文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、金融サービスの提供を通じて持続的な成長の実現及び企業価値の向上に向け、当社グループの存在意義である、Our Purpose「金融をもっと近くに。一人ひとりに向き合い、まいにちのくらしを安心とよろこびで彩る。」を策定いたしました。本パーパスのもとで、小売業発の金融グループの強みである「生活者視点」に立ち、すべてのお客さまのライフステージや生活環境の変化に対応した金融サービスの提供を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
持続的な成長に向けて、収益力の強化及び資本効率の向上を図ることで、経営指標の目指す水準をROE10%以上の達成、維持を目指してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境として、世界的な政情不安の継続や中国経済の成長鈍化、日本を除く各国の金融引き締め政策と金利の高止まりに伴う景気の下振れリスク等、先行きへの不透明感が継続しました。
国内では企業の値上げや賃金の上昇が広がり、経済の好循環が期待される一方で、お客さまの生活防衛の意識は高まり、消費行動や運用ニーズに影響を与えています。また、コロナ禍で進展したキャッシュレス決済においては、競合各社によるさらにお得で便利なサービス提供に向けた競争が激化しており、当社の主要な事業領域である決済サービス環境の変化はより一層加速しています。
このような状況下において、当社は、2030年のありたい姿を「『金融をもっと近くに』する地域密着のグローバル企業」と掲げております。日本国内だけではなくアジア諸国全域をマーケットとして捉えることを再認識するとともに、各国・地域では地域密着型の企業として、一人ひとりに寄り添い、お客さまの「不」を解決・解消することで、ありたい姿の実現に向けて取り組んでまいります。加えて、事業ポートフォリオの見直しによる選択と集中により、生産性の向上を進めてまいります。
当社グループのOur Purposeのもと、中期経営計画「第二の創業:バリューチェーンの革新とネットワークの創造」の基本方針を掲げ、アジア各国のお客さまに、より革新的な金融サービスの提供を目指し、下記の取り組みを進めてまいります。
<国内事業における重点施策>
①イオン生活圏の構築に向けたインフラづくり
イオングループでは、グループ各社の総合力を組み合わせて、地域に根差した商品・サービス・生活基盤をシームレスに提供することでイオン生活圏を創造し、お客さまの生活を豊かにしていくことを成長戦略の一つとして掲げております。
当社グループは、その「イオン生活圏」を金融サービスで繋ぐインフラづくりの役割を担い、お客さまの生活に密接に関わる決済サービスの利便性向上を進めるとともに、コード決済AEON Payがどこのお店でも使える幅広い決済ネットワークとなるために、利用可能箇所をさらに拡大してまいります。また、アジアを繋ぐ決済ネットワークを構築するため、他社提携を含め、先進的な取り組みを行ってまいります。
②地域・お客さまの生活インフラニーズの取り込み
お客さま目線で必要なサービスをスムーズに提供できるよう、お客さまとのタッチポイントを再構築します。小型店舗においてもデジタルを活用し、リモートでお客さまに商品を親身にご説明できるリアル拠点を設けること、当社グループ各社のアプリを統合し、ワンストップで様々な商品をご提供できる環境を構築することなどの取り組みにより、クロスセルを促進し、お客さまの満足度向上とともに生産性の向上を目指します。また、既存の商品の使いやすさを追求することに加えて、お客さまのライフスタイルに合わせた新たな商品・サービスを開発し、これまでご利用いただいていなかったお客さまのニーズを取り込んでまいります。
③リスク・コストコントロール能力の向上
AIを活用したスコアリング等による与信・債権管理の高度化に継続的に取り組んでいます。また、クレジットカードの不正利用が増加している中で、当社としては利用通知サービスやカード不正利用検知による不正防止等を強化することで、お客さまの日々の生活に安全と安心を提供できるように取り組んでまいります。
<国際事業における重点施策>
①各国でのデジタル金融包摂の実行
マレーシアにおいて2022年4月にデジタルバンクのライセンスを取得し、2024年上期開業に向けた準備を進めております。デジタルバンク事業を営むAEON BANK (M) BERHADでは、AI分析など最新技術を導入し、お客さまの収入の変動やライフステージの進展による金融ニーズの変化に対して、継続して当社グループのサービスをご利用いただける、LTV最大化を推進するビジネスモデルを構築してまいります。
デジタルバンク開業後はシステムアーキテクチャー、AI活用、金融包摂などにおける成功事例をグループ各社へ水平展開し、海外各社のビジネスモデル転換を加速させてまいります。
②事業・提供商品・展開エリアの拡大
ベトナムにおいて、今後、イオングループ一体となってベトナムにおけるイオン生活圏の拡大をさらに加速するため、現地で個人向けローン事業を展開するPost and Telecommunication Finance Company Limitedの持分を取得することを決定いたしました。当社グループの海外事業において、第4の柱とするべく、成長戦略を強化するとともに、提供する商品・サービスのラインナップを拡充することで、お客さまの暮らしを豊かにするために取り組んでまいります。
また、アジアにおける新規参入調査を進め、今後の展開エリアの拡大に向けた取り組みを進めてまいります。
③都市と地方のニーズの違いに対応したエリア戦略立案
各国において、フォワードルッキングな与信管理モデルの構築に取り組んでおります。これにより地域ごとの顧客属性や商品ポートフォリオを細分化し、生涯予測収益、貸倒費用の把握をするとともに、営業施策や審査基準へ活用しエリア戦略立案を進めることで、収益の最大化及び貸倒費用の抑制による、利益最大化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
当社グループは、事業活動を通じて創出する経済価値と地域社会が享受する社会価値の双方が両立するサステナビリティ経営を推進するため、2021年に「AFSサステナビリティ基本方針」を策定しました。当社グループが、地域社会やお客さま、お取引先さまとともに能動的、積極的にサステナビリティ活動を推進するための原則を定め、事業運営のすべての意思決定にサステナビリティの視点を取り込むとともに、自然環境や社会システムと一体となった長期的な価値創造を実践することを基本方針として定めています。
さらに当社は、当社グループの「志」であり「存在意義」である「Our Purpose」を2023年に公表しております。当社の親会社であるイオン株式会社の「イオンの基本理念」、「イオングループ未来ビジョン」と「Our Purpose」のもと、従業員の一人ひとりがお客さまをはじめとしたステークホルダーの皆さまの豊かな生活のため何ができるかを自立的に考え、自律的に行動して変化に挑み続けることで、社会課題を解決します。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティ経営により企業価値の最大化を図ることを目的に取締役会からの委嘱を受けてサステナビリティ委員会を設置しています。
●取締役会
取締役会は、当社の企業価値向上を目指し、機動性を重視するとともに、迅速かつ適正な意思決定を行います。サステナビリティ基本方針の決定及び改定、並びに中長期及び年度活動計画の決定等、重要事項については、サステナビリティ委員会における審議を経た上で取締役会決議事項としています。取締役会は、サステナビリティに関する重要事項について、関係者に必要な指導・助言を与えています。
●サステナビリティ委員会
サステナビリティ委員会は、社会的観点から当社グループの重要課題(マテリアリティ)に対してガバナンスを効かせ、企業としてのサステナビリティに関する戦略・方針を決定します。また、具体的な目標や施策に係る実行計画について、検討・審議を行うとともに、実行計画に基づき、当社グループによる取り組みやその進捗状況に関する継続的なモニタリング、フォローアップ(指導・助言)を行います。さらに、全社横断で課題へ対応するため、当社各部門並びに当社グループ各社を指導し、施策の実行を統括・支援するとともに、サステナビリティに関する事項を総合的・専門的に協議・検討します。また、サステナビリティ委員会は取締役会からの委嘱事項について、戦略・サステナビリティ部及びサステナビリティ部会と連携しながら実行し、取締役会に報告を行っています。
●サステナビリティ部会
実践に向けた具体的な目標や施策に係る実行計画について、グループ一体となって推進するため、サステナビリティ委員会下にサステナビリティ部会を設置しています。ビジネスモデルの転換により事業活動を通じた資源の有効活用を進めるとともに、当社グループの提供する商品やサービスを通じ、お客さまや地域コミュニティと一体となって脱炭素化に取り組んでまいります。また、当社グループ各社の役員及び従業員一人ひとりの環境保全意識を高め、主体性の発揮を促進してまいります。
(2)マテリアリティ・戦略
当社グループは、誰もが心豊かで幸せに暮らせる持続可能な社会の実現、平和に貢献することを目指し、サステナビリティ経営を推進しています。その実現に向け、2021年11月、中長期的に当社事業に影響を及ぼす重要な社会課題(マテリアリティ)を特定しています。これらを「革新的な金融サービスを通じた幸せの追求」「人材の多様性と可能性の発揮」「レジリエントな経営基盤の確立」「気候変動等への対応」の4つの分野に体系的に分類することで課題を明確化するとともに、これらの解決に向けた取り組み事項を掲げ、それに対する具体的な指標を議論しているところです。
①人的資本・多様性に関する事項
当社はイオングループの一員として、イオンが掲げる「人間尊重の経営」を推進しております。グローバル市場に展開し、市場環境の激しい変化に対応していくため、イオンピープル一人ひとりの可能性を活かす経営を実現するために取り組みを進めております。さらにOur Purpose「金融をもっと近くに、一人ひとりに向き合い、日々のくらしを安心とよろこびで彩る。」の実現のために、一人ひとりの能力や意欲を引き出し戦略を実現することが重要と考え、「人材の多様性と可能性の発揮」をマテリアリティの一つに掲げております。
(人材の多様性に関する考え方)
従業員一人ひとりが持つ多様な価値観が集まることで生み出されるイノベーションと、働きがいをもち自律的に行動・変化する従業員の存在が持続的な成長のために不可欠であると考えております。お客さまニーズの多様化、価値観の変化に対応するため、多様な価値観が戦略及び商品サービスへ反映されることが重要です。
この考えのもと、人材の育成、ライフステージ・ライフスタイルが異なる全従業員が自分らしく働きがいを持ち働くことができる社内環境の整備、意思決定層の多様化を重点課題としております。
(人材の育成に関する考え方)
性別・年齢・国籍等に関わらず、すべての従業員の個性、尊厳、自律性を尊重し、仕事や学びを通じた成長機会の提供に努めています。
当社は、これらの重要性を認識し、「教育は最大の福祉」という創業時より続くイオングループの信念に基づき、学習機会の提供など人材への投資を積極的に行っています。急速なテクノロジーの発展に対応し、新たな金融の価値をお客さまへ提供するためDX人材の育成を開始、また、2023年3月、当社グループの人材に必要なスキル開発を促進する教育・育成機関として、「AFSアカデミー」を開設しました。「AFSアカデミー」においては、社内の従業員に向けイノベーション、DX、ダイバーシティ、様々な公的資格の取得支援などの講座を提供することで、リスキリングを促すなど自律的な知識の習得を促進しています。従業員の学びのニーズに応えるとともに、中長期的に従業員を育成し、人的資本経営を推進していきます。
加えて、従業員のキャリア支援に向けて、従業員が自由にキャリアを相談できる窓口の設置やグループ横断の積極的な社内公募の実施、従業員応募による新規プロジェクトへの参画等、能力発揮の場を提供するなど、挑戦の後押しを行っています。
また、持続可能な社会の実現に向けた活動として、従前より高校生や大学生を対象とした金融リテラシー向上の取り組みに注力してきました。今後さらにSDGsの推進によるサステナブルな社会実現に貢献するため、外部団体向け講座としての拡大を目指し、グループ一体となってより強力に推進します。
(社内環境整備に関する考え方)
連続したキャリア形成が従業員一人ひとりの人的資本の蓄積につながると考え、ライフステージやライフスタイルの変化後もキャリアを重ねることができるよう、時間や場所にとらわれない多様で柔軟な働き方を可能とします。男女ともに育児や介護をすることを想定した柔軟な勤務体制やサポートする風土を醸成することは、全ての従業員においてワークライフバランスを重視した働き方の推進につながります。
また、ウェルビーイングの実現のため健康経営に取り組んでおり、当社並びに国内グループ8社((株)イオン銀行、イオン保険サービス(株)、エー・シー・エス債権管理回収(株)、イオン住宅ローンサービス(株)、イオンプロダクトファイナンス㈱(現 ㈱オリコプロダクトファイナンス)、イオン少額短期保険(株)、ACSリース(株)、イオン・アリアンツ生命保険(株))が「健康経営優良法人2023」に認定されました。さらに、エー・シー・エス債権管理回収(株)は、大規模法人部門のうち上位500法人が認定される「ホワイト500(2023)」の認定を受けています。
加えて、連続休日の制度化や、年間最大15日の年次有給休暇の計画的付与等をはじめとしたワークライフバランスの推進を行っています。
(意思決定層の多様化に関する考え方)
当社グループは女性のお客さまも多く、意思決定層における女性比率の向上により、より多様な意見を基にした戦略策定、商品サービスの開発が可能となり、多様なお客さまニーズに応えることができることが、企業価値の向上につながると捉えております。女性活躍推進を通じて、女性に限定せずに多様な個人が自分らしく力を発揮し活躍できる環境を構築し、さらなる意思決定層の多様化を図って参ります。
②気候変動に関する事項
イオングループでは、地球環境及び人間社会に大きな影響をもたらす気候変動問題に早くから取り組み、2040年をめどに店舗で排出するCO₂等を総量でゼロにすることを目指す「イオン脱炭素ビジョン」を掲げています。当社も本ビジョンに基づいた取組みを推進するとともに、2021年11月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)へ賛同を表明するとともに、マテリアリティで特定した「気候変動等への対応」の方針を明確化しています。
「気候変動等への対応」については、お客さまの生活や健康、地域経済並びに社会の発展に多大な影響を及ぼすことを認識し、脱炭素社会の構築に向けたガバナンスや戦略、目標設定を通じた強靭性確保に努めています。
気候変動関連リスクのマネジメントの一環として、気候変動がもたらす当社グループ事業への影響評価を目的とした、「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」の2つのシナリオによる気候変動関連リスク・機会のシナリオ分析を行っています。具体的には、気候変動に由来する中長期的なリスク項目を移行リスクと物理的リスク及び機会に整理し、各項目の当社グループへの影響を評価し、影響が大きいと考えられるものを「重大リスク/機会項目」としています。その後、各項目をその影響が及ぶと考えられる時間軸別に短期・中期・長期の枠組みで整理しています。
シナリオ別に特定した当社グループの気候変動関連重大リスク/機会項目と影響レベル
●移行リスク
移行リスクとは、気候変動政策及び規制や、技術開発、市場動向、市場における評価等の変化によってもたらされるリスクです。脱炭素社会への移行にあたっては、炭素税の導入、再生可能エネルギーや電気自動車に対する優遇措置など法や規制の変化により、税負担やエネルギー価格の高騰、与信関係費用の増加や資金調達コストの増加による財務的な影響が考えられます。また、そのような中で気候変動を含むサステナビリティへの取り組みに消極的であると、市場からの信頼を失い企業価値が低下する恐れが考えられます。
●物理的リスク
物理的リスクとは、気候変動によってもたらされる災害等による急性あるいは慢性的な被害を指します。異常気象による洪水などによりお客さまや従業員、店舗等の資産に直接的被害が生じる可能性があります。また、クレジットカードや銀行システムが寸断されるなど金融インフラサービスの維持が困難となり、その復旧・対策のためのコストが増加するリスク等が考えられます。
●機会に対する認識
脱炭素社会の実現にあたって、環境に対する意識の拡大や大規模な事業設備ニーズが生まれるものと考えられます。当社グループは、脱炭素関連設備や住宅への融資、リース等をはじめ、お客さまに対する環境負荷に配慮した新たな金融サービスの提供を通して事業機会が増大すると考えています。また、再生可能エネルギーの利用、低炭素素材への切り替え等により、当社にとってコスト削減や収益増といった財務上の効果が得られること等が挙げられます。
(3)リスク管理
当社は、当社グループが直面する様々なリスクについて、リスクカテゴリーごとに評価したリスクを可能な限り一貫した考え方に基づいて相対的に捉え、より確実かつ継続的な企業価値の向上に貢献することを目的とするリスク管理を推進しています。
当社は、TCFDに沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充に努めており、当社グループのマテリアリティで特定しているとおり、「気候変動等への対応」を重要な位置づけとしています。
気候変動を含む多様なリスクについてリスクカテゴリーごとに評価し、経営体力と比較対照しながら適切に管理することにより、経営の健全性を維持することを目的としてリスク管理の高度化を進めています。この中で「リスク特定・評価」「コントロールの評価」「リスク評価」からなる一連のリスクマネジメントプロセスを構築しています。気候変動リスク管理においては、「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」といった複数の将来予測シナリオを用いてそれぞれについて分析を行い、当社グループに影響を及ぼす気候変動関連リスクと機会を特定・評価しています。特定したリスク項目と機会項目を当社グループの事業計画に反映させるべく、サステナビリティ委員会の指示・監督のもと、サステナビリティ部会における議論を通じて事業部門への潜在的な影響の規模や範囲を評価することとしています。
(4)指標及び目標
①人的資本・多様性に関する事項
イオングループは「国籍、年齢、性別、従業員区分を排し、能力と成果に貫かれた人事」を人事の基本的な考えとして共有しています。この考えのもと、絶えず革新し続ける企業集団として新たな価値を創造・提供し続けるために、当社グループにおいても多様な人材を受け入れ、様々な価値観を活かす「ダイバーシティ経営」を推進しています。当社グループにおける指標及び目標は次のとおりです。
●女性管理職比率
当社グループは女性のお客さまも多く、意思決定層における女性比率の向上により、より多様な意見を基にした戦略策定、商品サービスの開発が可能となり、多様なお客さまニーズに応えることで、さらなる企業価値の向上につながると捉えております。
女性の活躍推進のため、今後の管理職を担う係長職も含めた女性比率の向上を目標値として定め、2025年度には50%とすることを目標としています。なお、2023年度期末の女性管理職研修等によるキャリア開発支援やフレキシブルな勤務形態の拡充、職場環境の整備に努め、活躍を推進しています。
●男性の子育て支援
男性の家庭参画を促すことは、男女の機会の均等、ジェンダーロールバイアスの排除にとどまらず、男性の多様なキャリアの推進や、風土や環境など多方面から女性の活躍を後押しすることにつながります。さらに育児の経験はイオングループ、当社グループのお客さまに多いファミリー層、女性のニーズを捉えるうえで価値ある経験であるという考えのもと、男性の育児休暇取得率の向上に努めてまいります。
当社グループ(国内)における2023年度末の男性の育児休業取得率は75.6%です。2025年度には100%を目標としています。
②気候変動に関する事項
当社グループでは、気候変動関連のリスク及び機会を評価・管理するために温室効果ガス(GHG)排出量の測定・把握を行っています。今後は、世界全体のGHG削減に貢献するべく、事業活動に伴う環境負荷の適切な削減目標と指標の設定を行ってまいります。
●当社グループにおける主な気候関連の指標
●当社グループにおける温室効果ガス(GHG)排出量
(Scope1、2)
(Scope3)
・当社グループでは、GHG排出量をGHGプロトコルのメソドロジーに則り計算しています。
※1の集計対象は下記グループ会社です。
イオンフィナンシャルサービス株式会社、株式会社イオン銀行
※1以外の集計対象は下記グループ会社です。
イオンフィナンシャルサービス株式会社、株式会社イオン銀行、イオン保険サービス株式会社、イオンプロダクトファイナンス株式会社、エー・シー・エス債権管理回収株式会社、イオン住宅ローンサービス株式会社、ACSリース株式会社、イオン・アリアンツ生命保険株式会社、AEON CREDIT SERVICE (ASIA) CO., LTD. 、AEON THANA SINSAP (THAILAND) PCL. 、AEON CREDIT SERVICE (M) BERHAD
当社では、当社グループの事業等のリスクの評価について、リスク事象の発生可能性及びその経営への影響度を評価したうえで、総合的に重要なリスクの判定を行っております。各リスクの管理については、年度毎のリスク管理実行計画を立案し、内部統制推進委員会での審議を経て、取締役会にて審議、決定を行います。
当社及び当社グループの事業等のリスクについて、投資者の投資判断上重要であると考えられるリスク事項を「特に重要なリスク」「重要なリスク」として以下に記載しております。
これらリスクに関しては、定期的に内部統制推進委員会、取締役会に報告しており、リスクの顕在化や新しいリスク事象が発生した場合に適切に対応できるよう努めております。当社のリスク管理態勢については「4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 ・リスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。なお、本項における将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。また、当社グループの事業に関するすべてのリスクを網羅的に記述するものではありません。
■特に重要なリスク
大分類 |
リスクの概要 |
対応策 |
システムリスク |
・重要なITプロジェクトに関するリスク 当社グループは、中期経営計画に掲げるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取組みや、基幹システムの更改等により、新商品やサービスの提供等、競争優位の確立や他社との差別化に努めております。これら重要なITプロジェクトにおけるリリースの延期、実現機能の不足や品質の低下等が発生した場合、投資コストの超過など、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社は、開発計画、開発プロセス、品質への重層的なモニタリングの実施や、設計品質、テストの網羅性を高めるためベンダーと相互牽制をしつつ、一体となって開発を行う態勢を整え、プロジェクトを推進しています。重要なITプロジェクトの進捗状況は月次で取締役会に報告されます。また、リリースに際しては、あらゆるケースを想定して事前の検証を徹底し、万が一障害が発生した場合の体制を準備します。 |
システムリスク |
・システムサービスの中断や誤作動(ITサービス品質リスク) 当社グループが提供する各種サービスにおいては、ITシステムの安定稼働は重要かつ必要不可欠なものとなっています。このことは自社のシステム環境だけでなく協業先であるサードパーティについても同様です。システム上の不具合、自然災害等による影響、人為的なミスや過誤その他さまざまな要因によりITシステムの停止、中断や誤作動が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループではこうした障害による被害の最小化と早期復旧のために物理的、技術的、組織的な施策を講じています。具体的には、不具合等の発生を迅速に察知する監視体制の構築と強化、システムやデータの分散や冗長化、業務オペレーションの標準化と定期的な教育、インシデント発生時に備えたリカバリープランの策定及び訓練の実施などがあります。実際に発生したインシデントに関しては、その原因究明を行い、再発防止策を策定しています。委託先に関しては取引開始前審査を実施するほか、その他のサードパーティについても平時から連絡連携を密にし、障害発生時に円滑な対応が取れるよう関係強化に努めております。 |
システムリスク |
・外部からの攻撃(サイバー攻撃)に関するリスク 近年のデジタル技術の著しい進展に伴い、サイバー攻撃も高度かつ巧妙な手法が用いられており、金融機関をとりまくサイバー攻撃の脅威は深刻なものとなっています。当社グループのシステムがこうした攻撃による侵襲を受けた場合、サービスの停止、データの棄損や情報の漏えいなどが発生した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、外部からのサイバー攻撃に対する技術的な対策を講じるとともに、運用面ではサイバーインシデントに対応する組織として主要会社にCSIRTチーム(Computer Security Incident Response Team)を設置し、様々な事故・障害を想定して、グループ各社或いは業界団体と一体となった訓練への参加を実施しています。また、フィッシングメールやBEC(ビジネスメール詐欺)、サイバー攻撃に対する社員への啓蒙・訓練も定期的に実施しています。 |
大分類 |
リスクの概要 |
対応策 |
法務・コンプライアンスリスク |
・法規制違反 当社グループが提供するサービには、法令に基づく許認可によるものが多くあります。これら法令及び規制の変更や新設に適切な対応ができず、あるいは違反による行政処分等を受けた場合、事業活動への制限を受ける等当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループ各社は、その展開する国や地域における関係法令及び諸規制の改正動向をモニタリングし、事業活動や業績等への影響を評価分析し適宜その対応を行っております。また、法令等に基づく各種報告や届出事項に遺漏がないよう厳格な期日管理も実施しております。また、当社グループの役職員に対して定期的に研修を実施するなどして法令遵守に努めています。 |
信用リスク |
・信用リスク 当社グループの与信業務はクレジットカード、割賦販売、住宅ローンなどの個人向けの割合が大きく、信用リスクの分散が図られています。しかしながら、経済状況の著しい悪化や金融市場等の混乱の発生などによるお客さまの信用状況の変化によって想定を超える与信関連費用が発生するなどした場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、信用リスク管理態勢の強化を図っております。外部経済環境や商品・地域別の信用状況の変化を把握し、取扱高の減少による営業収益への影響に関してもタイムリーに審査基準に反映することにより、ポートフォリオ残高と健全性のバランスのとれた運営に努めています。また、お取引開始後にも個々のお客さまの返済状況等のモニタリングを行い、必要な場合には与信枠の見直しを行う等、適切な債権管理を実施しています。 |
事務リスク |
・外部不正(フィッシングサイト等を通じた不正アクセス等被害) 近年、フィッシング詐欺による被害が多く発生しており、こうした金融犯罪の増加は金融機関にとって喫緊の課題となっています。特にネットサービスにおける犯罪手法は、高度化、巧妙化が進んでおります。こうした犯罪に適切に対応できない場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、お客さまのお取引に関する技術的安全措置の拡充、フィッシングサイトや不正アクセスの監視強化等に努めております。また、お客さまに対する被害にあわないための注意喚起などにも努めています。 |
事務リスク |
・情報セキュリティ 当社グループは、お客さまや取引先の個人情報や機密情報を入手及び管理しています。これらの情報についてサイバー攻撃や役職員や業務委託先の杜撰な管理などにより情報の漏えい、改ざん、棄損、紛失などが発生した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは個人情報をはじめとする情報資産管理について、技術的、物理的及び組織的な安全管理措置を講じております。近年脅威が増大しているサイバー攻撃については「外部からの攻撃(サイバー攻撃)に関するリスク」に記載のとおりです。当社グループ役職員は定期的な教育や研修により、情報管理の重要性及びその保護についての理解を深めています。また、個人情報等の取扱いを外部に委託する場合においては、委託の基準を定めるほか、定期的なモニタリングを実施する等の管理措置を講じています。 |
■重要なリスク
大分類 |
リスクの概要 |
対応策 |
法務・コンプライアンスリスク |
・税務リスク 当社グループが展開する国や地域の税務処理に関して税務当局と税法の解釈や認識に相違がある場合、想定外の追加の税金、利息や罰金が発生する等、当社グループの財務状況に影響を及ぼすリスクがあります。 |
当社グループでは、日本を含む展開各国ごとの税務専門家によるレビューやアドバイスを用いて、当局との認識相違等が生じないよう、適切な納税額を算定する体制を構築しております。当局との認識相違が発生した場合についてもこれら専門家の支援を得ながら当社の解釈等について理解を得られるよう対応することとしています。 |
事務リスク |
・内部不正、事務事故等のリスク 当社グループは、業務の遂行に際して、様々な種類の事務処理を行っています。役職員等が定められたとおりの事務処理を怠る、あるいは事故、不正等を起こした場合、予期せぬ損失の発生や行政処分の対象になる可能性があります。その結果、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、事務処理に関して社内規程や手続等を定め、品質の維持向上に努めています。事務処理上の過失が発生した場合は、原因分析を徹底し、再発防止策を立てることとしています。また、内部不正の防止については、ジョブローテーションの実施による業務関連不正の抑止やイオングループ共通の基本理念に基づくコンプライアンス意識教育を行っております。 |
市場リスク |
・為替リスク、金利リスク、価格変動リスク 当社グループの国内事業では、住宅ローン、オートローン、リフォームローン等の運用期間が長い金融商品を取り扱っていることから、運用と調達の金利更改ギャップが発生します。市場動向等により金利が大幅に変動した場合、当社グループの業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。 また、国内の銀行事業、保険事業においては、外国証券及び債券・株式等の有価証券運用を行っています。市場動向等により、為替・金利・株価等が大幅に変動した場合、当社グループの業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループはアジア各国で事業を展開していることから、日本からの投融資や現地子会社における外貨建て調達、又は現地子会社からの配当金送金、連結業績等に関し、為替相場が大幅に変動した場合、当社グループの業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループの国内事業では、調達について社債や債権流動化等の長期資金を活用し、運用と調達の金利更改ギャップの低減に取り組んでいます。 また国内の銀行事業、保険事業における有価証券の価格変動リスクにおいては、リスク量として主にバリュー・アット・リスク(過去のデータ等に基づき、今後の一定期間において、特定の確率で、保有する金融商品に生じる損失額の推計値)を計測し、取締役会等で決議したリスク限度額を超過しないようリスクをコントロールしています。 為替変動リスクについては、国内の銀行・保険事業においては上述のリスクコントロールを行っております。また、事業を展開するアジア各国での為替相場変動リスクについては、当社グループの業績や財務内容への影響を考慮し、定期的に影響度をモニタリングしております。 |
流動性リスク |
・流動性リスク 当社グループは、営業活動に必要な資金の調達を預金及び金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、債権流動化等により行っています。金融市況及び景気動向の急激な変動、その他の要因により当社グループの信用力低下が生じた場合、又は、格付が低下する等した場合、資金調達に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、継続的なキャッシュ・フローのモニタリングを通して、適時に資金管理を行うほか、資金調達手段の多様化や市場環境を考慮した短期調達・長期調達のバランスの調整等により、流動性リスクを管理しています。 また、当社グループの銀行事業は、流動性リスク管理として支払準備資産保有比率及び資金ギャップ枠を設定し、その枠を超過しないようリスクをコントロールしています。 |
人的リスク |
・人材管理リスク 当社グループは、幅広い分野で高い専門性を必要とする業務を行っていますが、こうした人材層の市場ニーズはより高まっています。新規人材の獲得競争に劣後し、既存役職員の流出等により高い専門性を有する人材を充分に育成、確保できない場合、事業が計画通りに進行しないなど、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、事業の成長やお客さまの変化に対応するイノベーションを実現するためには、専門性を持った優秀な人材の育成、確保を重要な課題と認識し、成果・能力主義を重視した人事制度の運用、従業員の業務遂行能力向上を目指した教育制度の充実に努めています。 また、「次世代経営者育成プログラム」等を通じ、グループ経営を推進する人材の育成に向けて、トップ及びミドルマネジメント層の人材開発にも取り組んでいます。 |
大分類 |
リスクの概要 |
対応策 |
人的リスク |
・人事・労務リスク 当社グループは国内外で事業活動を行っており、各社には多様な人種や国籍、文化を有する役職員が働いています。グループ各社においてこうした人権や多様性への理解と対応が不十分である場合、役職員の離職や社会的批判の対象となる可能性があります。これは、当社グループのレピュテーションに影響を与えるほか、サービス利用の敬遠などによる業績や財務状況に影響を及ぼす可能性委があります。 |
当社グループでは、事業を展開する各国において、当該国の法令の遵守のみならず、すべての役職員が「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」というイオンの基本理念に基づいた行動を体得すべく、定期的な教育を通じた啓蒙活動を行い、ハラスメントなどの人権侵害や職場環境を害する役職員の言動の予防措置に努めています。また、差別等の不適切な行為があった場合、その当事者や発見者は内部通報制度により不適切な行為を通報することができます。当該制度を通じた個別の事案に対しては、通報者の適切な保護のもと調査に基づく是正対応を行っております。 |
有形資産リスク |
・自然災害、その他災害 当社グループは、国内及びアジア各国・各地域において事業を行っています。これらの地域で、地震・津波・台風・大雨・システムトラブル・感染症の拡大・暴動・テロ活動等の発生により、当社グループの店舗・その他施設及び資金決済に関するインフラ・ATM等への物理的な損害や従業員への人的被害、又は当社グループの顧客への被害があった場合、相当期間にわたる業務停止、多大な復旧コストの発生や事業廃止に至るなど、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社と子会社であるイオン銀行は、こうした自然災害等に対して、事業継続マネジメントシステム(BCMS)の国際規格(ISO22301)の認証を受け、事業継続計画の策定、訓練や演習等を行っております。グループ各社においても、有事の際の被害の最小化と早期事業復旧のため、重要業務の選定、BCPの策定、訓練や演習役職員への教育などのプロセスを推進しています。 |
風評リスク |
・風評・風説の発生によるリスク 当社グループや金融業界等に対して事実と異なる理解・認識をされる可能性がある風説・風評が、マスコミ報道・口コミ・インターネット上の掲示板、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)への書き込み等により発生・拡散した場合、当社グループへの信頼が損なわれる可能性があります。 |
当社グループでは、常時キーワード検知によるSNSモニタリングを実施し、こうした風説・風評の早期発見に努めるとともに、その影響度・拡散度等の観点から適時かつ適切に対応することで、影響の極小化に努めています。 |
その他のリスク |
・地政学的リスク 当社グループはアジア圏を主に海外展開しています。これら展開地域やその周辺地域で金融危機、政情不安や社会不安が顕在化した場合、当該国地域のお客さまの環境や子会社の事業運営や経済環境が著しく変化し、当社グループの業績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
海外事業については、展開の前後でマクロ及びミクロレベルでのマーケットの調査と分析を実施するほか、経済情勢や政治社会情勢等について、イオングループ各社や現地日本企業との連携を深め情報収集に努めています。各種情勢変化の兆候を認めたときは、内部統制推進委員会等で対応について検討することとしています。 |
その他のリスク |
・気候変動リスク イオングループでは「イオン 脱炭素ビジョン2050」に基づく省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの推進、再生可能エネルギーへの転換等に取り組むとともにTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の低減に沿った情報開示を進めていますが、環境に関する規制の強化者社会的要請の高まりなどから想定以上の対策コストの発生や、当社グループの取り組みや開示内容が不十分と見なされ、当社グループの社会的信用が低下した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社では店頭における商品説明、サービスのお申込み、イオンカードのご利用明細などのペーパーレス化を推進する等、脱炭素への取り組みを行っています。また、各種規制の新設や変更等のモニタリングを行うほか、十分な開示を行い、当社グループの説明責任を適切に果たせるよう努めています。 |
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
①連結経営成績の状況
当社は、金融サービスの提供を通じた持続的な成長を実現するため、当社グループの存在意義を再定義した「Our Purpose」を策定いたしました。本パーパスのもとで、全ての役員・従業員がお客さまの豊かな生活のために自立的に考え、自律的に行動することで、小売業発の金融グループの強みである「生活者視点」に立ち、全てのお客さまのライフステージや生活環境の変化に対応した金融サービスの提供を目指しています。
Our Purpose 金融をもっと近くに。 一人ひとりに向き合い、まいにちのくらしを安心とよろこびで彩る。 |
当連結会計年度における経営環境は、世界的な政情不安の継続や中国経済の成長鈍化、日本を除く各国の金融引き締め政策と金利の高止まりに伴う景気の下振れリスク等、先行きへの不透明感が継続しました。また国内では、コロナ禍において長く停滞していた社会経済活動の正常化が進み、雇用や所得環境の改善が見られる反面、円安等に起因する物価上昇により、個人消費では、日常消費への節約志向と高付加価値商品・サービスへの積極的な支出といった消費の二極化が顕在化しました。
このような状況のもと当社は、事業環境の変化を踏まえた、パーパスを軸とした最適な事業ポートフォリオへの見直しを推進しました。
2023年6月1日には、グループ横断での経営資源の戦略的配分や、さらなる意思決定の迅速化を図るため、連結子会社であったイオンクレジットサービス株式会社を吸収合併し、新たな経営体制を発足しました。
国内では、決済を中心とした金融インフラの強化に向け、2023年6月1日に地域通貨や地域ポイント等の自治体向けソリューションを提供するフェリカポケットマーケティング株式会社を、2024年2月1日に保険代理店事業等を営む株式会社協栄エイアンドアイを連結子会社化し、イオングループにある金融関連事業の集約と効率化を図りました。
また、2024年1月11日に個品割賦事業を営むイオンプロダクトファイナンス株式会社の発行済株式の全部を株式会社オリエントコーポレーションに譲渡することを決定し、2024年3月25日に本株式譲渡を完了しております。
海外では、2023年10月20日にベトナムで個人向けローンを提供するPost and Telecommunication Finance Company Limitedを完全子会社とすることを決定しました。また、マレーシアでは新たな銀行の業態であるデジタルバンク事業を営むAEON BANK(M) BERHADの2024年度開業に向けた準備を進める等、アジア各国で金融包摂の考えのもとお客さまの資金ニーズへの対応や金融サービスへのアクセシビリティの向上に資する取り組みを推進しました。
さらに、国内ではイオン生活圏を金融サービスでつなぎ、お客さまニーズに即した商品・サービスをシームレスに提供するため、総合金融窓口としてスマホアプリ「イオンウォレット」のリニューアルや、コード決済「AEON Pay」の機能拡充及び利用可能場所の増加に取り組み、海外ではアジア各国のデジタル成熟度にあわせたソリューションの提供を推進し、利便性の向上を図りました。加えて、DX人材の育成に向けた従業員教育を推進しました。これらの取り組みにより当社は、2024年3月1日、経済産業省が定めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」として認定されました。
当連結会計年度の連結業績は、企業価値向上に向けた事業構造改革の推進と国内外のリアル接点とデジタル接点を融合したタッチポイントの拡充に取り組むとともに、カードショッピングをはじめとする決済取扱高及び営業債権残高の増加により、連結営業収益は4,856億8百万円(前期比107.5%)となりました。他方、与信精緻化や債権回収体制の強化に継続して取り組み、経費コントロールの向上に努めたものの、海外での景気の減速やインフレ、各国政府のコロナ禍における消費者支援策の縮小等に起因する貸倒関連費用の増加や、国内の顧客基盤の拡大及び利用促進にかかる施策を積極的に実施したことによる販売促進費の増加等の結果、連結営業利益は500億88百万円(前期比85.1%)、連結経常利益は511億74百万円(前期比83.1%)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、第2四半期に連結子会社との経営統合費用を特別損失に計上したこともあり208億96百万円(前期比68.1%)となりました。
②セグメントの状況
<国内・リテール>
国内・リテール事業の営業収益は1,729億20百万円(前期比103.0%)、営業利益は46億99百万円(前期比121.4%)となりました。
リテール事業では、株式会社イオン銀行(以下、イオン銀行)が、住宅ローン取扱高の拡大に向け、住宅ローン契約者さま限定の特典としてイオングループでのお買い物が毎日5%割引となる「イオンセレクトクラブ」の特典を拡充しました。加えて、店舗及びWeb上で、契約者さまのイオングループでのご利用状況に応じたお買い物割引額の確認が可能となるシミュレーション機能の追加や、テレビCMや店頭での特典の告知強化に継続して取り組んだことによりお申込み件数が大幅に増加し、契約率の向上に繋がりました。これらの結果、住宅ローンの取扱高は5,586億2百万円(前期比114.4%)、債権流動化前の居住用住宅ローンの貸出金残高は2兆8,143億25百万円(期首差1,534億7百万円増)となりました。
資産形成サービスでは、2024年1月1日に、イオン銀行とマネックス証券株式会社との金融商品仲介業務における包括的業務提携に基づき、同業務に関するサービス提供を開始いたしました。これにより、お客さまの資産運用ニーズの高まりに対応した投資信託の取扱銘柄数の拡充を図るとともに、運用相談等の顧客サービスの充実に取り組みました。また、資産運用ビジネスにかかるシステム管理及びバックオフィス業務を委託したことにより、運営費用の削減を図っております。
これらの取組に加え、新規口座開設キャンペーンやクラウドファンディングへの参画等の推進により、当連結会計期間におけるイオン銀行の預金口座数は858万口座(期首差30万口座増)、預金残高は4兆5,393億72百万円(期首差1,396億56百万円増)と堅調に推移しました。
ショッピングリボ・分割払いにおいては、分割払いニーズの高い家電量販店等との共同販促企画や初回利用キャンペーンの実施等、積極的な利用促進に努めました。また、Web及びスマホアプリ上でリボ・分割払いでの支払額の確認が可能となるシミュレーション機能の搭載やリボ変更のルート追加、スマホアプリの視認性向上等に取り組みました。
カードキャッシングにおいては、資金ニーズに対応したキャンペーン等を継続して実施しました。また、Web及びスマホアプリ上で返済方法をリボ払いへ変更可能な機能の追加等の利便性向上に加え、お客さまの職業や年収等、最新の属性情報に基づく適切な与信枠の設定と利用促進に向け、アウトバウンドコールの強化に取り組んだ結果、取扱高が拡大しました。
これらの結果、ショッピングリボ・分割債権残高は3,107億70百万円(期首差454億8百万円増)、キャッシング債権残高は4,123億22百万円(期首差170億12百万円増)と、営業債権残高が順調に増加しました。
保険関連事業では、イオン・アリアンツ生命保険株式会社において、当社グループ各社の取り扱う住宅ローン、ワンルームマンションローン及びリフォームローン向けに提供する団体信用生命保険を継続して推進しました。また、当社グループにおける重複機能の集約による効率化と保険代理店事業の強化を目的に、2024年2月1日に連結子会社化した株式会社協栄エイアンドアイの保険代理店事業を、イオン保険サービス株式会社へ吸収分割により承継することを決定しました。
<国内・ソリューション>
国内・ソリューション事業の営業収益は1,907億10百万円(前期比105.8%)、営業利益は83億62百万円(前期比62.9%)となりました。
なお、2023年6月1日付で当社連結子会社であったイオンクレジットサービス株式会社を吸収合併したことに伴い、当連結会計年度より、従来事業セグメントに帰属しなかった当社業績をソリューション事業に含める管理区分の見直しを行っているため、前期比は見直し後の区分に基づき作成したものと比較しております。
ソリューション事業では、店頭及びWebでのカード新規入会の促進に加え、新規提携カードの発行や特典の拡充等、イオングループをはじめとした提携先企業との連携強化に取り組みました。また、コード決済「AEON Pay」において、従来のクレジットカード払いに加え、新たに銀行口座を紐づけてお支払いが可能となる「チャージ払い」及びWAON POINTをワンストップでお支払いに使用できる「ポイント充当」等の機能拡充を図り、顧客IDの拡大に取り組みました。これらの結果、当連結会計期間におけるカード新規会員登録数は158万件、国内有効会員数は3,149万人(期首差67万人増)となりました。
カードショッピングにおいては、物価上昇による日常消費に対する節約志向の高まりや、政府の電気・ガス価格激変緩和措置による利用単価の減少が見られたものの、コロナ禍の行動制限がなくなり、レジャーや旅行関連業種、公共交通機関等での利用が拡大したことや、イオングループをはじめとする提携先企業との共同販促施策の実施等により、取扱高が拡大しました。加えて、少額かつスピーディーな決済需要の高い自動販売機やファストフード、ファミリーレストラン等の飲食業種を中心に、AEON Payの利用可能場所を拡大し、加盟店と共同での利用促進企画を実施したことが奏功し、AEON Payの利用者数及び取扱高は順調に拡大しました。これらの結果、カードショッピング取扱高は7兆814億82百万円(前期比108.5%)となりました。
個品割賦事業においては、自動車を中心とした加盟店での利用促進企画などを継続した結果、取扱高は1,982億25百万円(前期比102.6%)となりました。
当連結会計年度は、キャッシュレス決済ニーズの高まりに合わせ、クレジットカードに加えAEON Pay利用促進等に取り組んだ結果、取扱高が順調に拡大したものの、当第2四半期連結累計期間における顧客基盤の拡大に向けた積極的な販促企画の実施等による販売促進費の増加や、営業債権残高の増加に伴う貸倒関連費用の増加等により、営業利益は前連結会計年度を下回りました。
なお、連結子会社のイオンプロダクトファイナンス株式会社(以下、同社)は、2022年4月15日に関東経済産業局より、割賦販売法に基づく業務改善命令を受け、内部統制システムの再整備に向けて外部専門家の知見を取り入れ、コンプライアンス遵守の企業風土改善に取り組みました。当社は、同社のガバナンス体制の再構築及び管理・監督を強化するとともに、外部専門家との連携を深め定期的に業務改善計画に基づく取組事項について意見をいただき、同社の内部統制システム再構築に向け着実に改善を図りました。
<国際・中華圏>
中華圏の営業収益は306億38百万円(前期比136.4%)、営業利益は87億97百万円(前期比114.0%)となりました。
中華圏では、香港の現地法人AEON CREDIT SERVICE (ASIA) CO.,LTD.(以下、ACSA)は、香港と中国本土の往来活発化に伴う訪中消費のニーズに対応するため、ACSAのスマホアプリへ銀聯国際(UnionPay International)の提供するコード決済「銀聯QR」を搭載しました。これにより、イオン銀聯カード会員さまが中国でのコード決済などをシームレスに利用可能となりました。また、スマホでの決済ニーズの高まりに合わせたNFC(Near Field Communication)決済の搭載や、一部加盟店での取扱いに限定していた返済方法を分割払いに変更できる機能の全面導入等を通じたお客さまの利便性向上に取り組みました。
加えて、リアル拠点での即時発行推進や、オンライン入会の促進等による顧客基盤の拡充に取り組むとともに、香港におけるイオンカード発行30周年を記念した利用促進企画等、提携先企業との共同販促に継続して取り組んだ結果、カードショッピング取扱高は1,793億41百万円(前期比119.7%)と順調に拡大しました。
カードキャッシングや個人向けローンでは、対面での個別融資ご相談の強化に加え、SNSの活用等による訴求強化を図ったことで、オンライン経由でのご利用が継続して増加しており、カードキャッシング取扱高は422億1百万円(前期比120.0%)、ローン取扱高は335億17百万円(前期比143.0%)となりました。
取扱高及び営業債権残高の順調な拡大に伴う貸倒関連費用の増加に対し、新たなスコアリングモデルの導入等による与信精度の向上に加え、回収面においては、お客さまの状況に合わせた返済方法の提案強化及び外部債権回収会社の活用等による債権回収体制の強化に努めた結果、中華圏の連結会計期間における営業収益、営業利益ともに過去最高となりました。
<国際・メコン圏>
メコン圏の営業収益は899億29百万円(前期比104.5%)、営業利益は158億78百万円(前期比83.6%)となりました。
メコン圏では、主要展開国であるタイにおいて、現地法人のAEON THANA SINSAP (THAILAND) PCL.(以下、ATS)が、提携先との販促企画「イオンサンクスデー」や新規オープン店舗でのイベントなどを通じた新規会員募集の強化に継続して取り組みました。また、EC需要やスマホ決済ニーズの高まりに合わせ、新たにATSのスマホアプリ上にて完全カードレスで発行するデジタルクレジット「Next Gen」及び、コード決済「Scan to pay」サービスを開始しました。これにより、EC加盟店に加え、タイ全土に約35万箇所ある国際ブランドの定める統一規格 EMV対応のコード決済加盟店で、スマホアプリでの決済が利用可能となりました。これら顧客基盤の拡充及び取扱高拡大への取組により、カードショッピング取扱高は1,931億68百万円(前期比115.4%)となりました。
個人向けローンについては、タイ政府の発行する電子決済・口座間送金アプリ「プロンプトペイ(Prompt Pay)」でのご利用額に応じたキャッシュバック企画等、デジタルでのタッチポイントを活用した利用促進に取り組み、取扱高は1,093億79百万円(前期比117.0%)となりました。
なお、タイにおいては、エネルギー価格の高騰やインフレによる家計圧迫が続くことに加え、コロナ禍での政府による債務負担軽減策の段階的な解除等に起因した返済余力の低下が、貸倒関連費用の増加に繋がっております。そのような中、AIや外部委託先を活用した与信精緻化及び債権回収体制の強化に継続して取り組み、費用コントロールに努めました。
ベトナムでは、2023年10月にベトナムのファイナンス会社であるPost and Telecommunication Finance Company Limited(以下、PTF)の株式100%を取得し、完全子会社とする持分譲渡契約を締結することを決議いたしました。当社では、ベトナム現地法人ACS TRADING VIETNAM CO.,LTD.が2008年に現地で家電や二輪車等の自社割賦販売を中心に事業展開を開始し、現地のお客さまの生活に密着したサービスの提供に取り組んでおりますが、PTFの子会社化により個人向けローンを中心とした新たな金融サービスの提供を開始し、ベトナムでの事業拡大を目指してまいります。
<国際・マレー圏>
マレー圏の営業収益は729億93百万円(前期比119.9%)、営業利益は135億41百万円(前期比86.2%)となりました。
マレー圏では、マレーシア現地法人AEON CREDIT SERVICE (M) BERHADが、グループの小売事業AEON CO. (M) BHD.との共同利用施策「お客さま感謝デー」でのカード利用特典をご利用額の最大10%割引に改定し、店頭等での積極的な訴求による新規顧客獲得の強化を図りました。また、海外旅行者の増加に合わせた提携先企業との共同施策等、カード利用促進に取り組んだ結果、マレー圏のカードショッピング取扱高は568億62百万円(前期比115.7%)となりました。
バイクローンにおいては、外部信用情報を活用した即時仮与信機能の全加盟店への導入や、GAILABO社の提供するAIクレジットスコアリングを導入した与信のさらなる精緻化に取り組みました。また、新たに環境に配慮したEVバイクを対象としたバイクローンを開始し、提携社数の拡大を図りました。これらの結果、マレー圏の個品割賦の取扱高は1,195億69百万円(前期比117.0%)と順調に拡大しました。
個人向けローンにおいては、個品割賦の申込に展開していたe-KYC(オンライン本人認証)及び即時仮与信に加え、Web申込へ電子署名機能を導入しました。これにより、個人向けローンにおけるすべての手続きがデジタル上で完結することが可能となり、手続きにかかる時間短縮等、お客さまの利便性が向上し、個人向けローンの取扱高は637億62百万円(前期比135.2%)と伸長しました。
2024年度開業に向けた準備を進めている、新たな銀行業態であるデジタルバンク事業では、AEON BANK (M) BERHAD(準備会社ACS Digital Berhadから2023年12月18日付で商号変更、以下、ABKM)が、2024年1月8日にマレーシア中央銀行よりデジタルバンクの営業許可を取得しました。ABKMは、マレーシアで広く普及するイスラム金融方式の商品・サービスを採用しており、預金及びデビットカードのサービスから開始し、個人向けローン等のお客さまニーズに即した金融商品・サービスの順次拡大を図ってまいります。
また、インドネシア現地法人PT.AEON CREDIT SERVICE INDONESIAでは、2023年10月より、クレジットカードや個品割賦に加え、新たな決済手段としてBNPL(Buy Now Pay Later)のサービス「QRIS PayLater」を開始し、現地のお客さまのニーズに即した決済サービスの拡充に取り組みました。
マレー圏では取扱高及び営業債権残高の順調な拡大による収益拡大に加え、継続してAIやデジタル技術の活用による与信及び回収体制の強化に取り組んでおりますが、前連結会計年度はマレーシア政府によるコロナ禍の支援施策の実施により、お客さまが返済しやすい状況となったことで貸倒関連費用が大幅に減少したため、当連結会計年度では前年比で貸倒関連費用が増加したことに加え、ABKM開業に向けた準備費用を計上したことで、マレー圏の営業費用は前年比で増加しました。
(2)財政状態の状況
資産の部、負債の部、純資産の部における主な増減内容は次のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より2,861億3百万円増加し、6兆9,455億71百万円となりました。これはカードショッピング取扱高の伸長により割賦売掛金が738億99百万円、カードキャッシングや個人ローンの残高及び居住用住宅ローン貸出金残高の増加などにより貸出金が2,520億11百万円、銀行業における有価証券が1,117億2百万円増加した一方、現金及び預金が1,770億57百万円減少したこと等によるものです。
(負債の部)
負債合計額は、前連結会計年度末より2,529億19百万円増加し、6兆3,712億54百万円となりました。これは営業債権拡大により買掛金が128億73百万円、及び有利子負債が1,024億71百万円増加したこと、また、資金決済口座としての利用拡大により預金が1,404億9百万円増加したこと等によるものです。
(純資産の部)
純資産合計額は、前連結会計年度末より331億83百万円増加し、5,743億16百万円となりました。これは利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により208億96百万円、為替換算調整勘定が105億33百万円、非支配株主持分が95億96百万円、及びその他有価証券評価差額金が60億18百万円増加した一方、利益剰余金が期末及び中間配当金の支払いにより125億19百万円減少したこと等によるものです。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローについては、カードキャッシングや個人ローンの残高及び居住用住宅ローン貸出金残高の増加等により、507億76百万円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有価証券の取得による支出が有価証券の売却・償還による収入を上回ったこと等により、1,136億97百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金の支払等により、181億91百万円の支出となりました。
また、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加により、40億8百万円の収入となりました。
以上の結果により現金及び現金同等物は1,792億11百万円減少し、6,254億82百万円となりました。
②資金需要
当社グループの主な資金需要は、個人向けの金融サービスの提供に係る、貸出金及び割賦売掛金、並びにお客さま利便性向上のためのIT、デジタル投資等であります。
③資金調達
当社グループは円滑な事業運営のための流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を調達の基本方針としており、調達期間の長期化、調達手法の多様化等により、手元流動性と財務安定性を確保することに注力しています。
国内は銀行業における預金に加え、メガバンクを中心とした金融機関から間接調達のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行及び債権流動化による直接金融により資金調達を実施しております。海外は主に邦銀、現地銀行からの間接調達等により資金調達を実施しております。
また当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所の格付はA(安定的)、格付投資情報センターの格付はAマイナス(安定的)となっております。また主要な金融機関とは良好な関係を維持していることから、引き続き、事業拡大や投資、運転資金の調達に対して安定的な外部資金調達が可能であると認識しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(持分取得の合意について)
当社は、2023年10月20日付の取締役会決議において、ベトナムのファイナンス会社であるPost and Telecommunication Finance Company Limitedの持分を取得し、完全子会社とする持分譲渡契約を締結することを決議し、契約を締結いたしました。
なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(連結子会社の株式譲渡について)
当社は、2024年1月11日開催の取締役会において、連結子会社であるイオンプロダクトファイナンス株式会社の発行済株式の全部を株式会社オリエントコーポレーションに譲渡(以下、本株式譲渡)することを決議し、本株式譲渡に係る株式譲渡契約を締結し、2024年3月25日に譲渡いたしました。
なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。