第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、遊休不動産を再生し、社会ニーズに応じた付加価値を加え、空間サービスを創出する「空間再生流通企業」として、社会に貢献してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、売上高の拡大に注力する一方、コストの削減を図り、利益体質の向上を図ってまいります。その経営成果の指標として、EBITDA(注)マージンの向上を継続的な目標として活動しております。

(注)Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization の略で、営業利益に減価償却費・のれん償却費、長期前払費用償却、顧客関連資産等の無形資産償却費を加算してEBITDAを算出しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループの主な事業分野であるフレキシブルオフィスの需要は、近年企業の働き方の多様化が促進されたことで、大幅に拡大しております。都内賃貸オフィス市場全体のわずか1.6%(2022年2月、ザイマックス総研「フレキシブルオフィス市場調査2022」)とされるフレキシブルオフィス市場の継続的な拡大は手堅く、中期的には欧米と同等水準の約5%(2020年1月、ザイマックス総研「フレキシブルオフィス市場調査2020」)まで増加すると考えております。

現在当社グループは、国内のフレキシブルオフィス市場において圧倒的なネットワーク力(国内408施設)と多様なブランド展開を競争優位としており、必要な場所や目的に合わせた最適なスペースのサービス提供が可能となっております。

今後もフレキシブルオフィスサービスを中核事業に、料飲・バンケット、ウェビナー等の幅広い会議室オプションサービスやホテル・宿泊研修サービス等、周辺サービスを拡充しながら、付加価値の高い総合サービスの実現と効率的な資源配分を目指してまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

当社グループの中核事業はフレキシブルオフィス事業であり、それに付随するサービスを付加価値として提供することで、事業拡大を目指してまいります。

事業拡大のため、当社グループは以下の課題に取り組んでまいります。

 

① 効率的な出退店戦略の実施

当社グループの事業の強みは、遊休不動産を保有せずに賃貸契約により確保する不動産開発であります。当社グループは、継続的に不動産開発機能の強化を行い、不動産市況に応じて敏捷に新規出店や撤退の判断を行うことで、賃借する不動産ポートフォリオの入れ替えを行い、事業モデルの向上を図ってまいります。

② 付加価値サービスの見直し・拡充による利益率の向上

当社グループは、これまでフレキシブルオフィスに付随する様々なサービスを開発し、顧客にワンストップで提供することで付加価値を生み出してまいりました。社会が変化する中で求められるサービスを敏感に捉えて商品化し、利用顧客へ提案していくことで、顧客満足度と利益率の向上を図ります。

③ システムを駆使した営業・予約の最適化

フレキシブルオフィスの需要拡大のためには、顧客データベースに基づく付加価値の高い提案営業と、より容易な予約システムの整備による予約管理の効率化が重要と考えております。当社はシステム構築に適切な投資を行うことで、適時適切なコンサルティング提案を行い、企業のフレキシブルオフィス需要を獲得してまいります。また、予約システムの簡略化により、フレキシブルオフィス事業の運営効率の向上を図ります。

 

 

④ 人材の確保と育成

社会の環境が大きく変化する中、多様な能力や経験が必要とされるようになり、営業・オペレーション・不動産開発・管理等各部門において、当社グループに最適な人材を獲得していく必要があります。当社グループは中長期的視点に基づき、新卒・通年採用を強化して採用活動を行っていくとともに、有能な人材の確保及び従業員育成を継続的に強化してまいります。

⑤ 管理体制の強化

上場企業としての市場の信頼を獲得し続けるため、事業規模や事業展開にあわせた組織体制及び内部管理体制の改善・強化を図ることが重要かつ基礎的な課題であると認識しております。当社は管理体制の更なる改善を目指し、実効性のあるシステムの整備、経営の効率化や経営資源の最適化を図ってまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 

以下において、当社グループの状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

 (1)特に重要な事業等のリスク

リスク項目

リスクの内容

主要な取り組み

影響度

蓋然性

感染症の流行、自然災害、不景気等に伴う需要の減少

以下のような事象が発生した際の、フレキシブルオフィス等の利用キャンセル及び新規予約の減少が発生する可能性

・新型コロナウイルスを例とするような治療方法が確立されていない感染症が流行

・大地震等の自然災害が発生

・景気後退により、企業が支出を抑える動きが広がった場合

<家賃を柔軟に減額することが可能な体制>

・定期借家契約では、契約期間中の解約が基本的に不可能な中、TKPでは全契約の約4割を短期間(半年等)で解約可能な契約としている

・日本及び台湾リージャス社は全契約の約4割を売上に応じた変動賃料契約とすることで、リスクコントロールが実施できる体制としている

<市況に応じた柔軟なサービス提供>

・左記のような状況となった場合、当社の既存の枠組み・不動産を活用した新サービスを組成し、新たな需要への対応を実施

フレキシブルオフィス事業の競争激化

・競争激化に伴う販売単価の低下により利幅が縮小する可能性

・競合に対応するための各種方策の実施に伴うコストが増加する可能性

・マルチブランド戦略により競合他社よりも幅広い顧客層を取り込む

・付随する多様なサービスを展開

・申し込みから予約確定までをオンライン化し、短時間で完結できる仕組みを構築

財務制限条項

・有利子負債に付加されている財務制限条項等に抵触する可能性

・採算を重視した施設開発

・財務体質の維持及び強化

・最新の情報に基づいた事業計画の見直し

※当連結会計年度末で一部のシンジケートローンに付されている財務制限条項に抵触しております。「(3)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおりです。

M&A

及びのれんの減損

以下のように、M&Aにおいて当社グループが当初期待していた成果が得られず、買収時に発生したのれん及び無形資産や取得した有価証券等を減損する必要が生じる可能性

・買収した事業において継続的な需要を維持することが困難な場合

・当社グループのサービスと買収した事業との間でシナジー効果が得られない場合

・買収時に想定しなかった重大な問題点が買収後に発見された場合

・当社グループのサービスと親和性の高い企業との業務・資本提携やM&Aを実施することでシナジー効果を発生させる

・事前に財務・税務・法務等詳細なデューデリジェンスを実施

・経営会議等において買収価格の適切性に関する審議を実施

・不要な固定費を削減する等、効率的な運営を実施

・買収後のシナジー実現に向けたフォローアップや定期的なモニタリング

固定資産の減損

・フレキシブルオフィス事業の施設や宿泊研修施設等において、当初想定していた収益が見込めず減損となる可能性

・各施設における稼働率向上施策や固定費削減の実施

 

 

 (2)その他の重要な事業等のリスク

リスク項目

リスクの内容

主要な取り組み

影響度

蓋然性

フレキシブルオフィス事業の物件・スペース確保の難化

・不動産市況その他の要因により新規物件が計画どおりに確保できない可能性

・既存物件の賃貸借契約が計画どおりに延長できない可能性

・新規物件の確保については、不動産オーナーのニーズを的確に把握

・既存物件の賃貸借契約の延長については、不動産オーナーによる再開発計画の進捗等を的確に把握し、延長交渉を実施

海外での事業展開

政情不安、通関業法・税制等の法制度の変更、金融・輸出入に関する諸規制の変更、ストライキ、テロ、暴動等、社会環境における予測し得ない事態の発生によって事業計画に遅延が起きる可能性

・海外市場の動向に細心の注意を払い、適切な対応を図る

・経営会議等におけるモニタリングの実施

個人情報等の取扱い

個人情報を含む顧客及び取引先の機密情報が、外部からの不正アクセスや社内管理体制の不備、災害の発生等により外部へ漏洩、消滅、改ざんや不正利用が発生した場合に社会的信頼を失い、顧客の利用が減少する可能性

・情報の取扱いに関わる社内規定の整備

・定期的な従業員教育の実施

・システムのセキュリティ強化

・インシデントが発覚した際の対応フローの整備

株式価値の希薄化

資金調達

新株予約権の権利行使に伴う発行済株式数の増加により、価値の希薄化及び株価の下落が発生し、結果として今後の資金調達が円滑に実施できないリスク

・行使停止条項や行使可能条項の仕組みを活用

・継続的な株式価値向上のためのIR活動の推進

 

(3)継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け1,585百万円の経常損失を計上しており、当連結会計年度末で一部のシンジケートローンに付されている財務制限条項に抵触したため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。しかしながら、金融機関からは期限の利益喪失請求権の放棄を受ける見込みでおります。

試験会場利用、WEBセミナー、新型コロナワクチンセンターの開設等、コロナ禍での新たなビジネス機会が生まれていることに加え、ワクチン等感染対策の整備に伴う社会経済活動の正常化が進んだことにより、足許の受注状況は緩やかに回復基調となっております。また、財務基盤の一層の安定化のため、歩合賃料を始めとした固定費/出店費を抑える柔軟なスキームでの不動産開発や、取引先銀行とのシンジケートローン契約及びコミットメントライン契約の締結、保有不動産の売却並びに第三者割当による新株予約権の発行を実施し、1年間の必要運転資金を大きく上回る現預金及び調達枠を確保しております。

以上により継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス変異株流行の影響を受け、断続的に緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が発出される状況が続きました。それに伴い、日本国内におけるイベントの開催や飲食を伴う懇親会の実施を自粛する動きが継続しました。しかし、2021年2月より新型コロナワクチンの接種が開始され、政府・自治体及び民間の職域接種の迅速な対応により、約1年間で国内における新型コロナワクチンの接種率は約8割となり、3回目の接種も順調に進捗しています。足許では、新規陽性者数は一定数が報告される状況が継続しながらも、2022年3月21日にまん延防止等重点措置が全面的に解除され、徐々に社会経済活動の正常化が進んでいます。

こうした状況のもと、当社は社会経済活動の正常化をいち早く実現すべく、2021年6月より当社施設を新型コロナワクチンの接種会場として一部無償提供、また、ワクチン接種会場のオペレーションや医療従事者手配等を総合的に行う「TKP職域ワクチンセンター」の運営を実施いたしました。結果として、延べ90万人へのワクチン接種を実現し、全国のワクチン接種率の向上に寄与いたしました。その後、ワクチン接種率の上昇、社会経済活動の緩やかな正常化に伴い貸会議室需要が徐々に高まり、売上高は当第2四半期以降回復基調となりました。

リージャスのレンタルオフィス事業においては、企業のオフィス縮小化の動きやサテライトオフィス需要の増加に伴い、顧客の入居が順調に進んだ結果、当第4四半期では四半期過去最高売上高を記録し、通期売上高も過去最高額となりました。また、今後の更なるフレキシブルオフィス市場の拡大を見越し、ビル一棟型施設である「SPACES六本木」「SPACES赤坂」「リージャス渋谷公園通りビジネスセンター」を中心として計8施設、3,388坪を新規オープンいたしました。

以上の取組みの結果、当連結会計年度における売上高は44,685百万円(前期比+3.6%)、EBITDA(注)は4,630百万円(前期比+50.7%)、営業損失は883百万円(前期は営業損失2,497百万円)、経常損失は1,585百万円(前期は経常損失2,321百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は3,211百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,503百万円)となりました。

 

 

② 連結業績                                    (単位:百万円)

 

2021年2月期

2022年2月期

増減額

前期比

売上高

43,138

44,685

+1,547

+3.6%

EBITDA

3,073

4,630

+1,557

+50.7%

営業損失(△)

△2,497

△883

+1,614

経常損失(△)

△2,321

△1,585

+736

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

△3,503

△3,211

+292

 

 

 

③財政状態の状況

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,430百万円増加し、22,803百万円となりました。主な要因は、その他の増加2,442百万円等によるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ7,096百万円減少し、88,477百万円となりました。主な要因は、土地の減少2,607百万円、のれんの減少2,285百万円、顧客関連資産の減少2,054百万円等によるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ6,799百万円減少し、20,156百万円となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の減少3,409百万円、未払法人税等の減少2,475百万円等によるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ3,471百万円減少し、51,377百万円となりました。主な要因は、社債の減少1,169百万円、長期借入金の減少2,451百万円等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ4,604百万円増加し、39,746百万円となりました。主な要因は、資本金の増加3,846百万円、資本剰余金の増加3,844百万円等によるものであります。

 

④キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,264百万円減少し、13,931百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により支出した資金は、2,892百万円(前期同期は7,022百万円の収入)となりました。主な要因は、非資金項目調整7,833百万円があった一方で、税金等調整前当期純損失が3,420百万円、未収入金の増加2,270百万円、法人税等の支払額3,329百万円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により得られた資金は、1,228百万円(前年同期比7.8%増)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,510百万円があった一方で、有形固定資産の売却による収入2,930百万円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られた資金は、292百万円(前期同期は2,191百万円の支出)となりました。主な要因は、長期借入金の返済及び社債の償還による支出11,917百万円があった一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入7,659百万円、長期借入れによる収入5,200百万円等があったことによるものであります。

 

(参考)

0102010_001.png

 

 

 

 

⑤生産、受注及び販売の実績

当社グループの事業は空間再生流通事業の単一セグメントですが、連結グループにおける売上高のうち大部分をTKP単体及び日本リージャス社が占めているため、その2社につきサービス別売上を記載いたします。

a.生産実績

当社グループは生産実績が僅少であるため、記載しておりません。

 

b.受注実績

当社グループは概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績の記載を省略しております。

 

c.販売実績

TKP単体及び日本リージャス社のサービス別売上高は以下のとおり推移しております。

 

1)TKP単体 サービス別売上高四半期推移

0102010_002.png

 

 

2)日本リージャス社 サービス別売上高四半期推移

0102010_003.png

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。

当社グループが採用している重要な会計方針及び重要な見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

「(1)経営成績等の状況の概要 ③財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

2)経営成績

「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

3)キャッシュ・フローの状況の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

4)資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

空間再生流通事業を推進するにあたって、オフィスビル等の不動産に関しては賃貸借契約を締結し、土地・建物を直接保有しないことで設備投資を抑制する運営を行っております。

 

(財務政策)

新型コロナウイルス感染症拡大が長期化するリスクへの対策及び、オフィスビルの空室率上昇が継続し、今後賃料相場が下落した際に機動的な出店を実施するため、手許流動性を厚めに確保しております。これらの資金は金融機関からの借入れ、第三者割当による新株予約権により調達しております。

なお、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、金利スワップ等の手法を活用しております。

 

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

当社グループは、空間再生流通事業の単一セグメントですが、参考のためTKP単体及び日本リージャスの状況につき以下に記載いたします。

 

1)TKP単体

                     (単位:百万円)

 

2021年2月期

2022年2月期

前期比

売上高

23,838

24,892

+4.4%

売上総利益

5,867

7,961

+35.7%

販売費及び

一般管理費

7,752

7,398

△4.6%

EBITDA

△967

1,448

営業利益又は

営業損失(△)

△1,884

563

 

TKPは、2022年2月期に7施設の出店を行った一方、賃借物件の契約期間満了やコロナ禍で不採算となった施設の撤退に伴い20施設を退店し、2022年2月末時点で238施設を運営しております。

2022年2月期においては、新型コロナウイルス変異株の流行に伴い、期初よりイベントや料飲を伴う懇親会等の開催自粛の動きが拡がり、当社貸会議室事業は大きな影響を受けました。しかし、秋口以降はワクチン接種率の上昇及び新型コロナウイルス感染状況の一時的な収束により、顧客企業内におけるイベント需要に戻りがあり、会議や少人数での懇親会、セミナー等の需要回復が見られました。さらに、当第4四半期においては、オミクロン株の流行により新規感染者数が過去最高となる中でもTKP単体の売上高が当第3四半期比増収となる等、コロナ禍における社会経済活動の正常化が徐々に進捗し、感染拡大の波が当社貸会議室需要に与える影響は徐々に軽減されてきています。

利益面においては、コロナ禍で不採算となった施設の撤退や需要が減少した料飲事業の縮小化、前期より実施している固定費削減の取組みが寄与し、売上高が増加しながらも費用の増加は限定的となりました。さらに、前期においては新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた、当社がフランチャイジーとして運営するアパホテルについても、10棟中5棟を新型コロナウイルス軽症者用宿泊療養施設/感染対策用施設として貸し出すことで、前期と比較し大幅に収支が改善いたしました。

以上の結果、2022年2月期における売上高は24,892百万円(前期比+4.4%)、EBITDAは1,448百万円(前期はEBITDA△967百万円)、営業利益は563百万円(前期は営業損失1,884百万円)と、前期比で各段階利益が大きく改善し、通期で営業黒字化を達成いたしました。

なお、当第4四半期における貸会議室事業のKPI(重要業績評価指標)である坪あたり売上高は、同じく新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前年同四半期と比較して1,806円改善いたしました。

当社は、今後新型コロナウイルスの収束と社会経済活動の正常化により貸会議室需要の回復が本格化する中で、積極的な新規出店を推進するとともに、当社契約物件ポートフォリオの改革を実施いたします。当社の強みである「持たざる経営」による不動産市況への対応力と柔軟性を最大限活かし、よりビジネス需要が高いエリアかつ好条件の物件へシフトし、顧客満足度の向上と業績の躍進を図ります。また、コロナ禍で主流となったオンラインでのイベントやセミナー開催、BPO案件受託等の新たな実績をもとに、回復基調にある貸会議室需要を全方位的に取り込んでまいります。

 

会議室面積1坪あたり売上高の推移                         (単位:円)

 

第1四半期平均

第2四半期平均

第3四半期平均

第4四半期平均

2021年2月期(A)

24,476

20,255

26,654

25,032

2022年2月期(B)

22,825

29,687

24,141

26,838

(B)-(A)

△1,651

+9,432

△2,513

+1,806

(注)売上高は会議室料と利用に付随するオプション・ケータリング料の合計

 

2)日本リージャス社

       (単位:百万円)

 

2021年2月期

2022年2月期

前期比

売上高

17,298

17,569

+1.6%

売上総利益

5,296

3,668

△30.7%

販売費及び

一般管理費

5,136

4,945

△3.7%

EBITDA

3,255

1,724

△47.0%

営業利益又は

営業損失(△)

160

△1,276

(注)販売費及び一般管理費、営業利益又は営業損失については、日本リージャス買収に係るのれん償却費、顧客関連資産等の無形資産償却費を販売費及び一般管理費に加算し、算出しております。

 

日本リージャスは、2022年2月期に8施設の新規出店を行い、2022年2月末時点で170施設を運営しております。

顧客の平均契約期間が1年超である日本リージャスのレンタルオフィス事業においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響をほとんど受けず、順調に売上高が積み上がりました。日本リージャスは、今後のフレキシブルオフィス市場の更なる拡大を見込み、積極的な出店を継続しており、当期は「SPACES六本木」「SPACES赤坂」「リージャス渋谷公園通りビジネスセンター」の、3施設のビル一棟型施設を含む8施設をオープンいたしました。六本木、赤坂、渋谷はともに好立地かつビジネス需要の高いエリアであり、これらの新規施設は、今後の日本リージャスの事業展開において重要となる旗艦店と位置付けております。

利益面においては、積極的な出店により家賃や人件費等の費用が増加いたしました。さらに、当第3四半期より、買収当初から予定していたフランチャイズフィーの引き上げが発生し、売上総利益以下利益率が低下しておりますが、今後新規施設の稼働率上昇に伴い、売上高・利益ともに増加する見込みです。

以上の結果、売上高は17,569百万円(前期比+1.6%)、EBITDAは1,724百万円(前期比△47.0%)、買収に係るのれん償却費及び顧客関連資産償却費(2,247百万円)を控除した後の営業損失は1,276百万円(前期は営業利益160百万円)となりました。

なお、2022年2月末における日本リージャスのKPIである全施設の平均稼働率は、オープン後2年未満の施設における稼働率が好調に推移したことに伴い、前年同期比+2.2ポイントの69.7%となりました。

日本リージャスの今後の出店計画につきましては、これまで通り不動産市況の変化に柔軟に対応し積極的な出店を継続するとともに、直営ではないサブフランチャイズ展開を新たに始動することにより、更にスピード感をもってネットワークの拡大に注力してまいります。

 

日本リージャス施設における稼働率推移

 

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

2021年

2月期

全施設

75.8%

71.5%

68.5%

67.5%

 

オープン後2年未満

17.5%

15.4%

20.4%

30.9%

オープン後2年以上経過

76.4%

74.3%

72.0%

70.5%

2022年

2月期

全施設

67.4%

69.8%

68.5%

69.7%

 

オープン後2年未満

37.9%

45.0%

41.6%

48.0%

オープン後2年以上経過

70.4%

72.6%

72.5%

73.0%

全施設平均の対前年同期増減

△8.4pt

△1.7pt

+0pt

+2.2pt

 

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

4【経営上の重要な契約等】

 

1.フランチャイズ契約

 

 (1)日本でのIWGブランドの独占的運営

契約の名称

MASTER FRANCHISE AGREEMENT

契約会社名

株式会社TKPSPV-9号

契約相手先

FRANCHISE INTERNATIONAL SARL

契約締結日

2019年4月15日

主な内容

日本国内における長期間のパートナーシップを定め、当社が日本国内におけるIWG各ブランドの

独占的運営権などを取得するものであります。

 

 (2)台湾でのIWGブランドの独占的運営

契約の名称

MASTER FRANCHISE AGREEMENT

契約会社名

株式会社TKPSPV-10号

契約相手先

FRANCHISE INTERNATIONAL SARL

契約締結日

2019年8月9日

主な内容

台湾国内における長期間のパートナーシップを定め、当社が台湾国内におけるIWG各ブランドの

独占的運営権などを取得するものであります。

 

 (3)アパホテルブランドの運営

契約の名称

アパホテルズ&リゾーツフランチャイズ加盟契約書

契約会社名

株式会社ティーケーピー

契約相手先

アパホテル株式会社

契約締結日

2014年5月30日

主な内容

当社が日本国内の各ホテル所在地においてのアパホテルブランドの運営権などを取得するものであります。アパホテル<TKP札幌駅前>他9拠点にて契約を締結しております。

 

 

2.借入契約

 

契約の名称

金銭消費貸借契約書

契約会社名

株式会社ティーケーピー

契約相手先

エージェント:株式会社三井住友銀行

アレンジャー:株式会社三井住友銀行

       株式会社みずほ銀行

       株式会社三菱UFJ銀行

契約締結日

2020年1月29日

主な内容

日本リージャス社の買収にあたり調達した短期借入金の借入期間の長期化を目的とした

総額25,000百万円、期間5年のシンジケートローン契約であります。

 

 

 

 

 

契約の名称

特殊当座借越契約書

契約会社名

株式会社ティーケーピー

契約相手先

株式会社三井住友銀行

契約締結日

2020年4月10日

変更契約:2021年3月26日

主な内容

機動的かつ安定的な財務戦略の実行を可能とする資金調達手段の確保を目的として、

極度額10,000百万円、期限2021年3月31日として設定するものであります。

変更契約後は極度額2,500百万円、期限2022年3月31日として設定するものであります。

※2022年2月25日付で解約しております。

 

 

 

契約の名称

コミットメントライン契約書

契約会社名

株式会社ティーケーピー

契約相手先

エージェント:株式会社三井住友銀行

アレンジャー:株式会社三井住友銀行

参加金融機関:株式会社三井住友銀行

              株式会社あおぞら銀行

契約締結日

2021年3月31日

主な内容

機動的かつ安定的な財務戦略の実行を可能とする資金調達手段の確保を目的として、

極度額5,000百万円、期限2022年3月31日のコミットメントライン・シンジケーション契約であります。

 

 

契約の名称

シンジケートローン契約書

契約会社名

株式会社ティーケーピー

契約相手先

エージェント:株式会社三井住友銀行

アレンジャー:株式会社三井住友銀行

参加金融機関:株式会社三井住友銀行

       株式会社日本政策投資銀行

契約締結日

2022年2月21日

主な内容

機動的かつ安定的な財務戦略の実行を可能とする資金調達手段の確保を目的として、

総額5,000百万円、期間5年のシンジケートローン契約であります。

 

 

契約の名称

コミットメントライン契約書

契約会社名

株式会社ティーケーピー

契約相手先

エージェント:株式会社三井住友銀行

アレンジャー:株式会社三井住友銀行

参加金融機関:株式会社三井住友銀行

       株式会社あおぞら銀行

契約締結日

2022年2月28日

主な内容

機動的かつ安定的な財務戦略の実行を可能とする資金調達手段の確保を目的として、

極度額5,000百万円、期限2023年3月30日のコミットメントライン・シンジケーション契約であります。

 

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。