第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、遊休不動産を再生し、社会ニーズに応じた付加価値を加え、空間サービスを創出する「空間再生流通企業」として、社会に貢献してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、売上高の拡大に注力する一方、コストの最適化を図り、利益体質と資本効率の向上を図ってまいります。その経営成果の指標として、営業利益とROE(自己資本利益率)の向上を中期的な目標として活動しております。

なお、当社は2024年2月期を初年度とし、2026年2月期までの期間を対象とした新中期経営計画を策定してります。計画は以下の通りです。

 

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(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループの主な事業分野である貸会議室の需要は、企業の働き方の多様化が促進され、固定オフィスの柔軟化が進んだことで、大幅に拡大しております。当社グループは創業以来、遊休不動産を活用した空間再生により全国の施設ネットワークを拡大してまいりましたが、その市場規模は大きく、全国の不稼働オフィスのTAM(Total Addressable Market、獲得可能な最大市場規模)は約7,000億円(注)と想定しております。

現在当社グループは、国内貸会議室市場において圧倒的なネットワーク力と多様なブランド展開を競争優位としており、必要な場所や目的に合わせた最適なスペースのサービス提供が可能となっております。

今後も貸会議室を中心としたフレキシブルオフィス事業を中核に料飲・バンケットウェビナー等の幅広い会議室オプションサービスやホテル・宿泊研修サービス等周辺サービスを拡充しながら付加価値の高い総合サービスの実現と効率的な資源配分を目指してまいります

(注)令和3年度 固定資産の価格等の概要調書」、「東京の土地 2021」、オフィス利用に関する各種調査をもとに国内オフィスの不稼働共有部面積およびその利用状況を推定し年間貸会議室利用金額に換算した金額を当社が推計する貸会議室市場値に加算して推計

 

(4)会社の対処すべき課題

当社グループの中核事業はフレキシブルオフィス事業であり、それに付随するサービスを付加価値として提供することで、事業拡大を目指してまいります。

事業拡大のため、当社グループは以下の課題に取り組んでまいります。

 

① 効率的な出退店戦略の実施

当社グループの事業の強みは、遊休不動産を保有せずに賃貸契約により確保する不動産開発であります。当社グループは、継続的に不動産開発機能の強化を行い、不動産市況に応じて敏捷に新規出店や撤退の判断を行うことで、賃借する不動産ポートフォリオの入れ替えを行い、事業モデルの向上を図ってまいります。

② 付加価値サービスの見直し・拡充による利益率の向上

当社グループは、これまでフレキシブルオフィスに付随する様々なサービスを開発し、顧客にワンストップで提供することで付加価値を生み出してまいりました。社会が変化する中で求められるサービスを敏感に捉えて商品化し、利用顧客へ提案していくことで、顧客満足度と利益率の向上を図ります。

③ システムを駆使した営業・予約の最適化

フレキシブルオフィスの需要拡大のためには、顧客データベースに基づく付加価値の高い提案営業と、より容易な予約システムの整備による予約管理の効率化が重要と考えております。当社はシステム構築に適切な投資を行うことで、適時適切なコンサルティング提案を行い、企業のフレキシブルオフィス需要を獲得してまいります。また、予約システムの簡略化により、フレキシブルオフィス事業の運営効率の向上を図ります。

④ 人材の確保と育成

社会の環境が大きく変化する中、多様な能力や経験が必要とされるようになり、営業・オペレーション・不動産開発・管理等各部門において、当社グループに最適な人材を獲得していく必要があります。当社グループは中長期的視点に基づき、新卒・通年採用を強化して採用活動を行っていくとともに、有能な人材の確保及び従業員育成を継続的に強化してまいります。

⑤ 管理体制の強化

上場企業としての市場の信頼を獲得し続けるため、事業規模や事業展開にあわせた組織体制及び内部管理体制の改善・強化を図ることが重要かつ基礎的な課題であると認識しております。当社は管理体制の更なる改善を目指し、実効性のあるシステムの整備、経営の効率化や経営資源の最適化を図ってまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 

以下において、当社グループの状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

 (1)特に重要な事業等のリスク

リスク項目

リスクの内容

主要な取り組み

影響度

蓋然性

感染症の流行、自然災害、不景気等に伴う需要の減少

以下のような事象が発生した際の、フレキシブルオフィス等の利用キャンセル及び新規予約の減少が発生する可能性

・新型コロナウイルスを例とするような治療方法が確立されていない感染症が流行

・大地震等の自然災害が発生

・景気後退により、企業が支出を抑える動きが広がった場合

<家賃を柔軟に減額することが可能な体制>

・定期借家契約では、契約期間中の解約が基本的に不可能な中、TKPでは全契約の約4割を短期間(半年等)で解約可能な契約としている

<市況に応じた柔軟なサービス提供>

・左記のような状況となった場合、当社の既存の枠組み・不動産を活用した新サービスを組成し、新たな需要への対応を実施

固定資産の減損

・宿泊施設において、当初想定していた収益が見込めず減損となる可能性

・各施設における稼働率向上施策や固定費削減の実施

フレキシブルオフィス事業の競争激化

・競争激化に伴う販売単価の低下により利幅が縮小する可能性

・競合に対応するための各種方策の実施に伴うコストが増加する可能性

・マルチブランド戦略により競合他社よりも幅広い顧客層を取り込む

・付随する多様なサービスを展開

・申し込みから予約確定までをオンライン化し、短時間で完結できる仕組みを構築

 

 

 (2)その他の重要な事業等のリスク

リスク項目

リスクの内容

主要な取り組み

影響度

蓋然性

フレキシブルオフィス事業の物件・スペース確保の難化

・不動産市況その他の要因により新規物件が計画どおりに確保できない可能性

・既存物件の賃貸借契約が計画どおりに延長できない可能性

・新規物件の確保については、不動産オーナーのニーズを的確に把握

・既存物件の賃貸借契約の延長については、不動産オーナーによる再開発計画の進捗等を的確に把握し、延長交渉を実施

個人情報等の取扱い

個人情報を含む顧客及び取引先の機密情報が、外部からの不正アクセスや社内管理体制の不備、災害の発生等により外部へ漏洩、消滅、改ざんや不正利用が発生した場合に社会的信頼を失い、顧客の利用が減少する可能性

・情報の取扱いに関わる社内規定の整備

・定期的な従業員教育の実施

・システムのセキュリティ強化

・インシデントが発覚した際の対応フローの整備

採用の難化

サービス業界における採用環境が悪化し、採用計画が達成できず、グループ全体の事業計画に支障がでる可能性

・採用活動と企業ブランディングの強化

・人事制度の見直し/改定や研修の充実化

財務制限条項

・有利子負債に付加されている財務制限条項等に抵触する可能性

・採算を重視した施設開発

・財務体質の維持及び強化

・最新の情報に基づいた事業計画の見直し

M&A

及びのれんの減損

以下のように、M&Aにおいて当社グループが当初期待していた成果が得られず、買収時に発生したのれん及び無形資産や取得した有価証券等を減損する必要が生じる可能性

・買収した事業において継続的な需要を維持することが困難な場合

・当社グループのサービスと買収した事業との間でシナジー効果が得られない場合

・買収時に想定しなかった重大な問題点が買収後に発見された場合

・当社グループのサービスと親和性の高い企業との業務・資本提携やM&Aを実施することでシナジー効果を発生させる

・事前に財務・税務・法務等詳細なデューデリジェンスを実施

・経営会議等において買収価格の適切性に関する審議を実施

・不要な固定費を削減する等、効率的な運営を実施

・買収後のシナジー実現に向けたフォローアップや定期的なモニタリング

海外情勢の影響

政情不安、通関業法・税制等の法制度の変更、金融・輸出入に関する諸規制の変更、ストライキ、テロ、暴動等、社会環境における予測し得ない事態の発生によって事業計画に遅延が起きる可能性

・海外市場の動向に細心の注意を払い、適切な対応を図る

 

 

(3)継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受け、2022年2月期連結会計年度において1,585百万円の経常損失を計上しており、2023年2月期第2四半期連結累計期間において一部のシンジケートローンに付されている財務制限条項に抵触し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりました。なお、金融機関からは期限の利益喪失請求権を行使しない旨の同意を得ております。

新型コロナウイルス感染症感染拡大当初の大規模な経済の停滞から再開が進み、その時々に応じた商品開発やコロナ禍における固定費の削減も寄与したことから、当期における経常利益は3,062百万円と大幅に改善しております。また、経営資源の最適配分を目的とし、2023年2月1日に一部事業の売却(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」参照)を実施したことにより、現預金が増加、有利子負債が減少し、財務体質は大幅に改善をいたしました。

以上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消されたと判断しております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度(2022年3月1日~2023年2月28日)における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、諸外国における金融政策の転換を背景とした急速な為替相場の変動やロシア・ウクライナ問題の長期化による世界的な資源価格の高騰等、将来的な見通しが不透明な状態が継続しております。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぎ、社会経済活動の正常化が大きく進んでいることから、当社グループを取り巻く事業環境は改善傾向にあります。

こうした状況のもと、当社グループの主力である貸会議室事業は、会議やセミナー、研修等を対面で実施する需要がコロナ禍から大きく回復したことを受け、売上高の回復基調が通年で継続いたしました。飲食を伴う懇親会の受注水準はコロナ禍以前に比べ未だ低位ではあるものの、前期と比較し着実に改善しております。

ホテル・宿泊研修事業につきましては、移動を伴う旅行や出張等のビジネス利用が堅調に推移したことで、当社リゾートホテル・ビジネスホテル等の宿泊サービス売上高は過去最高を更新いたしました。また、今後の更なる収益拡大を見越し、当連結会計年度において、当社初の独自ビジネスホテルブランドである「TKPサンライフホテル」を出店いたしました。

以上の取組みの結果、当連結会計年度における売上高は50,504百万円(前期比13.0%増)、EBITDA(注)は8,748百万円(前期比88.9%増)、営業利益は3,575百万円(前期は営業損失883百万円)、経常利益は3,062百万円(前期は経常損失1,585百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は4,936百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,211百万円)となりました。

なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおり、より効率的な収益構造の構築を目的に、貸会議室事業と比較しCAPEX負担が大きいビジネスモデルであるリージャス事業の売却を実施いたしました。売却に伴う特別損失の発生やその損失に伴う税効果の期ずれから、当連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上するも、今後はその売却資金を活用し、需要回復の本格化を見据えた新規出店の積極推進を含む事業の強化や「再生」をテーマとした新規事業に経営資源を集中投下する方針です。

(注)営業利益又は営業損失に減価償却費、のれん償却費、長期前払費用償却費及び顧客関連資産等の無形資産償 却費を加算してEBITDAを算出しております。

 

 

② 連結業績                                (単位:百万円)

 

2022年2月期

2023年2月期

前期比

売上高

44,685

50,504

+13.0%

EBITDA

4,630

8,748

+88.9%

営業利益又は営業損失(△)

△883

3,575

経常利益又は経常損失(△)

△1,585

3,062

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

△3,211

△4,936

 

 

 

③財政状態の状況

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ15,498百万円増加し、38,301百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加18,729百万円等によるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ54,688百万円減少し、33,788百万円となりました。主な要因は、のれんの減少34,726百万円、建物及び構築物の減少8,372百万円等によるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ7,688百万円減少し、12,467百万円となりました。主な要因は、その他の減少6,139百万円等によるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ24,624百万円減少し、26,753百万円となりました。主な要因は、長期借入金の減少18,521百万円等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ6,878百万円減少し、32,868百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の減少4,936百万円、非支配株主持分の減少1,854百万円等によるものであります。

 

④キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18,729百万円増加し、32,661百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、4,849百万円(前期は2,892百万円の支出)となりました。主な要因は、非資金項目調整8,177百万円があった一方で、税金等調整前当期純損失が2,877百万円、事業整理損の支払額2,957百万円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により得られた資金は、36,963百万円(前期比2907.9%増)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,311百万円があった一方で、長期貸付金の回収による収入3,116百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入34,727百万円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は、23,162百万円(前期は292百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入1,300百万円があった一方で、長期借入金の返済及び社債の償還による支出21,887百万円、非支配株主への払戻による支出1,800百万円等があったことによるものであります。

 

(参考)

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⑤生産、受注及び販売の実績

当社グループの事業は空間再生流通事業の単一セグメントですが、連結グループにおける売上高のうち大部分をTKP貸会議室・宿泊事業が占めるため、サービス別売上高を記載いたします。

(注)TKP貸会議室・宿泊事業は、TKP単体と、TKP宿泊事業における不動産を所有する特別目的会社  (TKPSPV-1号~TKPSPV-4号・TKPSPV-6号)の合計を示しております。

a.生産実績

当社グループは生産実績が僅少であるため、記載しておりません。

 

b.受注実績

当社グループは概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績の記載を省略しております。

 

c.販売実績

TKP貸会議室・宿泊事業のサービス別売上高は以下のとおり推移しております。

 

1)TKP サービス別売上高四半期推移

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(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。

当社グループが採用している重要な会計方針及び重要な見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

「(1)経営成績等の状況の概要 ③財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

2)経営成績

「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

3)キャッシュ・フローの状況の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

4)資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

空間再生流通事業を推進するにあたって、オフィスビル等の不動産に関しては賃貸借契約を締結し、土地・建物を直接保有しないことで設備投資を抑制する運営を行っております。

 

(財務政策)

貸会議室・宿泊施設に適した不動産を適時、機動的に取得するため、手許流動性を比較的厚めに保っております。これらの資金は、主に金融機関からの借入により調達しております。

また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、金利スワップ等の手法を活用しております。

 

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、空間再生流通事業の単一セグメントですが、参考のためTKP及び2023年2月1日に事業売却を実施いたしました日本リージャス社の詳細を掲載します。

 

1)TKP

                              (単位:百万円)

 

2022年2月期

2023年2月期

前期比

売上高

24,892

29,934

+20.3%

売上総利益

8,310

12,030

+44.8%

販売費及び一般管理費

7,405

7,316

△1.2%

EBITDA

2,273

5,995

+163.7%

営業利益

905

4,714

+420.6%

 

TKPは、2023年2月期に4施設の出店を行った一方、賃借物件の契約期間満了やコロナ禍で不採算となった施設の撤退に伴い5施設を退店し、2023年2月末時点で237施設を運営しております。

2023年2月期において、新型コロナウイルスの影響は継続したものの、社会経済活動の正常化が大きく進み、対面イベントにおける開催制限が緩和される傾向にあったことから、会議やセミナー、研修等、貸会議室の需要はコロナ禍以前の水準に向け堅調に回復しました。これまで実施が控えられてきた飲食を伴う懇親会については、大規模での実施は引き続き控えられる傾向にあったものの、徐々に回復し、当連結会計年度における料飲の売上高は前期と比較し2倍以上となりました。また、足許におきましても、問い合わせや受注が堅調に推移しております。

また、ホテル・宿泊研修事業については、全国旅行支援や入国制限の緩和による旅行需要やビジネス宿泊需要の回復を受けて稼働率・単価が上昇する等、好調に推移いたしました。また、当社がフランチャイジーとして運営するアパホテルは、10棟の運営ホテルの内5棟を通年で新型コロナウイルス感染者用宿泊療養施設/感染対策用施設として貸し出すことで、安定した収益を確保いたしました。なお、当5棟は、貸し出しが解除され次第、4月より順次、通常運営に戻る見込みです。

以上の結果、TKPの当連結会計年度における売上高は29,934百万円(前期比20.3%増)、EBITDAは5,995百万円(前期比163.7%増)、営業利益は4,714百万円(前期比420.6%増)と、前期と比較し増収増益となりました。

さらに、当第4四半期における貸会議室事業のKPI(重要業績評価指標)である坪あたり売上高についても、貸会議室需要の回復を要因に、前年同四半期と比較して2,189円上昇いたしました。

 

会議室面積1坪あたり売上高の推移                             (単位:円)

 

第1四半期平均

第2四半期平均

第3四半期平均

第4四半期平均

2022年2月期(A)

22,825

29,687

24,141

26,838

2023年2月期(B)

31,780

27,168

28,658

29,027

(B)-(A)

+8,955

△2,519

+4,517

+2,189

(注)売上高は会議室料と利用に付随するオプション・ケータリング料の合計

 

2)日本リージャス社

日本リージャスは2023年2月1日に実行した同社全株式の譲渡に伴い、2023年2月期通期業績のうち2023年2月を除く11ヵ月分を計上しております。

                              (単位:百万円)

 

2022年2月期

2023年2月期

(11ヵ月分)

売上高

17,569

17,613

売上総利益

3,668

3,474

販売費及び一般管理費(注)1

2,697

2,598

EBITDA

1,724

1,606

営業利益(注)1

971

875

調整後EBITDA(注)2

2,480

3,011

調整後営業利益(注)2

1,727

2,281

顧客関連資産償却費及びのれん償却費

2,247

2,018

(注)1.販売費及び一般管理費と営業利益は、日本リージャス買収に伴う顧客関連資産償却費及びのれん償却費控除前の数値です。

2.前期の期中において、フランチャイズ費用の増加が発生しているため、前期と今期を同じ条件でお示しする目的で、フランチャイズ費用計上前の数値を調整後EBITDA及び調整後営業利益として出しております。

 

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

4【経営上の重要な契約等】

 

1.フランチャイズ契約

 

 (1)日本でのIWGブランドの独占的運営

契約の名称

MASTER FRANCHISE AGREEMENT

契約会社名

株式会社TKPSPV-9号

契約相手先

FRANCHISE INTERNATIONAL SARL

契約締結日

2019年4月15日

主な内容

日本国内における長期間のパートナーシップを定め、当社が日本国内におけるIWG各ブランドの

独占的運営権などを取得するものであります。

※2022年12月6日付で解約しております。

 

 (2)台湾でのIWGブランドの独占的運営

契約の名称

MASTER FRANCHISE AGREEMENT

契約会社名

株式会社TKPSPV-10号

契約相手先

FRANCHISE INTERNATIONAL SARL

契約締結日

2019年8月9日

主な内容

台湾国内における長期間のパートナーシップを定め、当社が台湾国内におけるIWG各ブランドの

独占的運営権などを取得するものであります。

※2022年12月6日付で解約しております。

 

 (3)アパホテルブランドの運営

契約の名称

アパホテルズ&リゾーツフランチャイズ加盟契約書

契約会社名

株式会社ティーケーピー

契約相手先

アパホテル株式会社

契約締結日

2014年5月30日

主な内容

当社が日本国内の各ホテル所在地においてのアパホテルブランドの運営権などを取得するものであります。アパホテル<TKP札幌駅前>他9拠点にて契約を締結しております。

 

2.借入契約

 

契約の名称

シンジケートローン契約書

契約会社名

株式会社ティーケーピー

契約相手先

エージェント:株式会社三井住友銀行

アレンジャー:株式会社三井住友銀行

参加金融機関:株式会社三井住友銀行

       株式会社日本政策投資銀行

契約締結日

2022年2月21日

主な内容

機動的かつ安定的な財務戦略の実行を可能とする資金調達手段の確保を目的として、

総額5,000百万円、期間5年のシンジケートローン契約であります。

 

 

 

 

 

3.その他契約

 

契約の名称

株式譲渡契約書

契約会社名

株式会社TKPSPV-9号

契約相手先

三菱地所株式会社

契約締結日

2022年12月6日

主な内容

日本リージャスのさらなる成長及び当社グループ全体における経営資源の最適配分の観点より、株式会社TKPSPV-9号を通じて保有する、日本リージャスホールディングス株式会社の発行済株式の全てを譲渡する契約であります。

 

契約の名称

SHARE PURCHASE AGREEMENT

契約会社名

株式会社TKPSPV-10号

契約相手先

IWG Group Holdings Sarl

契約締結日

2022年12月6日

主な内容

台湾リージャスのさらなる成長及び当社グループ全体における経営資源の最適配分の観点より、株式会社TKPSPV-10号を通じて保有する、臺北雷格斯企業管理諮詢股份有限公司の発行済株式の全てを譲渡する契約であります。

 

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。