第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 ①経営成績の状況

 国内環境は、海外や国内の旅行者が増加し、雇用・所得環境に改善がみられるなど、景気の緩やかな回復基調が続く一方で、高まる中東情勢の緊迫化やウクライナ情勢の深刻化など不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、中国経済の景気減速、原材料価格やエネルギーコストの高騰などを背景とした世界的なインフレ再加速が懸念され、消費活動の鈍化や引き締め的な金融政策の長期化、再度の利上げリスクにつながる恐れがあり、先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況のなか、移動体通信分野では、世界各国で第5世代移動通信方式(5G)の商用サービスが開始され、移動体通信の高速化・大容量化、サービス品質の向上に向けての研究開発及び設備投資が継続し、国内においても2020年3月から5Gの商用サービスが開始され、契約数の順調な拡大に伴い基地局数も増加、5Gサービスの拡大と更なる進化に向けた研究開発及び設備投資が継続的に行われておりました。しかし、モバイルキャリアの設備投資は、一部キャリアは5G投資をしているなか、高速通信規格「5G」という新しいネットワークを導入したものの、5Gらしいキラーサービスが見つからず、なかなか収益につなげられていない状況となっております。

 今後は、自動車を始めとする様々な分野での5G活用に向けた研究開発や、非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network)衛星などを用いた通信サービスが相次いで始まっており、また2023年12月に開催されたWRC-23(World Radiocommunication Conference 2023)において5G-Advancedの周波数が合意され、さらに、次世代の通信規格である6Gの研究開発も始まっています。

 通信事業者におきましては、固定網・移動網の融合による高品質なネットワークの実現などに向けた取り組みが進み、クラウドサービスや5Gサービスの拡大に加え、AI、量子コンピューティングなどの技術が急速に進展しています。一方で、高度化するサイバー攻撃に対する情報セキュリティ強化や、環境保護への貢献も求められています。

 また、モバイルネットワークの最適化、ネットワークによる消費電力の削減など、AIを活用した通信プラットフォームの創出を目指す「AI-RANアライアンス」が設立されるなど、今後の展開が注目されております。

 

 これらの技術や新サービスの導入に伴い、研究開発投資や設備投資の需要が引き続き見込まれる一方で、通信事業者間の加入者獲得競争等によるサービスの低価格傾向は継続しており、2024年度以降も各社の設備投資額の減少傾向は続くことが予想されますが、通信業界全体の投資意欲に関しましては国内外の政治経済の状況を見極めつつ、選別的な姿勢が継続されるものと予想されます。

 このような状況の中、当社グループでは、主に以下の営業、マーケティング及び研究開発活動を行いました。

  (ⅰ) 4G/5Gに対応する製品の開発、販売、保守並びにテストサービスの受託

  (ⅱ) O-RAN、基地局シェアリング、NTNなどの顧客ニーズへの対応

  (ⅲ) 欧州、北米、中国、韓国、インド等の海外市場における5G対応製品の市場開拓及び販売

  (ⅳ) 次世代ネットワーク及びネットワーク・セキュリティ等に対応した製品開発及び商材開拓並びに販売

  (ⅴ) AIを活用した通信分野における新事業に向けたマーケティング活動等

 セグメントについては、第1四半期連結会計期間の期首より、報告セグメントを従来の「モバイル事業」及び「IP事業」の2区分から「物販事業」及び「サービス事業」の2区分に変更しております。なお、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報は、上記変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。

 その結果、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(物販セグメント)1,337,529千円(前年同期比48.1%減)

 当セグメントの売上高は、1,337,529千円となりました。5Gのフラッグシップ製品となる「DuoSIM-5G」を、当第3四半期連結累計期間におきましても、前期より続く顧客新規投資の減速の影響を受けておりますが、引き続き国内の通信事業者及び基地局メーカーに販売したことに加え、FPGA搭載SmartNIC「Griffin」等の新製品販売に注力しつつ、ネットワーク・セキュリテイ分野の商材開拓及び販売等を行い、新分野における製品開発及び販売を展開するとともに、開発及びサポート体制の強化を図り、5G向け製品の海外向け販売活動を引き続き積極的に展開して参ります。

 セグメント損益につきましては、41,114千円の営業損失(前年同期は584,255千円の営業利益)となりました。主に減収の影響により、前年同期で減少いたしました。

 

(サービスセグメント)870,794千円(前年同期比11.8%減)

 当セグメントの売上高は、870,794千円となりました。当社が培ってきたモバイル通信の技術をベースにテストサービスの受託や保守サービスの獲得及び新分野における付加価値の高いサービスを提供してまいります。セグメント損益につきましては、減収ではありますが、119,108千円の営業利益(前年同期比52.3%減)となりました。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間におきましては、売上高2,208,323千円(前年同期比38.0%減)、営業利益77,993千円(前年同期比90.6%減)、経常利益80,152千円(前年同期比90.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失155,019千円(前年同期は495,575千円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。

 

 ②財政状態の状況

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は7,714,189千円であり、前連結会計年度末に比べ539,491千円減少いたしました。現金及び預金が303,759千円、未収還付法人税等が125,076千円減少したことが主な要因であります。

 当第3四半期連結会計期間末における固定資産は1,294,518千円であり、前連結会計年度末に比べ183,385千円減少いたしました。投資有価証券が123,937千円増加した一方で、有形固定資産が87,505千円、投資その他の資産のその他に含まれる繰延税金資産が215,807千円減少したことが主な要因であります。

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は1,579,060千円であり、前連結会計年度末に比べ132,740千円減少いたしました。賞与引当金が91,206千円増加した一方で、買掛金が35,327千円、1年内返済予定の長期借入金が45,500千円、その他が149,633千円減少したことが主な要因であります。

 当第3四半期連結会計期間末における固定負債は442,033千円であり、前連結会計年度末に比べ167,946千円減少いたしました。社債が45,000千円、長期借入金が108,738千円減少したことが主な要因であります。

 当第3四半期連結会計期間末における純資産は6,987,614千円であり、前連結会計年度末に比べ422,189千円減少いたしました。親会社株主に帰属する四半期純損失の計上及び配当金の支払いにより利益剰余金が428,947千円減少したことが主な要因であります。

 

(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、656,211千円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。