第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社の社名に含まれる「RISE(ライズ)」には、「顧客企業の成果を上昇させる」、その結果として「日本を再び上昇させる」という決意をこめております。その決意の下、創業当初より「次の未来を創造すること」=「PRODUCE NEXT」をMISSIONとして掲げ、コンサルティング活動などの事業活動を通じて「顧客企業にとって上昇し続ける成果のスパイラルを生み出す」ことにより、顧客企業の次の未来を創造し、日本の再生に貢献することを目指してきました。創業当初の経営理念の実現とそれに伴う当社の成長を実現していく中で、2022年12月には、これまでの取り組みを継承しつつ、新たなMISSION、VISION、VALUEとして以下を掲げ、当社の更なる発展に向けた取り組みを開始しています。

・MISSION 「PRODUCE NEXT ~しあわせな未来を、共に拓く。~」

・VISION 「TOP of MIND ~いつの時代も、いちばん必要とされる存在に。~」

・VALUE 「RISE above RISE ~絶えず進化を、絶えず成長を。~」

当社の経営の基本方針は、クライアントバリューの最大化に拘り、「ピュアコンサルティングタイムの最大化」と「社員のケイパビリティの最大化」のバランスを重視しながら、「企業価値の向上」と「PRODUCE NEXTの実現」を達成することです。人材育成、営業の深化と探索、品質管理・ナレッジ向上、そしてこれらのエコシステムを形成し、ピュアコンサルティングタイムを最大化することで、「企業価値向上」を実現していくことができます。また、「オープネス(開放性)」と「フェアネス(公正性)」な環境を整備すること、待遇・働く場所・時間などを柔軟に選ぶことができ、個人の志向に沿ったキャリア形成を実現できること、そして、そのような様々な働き方の実現と機会を提供するために新規事業を開発することで、社員の成長や働きやすさ(ケイパビリティ)を最大化して「PRODUCE NEXT」の実現が達成できると考えます。また、当社においては、「ピュアコンサルティングタイムの最大化」と「社員のケイパビリティの最大化」が健全な仕組みとして機能するためのバランサーとして、「ウェルビーイング」や「コンプライアンス」に関連する活動についても積極的に取り組んでおります。

今後は、既存のコンサルティング事業を軸としながらも、収益モデルの多角化やシナジーを生む新規事業を創出するといったチャレンジを続けてまいりますが、この経営方針に従い持続的な企業価値向上を目指していきたいと考えております。

 

(2) 経営戦略、経営環境

我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により、経済活動は緩やかに回復の動きが見られました。しかしながら、海外情勢の緊迫化に伴う各種物価の上昇や為替相場の変動など、我が国の経済を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。

このように激しく変化する市場環境に対応すべく、日本の各企業は、ビジネス機会の創出や更なる企業価値向上を目指すための積極的な取り組みを行っており、企業活動へのコンサルティング支援に対する需要は今後さらに高まっていくものと考えられます。

このような事業環境のもと、当社グループでは、下記の成長戦略のロードマップに基づき、中長期的に業績向上を図ることを目指していきます。

 

 

(成長戦略のロードマップ)


(注) 1.TAM= Total Addressable Market

   2.短期・中期は3~5年、長期は5年超のイメージです

 

① 市場規模について

2022年の国内ビジネスコンサルティング市場規模は前年比11.2%増の6,430億円になったと見られております。国内企業のデジタルビジネス化を支援するコンサルティング案件は、局所的なイニシアティブの支援から部門横断/全社的変革な変革支援へと拡大しており、顧客の産業分野と業務領域を問わず幅広いコンサルティング需要が市場成長を牽引しました。 (IDC Japan株式会社 2023年8月「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2023年~2027年」より)。


(注) 1.IDC Japan, 2023年8月「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2023年~2027年」(JPJ49210623)

   2.当社が事業を展開する領域のイメージであり、当社が2024年5月現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示すものではありません。また、本スライドに記載の数字は、外部の調査資料に依拠したものであり、その正確性にはかかる調査資料に固有の限界があるため、実際の規模とは異なる可能性があります。

 

② 経営戦略について

当社の基本戦略は、当社の強みを継続させつつ、これまでの強みに加え、「人材獲得」と「案件獲得」にドライブをかけていくことです。継続させる当社の強みとしては、「採用活動のスピード・ROI」「一人ひとりのWell-Beingを意識したリテンション」「One Pool制による高稼働率×プラクティスによる専門性」「高い実行力、案件拡大に寄与する4つの手法」「競争力を意識したバリュープライス」が挙げられます。さらなる高成長の継続に向けたチャレンジとしては、激化する採用競争下での人員拡大や、大口顧客の増加や多様化が必要と考えており、そのために「人材獲得」と「案件獲得」にドライブをかけていきます。

 


 

「人材獲得」については、エージェントの積極活用(主に中堅からシニア層の獲得が対象)や採用オペレーション人員の増員など、ROIを意識しつつも採用への投資を拡大することや、早期戦力化可能な育成環境・仕組みを徹底していきます。

「案件獲得」については、プラクティスにおける営業活動の本格化や営業部門の設置を通して、新規案件開拓の強化に向けた営業工数を確保していきます。

これらの取組に加えて、中長期的な成長に向け、他社との協業や現ビジネスモデル以外の稼ぎ方を検討する等、今後の種まきを開始していきます。

 


 

 

(主要KPI毎の施策)

「コンサルタント人員数」は、案件拡大にあわせて採用・育成を強化していきます。

「稼働率」は、プラクティスにおける営業活動の本格化や営業部門の設置に伴い、戦略的に若干稼働を下げ て、営業工数を確保していきます。

「コンサルタント平均単価(月額)」は、2024年2月期の改定後単価を継続しつつ、バリュープライスと単価アップの両立を検討していきます。

 


(注) 1.稼働率=(コンサルティング事業に係る売上高-外注売上高)÷100%稼働ベース仮定売上高100%稼働ベース仮定売上高は、当該期間の休職者を除く所属コンサルタントの全員(「稼働可能コンサルタント」という。)が100%稼働したと仮定した場合の当該期間の仮定売上高。算定の際は、役職かつ月別に当社内部規程で定められた各コンサルタントの受注時の平均基準単価人数を掛け合わせ算定

   2.コンサルタント平均単価(月額)とは、コンサルタントあたりの月額単価の平均を示し、次のように算出される。コンサルタント平均単価(月額)=100%稼働ベース仮定売上高÷稼働可能コンサルタント。通期の平均単価は、各月の平均単価を算出し、それに対して年間平均を算出

   3.矢印は当社が想定している成長イメージです。

 

③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は創業以来、“最高品質のデリバリーが最大の営業戦略”をモットーに顧客からの信頼を獲得しながら、売上を拡大しており、売上収益と営業利益を重視しております。

当社の売上成長性、収益性を強化するうえで重要となるのが、「コンサルタント人員数」「稼働率」「コンサルタント平均単価(月額)」となります。

コンサルタント人員数:当社グループにおいては、各企業のニーズに応えたコンサルティング業務を推進するために優秀な人材の確保が重要であると考えております。

稼働率:コンサルティング事業においては、コンサルティングサービスの需要に応じて最適にコンサルタントをアサインすることが重要な経営戦略となります。したがって、コンサルタントの稼働率の情報は、足元の需要の変化と当社グループの経営資源のバランスを把握する指標として、有用かつ必要であると考えております。

コンサルタント平均単価(月額):コンサルティングサービスの品質の評価に係る指標として、有用かつ必要であると考えております。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 優秀な人材の採用と育成

当社は、昨今の高度化・複雑化する企業の多様な課題解決を導くための論点を設定し、プロジェクトを推進できる仮説思考型の優秀な人材の獲得が重要であると認識しております。コンサルティング事業は知識集約型のビジネスであり、コンサルタントが提供する知的な付加価値こそが顧客の多様な課題を解決し、結果として当社の成長に寄与すると考えております。

また、DXを推進するにあたっては、高いプロジェクトマネジメント力で顧客をリードする人材が不可欠になります。当社では、多種多彩な研修制度や勉強会を設けて、戦略立案や経営課題を解決するためのスキル向上を図ることで、コンサルティングスキルの成長を促す仕組みを構築しております。各コンサルタントが安心して働きやすい環境・待遇の整備に注力し、高いモチベーションを維持したまま業務を遂行できるように努めております。また、会社としてスキルマトリックスを設定し、各コンサルタントのコンサルティングスキルを定期的・客観的に把握するとともに、評価時にその職位における達成基準としてスキル要件を設定しております。

なお、当社はすべてのコンサルタントが同じ部門に所属するOne Pool制を引いており、コンサルタントは特定の領域に限定することなく、業界やサービス領域を超えてプロジェクトを経験しております。これにより、どのような顧客に相対しても、ニーズに応えた具体的で実現性の高い提案を行うプロフェッショナルの育成を図っております。

 

② コンサルティング品質の継続的な向上

当社グループの強みは、顧客に深く入り込み、Hands-onで戦略から実行に至るまで一気通貫でコンサルティングサービスを提供することにあります。困難なプロジェクトに対しても高い品質のコンサルティングサービスを提供できるよう、品質管理部によるクライアントサーベイの実施や結果の分析・社内共有を行うことで、顧客の期待値を超える成果を出すための仕組みを構築しております。また、コンサルタントには志向性面談を実施し、本人のスキルや希望にマッチした案件へのアサインや従業員満足度調査を実施することで、モチベーションの維持・向上に向けた施策を進めております。

 

③ 高い稼働率の維持

当社グループは、収益力を高め持続的な成長を実現するためには高い稼働率を維持することが重要であると認識しております。高い稼働率を維持すべく、当社では営業を行う専門部隊を配置しております。また、コンサルタントは、案件を進めていく過程で、顧客のニーズをいち早くつかむようにしているほか、すでに保有する取引先と深い関係性の構築を進めております。それにより案件ニーズの早期把握や長期プロジェクトの獲得を目指しておりますが、今後とも高い稼働率の維持に向け注力する必要があります。

 

④ 新たなビジネスモデルの開発

昨今の経営環境は、市場競争の激化や市場構造の変化に起因した企業経営者を取り巻く課題が多様化しており、これらの経営課題を解決し、企業経営をサポートできる幅広い経験や調査・分析能力を有するコンサルタントを求める需要が高まっております。一方で、既存のコンサルティングビジネスは、需給によって変動するコモディティ的な側面があるうえ、より低単価で一定の品質を提供する競合他社が出現した場合、当社の大きな脅威となります。当社は、長期的に顧客の経営にコミットする仕組みの構築に加え、新たなテクノロジーを活用したビジネスモデルの開発などを進めております。

 

⑤ 内部管理体制の強化

当社グループは、既存事業の継続的な成長と新規事業の開発・展開にあたっては、顧客からの信頼を得ることが不可欠であると考えております。現在、管理部門の人員増加を含め管理面の強化を行っておりますが、今後さらなる事業拡大を見据え、継続的な内部管理体制の強化、内部統制やコーポレート・ガバナンスの充実を図ってまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、「PRODUCE NEXT ~しあわせな未来を、共に拓く。~」というMISSIONの下、継続的な企業価値向上を実現し、株主、取引先及び従業員等に対する社会的責任を果たすためには、経営の健全性、効率性及び透明性の確保が不可欠であるとの認識に立ち、内部統制の整備・運用及びリスク管理の徹底によるコーポレート・ガバナンスの強化に努めております。

当社グループでは、会社法上の機関として、株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置しております。また、リスクマネジメントの推進及びコンプライアンスの徹底を行う役割としてコンプライアンス・リスク管理委員会、日常的な業務監査等を行う役割として内部監査室を配置しております。これらの各組織が相互に連携することが業務執行の適正性確保に有効であると考え、現在の体制を採用しております。さらに、必要に応じて、弁護士等の外部専門家に助言を頂くことで、コーポレート・ガバナンス体制を補強しております。

当社グループのガバナンスに関する詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載のとおり、当社グループは「PRODUCE NEXT ~しあわせな未来を、共に拓く。~」をMISSIONとし、「ピュアコンサルティングタイムの最大化」と「社員のケイパビリティの最大化」のバランスを重視しながら、当該ミッションの実現を目指しております。コンサルティングサービスを事業の基軸としている当社においては、コンサルティングサービスを提供する人材こそが最も重要な経営資源であり、社員の成長や働きやすさを最大化することで、持続的な企業価値の向上が実現できると考えております。

そのため、主に以下の領域に重点的に取り組むことで、持続可能な人的資本経営を実現します。

 

(キャリアの多様性)

・絶対評価・定量評価、職位ごとのスキル基準に基づいた適切な評価・報酬制度の構築

・メンター制度、プラクティス制度、志向性面談などによる成長機会と多様なキャリアパスの確立

・体系だった研修カリキュラムに基づくOff-JTの環境と手厚いOJT体制によるキャリア開発

 

(働き方の多様性)

・年齢や性別、障がいや国籍に捉われない採用・昇進など、人材の多様性への取組

・残業時間低減のための取組、多様な働き方を支援する制度・基盤の構築

・育児・介護休暇制度の確立やそれらを取得しやすい環境の整備、リモートワークの推奨など多様な働き方の支援

 

(組織文化)

・サークル制度や定期イベントなど共感・共創意識を醸成し、前向きに仕事に取り組める文化の構築

・週報を通じた従業員の持続的な心身の健康と幸福への取組

 

(3)リスク管理

当社グループは、リスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤である内部統制システムと、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会を原則として四半期に一回開催することで、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備について、具体的な取組を行っているものの、本報告書提出日現在においては、当該指標についての目標を設定しておりません。

今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標を設定し、その進捗に合わせて開示項目を検討してまいります。

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項については、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社の経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。

 

(1) リスク管理体制

当社グループはリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。

 

(2) 主要な事業等のリスク
① 事業環境に関するリスク
a.自然災害発生等について

当社グループの事業拠点は、本社所在地である東京都港区にあり、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大災害が発生した場合、被災地域における本社損壊、停電、及び交通、通信、物流といった社会インフラの混乱及び途絶、クライアントの被災等により、業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限等の影響を受ける可能性があります。

当社グループとしては、自然災害、大火災等の緊急事態に遭遇した場合において、損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための体制構築に努めておりますが、不測の事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

b.景気変動リスクについて

当社グループの事業はコンサルティングサービスが中心であり、多くのクライアントと取引を行っております。当社の主要クライアントは、グローバルに展開する各業界のリーディングカンパニーであるため、国内のみならず、世界の先進国、新興国の景気変動がクライアントの経営状態に与える影響を通じて、当社が支援するプロジェクトの内容や受注内容に影響を与えます。

当社はクライアントとの関係を深化、新規クライアントの開拓、提供できる案件を拡充し、リスク低減に努めております。

しかしながら、国内外の景気動向により、主要クライアントの投資抑制に伴う発注金額の減少や大型案件の中止等の不測の事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

c.競合状況について

当社グループが手掛けるコンサルティングサービス事業は、大手コンサルティング会社と競合する可能性は高いと考えており、競合事業者に対する当社グループの優位性をクライアントに対して十分に訴求できなくなった場合は、売上の減少等、経営成績に大きな影響を及ぼすリスクがあります。

このリスクへの対応として、厳選採用による優秀な人材の確保を行い、プラクティス活動(注)により専門性を高める等、コンサルティングサービス品質の継続的な向上を図ることで優位性を確保してまいります。また、営業部門の拡大を行い、積極的な営業活動を行うことで新規顧客の獲得にも注力してまいります。

(注)プラクティス活動とは、One Poolの組織を維持しながらも、DXやSystem Transformation、Green Transformation、 Health Careなど、クライアントからのニーズが高いテーマの研究開発、営業活動を行う活動です。

 

② 事業内容に関するリスク
a.新規事業について

当社グループでは、収益基盤をさらに拡大するために、今後も新規事業への取り組みを進めていく方針ですが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。このため、当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当社グループの目論見どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

この影響への対応としては、子会社である株式会社ライズ・クロスとともに事業開発を行っていき、新規事業が目論見通りに推移しないと考えられた場合は、事業方針の転換や撤退を行うことも視野に入れ、取締役会を中心に判断を行うことで影響の低減を図ってまいります。

 

③ 事業運営に関するリスク
a.特定のクライアントへの依存について

当社グループの売上について、取引額上位10社の合計販売比率(最近連結会計年度における連結売上高に占める割合)は売上高全体の68.7%となっております。また、最近連結会計年度においては、株式会社NTTデータとの取引金額が売上高全体の28.8%を占めており、特定のクライアントへの依存度が高い状態にあります。当社グループでは、特定のクライアントへの依存による業績に対する影響を緩和するため、営業力を強化し、積極的な営業活動による新規顧客の獲得を通じて、営業基盤の拡大に努めて参ります

しかしながら、当該特定のクライアントにおける経営方針や業績の変化などによって、契約が想定外に短期間で終了した場合や、クライアントの意向により規模縮小などの契約変更を余儀なくされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.人材の確保、育成について

当社グループにおいては、人材が最重要経営資源であり、今後の企業規模拡大に向けて、当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用し、育成していくことが重要であると考えております。

しかしながら、コンサルティング業界における人材の争奪により、優秀な人材の採用・確保及び育成が計画通りに進まない場合や、優秀な人材の社外流出が生じた場合には、競争力の低下や事業規模拡大の制約、クライアントに提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このリスクへの対応としては、1Day選考会、リファーラル採用強化等の母集団形成施策に加え、採用オペレーションの迅速化・高度化に取り組み、包括的な採用力強化を行うこと及び従来からの新卒入社研修に加え、コンサルティング業務未経験の中途入社者向けの研修を拡充し、早期の戦力化を図ってまいります。

 

c.コンピューターウィルス感染のリスクについて

当社グループでは事業運営に際してパソコン及び携帯端末の利用が必要不可欠であり、従業員に貸与しているパソコン端末及び携帯端末など、事業に関連するすべての端末についてウィルス感染のリスクに常にさらされております。

当社グループでは、セキュリティソフトの全端末パソコンへの導入及び中央集権型管理を実施しているほか、私用デバイスのアクセスを制限するシステムツールの導入をすすめており、これらのリスクの低減に努めておりますが、不測の事態により当該パソコン及び携帯端末が利用できなくなった場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ コンプライアンスに関するリスク
a.情報管理について
・機密情報の管理について

当社グループのコンサルティングサービスは、クライアント先において、クライアントが抱えている経営課題を解決するための支援に従事しており、機密性の高い情報を取り扱っております。当社グループとしては、役員及び従業員に対して、入社時及び定期的に機密情報の取扱について指導・教育を行っております。

しかしながら、不測の事態により、これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、対応費用を含め当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・個人情報の管理について

当社グループのコンサルティングサービスの提供において個人情報を取り扱うことがあります。このため当社グループでは、役員及び従業員に対して、入社時及び定期的に個人情報の管理について指導・教育を行っております。しかしながら、不測の事態により、これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、対応費用を含め当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.訴訟について

当社グループは、クライアントと契約を締結する際に、事前にトラブル時の責任分担を取り決める等、過大な損害賠償の請求をされないようリスク管理を行っております。しかしながら、契約時に想定していないトラブルの発生等が生じた場合、クライアント等との何らかの問題が生じた場合、これらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起されるリスクがあります。係る損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 財務状況に関するリスク
a.多額の借入金と金利変動リスク及び財務制限条項について

当社は、金融機関等を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入れを行っており、最近連結会計年度末の総資産額に占める有利子負債残高の割合は29.00%となっております。当該借入は変動金利により行われているため、金融機関の融資情勢や市場金利の上昇による調達金利が変動した場合、当社グループの財政状態、経営成績及び資金繰りなどに影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の借入金のうち、金銭消費貸借契約に基づく借入金には、財務制限条項が付されております。財務制限条項に抵触する場合、貸付人の請求があれば当該契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となります。

なお、借入金の金額や金利リスクの状況及び財務制限条項の内容については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 19.借入金及びリース負債」に記載しております。

 

当社グループでは、上記の金融機関からの多額の借入に関係した、金利上昇に係るリスクと財務制限条項への抵触による債務の弁済リスクに対応するため、主に以下の取り組みを実施しておりますが、万が一何らかの事象によってこれらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があるとともに、かかる資金の確保ができない場合は、当社グループの他の借入についても期限の利益を喪失することが予測され、当社グループの存続に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

・収益性を重視した戦略立案と経営管理

当社グループでは、資産維持及び利益維持に関する数値基準が設けられている財務制限条項の抵触を回避するため、収益性を重視した戦略立案と経営管理を行っております。

 

・財務バランスを意識した資金計画の立案と実行

当社グループにおける主な資金需要は、コンサルタントへの給与支払い等の運転資金であります。財務バランスを悪化させるような不必要な追加借入を発生させないため、営業活動によるキャッシュ・フローの実績等を参考にした資金計画を立案し実行しております。

 

・金利条件及び財務制限条項に係る金融機関との交渉の継続

多額の借入金が計上されていることを踏まえ、当社グループでは、金融機関との金利条件及び財務制限条項に係る交渉を継続的に実施してきております。具体的には、LBOスキームの執行時に付された財務制限条項の見直し交渉により、金利条件及び財務制限条項の条件の良化を実現しました。今後も当該リスクのさらなる低減に向けて、引き続き、金融機関との交渉に努めてまいります。

 

b.のれんの減損について

当社は、2020年12月25日に旧株式会社ライズ・コンサルティング・グループの株式の過半数を取得しており、のれんを計上しております。当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、当社の将来の収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上することとなります。なお、日本基準において、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却しております。

当該リスクの対策として、経営成績の定期的なモニタリング、優秀な人材の採用・育成、新たな領域への展開を進め、将来の収益性を向上させて参りますが、これらの対策が計画通りに進まず当該のれんに係る減損損失を計上する場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、のれん減損テストについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.非金融資産の減損」に記載しております。

 

⑥ その他のリスク
a.大株主がファンドであること等について

当連結会計年度末において、Sunrise Capitalが当社発行済株式の34.9%を所有し、当該ファンドのサブアドバイザーを務めるサンライズキャピタル株式会社(2024年4月22日に「CLSAキャピタルパートナーズジャパン株式会社」から社名変更しました。)から、小中村政宗及び尾形健太郎(サンライズキャピタル株式会社から派遣されていた中村憲太が2024年5月31日に退任し、同日開催された第4回定時株主総会で、中村憲太の補欠監査役として尾形健太郎が当社社外監査役に選任されております。)が、社外役員として派遣されています。小中村政宗及び尾形健太郎は、社外役員として、ガバナンス強化、客観的な経営への助言、経営陣と株主との橋渡し等の役割を担う方針でありますが、株式の売却等による持分比率の低下等を勘案しながら、将来的には退任を想定しております。当該ファンドにおける当社株式の保有・処分方針によっては、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

なお、上記の株主の当連結会計年度末の当社株式所有割合等については、「第4 提出会社の状況 1 株主等の状況 (6)大株主の状況」に記載しております。

 

b.感染症パンデミック発生等によるリスクについて

新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴い、経済活動への影響は低減したものの、今後感染による重症化及び感染長期化をもたらす変異種が発生した場合や、新たな感染症等が世界的に拡大した場合においては、当社の企業活動にも一定の影響が生じることになります。

当社グループでは全社員を対象にテレワークやシフトワークを推進し、経営成績や財政状態への影響を最小限に留めるよう努めてまいります。

 

c.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、取締役及び従業員に対して、財政状態及び経営成績向上に対する意欲を高めることを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。新株予約権が権利行使された場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日の前月末現在(2024年4月30日)、新株予約権による潜在株式数は1,098,040株であり、発行済株式総数24,439,040株の4.5%に相当しております。

 

d.配当政策に関するリスクについて

当社グループは、収益力の強化や事業基盤の整備をさらに進め、内部留保の状況や当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、資本政策を決めていく方針であります。中でも、利益配分につきましては、経営成績及び財務状態を勘案の上、配当及び自己株式の取得等、最適な時期に最適な手法で行う方針です。

当該方針に基づき、現時点においては、将来の事業拡大に備えた内部留保の充実と有利子負債削減などの財務体質の強化のため、配当を行っておりません。将来的には、内部留保の状況等を勘案したうえで株主に対して安定的かつ継続的な配当を実施する方針でありますが、今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により、経済活動は緩やかに回復の動きが見られました。しかしながら、海外情勢の緊迫化に伴う各種物価の上昇や為替相場の変動など、我が国の経済を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。

このように激しく変化する市場環境に対応すべく、日本の各企業は、ビジネス機会の創出や更なる企業価値向上を目指すための積極的な取り組みを行っており、企業活動へのコンサルティング支援に対する需要は今後さらに高まっていくものと考えられます。

このような状況の下、当社グループでは、創業以来の強みとしている戦略策定から実行支援に至るまで一貫して顧客に深く入り込み、伴走型で課題解決に挑むスタイルの経営サービスを軸として、様々な業界に対し、戦略策定、業務改革、IT導入、DX推進等、あらゆる側面からの支援を行ってまいりました。また、積極的に人材の採用・育成を行い、より一層の成長に向けて取り組んでまいりました。

人材採用面においては、新たに76名のコンサルタント(新卒含む。)を採用し、期末時点のコンサルタント人員数は230名となりました。優秀な人材の厳選採用にこだわり、経験者採用については、基本的にコンサルティングファーム経験者を採用しております。異業種から入社する社員についても、充実した研修や適切なフォローアップを進め、コンサルタントの早期戦力化を図っております。

また、コンサルタントの稼働率((コンサルティング事業に係る売上高-外注売上高)÷100%稼働ベース仮定売上高)は通期で約90%と、引き続き高い収益性を実現しております。 

さらに、今期は全役職の基準単価の引き上げを行い、コンサルタント平均単価は通期で前年に比べ約2割上昇しました。
 

以上の結果、当連結会計年度における売上収益は6,155,972千円(前連結会計年度比 29.3%増)、営業利益は1,805,448千円(前連結会計年度比 31.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,315,359千円(前連結会計年度比 36.2%増)となりました。

当社グループは、コンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

(資産)

当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べて988,612千円増加し、8,521,930千円となりました。

流動資産は1,026,683千円増加し、2,849,721千円となりました。主な要因は、売上の増加等に伴う現金及び現金同等物の増加740,480千円、営業債権及びその他の債権の増加281,037千円であります。

非流動資産は38,071千円減少し、5,672,209千円となりました。主な要因は、減価償却に伴う使用権資産の減少46,471千円であります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べて433,734千円減少し、3,365,861千円となりました。

流動負債は138,117千円増加し、1,448,806千円となりました。主な要因は、課税所得増加による未払法人所得税の増加85,015千円であります。

非流動負債は571,851千円減少し、1,917,055千円となりました。主な要因は、返済等による借入金の減少525,657千円であります。

 

(資本)

当連結会計年度末の資本につきましては、前連結会計年度末に比べて1,422,346千円増加し、5,156,069千円となりました。主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益を1,315,359千円計上したことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ740,480千円増加し、1,892,573千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は、1,225,605千円(前連結会計年度比38.6%増)となりました。主な増加要因は税引前当期利益1,779,791千円(前連結会計年度比35.6%増)であり、主な減少要因は法人所得税の支払額408,519千円(前連結会計年度比29.5%増)であります。前年同期との主な変動要因は、売上の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は、1,548千円(前連結会計年度比93.5%減)となりました。主な内訳は有形固定資産の取得による支出1,527千円(前連結会計年度比93.6%減)であります。前年同期との主な変動要因は、前年同期と比較して役職員用のパソコンの購入に伴う支払が減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は、483,577千円(前連結会計年度比1.2%減)となりました。主な内訳は長期借入金の返済による支出532,440千円(前連結会計年度比84.6%減)であります。前年同期との主な変動要因は、前年同期において借入金の借換え(リファイナンス)による返済スケジュールの変更が発生したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループは、生産活動を行っていませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

当社グループは、受注生産を行っていませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

当社グループは、コンサルティング事業の単一セグメントであり、前連結会計年度及び当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

(自 2022年3月1日

    至 2023年2月28日

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

    至 2024年2月29日

販売高(千円)

前年同期比(%)

販売高(千円)

前年同期比(%)

コンサルティング事業

4,761,074

138.7

6,155,972

129.3

合計

4,761,074

138.7

6,155,972

129.3

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

(自 2022年3月1日

    至 2023年2月28日

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

    至 2024年2月29日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社NTTデータ

1,248,282

26.2

1,772,181

28.8

株式会社日立コンサルティング

546,909

11.5

266,088

4.3

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.前連結会計年度及び当連結会計年度における販売高増加の主な要因は、コンサルタントの増加に伴う

  業容拡大によるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び判断を必要としております。経営者は、これらの見積りを行うに当たり過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成に当たって特に重要と認識しているものは以下のとおりであります。

 

(非金融資産の減損 のれんの減損テスト)

当社グループは、のれんについて、毎期末又は減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。減損テストにおいて、資金生成単位の回収可能価額は、使用価値に基づき算定しております。

使用価値は、経営者が承認した5年以内の事業計画のうちのれんの資金生成単位である株式会社ライズ・コンサルティング・グループに係る係数を基礎とし、その後の成長率は同業他社の長期成長率等を加味して検討を行い、算出が困難な場合は保守的に0%と仮定して計算した将来キャッシュ・フローの見積額を、現在価値に割り引いて算定しております。この事業計画は、コンサルタントの人員計画及びコンサルタントの稼働率等を計画に基づいて見積り、過去の実績及び外部環境とも整合性を取ったうえで策定しております。

使用価値の測定で使用した割引率は、税引前加重平均資本コストを基礎に、外部情報及び内部情報を用いて事業に係るリスク等が適切に反映されるよう算定しております。

当該見積り及び仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する記載及び分析・検討内容
a.経営成績

(売上収益)

売上収益は、6,155,972千円(前連結会計年度比29.3%増)となりました。これは主に、新たに76名のコンサルタント(新卒含む。)の採用、充実した研修や適切なフォローアップによるコンサルタントの早期戦力化に加え、営業活動によりコンサルタントの稼働率((コンサルティング事業に係る売上高-外注売上高)÷100%稼働ベース仮定売上高)が通期で約90%となったことにより、コンサルティング事業の収益が好調に推移したことによるものであります。

(営業利益)

営業利益は1,805,448千円(前連結会計年度比31.1%増)となりました。これは主に、売上収益が大幅に拡大した一方で売上総利益率はほぼ前年と同水準を維持したことによるものであります。なお、売上原価及び販売費及び一般管理費に含まれる減価償却費の合計は72,027千円(前連結会計年度比1.1%減)であり、EBITDAは1,877,475千円(前年同期比29.5%増)であります。

(税引前当期利益)

税引前当期利益は1,779,791千円(前連結会計年度比35.6%増)となりました。これは主に、営業利益の増加に加え、借換に伴う借入金利息の減少等による金融費用の減少38,742千円によるものであります。

(当期利益)

当期利益は1,315,359千円(前連結会計年度比36.2%増)となりました。これは主に、順調な収益拡大およびコンサルタントの高稼働率の維持により営業利益が増加したことによるものであります。

 

b.財政状態

 財政状態の状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

  (a) キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(b) 財務政策

 当社グループの資金需要のうち主なものは、コンサルタントの人件費等の営業費用であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにより大部分の運転資金の確保が可能です。自己資金を中心としながら、必要に応じて金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としておりますが、今後の資金需要の額や使途に合わせて資金調達方法は柔軟に検討を行う予定です。

 なお、直近連結会計年度末において、現金及び現金同等物は1,892,573千円であり、十分な資金の流動性を確保しております。

 

d.経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の分析

 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、コンサルタント人員数、コンサルタント平均単価(月額)、稼働率を経営指標として重視しております。

・コンサルタント人員数:当社グループにおいては、人材が最重要経営資源であり、各企業のニーズに応えたコンサルティング業務を推進し、更なる事業の拡大を図るためには必要な人員数の確保が重要であると考えております。したがって、コンサルタント人員数の情報は、当社グループの経営資源の指標として、有用かつ必要であると考えております。

・コンサルタント平均単価(月額):コンサルタント人員数の拡大に加え、より単価の高い重要経営課題に対応するサービスを受注することが、当社グループの成長には欠かせないと考えております。したがって、一人当たりの平均単価であるコンサルタント平均単価(月額)の情報は、コンサルティングサービスの品質の評価に係る指標として、有用かつ必要であると考えております。

・稼働率:コンサルティング事業においては、コンサルティングサービスの需要に応じた最適な資源配分が重要な経営戦略となります。したがって、コンサルタントの稼働率の情報は、足元の需要の変化と当社グループの経営資源のバランスを把握する指標として、有用かつ必要であると考えております。

 

 各指標の実績等は以下のとおりであります。

経営指標

2022年2月

2023年2月

2024年2月

コンサルタント人員数(人)

148

185

230

コンサルタント平均単価(月額)(百万円)

2.2

2.3

2.7

稼働率(%)

96

96

88

 

 

  コンサルタント人員数は、上場による認知向上等により採用応募が増加傾向であり、期初計画219人を上回る230人となりました。

 コンサルタント平均単価(月額)は、2023年4月に全役職の基準単価アップを実施し、期初計画2.6百万円を上回る2.7百万円となりました。

 稼働率は、企業のニーズに応えたコンサルティングサービスを継続して提供している結果、高い水準で安定的に推移していると認識しております。営業活動やクライアントからのニーズが高いテーマの研究開発に取り組んだ結果、期初計画90%に対して、88%の着地となりました。

 

e.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

f.経営者の問題意識と今後の方針に関して

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題」をご参照ください。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 当社は、2022年6月17日開催の取締役会決議に基づき、既存借入金の借換え(リファイナンス)による資金繰りの安定化を目的として、以下のとおり金銭消費貸借契約を締結しております。

借入人

当社

エージェント

株式会社りそな銀行

貸付人

株式会社りそな銀行
株式会社横浜銀行

契約締結日

2022年6月27日

借入額

3,060,000千円

利率

日本円TIBOR+0.60%(年率)

 

(注) 当社が当該金銭消費貸借契約において確約している財務制限条項の内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 19.借入金及びリース負債」に記載しております。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。