第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第21期

第22期

第23期

第24期

第25期

決算年月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

売上高

(千円)

10,920,831

17,295,718

27,510,746

経常利益

(千円)

653,514

624,153

1,032,687

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

442,353

453,580

638,359

包括利益

(千円)

95,724

546,786

971,369

純資産額

(千円)

9,088,819

9,683,593

10,667,336

総資産額

(千円)

11,673,081

14,743,930

18,056,854

1株当たり純資産額

(円)

1,176.20

1,246.40

1,360.54

1株当たり当期純利益

(円)

57.74

58.64

81.76

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

55.82

57.26

80.43

自己資本比率

(%)

77.4

65.5

59.0

自己資本利益率

(%)

4.9

4.9

6.3

株価収益率

(倍)

40.53

46.03

50.51

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

337,948

81,520

1,725,470

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,067,305

799,590

439,401

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

101,046

437,334

121,436

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

6,798,191

5,642,391

6,880,619

従業員数

(名)

197

342

370

 

(注) 1.第23期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載しておりません。

2.第23期の自己資本利益率は、連結初年度のため、期末純資産額に基づき計算しております。

3.従業員数は、就業人員を記載しております。なお、平均臨時雇用者数は従業員数の10%に満たないため記載を省略しております。

4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第24期の期首から適用しており、第24期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第21期

第22期

第23期

第24期

第25期

決算年月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

売上高

(千円)

6,811,373

8,029,275

10,910,890

15,862,322

23,078,979

経常利益

(千円)

421,214

410,598

689,799

951,038

1,133,206

当期純利益

(千円)

333,381

482,271

458,396

682,145

618,270

持分法を適用した場合
の投資利益

(千円)

10,276

10,872

資本金

(千円)

609,597

3,201,973

3,218,069

3,235,215

3,255,144

発行済株式総数

(株)

3,380,190

7,588,044

7,681,948

7,753,506

7,836,033

純資産額

(千円)

3,035,107

8,855,333

9,019,706

9,875,960

10,880,137

総資産額

(千円)

4,472,152

10,717,899

11,590,894

14,150,516

17,023,904

1株当たり純資産額

(円)

448.97

1,167.06

1,174.20

1,273.83

1,388.58

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり
中間配当額)

(―)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

49.49

66.68

59.83

88.19

79.19

潜在株式調整後1株
当たり当期純利益

(円)

46.39

63.21

57.84

86.12

77.90

自己資本比率

(%)

67.9

82.6

77.8

69.8

63.9

自己資本利益率

(%)

14.0

8.1

5.1

7.2

6.0

株価収益率

(倍)

115.68

67.33

39.11

30.60

52.16

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

407,308

529,869

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

155,964

159,595

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

567,644

5,157,437

現金及び現金同等物の
期末残高

(千円)

1,579,231

7,426,126

従業員数

(人)

130

149

189

224

261

株主総利回り

(%)

126.9

99.5

51.9

59.8

91.5

(比較指標:配当込み
TOPIX)

(%)

(96.3)

(121.7)

(125.8)

(136.5)

(187.9)

最高株価

(円)

14,520

(9,905)

7,790

(11,200)

4,950

 

3,165

 

4,410

 

最低株価

(円)

5,100

(5,845)

3,860

(5,510)

2,063

 

1,902

 

1,834

 

 

(注) 1.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

2.第21期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、当社は2019年3月13日に東京証券取引所マザーズに上場したため、新規上場日から期末日までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。

3.当社は、2019年9月1日付で普通株式1株につき2株、2020年9月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っておりますが、第21期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算出しております。

4.従業員数は、就業人員を記載しております。なお、平均臨時雇用者数は従業員数の10%に満たないため記載を省略しております。

5.当社は2021年1月15日付で東京証券取引所マザーズ市場から同取引所市場第一部へ市場変更し、2022年4月4日付の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、同取引所プライム市場に移行し、2023年10月20日付で同取引所スタンダード市場へ市場を変更しております。

6.最高・最低株価は、2021年1月14日以前は東京証券取引所マザーズ市場、2021年1月15日以降は同取引所市場第一部、2022年4月4日以降は同取引所プライム市場、2023年10月20日以降は同取引所スタンダード市場における株価を記載しております。なお、2020年2月期及び2021年2月期の株価については、株式分割による権利落後の最高株価及び最低株価を記載しており、株式分割による権利落前の最高株価及び最低株価を括弧内に記載しております。

7.第23期より連結財務諸表を作成しているため、第23期から第25期の持分法を適用した場合の投資利益、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。

8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第24期の期首から適用しており、第24期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
 

 

2 【沿革】

代表取締役社長である大石良は、2000年埼玉県和光市においてE-Commerce(電子商取引)のASP(注1)事業を目的として、有限会社ウェブ専科を設立いたしました。2002年4月に株式会社サーバーワークスに組織・社名を変更し、ASP方式で携帯電話向けECサイト作成サービスを提供する「ケータイ@(ケータイアット)」を事業の中心に据え、各種ASPサービスを提供してまいりました。2008年より当社が提供する各種ASPサービスのインフラ基盤としてAmazon Web Services, Inc.の提供するクラウドサービス「Amazon Web Services(以下「AWS」(注2)」の活用を開始したことが契機となり、現在ではAWSのインテグレーション、リセールおよびマネージドサービスの提供を主たる事業とするクラウド専業インテグレーターとして活動を行っております。

当社設立以後の企業集団に係る沿革は、以下のとおりであります。

年月

概要

2000年2月

埼玉県和光市において有限会社ウェブ専科を設立

2001年2月

本店を東京都豊島区東池袋へ移転

2002年4月

株式会社サーバーワークスへ社名・組織変更、本店を東京都文京区音羽へ移転

2003年8月

携帯向けECサイト作成サービス「ケータイ@」を提供開始

2009年9月

本店を東京都新宿区山吹町へ移転

2010年3月

AWSを利用したホスティングサービスの日本語コンソールサービスを提供開始

2011年1月

Amazon Web Services LLC(現Amazon Web Services, Inc.)よりAWSソリューションプロバイダーとして認定

2011年7月

Amazon Web Services LLCとVAR(注3)契約を締結、本格的にクラウド事業に参入

2013年9月

株式会社テラスカイと資本・業務提携(注4)

2014年5月

北海道札幌市中央区にクラウド特化型運用支援サービスを提供する株式会社スカイ365(株式会社テラスカイとの合弁会社)を設立

2014年7月

AWS自動化サービス「Cloud Automator」を提供開始

2014年11月

APN (注5) プレミアコンサルティングパートナー (注6)に選定

2015年3月

株式会社スカイ365において24時間365日対応の運用支援サービスを提供開始

2015年3月

本店を東京都新宿区揚場町へ移転

2015年4月

AWS日本語コンソールサービス「Cloudworks」を廃止

2015年9月

AWS マネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラム (注7) を取得

2016年6月

AWSリセールサービス「pieCe(ピース)」)」(現「AWS請求代行アドバンスド」)を提供開始 

2016年6月

APN 移行コンピテンシー を取得

2016年10月

AWS マネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラム3.0に認定

2017年11月

株式会社エヌ・ティ・ティ・データとクラウド導入支援において協業を開始

2018年7月

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社と資本業務提携

2018年11月

Amazon Web Services, Inc.とSPA(注8)契約を締結

2019年3月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2019年6月

APN Well-Architected パートナープログラムに認定

2019年8月

AWS マネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラム4.0に認定

2019年8月

AWS エンドユーザーコンピューティングコンピテンシーに認定

2020年2月

株式会社モンスター・ラボと資本業務提携

2020年9月

AWS マネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラム4.1に認定

2020年9月

AWSリセールサービス「pieCe」(現「AWS請求代行サービス」)を提供開始 

2021年1月

東京証券取引所市場第一部に上場市場変更

2021年3月

ウイングアーク1st株式会社と資本業務提携

2021年7月

AWS マネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラム4.2に認定

2021年7月

WiL Strategic Partners I, L.P.へ出資

2021年7月

東京都新宿区に韓国のBespin Global Inc. グループとの合弁により株式会社G-gen(現連結子会社)を設立

2021年8月

AWS請求代行、システム構築から運用までを総合的にサポートする「サーバーワークスマイスターズ」サービスを提供開始

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の再編により市場第一部からプライム市場へ移行

2022年6月

株式会社トップゲートの株式を取得、完全子会社化

2022年11月

投資目的子会社SXイノベーション・パートナーズを設立

2022年12月

AWS マネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラムの認定を更新

2023年4月

AWSと4年間にわたるクラウドインフラ共通基盤の拡大に向けた戦略的協業を開始

2023年10月

パーソルクロステクノロジー株式会社と共同出資により、AWSエンジニア派遣事業の合弁会社、パーソル&サーバーワークス株式会社を設立

2023年10月

東京証券取引所プライム市場からスタンダード市場へ移行

2024年3月

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社と共同出資により、クラウドサービスの導入支援・運用保守を提供する合弁会社、富士フイルムクラウド株式会社を設立

 

(注1) ASPとは、Application Service Providerの略称であります。インターネットを通じて利用者に遠隔からソフトウェアを利用させる事業者またはサービスであります。

(注2) AWSとは、Amazon.com, Inc.の関連会社 Amazon Web Services, Inc.が提供する、Webサービスを通じてアクセスできるよう整備されたクラウドコンピューティングサービス群の総称であります。

(注3) VARとは、Value Added Reseller の略称であります。「付加価値再販売業者」のことであり、AWSに付加価値を付与したうえで再販売を行うことができるパートナーであります。

(注4) 株式会社テラスカイは、当社の主要株主であります。当社と株式会社テラスカイとの関係につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

(注5) APNとは、AWS パートナーネットワーク の略称であります。APNは、プログラム、専門知識、リソースを活用して、お客様向けのオファリング (製品やサービス) を構築、マーケティング、販売するパートナーのグローバルコミュニティであります。

(注6) プレミアコンサルティングパートナーとは、Amazon Web Services, Inc.に認定されたAPNパートナーのうち、その最上位のパートナーの名称であります。2024年3月現在、知識、経験、導入実績等に応じて「プレミア」、「アドバンスト」、「セレクト」の3つのティア(階層)があります。(プレミアコンサルティングパートナーは、プレミアティア サービスパートナーに名称変更。)特に最上位のプレミアティアとして認定を取得しているパートナーはグローバル全体でも限られており、2024年3月末日時点で日本でのプレミアティア サービスパートナーの数は15社のみとなっております。

(注7) AWSマネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラムとは、Amazon Web Services, Inc.が、マネージドサービスの実績と経験を持つパートナーを検証するために実施する独立監査のプログラムです。

(注8) SPAとは、Solution Provider Addendumの略称であります。Solution Providerとは、ソリューション提供者として、AWS認定サービスにソリューションプロバイダーの付加価値を付与したうえで再販売を行うことができるパートナーであります。Amazon Web Services, Inc.のリセラープログラム変更に伴い、VAR契約からSPA契約へ移行しております。

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、連結子会社3社及び持分法適用関連会社1社で構成され、「クラウドで 世界をもっと はたらきやすく」のビジョンのもと、Amazon.com, Inc.の関連会社 Amazon Web Services, Inc.が提供するクラウドコンピューティングサービス「AWS」のソリューション販売を主軸とし、2021年からはGoogleが提供するGoogle Cloudにも事業領域を広げてクラウドコンピューティング事業を展開しております。当社は、Amazon Web Services, Inc.の日本法人が設立される以前のクラウド黎明期より、他社に先駆けてAWS導入支援サービスの提供を開始し、AWSへの移行にかかるコンサルティング、クラウド基盤構築、アプリケーション開発、クラウド移行後の運用支援サービス及び運用自動化のためのサービス提供等を一貫して行うことにより、ソリューションを提供しながら、AWSの利用にかかる再販売を行っております。また、今後クラウドファーストの潮流が一層鮮明化するに伴い、より一層多様化・複雑化する顧客ニーズを的確に把握し、顧客ニーズを満たす適切な商品・サービスを提供し続けていくことやマルチクラウドへ対応するため、2021年8月には、Google Cloud事業を展開する株式会社G-genを連結子会社として設立し、2022年6月にはアプリケーション開発に強みを持つ株式会社トップゲートをM&Aにより連結子会社化いたしました。また、当社グループの企業価値向上に寄与する技術・サービスを保有する事業企業への投資事業を開始する目的で、2022年11月には株式会社SXイノベーション・パートナーズを設立いたしました。

クラウドコンピューティング(※1)は、サーバー、ソフトウェアライセンス、ネットワーク機器などの初期投資、また運用にあたって多大な運用コストを要する従来型のオンプレミス(※2)と比較し、初期投資を必要とせず、必要に応じてコンピューティング・リソースを柔軟かつ迅速に拡張・縮小することが可能であります。その利便性の高さから、Web・ゲーム・スタートアップ企業のみならず、近年では障害や中断が許されない基幹業務系システム構築の領域においても主要な選択肢となりつつあります。従来の基幹業務系システムに限らず、今後の企業のイノベーションを後押しするビッグデータ(※3)、IoT(※4)、AI(※5)など、柔軟性と変化対応のスピードが要求される新しいビジネス領域はクラウド基盤に支えられた新たなデジタル技術を大前提としたものであり、クラウドをIT基盤の最初の選択肢に据える考え方はもはや常識化しつつあると認識しております。

その中で中核となる当社は、国内外のIaaS/PaaS(※1)の市場で高いシェアを誇るAWSを、顧客企業毎に最適な状態で利用するためのコンサルティング業務、設計・構築業務、および運用支援サービスの開発・提供を行っております。

 


(1) 当社グループサービスの特徴

当社グループの事業は、サーバーワークスによるAWS事業、連結子会社G-gen及びトップゲートによるGoogle Cloud事業ともに「クラウド事業」単一セグメントであるため、以下については製品・サービス区分別に記載しております。

 

① クラウドインテグレーション

当社グループは、従来のオンプレミス環境で運用されてきた主に企業の基幹業務系システムをクラウド環境へ移行する際のクラウド基盤のデザイン、構築サービス及びアプリケーション開発を提供しています。従来のシステムをクラウド上に移行し(リフト)、コスト効果や生産性を向上するためにクラウドに最適化したシステムの再構築を図る(シフト)、リフト&シフト戦略を顧客企業に提案することにより、クラウドを活用することにより享受できる効用の最大化を図ります。

また、クラウド基盤の構築サービスの提供にとどまらず、顧客企業がクラウドを通じて実現するビジネス目標の設定、クラウドへの移行計画の策定やクラウド導入後の運用計画の策定支援まで、クラウドを導入することによって実現するIT基盤全体の最適化を見据えた上流のコンサルティングサービスも提供しております。

また、数多くのクラウド導入に携わってきた実績から得られたナレッジ・ノウハウをデータベース化して社内での技術トレーニングを行うことにより、Amazon Web Services, Inc.等が提供する各種認定技術者資格を保有する数多くのエンジニア(※6)を育成しております。公表実績AWS導入取引社数およびプロジェクト数のうち、クラウドインテグレーションの実績は以下のとおりであります。

 

(単位:社/件)

 

2022年2月

2023年2月

2024年2月

取引社数

173

226

297

プロジェクト数

482

642

854

 

主として検収時まで一定の期間にわたり売上が計上される一過性の売上が中心となっており、当社ではフロー売上と位置づけております。

 

② リセール
(AWSリセール/Google Cloudリセール)

当社は2011年7月に Amazon Web Services LLC(現Amazon Web Services, Inc.)とVAR契約(付加価値再販売契約)を締結して以来、日本におけるAWSのリセラーとしてAWSの再販売を行っております。顧客企業は、当社が提供する付加価値としての課金代行サービス経由でAWSを利用することにより、従来ハードウェアの調達やその管理に費やしていた時間やコストを削減することができます。また、当社がAWS利用料に手数料を加算した日本円建ての請求書を発行することにより、顧客企業は一般的な銀行振込による支払いが可能となります。

当社では、2016年6月より、既存の課金代行サービスに新たな付加価値サービスをパッケージとして組み合わせた「pieCe(現「AWS請求代行アドバンスド」)」の提供を開始しております。「pieCe(現「AWS請求代行アドバンスド」)」では、AWS利用料の決済機能だけでなく、「CloudAutomator」(当社のAWS運用自動化サービス)も併せて提供するなど、当社独自の付加価値を付与して提供しており、また、万が一AWSに障害が発生した場合の顧客企業が被った損害を補償する損害保険を東京海上日動火災保険株式会社との業務提携により付帯させております。当社が取扱う稼働するAWSアカウント数の実績は以下のとおりであります。

 

AWSアカウント数

(単位:個)

2022年2月

2023年2月

2024年2月

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

1,542

1,728

1,856

2,012

2,160

2,292

2,510

2,686

2,824

2,935

3,037

3,149

 

AWSは、基本的には初期費用が不要であり、顧客企業のAWS利用時間に応じたオンデマンドかつ従量型課金制となっておりますが、利用するサーバースペックと利用期間を予約することにより大幅な割引を得ることのできるReservedInstance(リザーブド・インスタンス)およびSavings Plansと呼ばれる取引形態が存在します。

また、連結子会社である株式会社G-gen及び株式会社トップゲートでは、日本におけるGoogle CloudのリセラーとしてGoogle Cloudの再販売を行っております。

 

(AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」)

「Cloud Automator」は、AWSのAPI(※7)を、当社が提供するWebアプリケーションの画面上からプログラムレスで直感的・視覚的に操作することにより、クラウド運用の自動化・最適化による運用品質の向上を実現するための当社独自のSaaS(※1)であります。AWSの運用に欠かせないバックアップ、EC2(仮想サーバー)やRDS(リレーショナル・データベース)の起動・停止といった「ジョブ自動化機能」と、顧客企業が利用するAWS環境が安全に運用されていることを自動的にレビューする「構成レビュー自動化機能」の2つの機能を実装しており、ヒューマンエラーを極小化しながら運用・保守管理コスト削減と安定運用を実現します。

 

(ソフトウェアライセンス販売)

情報漏洩対策など顧客企業の関心が高いセキュリティ対策ソフトウェア・サービスは、クラウド環境を安全に運用し顧客企業の不安を払拭するうえで不可欠なものとなっております。当社グループは、顧客企業のAWS及びGoogle Cloud環境を運用する上で有効な各種ソフトウェア・サービスの仕入れ販売を行っております。

 

リセール、AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」、ソフトウェアライセンス販売ともに、主に利用時間・期間に応じサービス料金を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的に安定的な収入を見込めるため、当社グループはストック型の売上と位置づけております。なお、AWSリセール及びGoogle Cloudリセールは取引の性格上、利用料金の総額を売上高に計上しております。

 

③ MSP(マネージドサービスプロバイダー)・SRE(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング)

顧客企業がAWS及びGoogle Cloud上に展開した仮想サーバーやネットワークの監視・運用・保守等を請け負うサービスを提供しております。

当社グループは、24時間365日体制でインフラからアプリケーション層をカバーする性能監視、障害監視・復旧、バックアップ等の運用サービスを提供できる体制を整えております。サービス設計にあたっては、安定的なサービス提供と継続的な改善を管理するためにITIL(※8)に準拠した運用設計、運用フローとサービスレベルを規定しております。当社グループは、顧客エンゲージメントライフサイクル(計画、設計、移行または構築、実行および最適化)全体を通して、顧客企業をサポートするために持ち合わせておくべき能力を保有するとしてAmazon Web Services, Inc.に認定された最新の「MSPプログラム」を取得しております。主に利用期間に応じてサービス料金を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的に安定的な収入を見込めるため、当社グループはストック型の売上と位置づけております。

また、近年においては大規模にクラウドへのシフトを進めている特定・大型の顧客が増加しており、従来の標準的なMSPサービス対応ではなく個別の対応が必要となってきております。このようなニーズに対しては専任チームを編成して対応にあたるSRE(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング)(※9)を実施しております。

 

④ その他

主に、AWS及びGoogle Cloud上で稼働する特定顧客企業のサービスにおけるシステム運用等を行っております。

 

(2) 当社グループのビジネスモデルについて

当社グループでは、クラウドインテグレーションによる売上を「フロー売上」(主に、顧客企業へのコンサルティング、基盤デザイン及び基盤構築等クラウドインテグレーションサービス提供時における役務提供による売上であって、主として顧客企業の検収時に売上が計上される一過性の売上)として位置付け、導入企業を開拓することによりフロー売上を拡大させるとともに継続利用企業を蓄積することにより、前述の「ストック売上」(主に、顧客企業がAWS及びGoogle Cloudを継続的に利用するにあたり発生するAWS及びGoogle Cloudの月額利用料及び「Cloud Automator」をはじめとする自社サービスの月額利用料及びサードパーティーソフトウェア・サービスの継続利用に伴うライセンス料(前述(1)② リセール)並びにAWS及びGoogle Cloud上のサーバーの監視・バックアップ等の運用代行利用料及び保守料等(前述(1)③ MSP)による継続的な売上)の拡大による安定収益化を図っております。

 


〔用語解説〕

※1 クラウドコンピューティング: ソフトウェア、データベース、サーバー及びストレージ等をインターネットなどのネットワークを通じてサービスの形式で必要に応じて利用する方式のことを意味し、「IaaS」「PaaS」「SaaS」の大きく3つの種別に分類されます。

 

クラウドの種別

代表例

説明

IaaS (Infrastructure-as-a-Service)

AWS

インターネットを経由して、CPUやメモリなどのハードウェア、サーバーやネットワークなどのITインフラを提供するサービス

PaaS (Platform-as-a-Service)

AWS、Microsoft Azure

インターネットを経由して、アプリケーションを実行するためのプラットフォームを提供するサービス

SaaS (Software-as-a-Service)

Salesforce.com、Office365

インターネットを経由して、従来パッケージ製品として提供されていたソフトウェアを提供・利用する形態

 

※2 オンプレミス:顧客企業が情報システムを自社で保有し、自社の設備において自社運用する形態を意味します。

※3 ビッグデータ:従来のツールやアプリケーションで処理することが困難な巨大・膨大で複雑なデータ集合のことを意味します。

※4 IoT: Internet of Things の略称であります。コンピュータなどの情報通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、相互に通信を行うことにより認識や制御を自動的に行うことを意味します。

※5 AI:Artificial Intelligenceの略称であり、日本では「人工知能」として知られております。従来から概念として広く知られた言葉ですが、ロボティクス同様、膨大なデータの分析・解析・学習処理をクラウドベースで実現することにより現実味を帯び始めています。

 

※6 2024年2月末日現在、AWS認定資格取得者数は以下のとおりであります。

(単位:名)

AWS認定資格種別

資格取得者数(重複有り)

AWS認定ソリューションアーキテクト・プロフェッショナル

97

AWS認定DevOpsエンジニア・プロフェッショナル

70

AWS認定ソリューションアーキテクト・アソシエイト

139

AWS認定デベロッパー・アソシエイト

94

AWS認定システムオペレーションアドミニストレーター・アソシエイト

92

AWS認定セキュリティ-専門知識

71

AWS認定SAP on AWS-専門知識

33

AWS認定高度なネットワーキング-専門知識

49

AWS認定機械学習-専門知識

36

AWS認定Alexaスキルビルダー-専門知識

7

AWS認定データベース-専門知識

56

AWS認定データアナリティクス-専門知識

44

 

※7 API:Application Program Interfaceの略称であります。あるコンピュータプログラムの機能や管理するデータを、外部の他のプログラムから呼び出して利用できるようにする仕組みを意味します。

※8 ITIL: Information Technology Infrastructure Libraryの略称であります。ITサービスマネジメントの成功事例(ベストプラクティス)を体系化したITシステムのライフサイクルマネジメントに関するガイドラインであります。

※9 SRE:Site Reliability Engineeringの略称であります。米Google社が2003年に提唱した、利用が拡大する大規模ITシステムを運用していくための概念で、ITシステムの信頼性を担保するための性能、可用性、拡張性、セキュリティなどを向上させることがミッションであり、様々なツールの導入や、顧客とのコラボレーションを強化することで継続して改善していける仕組みを構築する手法のことであります。

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
割合又は被所有
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社G-gen

(注)3

東京都新宿区

100,000

クラウドインテグレーション、リセール、MSP

所有
50.00

管理業務受託

役員の役員兼務2名

従業員の役員兼務1名

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社トップゲート

東京都新宿区

15,000

クラウドインテグレーション、リセール、MSP

所有
100.00

役員の役員兼務2名

従業員の役員兼務1名

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社SXイノベーション・パートナーズ

東京都新宿区

10,000

投資事業

所有
100.00

管理業務受託

役員の役員兼務1名

従業員の役員兼務1名

(関連会社)

 

 

 

 

 

株式会社スカイ365

北海道札幌市北区

105,237

MSP

 所有
34.90

MSPの業務委託
従業員の役員兼務1名

 

(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、当社グループの製品・サービス区分の名称を記載しております。

2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

3.持分は、100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため子会社としております。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年2月29日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

クラウド事業

370

合計

370

 

(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は総数が従業員数の100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2) 提出会社の状況

2024年2月29日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

261

37.0

3.3

6,949,088

 

(注) 1.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

2.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は総数が使用人数の100分の10未満のため記載を省略しております。なお、従業員数は、当社から他社への出向者を除いた就業人員数であり、平均年齢、平均勤続年数には当社から他社への出向者は含まれておりません。

3.当社はクラウド事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりません。なお、労使関係は円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)
(注1、2)

男性労働者の

育児休業取得率(%)(注3、4)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1、4)

育児休業

(注5)

育児休業及び休暇

(注6)

全労働者

正規雇用

労働者

非正規雇用

労働者

19.4

50.0

75.0

83.6

86.4

36.5

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.出向者は出向先の労働者として集計しております。

3.男性正規雇用労働者の育児休業取得率を記載しており、男性非正規雇用労働者の育児休業及び休暇の取得はありません。

4.出向者は出向元の労働者として集計しております。

5.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

6.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

 

 

 ② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)
(注1、2、3)

男性労働者の

育児休業取得率(%)(注4)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1、5)

全労働者

正規雇用

労働者

非正規雇用

労働者

株式会社G-gen

0.0

0.0

78.6

78.6

株式会社トップゲート

22.2

0.0

81.9

81.9

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.出向者は出向先の労働者として集計しております。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定による公表義務の対象でない場合は、「―」としております。

4.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象でない場合は、「―」としております。

5.出向者は出向元の労働者として集計しております。