当社グループが対処すべき主要な課題は、以下の項目と認識しております。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、2021年11月に企業理念を体系化し、企業理念の上位概念として「パーパス」を制定しております。取り巻く経営環境が変化し、同時に食品ロスや地球温暖化などの社会課題に直面する中、持続可能な社会の実現に貢献することが重要になっており、食を通じて、全てのステークホルダーの幸せを創造し続けていくため、環境と社会の持続的な発展に「+&の発想」で貢献いたします。
食を通じて、持続可能な社会の実現に貢献し、
+&の発想で、ワクワクする未来を生み出し続けます。
今後も株主、一般消費者、地域社会、取引先、加盟店、従業員など、当社グループと係わりを持つ方々の生活を、食を通じて豊かにすべく、法令遵守と環境への配慮を前提に、新しい事業、新しいブランド、新しい商品、新しいサービスの創造により成長を続け、株主価値を高めるよう努めてまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2030年の未来に向かって、長期ビジョン「Eat&チャレンジ2030」を策定しております。
ふとした気づき、ちょっとした工夫を積み重ね、
食シーンに、新しい価値を生み出し、
グローバル売上高 1,000億円を目指します。
これまでイートアンドが大切にしてきた「+&の発想」をより広く、より強力に推進し、世界のさまざまな食シーンに、新しい価値を提供し続けます。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、中期3カ年経営計画『Sustainable Growth 2024』を策定し、2024年度を最終年度としておりましたが、2024年4月11日に2026年度へと期間の延長をいたしました。なお、2026年度の経営目標は当初目標を変更せず、以下の通りとしております。
・売上高 500億円
・営業利益 25億円
・売上高営業利益率 5%
・ROE 8%
・EPS 100円
持続的な成長に向けた強固な組織基盤を構築するために、「パーパス」の浸透と「サステナビリティ」を推進します。
事業ポートフォリオマネジメントを更に強化し、外食事業と食品事業の両輪を深化させるとともに、次世代の柱となる新規事業を積極的に探索(海外アジアへの出店拡大、外食ECへの着手、M&Aとアライアンスによる事業補完)します。
同目標の達成を通して経営基盤を磐石にし、株主、一般消費者、地域社会、取引先、加盟店、従業員への還元を図ってまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
2024年度の当社グループを取り巻く経営環境については、ロシア・ウクライナ情勢および中東情勢の緊迫化による経済への影響は大きく、国内においても物流業界における2024年問題や賃上げが進む一方での人材不足等、依然として厳しい経営環境が続くことが想定されます。
当社グループは、今後の更なる成長を見据え、食品事業につきましては、関東第三工場での「大阪王将 羽根つき餃子」および「大阪王将 たれつき肉焼売」の製造が可能となるハイブリッド式製造ラインの導入(増設)等、更なる供給体制の拡大を図るとともに、関東第三工場に隣接する形で自社大型物流施設となる関東ロジスティクスベース(略称 KLB)を建設し、物流費等の抑制に努めてまいります。
また、西日本エリアの生産体制強化を企図し、都城インター工業団地桜木地区G区画(敷地面積 8,259.88㎡)の優先交渉権を取得いたしました。これにより、西日本エリアでの新たな供給拠点として宮崎県都城市に新工場建設を進め、2026年の操業開始を目指します。
外食事業につきましては、主力の「大阪王将」ブランドは羽生セントラルキッチンおよびロボティクスを最大限活用し、関東ドミナント出店(直営店、加盟店)を積極的に進め、更なる成長を目指します。また、ベーカリー・カフェ業態の「R Baker」では冷凍パン、冷凍生地を活用したスモールパッケージ「R Baker mini」の加盟展開を進め、新規事業と位置付けております海外事業につきましては、中国での袁記食品集団、美味投資有限公司との協業を開始し、業績および店舗の拡大を進めてまいります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当該将来に関する事項についてはその達成を保証するものではありません。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、経営者がグループ全体の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているさまざまなリスクに対し、経営に関する重要事項について十分に審議のうえ、的確かつ迅速な意思決定ができるよう、原則として月1回の取締役会の開催に加え、取締役(社外取締役もしくは監査等委員である取締役を除く)を中心としたグループ社長会を週1回開催しております。
サステナビリティについては、2021年11月にサステナビリティ基本方針を制定し、食の事業活動を通じて、社会課題の解決に取り組んでおります。
サステナビリティ推進にあたりサステナビリティ委員会を設置しており、取締役会監督の下、代表取締役会長CEOが委員長となり、サステナビリティに関わる取組み課題の選定と評価、目標の設定と進捗管理などを行っております。また、各ワーキンググループでは、重点取組テーマを検討し、グループ内への浸透を図っております。
(ガバナンス体制図)
当社グループは、パーパス、ミッション、ビジョンを指針に、食を通じて、すべてのステークホルダーの幸せを創造し続け、「Eat+&の幸せ」を将来へと持続させるために、事業への影響と社会への影響を考慮したマテリアリティ(重点課題)に基づき「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の3つの視点より、7つの重点取組テーマを選定し、取り組んでおります。
(サステナビリティ基本方針)
Eat+&の幸せを次の世代へ。
「地球環境」「地域社会」「人とのつながり」を大切にし、
全てのステークホルダーの幸福につながる
持続可能な社会の実現を目指します。
(重点取組テーマ)
当社グループが選定した重点取組テーマの中でも、食を通じた課題解決を最重要取組テーマと認識しており「食品ロス削減」については、4つのアプローチ「食材を余すところなく活用」、「食べ残しを減らす」、「もったいないをなくす」、「廃棄物を+&に変える」から取り組み内容を細分化し、さまざまな施策に取り組んでおります。
また、人的資本経営に関しては「ダイバーシティ」を中心に多様な人材の活躍を推進するとともに、女性活躍の推進、人材育成に関しても人事制度および研修制度の充実を図っております。
(人材育成方針および社内環境整備に関する方針)
当社グループでは、人材の「材」は「財」であるという認識のもと、人材育成を行っております。具体的には、獲得した人材に必要なスキルを身につけさせ能力を最大化させるため、職位、職能ごとに求められる能力・専門知識の習得を目的とした研修制度だけでなく、従業員一人ひとりの自律的なキャリア構築を支援する多彩な教育研修制度を実施しております。すでにスキルを持っている人材でも、さまざまな状況変化にも対応できる更なる高みを目指すことや、能力が低下することのないよう、リスキル、学び直し等を行い、継続的な育成に取り組んでおります。また、組織に不足するスキル・専門性の獲得を社員に促すに当たって、挑戦する姿勢そのものを称える企業文化の醸成の観点から、その成果に応じ、キャリアプランや報酬等の処遇に反映できるよう人事制度を構築しております。
また、女性活躍をより強く推進し、当社グループ全体において、「長く働きたい」「活躍したい」と思える、風土・風習を作っていくことを目的とし「女性活躍推進センター」を設置し、活動しております。
(ダイバーシティ)
当社グループでは、特定1号技能職および技能実習生の採用を積極的に行っており、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマー等さまざまな諸外国の方々を受け入れております。
複数の言語化を行ったうえで、新人事評価制度を導入し、対象となる従業員は、個人ごとの勤務状況や能力に応じた評価を行うことで、定量的な評価だけでなく、目標を可視化することで、個人のモチベーションアップを図っております。
また、外国人従業員の方々には、専用相談窓口の設置等、皆様が安心して業務に従事いただくための体制づくりを整備しております。
当社グループは、2001年10月に制定した「危機管理規程」に則って、リスク管理体制の強化を図っております。具体的には、リスクの発生時には取締役5名(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)およびグループ各社取締役社長を中心とする「危機管理委員会」を立ち上げることとし、また発生した危機が経営に及ぼす影響を極小化させることを目的として、「危機管理対応マニュアル」を作成し、かかるマニュアルの遵守によりリスク管理能力の向上と有事における対応能力の向上を図ってまいります。
当社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保が中長期的な企業価値の向上に向けて重要であるとの認識に基づき、女性管理職資格人材の割合についての数値目標として、同割合を2030年度までに30%とすることを目標としています。
また、当社グループでは、各重点取組テーマにおいて、2030年を目標年度とする「イートアンドの目指すべき未来」を設定しております。
(食品ロス削減)
「食品ロスのない未来へ」に向けて、当社グループではグループ工場での食品廃棄物の削減、残渣の再利用に加え、冷凍自販機での端数販売を行い、食材を余すところなく活用するだけでなく、廃棄物の再利用を行うことで食品廃棄物を2019年比50%の削減目標としております。
(温室効果ガス削減)
「脱炭素社会の実現」に向けて、当社グループではグループ工場およびサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減を目指し、CO2排出量を2013年比46%の削減目標としております。
(地域との共生)
「日本の食を盛り上げ、地域社会の発展に貢献。子供たちの笑顔あふれる未来へ」に向けて、食の事業者として、子供たちの未来を豊かにする支援として、手作り餃子体験を始めとするさまざまなイベントを実施し、地方振興、コミュニティ支援活動を推進してまいります。
(ダイバーシティ)
「多様性のある未来へ」の実現に向けて、女性管理職比率を2030年度までに30%に引き上げるとともに、外国人の方々の雇用、キャリアパス制度の構築を推進してまいります。
(健康経営)
「働きがいをすべての人に」の実現に向けて、グループ全体ではワークライフバランスの推進、ヘルス休暇制度の制定、就業環境の整備を始めとするさまざまな施策を推進してまいります。また、当社では、「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)」を取得し、より良い職場環境づくりに取り組んでおります。
(理念の浸透)
パーパス、ミッション、ビジョンの浸透を通じて「『食を通じて、ワクワクする未来』が実現し続ける未来」に向けて、イートアンドWAY研修の実施、「WAY BOOK」の配布およびグループ間コミュニケーション活性化につなげるイベントを実施してまいります。
(グループ経営)
「持続的な企業経営」の実現に向けて、健全性、透明性を確保し、スピードある意思決定と事業の遂行を行うためのガバナンス体制の充実を図ってまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断あるいは当社グループの事業活動を理解するうえで重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載をしております。
なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの属する外食市場および冷凍食品市場は成熟した市場となっており、激しい競合状態にあります。加えて、個人消費支出における選別強化が進むなか、外食利用は相対的に縮小傾向にあり、価格競争の激化も相まって厳しい経営環境を強いられております。
このような環境下において、当社グループは食品事業と外食事業を中心に事業展開を行っております。
食品事業では、卸売業者を通じて全国の生活協同組合や一般量販店に「大阪王将」ブランドの餃子を主軸とする冷凍中華惣菜や常温調味料の販売およびインターネット等の通信販売で一般消費者に直接販売を行っております。
外食事業では、大衆中華料理業態の「大阪王将」を中心に、ラーメン業態の「よってこや」、「太陽のトマト麺」、ベーカリー・カフェ業態の「R Baker」、「コシニール」、たんめんを中心とした中華業態「一品香」などを展開しております。出店形態には直営店とFC加盟店があり、直営店については、一般顧客への料理の提供による売上を計上しております。一方、加盟店に対する売上については、食材の販売を主軸に、厨房機器や家具類の売上、ロイヤリティや加盟金収入などを計上しております。
当社グループはお客様に満足していただけるように、商品の味・価格・サービス等について細心の注意を払っておりますが、それにもかかわらずブランド価値が毀損される可能性や、それに伴うブランドの撤退がないとも限りません。特に食品事業および外食事業において「大阪王将」のブランド価値は大きく、同ブランド価値が毀損した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの最近5期間の経営成績の概況および外食事業の期末店舗数は以下のとおりであります。景気の推移や社会的事件の影響を強く受けるほか、当社グループが属する業界での競合状況は刻一刻と変化していることから、過去の経営成績の推移だけでは、当社グループの将来の業績を予測する判断材料としては不十分な面があります。
(3) 中期経営計画について
当社グループは、2022年4月12日に中期3カ年経営計画『Sustainable Growth 2024』を策定し、経営目標達成に向けて取り組んでまいりましたが、2024年4月11日にて経営目標達成の最終年度を2026年度(2027年2月期)へと期間の延長をすることといたしました。当初計画に掲げた施策に新規施策を加え推進してまいります。
これらの計画は、策定当時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しておりますが、こうした情報や分析等には不確定要素が含まれております。
今後、事業環境の悪化その他の要因により、期待される成果の実現に至らない可能性があります。
当社グループにおきましては、安全な食材の安定確保に向け、取引先との連携等をこれまで以上に慎重に取り組んでいく方針ではありますが、食材の安全性が疑われる問題が生じた場合や、食材の安定的な確保に支障が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
食品事業における当社グループ製品の製造に関しては、当社グループ工場での製造のみならず他社工場への製造委託も行っております。委託先の工場は特定の地域に偏ることなく複数の工場を確保しており、仮に一つの工場で事故等により当該工場からの供給が一時的に停止した場合でも、他の工場との連携により必要数量を確保する体制を整えております。しかし、供給量の低下が長期化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
大幅な為替変動をはじめ、天候不順による野菜作柄の急落や、鳥インフルエンザ、豚コレラといった疫病の流行、国際的な紛争など、需給関係の急激な変動による食材価格の高騰等により、当社グループが購入している原材料の価格が高騰する可能性があります。また、商品を製造する際に使用する電気やガスといったエネルギーの価格も高騰する可能性があります。
当社グループでは複数の仕入先の確保や契約農場の確保により原材料価格の安定化および数量の安定確保に努めており、電気やガスといったエネルギーは供給会社との価格交渉を行うとともに、省エネルギー化も進め費用の抑制に努めております。
しかしながら、それらの価格が著しく高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、外食事業において「大阪王将」、ラーメンおよびベーカリー・カフェ業態の各種店舗ブランドのフランチャイズ・チェーン展開を積極的に行う方針であります。出店にあたりましては、1店舗の収益性を重要視し、賃借料等の出店条件および周辺環境等を勘案し優良物件を選定しております。
しかしながら、当社グループの希望する出店予定地の確保ができない場合、またFC加盟店開拓が計画どおりに進まない場合には出店数が予定を下回り、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また直営店の出店においては、既存ブランドによる出店や新規業態構築のための出店を予定しておりますが、新規業態等が必ずしもお客様に支持いただけるとは限らず、店舗の閉店や業態の撤退により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、契約に基づき当社グループのスーパーバイザー(SV)がFC加盟店を巡回し、店舗の運営指導を行っております。しかしながら、当社グループの指導等の及ばない範囲でFC加盟店が受ける苦情および芳しくない評判等は、当社グループおよび当社グループブランドのイメージに影響を与え、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
その他、当社グループのFC本部としての機能に対するFC加盟者からの評価が不十分な場合や、当社グループに起因しないFC加盟者の諸事情を理由として、FC加盟者が当社グループのFC事業の出店凍結もしくはFC加盟契約関係を解消した場合には、FC加盟店の出店数が計画どおり確保できず当社グループの今後の出店政策および事業展開に支障をきたすことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事務所および直営店舗はそのほとんどが建物を賃借しており、賃貸借契約に基づき賃貸人に対して保証金等を差し入れております。当社グループは新規に出店する際に賃貸人の信用状況についての調査・確認を徹底させるとともに、特定の賃貸人からの賃借が集中しないように取り組んでおりますが、万一、賃貸人の倒産等により、差し入れていた保証金等の一部または全部が回収不能となった場合には、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、賃貸人側の諸事情により賃貸借契約期間中に解約された場合や、契約の更新を拒絶された場合、退去・閉店を余儀なくされる可能性があります。そのような場合には当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
厚生労働省は、2016年10月より「将来にわたる年金財政の安定化等」を目的に、短時間労働者(正社員以外の労働者で、1週間の所定労働時間が正社員より短い労働者)に対する社会保険への加入基準を拡大いたしました。
当社グループは、工場、直営店舗において多くの短時間労働者が就業しており、今後、当該年金制度が変更され、更なる社会保険適用基準の拡大が実施された場合には、当社グループが負担する保険料の増加等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、海外関係会社またはフランチャイズ加盟企業(現地企業)において海外店舗展開を行っております。それぞれの進出国における政情、経済、紛争、法規制、ビジネス慣習等の特有なカントリーリスクにより、計画した事業展開を行うことができない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、フランチャイズ加盟企業の減少や業績の悪化により、フランチャイズ・チェーン展開が計画通りに実現できない場合、ロイヤリティ収入が減少することなどにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
食品事業を取り巻く外部環境は、特に冷凍食品において過去に発生した食の安心・安全を脅かす事件から得た教訓に基づき、各社とも検査体制やトレーサビリティの確立に努めております。また、価値観の多様化により健康や簡便性、低価格など様々な要望に応えるべく商品群の充実が求められ、少量多品種生産への対応を進める中で生産性の維持・向上に苦慮するなど、厳しい状況が続いております。
このような状況下、当社グループは主力ブランドである「大阪王将」の冷凍中華惣菜の製造の大部分を当社グループ工場を含む国内工場に切り替えたほか、検査体制およびトレーサビリティの向上を図り、また商品情報の速やかな開示にも努めたことで早期に信頼回復を図り、市場内でのシェア拡大に努めてまいりました。今後も冷凍食品の開発と内製化を進め、さらに安心・安全を確保するとともに、様々な価値を訴求・提案する商品の提供に努めてまいります。
しかしながら、今後冷凍食品において再度食の安心・安全を脅かす事件が発生した場合には、冷凍食品に対するイメージの低下等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
食品事業における商品は、主として各地の生活協同組合および小売量販店へ卸売業者を通じて販売され、消費者へと渡ります。当社グループと卸売業者等の取引先との関係は良好ではありますが、予期せぬ理由により一部の取引先との取引が継続できなくなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、大衆中華料理店である「大阪王将」を中心とした飲食店の経営および冷凍中華惣菜を販売しております。当社グループは、大衆中華料理店や冷凍食品取扱業者等の同業との競合のみならず、和・洋レストランおよびファーストフードチェーン等との競合のほか、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、持ち帰り弁当事業およびデリバリー事業等の食品小売業者との間においても、商品・価格・利便性・サービス内容等をめぐり、激しい競合状態にあります。
特に最近では、高付加価値と低価格をめぐって競争が激化しております。当社グループは、こうした競合に対処すべく安心・安全で鮮度の高い商品を提供することや顧客のニーズに応え続けること等により顧客満足度を高めるとともに、新規顧客の獲得と既存顧客のリピート率の向上に努めております。しかしながら、これらの競合激化に伴う品質の向上のためのコストの増加、販売価格の引き下げ圧力による利幅の低下等が起きた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業展開を行っている食品事業および外食事業は、いずれも食品衛生法をはじめとした各種法令の規制を受けております。食品衛生法は、食品の安全性確保のため公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する危害の発生を防止し、国民の健康を図ることを目的としております。当社グループにおきましては、所轄保健所等より飲食店等の営業許可を取得するとともに、食品衛生責任者を置き、定期的な衛生点検を実施しております。また、厚生労働省の業種別手引きに基づき、HACCP(ハサップ)の考え方に基づき、安全な商品をお客様に提供するための衛生管理を徹底しております。
しかしながら、万一、食中毒等の事故が起きた場合は、食品衛生法の規定に基づき、食品等の廃棄処分、一定期間の営業停止、営業の禁止、営業許可の取り消し等の処分を受けるおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)により年間 100トン以上の食品廃棄物を排出する外食業者(食品関連事業業者)は、食品廃棄物の発生量の抑制、減量および再生利用を通じて、食品残渣物の削減を義務付けられております。当社グループは食品残渣物を低減するための取り組みを鋭意実施しておりますが、今後法的規制が強化された場合には、その対応のために、設備投資等の新たな費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、フランチャイズ加盟者の募集および加盟者との取引に関して、それぞれ「中小小売商業振興法」・「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)による規制を受けております。具体的には、加盟募集に当たり加盟希望者が適切な判断をするのに十分な情報開示を行い、当社グループのフランチャイズ事業内容や加盟契約内容などを書面により事前説明することが義務付けられております。また、法律上、加盟者は当社グループから独立した事業者でありますので、当社グループがフランチャイズシステムによる営業を的確に実施する範囲を超えて、加盟者に対して正常な商習慣に照らし不当に不利益を与えることは独占禁止法違反に該当します。
当社グループは、これらの法令を遵守しており、加盟希望者とは十分な面談の上、加盟契約を締結しており、本書提出日現在において、加盟希望者および加盟者との間で訴訟や係争はありませんが、法令に関する解釈等に相違が生じた場合には、加盟者から訴訟が提起される可能性があります。万が一、そのような事態に陥った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの店舗では、アルコール類の提供を行っております。その為、未成年のお客様や自動車等で来店されるお客様に対しアルコール類を提供しないよう、注意喚起を図っております。
しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、当社グループの店舗が飲酒運転者に酒類を提供した飲食店として飲酒運転の教唆・幇助により摘発を受ける、または店舗の営業が制限される可能性があり、これらの場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)・「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)・「製造物責任法」(PL法)等に基づく規制を受けており、これらの法令の遵守についても対策を講じておりますが、万が一これらの法令に違反した場合、商品の廃棄処分、回収処理などが必要となるおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの店舗では、消防法、建築基準法および都市計画法による規制を受けており、不慮の火災等によりお客様に被害が及ばぬように、様々な施策を講じ法令遵守に努めております。しかしながら、不測の事態によって、当社グループ店舗において火災による事故が発生した場合には、当社グループの信用低下や損害賠償請求等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
食品業界においては、食品の安全性や品質管理が強く求められております。
当社グループでは、食品安全を確保するための国際規格であるISO22000を認証取得するとともにHACCPに基づく安全で衛生的な商品の提供に努めております。
しかしながら、品質問題等想定を超えた事象が発生した場合、異物混入等当社グループ商品において市場からの回収の必要性が生じた場合、もしくは当社グループ商品に直接問題がない場合であっても食品業界に対する風評等により当社グループ商品のイメージが低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、今後も事業展開を積極的に行う方針であり、事業展開に必要な人材を確保していく必要があります。そのため当社グループは中期経営計画に基づいた人員計画を策定し、より効果的に人材を確保するための採用活動を行っております。
また、当社グループは更なる成長を達成するため、さまざまな雇用形態の社員を採用し、採用した社員の早期戦力化を実現するための人事制度を導入していく方針であります。
しかしながら、人材の確保および育成が当社グループの計画どおりに進まない場合、内部管理体制の充実を含め当社グループの事業展開が制約される可能性があり、これらの場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自社開発業態のブランドを当社グループ事業にとって重要なものと位置づけ、「大阪王将」、「よってこや」、「太陽のトマト麺」などの主要ブランドの商標の登録を行っております。
本書提出日現在において、商標の登録、使用に関する訴訟や紛争はなく、また当社グループの事業展開を制約する取り決め等もありませんが、これらの商標は、その用語の一部が一般的に使用される普通名詞であることから、今後類似商標の出現および無断使用等により、商標権を侵害された場合には、当社グループのブランド価値や顧客からの信用が毀損する可能性があるとともに、何らかの理由により当社グループが使用している商標が第三者の登録済みの商標権を侵害していることが判明した場合に、商標の使用差止、損害賠償等の支払いを請求される可能性があり、これらの場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
地震や津波、台風等の自然災害により人的・物的な被害が生じた場合、あるいはそれらの自然災害等に起因する電力・ガス・水道・交通網の遮断・制限等により、当社グループや取引先の正常な事業活動が阻害された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業活動におきまして、コンピュータシステムおよびそのネットワークを活用しており、そのためセキュリティの強化やデータのバックアップ体制の構築、ハードウェアの増強等、システムトラブル対策を講じておりますが、これらの対策にもかかわらず、自然災害等によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、店舗環境の変化や経済的要因により店舗ごとの収益性が損なわれた場合、固定資産およびリース資産について減損損失を認識する必要があり、当該減損損失の計上により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、個人情報保護法に定められた個人情報を取り扱っており、管理体制の整備およびその取扱については細心の注意を払っておりますが、保有する顧客情報等の個人情報が漏洩した場合、損害賠償問題の発生や信用の低下等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する商標等の不正利用、商品への異物混入や調理設備の不適切使用等、インターネット上の掲示板やSNS等への書き込みにより風評被害が発生・拡散した場合、その内容の真偽にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、業績、ブランドイメージおよび社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行され、日常生活の制約や社会活動への制限が緩和され、消費活動が正常化に向かい、緩やかな回復傾向が見受けられております。しかしながら、依然として日米の金利差や貿易赤字等を背景にした円安、ウクライナ情勢等の長期化の影響を受け原材料やエネルギーコストが高騰し、国内においては急激な物価上昇等もあり、依然として先行きの不透明な状況が続いております。
当社主力事業の市場動向につきましては、冷凍食品市場および中華カテゴリーは前年を上回り、堅調に推移しております。また、外食市場については、人流の回復に伴い着実な回復を見せております。
このような状況下、食品事業においては、主力商品である「大阪王将 羽根つき餃子」「大阪王将 ぷるもち水餃子」の更なる拡販および新商品投入により売上拡大を図った一方で、昨今の原材料、物流コスト、エネルギーコストの上昇を受け、2023年10月に一部商品の価格改定を行い、収益の改善を進めました。外食事業においては、主力の「大阪王将」ブランドでは元祖餃子の成形や一部食材の仕込みを行うセントラルキッチン(埼玉県羽生市)からの供給店舗数および稼働率が進捗し、関東圏ドミナント出店の基盤構築を進めました。新規事業においては「北海道めんこい鍋 くまちゃん温泉」の海外展開および台湾、中国において冷凍餃子の販売を開始し、積極的な海外への展開に取り組みました。
また、メーカーとしての心臓部である生産工場においては、新設した関東第三工場における国内最大最速級の焼き餃子製造ラインは計画通り稼働ができており、2024年3月には「大阪王将 羽根つき餃子」および「大阪王将 たれつき肉焼売」のハイブリッド式製造ラインの稼働を開始しており、引き続き更なる自社製造量の拡大、効率化に取り組んで参ります。
この結果、当連結会計年度の売上高は359億22百万円(前期比8.7%増)、営業利益は10億59百万円(前期比15.8%増)と株式上場後過去最高益となりました。
一方、前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金の収入を営業外収益として計上していたことにより、経常利益は10億68百万円(前期比1.5%増)、関東第一工場出火に伴う特別損失および出火に伴う受取保険金の一部を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は1億6百万円の結果となりました。
なお、セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。
食品事業につきましては、「大阪王将 羽根つき餃子」および「大阪王将 ぷるもち水餃子」に続く新商品の投入による餃子カテゴリーの強化に加え、「大阪王将 なにわのジューシー焼売」を始めとする中華カテゴリー強化に努めました。昨今の原材料、物流コスト、エネルギーコストの上昇を受け、2023年10月に一部商品の価格改定を行い、収益の改善を進めました。また、関東第三工場の稼働は計画通りに進捗しており、2024年3月には「大阪王将 羽根つき餃子」および「大阪王将 たれつき肉焼売」のハイブリッド式製造ラインの稼働を開始しており、引き続き更なる自社製造量の拡大、効率化に取り組んでまいります。
その結果、当連結会計年度における食品事業の売上高は214億33百万円(前期比6.9%増)、セグメント利益は12億75百万円(前期比2.4%増)となりました。
外食事業につきましては、人流の回復に伴い各業態が着実な回復を果たしました。主力の「大阪王将」ブランドにおいては、セントラルキッチン(埼玉県羽生市)からの供給店舗数および稼働率が進捗し、関東圏ドミナント出店の基盤構築が進み、調理ロボ「I-Robo」の導入等、様々な施策による店舗収益力の向上に努めました。また、ベーカリー・カフェ「R Baker」においてもセントラルキッチン(山梨県甲州市)を新設し、冷凍パン、冷凍生地の製造を開始いたしました。同商材を活用した新モデル「R Baker mini」を積極的に店舗展開してまいります。
その結果、当連結会計年度においては、売上高は144億88百万円(前期比11.6%増)、セグメント利益は2億80百万円(前期比353.6%増)となりました。
なお、当連結会計年度におきましては、加盟店12店舗(うち海外5店舗)、直営店10店舗(うち海外1店舗)の計22店舗(うち海外6店舗)を出店した一方、加盟店26店舗(うち海外5店舗)、札幌みそぎょうざ無人店12店舗を含む直営店17店舗(うち海外2店舗)の計43店舗(うち海外7店舗)を閉店した結果、当連結会計年度末における店舗数は、加盟店341店舗(うち海外20店舗)、直営店101店舗(うち海外8店舗)の計442店舗(うち海外28店舗)となっております。また、運営形態変更に伴い6店舗を直営店から加盟店へ、1店舗を加盟店から直営店へと変更しております。
外食事業の店舗数の内訳は以下のとおりであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より10億59百万円増加し、26億18百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は20億77百万円となりました。主な要因は、減価償却費の計上13億31百万円、減損損失の計上1億86百万円、出火に伴う特別損失14億54百万円の計上、出火に伴う受取保険金6億41百万円の計上、消費税等の還付による収入1億99百万円、仕入債務の増加による収入69百万円があった一方、棚卸資産の増加による支出1億25百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は34億12百万円となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は23億89百万円となりました。主な要因は、長期借入れによる収入8億円、短期借入金の増加3億70百万円、新株の発行による収入21億97百万円があった一方、長期借入金の返済による支出9億55百万円、配当金の支払額1億5百万円があったことによるものであります。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため、セグメント別に生産規模を金額あるいは数量で示すことは困難であるため記載しておりません。
当連結会計年度の仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
当連結会計年度は「Full of Energy!〜元気いっぱい〜「笑顔で前進!!」」を会社方針として掲げ、収益の高い会社を目指すべく質を追求し、更なる利益体質の会社を目指し、当社の成長戦略でもある「当社グループ工場の生産」を中心として、食品事業、外食事業のシナジーを最大限に発揮し、商品開発、販路拡大に取り組んでまいりました。
当連結会計年度における経営環境は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行され、外食市場は人流の回復に伴い着実な回復を見せました。その一方で、日米の金利差や貿易赤字等を背景にした円安、ウクライナ情勢等の長期化の影響を受け原材料やエネルギーコストが高騰し、引き続き厳しい状況で推移いたしました。
外食事業においては、メインブランドである「大阪王将」では、2023年1月に稼働を開始したセントラルキッチン(埼玉県羽生市)からの供給店舗数および稼働率が進捗し、関東圏ドミナント出店の基盤構築が進み、調理ロボ「I-Robo」の導入等、様々な施策による店舗収益力の向上に努めました。
ラーメンブランド「太陽のトマト麺」では、新メニュー「太陽の焼きナポリタン」を導入した新店舗をオープンする等、リブランディング店舗の出店を行い、ベーカリー・カフェブランド「R Baker」では、セントラルキッチン(山梨県甲州市)を2024年2月に新設し、冷凍パン、冷凍生地の製造を通じて、店舗運営効率を高めるとともに、新モデル「R Baker mini」出店の基盤を構築いたしました。
食品事業においては、「大阪王将 羽根つき餃子」の売上高が136億円を突破したことに加え、新商品投入による餃子カテゴリーの売上は順調に伸長いたしました。また、「大阪王将 なにわのジューシー焼売」を始めとする中華カテゴリー強化に注力し、売上拡大を図ることができしました。
2023年1月に稼働を開始した関東第三工場は計画通りに稼働し、関東第一工場出火に伴う影響があったものの年間の生産量は38,000トン(前期比8.3%増)となり、生産供給体制の増強を図ることができました。また、2024年3月には「大阪王将 羽根つき餃子」および「大阪王将 たれつき肉焼売」のハイブリッド式製造ラインの稼働を開始しており、引き続き更なる自社製造量の拡大を図るとともに、今後もAIやロボット技術を駆使したより安全性の高い最新鋭の設備を整え、労務作業の軽減、効率化を図り自社製品の内製化比率を更に高めてまいります。
上記取り組みなどにより、株式上場後過去最高の営業利益を達成することができました。これは当社グループのビジネスモデルである食品と外食の両輪からなる事業ポートフォリオによるものであり、他社にはない強みであることを示すことができました。
売上高は、食品事業214億33百万円(前期比6.9%増)、外食事業144億88百万円(前期比11.6%増)、グループ合計359億22百万円(前期比8.7%増)となりました。当連結会計年度においては、外食事業の店舗数減少のビハインドがあったものの、既存店売上の回復による伸長に加え、食品事業における「大阪王将 羽根つき餃子」を含めた餃子カテゴリーの売上拡大によって、着実な売上成長を果たすことができました。
各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は食品事業が59.7%(前期比△1.0pt)、外食事業が40.3%(前期比+1.0pt)となりました。
売上総利益は、グループ合計143億26百万円(前期比7.1%増)となりました。売上高総利益率は39.9%と前連結会計年度の40.5%から0.6pt下降いたしました。これは、原材料、エネルギーコストの上昇が影響しており、食品事業では2023年10月に一部商品の価格改定により収益改善を進めたものの、コスト上昇すべてを吸収するには至りませんでした。なお、食品事業における自社製造内製化比率は関東第三工場の通期稼働により、引き続き高位で推移しております。
営業利益は、食品事業12億75百万円(前期比2.4%増)、外食事業2億80百万円(前期比353.6%増)、調整額△4億95百万円(前期比26.2%増)、グループ合計10億59百万円(前期比15.8%増)となりました。営業利益率は3.0%と前連結会計年度の2.8%から0.2pt上昇いたしました。
当連結会計年度においては、a.売上高、b.売上総利益にも記載したとおり原油価格の高騰や急激な円安の進行、物価高騰等の影響を受けたものの、当社グループのビジネスモデルである食品事業と外食事業の両輪からなる事業ポートフォリオが奏功し、営業利益を計上することができました。
受取保険金および解約金収入により営業外収益1億36百万円を計上する一方で、修繕費および修繕引当金繰入額により営業外費用1億28百万円を計上した結果、経常利益は10億68百万円(前期比1.5%増)となりました。前連結会計年度は、営業外収益として外食事業における自治体からの新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金等の補助金収入1億26百万円を計上していたことにより売上高経常利益率は3.0%と前連結会計年度の3.2%から0.2pt下降いたしました。
当連結会計年度における特別損益は、関東第一工場の出火に伴う特別利益6億41百万円および特別損失14億54百万円ならびに直営店舗の閉店、減損損失等の特別損失2億27百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失1億6百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産の残高は、前連結会計年度末より24億64百万円増加し、255億97百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末より16億12百万円増加し、113億64百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加10億59百万円、原材料及び貯蔵品の増加1億20百万円、流動資産のその他の増加5億16百万によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末より8億51百万円増加し、142億33百万円となりました。主な要因は、有形固定資産の増加4億56百万円、投資その他の資産の増加2億30百万円によるものであります。
当連結会計年度末の負債の残高は、前連結会計年度末より4億25百万円増加し、154億20百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より6億4百万円増加し、109億53百万円となりました。主な要因は、短期借入金の増加3億70百万円、流動負債のその他の増加2億29百万円によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末より1億78百万円減少し、44億67百万円となりました。主な要因は長期借入金の減少によるものであります。
当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末より20億38百万円増加し、101億77百万円となりました。主な要因は、新株発行に伴う資本金、資本剰余金の増加22億60百万円、利益剰余金の減少2億11百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は39.6%(前連結会計年度末34.9%)となりました。
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源および資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループは、事業活動に必要な資金の流動性の維持と十分な確保を基本とし、運転資金の効率的な管理により、事業活動における資本効率の最適化を目指しております。
資金は、金融機関からの借入等を必要に応じて行うことで、流動性の確保および財務体質の向上を図っております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
当社グループは「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおり、2026年度の経営目標である売上高、営業利益、売上高営業利益率およびROEならびにEPSのそれぞれを設定しております。
当連結会計年度におきましては、売上高営業利益率は3.0%となり、計画比0.1ポイントマイナスとなりましたが、中期経営計画において示した戦略の方向性(外食事業の再生、食品事業の拡大、新規事業の探索)を継続し、営業利益率の向上を進めてまいります。
第48期は「強い意志で元気に進もう! Let’s go together ! ~明るく、元気に、前向きに!~」を会社方針として実行し、さらに収益の高いグループとなるべく、各事業会社の収益力向上を企図した取り組みにも邁進してまいります。
当社グループの売上高営業利益率の推移は以下の通りであります。
セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識ならびに分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループは、返金負債について、過去の売上割戻率の実績を基礎として見積率を算定し、売上実績額に当該見積率を乗じた金額を返金負債の発生見込額として、計上しております。
当社グループは加盟者との間で、以下のような加盟契約を締結しております。なお、契約内容の要旨は次のとおりであります。
当社グループは加盟者との間で、以下のような契約を締結しております。なお、契約内容の要旨は次のとおりであります。
特記すべき事項はありません。