本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載が無い限り、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、以下の経営理念体系をグループ経営の基本とし、企業活動をしていくうえでの拠りどころと位置づけています。
<経営理念>
お客さまに信頼され、地域にとってなくてはならない金融グループとして、
① お客さまの豊かな人生、事業の発展に貢献します。
② 地域社会の持続的な発展に貢献します。
③ 従業員が誇りを持って働ける魅力ある会社であり続けます。
④ 持続的に成長し、企業価値を向上させます。
<長期的にめざす姿>
地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー
<すべての役職員が共有すべき価値観・行動指針>
「信頼と信用」 地域・お客さま・株主・従業員との信頼関係の維持・強化を大切にする。
「お客さま本位」 常にお客さまファーストに基づき行動する。
「変革と挑戦」 経済・社会の変化に対して常に変革マインドを持ち、失敗を恐れず挑戦する。
「誇り」 確固たる矜持を持って常にベストを尽くす。
(2) 経営環境
2023年度のわが国経済を振り返りますと、物価高などの影響を受けながらも、景気は緩やかに回復しました。半導体市場を中心に海外製造業が調整局面にある中でも、供給制約の緩和による国内の自動車生産の回復を受けて、輸出は底堅く推移しました。また、インバウンド消費の拡大が続いたことも景気を下支えしました。一方、企業の設備投資は、建設工事費の高騰等を背景としたコスト上昇の影響を受けながらも、企業収益が高水準で推移する中で緩やかに持ち直しました。他方、個人消費は、賃上げにより家計の所得が増加した一方で、食料品やサービス価格などに値上げが広がり、鈍い動きとなりました。なお、年明け後は、一部自動車メーカーの工場稼動停止や能登半島地震の影響により、生産や輸出などが弱めの動きとなり、景気回復がやや足踏みしました。
金融面では、短期金利については、無担保コールレート(オーバーナイト物)がゼロ%に近いマイナス圏内で推移した後、2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除したことを受けて年度末にかけてやや水準を切り上げ、プラス圏に浮上しました。一方、長期金利については、日本銀行が2023年7月と10月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用柔軟化を進める中で次第に上昇基調が鮮明となり、10年物国債金利は11月に節目の1%に近づく場面もありました。ただその後は、米長期金利の低下などを受けて、日本の長期金利もやや水準を切り下げました。
(3) 中期経営計画の概要と目標指標の進捗
当社グループは、持続的な成長を通じた中長期的な企業価値の向上と、長期的にめざす姿である「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」の実現に向け、2022年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画を定めています。2023年度は、中期経営計画の2年目として、掲げた3つの基本テーマにもとづく重点戦略を迅速かつ着実に実行しました。その結果、目標指標の達成に向け業績は着実に進捗しました。
①中期経営計画の概要
②目標指標の進捗
(注)1 ROE(連結)=親会社株主に帰属する当期純利益÷株主資本(期首・期末平均残高)
ROE(連結)東証基準=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均残高)
自己資本は純資産の部合計から株式引受権、新株予約権および非支配株主持分を除く。
2 OHR(連結)=経費÷業務粗利益
3 普通株式等Tier1比率=普通株式等Tier1(その他有価証券評価差額金を除く)÷リスクアセット
4 2020年度、2021年度については、バーゼルⅢ最終化前。2022年度、2023年度、中計目標および中期的にめざすレベルについては、バーゼルⅢ最終化・完全実施ベース。
5 2024年度業績予想ROE(連結)は6.4%。
(4) 会社の対処すべき課題
上場企業である当社にとっての最重要課題は「企業価値の向上」です。多くの上場企業がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの状況にある中、上場企業は東京証券取引所から「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けた対応を要請されています。当社においても2024年3月末時点で0.7倍程度と、株主の皆さまの期待に応えきれておりません。
当社は、PBRを改善するためにROEの向上と株主資本コストの抑制・低減に取り組んでいます。なかでもPBRとの相関性が高く、経営戦略の実行により自律的に向上しうるROEを中核的な経営目標として設定し、株主資本コストを上回るROEの早期達成に向けた戦略の遂行に取り組んでいます。
一方、米欧のインフレ動向や長引くウクライナ危機・中東情勢などを背景に不安定な世界経済情勢が続く中、国内においては金融政策の転換や円安の進展がみられるなど、当社を取り巻く経済環境の不確実性は高まっています。
こうした不確実性の高まる経営環境のもとで、企業価値の向上と長期的にめざす姿である「ソリューション・カンパニー」の実現に向けて優先的に対処すべき課題は、「収益力の強化」「人的資本投資の強化」「地域社会の持続的な発展への貢献」の3点と考えており、各課題に対しては以下のとおり取り組みます。
<収益力の強化>
お客さまとのさらなるリレーションの強化をはかり、真の経営課題の解決に資するソリューションの提供に引き続き取り組むことで、本業の収益力を前年度以上に強化します。
また、金融政策の転換による金利環境の変化を捉えた適切なリスクリターンの確保により本業収益力をさらに強化することに加え、お客さまとのリレーションを基盤とした粘着性の高い預金の増強に取り組むことで、持続的な成長に向けて事業基盤を着実に強化します。
市場部門においては、引き続き有価証券ポートフォリオの再構築に取り組むことで、評価損の解消を進めると同時に、安定的な財務収益の確保に取り組みます。
<人的資本投資の強化>
質の高いソリューションビジネスを持続的に展開することが可能な体制の構築に向けて、グループ全社で人的資本投資の強化を継続し、従業員一人ひとりのスキルの高度化と将来の担い手となる若手層の育成に取り組みます。
また、お客さまの利便性向上と営業店の事務負担軽減に資するデジタル技術のさらなる活用を通じて、生産性向上に向けた構造改革を深化させることにより、お客さまへソリューションを提供する担い手の拡大に取り組みます。
<地域社会の持続的な発展への貢献>
横浜銀行と神奈川銀行との両行の役割設定により神奈川県内の営業活動を効率化することに加えて、人財交流や研修の共同開催などを通じた知見およびノウハウの共有によって神奈川銀行のソリューション提供能力を向上させることで、経営統合によるシナジーの早期最大化をめざします。
地域社会の経済活性化は、当社グループの成長性・事業基盤への信認を高め、株主資本コストの低減につながると考えております。
神奈川県内における取引基盤をさらに深化・拡充させ、金融仲介機能をさらに発揮することで、地域社会の持続的な発展に貢献し、当社グループの中長期的な企業価値向上につなげてまいります。
中期経営計画の最終年度である2024年度は、金利上昇がお客さまに与える影響を注視しつつ、優先的に対処すべき課題に取り組み、3つの基本テーマにもとづく重点戦略をさらに推し進め、中期経営計画を着実に達成することで「ソリューション・カンパニー」の実現に向けたさらなる成長へとつなげてまいります。具体的には、成長戦略の実行と変革の加速を通じ、成果を具現化することで、中期経営計画の目標指標として掲げるROE6%程度を達成するよう、着実に利益成長をはかります。
また、中期的にめざす水準である7%程度を早期に達成し、さらなる向上に取り組むことで当社の企業価値を高めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
当社グループのサステナビリティ経営の考え方は、財務資本と非財務資本を生かしながら、マテリアリティに基づくビジネスの展開を通じて、ステークホルダーの皆さまとともに価値を協創し、当社グループの持続的な企業価値の向上と地域社会の持続的な発展に取り組むことであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する取り組み
② 戦略
環境・社会問題が深刻化し、サステナビリティをめぐるさまざまな課題が顕在化しつつあるなかで、当社グループは、地域社会のサステナビリティに関する全社的な基本方針として、「経営理念にもとづき、持続的な企業価値の向上を実現し、本業を通じて社会的課題を解決するとともに、地域の一員として地域貢献活動に取り組むことにより、社会の持続的な発展に貢献していく」とのグループサステナビリティ方針を掲げております。
当社グループは、こうしたサステナビリティ関連の方針にもとづく具体的な取り組みを推し進めるために、地域社会のサステナビリティをめぐる諸課題について、ステークホルダーにおける重要度と当社グループにおける優先度の観点から検証・議論し、取締役会における審議を経て、マテリアリティ(優先的に解決すべき重要課題)を特定しております。具体的には、「地球温暖化・気候変動対策」、「地域企業の持続的成長のサポート」、「地域経済の活性化」、「人生100年時代の暮らしのサポート」、「DX(金融デジタライゼーション)の推進」および「働き方改革・ダイバーシティの推進」の6つのマテリアリティを特定しており、これらのマテリアリティにもとづいたリスクや機会を事業戦略に反映して事業を推進するとともに、ステークホルダーの皆さまとの価値協創を通して、地域社会の持続的な発展と当社グループの持続的な成長を実現していくことで、「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」をめざしております。
<特定した6つのマテリアリティ(優先的に解決すべき重要課題)>
③ リスク管理
当社グループは、子会社がリスクの統括部署およびリスク種類ごとにリスク管理部署を設置し、リスクを識別・評価・管理するとともに、持株会社のリスク統括部がグループ全体のリスクを統合的に管理し、監査部長とは異なるリスク担当役員がリスクの状況について代表取締役社長、取締役会へ定期的に報告をしています。またサステナビリティにかかる事項に関しては、別途サステナビリティ委員会にて審議し、審議内容は取締役会へ報告されております。
当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクイベント(リスク事象)について、その影響度と蓋然性にもとづきリスクイベントの重要度を判定し、最も注意すべきと認識したリスクイベントを「トップリスク」として取締役会で選定しております。「トップリスク」については、KRI(Key Risk Indicator)を設定し、モニタリングを継続的におこなうことにより予兆の把握に努め、リスクが顕在化した場合には、機動的に対応できるよう態勢を整備しており、気候変動等のサステナビリティに関するリスクも「トップリスク」に位置付けております。
気候変動に関するリスク管理については、
④ 指標及び目標
全社的なサステナビリティの取り組みを強化するために、6つのマテリアリティに対応した中期経営計画におけるKPIに加え、2030年度までを目標期間とした「サステナビリティ長期KPI」(「サステナブルファイナンス実行額4兆円、うち環境分野ファイナンス2兆円」「カーボンニュートラル(Scope1,2)の実現」「金融教育受講者数50万人」)を設定しております。
気候変動に関する指標及び目標については
(2) 気候変動
① ガバナンス
当社グループは「地球温暖化・気候変動対策」をマテリアリティ(優先的に解決すべき重要課題)の1つと認識しており、グループサステナビリティ委員会において気候変動に関する取組方針や取り組みの進捗状況を定期的に審議し、取締役会へ報告しております。詳細については、
② 戦略
気候変動は人々の生活や事業活動の基盤である地球環境自体の変化であり、自然災害の激甚化や異常気象など、地域や企業の持続的な発展を脅かすようなさまざまな影響が顕在化しつつあるなかで、脱炭素社会への移行に向けた動きが急速に進んでおります。
脱炭素社会へ移行する過程において、カーボンニュートラルの実現に向けた各国の政策・規制の強化や気候変動を緩和するための技術革新、気候変動問題への関心度の高まりによる消費者・投資家の価値観の変化など、経済・社会環境には大きな変化が見込まれておりますが、こうした変化は当社グループにリスクと機会をもたらすものと認識しており、その両面から気候変動に伴う脱炭素社会への移行が事業に及ぼす影響を検証するとともに、それらのリスクと機会に対処すべく、気候変動への対応に係る戦略を策定し実行しております。
A. リスク
当社グループには、気候変動に関するリスクとして、脱炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と自然災害の激甚化や異常気象などに伴う物理的な被害が生じるリスク(物理的リスク)の2つのリスクがあり、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿ったリスクの把握・評価に取り組んでおります。当社グループが分類・管理している「信用リスク」、「市場リスク」、「流動性リスク」、「オペレーショナルリスク」、「レピュテーショナルリスク」の区分で移行リスクおよび物理的リスクを整理すると以下のとおりであります。
(短期:1~3年程度、中期:3年~10年程度:長期:10年超)
a.シナリオ分析の実施と結果
TCFDの提言にもとづく一定のシナリオのもとで、移行リスクおよび物理的リスクについてシナリオ分析を実施しており、2023年度に実施した分析結果は、以下のとおりであります。引き続き、対象セクターの拡大やシナリオ分析の高度化等に取り組んでいきます。
※最新の分析結果については、2024年7月に当社ウェブサイト
(URL https://www.concordia-fg.jp/shareholder/ir/disclosure/index.html)において公表予定の
B. 機会
気候変動に伴い脱炭素社会へ移行する過程において、政策・規制の強化や技術革新、消費者の価値観の変化による事業への影響(移行リスク)および自然災害の激甚化や異常気象による事業への影響(物理的リスク)により、お客さまの事業価値に毀損等が生じる場合には、お客さまとの取引関係を通じて当社グループの事業にも影響を及ぼすと認識しております。こうした認識から、当社グループは、お客さまの本業支援の取り組みの一環として、エンゲージメントを通じてお客さまの気候変動への対応を積極的に支援することで、お客さまの事業基盤が強化されることにより、当社グループ自身の成長機会の拡大や経営の安定等につながるものと考えております。
こうした考え方にもとづく主な取組状況は以下のとおりであります。
a. お客さまとのエンゲージメントの強化とお客さまの取り組みフェーズに応じた最適なソリューションの提供
当社グループは、中小企業のお客さまをはじめ、サプライチェーンの上流に位置する上場会社や地域の中核となる企業のお客さまなど、さまざまなお客さまとの取引関係を有しております。こうしたお客さまとのエンゲージメントを通じて移行リスクや物理的リスクの低減、成長機会拡大のための課題を共有したうえで、お客さまの課題解決に資するソリューションラインアップの充実をはかるとともに、お客さまごとの取り組みフェーズに応じた最適なソリューションを提供していくことが重要と認識しております。
b. 投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロに向けた取り組み
日本では2050年のカーボンニュートラルの実現を目標として掲げ、企業や産業の脱炭素化の推進がはかられておりますが、こうした目標の実現に向けて、当社グループは金融機関として、投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量ネットゼロの実現を通じて貢献していくことができると認識しております。
このような認識のもとで、2022年度には、投融資ポートフォリオのGHG排出量の計測・開示に係る取り組みを進める国際イニシアティブPCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)に加盟するとともに、PCAFの定める基準にもとづき、事業貸出を中心に投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量(※)を算定しました。
こうした算定結果を踏まえ、お客さまのGHG排出量削減を支援するためのアクションプランを策定しております。炭素強度が高い「電力」、「石炭」および「石油・ガス」セクターを「GHG排出量削減の目標設定セクター」として選定し、個社ごとのきめ細かいエンゲージメントを通じてGHG排出量削減に向けた取り組みを支援しております。なお、目標設定については、現在検討を進めております。
また、中小企業をはじめとしたサプライチェーンの裾野の広い「自動車・部品」セクターに加え、脱炭素に向けた取り組みに長期間を要することが見込まれる「金属・鉱業」セクターを「エンゲージメント重点セクター」に追加しました。サプライチェーンへの影響度が高いお客さまからエンゲージメントを進め、GHG排出量の可視化、削減に向けた目標設定および削減のための取り組みを支援していきます。
※投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量に関する詳細な情報については、2024年7月に当社ウェブサイト(URL https://www.concordia-fg.jp/shareholder/ir/disclosure/index.html)において公表予定の
③ リスク管理
当社グループは経営に重要な影響を及ぼす可能性の高い「トップリスク」の1つとして、気候変動に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)を認識しております。2024年3月開催の取締役会にて選定した「トップリスク」は次の通りです。
・「気候変動・環境問題への不十分な対応」(移行リスク)
・「大規模な自然災害の発生」(物理的リスク)
なお、リスクを識別・評価・管理するプロセスについては、「(1)サステナビリティに関する取り組み ③リスク管理」をご参照ください。
また、当社グループは、環境・社会に対する負の影響を助長する可能性が高い資金使途の投融資への取り組みについて、「セクターポリシー」を制定し、セクター横断的に投融資を禁止する事業、セクター横断的に投融資に留意が必要な事業を定めるとともに、石炭火力発電や炭鉱採掘などの特定セクターについて取組方針を定めることで、環境・社会への負の影響を低減・回避するよう努めております。本セクターポリシーはグループサステナビリティ委員会にて定期的に見直し要否を協議するほか、自社の事業活動や外部環境の変化等に応じて、随時見直しております。
④ 指標及び目標
A. サステナブルファイナンス・環境分野ファイナンス
気候変動への対応をはじめとした、お客さまが抱える環境・社会課題に向けたソリューションを強化し、地域のお客さまの持続的な成長に貢献していくために、サステナビリティ長期KPIとして、サステナブルファイナンス、環境分野ファイナンスの実行額(累計)目標を設定しております。
当社グループはサステナブルファイナンス実行額(累計)目標(2030年度までに2兆円)を2022年度中に達成したため、「2030年度までにサステナブルファイナンス実行額4兆円(+2兆円)、うち環境分野ファイナンス2兆円(+1兆円)」と目標を引き上げております。
※横浜銀行、東日本銀行、神奈川銀行(2023年度実績より加算)の合算
B. 自らの事業活動におけるGHG排出量ネットゼロに向けた取り組み
地域社会の一員として、地域の脱炭素を積極的に推し進めるために、「2030年度までのカーボンニュートラル(Scope1,2)の実現」を達成することをサステナビリティ長期KPIとして設定しております。省エネ設備の導入や自社契約電力の実質再生可能エネルギーへの変更等の取り組みを進めており、2023年4月までに、神奈川銀行を除く当社グループすべての自社契約電力を実質再生可能エネルギーへ切り替えました。引き続き目標達成に向けた取り組みを進めてまいります。
※算定対象は、横浜銀行、東日本銀行の国内拠点であります。
※2023年度の実績については、2024年7月に当社ウェブサイト
(URL https://www.concordia-fg.jp/shareholder/ir/disclosure/index.html)において公表予定の
(3) 人的資本
当社グループは、従業員を価値創造の源泉である「人的資本」と位置づけており、「多様な人財」を有するという強みを磨くことで経済価値および社会価値の創造をめざしております。また、当社グループにとって、従業員は重要な「ステークホルダー」であり、経営理念では「従業員が誇りを持って働ける魅力ある会社」であり続けることを掲げております。
こうした考えのもと、当社グループにおける人的資本の価値向上を目的とした基本方針である「グループ人財ポリシー」を制定するとともに、経営戦略と連動し、中長期的にめざす人財ポートフォリオの構築に向けた「グループ人財戦略」を策定しております。
① ガバナンス
経営戦略と連動した人財戦略を実行していくために、人財育成方針や社内環境整備方針など、人的資本経営に関する方針や重要な施策の取り組み状況は、経営会議にて協議・決議をおこない、取締役会へ報告をしております。
また、人財部担当役員を委員長とし、本部各部門の役員や本部各部部長等を構成メンバーとした会議体を組織しており、当該会議体において、めざす人財ポートフォリオの実現に向けた取組方針や具体的な施策などについて組織横断的な議論を定期的におこなっております。
② 戦略
<グループ人財ポリシー>
基本的な考え方
当社グループでは、従業員は経営理念の実現に不可欠で大切な「人財」であり、価値創造の源泉となる「資本」であるとの認識のもと、「人財」へ積極的に投資し、その価値を持続的に高めていくことで、地域社会の持続的な発展とともに当社自身の持続的な成長につなげていきます。
経済・社会環境の激しい変化に柔軟に対応しつつ、多様化・高度化する地域社会・お客さまのニーズに対するソリューション提供能力を高めていくために、従業員一人ひとりの成長意欲に応えるフィールド・機会を積極的に提供することで、常に変革に向けて挑戦し続ける人財を育むとともに、さまざまなバックグラウンドや専門性を有する多様性に富んだ人財ポートフォリオを構築します。
多様な価値観やライフスタイルを持つ従業員一人ひとりのWell-beingを高め、その持てる能力を最大限に発揮することができるよう、安心して働ける職場環境の整備と、活力ある組織風土の醸成をはかることで、組織全体の生産性向上につなげるとともに、当社内外の人財にとって魅力あふれる組織であり続けます。
求める人財
地域社会・お客さまへの価値提供に強い誇りと自覚を持つとともに、常に変革マインドを持ち挑戦し続ける人財。
上記「グループ人財ポリシー」にもとづき2023年4月に策定した「グループ人財戦略」では、2027年度までを計画期間とし、『成長意欲・挑戦意欲を大切にする「人づくり」』、『多様な人財がいきいきと活躍できる「組織づくり」』、『個々のWell-beingを起点にした「環境づくり」』の3つの基本テーマのもと、それぞれのテーマに紐づく主要施策を策定し、取り組んでおります。
A. 人財育成方針
グループ人財戦略の基本テーマの1つ目に『成長意欲・挑戦意欲を大切にする「人づくり」』を掲げ、長期的にめざす姿である「ソリューション・カンパニー」の実現のためにはソリューション提供活動を担う担当者のスキルや専門性の向上が大切だと考え、ОJTとОff-JTが連動した人財育成を実践するとともに、行内公募、外部出向、自己啓発支援といった挑戦機会を拡大し、従業員一人ひとりの成長意欲に積極的に応えております。
ソリューション提供スキルの高度化・担い手の拡大に向けて教育態勢や資格取得支援を強化するほか、市場・国際部門やIT・デジタル部門といった専門性の高い人財を育成するため、計画的な人事ローテーションなどに取り組んでおります。また、担当者それぞれがめざすキャリアの実現に向けて新たな職務に挑戦できる機会としてリスキリングも含めた公募制度を拡大するほか、サクセッションプランにもとづいた次世代経営人財の育成にも取り組んでおります。
B. 社内環境整備方針
グループ人財戦略の基本テーマの2つ目に『多様な人財がいきいきと活躍できる「組織づくり」』を掲げ、多様化・高度化する地域社会・お客さまのニーズに対して最適なソリューションを提供し続けるために、さまざまなバックグラウンドや専門性を持った人財が個々の能力を最大限発揮できる組織の実現をめざしております。
多様な人財の確保に向けて、新卒採用では、学生に対する情報発信や接点の拡大といった採用活動の強化のほか、入社予定者の希望と実際の配属部署とのミスマッチを抑制するためのコミュニケーションを強化しております。キャリア採用についても、アルムナイネットワークの活用、リファラル採用の強化など採用ルートの多様化などを進めております。また、めざす人財ポートフォリオの構築に向けて、タレントマネジメントの高度化を進め、担当者のスキルの可視化による適材適所の人財配置をおこなっております。さらに、ワーク・ライフ・バランスを実現させるための産育休復職支援プログラムなどの各種制度を拡充するなどのDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)のさらなる推進、セカンドキャリアの構築の支援にも取り組んでおります。
また、グループ人財戦略の基本テーマの3つ目に『個々のWell-beingを起点にした「環境づくり」』を掲げ、活力ある組織風土の醸成や、心身ともに健康かつ安心して働ける職場環境の整備を進めております。
公平公正な評価・処遇を徹底するよう、マネジメント層に対する部下の評価実施に関する教育を強化するほか、1on1ミーティングを通じたコミュニケーションを密におこなうことにより、仕事のやりがいと成長を感じながら、モチベーションを高く持ち働くことができる職場環境を整備しております。さらに、従業員が心身ともに健康で安心して働けるよう、健康経営の実践の強化にとどまらず、人権への意識向上など心理的安全性の高い健全な職場を作っていくことに加え、従業員の金融リテラシー向上や従業員持株会制度を通じた資産形成支援などファイナンシャルウェルネスの向上にも取り組んでおります。
こうした諸施策の実施により、2027年度には「営業人員割合:60%程度への引き上げ」、「一人あたりソリューション収益:2021年度比10%増加」、「会社の総合的魅力(従業員意識調査):2021年度比向上」を実現させ、その結果として、当社グループの長期的にめざす姿である「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」の実現をめざしております。
<グループ人財戦略 概要>
③ 指標及び目標
上記「②戦略」に関する主な指標及び目標は以下のとおりであります。
※1 特段の表示がないものは、横浜銀行、東日本銀行の合算
※2 実働人員数に占める営業人員数の割合
※3 円貨貸出収益+役務収益+外貨建貸出収益・法人デリバティブ収益等の合計をソリューション営業人員(本部直
接営業+法人渉外担当者+個人渉外担当者等)一人あたりに換算したもの
※4 組織の現状、強み・課題を的確に診断・把握するための従業員意識調査を無記名で毎年実施し5段階で評価(5
が最高値)
※5 ソリューション営業力の強化に資する研修を対象に、各行(横浜銀行・東日本銀行)の基準にて算出
※6 法人渉外担当者、個人渉外担当者における社内のスキル認定制度で上級判定されたものの割合。なお、東日本銀
行は、2022年度の金融ビジネススクールの新設にあわせて営業人員のスキル評価制度を導入しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努めてまいります。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載が無い限り、当連結会計年度の末日現在において当社が判断したものであります。
<リスク管理態勢の概要>
当社はグループ全体のリスクを統合的に管理し、グループ各社はリスクの統括部署およびリスクカテゴリーごとにリスク管理部署を設置し、リスクを管理しています。
具体的には、グループ各社は、そのリスクプロファイルに応じた適切なリスク管理をおこなったうえで、リスクの状況について当社に報告し、当社は、その報告を受けてグループ各社に対し必要な指導をおこなうとともに、「ALM(Asset Liability Management)・リスク管理会議(役員などで構成する経営会議)」を設置して各種リスクおよび当社グループ全体のリスクについてモニタリングし、対応を協議・決定しています。
(2024年6月19日現在)
また当社グループでは、以下の基本方針のもとでリスク管理をおこなっています。
・当社グループは、景気変動などの悪影響を最小限にとどめ、地域から信頼される金融グループとして安定・継続して金融サービスを提供していくため、適切なリスク管理をおこないます。
・グループ全体のリスクを可能な限り統合的に識別、評価、モニタリング、コントロールすることにより経営の健全性を確保し、経営資源の適切な配分を通じてリスクに見合った安定収益の確保をはかります。
・客観性を確保し、リスク間の相互作用を考慮するため、各種リスクを計量化し、統合的な管理に努めます。
(1)中長期的な視点から事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク(経営方針・経営戦略等との関連性のあるリスク)
① 他の金融機関・他の業態との競合について
当社グループは、神奈川県および東京都という成長性の高いマーケットのなかで確固たる営業基盤を築いておりますが、他の金融機関が当社グループの営業地盤において今後さらに積極的な営業展開を進めることや、デジタル技術の進展によって利便性の高いシステム基盤を持つFinTech企業等が新たに参入することにより競合が生じた場合には、当社グループの業務運営や業績、財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
② 業務範囲の拡大に伴うリスク
当社グループは、既存の事業およびサービスを拡大させる過程で、それらの事業およびサービスに影響を及ぼす、規制の不利な変更、競争激化または営業環境の悪化等、新たな、またはさらなるリスクにさらされる可能性があります。それらのリスクの一部は、当社グループが全く経験したことのない、または限られた経験しかない種類のリスクである可能性があります。当該リスクが当社グループの予想しない方法または程度で具体化した場合、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
③ ビジネス戦略が奏功しないリスク
当社グループの戦略的な取り組み・施策の実施は成功しない可能性があり、または成功したとしても、当該取り組み・施策の実施は、市場機会の発展が予想より遅い、当初想定されていたほど当該取り組みに将来性がない、または当該商品およびサービスの収益性が競争圧力によって損なわれる等の場合、期待された効果を発揮できず、当社グループの業務運営や業績、財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
④ 金利の変動に関するリスク
当社グループは、預貸金業務や市場業務をおこなっております。これらにかかる円金利については、景気、競合、様々な政府機関や規制当局の方針、特に日本銀行の政策といった、当社グループの支配の及ばない多くの要因により左右されます。金利が低下した場合、預貸金資金収益が減少する可能性があります。一方、金利が上昇した場合、当社グループの保有する国債等に売却損や評価損が生じる可能性があります。このような金利の変動により、当社グループの業務運営や業績、財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
⑤ 気候変動等に関するリスク
脱炭素社会への移行にともなう事業の座礁資産化や、異常気象によって深刻化する自然災害による建物の毀損や業務中断が、当社グループの取引先の事業や財務状況、担保物件に影響を及ぼし、与信関係費用の増加を通じて当社グループの業績、財政状態に影響を与える可能性があります。また、自然災害の発生により当社グループの本支店が被災し損害が発生する可能性があります。
当社グループが、気候変動等に関するリスクへの取り組みや情報開示が不十分であった場合又はそのように見做された場合などには、当社グループの業務運営や業績、財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
(2)短期的な視点から事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク
① 信用リスク
A. 不良債権の状況
国内外の景気動向、不動産・株式市場を含む金融経済環境の変化および貸出先の経営状況等が変動した場合には、当社グループの業績、財政状態に影響を与える可能性があります。また、予想損失率を上回る貸倒れが発生した場合、または、当社グループの自己査定結果と関係当局の検査・考査における査定結果が異なり、追加的な引当てを実施する必要が生じる場合には、当社グループの業績、財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
こういった事態を未然に防止するため、当社グループでは、厳格な自己査定の実施にもとづく不良債権処理の徹底や、与信集中リスクの管理に努めています。
B. 中小企業等に対する貸出金について
当社グループは地域の中小企業・個人向け貸出金の増強に継続して取り組んでいることから、中小企業・個人向け貸出の比率は高い水準となっております。中小企業・個人向け貸出については、中小企業の業績や担保不動産の価格、個人の家計の動向等が大きく変動した場合には、当社グループの業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
C. 特定の取引先等への高い依存度
当社グループの貸出ポートフォリオのなかで不動産業に対する貸出金残高が占める割合は、他の業種に比べて高くなっております。今後、不動産業の経営環境が悪化した場合は、当社グループの業績、財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
こういった事態を未然に防止するため、業種別で与信残高に一定の協議ポイントを設定することに加え、不動産向け融資については、定期的なモニタリングをおこなっております。
D. 地域経済の動向
当社グループは首都圏を主要な営業地盤としていることから、地域経済が悪化した場合は、業容の拡大がはかれないほか、信用リスクが増加するなど、当社グループの業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
② 市場リスク
当社グループは、預貸金業務のほか、市場業務として債券、投資信託、デリバティブ商品等の相場変動を伴う金融商品に対して投資活動をおこなっております。金利、外国為替、債券および株式市場において想定を超える変動が生じた場合は、当社グループの業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
こういった事態を未然に防止するため、商品・リスク種類ごとのVaR(想定最大損失額)に基づく市場リスク量に対し、限度額や協議ポイントを設定し、適切な管理に努めています。
③ 流動性リスク
流動性リスクとは、運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金流出により、必要な資金確保が困難になる、または通常よりも高い金利での調達を余儀なくされるリスクです。当社グループの資金調達は、主に預金、債券発行および市場からの調達によりおこなっております。そのため、当社グループや金融業界一般に対して否定的な内容の報道がなされた場合や、外部環境の変化が起きた場合等、資金確保に困難が生じる、また資金調達コストが増加することで、当社グループの資金・資本調達や財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、資金繰りの適切な管理のため、運用・調達のギャップなどにリスクリミットを設定し、定期的にモニタリングをおこなっています。
④ 退職給付債務に関するリスク
年金資産の運用利回りが低下した場合や、割引率等予定給付債務計算の前提となる年金数理上の前提・仮定に変更があった場合などには、退職給付債務が増加することにより、将来期間において認識される費用および計上される債務が変動し、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 自己資本比率規制に関するリスク
当社グループは、海外営業拠点を有しているため、連結自己資本比率を「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)」に定められた国際統一基準における所要水準以上に維持する必要があります。
今後、金融庁告示の改正等により、算出基準が変更され、これにより、資本金、利益剰余金、保有有価証券の評価差損等の増減、劣後債務の増減といった自己資本の額、およびリスク・アセットの額等が変動した場合には、当社グループの自己資本比率に影響を与える可能性があります。
また、当社グループの自己資本比率が、資本バッファーを含め要求される水準を下回った場合、金融庁から配当等社外流出の制限や業務の全部又は一部の停止を含む様々な命令を受ける可能性があります。その場合、業務が制限されること等により、取引先に対して十分なサービスを提供することが困難となり、その結果、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループの経営の健全性を確保し、経営方針や経営計画を着実に実行していくことができるよう、当社グループ全体の自己資本水準の適切な管理に努めています。
⑥ 流動性規制に関するリスク
当社グループの流動性カバレッジ比率や安定調達比率は最低水準を上回っておりますが、今後、算出基準等に何らかの変更があった場合、適格流動資産の額や資金流出額等の変動によって当社グループの流動性カバレッジ比率が低下したり、利用可能な安定調達額や所要安定調達額の変動によって安定調達比率が低下したりするなど、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、規制遵守を確実にするため、流動性カバレッジ比率、および安定調達比率のガイドラインを設定し、常時ガイドラインを維持するように努めています。
⑦ 繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、繰延税金資産を現時点の会計基準にもとづき計上しております。今後、会計基準に何らかの変更があり、繰延税金資産の計上に何らかの制限が課された場合、あるいは繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断され、当社グループの繰延税金資産が減額された場合には、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
⑧ 格付低下のリスク
外部格付機関による当社の格付が引き下げとなり、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される場合には、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
⑨ 固定資産の減損に関するリスク
当社グループが保有する固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」にもとづき会計処理をおこなっております。当社グループが保有する固定資産の使用目的の変更、収益性の低下および時価の下落などにより評価減が発生した場合には、当社グループの業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)業務およびその他に関するリスク
① 情報漏洩リスク
当社グループは、お客さまに関するデータの漏洩、不正、悪用等がないよう最大限の努力を払っておりますが、万一そのようなことが起こった場合には、当社グループのレピュテーショナルリスクが顕在化する可能性があります。またお客さまの経済的・精神的損害に対する賠償など直接的な損害が発生した場合には、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、情報管理に関する規程・体制等の整備、役職員に対する教育を行うことで、情報管理の厳正化に努めています。
② コンプライアンスに係るリスク
役職員が法令諸規則等を遵守しなかった場合には、行政処分や賠償など直接的な損害の発生等により、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、各種法令諸規則が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底をおこなっております。
③ 金融犯罪に係るリスク
キャッシュカードの偽造・盗難や特殊詐欺などの高度化する金融犯罪の発生により、被害に遭われたお客さまに対し多額の補償をおこなう場合、ならびに未然防止の対策に多額の費用が必要となる場合には、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、こうした状況を踏まえ、金融犯罪による被害発生を未然に防止するため、セキュリティ強化に取り組んでおります。
④ 各種の規制および法制度等
A. マネー・ローンダリング等対策不備および外為法令等違反による制裁のリスク
当社グループが、マネー・ローンダリング等に関する法令および規則や外為法令等を遵守できない場合、課徴金命令や業務改善命令等の行政処分を受けることが考えられます。また、これらにより当社グループのレピュテーショナルリスクが顕在化し、顧客やマーケット等の信頼を失った場合には、当社グループの業務運営や業績、財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、公共性の高い金融機関として公平・公正な社会の維持に寄与するため、国内外の法令諸規則を遵守する態勢整備と、継続的な顧客管理や取引モニタリングを通じて、マネー・ローンダリング防止・テロ資金供与対策および拡散金融防止、ならびに外為法令等遵守に取り組んでおります。
B. テロ支援国家との取引に係るリスク
本邦を含む各国当局は、経済制裁対象国や特定の団体・個人等との取引を制限しております。また、米国政府は、イラン制裁関連法制等により、米国以外の法人、個人に対しても、イラン等の指定団体や指定金融機関との取引等を規制しております。そのため、当社グループがおこなった事業が法規制に抵触し、関連当局より行政処分等を受けた場合には、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、これらの規制を遵守するための態勢を整備しております。
C. 新たな法令の実施、既存法令の変更のリスク
当社グループ、その事業および役職員には、その事業活動に適用される一般的な法律、規制および会計規則が適用されます。また、一般的にバーゼルⅢとして知られる国際的な規制の枠組みのみならず、自己資本比率規制を含む日本の銀行法等、金融機関に適用される様々な法律、規制、慣例および政策も適用されます。当社グループ、その事業および従業員に適用される法令が、当社グループが意図する事業活動を制限されるような方法等によって、新たに実施されもしくは変更された場合、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 重要な訴訟事件等の発生に伴うリスク
当社グループが、業務遂行の過程で損害賠償請求訴訟等を提起されたり、損害に対する補償が必要となった場合には、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
⑥ 人財確保に係るリスク
当社グループは、日頃より有能な人財の確保や育成等に努めておりますが、十分な人財を確保・育成ができず競争力や効率性が低下した場合には、当社グループの業務運営や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
⑦ システムに係るリスク
当社グループは、預金、為替、融資などの業務を行う勘定系システムをはじめ、様々なコンピュータシステムを使用しております。これらのシステムにおいて過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営や業績、財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループは、保有する情報とコンピュータシステムを適切に保護するため、「セキュリティポリシー」「セキュリティスタンダード」「システムリスク管理規程」を定め、システムリスクに対する体制を整備しています。オンラインシステムに関しては、万一、システム障害が発生した場合に備えて、コンピュータ機器・回線の二重化や危機管理に対する訓練を実施し、早期回復をおこなえるよう努めるとともに、大規模地震などの災害に備え、オンラインシステムのバックアップセンターを設置しています。また、当社グループは「サイバーセキュリティ経営宣言」を策定し、日々高度化するサイバー攻撃の脅威に経営主導で対応しています。具体的には、最新のサイバー攻撃対策サービス・製品の導入・運用や、当社グループ内に設置した「サイバーディフェンスセンター」にて日々のサイバー脅威情報の収集・発信、サイバー攻撃検知時の調査・対応をおこなっています。サプライチェーンについても、契約先・委託先に対してセキュリティ態勢評価を実施し、基準に満たない場合は改善の要請や委託先の変更等を実施することで、当社グループ全体のセキュリティレベル向上に努めています。
⑧ レピュテーショナルリスク
当社グループや金融業界一般に対して否定的な内容の報道がなされた場合、それが事実であるか否かにかかわらず、当社グループの業務運営や業績、財政状態ならびに、当社の株価に影響を与える可能性があります。
⑨ 外部的事象に起因するリスク
当社グループの本店、支店、コンピュータネットワーク接続基地およびその他の施設は、当社グループの支配の及ばない、テロ行為、その他の政治的・社会的紛争、感染症および外部的事象に起因するその他の障害のみならず、地震や気候変動にともなう台風、洪水等の自然災害による損害のリスクがあります。金融市場をはじめとした日本経済の重要な機能が集中する首都圏において上記の事態が発生した場合には、株価・国債価格が下落し、取引先の倒産や延滞が増加する等、首都圏(日本)経済に大打撃を及ぼす可能性があり、またバックアップセンターの設置等、当社グループが策定する危機管理計画の実施を含む当社グループの営業再開努力が、これらの事象に起因する業務上の重大な障害を予防するのに有効でない場合、当社グループの業務運営や業績、財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
(4)トップリスク
当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクイベント(リスク事象)について、その影響度と蓋然性にもとづきリスクイベントの重要度を判定し、最も注意すべきと認識したリスクイベントを「トップリスク」として取締役会で選定しております。「トップリスク」については、KRI(Key Risk Indicator)を設定し、モニタリングを継続的におこなうことにより予兆の把握に努め、リスクが顕在化した場合には、機動的に対応できるよう態勢を整備しております。
2024年3月開催の取締役会にて選定した「トップリスク」は次の通りであります。
・国内外における外部環境要因による企業の業況悪化
・金融政策の変更
・不動産業種の業況大幅悪化、倒産
・大口取引先の業況大幅悪化、倒産
・東アジアにおける経済悪化および地政学上のリスクの顕在化
・デジタル化の進展と他業態との競争激化
・サイバー攻撃による大規模な損害
・システム障害による大規模な損害
・大規模な自然災害の発生
・気候変動・環境問題への不十分な対応
・マネロン等対策不備による制裁
・人員の獲得・維持の難化
(注)上記は認識しているリスクの一部であり、上記以外のリスクによっても経営上、特に重大な悪影響が生ずる可能性があります。
(1)経営成績の分析
連結粗利益は、当連結会計年度における神奈川銀行との経営統合や、貸出金の堅調な伸びによる貸出金利息の増加等により、資金利益が前連結会計年度に比べ 188億96百万円増加した一方で、外債等の損切を実施したことを主因にその他業務利益が前連結会計年度に比べ 132億37百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ 70億94百万円増加し 2,235億30百万円となりました。
営業経費は、当連結会計年度における神奈川銀行との経営統合や、システム関連経費が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ 80億12百万円増加の 1,335億52百万円となりました。
与信関係費用は、一般貸倒引当金が取崩しとなったこと等から、前連結会計年度に比べ 24億39百万円減少し、111億50百万円となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ 28億66百万円減少し、770億4百万円となりましたが、神奈川銀行との経営統合に伴う負ののれん発生益が計上されたことで特別損益が増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ 107億72百万円増加し、669億31百万円となりました。
(注)連結粗利益=(資金運用収益-資金調達費用)+信託報酬+(役務取引等収益-役務取引等費用)+(特定取引収益-特定取引費用)+(その他業務収益-その他業務費用)
(参考)
(中期経営計画 目標指標)
(注)1 ROE(連結)=親会社株主に帰属する当期純利益÷株主資本(期首・期末平均残高)
2 OHR(連結)=営業経費÷連結粗利益
3 普通株式等Tier1比率(連結)=普通株式等Tier1(その他有価証券評価差額金を除く)÷リスクアセット
4 普通株式等Tier1比率(連結)の2023年度実績、および中期経営計画目標については、バーゼルⅢ最終化・完全実施ベース。
(3行合算)
※横浜銀行、東日本銀行および神奈川銀行の単純合算。以下同じ。
国内業務部門の業務粗利益は、資金利益が貸出金の堅調な伸びによる貸出金利息の増加や有価証券利息配当金の増加等により前事業年度に比べ 92億81百万円増加した一方で、投資信託の損切等を実施したことを主因にその他業務利益が前事業年度に比べ 136億87百万円減少した結果、前事業年度に比べ 51億37百万円減少の 2,109億56百万円となりました。
国際業務部門の業務粗利益は、外債損切を実施した一方で、資金利益が改善したことなどにより前事業年度に比べ 18億95百万円増加となりました。
以上の結果、業務粗利益は前事業年度に比べ 32億円42百万円減少の 2,052億87百万円となりました。
経費(除く臨時処理分)は、システムの更改等により物件費が増加したことに加え、ベースアップ等による人件費も増加したことにより、前事業年度に比べ 23億23百万円増加の 1,254億70百万円となりました。
この結果、実質業務純益は前事業年度に比べ 55億64百万円減少し 798億17百万円となりましたが、コア業務純益(除く投資信託解約損益)は前事業年度に比べ 77億53百万円増加の 1,095億92百万円となりました。
(注)コア業務純益(除く投資信託解約損益)=実質業務純益-国債等債券損益-投資信託解約損益
(2)財政状態の分析
総資産は前連結会計年度末に比べ 1兆3,478億円減少し、24兆3,817億円となりました。純資産は前連結会計年度末に比べ 1,235億円増加し、1兆2,847億円となりました。
有価証券は前連結会計年度末に比べ 790億円増加し、2兆9,474億円、貸出金は前連結会計年度末に比べ 8,523億円増加し、16兆6,026億円、預金は前連結会計年度末に比べ 5,324億円増加し、19兆9,741億円となりました。
神奈川銀行との経営統合により受け入れた資産及び引き受けた負債につきましては、資産が 5,227億円、うち有価証券 978億円、貸出金 3,959億円であり、負債が 4,960億円、うち預金 4,736億円であります。
①貸出金
(3行合算)
(注)特別国際金融取引勘定を除く国内店分
銀行法および再生法に基づく債権の状況
②預金
(3行合算)
(注)特別国際金融取引勘定を除く国内店分
(収支等の状況)
① 国内・海外別収支
当連結会計年度の資金運用収支は、前連結会計年度比 188億96百万円増加の 1,867億10百万円、信託報酬は、前連結会計年度比 12百万円増加の 2億78百万円、役務取引等収支は、前連結会計年度比 20億47百万円増加の 582億1百万円、特定取引収支は、前連結会計年度比 6億24百万円減少の 6億78百万円、その他業務収支は、前連結会計年度比 132億37百万円減少の △223億38百万円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び連結子会社(海外店を除く)であります。
2 「海外」とは、連結子会社の海外店であります。
3 「相殺消去額」には内部取引金額等を表示しております。
当連結会計年度の資金運用勘定の平均残高は、前連結会計年度比 1兆172億14百万円増加の 19兆4,352億47百万円となりました。受取利息は、前連結会計年度比 437億79百万円増加の 2,408億40百万円となり、この結果、利回りは前連結会計年度比 0.17%上昇の 1.23%となりました。
一方、資金調達勘定の平均残高は、前連結会計年度比 1兆6,377億58百万円増加の 24兆5,237億74百万円となりました。支払利息は、前連結会計年度比 248億82百万円増加の 541億29百万円となり、この結果、利回りは前連結会計年度比 0.10%上昇の 0.22%となりました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 「国内」とは、当社及び連結子会社(海外店を除く)であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。
(注) 1 「海外」とは、連結子会社の海外店であります。
2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。
2 「相殺消去額」には内部取引金額等を表示しております。
当連結会計年度の役務取引等収益は、前連結会計年度比 34億64百万円増加の 741億34百万円となりました。
また、役務取引等費用は、前連結会計年度比 14億18百万円増加の 159億33百万円となりました。
この結果、役務取引等収支は、前連結会計年度比 20億47百万円増加の 582億1百万円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び連結子会社(海外店を除く)であります。
2 「海外」とは、連結子会社の海外店であります。
3 「相殺消去額」には内部取引金額等を表示しております。
当連結会計年度の特定取引収益は、前連結会計年度比 6億20百万円減少の 6億97百万円となりました。
一方、特定取引費用は、前連結会計年度比 4百万円増加の 19百万円となりました。
この結果、特定取引収支は、前連結会計年度比 6億24百万円減少の 6億78百万円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び連結子会社(海外店を除く)であります。
2 「海外」とは、連結子会社の海外店であります。
3 「相殺消去額」には内部取引金額等を表示しております。
当連結会計年度末の特定取引資産は、前連結会計年度末比 15億36百万円減少の 17億30百万円となりました。
一方、特定取引負債は、前連結会計年度末比 40百万円減少の 12百万円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び連結子会社(海外店を除く)であります。
2 「海外」とは、連結子会社の海外店であります。
3 「相殺消去額」には内部取引金額等を表示しております。
(注) 1 「国内」とは、当社及び連結子会社(海外店を除く)であります。
2 「海外」とは、連結子会社の海外店であります。
3 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
4 定期性預金=定期預金+定期積金
5 「相殺消去額」には内部取引金額等を表示しております。
(注) 1 「国内」とは、当社及び連結子会社(海外店を除く)であります。
2 「海外」とは、連結子会社の海外店であります。
「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしておりますが、前連結会計年度末及び当連結会計年度末のいずれも該当ありません。
(注) 1 「国内」とは、当社及び連結子会社(海外店を除く)であります。
2 「海外」とは、連結子会社の海外店であります。
3 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
4 「相殺消去額」には、当社及び子会社間の資本連結等に伴い相殺消去した金額を記載しております。
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、株式会社横浜銀行1社であります。
A. 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)
(注)共同信託他社管理財産については、取扱残高はありません。
B. 元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)
営業活動によるキャッシュ・フローは、コールマネー等の減少や貸出金の増加などにより、2兆2,174億87百万円の支出(前連結会計年度は 9,655億40百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却や償還などにより、374億79百万円の収入(前連結会計年度は 1,480億46百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや劣後特約付社債の償還などにより、510億25百万円の支出(前連結会計年度は 569億34百万円の支出)となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、期中 2兆2,310億33百万円減少して 4兆259億8百万円となりました。
なお、ビジネス領域の強化・拡大のための戦略的投資やお客さまの利便性向上に向けたIT・デジタル投資、株主還元等は自己資金で対応する予定であります。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
貸倒引当金の計上
当社の連結子会社における貸出金、支払承諾見返等の債権の残高は多額であり、経営成績等に対する影響が大きいため、貸倒引当金の計上は会計上の見積りにおいて重要なものと判断しております。
貸倒引当金の金額の算出方法等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項 (6)貸倒引当金の計上基準」に記載のとおりであり、計上にあたって、以下のような主要な仮定を用いております。
・債務者の実態評価、経営改善計画等に基づく債務者区分の判定における貸出先の将来見込み
・過去の処分実績等に基づく不動産等担保の今後の処分可能見込額の見通し
・キャッシュ・フロー見積法における足元の実績等に基づく債権の今後の元本回収及び利息受取りの見通し
・予想損失額の算定に際して、過去平均値に基づく損失率に加える必要な修正において考慮する長期過去実績、過去実績の趨勢等に基づく将来見込み等
当社の経営者は、債権の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、貸倒引当金は十分に計上されていると判断しております。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれております。このため、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価に関する見積りが変化する場合があり、この場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する貸倒引当金及び貸倒引当金繰入額等の金額に重要な影響を与える可能性があります。
また、国内の新型コロナウイルス感染症の経済活動に与える影響は5類移行に伴って外出の制限がなくなったこと等により解消されつつあるものの、貸出先の今後の事業活動に与える影響については、補助金等の公的支援の終了やコロナ禍で生じた人手不足の影響、消費者の行動変容等により引続き不透明であり、この影響を受けて貸倒引当金については次の通り見積りを行っております。一部の貸出先については業績の回復の遅れや、これに伴う資金繰りの悪化等に伴い貸倒等の損失が発生するものと見込まれますが、可能な限り詳細に最新の情報を収集することにより、将来見込みを織り込んで債務者区分の判定を行い、貸倒引当金を算定しております。また、コロナ禍において財政状態に重要な影響が生じており、今後の事業活動にも重要な影響が残っている一部の業種に属する貸出先については、将来見込みの不確実性がより高いことから、当該信用リスクの状況を鑑み、今後の資金繰り悪化の可能性を織り込んだ場合に予想される損失額について追加的に必要な修正を加えて算定しております。なお、この新型コロナウイルス感染症による影響についての仮定は不確実性を有しており、個人消費の低迷や生産活動の停滞等の影響を受け貸出先の業績の回復に要する期間が入手可能な直近の情報による想定を超えた場合には、予想損失額を上回る貸倒等の損失が発生する可能性があります。
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、2023年3月末からバーゼルⅢの最終化を適用する国際統一基準金融機関として、信用リスク・アセットは基礎的内部格付手法を、オぺレーショナル・リスク相当額は標準的計測手法をそれぞれ採用し、マーケット・リスク規制を導入しております。
また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第12号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
持株レバレッジ比率(国際統一基準)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、株式会社横浜銀行、株式会社東日本銀行及び株式会社神奈川銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
株式会社横浜銀行(単体)の資産の査定の額
(注)部分直接償却後の金額を記載しております。
株式会社東日本銀行(単体)の資産の査定の額
(注)部分直接償却を実施しておりません。
株式会社神奈川銀行(単体)の資産の査定の額
(注)部分直接償却後の金額を記載しております。
(生産、受注及び販売の状況)
銀行持株会社としての業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
当社は、当社の完全子会社である株式会社横浜銀行と株式会社東日本銀行との間で、当社が両行に対しておこなう経営管理について、「グループの経営管理に関する基本契約書」および「経営管理に関する覚書」を締結しております。
該当事項はありません。