文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「安全」と「安心」を大切にして物流事業を通じて社会に貢献することを経営の基本方針とし、以下の経営理念(3つの使命)に基づき活動しております。
①商品・サービスの使命
顧客・荷主の満足する物流サービスを提供し、信頼の向上に努めます。
②社会的使命
良き企業市民として社会のルールを守り、地域に貢献、環境保全に取り組みます。
③経済的使命
社会、株主、社員の繁栄を図るため、常に経営基盤の強化・安定を図ってまいります。
また、当社グループは、事業をめぐる厳しい環境や事業領域拡大に伴い、従業員一人ひとりが当社グループの社会的存在価値を再認識し主体的に業務に取組んでいく必要があると考え、2023年度にグループパーパス「安心をずっと、驚きをもっと。人と技術とITで、新たな価値を創造し、豊かな明日へつなぎます。」を制定いたしました。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2020年7月に長期ビジョン「ヒガシ21グループVISION2030」を策定し、2030年までに目指す姿「お客様に最高のサービスをお届けするために変革し続ける企業」の実現に向け、売上高500億円という目標を設定するとともに、新たなコーポレートスローガン「Evolution for Customers-全進で未来へ"シンカ"-」を制定いたしました。
2023年5月には「中期経営計画2026」を策定し、全事業領域、すなわち、オフィスサービス事業、3PL事業、ITサービス事業、ビルデリバリー事業、介護サービス事業、及び基幹事業の各領域で事業成長を推進しております。
「中期経営計画2026」の初年度となる2024年3月期については、大手e-コマース会社向けの北大阪ロジスティクスセンター、流山ロジスティクスセンター、鳴尾浜ロジスティクスセンターの開設や、オフィス移転事業の拡大、前期上半期末に新規連結を開始した株式会社旅人の通年化効果もあり、グループとして初めて売上高が400億円を超えました。
2年目となる2025年3月期につきましては、2023年11月に開設した「首都圏輸送センター」や、2024年3月に大手e-コマース会社向けに兵庫県神戸市に開設した「神戸西ロジスティクスセンター」のほか、大手インフラ会社向け資材販売業務や大手e-コマース向け配送業務の拡大を予定しており、売上高に関しましては、当初の3年目計画数値420億円を上回る425億円を見込んでおります。
さらに3年目となる2026年3月期についても、オフィスサービス事業の首都圏売上拡大に向けた人員増強、3PL事業を円滑に進めるための現場管理者の育成強化、ITサービス事業の自社キッティング能力を上昇させるための設備拡張、ビルデリバリー事業の新規館内物流受託に向けた増員の他、基幹事業では、2025年2月に愛知県小牧市で「小牧ロジスティクスセンター(仮称)」が竣工する(延床面積5,127坪)予定となっていることから、2026年3月期の目標値について、売上高450億円(2023年5月12日発表420億円)、経常利益28億円(2023年5月12日発表25億円)へ上方修正しております。
また、1株当たり予想配当金につきましても、当初の中期経営計画を上回る業容拡大に鑑み、当初発表の36円00銭から40円00銭に修正しております。
引き続き、「物流の安定供給への貢献」「責任ある企業経営への実践」に向け、「サービス・効率性の向上/EC需要の取り込み/IT事業強化等を通じた事業成長」と「持続可能な発展に資するESG経営への更なる取組み」を軸に各施策を進めてまいります。
今後の経済動向につきましては、先進各国での金融引締め政策の長期化による景況感の悪化や、長期化するウクライナ情勢や激化する中東情勢などの地政学リスク、さらには不安定な為替動向や物価高騰の影響等により、今後も不透明な状況が続くものと予想されます。
物流業界におきましては、働き方改革関連法に伴う2024年問題、労働力人口の減少、IoT、AIをはじめとした先端技術の活用、気候変動への対応や人権の尊重などサステナビリティを巡る多くの課題に直面しております。
このような経営環境と物流という社会インフラの責任ある担い手として、当社グルーブは長期ビジョンを達成するために、「中期経営計画2026」では、気候変動に関する取組み、人的資本価値向上への取組み、安全に関する取組み、コーポレートガバナンス強化の取組みなどESG経営と更なる事業成長を目指し、ゆるぎない経営基盤を構築してまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループと社会のさらなる持続的発展を目指し、サステナビリティ経営を組織横断的に推進し、サステナビリティ取組の策定・決定を担う機関として、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を2023年4月より設置しております。
また、経営戦略・企画機能を担う企画部内に、同委員会の事務局として、中長期の企業価値向上に向けたサステナビリティ取組の企画・管理機能を有する「未来創造室」を設置しております。
「サステナビリティ推進委員会」での審議内容は取締役会に報告し、検討と確認を行っております。
○サステナビリティ全般
当社グループは、2021年12月に、中長期的な企業価値向上の観点や、より複雑化する社会課題への対応に向けて、サステナビリティに関してより多面的且つ深度ある取組みを進めるべく、グループにおける取組みの共通指針として「サステナビリティ基本方針」を制定し、各領域の取組みを進めております。
また、長期経営ビジョン「ヒガシ21グループVISION2030」で掲げる「持続可能な企業活動(環境、社会、コーポレートガバナンス)の推進」の実現に向けて、中期経営計画2026においては、「サステナビリティ経営の進展」を主要取組みの1つとして掲げ、気候変動・人的資本価値向上・安全に関する取組、および社会貢献活動、コーポレート・ガバナンス強化の取組等の各種施策を進めております。
「サステナビリティ基本方針」
○気候変動
温室効果ガス排出によるリスクを踏まえ「社有車の低公害車導入推進」「グリーン電力導入等、使用施設の低エネルギー化」に取組んでおります。
また、温室効果ガス測定を開始しており、中期経営計画2026において、当社グループの排出量の開示、必要施策の検討と削減取組みを進めてまいります。加えて気候変動に関するリスク・戦略については、2026年3月期にTCFDの枠組みによる開示を予定しており、取組みの精緻化を進めてまいります。
○人的資本・多様性
労働人口減少に伴い人材不足が懸念されるなか、当社グループは人材育成方針を以下のとおり策定し、中期経営計画2026達成に向けて、採用戦略・労働環境整備等を通じた人材確保、既存人材のスキルアップによる生産性向上に取り組んでおります。
また、2023年度からはエンゲージメント調査を開始し、人材育成方針に基づく各取組の効果測定、目標設定、必要施策の検討を行っております。((4)指標及び目標に記載)
(3)リスク管理
当社では社長を委員長とする「コンプライアンス・リスク管理委員会」を設置しており、法令・コンプライアンス遵守体制の整備、並びにサステナビリティに関する事項を含むリスク・問題点の把握と解決に取組んでおります。
「コンプライアンス・リスク管理委員会」での審議内容については取締役会に報告し、検討と確認を行います。
(4)指標及び目標
①連結会社の状況
「中期経営計画2026(2024年3月期~2026年3月期)」における指標、目標及び実績は以下のとおりです。
・気候変動に関する取組
・人的資本に関する取組
※1 株式会社ヒガシトゥエンティワン単体の実績・目標値。
※2 従業員数については翌4月1日時点の実績・目標値。その他の数値については3月末時点の実績・目標値。
※3 賃金制度上、同一資格等級での男女の賃金差異はないが、上位職位・資格等級に占める女性の割合が少ないことが差異の主な理由であるため。
※4 国土交通省・厚生労働省が推進する取組みで、トラック運転手の労働条件・労働環境を認定団体が公正に評価し、優良な職場環境の運送事業所として認証を受けることができる制度。
※5 株式会社ヒガシ21、株式会社ワールドコーポレーションの2社。同じく対象企業のユートランスシステム株式会社、株式会社イシカワコーポレーション、株式会社トランスポート21、山神運輸工業株式会社においては1つ星を取得済。
※6 目標値は、「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」における指標、目標(計画期間:2021年4月1日~2026年3月31日)と同一。
※7 目標値は、「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」における指標、目標(計画期間:2020年7月1日~2025年3月31日)と同一。
・「輸送の安全」における取組
※車両事故率評価 AAA とは、年間事故件数を全ての所有車両数(事業用・自家用・フォークリフト)で割り、パーセント表示したものが 2%以内となる最高の評価。
(参考)AA⇒5%以内、A⇒8%以内、B⇒15%以内
②提出会社の状況
○「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」における指標、目標及び実績
(計画期間:2021年4月1日~2026年3月31日)
○「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」における指標、目標及び実績
(計画期間:2020年7月1日~2025年3月31日)
有価証券報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制・環境規制について
当社グループは、貨物自動車による運送並びに倉庫保管を主要な事業として行っておりますが、係る事業を行うにあたっては法的規制(貨物自動車運送事業法、倉庫業法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、各種環境規制等)を受けており、事業を開始するにあたっては上記法律に基づいた申請を行い、国土交通大臣の許可を得る又は登録を行う必要があるほか、産業廃棄物収集運搬事業については、収集運搬を行う区域を管轄する各都道府県知事の許可、環境対策などについても適合車両の使用が義務付けられております。
当社グループは、これらの法的規制を遵守し、環境規制に対応するため、法令違反等の防止マニュアルを確実に実行し、内部管理体制の整備に取り組むことで安全推進体制を一段と強化することで従業員及び協力会社の「安全意識」の向上を図っております。本書提出日現在において事業運営上の支障をきたす状況は生じておりません。しかしながら、法令又は条例の改正により、対応のための更なるコストが発生する場合、または将来何らかの事由により処分を受けた場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定の得意先への依存度について
日本生命保険相互会社に対する売上高総額の割合は8.6%であります。売上高については、市場価格を勘案して一般的な取引条件で決定しており、今後も同様の方針であります。また、2024年3月期末における同社からの借入金残高は4億32百万円で、借入金残高の総額51億92百万円に占める割合は、8.3%であります。借入に対する利率は、市場金利を勘案して合理的に決定しており、返済条件についても通常の金融機関と同様に決定しております。そのため、何らかの理由により契約関係の見直しが行われた場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、同社は当社株式7.89%を保有する大株主であり、また、有価証券報告書提出日現在において、同社からの転籍者は、当社取締役及び執行役(社外取締役を除く)7名のうち3名、執行役員8名のうち3名であります。加えて、出向者としては、企画部課長1名が在籍しております。
(3) 外注比率について
当社グループでは、運送事業部門において、顧客からの要望に応じた全国規模の物流に対応するとともに、景気動向等による需要の変動に効率的に対応するため、多くの外注(協力会社)を活用しており、運送事業原価に占める外注比率は、当連結会計年度末現在で80.2%となっております。
外注業者の選定は慎重に行い、親密で良好な関係を構築しておりますが、需要が集中した場合には必要な業者の確保や外注単価の上昇等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 燃料費の上昇について
当社グループが営んでいる運送事業においては、エコドライブの推進及び経費削減に努めております。原油価格の高騰により軽油価格が大幅に上昇した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 固定資産の評価について
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。当該会計基準では、グルーピングされた固定資産について回収可能価額を測定し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、その差額を減損損失として認識することとされており、今後、当社グループの事業収益の著しい低下や事業環境の変化などにより資産価値が低下した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 事故による影響について
当社グループは、トラックを利用した運送事業を営んでおりますが、「安全」と「安心」を基本方針として、デジタルタコグラフ及びドライブレコーダーの搭載、運輸安全マネジメントへの取組み等により事故撲滅に努めており、各種の保険にも加入しております。
しかしながら、万一、重大事故が発生した場合には、顧客からの信用低下や行政処分による営業活動の停滞等を招く可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 災害等の発生によるリスク
当社グループは、大規模な地震や台風等による自然災害の発生・感染症の拡大(パンデミック)等により倉庫や車両、情報システム、電力、交通網等が被害を受けた場合、物流業務の停滞等事業に支障が生じる可能性があります。
また、顧客企業が事業を展開する地域において大規模な災害が発生した場合には、要請に応じて緊急車両の手配または物資の輸送により救援活動を行いますが、その被災状況によっては顧客企業の事業活動が困難となり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 人材の確保及び育成について
当社グループは、企業規模の拡大により、優秀な人材の確保とその育成が急務となっております。当社グループは、従業員の採用を積極的に行うことにより、優秀な人材の確保に努めるとともに、社内研修制度の充実を図り、次世代人材の育成に注力しております。しかしながら、人材の確保及び育成が不十分である場合や、人材確保のためのコストが増加した場合には、当社グループの財政状態及び業績、並びに今後の事業展開のスピードに影響を及ぼす可能性があります。
(9) M&A、事業提携について
当社グループは、事業拡大及び企業価値向上のためにM&Aや資本業務提携等が有効であると考えております。これらの実施にあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約内容等について詳細なデューデリジェンスを実施し、事業のシナジーの創出と買収価格の妥当性について十分に検討した上で実行しております。しかしながら、デューデリジェンス実施時に見込んだ成果や当社グループ化によるシナジーが計画通りに進捗せず、のれんや持分法で会計処理されている投資の減損損失等、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 金利変動の影響
当社グループは、事業に使用される倉庫及び物流センターの設備資金について、その必要資金の一部を金融機関からの借入金で賄っております。2024年3月期末における借入金残高は、51億92百万円であり、負債及び純資産合計に対する借入金残高の割合は20.3%となっております。借入金は、主に固定金利での借入を行っておりますが、変動金利で調達している資金については金利変動の影響を受けることになります。また、今後の金利動向により当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 情報漏洩等によるリスク
当社グループは、物流業務、赴任引越などの受託に際して、顧客企業の情報もしくは多数の個人情報を取り扱っております。法令遵守マニュアルを定め個人情報の保護・管理体制の整備に努め、プライバシーマークの認定取得など情報の管理には細心の注意を払っておりますが、情報の外部漏洩やデータ喪失などの事態が発生した場合には、当社グループの社会的信用の低下や顧客企業からの損害賠償責任を負うことにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 訴訟等に関するリスク
当社グループの事業運営において、トラブルや問題が生じた場合、当社グループの瑕疵に関わらずこれらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起される可能性があります。これらの訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの社会的信用に影響を及ぼすほか、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)におけるわが国の経済は、雇用情勢や所得環境が改善する下で、景気は緩やかに持ち直しの傾向がみられるものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行きが懸念され、景気の先行きは依然として見通し難い状態が続いております。
物流業界においては、企業活動の持ち直しなどもあり、物流需要は堅調に推移しているものの、不安定な為替動向や物価上昇、激化する中東地域をめぐる情勢の影響によるリスクがあり、今後の経営環境への影響が不透明な状況にあります。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は406億35百万円(前年同期比16.7%増)、営業利益は21億90百万円(同14.8%増)、経常利益は23億9百万円(同14.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億6百万円(同18.8%増)となりました。
要因としましては、大手e-コマース向け業務の北大阪ロジスティクスセンター、流山ロジスティクスセンター、流山Ⅱロジスティクスセンター、鳴尾浜ロジスティクスセンターを開設したことに加え、オフィス移転事業の拡大や、2022年10月より株式会社旅人の新規連結を開始したこと等により、大幅増収増益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①運送事業
当事業につきましては、売上高は229億11百万円(前年同期比9.0%増)となり、セグメント利益は28億円(同19.8%増)となりました。これは主に、オフィス移転事業が増加したことによるものです。
②倉庫事業
当事業につきましては、売上高は106億93百万円(前年同期比33.9%増)となり、セグメント利益は8億54百万円(同10.5%減)となりました。これは主に、大手e-コマース向け業務の倉庫開設により売上が増加したものの、先行投資費用が発生したことにより、セグメント利益が減少したことによるものです。
③商品販売事業
当事業につきましては、売上高は44億35百万円(前年同期比10.6%増)となり、セグメント利益は2億25百万円(同18.6%増)となりました。これは主に、大口得意先に対する資材販売が増加したことによるものです。
④ウエルフェア事業
当事業につきましては、売上高は10億66百万円(前年同期比9.2%増)となり、セグメント利益は1億59百万円(同12.8%増)となりました。これは主に、福祉用具の貸出しにより売上が増加したことによるものです。
⑤その他
当事業につきましては、売上高は15億27百万円(前年同期比87.8%増)となり、セグメント利益は3億4百万円(同174.1%増)となりました。これは主に、2022年10月より株式会社旅人の新規連結を開始したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、40億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億74百万円増加いたしました。その内訳は、営業活動により得られた資金が30億26百万円(前年同期比355.1%増)、投資活動により使用した資金が32億70百万円(同145.0%増)、財務活動により得られた資金が8億18百万円(前年同期比14.5%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、30億26百万円(前年同期は6億65百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益23億9百万円、減価償却費7億65百万円、法人税等の支払額9億41百万円、売上債権の増加による減少額7億9百万円、仕入債務の増加による増加額3億58百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、32億70百万円(前年同期は13億35百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出28億63百万円、差入保証金の差入による支出4億33百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、8億18百万円(前年同期は7億14百万円の収入)となりました。これは長期借入による収入16億円、長期借入金の返済による支出5億52百万円、短期借入金の増加額4億円、配当金の支払による支出3億93百万円によるものです。
当社グループの主たる事業内容である物流事業(運送事業、倉庫事業)については、受注生産形態はとっておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、主な相手先の販売実績につきましては次のとおりであります。
(注)1.当連結会計年度の日本生命保険相互会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
2.前連結会計年度のアマゾンジャパン合同会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたりまして、判断及び仮定を使用することが必要となる金額については、過去の実績や状況に応じ判断、仮定、情報の適切性及び金額の妥当性に留意した上で会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
①財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ43億8百万円増加し、255億35百万円となりました。資産の主要科目の増減は、営業未収入金及び契約資産が6億58百万円増加し、倉庫開設に伴い機械及び装置が7億74百万円増加し、新倉庫建設用地の購入により土地が6億46百万円増加し、新倉庫建設に伴う手付金の支払等により建設仮勘定が13億50百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ28億67百万円増加し、132億23百万円となりました。負債の主要科目の増減は、営業未払金が3億58百万円増加し、短期借入金が4億円増加し、長期借入金が9億18百万円増加し、新規リース契約締結等により固定負債のリース債務が4億4百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、利益剰余金の増加等により前連結会計年度末に比べ14億40百万円増加し、123億11百万円となり、自己資本比率は48.2%となりました。
(売上高)
当連結会計年度は、大手e-コマース向け業務の北大阪ロジスティクスセンター、流山ロジスティクスセンター、流山Ⅱロジスティクスセンター、鳴尾浜ロジスティクスセンターを開設したことに加え、オフィス移転事業の拡大や、2022年10月より株式会社旅人の新規連結を開始したこと等により、売上高は406億35百万円(前年同期比16.7%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、大型3PLセンターの開設に伴う設備投資や、成長事業への人材投資等が発生しているものの、業容拡大、経費削減への取組や業務効率化を推進したこと等により、23億9百万円(同14.0%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、賃上げ促進税制の税額控除適用の影響等により、15億6百万円(同18.8%増)となりました。
キャッシュ・フローの分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績業及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、運送事業における人件費や燃油費、設備投資においては車輛運搬具や情報設備等の購入、倉庫施設の改修及び設備面における作業効率改善、既存設備等のメンテナンスと入替のための費用があります。これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応する方針であり、主に短期的な運転資金は銀行等金融機関からの短期借入により調達し、設備投資等に要する資金は銀行等金融機関からの長期借入により調達する方針です。
また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行と当座貸越契約を締結しております。2024年3月31日現在の短期借入金の残高は20億30百万円、長期借入金(1年以内に返済予定のものを含む。)の残高は31億62百万円であります。
株主還元につきましては、安定配当かつ利益還元を重視しつつ、長期的かつ安定的な事業展開に必要な内部留保の充実を図りながら、これを総合的に勘案して決定することとしており、連結配当性向は30%以上を目標水準としております。
上記の基本に基づき、当期の配当金につきましては、1株につき36円としております。
物流業界においては、長期化するウクライナ情勢や激化する中東情勢などの地政学リスク、さらには不安定な為替動向や物価高騰の影響等により、今後も不透明な状況が続くものと予想されます。
このような認識のもと、当社グループは、昨年より中期経営計画2026(2023年5月12日公表)を掲げ、事業に取り組んでおります。
中期経営計画2026の2年目となる2025年3月期につきましては、2023年11月に開設した「首都圏輸送センター」や、2024年3月に大手e-コマース会社向けに兵庫県神戸市に開設した「神戸西ロジスティクスセンター(倉庫面積16,576坪)」のほか、大手インフラ会社向け資材販売業務や大手e-コマース向け配送業務の拡大を予定しており、売上高に関しましては、425億円(前年同期比4.6%増)を見込んでおります。
利益に関しましては、前年度に続き、幅広い事業での成長に向けた車両、設備、人材への投資が計画されているものの、前年度開設し、初期投資費用が発生していたe-コマース会社向けの「流山ロジスティクスセンター(倉庫面積14,870坪)」、「鳴尾浜ロジスティクスセンター(倉庫面積5,519坪)」、「北大阪ロジスティクスセンター(倉庫面積5,392坪)」の収益化が進むことや、業容拡大による収益源の増加などで、営業利益は24億50百万円(前年同期比11.9%増)、経常利益は26億円(同12.6%増)、当期純利益は16億40百万円(同8.8%増)を見込んでおります。
なお上記の2025年3月期の売上高予算425億円、経常利益予算26億円は、中期経営計画2026の最終年度となる2026年3月期の中期目標数値である売上高420億円、経常利益25億円を上回ることから、中期経営計画2026の最終年度の目標数値について売上高450億円、経常利益28億円に上方修正しております。詳細は、2024年5月10日公表の「中期経営計画値の見直しに関するお知らせ」をご覧ください。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 会社の対処すべき課題」に記載しております。
物流業界は、規制緩和が進み業者間の競争が厳しさを増しており、また、働き方改革関連法に伴う2024年問題、特にドライバーなど労働力人口の減少への対応が急務であります。さらには、制度や法改正による企業倫理や安全・環境問題への対応など、企業として果たすべき責任が大きくなっております。
当社グループは、「安全」と「安心」を大切にして物流事業を通じ社会に奉仕することをスローガンに、①商品・サービスの使命、②社会的使命、③経済的使命の3つの使命を経営理念として株主価値の向上を図り、社会に貢献できる会社を目指しておりますが、事業をめぐる厳しい環境や事業領域拡大に伴い、従業員一人ひとりが当社グループの社会的存在価値を再認識し主体的に業務に取組んでいく必要があると考え、2023年度にグループパーパス「安心をずっと、驚きをもっと。人と技術とITで、新たな価値を創造し、豊かな明日へつなぎます。」を制定し、グループ共通の価値観として、グループ一丸となって事業活動に取組んでおります。
なお、コンプライアンス全体を統括する組織として社長を委員長とする「コンプライアンス・リスク管理委員会」を設置するとともに、「法令遵守マニュアル」を制定し、コンプライアンス体制の整備及び問題点の把握に努め、内部管理体制の一層の充実を図ることで法令遵守及び交通安全対策などに積極的に対応する方針であります。
また、サステナビリティ全体を統括する組織として社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し気候変動問題や人権の尊重などの取組みを着実に推進してまいります。
さらに、財務報告の信頼性を確保するため、「財務報告に係る内部統制の整備・運用及び評価の取扱い」を定めており、関係規程、役員及び従業員の意識向上、内部監査制度の充実等を図り、財務報告に係る内部統制の有効かつ適切な運用・管理に努めております。
該当事項はありません。
特記すべき事項はありません。