第2【事業の状況】

 当社グループの消費税等に係る会計処理は税抜方式によっているため、この項に記載の売上高、仕入高等の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、創業以来「お客さま第一主義」をモットーとして今日まで営んでまいりました。この「お客さま第一主義」を実践するために経営理念として「足元からのスタイル提案業」を掲げ事業を行っております。

 また、足元からのスタイルを提案するフットウェアの国内におけるリーディングカンパニーを目指すとともに、グローバル展開にもチャレンジしてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、継続的な成長を果たすと同時に、資本・資産効率を意識した経営を目指しております。

 当社グループが目標とする経営指標といたしましては、安定した経営を持続していくため、自己資本比率、1株当たり当期純利益を重視し、現在の水準から更なる向上を図ってまいります。

 

(3)新型コロナウイルス感染症拡大による経営環境の変化

 当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、企業活動や個人消費が大きく制限され、企業収益や景況感の悪化、個人消費の減退など、極めて厳しい状況で推移いたしました。現状、感染状況を見極めながら段階的に経済活動の再開が進められておりますが、経済活動の回復に向けた動きは鈍く、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループが属する靴小売業界におきましては、外出自粛の長期化による需要の先送りが懸念されるなか、在宅時間が増えたことでオンライン販売が増加いたしました。また、健康意識の高まりにより、スポーツ・カジュアル志向の需要は引き続き増加した反面、在宅勤務やテレワークの広がり等により、オフィス・ビジネス需要は大きく減少いたしました。新型コロナウイルス感染症の拡大影響は生活様式や消費動向を激的に変化させ、オンライン販売の伸長は業界の垣根を越えた他業種の靴小売業界への参入・消費チャネルの多様化を加速させる等、業界の枠組みそのものが大きな転換期を迎えています。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、企業活動や個人消費に大きな制限や影響を及ぼす懸念がある一方、新型コロナウイルス感染症の存在を前提に防疫と経済の両立による経済活動再開への動きも期待されております。このような環境の下、当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、お客さま、従業員をはじめ全ての方々の安全と健康を最優先にしながら、コロナ禍を経て生じた変化と、コロナ影響を受けて加速した従来からの変化に柔軟に対応できるよう取り組みを続けてまいります。

 また、当社グループにおいては、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況が存在しており、事業を継続させる為、当社が取り組むべき喫緊の課題といたしましては、先ず、足元の止血策を最優先に、引き続き間接部門のコスト削減、及び不採算事業・不採算店舗の整理を進め収支構造の抜本的な見直しを図り、今後も相当期間見込まれる新型コロナウイルス感染症の影響に耐え得る財務体質の構築と、確実な事業収益力の回復による、経営基盤の再構築に取り組んでまいります。

 

<2023年2月期重点取り組み>

1.確実な事業収益力の回復

コロナ禍以前からの継続赤字店舗の閉店と、コロナ環境下で収益をあげている店舗の活性化により、利益店舗へ経営資源を集中、事業効率と販売効率の最大化を図ります。強靭な事業基盤を築き、確実な事業収益力の回復を実現させます。

(1)活性化による事業・販売効率最大化

①アスビーブランドへ統一、事業効率最大化を目指したグリーンボックス活性化

ⅰ)更に強まるお客さまの健康ニーズに広く応える商品・サービスの拡充

ⅱ)商品の魅力が伝わる売場づくり

ⅲ)販売ノウハウの集約(販売人員強化)

ⅳ)2023年2月期より、3年間で200店舗以上の活性化を計画

②グリーンボックス子供靴売場のアスビーキッズ化により、日本一のキッズ売上を圧倒的No.1まで高め、トップラインを引き上げます

ⅰ)ベビー&チャイルド品揃えの拡充

ⅱ)足型計測+足の成長軸に合わせた接客販売

ⅲ)接客販売へシフト(販売人員強化)

(2)不採算事業・不採算店舗の整理

ⅰ)新型コロナウイルスの影響による変化も踏まえ、今後利益が見込めないと判断した店舗の閉店

ⅱ)2023年2月期より、2年間で最大110店舗の閉店を計画(2年間で整理完了)

2.新たな成長を促すデジタルシフト

新たな商品統合管理システムと既存基幹システムを連携させ、システム統制による高精度な計画策定、及びサイズ別単品実績管理に基づいた迅速かつ柔軟な計画修正のプロセスを構築、収益力の向上を図ります。また、新たに顧客管理基盤と足型情報管理基盤を構築し、連携させることで、モノ(商品)だけでなく、コト(体験)やサービス(デジタル)まで提供価値を拡げ、お客さまとの継続的、累積的な関係作り(ファン作り)を実現させます。

(1)EC事業の成長と拡大

①オムニチャネル化の推進

ECと店舗を自社アプリで繋ぎます(お客さま接点拡大、利便性向上)

②新顧客情報管理基盤の構築・移行

自社アプリ顧客基盤とイオングループ共通顧客基盤との連携・移行

(2)商品統合管理システムの構築・移行

①新MDシステムへの移行

ⅰ)品揃え計画と単品販売実績のシステム統制(適品・適時の実現)

ⅱ)サイズ欠品撲滅(販売機会ロス減少、建値消化率改善)

ⅲ)荒利率改善(値下げ販売抑制、在庫回転率改善)

②店舗のデジタルシフト(店舗業務の効率改善)

ⅰ)販売に必要な情報の見える化(接客販売サポート)

ⅱ)店舗後方業務の自動化、電子申請化(店舗後方業務削減)

(3)新たな成長の要、足型情報と商品・サービスの融合

足型情報基盤の構築による、お客さまの新しいお買い物体験

ⅰ)足型計測データと自社アプリの連携、お客さまへおすすめ情報やお子さまの足育情報配信等

ⅱ)足型計測データを活用した、プライベートブランド商品の開発、メーカーとの商品共同開発

ⅲ)足型計測データを活用した、オンラインフィッティング

 

 以上の施策により、キャッシュ・フロー経営の徹底と生産性の向上を図り、業績回復に向けた事業構造改革に取り組んでまいります。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 小売業界における持続的な低迷又はさらなる悪化について

 当社グループは日本国内において事業を営んでおり売上高ベースの国内シェアも高いため、その収益は日本の小売市場に大きく依存しております。過去数年間、日本の小売業界は、個人消費の落ち込み、全般的な価格デフレ、小売業者間の熾烈な競争等により低迷しておりました。

 今後は、医療費や社会保険料の負担の増加に加えて、海外情勢の不透明さにより、日本経済及び個人消費に影響を及ぼす可能性があります。

 これらにより、日本の個人消費がさらに悪化した場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

② イオングループ内出店の状況について

 当社グループは、イオングループの一員であり、同グループのショッピングセンター等への出店を行っており、当連結会計年度末現在780店舗を展開しております。その内、イオングループのショッピングセンター内店舗数は673店舗となっております。したがって、今後、業界を取り巻く環境の変化や業界再編等により、同グループの業界における地位や集客力が変動した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ お客さまの嗜好の変化について

 当社グループが取扱う靴は、景気の変動による個人消費の動向や他社との競合に伴う市場の変化等の要因のほか、ファッショントレンドやお客さまの嗜好の変化による影響を受けやすく、お客さまのニーズに合った商品仕入れや商品開発が行われなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 競争激化による影響について

 当業界は、近年、メーカー・卸による直営店の増加や、アパレル、雑貨店による異業種からの参入等により競争は激化しております。また、近隣への競合店の出店や、近隣に大型ショッピングセンター等がオープンした場合などには、集客力の低下や価格競争の激化を招き、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 商品調達、為替等について

 当社グループが販売する靴の多くは、中国・アセアンを中心に輸入したものを仕入れています。このため、生産国の政治・経済情勢や法制度の著しい変動により商品調達に支障が生じた場合、また、為替レートの変動や海外の生産コスト高騰による原価上昇などが生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外・国内の主要取引先の倒産や商品供給の支障等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 個人情報の取り扱いについて

 当社グループは、メンバーズカード(ポイントカード)の発行及びマイナンバー制度の実施により業務上必要な個人情報を保有しております。当社グループでは、個人情報の取扱いには担当部署を定め社内規定を設け十分留意しておりますが、万一当該情報が外部に流出した場合は、当社グループへの信頼性が低下すること等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 天候不順、地震・台風等の自然災害、テロ活動等について

 当社グループは、全国的に店舗を展開しており、本社、店舗の周辺地域において大地震や台風等の災害あるいは予期せぬ事故等が発生し、本社機能、物流機能や店舗の営業活動が阻害された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが扱う靴は、季節性の高い商品が多く、その販売動向は冷夏や長雨、暖冬といった天候によって影響を受ける可能性があります。その他事故、暴動、テロ活動その他当社グループの供給業者もしくは仕入・流通ネットワークに影響する何らかの事象が発生し、当社グループの販売活動や流通・仕入活動が阻害された場合、さらに人的被害があった場合、当社グループの事業、財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 人件費等の増加について

 当社グループにおいては、多数のパートタイマーを雇用しておりますが、今後社会保険、労働条件などに係る諸制度、法改正等の変更がある場合、人件費の増加を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 固定資産の減損に係る会計基準の適用について

 当社グループにおいては、店舗運営のために固定資産を保有しており、収益性が悪化した場合、固定資産の減損に係る会計基準が適用されることにより減損損失が計上され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 保有資産等の価格変動等について

 当社グループは市場で取引される資産を保有しております。仮に金融市場の混乱等により保有資産の価値が下落した場合、保有する有価証券等の減損又は評価損が発生もしくは拡大し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

不動産価格等の上昇について

 当社グループは不動産の賃借を行うため、不動産価格が上昇した場合、不動産の賃借に係る費用が増加する可能性があります。

 また、不動産関係法の改正や会計基準の変更による不動産保有リスクの上昇が、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑫ 法令の改正、会計基準等の変更について

 当社グループは現在売価還元法を採用しておりますが、将来会計基準の変更等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、労働基準法、下請法、景品表示法、会社法等の法令の改正が行われた場合、その対応による費用の増加を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑬ イオングループ企業との関係について

(1)資本関係

 当社の親会社はイオン株式会社であり、2022年2月28日現在で当社普通株式の61.94%を所有しております。

 将来的に当社の親会社であるイオン株式会社におけるグループ戦略に変更が生じた場合やグループ戦略に起因する各グループ企業の事業展開によっては新たな競合が発生する可能性は否定できず、この場合当社グループの事業展開や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)イオングループとの取引

 2022年2月期において当社グループはイオングループと取引があり、主な取引の内容は下記のとおりです。

(ⅰ)商品仕入

 イオントップバリュ株式会社をはじめとする企業から各種商品を仕入れております。

(ⅱ)店舗の賃借

 主にイオンリテール株式会社、イオンモール株式会社、イオンタウン株式会社をはじめとするグループ企業から店舗を賃借しております。

(ⅲ)業務委託

 主にイオングローバルSCM株式会社をはじめとする企業に物流などの各種業務を委託しております。

(ⅳ)ブランドロイヤルティ負担金

 イオン株式会社が行うイオングループ全体のグループマネジメントに要する費用の当社グループ負担分として、ブランドロイヤルティを支払っております。

 

(3)人的関係

 2022年2月28日現在、当社取締役9名、監査役3名のうち、4名が親会社又はそのグループ企業で役員等を兼務しております。

<役員の兼務状況>                  (2022年2月28日現在)

当社での役職

氏  名

親会社又はそのグループ企業での役職

取締役

青山 和弘

イオンスポーツ商品調達株式会社取締役

取締役

藤原 信幸

株式会社イオンファンタジー代表取締役会長

イオン株式会社サービス・専門店担当責任者

株式会社メガスポーツ取締役

株式会社コックス取締役

取締役

湊 博昭

イオンリテール株式会社執行役員衣料本部長

常勤監査役

布施 弘二

株式会社メガスポーツ社外監査役

イオンスポーツ商品調達株式会社社外監査役

 また、2022年2月28日現在、イオングループからの受入出向者は5名であり、グループ靴事業移管の推進を目的として行っております。

 当社グループとイオングループとの関係は以上のとおりですが、いずれも当社グループの自由な営業活動や経営判断に影響を及ぼすものではなく、当社グループが独立して主体的に事業運営を行っております。

⑭ 大規模な店舗休業等について

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、2021年1月7日、同年4月23日、同年7月8日に2・3・4回目の緊急事態宣言が発令され、最大時で当社グループの150を超える店舗において、営業時間短縮や臨時休業をしております。これらの期間中における売上高の減少及び固定費等の費用負担は、当社グループの事業活動に多大な影響を及ぼしております。

 なお、今後同様な事象が発生する場合には、当社グループの事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対して、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の事業構造改革を確実に進めるとともに、資金調達面では「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)⑥資本の財源及び資金の流動性」に記載のとおり、取引金融機関による短期借入枠は十分に確保されていると判断しております。

⑮ 継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗の臨時休業、営業時間の短縮、お客さまの外出自粛により、来店客数が大幅に落ち込み、厳しい販売状況が続いた結果、当連会計年度において多額の営業損失を計上しました。

 新型コロナウイルスの収束については一定の期間を要するものと考えられることから、2023年2月期におきましても、厳しい経営環境が続く見込みであります。

 これらのことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況が存在していると認識しておりますが、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した2023年2月期重点取り組みを確実に実施することで業績回復に努めるとともに、資金調達面においても、当連結会計年度末の資金残高の状況及び今後の資金繰りを検討した結果、取引金融機関による短期借入枠が十分に確保されております。

 また、2021年12月13日開催の取締役会において、筆頭株主であるイオン株式会社との間で第三者割当による種類株式の発行の引受契約書を締結し、当社は、イオン株式会社を割当先とする払込金額の総額50億円の第三者割当による当社A種種類株式の発行を実施すること等について、2022年2月8日開催の当社臨時株主総会の承認を経て2022年2月9日に総額50億円の払込みにより、当面の事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

 なお、業績に影響を及ぼす要因は、これらに限定されるものではありません。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、企業活動や個人消費が制限され、経済活動は大きく減退いたしました。感染対策の徹底及びワクチン接種が促進されるなか、新規感染者数の減少に伴う経済の持ち直しが期待されたものの、度重なる新たな変異株の発現と感染再拡大により、新型コロナウイルス感染症の猛威は未だ衰えず、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 

 新型コロナウイルス感染症の影響により、現在、企業や生活者を取り巻く環境は大きく変化しており、それに伴い消費行動や価値観も変わってきております。このような環境に対応すべく、当社グループは、お客さまに喜んでいただける接客、お客さまに満足していただける商品、お客さまのニーズの変化に応える売場を実現させるべく、品揃え、接客サービス、売場オペレーションの実証実験を、現場の声を取り入れながら、モデル店を使って推し進め、水平展開して行くことで、企業としての成長性を確保し、またイオングループと戦略を連動させグループシナジーを発揮することによる企業価値の更なる向上を目指し取り組んでまいりました。

 モデル店舗では、①見やすく、選びやすい売場、②ジーフット独自の体験型提案接客(接客に関する社内認定資格フィッティングアドバイザーによる、足型計測器、はっ水加工機IMBOXを使った接客)、③自ら考え、判断し、行動できる店長の教育(店舗情報分析に基づいた月別・週別販売計画の立案、検証、修正)を骨子として取り組み、店舗の過剰在庫削減による見やすく、選びやすい売場の実現や、足型計測器、はっ水加工機IMBOXを使った体験型提案接客や、プラスワン接客によるセット販売率アップの取り組みによる、買上点数(前期比3.1%増)、客単価(同4.5%増)アップの成果を得ることができました。商品開発では、ジーフットのプライベートブランド商品「ATHREAM」において、製造委託先との情報共有に基づく一貫したMDプロセス(安定的な生産取り組みによる品質向上、生産コスト圧縮)をスタート、コスト面では、アナログ業務のデジタル化(自動化・見える化)による業務効率化を継続推進、販売費及び一般管理費を前期比3.8%減、新型コロナウイルス感染症影響前の一昨年との比較で18.3%減の取り組みとなりました。

 

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発出の長期間化、広域化の影響で、当社にとって、お客さまの来店頻度の高い土・日・祝日や繁忙時間帯が臨時休業や営業時間短縮となり、販売機会が大幅に減少しました。限られた販売機会をより拡充するために、当社の主力となるイオングループショッピングセンター立地を活用、催事場を確保の上、回数・期間の最大化を図ってまいりましたが、想定以上の販売機会逸失影響は大きく、売上が当初計画から大幅乖離、2021年10月6日に、今年度上期の新型コロナウイルス感染症拡大による業績への影響及び今後も相当期間見込まれる同感染症の影響を鑑み、2022年2月期通期連結業績を売上高667億円、営業損失60億円、経常損失61億円、親会社株主に帰属する当期純損失65億円とする通期連結業績予想の修正を行うにいたりました。

 

 このような状況の中、当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大により棄損した自己資本を補い、かつ、事業構造改革を推進し、同感染症の影響に耐え得る財務体質構築及び事業再生・成長軌道回帰のため、2021年10月6日、当社より当社の親会社であるイオン株式会社(以下「イオン」という。)に対して第三者割当増資(以下「本第三者割当」という。)の引受け要請を行い、イオンとの間で資金調達や資本増強に関する各種施策の実施に関して正式に協議に入ることで合意いたしました。その後2021年10月から12月にかけて、イオンと複数回にわたり協議・交渉を行い、同年12月13日イオンとの間で当社が本第三者割当により発行するA種種類株式の引受契約書を締結、2022年2月9日に、本第三者割当によるA種種類株式の発行に係る払込完了並びに資本金及び資本準備金の額の減少を行っております。

 

 出退店につきましては、グリーンボックス白山店、アスビーイオンモール川口店、アスビー東武池袋店、アスビーキッズ東武池袋店等7店舗を出店、退店については、不採算店舗の損失抑制を目的に、当初計画66店舗から11店舗増の77店舗を退店、これらにより当連結会計年度末における当社グループの店舗数は780店舗となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は662億66百万円(前期比0.6%増)、営業損失は66億48百万円(前期は営業損失122億5百万円)、経常損失は68億2百万円(前期は経常損失122億18百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は71億42百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失127億16百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、58億41百万円と前連結会計年度末から44億68百万円増加しました。

 なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において主に税金等調整前当期純損失69億21百万円の計上、売上債権の減少15億1百万円、たな卸資産の減少12億14百万円及び仕入債務の減少41億38百万円により、使用した資金は55億43百万円(前期比1億30百万円の支出減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において主に有形及び無形固定資産の取得による支出3億65百万円、有形固定資産の売却による収入354百万円及び敷金及び保証金の回収による収入10億50百万円により、得られた資金は7億10百万円(前期比3億37百万円の収入減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において主に短期借入金の増加40億円、長期借入れによる収入15億円、長期借入金の返済による支出11億20百万円及び株式の発行による収入50億円により、得られた資金は93億36百万円(前期比48億96百万円の収入増)となりました。

 

③ 販売及び仕入の実績

 当社グループはセグメント情報を記載しておりませんので、地域別及び商品別に記載しております。

 

(ⅰ)地域別売上実績

 当連結会計年度における売上の実績を地域別に示すと次のとおりであります。

地域別

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

売上高

(百万円)

前期比

(%)

 開店

(店)

閉店

 (店)

 期末

 (店)

北海道地区計

3,084

90.2

2

59

東北地区計

6,504

97.2

1

5

99

関東地区計

21,429

108.7

4

20

210

中部地区計

13,056

99.6

2

12

160

近畿地区計

11,981

96.0

19

125

中国地区計

2,511

95.3

5

29

四国地区計

1,405

101.9

3

21

九州地区計

6,293

98.9

11

77

合計

66,266

100.6

7

77

780

 (注)地域区分は、店舗の所在地によって分類しております。

 

(ⅱ)商品別売上実績

 当連結会計年度における売上の実績を商品別に示すと次のとおりであります。

商品別

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

売上高(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

婦人靴

13,431

20.3

103.8

紳士靴

9,001

13.6

93.8

スポーツ靴

22,771

34.4

93.9

子供靴

15,334

23.1

107.1

その他

5,728

8.6

120.6

合計

66,266

100.0

100.6

 (注)その他は、インポート雑貨・服飾及び靴付属品が主なものです。

 

(ⅲ)単位当たり売上高

 当連結会計年度における単位当たり売上高は次のとおりであります。

項目

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

売上高等

前期比(%)

商品売上高(百万円)

 

66,266

100.6

1㎡当たり売上高

平均売場面積(㎡)

307,325.10

95.3

1㎡当たり期間売上高(千円)

215

105.6

1人当たり売上高

平均従業員数(人)

4,642

95.4

1人当たり期間売上高(千円)

14,274

105.5

 (注)1.平均売場面積は、階段及び事務所等を除いた期中平均面積であります。

2.平均従業員数は期中平均在籍人数によっており、臨時雇用者を含んでおります。

 

(ⅳ)商品別仕入実績

 当連結会計年度における仕入の実績を商品別に示すと次のとおりであります。

商品別

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

仕入高(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

婦人靴

7,435

19.7

114.1

紳士靴

4,176

11.1

73.7

スポーツ靴

13,428

35.6

101.3

子供靴

9,585

25.4

111.1

その他

3,066

8.2

119.2

合計

37,692

100.0

102.8

 (注)その他は、インポート雑貨・服飾及び靴付属品が主なものです。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗の臨時休業、営業時間の短縮、お客さまの外出自粛により、来店客数が大幅に落ち込み、厳しい販売状況が続いた結果、当連結会計年度において多額の営業損失を計上しました。
 新型コロナウイルスの収束については一定の期間を要するものと考えられることから、2023年2月期におきましても、厳しい経営環境が続く見込みであります。
 これらのことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況が存在していると認識しておりますが、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した2023年2月期重点取り組みを確実に実施することで業績回復に努めるとともに、資金調達面においても、当連結会計年度末の資金残高の状況及び今後の資金繰りを検討した結果、取引金融機関による短期借入枠が十分に確保されており、当面の事業活動の継続性に懸念はないことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

②当連結会計年度の財政状態の分析

(資産の部)

 当連結会計年度末の総資産は、433億18百万円となりました。

 当連結会計年度末の流動資産は、366億45百万円となりました。

 これは主に売上預け金の減少14億37百万円、商品の減少12億12百万円があったものの、現金及び預金の増加44億68百万円により、前連結会計年度末と比較して4億42百万円の増加となりました。

 当連結会計年度末の固定資産は、66億72百万円となりました。

 これは主に建物及び構築物の減少2億93百万円、土地の減少2億80百万円、敷金及び保証金の減少6億59百万円により、前連結会計年度末と比較し11億30百万円の減少となりました。

(負債の部)

 当連結会計年度末の負債は、410億36百万円となりました。

 これは主に支払手形の減少2億8百万円、電子記録債務の減少32億67百万円があったものの、短期借入金の増加40億円、未払費用の増加10億円により、前連結会計年度末と比較して14億24百万円の増加となりました。

(純資産の部)

 当連結会計年度末の純資産は、22億81百万円となりました。

 これは主に資本剰余金の増加50億円があったものの、利益剰余金の減少71億42百万円により、前連結会計年度末と比較して21億12百万円の減少となりました。

 以上の結果、自己資本比率は5.2%となりました。

 

③当連結会計年度の経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ4億17百万円(前期比0.6%)増加して662億66百万円となりました。

(売上原価)

 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ38億12百万円(同8.9%)減少して389億4百万円となりました。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ13億27百万円(同3.8%)減少して340億10百万円となりました。主な内訳は、給料及び手当117億10百万円、賃借料138億67百万円であります。

 

(営業外損益)

 当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ42百万円減少して33百万円となりました。主な内訳は、受取補償金19百万円であります。

 当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べ99百万円増加して1億87百万円となりました。主な内訳は、支払利息1億80百万円であります。

 当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ8億20百万円減少して2億63百万円となりました。主な内訳は、固定資産売却益61百万円、補助金収入1億38百万円であります。

 当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べ8億54百万円減少して3億82百万円となりました。主な内訳は、減損損失2億70百万円、店舗閉鎖損失89百万円であります。

 これらの結果を受け、当連結会計年度の営業損失は66億48百万円(前期は営業損失122億5百万円)、経常損失は68億2百万円(前期は経常損失122億18百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は71億42百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失127億16百万円)となりました。

 1株当たり当期純損失は167円87銭(前期は1株当たり当期純損失298円90銭)となりました。

 

④キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金調達は、内部資金の活用及び金融機関からの借入、リース取引によって行っており、金融機関からの借入とリース取引は、全て当社において一元管理しております。

 設備投資の実施にあたっては、グループ連結営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則とし、短期・長期の財務バランスにも配慮して資金調達を実施します。

 また、現預金残高と有利子負債残高を一定範囲にコントロールし、経営環境の変化に対応するための資金の流動性を確保しながら資金管理を行っております。

 当連結会計年度末の資金残高の状況及び今後の資金繰りを検討した結果、取引金融機関による短期借入枠が十分に確保されております。

 

⑦重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、将来事象の結果に依存するため確定できない金額について、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意しながら会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)業務・資本提携

 当社は、下記のとおり業務・資本提携に関する契約を締結しております。

契約先

イオン株式会社

 千葉市美浜区中瀬1丁目5番地1

契約日

2005年12月20日

契約期間

上記契約日より協議による解約まで

契約内容

① 業務提携

  人材交流、商品の共同調達、店舗開発の協力など

 (詳細については、提携委員会で協議の上実施する。)

② 資本提携

  イオングループで当社の発行済株式総数の20%以上の普通株式を保有する。

 

(2)第三者割当による種類株式発行及び資本金及び資本準備金の減少

 当社は2021年12月13日開催の取締役会において、2022年2月8日開催の臨時株主総会にて、A種種類株式の発行に必要な承認及びA種種類株式に関する規定の新設に係る定款の一部変更に係る議案の承認が得られることを条件として、第三者割当の方法によるA種種類株式の発行を行うこと並びに資本金及び資本準備金の額の減少について下記のとおり決議し、2022年2月9日付で割当先と第三者割当契約を締結し、本種類株式に関する払込手続が完了いたしました。

A種種類株式発行の概要

①払込期日

2022年2月9日

②発行新株式数

A種種類株式 50株

③発行価額

1株につき100百万円

④発行価額の総額

5,000百万円

⑤募集又は割当方法

イオン株式会社に対する第三者割当方式

⑥増加する資本金の額

2,500百万円

⑦増加する資本準備金の額

2,500百万円

⑧剰余金の配当

普通株式と同順位で、A種種類株式1株につき、普通株式1株当たりの配当金と同額の金銭による剰余金の配当が行われます。

⑨その他重要な事項

残余財産を分配するときは、A種種類株主等に対し、普通株主等に先立ち、A種種類株式1株につき、100百万円(但し、A種種類株式につき、株式の分割、株式無償割当て、株式の併合又はこれらに類する事由があった場合には、適切に調整される。)を支払うこととします。

A種種類株式には、金銭を対価とする取得条項、金銭を対価とする取得請求権が付されております。なお、普通株式を対価とする取得請求権・取得条項はありません。

A種種類株式には議決権はありません。

A種種類株式を譲渡により取得するには、当社の取締役会の承認を受けなければなりません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。