第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、『Make the Impossible Possible』をコーポレートメッセージとして掲げ、「ものづくりのグローバルメーカーとして新しい価値を創造し、ヘルスケア産業の発展と人々の健康・福祉に貢献する。」という当社グループのMISSIONを果たす企業集団でありつづけることを経営方針としております。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、紙おむつ・生理用ナプキン製造機械の専門メーカーとして時代の変化にスピーディーに対応して新しい価値を創造し、時代を先取りする独創性と技術力でお客様の課題を解決するのみでなく、お客様の期待を超えた提案をし続けられるよう、当社社員の成長を促し、企業価値を向上するために、行動指針『THE ZUIKO WAY』を策定して、経営戦略の実行により経営計画の達成に努めております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは第3次中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)において、持続的な成長と高い収益性を実現できる企業へ躍進すべく「衛生用品製造機械事業の収益性向上」「社会課題の解決に貢献する新規事業への挑戦」「持続的な企業価値向上に向けた基盤強化」の3点に取り組んでおります。

客観的な指標として、売上高、営業利益率、ROEを目標としております。売上高は、当社グループが手掛けた製品の納品実績を含む主たる営業活動によって生じた収益を示し、事業成長性を計測するための有効な指標と考えています。また、主たる事業活動の効率性を示す営業利益率、及び株主資本に対する収益性を示すROEを指標としております。

なお、第3次中期経営計画の初年度である2024年2月期の達成状況は以下の通りです。

指標

2024年2月期

中期計画目標

実績

目標比

売上高  (百万円)

28,000

21,737

△6,262

営業利益率(%)

10.0

4.7

△5.3

ROE    (%)

6.0

4.1

△1.9

 

第3次中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)における経営目標は以下の通りです。

指標

2026年2月期

目標

売上高  (百万円)

35,000

営業利益率(%)

10.0

ROE    (%)

7.0

 

(4)経営環境

当社グループの主力製品である紙おむつ・生理用ナプキン製造機械の需要は、最終製品である紙おむつ・生理用ナプキンの消費量の動向に影響を受けます。これらの衛生用品の世界における消費量は今後緩やかに拡大すると見込んでおりますが、主要先進国においては少子高齢化により小児用紙おむつ製造機械の需要減少と大人用紙おむつ製造機械の需要増大が予想され、人口増加や生活水準の上昇が見られる地域においては小児用紙おむつ製造機械の需要拡大があると考えております。また、女性の社会進出の進展により、生理用ナプキン製造機械も一定の需要が見込まれます。このような地域ごとのニーズに的確に対応し、高品質の製品を提供し続けることで、持続的な成長を図ります。

当社グループの主要市場である日本においては、少子高齢化や人口減少を背景に、大きな需要増加は見込みにくい環境にあります。また、中国においては、少子高齢化に加えて、景況感の回復にはまだ時間を要すると見込んでおります。このような状況のもと、当社グループは海外での売上拡大や新たに開発した新コンセプト機「ZMS(ZUIKO MODULAR SYSTEM)」の販売活動に注力し、衛生用品メーカーの設備投資需要の着実な取り込みを図ります。また、DXによる業務革新や原価低減活動に引き続き取り組み、収益性の向上に取り組んでまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  当社グループでは、第3次中期経営計画のもと、持続的な成長と高い収益性を実現できる企業へ躍進すべく、以下の課題に取り組みます。

① 衛生用品製造機械事業の収益性向上

 ・海外市場のさらなる開拓

  欧州市場やアジア・インド市場での受注拡大を目指すとともに、アフリカ市場への進出を準備してまいります。

 ・製品の高付加価値化

  加工機だけでなく付帯設備の全てをZUIKOブランド化し、鍵を回すだけで設備を稼働開始できる状態で納品できるようにする「ターンキーソリューション」や、製品の省エネルギー化・材料効率の向上を実現する機械の開発を進めてまいります。

 ・コスト競争力の向上

  生産工場を集約したことにより生産性を向上し、内製比率の拡大によるコストダウンや工番ごとの採算管理体制を強化してまいります。

② 社会課題の解決に貢献する新規事業への挑戦

 既存の技術やノウハウを活用した事業に参入し、衛生用品製造機械以外の市場にも挑戦してまいります。

 ・メディカル事業

  常備薬としての位置づけとして、ウンド・ケア商品の安定的な受注を目指してまいります。また、創傷被覆材やマスクに続く新たなヘルスケア商品やサービスの開発を強化してまいります。

 ・リサイクル事業

  使用済み紙おむつ燃料化装置を国内外に展開していくとともに、各所のニーズに合わせて装置の改良も進めてまいります。

 ・介護事業

  排泄ケア商品を国内外に展開してまいります。自動排泄処理装置だけでなく、専用おむつの販売も行い、介護者の負担軽減に貢献してまいります。

 ・DX関連事業

  当社の強みである多軸制御で培ったノウハウと、3DCADを用いた仮想空間上での機械設計及びシミュレーションによるデジタルツインを掛け合わせ、様々な産業機械分野に向けて新しいソリューションを提案してまいります。

 ・金属加工事業

  衛生用品製造機械事業で培った加工技術を強みに、他社の金属部品加工を受託することで新たな領域への加工技術を磨いてまいります。

③ 持続的な企業価値向上に向けた基盤強化

 ・サステナビリティ

  SDGsへの取り組みとして、当社製品・事業を通じた社会・環境への貢献だけでなく、当社工場での太陽光発電による電気を社有するEV車両に活用するなど、更なる省エネルギー施策を進めてまいります。

 ・経営体制の強化

  グループ本社の機能を強化し、当社グループ全体のガバナンス強化に努めるとともに、監査等委員会設置会社への移行により機動的な業務執行と経営の透明性を向上してまいります。

 ・DXによる業務変革

  3D設計の推進による設計業務の変革を推進するとともに、受注から製造に至る各プロセスに分散された情報の統合・共有を強化してまいります。また、グループ経営情報の見える化に取り組んでまいります。

 

足もとの経営環境から、2025年2月期の業績の見通しにつきましては、売上高24,000百万円、営業利益1,680百万円と見込んでいますが、これらの重点施策を中長期的な経営戦略として着実に実行し、当社グループ一丸となって、第3次中期経営計画の最終年度の目標として掲げた売上高35,000百万円、営業利益率10%、ROE7%という業績目標の達成を目指すとともに、企業価値の向上に努めてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ

 当社グループは、サステナビリティをめぐる課題への対応が当社グループにとって重要なリスク管理の一部であるとの認識を持ち、法令遵守、労働環境の改善、人権尊重といった財務活動以外の面も企業の持続的な成長のために不可欠であると考えております。

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。サステナビリティに関連する具体的な取り組み等の詳細は、株式会社瑞光ホームページ(「企業情報」-「サステナビリティ」)をご覧ください。(https://www.zuiko.co.jp/about/sustainability/)

 

当社グループの「サステナビリティ基本方針」は次のとおりです。

 

<サステナビリティ基本方針>

 当社グループは、「ものづくりのグローバルメーカーとして新しい価値を創造し、ヘルスケア産業の発展と人々の健康・福祉に貢献する」という使命及び、企業理念である「Make the Impossible Possible(不可能を可能にする)」を念頭に、人間尊重の精神と地球環境に配慮した製品・サービスの提供を通じ、持続的な経営に向け、透明性と健全性を確保しながら、事業成長と社会課題解決の両立へ、これからも積極的に取り組んでまいります。

 

①ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティに関する課題について、今後リスクマネジメント委員会にて審議・検討を行うこととしております。リスクマネジメント委員会は、委員長を代表取締役社長、総務課が事務局として構成され、原則として年1回開催しています。また、同委員会にてサステナビリティ課題に関わる重要事項について審議された場合、委員長は経営会議に提起し、対策を講じるとともに、その進捗をモニタリングし、事業戦略に含みいれるかたちで改善を推進しています。

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②戦略

 当社グループでは、第3次中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)において、「持続的な企業価値向上に向けた基盤強化」を重点戦略の一つとして掲げ、その中でサステナビリティについて、以下の重点取り組み事項を掲げております。なお、表中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年2月20日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

<気候変動等の地球環境問題への配慮>

 昨今、世界では気候変動を含む環境課題が深刻化しています。地球温暖化の影響により、グローバルベースで異常気象が発生する等、悪影響が生じており、気候変動への対応は企業にとって重要な課題となっています。このような状況下において、当社グループは、気候変動関連のリスク及び機会が事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識し、「気候変動等の地球環境問題への配慮」を重点取り組み事項と位置付け、サステナブルな社会の実現を目指します。脱炭素化に向けた調達コストの増加等、気候変動は当社グループの事業活動に対し、さまざまなリスク及び機会をもたらす可能性があり、気候変動への対応は当社グループの持続的な成長においても、重要なテーマであります。今後、TCFD提言の以下プロセスに基づき、気候変動が当社グループに及ぼすリスク及び機会の特定・評価やシナリオ分析等を進めてまいります。

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 また、当社グループはステークホルダーとの連携によって、温室効果ガス(GHG)削減に積極的に関わっていくことを目指しております。当社グループの製品・事業に直接かかわるGHG排出量(SCOPE1,2,3)を削減するとともに、その排出量よりも多くの排出削減貢献を社会・顧客で創出する状態の早期実現を目指しております。

 具体的取り組みとして、下記の項目を重点事項と定め、持続可能な社会の実現に向けて取り組みを推進しております。

 

・紙おむつ製造機の加工資材・稼働時のエネルギー削減

 当社グループは2023年2月、次世代紙おむつ製造機を開発いたしました。製造工程ごとにモジュール化されたこの製造機は、製品仕様をより柔軟かつ、短期間で変更することができ、設計・製造にかかるコスト削減を実現いたしました。また、モーターを集約化したことにより、従来機と比較し、消費電力を抑制することができ、当社グループの製造機を購入いただくお客様の事業活動においてもGHG排出量の削減に貢献しております。

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・再生可能エネルギーの活用

 当社グループは地球環境に優しい再生可能エネルギーの開発の一環として2023年2月に太陽光発電システムを本社工場へ導入いたしました。パネル発電容量合計735kW、年間約776,105kWhの発電により、2023年度は再生可能エネルギー比率26%を達成いたしました。更なる取り組みとして、2024年5月には蓄電池を本社工場へ導入する予定しております。今後もエネルギーコスト削減の取り組みを推進するとともに、環境に配慮したモノづくりを加速させて、SDGsの実現に向けて貢献してまいります。

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③リスク管理

 当社グループにおいて、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、現在把握しているその他の事業等のリスクと同様に、リスクマネジメント委員会の事務局である総務課を所轄部署として定め情報を集約し、当社グループのリスク管理の観点から適切な運用・対応を行っております。また、取締役会は年に1回、リスクマネジメント委員会から気候変動に係るリスクを含む統合したリスク管理の状況と対応について報告を受け、指導・監督を行っております。

 

(2)人的資本

 当社は、持続的な成長と高い収益性を実現するために多様な技術・知識・視点を融合させてイノベーションを生み出し、グローバルな事業拡大と新たな価値を創出する原動力とするとともに、ワークエンゲージメントの向上に取り組んでおります。

 

①戦略

<人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針>

 当社は、持続的な成長と高い収益性を実現できる事業構造への転換を図っております。従来の企業風土から脱却し変革を進めるためには、多様な技術・知識・視点を融合させてイノベーションを生み出すことが不可欠と認識し、挑戦する風土、働きがいのある環境づくりをはじめとして、専門性の高い人材のキャリア採用、従業員一人ひとりのキャリア実現に向けた施策を推進しております。

 

・専門性の高い人材の活用

 当社は、ものづくりのグローバルメーカーとして新しい価値を創造し、ヘルスケア産業の発展と人々の健康・福祉に貢献するために、事業戦略に即した専門性の高い即戦力人材をタイムリーに獲得すべくキャリア採用を強化しております。また、新卒採用では外国人採用も積極的に進めており2024年度では、11人中7人が外国人となっており、多様な個性を持つ人材の採用に取り組んでおります。

 

・キャリア開発支援

 当社は、第61期より「キャリアヒアリング」を実施し、社員一人ひとりが自律的にキャリアプランを考える風土を醸成しております。また、面談の実施方法をテーマにした役職者研修を実施し、上司と部下の面談を通じて仕事やキャリアにおける課題の解決を支援する仕組みづくりを行っております。更に、社内公募を定期的に実施することで、業務の垣根を越えた新たな成長の場を提供しております。今後も、一人ひとりの個性や志向を尊重しながら、社員が自らキャリアを描きその実現に向け成長できる環境を提供し、個人の能力や創造性を活かした組織パフォーマンスの向上につなげてまいります。

 

<社内環境整備に関する方針>

 当社は、多様な人材一人ひとりが活躍できるよう、アンケートや対話、面談機会の充実でニーズの把握に努め、多様な支援制度の拡充を進めております。更に、多様な社員が能力を存分に発揮して活躍するためには、上司と部下の面談が重要であると考え、キャリア面談のスキル向上に関する研修を実施しております。

 

・従業員との対話

 当社は、従業員と経営層の対話を積極的に行っております。第61期は、社長とのランチミーティングを実施し、社長と社員が直接対話をして会社のありたい姿について意見を交わし、共感の深化を進めております。他には、人事総務部長と育休から復帰した女性社員たちとの座談会を実施し、育休制度の改善を行いました。また、各種アンケートやサーベイを通じて従業員のニーズを把握し、スピード感を持って施策に反映しております。

 

・健康経営の推進

 当社は、持続的な企業価値向上には従業員が心身ともに健康でいることが欠かせないと認識し、健康経営の浸透と定着を図っております。その結果として、2023年度・2024年度と2年続けて健康経営優良法人に認定されました。また、衛生用品製造機械の製造における過程で重量物を取り扱うことが多いため、腰痛防止をテーマとした研修を実施し、労働災害の予防に努めました。更に、女性特有の疾病理解をテーマとした研修を実施し、職場における女性社員の心理的安全性向上を図りました。

 

 

 

②指標及び目標

 上記人的資本に係る戦略に記載した各項目の具体的な目標・実績については次のとおりです。

 

 

目標(中期経営計画重点施策)

実績(推進状況)

人材の多様性の確保を含む

人材の育成に関する方針

多様な人材の活躍

女性管理職率 8.0%

多様な人材の活躍

女性管理職率 4.3%

専門性の高い人材の採用

海外市場のさらなる開拓を行うため海外営業部門の強化を目的として即戦力人材の採用を実施する。

専門性の高い人材の採用

海外営業部門を新設し、部門長及び即戦力人材を複数名確保した。

キャリア開発支援

従業員がキャリアプランを検討するための機会を提供し、キャリア支援施策を実施する。

キャリア開発支援

キャリアプランを問うキャリアヒアリングの実施、また評価面談時に上司が部下のキャリアプランに寄り添えるよう面談者教育研修を行った。

社内環境整備に関する方針

対話を活かした環境整備

経営層や管理職者と従業員の対話機会を設け、情報の浸透度の把握や課題発見を行い居がいのある環境整備を行う。

対話を活かした環境整備

社長と従業員のランチミーティングを定期的に実施し対話機会を設けた。また、人事総務部長と育休者の座談会を実施し要望が強かった時短制度の改定を行った。

健康経営の推進

従業員等の健康面のサポート、活力向上を目指した施策を行う。

健康経営の推進

健康診断の受診項目追加を推奨しそのオプション費用を補助、従業員への健康セミナー等を行った。

※健康経営優良法人2024を取得

ワークエンゲージメントの向上

従業員サーベイを通じて人的課題を明らかにし社内環境改善のための施策を実施する。

ワークエンゲージメントの向上

実感値スコアの低いキャリア形成や健康支援に対する上記施策を実行した結果、従業員サーベイのスコアが向上された。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。以下はリスク要因を当社グループの判断により、外的要因の影響の高いリスクと内的要因の影響の高いリスクに分類して記載いたします。

 

1.当社グループのリスクマネジメント体制

 当社グループのリスクマネジメントは、リスク及び機会を踏まえた適切な意思決定を促し、ビジネスの成長を推進することを目的として取り組んでいます。

 リスクマネジメントのプロセスは、はじめに当社グループの経営理念の実現、中長期計画の実行及び達成を阻害しうる不確実性をリスクと捉え、当社の全部門及び全グループ会社からリスク及びその対応策を抽出します。

 次に、抽出したリスクを、影響度、発生可能性(頻度)の観点から評価し、社長を委員長としたリスクマネジメント委員会にて議論の上、重要なリスクを決定するとともに、各重要なリスクの責任者及びリスク対応策を決定します。

 このように特定された重要なリスクについては、各重要なリスクの責任者の指示の下、実行部門により対応策が実行されます。各重要なリスクの責任者は、対応策の実行状況をモニタリングし、その実効性を測定します。これら一連の取り組みは取締役会に報告され、リスクマネジメントプロセスとその対応策の実効性が確認されます。より一層のリスクマネジメント体制強化のため、今後も更なる活動を推進してまいります。

 

2.外的要因の影響が大きいリスク項目

リスク項目

内容

取り組み

影響度

発生頻度

顧客企業の設備投資

動向

当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の衛生用品製造機械の販売が連結売上高の大半を占めております。そのため、衛生用品市場の需要減少、衛生用品メーカーにおける設備投資の抑制等により製造機械への注文が減少した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、グローバル市場の流動的なニーズを的確に捉えながら、顧客企業の需要に合致した新コンセプト機の開発、製品や素材の提案を通じて受注拡大に取り組んでおります。

また、新規事業として、リサイクル事業を推進するなど、衛生用品製造機械以外の新しい分野に対しても当社グループの技術を活かす取り組みを行っております。

材料の調達に関する

リスク

当社グループの原価構成のうち、材料費及び外注加工費の占める割合が相対的に高い水準にあります。国内外の材料の市場動向により材料の調達が計画から前後することにより、機械製品の納品時期が前後する可能性や、市場価額の変動により収益が変動し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、諸外国の情勢に伴う原材料の高騰や調達困難に備えるため、早期手配による在庫の確保、代替となる材料・部品の調査、調達先や外注業者の新規開拓などを推進しております。

カントリーリスク

当社グループは、北米、南米、ヨーロッパ、中国を中心とするアジアなどにおいて、積極的に事業活動を展開しております。これらの事業展開にあたっては、国内とは異なり、予期しない法律又は規制の変更、政治・経済の混乱、為替の変動等のリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、海外子会社を設立するにあたって、事業上の必要性とともに当該国のカントリーリスクを慎重に検討しております。また、「関係会社管理規程」において海外子会社各社を所管する部門を定め、定期的に事業上のリスクに係る重要事項を当社に報告する体制としております。

さらに、当社の内部監査室が、定期的に海外を含む拠点を巡回し、子会社のコンプライアンス、リスク管理その他の管理状況を確認し、問題があれば適宜指摘して是正を促しております。

為替リスク

当社グループは、海外への売上高比率が増加しているだけでなく、製造コスト削減のために海外からの部品調達も増加傾向にあります。海外への輸出は為替リスクを回避するため円建て取引を原則としておりますが、一部外貨建て輸出もあり、大幅な為替変動(円高)は価格競争力を低下させる可能性があります。また、海外の連結子会社の財務諸表を円換算して連結財務諸表を作成しておりますので、大幅な為替変動は当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社及び国内子会社は、海外への輸出取引は為替リスクを回避するために円建て取引を原則としております。在外子会社の財務諸表を換算する際の為替リスクの回避は困難であり、在外子会社については、現地通貨での業績管理を行い、現地通貨ベースでの業績の向上を目指します。在外子会社が現地通貨以外の通貨で取引する場合は、基軸通貨である米ドルで取引を行い、為替の変動幅を最小限に抑えます。

 

自然災害、事故、テロ等の人為的災害、感染症等のリスク

当社グループは大規模地震や気候変動に伴う自然災害や火災・事故等が発生や、テロ等の人為的災害及び感染症等が発生した場合に、当社グループの設備、情報システム等に影響が出る可能性があります。その他、大規模災害の発生により、経済環境の悪化によって需要動向に大きな変化が生じた場合は、経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、自然災害等からの早期復興のため、まずは従業員の安全確保の手段として、避難訓練の実施、緊急連絡網などの整備、災害時の安否確認のフローを備えております。感染症防止対策として、手洗いや消毒の励行、在宅勤務(テレワーク)の導入を実施しております。また、太陽光発電の導入を行い、現在は電力エネルギーの補完となり得る蓄電池の導入を予定しております。

その他、データの保護や迅速な復旧のため、社内データの管理システム及び他県にデータのバックアップを補完するセンターを整備しております。

知的財産権のリスク

当社グループが販売した製品、あるいは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性があり、また、当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。そのような場合、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、自社が保有する技術等については特許権等の取得による保護を図っているほか、他社の知的財産権に対する侵害のないよう知財部門を中心に弁護士や弁理士と協働して、リスク管理に取り組んでおります。

税制等に関するリスク

当社グループは国内外において税制に関する様々な法規制の適用を受けており、今後についても、社会情勢の変化等により規制が強化される可能性や新たな法的規制が設けられる可能性があり、この場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外における税務当局との見解の相違等により追加課税が発生し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、税制面に関する法律改正や規制について、事業活動への影響を最小限に抑えるべく、法令制度の調査や社内展開を行っております。

また、当社グループを構成する事業法人は、各国の税法に準拠して税額を計算し、適正な納税を行っており、適用される各国の移転価格税制など国際財務のリスクについても注意を払っております。

コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、事業活動において、対外的には下請法、競争法その他の取引に関連する法令等、また、対内的には、会社法等のガバナンスに関する法規制や労働基準法等の適用を受けております。

当社グループに、以上のような取引又はガバナンスや労務におけるコンプライアンス上の問題が発生した場合、各種ステークホルダーとの関係の悪化、遮断、関係官庁等による処分や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、「瑞光グループ倫理方針」を基盤に、具体的な倫理基準を「コンプライアンス・マニュアル」に記載し、当社グループのすべての役員、従業員への周知活動を進めております。

また、コンプライアンス委員会により、社内規程に関する意識調査や重要な分野を対象としたe-ラーニングを定期的に実施することで、社内手続やコンプライアンスに対する意識の維持・向上と問題発生の未然防止に努めております。

 

3.内的要因に起因する傾向の高いリスク項目

リスク項目

内容

取り組み

影響度

発生頻度

生産形態に関する

リスク

当社グループは顧客からの個別受注生産が大半を占めており、受注後の仕様変更、工程遅延、工事費の高騰等により、売上計上時期の後ずれや見積もり費用の超過等が発生する可能性があります。また、予定した検収時期に変動が生じ出荷が遅れた場合、次に予定していた製品の生産スケジュールも遅延し、売上が後ずれする可能性があります。その場合には、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、受注機械において新規開発要素を含む部分を先行してテストするなど、工程遅延のリスクを早期に把握・抑制できるよう取り組んでおります。また、共通部品の標準化や生産管理システム導入によるデータの活用とフィードバックを推進することにより、スケジュール管理や原価管理の継続的な改善に取り組んでおります。

製品の品質維持に関するリスク

予期せぬ製品の欠陥が発生した場合には、多額の費用が生じるとともに当社機械の信頼性や評価を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは社内加工品や外注品の受入検査において品質の担保を図っております。また、製品については、顧客立会いのもと自社工場にて試運転を行った後、顧客の工場へ運搬し、再度試運転を行った後に検収を得る、という品質管理を行っており、製品の品質及び安全性には細心の注意を払っております。

情報セキュリティの

リスク

当社グループは事業活動において、顧客情報・個人情報等に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。そのため、万が一、情報漏えい等の事故が発生した場合には、情報管理に関する法的責任を問われる可能性や当社グループの評判・信用、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは左記各種情報の取扱い、機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、紛失等から守るため、管理体制及び取扱い規則を定め、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じております。

人材確保のリスク

雇用情勢の変動等により、的確な人材の確保や育成が出来なかった場合、もしくは人材流出の増加が継続した場合は、当社グループの人材確保が計画どおりに進まず、今後の事業展開も含めて当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループの継続的な成長のため、新卒、中途を問わず優秀な人材の確保・育成することは重要な項目の一つとして認識しております。特に、新卒採用に当たっては、人材育成制度の整備や、働き方改革の取組みをすすめるなど、当社の魅力について広報活動を通じて知ってもらうよう努めております。

保有有価証券に関するリスク

当社グループは長期保有を目的とした市場性のある株式を保有しておりますが、今後全般的に大幅な株価下落が続いた場合には、当該株式に減損又は評価損が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼすとともに自己資本比率の低下を招く恐れがあります。

当社グループの保有有価証券は時価評価をはじめ各種検証を行い、特に政策保有株式については、個別銘柄ごとに直近の財務状況、取引関係、配当等を総合的に検証し、取締役会に報告することによって保有の適否を判断しております。

固定資産の減損の

リスク

当社グループの固定資産について、経営環境の著しい悪化により、事業の収益性が低下した場合や、市場価格が著しく下落した場合等には、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは固定資産の稼働状況、キャッシュ・フローの状況等を定期的にモニタリングしております。

労働災害の発生に関するリスク

当社グループは日常的な安全教育、各種技能研修、資格取得の促進等を通じて、労働災害の削減と安全管理への取り組みを行っております。ただし、生産部門における工場での現場作業を中心に、労働災害に繋がる可能性がゼロではないため、重大な労働災害が発生した場合は、社会的な責任とともにその後の受注に影響を受ける可能性があります。

当該リスクへの対応策として、作業マニュアルを完備し、現場での教育及び全従業員へのe-ラーニングを実施し、作業員の安全意識を高め、労働災害の予防に努めております。

また、安全衛生委員会を通して、事業部門からのヒヤリハット事例を収集し、設計思想に立ち返った本質的改善活動を推進しております。

環境規制に関連するリスク

当社グループは気候変動問題(GHG/温室効果ガス排出)、水質、化学物質、廃棄物等多様な環境問題に対し環境法及び規制の影響を受けており、年々それらの規制が厳しくなっております。環境法等の厳格化に対応するため、追加的義務並びにコスト増加が発生するリスクがあり、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクへの対応策として、従業員に対し、コンプライアンス教育を定期的に実施するなどして法令遵守の周知徹底を行い、環境リスクの低減に努めています。また、総務部門による適切な廃棄物処理業者の選定、及びモニタリングを実施するとともに、当社の内部監査室による定期的な確認も実施しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績

 当社グループでは、国内外の衛生用品メーカーを中心に衛生用品製造機械等の提案活動を積極展開するとともに、受注済みの機械製造案件や改造案件の早期完成・引渡し、部品販売の促進に努めることで、売上拡大を図っております。

 当連結会計年度においては、特に上半期において国内外で経済環境の先行き不透明感・不安定感が続き、また、当社グループの主要市場の一つである中国においては年度を通じて景気低迷への懸念が強く意識されたことなどから、衛生用品メーカーの設備投資意欲の回復に遅れが見られました。

 このような状況をうけ、当社グループの受注状況は想定よりも進捗が遅れ、当連結会計年度における売上高は21,737百万円(前期比18.0%減)となり、主な製品別売上高では、大人用紙おむつ製造機械10,156百万円(同18.9%増)、小児用紙おむつ製造機械4,586百万円(同55.2%減)、生理用ナプキン製造機械3,815百万円(同0.2%減)、その他機械748百万円(同42.1%減)、部品2,237百万円(同1.4%増)、その他193百万円(同53.2%減)となり、大人用紙おむつ製造機械が好調に推移しております。

 利益面については、グループ全体でのコスト削減を推進し収益改善に継続して取り組んでまいりましたが、売上減少に加え、第1四半期連結累計期間に難易度の高い受注案件において追加改造が発生したこと等により原価率が上昇し、営業利益は1,027百万円(前期比43.0%減)、経常利益は1,427百万円(同35.7%減)と減益になりました。また、特別損益に固定資産売却益や減損損失等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,378百万円(同48.3%減)となりました。

 受注環境におきましては、中国での景況感は一旦下げ止まっているものの回復にはまだ時間を要すると見込んでおります。一方で、新興国を中心に小児用紙おむつ製造機械の新規需要が見られ、当社グループでは積極的に受注活動を展開しております。これらの結果、当連結会計年度中の受注高は20,041百万円(前期比15.5%減)、当連結会計年度末の受注残高12,954百万円(同11.6%減)となりました。詳細については、P.23「② 生産、受注及び販売の実績 b.受注実績」をご参照下さい。

 当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の一般産業用機械・装置製造業及びその他の事業でありますが、その他の事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報として重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

b.財政状態の分析

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ371百万円減少し49,271百万円となりました。電子記録債権が1,402百万円、原材料及び貯蔵品が472百万円、現金及び預金が451百万円、契約資産が213百万円及び投資有価証券が119百万円増加いたしましたが、土地が899百万円、売掛金が820百万円、仕掛品が578百万円、建物及び構築物が238百万円、機械装置及び運搬具が174百万円、建設仮勘定が131百万円及び貸倒引当金(短期)148百万円の計上により減少いたしました。

(負債合計)

 前連結会計年度末に比べ2,035百万円減少し14,519百万円となりました。支払手形及び買掛金が917百万円、電子記録債務が319百万円、未払法人税等が280百万円、長期借入金が250百万円及び契約負債が214百万円減少いたしました。

(純資産合計)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ1,663百万円増加し34,752百万円となりました。為替換算調整勘定が816百万円、利益剰余金が377百万円及び旧本社売却による土地再評価差額金の取崩しにより413百万円増加いたしました。

 この結果、自己資本比率は70.4%(前期は66.5%)となりました。

c.キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ43百万円増加し、7,923百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は322百万円(前期388百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,879百万円、減価償却費の計上930百万円、棚卸資産の減少393百万円、減損損失の計上205百万円、貸倒引当金増加147百万円及び未収消費税等の減少124百万円があった一方、仕入債務の減少1,443百万円、売上債権の増加688百万円、法人税等の支払額657百万円、固定資産売却益の計上595百万円及び契約負債の減少356百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は1,115百万円(前期1,372百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出318百万円及び定期預金の増加103百万円があった一方、有形固定資産の売却による収入1,543百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は1,059百万円(前期比28.7%)となりました。これは主に、配当金の支払額714百万円及び長期借入金の返済による支出250百万円があったことによるものであります。

 

② 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の一般産業用機械・装置製造業及びその他の事業でありますが、その他の事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、当連結会計年度の生産実績を製品別に記載しております。

製品別

当連結会計年度

(自 2023年2月21日

至 2024年2月20日)

金額(千円)

前年同期比(%)

生理用ナプキン製造機械

3,815,529

99.8

小児用紙おむつ製造機械

4,586,011

44.8

大人用紙おむつ製造機械

10,156,736

118.9

その他機械

748,162

57.9

部品

2,237,764

101.4

その他

193,505

46.8

21,737,710

82.0

 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。

2.部品には仕入部品を含んでおります。

3.金額は、外注による生産実績を含んでおります。

 

b.受注実績

 当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の一般産業用機械・装置製造業及びその他の事業でありますが、その他の事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、当連結会計年度の受注実績を製品別に記載しております。

製品別

当連結会計年度

(自 2023年2月21日

至 2024年2月20日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

生理用ナプキン製造機械

3,189,138

(3,002,593)

120.7

(160.6)

1,406,027

(1,303,069)

69.2

(85.3)

小児用紙おむつ製造機械

7,441,302

(7,113,001)

154.1

(152.8)

4,967,037

(4,695,304)

235.2

(243.0)

大人用紙おむつ製造機械

6,327,369

(4,269,635)

51.2

(56.3)

5,501,563

(4,333,079)

59.0

(60.1)

その他機械

652,838

(282,638)

52.2

(26.0)

1,080,307

(933,850)

91.9

(85.7)

部品

2,237,764

(1,858,034)

101.4

(103.6)

(-)

(-)

その他

193,505

46.8

20,041,919

(16,525,902)

84.5

(97.3)

12,954,935

(11,265,304)

88.4

(95.8)

 (注)1.括弧内の数字(内書)は海外受注高及び受注残高であり、受注高に対する海外受注高の割合は、当連結会計年度82.5%であります。

2.受注後、値引等のあったものは、受注高で調整しております。

3.金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

 当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の一般産業用機械・装置製造業及びその他の事業でありますが、その他の事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、当連結会計年度の販売実績を製品別に記載しております。

製品別

当連結会計年度

(自 2023年2月21日

至 2024年2月20日)

金額(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

生理用ナプキン製造機械

3,815,529

(3,227,941)

17.6

(14.8)

99.8

(94.4)

小児用紙おむつ製造機械

4,586,011

(4,349,937)

21.1

(20.0)

44.8

(43.5)

大人用紙おむつ製造機械

10,156,736

(7,145,608)

46.7

(33.0)

118.9

(143.2)

その他機械

748,162

(437,949)

3.4

(2.0)

57.9

(50.2)

部品

2,237,764

(1,858,034)

10.3

(8.5)

101.4

(103.6)

その他

193,505

0.9

46.8

21,737,710

(17,019,470)

100.0

(78.3)

82.0

(80.7)

 (注)1.括弧内の数字(内書)は輸出販売高及び輸出割合であります。

2.主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ユニ・チャーム株式会社

2,667,589

10.1

3,778,878

17.4

(注)当該割合が100分の10未満については記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針に基づき見積り及び判断を行っており、実際の結果は、見積りによる不確実性のために異なる可能性があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、大人用紙おむつ製造機械の生産及び出荷が増加しましたが、小児用紙おむつ製造機械やその他機械の生産及び出荷が減少したことにより前連結会計年度と比べ4,767百万円減少し、21,737百万円となりました。

 国内売上高は703百万円減少し、4,718百万円となりました。海外売上高は4,063百万円減少し、17,019百万円となりました。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、売上高の減少に伴い前連結会計年度に比べ1,147百万円減少し、4,605百万円となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、貸倒引当金繰入額や支払手数料が増加しましたが、研究開発費や訴訟関連費用等が減少したことにより、前連結会計年度に比べ372百万円減少し、3,577百万円となりました。

 以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ775百万円減少し、1,027百万円となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、為替差益が減少しましたが、受取利息が増加したことなどから前連結会計年度に比べ88百万円増加し、571百万円となりました。営業外費用は、減価償却費が増加したことなどから前連結会計年度に比べ105百万円増加し、171百万円となりました。

 以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ792百万円減少し、1,427百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における特別利益は、旧本社工場の売却の発生により固定資産売却益が増加しましたが、受取和解金の減少より前連結会計年度に比べ557百万円減少となりました。特別損失はマスク製造機械の減損の発生により減損損失を計上したことなどから前連結会計年度に比べ212百万円増加となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,286百万円減少し、1,378百万円となりました。

 

財政状態の分析

 当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な資金需要は、通常の事業活動に必要な運転資金、競争力強化のための研究開発費及び設備投資等です。

 当社グループが主に製造販売している紙おむつ・生理用ナプキン製造機械は個別受注生産であり、標準品・汎用品を大量に製造販売する業態と比較して、受注から納入までの期間が相対的に長くなる特徴があります。また、製造機械本体の1件あたりの受注金額が大きく、かつ、顧客への納入タイミングにばらつきがある一方で、製造費用や販売費及び一般管理費などの支出は経常的に発生します。

 当社グループの必要資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金を財源とする方針であり、製造機械本体の受注代金の一部を前受金として製品納入前に回収するなど資金回収時期の早期化・平準化を図り運転資金の安定確保に努めております。また、短期的な流動性確保に向けて金融機関との間で当座貸越契約を締結しているほか、設備資金・投資資金等の長期的な資金に関しては金融市場動向や既存の借入・社債の償還時期等を総合的に勘案し、長期借入金または社債等により調達いたします。

 当連結会計年度末における有利子負債残高はリース債務も含め7,531百万円となり、前連結会計年度末と比較して236百万円減少しました。これは主に長期借入金を返済したことによるものです。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は7,923百万円であり、前連結会計年度末と比較して43百万円増加しています。

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2024年5月8日開催の取締役会において、Delta S.r.l.(本社:イタリア・クレモナ)の持分の取得及び同社が実施する第三者割当増資の引受により、当社の子会社とすることについての持分譲受契約を締結することを決議いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動につきましては、高まる顧客ニーズと環境ニーズを先攻する独自技術の開発を基本姿勢としております。
 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は332百万円であります。

 その主なものは、衛生材料商品の付加価値向上を目的として、省資源、消費エネルギー削減、環境配慮資材の適応を考慮した装置開発及び生産設備への適用に向けた、新たな材料加工プロセスに関しての研究・開発であります。

 また、当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の一般産業用機械・装置製造業及びその他の事業でありますが、その他の事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。