当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」からの重要な変更があった事項は以下のとおりであります。以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2事業等のリスク」の項目番号に対応したものであります。
(3)ガバナンスリスク
NIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者である永守重信氏の能力と手腕に依存してきました。これを脱却すべく、後継者候補も含め、これまで外部人材を中心とした幹部登用などを積極的に進めて参りましたが、様々な経済的・政治的なリスクが顕在化している昨今の状況下においては、NIDECの創業精神でもある「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という成長を牽引する原動力となる新たなリーダーを輩出することはできませんでした。そのうえで、この難局を乗り越えるだけの判断・スピード感を持った人材として、永守氏(最高経営責任者)とともに、NIDECを創業当時から支えてきた小部氏を代表取締役社長(最高執行責任者)とすることとしています。永守氏・小部氏による経営体制のもと、NIDEC本来のスピード感のある経営を行い、2025年売上4兆円、2030年売上10兆円の実現を目指して参ります。また、本体制は、後継者計画を踏まえた短期的なものであり、NIDECの企業文化を身に着けた内部人材から2023年度には、副社長の選任、2024年度には、次期社長を決定する方針にあります。将来に向けた強固な経営基盤を築くことで、創業者依存体制の変革を進め、当社グループ経営陣が組織的な連携を強化(チーフオフィサー制を強化)し、事業計画の過達を実現します。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第2四半期連結累計期間において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前第2四半期連結累計期間の要約四半期連結財務諸表については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額によっております。
IMFは2022暦年の世界経済成長率を2022年10月時点で+3.2%と予想しております。金融市場ではインフレ対策を主眼とした各国中央銀行の利上げ、金融緩和縮小が継続致しました。当社を取り巻く事業環境は、米国住宅着工件数のスローダウン、IT機器・家電等の出荷ピークアウト、自動車生産台数が本格回復トレンドに未だ回帰しない等、需要については厳しい環境が継続しました。対米ドル為替レートが当第2四半期末には140円台半ばとなる等、円安傾向が継続しています。
当第2四半期連結累計期間における主な経営成績は次のとおりであります。
当第2四半期連結累計期間の継続事業からの連結売上高は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響や顧客における半導体等電子部品の調達困難な状況が続く中、為替の影響(前年同期比約1,396億円の増収)を含め、前年同期比22.8%増収の1兆1,185億71百万円となり、過去最高を更新致しました。
営業利益は、世界的な原価高騰に対して売価反映を実行するとともに、継続的な原価改善、固定費適正化を実施したものの、為替の影響(前年同期比約170億円の増益)を含め、前年同期比0.5%減益の886億70百万円となりました。税引前四半期利益は為替差益230億円を計上した影響もあり前年同期比27.1%増益の1,106億77百万円、継続事業からの四半期利益は前年同期比22.0%増益の811億65百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比21.0%増益の805億71百万円となり、いずれも過去最高を更新致しました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1.総売上高は外部顧客に対する売上高とセグメント間の売上高の合計です。
2.第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりであります。
「SPMS」の当第2四半期連結累計期間における総売上高は1,814億42百万円(前年同期比135億34百万円増)となりました。これは、販売数量の減少によるHDD用モータの売上減少があったものの、IT用ファンモータ、高効率の家電用モータ、ゲーム機等のサーマルソリューション商材等が堅調に推移したこと、及び為替影響による増収であります。また、営業利益は184億78百万円(前年同期比7億56百万円減)となりました。これは、製品構成の変動があったものの、世界的な原価高騰に対して売価反映を実行するとともに、継続的な原価改善、固定費適正化を実施したことによるものであります。
「AMEC」の総売上高は1,488億28百万円(前年同期比419億25百万円増)となりました。これは、トラクションモータシステム(E-Axle)の増収等及び為替影響による増収であります。また、営業損益は受注が急拡大しているトラクションモータシステム(E-Axle)等の開発費を継続して計上している結果、86億37百万円の営業損失となりました。
「MOEN」の総売上高は1,880億4百万円(前年同期比335億20百万円増)となりました。発電機事業及び為替影響による増収であります。また、営業利益は184億72百万円(前年同期比6億14百万円増)となりました。これは、売上の増加によるものであります。
「ACIM」の総売上高は2,238億78百万円(前年同期比363億5百万円増)となりました。これは、商業・産業用モータ及び為替影響による増収であります。また、営業利益は130億19百万円(前年同期比36億15百万円減)となりました。これは、世界的な原価高騰によるものであります。
「日本電産サンキョー」の総売上高は879億98百万円(前年同期比178億56百万円増)となりました。これは、液晶ガラス基板搬送用ロボット及び半導体ロボットの売上増加によるものであります。また、営業利益は102億29百万円(前年同期比44億82百万円増)となりました。これは、売上の増加によるものであります。
「日本電産テクノモータ」の総売上高は497億40百万円(前年同期比50億48百万円増)となりました。これは、為替影響による増収であります。また、営業利益は66億32百万円(前年同期比6億10百万円増)となりました。これは、売上の増加によるものであります。
「日本電産モビリティ」の総売上高は570億85百万円(前年同期比105億54百万円増)となりました。これは、為替影響による増収であります。また、営業利益は60億4百万円(前年同期比12億7百万円増)となりました。これは、売上増加によるものであります。
「日本電産シンポ」の総売上高は740億27百万円(前年同期比271億79百万円増)となりました。これは、脱プラスチック化の波をとらえた製缶プレス機の増収に加え、工作機械事業への参入による売上増加によるものであります。また、営業利益は37億73百万円(前年同期比41億70百万円減)となりました。
「日本電産リード」の総売上高は347億58百万円(前年同期比92億30百万円増)となりました。これは、5G向け需要が好調な半導体検査装置の売上増加によるものであります。また、営業利益は102億21百万円(前年同期比29億88百万円増)となりました。これは、売上の増加によるものであります。
「その他」の総売上高は1,124億46百万円(前年同期比136億4百万円増)となりました。また、営業利益は179億96百万円(前年同期比41億70百万円増)となりました。
製品グループ別の経営成績は次のとおりであります。
「精密小型モータ」製品グループの売上高は、為替の影響(前年同期比約341億円の増収)を含め、前年同期比9.9%増収の2,254億41百万円となりました。HDD用モータの売上高は、販売数量の減少を主因として、前年同期比14.2%減収の424億6百万円となりました。一方、その他小型モータにおいては、IT用ファンモータ、高効率の家電用モータ、ゲーム機等のサーマルソリューション商材等が堅調に推移し、売上高は、前年同期比17.6%増収の1,830億35百万円となりました。営業利益は、製品構成の変動があったものの、世界的な原価高騰に対して売価反映を実行するとともに、継続的な原価改善、固定費適正化を実施した結果、為替の影響(前年同期比約59億円の増益)を含め、前年同期比3.7%増益の239億60百万円となりました。
「車載」製品グループの売上高は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響や顧客における半導体等電子部品の調達困難な状況が続く中、トラクションモータシステム(E-Axle)の増収等により、為替の影響(前年同期比約229億円の増収)を含め、前年同期比28.9%増収の2,541億50百万円となりました。営業利益は、世界的な原価高騰に対して売価反映を実行するとともに、継続的な原価改善、固定費適正化を実施している一方、引き合いや受注が急拡大しているトラクションモータシステム(E-Axle)等の開発費等を継続して計上したことの結果、為替の影響(前年同期比約20億円の増益)を含め、前年同期比34.5%減益の54億63百万円となりました。
「家電・商業・産業用」製品グループの売上高は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響が続く中、大型案件を数多く受注した発電機事業の増収等により、為替の影響(前年同期比約723億円の増収)を含め、前年同期比19.9%増収の4,533億96百万円となりました。営業利益は、世界的な原価高騰に対して売価反映を実行するとともに、継続的な原価改善、固定費適正化を実施している一方、製品構成の変動を主因として、為替の影響(前年同期比約87億円の増益)を含め、前年同期比5.5%減益の382億92百万円となりました。
「機器装置」製品グループの売上高は、5G向け需要が好調な半導体検査装置や脱プラスチック化の波をとらえた製缶プレス機の増収に加え、工作機械事業への参入により、為替の影響(前年同期比約78億円の増収)を含め、前年同期比48.9%増収の1,420億39百万円となりました。営業利益は、増収を主因に、為替の影響(前年同期比約5億円の増益)を含め、前年同期比4.6%増益の203億36百万円となりました。
「電子・光学部品」製品グループの売上高は、為替の影響(前年同期比約24億円の増収)を含め、前年同期比25.2%増収の415億1百万円となりました。営業利益は、為替の影響(前年同期比約3億円の減益)を含め、前年同期比73.1%増益の76億94百万円となりました。
「その他」製品グループの売上高は、前年同期比11.8%増収の20億44百万円、営業利益は前年同期比19.9%増益の2億29百万円となりました。
当第2四半期連結会計期間末の資産合計残高は、前期末(2022年3月末)比3,363億25百万円増加の3兆148億8百万円となりました。この主な要因は、棚卸資産が963億73百万円増加、有形固定資産が871億7百万円増加、営業債権及びその他の債権が685億93百万円増加したことによります。
負債合計残高は前期末比1,159億19百万円増加の1兆4,777億4百万円となりました。この主な要因は、営業債務及びその他の債務が74億77百万円増加、有利子負債が703億29百万円増加したことによります。有利子負債の内訳は、短期借入金残高が825億64百万円増加の2,131億99百万円、1年以内返済予定長期債務が337億28百万円減少の1,094億73百万円、長期債務が214億93百万円増加の3,433億67百万円であります。
親会社の所有者に帰属する持分は、2,193億47百万円増加の1兆5,115億88百万円となりました。親会社所有者帰属持分比率は50.1%(前期末48.2%)となりました。この主な要因は、利益剰余金が606億50百万円増加、その他の資本の構成要素が2,052億47百万円増加したことによります。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、営業債務の減少503億31百万円、棚卸資産の増加が393億37百万円、営業債権の増加が152億82百万円となりましたが、四半期利益が809億94百万円となったことなどにより、563億51百万円の収入となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期比160億68百万円の収入増加となりました。
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が666億49百万円となったことなどにより、809億68百万円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは前年同期比246億37百万円の支出増加となりました。
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増加額が802億34百万円、社債の発行による収入が500億円となりましたが、社債の償還による支出が850億円、自己株式の取得による支出が466億80百万円となったことなどにより、140億88百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは前年同期比70億37百万円の支出減少となりました。
前述の状況と為替相場変動の影響を受けた結果、当第2四半期連結会計期間末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末の1,996億55百万円に比べ140億16百万円増加し、2,136億71百万円となりました。
なお、当第2四半期連結会計期間末に保有する主な通貨は、米国ドル、中国人民元、日本円、韓国ウォン、ユーロであります。上記の金額はすべて非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計金額であります。
(4)目標とする経営指標
当社は2025年度をターゲットとする中期戦略目標(Vision2025)を設定しており、環境変化に力強く適応する成長企業を目指します。
その骨子は次のとおりです。
2021年度~2022年度
①連結売上高目標 2兆円
②生産性向上:従業員一人当たりの売上高と営業利益を3割増(2020年度比)
③ROIC(投下資本利益率) 10%以上
④ESGで評価される企業に
2023年度~2025年度
①連結売上高目標 4兆円
②生産性向上:従業員一人当たりの売上高と営業利益を倍増(2020年度比)
③ROIC(投下資本利益率) 15%以上
④ESGで評価される企業に
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は387億42百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社及び当社の連結子会社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第2四半期連結累計期間において、主に「AMEC/MOEN/ACIM/日本電産シンポ」セグメントの生産、受注及び販売の実績が前年同期比で増加しております。
「日本電産シンポ」セグメントには、前第2四半期連結会計期間において三菱重工工作機械株式会社(現 日本電産マシンツール)、前第4四半期連結会計期間においてOKK株式会社(現 ニデックオーケーケー)を買収したことによる増加も含まれております。
当第2四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は次のとおりであります。
(合弁契約)
当社は2022年8月30日(日本時間)にノルウェーの半固体リチウムイオン電池メーカーであるFREYR BATTERY SA(以下、「FREYR」)と合弁契約を締結致しました。
1.合弁契約締結の目的
FREYRは、2018年に創業されたリチウムイオン電池メーカーで、2021年に米ニューヨーク証券取引所に上場、2024年から量産を計画しています。同社は品質、製造工程において革新的な半固体リチウムイオン電池製造技術を有しているとともに、脱炭素先進国であるノルウェーで再生可能な水力発電のみを使用して環境負荷の小さい電池を製造します。
当社のBESS(Battery Energy Storage System)ソリューションは送電事業者に向けてサービスを提供しており、再生可能エネルギーで発電した電力を蓄電し、安定的に供給することでカーボンニュートラル社会の実現に貢献しております。FREYRはStatkraft(欧州最大の再生可能エネルギー供給業者)より100%再生可能なエネルギーの供給を受ける電力調達契約を締結し、環境に配慮した半固体リチウムイオン電池(CO2フリー電池)の製造を行う計画です。
本提携により、当社は競争力のあるクリーンな半固体リチウムイオン電池を安定的に供給することが可能となるとともに、FREYRのバッテリーを使用した当社のBESSソリューションをお客様に供給することで、当社が送電事業者向けのBESS分野においてリーディングポジションを確立するだけでなく、電池製造工程からお客様による当社BESSソリューションの利用に至るまで一貫してCO2排出量の大幅な削減が可能となります。合弁契約を締結することでFREYRとの戦略的パートナーシップを強化、今後のBESSソリューション事業の更なる拡大を目指してまいります。
並行して、当社は必要なバッテリー量を確保し、今後数年間の成長を確固たるものにするために、主要なリチウムイオン電池サプライヤーとのパートナーシップの強化にも引き続き取り組んでいます。
2.合弁会社の概要
会社名 今後決定予定
本社 オスロ市、ノルウェー
設立年月日 2022年11月~12月(予定)
事業概要 バッテリー製品の開発・製造・販売
代表者(CEO) Dominique Llonch(予定)
株主構成 日本電産 66.7%、FREYR 33.3%
3.FREYR社の概要
会社名 FREYR BATTERY SA
本社 ルクセンブルク
設立 2018年
上場 ニューヨーク証券取引所 (2021年、FREY)
代表者(CEO) Tom Einar Jensen
製造拠点 モー・イ・ラーナ市(建設中、2024年稼働予定)
事業概要 リチウムイオン電池セル製造・販売