第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社のコーポレートアイデンティティは「すべての産業界へ革新的なストラクチャードファイナンスの効用を浸透させる」であります。金融環境の変化に応じた先端的・革新的な金融商品や「仕組み」を作り、多様化する顧客のファイナンス・ニーズに対応するとともに、顧客の企業価値、資産価値の最大化を通じて、関係するすべてのステークホルダーの満足を実現して参ります。

 

(2) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき課題

日本の企業や地域社会においては、原材料やエネルギー価格の上昇による採算悪化や、人口減少と少子高齢化による税収減や人手不足など、様々な課題が発生しております。

こうした中で、経営者の高年齢や後継者の不在などの課題を抱えた企業から、当社が企業の買い手となり売却先を見つける「事業承継ソリューション業務受託」とこれに付随する「プライベートエクイティ投資」への引き合いが高水準で続いています。また地域社会からは、地方財政の悪化や施設の維持更新、エネルギー価格上昇等の社会課題に対応するソリューションが求められています。

当社グループはこのようなニーズに対応することで、高い付加価値を生み出して収益力を高めるとともに、関係するすべてのステークホルダーの満足の実現と地域社会の発展に貢献して参ります。そのために、以下の当社グループの事業分野においてそれぞれの課題に取り組んでおります。

① 投資銀行業務、投資業務

・事業承継ソリューション業務受託とプライベートエクイティ投資の強化。

・顧客ニーズに即した商品組成と販売強化。

・金融機関借入等による投資資金の確保。

② 投資運用業務

・預り資産残高の増加によるストック型収益基盤の拡大。

③ 地域課題ソリューション

・大規模自治体を中心とする財務書類作成支援業務等の営業強化。

・公共施設の個別施設計画策定支援や公共財のプロジェクトマネジメント案件等の受託の増加。

・地域の重要施設の新設や維持更新を目的とするファイナンス・ソリューションの提供を通じた街づくり支援。

④ メッツァ

・広告宣伝、国内外営業強化とコスト構造の見直しによる集客力・収益力向上。

・㈱ライツ・アンド・ブランズ株式売却資金を原資とする魅力ある新たなコンテンツ等の導入。

⑤ 人的資本

・新たな価値を創造し事業拡大を支える優れた人材の採用と、育成、維持のための人事課題の改善。

なお当該事項は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に詳細を記載しています。

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、株主価値の最大化のため資本を効率的に活用することを重視し、効率性を計る尺度として、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標として位置づけ、ROEが安定的に20%超となることを目指す方針として、収益力の強化を推進することを2023年11月に公表しました。

当該指標の実現に向けて、収益力の強化を中心に、以下の施策を推進してまいります。

収益力の強化

事業承継ソリューション業務受託などの高収益事業を中心に各事業を強化

   詳細は上記(2)に記載のとおりです。


優れた人材の採用、育成、維持を推進  人的資本を強化

2023年9月期に国内の投資銀行事業セグメント各社で、人事評価・報酬制度を見直したが、更に人事課題の改善を進める。

 

中長期的な視点でのコストコントロール

メッツァビレッジの敷地内に、自家消費を目的に太陽光発電設備設置を計画。

中長期的な電気料金削減とともに再生可能エネルギー事業の実績・ノウハウ獲得を狙う。

CO2排出削減によりソーシャルリスクも低減。

資産効率性の

改善

定期的に投資ポートフォリオのレビューを行い、資本を配分
 
流動化に向けたメッツァビレッジの収益性向上

財務レバレッジの

改善

成長投資のためのデット調達の拡大
   連結財務諸表における借入金は、ムーミンバレーパークへのプロジェクトファイナンスで

  占められており、当社の借入残高は僅少。借入を使った投資により成長戦略を加速。
 
株主還元の実施

 投資のチャンスを逃さない手元流動性を確保したうえで、

 創出した利益による株主還元を実施。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社では、コーポレートガバナンス・ガイドラインにおいて「ステークホルダーの期待や要請を踏まえて社会的責任を果たすため、投資銀行事業の領域を中心に、地球環境や社会が抱える様々な課題を解決し、持続可能な成長と社会的問題の解決に貢献する。」というサステナビリティ基本方針を定めています。この方針のもと、当社グループは気候変動問題をはじめとした地球環境の危機や格差問題などの様々な社会的課題に対し、事業への投資やストラクチャー(仕組み)の組成等による金融ソリューションの提供を通じて課題解決を図ることで、持続可能な社会の実現と、当社グループの持続的な成長の両立を目指し、SDGsへの貢献も踏まえ事業を推進しております。

 

(1) サステナビリティに関するガバナンス及びリスク管理

当社では、取締役会がサステナビリティ基本方針を定めるとともに、サステナビリティに関する重要課題を審議・決定するための最高意思決定機関となっています。取締役会は、各部門やリスクマネジメント・コンプライアンス委員会、グループ会社における会議体等で検討し抽出されたサステナビリティのリスク及び機会について審議し、対応方針を決定して、各部門、グループ会社がその具体的な対応方法を検討し、実行します。取締役会は、その進捗状況の報告を受け、実効的な監督を行っております。

取締役会を含む当社のガバナンス及びリスク管理の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

当社グループにおける最も重要なサステナビリティ課題は、人的資本の拡大です。優秀な人材の採用、人材の能力やスキルの向上、仕事への向き合い方の改善などを通じてその価値を最大化し、様々な社会的課題の解決に貢献することにより、持続可能な社会の実現と、当社グループの持続的な成長を果たしてまいります。

なお、当社グループは、様々な業種、業態の企業で構成されており海外企業もあります。このため人材戦略等は、全ての連結会社で同様の取り組みを実施しているわけではないことから、以下の「人材戦略及び社内環境整備に関する方針と取組」と「(3)指標及び目標」は、投資銀行事業とエンタテインメント・サービス事業における、主要な会社について記載いたします。

 

人材戦略及び社内環境整備に関する方針と取組
① 投資銀行事業(対象会社:当社、フィンテックアセットマネジメント㈱)

当社グループの中核的な事業である投資銀行事業において顧客のニーズに応えるためには、金融、会計、法律、税務、不動産を中心とした高度な専門知識を持つ人材の知識及び経験を有機的に結びつけることが必要です。当社グループの強みは多様な役職員の知識及び能力を結び付けることにより、商品や仕組みを生み出すノウハウを持つことであり、またそれらによりイノベーションを起こすべく様々なチャレンジができる企業風土であります。今後の持続的成長のためには、専門知識を有した人材の確保及び育成並びにコミュニケーション、エンゲージメントの向上が重要な課題であると認識しております。

・確保

当社グループは、国籍・性別等を問わず高度な知識及び技能並びに経験を有する人材の採用を積極的に行っています。育児休暇の取得推奨、カフェテリアスペースの充実、DX推進等働きやすい環境の整備を目指しております。また、会社負担による人間ドックの受診を促進する(40歳以上)など、心身ともに健康で仕事に取り組めるようにしております。

・育成

当社グループの業務に要する専門知識習得のための補助金制度、報奨金制度などを整備し従業員の知識及び技能習得を後押しできる環境づくりを目指しています。

また、各部門の目標に合わせた個人目標を上期・下期にそれぞれ設定する目標管理制度を導入し、各従業員の実績に基づいた人事評価を行いつつ、各職階に求める行動特性を明示し各従業員の能力や適性に基づいた評価を行うことで、個人の自主的な目標設定と、当該目標達成に向けた研鑽を促し当社グループの求める能力や立ち振る舞いを身に付けられるよう取り組んでおります。

・コミュニケーションとエンゲージメントの向上

当社グループでは、所属している企業を問わず横断的に、営業・管理等の機能に応じた会議を週次もしくは月次で行うことで、グループ全体にもたらされるビジネスチャンスやリスクに対しての対応方針を検討する場を設けています。当該会議により様々な知識及び経験並びにバックグラウンドを持つ人材の見解を吸い上げ検討し、企業としての意思決定を行うとともに、従業員が多角的な視野を身に付けることを促します。そして従業員間のコミュニケーションが図られ、従業員と会社とのつながりと、仕事に対する活力と熱意(エンゲージメント)が醸成されるよう取り組んでおります。

 

② エンタテインメント・サービス事業(対象会社:㈱ムーミン物語)

㈱ムーミン物語は、ムーミンバレーパークの人材採用と育成を重要課題とし、研修プログラムの充実などを通じてホスピタリティを追求していくほか、スタッフが働くことを通して自らの成長を実感し、安心して楽しく働き続けることができるよう、人事・労務制度見直し、システム改修などを実施し、組織の生産性を上げています。

このような中で、与えられた役割を性差問わず従業員が最大限に発揮し長期にわたり組織に貢献できる仕組みをつくることを基本方針として、女性従業員の積極的な採用(積極的な管理職登用)、定着に向けた仕組みづくり(業務の効率化を図り積極的な休暇の取得)、従業員のキャリア形成(教育体制の見直し、研修スタイルの確立)などを推し進めています。

 

(3) 指標及び目標

① 投資銀行事業(対象会社:当社、フィンテックアセットマネジメント㈱)

当社及びフィンテックアセットマネジメント㈱は、事業承継案件への投資などにより急速に業績を伸ばし、連結業績を牽引しています。各業務が拡大基調となる中で、質の高い人材の確保が急務であった当連結会計年度は、「(2)戦略」に記載の人事評価に基づく報酬制度を見直して、スキルや貢献意欲、収益貢献度などをこれまで以上に報酬に反映できるようにしました。昇格についても能力により早期に次のグレードで活躍できる制度とするなど、人事評価・報酬制度などを優先的に整備しました。

これを土台として、人材の多様性の確保を含む人材育成と、コミュニケーション、エンゲージメントの向上のために社内環境整備を進めていく予定ですが、現時点ではこの進捗をモニタリングする指標及び目標の設定には至っておりません。適切な指標と目標設定については今後の課題として検討して参ります。

 

② エンタテインメント・サービス事業(対象会社:㈱ムーミン物語)

(計画期間 2022年1月24日-2027年1月23日)

指標

目標

実績

女性管理職比率

50%以上

 

50.0%(2023年3月末)

45.2%(2021年12月末)

年次有給休暇取得率

年次有給休暇の取得を推進

74.9%(2023年3月期)

83.2%(2021年3月期)

平均勤続年数

男性

2.3年(2023年3月末)

2.5年(2021年12月末)

女性

2.2年(2023年3月末)

2.2年(2021年12月末)

女性比率

81.0%(2023年3月末)

79.4%(2021年12月末)

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループでは、事業等のリスクを、将来の経営成績に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、「特に重要なリスク」「重要なリスク」に分類しております。また、文中における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  投資銀行事業(メッツァ関連を除く)

(特に重要なリスク)

① 投融資(プリンシパルインベストメント)

当社グループでは、当社グループ自身が資金供給者として企業や不動産等に投融資(ファンドを介した投融資を含む)を行うプリンシパルインベストメントを行っており、当連結会計年度末の営業投資有価証券は2,848百万円、営業貸付金は346百万円、営業貸付金に係る貸倒引当金は80百万円となっております。企業への投融資においては、投融資の対象企業やファンドの投資先企業の多くは未上場であり、収益基盤や財務基盤が不安定で経営資源も制約されています。このような企業の株式等への投資については、上場企業の株式に比較して流動性が著しく低く、当社グループの希望する価額・タイミングで売却できる保証はありません。このため、投資によるキャピタルゲインが得られるかどうかについての確約はなく、キャピタルロスが発生するリスクや長期間売却できないリスク、撤退時における追加の資金負担といったリスクがあります。融資についても、回収できる確約はなく貸倒れとなるリスクがあります。このように投融資については、期待通りの収益が得られない場合や投融資資金が毀損する可能性があります。さらに、取引に内在する固有のリスクや担保対象資産の固有のリスク次第では、業界の景気動向が一般的に良好な場合であっても、損失を生む可能性があります。以上のような投融資活動に伴い、当該投融資先が連結対象に加わった場合、マイナスの影響が発生する場合もあり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

不動産等への投融資に関しても、流動性やキャピタルロス、評価損、貸倒れといったリスクがあります。なお当社はメッツァビレッジを販売用不動産として保有しておりますが、これに係るリスクについては、「(2) メッツァ関連①メッツァビレッジ(販売用不動産)の評価減」をご覧ください。

 

当社グループでは、これらのリスクを管理するため、投融資案件に関しては、担当部門で投融資先の事業内容、信用状況、担保・保証等の状況、成長性及び採算性などを検討して起案後、社内規程に従い審査部門や取締役会等により慎重に審議、決裁した上で実行することとなっております。投資実行後には、投資先の課題の解決や営業上の支援、財務再構築などを行い、価値の最大化につながるモニタリングを行っております。

 

(重要なリスク)

① ファイナンスアレンジメント業務

当社グループの投資銀行事業におけるファイナンスアレンジメント業務は、顧客企業の資金調達等や当社がプリンシパルインベストメントを行うために仕組み作りを行いますが、これは顧客の特定の資産証券化ニーズや資金需要、事業ニーズ、事業承継等に対応するものであり、必ずしも同じ顧客から繰り返し案件を獲得できるとは限りません。このため同業務では、事業体質として絶え間ない営業活動による案件の獲得が必要となります。このため、当社グループは、取引先の会計士や金融機関などのネットワークを拡大することにより案件獲得機会を増やし、事業承継などの顧客ニーズを的確にとらえた、最適なサービスや金融商品を提供していくように努めております。また、同時に投資運用業務などの安定収益源の拡大や収益の多様化を推進して参ります。

 

② 投資運用業務及びファンド運営

当社グループの行う投資運用業務においては、景気悪化による不動産や企業等への投資意欲の減退、取引の減少などによる案件の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
  当社グループの行うファンド運営においては、当社グループは無限責任組合員又は営業者として、ファンドを管理運営しております。ファンドの運用成績が芳しくない場合、又は出資者対応が適切に行えなかった場合には、当社グループが運営するファンドに対する社会的信用及び投資家からの信頼の低下を招き、新規ファンドの設立及び募集が困難になる恐れがあります。また、上記「投融資(プリンシパルインベストメント)」と同様に、投資対象が不動産や未上場株式の場合、取引参加者の意向により取引条件が大きく変動し、当社グループの希望する価額・タイミングで売却できる保証はありません。その結果、ファンドから受領する業務受託報酬について当社グループが期待する水準から増加又は減少する可能性があります。また、無限責任組合員又は営業者として、その出資額を超える損失を負担する可能性や、善管注意義務違反、利益相反等を理由とする訴訟を受けることで、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 不動産投資運用業務及びファンド運営による連結範囲の変更について

 当社グループが行う不動産投資運用業務及びファンド運営に係る特別目的会社等については、特別目的会社等への支配力や影響力により、個別に連結、非連結を判断しております。今後、新たな会計基準の設定や、実務指針等の公表により、特別目的会社等に関する連結範囲の決定について、当社グループが採用している方針と大きく異なる会計慣行が確立された場合には、当社グループの連結範囲決定方針においても大きな変更が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 役員派遣について

当社グループは投資先企業の価値向上のため、役職員を投資先企業の役員として派遣することがあります。その役職員個人に対し役員損害賠償請求等があった場合、当社グループがその個人に生じた経済的損失の全部又は一部を負担する可能性があるほか、当社グループに使用者責任が発生する可能性があります。 

 

⑤ 為替変動リスク

SGI-Group B.V.をはじめとする海外グループ会社の売上高、費用、資産・負債等は、当社の連結財務諸表作成のために円換算されることから、為替相場の変動による影響を受けることになります。
 また、当社グループのプリンシパルインベストメントにおける海外企業やファンドに対する投融資では、現地通貨建てで行われることがあります。従いまして、円高は回収時の邦貨での回収額を減少させることになります。逆に円安は取得時の邦貨での取得価額を増加させることになります。また、当社グループの資金は外貨建てで運用する場合もあり、この場合円高は為替差損を発生させることになります。これらの為替変動リスクは当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ カントリーリスク

当社グループのプリンシパルインベストメントにおける海外企業やファンドに対する投資では、投資対象国・地域において、政治・経済情勢の変化等により市場に混乱が生じた場合、または資本取引等に関する規制の変更や新たな規制が設けられた場合には、投資によるキャピタルゲインが大幅に変動することがあります。新興国では、一般的に先進諸国の企業投資に比べ、市場規模が小さく流動性も低いことなどから、前述したリスクが大きくなる傾向があります。その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また当社は、現在オランダのSGI-Group B.V.を持株会社とする海外子会社が5社ありますが、所在地の法令、制度・規制、社会情勢等をはじめとしたカントリーリスクが顕在化し、円滑な事業推進を行うことが困難になった場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、投資決定時のリスク分析及びモニタリングによりリスクの軽減を図っておりますが、カントリーリスクを完全に回避できるものではなく、リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(2) メッツァ関連

(特に重要なリスク)

① メッツァビレッジ(販売用不動産)の評価減

メッツァビレッジは2018年10月に竣工し、同年11月より営業を開始しておりますが、当社はメッツァビレッジについて開発、バリューアップ後に売却する方針であるため販売用不動産としております。販売用不動産の評価については、期末における正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を正味売却価額まで減額し、当該減少額を評価損として計上します。2023年9月30日現在において、メッツァビレッジにおける販売用不動産は4,095百万円となっておりますが、正味売却価額が下落する場合は、評価損を計上する可能性があります。

 

② 固定資産の減損

当社の連結子会社㈱ムーミン物語が、ムーミンバレーパークにおいて保有する固定資産(有形固定資産、無形固定資産、長期前払費用)について、減損の兆候が認められ、かつ、割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を下回った場合には、減損損失が認識され、固定資産の価値を減少させることがあります。2023年9月30日現在において、ムーミンバレーパークにおける固定資産は4,755百万円となっておりますが、コロナ禍によりムーミンバレーパークは経営環境が著しく悪化したため減損の兆候はあるものの、一定の来園者数などを前提とした割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を下回らないため、当連結会計年度にはムーミンバレーパークにおける固定資産の減損損失を認識しておりません。しかしながら、今後当社グループが想定した来園者数の水準を下回るなどの状況が長期間続く場合、固定資産の減損損失を計上する可能性があります。

 

③ 有利子負債

ムーミンバレーパークの開発において、飯能地域資源利活用合同会社は金融機関から56億円を借り入れし、㈱ムーミン物語はセール・アンド・リースバックにより9億円を調達しております。このように長期かつ固定金利での借入等を主とすることにより、短期的な金利上昇リスクへの対応を図っております。また㈱ムーミン物語は、上記のほか運転資金の確保を目的として金融機関から資金を借り入れております。

このような中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりメッツァの臨時休園とその後の入園者減少があり、メッツァの運営による収入は大きく減少しました。このため当社グループは、費用削減による収支均衡策を推進し、㈱ムーミン物語は政府系金融機関の制度融資により3億円の長期借入金を調達するとともに、飯能地域資源利活用合同会社(SPC)及び㈱ムーミン物語は金融機関の借入金の返済猶予の承諾を得ておりました。当連結会計年度は金融機関借入の返済に向け、㈱ムーミン物語は金融機関との間で、同社がSPCに支払う不動産賃借料の見直しに合意し、当該賃借料を原資とするSPC借入金返済及び㈱ムーミン物語の借入金返済を2023年9月末から開始しました。これらの借入金は2024年3月に返済期限を迎えるため、今後、金融機関と協議の上、借り換え手続きを行いますが、借り換えの諸条件によっては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(重要なリスク)

① ライセンス契約

㈱ムーミン物語は、ムーミンの権利者であるMoomin Characters Oy Ltdの独占代理店であるR&B Licensing ABと日本国内におけるムーミンテーマパーク運営に関する独占的なライセンス契約を締結しております。当該契約の概要については、「5 経営上の重要な契約等」のとおりでありますが、当該契約が更新されない場合、又は契約が解除された場合、ムーミンバレーパーク運営の継続が困難となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、㈱ムーミン物語は、Moomin Characters Oy Ltd及びR&B Licensing ABから一部出資を受け、また取締役の派遣を受けて密接なコミュニケーションを取りながら、日本におけるムーミンの市場拡大に努めております。

 

② 事故や製商品の不具合等のリスク

メッツァのアトラクション、商品、飲食などに万一の事故(アトラクション事故、欠陥商品販売、異物混入など)があり、来園者に重大な危害が加わる事態が発生した場合には、安全を最優先する当社グループへの信頼の低下、ブランドの毀損及び訴訟などの多額の費用負担などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。メッツァビレッジにおいてはテナントの事故等によっても当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 天候に係るリスク

テーマパークは、天気や気温などにより来園者数が変動しやすい事業です。メッツァは、自然を利用した屋外型の施設も多くあるため天気や気温によって来園者数に影響を受けやすく、悪天候や猛暑等が長期に及ぶ場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ ブランド低下のリスク

・ハード面(施設・サービスなど)のクオリティ

 メッツァは、魅力を高めるべくハード面のクオリティ向上に努めて参りますが、不測の事態により適切なタイミングでの投資などができず、クオリティが低下した場合、入園者数の減少などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、ムーミンバレーパークでは、2023年7月の㈱ライツ・アンド・ブランズ株式売却資金による設備投資計画の検討を進めております。

・ソフト面(スタッフのホスピタリティなど)のクオリティ

 メッツァは、多くのスタッフによって支えられます。また、スタッフのホスピタリティによって、来園者に高い満足を提供することが可能となります。スタッフへの教育のみに留まらず、スタッフが働き甲斐のある職場環境を整備して参りますが、不測の事態によりスタッフの人員不足などが生じ、クオリティが低下した場合、入園者数の減少などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) グループ全体

(重要なリスク)

① 法的規制、コンプライアンス、免許・許認可等

当社グループが行う投資銀行事業において、各種法的規制や自主規制を受けている又は受ける可能性があります。主な法的規制としては、金融商品取引法、貸金業法、不動産特定共同事業法、建築基準法、都市計画法、国土利用計画法、住宅品質確保促進法、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)、宅地建物取引業法等があり、自主規制としては、日本投資顧問業協会、第二種金融商品取引業協会、日本貸金業協会等の規則等があり、グループ会社や投資先が海外の企業等である場合はそれぞれの国又は地域での法令及び規制を遵守する必要があります。

また当社グループはエンタテインメント・サービス事業において、メッツァを運営しておりますが、これに係る主な法的規制としては、消防法、建築基準法、食品衛生法、個人情報保護法等があります。
 今後の法規制の制定・改廃や当局の法令解釈の変更等が、当社グループの事業の範囲、業務遂行に必要となるコストや事業に関するリスクに変更を生じさせ、業績及び事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。また、法令又は法令解釈の変更などにより、諸法令で要求される許認可等を新規に取得する、または法令等を遵守する態勢を構築する際には、追加の人材の確保、その他のコンプライアンス関連のコストが必要になることが予想されます。さらに、法令や諸規則に抵触した場合は、各種許認可の登録取消や業務停止命令を受ける可能性があるばかりでなく、重大な虚偽又は誤認表示に対する責任、アドバイスが不正確であったことに伴う責任が発生することも考えられます。エンタテインメント・サービス事業においては、運営する施設の評判に悪影響を与え、入園者数の減少などの当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。実際に当社グループに過失がなかった場合にも、これらのクレームが寄せられることにより、多額の訴訟費用、損害賠償責任を負担するリスク、風評リスクが発生する可能性があり、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

このリスクへの対応策として、当社及び当社子会社は、役員、従業員が遵守すべきコンプライアンスに関する規範として「FGIグループ コンプライアンス規範」を定め、コンプライアンスの確立に努めております。また、グループ各社の属性に応じて、規程を整備するとともにコンプライアンスに関する継続的な啓蒙活動や研修等により法令遵守の徹底を図っております。金融商品取引法等により許認可を受けている当社及び当社子会社では、業務の遵法状況態勢及び対策の検討・策定等などコンプライアンスに係る課題を審議する委員会をそれぞれ有し、運営しております。投融資や業務受託等にあたっては、グループ各社のコンプライアンス担当部門又は委員会が案件毎に審査・審議を行う態勢を整備、運用しております。

 

② 人材の確保、育成

当社グループの投資銀行事業においては、投資や不動産に関する高度な知識や経験を有する優秀な人材の確保・育成が不可欠であり、公共コンサルティング事業では地方公会計の知見がある人材の確保・育成が必要です。また、メッツァ運営における企画や接客等においても、質の高い人材を確保することが重要であります。

現在在職している人材が一度に流出するような場合や、当社グループの求める人材が十分に確保できなかった場合、人材を育成していく体制が十分に整備できない場合には、事業に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、事業規模の拡大に伴い、優秀な人材の採用を実施し、各種教育体制の充実やモチベーションを向上させる施策を実施・拡充し育成に努力するとともに、労働環境の改善を継続して人材の定着を図っていく方針です。

 

③ 自然災害、テロ、伝染病の発生等

台風、洪水、地震等の自然災害発生時には、当社グループが保有又は運用するファンドの投資対象となっている施設が被害を受け、また交通機関及びライフライン(電気・ガス・水道)への影響が想定され、収入の減少又は消失、施設の価値の毀損等が発生する可能性があります。またテロ事件や伝染病の蔓延等が発生した場合は、レジャーに対する消費マインドの冷え込みなどが想定されることから、メッツァの来園者数の減少などに影響がある可能性があります。

当該リスクへの対応策として、グループ主要各社においてBCP(事業継続計画)を策定し、被災時でも重要な事業を継続または早期復旧できるよう準備を行っております。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大については、感染症法上の位置づけが5類感染症となり、日常生活の行動制限が撤廃されるなど一定の収束がみられ、社会経済活動は正常化に向かいましたが、新たな変異ウイルスによる感染拡大等により、メッツァを中心に当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 業績の変動

当社グループの投資銀行事業のうち、不動産・企業の投資回収等は、案件1件当たりの収益費用が大きくなります。また取引時期は取引参加者の意向も反映されるため、当社グループが希望する時期での取引が必ずしも可能ではありません。このため、収益費用の計上時期が偏り、業績が大きく変動する可能性があります。

また、エンタテインメント・サービス事業のメッツァにおいては、冬季に来園者数が低水準に留まる傾向があり、売上が影響を受ける可能性があります。

 

⑤ 連結除外

投資先企業で連結の範囲に含まれている子会社について、持分の売却等により、連結の範囲から除外される可能性があります。

なお、2017年7月に当社から飯能地域資源利活用合同会社にムーミンバレーパークの不動産を譲渡(譲渡額2,000百万円、簿価443百万円)した件について、当社子会社による当該不動産管理受託や出資など継続的関与があったため、当該取引を金融取引としており、未実現の利益があります。今後㈱ムーミン物語が連結除外される場合には、当該不動産譲渡については売却処理される可能性があります。

 

⑥ 当社グループのコンピュータ・システムについて

当社グループのコンピュータ・システムは、業務上不可欠なインフラとなっております。現状、業務上及びセキュリティー上必要とされる水準を備えていると考えておりますが、ハードウェア、ソフトウェアの不具合や人為的ミス、天災、停電、コンピュータウイルス、外部からのハッキング、テロ等によりコンピュータ・システムに障害が発生する可能性はあります。システム障害により生じた影響度合によっては、当社グループの事業活動及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、システムセキュリティの強化のほか、eラーニングなどによる情報セキュリティーに関する研修を継続的に実施して、役職員のセキュリティー意識向上を図っております。

 

⑦ 情報の管理について

当社グループが保有する取引先等の重要な情報並びに個人情報の管理について、情報管理規程、個人情報保護方針及び各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティー強化等、更なる情報管理体制の整備を進める方針ですが、今後、不測の事態により、これらの情報が漏洩した場合は、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの事業活動及び業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)  経営成績の概要

当連結会計年度は、投資銀行事業において事業承継問題を抱える企業を対象に財務アドバイザリーやアセットマネジメントなどを提供する事業承継ソリューション業務受託と、これらの企業を投資対象とするプライベートエクイティ投資(以下、「PE投資」)を推進しました。

当連結会計年度の経営成績は、第1四半期に㈱ライツ・アンド・ブランズ(以下、「RBJ」)を連結の範囲から除外したものの、事業承継ソリューション業務受託とPE投資の回収が順調に進捗したことにより業務受託収益及び投資収益が増加し、航空機アセットマネジメントも好調に推移したことにより、売上高は9,302百万円(前連結会計年度比0.0%増)、売上総利益は5,111百万円(前連結会計年度比28.1%増)となりました。販売費及び一般管理費は、事業拡大のための人員増強や外部委託の増加などにより前連結会計年度比10.7%増3,767百万円となりましたが、営業利益は売上総利益の増加により1,343百万円前連結会計年度比128.7%増)、経常利益は1,277百万円前連結会計年度比136.1%増)となりました。 親会社株主に帰属する当期純利益は、RBJ株式の売却益や負ののれん発生益などにより特別利益が579百万円となったことにより、1,603百万円前連結会計年度比810.4%増)となりました。

(単位:百万円)

 

2022年9月

(前連結会計年度)

2023年9月

(当連結会計年度)

増減額

売上高

9,301

9,302

0

投資銀行事業

4,973

6,919

1,945

公共コンサルティング事業

346

367

21

エンタテインメント・サービス事業

4,285

2,311

△1,974

消去

△303

△296

7

売上総利益

3,990

5,111

1,120

投資銀行事業

2,951

4,742

1,790

公共コンサルティング事業

189

211

21

エンタテインメント・サービス事業

975

305

△670

消去

△126

△147

△21

営業利益

(セグメント利益又は損失(△))

587

1,343

756

投資銀行事業

1,180

2,504

1,323

公共コンサルティング事業

△14

△34

△19

エンタテインメント・サービス事業

△34

△364

△329

消去又は全社費用

△543

△762

△219

経常利益

540

1,277

736

税金等調整前当期純利益

556

1,824

1,268

親会社株主に帰属する当期純利益

176

1,603

1,427

 

 

セグメント別の業績は以下のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高で表示しております。

 

① 投資銀行事業

投資銀行事業では、事業承継ソリューション業務受託において案件組成が順調に進捗し、PE投資を実行するとともに、組成した投資案件の回収も進みました。この結果、組成ファンドのアセットマネジメント受託によるアップフロントフィーや期中管理報酬、成功報酬等の業務受託収益が前連結会計年度比で増加するとともに、PE投資の回収による投資収益も増加しました。投資運用業務においては、海外機関投資家、国内機関投資家からレジデンス向け投資のアセットマネジメントを受託し収益を計上しておりますが、預り資産残高は前連結会計年度末比99.0%増の1,117億円となり、ストック型収益の基盤が強化されました。また航空機アセットマネジメントにおいては、コロナ禍の沈静化により機体検査や機体返還などの技術サービスは減速したものの高水準の売上を維持しており、航空機登録の増加や航空機リマーケティングなどの新たな取り組みにより好調に推移しました。

以上の結果、投資銀行事業の売上高は6,919百万円前連結会計年度比39.1%増)、セグメント利益は2,504百万円(前連結会計年度比112.1%増)となりました。

 

② 公共コンサルティング事業

公共コンサルティング事業では、財務書類作成のコンサルティングについて大規模自治体を軸に営業活動を推進していますが、令和5年度(2023年4月~2024年3月)における都道府県の財務書類作成受託件数は前年度と比べ1件増加し9件、政令指定都市・特別区についても1件増加し12件となり堅調に推移しました。また、公共施設等総合管理計画の見直しに関しては、総務省は見直しが未完了の地方公共団体は2024年3月末までに完了とすることとしているため、見直しを支援する業務について積極的に営業活動を推進しました。

公共コンサルティング事業の売上高は、国が各自治体に配布した公会計ソフトのサポート終了に伴って発生した提携先のソフト販売による売上高の増加があった前連結会計年度の反動がありましたが、公共施設等管理計画策定の支援業務の受注が増加したことにより367百万円前連結会計年度比6.3%増)となりました。セグメント損益は受注拡大のための先行投資により費用が増加した結果、34百万円のセグメント損失(前連結会計年度は14百万円の損失)となりました。

 

③ エンタテインメント・サービス事業

メッツァ(メッツァビレッジ及びムーミンバレーパーク)は、来園者数が前連結会計年度比14.6%減の63万人となりましたが、ムーミンバレーパークの入園料金を改定したほか物販・飲食の顧客単価が上昇したことにより、メッツァ関連の売上高は前連結会計年度比4.1%減の2,311百万円に留まりました。

ライセンス関連については、同業務により前連結会計年度に売上高1,877百万円を計上していたRBJを第1四半期連結会計期間より連結の範囲から除外し持分法適用の範囲に含めることとしました。このため、同社業績については当セグメントでは計上せず、営業外損益において持分法による投資損益として計上しておりましたが、当社子会社㈱ムーミン物語は保有するRBJの全株式を2023年7月14日付で譲渡したことにより、RBJは第4四半期連結会計期間より当社の持分法適用の範囲から除外されました。

なおムーミンバレーパークでは、コロナ禍からの本格的な回復を目指し、経営陣及び財務の強化を推進しました。経営陣については、西武グループからレジャー・アミューズメント施設の開発・運営経験者を㈱ムーミン物語へ取締役として招聘しました。また、RBJ株式の譲渡により設備投資、マーケティング費用を確保した上で、新コンテンツ等を導入する設備投資計画の検討を進めるとともに、テレビCMの試行、SNS情報発信の強化、インバウンド施策開始など、集客力を向上させて収益を高める基礎を固めました。

以上の結果、エンタテインメント・サービス事業の売上高は2,311百万円前連結会計年度比46.1%減)、セグメント損失は364百万円(前連結会計年度は34百万円の損失)となりました。

 

 

(2)  財政状態の概要

財政状態の概要は、「(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容  Ⅲ 財政状態の分析」において、分析・検討内容と一体的に記載しております。

 

(3)  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、2,868百万円(前連結会計年度末比492百万円増加)となりました。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動による資金の増加は615百万円(前連結会計年度は701百万円の減少)となりました。これは主に、売上債権の増加により335百万円、営業投資有価証券の増加により331百万円、関係会社株式売却益により386百万円、法人税等の支払額又は還付額により402百万円少したものの、税金等調整前当期純利益により1,824百万円、減価償却費により444百万円増加したことによるものです。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動による資金の増加は766百万円(前連結会計年度は141百万円の減少)となりました。これは主に、関係会社株式の売却により680百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入により280百万円増加したものの、関係会社株式の取得による支出により154百万円減少したことによるものです。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動による資金の減少は538百万円(前連結会計年度は802百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入により273百万円増加したものの、長期借入金の返済による支出により514百万円、リース債務の返済による支出により266百万円減少したことによるものです。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

内 訳

生産高(千円)

前期比(%)

投資銀行事業

不動産開発等

118,320

△20.9

 

(注) 生産高は、評価損等による減少を除く販売用不動産及び仕掛販売用不動産の増減額に売上原価を加えた金額により表示しております。

 

② 受注実績

当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

投資銀行事業

6,731,997

+41.8

公共コンサルティング事業

350,873

+5.0

エンタテインメント・サービス事業

2,219,454

△47.4

合計

9,302,325

+0.0

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

     2  主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

なお、前連結会計年度の下記の相手先への販売実績は、総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

青葉ホールディングス合同会社

1,322,199

14.2

 

3  投資銀行事業の販売実績が増加した主な要因は、事業承継ソリューション業務受託と付随するプライベートエクイティ投資の回収、並びに航空機アセットマネジメントによる売上高が増加したことによるものであります。

4 エンタテインメント・サービス事業の販売実績が減少した主な要因は、㈱ライツ・アンドブランツを連結の範囲から除外したことによるものであります。

 

 

(5)  経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下の通りであります。文中における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 Ⅰ  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、その作成にあたっては、経営者の主観的な判断を伴う見積りが必要になる項目があります。経営者はその見積りが合理的であると判断していますが、市況の変化等により将来の結果が異なるものとなり、連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

当社グループの重要な会計方針のうち、特に重要性の高い会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 Ⅱ 経営成績の分析

① 売上高、売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費並びに営業利益

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度にエンタテインメント・サービス事業においてムーミンのライセンス関連により1,877百万円の売上高があった㈱ライツ・アンド・ブランズ(RBJ)が連結除外された減収要因があったものの、投資銀行事業において業務受託とプライベートエクイティ投資、航空機アセットマネジメントがそれぞれ増収となった結果、9,302百万円と前連結会計年度と同水準となりました。

売上原価は、原価率が高いRBJが連結除外となった結果、前連結会計年度の5,311百万円より1,120百万円減少21.1%減)、4,191百万円となりました。

売上総利益は5,111百万円となり、前連結会計年度の3,990百万円より1,120百万円増加(28.1%増)しました。

販売費及び一般管理費は、事業拡大に伴う人件費や支払手数料の増加により3,767百万円となり、前連結会計年度の3,402百万円より364百万円増加10.7%増)しました。

営業利益は1,343百万円となり、前連結会計年度の587百万円と比べて756百万円増加128.7%増)しました。

 


 

 

投資銀行事業及びエンタテインメント・サービス事業の分析は以下のとおりとなります。なお、上記のグラフ及び下記のセグメント別の数値は、いずれもセグメント間の取引を相殺消去しない数値を使用しております。

(投資銀行事業)

投資銀行事業の業務別の売上高、及び売上総利益は、以下の通りです。


業務受託及びプライベートエクイティ投資については、事業承継の課題を抱えた企業に対し当社が買い手となり課題を解決する事業承継ソリューション業務受託とこれに付帯するプライベートエクイティ投資により、案件組成時のアップフロント報酬、期中報酬、投資回収時のディスポジションフィーや投資利益が増加したことや、航空機アセットマネジメントも好調も続いたことにより、売上高が増加しました。以上の結果、投資銀行事業の売上高は前連結会計年度比39.1%増6,919百万円となりました。
 売上原価は、アセット投資の原価率が改善して減少したものの、メッツァビレッジにおけるイベント関連費用や一部リニューアル費用の増加や、航空機アセットマネジメントにおける売上増加に伴う外部委託費用の増加により、前連結会計年度比7.7%増の2,177百万円となりました。

これらの結果、売上総利益は前連結会計年度比60.7%増4,742百万円となりましたが、販売費及び一般管理費は、事業拡大に伴う人件費や支払手数料などの増加により前連結会計年度比26.4%増の2,237百万円となり、セグメント利益は2,504百万円(前連結会計年度比112.1%増)となりました。

 

(エンタテインメント・サービス事業)

ムーミンバレーパークを含むメッツァでは、新型コロナウイルス感染症の第8波により上半期は積極的なプロモーションを控えたことや、同感染症が一定の収束を見せた2023年春以降は宿泊を伴う遠出に需要が集まり、関東近郊のレジャー施設が苦戦を強いられたこと、そして夏は猛暑が続いたことにより、来園者数は前連結会計年度比14.6%減の63万人となりました。ムーミンバレーパークでは、2023年5月1日から入園料を改定(大人 当日券3,400円を3,600円に改定など)したことや、物販・飲食客単価向上施策の実施などにより顧客単価が上昇したことにより、メッツァ関連の売上高は前連結会計年度比4.1%減の2,311百万円に留まりましたが、RBJが連結除外されライセンス事業の売上計上がなくなったことにより、エンタテインメント・サービス事業の売上高は前連結会計年度比46.1%減2,311百万円となりました。

売上原価はライセンス事業の売上原価の計上がなくなったことにより前連結会計年度比39.4%減の2,005百万円となり、売上総利益は前連結会計年度比68.7%減305百万円となりました。販売費及び一般管理費はライセンス事業の費用がなくなりメッツァにおける費用削減も進んだことにより341百万円減少しましたが、セグメント損失は前連結会計年度に比べ329百万円悪化し364百万円となりました。

 

(単位:百万円)

科目・内訳

2022年9月

2023年9月

増減額

売上高

4,285

2,311

△1,974

 メッツァ関連

2,408

2,311

△97

 ライセンス事業

1,877

△1,877

売上原価

3,310

2,005

△1,304

売上総利益

975

305

△670

販売費及び一般管理費

1,010

669

△341

セグメント損失(△)

△34

△364

△329

償却前セグメント利益 (注)2

445

12

△432

 

(注)1 他のセグメントとの取引を消去しない数値を使用しております。

2 償却前セグメント利益は、セグメント損失に売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる減価償却費及びのれん償却費を足し戻して算出しております。

 

エンタテインメント・サービス事業(メッツァ関連)の四半期毎の売上高、及びメッツァ来園者数の推移は、以下のとおりです。


②  経常損益

営業外収益は、前連結会計年度の為替利益27百万円がなかったものの、RBJの損益等による持分法による投資利益38百万円やメッツァに係る企業立地奨励金等による助成金収入26百万円などにより91百万円となり、前連結会計年度の90百万円と同じ水準となりました。営業外費用は、ムーミンバレーパーク開発のための金融機関借入やリース等による支払利息129百万円や為替差損21百万円により158百万円となり、前連結会計年度の137百万円より20百万円増加15.1%増)しました。この結果、経常利益は1,277百万円となり、前連結会計年度の540百万円より736百万円増加136.1%増)となりました。

 

③  特別利益

 特別利益は、㈱トリニティジャパンの株式取得による負ののれん発生益190百万円、及びRBJ株式の売却による関係会社株式売却益386百万円などにより、579百万円となりました。

 

④  税金等調整前当期純損益

税金等調整前当期純利益は1,824百万円となり、前連結会計年度の556百万円より1,268百万円増加228.1%増)しました。

 

⑤  法人税等、非支配株主に帰属する当期純損益、親会社株主に帰属する当期純利益

法人税等は180百万円となり、前連結会計年度の128百万円と比べて52百万円増加(40.5%増)しました。非支配株主に帰属する当期純利益は、飯能地域資源利活用合同会社において売掛債権についての回収可能性を見直し貸倒引当金繰入額を計上したことによる損失があったものの、SGI-Group B.V.の当期純利益が増加したことや㈱ムーミン物語が債務超過のため損失が非支配株主に配分されないことにより40百万円となり、前連結会計年度に比べて211百万円減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は1,603百万円となり、前連結会計年度の176百万円より1,427百万円増加810.4%増)しました。

 

 Ⅲ 財政状態の分析

① 流動資産

流動資産は、前連結会計年度末より13.2%増加し、12,477百万円となりました。これは主として、営業貸付金が25百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が241百万円新規投資やPE投資先のファンドが投資回収に至ってファンドの価値が向上したことなどにより営業投資有価証券が365百万円増加したことによるものです。

 

② 固定資産

固定資産は、前連結会計年度末より3.8%減少し、6,646百万円となりました。これは主として、ムーミンバレーパークの建物、内外装等の減価償却等により建物及び構築物(純額)が195百万円、工具、器具及び備品(純額)が161百万円、RBJを連結の範囲から除外したことにより無形固定資産のその他に含まれる商標権が333百万円減少したことによるものです。

 

③ 流動負債

流動負債は、前連結会計年度末より204.5%増加し、7,880百万円となりました。これは主として、ムーミンバレーパークの内外装に係るリース債務が111百万円減少したものの、1年内返済予定の長期借入金が5,552百万円短期借入金が77百万円増加したことによるものです。

 

④ 固定負債

 固定負債は、前連結会計年度末より75.3%減少し、1,849百万円となりました。これは主として、ムーミンバレーパークの内外装に係るリース債務が107百万円、飯能地域利資源利活用合同会社(子会社SPC)の借入を長期借入金から年内返済予定の長期借入金に振り替えたことにより5,893百万円減少したことによるものです。

 

⑤ 純資産

 純資産は前連結会計年度末より19.8%増加し、9,393百万円となりました。これは主として、非支配株主持分が177百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が6,738百万円増加したことによるものです。

 なお、2022年12月22日開催の定時株主総会の決議に基づき、資本金1,098百万円、資本準備金4,036百万円を減少させ、その他資本剰余金に振り替えるとともに、利益準備金を47百万円減少させ、増加したその他資本剰余金とともに繰越利益剰余金に振り替えて欠損填補に充当しました。

 

以上の結果、総資産は前連結会計年度末より6.6%増加19,123百万円、負債は前連結会計年度末より3.6%減少9,730百万円、純資産は前連結会計年度末より19.8%増加9,393百万円となり、自己資本比率は43.4%となりました。

 

 セグメントごとの分析は、次の通りです。
① 投資銀行事業

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の8,895百万円に対して1,660百万円増加し、10,556百万円となりました。これは主として、不動産信託受益権の販売が進んだものの、新規投資やPE投資先のファンドが投資回収に至ってファンドの価値が向上したことなどにより営業投資有価証券が増加したことや、投資回収や航空機アセットマネジメントの好調、㈱トリニティジャパンの新規連結によって現金及び預金や売掛金が増加したことによるものです。

 

② 公共コンサルティング事業

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の212百万円に対して地方公共団体への売掛金の増加などによって47百万円増加し、260百万円となりました。

 

③ エンタテインメント・サービス事業

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の7,553百万円に対して1,388百万円減少し、6,165百万円となりました。これは主として、RBJが連結の範囲から除外されたことにより、同社が保有していた現金及び預金、売掛金、商標権、ソフトウェア仮勘定等がそれぞれ減少したことや、ムーミンバレーパークについて建物、内外装等の減価償却により建物及び構築物、並びに工具、器具及び備品が減少したことによるものです。

 

 Ⅳ 経営成績に重要な影響を与える要因

「3 事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(6)  資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① 資金調達

当社グループは、投資銀行事業の投融資をはじめとする事業活動に必要な資金の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針としており、主に金融機関借入、不動産証券化、エクイティファイナンス、ファイナンス・リース等で資金調達し、適切な手元流動性を確保しています。
 短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入等で賄っています。例えば、不動産開発案件へのアセット投資では銀行借入により調達しております。また、プライベートエクイティ投資案件においては、個別案件毎にファンドを組成した上で当該ファンドがノンリコースローンなどにより資金を調達しております。ただし、成長を加速させると判断した場合、当社は投資銀行事業における投融資資金を確保するため、エクイティファイナンスによる調達も行っております。2018年12月4日には第19回新株予約権を発行し、その後の権利行使によって資金を調達(合計1,808百万円)しておりますが、その資金使途を「不動産小口化投資商品組成のための不動産(信託受益権を含む。)取得」などに充てております。なお、子会社に関しては、必要に応じて当社が子会社に対し運転資金や投融資のための資金の貸付を行っております。
 中長期資金需要に対しては、主に金融機関借入、不動産証券化、エクイティファイナンス、ファイナンス・リース等で対応しております。メッツァ開業へ向けての資金需要に対しては、2017年7月にムーミンバレーパークの不動産証券化に係る各種契約を締結して、組成した特別目的会社である飯能地域資源利活用合同会社(当社子会社、以下「SPC」)が地元企業及び当社子会社の㈱ムーミン物語から匿名組合出資金7.5億円を受け入れ、2018年10月には地域金融機関から長期借入金56億円を調達し、調達期間を長期化しました。また、当社は2014年3月発行の第12回新株予約権、2015年4月発行の第14回新株予約権、2018年1月発行の第18回新株予約権で調達した資金のうち41億円をメッツァ建設資金等の開業準備に充当しました。子会社においては㈱ムーミン物語が第三者割当増資により2018年9月期に1,944百万円を、2019年9月期に898百万円(うち当社出資ファンドが634百万円引受)を調達しました。また2019年3月にセール・アンド・リースバックによりムーミンバレーパークの内外装工事代金として942百万円を調達しました。なお当該リース債務は返済が進んでおり、2024年9月期に完済する予定です。このほか、㈱ムーミン物語は、地域金融機関から運転資金を借り入れております。

2021年9月期に㈱ムーミン物語は新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した後、影響の長期化に備えて、メッツァの運営資金を確保すべく、コスト削減策を策定し実行しておりますが、これと並行して、制度融資や金融機関借入により資金調達しております。また同社はSPCからムーミンバレーパークの不動産を賃貸しておりますが、当該賃料支払いの猶予を受け、SPCの金融機関借入については㈱ムーミン物語のコスト削減策の遂行を前提に元本据置を受けておりました。当連結会計年度は正常化に向けて金融機関借入の返済を開始すべく、㈱ムーミン物語は金融機関との間で、同社がSPCに支払う不動産賃借料の見直しに合意し、当該賃借料を原資とするSPC借入金返済及び㈱ムーミン物語の借入金返済を2023年9月末から開始しました。これらの借入金は2024年3月に返済期限を迎えるため、今後、借り換え手続きを行う予定としています。

 

② 資金需要

  当社グループにおける資金需要の主なものは、投資銀行事業においては営業活動における不動産プロジェクトや企業(事業承継案件を含む)への投融資、人件費等の販売費及び一般管理費の運転資金であります。公共コンサルティング事業における資金需要は、人件費や外注費等の運転資金です。エンタテインメント・サービス事業における資金需要は、ムーミンバレーパーク運営における商品・材料仕入れ、人件費、ライセンスフィー及びその他の諸経費の運転資金であり、投資活動においては、施設・コンテンツへの投資が主な内容であります。
 投資銀行事業における投融資は、不動産等へ投資するアセット投資と、潜在性・将来性豊かな上場/未上場企業・事業や事業承継の課題を抱える企業等に対し投融資するプライベートエクイティ投資の2つに分けられます。当社グループは、投資銀行事業においては投融資が収益拡大を促進していると考えており、今後も事業承継案件を中心に投資案件の組成、実行、回収を行っていく予定であります。
 エンタテインメント・サービス事業においては、メッツァにおいて新型コロナウイルス感染症拡大による売上減少に対応して、コスト削減により運転資金を減少させており、2021年12月のムーミンバレーパークのリニューアルによっても運営コストを低減させておりますが、今後も運営コストの見直しを続けていく予定です。設備投資については、従来は施設維持・改善と一部のコンテンツ入れ替えを中心としてきましたが、2024年には集客力を向上させるため、RBJ株式売却資金により効果的な設備投資を行う予定です

 

(7)  経営上の目標の達成状況について

当社は、株主価値の最大化のため資本を効率的に活用することを重視し、効率性を計る尺度として、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標として位置づけ、ROEが安定的に20%超を継続できるよう、収益力の強化を推進するという方針を2023年11月に公表しました。

当連結会計年度は、投資銀行事業の業績拡大に加えて特別利益などの特殊要因もあった結果、売上高純利益率が17.2%となりROEは21.6%となりましたが、この水準を継続できるよう、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の「収益力の強化」、「資産効率性の改善」、「財務レバレッジの改善」に取り組んでまいります。

ROEの推移

 

2019

9月期

2020年

9月期

2021年

9月期

2022年

9月期

2023年

9月期

ROE

△21.5%

△17.3%

2.1%

2.7%

21.6%

売上高純利益率 (注)1

△17.3%

△17.3%

1.6%

1.9%

17.2%

総資産回転率 (注)2

0.56回

0.38回

0.49回

0.54回

0.50回

財務レバレッジ (注)3

2.24倍

2.60倍

2.63倍

2.66倍

2.49倍

 

(注)1 売上高純利益率・・親会社株主に帰属する当期純利益÷売上高

2 総資産回転率・・・売上高÷総資産(期首・期末平均)

3 財務レバレッジ・・総資産÷自己資本(それぞれ期首・期末平均)

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) ライセンス契約

契約会社名

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約内容

契約期間

㈱ムーミン物語

Bulls Presstjanst AB
(所有権者Moomin Characters Oy Ltdの独占代理店。ここでは「ライセンサー」という。)

 

 

R&B Licensing AB

スウェーデン

日本国内におけるムーミンテーマパーク運営に関する独占的なライセンス供与

(日本国内のパーク以外の場所におけるテーマパーク商品の販売を含む)

 2017年11月27日から35年間とする。ただし、25年後の9ヶ月前から両者でテーマパーク運営を評価・協議することができ、諸条件に合意しない等の場合、25年後の応当日にライセンサーは本契約を解除する権利を有する。

なお、2020年1月1日付でライセンサーであるBulls Presstjanst ABの権利及び義務は、R&B Licensing ABが引き継ぐ。

㈱ムーミン物語

㈱ライツ・アンド・ブランズ

東京都

品川区

ムーミンバレーパーク及びその公式サイトにおけるムーミンキャラクター商品の製造、販売及び広告宣伝を行うこと等に関する許諾

2021年4月1日から2025年3月31日まで。

 

(注) 上記の契約会社は、対価として最低ロイヤリティー又は一定料率のロイヤリティーを支払っております。

 

(2) 定期建物賃貸借契約

契約会社名

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約内容

契約期間

㈱ムーミン物語

飯能地域資源利活用合同会社

埼玉県

飯能市

ムーミンバレーパークの定期建物賃貸借契約

賃貸借期間は、2019年3月16日から2054年3月31日まで

 

 

(3) 株式譲渡契約(㈱トリニティジャパン株式の取得)

当社は、2023年3月17日開催の取締役会において、少額短期保険、認可特定保険、制度共済、その他の共済・補償サービスのリスクヘッジの手配支援業務などを行う㈱トリニティジャパンの株式50.1%を取得することを決議し、2023年3月22日付で法人株主1社と、2023年3月24日付で個人株主1名と、株式譲渡契約を締結しました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (企業結合等関係)」に記載しております。

 

(4) 株式譲渡契約(㈱ライツ・アンド・ブランズ株式の譲渡)

当社は、2023年7月13日開催の取締役会において、当社の連結子会社である㈱ムーミン物語(以下、「ムーミン物語」)が保有する持分法適用関連会社である㈱ライツ・アンド・ブランズ(以下、「RBJ」)の全株式を譲渡することを決議し、同日、ムーミン物語は株式譲渡契約を締結しました。本株式譲渡に伴い、RBJは当社の持分法適用関連会社から除外されました。

① 株式譲渡の背景と目的

ムーミン物語は、長期のコロナ禍による来園者減少の影響を受けて損失を計上し974百万円の債務超過(2023年3月31日現在)となり、財務基盤の抜本的な立て直しが急務となりました。また、運営するムーミンバレーパークをより一層、差別化された魅力ある施設にして集客力を高めるために、新たな資金による設備投資やイベント・広報等が必要であります。

本株式譲渡によって大幅な設備投資に耐えうる資金を確保し、ムーミンバレーパークの一層の魅力向上と、多くのお客様にお越しいただくための認知の拡大に向けた設備投資やイベント・広報等の強化に積極的に資金を投下することとなりました。

 

② 株式譲渡の相手先の概要

a. 商号     ㈱松屋

b. 所在地  東京都中央区銀座3-6-1

c. 事業内容 百貨店業

 

③ 譲渡株式数及び譲渡前後の所有株式の状況

a. 異動前の所有株式数 178株(議決権の数:178個)(議決権所有割合:42.3%)

b. 譲渡株式数     178株(議決権の数:178個)

c. 異動後の所有株式数 -株(議決権の数:-個)(議決権所有割合:-%)

 

④ 日程

 a. 当社取締役会決議、      2023年7月13日

   ムーミン物語取締役会決議

b. 株式譲渡契約締結       2023年7月13日

c. 株式譲渡の実施        2023年7月14日

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。