性は高くないため、引当金は計上していませんが、これらの訴訟等による債務が発生したとしても、当社グループの財政状態および経営成績への影響は軽微と考えています。
なお、国際会計基準第37号「引当金、偶発債務及び偶発資産」の第92項に従い、当社グループの立場が不利になる可能性があるため、これらの事案に関する詳細な内容は開示していません。
14.後発事象
該当事項はありません。