当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来一貫してファッションを通じ、美しく豊かな生活文化を創造し、社会の発展に貢献することを基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは紳士服・婦人服及び装飾品の製造販売を収益源とし、営業利益の拡大を目指して売上総利益率、販売費及び一般管理費率及び営業利益率を重視しております。さらに、株主持分に対する投資収益の向上を目指して、ROE(自己資本利益率)を重視しております。また、株主還元の向上を目指して、DOE(株主資本配当率)を重視しております。
(3)経営環境
足元の経営環境については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。また、今後の見通しにつきましては、円安や資源価格高騰の影響は引き続き受けるものの、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられ、緩やかな回復基調が続くものと予想しております。旺盛なインバウンド需要に加え、今後、賃金上昇が加速する中で所得から支出への前向きな循環メカニズムが経済全体で強まることにより、国内経済が徐々に活性化することも期待されます。
2025年2月期につきましては中期経営計画(2023年2月期 ~2025年2月期)の最終年度として中期経営計画の最終仕上げを果たすべく2025年2月期計画の必達を目指すとともに、次期中期経営計画での更なる飛躍を期し、重点課題として「商品力」と「販売力」の抜本強化に取り組みます。2025年2月期通期連結業績予想につきましては、売上高625億円、営業利益33億円、経常利益34億円、親会社株主に帰属する当期純利益31億円といたします。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
<中期経営計画(2023年2月期~2025年2月期)の進捗状況>
中期経営計画の概要、及び進捗状況は以下のとおりです。
Mission(=経営理念) ファッションを通じ、美しく豊かな生活文化を創造し、社会の発展に貢献する Vision 高い価値創造力と強靭な収益力を併せ持った、またサステナブルな社会の実現に 貢献することができる、エクセレント・カンパニーを目指す Values 高品質・高品位・高付加価値商品を生み出すスキル 優良なブランドポートフォリオとブランドビジネス遂行能力 クリエイティブでかつ高い倫理観を持った社員 優れた統治能力を持った経営者及び経営体制 |
① 中期経営計画(2023年2月期~2025年2月期)の全体像
構造改革の推進による確固たる収益基盤の構築と、会社を成長軌道に乗せるための施策として、ブランド戦略、チャネル戦略、マーケティング戦略、EC戦略を掲げております。
② 構造改革の進捗状況
イ.粗利率改善のための施策
2024年2月期は主要仕入先との取り組み強化によるSCM最適化、仕入プール運用による過剰仕入の抑制、売れ筋商材のQR対応、MDサイクル短期化等に取り組み、売上総利益率は前期差0.2ポイント改善し62.2%となりました。2025年2月期は、調達原価率抑制、インベントリーコントロール強化、プロパー販売比率改善に継続して取り組むことにより中期経営計画に掲げる63.0%を達成してまいります。
ロ.販売費及び一般管理費のコントロール
2024年2月期は売上連動の販売手数料増加、売上拡大に資する店舗/システム/宣伝販促/人材への投資を強化しつつ固定性経費は抑制基調を継続し、販売費及び一般管理費率は前期差0.9ポイント改善し57.2%となりました。2025年2月期は売上拡大に伴う変動費増加、成長戦略加速のための投資、社員還元の抜本強化を盛り込み、販売費及び一般管理費は361億円、販売費及び一般管理費率は57.8%を計画しております。
③ 成長戦略の進捗状況
イ.ブランド戦略
7つの基幹ブランドは2024年2月期においても全ブランドが営業黒字を達成し、収益力を備えた安定したブランドポートフォリオを構築しております。ブランディング強化及び事業拡大に向けた積極投資と顧客戦略の推進により、各基幹ブランドの売上高100億円体制を早期に構築することで、確固たる事業・収益基盤の確立を目指しております。
ロ.チャネル戦略
主力販路である百貨店は、ブランド複合展開による人員体制見直し、在庫適正化に取り組み、店舗効率の改善を図るとともに、都心型有力百貨店への出店や主力店舗の環境改善を進めております。
直営店、アウトレットは2024年2月期の訪日客増加に伴い、インバウンド売上が拡大し売上を牽引いたしました。2025年2月期においても有力施設への出店等により継続的な拡大を計画しています。ECは2024年2月期にサイトリニューアルを実施し、新規ユーザーの獲得、プロパー販売強化に取り組んでおります。
ハ.EC戦略
2024年2月期にサイトリニューアルにより機能、サービスを拡充いたしました。2025年2月期にはOMO(オンラインとオフラインの融合)の更なる推進により、ECと実店舗の相互補完体制を確立することでEC売上高87億円を目指してまいります。
ニ.商品力と販売力の強化
全社横断の商品開発委員会を軸に、商品の「イノベーション」と「グレードアップ」を図り、商品力を強化してまいります。また、会員プログラムの見直しと会員向けプロモーション強化を通じて、アクティブ会員のランクアップや休眠会員のアクティブ化に取り組み、上位顧客へのアプローチを強化してまいります。
④ 資本戦略
中期経営計画、及び2023年10月6日に公表いたしました「PBR改善計画」に則り、成長投資、社員還元、株主還元の強化を実施し、強固な財務基盤を確立してまいります。収益力拡大による資本の積み上げ、及び配当水準の段階的向上により、株主資本コストを上回るROE(自己資本利益率)達成を中長期目標に掲げ、2025年2月期にはROE7.5%、DOE4%の配当実施を計画しております。
(1)サステナビリティ全般
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する記載事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関する課題に対応するため、経営会議直下にサステナビリティ委員会を設置し、当社グループが直面する環境、社会面の課題に対する実行計画策定、進捗のモニタリングを実施しております。
サステナビリティ委員会は専務執行役員経営統轄本部長が委員長、主要部門の部門長が委員を務め、常勤監査役が常時陪席し、サステナビリティ推進室が事務局を担当しております。委員会における協議事項は経営会議にて決定・承認すると共に、定期的に取締役会へ報告することで取締役会の監督が適切に行われる体制を整備しております。
2024年2月期は委員会を11回開催し、経営会議に10回、取締役会/取締役説明会に7回報告いたしました。
当社グループは2024年1月に、サステナビリティ基本方針、環境方針、人権方針、人的資本方針等のサステナビリティ関連方針を新たに策定いたしました。今後はこれらの方針に則り、取り組みを推進してまいります。
② 戦略
地球温暖化による気候変動に加え、人権問題など責任ある調達や循環型社会の実現、人的資本経営への転換など、特にファッション産業が抱える環境・社会課題は多岐に亘っております。当社グループもこうした課題解決の一翼を担うべく、2023年3月に「持続可能な地球環境への貢献」、「サーキュラーエコノミーへの取り組み」、「CSR調達の更なる推進」、「多様性の尊重と働きがいのある職場づくり」の4つのマテリアリティを特定し公表いたしました。そしてこれら4つのマテリアリティそれぞれに定量目標を設定し、その達成に向けた個別アクションプランを推進中であります。
アクションプランの推進にあたっては、従業員一人ひとりが自らの課題として取り組むと共に、サプライチェーン全体における大きな課題については、パートナーシップを深化させて協働してまいります。
イ.気候変動
当社グループはマテリアリティに「持続可能な地球環境への貢献」を掲げ、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減を通して気候変動対策に取り組み、TCFD 提言に沿った情報開示を行っております。
GHG(温室効果ガス)排出量削減については、Scope1・2排出量を2030年度までに2019年度比で50%削減、2050年度までにネットゼロ、Scope3排出量を2030年度までに2019年度比で30%削減と目標を定め、目標達成の施策として、在庫削減/仕入管理による廃棄削減、環境配慮型素材への段階的な置き換え、サプライチェーン全体での取り組みを推進しております。
サステナビリティ委員会においては、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である1.5℃シナリオと4℃シナリオを想定し当社グループの事業及び財務に及ぼす影響を分析し、対応策を検討しております。特定されたリスク、機会は今後の経営戦略に反映すると共に、今後の環境変化に応じて定期的に分析・見直ししてまいります。
ロ.資源循環
当社グループはマテリアリティに「サーキュラーエコノミーへの取り組み」を掲げ、長くご愛用いただける良質な製品づくりを基盤に、循環型社会の実現を目指します。
これまでのリサイクルを前提とした衣料回収活動を見直し、新たな取り組みとして、当社グループらしいリユース事業の実現に向けて準備を進めており、循環型社会への貢献と持続可能なビジネスモデルの両立にチャレンジする所存です。
また、環境負荷の低い物流を目指して、CO2排出量・資源使用量・廃棄物量の削減を図るべく、物流過程におけるプラスチックのリデュース・リユース・リサイクルを推進し、プラスチックの使用削減、マテリアルリサイクルに取り組んでおります。
ハ.人権
当社グループはマテリアリティに「CSR調達の更なる推進」を掲げ、パートナーシップを通じて、サプライチェーン全体における人権への配慮、格差・差別の解消に取り組んでまいります。
生産過程における人権の尊重については、2019年に三陽商会取引行動規範(SANYO Code of Conduct)基本ガイドラインを定め、これに則り生産数の約9割をカバーする取引工場を対象に第三者機関における工場監査を実施し、監査実績に応じたランク付けと改善指導によるCSR調達を行っております。
2023年10月に当社グループの人権デュー・ディリジェンスへの取り組みの一つとして、「繊維産業における責任ある企業行動実施宣言」を表明し、当社製品の製造に関与する外国人技能実習生を含む全ての労働者の人権を尊重することを宣言しております。
ニ.人的資本
人的資本課題の「戦略」については、「(2)人的資本 ② 戦略」に詳細を記載しております。
③ リスク管理
当社グループの総合的なリスク管理体制のもとで、定期的に管理しております。
リスク管理の中核となる役割を担う責任者としてコンプライアンス委員会委員長を任命し、当委員長の下に、コンプライアンス委員会を設置しております。当委員会は四半期毎に開催し、認識された当社グループの各種リスクに関する懸念事項を共有すると共に、必要に応じて外部有識者を招いての講習会を開催するなど、適宜問題の解決に取り組んでおります。サステナビリティに関わるリスク及び機会については、サステナビリティ委員会を通じて定期的に分析、実行計画を策定し、経営会議、取締役会に報告しております。
自然災害に起因する物理リスク(急性リスク)への対応については、代表取締役社長直轄の危機管理委員会においてBCP策定をはじめとする事業継続マネジメントを実行する体制を整備しております。
常勤監査役は、取締役会及び各委員会に出席することで、リスク管理が適正に行われていることをモニタリングしております。
④ 指標と目標
当社グループは、上記「② 戦略」において記載したマテリアリティ「持続可能な地球環境への貢献」、「サーキュラーエコノミーへの取り組み」、「CSR調達の更なる推進」、「多様性の尊重と働きがいのある職場づくり」について、以下のとおり定量目標を設定し、進捗管理を行っております。
イ. 気候変動「持続可能な地球環境への貢献」
活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2024年2月期 |
温室効果ガス 排出量の削減 |
Scope1・2排出量削減(2019年度比) |
50%削減 |
2030 |
Scope1・2排出量: 26%削減※ |
ネットゼロ |
2050 |
|||
Scope3排出量削減 (2019年度比) |
30%削減 |
2030 |
Scope3排出量: 38%削減※ |
|
プラスチック 使用削減 |
紙製ショッパー環境配慮型資材使用 |
100%切替 |
2030 |
96.8% |
雨用ビニルカバーゼロ化 |
ゼロ化 |
2030 |
639kg |
|
環境配慮型素材を使用した製品づくり |
全生産数量における環境配慮型素材使用率 |
30% |
2030 |
19.4% |
※ Scope1・2排出量削減及びScope3排出量削減については、有価証券報告書提出日現在の見込値であります。
ロ.資源循環「サーキュラーエコノミーへの取り組み」
活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2024年2月期 |
グリーン物流 |
ハンガーカバー、ニットカットソー用包装プラスチックのマテリアルリサイクル率 |
50% |
2030 |
11.5% |
ハ.人権「CSR調達の更なる推進」
活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2024年2月期 |
CSR調達 |
CSR工場監査 Aランク工場比率 |
90%以上 |
2030 |
84.9% |
ニ.人的資本「多様性の尊重と働きがいのある職場づくり」
活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2024年2月期 |
従業員の 健康管理 |
定期健康診断受診率 |
95% |
2026 |
93.0%※ |
ストレスチェック受検率 |
95% |
2026 |
92.7% |
※ 定期健康診断受診率については、有価証券報告書提出日現在の見込値であります。
人的資本の人材育成及び社内環境整備に関する「指標と目標」については、「(2)人的資本 ④ 指標と目標」に詳細を記載しております。
(2)人的資本
当社グループは人的資本の強化が企業価値向上のための重要な課題であると認識し、マテリアリティに「多様性の尊重と働きがいのある職場づくり」を掲げ、多様なバックグラウンドを有する従業員の能力の最大化を支援し、それぞれが活躍できる環境を整備してまいります。
① ガバナンス
当社グループは、経営会議直轄の「人的資本プロジェクト(以下PJ)」において、人的資本投資に関わる実行計画策定、進捗のモニタリングを実施しております。PJは2023年9月に発足、常務執行役員人事総務統轄本部長が責任者を務め、人事部、経営統轄本部のメンバーで構成されております。PJにおける協議事項は経営会議にて決定・承認すると共に、定期的に取締役会へ報告することで、取締役会による監督が適切に行われる体制を整備しております。
② 戦略
当社グループは、経営戦略と連動し、以下のとおり人的資本に関する基本方針を策定しております。
イ.人的資本方針
三陽商会は、プロフェッショナル人材の育成と人事インフラ整備を通じた個の能力の最大化、及び多様な知識と経験を持つ個の融合により、組織力向上に取り組みます。
ロ.人材育成方針
当社は、持続的成長に必要な人材を「アパレルビジネスのプロフェッショナル」「バックオフィスのプロフェッショナル」「IT/DX人材」と定義し、社会の変化に敏感に対応して事業の成長と発展を担う人材を採用・育成すること及び、そのノウハウを継承することに取り組みます。
a.アパレルビジネスのプロフェッショナル
新卒総合職においては20-30代で幅広い業務・ ブランドを経験し、ブランド価値を高めるビジネス運営を担う人材に育成します。専門職、販売職においては技術力、商品力、販売サービス力を磨き、これらを共有する環境を整備することにより、将来にわたりノウハウを継承します。
b.バックオフィスのプロフェッショナル
バックオフィス領域に精通した従業員によるプロフェッショナル集団を組成すべく、経験者採用を強化します。また、総合職社員育成の観点から、業務上必要となる資格取得支援や、若手総合職社員のバックオフィス部門への配置、事業部門とのジョブローテーションを行います。
c.IT/DX人材
部門/世代の隔てなく必要なIT/DXスキルを習得するために、全社員向けの研修プログラムを開発し、全対象社員の受講を促します。また、IT/DX関連業務について安定的な組織運営を行うべく、シニア世代社員の学び直しやIT/DX関連部署への配置転換に取り組みます。
ハ.社内環境整備方針
当社は、適材適所の人員配置、働きがいのある制度の整備、企業風土の醸成、自発的な学びの機会の提供等を通じて、従業員のエンゲージメント向上と組織力強化に取り組みます。
a.人員構成、人材配置の適正化
人材育成と組織運営の両面の観点から、プロアクティブなジョブローテーションと多様な背景を有する人材の補充を行い、事業活動に必要な組織定数を踏まえ、全社最適の人材ポートフォリオを整備します。
b.ダイバーシティ&インクルージョンの推進
多様な経験と価値観を有する従業員が互いに尊重し、時間や場所にとらわれず、働くことのできる職場環境を整備し、企業風土を醸成します。
c.従業員の学び直し
従業員へ自発的な学び直しの機会を提供し、過去の経歴と新たに習得した知識、スキルを活かして活躍できるフィールドへのジョブローテーションや配置転換に取り組みます。
d.従業員エンゲージメントの向上
従業員が当社で働くことに誇りを持ち、自ら意欲的に成長し貢献したいと考える、強い組織へ進化するために、従業員のエンゲージメント向上を促進していきます。
③ リスク管理
PJにおいて人的資本に関する当社の課題を特定し、そのリスクと機会について分析しております。また、分析結果を踏まえ実行計画を策定し、経営会議に報告しております。
特に、少子高齢化に伴う労働人口の減少が及ぼす人員構成の歪みについては、当社グループの現状と将来予測に基づき、採用、育成、学び直し、配置転換等の実行計画策定に反映しております。
④ 指標と目標
人的資本の人材育成及び社内環境整備に関する非財務指標・目標・実績は当社グループにおいて主要な事業を営む当社単体の係数としております。ライセンス管理等を主要業務とするエコアルフ・ジャパン㈱、海外生産支援を主要業務とする上海三陽時装商貿有限公司の2つの子会社については、指標と目標の記載は困難でありますため係数の対象外としております。
イ. 人材育成に関する指標と目標
活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2024年2月期 |
未来を創る人材の育成 |
30歳を迎える新卒総合職社員が2職種、2ブランド以上に従事している比率 |
100% |
2027 |
66.7% |
40歳を迎える新卒総合職社員が3職種、2ブランド以上に従事している比率 |
100% |
2027 |
100% |
|
35歳以下の新卒総合職社員のバックオフィス部門経験者数 |
5名以上 |
2027 |
2名 |
|
IT研修の受講者数/受講率 |
100% |
2027 |
研修未実施 |
ロ.人材育成に関する主な施策
a.「自律型人材」育成の基礎教育
入社から5年間を基礎人材の教育期間とし、若手人材の育成に力を入れています。入社時のOJT制度に加え、定期的に開催するOff-JTの集合研修や人事部によるキャリア面談の実施等により、若手人材のキャリアを多面的に開発し、自主性・創造性豊かな人材への育成を目指します。
b.階層別研修
組織における役割期待に応じて、スキル面・思考面・行動面での更なる能力を発揮・向上させるために、資格・等級や職位ごとに研修を実施しています。また、世代ごとに将来の経営幹部候補人材の育成、確保を行います。
c.能力開発
各部門における業務に必要な専門的知識や、スキルを高めるための能力開発に力を入れています。また、キャリア開発として次世代リーダーとして求められる役割認識や、統率力・コミュニケーション能力向上を目的とした研修を実施しています。
d.マネジメント能力育成
未来を担う管理職の教育を継続的に実施しています。個を尊重し、様々な価値観を取り入れ、部下の向上心や自己啓発意識を高め、チーム全体の生産性を向上させるマネジメント能力を身につけることを目標としています。
e.資格取得支援制度
業務上必要と認定した資格の取得を促進するために、通信教育や外部教育機関への派遣等、従業員の更なるキャリア形成を支援しています。
f.自己申告制度
全従業員を対象に、異動の希望や自身のキャリア等に関する意見を自由に申告する制度を設けています。本人の希望や適性を考慮した異動や配置を実現することを通じて、従業員個人の能力開発やモチベーションの向上を図ります。
g.学び直し
全従業員に対して自発的な学び直しの機会を提供することを通じて、当社戦略や組織ニーズに連動して活躍できるフィールドを自ら開拓する風土を醸成します。その上で、過去の経歴と新たに習得した知識、スキルを活かして活躍できるフィールドへのジョブローテーションや配置転換を進め組織力の強化につなげます。
ハ.社内環境整備に関する指標と目標
活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2024年2月期 |
働きがいにつながる人事インフラの整備 |
女性管理職比率 |
20% |
2026 |
9.4% |
男女間賃金格差(男性を1とした場合の女性の割合/全職種※)※全職種:総合職、専門職、一般職、正社員販売職の合計 |
72.0% |
2026 |
68.9% |
|
男性の育児休業取得率 |
100% |
2026 |
男性:25.0% (女性:100%) |
|
外国人雇用率 |
3% |
2027 |
0.96% |
|
従業員エンゲージメントスコア |
55.0 |
2027 |
50.8 |
|
20-30代の採用者数(新卒採用/中途採用の合計) |
20名/年 |
2027 |
17名 |
|
新卒入社満3年定着率 |
85%以上 |
2027 |
80.0% |
ニ.社内環境整備に関する主な施策
a.女性活躍推進
当社は、従業員の約60%を占める女性の活躍を推進するために、2022年3月、人事部にダイバーシティ推進課を設置いたしました。女性従業員の「キャリア開発」「管理職育成」「就業継続支援」という三つの観点で様々な取り組みを実行します。既成概念にとらわれずに自分のキャリアビジョンを描き、それを実現するための能力開発を中心とした研修等を実施し、管理職候補者の育成を行うことにより2026年度までに女性管理職比率20%を目指します。
b.男女間賃金格差の改善
男女間で、時短制度の活用比率や管理職比率の違い等から賃金の差がみられますが、働き方に関する諸課題の改善に向けた取り組みを進めていくことや女性管理職の育成・登用により、男女間賃金格差を改善していきます。従業員の男女間賃金格差は、総合職を除いた職種においてはほぼ差はありませんが、総合職の女性が管理職に占める割合が低いことや、女性の時短制度の活用比率が女性全体の約2割を占めていることが原因としてあげられます。なお、平均賃金には、基準賃金のほか時間外勤務手当等の基準外賃金及び賞与を含んでいます。
c.育児休業取得の促進
仕事と育児の両立支援プログラムに沿って育児休業取得を支援し、従業員に子育て支援への理解を促進しています。改正育児介護休業法の施行にあわせて、2022年4月に社内相談窓口を設置し、同年10月に育児支援制度規程を改定するとともに法改正のポイントについて全従業員へ周知徹底を図っております。今後も従業員の育児と仕事の両立の実現に向けた人事インフラを整備することを継続し、より一層、従業員の育児支援に取り組むとともに、男性の育児休業取得率の向上を目指します。
d.ワーク・ライフ・バランスの推進
当社は、多様な働き方や家庭と仕事の両立を支援する制度を整備し、従業員がより柔軟な働き方を選択できる環境を整えています。これらの制度を活用することを通じて、全ての従業員が業務効率・労働生産性の向上を図ることを支援し、仕事と生活の調和を実現した働きがいのある職場環境づくりを推進していきます。
e.障がい者雇用の取り組み
当社は障がいの有無に関係なく、誰もが働きやすい活気ある職場を目指し、職場環境を整えることによって、障がい者の雇用、能力発揮する機会の提供、職場定着化を図っています。
f.外国人雇用の取り組み
当社は、多様性確保と生産性向上の観点から、外国人人材の積極的な採用を行い、多様な価値観を商品開発、販売サービスに取り入れ、企業価値の向上につなげていきます。
g.従業員エンゲージメント向上への取り組み
当社は、エンゲージメントサーベイ調査を通じて「企業と従業員の結びつき、信頼関係」の強さを数値化することにより、現状の組織の状態を可視化し、部門ごとに課題の抽出とその改善に取り組みます。また、経営層との対話の機会や業務改善にも取り組み、従業員全体のモチベーションの更なる向上と、一人ひとりが当社で働くことに誇りを持ち、自ら意欲的に成長し貢献したいと考える強い組織へと進化を果たすための人事インフラの整備を目指しています。
当社グループは、全社を挙げてサステナブルな社会の実現に貢献することを目標に掲げ、事業を推進してまいります。
なお、サステナビリティ活動に関する詳細情報については、当社ホームページの「サステナビリティ」に掲載しておりますのでご参照ください。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、記載内容のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年5月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当社グループは、事業活動に関するあらゆるリスクを的確に把握するとともに、リスクの発生頻度や経営への影響度を低減するため、各種リスクに対応可能なコーポレートガバナンス及び内部統制に対する体制を整備しており、経営リスクの可能性を認識した上で、その内容に応じてコンプライアンス委員会、危機管理委員会、内部統制委員会、サステナビリティ委員会において発生回避策を討議、策定し、リスクが発生した場合においても適宜問題の解決を図っております。
(1)特に重要なリスク
① 原材料の高騰について
世界的なインフレーションの傾向により、アパレル関連の原材料価格は高騰を続けております。現在、当社グループでは、適正な製品価格への転嫁を行っておりますが、今後、原材料価格の高騰が継続した場合は、更なる製品価格の上昇につながり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 製造活動について
当社グループは、中国・アジア地域を中心に、製品の製造活動を行っておりますが、海外での製造活動において、予期しえない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、テロ、戦争による地政学的又は政治的混乱等のリスクが存在します。これらのリスクが現実化した場合、当社グループの海外での製造活動に支障が生じ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)重要なリスク
① ウイルス性感染症等について
当社グループは、新型コロナウイルス感染症を教訓として、今後もステークホルダーへの安全対策に配慮し、不測の事態への備えを行ってまいります。ただし、予測し得ないウイルス性感染症等が蔓延することにより、市場の停滞等が起きた場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
② ファッション商品の特性について
当社グループの主力商品の大部分はファッション衣料及び服飾品であります。ファッション商品の販売はその特性上、流行に左右されやすい傾向があります。当社グループは消費者ニーズの変化に対応するべく、商品企画の更なる刷新と市場情報収集力の強化に努めております。今後とも商品企画力、販売力の強化により売上拡大を図っていく方針でありますが、流行の急激な変化によっては、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権の使用について
当社グループは現在複数の海外提携先と契約し、当該提携先所有の知的財産権を使用したブランド(ライセンスブランド)の衣料及び服飾品を販売しております。現在、これらのライセンスブランドの総売上高は当社グループの売上高の過半を占めております。当社グループといたしましては、これらの提携先とは密接で良好な関係を構築し維持しており、今後とも売上の拡大を図ってまいります。しかしながら、契約の終了又は契約更改時における契約更改条件等によっては、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 気象状況や経済状況等について
ファッション衣料及び服飾品は、気象状況あるいは経済状況の変化の影響を受けやすく変動しやすいため、種々の変化に対応できるよう、クイックレスポンス体制(短サイクル生産体制及び期中追加企画、生産体制)等による対応を図っております。しかしながら、冷夏や暖冬などの天候不順や予測不能な気象状況又は経済環境の変化等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、温室効果ガスが原因と考えられる温暖化等の気候変動や、資源枯渇、プラスチックごみによる海洋汚染等の問題は世界共通の社会課題であるとの認識のもと、当社グループでは中長期のサステナブルビジョンの実現に向け、社会・地球環境の持続可能性向上と当社グループの持続的成長を図る「ESG経営」を推進しております。当社グループはサステナビリティ貢献製品の創出とその市場拡大により、環境や社会の課題解決に寄与することで地球及び社会のサステナビリティの向上に貢献していきます。しかしながら、これらに対する取り組みが不十分な場合には、社会からの信頼の喪失、市場競争力の低下につながり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 為替変動について
為替相場の変動は、当社グループの輸出入取引に係る交易条件及び海外グループ会社の業績の邦貨換算結果等に対して影響を及ぼします。これら為替変動に係るリスクは、為替予約等を行うことによりリスクヘッジしておりますが、完全に回避できるものではなく、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 品質管理について
当社グループは厳しい品質管理基準にしたがって各種製品を提供しておりますが、予測しえない品質トラブルや製造物責任に係る事故が発生した場合は、企業及びブランドイメージが損なわれ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報管理について
当社グループは直営店及び百貨店等の店頭での顧客管理、並びに自社EC等の会員顧客管理上、多くの個人情報を保有しております。これらの情報の管理・取扱いについては当社コンプライアンス委員会、内部統制委員会で社内ルールを決定し、管理体制を整え万全を期しております。しかしながら、情報流出や漏洩が発生した場合は、当社グループの社会的信用を低下させ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
以上、9項目の他にその他の一般的なリスクとして、取引先の破綻による貸倒れ、災害、事故、法的規制及び訴訟等、さまざまなリスクが考えられます。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績等の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、円安や資源価格の高騰、更には世界各地での紛争激化等地政学リスクの高まりの影響を受けつつも、新型コロナウイルス感染症収束に伴う経済活動の再活性化、好調な企業業績と雇用・所得環境の改善が進む中で、緩やかな回復を続けています。
当アパレル・ファッション業界の市況も、8-9月の記録的な猛暑による秋冬商戦の初動遅れ等の影響はありましたが、コロナ禍収束後の人流回復や旺盛なインバウンド需要に支えられ総じて堅調な推移となりました。
こうした状況の下、当社グループにおいても、主力の百貨店を始めとする実店舗への集客が回復したことや、インバウンド売上の増加、更には設立80周年記念商品を始め新規開発商材が好調に稼働し売上に寄与したこと等により、前年を上回る売上高を確保することができました。
当連結会計年度は2022年4月14日に公表いたしました中期経営計画の2年目にあたり、売上総利益率の改善、人材への投資等の経費を除いた販売費及び一般管理費の抑制に継続的に取り組み、KPIの更なる改善に努める一方で、9月にはECプラットフォームの刷新を完了、また実店舗においては新規出店や既存店の環境改善、宣伝販促活動の強化等を実施し、最終年度目標達成に向けた売上拡大策を積極的に推進いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は613億5千3百万円(前年比5.3%増)、営業利益は30億4千7百万円(同36.3%増)、経常利益は31億8千4百万円(同30.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は27億8千7百万円(同29.3%増)となりました。
なお、当社グループは、アパレルを核とするファッション関連事業の単一セグメントでありますので、セグメント情報の記載はしておりません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少による減少額が8億7千2百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益が30億4千5百万円、長期前払費用の減少による増加額が7億9千2百万円あったこと等により、44億1千9百万円の収入(前連結会計年度は、42億1千5百万円の収入)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出が17億円、有形固定資産の取得による支出が4億3千9百万円あったこと等により、23億3千7百万円の支出(前連結会計年度は、10億4千8百万円の支出)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、転換社債型新株予約権付社債の償還による支出が5億5千3百万円、配当金の支払額が6億4千1百万円あったこと等により、13億9千5百万円の支出(前連結会計年度は、9億2千万円の支出)となりました。
この結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ6億8千7百万円増加し、191億3百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、アパレルを核とするファッション関連事業の単一セグメントとしておりますが、生産実績、販売実績については、服種別に以下の3区分で示しております。
イ.生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
区分 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
紳士服・洋品 |
8,708 |
100.1 |
婦人服・洋品 |
10,976 |
99.9 |
服飾品他 |
2,496 |
100.7 |
合計 |
22,180 |
100.1 |
ロ.受注実績
該当事項はありません。
ハ.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
区分 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
紳士服・洋品 |
24,315 |
107.9 |
婦人服・洋品 |
31,385 |
104.6 |
服飾品他 |
5,652 |
98.7 |
合計 |
61,353 |
105.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当連結会計年度の財政状態の分析
イ.資産
資産に関しましては、現金及び預金が23億8千7百万円、投資有価証券が38億3千1百万円それぞれ増加いたしましたが、商品及び製品が7億2千5百万円、長期前払費用(投資その他の資産「その他」に含む)が7億9千3百万円それぞれ減少したこと等により、前連結会計年度末に比し43億4千5百万円増加し、587億5千8百万円となりました。
ロ.負債
負債に関しましては、1年内返済予定の長期借入金が28億7千万円増加しましたが、支払手形及び買掛金が8億2千9百万円、短期借入金が30億円それぞれ減少したこと等により、前連結会計年度末に比し4億7千8百万円減少し、174億9千9百万円となりました。
ハ.純資産
純資産に関しましては、利益剰余金が21億2千1百万円、その他有価証券評価差額金が26億5千万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比し48億2千3百万円増加し、412億5千8百万円となりました。
この結果、自己資本比率が70.19%、ROE(自己資本利益率)は7.18%となりました。今後は、DOE(株主資本配当率)4%を目標に努めてまいります。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要のうち恒常的なものは、増加運転資本と店舗売場設備の新設や更新に伴う設備資金の他、製造費、販売費及び一般管理費の営業費用並びに株式配当金があります。これに加えて非恒常的な投資として、事業成長のためのアライアンス投資、M&A投資があります。
今期の資金変動の中においては、前期に続いての営業黒字達成により、28億円程度の最終利益が計上でき、営業キャッシュ・フローの基礎となる部分が継続的に改善いたしました。運転資本に関しましては、売掛金の回転期間の改善により、売掛金残高は若干のマイナスとなりました。さらに、消費サイクルの変動により、到来する春夏シーズン商品の早期展開に向けて翌シーズン商品を早めに導入する必要性が高まったため新シーズン商品の棚卸資産総額は若干増加いたしましたが総額で棚卸資産を圧縮することができました。また一方で、期末仕入債務残高は8億円を超える減少となりました。
その結果、ネット運転資本は若干悪化しキャッシュ・フロー上は若干のマイナスインパクトとなりましたが、営業キャッシュ・フローとしては40億円を超える収入となりました。今後は運転資本管理を継続し、トップラインの成長並びに営業費用等のコントロールの強化により営業キャッシュ・フローの継続的な創造を進めてまいります。
一方、一時的な運用として定期預金の積み増しを行い、ECプラットフォームの刷新に伴う無形固定資産投資等により投資キャッシュ・フローは23億円程度の支出となりました。
加えて、転換社債の償還による支出及び業績回復による復配等により財務キャッシュ・フローも14億円程度の支出となりました。
当社グループは中期経営計画の2年目の目標を達成し、ファッションカンパニーとしての基礎収益力の改善を進め、また国際紛争等の継続や、海外の政策金利の高騰等の変動要素を分析しながらキャッシュ・フローの最適化を重点課題と捉えて企業価値向上に邁進いたします。
また、2023年10月に公表した「PBR改善計画」において、手元必要資金以外のキャッシュは、積極的に成長投資や社員還元、株主還元に活用するという方針を示しており、その時々の状況に応じて臨機応変に対応してまいります。
これを支える資金といたしまして、金融機関より長短あわせて68億円の資金調達を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は71億5千8百万円となっております。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は191億3百万円となっております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5)経営者の問題意識と今後の方針について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、経営全般にわたる一層の効率化を追求し、業績の向上を図るべく全社一丸となって専心努力いたします。
ライセンス契約
当社グループは海外提携先等と契約し、提携先所有の知的所有権を使用したブランド(ライセンスブランド)の衣料及び服飾品を販売しており、その契約の主なものは下記のとおりです。
契約会社名 |
契約締結先 |
ブランド名 |
契約内容 |
契約期間 |
㈱三陽商会 |
八木通商㈱ ㈱マッキントッシュジャパン |
マッキントッシュ フィロソフィー |
1 商標使用権の許諾 2 技術情報の提供 3 製造権及び販売権の許諾 |
2024年7月1日から 2030年6月30日まで (注1) |
マッキントッシュ ロンドン |
2025年1月1日から 2030年6月30日まで (注2) |
|||
㈱三陽商会 |
バーバリー・ジャパン㈱ |
ザ・スコッチハウス(注3) |
1 商標使用権の許諾 2 技術情報の提供 3 製造権及び販売権の許諾 |
2024年1月1日から 2024年12月31日まで (注3) |
ブルーレーベル・クレストブリッジ ブラックレーベル・クレストブリッジ |
2022年7月1日から 2027年6月30日まで |
(注)1 更新前における契約期間は2018年7月1日から2024年6月30日まで
2 更新前における契約期間は2020年1月1日から2024年12月31日まで
3 ザ・スコッチハウスのライセンス契約は2024年12月31日をもって終了いたします。
特記事項はありません。