第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、時代のニーズに速やかに応えるための機敏な対応と、グローバルな視点で独創的な開発システムにより、プラスチックの可能性を追求し、いつもお客様の信頼に値する製品づくりに徹し、全てのステークホルダーに対し魅力ある企業であることを経営理念としております。

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、2024年3月期の売上高165億円、営業利益7億70百万円を達成目標としております。

(3) 中長期的な経営戦略および対処すべき課題

当社グループ事業を取巻く国内外の経済は、世界的に新型コロナウイルス感染症による行動制限の大幅な緩和や各国政府の経済対策など社会経済活動の正常化が進む中で、景気回復の兆しも見られておりましたが、長期化するロシア・ウクライナ情勢に起因する世界的な原油・原材料価格の高騰や大幅な円安などの影響に加え、当社グループの主要な取引先である自動車業界では半導体他様々な部品の供給面での影響を受け、回復の遅れが顕著であるなど、今後の本格的な景気回復に対する懸念が依然として払拭されない状況が続いております。

このように先行きが不透明な状況においても、当社グループは変化する社会のニーズに柔軟に対応し、持続的に進化し続けることが当社グループの果たすべき重要な使命であると認識し、当社グループの経営資源を最大限に活用しながら、以下の課題に取り組み、企業価値の更なる拡大を目指してまいります。

・企業体質の向上
 更なる企業体質向上のため、継続して業務品質の向上を目指すとともに、生産工程の機能を見直し、全ての無駄を今まで以上に排除して生産性・財務体質の改善を図ると同時に、常に信頼性の維持・向上を第一として、品質マネジメントシステムを確実に履行・維持し、安定した品質の確保により、お客様の視点に立つモノづくりを行います。

・成長分野への進出
 当社グループは、樹脂加工の領域として「モビリティ事業」「リビングスペース事業」「アドバンスド&エッセンシャル事業」で事業を展開するとともに、当社が持つ軽量化・断熱等省エネ技術を強みとして樹脂加工領域における時代のニーズに合致した新しい事業を開拓してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

当社グループは、気候変動などの地球環境問題への配慮や人権の尊重、従業員の健康・労務環境の改善、リスクマネジメントの強化、健全かつ有効なコーポレートガバナンス基盤の構築などESG活動に、当社の事業活動を通じて積極的な取組みをすすめております。

”モノづくり”への飽くなき探求と品質への拘りを持ち社会変化に柔軟に対応することや、SDG'sに代表される社会課題の解決に貢献することにより、企業価値の向上を図りながら未来に向けた確実な成長(サステナブル・グロース)を目指すとともに、ステークホルダーの皆様との信頼関係の構築に努めてまいります。

(1)ガバナンス

当社は、経営の透明性および効率性を確保し、事業環境の変化に迅速に対応できる組織体制を維持し、株式価値を持続的に向上させていくために、公正な経営システムを構築することを主眼とし、適時かつ積極的な情報開示を行うことが重要と考えております。

この基本方針のもと、当社では、以下のような企業統治体制を整備しております。

当社は、監査等委員会設置会社であり、監査等委員会は社外取締役である監査等委員3名で構成されております。また、当社の取締役会は監査等委員である取締役3名を含む10名で構成され、経営の基本方針をはじめとする重要事項を審議決定する機関と位置づけており、この取締役会をはじめとして重要な会議には、監査等委員である取締役が直接出席し、意思決定および業務執行に対して適切な組織監査を行っております。さらに、グループ経営戦略の強化と迅速な業務執行を行うために、各部門を統括する取締役のもと、営業・生産・管理部門が密接な連携を保ち、そのもとに各実務部門である、営業・各工場・海外子会社等を配置する横断的な組織を構築し運営しております。

 

(2)戦略

    ・ いつもお客様の信頼に値する製品づくりに徹し、全てのステークホルダーに対し魅力ある企業であり続ける

    ことを基本方針として、経営の透明性、効率性の確保、企業価値の持続的な向上および公正な経営システムを

     構築することを主眼に、コーポレートガバナンス体制の強化・充実を推進し、適時かつ積極的な情報開示を

       行います。

・人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

   当社は、人類の普遍的な価値を追及すると同時に、社会創生と地域社会への貢献を行ってまいります。

   また、働く社員の働き甲斐の追及と事業活動を通じて、経済成長へ貢献してまいります。

(3)リスク管理

当社のリスクを会社に物理的、経済的もしくは信用上の損失または不利益を生じさせるすべての可能性を指すものと定義し、より一層のリスク管理の強化が重要であるとの認識から、グループ企業倫理憲章および行動規範を定め、コンプライアンス宣言を行うとともに、全役員、全従業員にコンプライアンス手帳を配布し、社内ネットワークを通じて企業倫理精神の醸成を強く求めております。このように当社は、公正な企業活動を通じて広く社会への貢献に努め、株主・顧客・消費者各位、さらには従業員の負託に応えてまいる所存であります。

(4)指標及び目標

  サステナブルな社会を目指すため、環境問題への対応は、企業が抱える重要な経営課題のひとつと考えており

 ます。当社は、環境保全と環境改善を企業の使命とし、また、人と地球に優しい企業の実現を経営理念とし、その

 双方の実現を目指して活動を進めてまいります。

  1.全ての事業活動において生じる「水質・大気汚染」、「廃棄物」および「エネルギー・天然資源の消費」を

   低減するため、環境マネジメントシステムを維持・改善し、環境保全に貢献します。

 2.環境に関するあらゆる法令・条例を遵守します。

 3.環境保全の目標を立て、実施状況確認と定期的見直しを行い、継続的改善および環境汚染の予防に努めます。

  4.環境方針や環境保全活動を全従業員に周知し、意識向上を図ります。

  5.環境方針を一般に開示します。

課題

具体的な取組み

具体的な目標

地球資源の有効活用

リサイクル材の活用

2030年度リサイクル材使用率20%

 

射出工程内不良率低減

2025年度不良率削減20%

 

 

工程内不良率1%以下達成

 

社内リサイクル率向上

2025年度リサイクル率15%向上(対2022年度比)

 

副資材購入量削減

2025年度リユース材使用率5%

廃棄物の削減

工場内ゴミ分別の厳格化

2030年度20%削減(対2020年度比)

 

産業廃棄物のサーマル活用

 

GHG排出量の削減

エネルギー使用量の削減

2030年度20%削減(対2020年度比)

*GHG;温室効果ガス

再生可能エネルギー比率向上

 

 

ソーラー発電の工場への設置

 

軽量化、環境対応材に

新複合材成形設備導入、製品開発

2025年度までに環境対応製品開発10件を行う。

よる製品開発の推進

微発泡成形製品の開発(軽量化)

 

 

物理発泡成形開発(軽量化)

 

 

バイオマスプラスチック加工開発

 

3つの「づくり」よる

製品の品質保証と安全の管理体制を

重大品質事故「0」件

安全性、品質保証製品

強化

流出クレーム 年25%削減

 

品質マネジメントシステムの活用に

 

 

よる品質管理

 

 

 

 

・人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた指標及び目標

1.人類の普遍的な価値を追及します。

2.社会創生と地域社会に貢献します。

3.働く社員の働き甲斐を追及します。

課題

具体的な取組み

具体的な目標

安心・安全な

安全委員会の開催

労働災害 0件

 労働環境の整備

残業管理制度改革の推進

2030年度 有休完全取得

 

有休取得推進

 

 

ハラスメント防止

 

 

ホットライン開設

 

差別防止とダイバー

女性活躍の推進

多様な人材の活躍推進

シティ推進による人材の

人事制度の見直し

2024年度 女性管理職比率20%

確保、育成、定着

福利厚生充実

 

 

社員の処遇における属性によら

ない機会の平等な提供の推進

 

 

 

 

従業員等への

メンタルヘルスケア

メンタルヘルス休業者 0名

  健康投資の強化

健康管理

特殊健康診断 年2回(交代勤務者・有機溶剤など)

 

 

35歳以上人間ドック受診率向上(目標20%)

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、次のようなものがあります。なお、当社は、当社グループにおける各種リスク発生の可能性を把握し、発生の回避および発生時に迅速・的確な対応ができるようにするための体制の確立に努めてまいります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 受注量の変動

当社グループの主事業は受注生産事業であり、得意先の発注方針、工法変更、競合他社との受注競争および生産動向等により受注高が変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 主要取引先への依存度

当連結会計年度における売上高の10%がTOTOグループに対するものでありますが、同社グループとは納入数量、価格等について長期納入契約は締結しておらず、当社に対する取引方針が変化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これまで培ってきた技術をベースとして新製品・新技術の開発や生産体制の整備を推進し、新たな需要の発掘や拡販活動を強化してまいります。

(3) 原材料価格の変動

当社グループの製品の主原料は、熱可塑性樹脂であり石油化学製品の価格が高騰し、それを製品価格に転嫁できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、複数の購買先を確保するなどして仕入価格の変動抑制に取り組んでおります。

(4) 製品の品質

品質管理には万全の体制をとっておりますが、予期せぬ製品の欠陥が発生し修理費用等を負担する可能性があります。当社グループでは、品質管理について基準を設け、常に徹底した管理、適切な対応に取り組んでおります。

(5) 資金調達

当社グループは、金融機関からの借入れを中心に資金調達を行っています。資金の調達コストは、金利や格付け機関による当社グループに対する評価の影響を受けます。金利上昇や当社グループの業績悪化などにより、高い金利での調達を余儀なくされたり、必要な資金が確保できなくなった場合、当社はグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 為替レートの変動

当社グループは、日本に本社を置き事業運営を行っているため、各地域における現地通貨建て財務諸表を連結財務諸表等作成のため円換算しております。従って、為替レートの変動により換算に適用するレートが変動し、円換算後の損益が影響を受けることになります。

(7)法的規制について

当社グループの事業は、事業を展開する各国において様々な法の規制を受けておりますが、予期せぬ法的規制の変更により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、関係会社を通じて法律や規制の変更状況、政治や経済の状況変化の把握に努めております。

(8) 大規模な災害及び感染症等の影響

当社グループは、非常時に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、火災等の災害及び新型コロナウイルス、新型インフルエンザ等の感染症等が、想定を大きく上回る規模で発生、流行し、当社グループの事業所の稼働が長期にわたり困難になるような場合や当社グループの顧客の属する業界に大きな影響が生じる場合には、当社グループの財政状態および経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9) 固定資産の減損会計による影響

固定資産の減損会計の適用に伴い、経営環境の変化等により、固定資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性を反映させるよう帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失として計上する可能性があります。

 

(10)株式の希薄化のリスク

当社は、エンデバー・ユナイテッド株式会社が組成したファンドであるエンデバー・ユナイテッド2号投資事業有限責任組合に対して、第三者割当増資により普通株式及びA種優先株式を発行しております。発行された7,812,500株のA種優先株式の全部について、普通株式を対価とする取得請求権が行使された場合には、7,812,500株(議決権個数78,125個)の当社普通株式が交付されることとなります。かかるA種優先株式に対する普通株式を対価とする取得請求権の行使により、当社普通株式の1株当たりの株式価値および持分割合が希薄化し、当社株価に悪影響をおよぼすおそれがあります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度における当社事業を取巻く国内外の経済は、世界的に新型コロナウイルス感染症による行動制限の大幅な緩和や各国政府の経済対策など社会経済活動の正常化が進む中で、景気回復の兆しも見られておりましたが、長期化するロシア・ウクライナ情勢に起因する世界的な原油・原材料価格の高騰や大幅な円安などの影響に加え、当社グループの主要な取引先である自動車業界では半導体他様々な部品の供給面での影響を受け、回復の遅れが顕著であるなど、今後の本格的な景気回復に対する懸念が依然として払拭されない状況が続いております。

こうした経済状況のなか、2023年3月期の当社の業況は、海外では世界的な原油・原材料価格の高騰によるコスト増の悪影響はありましたが、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着きを見せ始めたこと等による安定的な需要回復に急速なタイバーツ、ベトナムドン高の影響も重なり、前年度に対し増収・増益、順調に回復することとなりました。

一方で、当社の主力である国内事業においては、年初では需要の回復を想定し前年度に対し増収を見込んでおりましたが、年度を通じて、海外と同様に原油・原材料価格高騰の影響及び国内自動車産業の度重なる生産調整、住宅設備事業における巣篭り需要やリフォーム需要の一巡による減収など、当初の想定以上に収益を圧迫する要因が重なりましたため、連結・個別とも昨年11月に修正開示いたしました業績予想を本年2月に再度修正開示することとなりました。

財務体質の健全化については、進めてきた様々な経営改善施策の実施による事業収益性の改善に加え、過年度の赤字による資本の毀損、今後の新製品、新技術の開発のための新たな資金の調達不安や人材不足等の問題を解決すると同時に抜本的な再建が必要と判断し、2020年1月に産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(いわゆる事業再生ADR手続)の正式な申請を行い、対象債権者(取引先金融機関)による金融支援等を内容とした事業再生計画を策定、2020年4月開催の事業再生ADR手続の第3回債権者会議において、全ての対象債権者からの同意のもと、事業再生計画及び事業再生ADR手続を着実に進めることと、2020年6月に、当社の主力市場である自動車業界への豊富な投資実績を有するエンデバー・ユナイテッド株式会社が組成したファンドであるエンデバー・ユナイテッド2号投資事業有限責任組合との間で、第三者割当方式により、普通株式及びA種優先株式を発行する資本増強策を実施いたしました。

当社グループは、この事業再生計画を確実に実施することにより収益力を上げ、財務内容を健全化させ経営基盤を安定化させると同時に、安定操業の確保、コンプライアンスの遵守およびリスク管理の強化などに継続的に取り組んでまいりました。

 

このような厳しい環境下ではありますが、当年度上半期をボトムとして下期には収益回復の兆しも見え、当期の連結業績は下記のようになりました。

 

 

売上高

15,389百万円(対前期比 3.4%増加)

 

営業利益

381百万円(対前期比 47.2%減少)

 

経常利益

432百万円(対前期比 25.4%減少)

 

親会社株主に帰属する当期純利益

189百万円(対前期比 54.7%減少)

 

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

当社グループは製品別セグメントから構成されており、「モビリティ事業」、「リビングスペース事業」および「アドバンスド&エッセンシャル事業」の3つを報告セグメントとしております。

 モビリティ事業

当事業の国内自動車部門におきましては、部品供給不足とモデルの生産中止による建機農機の落ち込みと大型・中型トラック向け車両の減産で、販売減となりました。海外自動車部門におきましては、ピックアップトラック向けの販売が回復し増収となりました。それにより、タイのECHO AUTOPARTS(THAILAND) CO.,LTD.については、前年度と比べ売上高は増加いたしました。

この結果、当事業の売上高は93億55百万円となり、前連結会計年度比9億5百万円増加いたしました。セグメント利益は3億20百万円となりました。

 リビングスペース事業

当事業の国内住宅設備部門におきましては、業界の全般的なサプライチェーンは回復基調に向かっておりますが、住宅リフォーム需要は減少傾向が続き、弱含みに推移しました。また、DIY等の巣篭り需要の落ち込みが継続しています。この状況下において、新規化粧鏡の受注や普及タイプの化粧鏡の需要は引き続き好調に推移しましたが、業務用空調部品は需要がやや落ち込みました。その結果、売上高は減少いたしました。海外冷機部品部門におきましては、タイのTHAI KODAMA CO.,LTD.では、前連結会計年度と比べ売上高は増加いたしました。ベトナムのTHAI KODAMA (VIETNAM)CO.,LTD.は引き続き業務用冷蔵庫部品が好調に推移し、売上高は増加いたしました

この結果、売上高は51億92百万円となり、前連結会計年度比99百万円減少いたしました。セグメント利益は5億77百万円となりました。

 アドバンスド&エッセンシャル事業

当事業におきましては、ゲームソフト用パッケージ事業は需要増により前年を上回り、また、エネルギー関連インフラ設備向けでは新規部品受注により販売増となりました。前年度まで当事業に含んでおりました自動車向け関連製品を当年度においてはモビリティ事業に移管したことにより、売上高は減少いたしました。利益については、売上減少分が減益となりましたが、利益率では10%以上を確保しております。

この結果、売上高は8億41百万円となり、前連結会計年度比3億円減少いたしました。セグメント利益は1億48百万円となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、133億56百万円となり、前連結会計年度と比べ4億70百万円の増加となりました。

流動資産では、現金及び預金の減少等により1億26百万円減少し、固定資産では有形固定資産の増加等により5億97百万円の増加となりました。

負債では、流動負債はその他流動負債の増加等により4億25百万円増加し、固定負債は長期借入金の減少等により4億40百万円の減少となりました。

純資産では、利益剰余金の増加等により、4億86百万円の増加となりました。これらの結果、自己資本比率は29.2%(前連結会計年度末は28.3%)となりました。

 

 

 ②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の現金および現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により9億5百万円増加し、投資活動により6億9百万円減少し、財務活動により8億12百万円減少いたしました。この結果、資金は前連結会計年度より4億51百万円減少し、13億17百万円(25.5%減)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は9億5百万円(前連結会計年度比1億81百万円の収入減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益および減価償却費等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は6億9百万円(前連結会計年度比2億25百万円の支出増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は8億12百万円(前連結会計年度比96百万円の支出減)となりました。これは主に、借入金の返済によるものであります。

 

  ③生産、受注および販売の状況

 イ.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

モビリティ事業

8,329,926

3.4%

リビングスペース事業

5,383,120

2.2%

アドバンスド&エッセンシャル事業

705,201

20.9%

合計

14,418,247

3.7%

 

(注)  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 ロ.受注状況

当社グループは受注による生産を行っておりますが、いずれも随時受注契約で、受注確定日と納入日は短期間のため記載を省略しております。

 

 ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

モビリティ事業

9,355,988

10.7%

リビングスペース事業

5,192,149

△1.9%

アドバンスド&エッセンシャル事業

841,631

△26.3%

合計

15,389,770

3.4%

 

(注)  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ①重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、棚卸資産、繰延税金資産、固定資産の減損損失及び退職給付に係る負債等であり、継続して評価を行っております。

当社は、以下の会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。

固定資産の減損処理

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の算定に際して用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 a経営成績等の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、海外では世界的な原油・原材料価格の高騰によるコスト増の悪影響はありましたが、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着きを見せ始めたこと等による安定的な需要回復に急速なタイバーツ、ベトナムドン高の影響も重なり、前年度に対し増収・増益、順調に回復することとなりました。

一方で、当社の主力である国内事業においては、年初では需要の回復を想定し前年度に対し増収を見込んでおりましたが、年度を通じて、海外と同様に原油・原材料価格高騰の影響及び国内自動車産業の度重なる生産調整、住宅設備事業における巣篭り需要やリフォーム需要の一巡による減収など、当初の想定以上に収益を圧迫する要因が重なりましたため、連結・個別とも昨年11月に修正開示いたしました業績予想を本年2月に再度修正開示することとなりました。

その結果、当連結会計年度の売上高は153億89百万円(前連結会計年度比3.4%増)と増収となり、営業利益は3 億81百万円(前連結会計年度比43.7%減)、経常利益は4億32百万円(前連結会計年度比25.4%減)、税金等調整前当期純利益は4億32百万円(前連結会計年度比25.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億89百万円(前連結会計年度比54.7%減)となりました。

 b経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について、主事業は受注生産事業であり、得意先の工法変更、外注政策、競業他社との受注競争および生産動向等により受注高が大きく変動することがあります。

また、当社グループの主力分野であるプラスチックス材料での住宅設備、自動車部品分野は、過当競争体質の状況下にあり、価格競争が激しく、当社グループにとって不利な受注価格になることがあります。

 

 c資本の財源および資金の流動性

当社グループの資本の財源および資金の流動性については、営業活動による資金の増加は9億5百万円(前連結会計年度比1億81百万円の収入減)となりました。これは主に、税引前当期純利益および減価償却費等によるものであります。

投資活動による資金の減少は6億9百万円(前連結会計年度比2億25百万円の支出増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものであります。

財務活動による資金の減少は8億12百万円(前連結会計年度比96百万円の支出減)となりました。これは主に、借入金の返済によるものであります。

今後、内部留保を超える設備投資は借入等外部調達にて対応予定であります。

 d経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

台風、地震、火災等の災害及び新型コロナウイルス、新型インフルエンザ等の感染症などが、想定を大きく上回る規模で発生、流行し、当社グループの事業所の稼働が長期にわたり困難になるような場合や当社グループの顧客の属する業界に大きな影響が生じる場合には、当社グループの財政状態および経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらの予測は非常に難しい状況ですが、当社グループは、非常時に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じており、非常時においては、機動的・予防的な財務施策により資金の流動性確保に努めるとともに、需要に応じた生産活動の徹底、設備投資の抑制や徹底的な固定費削減など緊急対策等を進め、これらの影響が最小限となるよう努めています。

 e経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載のとおりです。

当目標の達成に向けた取り組みについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題」に記載のとおりです。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社および連結子会社)は、技術開発力のある成形加工メーカーとして、独自技術の確立、拡大を基本理念としております。新材料・新商品開発は、樹脂材料及び設備機械メーカーとジョイントワークしつつ、新加工法の開発および生産治具・自動省力機の設計・製作を積極的に進めております。更に近年、環境課題から脱炭素の取組みとして、CO2排出削減のため軽量かつ剛性でリサイクル可能な技術が開発上のキーアイテムとなっております。今後、樹脂とカーボンファイバーや環境素材といった多様な材料を融合する成形技術を、昨年度導入しました複合材設備で強化推進してまいります。

当連結会計年度におけるグループの全体の研究開発費は42百万円であります。

セグメントの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

(1) モビリティ事業

モビリティ分野では、軽量かつ剛性でリサイクル可能な技術として、ガラスやカーボンファイバー素材の各種繊維強化コンポジット材による板金の樹脂化に取り組み、当社の新工法が大手自動車メーカーに採用され、金属代替部品として実用化を達成しております。

また、軽量化技術としては、従来から検討進めております化学発泡成形技術に加えて、物理発泡成形技術についても試作開発検討を進めております。更には環境面から熱・音マネジメントが要求される需要に対しても、今後のマルチマテリアル化を睨み、一層機能向上を狙った部材の開発にも引き続き取り組んでおります。

一方、高品位な意匠性を実現するためのフィルムによる加飾技術では、3次元フィルム加飾工法による高品位内装部材は採用、実用化されております。ここでの3次元フィルム技術の更なる進化としては、触感や透過といった機能性を高めた技術改良を進めており、採用の拡大を目指しております。

その他に当社の強みである真空成形技術の究極レベルを達成するため、高機能樹脂も駆使しながら技術革新に挑戦しております。

(2) リビングスペース事業

リビングスペース分野では、当社の主力製品である洗面キャビネットにおいて、設計まで遡った究極的なもの造り活動の成果として、コスト低減提案が採用され更なる展開を進めております。

また、本事業でも、既述の3次元フィルム技術の進化として、撥水・撥薬剤・抗菌の機能性を有した技術を追求しており、ここでも、新たな需要の開拓を進めております。

このように、更なる機能、品質向上を目的とした技術が確立し、新規製品の実現に向けて開発を加速しております。

(3) アドバンスド&エッセンシャル事業

従来のアミューズメント市場向けゲームソフトパッケージ等の開発に加えて、複合材技術、真空・圧空成形技術、3次元フィルム技術といった多様な技術開発力で、各種市場での需要に対応していきます。

IT製品やエネルギーインフラ市場向けとして、軽量かつ高精度の薄肉成形を可能とする各種カーボンファイバー素材成形の研究開発、医療・介護や植物工場向け市場に関しては、それらの機器部品に対応する真空・圧空成形技術、また、こだわり家電やその他移動体向けでは、3次元フィルム技術などを適用させ、市場開拓をすすめております。特に医療の分野では、今後、他社との協業を含めて、検査・試験用途機器の需要に対し取込みを進めております。