第一部【証券情報】

第1【募集要項】

1【新規発行社債(短期社債を除く。)】

銘柄

ソフトバンクグループ株式会社第63回無担保社債

記名・無記名の別

券面総額又は振替社債の総額(円)

金550,000,000,000円

各社債の金額(円)

金1,000,000円

発行価額の総額(円)

金550,000,000,000円

発行価格(円)

各社債の金額100円につき金100円

利率(%)

年3.03%

利払日

毎年6月14日及び12月14日

利息支払の方法

1 利息支払の方法及び期限

 

(1)本社債の利息は、払込期日の翌日から償還すべき日(以下、「償還期日」という。)までこれをつけ、2024年12月14日を第1回の利息支払期日としてその日までの分を支払い、その後毎年6月14日及び12月14日の2回に各々その日までの前半か年分を支払う。

 

(2)利息を支払うべき日が銀行休業日にあたるときは、その支払はその前銀行営業日にこれを繰り上げる。

 

(3)半か年に満たない期間につき利息を計算するときは、その半か年の日割りをもってこれを計算する。

 

(4)償還期日後は利息をつけない。

 

2 利息の支払場所

 

別記「(注)15 元利金の支払」記載のとおり。

償還期限

2031年6月13日

償還の方法

1 償還金額

 

各社債の金額100円につき金100円

 

2 償還の方法及び期限

 

(1)本社債の元金は、2031年6月13日にその総額を償還する。

 

(2)償還期日が銀行休業日にあたるときは、その支払はその前銀行営業日にこれを繰り上げる。

 

(3)本社債の買入消却は、払込期日の翌日以降、別記「振替機関」欄記載の振替機関が別途定める場合を除き、いつでもこれを行うことができる。

 

3 償還元金の支払場所

 

別記「(注)15 元利金の支払」記載のとおり。

募集の方法

一般募集

申込証拠金(円)

各社債の金額100円につき金100円とし、払込期日に払込金に振替充当する。申込証拠金には利息をつけない。

申込期間

2024年6月3日から2024年6月13日まで

申込取扱場所

別項引受金融商品取引業者の本店及び国内各支店

払込期日

2024年6月14日

振替機関

株式会社証券保管振替機構

 

東京都中央区日本橋兜町7番1号

担保

本社債には担保及び保証は付されておらず、また本社債のために特に留保されている資産はない。

 

 

財務上の特約(担保提供制限)

1 担保提供制限

(1)当社は、本社債の未償還残高が存する限り、本社債発行後、当社が国内で既に発行した、又は当社が国内で今後発行する他の社債のために、担保提供(当社の所有する資産に担保権を設定する場合、当社の所有する特定の資産につき担保権設定の予約をする場合及び当社の特定の資産につき特定の債務以外の債務の担保に供しない旨を約する場合をいう。以下、「担保提供」という。)を行う場合には、本社債のために担保付社債信託法に基づき、同順位の担保権を設定する。

 

(2)前号に基づき設定した担保権が本社債を担保するに十分でない場合、当社は本社債のために担保付社債信託法に基づき、社債管理者が適当と認める担保権を設定する。

 

(3)当社が、合併、会社分割、株式交換又は株式移転により担保権の設定されている他社の社債を承継する場合には、本項第(1)号は適用されない。

 

2 担保提供制限に係る特約の解除

 

当社が、本欄第1項もしくは別記「財務上の特約(その他の条項)」欄第1項第(1)号により本社債のために担保権を設定した場合、又は、当社が別記「(注)4 特定物件の留保」により本社債のために留保資産を留保した場合で社債管理者が承認したときは、以後、本欄第1項、別記「(注)6 社債管理者に対する定期報告」(4)及び別記「(注)7 社債管理者に対する通知」(3)は適用されない。

財務上の特約(その他の条項)

1 担保付社債への切換

(1)当社は、社債管理者と協議のうえ、いつでも本社債のために担保付社債信託法に基づき、担保権を設定することができる。

 

(2)当社が、別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項又は前号により本社債のために担保権を設定する場合には、当社はただちに登記その他必要な手続を完了し、かつ、その旨を担保付社債信託法第41条第4項の規定に準じて公告する。

 

2 純資産額の維持

 

(1)当社は、本社債の未償還残高が存する限り、当社の事業年度の末日における貸借対照表(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則により作成され、かつ監査済であるものをいう。以下同じ。)に示される純資産の部の金額を3,698億円以上に維持しなければならない。

 

(2)前号に定める金額を下回る場合は、その貸借対照表の基準とした事業年度の末日より4か月を経過したときに前号の違背が生じたものとみなす。

 (注)1 信用格付業者から提供され、もしくは閲覧に供された信用格付

本社債について、当社は株式会社日本格付研究所(以下、「JCR」という。)からAの信用格付を2024年5月31日付で取得している。

JCRの信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。

JCRの信用格付は、債務履行の確実性の程度に関してのJCRの現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性の程度を完全に表示しているものではない。また、JCRの信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するものではない。JCRの信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外の事項は含まれない。

JCRの信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。また、JCRの信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCRが格付対象の発行体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的又はその他の理由により誤りが存在する可能性がある。

本社債の申込期間中に本社債に関してJCRが公表する情報へのリンク先は、JCRのホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「ニュースリリース」右端「一覧を見る」をクリックして表示される「ニュースリリース」(https://www.jcr.co.jp/release/)に掲載されている。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性がある。その場合の連絡先は以下のとおり。

JCR:電話番号03-3544-7013

2 社債、株式等の振替に関する法律の規定の適用

本社債は、その全部について社債、株式等の振替に関する法律(以下、「社債等振替法」という。)の規定の適用を受けるものとし、社債等振替法第67条第2項に定める場合を除き、社債券を発行しない。

3 期限の利益喪失に関する特約

当社は、次の各場合には、本社債総額について直ちに期限の利益を喪失する。この場合、当社は本(注)12に定める方法により社債権者に通知する。ただし、別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項又は別記「財務上の特約(その他の条項)」欄第1項第(1)号により当社が本社債のために担保付社債信託法に基づき社債管理者が適当と認める担保権を設定した場合は、本(注)3(2)又は(3)に該当しても期限の利益を喪失しない。

(1)当社が別記「利息支払の方法」欄第1項又は別記「償還の方法」欄第2項の規定に違背し、別記「償還の方法」欄第2項の規定に違背した場合は2銀行営業日を、また、別記「利息支払の方法」欄第1項の規定に違背した場合は5銀行営業日を、それぞれ経過してもこれを治癒又は補正できないとき。

(2)当社が別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項の規定に違背したとき。

(3)別記「財務上の特約(その他の条項)」欄第2項第(2)号に基づき同項第(1)号の違背が生じたものとみなされたとき。

(4)当社が本(注)6、本(注)7(2)及び(3)、本(注)8又は本(注)12に定める規定に違背し、社債管理者の指定する期間内(ただし、当該期間が30日を下回る場合には、30日以内とする。)にその治癒又は補正をしないとき。

(5)当社が本社債以外の社債(海外で発行されたものを含み、また会社法の適用を受ける社債に限られない。)について期限の利益を喪失し、又は償還期日が到来しても当該社債の要項に定める一定の期間内に弁済をすることができず期限が到来したとき。

(6)当社が社債を除く借入金債務について期限の利益を喪失したとき、又は当社以外の社債もしくはその他の借入金債務に対して当社が行った保証債務について履行義務が発生したにもかかわらず、その履行をすることができないとき。ただし、当該債務の合計額(邦貨換算後)が150億円を超えない場合は、この限りではない。

(7)当社が破産手続開始、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の申立てをし、又は取締役会において解散(合併の場合を除く。)の決議をしたとき。

(8)当社が破産手続開始、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の決定、又は特別清算開始の命令を受けたとき。

(9)当社がその事業経営に不可欠な資産に対し差押もしくは競売(公売を含む。)の申立てを受け、もしくは滞納処分を受けたとき、又はその他の事由により当社の信用を著しく害損する事実が生じたときで、社債管理者が本社債の存続を不適当であると認めたとき。

4 特定物件の留保

(1)当社は、社債管理者と協議のうえ、いつでも当社の特定の資産(以下、「留保資産」という。)を本社債以外の当社の債務に対し担保提供を行わず、本社債のために留保することができる。この場合、当社は、社債管理者との間に、その旨の特約を締結する。

(2)本(注)4(1)の場合、当社は、社債管理者との間に次の①乃至⑥についても特約する。

① 留保資産のうえには本社債の社債権者の利益を害すべき抵当権、質権その他の権利又はその設定の予約等が存在しないことを当社が保証する旨。

② 当社は、社債管理者の書面による承諾なしに留保資産を他に譲渡もしくは貸与しない旨。

③ 当社は、原因の如何にかかわらず留保資産の価額の総額が著しく減少したときは、ただちに書面により社債管理者に通知する旨。

④ 当社は、社債管理者が必要と認め請求したときは、ただちに社債管理者の指定する資産を留保資産に追加する旨。

⑤ 当社は、本社債の未償還残高の減少又はやむを得ない事情がある場合には、留保資産の一部又は全部につき社債管理者が適当と認める他の資産と交換し、又は、留保資産から除外することができる旨。

⑥ 当社は、社債管理者が本社債権保全のために必要と認め請求したときは、本社債のために留保資産のうえに担保付社債信託法に基づき担保権を設定する旨。

(3)本(注)4(1)の場合、社債管理者は、社債権者保護のために必要と認められる措置をとることを当社に請求することができる。

5 担保提供状況

(1)当社は、2024年3月31日現在において担保提供を行っている国内債務が一切存在しないことを保証する。

(2)当社は、社債管理者が必要があると認め請求したときは、2024年4月1日以降、本社債の払込期日の前日までに国内債務のために担保提供を行った、又は行う予定があるときはその国内債務の現存額及び担保物を書面により社債管理者に通知する。

6 社債管理者に対する定期報告

(1)当社は、随時社債管理者にその事業の概況を報告し、また、毎事業年度の決算及び剰余金の配当(会社法第454条第5項に定める中間配当を含む。)については書面をもって社債管理者にこれを通知する。当社が、会社法第441条第1項に定められた一定の日において臨時決算を行った場合も同様とする。

(2)当社は、金融商品取引法に基づき作成する有価証券報告書及びその添付書類の写しを当該事業年度終了後3か月以内に、半期報告書の写しを当該半期経過後45日以内に、社債管理者に提出する。金融商品取引法第24条の4の2に定める確認書及び金融商品取引法第24条の4の4に定める内部統制報告書についても上記各書類の取扱いに準ずる。また、当社が臨時報告書又は訂正報告書を財務局長等に提出した場合には、当社は遅滞なくこれを社債管理者に提出する。

(3)当社は、本(注)6(2)に定める報告書及び確認書について、金融商品取引法第27条の30の3に基づく電子開示手続を行う場合には、電子開示手続を行った旨を社債管理者へ通知することにより、本(注)6(1)及び(2)に規定する書面の提出を省略することができる。

(4)当社は、本社債発行後、毎事業年度末における本(注)5及び本(注)7(3)に該当した国内債務の現存額、担保物その他必要な事項を社債管理者に報告する。

7 社債管理者に対する通知

(1)当社は、本社債発行後、社債原簿に記載すべき事由が生じたとき又は変更が生じたときは、遅滞なく社債原簿にその旨の記載を行い、書面によりこれを社債管理者に通知する。

(2)当社は、次の各場合には、あらかじめ書面により社債管理者に通知する。

① その事業経営に不可欠な資産を譲渡又は貸与しようとするとき。

② 事業の全部又は重要な事業の一部を休止又は廃止しようとするとき。

③ 資本金又は準備金の額の減少、組織変更、合併、会社分割、株式交換又は株式移転(いずれも会社法において定義され、又は定められるものをいう。)をしようとするとき。

(3)当社は、本社債発行後、他の国内債務のために担保提供を行う場合には、遅滞なく書面によりその旨並びにその債務額及び担保物その他必要な事項を社債管理者に通知する。

8 社債管理者の請求による報告及び調査権限

(1)社債管理者は、社債管理委託契約の定めに従い社債管理者の権限を行使し、又は義務を履行するために必要であると認めたときは、当社並びに当社の連結子会社及び持分法適用会社の事業、経理、帳簿書類等に関する報告書の提出を請求し、又は自らこれらにつき調査することができる。

(2)本(注)8(1)の場合で、社債管理者が当社の連結子会社及び持分法適用会社の調査を行うときは、当社は、これに協力する。

9 債権者の異議手続における社債管理者の権限

会社法第740条第2項本文の定めは、本社債には適用されず、社債管理者は、会社法第740条第1項に掲げる債権者の異議手続において、社債権者集会の決議によらずに社債権者のために異議を述べることはしない。

10 社債管理者の裁判上の権利行使

社債管理者は、社債権者集会の決議によらなければ、本社債の全部についてする訴訟行為又は破産手続、再生手続、更生手続もしくは特別清算に関する手続に属する行為(社債管理委託契約第2条に掲げる行為を除く。)をしない。

11 社債管理者の辞任

(1)社債管理者は、次の各場合その他の正当な事由がある場合には、社債管理者の事務を承継する者を定めて辞任することができる。

① 社債管理者と本社債の社債権者との間で利益が相反する又は利益が相反するおそれがある場合。

② 社債管理者が、社債管理者としての業務の全部又は重要な業務の一部を休止又は廃止しようとする場合。

(2)本(注)11(1)の場合には、当社並びに社債管理者及び社債管理者の事務を承継する者は、遅滞なくかかる変更によって必要となる行為をしなければならない。

12 社債権者に通知する場合の公告の方法

本社債に関して社債権者に通知する場合の公告は、法令又は社債管理委託契約に別段の定めがあるときを除き、当社の定款所定の電子公告(ただし、電子公告の方法によることができない事故その他のやむを得ない事由が生じた場合は、当社の定款所定の新聞紙並びに東京都及び大阪市において発行される各1種以上の新聞紙。重複するものがあるときは、これを省略することができる。)又は社債管理者が認めるその他の方法によりこれを行うものとする。

また、社債管理者が公告を行う場合は、法令所定の方法によるほか、社債管理者が社債権者のために必要と認める場合には、社債管理者の定款所定の電子公告(ただし、電子公告の方法によることができない事故その他のやむを得ない事由が生じた場合は、社債管理者の定款所定の新聞紙並びに東京都及び大阪市において発行される各1種以上の新聞紙。重複するものがあるときは、これを省略することができる。)によりこれを行う。

13 社債権者集会に関する事項

(1)本社債及び本社債と同一の種類(会社法の定めるところによる。)の社債(以下、「本種類の社債」と総称する。)の社債権者集会は、当社又は社債管理者がこれを招集するものとし、社債権者集会の日の3週間前までに社債権者集会を招集する旨及び会社法第719条各号所定の事項を本(注)12に定める方法により公告する。

(2)本種類の社債の社債権者集会は、東京都においてこれを行う。

(3)本種類の社債の総額(償還済みの額を除く。また、当社が有する本種類の社債の金額の合計額は算入しない。)の10分の1以上にあたる本種類の社債を有する社債権者は、社債等振替法第86条第3項に定める書面を社債管理者に提示したうえ、社債権者集会の目的である事項及び招集の理由を記載した書面を当社又は社債管理者に提出して、本種類の社債の社債権者集会の招集を請求することができる。

14 発行代理人及び支払代理人

株式会社あおぞら銀行

15 元利金の支払

本社債に係る元利金は、社債等振替法及び別記「振替機関」欄記載の振替機関の業務規程その他の規則に従って支払われる。

 

2【社債の引受け及び社債管理の委託】

(1)【社債の引受け】

引受人の氏名又は名称

住所

引受金額

(百万円)

引受けの条件

大和証券株式会社

東京都千代田区丸の内一丁目9番1号

130,000

1 引受人は、本社債の全額につき共同して買取引受を行う。

2 本社債の引受手数料は各社債の金額100円につき金1円10銭とする。

SMBC日興証券株式会社

東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

100,000

野村證券株式会社

東京都中央区日本橋一丁目13番1号

70,000

株式会社SBI証券

東京都港区六本木一丁目6番1号

70,000

三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社

東京都千代田区大手町一丁目9番2号

60,000

みずほ証券株式会社

東京都千代田区大手町一丁目5番1号

60,000

岡三証券株式会社

東京都中央区日本橋一丁目17番6号

30,000

岩井コスモ証券株式会社

大阪府大阪市中央区今橋一丁目8番12号

14,000

東海東京証券株式会社

愛知県名古屋市中村区名駅四丁目7番1号

13,000

水戸証券株式会社

東京都文京区小石川一丁目1番1号

2,000

西日本シティTT証券株式会社

福岡県福岡市中央区天神一丁目10番20号

1,000

550,000

 

(2)【社債管理の委託】

社債管理者の名称

住所

委託の条件

株式会社あおぞら銀行

東京都千代田区麹町六丁目1番地1

1 社債管理者は、本社債の管理を受託する。

2 本社債の管理手数料については、社債管理者に、期中において年間各社債の金額100円につき金2銭を支払うこととしている。

 

3【新規発行による手取金の使途】

(1)【新規発行による手取金の額】

払込金額の総額(百万円)

発行諸費用の概算額(百万円)

差引手取概算額(百万円)

550,000

6,389

543,611

 

(2)【手取金の使途】

 上記の差引手取概算額543,611百万円については、207,610百万円を2024年6月14日に償還する社債の償還資金の一部に、残額については、2023年8月にSVF1から取得したアーム株式の取引対価の一部として、2024年8月に到来する第2回目未払金41億米ドルの支払の一部に充当する予定です。

 

第2【売出要項】

 該当事項なし

 

第3【第三者割当の場合の特記事項】

 該当事項なし

 

第4【その他の記載事項】

 発行登録追補目論見書に記載しようとしている事項は以下のとおりです。

 

・表紙に当社の社章

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を記載致します。

 

・表紙に本社債の愛称「福岡ソフトバンクホークスボンド」を記載致します。

 

第二部【公開買付け又は株式交付に関する情報】

第1【公開買付け又は株式交付の概要】

 該当事項なし

 

第2【統合財務情報】

 該当事項なし

 

第3【発行者(その関連者)と対象者との重要な契約(発行者(その関連者)と株式交付子会社との重要な契約)】

 該当事項なし

 

第三部【参照情報】

第1【参照書類】

 会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類を参照すること。

 

1【有価証券報告書及びその添付書類】

 事業年度 第43期(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 2023年6月21日関東財務局長に提出

 

2【四半期報告書又は半期報告書】

 事業年度 第44期第1四半期(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日) 2023年8月8日関東財務局長に提出

 

3【四半期報告書又は半期報告書】

 事業年度 第44期第2四半期(自 2023年7月1日 至 2023年9月30日) 2023年11月10日関東財務局長に提出

 

4【四半期報告書又は半期報告書】

 事業年度 第44期第3四半期(自 2023年10月1日 至 2023年12月31日) 2024年2月9日関東財務局長に提出

 

5【臨時報告書】

 1の有価証券報告書提出後、本発行登録追補書類提出日(2024年5月31日)までに金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2023年6月26日に関東財務局長に提出

 

6【臨時報告書】

 1の有価証券報告書提出後、本発行登録追補書類提出日(2024年5月31日)までに金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の2の規定に基づく臨時報告書を2023年7月28日に関東財務局長に提出

 

7【臨時報告書】

 1の有価証券報告書提出後、本発行登録追補書類提出日(2024年5月31日)までに金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第12号の規定に基づく臨時報告書を2024年1月25日に関東財務局長に提出

 

8【臨時報告書】

 1の有価証券報告書提出後、本発行登録追補書類提出日(2024年5月31日)までに金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第19号の規定に基づく臨時報告書を2024年5月14日に関東財務局長に提出

 

9【臨時報告書】

 1の有価証券報告書提出後、本発行登録追補書類提出日(2024年5月31日)までに金融商品取引法第24条の5第4項並びに企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第12号及び第19号の規定に基づく臨時報告書を2024年5月14日に関東財務局長に提出

 

10【訂正報告書】

 訂正報告書(上記6の臨時報告書の訂正報告書)を2023年8月29日に関東財務局長に提出

 

第2【参照書類の補完情報】

 上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」並びに上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」及び上記に掲げた参照書類としての四半期報告書(以下、有価証券報告書と四半期報告書を総称して「有価証券報告書等」という。)の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以後本発行登録追補書類提出日(2024年5月31日)までの間において生じた変更その他の事由を反映し、その全体を一括して以下に記載いたします。

 また、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されていますが、以下の記載に含まれる事項を除き、本発行登録追補書類提出日(2024年5月31日)現在においてもその判断に変更はなく、新たに記載する将来に関する事項もありません。なお、当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。

 

 本発行登録追補書類において、文脈上別異に解される場合または別段の記載がある場合を除き、以下の社名または略称は以下の意味を有します。

社名または略称

意味

ソフトバンクグループ㈱

ソフトバンクグループ㈱(単体)

当社

ソフトバンクグループ㈱および子会社

※以下の略称の意味は、それぞれの会社の傘下に子会社がある場合、それらを含みます。

SB Northstar

SB Northstar LP

SVF1

SoftBank Vision Fund L.P.および代替の投資ビークル

SVF2

SoftBank Vision Fund Ⅱ-2 L.P.

ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドまたはLatAmファンド

SBLA Latin America Fund LLC

ソフトバンク・ビジョン・ファンドまたはSVF

SVF1、SVF2およびLatAmファンド

SBIA

SB Investment Advisers (UK) Limited

SBGA

SB Global Advisers Limited

アーム

Arm Holdings plcまたはArm Limited(注)

アリババ

Alibaba Group Holding Limited

 

 (注) 2023年8月にArm Limitedの子会社であったArm Holdings LimitedがArm Limitedの発行済普通株式の全てを取得し、同社を完全子会社化する組織再編が行われました。その後、Arm Holdings Limitedは社名をArm Holdings plcに変更し、2023年9月14日に新規株式公開でNasdaq Global Select Marketへ上場しました。

 

経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

 当社の本発行登録追補書類の提出日(2024年5月31日)現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下の通りです。また、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本発行登録追補書類の提出日(2024年5月31日)現在において判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするテクノロジーやサービスを提供する企業グループとなることを目指すとともに、企業価値の最大化を図っています。

 

(2)重視する経営指標

 当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ㈱が、子会社・関連会社および投資先を投資ポートフォリオとして統括するマネジメント体制の下、保有株式価値の増大を通じてNAV(Net Asset Value:保有株式価値-調整後純有利子負債で算出(注1))を中長期的に最大化することを目指しています。また、これを支えるための財務方針として、財務の安定性を確保するという観点から、ソフトバンクグループ㈱のLTV(Loan to Value:調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出(注1)。保有資産に対する負債の割合)を金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、今後2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保しています。

 

(注1) 保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、上場子会社であるソフトバンク㈱(LINEヤフー㈱およびPayPay㈱をはじめとする子会社を含む)およびアーム、ならびにSVF1、SVF2、LatAmファンドなど独立採算で運営される事業体に帰属する有利子負債および現預金等(債券投資を含む)を除く。なお、SB Northstarの有利子負債(ただし、特定の有利子負債を除く)および現預金等(債券投資を含む)は調整後純有利子負債の算出に含む。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社は、情報技術の発展によって社会やライフスタイルが変革する「情報革命」を主要な成長機会として確実に捉え、長きにわたり人々の幸せに貢献していきたいと考えています。そのためには、社会ニーズの変化をいち早く捉え、今後の牽引役となるテクノロジーやビジネスモデルに合わせてグループの構成を最適化しながら自己変革を繰り返していくことが不可欠です。現在、人工知能(AI)がさまざまなビジネスモデルに組み込まれることにより、価値創造の在り方が塗り替えられ、多くの産業が再定義されようとしています。こうした中、当社は、AIの進化と普及がもたらす市場拡大や新産業創出といった大きな機会を確実に捉えるため、ソフトバンクグループ㈱による戦略投資のほか、SVFを通じた投資を行っています。さらに「群戦略」という独自の組織戦略の下、各投資先が刺激を与え合いながらそれぞれの事業の拡大やビジネスモデルの進化を可能にすることで、各投資先の企業価値、ひいては当社の保有株式価値の向上を図っています。

 

「群戦略」とは

「群戦略」は、特定の分野において優れたテクノロジーやビジネスモデルを持つ多様な企業群が、それぞれ自律的に意思決定を行いつつも、資本関係と同志的結合を通じてシナジーを創出しながら共に進化・成長を続けていくことを志向するものです。ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、群を構成する各企業の意思決定に影響を与えつつも、自律性を重んじ、出資比率は過半にこだわらず、ブランドの統一を志向しません。こうした多種多様な企業でグループを構成することにより、柔軟に業容を変化・拡大させ、長期にわたり成長を続けることを目指しています。

 

(4)経営環境および優先的に対処すべき課題

 世界の株式市場は米国・欧州中央銀行による金融引き締めや地政学リスクの高まりの影響で2023年3月期に下落したものの、多くの市場が2024年3月期は上昇基調で推移しました。2024年3月期において、上期は、米国景気の先行きを巡って見方が分かれる中でも、生成AIへの期待の高まりを背景に米国半導体企業および大型テクノロジー企業の株価が上昇しました。その後、利上げ打ち止めとその後の利下げ期待、米国景気が軟着陸するとの見方が広がったことで、2023年10月後半には米国長期金利が低下に転じ、下期は米国株式市場全般が上昇基調で推移しました。米国以外では、香港や上海に上場する中国企業の株価は厳しい状況が続いたものの、株高の流れが日本やインドをはじめ世界的に広がりを見せました。ベンチャー・キャピタル市場においては、2023年の米国の投資総額は依然として2021年の水準を大幅に下回ったものの(注2)、生成AIを手掛ける有力企業に対して活発に投資が行われました。新規株式公開(IPO)市場においては、2023年の米国のIPO件数は引き続き前年を下回ったものの(注2)、2023年末から本格的な再開の機運が高まっていると考えられます。

 かかる経営環境において、当社は中長期的にNAVを最大化させるために以下1~3に注力しています。また、当社保有株式価値に占める割合が大きく、最重要資産と位置付けられるアーム、SVFおよびソフトバンク㈱はそれぞれの株式価値の拡大を図るため以下4~6に挙げた取り組みを行っています。

 

(注2) CBインサイツ『State of Venture 2023 Report』による。

 

1 既存投資先の価値拡大と新規投資の実行

 2023年9月にIPOを果たしたアームの株価が2024年3月期末までに大幅に上昇したことにより、当社の保有株式価値およびNAVは2023年3月期末から大幅に増加しました。アームを中核とした現在のポートフォリオは、主にAIの進化を支えるハードウエアレイヤーからAIを活用したアプリケーションレイヤーまで幅広い投資先で構成されており、AIによって生まれつつある新潮流を捉えるための基盤が整っています。その上で将来の成長をより着実なものにするため、当社は既存投資先のさらなる価値拡大に取り組むとともに、成長性の高いAI関連企業への新規投資を進めています。

 既存投資先のうちアームおよびソフトバンク㈱については、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下でそれぞれが後述の成長戦略を着実に遂行することで、当社保有株式価値の拡大につながると期待しています。SVFについては、今後、IPO市場の本格的な再開に伴い投資先の株式公開とその後のエグジットが順次進んでいくと期待しています。また、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却の機会も引き続き探っていきます。

 新規投資については、エグジットによる回収資金も活用しつつ、AIという投資テーマに基づき投資案件を厳選し、経営に深く関わることで付加価値を提供できるような戦略投資についてはソフトバンクグループ㈱または100%子会社から行い、それ以外はSVFを通じた投資を行うことを想定しています。

 

2 財務方針の堅持

 当社は、「(2)重視する経営指標」の通り、ソフトバンクグループ㈱のLTVを金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保することを財務方針として掲げています。

 2023年3月期は新規投資を大幅に抑制するとともに資産の資金化や負債の返済を進める「守り」を徹底し、財務基盤を大幅に強化しました。2024年3月期は投資を徐々に再開しましたが、LTVは依然として25%を大幅に下回る水準で推移しました。2年分の社債償還資金を大きく上回る潤沢な手元流動性とあわせて、当社の財務は極めて安全な状態にあると考えており、今後の成長投資に向けて十分な調達余力を有していると認識しています。

 来期以降、NAVのさらなる拡大に向けて継続的に新規投資を実行する中で、LTVは市場環境に合わせた適切な水準に回帰していくことが見込まれますが、当社は、新規投資や保有株式価値の状況に応じて適切に純有利子負債をコントロールするとともに、資産の資金化や子会社を含む投資先からの配当収入および分配金なども得ることで、財務方針を遵守していきます。

 

3 サステナビリティの推進

 当社は、社会の持続的な発展と当社の中長期的な成長の両立を実現するために、企業活動においてサステナビリティを推進することが重要だと考えています。こうした考えの下、サステナビリティに関するリスクおよび機会を認識した上で、それぞれのリスクの軽減と機会の追求に取り組んでいます。

 

4 アーム:AI革命を捉えた成長戦略の遂行

 アームは、半導体技術が世界で最も重要な資源の一つとなった現在、半導体技術開発のグローバル・リーダーとしてこれからのコンピューティングの在り方を左右する存在になりつつあると当社では認識しています。アームのプロセッサー・テクノロジーは、高機能プロセッサーとしては世界で最も広くライセンス供与・採用されており、スマートフォンではほぼ全て、タブレットとデジタルテレビのほとんどで使用されているほか、組込プロセッサー用チップでも高い割合で搭載されています。

 世界中の2,800億台以上のデジタル機器に採用されているアームのアーキテクチャーは、高性能と高エネルギー効率を両立しており、クラウドからエッジ、エンドポイントに至るまで、現在そして未来のAIワークロードを実行するために一貫性がありセキュアな基盤を提供しています。当社は、アームはAIが築く未来の根幹を支えていくと考えています。

 現在、生成AIや大規模言語モデルをはじめとするAI技術の進展・普及が、アームの技術に対する需要を加速度的に後押ししています。多くのAIアルゴリズムは非常に計算量が多く、質問に対する答えを迅速に提供するために高性能な中央演算処理装置(CPU)を必要とします。現在AI処理の多くはクラウド上で行われていますが、スマートフォンや自動車等の端末側でリアルタイムにデータを処理するエッジAI(注3)へのシフトが着実に進んでいます。アームが提供する高性能かつエネルギー効率に優れたCPUは、エッジAIにおける推論を実行するために最適なソリューションであり、エッジ・コンピューティング(注3)の進化とともに、AI時代におけるアームの存在感は高まっていると認識しています。

 アームは持続的な成長のため、以下に挙げた市場シェアの維持・拡大、ロイヤルティー単価の増加、およびエコシステムの強化に継続的に取り組んでいます。

 

(注3) スマートフォンや防犯カメラ等の利用者側の端末(エンドポイント)やその近くに設置するサーバーなどのネットワーク周縁(エッジ)部分でデータを処理するコンピューティング手法をエッジ・コンピューティングといい、データをクラウドに集約しクラウド上の高性能サーバーで処理を行うクラウド・コンピューティングに対し、不要な通信を避けることで通信遅延やネットワーク負荷の低減などを実現する。この仕組みをAI処理に応用・発展させたものをエッジAIという。

 

a.市場シェアの維持・拡大

 アームは、99%以上のシェアを持つモバイル・アプリケーション分野に加えて、自動車やクラウド・サーバー分野を中心に市場シェアを拡大しています。アームの顧客は、未来のAIアルゴリズムを実行するために欠かせない高性能かつ高エネルギー効率のチップを開発するための投資を加速しており、アームのテクノロジーに対する需要が増加しています。アームは、各エンドマーケットに特化した幅広いコンピュート・テクノロジー・ポートフォリオの提供に加えて、顧客がより高いライセンス料を支払うことでより広範なアームのテクノロジーにアクセス可能となるサブスクリプション型のライセンス契約を導入するなど、市場シェアの拡大に向けた柔軟な取り組みを行っています。アームは今後も、技術革新の最前線で、次世代のコンピューティング・デバイスのために必要な半導体IP(回路の設計情報などの知的財産)を提供していくことを企図しています。

 

b.ロイヤルティー単価の増加

 AIが急速に進化を遂げる中、高性能かつ高エネルギー効率のチップへの需要が高まり、チップ設計はますます複雑化しています。近年、アームの最新世代テクノロジーである「Armv9」や、アームの複数のIPを組み合わせたコンピュート・サブシステム(CSS)の採用が、ハイエンドのスマートフォン向けチップやサーバー向けチップを中心に進んでいます。CSSはアームのCPUと他のオンチップ・テクノロジーを組み合わせたもので、事前に統合・検証され、主要なファウンドリー(半導体受託生産事業者)の製造プロセスのために最適化されています。CSSの採用により、顧客はより短い期間でより簡単にチップを設計し、市場投入までの時間を短縮することが可能になります。アームは、「Armv9」やCSSといったより高度な技術のチップ当たりのロイヤルティー単価を高く設定しており、ロイヤルティー収入を牽引役とした中長期的な売上高の拡大を実現するため、これらの技術の普及・拡大を推し進めています。

 

c.エコシステムの強化

 アームの成長は、アームベースの製品向けにソフトウエアを開発する1,500万人を超えるエンジニアから成るエコシステムにより下支えされています。プログラムやアプリケーションは特定のCPUアーキテクチャー上で最適に動作するように作られるため、より多くのソフトウエアと互換性があることがCPUの成功を左右します。アームは過去30年以上にわたり、ソフトウエアエンジニアがアームベースのチップ向けにプログラムやアプリケーションを効率的に開発するために必要なツールやライブラリーを提供するなど、エコシステムの構築・醸成に注力してきました。今後も、あらゆる場所でAIがアームの基盤上で動作するために必要なエコシステムへの投資を継続していきます。

 

5 SVF:投資リターンの最大化

 SVF1、SVF2およびLatAmファンドは、主にAIを活用した成長可能性の大きなテクノロジー企業への投資を目的としたファンドです。各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とLatAmファンドを運営するSBGA、以下総称して「ファンド運営子会社」)は、以下の取り組みを通じてそれぞれの存続期間の中で各投資ファンドのリターンの最大化を目指しています。

 

a.さまざまな地域やセクター、テクノロジーへの分散投資

 SVF1、SVF2およびLatAmファンドはいずれも、存続期間が設立から10年超の長期にわたる私募投資ファンドです。AIという投資テーマの下、中長期的な視点からさまざまな地域やセクター、テクノロジーに分散投資を行うことで、株式市場の変動を乗り越えながら、中長期的なリターンの創出に取り組んでいます。

 

b.投資先価値向上の追求

 ファンド運営子会社は、既存投資先の中で株式価値の大きい会社またはその向上の余地の大きい会社を選定し、さまざまな戦略的支援やネットワークを通じて投資先の持続的な成長を促すことにより、SVFの保有株式価値の最大化を追求しています。具体的には、当社およびその投資先、取引先までを含めたエコシステムを通じてパートナーシップや協力関係を築くことにより、収益性と成長性を高める機会を捉え、実行することを目指しています。また、投資先の経営陣が成長を模索する中、クロスボーダーでの事業拡大や収益性改善のための助言を提供するとともにガバナンス体制のモニタリングを行い、投資先の健全な成長を支援しています。

 

c.最適な出口戦略による投資回収

 ファンドのリターン、ひいてはソフトバンクグループ㈱を含むリミテッド・パートナーへの分配を最大化するために、ファンド運営子会社は規律あるアプローチの下で適時・適切な保有資産のエグジットを実施する方針です。エグジットは、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却、または投資先の上場を通じて行われます。投資先の上場後は、投資時の計画に対するパフォーマンスや市場環境、株価の動向を慎重に評価しつつ、計画的に売却する仕組みを設定しています。また、株式を担保とした資金調達を行いリミテッド・パートナーへの分配を行う一方、リターンを最大化するために実際の売却は最適と考えるタイミングで行うこともあります。

 2024年3月期においては、SVFの投資先5社が上場を果たし、活動開始以来累計の上場社数は50社となりました。SVFは長期投資ファンドであり、ファンド運営子会社は最適なエグジットの手段・時期を見極め、短期的な市場の変動による影響を抑えながら、中長期的な視点でリターンの最大化を目指しています。

 

d.適切な運用体制の構築

 投資の成功の再現性を高め、持続的にリターンを生み出すためには、それを可能にする組織体制を構築すること、特に優秀な人材の確保および維持が不可欠です。ファンド運営子会社では、投資銀行やベンチャー・キャピタルなどで豊富な経験を積んだシニア・リーダーたちが運営に当たっています。これまでに、グローバル展開およびポートフォリオ管理のためのニーズと規模を満たす投資・運用・資金調達・管理の各機能およびマネジメント陣を備えた組織を築き、継続的にその改善を行っています。こうした専門家集団によるチームアプローチを取ることにより、組織的に知見の蓄積・共有を図り各投資ファンドの持続的な成長を目指しています。

 

6 ソフトバンク㈱:「Beyond Carrier」戦略の遂行

 コロナ禍をきっかけとした人々の生活様式の変化や深刻化する人手不足に対応するため、テレワークやオンラインショッピング、非接触型決済の利用拡大など、企業や行政のデジタル化は必要不可欠となりました。デジタル化は、生産性向上やイノベーションの創発を促すことで今後の日本の社会を変革していく原動力となっています。加えて、文章・画像・プログラムコードなどさまざまなコンテンツを生成することができる生成AIにより、この変革のスピードは加速すると考えています。

 こうした中、当社で国内事業を担うソフトバンク㈱は、成長戦略「Beyond Carrier」の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的に事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指しています。具体的には、①通信事業のさらなる成長、②エンタープライズ事業におけるDX/ソリューションビジネスの拡大、③メディア・EC事業の成長、④ファイナンス事業の成長、および⑤新規事業の創出・拡大に加え、⑥コスト効率化に取り組んでいます。

 財務戦略としては、ソフトバンク㈱は、調整後フリー・キャッシュ・フロー(注4)を重要な経営指標と考えており、高い株主還元を維持しながら、成長への投資を実施していくため、今後も同フリー・キャッシュ・フローの安定的な創出を目指しています。また、健全な財務体質を維持しつつ、適切な財務レバレッジを伴った資本効率の高い経営を行っていきます。

 なお、メデイア・EC事業の中心的な企業であるLINEヤフー㈱は、2023年11月に公表した不正アクセスによる情報漏洩に関して、2024年3月および4月に総務省から行政指導を、同年3月に個人情報保護委員会から勧告および指導を受けました。同社では、今回の行政指導および勧告・指導を真摯に受け止め、安全管理措置および委託先管理の抜本的な見直しや対策の強化、セキュリティガバナンスの本質的な見直しや強化を進めるとともに、再発防止策を順次実施していきます。ソフトバンク㈱は、同社の親会社として、実効的なセキュリティガバナンス確保の方策を検討していきます。

 

(注4) 調整後フリー・キャッシュ・フロー=フリー・キャッシュ・フロー+(割賦債権の流動化による調達額―同返済額)

 

事業等のリスク

 本発行登録追補書類の提出日現在(2024年5月31日)において、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスクは、以下の通りです。これらのリスクが顕在化した場合には、

・NAV(Net Asset Value:保有株式価値-調整後純有利子負債で算出(注1)。)

・LTV(Loan to Value:調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出(注1)。保有資産に対する負債の割合。)

・財政状態および経営成績

・ソフトバンクグループ㈱の分配可能額

に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクは、当社における全てのリスクを網羅しているものではなく、加えて、その対応策が十分に奏功する保障もありません。なお、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本発行登録追補書類の提出日現在(2024年5月31日)において判断したものです。

 

(注1) 保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、上場子会社であるソフトバンク㈱(LINEヤフー㈱およびPayPay㈱をはじめとする子会社を含む)およびアーム、ならびにSVF1、SVF2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドなど独立採算で運営される事業体に帰属する有利子負債および現預金等(債券投資含む)を除く。なお、SB Northstarの現預金等(債券投資含む)、有利子負債(ただし、特定の有利子負債を除く)は調整後純有利子負債の算出に含む。

 

(1)グループ全体

 当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ㈱が、子会社・関連会社および投資先(以下「投資先」)を統括するマネジメント体制の下、AIという投資テーマに基づき、幅広く投資活動を展開しています。当社の事業遂行における主要なリスクは、以下a~cに記載する通りです。

 加えて、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業、ソフトバンク事業、アーム事業における主要なリスクについては、それぞれ「(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」と「(3)ソフトバンク事業」「(4)アーム事業」をご参照ください。

 

a.投資活動全般

(a)市場環境

 当社は、AIに関連した情報・テクノロジー企業を中心に投資していますが、これらの企業に対する評価は技術進歩や市場規模の成長見通しによって大きく変動することがあります。したがって、当社の保有株式価値も、マクロ経済や金融政策、株式市場の動向に加え、こうしたセクター特有の要因によっても影響を受ける可能性があります。また、非上場の投資先は、ベンチャー・キャピタル市場や新規株式公開市場の動向にも影響を受けます。

 2023年9月に上場したアームは、上場後も引き続き連結子会社であるため、上場後の株価の変動は財政状態および経営成績に影響を及ぼすことはありませんが、アーム株式は当社の保有株式価値に占める割合が高いため、その株価の変動は当社の保有株式価値へ大きな影響を与えます。

 また、当社は外貨建て資産・負債の保有に伴い、為替変動の影響を受ける可能性があります。

 なお、当社は、市場変動の影響に備えるべく、安定的な財務運営を目指しています。詳細は、上記「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(4)経営環境および優先的に対処すべき課題 2 財務方針の堅持」をご参照ください。

 

(b)国際情勢や規制の動向

 当社は、日本だけでなく、米国、中国、インド、欧州・中南米諸国などの海外の国・地域に展開する企業等に投資しているため、これらの国・地域における政治・軍事・社会情勢の変化および法令・規制・制度など(以下「法令等」)の新設・強化(解釈や運用の変更を含みます。)により、当社の投資活動や投資先の事業活動が期待通りに展開できない可能性があります。法令等には、投資に関するもの以外に、AI、通信サービス、インターネット広告、イーコマース、自動運転、ロボット、ロジスティクス、金融・決済などの事業やその他の企業活動に関するもの(事業許認可、経済安全保障、輸出入、個人情報・プライバシー保護、環境、製造物責任、公正な競争、消費者保護、贈賄禁止、労務、知的財産権、マネー・ロンダリング防止、租税、為替に関するものを含みますが、これらに限りません。)が含まれ、当社の投資活動や投資先の事業活動は、これらの法令等の影響を直接または間接的に受けます。昨今、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢、米中対立の激化などを背景に、世界各国において経済安全保障の観点からの規制強化の動きも見られます。例えば、特定の国・企業に対する投資を制限する法令等の導入により、当社の投資活動が制約される可能性があるほか、投資回収の遅滞、投資回収における条件の悪化などが起こる可能性があります。また、地政学リスクの高まりによりサプライチェーンの分断が起こった場合や、貿易規制の強化により特定の製品や技術等の輸出入が制限された場合、投資先の事業や業績が悪影響を受ける可能性があります。

 加えて、当社の投資活動に関係各国の規制当局からの承認等が必要となる場合や、投資先への関与に制約が加えられる場合があります。必要な承認等が得られないなど制約を回避できない場合には、当社の期待通りに投資や売却を実行できない可能性があります。

 なお、当社は、外部のアドバイザーからの助言を受けながら、これらの外部環境の変化に関する情報収集を行い投資活動に及ぼす影響を検討するとともに、それぞれの規制に対応するよう努めています。また、投資ポートフォリオにおける特定の国・地域、業種への集中度を継続的に監視することなどにより、リスクを把握し経営判断に反映しています。

 

(c)投資先の事業展開

 当社は、AIに関連した情報・テクノロジー企業を中心に投資を行い、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指していますが、投資先のテクノロジーやビジネスモデルの陳腐化、競争環境の激化などにより、投資決定時に想定した通りに投資先が事業を展開できず、業績が大幅に悪化したり、事業計画の大幅な見直しを迫られたりする可能性があります。また、投資先が想定通りに事業を展開できない場合、当社は、投資先の株式価値の向上に必要と判断すれば、投資先に対し融資や債務保証、追加出資などを行うことがあり、その場合には、当該投資先に対するエクスポージャーが増加することになります。ただし、当社は救済のみを目的とした投資等は行わないことを基本方針としています。

 なお、当社は、投資実行後も、投資先の財務・経営情報や重要な経営指標、投資決定時の事業計画と実際の進捗の差異、コーポレート・ガバナンスの状況など、主なリスク要因を継続的に監視し、必要に応じて投資先の経営改善のための助言や、役員の派遣などを行っています。

 

(d)投資判断

 当社は、投資の意思決定において、対象企業のテクノロジー、ビジネスモデル、競争環境、財務内容、法令遵守、ガバナンスまたは重要な影響力を持つ創業者や経営者の資質などに関するリスクを見誤ったまま投資判断を下す可能性があります。特に非上場企業においては、当社が投資判断の基礎とした情報の透明性、正確性、完全性が十分ではない可能性が相対的に高くなります。

 なお、当社は、投資判断プロセスにおいて、社内関係部門による調査・検討に加え、必要に応じて外部の財務・法務・税務アドバイザーなどの協力を得ながら、対象企業の重要項目についてデュー・デリジェンスを実施し、投資に係るリスクを把握するよう努めています。それらの検討結果を踏まえて、ソフトバンクグループ㈱の取締役会、取締役会から権限を委譲された投融資委員会、またはファンド運営子会社の投資委員会で投資判断を下しています。

 

b.資金調達

 当社は、金融機関からの借入や社債のほか、保有資産を活用した資金調達(アセットバック・ファイナンス)、保有資産の売却などの多様な調達手段を活用しています。

 金融機関からの借入や社債については、金利変動や信用格付けの変更などにより調達環境が悪化した場合、資金調達を予定した時期・規模・条件で行えない可能性があります。また、これらの債務には、各種コベナンツが付されていることがあり、抵触した場合、当該債務について期限の利益を喪失する可能性があります。さらに、それに伴い、その他の債務についても一括返済を求められる可能性があります。

 アーム株式などをはじめとした上場および非上場株式を活用したアセットバック・ファイナンス(株式先渡売買契約を除きます。)については、対象となる保有株式の価値が下落した場合に、追加で現金担保の差し入れが必要となる可能性や期限前の返済義務が発生する可能性があることに加えて、新たな資金調達やリファイナンスに支障が生じる可能性があります。

 保有資産の売却による資金調達については、市場流動性の低迷、契約上の売却制限、予定していた新規株式公開の遅延などにより、必要な時期に想定した価格で売却できない可能性があります。

 なお、当社は、資金調達に係るリスクをコントロールするため、市場環境を注視した上で適切と考える時期、手法で資金調達を実施しています。特に金融機関からの借入、社債の発行やアセットバック・ファイナンスの実施にあたっては、様々なシナリオを想定した事前の検討・対応を行うことで各資金調達の安定性を高めています。こうした対応により、財務規律に基づき十分な手元流動性を維持することに努めています。

 

c.経営陣

 当社の主要な子会社はそれぞれのCEOなどの下で、投資ファンドは後述のファンド運営子会社のCEOの下で、いずれも自律的に運営を行っていますが、当社の経営において中心的な役割を担っている代表取締役 会長兼社長執行役員 孫正義に不測の事態が生じた場合には、当社の活動全般に支障が生じる可能性があります。

 このような不測の事態が発生した場合における意思決定プロセスへの影響を最小限に留めるため、コンティンジェンシープランを策定しています。また、指名報酬委員会において、サクセッションプランについても定期的に議論しています。

 

(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業

 ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF1、SVF2およびLatAmファンド、以下「SVF」)は、主にAIを活用した成長可能性が大きいと考えるテクノロジー企業への投資を目的としたファンドであり、ファンドの存続期間の中でリターンを最大化することを目指しています。ソフトバンクグループ㈱は、各投資ファンドにリミテッド・パートナーとして出資を行っており、また、各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とLatAmファンドを運営するSBGA、以下「ファンド運営子会社」)は、各投資ファンドの事業活動に応じて管理報酬、業績連動型管理報酬および成功報酬を受け取ります。

 SVFを通じた投資やその運営における主要なリスクは、以下のa~dに記載する通りです。なお、本(2)において、「投資先」はSVFの投資先を意味します。

 

a.投資先の事業展開

 多くの投資先は、AIやビッグデータなどの新技術を活用し、従来にはない新たなビジネスモデルの実現を目指しています。このような企業が、計画通りに事業を展開し、利益の獲得や強固な事業基盤の確立を果たすには様々なリスクを伴います。

 例えば、技術の開発やビジネスモデルの実現を想定通りに進められず顧客や市場に合致する商品・サービスを提供できない、スケールメリットを享受するまでの規模に至らず事業基盤の維持や技術開発に必要な費用を十分に確保できない、最新の技術を持つ他の新規参入企業や経営基盤の強固な既存企業との競争に敗れる、事業・地域の多角化への対応や経済・事業環境の変化への対応ができない、広告宣伝活動や営業人員の確保などの顧客獲得費用が計画を大幅に上回り利益を確保できない、複雑化する各国・地域のデータ保護やAI規制に対応できないまたは対応コストが増加する、などのリスクがあります。

 また、国家安全保障における先端技術の戦略的重要性は近年高まっており、米中関係の悪化などを背景として、各国における規制が強化される可能性があり、その結果投資先の事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、事業展開に必要な資金を確保するに当たり、資金調達環境などが悪化した場合には、想定通りの条件での調達ができず、事業の成長を損なう大幅なコスト削減を迫られたり、当社持ち分の希薄化を伴う資金調達を余儀なくされたりする可能性があります。

 なお、ファンド運営子会社では、投資承認プロセスや投資後の継続的なモニタリングを通じて、投資リスク部門が中心となり、これらのリスクの早期の把握と軽減に努めています。

 

b.投資におけるエグジット機会の不足

 SVFの保有株式等は流動性が低いものが多く、また、経済、法律・規制、政治などの要因による影響も受けるため、当初の計画通りに資金化できない可能性があります。さらに、契約またはその他の制約により、SVFは特定の株式等の売却を一定期間禁止される場合があり、有利な市場価格で売却する機会を逸する可能性があります。

 なお、エグジット戦略はファンド運営子会社の投資委員会において重要な検討事項となっており、慎重な議論を重ねた上で承認されます。エグジット戦略は、投資部門が継続的に見直し、更新するとともに、投資リスク部門がそれに対し様々な市場環境を想定したストレステストを実施しています。景気後退の可能性や、エグジットに時間を要する投資がありうることを想定し、SVFは存続期間が長期に設定されています。

 

c.保有する上場株式等

 SVFの投資ポートフォリオには上場株式等が含まれています。これらの資産の保有には、投資先に関する情報の開示義務の増加、当該株式等の処分におけるSVFの裁量に対する制限、投資先の役員および取締役(ファンド運営子会社の従業員である場合を含みます。)に対する投資先株主からの訴訟提起およびインサイダー取引の告発の可能性の増加、などのリスクを伴います。また、これらのリスクに対応する費用が増加する可能性があります。

 なお、ファンド運営子会社は、計画的に保有株式等を売却する仕組みを構築しており、市場への影響を最小限に抑えつつ、売却額の最大化に努めています。また、米ドルに対する為替レートが不安定な通貨建ての株式等の為替リスクをヘッジする必要性について検証しています。

 さらに、SVFが上場株式等を管理する上で発生する業務運営上のリスクやコンプライアンスリスクは、ファンド運営子会社のオペレーション、コンプライアンス、リスク管理の各部門が関与するコントロール・フレームワークを通じて管理されており、これにはポリシー、社員研修、社内通報制度、取引相手の確認などの取引承認プロセス、および取引後のモニタリングが含まれます。

 

d.人材の確保・維持

 ファンド運営子会社は、投資ファンドの保有株式価値の最大化を目的として、投資先を慎重に選定することに加え、投資後の成長を促す様々な支援を行います。このような取り組みの成功には、テクノロジーや金融市場に関する幅広い知見や投資事業の運営における専門的スキルを保有する有能な人材の確保・維持が不可欠です。有能な人材を十分に確保・維持することができない場合は、運営する投資ファンドの投資規模の維持・拡大や将来の投資成果に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、ファンド運営子会社は、投資・運用に求められる多様なノウハウを維持すべく、定期的な人事評価や組織の見直しに加え、研修や能力開発、スタッフが潜在能力を最大限に発揮できるよう行われる社内異動に至るまで、様々な人材サポートプログラムを提供しています。

 

(3)ソフトバンク事業

 ソフトバンク㈱およびその子会社(以下「ソフトバンク㈱グループ」)は、コアビジネスである通信事業に加え、「Yahoo!JAPAN」、「LINE」、「PayPay」などのサービスを提供しており、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野でビジネスを展開しています。ソフトバンク㈱グループにおける主要なリスクは、以下のa~fに記載する通りです。

 

a.市場環境の変化、他社との競合

 通信関連市場は、競争促進政策の強化や異業種からの新規参入などによって経営環境が大きく変化し、利用者からはより低廉で多様なサービスを求める動きが高まっています。これらの市場環境に対応するため、ソフトバンク㈱グループは消費者の志向に合ったサービス・商品・販売方法を導入していますが、料金プランや通話・データ通信の品質等の面で消費者の期待に沿えない場合やソフトバンク㈱グループが提供するサービス・商品に重大な瑕疵が存在した場合、既存の契約者数を維持できない可能性があります。また、法令・規制・制度などの制定、改正または解釈・適用の変更等により、ソフトバンク㈱グループが顧客に提供できるサービス・商品・販売方法および料金プラン等が実質的な制約を受け、収入の減少や金銭的負担の発生・増加が起きる可能性があります。

 ソフトバンク㈱グループの競合他社は、その資本力、サービス・商品、技術開発力、価格競争力、顧客基盤、営業力、ブランド、知名度およびこれらの総合力などにおいて、ソフトバンク㈱グループより優れている場合があります。競合他社がその優位性を現状以上に活用してサービスや商品の販売に取り組んだ場合、ソフトバンク㈱グループが価格競争を含む販売競争で劣勢に立たされ、ソフトバンク㈱グループの期待通りにサービス・商品を提供できない、顧客を維持・獲得できない、またはARPU(1契約当たりの月間平均収入)が低下することも考えられます。また、設立間もない新興企業や新規参入者のサービス・商品がソフトバンク㈱グループのサービス・商品に対する競合となる可能性、またはソフトバンク㈱グループが競争優位性を発揮するための新規サービス・商品の開発に費用がかかる可能性があります。

 ソフトバンク㈱グループは、重複する経営資源の効率化、意思決定の迅速化や事業間におけるより大きなシナジーの創出などを目的として、ソフトバンク㈱グループ内部において再編を行う場合があります。しかし、期待した再編の効果を十分に発揮できない場合、展開するサービスの連携の不調・遅れ、戦略やシナジーへの悪影響、再編に伴う混乱などの問題が発生する可能性があります。

 

b.技術・ビジネスモデルへの対応

 ソフトバンク㈱グループは、技術やビジネスモデルの移り変わりが早い情報産業を主な事業領域としています。特に生成AIの分野の発展は目覚ましく、既存のビジネスモデルに大きな影響を与えています。ソフトバンク㈱グループは、常に、最新の技術動向や市場動向の調査、技術的優位性の高いサービスの導入に向けた実証実験、および他社とのアライアンスの検討などの施策を講じていますが、新たな技術への対応が想定通りの時間軸に沿って進むこと、想定通りの効果を上げること、共通の基準や仕様が確立すること、および商用性を持つようになることについての保証はなく、また、これらの施策を行ったとしても、新たな技術やビジネスモデルの出現を含む市場環境の変化にソフトバンク㈱グループが適時かつ適切に対応できず、または迅速かつ効率的に設備を配備できないことにより、市場変化に適した優れたサービス、技術やビジネスモデルを創出または導入できない可能性があります。その場合、ソフトバンク㈱グループのサービスが市場での競争力を失い、ソフトバンク㈱グループが維持・獲得できる契約数が抑制される、またはARPUが低下する可能性があります。

 

c.情報の流出や不適切な取扱いおよびソフトバンク㈱グループの提供する商品やサービスの不適切な利用

 ソフトバンク㈱グループは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っています。ソフトバンク㈱グループは、情報セキュリティ管理責任者の設置や役職員へのセキュリティ教育・訓練をはじめ、適切に情報資産を保護・管理するための体制構築を図っていますが、ソフトバンク㈱グループ(役職員や委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失などが発生する可能性があります。

 また、ソフトバンク㈱グループの提供する商品やサービスが詐欺等の犯罪等に不正に利用された場合、ソフトバンク㈱グループの信用および信頼の低下を招く可能性があります。

 こうした事態が生じた場合、ソフトバンク㈱グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力の低下や、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生する可能性があります。

 なお、LINEヤフー㈱については、2023年10月1日付でZホールディングス㈱を存続会社とし、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱を中心としたグループ内再編に関する手続きが完了し、Zホールディングス㈱からLINEヤフー㈱に商号変更されました。LINEヤフー㈱においては、LINEヤフー㈱のグループ会社全体のデータガバナンスが円滑かつ適切に機能するよう体制を整え、その強化に取り組んでいます。今後もこうした取り組みを継続していきますが、係る対策やガバナンス強化の施策が有効に機能しないことによる当局からソフトバンク㈱グループへの行政処分、ソフトバンク㈱グループの信用の毀損、ソフトバンク㈱グループのサービスへの需要の減少、追加の対策の策定・実施、また、データの漏洩などが発生する可能性があります。

 また、LINEヤフー㈱は、同社が2023年11月27日に公表した不正アクセスの事案に関し、総務省および個人情報保護委員会へ報告を行い、2024年3月5日および4月16日に総務省より行政指導を、同年3月28日に個人情報保護委員会より勧告および報告等の求めを受けました。現在、LINEヤフー㈱はこれらの行政指導および勧告を踏まえた対応等を進めており、総務省に対しては2024年4月1日に再発防止等に向けた取組に関する報告書、個人情報保護委員会に対しては同年4月26日に再発防止策の実施状況等をまとめた報告書を提出し、対応を進めています。しかし、LINEヤフー㈱およびソフトバンク㈱の取り組みが適切ではない、または十分ではないと判断された場合、ソフトバンク㈱グループの信用の毀損、ソフトバンク㈱グループのサービスへの需要の減少等により、ソフトバンク㈱グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

d.業務の委託

 ソフトバンク㈱グループは、提供する各種サービス・商品に係る販売、顧客の維持・獲得、通信ネットワークの構築およびメンテナンス、ならびにそれらに付随する業務の全部または一部について、他社に委託しているほか、情報検索サービスにおいて他社の検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムを利用しています。ソフトバンク㈱グループは、サプライチェーン上のリスクの低減に努めていますが、業務委託先(役職員や関係者を含みます。)がソフトバンク㈱グループの期待通りに業務を行うことができない場合や、顧客に関する情報の不正取得や人権侵害等に関連する問題を起こした場合、ソフトバンク㈱グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 また、上述のような事象により当該業務委託先の信頼性や企業イメージが低下した場合には、ソフトバンク㈱グループの信頼性や企業イメージも低下し、事業展開や顧客の維持・獲得に影響を及ぼす可能性があります。このほか、当該業務委託先において法令などに違反する行為があった場合、ソフトバンク㈱グループが監督官庁から警告・指導を受けるなど監督責任を追及される可能性があるほか、ソフトバンク㈱グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。

 

e.関連システムの障害などによるサービスの中断・品質低下

 ソフトバンク㈱グループでは、通信ネットワークや顧客向けのシステム、「Yahoo!JAPAN」、「LINE」、「PayPay」をはじめとする各種サービスを提供しています。これらサービスにおいて、人為的なミスや設備・システム上の問題(自然災害など予測困難な事情に起因するものも含みます。)、第三者によるサイバー攻撃、ハッキングその他不正アクセスなどに起因して各種サービスを継続的に提供できなくなること、または各種サービスの品質が低下することなどの重大なトラブルが発生する可能性があります。ソフトバンク㈱グループは、ネットワークを冗長化するとともに、障害やその他事故が発生した場合に備え、復旧手順を明確にしています。また、障害やその他事故が発生した場合、規模に応じて事故対策本部を設置するなど、適切な体制を構築して復旧に当たっています。これらの対策にもかかわらず、サービスの中断や品質低下を回避できず、サービスの中断・品質低下による影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。

 

f.経済安全保障

 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(以下「経済安全保障推進法」)に基づき、2023年11月16日にソフトバンク㈱およびLINEヤフー㈱は電気通信事業における特定社会基盤事業者(基幹インフラ事業者)に指定されました。2024年5月17日から本制度の規律が適用されていますが、ソフトバンク㈱またはLINEヤフー㈱が経済安全保障推進法が定める国による審査に適切に対応できなかった場合、当局からのソフトバンク㈱またはLINEヤフー㈱に対する事業の是正や中止の勧告、命令等の行政措置、それに伴う事業の一時停止、遅延、追加の設備投資ならびに追加の対策やコスト、ソフトバンク㈱グループの信用の毀損が生じる可能性があります。

 

(4)アーム事業

 アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。ライセンスを供与された半導体企業により設計されるアームベースのチップは、デバイスメーカーによってスマートフォン、デジタルテレビ、車用電子部品の最終製品に組み込まれます。アームの収益は、主に、アームのテクノロジーのライセンス収入およびライセンス先の企業がアームのテクノロジーを含むチップを販売することにより生じるロイヤルティー収入からなります。アームの事業における主要なリスクは、以下のa~jに記載する通りです。

 

a.業界動向の変化

 アームの技術やサービスに対する需要は、変化と競争の激しい半導体およびエレクトロニクス産業の動向に大きく依存しています。また、アームのライセンス収入も、半導体企業およびデバイスメーカーがアームの新しい製品を採用する頻度に大きく依存しているため、これらの企業の製品に対する需要の影響を受けます。デバイスメーカーによる、アームベースのチップへの需要の減少は、アームのロイヤルティー収入に悪影響を及ぼします。

 アームの成功は、その製品およびサービスが、半導体企業やデバイスメーカーに受け入れられるかどうかに大きく依存しています。市場には競合するアーキテクチャーがあり、アームの製品が市場で引き続き受け入れられる保証はありません。

 また、半導体およびエレクトロニクス産業はますます複雑化し、設計および製造コストは増加の傾向にあります。そのため、アームの顧客の多くは、設計自動化ツール(EDA)や設計した半導体の製造にサードパーティを利用しています。アームはこれらのサードパーティと緊密に連携し、自社の技術とサードパーティのEDAや製造プロセスの互換性を確保しています。しかしながら、互換性の確保が適切に行われなかった場合や、EDAや半導体設計に関する情報へのアクセスが妨げられた場合、アームの製品に対する需要が減少する可能性があります。

 なお、これらのリスクを軽減するために、アームの経営陣は定期的に戦略と長期の製品開発計画を見直し、将来のニーズを満たす製品の開発に努めています。また、半導体やエレクトロニクス業界の多くの顧客や企業と連携することで、状況の変化を察知し、適切な対応を図る体制を整えています。

 

b.競合

 アームは、他社との競争に加え、設計および製造技術の進歩、エンドユーザーのニーズや業界標準の変化、頻繁な新製品の導入など、変化の激しい事業環境に晒されています。x86のような確立された技術や、RISC-Vのようなオープンソースの技術など、既存および新規の市場参加者との競合が今後も継続すると予想されます。

 アームの競合他社が、開発・広告宣伝・販売により多くの経営資源を投入することで、価格、顧客対応、性能、品質の面でより優れた製品・サービスを提供した場合、アームは競争上の優位性を確保するため、相当規模の経営資源の投資が必要となる可能性があります。また、競争力を維持するため、アームは、顧客の要望や市場機会に対応し、既存の製品・サービスの強化や、新しい製品・サービスの創造、開発を継続することが不可欠です。これらの競争上の課題を予測または対応することができない場合、アームの優位性が損なわれる可能性があります。

 なお、アームは、主要な半導体企業と密接に連携し、リスクの軽減に努めています。アームは、アームベースのチップの構築や適合するソフトウエア開発の知識を持つ多くのエンジニアからなるエコシステムを確立しており、それに投資することで、様々なアームベースのチップの開発・維持コストのさらなる削減に努めています。

 

c.顧客の集中

 アームの収益の大部分は少数の主要顧客に依存しており、これらの主要顧客の事業の動向に影響を受ける可能性があります。

 なお、アームは、毎年複数のプロセッサーを開発することで、特定の顧客がアーム製品の導入を見送った場合の影響の軽減に努めています。

 

d.世界市場の細分化

 アーム製品が属する世界市場は、地政学的影響を受けることがあります。地政学的要因や政治的対立によって、世界共通のアーキテクチャーの役割が低下し、国・地域特有の製品への需要が増加し、世界の半導体市場の細分化が起きる可能性があります。これは地域ごとの多様な製品をサポートするための費用の増加や、アーム製品を使用しなくなった地域における収益の減少、新規市場における将来のライセンス収入の機会損失につながる可能性があります。

 なお、アームは、規制当局に対する働きかけや、将来の顧客ニーズに即した製品開発を行うために戦略の見直しを行うことで、これらのリスクの軽減に努めています。

 

e.中国への依存

 アームは、収益の一定部分を中国の半導体企業およびOEM、ならびに中国に半導体や最終製品を輸出する半導体企業およびOEMから得ています。アームにおける中国関連市場での収益の維持が困難になる場合、中国における新規および既存の市場へのアクセスが閉ざされる場合、新規事業での成長の遅れまたは中国における市場シェアが低下する場合には、アームの業績や競争力に悪影響を与える可能性があります。

 中国は半導体産業の収益のうち重要な部分を占めています。しかし、貿易や国家安全保障政策、債務残高の継続的な増加などにより中国経済は不確実性が高く、中国の半導体産業および関連産業の短期的な成長見通しは、不透明な状況にあります。このような状況が長期化する場合、アームに悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、米国および中国政府による保護貿易政策や国家安全保障政策を含む政治的措置により、アームの中国でのビジネスおよび中国の顧客やサプライヤーとの取引は現在すでに一定の制約に服していますが、今後も取引が制約される、または禁止される可能性があります。

 なお、これらのリスクを軽減するために、アームは、米中における政策の動向を的確かつ迅速に把握することに努めています。また、アーム・チャイナ(注2)における収益見通しやライセンス契約を定期的にレビューすることで、中国市場の動向をモニタリングするとともに、その対応に努めています。

 

(注2) アーム・チャイナは、当社の子会社と中国投資家による合弁会社です。アームはこの会社を通じて中国市場にアクセスしています。

 

f.ビジネスモデルの変更

 アームは、過去にビジネスモデルを変更したことがあり、今後も変更する可能性があります。これらの変更が顧客に受け入れられる保証はありません。そのような場合、アームは想定した金額や時期で収益を得られない、または全く収益を得られない可能性があります。

 また、ビジネスモデルの変更後において、契約の数や金額の増加が従来と同じようには、または全く実現せず、期待通りの収益が得られない可能性があります。さらに、新しいビジネスモデルの導入は、顧客にとってアームの製品の魅力を低減させてしまうなど、想定通りの結果を得られない可能性があります。

 加えて、アームは、市場参加者の採用する次世代技術が事業へ与える影響を積極的に検討しており、新規市場の開拓や、既存および潜在顧客向けの新たなソリューションの開発を行うことがあります。新製品の実現可能性を検討するため、アームは経営資源を配分し、エコシステムにおける関係各社との対話を継続しています。新製品には、アームのIPだけでなく、コンピュート・サブシステム、チップレット、およびエンド・チップ・ソリューションなど、IP設計を超えたソリューションも含まれます。アームが新規市場への参入や新たなソリューションの提供をする場合、その事業が想定した通りに成果を上げられない可能性があるほか、アームが既存の顧客と競合した場合、その顧客は代替アーキテクチャーや競合他社の製品を使用する可能性があります。

 なお、これらのリスクを軽減するため、アームは新しいビジネスモデルに関して、顧客と十分な議論を行うなど、広範な検討を実施し、リスクの特定と対応に努めています。

 

g.所有する知的財産権の保護

 アームの事業の成功には、その知的財産権の保護が不可欠です。アームは、その保護に当たり、主に特許権・著作権・企業秘密・商標関連の法律や、従業員との機密保持契約、ならびに顧客などの関係者とのライセンス契約に依拠していますが、知的財産権を保護するためのアームの措置が不十分である可能性があります。加えて、アームが希望する特許権を取得できない、または特定の法域においては、アームが保持する知的財産に関する契約上の権利などが制限される可能性があります。アームがこれらに関連する法律や規制に適切に対応できない場合、および関連する法域において知的財産権や契約上の権利を行使できない場合、アームの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、特許権およびその他の知的財産権を行使するために、訴訟が必要となる場合があります。そのような訴訟は巨額の費用が必要となる、または経営陣やエンジニアの通常業務に支障をきたす可能性があります。

 一例として、アームは、Qualcomm, Inc.およびQualcomm Technologies, Inc.(両者を含めて“Qualcomm”)、Nuvia, Inc.との係争中の訴訟に関与しています。このような訴訟の結果や、それによる現在主要顧客であるQualcommとの関係への影響は不透明です。さらに、アームによる訴訟への関与が、業界、Qualcommやその他の顧客などとの関係において風評被害が生じる可能性があります。

 なお、アームは、関連法域における特許権、訴訟、係争事案の動向を注意深く監視することにより、これらのリスクの軽減に努めています。

 

h.知的財産権の侵害

 アームは、第三者により知的財産権の侵害、濫用などを主張されたことがあり、今後も同様の主張がなされる可能性があります。そのような法的主張を受けた場合、顧客との契約に基づき、顧客に対する補償を行わなければならないことがあります。さらに、そのような法的主張により、高額かつ長期にわたる訴訟、ロイヤルティーまたはライセンス契約の締結、損害賠償または販売差止、特許の無効化、顧客からのライセンス料の返還または支払い免除の要求、製品の設計やブランドの変更が必要となる、などのさまざまなリスクを伴います。

 なお、アームは、第三者に帰属する知的財産権を使用せずに製品を設計・実装することで(ライセンス契約による恩恵があり、かつ厳密に管理された手順に沿って使用する場合を除きます)、これらのリスクを軽減しています。

 

i.ブランドと評判

 アームのブランドと評判を維持することは、顧客、従業員、政府、サプライヤー、およびその他のステークホルダーとの関係において不可欠です。アームのブランドと評判は、非倫理的行動や不正、製品の品質、不適切利用および安全性、法令または契約違反、内部統制の失敗、コーポレート・ガバナンスの不備、セキュリティインシデント、労働災害、環境問題、違法または不適切な用途への技術の使用、営業手法、サプライヤーの行為などにより影響を受ける可能性があります。また、AIや機械学習に関連して、アームの取組みやアームの技術が用いられた製品の使用への懸念が生じた場合も、アームの評判は影響を受ける可能性があります。これらの危機や脅威に迅速かつ効果的に対応できなかった場合、社会的な批判によりアームのブランドと評判が大きく棄損する可能性があります。また、アーム・チャイナなどの第三者の行為の責任がアームに転嫁された場合も、アームのブランドや評判が損なわれる可能性があります。

 なお、アームは、製品の欠陥やバグのリスクを低減するために、厳格な品質保証と検証プロセスを実施しています。加えて、顧客などからのフィードバックを定期的に収集し、アームの製品や行動に対する認識の変化を把握し、評価の低下に対して早期の対応を図る体制を維持することで、これらのリスクの軽減に努めています。

 

j.輸出規制と貿易障壁

 アームの本社は英国にあり、現時点において、米国、中国、インド、韓国、日本、台湾、および欧州を含む世界中の国や地域で事業を展開しています。これらの国際的な事業活動は、政治・経済・金融情勢や、法律・規制環境の変化による様々な影響を受けます。

 各国政府による輸出入規制により、様々な負担や製品のライセンス提供の制限を伴う可能性があります。米国商務省が、他国の製品に対する輸出規制の適用範囲を拡大した場合、より多くのアームの製品が米国の輸出管理の対象となる可能性があります。さらに、米国政府がアームの顧客や取引先が拠点とする国・地域を対象としたより広範な経済制裁を導入した場合には、特定の国や組織に対する製品のライセンス提供に制約が生じる可能性があります。

 アーム、またはその顧客が関与する国々の貿易における関係性は近年不安定であり、特に米国政府はアームの一部の取引先へ輸出規制を課しています。これら国々の規制は追加の費用負担や、重要市場での収益減少につながる可能性があります。

 なお、アームは、米国、英国、EUの輸出管理当局と強い関係を維持し、政策や規制の動向を監視することで、これらのリスクの軽減に努めています。

 

(5)その他

a.法令遵守

 当社は、各国の法令等の下で投資活動を行っています。当社や投資先(役職員を含みます。)が法令等に違反する行為を行った場合、違反の認識の有無にかかわらず、行政処分や法的措置の対象となる可能性があります。その結果、当社および投資先の信頼性や企業イメージの低下、取引先による契約解除、金銭的負担が発生する可能性があります。また、当社および投資先が活動を行う国・地域において、租税法令またはその解釈・運用が新たに導入・変更された場合や、税務当局との見解の相違により追加の税負担が生じる可能性があります。

 なお、当社では、法令の遵守にとどまらず、高い倫理観に基づいた企業活動を行うため、全ての役職員に適用される「ソフトバンクグループ行動規範」を定めるとともに、グループコンプライアンス体制の強化や研修など役職員の知識や意識向上を促す取り組みを行っています。また、法令等の新設・改正に関しては、法務部門が外部のアドバイザーからの助言を受けながら情報収集などを行っています。

 

b.知的財産権

 ソフトバンクグループ㈱が保有する「ソフトバンク」ブランドが第三者により侵害された場合、ソフトバンクグループ㈱および「ソフトバンク」ブランドを使用する子会社の企業イメージや信頼性が低下する可能性があります。また、子会社および投資先が保有する知的財産権が第三者により侵害された場合、同社の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、当社または投資先が意図せずに第三者の知的財産権を侵害した場合、権利侵害の差止めや損害賠償、ライセンス使用料の請求などを受ける可能性があります。

 なお、事業の持続的成長を支えるソフトバンクグループ㈱のブランドの重要性に鑑み、商標権を国内外で戦略的に確保する取り組みを行うとともに、子会社の知的財産活動・戦略の評価や子会社との知的財産に関する連携等を行い、持株会社としてグループ全体の知的財産保護・活用も目指しています。

 

c.訴訟

 当社は、株主、投資先、取引先、従業員(投資先の現在および過去の株主・従業員を含みます。)を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、当社の投資活動に支障が生じたり、企業イメージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担が発生する可能性があります。

 

d.サステナビリティ

 当社はサステナビリティに対し、本質的な取り組みを率先して実行することが重要であると考えています。しかし、当社のサステナビリティに関する取り組みが、投資家をはじめとした社内外のステークホルダーの期待から大きく乖離した場合、例えば、サステナビリティの要素が当社のガバナンス体制や経営戦略に十分に組み込まれていない、またはサステナビリティに関する重要課題として特定しているもののうち、特に優先度の高い「責任あるAI」、「気候変動」および「人的資本」への取り組みが不十分な場合、投資活動および資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、投資先のサステナビリティに関するリスクおよび機会を十分に把握できない場合は、当社が想定した通りに投資先が事業を展開できない可能性があります。さらに、当社の投資活動や投資先の事業活動に対するサステナビリティ関連規制が強化された場合は、投資スピードの鈍化や対応コストの増加が生じる可能性もあります。

 なお、ソフトバンクグループ㈱は、取締役会で任命されたチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSusO)を委員長とするサステナビリティ委員会において、取り組むべきサステナビリティに関する課題や対応方針等を継続的に議論するとともに、サステナビリティに関わる対応および情報開示を強化しています。投資活動では、各投資エンティティにおいて、投資先のサステナビリティに関するリスクおよび機会を分析し、総合的な投資評価を行っています。

 

e.情報セキュリティ

 昨今の国際情勢を受け世界中でサイバー攻撃の脅威が高まる中、当社および投資先においてサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスや内部不正を完全に防止できなかった場合、情報の漏えい、改ざん、消失またはその他の情報セキュリティ事故が発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、当社および投資先の信頼性や企業イメージが低下したり、事業活動に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭的損失やこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。

 なお、当社は、ソフトバンクグループ㈱の取締役会で任命された最高情報セキュリティ責任者であるチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー(CISO)の下、情報セキュリティを脅かす脆弱性などのリスク要因を特定し、リスクに応じた組織的、物理的、技術的および人的な情報セキュリティ対策を実施することで、情報資産の保護に努めています。

 

第3【参照書類を縦覧に供している場所】

ソフトバンクグループ株式会社 本店

(東京都港区海岸一丁目7番1号)

株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

 

第四部【保証会社等の情報】

 該当事項なし