文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「日本発のイノベーションを世界へ向けて発信する」という目標を掲げ、全社員が一丸となり、顧客企業のビジネスの成功に貢献する「高付加価値サービスの創造」を追求してまいりました。ビジネスに深く精通したテクノロジーパートナーとして顧客企業に貢献し、持続的な成長と高い収益性の実現を常に目指していくことが、当社グループの経営における基本方針であります。この基本方針に基づき、当社グループは、幅広い業種の顧客企業に対して、ビジネスの成功に貢献するITソリューションの提供を行っております。
今後、DXの潮流の中で、当社グループが一定の社会的インパクトを持つために、まずは売上収益1,000億円を目指すことが重要であると考えております。こうした考えの下、今後予想される事業環境や顧客ニーズの変化に適切に対応し、持続的な企業価値向上を図っていくための長期成長戦略として、当社グループの目指すべき姿を定めた「Vision1000」を策定し、2023年10月に発表しております。
長期成長戦略「Vision1000」においては、業績目標と併せて、当社グループの目指すべき姿を「for Client:唯一無二の戦略的パートナー」、「for Employee:Biz×Techの圧倒的イノベーター」、「for Society:DX時代のゲームチェンジャー」と定めております。この「Vision1000」においては、当社グループが重点的に取り組むテーマとして、「イノベーションと競争力」、「クライアントとの関係管理」、「人的資本管理」、「製品の品質と安全性」、「地球環境問題への対応」、「高度なガバナンスの実現」からなる6つのマテリアリティを特定しております。これらのマテリアリティは、当社グループの長期成長戦略の実現を確実なものとする重要な要素であると認識しております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と高い収益性の実現を目指す観点から、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上収益、売上総利益率、営業利益を重視しており、中でも、売上総利益率を最重要視しております。これは、当社グループが、豊富なビジネスノウハウと高度なテクノロジーの両方が求められる、参入障壁が高い領域に特化した事業を展開していることから、当社グループが提供するサービスの付加価値を測る客観的な経営指標が重要であると考えているためであります。
売上総利益率が高いことは、すなわち、①売上原価の大半を占めるエンジニア・コンサルタントの質が競合他社と比して優位であること、②優秀な人材の生産性を向上させる仕組みが整備され、機能していること、③当社グループのチームが築いた付加価値を価格に反映してもなお顧客から支持されていることを示すものであると考えております。
また、当社グループは、資本効率を意識した経営に取り組んでおり、重要な経営指標の1つとしてROE目標を掲げ、資本効率の向上に資する株主還元についても、キャピタルアロケーションにおける重要施策として認識しております。
(3)経営戦略等
当社グループは、「Vision1000」の実現に向けた中間地点として、2025年3月期から2027年3月期までの3か年の中期経営計画「中計2027」を2023年10月に発表しております。「中期2027」においては、2022年3月期から2024年3月期までを期間とする3か年の前中期経営計画「中計2024」における3つの注力施策、(1)事業領域の拡大、(2)事業領域の深耕、(3)採用育成の強化のさらなる進化を図り、より一層のグループシナジーを発揮することで、持続的な成長と高い収益性の実現を目指してまいります。
新たな中期経営計画では、これまで推し進めてきた従来の成長戦略の延長線にある「オーガニック成長」に加えて、従来の業務委託・受託関係を超えた顧客企業との新たなスキーム構築や、M&Aの推進、更なる利益率向上を目指した成功報酬型ビジネスの拡大等を注力テーマとする「インオーガニック成長」に向けた取り組みを強化していく方針です。
最大のグループシナジーは、Xspear Consulting株式会社が戦略コンサルティングやITコンサルティングを通じて策定したビジネスモデルやシステム化構想を、シンプレクス株式会社の技術力で具現化することにあると認識しております。具体的には、Xspear Consulting株式会社からシンプクス株式会社に向けて、非金融顧客の送客やシステム開発案件を提供する等が挙げられます。さらに、シンプレクス株式会社からXspear Consulting株式会社に向けても、金融顧客の送客やテクノロジー人材の出向等が図られております。テクノロジー知見がシンプレクス株式会社から提供されることにより、Xspear Consulting株式会社がDX分野において一段エッジの効いたコンサルファームとしてのポジションを確立するに至っております。
当社グループは、「中計2027」の最終年度となる2027年3月期に、売上収益600億円、営業利益150億円、売上総利益率45.0%、営業利益率25.0%、ROE17%を目指しております。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、金融フロンティア領域における国内のトップブランドとしてのポジションを確立し、順調な成長を遂げてまいりました。他方、あらゆる産業において、テクノロジーを駆使してビジネスモデルそのものを改革していく、DXへの対応が急務となっていることを踏まえると、金融フロンティア領域以外の領域へ事業領域の拡大を図り、さらに、事業領域の深耕を推進することが優先的な課題であり、これらに対処することが市場環境や顧客ニーズの変化に適切に対応することとなり、同時に当社グループのさらなる成長につながるものと考えております。
また、これらを実現するため、競争力の源泉となる優秀な人材を確保・定着させることも重要課題であると考えております。こうした課題認識に対処するため、当社グループが推進する主要戦略は以下のとおりであります。
① 事業領域の拡大
事業領域の拡大にあたっては、コンサルティングファームとして2021年4月に始動した当社の100%子会社であるXspear Consulting株式会社を中核企業として、官公庁、通信、製造、エンターテイメントといった多様な非金融業種を対象とした戦略/DXコンサルティングを強化してまいります。
金融機関(既存顧客企業)においても、直接的にはシステム開発に紐づかないコンサルティング案件を積極的に受注していく等の取り組みにより、これまで当社グループが手掛けてこなかった分野におけるDX案件の獲得を目指してまいります。
具体的には、「中計2027」最大の注力エリアとして、コンサルティング経験者の中途採用とテクノロジー人材のグループ内出向によるコンサルタントの増強を推進すると共に、リカーリングビジネス化の促進に寄与する金融顧客を対象としたクロスセルを強化してまいります。
加えて、足元は、通信=拡大フェーズ/製造=開拓フェーズと位置づけ、コンサルティング業界の有望市場の深耕を図ると共に、「中計2027」におけるインオーガニック成長(2027年3月期売上収益として35億円程度を計画に織り込む)に寄与する、ブティックコンサルファーム買収のクロージングに注力してまいります。
② 事業領域の深耕
近年、金融フロンティア領域においても、テクノロジーを駆使してビジネスモデルそのものを改革していくDX推進が活発化しております。当社グループとしては、Simplex Wayを推進することにより、金融機関のDX推進パートナーとしてさらなる高付加価値サービスを提供することで、安定的な成長を図ってまいります。
具体的には、当社グループのビジネス領域におけるキャピタルマーケットが、利益率が高いリピートオーダー中心の安定成長領域であり、高度なBiz×Techが求められる人材育成に最適な領域であるという環境認識の下、安定的な案件を着実に積み重ねていくと同時に、中長期でのさらなる成長に向けて、大手金融機関のワンプラットフォームに資する大型案件を選択的に受注してまいります。また、金融リテールにおいては、戦略/DXコンサルティングに次ぐ、「中計2027」の成長ドライバーと位置付ける領域であるという環境認識の下、株式会社SBI証券との合弁会社の圧倒的な成功を成し遂げ、長らく内製主義を貫いてきた金融機関のゲームチェンジャーとなることを目指してまいります。
また、非金融領域においても、他の産業に先駆けて新たなテクノロジーの導入を積極的に推し進めてきた金融フロンティア領域での豊富な実績/ノウハウをテコとしながら、Simplex Wayを徹底することにより、参入障壁の高い領域で高い収益性の実現を目指す戦略を推進し、事業領域の深耕を実現してまいります。具体的には、保険においては、「中計2027」後の本格拡販に向けて、保険ソリューションであるSimplex xInsuranceのライブラリ拡充に注力すると共に、上記拡販に向けて、「中計2027」においては、大型生損保顧客の開拓と当社レピュテーションの向上に注力していく方針です。また、エンタープライズDXにおいては、DXに特化したコンサルティングファームであるXspear Consulting株式会社とのシナジーの最大化を図ると共に、金融領域で培ってきたUI/UX、クラウド、web3等のキーテクノロジーを活かした案件の獲得を推進してまいります。
③ 収益性の向上
売上総利益率については、戦略/DXコンサルティングのミックス効果や生産性の向上等により2027年3月期売上総利益率として45.0%を目指すと共に、営業利益率については、売上総利益率の向上に加え、販管費率の低減等により、25.0%を目指していく方針であります。
④ 採用育成の強化
当社グループの事業において中心的な経営資源の一つは人材であり、顧客企業からの要求に応えるためにビジネスとテクノロジーの双方に精通した優秀な人材を確保・定着させることが課題であり、最重要戦略の一つです。
顧客企業のDX推進を担う人材の採用においては、国籍/年齢/性別/職歴不問とする採用ポリシーの下、ビジネスパーソンとして高いポテンシャルを秘めた最優秀層のみをターゲットとする新卒採用に加えて、高い専門性を有した中途採用の強化に取り組むことにより、当社グループの成長に寄与する人材の確保に努めてまいります。
また、複数のリテンション施策を拡充・実行していくことにより、人材の定着率の向上に努めてまいります。「働きがい」と「働きやすさ」を両立しながら、個々人の働き方に沿ったキャリアプランの実現をサポートするための環境支援・制度整備、さらなる教育機会の提供・制度整備、労働分配率の向上施策等、様々な施策を通じて人材定着率の向上を図り、離職率の低減を目指してまいります。
(5)キャピタルアロケーション方針
当社は、高いキャッシュフロー創出力を礎として、財務健全性を維持した上で、事業基盤の強化に繋がる成長投資を優先的に実行することが、持続的な利益成長と企業価値の向上に資すると考えております。
加えて、当社は、資本効率を意識した経営に取り組んでおり、重要な経営指標の1つとしてROE目標を掲げ、資本効率の向上に資する株主還元についても、キャピタルアロケーションにおける重要施策として認識しております。
こうした認識に基づき、当社は、業績動向やROE水準、成長投資の機会等を総合的に勘案した上で、配当を基本として株主還元の充実に努めております。
配当については、利益成長を通じた1株当たり配当金の安定的・持続的な増加を基本方針とし、連結配当性向40%を目安として配当を行う方針です。
なお、自己株式の取得についても、資本効率の向上に資する株主還元策として、前述の配当決定に係る検討事項に加え、株価を含めた市場環境を考慮した上で、機動的に実施していく方針です。
当社グループが変化するビジネス環境の中、ビジネスをテクノロジーでリードし、持続的な成長を続けるためには、その源泉となる社会全体の未来を見据えた事業を行い、社会全体で取り組むべき課題の解決に貢献する責任があると考えています。
加えて当社グループは、「日本発のイノベーションを世界へ向けて発信する」という経営理念のもと、行動規範である「5DNA」のもと、大切にする価値観として「Simplex Philosophy」を掲げ、イノベーションを持続的に創出する力、すなわち豊かな創造力の源である人材の活用に重きを置き、「働きがい」のある企業であり続けたいと思っています。
以上の理念を実現するため、気候変動問題、人権の尊重、腐敗の防止、人材の採用及び教育、従業員の健康、サイバーセキュリティ等に関し、ビジネスを通じて持続可能な社会のために取り組むべき課題に向き合い、地球環境や社会とともに成長するサステナブルな発展を目指します。
以下、これらの施策を実行していくための「ガバナンス」、「リスク管理」、「戦略」及び「指標及び目標」について具体的に説明いたします。当社は、気候変動問題への対応に関して、国際的な気候変動に関する情報開示の枠組みを決定したTCFD(注)に賛同し、当該枠組みで示された方針に準拠して開示を行っております。なお、将来に関する事項につきましては、別段の記載のない限り、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(注)金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related
Financial Disclosures)をいう。
(1)ガバナンス
当社は取締役会の監督のもと、取締役社長及び業務執行取締役から構成され、取締役社長が議長を務める経営会議において全社的なリスクマネジメントを行っておりますが、サステナビリティ関連のリスク及び機会の特定・評価については、サステナビリティ会議に権限を委譲して実施しています。サステナビリティ会議は、取締役社長及び当社並びに子会社の業務執行取締役から構成されており、取締役社長が議長を務めております。サステナビリティ会議において審議されたサステナビリティ関連のリスク及び機会の評価と、関連する目標や取組の進捗状況は、経営会議に報告され、全社的なリスクマネジメントの一環として審議されるほか、取締役会に対しても半期に一度報告されることにより、取締役会による実効性のある監督を可能としております。
取締役会においては、これらの報告を踏まえ、グループ全体の戦略を策定し、中期経営計画やリスクマネジメント方針、事業戦略等に反映する体制を整えております。
また、特に従業員の健康や安全衛生に関する具体的な課題を検討し、業務を遂行するため、「サステナビリティ会議」の下に「健康経営委員会」及び「オフィス環境委員会」を設置し、さらに健康経営委員会の下に法定の「衛生委員会」を、オフィス環境委員会の下に「安全委員会」を組織する体制をとっております。健康経営委員会は、衛生委員会を統括する当社グループ取締役を委員長とし、産業医や従業員代表の参画を求めて、整合性のとれた運営体制により、従業員やその家族の心身の健康の維持・増進と、その結果としての生産性向上に資する施策を企画・立案・実行しています。
さらにサイバーセキュリティ及びデータセキュリティに係るリスクの管理については、3ラインモデル(注)における社内第2線として情報セキュリティ担当役員(CISO)を置き、CISOは事業部門に対する牽制的役割を期するため、当社グループの管理部門担当取締役から任命しています。さらにその諮問機関として各事業部門の部門長をはじめとするメンバーから構成される情報リスク管理委員会を設置し、全社からボトムアップで情報を集約し、解決する体制を整えております。
(注)第1線は事業部門が顧客に対する製品やサービスの提供とリスクの管理を行い、第2線は本社部門がリスク
に関連する事項について、専門知識、支援、モニタリングの提供と意義を唱え、第3線は内部監査部門が目的の達成に関連するすべての事項について、独立した客観的なアシュアランスと助言を行う(内部監査人協会「IIAの3ラインモデル―3つのディフェンスラインの改訂」より引用)
(2)リスク管理
当社は、経済的損失、事業の中断又は停止、信用又はブランドイメージの失墜をもたらしうる危険性をリスクと定義し、リスクを低減・回避するためにリスクマネジメント体制を整備しています。
サステナビリティ会議では、各構成員から当社グループを取り巻く環境を踏まえたサステナビリティに関する課題が報告され、サステナビリティ関連のリスクを幅広く特定しています。そこで特定したリスクについては、発生可能性と、実際に発生した際に当社グループにもたらす損害のインパクトの二軸で評価し、各リスクの重要度を決定します。重要と判断したリスクに関しては経営会議及び取締役会へ報告する体制をとっています。
また重要と判断されたサステナビリティ関連のリスクについては、サステナビリティ会議において目標の設定や進捗管理を行い、半期に一度、取締役会へ報告することで定期的なリスクのモニタリングを実施し、対応状況の評価や重要リスクの見直しにつなげています。
さらに、サイバーセキュリティ及びデータセキュリティに係るリスクについては、情報リスク管理委員会において各事業部門の部門長をはじめとする構成員から報告されたリスク及び機会を識別し、その管理方法を定め、各部門に適切な助言を行っております。そして、その重要なものについては経営会議に報告するとともに、四半期ごとに取締役会に活動状況を報告し、全社的なリスクマネジメントの一環として検討しております。
このほか、人権侵害リスクに関しては、人権を侵害するリスクの特定や対応方針を定めたシンプレクスグループ人権基本方針を策定し、公表しているほか、従業員の安全衛生等に関するリスクについては、定期実施しているストレスチェックや健康診断の結果、エンゲージメント・サーベイの結果などからリスクを特定し、健康経営委員会で対応目標を定め、対応状況の進捗管理を行っております。従業員の腐敗防止・贈収賄防止策に関しては、シンプレクスグループ腐敗防止基本方針を策定し、公表しているほか、インサイダー取引研修などの各種コンプライアンス研修の実施、外部の第三者である弁護士を窓口とする内部通報窓口の設置などのリスク低減策を実施しております。
(3)戦略
当社グループは、金融領域のみならず非金融領域へも事業領域を拡大していくなかで、様々な対象顧客向けに高付加価値サービスを広く提供しております。そのような中で、当社においてもサイバーセキュリティ、気候変動、人材採用戦略等の観点から想定されるリスク及び機会に対処する必要があることはもちろん、当社がサービスを提供することで各顧客によるESGの取り組みを支援することもまた重要であると考えております。このような考えに基づき、2024年3月1日には、経済産業大臣からDX認定事業者の認定を受け、その取り組みを加速していくこととしております。
① サイバーセキュリティ
金融機関を主要な顧客とする現況から、サイバーセキュリティにおけるシステミックリスクの対策は極めて重要だと考えています。堅牢なサーバを含む強固なインフラの構築、そして金融上のシステミックリスクを未然に防ぐために金融機関等コンピューターシステムの安全対策基準(FISC安対)(注1)に対応したシステム開発、内部監査室におけるシステム監査の定期または臨時の実施に加えて、シンプレクス株式会社の開発・提供するソリューションに関して内部統制に係る評価報告書「SOC1Type2報告書」及び「SOC2(Security)Type2報告書」(注2)を取得し、顧客からの受託業務に関する透明性・安全性について監査法人が保証する報告書を顧客に提供しております。
また、情報セキュリティ基本方針を制定し、創業以来、一貫して高い情報セキュリティ意識で事業に取り組み、その知見と実績を積み上げているほか、社内システムにおいては、ソフトウェア及びハードウェアにおいて堅牢なセキュリティを採用し、機密情報の漏洩等の防止を徹底しています。
ソリューション別にはISMS(ISO27001)情報セキュリティマネジメントシステム(注3)の認証を受けており、全社員を対象に毎月テーマ別の情報セキュリティ研修及び年に一度のテストを実施する等、常に社員のセキュリティへの意識と知識の向上を図っております。
さらに、企業間取引における秘密保持はもちろんのこと、顧客が取り扱う個人情報の機密が保たれることは重要と考えられることから、個人情報保護方針を制定し、個人情報の厳格な管理の下に堅牢な製品、サービスの開発・提供を行っております。
(注)1.公益財団法人金融情報システムセンターにおいて、わが国の金融機関等が、事業展開を行ううえで金
融情報システムを活用するに際し、開発や導入、運用等において必要と考えられる安全対策を基準として示したもの
(注)2.米国公認会計士協会(AICPA)が定める受託会社(Service Organization)における受託業務(顧客へ
の提供サービス等)に係る内部統制を評価・報告する枠組みであるSOC(System and Organization Controls)に関し、第三者の立場から客観的に評価して保証意見を表明する報告書。当社グループにおいては下記の対象サービスについて保証意見の表明をいただいております。
・シンプレクス株式会社のソリューションに係るシステムインテグレーションサービス/運用保守サ
ービス/共同利用型(ASP)サービス
(注)3.情報セキュリティに関する機密性、完全性及び可用性とPDCAサイクルを繰り返すことによるマネジメ
ントシステムが組織に備わっていることについて第三者の審査を受け、認証を受ける制度。当社グループにおいては下記の登録範囲において認証を取得しております。
①FX(外国為替証拠金取引)システムにおけるソフトウェア開発、保守、運用業務及びサービス基盤
の提供
②仮想通貨システムにおけるソフトウェア開発、保守、運用業務及びサービス基盤の提供
③金融機関向けのクラウドシステム開発、保守、運用業務及びサービス基盤の提供
② 気候変動リスク
気候変動に伴って当社グループの事業活動に影響があるリスク及び機会を下表のとおり特定し、2100年までに世界の平均気温が4℃前後上昇することを想定したシナリオと2℃前後上昇することを想定したシナリオの2つをメインシナリオとして分析しております。
2℃上昇シナリオにおいては、気候変動に関する取り組みに対する政策や法規制の変化や、市場における社会的信頼への重要性の増加等の社会移行に係るリスク及び機会を想定しており、4℃上昇シナリオにおいては、自然災害を始めとする急性的に発生し得る物理リスク及び機会とそれらの事象が引き起こす慢性的なリスク及び機会を想定しています。
今後は特定したリスク及び機会が当社グループに与える財務影響についての定量評価を進めるとともに、対応策を検討し、速やかに開示します。
リスク及び機会 |
タイプ |
影響項目 |
シナリオ |
当社グループへの影響 |
|
リスク |
移行リスク |
規制リスク |
炭素税の導入 |
2℃ |
・当社グループの二酸化炭素排出量に対 する炭素税が新たに賦課されることにより、費用負担が増加する |
市場リスク |
顧客行動の変化 |
2℃ |
・顧客が環境負荷の低いデータセンター を選択するようになる一方で、既存の環境負荷の高いデータセンターを使用し続けることによって売上機会が喪失する ・環境負荷の低いデータセンターに移転 するなど対策費用の負担が増加する |
||
評判リスク |
環境負荷の高い業種に対する非難 |
2℃ |
・ブロックチェーンのマイニングに係る 電力消費量が膨大であることにより、暗号資産取引等に関連するプラットフォームの需要が減少し、売上が減少する |
||
ステイクホルダーの懸念又はステイクホルダーからの否定的なフィードバックの増加 |
2℃ |
・気候変動への取組みが不十分なことによ り、ブランドイメージに長期的な毀損等の影響を受け、顧客又は株主からの信用低下につながり、企業価値が低下する |
|||
物理リスク |
急性リスク |
甚大な被害をもたらしうる台風や洪水などの異常気象の頻度上昇 |
4℃ |
・データセンターの稼働停止により事業機 会が喪失する |
|
機会 |
製品・ サービス |
低排出量サービスの開発及び/又は拡張に伴う資金調達 |
2℃ |
・サステナビリティボンドの発行により有 利な資金調達が実現し、資金調達コストが軽減する |
|
気候適応、レジリエンス及び保険リスクに関するソリューション開発 |
4℃ |
・災害や気温の変化等による外出抑制の結 果、事業継続の必要性からリモートワークの活用が進み、ICTインフラ需要が高まることによって当社が提供するリモート-ワークAIソリューションサービスの売上機会が拡大する |
|||
4℃ |
・気候変動の進展による保険商品の多様化 に伴い、当社が提供している保険ソリューションの販売及び新規のシステム開発の機会拡大によって売上機会が拡大する |
||||
2℃ |
・DX推進による気候変動対応システム(天 候デリバティブ等)のインテグレーションやコンサルティングの受注による売上機会が拡大する |
||||
市場 |
積極的な気候変動リスクへの対応 |
2℃ |
・社会的な信頼性・イメージの向上によ り、社員採用活動における他社とのアドバンテージが向上し、採用活動費が低下する ・顧客又は株主からの信頼上昇により株価 が上昇する |
||
レジリエンス |
社員の就業環境の向上等 |
2℃ |
・ICTを活用した働き方改革、DXによる事業 の効率化改革等により事業の継続性、事業環境等が向上することで、従業員満足度が向上し、離職率が低下する |
③ 人的資本に関する戦略
a.人材の採用
当社グループの事業において中心的な経営資源は人材であり、顧客企業からの要求に応えるためにビジネスとテクノロジー双方に精通した優秀な人材を確保・定着させることを最重要戦略としております。特に当社グループでは、新卒の優秀な人材を採用し、様々なスキルを習得させる人材の育成に力を入れており、中途採用においても、高水準の報酬を用意することに加え、質の良い社内環境を確立することが競合他社との競争に勝つためには必要と考えております(
b.人材の育成
新卒採用内定者については、全てのビジネスにおいて、持続的成長の実現のために最も重要なキーファクターのひとつとして位置付けられている「テクノロジーの基礎」及び「金融の基礎」について学ぶ内定者研修を実施しており、未経験からでも学習を重ねることで、研修終了時にはこれらの基礎を身につけることを主眼としております。
また、新卒採用者については、入社後は4月から7月までの4ヵ月間に渡り、新入社員研修を実施しており、様々な専門性をもった一流のビジネスパーソンによって編成されるプロジェクトチームの一員として参画するための最終準備として、「テクノロジー×ビジネス」の基礎スキル/基本動作の習得を目指しております。この新人研修の段階において、全ての新入社員は、原則として基本情報技術者試験、外務員資格試験等の各種試験に合格しなければならないこととしています。これらの研修に関しては、部門横断組織であるコンピテンシーリードが企画、立案しております。
新卒採用者が現場に配属される初年度は、ユニット・リーダーと呼ばれる先輩社員と新入社員2名が3人1組でユニットを組み、先輩社員の伴走のもとで、早期段階での「テクノロジー×ビジネス」の高付加価値人材として成長していく第一歩を踏み出すこととしています。新卒社員の直属の先輩となるリーダーは、毎年、経営陣が自ら選出しており、優秀な先輩の仕事ぶりを間近で学ぶことで、より飛躍的な成長の実現を企図しております。
このほか、コンピテンシーリードにおいては、第一線の社員による当社顧客のビジネス展望やマーケット動向、プロジェクトマネジメント及び最新テクノロジーに関するプラクティス紹介や知見の共有等の成果報告、発表を部門横断で共有できる社内研修会(「Simplex Biz Day(Week)」及び「Simplex Tech Day」)を企画・実施しており、社員は自らの意思で興味のあるセッションに参加し、自らの能力の向上を図ることが可能となっております。また、社員の資格取得等の自己研鑽を支援するため、Amazon Web Service(AWS)関連資格取得をはじめ業務に関連する資格取得費用及び書籍購入費の補助、Eラーニングツール「Udemy business」の導入、大学院への進学及び留学等を理由とする休職を可能とする制度、自身が所属する部署と異なる社内の部署に短期で留学する社内短期留学制度などを実施しております。この社内短期留学制度は、自身が所属するプロジェクト/部署から業務理解、人脈形成などのために一時的に別プロジェクトに在籍することを目的とした制度であり、当社グループの業務内容の多角化や広域化により自らが所属するプロジェクト以外の業務を知る機会が減っている中で、創造的なコラボレーションが生まれることを期待し、社員のキャリア形成に資するために実施しております。
c.人材の評価
年齢・性別・国籍は一切関係なく、完全実力主義のもと評価を実施しておりますが 、各人の置かれた状況を合理的に配慮し、年次を問わず「仕事の成果・質」で評価を決定しております。具体的には、年に1度、評価会議の場で全正社員の翌年度の理論年俸(基本年収)を決定します。各年度の仕事で関わった上位者全員から評価を受けるため、特定の上司の主観に偏ることなくフェアに評価されるスタイルとなっております。評価に際しては、プロジェクトの難易度や過去の経験値を含めて、その人の持つ「再現性のある実力」を評価して理論年俸を決定する(再現性)、成長幅の限度を定めずに実力を見極め、個々人の成長を正当に評価する一方で、単年度の実績が芳しくなかったことを理由に、成長の機会が提供されなくなることはない(Up or Stay)、出産や介護等、ライフステージが変化する社員に対しても、成果に対して正当な評価をする(Pay for Value)という観点から行っております。以上のように、当社グループでは、創業以来、「最高のプレイヤーに最高の報酬を、そして次なる最大のチャンスを」という考え方を大切にし、自己成長を希望する各人にとって魅力的な就業環境を提供しております。
d.社外の教育活動への貢献
当社グループが培ってきた金融フロンティア領域におけるシステム開発の知見及び顧客企業におけるDXコンサルティングに関する知見をもって、関連する学術分野の発展に寄与することを企図し、株式会社シンプレクス・インスティテュートとともに金融戦略・経営財務プログラム修士課程(MBA)を設置している国立大学法人一橋大学に対する寄附及び寄附講義(情報化戦略とその実践、リスク管理と金融教育)並びに国立大学法人京都大学に対する寄附の提供をしております。
④ 社内環境整備方針
当社グループでは、働く人の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで、働く人やその家族の心身の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指して「健康経営宣言」を行っております。
同宣言に基づく具体的な取組みとしては、定期健康診断の受診はもとより、再検査となった場合の費用支援、ストレスチェック(年2回)の結果によるメンタルヘルスケアの実施、産業医(精神科・内科)/公認心理師の配置、入院/療養等に利用できる特別有給休暇制度の創設、所得補償保険・団体生命保険への加入、各拠点にリラクゼーションルームを設置/あん摩マッサージ指圧師によるマッサージの提供、社内カフェテリアでの夕食又は残業食事代の支給、心身の健康管理/ハラスメント/働きがいに着目した「エンゲージメント・サーベイ」の3か月ごとの実施等を行っております。
また、「自己実現」を応援できる会社として、法令遵守のもと可能な限り柔軟性を持ち、目標にチャレンジできる「働きがいのある」職場環境づくりの一環として、働き方を選択することができるコミットメントスタイル制度の導入、出社/リモート/モバイルのいずれでも執務ができる環境の整備、柔軟かつ効率的な勤務体系の導入(フレックスタイム制、裁量労働制)、連続労働時間の抑制の導入(勤務間インターバル制度)、情報発信の充実による社内コミュニケーションの活性化(経営陣が直接従業員に対して経営の状況や課題を説明する全体会議を年2回実施、経営陣により選定された各部門をリードする社員が主催する全社月次会を実施、Slackコミュニケーションツールの導入)等を行っております。
さらに、出産や育児・介護をしながら生き生きと仕事を続けられるよう、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づく法定の制度はもちろん、同法が定める期間以上に育児休業を延長できる制度(子どもが最長2歳4ヵ月に達するまで)、育児休業の申出期間の短縮措置、ベビーシッター割引券の配布等を実施しています。
このような出産、育児に限らず、多様な人材を受け入れ、継続的に価値を発揮できる状態(Diversity and Inclusion(D&I))を目指すため、社員有志の主導により、多様な人材・働き方の拡充を推進するプロジェクト(社内プロジェクト呼称:Gerbera)を立ち上げ、定期的に会合を開き、成果の共有を図っているほか、健康経営の取組みが実効性をもって推進されるよう、組織から独立した総合相談窓口を健康経営委員長の下に設置して社員の意見をくみ上げていく体制を整えております。
以上のような取り組みから、2023年3月には、経済産業省から「健康経営優良法人2023」の認定を、2023年9月には、厚生労働省からシンプレクス株式会社が「子育てサポート企業」として「くるみん」の認定を取得しました。
(4)指標及び目標
当社グループにおけるサステナビリティ(気候変動関連及びサイバーセキュリティ・データセキュリティ関連)のリスク及び機会に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は次のとおりであります。
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指標の内容 |
目標 (注)1 |
実績 前連結会計年度 |
実績 当連結会計年度 |
全般 |
サステナビリティ会議開催回数 |
1月ごと開催 |
3回 |
10回 |
気候変動関連 |
温室効果ガス(GHG)排出量(注)2 |
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Scope1 事業者自らによる直接排出 |
0t-CO2 |
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Scope2 他社から供給された電気等の 使用に伴う間接排出 |
0t-CO2 (2026年3月期) |
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Scope3 当社グループの活動に関連する 他社の排出 |
- |
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カテゴリ1 購入した製品・サービス |
- |
3,575.1 t-CO2 |
3,376.1 t-CO2 |
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カテゴリ2 資本財 |
- |
759.2 t-CO2 |
1,980.0 t-CO2 |
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カテゴリ3 Scope1,2に含まれない燃 料及びエネルギー関連活動 |
- |
75.2 t-CO2 |
77.2 t-CO2 |
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カテゴリ5 事業から出る廃棄物 |
- |
55.5 t-CO2 |
16.4 t-CO2 |
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カテゴリ6 出張 |
- |
149.7 t-CO2 |
418.2 t-CO2 |
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カテゴリ7 雇用者の通勤 |
- |
655.8 t-CO2 |
1,012.1 t-CO2 |
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オフィスビルエネルギー消費量 |
- |
1,102MWh |
1,131MWh |
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オフィスビル再生可能エネルギー使用率 |
100% (2026年3月期) |
92% |
98% |
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データセンター等再生可能エネルギー使用率 (注)3 |
- |
56% |
79% |
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セキュリティ |
年次セキュリティ理解度測定受講率 |
100% |
100% |
100% |
情報リスク管理委員会開催回数 |
1週ごと開催 |
57回 |
57回 |
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セキュリティインシデント対応訓練実施回数 |
- |
1回 |
1回 |
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セキュリティ教育テーマ社内周知回数 |
- |
12回 |
12回 |
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ISMS認証取得 |
- |
一部ソリューションにおいて取得済(注)4 |
同左 |
(注)1.目標について、各種施策の継続又は現状以上の数値達成を目指すが定量的に提示が難しい場合又は目
標を定量的に算定することが難しい場合は、「―」としております。
2.各項目の算出は、サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン
(2022年3月環境省・経済産業省)に基づき算定しております。当社のScope1排出量はごく少量のため算定から除外しております。また、記載のないカテゴリについては、当社グループ事業において該当がない又は重要度が低いため算出対象としておりません。
3.当社グループが契約しているデータセンター及びクラウドサービスの使用電力に占める再生可能エネ
ルギー又は削減貢献率を電力消費量に換算したものを示したものとなります。
4.取得済みのソリューションについては、「(3)戦略 ① サイバーセキュリティ」をご参照くださ
い。
温室効果ガス排出量が増加した主な要因として一時的なものは、社内のシステム環境を入れ替えたこと及びオフィスの増床に伴う資本財支出の増加によるものであります。恒常的なものは、従業員数が前期末比で300名程度増加したこと及び新型コロナウイルス感染症が終息したことによるオフサイト研修の再開及び出張費並びに通勤手当の増加に伴うものであり、これらは今後も漸増していくことが見込まれます。その一方で減少した主な要因は、オフィスビル、クラウドサービス及びデータセンターにおいて新たに再生可能エネルギーへの切り替えが進んだことによるものであり、これらは今後も排出量の削減に貢献することが期待されます。
当社グループにおける人的資本に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は次のとおりであります。このほか、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画及びその実績を女性の活躍推進企業データベース(注)1において、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を両立支援のひろば(注)2において公表しております。
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指標の内容 |
目標 (注)3 |
実績 前連結会計年度 |
実績 当連結会計年度 |
人材の多様性 |
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12.6% |
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6.3% |
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22.0% |
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取締役 男女別人数(女性比率) (単体) |
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男9人 女0人 (0.0%) |
男9人 女1人 ( |
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取締役 社内社外別人数(社外比率) (単体) |
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社内4人 社外5人 (55.6%) |
社内4人 社外6人 ( |
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(当年度における定年再雇用者数) |
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4人(3人) |
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組織文化 |
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3か月に1回 |
4回(73点) |
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14件 |
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(注)5 |
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6回(85セッション) |
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採用・離職 |
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290人 |
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112人 |
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9% |
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スキル・能力 |
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102件 |
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業務関連資格保有件数(注)6 |
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- |
376件 |
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(うち高度試験等) |
- |
738件(150件) |
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(うち内定者・新卒入社者研修期間人件費) |
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860百万円 (435百万円) |
(642百万円) |
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(期末従業員一人当たり研修時間) |
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176,454時間 (169時間/人) |
(152時間/人) |
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社内環境整備 |
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61.9% |
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(うち正規労働者・非正規労働者) |
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81.2% (うち正規81.3%・ 非正規81.2%) |
(うち正規77.7%・ 非正規73.0%) |
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育児休業取得者数 (産前産後休業取得者数) |
- |
男10人 女3人 (3人) |
男14人 女4人 (8人) |
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男女別育児休業取得率 |
- |
男38.5% 女100% |
男53.8% 女100% |
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2人 |
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生産性 |
期末従業員数(契約社員を除く。) |
- |
1,047人 |
1,350人 |
うち原価部門(コンサルタント・エンジニア) |
- |
954人 |
1,231人 |
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うち管理部門 |
- |
93人 |
119人 |
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期中平均コンサルタント・ エンジニア人数(注)8 |
- |
1,436人 |
1,678人 |
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うち従業員数 |
- |
894人 |
1,156人 |
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うちビジネスパートナー人数 |
- |
542人 |
522人 |
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1人当たり売上収益/年 |
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期中平均コンサルタント・ エンジニア(注)9 |
- |
約24百万円 |
約24百万円 |
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期中平均従業員(注)9 |
- |
約39百万円 |
約35百万円 |
(注)1.URL: https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/index.html
2.URL: https://ryouritsu.mhlw.go.jp/hiroba/index.php
3.目標について、各種施策の継続又は現状以上の数値達成を目指すが定量的に提示が難しい場合又は目
標を定量的に算定することが難しい場合は、「―」としております。
4.2024年6月16日開催の定時株主総会決議により新たな役員が選任されているため、本書提出日現在の
状況は、男8人・女1人(11%)、社内4人・社外5人(56%)となっております。
5.部門横断研修会である「Simplex Biz Day(Week)」及び「Simplex Tech Day」を定期実施。第一線の
社員による当社顧客のビジネス展望やマーケット動向、プロジェクトマネジメント及び最新テクノロジーに関するプラクティス紹介や知見の共有等の成果報告、発表を部門横断で共有できる社内研修会であり、部門横断組織であるコンピテンシーリードにおいて企画・実施しております。
6.業務関連資格として、Amazon Web Service(AWS)が実施する認定資格である「AWS Certification」及
び独立行政法人情報処理推進機構が実施する情報処理技術者試験(情報処理安全確保支援士を含む高度試験)について集計して記載しております。なお、AWS認定資格に関しては、当社グループ内での取得数が300に達したことを受け、2023年2月に「AWS 300 APN Certification Distinction」の認定を受けております。
7.年次有給休暇は、毎年1月1日を基準日として付与するため、2022年及び2023年暦年の実績を記載し
ております。
8.コンサルタント・エンジニア人数には、当社従業員の他、ビジネスパートナー(当社グループの業務
に従事する派遣労働者及び業務委託先の従業者等のうち当社の執務環境において業務に従事する者をいいます。)である外部コンサルタント・エンジニア人数を含みます。
9.売上収益を期中平均コンサルタント・エンジニア人数又は期中平均従業員数でそれぞれ除して算出し
ております。
労働者の男女の賃金の差異については、令和5年度「なでしこ銘柄」応募企業のうち、全回答企業の平均値81.1%と比べて若干劣るものの、情報通信業の平均値である72.0%より高い値を示しており、「(3)戦略 ③ 人的資本に関する戦略 c.人材の評価」において説明した評価方針が一定の貢献をしているものと考えられます。なお、その他の差異の要因に関しては、女性比率が大きい一般職社員の給与などによるものと考えられます。
当連結会計年度末現在において、事業に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクは、以下のとおりです。なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが認識、判断したものであり、事業を遂行する上で発生しうるすべてのリスクを網羅しているものではありません。なお、将来に関する事項につきましては別段の記載のない限り、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)事業及び産業に関するリスク
① 特定業種への依存について
当社グループの売上収益の多くの部分は、システム導入後に機能改修や法制度変更への対応等で発生するリピートオーダーや、運用保守、共同利用型サービス等により発生する既存顧客企業からのものが占めており、中でも、国内金融取引業者、銀行業等の国内金融機関に対するものが多くを占めています。国内金融機関に対する売上収益比率が高いことは、当社グループの強みであり、特徴でもありますが、IT投資動向や事業環境が急変した場合には、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる事業のうち、金融機関において利用されるシステムの開発については、金融機関の業務を取り巻く法令や規制の変更・強化等が実施された場合、基本的には顧客企業においてシステム変更等の費用を負担することになりますが、当社グループにおいても、ドキュメント作成等、顧客企業の法令遵守に対応するための顧客企業に転嫁できない追加的なコストが発生する可能性があります。また、将来的に金融機関の業務領域や業務方法を制限するような法令や規制、又は金融機関のシステム開発に関連するアウトソーシングを制限する法令や規制が実施された場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループは中長期的な事業戦略である国内金融機関に限定しない事業領域の拡大を推進してまいります。
② 顧客企業の維持・獲得について
当社グループは、新規システム導入に係るコンサルティングや設計・構築作業等のフロービジネスを拡大させるだけでなく、共同利用型サービス等の追加的なサービス及びソリューションを提供するという既存顧客企業からの「リカーリングビジネス」を連鎖的に拡大していくビジネスモデルを採用しております。このように、既存顧客企業からの売上を維持・増加させることを戦略的に実施していますが、当社グループのサービス及びソリューションが顧客企業のニーズに合致しない場合、又は合致したとしても競争力のある価格でこれを提供できない場合には、当社グループは、既存顧客企業からの売上を維持・増加させることができない可能性があります。また、顧客企業は、財政状態の悪化や戦略の変更等の理由により、既存契約に関し、解除、更新拒絶又はプロジェクトの延期等を主張する可能性があり、その結果、顧客企業との契約が解除若しくは更新されなかった場合又は変更を余儀なくされた場合には、当社グループは想定していた売上を得ることができず、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、金融領域で確立した当社のビジネスモデルとコンサルティングセールスのノウハウを軸に、顧客企業のビジネスの成功にテクノロジーが大きく貢献する領域である「クロスフロンティア領域」の事業において、生保・損保、エンタープライズDXといった新しい分野への拡大に取り組んでおりますが、これらの分野への拡大が成功する保証はなく、既に確立した顧客基盤を有する競合他社との間で効果的に差別化を図ることができなければ、当社グループの想定する収益成長を達成することができない可能性があります。加えて、当社グループは、Xspear Consulting株式会社を中核企業として、非金融系企業を対象とした戦略/DXコンサルティング案件や金融機関(既存顧客企業)におけるシステム開発に紐づかないコンサルティング案件の受注の拡大にも取り組んでおりますが、当社グループの計画どおりに顧客基盤を拡大することができる保証はありません。
さらに、当社グループは、クロスフロンティア領域の中で、参入障壁の高い領域で高い収益性の実現を目指す戦略を採用しております。しかしながら、当社グループが取り組んだ領域が当社グループの想定どおりに発展しなかった場合や、かかる領域でトップポジションを確立することができなかった場合には、当社の期待どおりに顧客基盤を拡大することができず、当社グループの想定する収益成長を達成することができない可能性があります。
加えて、当社グループの顧客基盤を拡大するために、人件費及び研究開発費を含む多額の営業費用を負担する必要がある場合もありますが、営業活動が奏功する保証はなく、営業費用の負担に応じた顧客基盤の拡大及び売上の増加に至らない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新への対応について
当社グループは、コンサルティングからシステム開発・運用保守に至るすべての工程に責任を持つという一気通貫モデルを用いた事業戦略を有しており、金融フロンティア領域を包含したクロスフロンティア領域に焦点を当てて事業を展開しております。しかし、技術革新により変化していく顧客企業のニーズに当社グループが対応できる保証はなく、また、かかる技術革新により、既存のソリューションから新たなソリューションに需要が切り替わる可能性があることから、当社グループが、変化するニーズに対応した形で一気通貫モデルを提供することができなかった場合には、当社グループの優位性が低下し、事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの想定以上の技術革新等による著しい事業環境の変化が生じ、投資が目的を達しない場合には、投下した研究開発費の全てを回収できないほか、当社グループの事業、業績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、現時点での急激かつ大幅な研究開発費の増加は予定していませんが、事業計画の変更等があった場合には、研究開発費が想定よりも増加する可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループは新技術の獲得や研究開発に投資を行い、顧客企業の需要や事業環境の変化に対応できるよう努めてまいります。
④ 他社との競合について
当社グループは、クロスフロンティア領域に焦点を当てて事業を展開しております。しかしながら、当社グループがソリューションを提供する市場の競争は激しく、当社グループより財務基盤等が優れている競合他社がいる場合、それらの競合他社は新たなソリューションを当社グループより早く提供できる等の可能性があり、また、新規参入者による新たなソリューションの提供により、当社グループのソリューションの優位性が低下する可能性もあります。そのため、当社グループが高い優位性を有する分野に関して、競合他社が同等又はより優れたソリューションを開発した場合には、当社グループの優位性が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、パッケージ製品の普及等の理由により、想定以上の価格競争が発生した場合にも、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループは競合他社の状況を注意深く把握し、当社の競争優位性についての検証を継続的に実施してまいります。
⑤ 中期経営計画について
当社グループは、今後予想される市場環境や顧客ニーズの変化に適切に対応し、更なる成長を実現するための施策の一環として、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を策定し、2023年10月に公表しております。本中期経営計画では、前中期経営計画において注力テーマに掲げた事業領域の拡大、事業領域の深耕、人材の採用育成をさらに推進し、持続的な成長と収益性の実現を目指すこととしております。
しかし、中期経営計画は、以下に掲げる要因をはじめとした本項に記載の様々なリスク要因や不確実性による影響を受けます。
・高いポテンシャルを持つ人材の採用や豊富なスキルを有する従業員の育成に関する当社グループの能力
・Xspear Consulting株式会社を通じた戦略/DXコンサルティングにおける顧客基盤の拡大に関する当社グループの能力
・プロジェクトの収益性の管理や不採算プロジェクトの回避に関する当社グループの能力
・新規又は既存の顧客企業からの需要を効率的に捉えるための新たな技術やソリューションの開発に関する当社グループの能力
・研究開発費、無形資産償却費、その他費用(人材関連費を含む。)等の販売費及び一般管理費の増加速度が、売上収益の増加速度を下回るようにコスト管理を行うことに関する当社グループの能力
このため、これらのリスク要因や不確実性が現実化した場合には、中期経営計画に含まれる施策の実施が困難になる可能性や、当社グループにとって当該施策が有効でなくなる可能性があります。かかる場合には、中期経営計画における目標を達成できない可能性や、中期経営計画の修正を必要とする可能性があり、また、当社グループが適時に有効な施策を実施できない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 人材戦略について
当社グループの事業において中心的な経営資源の一つは人材であり、顧客企業からの要求に応えるためにビジネスとテクノロジーの双方に精通した優秀な人材を確保・定着させることが最重要戦略の一つです。特に当社グループでは、新卒の優秀な人材を採用し、様々なスキルを習得させる人材の育成に力を入れていますが、技術や業界の急速かつ継続的な変化に対応できるような人材の育成ができない場合には、当社グループは顧客企業の要求を満たすソリューションの開発・提供ができない可能性があります。中途採用においても、高水準の報酬を用意することに加え、質の良い社内環境を確立することが競合他社との競争に勝つためには必要となりますが、そのための費用負担が過大になる場合には、当社グループは顧客企業の要求を満たす人材を確保することができない可能性があります。また、優秀な人材を顧客企業の要求に応じて適時に配置できない場合や、優秀な人材の能力を活かすことができない場合等には、当社グループの収益性や成果物の質を低下させ、又は人材市場における当社グループの評価や評判が低下する可能性があります。また、労務環境の悪化等の要因により、従業員の心身の健康に問題が生じ、労働生産性の低下や、人材の流出が発生する可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループは人材戦略を重要経営戦略のひとつに位置づけ、優秀な人材確保・育成の実現に努めてまいります。
⑦ マクロ経済・政治情勢について
当社グループの業績は、当社グループの事業の大部分が営まれている日本における経済情勢及び政治情勢の影響を受けますが、その見通しは不確実性が高く、様々な要因によって悪影響を受ける可能性があります。また、経済の停滞が、顧客企業による当社グループとの既存契約に基づく支払に対する減少圧力となる結果、当社グループの事業もまた悪影響を受ける可能性があります。また、地政学的リスクの増大等により日本を含む世界経済が低迷する可能性があります。さらに、将来の日本の財政・金融政策の変化や消費税等の更なる増税により、日本の経済も悪影響を受ける可能性があります。
これらの要因等により、日本を含む世界経済の情勢が悪化した場合、当社グループの提供するソリューションに対する需要が減少し、新規顧客企業の獲得及び既存顧客企業の維持に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ システム開発やソリューションに係るトラブルの発生について
システム開発事業では、顧客企業との契約に基づいてサービスの提供が行われ、その契約中では、納品期限、性能要件、機能要件、サービスレベル等が定義されております。当社グループでは契約条項に基づいたサービスの提供に努めておりますが、何らかの理由によって、契約条項を遵守することができない場合には、当該契約に基づき顧客企業から支払われる報酬が減少する可能性や、当該契約条項を遵守するために追加的な費用の負担を余儀なくされる可能性があります。また、当社グループのソリューションが備えていた新たな技術が予定どおり機能しない場合や、何らかの理由によって、顧客企業の検収後に発生した不具合(いわゆるバグ)が発見された場合には、予算超過や案件の遅延等を引き起こす可能性があります。
当社グループでは、顧客企業との契約に損害賠償の限度額を定めるほか、損害賠償保険に加入する等の方法でリスクヘッジを行っておりますが、これらの方法が適切に機能しない場合、損害賠償の発生や信用失墜等によって、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのソリューションの基礎となる技術基盤は複雑であるため、重大な誤謬を含んでいる可能性があります。当社グループのソリューションに重大な誤謬が見つかった場合、当社グループの評判、事業及び業績に重大な悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループが提供するソリューションは、インフラの変更、新機能の導入、人為的な若しくはソフトウェア上の誤謬又はその他のセキュリティ関連の事象を含む様々な要因によって、パフォーマンスの遅延、中断、停止その他の問題を引き起こす可能性があります。顧客企業が満足できる水準のサービスを受けられない場合、顧客企業は当社グループのソリューションの利用を中止する可能性があり、その結果、当社グループの事業及びソリューションは、評判の低下、市場からの敬遠、競争力の喪失、顧客企業からの損害賠償請求等の結果を招く可能性があります。
⑨ 第三者が提供するシステムについて
当社グループのソリューションの一部は、第三者のソフトウェア・ハードウェア、第三者が運営するクラウドサービス及び第三者が運営するアプリケーションを使用しております。そのため、当社グループがこれらのサービスを利用するライセンスを失ったり、これらのサービスの機能が長期間停止したりした場合等には、同等の技術を当社グループが開発又は確保するまでは、当社グループのソリューションを使用できなくなる可能性があり、これにより当社グループは想定外の費用を負担し、又は事業に悪影響が生じる可能性があります。また、これらのサービスにバグ等があった場合、当社グループのソリューションにもバグ等を引き起こす可能性があり、当社グループは顧客企業に対して一定の免責条項を設けているものの、これにより当社グループの評判、事業、財政状態及び業績に重大な悪影響が生じる可能性があります。
⑩ ブランド、風評等について
当社は、既存顧客企業の維持や新規顧客企業の獲得にとってブランド力が極めて重要であると考えています。もっとも、当社グループに対する否定的な評判が広がった場合や、当社グループの役社員による違法・不正行為や不適切な行動により当社グループのブランドや評判が損なわれた場合には、既存顧客企業の維持、新規顧客企業の獲得又は優秀な人材の確保・定着に悪影響が生じる可能性があり、その結果、当社の株価や当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。
また、ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、当社グループに対する風評が、マスコミ報道やインターネットの掲示板への書き込み等により流布した場合に、当社グループの社会的信頼・信用が毀損される可能性や優秀な人材の確保・定着に悪影響が生じる可能性があります。
加えて、当社グループは、競争の激しい分野や新たな分野への進出・拡大に伴い、ブランド力を維持・向上させるために追加の費用支出を必要とする可能性がありますが、かかる支出によっても当社グループのブランド力の維持・向上が達成できない場合には、競合他社との関係で価格競争力を失う等の結果、顧客企業の維持・獲得ができなくなる可能性や、費用支出に見合った売上収益の維持・向上に繋がらない可能性もあります。これらの結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。
⑪ 将来の企業買収、戦略的投資等について
当社グループは、将来、当社グループのソリューション等の補完又は拡大のために、事業等の買収や投資を行う可能性があります。もっとも、当社グループにとって望ましい候補先が将来見つからない可能性、これらの事業等の買収や投資により生じる従業員や事業運営等の統合が順調に進まない可能性や、これらの事業等の買収や投資が当初期待した成果をあげられない可能性等があり、これらによって当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 自然災害等について
当社グループの事業の遂行は、インターネットや第三者が提供するクラウドサーバー等に依存しています。地震、火山噴火、台風、大雨、大雪、火災、洪水等の自然災害、事故、サイバー攻撃、人為的なミス等が発生した場合には、インターネットやクラウドサーバー等のインフラが使用不能になり又はソリューションの開発及び改良の遅延や中断が生じること等により、事業を継続することができない等の支障が生じ、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、自然災害等に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生し、物的、人的損害が甚大である場合には、結果として、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、自然災害等によって顧客企業の財政状態が悪化しIT投資が減少した場合等においては、当社グループのソリューションに対する需要に悪影響が生じ、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループでは、定期的なデータのバックアップ、システムの稼働状況の常時監視等により、自然災害等による事業への障害発生を事前に防止し又は回避し、影響を最小化するよう努めております。
(2)法規制に関するリスク
① 法的規制等について
当社グループは、事業活動を行う上で、様々な国内外の法令及び規制の適用を受けています。当社グループが主として事業を行う金融システムの設計・提供等に関わる事業分野を個別直接的に規制する法令は現時点ではありませんが、当社グループにおいて運営する人材派遣業及び人材紹介業においては、労働者派遣法及び職業安定法に基づく許可を必要としており、これらの法律の規制に服しています。適用ある法令等に違反した場合、当社グループは、刑事罰、当社グループの事業を行うために必要な許認可の喪失、事業の停止、訴訟及びその他の法的手続に服する可能性があり、又は当社グループの評判に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの主たる顧客企業の大半は規制業種に属しており、これらの顧客企業においては金融商品取引法、銀行法、資金決済法、保険業法、個人情報保護法等の適用法令の遵守について特に厳格な遵守体制の構築が求められていることから、顧客企業の利用するシステムにも高度な安全性及び安定性が要求されています。このため、当社グループのソリューションを利用する顧客企業において、個人情報の流出やシステムダウン、誤操作といった何らかのトラブルが生じた場合には、かかるトラブルが大きく取り上げられる結果、当社グループのソリューションに不備があったか否かにかかわらず、当社グループの業績及び評判の悪化に繋がる可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループは外部専門家と適時適切なコミュニケーションを取り、規制動向の変化について注意深く把握をし、同状況発生時に適切な対応を取ることができるよう努めてまいります。
② 争訟について
当社グループは、事業を展開する中で、知的財産権等に関して第三者との間に、又はシステム開発の不具合や遅延等に関して顧客企業との間に何らかの問題が生じた場合等には、これらに起因した損害賠償の請求等の争訟が生じる可能性があります。その場合、当該争訟に対する防御のために費用と時間を要する可能性があるほか、当社グループの社会的信用が毀損され、また結果等次第では、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループは顧問弁護士を始めとする外部専門家と適時適切なコミュニケーションを取り、争訟発生リスクを最小化するとともに、同状況発生時に適切な対応を取ることができるよう努めてまいります。
(3)情報保護及び知的財産に関するリスク
① 情報セキュリティについて
当社グループの事業は、電磁的情報を安全に処理、移転及び保管し、顧客企業や提携先の企業等と通信するための情報技術ネットワーク及びシステムに依存しています。当社グループでは、情報管理を徹底すると共に、全社員に対し研修等においてその重要性を周知徹底しております。また、外部からの不正アクセス等についての対策を行い外部からの攻撃対策を講じると共に、社内からの情報流出についてもシステム的な対策を講じております。しかしながら、当社グループが取り扱う重要な機密情報について、漏洩、改ざん又は不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえず、何らかの要因からこれらの問題が発生した場合、損害賠償責任の発生や信用の失墜等によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのシステム及び外部サービスプロバイダのシステムは、コンピューター・ウイルスやサイバー攻撃のリスクにさらされており、当社グループの認知度や市場シェアが高まった場合、それらの標的となるリスクも増大する可能性があります。不正アクセスやサイバー攻撃の手法は日々変化し、高度化しており、当社グループ又は外部サービスプロバイダは全ての不正アクセスやサイバー攻撃を予測又は防止することができない可能性があります。
また、セキュリティ侵害は、当社グループの従業員又は外部サービスプロバイダその他の当社グループのシステムやデータにアクセスすることのできる外部企業の従業員の故意又は不注意による違反等、技術以外に起因する問題によっても発生する可能性があります。当社グループは重要な機密情報の取扱いについて、機密情報の保護に関する社内規則や取扱いの方針及び手続き等の社内ルールを整備し、適切な運用を義務づけておりますが、このような対策にもかかわらず、当社グループの人為的なミスその他予期せぬ要因等により情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任等を負う可能性や顧客企業からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、その結果、当社グループの事業及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループは、ソリューションの提供やデータの保管につき第三者やクラウドの基盤を利用しているため、不正アクセス、サイバー攻撃、顧客企業データの悪用の防止につき、第三者のセキュリティ対策に依存している部分があります。第三者が提供するサービスに関して、当社グループは顧客企業に対して一定の免責条項を設けており、また、一定の情報セキュリティに関連する損害賠償責任に対応する保険に加入しております。しかしながら、当該保険は当社グループに生じうる全ての責任を補償するには十分ではない可能性があり、セキュリティ侵害に関する事故が発生した場合、当社グループの評判、事業、業績、財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
② 知的財産権について
当社グループにおいて利用するシステムプログラム等について、原則として、当社グループが著作権等の知的財産権を取得する方針としておりますが、その場合でも、競合他社、元従業員又はその他の第三者が当社グループのソリューションと類似したソリューションを設計することは妨げられません。また、競合他社等による当社グループの知的財産権の侵害又は不正使用を妨げるために、当社グループが実施した対策が効果的ではない可能性があり、また、違法な知的財産権の利用を発見できず、適切かつ適時に知的財産権を主張することができない可能性があります。当社グループによる知的財産権の主張が認められるためには相応の時間及び費用を要し、かかる主張が認められるとは限らないため、当社グループが許諾を受けている又は保有している知的財産権の不正使用がなされた場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループは、知的財産権を保護するために、訴訟の提起等に多大な費用と時間を要する可能性があり、かつ結果として知的財産権を守ることができないおそれがあるため、かかる場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
さらに、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないための体制を整えておりますが、当社グループの認識の範囲外で、第三者の知的財産権を侵害する可能性があり、当社グループによる知的財産権の侵害を理由に第三者から訴訟の提起等を受けた場合、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があります。加えて、そのような第三者の知的財産権侵害を回避するため、第三者からの当該権利の取得が必要となる可能性があります。これらの対応により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)財務リスク
① プロジェクトの採算悪化について
当社グループでは、様々な料金体系及び条件を用いて顧客企業と交渉し、契約代金を決定しております。とりわけシステム開発においては、案件に必要な予想工数(コスト)を見積り、それを元にして利益を測定し、案件の採算性が目標のレベルを維持するよう十分留意しておりますが、当社グループ内の案件に対するコスト又は採算性に関する見通しが不正確であった場合、見積コストを超えた実績コストが発生し、プロジェクトの採算が悪化する場合があります。
これらのリスクに対応するため、システム開発における予想工数(コスト)の見積り手法の高度化・レビュー体制の強化、品質管理部門の強化等、プロジェクトの採算悪化防止に向けた取り組みの強化に努めてまいります。
また、他社との価格競争や特定の分野におけるシェア拡大を優先するマーケット戦略等により、案件の採算性のレベルよりも受注そのものを優先する場合があり、結果的にプロジェクトの採算が悪化する可能性があります。
さらに、開発工程においても品質管理に十分な対策を講じておりますが、開発トラブル等によってプロジェクトの採算が悪化する可能性があります。
これらのプロジェクトの採算悪化が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 内部統制について
当社グループは、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、当社グループの内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは法令に基づき財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し運用していますが、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制システムには本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
③ 多額の借入、金利の変動及び財務制限条項への抵触について
当社グループは、今後も、当社グループの成長を支えるための投資資金や当社の事業を遂行するための運転資金の確保を必要とする可能性があります。しかし、金融・証券市場の環境、金利等の動向、資金需給の状況等の変化が、当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループが必要とする資金の調達を適時かつ好条件で行うことができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金融機関を貸付人とするシンジケートローン契約を締結し多額の借入れを行っており、2024年3月31日現在でのIFRSに基づく総資産額に占める有利子負債比率は21.3%となっております。今後の金融市場等の動向により、金利が上昇局面となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当該シンジケートローン契約には、財務制限条項が課せられており、当該条項違反が発生した場合は、多数貸付人の同意により、期限の利益を喪失する可能性があります。また、直ちに借入金を返済しなければならない等、当社の財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
④ 減損に関するリスクについて
当社グループは、2024年3月31日現在、2016年12月1日のファンドイグジットに伴う吸収合併により生じたのれん36,476百万円を連結財政状態計算書に計上しているほか、その他の有形・無形の固定資産も有しています。今後、これらの固定資産に係る事業の収益性が低下する場合、当該固定資産の帳簿価額と公正価値の差を損失とする減損処理により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループが認識しているのれんは、単一セグメントを単一の資金生成単位としてすべて配分されており、毎期減損テストを実施し、回収可能価額が帳簿価額を上回っていることを確認しています。
(5)株式に関するリスク
新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループの事業は、高水準な技術・スキル・ビジネス感覚を持った人材をいかに多く獲得・維持するかということに大きく依存しております。そこで役員及び従業員に対するインセンティブとして新株予約権を付与しており、今後も継続的に実施していくことを検討しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。当連結会計年度末現在でこれらの新株予約権に係る潜在株式数は2,457,675株であり、発行済株式総数58,182,950株の 4.2%に相当します。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
近年、デジタル技術の進展・普及に伴い、あらゆる産業において、テクノロジーを駆使してビジネスモデルそのものを改革していく、DXへの対応が急務となっております。こうした流れに連動する形で、当社グループがサービス提供を手掛ける対象領域も急速に拡大しております。
こうした経営環境の下、当社グループにおいては、創設3年目のXspear Consulting株式会社が確実に立ち上がり、当社グループのテックファームであるシンプレクス株式会社とのシナジーを創出した結果、戦略/DXコンサルティング及びシステムインテグレーションの売上が大きく増加しました。
当連結会計年度の経営成績は以下のとおりであります。
(売上収益)
売上収益は、システムインテグレーション、運用サービスともに売上が好調に推移したこと及び戦略/DXコンサルティングの新規案件獲得により、40,708百万円(前期34,946百万円、前期比16.5%増)と、過去最高を更新しました。
(売上総利益)
売上総利益は17,450百万円(前期14,597百万円、前期比19.5%増)と、前期を大きく上回り、売上総利益率は、42.9%(前期41.8%)と、前期を上回りました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、主に新卒社員数の増加による人件費の増加や採用・研修の強化などにより、6,354百万円(前期5,374百万円、前期比18.2%増)と、前期より増加しました。研究開発費は1,858百万円(前期1,438百万円、前期比29.2%増)と、前期より増加しました。
また、識別可能資産償却費は356百万円(前期446百万円)となり、その他の収益に60百万円、その他の費用に93百万円を計上しています。
この結果、営業利益は8,850百万円(前期7,451百万円、前期比18.8%増)、営業利益率は21.7%(前期21.3%)となりました。
(税引前当期利益)
金融収益34百万円、金融費用162百万円、持分法による投資利益22百万円を計上して、税引前当期利益は8,744百万円(前期7,298百万円、前期比19.8%増)となりました。
(当期利益)
法人所得税費用は2,551百万円(前期1,866百万円)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は6,194百万円(前期5,432百万円、前期比14.0%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、79,248百万円(対前連結会計年度末比8,981百万円増加)となりました。これは主に、オフィス拡充に関連して、使用権資産が2,406百万円、敷金及び保証金の差入等によりその他の金融資産が895百万円増加した他、株式会社サーキュレーションの株式を取得し、持分法適用会社としたこと等により、持分法で会計処理されている投資が1,761百万円増加したこと、受注案件の規模拡大に伴い、営業債権及びその他の債権が1,273百万円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、32,159百万円(対前連結会計年度末比3,876百万円増加)となりました。これは主に、使用権資産の増加に伴いリース負債が2,457百万円増加した他、未払法人所得税等が1,332百万円増加したことによるものです。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は47,089百万円(対前連結会計年度末比5,105百万円増加)となり、親会社所有者帰属持分比率は59.4%(前連結会計年度末は59.7%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は13,731百万円(対前連結会計年度末比898百万円増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、8,329百万円の資金取得(前期3,733百万円の資金取得)となりました。これは主に、税引前当期利益8,744百万円の計上、使用権資産償却費1,594百万円によるキャッシュ・フローの増加と、法人所得税の支払1,963百万円、営業債権及びその他の債権の増加1,273百万円によるキャッシュ・フローの減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、3,673百万円の資金使用(前期1,441百万円の資金使用)となりました。これは主に、持分法で会計処理されている投資の取得による支出1,739百万円、オフィス拡充に伴う有形固定資産の取得等による支出907百万円、敷金及び保証金の差入による支出596百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、3,772百万円の資金使用(前期3,435百万円の資金使用)となりました。これは主に、リース負債の支払による支出1,551百万円、配当金の支払による支出1,431百万円と、長期借入金の返済による支出1,140百万円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、ITソリューションの提供を中心に事業活動を展開する単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりませんが、当連結会計年度の生産実績、受注実績、販売実績をサービス区分ごとに示すと、以下のとおりであります。
a 生産実績
サービス形態 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
戦略/DXコンサルティング(百万円) |
2,154 |
200.8 |
システムインテグレーション(百万円) |
13,732 |
109.8 |
運用サービス(百万円) |
7,371 |
108.8 |
その他(百万円) |
- |
- |
合計(百万円) |
23,257 |
114.3 |
(注)金額は製造原価によっております。
b 受注実績
サービス形態 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
戦略/DXコンサルティング |
4,519 |
162.6 |
1,206 |
135.1 |
システムインテグレーション |
25,055 |
113.3 |
6,538 |
110.8 |
運用サービス |
13,457 |
111.3 |
11,313 |
113.9 |
その他 |
7 |
65.0 |
5 |
94.9 |
合計 |
43,037 |
116.3 |
19,063 |
113.9 |
(注)受注残高は、向こう1年間の売上収益の計上予定額によっております。
c 販売実績
サービス形態 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
戦略/DXコンサルティング(百万円) |
4,206 |
193.7 |
システムインテグレーション(百万円) |
24,417 |
112.5 |
運用サービス(百万円) |
12,078 |
109.2 |
その他(百万円) |
7 |
102.4 |
合計(百万円) |
40,708 |
116.5 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績については、連結売上収益10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことが要求されております。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、見積りを見直した会計期間及びそれ以降の将来の会計期間において認識されます。
経営者が行った連結財務諸表の金額に重要な影響を与える判断及び見積りは以下のとおりであります。
1.のれんの評価及び減損テスト
当社グループは、のれんについて、毎期一定の時期又は減損の兆候がある場合には随時、減損テストを実施しております。減損テストの回収可能価額は、使用価値に基づき算定しております。
使用価値は、過去の実績及び外的環境を反映し、経営者が承認した事業計画と事業計画経過後の永久成長率0.7%を基礎としたキャッシュ・フロー見積額を、資金生成単位の税引前加重平均資本コストを基礎とした割引率8.4%により現在価値に割り引いて算定しております。なお、事業計画における主要な仮定は、リカーリング率、リピートオーダー率等であります。
減損テストに使用した主要な仮定が変更された場合には減損が発生するリスクがありますが、使用価値は資金生成単位の帳簿価額を十分に上回っており、減損テストに使用した主要な仮定が合理的に予想可能な範囲で変化したとしても、使用価値が帳簿価額を下回る可能性は低いと判断しております。
2.収益認識に関する総原価の見積り
当社グループは、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針 (15) 収益」に記載のとおり、売上収益のうち、戦略/DXコンサルティング及びシステムインテグレーションにかかる収益については、一定期間にわたって履行義務が充足されるものであることから、当該履行義務の完全な充足に向けての進捗度に基づいて収益を認識しております。
当連結会計年度において計上された売上収益のうち、進捗度に基づいて認識した売上収益は連結財務諸表注記「23.売上収益 (1) 収益の分解」の「戦略/DXコンサルティング」「システムインテグレーション」にそれぞれ区分して記載しております。
進捗度は、案件別に発生したコストに基づくインプット法(原価比例法)によって測定されており、インプット法の基礎となる総原価の見積りには、外注費を含む作業工数の見積りが含まれます。
また、顧客ごとのニーズに応じた設計開発やコンサルティング等を行うため、個別性が強く、作業の進捗状況によって想定外の作業工数が必要になる可能性があります。このため、インプット法の基礎となる総原価の見積りのうち、特に作業工数の見積りには一定程度の不確実性を伴い、当該不確実性に対する当社グループの判断が、進捗度に基づく収益認識額に重要な影響を及ぼします。
② 目標とする客観的な指標等の推移
当社グループは、売上収益、売上総利益率及び営業利益を重視し、これらの向上を目指しております。特に、サービスの付加価値を測る客観的な経営指標として、売上総利益率の安定的な確保を目指しております。
売上収益、売上総利益率及び営業利益の近時の推移は以下のとおりです。
|
2020年3月期 連結会計年度 |
2021年3月期 連結会計年度 |
2022年3月期 連結会計年度 |
2023年3月期 連結会計年度 |
2024年3月期 連結会計年度 |
売上収益 (百万円) |
25,508 |
27,532 |
30,579 |
34,946 |
40,708 |
売上総利益率 (%) |
34.9 |
39.1 |
42.6 |
41.8 |
42.9 |
営業利益 (百万円) |
1,222 |
4,510 |
6,362 |
7,451 |
8,850 |
③ 経営成績の分析
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。主な資金使途は、運転資金と借入金の返済であり、当面は着実に事業計画を遂行することで営業キャッシュ・フローを蓄積し、安定的な借入金の返済によって有利子負債比率を低減することで、財務体質の更なる強化を図ります。また、持続的な成長を図るため事業領域の拡大と事業領域の深耕を推進しておりますが、これらの要因により、一時的に必要な資金の増加が見込まれる場合は、金融機関計5行と締結済のコミットメントライン契約又は当座貸越契約(総額100億円)を利用して流動性の高い資金調達を実施する方針としております。なお、当連結会計年度末における有利子負債(借入金)残高は16,906百万円であり、現金及び現金同等物の残高は13,731百万円であります。なお、現時点で重要な資本的支出の予定はございません。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、「日本発のイノベーションを世界へ向けて発信する」という経営理念のもと、全社員が一丸となり、顧客企業のビジネスの成功に貢献する「高付加価値サービスの創造」を追求しております。
また、事業領域の拡大と事業領域の深耕に向けた各種施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載をしております。
該当事項はありません。
(1)研究開発方針
当社グループにおける研究開発活動は、自社のリスクにおいて特定顧客を想定せずに汎用的な新規サービスを立ち上げるためにかかった開発コストを、原則研究開発費として計上し、要件を満たしたものについては資産として無形資産に計上しております。
当社グループの既存事業領域における受託開発プロジェクトでは、全体の構築作業の約50~70%においてSimplex Libraryが活用されております。Simplex Libraryとは、汎用性の高い複数のプログラムを当社グループによる再利用可能な形で蓄積した当社グループ独自のライブラリであります。これにより、開発期間の短縮やシステムの安定性の確保、さらには競争優位をもたらす機能に資源を集中できることから、多くの顧客企業からご支持をいただいております。
(2)研究開発活動の内容
当連結会計年度の具体的な研究開発活動の内容は以下の通りです。
・新規サービス展開に向けた市場調査、機能検証及び製品開発
・「Simplex Library」基礎ライブラリの構築・拡充
・その他各種製品のパッケージ化
当社グループは、ITソリューションの提供を中心に事業活動を展開する単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は