独立監査人の監査報告書

2024年5月24日

 

二 デ ッ ク 株 式 会 社

取 締 役 会 御 中

 

 

PwC Japan有限責任監査法人

京都事務所

 

 

指 定 有 限 責 任 社 員

業 務 執 行 社 員

 

公認会計士

山   本      剛

 

 

 

指 定 有 限 責 任 社 員

業 務 執 行 社 員

 

公認会計士

中  村       源

 

 

 

指 定 有 限 責 任 社 員

業 務 執 行 社 員

 

公認会計士

岩   井    達   郎

 

 

 

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているニデック株式会社(旧会社名 日本電産株式会社)の2022年4月1日から2023年3月31日までの連結会計年度の訂正後の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、ニデック株式会社(旧会社名 日本電産株式会社)及び連結子会社の2023年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

 

AMECセグメントに帰属するのれんの評価

【連結財務諸表注記】 3.重要な会計方針(10)非金融資産の減損、5.セグメント情報、15.のれん及び無形資産

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

ニデック株式会社(旧会社名 日本電産株式会社。以下、会社という。)は2023年3月末現在の連結財政状態計算書に、のれんを362,388百万円計上しており、総資産の12.7%を占めている。そのうち、AMECセグメントに帰属するのれんを20,075百万円計上している。

会社は、減損の兆候の有無に関わらず年1回(毎年1月1日)の減損テストを実施している。減損損失は、資金生成単位グループの帳簿価額が回収可能価額を上回った場合に認識される。当連結会計年度においては、AMECセグメントに帰属するのれんについて、帳簿価額が回収可能価額を下回っており、のれんの減損損失は認識されていない。

資金生成単位グループの回収可能価額は、使用価値が用いられている。使用価値は、マネジメントが承認した5年を限度とする事業計画と成長率を基礎として算定した見積将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いて算定される。

減損テストにあたって用いられる使用価値の測定においては、事業計画に含まれる売上高予測、費用予測、成長率、及び税引前割引率といった重要な仮定について会計上の見積りの要素が多く、経営者の判断が伴うため、結果として測定される減損損失の見積りの不確実性が高い点、AMECセグメントのセグメント損益が2期連続赤字である点、AMECセグメントに帰属するのれんが金額的に重要である点を考慮し、監査上の主要な検討事項として決定した。

当監査法人は、主として、以下の監査手続を実施することにより、会社が行ったAMECセグメントに帰属するのれんの評価に関する検証を実施した。

・経営者に質問を実施すると共に、取締役会等の会議体の議事録や関連資料を閲覧することにより、AMECセグメントに関する最新の動向を中心とした直近の事業環境を理解した。

・会社によるAMECセグメントにおけるのれんの減損テストに関連する内部統制を理解し、その整備及び運用状況を評価した。

・当監査法人のネットワークファームの企業価値評価専門家を利用し、使用価値における評価方法を検証した。

・会社がAMECセグメントにおけるのれんの減損テストで用いた事業計画について、会社により承認された事業計画との整合性を検討した。

・事業計画に含まれる売上高予測及び費用予測について、経営者の想定している市場環境が過去の実績やアナリストレポートに示される市場の予測と整合しているかどうか検討した。

・前連結会計年度の減損テストで用いられた事業計画と当連結会計年度の実績を比較した。

・税引前割引率について、当監査法人が入手した情報及び一般に公表されている比較対象企業の情報に基づき検討した。また、追加のストレステストを実施し、その影響を評価した。

・成長率について、一般に公表されている産業予測データとの整合性を検証した。

・会社が重要な仮定に対して実施した感応度分析について、分析手法の合理性を検討し、分析結果の再計算を実施した。

 

 

 

 

開発資産の評価

【連結財務諸表注記】3.重要な会計方針(7)のれん及び無形資産、15.のれん及び無形資産

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

ニデック株式会社(旧会社名 日本電産株式会社。以下、会社という)は、2023年3月末現在の連結財政状態計算書に残高として35,613百万円の開発資産を計上している。

会社は、耐用年数を確定できる無形資産について、減損の兆候が存在する場合はその都度、減損テストを実施している。また、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産については、減損の兆候の有無に関わらず年1回(毎年1月1日)の減損テストを実施し、更に減損の兆候がある場合には、その都度、減損テストを実施している。

開発資産の当連結会計年度末時点の評価にあたっては、将来の経済的便益の創出を立証するための開発プロジェクト毎の計画に含まれる売上高予測、原材料費予測、減価償却費予測といった重要な仮定について、会計上の見積りの要素が多く経営者の判断が伴う。結果として測定される減損損失の見積りの不確実性が高い点、減損の検討対象となる開発資産が金額的に重要である点を考慮し、監査上の主要な検討事項として決定した。

当監査法人は、主として、以下の監査手続を実施することにより、会社が行った開発資産の評価に関する検証を実施した。

・会社による開発資産の評価に関する内部統制を理解し、その整備及び運用状況を評価した。

・量産開始前の開発プロジェクトに関して、減損テストのため会社が作成した開発プロジェクト毎の減損テスト資料の正確性について、経営者に質問し、必要に応じて関連資料を閲覧した。

・量産開始前の開発プロジェクトに関して、リスク評価に基づき、必要に応じて、開発プロジェクト毎の計画に含まれる売上高予測、原材料費予測、減価償却費予測に関する関連資料を閲覧し、期末時点において将来の経済的便益が引き続き創出されているかどうかを評価した。

・量産開始後の開発プロジェクトに関して、減損の兆候判定のため会社が作成した開発プロジェクト毎の減損兆候判定資料の正確性について、経営者に質問し、必要に応じて関連資料を閲覧した。

・量産開始後の開発プロジェクトに関して、当初認識時点における開発プロジェクト毎の売上高に関する計画と量産実績の比較結果を検証した。

・減損の兆候が存在する開発プロジェクトに関して、リスク評価に基づき、必要に応じて、開発プロジェクト毎の計画に含まれる売上高予測、原材料費予測、減価償却費予測に関する関連資料を閲覧し、期末時点において将来の経済的便益が引き続き創出されているかどうかを評価した。

 

 

誤謬による連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整の訂正

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 ニデック株式会社(旧会社名 日本電産株式会社。以下、会社という。)は、連結決算手続として実施される連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整の一部について調整対象を誤認し、売上高が過大に計上されている誤謬を把握した。

 会社は、当該誤謬金額に重要性があると判断し、有価証券報告書に記載の連結財務諸表のうち、当該誤謬に関連した事項を訂正した。

 会社は、関連する組織間でのコミュニケーション不足により、連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整に必要な正確かつ網羅的な情報の把握が不十分であったこと及び連結決算手続に関するモニタリング体制が不十分であったことによる内部統制の不備を識別し、これらは決算・財務報告プロセスにおける開示すべき重要な不備に該当すると判断した。

 当連結会計年度の連結財務諸表が訂正され、決算・財務報告プロセスにおける開示すべき重要な不備が識別されたことから、当該誤謬に係る売上高等の訂正の適切性について、当連結会計年度で発生した重要な事象として、監査上、慎重な検討が必要となる。このことから、誤謬による連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整の訂正を監査上の主要な検討事項として決定した。

当監査法人は、訂正の理由となった連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整について、会社が誤謬に係る事実関係を正確かつ網羅的に把握し、当連結会計年度の売上高等を適切に訂正しているかを確かめるため、主として以下の監査手続を実施した。

 

・経営者等への質問及び会社の社内確認結果の閲覧を実施し、誤謬の内容及びその発生原因を理解した。

・誤謬の原因となった連結子会社間取引を伴う売上高等の根拠資料の信頼性を評価し、根拠資料に基づき売上高等が適切に訂正されているかを検討した。

・会社により誤謬に関連する内部統制の不備が適切に識別され、評価されていることを確かめるとともに、類似する連結調整仕訳計上の根拠資料の閲覧を実施し、他の類似の誤謬が生じていないかを検討した。

 

 

その他の事項

有価証券報告書の訂正報告書の提出理由に記載されているとおり、会社は、連結財務諸表を訂正している。なお、PwC京都監査法人が、訂正前の連結財務諸表に対して2023年6月21日に監査報告書を提出しているが、当該訂正に伴い、当監査法人(PwC京都監査法人は2023年12月1日付でPwCあらた有限責任監査法人と合併し、名称をPwC Japan有限責任監査法人に変更している。)は、訂正後の連結財務諸表に対して本監査報告書を提出する。

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書の訂正報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及びこの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の訂正後の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

 

(注)1.上記の四半期レビュー報告書の原本は当社(四半期報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは四半期レビューの対象には含まれていません。