第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

国際会計基準

第8期

第9期

第10期

第11期

第12期

決算年月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

売上収益

(千円)

2,528,351

1,308,410

1,933,945

2,213,080

2,391,172

税引前利益(△損失)

(千円)

319,445

307,643

313,102

324,019

178,644

親会社の所有者に帰属する

当期利益(△損失)

(千円)

223,182

244,554

206,510

219,691

114,366

親会社の所有者に帰属する

当期包括利益

(千円)

223,269

246,431

203,264

210,217

115,853

親会社の所有者に帰属する持分

(千円)

3,125,476

2,751,033

2,894,567

2,994,122

2,860,010

総資産額

(千円)

3,813,717

3,851,896

3,901,270

3,733,215

3,549,988

1株当たり

親会社所有者帰属持分

(円)

707.92

623.11

667.44

699.85

712.78

基本的1株当たり当期利益

(△損失)

(円)

50.43

55.62

46.93

50.78

28.16

希薄化後1株当たり当期利益

(△損失)

(円)

48.85

55.62

46.53

50.37

28.03

親会社所有者帰属持分比率

(%)

82.0

71.4

74.2

80.2

80.6

親会社所有者帰属持分

当期利益率

(%)

6.9

7.3

7.5

3.9

株価収益率

(倍)

17.25

14.95

11.31

21.06

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

241,010

207,570

516,715

6,424

13,108

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

50,312

46,322

47,704

71,753

176,535

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

473,045

180,622

268,664

342,153

173,088

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

532,112

873,643

1,072,392

666,153

329,697

従業員数

(人)

133

137

123

133

145

(外、平均臨時雇用者数)

(19)

(20)

(21)

(25)

(40)

 

(注) 1.国際会計基準(以下「IFRS」という。)に基づいて連結財務諸表を作成しております。

2.千円未満を四捨五入して記載しております。

3.第9期の株価収益率については、基本的1株当たり当期損失であるため記載しておりません。

4.第9期の親会社所有者帰属持分当期利益率については、親会社の所有者に帰属する当期損失であるため記載しておりません。

5.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー・アルバイト等)は、年間の平均人員(1日8時間換算)を( )外数で記載しております。

6.第8期は、決算期変更により2019年4月1日から2020年2月29日までの11カ月間となっております。

7. 第12期より国際会計基準第12号「法人所得税」(2021年5月改訂、以下「IAS第12号」という。)を適用しております。これに伴い、第11期について遡及適用後の数値を記載しております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

日本基準

第8期

第9期

第10期

第11期

第12期

決算年月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

売上高

(千円)

2,499,993

1,270,823

1,891,010

2,138,412

2,288,071

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

203,339

446,933

180,852

208,414

27,767

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

88,914

416,659

75,695

75,953

38,417

資本金

(千円)

608,538

621,038

45,000

57,290

74,540

発行済株式総数

(株)

4,415,000

4,465,000

4,465,000

4,514,100

4,583,100

純資産額

(千円)

2,445,484

1,901,028

1,913,212

1,879,322

1,591,687

総資産額

(千円)

3,078,730

2,940,157

2,884,039

2,552,897

2,239,264

1株当たり純資産額

(円)

553.03

429.71

441.15

439.28

396.68

1株当たり配当額

(円)

18.50

9.25

8.00

17.00

9.00

(うち1株当たり中間配当額)

(―)

(9.25)

(―)

(8.00)

(9.00)

1株当たり当期純利益
又は当期純損失(△)

(円)

20.09

94.77

17.20

17.56

9.46

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益金額

(円)

19.46

17.06

17.41

自己資本比率

(%)

79.3

64.5

66.3

73.6

71.1

自己資本利益率

(%)

3.4

4.0

4.0

株価収益率

(倍)

43.30

40.81

32.70

配当性向

(%)

92.1

46.5

96.8

従業員数

(人)

125

129

118

126

137

(外、平均臨時雇用者数)

(18)

(12)

(13)

(17)

(26)

株主総利回り

(%)

82.1

56.6

68.2

57.9

60.5

(比較指標:TOPIX)

(%)

94.9)

(117.1)

(118.6)

(125.2)

(168.1)

最高株価

(円)

1,204

881

848

882

723

最低株価

(円)

870

416

560

553

560

 

(注) 1.千円未満を四捨五入して記載しております。

2.第9期及び第12期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.第9期及び第12期の自己資本利益率、株価収益率、配当性向については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。

4.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー・アルバイト等)は、年間の平均人員(1日8時間換算)を( )外数で記載しております。

5.最高株価及び最低株価は、2019年2月20日以降は東京証券取引所市場第一部、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。

6.第8期は、決算期変更により2019年4月1日から2020年2月29日までの11カ月間となっております。

7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第11期の期首から適用しており、第11期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2 【沿革】

 

年月

概要

2000年5月

株式会社日本エル・シー・エー(現 株式会社エル・シー・エーホールディングス)において、外食産業向けコンサルティングにおける調査ツールとして、顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ(MSR)」の提供を開始

2002年5月

コンサルティングを受託した顧客企業のみへの付加的サービスだったミステリーショッピングリサーチ(MSR)の事業化に着手

2004年4月

顧客満足の先にある「顧客ロイヤルティ」とそれを生み出す組織の関連性を分析し、ボトムアップ型でサービス改善を進めるコンサルティング・研修ノウハウ「HERBプログラム」をリリース

2008年5月

東京都台東区に株式会社MS&Consulting(旧MS&Consulting(1))を会社分割により設立

 

株式会社ホッコクの子会社となる

2008年7月

本社を東京都中央区に移転

2009年3月

東京都千代田区に北の丸パートナーズ株式会社を設立

 

北の丸パートナーズ株式会社の子会社となる

2009年9月

北の丸パートナーズ株式会社を存続会社として、旧MS&Consulting(1)を吸収合併、同日、商号を株式会社MS&Consulting(旧MS&Consulting(2))に変更し、本社を東京都中央区に移転

2011年9月

リーダーシップ、チームの遂行力、チームの風土、スタッフの主体性、スタッフの満足度の5つの観点から組織が抱える問題点を明らかにする従業員満足度調査「サービスチーム力診断(現 tenpoket チームアンケート)」をリリース

2012年9月

経済産業省主催「2012年度 おもてなし経営企業選」事務局を受託

2013年3月

東京都千代田区にTMC BUYOUT3株式会社を設立

2013年5月

TMC BUYOUT3株式会社の子会社となる

2013年9月

経済産業省主催「2013年度 おもてなし経営企業選」事務局を受託

2013年10月

TMC BUYOUT3株式会社を存続会社として、旧MS&Consulting(2)を吸収合併、同日、商号を株式会社MS&Consultingに変更し、本社を東京都中央区に移転

2015年8月

国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と「サービス・ベンチマーキングによるサービスプロフィットチェーンの高度化」に向けた共同研究を開始

2016年1月

タイに子会社MS&Consulting(Thailand)Co.,Ltd.を設立

2016年3月

台湾に子会社台灣密思服務顧問有限公司を設立

2017年5月

経済産業省創設「おもてなし規格認証制度」認証支援事業者として認定される

2017年8月

一般財団法人日本情報経済社会推進協会よりプライバシーマークを取得

2017年10月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2019年2月

東京証券取引所市場第一部に上場市場を変更

2019年11月

「tenpoket チームアンケート」をビジネスチャットなどの各種ソフトウェアとともにパッケージ化した「tenpoket」をリリース、SaaSとして提供を開始、後に「MSナビ」「SVナビ」などとも連携

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からスタンダード市場へ移行

2023年10月

有料職業紹介事業の許可を取得

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、顧客企業のサービスプロフィットチェーン(以下「SPC」という。(注1))経営の実現に向け、顧客満足度(CS)・従業員満足度(ES)の向上によるサービスの高品質化・高付加価値化を目的とした経営コンサルティングを行っており、顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」(以下「MSR」という。)を基幹サービスとして、従業員満足度調査「tenpoket チームアンケート」(以下「チームアンケート」という。)及びコンサルティング・研修(以下「コンサル」という。)などの各種サービスを提供しております。

MSRとは、マーケティングリサーチの一種で、当社グループのミステリーショッパー(以下「モニター」という。)が一般消費者として依頼主である顧客企業の運営する店舗等を訪れ、実際の購買活動を通じて商品やサービスの評価を行う顧客満足度調査のことであります。当社グループの覆面調査レポート(以下「レポート」という。)は、規定どおりのサービスが行われているかどうかのチェックを目的とした同業他社のものとは異なり、店舗スタッフの働きがいを高め、サービス品質の向上を実現することを目的としており、その後のレポートの活用促進に向けたコンサルへと繋がっている点に特徴があります。具体的には、コンサルをとおして、レポートを活用しながら、店舗運営に関する現場オペレーションにまで踏み込んだアクションレベルの改善活動を支援しております。また、従業員満足度調査としてチームアンケートを提供しておりますが、こちらも調査による現状把握に止まらず、その後のコンサルによって調査結果を従業員エンゲージメントの向上に繋げていく活動を支援しております。

当社グループでは、更なる収益拡大のため、顧客基盤の拡大を目的としたサービスのラインナップ拡充と付加価値向上を進めております。一方、継続性があるMSRで着実に収益が計上されるストック型のビジネスモデルを導入しており、安定した収益基盤の構築も図っております。

なお、当社グループはミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

(注1) SPCとは、経営における売上や利益と、従業員満足度、顧客満足度の因果関係を示したフレームワークのことであり、従業員満足度向上→顧客満足度向上→業績向上→従業員満足度向上→・・・・・の好循環サイクルを指します。

 

(1) サービスの特徴

当社グループは経営コンサルティング会社から分社・独立する形で創業しており、経営コンサルティング会社で培ったノウハウを生かした各種サービスを提供しております。

MSRでは、店舗スタッフの働きがいやモチベーションを高め、自発的な改善活動に繋がるレポートを提供することを重視しております。そのため、規定どおりのサービスが行われているかどうかを選択肢により評価するチェック主体の単純な調査票ではなく、自由記入のコメントを多用した調査票を導入しており、外食業界では料理(味・提供時間・接客)、小売業界では商品説明力や品揃え、自動車業界では自動車関連小売等におけるセールススキル、美容業界ではカウンセリングなど、業界ごとに顧客満足度との相関性の高いものを評価項目に加えております。さらに、その有効性を高めるために、調査の準備段階では担当コンサルタントが顧客企業とコミュニケーションを図り、顧客ニーズに合わせた調査企画・設計を行うほか、要望に応じて調査実施前・後のコンサルを実施いたします。また、質の高いレポートを提供するため、専門の教育を受けたレポートチェッカーが、モニターの作成した全レポートに目を通し、コメント内容や評価との整合性などを確認、必要に応じてレポートを作成したモニターへのヒアリングを行うことで、コメントをより具体的かつ効果的なものにするなど、コメントの量・質ともにこだわった消費者目線のレポートを顧客企業へ提供しております。2024年2月期には、国内において、MSRの顧客企業683社に対し年間18.7万回の調査を実施しておりますが、これまで蓄積した当該データを活用し、上述のような評価項目の設計や業界平均値等の比較対象データの提供を行っております。

チームアンケートは、リーダーシップ、チームの遂行力、チームの風土、スタッフの主体性、スタッフの満足度の5つの観点で従業員満足度を調査するサービスであります。2011年9月のサービス開始から累積で260万人超の調査実績があり、当該蓄積データより算出された業界平均値や調査結果の高い企業・店舗等の平均値と比較することによって、顧客企業・店舗等の強み・弱みを知ることができます。

コンサルでは、MSRやチームアンケートの調査結果をもとにボトムアップ型でサービス改善を進めるノウハウ「HERBプログラム」を提供しております。同プログラムを通じてMSRを用いた改善活動を顧客店舗に定着させ、店舗スタッフのモチベーション向上、働きがいのある職場作りを促進することで、店舗スタッフの定着率向上、店舗スタッフが自発的にサービス品質の向上に取り組む環境構築に繋げております。B2Cビジネスを営むサービス業をはじめ、多岐にわたる業界が当社グループのサービス提供対象となりますが、当社グループでは、各種調査やコンサルの質を向上させるため、業界特化チームを組み、それぞれに精通することで、各業界特有の課題認識を捉えると同時に、他業種チームと必要な連携を行いつつ、課題解決に向けたノウハウの充実等を図っております。

 

以上のような一連のサービスが、顧客企業の経営システムインフラとして長く利用されることを目指し、継続的なサービスのラインナップ拡充と付加価値向上に努めております。主な取り組みとして、2016年3月期より国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同研究契約を締結し、「サービス・ベンチマーキングによるサービスプロフィットチェーンの高度化」に向けた共同研究を実施しております。本研究では当社グループが保有する顧客満足度・従業員満足度に関するデータを対象として各種分析を行うことで、各種調査手法を高度化するとともに、業種別のSPCの傾向や特色を明確化、研究成果として得られた各種データはコンサルの現場で活用されております。また、2017年3月期には来店客からWEB上でタイムリーにアンケートを取得できる「カスタマーリサーチ」や顧客企業の店舗スタッフ個々の私有デバイスからレポートを閲覧し、そこから得た気付きを瞬時に発信・共有できる「MSナビ」(以下「MSナビ」という。)を、2020年2月期には顧客企業のスーパーバイザー(SV)の業務効率化とスーパーバイジング力の向上を図る「SVナビ」(以下「SVナビ」という。)をリリースいたしました。MSナビやSVナビは、チームアンケートやビジネスチャットなどの各種ソフトウェアとともにtenpoketという名称にてパッケージ化され、SaaSとして利用いただくことが可能です。また、オンライン接客を加速化させる各種業界向けに調査と送客を両立したMSRのサービス提供を開始し、コロナ禍によって傷んだ財務体質の中で事業拡大・転換を目指すクライアントに対して政府・自治体等が実施する補助金・助成金等の採択支援サービスを開始したことに加え、2024年2月期には電気料金等の高騰に対応するべくコストダウン商材の販売、人手不足への対応を強化するべくチームアンケートによる定着率向上から人材採用コンサルティング、さらには有料職業紹介事業の許可を取得して人材紹介業へのトライアル、店舗の販促支援分野への進出も開始しております。

このような取り組みが功を奏し、当社におけるMSR以外の売上構成比はコロナ禍前の13.7%から32.6%に伸長しております。2025年2月期はコロナ禍の収束及び顧客における原材料価格や人件費上昇の価格転嫁が進み、経営基盤が持ち直し傾向にあることを踏まえ、各種新サービスの成長と共に、MSRの回復を最重要課題として取り組んで参ります。当社グループが国内でミステリーショッピングリサーチ事業を提供している業界別の状況は下記のとおりです。

 

業界

2024年2月

主な業種・業態等

売上収益

(百万円)

売上収益に占める

既存顧客の割合

外食業界

629

95.8%

居酒屋、ファストフード

小売業界

375

87.4%

ショッピングセンター

自動車業界

302

96.5%

カーディーラー、サービスステーション

美容業界

15

69.1%

美容院、エステ

レジャー業界

111

85.7%

カラオケ、ホテル

その他

217

83.6%

金融、宿泊、行政(公共機関)等

 

 

 

(2) ミステリーショッピングリサーチ事業における「MSR」、「チームアンケート」及び「コンサル」の詳細

① MSR

他のマーケティングリサーチ手法と比較した際、MSRの最大の特徴は、モニターが依頼を受けた後に実際にサービスを体験するという点にあります。MSRで提供するレポートは、一消費者であるモニターがサービスの利用前に抱いていた事前期待と実際のサービスを受けて感じた印象との差異を時系列で明らかにすることによって、購買意欲、再来店意思、紹介意思といった結果から、それに至った経緯までを、心理状況の変化も交え詳細に記述します。

これによって規定どおりのサービスが行われているかはもちろん、その時々の状況によって異なるサービスの実態、その時に行われたやり取りなどの具体的内容、サービスを受けた消費者の心象までを詳細に知ることができます。このためMSRは、主にサービス業の現場における課題把握調査、又は顧客満足度調査の手法として用いられます。

また、調査によって得られる「お客様の生の声」は、サービス業の現場で働く店舗スタッフの働きがいを高める重要な要素となり、顧客満足を大切にする組織風土を生みだし、サービス品質向上の土台を築くことに繋がります。この土台があるとオペレーション改善が自然に進み、顧客満足度や生産性向上のために必要な改善を続ける企業文化の醸成を促進させることができます。

MSRに取り組む顧客企業の多くは全店舗での調査実施を要望します。そのため、全国に店舗を有するナショナルチェーン等のニーズに対応するには、離島を含む調査対象店舗のある地域に数多くの登録モニターを確保しておくことが重要となります。また、年齢や性別、これまでのサービス利用の有無等、限られたモニター属性での調査を求められる場合があります。こうした様々な調査ニーズに対応するため、当社グループは、30歳・40歳代の女性を中心として、日本全国に57万人のモニターを確保しております。モニター登録は、当社モニター専用サイトの新規会員登録ページにて、利用規約や個人情報保護方針に同意の上、メールアドレスとパスワードを入力することで登録完了となります。その後、氏名・住所等の詳細な会員情報登録、なりすまし防止のための携帯番号認証、調査モラル教育を目的としたWEBテスト受講などの手続きを行うことで、調査を実施することが可能となります。

さらに、調査時にモニターが遵守しなければならない指定行動の多い調査などでは、モニターの質が強く求められる場合もあります。そのため、レポート作成ノウハウをまとめた「レポートの書き方」やMVR(注2)として表彰した優秀なレポートをモニター専用サイト上に掲載するほか、提出されたレポートを当社グループの定めるチェック基準で評価し、その結果をモニターにフィードバックする等、モニター教育にも力を入れております。このレポート評価の結果は、モニターランクの付与基準となっております。モニターランク制度はモニターをサービスマイスター、ダイヤモンド、ゴールド、シルバー、ブロンズ、レギュラーの6階層に区分するものであります。上位階層に位置する程、応募した調査へ優先的に当選するチケットがもらえる等、各種特典が設けられており、質の高いモニターの囲い込みに役立てております。加えて、調査への応募等に少額のインセンティブを付けるなどの施策により、稼働率の低いモニターのアクティブ化を図っております。

(注2) MVRとは“Most Ⅴaluable Report”の略称で、質の高いレポートを提出したモニターを表彰する賞であります。

 

当社グループにおける国内の最近5年間のモニター数、モニターが年間で調査した店舗数及び総調査数は以下のとおりとなります。

 

 

2020年2月

(注)3

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

モニター数(人)

510,143

525,783

542,287

560,079

573,964

年間調査店舗数(店)

64,853

50,147

54,442

53,194

50,337

年間総調査回数(回)

214,641

126,867

152,445

188,333

187,460

ミステリーショッピングリサーチ事業の売上構成比

98.7%

97.8%

98.3%

98.9%

99.1%

 

(注3) 2020年2月期は、決算期変更の経過期間にあたるため、11カ月の変則決算となっております。

 

 

MSRの概要は以下のとおりとなります。

 

<MSR概要図>


 

(ⅰ)

調査設計、システム登録

顧客企業の依頼内容に基づいて、調査フローや調査票などを設計し、調査企画としてシステム登録する

 

(ⅱ)(ⅱ)'

モニター募集、応募、選定

モニター専用サイトにて調査企画を告知し、モニター募集、応募者の中から適切なモニターを選定する

 

(ⅲ)

モニター教育・サポート

調査前に、調査趣旨・間違い易いポイント・行動の注意点やレポートの書き方等についてメールや電話を用いて教育・サポートする

 

(ⅳ)

覆面調査

モニターは一般利用客として調査対象店舗を訪れ、指定の調査条件に従い、実際の購買活動をとおしてサービスを体験(調査)する

 

(ⅴ)(ⅴ)'

レポート作成、提出

モニターは、モニター専用サイト上にて、実際に体験(調査)したサービスやその結果として感じた再来店意思や紹介意思について評価し、その理由や感想等のコメントを交えてレポートを作成、当社グループに提出する

 

(ⅵ)(ⅵ)'

レポートチェック、追記・

修正依頼、ヒアリング、メンテナンス

・一次チェックとして、モニターから提出されたレポートと証票(来店証明となるレシート等)をチェックする

・二次チェックとして、評価の整合性やコメントの質・量が定められた基準を満たしていることをチェックする

・基準を満たしていない場合には、メールでの追加記載・修正依頼、電話でのヒアリング等を実施しながら、充足されるまでレポートのメンテナンスを行う

 

(ⅶ)

レポート納品

・顧客企業と合意した納期までに、MSナビにてレポートを納品する

・顧客企業の店舗スタッフは個々の私有デバイスからMSナビを介してレポートを閲覧する

・MSナビは、レポートの閲覧のみならず、簡易な集計・分析も可能となっている

 

 

 

 

② チームアンケート

チームアンケートは、従業員の働きがいやモチベーションに焦点を当て、リーダーシップ、チームの遂行力、チームの風土、スタッフの主体性、スタッフの満足度の5つの観点から組織が抱える問題点を明らかにする調査です。チームアンケートの設問は、各種理論や当社グループのコンサルをとおして成果が創出された組織・チームの特徴をもとに設計されております。顧客企業の店舗スタッフが負担なく回答できるよう設問数も必要最低限に留めており、年に複数回実施し、短いスパンでタイムリーに自店舗の従業員満足度を確認できる仕様となっております。

過去累計260万人超の調査実績があり、蓄積データより算出されたサービス業全体やこの顧客企業が属する業界、調査結果の高い企業・店舗等の平均値と比較することによって、顧客企業・店舗等の強み・弱みを知ることができます。当社グループでは、このような調査結果を活用し、組織改善のための支援設計からそれに準じたコンサルの提供までをサポートしております。人手不足が深刻化し、人的資本経営の重要性が認識される中、従業員エンゲージメントに関連する分野は大きな成長余地があると考え、ノウハウ開発に努めてまいりました。

 

③ コンサル

当社グループでは、MSRやチームアンケートを活用した改善サイクルが顧客店舗においてスムーズに定着するよう、調査とその結果に基づくコンサルをワンストップで提供できるノウハウを有しており、調査実施前・後で、顧客企業の店舗スタッフがポジティブに各種調査結果を捉えられるレポートフィードバックのあり方、顧客企業の店舗スタッフに自発的な改善活動を促す方法、多くの店舗に共通して見られる課題の解決策、顧客企業内における優秀店舗の取り組み事例共有などを主なテーマとしたコンサルを実施しております。

顧客店舗における、MSRを活用しての改善サイクル例は以下のとおりとなります。

 

 

<MSRを活用しての改善サイクル例>


 

[事業系統図]

事業の系統図は次のとおりであります。


 

注1 当社は登録モニターにより覆面調査を国内顧客企業の店舗に対して実施し、レポートを納品、要望に応じてコンサルまでを行い、国内顧客企業より調査費用等を受け取る。

注2 子会社も当社同様の業務を海外顧客企業に対して行う。

注3 登録モニターは、当社の依頼により国内顧客企業が経営する店舗に対して覆面調査を実施する。

注4 当社は覆面調査を行った登録モニターに対して、謝礼を支払う。

注5 登録モニターは、子会社の依頼により海外顧客企業が経営する店舗に対して覆面調査を実施する。

注6 子会社は覆面調査を実施した登録モニターに対して、謝礼を支払う。

注7 当社は、提携先企業より新規顧客の紹介を受け、それに対して紹介料を支払う。

注8 当社は、顧客企業に対して納品するレポートのチェック等の一部を外部の会社に依頼し、その費用を支払う。

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

主要な事業
の内容
(注)1

議決権の所有
割合又は被所有
割合

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

MS&Consulting(Thailand)
Co.,Ltd. (注)2、4

タイ

バンコク市

200万バーツ

ミステリーショッピングリサーチ事業

(所有)

49%

当社からの経営指導

資金の貸付

役員の兼任 2名

 

 

 

 

 

 

台灣密思服務顧問有限公司

台湾

台北市

450万台湾ドル

ミステリーショッピングリサーチ事業

(所有)

100%

当社からの経営指導

資金の貸付

役員の兼任 1名

 

(注) 1.セグメント情報の名称を記載しております。

2.持分比率は100分の50以下でありますが、人的及び資本的に支配しているため、子会社としたものであります。

3.当社は、最近日現在において特定子会社は有しておりません。

4.債務超過会社で債務超過額の額は、2024年2月末時点で64,842千円となっております。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年2月29日現在

従業員数(人)

145

(40)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー・アルバイト等)は、年間の平均人員(1日8時間換算)を( )外数で記載しております。

2.当社グループは、ミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2) 提出会社の状況

2024年2月29日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

137

(26)

36.6

8.4

5,799

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー・アルバイト等)は、年間の平均人員(1日8時間換算)を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は、ミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループの労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業及び労働者の男女の賃金差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1、3

男性労働者の育児

休業取得率(%)

(注)2、3

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注)1、3

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

16.7

25.0

53.6

73.2

59.3

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.当社の人的資本に関する考え方や取組みについては「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

② 連結子会社

連結子会社については、在外子会社となるため、記載を省略しております。