独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 |
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2023年12月22日 |
株式会社ダイイチ |
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取締役会 御中 |
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北海道事務所 |
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代表社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
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代表社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
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<財務諸表監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ダイイチの2022年10月1日から2023年9月30日までの第69期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ダイイチの2023年9月30日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 |
会社は2022年9月期に発覚した不適切会計に関連して、2022年6月24日に第三者委員会から調査報告書を受領した。調査報告書では翌期の利益を水増しすることを目的とした売上原価の先行計上が行われたものと認定している。 具体的な手口とされているのは、翌事業年度販売予定の商品を決算月の9月に発注、仕入処理を行うとともに、 ・売価還元法適用部門 当該商品の当期末在庫を減じる理論在庫の修正を行う ・棚卸計算法適用部門 納品された商品の一部を意図的に棚卸対象から除外、または、商品の納品を留保し、棚卸実施後に店舗の要求に応じて仕入先から納品する ことにより、事業年度末時点の商品を過少計上し、売上原価を過大に計上する手法であった。調査報告書での指摘を受けて、会社は再発防止策を作成し、2022年9月1日に公表した。再発防止策には、①ガバナンス体制の再構築、②仕入プロセス及び棚卸プロセスの整備が掲げられている。 会社の2023年9月期の商品残高は1,087,384千円(売価還元法適用分820,977千円、棚卸計算法適用分266,406千円)であり、総資産の4.6%を占めている。当監査法人は、会社が不適切会計の再発防止に計画的かつ誠実に取り組まない場合、商品評価、特に商品数量の網羅性に関連する内部統制の不備が再度発生し、財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性が高いと判断している。また、会計基準に準拠した商品評価が適切に行われるためには、会社が公表した再発防止策を実効性をもって実施しているかどうかに関して、監査上、慎重な評価が必要となることから、当監査法人は当該事項が監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 |
監査上の対応 |
当監査法人は、会社の公表した再発防止策①及び②の実効的な実施及び進捗を評価するために、主として以下の監査手続を実施した。 (内部統制の評価) ・仕入プロセス及び棚卸プロセスの改善後の内部統制の整備及び運用状況を評価した。 ・再発防止策に掲げられた対応策の進捗状況を評価した。 (期末商品の網羅性の検討) ・棚卸管理規程及び実地棚卸マニュアルの妥当性を評価した。 ・棚卸実施者に対する実地棚卸マニュアルの理解及び実践に関する質問を実施した。 ・棚卸立会を実施し、商品が漏れなく棚卸対象となっていることを確かめた。 ・実地棚卸後に申請される商品数量調整申請書によって意図的な棚卸除外操作が行われていないかどうかを確かめるために、内部統制の評価、質問を行い、抽出した商品数量調整申請書について証憑突合を実施した。 ・仕入先に預け商品の有無を直接確認し、棚卸商品の網羅性を検討した。 |
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 |
会社は、多数の仕入先から仕入割戻(リベート)契約に基づき仕入リベートを受け取っている。 仕入リベートの契約形態は複数あり、主に ・仕入実績に比例して発生するもの(基本リベート) ・リベート契約の条件達成を前提に、仕入実績に比例して発生するもの(達成リベート) ・販売促進等の値引きと同様の効果を有するもの(販促リベート) に分類される。 会社と仕入先の決算期の相違や会社の事業年度とリベート契約期間の相違に起因して、会社の事業年度末時点において契約期間中のリベート契約が多く存在するため、当事業年度中に発生した仕入リベートを見積る必要がある。とりわけ、達成リベートはリベート条件の達成をリベート受領の前提としており、経営者の条件達成の可能性の判断が必要であり、契約条件が多種多様であることから個々の契約条件及び仕入状況に基づき達成可能性を判断する必要がある。これらの要因により発生主義で見積もった仕入リベートが将来の確定額と乖離する場合、未収仕入リベートの残高に大きな影響を及ぼす可能性が高い。 会社は、上記の要因により事業年度末時点での基本リベート及び達成リベートの発生に関して一定の仮定を置き、その時点において発生している仕入リベートを見積り、未収仕入リベートとして計上している。仕入リベートの見積りにおける重要な仮定は、 上記の重要な仮定は、仕入リベートが小売業において事業上の利益を決める重要な要素であること、不確実性を伴い経営者による判断を必要とすること、未収仕入リベートの計上において合理的な見積りが行われない場合には、財務諸表において多額の虚偽表示が生じる可能性が高いことから、当監査法人は仕入リベートの発生、特に、金額が確定していない基本リベート及び達成リベートに関連する未収仕入リベートの見積りの期間帰属及び正確性が、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 |
監査上の対応 |
当監査法人は、会社の実施した未収仕入リベートの期間帰属及び正確性を検討するため、主として以下の監査手続を実施した。 (内部統制の評価) ・未収仕入リベートの計上、消込及び残高管理に関する内部統制の整備及び運用状況の評価を実施した。 ・未収仕入リベート算定資料の契約条件や前期実績の入力の正確性、事業年度末までの仕入実績の正確性を評価した。また、当初の契約条件が修正された場合には、その根拠についての質問及びその回答を裏付けるために証憑突合を実施した。 (未収仕入リベートの計上額の検討) ・基本リベート及び達成リベートの見積りの基礎とした仕入実績データの正確性を評価した。 ・未収仕入リベートの滞留の有無及び取消処理の月別発生状況の分析を実施した。 ・仕入リベートの相手勘定である未収仕入リベートの勘定分析を行い、当期の入金額については入金証憑との突合を実施した。 ・期末時点で金額が確定しているが回収期限未到来の未収仕入リベートで、期末日後に入金となった仕入リベートについて、仕入先からの支払通知書等との突合、期末日後の入金を確認し、未収計上額との比較、検証を行った。 ・前事業年度末で計上した未収仕入リベートの合理性を検討するため、未収仕入リベート計上額と実際入金額を比較し、経営者の見積り方法の適切性を評価した。 ・会社が計算した未収仕入リベートが適切に計算されているか検証するために、再実施を行った。 |
その他の事項
会社の2022年9月30日をもって終了した前事業年度の財務諸表は、前任監査人によって監査されている。前任監査人は、当該財務諸表に対して2022年12月16日付けで無限定適正意見を表明している。
その他の記載内容
その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
<内部統制監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社ダイイチの2023年9月30日現在の内部統制報告書について監査を行った。
当監査法人は、株式会社ダイイチが2023年9月30日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。
内部統制監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。
・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。
利害関係
会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |