当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、事業環境の急速な変化と高度化・多様化するお客さまのニーズに柔軟かつ迅速に対応するため、モバイル事業における付加価値の向上に努め、高品質なサービスを低廉な料金で提供し社会の発展に貢献するとともに、お客さまに満足していただける企業、親しみと尊敬に価する企業を目指してまいります。
また、キャッシュ・フローを重視した高収益企業体質を構築することにより、株主および投資家の皆さまにとって魅力ある企業となるよう努めていくことを会社経営の基本方針としております。
(2)中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
当社は、創業以来、沖縄県民皆さまからの支えにより、持続的な成長を実現してまいりました。今後、更なる成長を目指すフェーズに入りましたが、不安定な世界情勢、資源価格の高騰やお客さまニーズの多様化など、事業を取り巻く環境は激しく変化しております。また、人々の暮らしやビジネスの中で、デジタル化の流れは加速しており、通信事業の役割がますます重要になっています。
このような事業環境の変化を踏まえ、今後も持続的な成長を実現するため「中期経営計画2022年度-2024年度」を発表しました。中期経営計画では、本業を通じてさまざまな社会の課題解決に貢献するため、当社が優先的に取り組むべき課題として6つの重要課題(マテリアリティ)を特定しています。持続可能な社会の成長に貢献し、中長期的な企業価値の向上と、今後も更なる発展と沖縄の経済を牽引する企業となれるよう取り組んでまいります。
<中期経営計画(2022年度‐2024年度)>
中期経営計画では、持続的成長と企業価値向上を目指すサステナビリティ経営を根幹としました。通信を核とした両利きの経営の推進により、5Gによる既存事業の深化と成長領域の拡大、さらにそれを支える経営基盤を強化します。
■事業戦略
通信を核とした両利きの経営を推進し、5Gによる既存事業の深化と成長領域の拡大を図ります。
<既存事業の深化>
5Gネットワーク戦略について中期経営計画で掲げている「2024年度に人口カバー率95%以上」という目標については前倒しで達成し、現在人口カバー率96%強となっておりますが引続き更なるカバー率向上に向け5Gエリアを構築してまいります。また、au、UQ、povoの3ブランドによるマルチブランド戦略についても、幅広いお客さまのニーズに応え、エンゲージメントを高めることにより、契約数の着実な拡大と収益最大化を図ってまいります。
<成長領域の拡大>
成長領域の売上目標として2024年度に150億円規模を目指しています。ソリューション事業においては、急速に拡大する企業のデジタル化ニーズに対応し、デジタルの力で企業ごとの経営課題や社会課題を解決する「ビジネスDX」を推進し、お客さまとともに成長を目指します。また、沖縄の抱える社会課題に向き合い、通信の力を通した課題の解決や、事業創造による地域社会の持続的発展と利益成長を目指し、沖縄経済の発展に貢献します。
■経営基盤の強化
当社は、社会と企業の持続的な成長に貢献するため、以下の3項目の経営基盤を強化します。
①三位一体改革
人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営を意識し、「新人事制度」「社内DX」「新しい働き方」の三位一体改革に取り組みます。
②DX人材育成
ビジネスの変革となるDX基礎知識やマインドを全社員へ浸透させ、DXスキルの向上とプロフェッショナル人材の育成により、社内の業務効率化とお客さまへの提案力を強化します。
③カーボンニュートラル実現
沖縄セルラークリーンエネルギーロードマップ2030を実践し、省エネルギーの取り組みと再生エネルギーを活用することで、2030年にCO2排出量実質ゼロを目指します。
■財務目標
当社は、2024年度までに累計200億円規模の設備投資と成長に向けた戦略投資を実施し、経営目標である「3増(増収、増益、連続増配)」・「配当性向40%超」を達成し続け、持続的な成長を実現してまいります。
中期経営計画で掲げている「24年度EPS228円(21年度比+15%)を目指す」という目標については1年前倒しで達成しています。今後も更なる成長を目指し、資本効率化や利益成長に取り組んでまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、継続的な成長を実現するために、主な経営指標として営業収益、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、フリー・キャッシュ・フローを掲げており、これらの指標の変化に加え、利用者の動向を示す指標として各サービスの純増数、マルチブランド通信ARPU収入等を重視しております。
(4)経営環境
通信業界においては、人々の暮らしやビジネスの中で、デジタル化の流れは加速しており、通信の役割がますます重要になっています。
また、昨年末には電気通信事業法施行規則の一部が改正され、スマートフォンの端末割引などに関する新たな規制が始まるなど経営環境は大きく変化しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループは、「サステナビリティ経営」を根幹とし、通信を核とした両利きの経営の推進と経営基盤の強化により、サステナブルな価値を創造し、社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。
このうち経営基盤の強化としては、社会的な重要課題であるカーボンニュートラルの実現、人的資本経営を意識した三位一体改革、DX人材育成への取り組みも推進してまいります。
①ガバナンス
サステナビリティ推進体制
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しています。委員会メンバーは常勤役員会構成員、常勤監査役、サステナビリティ経営推進部長、総務部長で構成し、サステナビリティを全社経営戦略の柱として取り組んでいます。同委員会から取締役会へ定期的に報告することで取締役会がそれらを監視する体制をとっています。
マテリアリティ選定プロセス
当社グループは、中期経営戦略(2022年度-2024年度)の策定に伴い、沖縄県の課題、情報通信業界の課題、事業の課題などを抽出してサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、サステナビリティ委員会および取締役会で妥当性を審議し、確定しました。
②戦略
6つの重要課題(マテリアリティ)
沖縄県の課題、長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項と事業へのインパクトを軸に、中期経営戦略における課題を集約いたしました。
③リスク管理
当社のアプローチ(リスクマネジメント・内部統制の考え方)
企業を取り巻くビジネス環境が常に変化する状況において、企業が直面するリスクも多様化・複雑化しています。当社は、経営目標の達成に対し影響を及ぼす原因や事象を「リスク」と位置付け、リスクマネジメントの強化が重要な経営課題だと認識しています。事業を継続し社会への責任を果たしていくために、グループ全体でリスクマネジメント活動を推進しています。
当社のリスクマネジメント・内部統制活動
当社は、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。代表取締役社長を「内部統制責任者」とし、リスクマネジメント部が「内部統制事務局」を担い、内部統制責任者のもと、内部統制システムの整備・運用およびリスクマネジメント活動を推進するとともに、リスクが発現しにくい企業風土を醸成するための業務品質向上活動を展開しています。
リスクマネジメント活動サイクル
当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発現時には迅速かつ適切な対応が取れる危機管理体制を整備しています。
リスク特定プロセス
当社は、リスク情報を定期的に洗い出し、会社事業に重大な影響を与えるリスクを重要リスクと位置付け、これらの重要リスクの発現およびその発現した際の影響を可能な限り低減するための対応策を検討し、対策を講じています。2023年度は、経営目標を確実にするために、過去に顕在化した課題のほか、事業環境の変化を踏まえ、重要リスク29項目を選定し、リスクの予見、重要リスクの低減活動及びリスクアプローチによる内部監査を実施しました。情報セキュリティ活動においても、グループ会社の基準を統一し、グループ全体で情報セキュリティレベルの向上を推進し、情報セキュリティリスクの低減を図っています。
内部統制システム構築の基本方針
当社は、会社法第362条第5項の規定に基づき、「内部統制システム構築の基本方針」を取締役会にて決議し、決議内容および運用状況を対外的に公表し、会社業務の執行の公正性、透明性および効率性を確保するとともに、企業クオリティの向上に向けて、実効性のある内部統制システムの整備を図っています。
内部統制報告制度(J-SOX)への対応
2008年度から適用された金融商品取引法に基づく内部統制報告制度への対応として、財務報告の信頼を確保すべく、当社および連結子会社1社に対して、内部統制評価を実施しました。評価結果については内部統制報告書として取りまとめ、2024年6月に内閣総理大臣に提出し、投資家の皆さまに開示しています。
業務品質向上活動
当社は、スマートワーク推進室が推進役となり、社内のDX化、業務の効率化、標準化を図りながら、業務の質を高める業務品質向上活動に取り組んでいます。優秀で意欲的な業務改善案件に対して表彰する制度「社内DXコンテスト」を導入し、従業員一人ひとりの業務品質に対する意識・モチベーションの向上を図っています。さらに、業務品質の向上と生産性・効率性の向上を両立させる取り組みとして、RPA(Robotic Process Automation)に係るシステム環境および体制(制度・教育)を整備し、全社でのRPA導入を推進しています。
業務品質向上の浸透活動
•社員向けの活動報告及び共有(年3回)
•表彰制度の実施(年1回)
(2)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
①気候変動への対応
②生物多様性への対応
③人的資本・多様性への対応
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
①気候変動への対応
気候変動については、TCFDフレームワークに準拠して記載いたします。
(a)ガバナンス
・サステナビリティ委員会
当社は、サステナビリティ(SDGsや社会貢献、気候変動対策、生物多様性等)に関する課題審議やKPIの進捗確認を組織的・効率的に実施するための機関として、代表取締役社長が委員長を務め取締役会の主要メンバー等で構成するサステナビリティ委員会を2022年4月に設置しました。
サステナビリティ委員会では、気候関連のリスク及び機会について確認および議論を行うとともに、監視・監督や報告事項の承認を行う責任を担っています。また、同委員会は四半期毎に開催され、内容を取締役会に報告し、取締役会は重要な課題や取り組みに対する施策実施の監督および指示を行っています。
・カーボンニュートラル部会
サステナビリティ委員会の実行部隊としてカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを「カーボンニュートラル部会」の中で推進しております。気候変動に関するリスク・機会の分析や対応策などの検討を実施し、検討結果はサステナビリティ委員会での審議を経て取締役会へ報告しています。
(b)戦略
当社は、地球温暖化対策の重点課題として、COP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)で採択された「パリ協定」の長期目標や政府の地球温暖化対策および沖縄県の脱炭素社会実現に向けた「沖縄県クリーンエネルギー・イニシアティブ」を踏まえ、2021年5月にクリーンエネルギーロードマップ2030を制定し、CO2の自社排出量削減目標を「2030年度までに排出を実質ゼロ」の達成を目指すことを公表しました。
シナリオ分析では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表するシナリオや文部科学省・気象庁「日本の気候変動2020」等も参考にして、「パリ協定」の目標である2℃シナリオ(産業革命前からの全世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑えることを想定)と4℃シナリオ(気候変動対策が何らされず世界の温室効果ガスが現在より増加)の2つの分析を行いました。
シナリオ分析
シナリオ分析の結果、2℃シナリオの重要リスクであるエネルギー価格の高騰は、長期的に続くことが想定されるため、継続的な省エネ化・脱炭素化の取り組みを計画、実施します。4℃シナリオによる気温上昇、異常気象に伴うエネルギー消費量の増加や災害の激甚化・頻度上昇での影響を受けるリスクに対しては、BCP計画の随時見直しと定期訓練実施による影響の極小化に取り組んでいきます。
2℃シナリオ
リスク |
リスク要因 |
事業への影響 |
対応策 |
移行リスク |
<政策・法規制> GHG排出規制強化炭素税導入 |
カーボンプライシングの導入による費用増加、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギー等への転換等に関する法律」の導入による省エネ対策に要する支出の増加 |
・化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを計画 ・省エネ対策の導入 |
エネルギー政策・需要・供給量の変化 |
・燃料価格高騰によるコスト増加 ・輸送コスト増加 |
化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを計画 |
|
ステークホルダーからの 脱炭素化への要求 |
クリーンエネルギーロードマップ2030の取り組み遅れや目標未達による評判の悪化やESG評価の低下 |
化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを計画 |
|
物理リスク |
気温上昇 |
沖縄の気候は年平均気温が約1.4℃上昇が予想される |
本シナリオでの当社事業への影響は想定内であり、資本コストと運用コストに大きな変更はない |
4℃シナリオ
リスク |
リスク要因 |
事業への影響 |
対応策 |
移行リスク |
エネルギーミックス |
化石燃料に依存するため原油価格は2050年に+40%増加し、それに伴い様々なエネルギー価格が高騰し、支出の大幅増となる |
化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを計画 |
物理リスク |
台風等の異常気象の激甚化と頻度上昇 |
台風の大型化、頻度上昇に伴う通信設備の故障・障害発生とそれによる運用コスト増加および事業中断等による収益の減少等 |
BCP計画の見直しと災害復旧訓練実施による影響の極小化 |
暑熱の強度・頻度の増加 |
沖縄の年平均気温は約4.5℃上昇し、猛暑日、熱帯夜も大幅に増加するため、電力使用量の増加や通信設備等への対策コストの増加 |
高効率省エネ機器など対策の導入 |
(c)リスク管理
カーボンニュートラル部会は、気候変動に関するリスクについて影響度と発生可能性を議論・検証し、主要なリスクと機会を特定して管理していきます。管理対象のリスクは、関係する各主管部門においてリスク低減に関する定量的な年間目標を策定して進捗の管理と評価を行います。進捗内容については、カーボンニュートラル部会で議論・検証・共有を繰り返し、必要に応じて改善を図ります。改善内容や進捗は、サステナビリティ委員会と取締役会に報告します。
(d)指標及び目標
当社は、グループ会社を含めた温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)を算出し、環境負荷の定期的、定量的把握を通じて、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会の管理を行っています。以下の指標と目標を掲げ、KDDIと協力しながら温室効果ガス排出削減にむけた活動に取り組んでいきます。なお、当会計年度中の温室効果ガス排出量については集計作業中であることから、前年度(2022年度)分を掲載しています。
カテゴリー |
2021年度排出量 (t-CO2) |
2022年度排出量 (t-CO2) |
目標 |
|
Scope1 |
事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 |
|
|
2030年度までに排出を実質ゼロ |
Scope2 |
他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 |
|
|
2030年度までに排出を実質ゼロ |
Scope3 |
スコープ2以外の間接排出 |
|
|
2040年度までに排出を実質ゼロ |
(注)2023年度温室ガス排出量については、現在集計中となっております。
②生物多様性への対応
生物多様性については、TNFDフレームワークに準拠して記載いたします。
(a)ガバナンス
生物多様性に関するガバナンスは、「①気候変動への対応 (a)ガバナンス」で述べたとおりです。
(b)戦略
事業活動に関連する自然関連の依存・影響関係およびリスク・機会の把握を行ううえで、事業の重要性や自然との関係性から優先的に対処すべき事業分野を選定し(A.スコーピング)、選定した事業を細分化したうえで自然への影響依存を把握し(B.自然への影響依存の概観)、さらにロケーションの把握ができている活動分野においてロケーションベースの評価を行い(C.ロケーション評価、D.影響・依存評価)、関連するリスク・機会を整理しました。
今回の評価は、TNFDで推奨するLEAPアプローチに準拠して実施しており、今回は特に操業エリアのうち自然資本の観点から重要なエリアを特定する「L(Locate:発見する)」を中心に実施しました。
ロケーション情報に基づく評価
今回の評価では、事業規模が圧倒的に大きく、自然への依存・影響度も高い「通信事業」を主な評価対象として設定しました。基地局の設置、海底ケーブルの設置・運用、端末販売・契約(auStyle/auショップなどの営業所)について、ロケーション情報に基づき生物多様性などの重要性および自然との影響・依存関係を評価しました。
評価の結果、基地局については、離島(与那国、多良間、黒島等)や本島北部(比地、田港等)で特に生物多様性の重要性や完全性が高いことが示されました。また、基地局による陸域生態系利用の影響度、ならびに洪水・暴風害抑止への依存度が高い可能性が示唆されました
海底ケーブルについては、九州南部から琉球列島周辺の海域は世界的に生物多様性の重要性が非常に高いエリアであり、特に陸揚げ局周辺の浅海域が、生物多様性の重要性が高いことが示されました。海底ケーブルの設置に伴う生態系への影響については、科学的な知見の蓄積が十分とは言えないため、今後も最先端の知見の収集を行い、注意深く影響把握に努めていきます。
営業所(auStyle/auショップなど)については、石垣島、本島南部(糸満)、北部、宮古島で特に生物多様性の重要性や完全性が高いことが示されました。また、多くの店舗が水消費や土壌・水質汚染、陸域生態系利用による生物多様性への影響度が高いエリアに位置していることが分かりました。
リスク整理結果
ロケーション情報に基づく評価結果や文献など既存情報に基づく調査結果をもとに、リスクを簡易的に整理した結果、基地局やケーブル、営業所の操業について、様々な関連するリスクが想定されうることが明らかになりました。
当社では以下のような想定されるリスクに対し、生態系への影響を縮小するような対策やモニタリング、自然災害対策、生物多様性に関する普及啓発などを実施するともに、今後も予防的な観点に立ち、最新の情報を注視しながら対策を進めていきます。
(c)リスクの影響と管理
ロケーション評価及び影響・依存評価で検出された自然関連の重要なリスクへの対応策は、ガバナンスのパートで記載の通り、サステナビリティ委員会によって戦略展開され、取締役会の監督下で目標管理しています。
その他、自然関連リスク等の影響と管理について、取締役会、サステナビリティ委員会、カーボンニュートラル部会で役割・権限、メンバー、頻度を定め、議論や報告、検討を行なっています。
(d)指標及び目標
当社では「クリーンエネルギーロードマップ2030」に基づき、グループ会社を含めた温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)を算出し、環境負荷の定期的・定量的把握を通じて、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会の管理を行っている他、水使用量、産業廃棄物発生量などをモニタリングしております。
カテゴリー |
単位 |
2021年度 |
2022年度 |
水使用量(上水、中水、井水、下水、上下水) |
㎥ |
14,230 |
17,995 |
産業廃棄物発生量 |
t |
73.8 |
59.1 |
(注)2023年度の水使用量・産業廃棄物発生量については、現在集計中となっております。
今後、沖縄の環境保全ならびに地球環境保全に貢献するため、自然資本に関する戦略や目標達成に必要な指標の検討を進めていきます。
③人的資本・多様性
(a)戦略
当社グループに属するすべての会社で各種方針及び具体的な取り組みが行われているものではないため、当社グループにおける記載が困難です。このため、戦略及び方針については、当社のものを記載しております。
当社は、事業戦略を実行する人材の成長が会社の成長であり、会社の成長が沖縄県の発展に貢献すると考えています。当社が持続的に成長し、沖縄県の発展に貢献するために設定した6つの重要課題(マテリアリティ)の一つに「多様な人材の育成」と「働きがいのある労働環境の実現」があります。これらを人的資本戦略の骨子として据え、「多様な人材が働きがいを持てる企業」への変革を目指します。重要課題解決のプロセス評価にあたっては、エンゲージメントサーベイによって現状をモニタリングし、適切な取り組みに繋げていきます。
<人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針>
当社は今後、コアビジネスである通信事業を中核に様々な業種と連携し、沖縄県の課題を解決する企業への変革を目指しています。そのために新たな事業領域を推進していく多様な人材の獲得、育成が重要であると考えています。性別や年齢、障がいの有無などの違いはもちろんのこと、社員一人ひとりが持つ個性やこれまでに培ってきた経験、発想など、それぞれの違いを受け入れ、活かすことで新しい価値を生み出していきます。
(1)採用者および採用手法の多様化
当社は、これまで中長期的な育成を踏まえて新卒採用を中心に人材獲得に取り組んできましたが、昨今の加速度的な事業環境の変化や事業領域の拡大、また業務内容の高度化・複雑化に適応するためには、多様な人材の獲得が必要不可欠であると考えています。
キャリア採用による即戦力人材の獲得や新卒採用における初期配属確約コースの新設など、事業戦略と連動した効果的な採用手法を常に検討・実行することで、人材獲得力の強化を図っています。
(2)全社員のキャリア開発
当社は、社員一人ひとりの経験・スキル・価値観・思考などの多様性を尊重した上で、社員のキャリア開発に取り組み、組織の成長に繋げていきます。
キャリア自己申告アンケートと上長によるキャリア面談を年1回、全社員に実施しています。希望者については、キャリアコンサルタント(国家資格)を保有する人事担当者や社外のキャリアコンサルタントの面談を受けることができる環境を構築しています。また、2023年度に導入した新人事制度と連動した教育体系を構築し、運用をスタートしました。階層ごとの求める役割に沿って、Off-JT(集合研修)、Eラーニング、免許・資格取得など学習方法を社員自身が選択し、会社のビジョンやミッションと社員が自ら描くキャリアビジョンとを擦り合わせながら、社員が自律的に業務や能力開発に取り組めるように支援しています。
(3)DX人材の育成
経営基盤強化において重要施策と位置付ける社内DXの推進を目的として、役員を含め全社員がDX基礎研修の受講を通してスキルのボトムアップを目指します。また更に高度なDXコア専門スキルについては社員を選抜し育成を行い、各専門領域におけるプロフェッショナル人材の育成を目指します。2023年度は社内DXをさらに加速させるべく、入門者向けのAI Chatワークショップを開催しました。KDDIが構築した社内向けの生成系AIサービスを活用することでセキュアな環境を実現しつつ、実際の利用方法をハンズオンで体験することで業務効率化を推進しています。併せて、情報セキュリティ上の留意すべきポイントや利用ルールについても理解を深めてもらい、コンプライアンス意識の向上を図っています。
<社内環境整備に関する方針>
今後、多様な人材が活躍するためには、「働きやすさのさらなる追求」と「働きがいの創出」が重要であると考えます。社員一人ひとりのワークライフバランスに配慮しながら、持続的に能力を発揮できる環境を追求するとともに、社員の自発的な姿勢から生み出されるチャレンジや創意工夫などの付加価値を称賛・評価することで働きがいを創出していきます。それにより人材が定着・活躍することで、当社の持続的な成長や生産性向上を図っていきます。
当社は、人の健康とウェルビーイング(心身と社会的な健康)をサポートする建築や街区の環境を評価する「WELL Building StandardTM v2」(WELL認証 v2)の予備認証を2024年1月に県内で初めて取得しました。電動上下昇降機能付き天板でさまざまな姿勢に対応するデスクの導入や運動、休息スペースの設置、社員食堂でのカロリー、アレルギー表示など健康経営の取り組みが評価されました。オフィス環境を整備することにより、社員の働きやすさ、さらには働きがいの向上を目指しています。
すべての社員が働きがいを持って自律的に仕事と向き合い、一致団結して事業活動に取り組める組織風土を醸成し、更なるイノベーション創出に繋げていきます。
(1)年功序列型から成果評価型人事制度へ
当社は、人事制度(評価・報酬・等級制度)を2023年度より全面改定しました。これまでの年功序列的な人事制度から役割等級に応じたチャレンジ・プロセス・実績を適切に評価した上で、最短1年で昇格可能な制度となります。制度の効果的な運用や定着に向けて、評価者向けの説明会を複数回に分けて実施するとともに、評価時期ごとに人事担当者と全評価者が参加するディスカッションの場も設けています。
制度の運用・定着により、社員が自らの意志で高い目標を立て、その達成に向けて創意工夫・改善を繰り返す意識を醸成していきます。また、評価の透明性を高め、成果を適正に報酬へと紐づけることで、社員の働きがい向上を目指します。
(2)価値観の共有(経営理念/フィロソフィ)
人材の多様性を促進する一方で、当社の存在意義や事業の目的を共有することを大切にしています。
経営の理念に基づく「沖縄セルラー・コアバリュー」「沖縄セルラーフィロソフィ」の浸透を図るため、部門横断でグループを構成し、毎月コアバリュー・フィロソフィをテーマに意見交換の場を設け、事業の目的や行動指針の共有に努めています。また、理念の実践として、ビーチクリーン活動や台風時の無料充電サービスの提供、通信技術のお客様体験イベントとして2021年度より実施している沖縄セルラー感謝祭の開催など、社員自らが発案者となり、地元に貢献するCSR活動を継続的に行っています。
(3)多様な働き方の実践
当社は、ワークライフバランスの実現や生産性向上を図るためテレワーク環境の更なる充実に取り組みます。強固なセキュリティが担保されたゼロトラスト型セキュリティ対応パソコンを配布することで、業務効率の向上を目指しています。また、社員アンケートから子育てや介護と仕事の両立に関する課題を洗い出し、2023年12月にフレックス制度を導入しました。
(4)女性の活躍支援
当社は、沖縄セルラーフィロソフィや行動指針においてダイバーシティに対する基本方針を定めています。社員同士が互いに支え合う組織風土、テレワーク環境の構築や柔軟な勤務体系の整備により、女性の育児休業取得後の復帰率は100%を維持しています。
採用においても、性別によらず優秀な人材の採用に取り組んできました。新卒採用の女性社員が出産・育児を経験しながらも着実にキャリアを積み、管理職への登用も進んでいます。女性管理職の構成比率については15%(2026年度までに)を目標値としており、今後も自社の課題を捉え、継続的な支援拡充を目指していきます。
(5)男性の育児休業・育児目的休暇の取得
男性が育児のために休暇を取得する前例が少なかったことや育児休業による収入減少への懸念などもあり、男性社員の育児休業の取得率は低い状況にありました。この状況を解消するため、「育児目的休暇」の新設を行い、男性の育児参加を推進しています。また、ワークライフバランスを考える家事育児分担ワークショップを開催する等、社員同士のコミュニケーションを通じて新たな視点や気づきを得る機会を創出しています。
(b)指標及び目標
当社グループに属するすべての会社で指標及び目標の設定が行われているものではないため、当社グループにおける記載が困難です。このため、指標に関する目標及び実績は、当社のものを記載しております。
戦略及び方針 |
指標 |
(目標) |
当事業年度 (実績) |
2024年度 (目標) |
人材育成方針 |
|
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|
8人 |
|
|
|
26人 |
|
|
|
|
320人 |
|
DXコア専門スキル研修 受講者数 |
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|
60人 |
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女性の育児休業取得後の 復帰率 |
|
|
100% |
|
社内環境整備方針 |
|
|
|
100% |
女性の育児休業取得後の 復帰率 |
|
|
100% |
|
男性の育児休業・育児目的 休暇の取得率 |
|
|
100% |
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、現時点では必ずしもリスクとして認識されない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
当社は、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。また、グループ全体の持続的な成長を実現するため、当社のみならず子会社を含めグループ全体でのリスクマネジメントの推進に取り組んでいます。当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発見時には迅速かつ適切な対応がとれる危機管理体制を整備しています。当社グループは、これらのリスクによる問題発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の適時適切な対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありませんのでご留意ください。
(1)他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化
当社を取り巻く環境は、競争促進政策の強化や異業種からの新規参入に伴い、通信各社のサービス・料金プランが多様化し、経営環境は大きく変化しております。
このような市場環境の中、当社は、沖縄県において約5割のシェアを持つモバイル事業、3割のシェアを持つFTTH事業を基盤とし、沖縄電力と協業してサービス提供しているau でんきなどの非通信事業を組み合わせた総合力でお客さまのニーズに応えてまいります。
当社グループはお客さまに向けたサービス内容の拡充に努めておりますが、他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化により、主に以下の事項に不確実性が存在し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループの期待通りの需要が存在するかどうか
・当社グループの期待通りに契約数を維持拡大できるかどうか
・人口減少、高齢化に伴い期待通りの収入をあげられるかどうか
・新規事業への参入等により期待通りの収入をあげられるかどうか
・競争激化に伴う料金値下げによる通信料収入の低下、販売コミッションやお客さま維持コストの増大
・契約者のサービス利用頻度が下がることによる通信料収入の低下
・不測の事態が発生した場合であってもネットワーク及びコンテンツの品質等がお客さまの満足度を維持できるかどうか
・他の事業者と比較して、常により魅力のある端末やコンテンツ等の商品、サービスを提供できるかどうか
・物販事業拡大に伴う商品不具合への対応
・端末の高機能化等に伴う端末価格の上昇、販売コミッションの増加
・迷惑メール、主にスマートフォンのセキュリティ脆弱性がもたらす脅威によるお客さま満足度の低下や防止対応コストの増加
・新周波数対応による基地局建設やデータトラフィック急増に伴うネットワークコストの増加
・当社の必要に応じた周波数を獲得できるかどうか
・新たな高速データ無線技術による競争激化
・通信方式、端末、ネットワーク、ソフトウェア等における特定技術への依存による影響
・無料通話アプリ等の拡大に伴う音声通話料収入の縮小
・他の電気通信事業者との接続料金値上げの可能性
・異業種との提携、固定通信と移動通信のセット販売、MNO、MVNO事業者の新規参入、他事業者の事業領域の拡大等の事業環境の変化に伴う競争の激化
・為替相場の急激な変動
・auでんきにおける燃料価格の著しい変動に伴う燃料費調整制度の影響
(2)通信の秘密及び顧客情報の不適切な取り扱いや流出、及び当社の提供する製品・サービスの不適切な利用等
近年、サイバー攻撃でのウイルス感染により、重要な機密情報が外部流出する事故が多数発生しており、大きな社会問題となっています。また、携帯電話等の通信サービスを利用した振り込め詐欺、迷惑メールの送信等の犯罪も問題化しております。
当社は取り扱う情報資産の保護、管理に関して、内部からの情報漏洩防止、及び外部ネットワークからの不正侵入の防止に関わる全社的対応策の策定と対応を実施しております。顧客情報を管理している顧客情報システムの利用権限の管理、利用監視の強化、アクセスログの保存、社内データの持出や業務パソコンから外部メモリーへのコピーの禁止等、技術的、組織的、人的の観点から各種安全管理措置を強化しております。これらの啓発活動として、当社全社員に対して継続的に教育を行い、また、業務委託先、特にau・UQ販売店に対して店舗業務の改善、監査、並びに教育を徹底し、管理強化を図っております。
また、お客さまに安心・安全に製品・サービスをご利用いただくための取り組みとして、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」等に基づき、未成年のご契約時は原則としてフィルタリングサービスの設定を実施するとともに、フィルタリングサービスの利便性向上や認知度向上にも積極的な取り組みを実施しております。また、振り込め詐欺、迷惑メールの送信等の犯罪対策として、支払方法の制限による本人確認強化、契約回線数の制限による大量不正契約防止、本人確認が行えない回線の契約者情報の携帯事業者間での共有・審査の強化、振り込め詐欺などの特殊詐欺に利用された固定電話番号等の捜査機関からの要請に対しての停止措置などを実施しております。
このように個人情報・顧客情報については社内管理体制を整備し、社員及び業務委託先等の個人情報・顧客情報に対する意識を高めるよう全社を挙げて取り組んでおりますが、これらの取り組みにもかかわらず、従業員の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃等により、通信の秘密及び顧客情報の漏洩、サービスの停止・サービス品質が低下した場合、もしくは、当社の提供する製品・サービスが不適切に利用された場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、莫大な補償・課徴金を伴う可能性があります。また、将来的に通信の秘密及び個人情報・顧客情報保護、サイバー攻撃への防護体制の整備のため、更なるコストの増加につながり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)通信障害・自然災害・事故等
当社グループは音声通信、データ通信等のサービスを提供するために、国内外の通信ネットワークシステム及び通信機器等に依存しております。ネットワークシステムや通信機器の障害などによるサービスの停止が発生した場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、顧客満足度の低下により財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは通信障害・自然災害・事故等によるサービスの停止、中断等のリスクを可能な限り低減するため、ネットワークの信頼性向上とサービス停止の防止対策に取り組んでおります。具体的には、災害時においても通信サービスを確保できるよう、防災業務実施の方針を定め、災害に備えた対策を図り、関係機関と密接な連絡調整を行っています。災害が発生した場合には、各社組織の各機能を最大限に発揮して24時間365日、通信の疎通確保と施設の早期復旧に努めております。
しかし、ネットワークシステムや通信機器の障害などによるサービスの停止や大規模な誤請求・誤課金、販売代理店の閉鎖や物流の停止に伴う商品・サービスの提供機会損失・SNSなどの媒体を通じた風評被害等が発生した場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、顧客満足度の低下により財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
長期化するウクライナ情勢等は、エネルギー資源や原材料価格の高騰につながっており、今後の内外経済に与える影響により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響による当社グループの業績への影響は、現時点で軽微と考えておりますが、今後の感染拡大の状況によっては当社グループの事業活動及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのサービスの提供が停止する主な事由として以下のものが考えられます。
・地震及び津波、台風、洪水等の自然災害やそれに伴う有害物質の飛散等の二次災害
・感染症の世界的流行(パンデミック)
・戦争、テロ、事故その他不測の事態
・電力不足、停電
・コンピューターウィルス、サイバーアタック、ハッキング
・オペレーションシステムのハード、ソフトの不具合
・通信機器等の製品やサービスに係る欠陥
(4)電気通信事業等に関する法規制、政策決定等
電気通信や割賦販売等に関する法律、規制の改廃または政策決定等が、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループのブランドイメージや信頼性に悪影響を与える社会的問題を含め、こうした法規制や政策決定等に対して当社グループは適切に対応していると考えておりますが、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、今後の競争政策の在り方について、総務省等における様々な審議会や研究会、意見募集等を通じて、他の電気通信事業者等との公正競争を有効に機能させるための措置の必要性を訴えておりますが、この取り組みに関わらず結果として当社の競争優位性が相対的に損なわれた場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2024年4月に「日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律」(以下 改正NTT法)が成立し、改正NTT法の付則で「日本電信電話株式会社等に関する法律の廃止を含め」検討することおよび「令和七年に開会される国会の常会を目途」と時限を設ける旨が規定されたことは、今後の議論に先立ち、あらかじめ法制度のあり方を方向づけるとともに拙速な議論を招きかねず、極めて強い懸念があります。
日本の電気通信事業の公平な競争環境の確保は、公正競争ルールを規定した電気通信事業法と、日本電信電話公社から資産や設備を継承した日本電信電話株式会社と東日本電信電話株式会社および西日本電信電話株式会社に対して公益的な責務などを課す「日本電信電話株式会社等に関する法律(以下 NTT法)」を組み合わせて実現されるものであり、NTT法も含め通信政策の見直しを検討していくことは必要ですが、NTT法の廃止には慎重な検討が必要と考えております。NTT法の廃止が行われた場合、以下の懸念があり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
・NTTグループ一体化で日本の健全かつ公正な競争環境が阻害され、利用者料金の高止まりやイノベーションの停滞など国民の利益が損なわれる懸念
・NTTがユニバーサルサービスの提供に関する公益的な責務を負わなくなることで、地域を問わず安心安全・強靭かつ高速・大容量の通信環境実現が困難となる懸念
・NTTグループの強大な市場支配力により、地域事業者が排除され、地域サービス衰退の懸念
その他、電気通信事業等に関する法律、規制の改廃または政策決定や当社グループの競争優位性等の観点で、主に以下の不確実性が存在しています。
・事業者間接続料金の算定方式、会計制度の見直し
・指定電気通信設備制度、禁止行為規制の見直し
・ユニバーサルサービス制度の見直し
・MNO、MVNO等による移動通信事業への新規事業者参入
・周波数割り当て制度の見直し
・電波利用料制度の見直し
・電波の健康への影響に関する規制
・NTT東・西の固定電話網のIP網への移行に関するルール
・NTTグループの事業の在り方に関する規制
・独占禁止法及びそれに関するルール
・消費者保護に関するルールの見直し
・有害サイトの増加等によるインターネットに対するルール規制
・電気通信サービスの利用に対する規制
・電気通信サービスの料金その他の提供条件に関するルール
・インターネットのサービス品質計測及び広告表示に関するルール
・電話リレーサービス制度の見直し
・電気小売の自由化に関するルール
・データ管理・利活用に関するルール
(5)公的規制
当社グループは、独占禁止法、特許、消費者、租税、環境、リサイクル関連、労働、金融、電力等の法規制の適用を受けております。当社グループは、これらの法規制に係る情報を早期に収集し、必要な手続・対応をおこなっております。しかし、これらの規制が強化された場合や当社グループ及び業務委託先等において規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限され、コストの増加につながる可能性があります。
(6)訴訟等
当社グループは、法令その他社会規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行っております。また、保有する商品、技術またはサービスに係る知的財産権を保護するとともに、第三者の知的財産権を侵害しないように努めています。しかし予期せぬ知的財産権を含む各種権利等の侵害を理由とする訴訟が提訴され、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、植物工場での水耕栽培による野菜の生産及び生産物の販売等を行う「植物工場事業」や、当社が運営するポータルサイトを活用した物品の販売などを行う「EC事業」を展開しております。これらの事業においては、安全性の確保を最優先事項として取り組んでおりますが、万一食中毒や安全衛生に関する事故、表示ミスによる商品事故等が発生した場合には、企業イメージの失墜や訴訟などによる損害賠償の支払い等によって、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材の確保・育成
当社グループは、今後事業拡大に伴う適切な人員の増強、内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、業容拡大に対して適切かつ十分な人材の確保及び育成または組織的な対応を迅速に行うことができない場合には、当社グループの業務に支障が生ずる可能性があります。また、将来的に人材投資コストが増加する可能性があります。
当社グループは法令に基づき適正な労務管理、働き方改革の推進に努めておりますが、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜により、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)電気通信業界の再編及び当社グループの事業再編
国内外における電気通信業界の再編は、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、将来において当社グループの事業再編を行う可能性もありますが、この再編が当社グループに好影響を与えるかどうかの保証はありません。
(9)減損会計
当社グループは、将来において、保有する固定資産等の使用状況等によっては、損失が発生する可能性があります。
(10)KDDI株式会社との関係
当社の親会社であるKDDI株式会社(2024年3月31日現在、当社の発行済株式総数の50.9%保有)は、多数株主として取締役の任免権など経営に影響を及ぼし得る立場にあります。
現在、当社はKDDI株式会社と同一のブランド「au」を標榜し、自ら経営責任をもち独立して事業運営を行っておりますが、通信設備等の開発や運用、研究開発や端末の調達など、取引の多くをKDDI株式会社へ高く依存しており、KDDI株式会社の財政状態及び業績が何らかの原因により著しく低下した場合やKDDI株式会社の方針の変更等により当社事業への協力体制が著しく変更された場合、KDDI株式会社のブランドイメージや信頼が何らかの原因により著しく損なわれた場合には、当社グループの財政状態及び業績、今後の事業展開に影響を受ける可能性があります。また、当社がKDDI株式会社に吸収合併されたり、完全子会社化された場合には、当社株主は当該株主としての地位の変更を余儀なくされる可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
わが国経済は、雇用・所得環境が改善するなか、景気はこのところ一部に足踏みもみられますが、各種政策の効果もあり、緩やかに回復しております。ただし、物価の上昇、金融資本市場の変動などにより、わが国の景気を下押しするリスクがあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社業務区域である沖縄県の経済におきましては、物価上昇が見られるものの個人消費は緩やかに増加しております。雇用・所得環境も緩やかに改善しており、観光産業含め県内景気は拡大基調となっております。
通信業界においては、人々の暮らしやビジネスの中で、デジタル化の流れは加速しており、通信の役割がますます重要になっています。
また、昨年末には電気通信事業法施行規則の一部が改正され、スマートフォンの端末割引などに関する新たな規制が始まるなど経営環境は大きく変化しております。
このような情勢のもと、当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における当社のグループ会社を含めた経営成績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
増減 |
増減率 |
営業収益 |
77,299 |
77,990 |
691 |
0.9 |
営業費用 |
61,367 |
60,976 |
△390 |
△0.6 |
営業利益 |
15,932 |
17,014 |
1,082 |
6.8 |
経常利益 |
16,130 |
17,188 |
1,057 |
6.6 |
親会社株主に帰属する |
10,852 |
12,129 |
1,277 |
11.8 |
当期における営業収益については、au でんき売上等が減少したものの、マルチブランド通信収入の増加や端末販売収入が増加したことなどにより、前期比691百万円増加(0.9%増)の77,990百万円となりました。
営業費用については、端末販売原価や営業関連コストなどが増加したものの、au でんき原価が減少したことなどにより、前期比390百万円減少(0.6%減)の60,976百万円となりました。
これらの結果、営業利益は前期比1,082百万円増加(6.8%増)の17,014百万円、経常利益は前期比1,057百万円増加(6.6%増)の17,188百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1,277百万円増加(11.8%増)の12,129百万円となりました。
また、設備投資の状況については、離島海底ケーブルの竣工、高速データ通信サービスに係る設備及びモバイルサービスにおけるデータトラフィックの増加に伴う通信設備の増設、FTTHサービスに係る設備の拡張などを実施しました。なお、工事負担金等の受入れに伴い圧縮記帳を行った結果、設備投資額は8,597百万円となりました。
当社グループは単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
なお、当社グループにおけるサービス別の実績は、次のとおりであります。
(モバイルサービス)
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
増減 |
増減率 |
|
純増数 |
12,700 |
15,500 |
2,800 |
22.0 |
|
総契約数 |
662,200 |
677,600 |
15,500 |
2.3 |
|
端末販売台数 |
151,200 |
154,100 |
2,900 |
1.9 |
|
マルチブランド総合収入(百万円) |
41,855 |
43,631 |
1,775 |
4.2 |
|
|
マルチブランド通信収入 (百万円) |
35,372 |
36,703 |
1,330 |
3.8 |
|
マルチブランド付加価値収入 (百万円) |
6,483 |
6,927 |
444 |
6.9 |
(注)1.純増数、総契約数及び端末販売台数は百契約未満を四捨五入しており、増減は端数処理後の数値を記載しております。
2.純増数、総契約数、端末販売台数については、au、UQ、povo、3ブランドにおけるスマートフォン、フィーチャーフォンの合計(ハンドセット)を記載しております。
3.マルチブランド:au、UQ、povoのモバイル3ブランドの総称
4.付加価値:自社・協業・補償サービス+決済手数料など
当期におけるモバイルサービスの状況につきましては、マルチブランド戦略の推進や、ネットワーク品質の向上など、お客さま重視のサービスに取り組んだ結果、前期と比較して総契約数が15,500契約増加(2.3%増)の677,600契約となりました。
マルチブランド総合収入は、前期比1,775百万円増加(4.2%増)の43,631百万円となりました。このうち、マルチブランド通信収入については、前期比1,330百万円増加(3.8%増)の36,703百万円となりました。マルチブランド付加価値収入については、前期比444百万円増加(6.9%増)の6,927百万円となりました。
(FTTHサービス)
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
増減 |
増減率 |
純増回線数 |
4,300 |
5,200 |
900 |
20.9 |
累計回線数 |
119,100 |
124,300 |
5,200 |
4.4 |
(注)1.純増回線数及び累計回線数は、auひかりちゅら、auひかりちゅらビジネス及びひかりゆいまーるなどの合計を記載しております。
2.純増回線数及び累計回線数は百回線未満を四捨五入して表示しており、増減は端数処理後の数値を記載しております。
当期におけるFTTHサービスの状況につきましては、純増回線数は前期比900回線増加(20.9%増)となり5,200回線、累計回線数は前期比5,200回線増加(4.4%増)の124,300回線となりました。
(ライフデザインサービス)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
増減率 |
(自 2022年4月1日 |
(自 2023年4月1日 |
|||
至 2023年3月31日) |
至 2024年3月31日) |
|||
純増件数 |
△17,500 |
12,400 |
29,900 |
- |
契約件数 |
62,600 |
75,000 |
12,400 |
19.8 |
(注)1.純増件数及び契約件数は、au でんきの契約数を記載しております。
2.純増件数及び契約件数は百契約未満を四捨五入して表示しており、増減は端数処理後の数値を記載しております。
当期におけるライフデザインサービスの状況につきましては、純増件数は前期比29,900契約増加の12,400契約、契約件数は前期比12,400契約増加(19.8%増)の75,000契約となりました。
②財政状態の状況
|
前連結会計年度 (2023年3月31日) |
当連結会計年度 (2024年3月31日) |
増減 |
増減率 |
|
資産(百万円) |
119,651 |
115,573 |
△4,078 |
△3.4 |
|
負債(百万円) |
18,529 |
18,091 |
△437 |
△2.4 |
|
|
有利子負債(百万円) |
106 |
44 |
△62 |
△58.3 |
純資産(百万円) |
101,121 |
97,481 |
△3,640 |
△3.6 |
|
自己資本比率(%) |
82.6 |
82.3 |
△0.3ポイント |
- |
当連結会計年度末の資産の合計は、前連結会計年度末と比較して4,078百万円減少(3.4%減)の115,573百万円となりました。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末と比較して437百万円減少(2.4%減)の18,091百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産の合計は、前連結会計年度末と比較して3,640百万円減少(3.6%減)の97,481百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
増減 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
14,642 |
11,330 |
△3,311 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△3,938 |
4,913 |
8,852 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△10,633 |
△16,346 |
△5,712 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
70 |
△101 |
△171 |
現金及び現金同等物の期首残高 |
3,193 |
3,263 |
70 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
3,263 |
3,162 |
△101 |
フリー・キャッシュ・フロー |
10,704 |
16,244 |
5,540 |
(注)フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,162百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは16,244百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローについては、未払金の増減額が増加に転じたことや税金等調整前当期純利益が増加したものの、売上債権が増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して3,311百万円収入が減少し、11,330百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローについては、関係会社短期貸付金の回収による収入の減少や有形固定資産の取得による支出が増加したものの、工事負担金等受入による収入の増加や関係会社短期貸付金による支出が減少したことなどにより、前連結会計年度と比較して8,852百万円支出が減少し、4,913百万円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローについては、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が減少したものの、自己株式の取得による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して5,712百万円支出が増加し、16,346百万円の支出となりました。
④仕入及び営業の実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
品種別 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比 (%) |
携帯端末機器及び付属品 |
14,088 |
111.3 |
b.営業実績
当連結会計年度の営業実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
事業部門 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比 (%) |
電気通信事業 |
50,515 |
102.5 |
附帯事業 |
27,475 |
98.1 |
合計 |
77,990 |
100.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本稿に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感などの将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、不確実性を内在、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループは、特に当社の連結財務諸表の作成において使用される以下の重要な会計方針が、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.固定資産の耐用年数及び償却方法
固定資産の耐用年数については適正に見積もっております。当連結会計年度末時点では新たに耐用年数及び償却方法の変更が必要な重要な資産はありません。なお、今後、市場、環境及び技術上の変化が急速に進展した場合、あるいは新たな法律や規制が制定された場合には、適正な見積りを実施した上で耐用年数及び償却方法を変更する可能性があります。
b.固定資産の減損
減損損失の算定にあたっては、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位によって資産のグループ化を行っております。
固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
現時点では、当社グループに重要な含み損を抱える資産等はありませんが、今後、保有する固定資産等の使用状況等によっては、損失が発生する可能性があります。
c.退職給付費用及び退職給付債務
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、死亡率、退職率、予想昇給率などがあります。割引率は複数の社債利回りを基礎に算出しており、死亡率、退職率、予想昇給率は統計数値に基づいて算出しております。
実際の結果が前提条件と異なる場合、または変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債に影響を及ぼします。
d.引当金等
引当金については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当連結会計年度における営業収益は77,990百万円となり、前期比691百万円増加となりました。営業利益は17,014百万円となり、前期比1,082百万円の増益、経常利益は17,188百万円となり、前期比1,057百万円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は12,129百万円となり、前期比1,277百万円の増益となり、過去最高益を更新することができました。
(連結業績推移)
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|
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(営業収益)
当連結会計年度における営業収益は77,990百万円となり、前期比691百万円増加となりました。その主な増減要因は以下のとおりです。
増減要因
増加要因
・総契約数の増加
当連結会計年度末のモバイルサービスの総契約数は677,600契約となり、前期末比15,500契約増加(2.3%増)となりました。
・FTTH回線数の増加
ひかりゆいまーるの新規回線増加やシェア5割超のモバイルとのバンドルが推進力となり、当連結会計年度末のFTTH累計回線数は124,300回線となり、前期末比5,200回線増加(4.4%増)となりました。
減少要因
・auでんきの売上減少
auでんき売上は前期比2,860百万円減少となりました。
(営業費用)
当連結会計年度における営業費用は、端末販売原価の増加があったものの、auでんき原価の減少などにより、前期比390百万円減少の60,976百万円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は17,014百万円となり、前期比1,082百万円の増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は12,129百万円となり、前期比1,277百万円の増益となりました。
b.財政状態の分析
(資産)
資産については、売掛金が増加したものの、関係会社短期貸付金が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比較して4,078百万円減少(3.4%減)の115,573百万円となりました。
(負債)
負債については、未払法人税等が増加したものの、買掛金や未払金が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比較して437百万円減少(2.4%減)の18,091百万円となりました。
(純資産)
純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上があったものの、配当金の支払いや自己株式の取得及び消却があったことなどにより、前連結会計年度末と比較して3,640百万円減少(3.6%減)の97,481百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は82.3%(前連結会計年度末は82.6%)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、携帯端末機器及び付属品の購入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであり、設備資金等の所要資金は自己資金で賄っております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、資金調達に関し、低コストかつ安定的な資金の確保を基本に、財務状況や金融環境に応じ、最適と思われる調達手段を選択しております。
なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は44百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,162百万円となりました。これらのいわゆる手元流動性残高につきましては、当社の財政状態及び金融環境に応じ変動しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。