第一部 【企業情報】

第1 【企業の概況】

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第7期

第8期

第9期

第10期

決算年月

2020年9月

2021年9月

2022年9月

2023年9月

売上高

(千円)

398,547

827,667

1,254,681

1,709,054

経常損失(△)

(千円)

755,836

321,728

302,118

26,796

親会社株主に帰属する
当期純損失(△)

(千円)

763,822

327,893

303,486

28,851

包括利益

(千円)

763,322

326,847

303,156

29,197

純資産額

(千円)

40,087

563,240

46,230

489,500

総資産額

(千円)

615,124

1,510,282

1,145,018

1,507,978

1株当たり純資産額

(円)

842.32

940.38

6.64

77.67

1株当たり当期純損失(△)

(円)

139.89

57.99

52.52

4.73

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

5.2

36.8

3.4

32.0

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

665,258

268,266

445,965

107,325

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

34,873

3,333

16,591

113,325

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

207,700

1,116,985

347,243

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

454,051

1,307,149

844,922

971,167

従業員数

(名)

77

64

74

83

 

(注) 1.第7期から第10期は、先行投資と位置付けられる研究開発費や一部の人件費、広告宣伝費の計上等に伴い、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失となりました。

2.第7期及び第8期の1株当たり純資産額については、AA種優先株式、A種優先株式、B種優先株式、C種優先株式及びD種優先株式に優先して配分される残余財産額を純資産の部の合計額から控除して算定しており、計算結果はマイナスとなっております。

3.第7期から第9期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。また、第10期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません

4.自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失が計上されているため、記載しておりません。

5.第7期から第9期の株価収益率は当社株式が非上場であるため、記載しておりません。また、第10期の株価収益率については1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません

6.従業員数は就業人員であります。なお、臨時従業員数は在籍していないため、人員を記載しておりません。

7.第7期から第10期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けております。

8.2022年9月7日開催の取締役会決議により、2022年10月20日付で普通株式1株につき30株の分割を行っておりますが、第7期連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

9.第9期の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、第9期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第6期

第7期

第8期

第9期

第10期

決算年月

2019年9月

2020年9月

2021年9月

2022年9月

2023年9月

売上高

(千円)

191,264

398,562

823,545

1,252,862

1,676,702

経常損失(△)

(千円)

681,795

741,883

303,959

296,170

26,971

当期純損失(△)

(千円)

742,394

749,828

340,341

303,233

29,025

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

100,000

100,000

100,000

100,000

336,530

発行済株式総数

(株)

182,006

182,006

192,631

192,631

6,207,390

 普通株式

 

100,000

100,000

100,000

192,631

6,207,390

 AA種優先株式

 

11,111

11,111

11,111

 A種優先株式

 

21,666

21,666

21,666

 B種優先株式

 

26,562

26,562

26,562

 C種優先株式

 

22,667

22,667

22,667

 D種優先株式

 

10,625

純資産額

(千円)

800,710

53,582

563,240

46,152

489,595

総資産額

(千円)

1,121,201

628,513

1,508,692

1,143,386

1,502,268

1株当たり純資産額

(円)

18,399.80

838.28

940.38

6.63

77.68

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純損失(△)

(円)

4,078.95

137.33

60.19

52.47

4.76

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

71.0

7.3

36.8

3.4

32.1

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

従業員数

(名)

44

74

61

72

81

株主総利回り

(%)

(比較指標:-)

(%)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

最高株価

(円)

3,720

最低株価

(円)

1,057

 

(注) 1.第6期から第10期は、先行投資と位置付けられる研究開発費や一部の人件費、広告宣伝費の計上等に伴 い、経常損失、当期純損失となりました。

2.第6期から第8期の1株当たり純資産額については、AA種優先株式、A種優先株式、B種優先株式、C種優先株式及びD種優先株式に優先して配分される残余財産額を純資産の部の合計額から控除して算定しており、計算結果はマイナスとなっております。

3.第6期から第9期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。また、第10期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

4.持分法を適用した場合の投資利益については、第6期については、関連会社がないため記載しておりません。第7期から第10期については連結財務諸表を作成しているため、記載しておりません。

5.自己資本利益率は当期純損失であるため、記載しておりません。

6.第6期から第9期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。また、第10期の株価収益率については、1株当たり当期純損失が計上されているため記載しておりません。

7.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

8.従業員数は就業人員であります。なお、臨時従業員数は在籍していないため、人員を記載しておりません。

9. 第7期から第10期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人により監査を受けております。なお、第6期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく有限責任 あずさ監査法人による監査を受けておりません。

10.2022年9月7日開催の取締役会決議により、2022年10月20日付で普通株式1株につき30株の分割を行っておりますが、第7期事業年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

11.第6期から第10期の株主総利回り及び比較指標については、2022年12月15日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、記載しておりません。

12. 最高株価及び最低株価は、東京証券取引所グロース市場におけるものであります。ただし、当社株式は、2022年12月15日から東京証券取引所グロース市場に上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。

13.第9期の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、第9期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2 【沿革】

年月

概要

2013年10月

東京都世田谷区に当社設立(資本金100万円)

2014年1月

株式会社スマートドライブに商号変更

2014年8月

「柏の葉スマートシティ」において、自社製車載端末による車両の走行データ収集と専用アプリの開発に向けた実証実験開始

2014年9月

総務省「I-Challenge!」(ICTイノベーション創出チャレンジプログラム)第一号案件に採択

2015年4月

アクサ損害保険株式会社とテレマティクス事業業務提携

2015年12月

第3回「CNET Japan Startup Award」にて最優秀賞を受賞

2016年1月

アクサ損害保険株式会社との共同プロジェクト「MIRAI DRIVE PROJECT」開始

2016年9月

法人向けクラウド車両管理サービス「SmartDrive Fleet」をリリース

2017年2月

ISMS認証取得(ISO/IEC 27001:2013)

2018年4月

ドライバーエンゲージメントサービス「SmartDrive Cars」をリリース

2018年6月

経産省「産業データ共有促進事業費補助金」に採択

2019年12月

NEDO「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」に採択

2020年2月

株式会社ユピテル製の法人向けLTE通信型ドライブレコーダーとSmartDrive Fleetとの連携開始

2020年3月

マレーシアに連結子会社SmartDrive Sdn. Bhd.設立

2020年10月

本田技研工業株式会社及び株式会社ホンダモーターサイクルジャパンがサービス開始する「HONDA Fleet  Management」にデータ解析・事業提携基盤「Mobility Data Platform」を提供

2021年1月

住友三井オートサービス株式会社と法人向けテレマティクスサービス分野の業務提携並びに資本提携

2021年6月

スズキ株式会社による法人向け車両管理サービス「スズキフリート」の構築に向けて協業開始

2021年6月

株式会社JVCケンウッド製のAI搭載通信型ドライブレコーダーとSmartDrive Fleet及びMobility Data Platformとのデータ連携開始

2021年6月

meitrack社製GPS内蔵デバイス「SmartDrive Wi-Fi Hub」の提供開始

2021年7月

JETRO「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」に採択

2021年8月

出光興産株式会社による「超小型EV事業」の立上げに向けた法人向けクラウド車両管理サービス・データ解析・事業提携基盤のOEM提供を含む各種協業の開始

2021年8月

住友三井オートサービス株式会社のグループ会社であるi-SMAS少額短期保険株式会社と共同で、運転挙動に応じて保険料が設定されるテレマティクス型のリペア保険の販売を開始

2022年12月

東京証券取引所グロース市場に株式を上場

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、連結子会社(SmartDrive Sdn. Bhd.)の計2社で構成されており、「移動の進化を後押しする」というビジョンのもと、国内外において、モビリティデータ(GPSデータ(緯度経度、GPS速度、GPS精度)、加速度センサーデータ等)を利活用した顧客企業の業務効率化による生産性向上や既存サービスの高付加価値化、新規サービスの創出等に貢献するべく、事業を展開しております。

当社グループの主要事業は、「国内フリートオペレーター(*10)事業(以下、「国内FO事業」)」、「国内アセットオーナー(*11)事業(以下、「国内AO事業」)、及び「海外モビリティDX事業」の3つのサービス・事業を運営しており、具体的な内容は以下のとおりです。

なお、当社グループは、「モビリティDX事業」の単一セグメントとなります。

(1)  国内FO事業

国内に約2,000万台(注1)ある商用車・法人需要車両を、業務目的で利用する企業向けに、クラウド(*1)車両管理や法令遵守、安全運転管理、車両に係る各種業務のDX(*2)化、モビリティデータ(*3)の分析・解析など各種サービスをSaaS型(*4)で直接提供しております。

(2)  国内AO事業

国内FO事業における各種サービスをパッケージ化し、リース会社や自動車メーカー、保険会社等のアセットオーナー企業を主とするパートナー企業向けにOEM(*5)提供することで、パートナー企業の既存顧客に向けて各種サービスを共同販売・展開すること、及びパートナー企業内の新規事業立ち上げ支援やPOC(*6)の実施支援など、パートナー企業が行う事業の高付加価値化や新規サービスの創出を支援しております。

(3)  海外モビリティDX事業

マレーシアにおいて現地企業や海外展開する日系企業向けに上記(1)(2)事業を提供しております。

 

各事業における主なサービスは以下のとおりです。

 事業

サービス

国内FO事業

SmartDrive Fleet (法人向けクラウド型車両管理サービス)

その他オプションサービス

国内AO事業

パートナー企業向けSmartDrive FleetのOEM提供、POC及びR&D支援

海外モビリティDX事業

国内における各サービスの東南アジア市場向け展開

 

 

 ① SmartDrive Fleet

車載デバイスで車両をコネクテッド化し、業務目的で車両を利用する企業の各種課題を解決する、クラウド型車両管理サービスです。以下に記載した当サービスの主な用途・特徴は、業務目的で車両を利用する企業に共通した用途・課題であり、中間流通・インフラメンテナンス・不動産・訪問介護など幅広い業界の顧客企業にご利用いただいており、2023年9月末時点において1,100社超(注2)の導入実績があります。


 

(注1) 一般財団法人 自動車検査登録情報協会「車種別(詳細)保有台数表」2022年5月、及び

    一般社団法人 日本自動車リース協会連合会「自動車総保有台数とリース車保有台数の年別比」

    から当社集計

(注2) 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (契約企業社数(エンドユー

       ザー社数)の推移)参照

 

(SmartDrive Fleetの主な用途と特徴)

 ▪ DX推進

 車載デバイスを介して車両の移動データや位置情報、運転挙動、車両稼働状況など各種モビリティデータを収集できます。顧客企業は収集されたデータから、自社で利用する各営業車両や各配送車両の位置情報・訪問エリア・訪問ルート等をリアルタイムに把握し、業務を可視化することができ、訪問効率や営業効率の最適化、生産性向上を推進することができます。その他、共用車両の事前予約機能による車両管理業務の簡易化や、各車両の使用頻度や稼働状況の自動記録機能によって保有台数の最適化等を検討することができます。

 


 

▪ 安全運転管理や法令遵守等のコンプライアンス対応

 各ドライバーの運転挙動・運転性向の自動記録機能や独自のスコアリング機能によって、急操作等が多いドライバーを適時把握でき、顧客は自社における安全運転指導や交通事故未然予防を推進することができます。その他、運転日誌など道路交通法施行規則に基づく法定必要書類の自動作成機能や、アルコール検知器と連携した酒気帯び点検結果の自動記録機能など、顧客は車両に関する法令遵守・コンプライアンス対応を推進できます。


 

 ▪ マルチデバイス対応

 また、サービス利用及び各種モビリティデータの収集に際して、SmartDrive Fleetでは、車種を問わずに取り付け可能な自社製デバイスのみならず、他社製のドライブレコーダーや車載Wi-Fiルーター、ETC2.0機器とも連携し利用可能であること、また、SmartDrive Fleetの一部機能についてはスマートフォンのみでも使用可能な設計となっており、顧客はデバイスの種類並びに車両の保有形態の制約を受けずにサービス利用することができます。


 

② その他オプションサービス

▪ Fleet Option Report、Mobility Data Insight(データ分析サポート)

当社サービス利用時に自動記録される各種モビリティデータを基に、SmartDrive Fleetの通常利用時よりも詳細に安全運転管理、労務管理、業務効率化、コスト削減、動産管理等を実施する顧客企業向けに、データ分析結果のレポートや管理用ダッシュボードを提供するオプションサービスです。サービス提供に際しては、当社サービス利用時に自動記録されたモビリティデータのみならず、顧客企業が保有する各種データ(リース料、保険料、燃料費、車種等の車両関連情報や地図情報等)も組み合わせた形での分析・管理も可能です。

 

▪ SmartDrive Fleet Basic

車載デバイス不要でスマートフォンで使用可能な、安全管理者の日報作成自動化などコンプライアンス対応に特化した、エントリー向けサービスです。

 

 ③ パートナー企業向けSmartDrive FleetのOEM提供、POC及びR&D支援

モビリティデータを活用して自社の既存事業の高付加価値化や新規事業創出を目指すパートナー企業に向けて、SmartDrive Fleet をホワイトラベルとしてOEM提供することで、パートナー企業における新規事業のスムーズな立上げ支援を行います。例えば、自動車メーカーやリース会社などのパートナー企業が、エンドユーザー(自動車購入企業やカーリース契約者等の既存顧客)向けに、クラウド型車両管理サービスを新規事業として、かつ自社ブランドとしてサービス提供開始するにあたって、データ管理のためのデータプラットフォームや既存のサービス管理画面など、エンドユーザーへのサービス提供に向けた導入支援やサービス立上げ支援を当社が行い、サービス提供開始後はエンドユーザー数に応じて、パートナー企業との間でレベニューシェアを行います。

当該取組みは、パートナー企業にとっては新規事業の早期立ち上げや既存顧客との接点強化、顧客生涯価値の拡大を可能にするものであり、当社グループにとってはパートナー企業自体が大口顧客となり、エンドユーザーへのディストリビューターとして当社サービスの拡販に繋がるものといえます。

 

 

(SaaS基盤提供(サービスOEM提供)における協業事例)


その他POCやR&D支援として、当社が車両走行データやカーシェア利用データ、電気自動車の充電データ等各種モビリティデータを収集し、パートナー企業が保有するその他データを掛け合わせ、それらの解析支援を行うことで、パートナー企業と共同で新規商材やサービスの開発を行っております。例えば、保険会社をパートナー企業として、当社はデータプラットフォームに収集された車両の走行データに基づき、該当車両が将来事故を起こす確率と予測された事故率に基づいて保険料を柔軟に設定・算定できるAI(テレマティクス保険用リスクAI)モデルを保険会社に提供し、保険会社では当該モデルを活用した新たな保険商品(テレマティクス型保険)の開発と販売を行っております。

 

(テレマティクス保険における協業事例)


 

[事業の特徴]

 a. SaaS型の容易なサービス導入

 クラウド経由でのサービス提供を前提とし、ユーザー側でのサーバーやソフトウェア等の設備投資は不要で、インターネット経由でのサービス利用となるため、低コストでの導入が可能となります。また、ソフトウェアの保守や機能追加等は当社グループにて一括実施するため、運用コストも安価で、中小企業での導入も容易となっています。

 b.マルチデバイス対応

 当社グループのサービスは、車種を問わずに脱着が容易なシガーソケット型デバイスを用いることで、車両保有形態(リース車両、保有車両、カーシェア、レンタカー、借上車両)を問わずに利用可能です。また、他社製ドライブレコーダーや車載用Wi-Fiルーターとの連携、及び一部機能の制限はあるもののETC2.0やスマートフォンとも連携しており、マルチデバイスでのサービス提供や、モビリティデータの分析・解析が可能です。

c.リカーリングレベニュー(*7)による安定性と成長性の実現

 サービス料金は主に顧客企業の利用期間やユーザー数等に応じてサブスクリプションとして課金しています。継続的なサービス提供を前提とし、収益も継続的に積み上がるストック型ビジネスとしての安定性、かつ新規契約数の増加に伴い高い成長性も見込めるビジネスモデルとなっております。また、複数年間契約が主体で、契約金額を一括前払いにて回収しているためキャッシュ・フローの観点でも安定性が見込めます。

d.国内AO事業におけるパートナー企業との連携

 パートナー企業の既存顧客との接点、及び販売チャネルが効果的に機能することで、導入企業数(エンドユーザー数)の増加が見込めます。

e.データを活用したクロスセルの実現

各サービスを通じて収集したモビリティデータを活用することで既存サービスに加え、提供サービスの高付加価値化に資する分析データや予測データの提供など、クロスセルや更なるマネタイズが可能となります。

 

なお、*の用語については後記「用語の定義」をご参照ください。

 

[モビリティデータプラットフォームとしてのポジショニング]

  上記各種サービスの提供を可能とするデータ解析基盤として、国内FO事業や国内AO事業を通じて収集されるモビリティデータを格納し、当該データの利活用が可能となるよう加工・解析を行っております。当データプラットフォームの構築によって、新規サービスの創出やクロスセルの実現、テレマティクス保険用リスクAI(*8,*9)の開発などパートナー企業の新規事業立上げ支援の実現が可能となり、当社グループのビジネスモデルを支える重要な役割を果たします。


 

 以上を踏まえた、当社グループの事業領域とサービスの流れ、事業系統図は以下のとおりです。

 

[事業領域とサービスの流れ]

 マルチデバイス対応による車両のコネクテッド化と各種モビリティデータの収集、データの利用価値を高めるデータプラットフォームを介したサービス作りと顧客への各種サービス提供、OEMパートナー企業に向けたデータ活用支援や事業化支援など、これら一連の事業・サービスを一気通貫で提供しております。


 

[事業系統図]


 

[用語の定義]

 本書記載内容に対する理解を容易にするために、また、正しい理解をしていただくために本書で使用する用語の定義と解説を以下に記載します。なお、番号は本項「3 事業の内容」の文中において*で示した用語と対応しています。

番号

用語

用語の定義

*1

クラウド

クラウドコンピューティングの略称。ユーザー側がサーバーやソフトウェア等を保有するのではなく、インターネットを介してユーザーがサービスを利用する形態。

*2

DX

デジタルトランスフォーメーションの略称。企業がビジネス環境の変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争優位性を確立すること。

*3

モビリティデータ

車両をはじめとする移動体関連データ、関連分野データ、派生データ等

*4

SaaS

Software as a Serviceの略称。クラウドで提供されるソフトウェアサービスのこと。ユーザー側でソフトウェアを保有するのではなく、サービス提供側がソフトウェアの機能をクラウド上で提供し、インターネットを介してユーザーがサービスを利用する形態。

*5

OEM

Original Equipment Manufacturingの略称。委託者や発注元の名称・ブランドで製品やサービスを生産・提供すること。

*6

POC

Proof of Conceptの略称。新しい概念や理論、原理、アイディアの実証を目的とした、試作開発の前段階における検証やデモンストレーション、概念実証を指す。

*7

リカーリングレベニュー

継続型収益。リカーリングは「繰り返される」という意味であり、リカーリングビジネスとは一度の取引で完了するのではなく継続して取引を行い、安定した収益を得ることができるビジネスモデルのこと。リカーリングビジネスで得られる収益をリカーリングレベニューと呼ぶ。

*8

AI

Artifical Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピューターシステム。

*9

テレマティクス保険

テレマティクスとは、通信を意味するテレコミュニケーションと情報科学を意味するインフォマティクスを組み合わせた造語で、移動体に通信を組み合わせて、リアルタイムに情報サービスを提供することの総称。

そして、テレマティクス保険とは、テレマティクスを利用して、走行距離や運転特性といった運転者ごとの運転情報を取得・分析し、その情報を基に保険料を算定する自動車保険を指す。

*10

フリートオペレーター

ここでは、車両を介して、「3 事業の内容」に記載された各種サービスを利用するエンドユーザーを指す。

*11

アセットオーナー

ここでは、完成車メーカーやリース会社、保険会社等、車両を活用する企業に対して、主に保有する社内資産を介してサービス提供を行う事業会社を指す。

 

 

 

4 【関係会社の状況】

名称

住所

資本金
 

主要な事業
の内容

議決権の所有

(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

SmartDrive Sdn. Bhd.
(注)1

Selangor,

Malaysia

1,515千マレーシアリンギット

海外モビリティDX事業

100.0

役員の兼任

業務委託費の支払

デバイス輸出販売

 

(注) 1.特定子会社であります。

2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2023年9月30日現在

従業員数(名)

83

 

(注) 当社グループは、モビリティDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2023年9月30日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

81

36.1

3.3

7,096

 

(注) 1.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含めております。

2.当社グループは、モビリティDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。