第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、経営ビジョンを「お客さまと従業員の『圧倒的な安心とワクワク』を実現する~最も地域に貢献する企業集団~」とし、中国・四国エリア及び兵庫県西部の地域とお客さまのくらしに密着し、地域とお客さまの豊かなくらしづくりを実現します。また、経営方針に「現場重視」「従業員満足」「シナジー創出」を掲げ、地域のお客さまに圧倒的に支持していただける店舗、従業員一人ひとりが使命感と誇りを持って働ける職場、マスメリットの追求による強固なプラットフォームを構築し、グループ全体で、課題を克服しつつ成長できる企業集団を目指します。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 当社は、2024年1月30日に2024-2026年度の3カ年中期経営計画を開示しました。中期経営計画では、「企業文化の確立」「既存事業の改革」「事業インフラの統合とシナジー創出」の3つの基本戦略に加え、ESG経営の推進に取り組みます。基本戦略に基づく施策を実行すべく3か年において860億円の投資を計画し、2026年度営業収益8,450億円、営業利益率2%超、2030年度営業収益1兆円を目指します。

 

(3)会社の対処すべき課題

 当社グループの事業を取り巻く環境は、人口減少、業態を超えた同質化競争、消費の成熟化への対応など従前からの課題に加え、物価上昇圧力の継続、物流2024年問題に起因する物流コストの上昇、賃上げなどによるコストの押し上げ、家計の節約志向がさらに強まることによる個人消費低迷のリスクなど、厳しい状況が見込まれます。

 このような環境下において、当社グループは、多様化するお客さまのニーズに応え、地域のお客さまのより豊かなくらしの実現と、中国・四国・兵庫での地域社会との共創の一翼を担い得る企業集団へと進化することを目的として、2024年3月に当社は株式会社フジ・リテイリング、マックスバリュ西日本株式会社と合併をしました。

 当社は、新たに2024-2026年度の3カ年中期経営計画を策定し、2024年1月30日に開示しました。企業スローガン「地元に、新しいつながりを。」を掲げ、3つの基本戦略に基づき単年度の重点方針を策定し、施策を確実に実行することで地元の未来に貢献する企業集団を目指します。

 これまで各社が培ってきた文化や風土の融合を図りつつ、従業員一人ひとりが経営理念を実現すべく、経営方針に沿って具体的に考えて実践し、組織の政策実行力を高めることで成果に繋げる「企業文化の確立」を進めます。

 経営統合前の各社が保有していた「資産」や「強み」を徹底的に活かすべく、「既存事業の改革」に取り組みます。重点エリア(広島、愛媛、香川、岡山、兵庫)を中心とした既存店の活性化と新規出店を進め、お客さまと地元に貢献する最新機能を備えた店舗づくりを進めるとともに、ノンストア事業の推進や新たなチャネルづくりによる顧客接点の拡大を図ります。加えて、組織のスリム化、業務の「省人化」「省力化」などを推進するとともに、本部が現場を徹底サポートする体制を構築します。

 早期に統合シナジーの最大化を実現すべく、サプライチェーンインフラの統合と整備、仕入と調達の統合、PBの拡大と共同開発などのMD統合、ID-POSの活用、マーケティングと販売促進活動の高度化など、「事業インフラの統合とシナジー創出」を推し進めます。

 当社グループは、豊かなくらしづくりを提案し、地域社会の発展に貢献し、人々を大切にするという理念のもと、ESG経営を推進します。脱炭素社会の実現、資源循環の促進、生物多様性の保全など、環境対策に取り組みます。また、地元のスポーツ促進と文化振興へ貢献するとともに、ダイバーシティや女性活躍、働き方改革などを推進することで企業活動を行ううえでの社会的責任を果たします。さらに、コンプライアンス遵守を目的とした研修や教育を実施し、また、モニタリングを適時行うなど強固なコンプライアンス体制の構築を進めるなど、ガバナンス強化を推し進めます。

 これらを踏まえ、次期連結業績については営業収益8,100億円(前期比1.1%増)、営業利益155億円(前期比2.6%増)、経常利益177億円(前期比1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益80億円(前期比7.6%増)を予想します。

 

 

   (連結業績の見通し)                       (単位:百万円)

 

 

2025年2月期

 

 

 

 前期比

 

営業収益

810,000

1.1%増

 

営業利益

15,500

2.6%増

 

経常利益

17,700

1.9%増

 

親会社株主に帰属する
当期純利益

8,000

7.6%増

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、「豊かなくらしづくりを提案し、地域社会の発展に貢献し、人々を大切にする」という理念のもと、地域社会に密着した経営を推進しております。

「環境」・「社会」の両面において、地域に根差した活動を多くのステークホルダーの皆さまとともに積極的に取り組み、持続可能な社会の実現を目指します。

サステナビリティ基本方針

・脱炭素社会の実現、循環型社会の実現

企業活動の中で、省エネ・再エネへの取り組みを通した脱炭素社会の実現と、資源の有効活用や廃棄物の削減を通した循環型社会の実現に取り組みます。

・安全・安心、少ない環境負荷

安全・安心で、環境負荷の少ない商品およびサービスを提供していきます。

・地域コミュニティの拠点

地域コミュニティの拠点となり、より良い環境や社会の実現に向けた、社会貢献活動に取り組みます。

・多様な人材

多様な人材が能力を発揮し、誰もがいきいきと活躍できる社会の実現に取り組みます。

・目標設定、公正で健全な経営

法令遵守はもとより、自主的な目標を定め、その達成への取り組みを通して、公正で健全な経営を行います。

 

(1)ガバナンス(サステナビリティ推進体制)

当社は、サステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識し、サステナビリティを推進する部署として社長直轄のサステナビリティ推進室を設置しております。また、代表取締役社長を主催者として、取締役会メンバーが参加するサステナビリティ委員会を設置し、四半期に1回開催しております。

委員会は、基本方針・目標の策定や、目標に対する進捗管理・経営方針や経営計画に対するサステナビリティ視点での検証、環境面以外のSDGsに対する取組みの審議を行い取締役会へ報告します。

  取締役会は、報告をもとにリスクおよび機会に対する取り組みに関し、進捗・目標達成状況の監督と対応策の承認および必要な助言を行っております。

 

 

(2)戦略

・気候変動・環境への取組

環境に配慮した企業活動によって、限りある資源を大切にして、地域と共生する店舗と共に、持続可能な社会の実現を目指します。

[具体的取組]

① 脱炭素社会の実現

  省エネの推進、節電対応、再エネの活用

② 資源循環の促進

  リサイクル資源の活用、レジ袋・プラ資材の削減、食品廃棄の削減

 

③ 生物多様性の実現

  環境・資源・保護型商品の拡販、店舗・事業所の緑化

④ 地域社会への支援

  地域団体・ボランティア支援、地産地消、食育の支援、募金、チャリティイベント

⑤ スポーツ促進、文化振興

  スポーツチームの協賛・支援、健康増進イベント協賛、伝統芸能支援、文化振興

 

・人的資本・多様性への取組

現場を支え、会社を支える人財の獲得と定着に向け、多様な価値観や働き方を尊重する組織・制度への転換、企業風土づくりを目指します。

[具体的取組]

① 女性活躍の推進

② 離職を防ぐ施策の拡充

  介護取得休暇の向上、性差のない育児取得の推奨

③ 障がい者雇用の推進

④ 外国人雇用への取組み

 プロセスセンターでの技能実習生の雇用促進

 

(3)リスク管理

当社は、サステナビリティに関する課題やリスクについては、「サステナビリティ委員会」にてより詳細な検討・管理をしており、サステナビリティ関係のリスクとして以下の内容を認識しております。

① 土壌・大気・水質汚染、不適切な廃棄物処理

② 脱炭素社会への対応の遅れ

③ ESG経営取組遅れ

④ 人権デューデリジェンスの取組み遅れ

⑤ SDGs経営の取組み遅れ

 

(4)指標及び目標

[気候変動・環境への取組に対する指標及び目標]

目標項目

目標

2023年度実績

CO2排出量の削減

(2010年比)

2025年25%以上削減

2030年50%以上削減

2010年対比

30.3%減

 

 

[人的資本・多様性への取組に対する指標及び目標]

目標項目

目標

2023年度実績

女性管理職比率

2024年度17%

2030年度30%

15%

男性の育児休暇取得率

2024年度50%

40.6%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループにおける事業展開上のリスクとなる可能性があると考えられる事項は、以下の内容となります。

なお、文中の将来に関する事項は、2024年2月29日現在において当社が判断したものです。

  (1) 競争環境の継続

  当社グループは、中国・四国エリア及び兵庫県西部を基盤として店舗展開をしていますが、事業の性格上、異業種の参入も含め、当社グループの店舗商圏内に新規の他社店舗が多数参入した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (2) 景気・季節要因

  当社グループは、小売及び小売周辺事業を中核事業としており、その対象は一般消費者です。景気の低迷による購買力の低下や想定以上の天候不順により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (3) 感染症・自然災害等

 当社グループは、中国・四国エリア及び兵庫県西部を基盤として店舗展開しています。自然災害等に対しては緊急時の社内体制を整備していますが、大規模な地震、風水害、感染症などが発生した場合、当社グループの事業活動に著しい支障が生じ、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (4) 商品・原材料等の価格変動

 当社グループは、お客さまのニーズの変化に合わせた商品の提供と店舗開発を進めていますが、為替、原油等の市況変動や景気動向により、商品・原材料・店舗資材等の調達価格や開発費用が大きく影響を受ける可能性があります。これにより商品仕入れや店舗設備に要する費用が増加し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (5) 情報システムに関するリスク

 当社グループは、店舗及び事務所等においてネットワークを構築しコンピューター管理しておりますが、自然災害や事故、サイバー攻撃等によって、通信ネットワークが切断、毀損された場合には、物流や商品供給、社内管理等の機能が低下し、事業に支障をきたす場合があります。この場合、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (6) 個人情報の保護

 当社グループは、個人情報の保護について、社内規程等の整備や従業員教育、情報システムのセキュリティを強化するなど漏洩防止策を徹底していますが、何らかの事情により顧客の個人情報が漏洩した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (7) 人材の確保及び費用

 当社グループは、お客さまに満足していただける商品とサービスの継続的な提供を支える「人材の確保と育成」が重要な課題であると考えています。国内景気の動向や少子高齢化の進行による人口構成の変化等により、その計画が予定通りに進まない場合や、労働関連法令の改正等により人件費負担が増加する場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (8) 法的規制等

 当社グループでは、大規模小売店舗立地法、独占禁止法、食品の安全や環境・リサイクル等に関する法令等に十分留意した事業活動を行っていますが、万一法令違反が発生した場合や法令の制度変更等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

  (9) 食品の安全性におけるリスク

 当社グループは、生鮮食品等の部門においてセンターやインストアでの製造を実施しており、製造・販売者の責任として、さまざまな食品表示や衛生管理の履行が必要となっております。これらに対して当社グループでは、マニュアルの整備や社内教育の実施、チェック体制の徹底により対策を実施しておりますが、予期せぬ事件・事故等が発生した場合には、社会的な信用の低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (10) 貸倒及び利息返還請求

 当社グループは、金融サービス事業(クレジットカード事業)における売掛金及び営業貸付金に対して十分な貸倒引当金を計上しています。また、営業貸付金の適用金利のうち、利息制限法に定められた利息の上限金利を超過する部分について、請求される可能性のある利息返還請求に対しては、利息返還損失引当金を計上していますが、貸倒及び当該返還請求が予想外に拡大し、引当金の大幅な積み増しの必要性が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (11) 減損損失

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、保有する固定資産についての将来の回収可能性を検討した結果、店舗等に係る減損損失を計上した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (12) 金利・金融市場の変動

 設備投資資金は自己資金及び金融機関からの借入金により対応しており、当社グループの連結総資産に占める有利子負債依存度は、2024年2月29日現在で19.1%となっています。

 当社グループは借入金の圧縮等により財務体質の強化に努める方針であり、また、固定金利による資金調達を行うことで、金利上昇リスクの低減を図っておりますが、今後の金利・金融市場の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
 

  (13) 子会社管理に関するリスク

 当社グループは、子会社の管理が不十分である場合、不正・不祥事の発生や、予期せぬ損失が発生し、信用失墜、業績悪化につながるリスクがあります。また、子会社の業績が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (14) 経営統合に関するリスク

 2024年3月1日付をもって、当社は、株式会社フジ・リテイリング、マックスバリュ西日本株式会社及び株式会社フジデリカ・クオリティとの吸収合併を行っております。合併後の統合業務を進めていくなかで、経済情勢の急激な変化や金融市場の混乱等により経営統合が計画どおりに進まないリスク、経営統合により期待されるシナジー効果が十分に発揮されないリスクが想定され、この場合、当社グループの財務状況や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  (1)経営成績の概況

 当連結会計年度(2023年3月1日~2024年2月29日)におけるわが国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症の5類移行による経済活動の正常化もあり、2023年10-12月期の実質GDP成長率が前期比年率0.4%増となるなど堅調に推移しました。一方で、物価高に起因する節約志向の高まりや長引く残暑や暖冬等の影響を受けて個人消費は低迷(前期比0.3%減)し、加えて、12月の実質賃金が21か月連続減少の前年同月比1.9%減となるなど、くらしや事業を取り巻く環境は厳しい状況が続いています。

このような環境下において、当社および当社グループは、「お客さまと従業員の『圧倒的な安心とワクワク』を実現する」を経営ビジョンに掲げ、「現場重視」「従業員満足」「シナジー創出」を経営方針とし、変化するお客さまの行動に対して柔軟かつ迅速に対応する、最も地域に貢献する企業集団を目指しています。人口減少、業態を超えた同質化競争、消費の成熟化への対応など従前からの課題と、物価高によるコスト増などの新たな課題を解決すべく挑戦を続けます。そのような認識のもと、当社は、当初の計画とおりシナジー創出をさらに推し進め、企業価値の最大化を図るべく、2024年3月1日をもって効力を発生する、当社を存続会社、株式会社フジ・リテイリング及びマックスバリュ西日本株式会社を消滅会社とする吸収合併への準備を進めました。

当社グループである株式会社フジ・リテイリング(以下、フジ・R)とマックスバリュ西日本株式会社(以下、MV西日本)は、当社の経営方針のもと、地元とのつながりを大切にし、お客さまの視点に立って主体的に行動できる企業文化の構築を進めました。既存店の活性化と新規出店及び建て替えについては、快適なお買物環境の追求、デジタル化の推進、多様化するニーズへの対応など店頭の利便性と競争力向上を目指して取り組みました。既存店では、24店舗において改装による活性化を行うとともに、冷蔵ケースや什器の更新など店頭の不具合解消も積極的に進めました。新規出店は、3月にラクア緑井(みどりい)(広島市安佐南区)がグランドオープン、4月にマックスバリュ河崎(かわさき)店(鳥取県米子市)、6月にマルナカ多度津(たどつ)店(香川県仲多度郡多度津町)、9月にフジ志津川(しつかわ)店(愛媛県東温市)、11月に子会社である株式会社ニチエーから営業を譲受したフジ福山三吉(ふくやまみよし)店(広島県福山市)をオープンしました。また、10月にマルナカ中府(なかぶ)店(香川県丸亀市)、11月にフジ今治(いまばり)店(愛媛県今治市)の建て替えが完了しました。一方で、当連結会計年度において、6店舗を閉店しました。

当社グループでは、移動スーパーやEコマースをはじめとするノンストア事業の確立を推し進めました。さらなる事業の拡大に取り組む移動スーパーは、当連結会計年度において、12店舗で新たにサービスを開始し、8県81店舗を拠点に127台の専用車両で展開しています。また、食品や日用品などを即時配達するクイックコマースの導入も進めており、Wolt等27店舗でサービスを提供しています。今後もノンストア事業の展開を通じて、お客さまのご不便を解消するとともに新たなニーズにも対応すべく、便利で新しいサービスを提供していきます。

食料品は、競争力の維持・向上を図るべく、お客さまの生活防衛意識の高まりに対し価格対応を推し進めるとともに、地元の素材、味付け、メニュー提案など、新たな価値を商品に付加し提供するなど、店頭における独自化や差別化に取り組みました。また、両社共同で商品開発を行うなど、統合シナジーの創出にも取り組んでおり、9月から、フジ・Rの店舗においてイオングループプライベートブランド「トップバリュ」の本格導入を開始しました。

衣料品及び住居関連品は、ライフスタイルやニーズの変化へ迅速に対応すべく商品構成の見直しやレイアウト変更などによる既存店の活性化に取り組んでいます。また、増加する旅行・外出需要への対応、季節品の販売に注力するとともに、「美と健康」をテーマとした商品の拡大も進めました。しかしながら、長引く残暑や暖冬の影響を受けるなど、衣料品を中心に販売は低調に推移しました。テナント事業は、飲食店を中心に回復基調が続いており、ラクア緑井のグランドオープンも寄与したことで、堅調に推移しました。

以上の取り組みにより、売上高は堅調に推移しました。

(食料品売上高前年同期比2.8%増、衣料品同1.1%減、住居関連品同0.4%増、移動スーパー事業同33.0%増、テナント事業同3.6%増 ※テナント事業はフジ・Rのみの実績)

 

 販売費及び一般管理費は、物価上昇へ対応し従業員満足の向上にも繋げるべく賃上げを実施したことなどもあり、前年同期を上回りました。一方で、イオングループと連携し契約電力の見直しを進め電力単価を大幅に低減するとともに、フジ・RとMV西日本が共同で取り組むことによるLED照明や備品・副資材の安価での調達など、統合シナジー効果の創出によるコスト低減を進めました。また、デジタル化の推進による業務の効率化、省力化による生産性向上、事務用品費や消耗品費の節約などにも取り組みました。さらに、愛媛県松山市、香川県高松市、岡山県岡山市、兵庫県姫路市で稼働するプロセスセンターから店舗への供給拡大を進めており、品ぞろえの拡充を進めつつ店舗作業を軽減することで、さらなる生産性の向上を図っています。

(販売費及び一般管理費前年同期比0.9%増、人件費同3.9%増、電気料金同15.2%減)

(フジ・R既存店電気使用量前年同期比6.7%減、MV西日本同7.8%減)

 

当社グループでは、持続可能な社会の実現に向けた環境保全の取り組みを推進しています。マイバッグ・マイバスケットの利用促進によるレジ袋の削減や、食品トレーや牛乳パック、ペットボトルなどを店頭で回収することによるリサイクル推進に取り組んでいます。また、食品ロス削減の推進と地域社会との共生を目的に、フードドライブ活動を218店舗、フードバンク活動を349店舗で取り組んでいます。さらに、自家消費型太陽光パネルの設置を進め現在までに76店舗への設置が完了したことで、年間約8,000tのCO2排出量削減に寄与する見込みであり、今後も設置店舗を増加させる計画です。あわせて、店舗屋上広告塔の常時消灯や店内照明の照度調整、日々の気温を考慮した空調温度の設定など省エネ対策を強化することで、脱炭素社会の実現に向けさらなる省エネ・再エネの推進と環境負荷の低減に取り組んでいます。また、当社グループの事業エリアにおいて活動する団体への寄附金贈呈や健康促進を目的とした食育活動を通じて、地元と一体となり活動を推進しました。

 当社グループにおいて、コロナ禍で大きな影響を受けた、飲食業、総合フィットネスクラブ事業、一般旅行業は、経済活動の正常化や人流の活発化を受けて、業績の回復基調が続きました(飲食業営業収益前年同期比10.7%増、総合フィットネスクラブ事業同3.8%増、一般旅行業同25.6%増)。

 

当連結会計年度においては、営業収益は堅調に推移し増収となり、それに伴い売上総利益高も確保しました。賃上げの実施により上昇した人件費は未来への積極的な投資と捉える一方で、前述した統合シナジー効果の創出によるコスト低減効果等に加え、プロセスセンターの活用やデジタル化の推進などによる生産性の向上に取り組んだことで、販売費及び一般管理費の増加は前年同期比20億47百万円にとどまり、営業増益となりました。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に投資有価証券売却益を特別利益に計上した影響により減益となりました。

以上の結果、当連結会計年度の営業収益は8,010億22百万円(前期比2.0%増)、営業利益は151億10百万円(前期比33.5%増)、経常利益は173億74百万円(前期比30.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は74億36百万円(前期比17.7%減)となりました。

 

 

 

(売上及び仕入れの状況)

 ①事業別売上高

 

事業の名称

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

金額(百万円)

前期比

総合小売事業

710,898

1.0%増 

その他関連事業

60,224

16.6%増 

合計

771,123

2.1%増 

 

(注) 1 当社は単一セグメントであります。

2 上記金額は、事業会社間の取引を消去しています。

3 総合小売事業は㈱フジ・リテイリングとマックスバリュ西日本㈱です。

 

 

 ②事業別売上原価

 

事業の名称

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

金額(百万円)

前期比

総合小売事業

510,261

1.0%増 

その他関連事業

53,704

10.4%増 

合計

563,965

1.8%増 

 

(注) 上記金額は、事業会社間の取引を消去しています。

 

 

(2)財政状態の状況の分析

当連結会計年度における資産の残高は、前連結会計年度末から36億16百万円減少し、4,277億2百万円となりました。減少の主な原因は、マイナポイント事業による自社電子マネー付与相当額が国から入金されたことなどにより流動資産のその他が48億43百万円、固定資産の償却により有形固定資産の建物及び構築物が32億14百万円、無形固定資産に含まれるのれんが13億48百万円それぞれ減少したことによるものです。増加の主な原因は、現金及び預金が53億81百万円、投資有価証券が20億89百万円それぞれ増加したことによるものです。

負債の残高は、前連結会計年度末から103億25百万円減少し、2,116億5百万円となりました。減少の主な原因は、1年内含む長期借入金が82億3百万円、未払法人税等が28億15百万円それぞれ減少したことによるものです。増加の主な原因は、支払手形及び買掛金が12億34百万円増加したことによるものです。

純資産の残高は、利益剰余金が48億31百万円増加したことなどにより2,160億97百万円となり、前連結会計年度末から67億8百万円増加しました。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、税金等調整前当期純利益113億3百万円に含まれる非資金項目の減価償却費168億47百万円、減損損失51億17百万円の調整、また法人税等の支払が71億25百万円あったこと等により、306億7百万円の収入(前期は241億61百万円の収入)となりました。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、有形及び無形固定資産の取得(設備関係支払手形決済等を含む)による支出が159億21百万円あったこと等により146億7百万円の支出(前期は145億23百万円の支出)となりました。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、長期借入金の返済による支出が277億3百万円、配当金の支払額が26億4百万円、また長期借入金による収入が195億円あったこと等により106億18百万円の支出(前期は54億5百万円の支出)となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は371億82百万円となりました。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

 

自己資本比率(%)

51.3

51.8

54.4

48.5

50.5

 

時価ベースの自己資本比率(%)

35.7

38.2

68.6

35.7

38.3

 

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.4

2.4

3.4

3.7

2.7

 

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

63.7

52.7

34.3

53.3

69.1

 

    (注) 1 各指標の算出方法は以下のとおりです。

          自己資本比率:自己資本/総資産

          時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

          キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

          インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

       2 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

       3 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。

       4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象
         としています。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金の源泉は、主に自己資金と営業活動によるキャッシュ・フローであり、主要な運転資金需要は、商品仕入代金や人件費等の販売費及び一般管理費です。また、投資を目的とした資金需要は、店舗の新規出店、既存店の改装、システム入替や新規導入等に伴うものであり、自己資金や営業活動によるキャッシュ・フローで不足した資金については、計画に基づき金融機関からの長期借入金により調達しています。

 

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えています。

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候のある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループ(店舗を基本単位とする)から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失額として計上しています。減損処理に使用する将来キャッシュ・フローの見積り額については、当該店舗等に係る需要予測、競争環境の変化、施策方針の変更、人員配置の見直し等による販売費及び一般管理費の改善策を織り込み算定しています。なお、減損損失の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討していますが、事業計画の変更や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、見積り額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価について、決算時点で入手可能な情報やタックス・プランニングに基づき合理的に判断していますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しているため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産は減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 親会社であるイオン株式会社との契約

相手方の名称

契約内容

契約期間

イオン株式会社

ブランドロイヤリティ契約

2023年3月1日から

2024年2月29日まで

(1年自動更新)

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。