第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

社会の繁栄とともに歩むのが、企業のあるべき姿だと私たちは考えます。企業が成長する中で、社会のどの分野でお役に立てるのか。地球環境の保全にどのように貢献できるのか。それを実践するために、ナガワが常に意識しているのがトリプルボトムラインです。企業価値、環境的価値、そして経済的価値の3つの視点から、企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

(2) 経営戦略等

成長・発展を主テーマとして、自らを変革し大きく飛躍し、国内及び海外事業の強化、拡大を進めるとともに、経営の効率化に取り組むことで、国際競争力の向上を図ります。

主要な取り組みは以下のとおりです。

① ユニットハウス販売、貸与

イ.常設、サテライト展示場出店の強化

ロ.中古販売の促進

ハ.国体等イベント関連受注の促進

② モジュール・システム建築

イ.アライアンス強化(協業)の推進

ロ.既存建築から振替需要への事業展開強化

ハ.設計体制及び施工体制の充実化

ニ.3D見積りシステムやVRツールの活用による提案力強化

ホ.新規出店や既存展示場のリニューアルによるモジュール建築展示場の拡大

③ 建設機械レンタル事業

イ.北海道南部建設市場の収益力強化

ロ.収益商品への積極的投資

ハ.整備士の資格取得推進による人材強化

④ 海外事業

イ.NAGAWA OY CONSTRUCTION Co.,Ltd.

既存及び新規進出日系企業の拡大(事務所、工場、倉庫、商業店舗等の需要)

 

(3) 経営環境

次連結会計年度につきましては、実質賃金がプラスに転換する予測から個人消費が回復に向かい、企業業績が堅調に推移するなか、設備投資も拡大傾向が続くことが見込まれるものの、世界経済は金融環境の引き締めを背景とした緩やかな減速傾向が継続しており、先行きは不透明な状況となっております。

 建設業界におきましては、建設投資については公共、民間ともに堅調に推移するものの、働き方改革関連法の適用により、人材の確保や、適正な工期設定による現場環境の変化への対応が求められる等、経営環境は予断を許さない状況が予想されます。

このような環境のもと当社グループといたしましては、景気回復に伴い拡大する需要に着実に対応すべく、(1)モジュール建築展示場、サテライト展示場の増設による空白地域の販売網拡大、(2)3D見積りシステムやVRツールを活用したスピード感ある提案力の強化とWEB受注の拡大、(3)モジュール・システム建築事業のさらなる拡大のためのM&A推進による人材確保と業容拡大、(4)資格取得によるプロ集団の形成に取組み、低層建築市場における「軽量鉄骨ゼネコン」の確立を目指してまいります。

 さらに、多様化する顧客の要望に対応するため、商品開発を進め優位性の高い商品を供給するのはもちろん、販売網の拡大と、設備投資による供給力の強化も進めてまいります。

 また、コーポレートガバナンスをはじめコンプライアンス遵守とリスクマネジメントに誠実に取り組み、経営の透明性と健全性を一層高め、継続的な企業価値向上に努めてまいります。

 2025年3月期通期業績の見通しにつきましては、連結売上高360億円、連結営業利益52億円、連結経常利益54億円、親会社株主に帰属する当期純利益37億円を予想しております。

 

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの対処すべき課題として、短納期、低コストのモジュール・システム建築を中心に低層建築市場の開拓、建築施工体制の充実化を積極的に推進するために、従来の展示場とは異なるモジュール建築展示場の開設、人材育成のための資格取得支援により、建築施工体制の強化を図ってまいります。また、価格競争力強化のため、3D見積りシステムやVRツールを活用した業務効率化と、物流体制の強化・効率化を行ってまいります。

さらに多様化する需要にこたえるべく、商品開発と品質管理の徹底を進めるとともに、コーポレートガバナンスをはじめコンプライアンスの遵守とリスクマネジメントに誠実に取り組み、経営の透明性と健全性を確保し、継続的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

ユニットハウス事業、モジュール・システム建築事業、建設機械レンタル事業における主要な取り組みは、民間受注と官公庁受注さらに展示場受注に区別して社内目標値を設定し、達成状況を判断しております。レンタル事業については、主に保有数量及び稼働率を指標として使用しております。

これらに基づき、レンタル事業が投資から回収まで数年を要する事業特性から業績の伸長を踏まえ、かつ将来の事業展開、設備投資等を長期的、総合的に勘案したうえで、将来の設備投資動向等の資金を睨みつつ、概ね『総還元性向』30%以上を目安とし、増配や自己株式の取得を行うなど株主の皆様への還元を行っております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

役員部長連絡会にて、サステナビリティ関連のリスクと機会を分析・監視・管理し、サステナビリティに関する基本方針や重要課題の特定、重要課題に関する指標や目標の設定や進捗管理、サステナビリティ関連情報開示等に関する審議を行い、取締役会へ報告いたします。

また、上記体制にて識別されたリスクと機会については、役員部長連絡会にて定期的に確認を行い、必要に応じて重要課題及びその指標や目標を見直すなど適切に対応してまいります。

現在、識別しているリスクと機会は次のとおりです。

なお、NAGAWA OY CONSTRUCTION Co.,Ltd.は事業活動を終了しているため、対象外としております。

想定されるリスク

事業への影響

種別

分類

概要

リスク

機会

物理的リスク

自然災害の激甚化

大規模災害の発生

災害による商品、事業所等への被害

営業停止、生産の遅延

水災や風災による商品毀損

事業所、設備の復旧投資発生

サプライチェーンの事業中断

復旧作業に対する当社商品の需要増

応急仮設住宅の供給

移行リスク

炭素税導入

CO2排出量に応じたコスト

CO2排出への課税による事業所等で使用する燃料、電気料金のコスト増加

再生エネルギーへの移行加速

排出目標

目標強化によるコスト発生

排出削減に必要なコスト発生

当社商品に対する評価上昇による需要増

調達

資材価格

炭素税導入による資材価格上昇

代替資材への移行

投資家の評価

 

気候変動への対策が不十分だと評価されることによる競争力の低下と事業機会の逸失

再生利用可能な商品と認知が広まり評価上昇

 

 

 

 

(2) 戦略

当社は、国際社会の共通目標として掲げられたSDGs「持続可能な開発目標」の達成に事業を通じて貢献することを、サステナビリティを巡る取り組みについての基本方針としております。社会の繁栄とともに歩むのが、企業のあるべき姿だと私たちは考えます。企業が成長する中で、社会のどの分野でお役に立てるのか。地球環境の保全にどのように貢献できるのか。それを実践するために、当社が常に意識しているのがトリプルボトムラインです。社会的価値、環境的価値、そして経済的価値の3つの視点から、全社一丸となって企業の社会的責任を果たしてまいります。

① 社会貢献

 国際イベントや、スポーツ大会、地域の夏祭りなどでは展示ブースやスタッフルーム、仮設店舗として移動・撤去がスムーズなスーパーハウスを多数、御利用頂いております。台風や地震、水害などの自然災害時は応急仮設住宅を提供し、地域の皆様、被災者の皆様に大変喜ばれております。また、待機児童施設や保育施設などの公共事業にも積極的に取り組んでいます。

② 環境貢献

 再利用が可能なスーパーハウスは、環境に優れた商品です。なかでも「スーパーハウスレンタルシステム」は、設計段階から廃材の削減を図るとともに、不要になったハウスを回収し、メンテナンスを行って商品として何度も再利用しています。

ごみになる物を拒否する「Refuse」。資源の無駄を減らす「Reduce」。壊れても修理して使う「Repair」。

繰り返して使う「Reuse」。再資源化する「Recycle」。

 当社は、循環型社会の実現に向け、独自の取り組みを推進しています。

③ 品質管理

 品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001の認証を本社製造本部、結城工場で取得。また、石狩工場・仙台工場・結城工場・東員工場・京都工場・福岡工場では、国土交通大臣認定の鉄骨性能評価Rグレードの認定を受け、高品質かつ安心・安全なスーパーハウスを製造しています。

「社会貢献」は営業本部が、「環境貢献」は営業本部と製造本部が、「品質管理」は製造本部がその進捗を役員部長連絡会で報告し、その内容を取締役会がモニタリング、監督しています。

 

④ 気候変動

 気候変動に関しては、今後情報開示の充実に努めるとともに、事業の持続的成長に繋げるため対応策を推進してまいります。

 また、当社グループでは、気候変動に関する評価指標として、GHG排出量を選定しています。本指標に関する目標設定については、外的環境と内部の事業の状況を基に検討を進めていきます。

 排出量実績

項目

排出量(t-CO2)

2022年度

2023年度

Scope1

505.8

524.4

Scope2

 

 

 ロケーション基準

912.8

1,056.7

 マーケット基準

996.8

972.9

Scope1+2合計

 

 

 ロケーション基準

1418.6

1,581.1

 マーケット基準

1502.6

1,497.3

対象拠点数

89

99

 

(注)連結対象会社であるNAGAWA OY CONSTRUCTION Co.,Ltd.は、事業活動を終了しており稼働実績がありません。そのため排出の対象から除外しております。

⑤ 人的資本

 事業の継続及び持続的な成長を実現するため、人材戦略は重要課題の一つと考えております。課題解決の基本方針として、「人材戦略」「社内環境の整備」を推し進めています。

 具体的には、外国人やシルバー人材など多様な人材を確保するとともに、人材育成の観点から従業員のキャリア構築を積極的に支援するための資格取得の援助と報奨金制度を導入しております。また、従業員が持てる力を充分に発揮できる環境の整備にも取り組んでいます。

 

(3) 指標及び目標

  当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した事項について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

戦略

指標

目標

実績(当連結会計年度)

社会貢献

自治体との災害協定締結

自治体と締結

できている事業所

100%

締結数 94自治体

自治体と締結できている事業所

63.1%

人材育成

外国人の雇用

1/年

1

人材育成

シルバー人材の雇用

8/年

0

人材育成

資格取得の援助及び報奨金制度

150/年

71人(700千円支給)

人材育成

女性労働者からの管理職登用

2028年3月まで3

0

社内環境の整備

ノー残業デーの拡充

2/週

2日/週

社内環境の整備

男性労働者の育児休業取得

100.0

50.0

社内環境の整備

労働者の男女の賃金格差

70.0

(正規雇用労働者)

66.4

(正規雇用労働者)

 

(注)指標の対象となる会社は提出会社のみとなります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社は、入手可能な情報を元に予見可能な範囲で市場競争に勝つための戦略を持ち、経営資源の有効活用に努めております。

当社グループを取り巻く経営環境において、考えられる主な事業リスクは以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 当社グループの主要顧客である建設、土木業界は、公共投資や民間設備投資に左右される体質であることから、公共投資の減少、建設需要の減少等の環境変化が顕著な場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 当社グループは、ユニットハウス事業及び建設機械レンタル事業において、多額のレンタル資産を保有しております。そのため、急激な市場環境の変化や技術革新、競合他社の新製品等の台頭によりレンタル資産が陳腐化し、減損処理や廃棄処分等が必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 当社グループのユニットハウス事業及び建設機械レンタル事業は、鋼材木材価格の高騰によるユニットハウス製造原価の上昇や、建設機械の仕入価格の上昇により減価償却費が増加することで原価が上昇し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) ユニットハウス事業及び建設機械レンタル事業において、同業者間競争の激化による製品価格、レンタル価格の下落等が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、ユニットハウス事業においては、代理店(主に建設機械レンタル会社)を経由して顧客(主に建設会社)に販売、レンタルする商流が約75%(2024年3月期)を占めているため、何らかの理由により代理店において当社の製品が取り扱われなくなったり、代理店間の競争激化による製品価格、レンタル価格が下落した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与えるリスクがあります。

 

(5) 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は発生、変更年度に一時の費用として認識されるため、発生、変更年度に認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また今後の割引率の低下や運用利回りの悪化は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) ユニットハウス事業及びモジュール・システム建築事業においては、店舗・倉庫・事務所などの一般建築物も取り扱っております。これらは、建築基準法、都市計画法、国土利用法、その他関係法令による規制を受けております。今後、これらの規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、これらの法令を含めコンプライアンスが遵守されるよう役職員に対し、研修等を通じ徹底を図っていますが、適用法令等の違反が発生し、これら法令に基づく許認可、免許及び登録等の取消、停止等の処罰、処分その他の制裁を受けたり、当社グループの社会的信用やイメージが毀損した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、当社グループにおいて関係又は保有している許認可、免許等の状況は下記のとおりです。

 

取得年月

2016年6月

2014年12月

2005年3月

許認可等の名称

建設業許可

(特定建設業許可)

一級建築士事務所登録

古物商許可

所管官庁等

国土交通大臣

東京都知事

東京都公安委員会

許認可等の内容

国土交通大臣許可

(特-28)第21737号

(注)1

一級 東京都知事登録

第59856号

(注)2

第301020907153号

(注)3

有効期限

2026年6月15日

(5年ごとの更新)

2024年12月24日

(5年ごとの更新)

法令違反の要件

及び主な許認可取消事由

故意又は重過失による不正行為があったときは原則として営業停止処分(建設業法第28条第1項)

不正な手段による許可の取得や登録拒否事由に該当した場合は許可の取消(建築士法第26条)

不正な手段による許可の取得や欠格事由に該当した場合は許可の取消(古物営業法第6条)

 

(注) 1.建設業許可は、建設工事の請負に必要な許認可であります。

建設業許可の内訳は次のとおりであります。

①建築工事業 ②大工工事業 ③左官工事業 ④とび・土工工事業 ⑤石工事業 ⑥屋根工事業

⑦タイル・れんが・ブロツク工事業 ⑧鋼構造物工事業 ⑨鉄筋工事業 ⑩板金工事業

⑪ガラス工事業 ⑫塗装工事業 ⑬防水工事業 ⑭内装仕上工事業 ⑮熱絶縁工事業 ⑯建具工事業

⑰解体工事業 ⑱(般-3)管工事業

2.一級建築士事務所登録は、設計・積算に必要な登録許可であります。

3.古物商許可は、中古販売及び買取りに必要な許認可であります。

 

(7) 当社グループは、将来にわたって成長を続けていくため海外での事業展開に取り組んでおりますが、進出地域の経済状況の変化、景気の後退、為替レートの変動、政治又は法規制の変化、テロ、戦争、疾病の発生、その他の要因による社会的混乱が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) ユニットハウス事業及び建設機械レンタル事業におけるレンタル販売は、建設市場の動向に左右されます。特に建設市場の4割弱を占める公共部門の需要は年度ごとに予算編成と執行が行われるため、年度初めは公共工事の執行が少なく、夏ごろから徐々に工事が始まり、冬季に向けて工事量が増加していく傾向があります。このようなレンタル需要の季節変動により、第1四半期にレンタル稼働棟数及び稼働率が低くなり、営業利益が他の四半期と比較して少なくなる傾向があります。

(参考)2024年3月期各四半期業績                             (百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高

7,160

7,784

8,691

8,940

営業利益

785

1,007

1,220

1,228

 

 

(9) 気候変動により増加傾向にある台風、豪雪などの異常気象により、当社の主要な設備が一度の災害で広範囲の事業所で被害を受けた場合、この復旧まで生産若しくは出荷が長期間にわたり停止することがあります。また、当社の主要な設備は北海道から九州まで拠点があり、当社グループ一斉停止リスクの極小化を図っています。

 

 

(10) 当社グループの従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症の感染が拡大した場合、一時的に事業を停止するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、感染拡大の影響を極小化するための行動規範を整備しております。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大が、上記(1)の主要顧客への影響要因として、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

提出日現在において、2025年3月期通期業績の影響は前年同期比で①ユニットハウス事業は増加傾向。②モジュール・システム建築事業は微減。③建設機械レンタル事業は横ばいと見込んでおり、業績の見通しは連結売上高360億円、連結営業利益52億円、連結経常利益54億円、親会社株主に帰属する当期純利益37億円と予想しております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況
当期の経営成績の状況

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に

帰属する

当期純利益

1株当たり

当期純利益

(円、銭)

当連結会計年度

32,576

4,241

4,643

3,119

198.41

前連結会計年度

31,652

4,308

4,674

3,130

199.15

前年同期間増減率(%)

2.9

△1.6

△0.7

△0.4

△0.4

 

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績が堅調に推移するも、人手不足感は高い水準となりました。さらに、実質賃金はマイナスが続いている影響から、個人消費の抑制も続いています。また、世界経済の停滞による影響を受け、先行きは不透明な状況となっております。

このような環境のもと、今後の需要拡大を見据え、展示場の新規開設やモジュール建築展示場へのリニューアル、今後の人手不足を見込んだ設備強化のため当社初の全自動鉄骨溶接ロボットを製造拠点に導入するなど積極的な先行投資を行ってまいりました。また、潤沢に保有するハウスをもとに、全国の展示場で一斉キャンペーンを実施し、受注拡大に努めてまいりました。

その結果、当連結会計年度における売上高は325億7千6百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は42億4千1百万円(前年同期比1.6%減)、経常利益は46億4千3百万円(前年同期比0.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、31億1千9百万円(前年同期比0.4%減)となりました。

 

セグメント別の概要は次のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

連結損益
計算書計上額

 

ユニット

ハウス事業

モジュール・システム建築事業

建設機械

レンタル事業

売上高

26,470

4,925

1,181

32,576

32,576

営業利益

3,516

729

40

4,286

△45

4,241

 

 

(ユニットハウス事業)

ユニットハウス事業におきましては、販売は全国一斉キャンペーンを常設展示場で実施し、個人、法人のいずれも販売拡大に努めてまいりました。レンタルは受注機会の獲得率を高めるためハウスを増産し、年間を通じて高い稼働率で推移しました。また、1月に発生した能登半島地震の復興支援として、被災地への応急仮設住宅の供給を優先し、尽力してまいりました。

その結果、当事業のセグメント売上高は264億7千万円(前年同期比0.5%増)となりました。また、セグメント利益は35億1千6百万円(前年同期比10.0%減)となりました。

(モジュール・システム建築事業)

モジュール・システム建築事業におきましては、新規開設や従来の展示場のリニューアルも含め、全国でモジュール建築展示場が7箇所から19箇所となり、新たな需要の喚起と受注拡大に努めてまいりました。また、第4四半期に完工する物件が多く売上高、利益にも大きく寄与しました。

その結果、当事業のセグメント売上高は49億2千5百万円(前年同期比17.4%増)となりました。また、セグメント利益は7億2千9百万円(前年同期比99.3%増)となりました。

(建設機械レンタル事業)

建設機械レンタル事業におきましては、レンタルは前期より高い稼働率で推移するとともに、販売の需要に応えるべく取引拡大に努めてまいりました。

その結果、当事業のセグメント売上高は11億8千1百万円(前年同期比5.1%増)となりました。また、セグメント利益は4千万円(前年同期比51.7%減)となりました。

 

当期の財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ32億8千万円減少し、201億4千7百万円となりました。その主な要因は、商品及び製品が6億2千3百万円、売掛金が5億3千4百万円、仕掛品が4億3千9百万円それぞれ増加した一方、現金及び預金が37億3百万円、契約資産が7億8千6百万円、原材料及び貯蔵品が3億5千9百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ113億5千万円増加し、467億2千9百万円となりました。その主な要因は、投資有価証券が78億5千8百万円、貸与資産が19億7千3百万円、建物及び構築物が13億2千2百万円、土地が1億4千4百万円それぞれ増加した一方、繰延税金資産が1億3千7百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ80億7千万円増加し、668億7千6百万円となりました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ2千7百万円増加し、52億7千3百万円となりました。その主な要因は、買掛金が1億1千1百万円、未払金が8千9百万円それぞれ増加した一方、契約負債が1億5千6百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ17億9千7百万円増加し、18億7千8百万円となりました。その主な要因は、繰延税金負債が18億4百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ18億2千5百万円増加し、71億5千1百万円となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ62億4千4百万円増加し、597億2千5百万円となりました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金が41億1千3百万円、利益剰余金が21億7千5百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

この結果、自己資本比率は、89.3%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ37億3百万円減少し、71億6千6百万円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、11億4千万円(前年同期比117.5%増)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益が46億7千5百万円、減価償却費が36億8千5百万円等であり、主な減少要因は貸与資産の取得による支出が52億7千4百万円、法人税等の支払額が14億6千4百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は38億1千2百万円(前年同期比167.1%増)となりました。主な要因は投資有価証券の取得による支出が24億2千8百万円、社用資産の取得による支出が19億5百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は10億2千9百万円(前年同期比0.7%増)となりました。主な増加要因は自己株式の処分による収入が10億9千9百万円であり、主な減少要因は自己株式の取得による支出が11億8千6百万円、配当金の支払額が9億4千2百万円によるものであります。

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

前年同期比(%)

ユニットハウス事業(百万円)

9,083

106.0

モジュール・システム建築事業(百万円)

656

88.7

合計(百万円)

9,739

104.6

 

(注) 金額は、製造原価であります。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

モジュール・システム
建築事業

5,762

148.5

1,432

240.9

合計

5,762

148.5

1,432

240.9

 

(注) ユニットハウス事業については見込み生産を行っているため、受注実績を記載しておりません。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

前年同期比(%)

ユニットハウス事業(百万円)

販売収入

12,203

96.5

レンタル収入

14,266

104.3

26,470

100.5

モジュール・システム建築事業(百万円)

4,925

117.4

建設機械レンタル事業(百万円)

1,181

105.1

合計(百万円)

32,576

102.9

 

(注) 総販売実績に対する割合が100分の10以上となる販売先はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ80億7千万円増加の668億7千6百万円(前連結会計年度末は588億6百万円)となりました。

流動資産は201億4千7百万円(前連結会計年度末は234億2千8百万円)となりました。これは主に、商品及び製品が6億2千3百万円、売掛金が5億3千4百万円、仕掛品が4億3千9百万円それぞれ増加した一方、現金及び預金が37億3百万円、契約資産が7億8千6百万円、原材料及び貯蔵品が3億5千9百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。

固定資産は、467億2千9百万円(前連結会計年度末は353億7千8百万円)となりました。これは主に、投資有価証券が78億5千8百万円、貸与資産が19億7千3百万円、建物及び構築物が13億2千2百万円、土地が1億4千4百万円それぞれ増加した一方、繰延税金資産が1億3千7百万円減少したこと等によるものであります。

当社グループは、鉄骨を主構造とするユニットハウス、モジュール・システム建築の製造・販売及び請負工事業をコア事業として営んでおります。コア事業の拡大と事業効率の向上によって、当社グループ事業全体の発展を図るとともに、全国すべての地域において貢献できる企業としての確固たる事業基盤を構築するために、取引先との協力関係の更なる強化及び構築を進めております。また、ユニットハウス事業の主要資産である貸与資産は、3年連続で増加しています。これは貸与レンタルと中古資産の販売強化を図るため生産棟数を強化したことによります。ユニットハウス事業は現況において、収益のコア事業であり、販売収入・レンタル収入の強化とともに、貸与資産の増加に今後も取り組んでまいります。

 

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ18億2千5百万円増加の71億5千1百万円(前連結会計年度末は53億2千6百万円)となりました。

流動負債は52億7千3百万円(前連結会計年度末は52億4千6百万円)となりました。これは主に、買掛金が1億1千1百万円、未払金が8千9百万円それぞれ増加した一方、契約負債が1億5千6百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は18億7千8百万円(前連結会計年度末は8千万円)となりました。これは主に、繰延税金負債が18億4百万円増加したこと等によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ62億4千4百万円増加の597億2千5百万円(前連結会計年度末は534億8千万円)となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が41億1千3百万円、利益剰余金が21億7千5百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は、89.3%となりました。

 

2) 経営成績
(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ9億2千4百万円増加の325億7千6百万円となりました。

前連結会計年度比においては、ユニットハウス事業が0.5%、モジュール・システム建築事業が17.4%、建設機械レンタル事業は5.1%のそれぞれ増加となりました。前向きな設備投資が回復基調にあるなか、モジュール・システム建築の施工増加による売上が向上した成果であります。モジュール・システム建築事業は第二のコア事業に育てる過程の成果であり、受注高拡大に向け提案力・販売力を向上するため新規出店や店舗リニューアルによるモジュール建築展示場の拡大と営業活動を強化してまいります。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、前連結会計年度に比べ6億2千1百万円増加の194億1千1百万円となりました。

当連結会計年度の原価率は59.6%、前連結会計年度は59.4%と0.2%増加となりました。売上高の伸張と売上原価の伸張は売上原価圧縮にて反比例的に推移するものの、昨今の資材高騰による原価上昇を受け、段階的な価格転嫁を行い原価率上昇の抑制に努めました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ3億7千万円増加の89億2千4百万円となりました。

売上高の伸張と販売費及び一般管理費の伸張は比例的に推移しております。

前連結会計年度に比べ増加している地代家賃と広告宣伝費は、モジュール建築展示場を主とした新規出店や店舗リニューアルのための先行投資によるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度末に比べ1千1百万円減少の31億1千9百万円となりました。

営業外収益において、受取配当金が3億5千7百万円、雑収入が4千9百万円となりました。

営業外費用、特別利益、特別損失において特筆すべき事項はありません。

当社グループのセグメントの概要については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営に影響を与える要因としましては、公共工事予算並びに民間設備投資金額の推移があります。公共投資は前年と比較して底堅く推移しており、民間設備投資も拡大傾向が続くことが見込まれるものの、世界経済は金融環境の引き締めを背景とした緩やかな減速傾向が継続しており、先行きは不透明な状況となっております。

建設業界におきましては、建設投資については公共、民間ともに堅調に推移するものの、働き方改革関連法の適用により、人材の確保や、適正な工期設定による現場環境の変化への対応が求められる等、経営環境は予断を許さない状況が予想されます。

なお、主要な取り組みにおける成果としては、販売事業における成果としては、売上計画達成率は82.0%となっており、当社グループは、着実に売上高計画を達成すべく、モジュール建築展示場(モジュール建築、ユニットハウスの大型総合展示場)、サテライト展示場(小型の展示場)の大幅増設による販売網の拡大を図るとともに、3D見積りシステムとVRツールを導入しスピード感のある提案力の強化も図ってまいります。また、技術者の育成に着眼をおき、社員の資格取得を積極的に支援することで技術者不足の解消に努めてまいります。また、モジュール・システム建築事業のさらなる拡大のためのM&Aや協業体制の推進による人材確保や人材の効率化を図ります。

レンタル事業における主要な取り組みにおける成果としては、稼働率計画達成率は92.1%、売上計画達成率は97.7%となっており、計画を達成すべく豊富な手元資金を背景に拡大する需要に対応し、貸与資産への設備投資を積極的にスピード感をもって行ってまいります。

ユニットハウス事業、モジュール・システム建築事業での、低層建築市場における「軽量鉄骨ゼネコン」としての確立を目指してまいります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社の資金需要の主なものは、設備投資や投資から回収まで数年を要する貸与資産などの長期資金需要と、製品製造のための原材料の購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。

当社の資本の財源及び流動性については、事業活動に必要な現金を安定的に確保することを基本としており、資金調達につきましては自己資金を基本としております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。