第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間における世界経済は、ウクライナや中東における地政学的リスクの長期化や、世界的な物価上昇等を背景に、世界経済は依然として先行き不透明な状況が続いております。我が国においては、円安による外国人観光客の増加もあり、景気は緩やかな回復傾向がみられましたが、日本でも物価上昇の影響による将来的な懸念がくすぶっております。当社が属するバイオテクノロジーセクターにつきましては、米国ナスダック市場でバイオテクノロジー指数が高値を更新する一方、国内では赤字を脱却できない創薬企業が多数存在し、先行きが見通せない状態です。

このような状況下におきまして、株式会社ジーエヌアイグループ(以下「当社」)及びその関連会社(以下合わせて「当社グループ」)は、第1四半期連結累計期間の中で過去最高の売上収益、営業利益及び当期利益を達成しました。

 

製薬、創薬事業におきまして、まず、当社グループ主要子会社である北京コンチネント薬業有限公司(以下「北京コンチネント」)の主力製品であるアイスーリュイの販売が引き続き堅調に推移し、売上収益及び利益の増加に大きく寄与しました。同社は次期製品の有力な候補であるB型肝炎起因の肝線維症を適応としたF351の第3相臨床試験を中国にて実施しており、臨床試験のデータ収集ができるよう鋭意進めております。また、2025年にはNASH(非アルコール性脂肪肝炎)起因の肝線維症適応に向け、第3相臨床試験を中国で開始する予定です。

次に、北京コンチネントは、中国で築き上げた販売網を有効活用するため、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)のジェネリック販売を本格的に開始しております。

更に、米国ナスダック市場に上場する当社子会社のGyre Therapeutics,Inc.(以下「GYRE」)では、NASH向けの第2a相臨床試験を2025年初めに米国で開始すべく、鋭意準備を進めております。

 

米国及び中国を中心に研究開発に特化している米国子会社Cullgen Inc.(以下「Cullgen」)は、独自の標的タンパク質分解誘導技術プラットフォームuSMITE™(ubiquitin-mediated, small molecule induced target elimination)を活用した創薬に引き続き邁進しております。Cullgenはアステラス製薬株式会社(以下「アステラス製薬」)と革新的なタンパク質分解誘導剤創出に向けた共同研究及び独占的オプション契約を締結しており、本戦略的提携におけるアステラス製薬との共同研究は、順調に進展しております。また、Cullgenは、同社初のTRK分解剤の抗がん剤候補としての臨床試験を中国にて進め、第1/2相臨床試験を開始しております。同時に、他の複数のプログラムについても、臨床試験開始を目指して開発を進めております。

 

医療機器事業に関しましても、米国でメドテック(生体材料)事業に携わるBerkeley Advanced Biomaterials LLC(以下「BAB」)を筆頭に、業績は堅調に推移しております。

 

 

 

①セグメント別の経営成績

医薬品事業

北京コンチネントの主力製品であるアイスーリュイの中国市場での売上収益は堅調に推移しました。また、Cullgenとアステラス製薬とのタンパク質分解誘導剤の共同開発収益401,441千円を計上しました。

その結果、医薬品事業セグメントの売上収益とセグメント利益は、それぞれ4,628,680千円(前年同期比28.3%増)、1,744,687千円(前年同期比1,069.3%増)となりました。

医療機器事業

医療機器事業セグメントの売上収益とセグメント利益は、BABの主力製品である骨移植関連製品の売上収益が引き続き好調に推移したことにより、それぞれ1,319,888千円(前年同期比120.1%増)、539,131千円(前年同期比117.0%増)となりました。

 

②販売費及び一般管理費並びに研究開発費

(単位:千円)

 

前第1四半期連結累計期間

当第1四半期連結累計期間

差額

販売費及び一般管理費

△2,646,363

△3,288,379

△642,015

人件費

△965,876

△1,380,635

△414,758

研究開発費

△635,649

△688,911

△53,262

 

当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、3,288,379千円(前年同期比24.3%増)となりました。この販売費及び一般管理費の増加は、主に医薬品事業セグメントの人件費及び営業体制の構築費用やマーケティング活動関連費用の増加によるものです。

当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、688,911千円(前年同期比8.4%増)となりました。この研究開発費の増加は、主にCullgenにおけるTRK分解剤をベースとした抗がん剤候補の臨床試験の進展によるものです。

 

③金融収益及び金融費用

(単位:千円)

 

前第1四半期連結累計期間

当第1四半期連結累計期間

差額

金融収益

49,329

161,678

112,349

金融費用

△239,599

△629,737

△390,137

 

金融収益

当第1四半期連結累計期間の金融収益は、161,678千円(前年同期比227.8%増)となりました。この金融収益の増加は、主に北京コンチネントの長期性預金及びCullgenの普通預金等の受取利息の増加によるものです。

金融費用

当第1四半期連結累計期間の金融費用は、629,737千円(前年同期比162.8%増)となりました。この金融費用の増加は、主に外貨建て営業債務の為替差損の増加及びCullgenの資金調達に関する現金支出を伴わない利息費用の増加によるものです。

 

(2)財政状態に関する分析

連結財政状態

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当第1四半期連結会計期間

差額

資産合計

62,394,370

65,600,114

3,205,743

負債合計

26,341,592

27,845,913

1,504,321

資本合計

36,052,778

37,754,200

1,701,422

 

資産合計

 当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、65,600,114千円(前連結会計年度末比5.1%増)となりました。この資産の増加は、主にその他の金融資産(流動)1,603,470千円の増加及び円安に伴う外貨建てのれん評価額の増加1,283,762千円等によるものです。

負債合計

 当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、27,845,913千円(前連結会計年度末比5.7%増)となりました。この負債の増加は、主に短期借入金2,687,000千円の増加、CullgenのシリーズB優先株式を取得したことに伴うその他の金融負債(非流動)の減少1,037,953千円等によるものです。

資本合計

 当第1四半期連結会計期間末における資本合計は、37,754,200千円(前連結会計年度末比4.7%増)となりました。この資本の増加は、主に利益剰余金の増加によるものです。

 

連結キャッシュ・フロー

(単位:千円)

 

前第1四半期連結累計期間

当第1四半期連結累計期間

差額

営業活動によるキャッシュ・フロー

709,959

△350,252

△1,060,212

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,239,778

△1,801,086

△561,308

財務活動によるキャッシュ・フロー

△51,798

△87,618

△35,819

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

 当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、350,252千円の支出(前連結累計期間は、709,959千円の収入)となりました。これは主に、法人所得税の支払757,237千円等によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フロー

 当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、1,801,086千円の支出(前連結累計期間は、1,239,778千円の支出)となりました。これは主に、差入保証金・敷金の増加による支出2,039,620千円等によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、87,618千円の支出(前連結累計期間は、51,798千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金2,687,000千円の増加、非支配持分からの払込による収入520,205千円と非支配持分からの子会社持分取得による支出3,269,100千円等によるものです。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。また新たに生じた課題はありません。

 

(4)研究開発活動

 

〔研究活動〕

 当社グループの創薬研究では、Cullgenを中心に革新的な新規開発候補化合物(NCE)の開発を目指しております。Cullgenは、がんや疼痛及び自己免疫疾患に対する酵素、非酵素タンパク質を標的とした複数の新規化合物を含む創薬パイプラインの拡充のための研究開発を進めております。

 2023年6月に、Cullgenはアステラス製薬と、革新的なタンパク質分解誘導剤創出に向けた共同研究及び独占的オプション契約を締結いたしました。本戦略的提携において、両社は新規E3リガンドを活用したCullgen独自の技術プラットフォームuSMITE™とアステラス製薬の創薬及び商業化能力を融合し、複数の標的タンパク質分解誘導剤の創出を目指します。Cullgenとアステラス製薬は新薬を見出すための共同研究を行い、商業化を目指します。アステラス製薬との共同研究は、順調に進展しております。

 

〔開発活動〕

■アイスーリュイ〔中国語:艾思瑞®、英語:ETUARY®(一般名:ピルフェニドン)〕-北京コンチネント

 アイスーリュイの適応を以下の疾患に拡大する第3相臨床試験を遂行しております。

 

・糖尿病腎症(DKD):第1相完了、今後の進め方を中国当局と継続協議中

・結合組織疾患(CTD-ILD)を伴う間質性肺疾患(全身性硬化症(強皮症、SSc-ILD)と皮膚筋炎(DM-ILD)):

 第3相臨床試験継続中

・じん肺治療薬(Pneumoconiosis,PD):第3相臨床試験継続中

 

■F351(一般名:ヒドロニドン)-北京コンチネント及びGYRE

 F351は肝線維症向け治療薬候補として、当社グループの医薬品ポートフォリオにおける重要な新薬候補であり、世界の主要医薬品市場への参入に向けた戦略の非常に重要なものとなります。F351は、ブロックバスターと期待される新薬候補です。

 F351は、B型慢性肝炎に起因する肝線維症の第3相臨床試験を順調に進めております。北京コンチネントは2023年10月、中国におけるB型慢性肝炎に起因する肝線維症患者を対象とした第3相臨床試験の登録を完了し、臨床試験のデータ収集ができるよう鋭意進めております。

 GYREは、2024年度中に米国当局に対し、新薬臨床試験開始申請(IND)を提出し、2025年にF351を非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に伴う肝線維症の第2a相臨床試験を開始する予定です。

 

■F573(急性肝不全(ALF)・慢性肝不全の急性増悪(ACLF)治療薬)-北京コンチネント

 急性肝不全(ALF)や慢性肝不全の急性増悪(ACLF)の治療薬として、F573の第2相臨床試験を実施しております。

 

■F230(肺動脈性肺高血圧症治療薬)-北京コンチネント

 F230は、肺動脈性肺高血圧症の治療薬として臨床試験を行っており、2024年3月、中国において新薬臨床試験開始申請(IND)を提出いたしました。

 

■F528(慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬)-北京コンチネント

 F528は、複数の炎症性サイトカインを抑制する新規の抗炎症剤であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の進行を軽減する可能性のある新薬候補として研究開発を進めております。

 

■CG001419(TRK分解剤)-Cullgen

 CG001419は、業界初の選択的かつ強力な標的タンパク質分解誘導剤を活用した経口剤として開発を進めております。2023年7月に、同社初となる第1/2相臨床試験を中国にて開始いたしました。

 

■オーファンドラッグのジェネリック(希少疾病用医薬品)-北京コンチネント

 北京コンチネントでは、値崩れしにくいオーファンドラッグのパイプラインの拡充を目指しております。慢性肝疾患による血小板減少症の治療薬であるアバトロンボパグマレイン酸塩タブレット、多発性硬化症の治療薬であるフィンゴリモド塩酸塩カプセル等のジェネリック医薬品の販売権の取得を目指しております。また、2024年5月には肺線維症の治療薬であるニンテダニブの販売権を取得いたしました。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結はありません。