第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

① 企業理念

当社グループは、〈みずほ〉として行うあらゆる活動の根幹をなす考え方として、基本理念・パーパス・バリューから構成される『〈みずほ〉の企業理念』を制定しております。この考え方に基づきグループが一体となって事業運営・業務推進を行うことで、お客さまと経済・社会の発展に貢献し、みなさまに〈豊かな実り〉をお届けしてまいります。

 

基本理念:企業活動の根本的考え方

 

〈みずほ〉は、フェアでオープンな立場から、時代の先を読み、

お客さま、経済・社会、そして社員の〈豊かな実り〉を実現する。

 

 

 

パーパス:みずほグループの存在意義

 

ともに挑む。ともに実る。

 

 

 

バリュー:パーパスを実現するための価値観と行動軸

変化の穂先であれ。

- Integrity    お客さまの立場で考え、誠心誠意行動する

- Passion     強い思いを持ち、楽しく働く

- Agility     迅速に決断し、実践する

- Creativity    何事にも関心を持ち、創造力を磨く

- Empathy     多様な意見に耳を傾け、協力する

 

 

 

② 経営計画

中期経営計画(2023~2025年度)の3年間を『お客さま、社会の課題に対し、様々な挑戦を繋ぎ、新たな解を創造する3年間』とし、サステナビリティを軸とした、メリハリある事業展開により経営資源を最大限に有効活用し、お客さま、社会とともに、その先の持続的な成長、豊かさへの礎を築くことを目指してまいります。

 


 


 

 

(2) 経営環境

2023年度の経済情勢を顧みますと、欧米では高インフレとそれを受けた金融引き締めの影響が顕在化したものの、米国ではその後のインフレの鈍化や良好な所得環境の下で底堅い消費が持続し、景気は堅調に推移しました。一方、欧州では消費や企業活動が停滞しました。中国では不動産市場の調整長期化が経済を押し下げるなど、景気は力強さを欠きました。

米国経済は、高インフレとそれを受けたFRB(連邦準備制度理事会)による急速な金融引き締めの下でも、消費を中心に底堅い成長を続けてきました。一方、投資増を起点とする企業の生産能力増強や労働参加の増加により、ヒト・モノ不足が緩和され、インフレは着実に鈍化しています。こうした状況を踏まえ、FRBは2023年7月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げを最後に、政策金利を据え置いています。ただし、原油価格の上昇などが物価に波及する懸念もあり、今後はインフレの状況や景気情勢を見定めつつ、慎重に政策方針を決定していくと考えられます。

欧州経済は、景気が減速し低成長が続きました。個人消費が停滞しているほか、金融引き締めの影響で企業の投資需要が下押しされています。また、エネルギーコストの転嫁の一服や景気の悪化を受けてインフレは鈍化しています。ECB(欧州中央銀行)は2022年7月以降、政策金利を急速に引き上げてきましたが、インフレ鈍化を受け2023年10月の会合以降、据え置いています。ただし、労働需給のひっ迫は続いており、賃金や物価のインフレ再燃リスクは残存しています。

アジア経済は、景気が力強さを欠いています。中国ではインフラ投資が景気を下支えするものの、不動産市場の調整長期化や個人消費の低迷を受け、力強さを欠く景気となりました。また、米中対立は継続しており、通商や安全保障等をめぐる先行きの不確実性は依然として高い状況です。新興国では、半導体市況の改善を受けて景気減速に歯止めがかかりつつあります。ただし、世界経済の減速、金融引き締めの影響等により、未だ本格的な回復には至っていません。

日本経済は、物価高により個人消費が伸び悩んでいるほか、海外経済の減速にともない製造業の生産が伸び悩み、回復が停滞しています。もっとも、今後は、脱炭素関連投資などの経済構造の変化に対応する投資需要に支えられ、緩やかな回復に向かうとみられます。こうした状況に加え、企業による賃上げの動きを踏まえ、日銀は、イールドカーブ・コントロールの撤廃やマイナス金利解除などを決定しました。今後も、賃金・物価情勢や景気動向を見極めながら、金融政策の方針を決定していくと考えられます。

世界経済の先行きは、欧米の金融引き締めの影響や中国の成長鈍化を受け、緩やかな成長にとどまるものとみられます。一方、欧米を中心に、労働需給のひっ迫による賃金上昇と物価上昇のスパイラルを受けたインフレ加速、一層の金融引き締めによる急激な景気悪化や金融システムの混乱、ウクライナ情勢や中東情勢の緊迫化等の状況によっては、金融資本市場の混乱や一層の景気悪化リスクが懸念され、日本経済も悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 対処すべき課題

■中期経営計画

当社グループは2023年度に、外部環境・内部環境が大きく変化し複雑化する事業環境の中で、改めて、社員の拠り所となる企業理念を再定義するとともに、長期的な成長の方向性を定めた上で、5ヵ年経営計画(2019~2023年度)を一年前倒しし、5ヵ年計画の最終年度の目標達成を前提とした新たな中期経営計画(2023~2025年度)を策定しました。

2023~2025年度の3年間を『お客さま、社会の課題に対し、様々な挑戦を繋ぎ、新たな解を創造する3年間』とし、サステナビリティを軸とした、メリハリある事業展開により経営資源を最大限に有効活用し、お客さま、社会とともに、その先の持続的な成長、豊かさへの礎を築くことを基本方針としています。

〈みずほ〉が描く世界観として、「個人の幸福な生活」と、それを支える「サステナブルな社会・経済」に向け、社会課題の解決や持続的成長に向けた重点分野として、10年後の目指す世界からビジネス面での注力すべきテーマを明確にし、更に、その実現・成長を支える経営基盤を強化することとしました。

 

(重点取り組み領域)
(1) ビジネス面における注力テーマ

●「資産所得倍増」に向けた挑戦

▶ NISAを起爆剤に資産形成取引を拡大するとともに、グループ一体の強みを活かし、コンサルティング人材の強化を通じて資産運用や資産承継ニーズを取り込み、お客さまとともに成長

●顧客利便性の徹底追求

▶ 徹底したデジタル化と他社との連携も活用した利便性を徹底追求し、預金口座の魅力を高め、安定的な個人預金と将来の資産運用・承継のお客さま層の獲得を実現

●日本企業の競争力強化

▶ 大企業へのサステナビリティ対応を軸とした事業構造転換支援や、中堅上場企業にフォーカスした戦略的アプローチ等、法人のお客さまの企業価値向上や事業成長を徹底的に支援し、日本企業の国際競争力を高めることに貢献

●サステナビリティ&イノベーション

▶ 産業・事業構造のトランジションに対して資金供給体制を確立するとともに、サステナビリティも含むスタートアップ企業や新技術の確立を支援し、金融を超えた新規ビジネスの機会を創出

●グローバルCIBビジネス

▶ 成長領域である米州・アジアへの経営資源を積極的に投入し、米州では〈みずほ〉の強みであるCIB(コーポレート&インベストメントバンキング)モデル(銀行のバランスシートを使った貸出取引と金融資本市場プロダクツを一体的に提供する)を更に深化させ、アジアでは、域内ネットワークの『面』と、『国毎』の狙いを明確にしたメリハリある事業展開により地域の成長を取り込み

 

(2) 成長を支える経営基盤の強化

●企業風土の変革

▶ インターナルコミュニケーション(カルチャー改革)とブランドコミュニケーション(ブランド強化)の一体での推進を通じた社員・お客さまのエンゲージメントを向上

●人的資本の強化

▶ 戦略に即した人材ローテーションや経営リーダーの育成などの戦略人事の徹底と、キャリア形成支援や働く環境作りなど社員ナラティブを大切にするアプローチを通じ、人的資本を強化

●DX推進力の強化

▶ グループの強みを最大限活用したインキュベーション・スケール化の促進、および業務のデジタル化等による生産性向上、DX人材育成やデータ利活用等により、DX推進基盤を強化

●IT改革の推進

▶ 事業戦略実現に必要なIT投資拡大に向けた、システム構造の最適化、およびユーザーと一体で開発・運用および投資運営の高度化等を通じ、IT改革を推進

●安定的な業務運営

▶ システム障害風化防止と平時の危機対応力を強化

‒ 大規模なシステム障害を継続して抑止するため、システム障害の再発防止と障害対応力強化の取り組みの継続・定着化、システム障害の風化防止

▶ G-SIBsに相応しいサイバーセキュリティ態勢を不断に高度化

▶ マネー・ローンダリング対策・テロ資金供与対策(AML/CFT)態勢を更に強化・拡充

▶ グローバルガバナンスの徹底強化と、外部環境を踏まえた機動的なリスクコントロール

 

[カンパニー・ユニットの取り組み]
 当社グループは、お客さまの属性に応じた銀行・信託・証券等グループ横断的な戦略を策定・推進する5つのカンパニーと、全カンパニー横断的に機能を提供する2つのユニットを設置し、グループを運営しております。

 


 
各カンパニー・ユニットの今後の取り組み方針(対処すべき課題)は次の通りです。

 

リテール・事業法人カンパニー

個人・中小企業・中堅企業の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、銀行・信託・証券等グループ一体となったコンサルティング営業や、先進的な技術の活用や他社との提携等を通じた利便性の高い金融・非金融サービスの提供等に取り組んでおります。

 

(今後の取り組み方針)

安定的な業務運営体制の構築・持続的強化を継続するとともに、お客さまの課題に対するソリューション提供力強化に向けメリハリのある経営資源配分を通じた事業成長・拡大フェーズへ転換を図ります。

具体的には、個人のお客さまに対しては、お客さま一人ひとりの資産内容・資金の性格に応じた運用ニーズへの対応力を強化するべく、グループ一体で総合資産コンサルティングの更なる充実を図り、「資産所得倍増」に向けた挑戦に取り組んでいきます。法人のお客さまに対しては、企業価値の向上・継承・創出に向け、お客さまのコーポレートアクションを捉えた領域横断の取り組みによるニーズ対応力強化、グループの知見を最大限に活かしたリスクテイク力発揮によりお客さまの持続的成長に貢献していきます。

また、アライアンスやデジタルチャネル・決済サービスの改善を通じ、全てのお客さまに安心感を持ってご利用いただける利便性の高いサービスを提供し、顧客基盤の持続的な拡大に取り組んでいきます。

 

2023年11月9日に、当社の連結子会社であるみずほ証券株式会社は、楽天グループ株式会社の連結子会社である楽天証券ホールディングス株式会社と、2022年10月7日より両社が行っている戦略的な資本業務提携をさらに強化することを合意しました。資産形成・運用分野におけるオンライン・リアルの双方を組み合わせた新しいリテール事業モデル構築に向けた取り組みを推進します。本提携の強化に向け、みずほ証券は楽天証券ホールディングス株式会社が保有する楽天証券株式会社の普通株式29.01%を追加取得(取得後の株式保有比率49.00%)しました。

 

コーポレート&インベストメントバンキングカンパニー

国内の大企業法人・金融法人・公共法人の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、お客さまの金融・非金融に関するニーズに対し、M&Aや不動産関連ビジネス等の投資銀行プロダクツ機能を通じて、お客さまごとのオーダーメード型ソリューションをグループ横断的に提供しております。

 

(今後の取り組み方針)

産業構造転換、社会的課題に対する関心の高まり、地政学的リスクの顕在化等により、お客さまを取り巻く環境は、急速に変化しています。そうした中、銀行・信託・証券に加え、みずほリサーチ&テクノロジーズ等も含めたグループの総力を結集し、産業知見や投資銀行を始めとしたプロダクツ知見を活かしたソリューション提供力を一層高めることで、サステナビリティ等の社会的課題の解決を通じてお客さまと日本経済の持続的成長に繋げ、価値共創パートナーとしての真価を発揮してまいります。

 

グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニー

海外の日系企業及び非日系企業等を担当するカンパニーとして、お客さまの事業への深い理解と、銀証連携を軸としたグループ一体でのソリューション提供により、産業の変化・事業構造のトランスフォームを支える金融機能の発揮を目指してまいります。

 

(今後の取り組み方針)

米国で培ったCIB(コーポレート&インベストメントバンキング)ビジネスモデルの深化とアジア・欧州地域への展開を通じたグローバルでのプレゼンス向上に取り組むとともに、成長著しいアジア経済圏を中心とした海外ネットワークを活かし、金融面からお客さまをサポートし社会的課題の解決に貢献していきます。

さらなる事業ポートフォリオの最適化とリスクマネジメントの強化を通じて、持続的成長を実現してまいります。

 

2023年12月1日に、当社の子会社である米州みずほLLCは、米国M&Aアドバイザリー会社Greenhill & Co.,Inc.の買収を完了し、同社は〈みずほ〉の完全子会社となりました。〈みずほ〉は、Greenhill が27 年の歴史の中で築いてきた「ブランド」と「人材」の獲得を通じ、M&A アドバイザリーをはじめとした金融ソリューションを一層多様化することで、お客さまの事業戦略や企業価値向上に貢献していきます。

 

グローバルマーケッツカンパニー

お客さまのヘッジ・運用ニーズに対してマーケット商品全般を提供するセールス&トレーディング業務、資金調達やポートフォリオ運営等のALM・投資業務を担当しております。銀行・信託・証券の連携やCIB(コーポレート&インベストメントバンキング)アプローチにより、マーケッツの知見を活かした〈みずほ〉にしかできないソリューション・プロダクトの提供を目指してまいります。

 

(今後の取り組み方針)

セールス&トレーディング業務においては、各地域での銀行・証券の実質一体運営の更なる深化により、お客さまへのソリューション提供力向上の継続及びセールス&トレーディングのグローバル連携やDX活用を通じたトレーディング力強化により、更なるプレゼンス向上に取り組んでまいります。

ALM・投資業務においては、日銀金融政策の更なる変更や海外中銀の利下げ転換等の金融環境変化が想定される中、予兆管理と緻密な市場分析を踏まえた、柔軟かつ機動的なリスクコントロールを継続し、安定的な収益を実現します。また、グローバルALM運営を深化させ、安定的で効率的な外貨資金調達を通じて、グループ全体のビジネスに貢献してまいります。

加えて、セールス&トレーディング・ALM・投資の各分野におけるサステナビリティ推進・DX推進に取り組んでまいります。

 

アセットマネジメントカンパニー

アセットマネジメントに関連する業務を担当するカンパニーとして、銀行・信託・証券及びアセットマネジメントOne株式会社が一体となって、個人から機関投資家まで、幅広いお客さまの資産運用ニーズに応じた商品やサービスを提供しております。

 

(今後の取り組み方針)

リサーチ力強化・インオーガニック戦略等により国内・海外資産の運用力を強化し、ファンドの「選択と集中」によりお客さまのニーズに応じたプロダクトラインアップ・ソリューション提供の充実を図ることで、お客さまの中長期志向の資産形成をサポートし、国内金融資産の活性化に貢献いたします。また、確定給付年金・確定拠出年金関連業務や従業員・役員向けの株式給付信託制度の受託を通じて法人のお客さまの人的資本経営を支援するとともに、金融経済教育等の取り組みにより従業員のみなさまの資産形成を後押しします。安定的な業務運営に加え、アセットマネジメントビジネスの専門人材強化、生成AI等のデジタルテクノロジーを活用した生産性向上等、持続的成長に不可欠なビジネス基盤強化に取り組んでまいります。

 

グローバルトランザクションユニット

幅広いセグメントのお客さまに向けた、トランザクション分野のソリューション提供業務を担当しております。中長期目線での安定的な決済基盤構築、国内外一体での課題解決型提案、次世代決済インフラ戦略の企画機能強化等をユニットの設置目的としております。国内外決済や資金管理、証券管理等、各プロダクツに関する高い専門性を発揮し、高度化・多様化するお客さまのニーズに応えることを目指してまいります。

 

(今後の取り組み方針)

サプライチェーン・生産体制の見直し等の事業構造変化の動きや、政策金利をはじめとする各国の金融政策動向等を機敏に捉え、多様化するお客さまのニーズに柔軟に応えてまいります。国内外各拠点間で緊密に連携しながら、お客さまの課題解決に資するソリューション提供に努め、お客さまとともに〈みずほ〉の成長にも貢献してまいります。

また、金融機関の責務である決済業務の安定的な提供、インフラ基盤の維持・増強に最優先で取り組んでまいります。加えて、決済分野における新技術・インフラの出現といった社会の潮流も踏まえつつ、長期的な視点での次世代・新規ビジネスの創出にも取り組んでまいります。

 

リサーチ&コンサルティングユニット

産業からマクロ経済まで深く分析するリサーチ機能と、経営戦略からサステナビリティ・デジタル等の専門分野にわたるコンサルティング機能を担うユニットとして、各カンパニーと緊密に連携し、グループ一体となってお客さまや社会に対する価値創造の拡大を目指します。

 

(今後の取り組み方針)

経済・社会の不透明感の高まりや、サステナビリティ・DXの潮流加速等を受けて、リサーチ・コンサルティング領域における人材獲得競争の激化が見込まれる中、高い専門性を有する人材の確保・育成に向けた取り組みを強化してまいります。また、グループ一体運営のさらなる進化に加え、グループ外との連携等にも取り組み、「〈みずほ〉差別化の源泉」として、時代の一歩先を見据えた価値創造を一層拡大してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

〈みずほ〉は、サステナビリティを「環境の保全および内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄、ならびに〈みずほ〉の持続的かつ安定的な成長」と定義しております。サステナビリティへの取り組みを進めることで、様々なステークホルダーの価値創造に配慮した経営と当社グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を実現し、SDGs達成に貢献していくことをめざしております。

本項では、初めにサステナビリティ全般に関し、「ガバナンス」「リスク管理」として経営管理の枠組み、「戦略」としてマテリアリティへの取り組み概要を説明した後、個別テーマである気候変動と人的資本に関する具体的な「戦略」「指標・目標」を概説いたします。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。

 

1.サステナビリティ全般に関するガバナンス、リスク管理、戦略

(1) ガバナンス

当社グループのコーポレート・ガバナンス体制は、有価証券報告書「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の通りです。マテリアリティへの対応をはじめとしたサステナビリティへの取り組みについても、この体制のもとで運営しております。

取締役会においては、サステナビリティへの取り組みに関する基本方針等の決定ならびに取締役及び執行役の職務の執行の監督を行っております。また、取締役会の諮問機関として、リスクガバナンス等に関する決定・監督等に関して取締役会に提言を行うリスク委員会を設置、外部有識者の専門的な知見を活用することで適切な監督機能を発揮可能な態勢を構築しております。取締役会やリスク委員会にて、気候関連リスクをはじめとする主要なサステナビリティ課題について議論のうえ、その内容を定期的に開示しております。

執行においては、経営会議で、サステナビリティに関連する業務執行に関する重要な事項を審議しております。また、経営政策委員会等にて、サステナビリティに関連する全社的な諸課題やグループのビジネス戦略上重要な事項について、総合的に審議・調整を行っております。加えて、執行役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会では、特に気候変動への対応や人権尊重等の環境・社会課題に関する取り組み等に関して、審議・調整を行っております。また、人材戦略会議やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進委員会において、人的資本経営に必要な人材育成方針や社内環境整備方針等の協議、周知徹底、推進を行っております。

また、役員報酬制度においては、業績連動報酬に係る業績評価指標に「みずほフィナンシャルグループ財務」「お客さま」「経済・社会」「社員」の切り口からステークホルダーの持続的な成長・発展を評価する指標を選定しており、特に中長期インセンティブ報酬(株式報酬Ⅱ)には、サステナビリティに関する評価指標を採用しております。

 

(2) リスク管理

当社グループは、事業戦略・財務戦略とリスク管理の一体運営を通じて企業価値の向上を実現する観点から、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を導入しております。また、リスクの要因別に「信用リスク」「市場リスク」「オペレーショナルリスク」等のリスクカテゴリーに分類し、各リスク特性に応じた管理を行った上で、リスクを全体として把握・評価しリスクを制御していく、総合的なリスク管理態勢を構築しております。当社グループは、こうしたリスク管理フレームワークの中でサステナビリティに関連するリスクを認識し、業務計画遂行上重要なリスクを特定した上で、各リスクカテゴリーの特性や事業戦略を踏まえてリスクをコントロールしております。

また、当社は、当社グループに重大な影響を及ぼすリスク認識を選定する「トップリスク運営」を導入しております。2024年5月現在のトップリスクには、「気候変動影響の深刻化」や「人材不足等による持続的成長の停滞」等が含まれます。選定したトップリスクについては、未然防止策や事後対応等のリスクコントロール強化策の検討、業務計画への反映等を通じ、リスクコントロールやガバナンスの強化に活用しております。当社のトップリスク運営等の詳細については、有価証券報告書「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご覧ください。

気候関連リスクについては、発現の蓋然性、時間軸、影響の不確実性や複数のリスク区分に波及すること等の特性を踏まえ「気候関連リスク管理の基本方針」を制定し、管理を強化しております。また、投融資等を通じた環境・社会に対する負の影響を防止・軽減するため、負の影響を助長する可能性が高い事業やセクターを特定し、「環境・社会に配慮した投融資の取組方針」を制定しております。また人的リスクについては、重要なステークホルダーである社員へのリスクを明確化し、人的リスクを人的資本経営と表裏の関係で捉えるとする考え方を反映して「人的リスク管理の基本方針」を改定し、人的リスクの定義を見直しました。

 

(3) 戦略

サステナビリティについての基本的考え方や推進方法等を定めた「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」のもと、グループ全体で戦略と一体的にサステナビリティへの取り組みを推進してまいります。また、社会の期待*1と、当社グループにとっての重要性*2を踏まえて「マテリアリティ」(〈みずほ〉と、お客さま、社員、経済・社会をはじめとするステークホルダーの持続的な成長・発展にとっての中長期にわたる優先課題) を特定するとともに、〈みずほ〉にとってのリスクと機会、および具体的取り組みを明確化しております。サステナビリティへの取り組みにあたっては、長期的な視点に立ち、「マテリアリティ」に取り組むことで、環境の保全および内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄に貢献し、様々なステークホルダーの価値創造に配慮した経営と当社グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を目指していきます。

*1:当社グループが社会に与えるインパクトに対するステークホルダーの期待

*2:中長期的な企業価値への影響、当社グループの戦略・事業領域との親和性

 

[〈みずほ〉のマテリアリティ]

 

マテリアリティ

主な取り組み

有価証券報告書に
おける関連記載箇所

少子高齢化と健康・長寿

人生100年時代の一人ひとりに応じた安心・安全・便利

・個人資産形成・運用・承継に対する総合資産コンサルティング

・デジタルチャネル・対面双方の顧客接点の質と利便性の向上

 

 

 

 

第2 事業の状況
1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1)経営方針、および(3)対処すべき課題

 

 

 

 

 

気候変動への取り組みについては、後述の2.

産業発展とイノベーション

産業・事業の発展を支え、グローバルに新たな価値を創造

・気候変動対応をはじめとした事業・産業構造転換支援等の産業全体を捉えた仕掛け

・イノベーション企業の成長支援・共創による社会インパクト創出

・技術力ある日本企業の事業承継支援知

健全な経済成長

環境変化に対応する金融インフラ機能の発揮を通じた経済発展への貢献

・中堅上場企業等の企業価値向上に貢献、日本経済を活性化

・運用力強化による資産運用ニーズ対応とO&D活性化

・グローバルな金融資本市場でのCIBビジネスの展開

環境・社会

お客さまと共に環境の保全をはじめとする社会の持続的な発展を実現

・サステナビリティを契機としたソリューション提供や事業構造転換支援、それらの各法人セグメントへの伝播

・環境・気候変動への対応、社会・人権への取り組み

人材

自律的な企業文化のもと多様な社員が活躍し、お客さま・社会とともに成長

・グループ横断的な企業風土改革の取り組み推進

・戦略的ローテーションや人材投資を通じた社会課題解決に対応可能な人材の育成

・多様な人材の活躍を支える働きやすい職場と、インクルーシブな組織づくり

後述の3.

ガバナンス

お客さま・社会に貢献するための強固な企業統治と安定的な業務運営

・オペレーショナル・レジリエンス(平時の危機対応)の強化

・サイバーセキュリティ対策、AML/CFT態勢の更なる強化・拡充

・グローバルガバナンスの強化

第2 事業の状況
3.事業等のリスク

 

マテリアリティに関連する〈みずほ〉にとってのリスクと機会、および主な取り組み等については、2024年7月開示予定の統合報告書をご参照ください。

 

以下、当社のマテリアリティのうち、「環境・社会」に該当する気候変動への取り組み、および「人材」に該当する人的資本への取り組みについて概説します。なお、その他のマテリアリティへの取り組みについては、上述の「有価証券報告書における関連記載箇所」をご参照ください。

 

 

2.気候変動

(1) 戦略

「環境方針」や「2050年ネットゼロに向けた〈みずほ〉のアプローチ」において、脱炭素社会の実現に向けた〈みずほ〉の気候変動への取り組み姿勢や、目指す姿・行動(アクション)を明確化し、グループ一体で取り組みを進めております。2050年の脱炭素社会の実現に向けて、ビジネス機会獲得、リスク管理、実体経済の移行の3つの観点を踏まえた「ネットゼロ移行計画」に基づき、より統合的かつ実効的に気候変動への対応を進め、2050年脱炭素社会の実現や気候変動に対して強靭な社会の構築に貢献してまいります。

 

[ネットゼロ移行計画(概要)]

 


 

[気候変動に関する機会・リスクの認識]

・お客さまによる脱炭素に向けた技術開発・ビジネスモデル構築のための投資をビジネス機会と認識し、お客さまとのエンゲージメント(建設的な対話)を起点に、脱炭素化(トランジション)や気候変動対応の支援に注力しております。

・気候関連リスクとして、気候変動に起因する移行リスクと物理的リスクを認識し、リスク区分毎に想定される影響を整理しております。

-移行リスク:炭素税や燃費規制といった政策強化や脱炭素等の技術への転換の遅れにより影響を受ける投融資先に対する信用リスクや、化石燃料等へのファイナンスに伴うレピュテーショナルリスク等を想定

-物理的リスク:気温上昇や災害の変化に起因する、当社グループの資産の損傷・劣化等に伴うオペレーショナルリスクや、事業停滞や労働力低下でのお客さまの収益減少等に伴う信用リスク等を想定

 

[シナリオ分析]

・気候変動が将来にわたって当社グループのポートフォリオに与える影響を把握するため、移行リスクおよび物理的リスクを対象にシナリオ分析を実施しております。気候変動に関するさまざまな将来の状態に対する計画の柔軟性や戦略のレジリエンスを高めるべく、1.5℃のシナリオを含む複数のシナリオを用いて分析しております。

 

 

(2) 主要な指標・目標

 

指標

目標

直近実績

サステナブルファイナンス/

環境・気候変動対応ファイナンス額

2019年度~2030年度累計:100兆円(うち環境・気候変動対応:50兆円)

2019年度~2023年度累計(速報値) 31.0兆円(うち環境・気候変動対応 14.0兆円)

Scope1,2(グループ7社の温室効果ガス排出量)

2030年度カーボンニュートラル

2022年度 106,750tCO2 (マーケット基準)

Scope3(投融資を通じた排出)

2050年ネットゼロ

(セクター別に実績を開示)

- 電力セクター

2030年度 138-232kgCO2e/MWh

2022年度 368kgCO2e/MWh

- 石油・ガスセクター

2030年度

(Scope1,2) 4.2gCO2e/MJ

(Scope3) 2019年度比△12~△29%

2022年度

(Scope1,2) 5.6gCO2e/MJ

(Scope3) 34.8MtCO2e (2019年度比 △43%)

- 石炭採掘(一般炭)セクター

絶対排出量 2030年度 OECD諸国ゼロ、

2040年度 非OECD諸国ゼロ

2022年度 0.6MtCO2e

 - 自動車セクター

2030年度

(Scope1,2) 2021年度比△38%

(Scope3) 2021年度比△31~△43%

2022年度

(Scope1,2) 831ktCO2e (2021年度比△11%)

(Scope3) 184gCO2e/vkm (2021年度比△7%)

- 海運セクター

2030年度 ポートフォリオ気候変動整合度≦0%

2022年度 -1.55%

- 鉄鋼セクター

2030年度 2021年度比△17~△23%

2022年度 14MtCO2e (2021年度比△18%)

- 不動産セクター

2030年度 33~42kgCO2e/㎡

2022年度 65kgCOe2/㎡

石炭火力発電所向け与信残高*1

2030年度までに2019年度比50%に削減

2040年度までに残高ゼロ

2024/3末 2,408億円

(2019年度比 △20%)

移行リスクセクターにおける
高リスク領域エクスポージャー

中長期的に削減

2024/3末 1.5兆円

 

*1 環境・社会に配慮した投融資の取組方針で禁止している新設・拡張を資金使途とするもの

気候変動に関する戦略および指標・目標の詳細については、2024年6月に発行した気候・自然関連レポート2024をご参照ください。

 

3.人的資本

(1) 戦略

〈みずほ〉の企業価値の源泉である人材に対し、戦略人事を徹底すること、社員ナラティブを重視した人事運営を行うことで、ビジネス戦略に応じた機動的な人事運営の両立を実現させるとともに、社員一人ひとりが自分らしく輝き、会社とともに成長していくことを目指していきます。具体的には、①企業風土変革の取り組み推進、②社会課題解決に対応可能な人材の育成、③働きやすい職場、インクルーシブな組織づくりに取り組んでまいります。

取り組み詳細につきましては、2024年7月開示予定の統合報告書をご参照ください。

 

 

[人材・組織運営における取り組み内容]

 

①グループ横断的な企業風土変革の取り組み推進

全ての基盤であるカルチャー・人材は、戦略遂行の継続性を確実に担保し持続的な成長をするために不可欠であり、誰もが自律的に行動し建設的に議論できる組織を目指して、インターナルコミュニケーション(企業風土変革)とブランドコミュニケーション(ブランド強化)に取り組み

・企業理念の見直しを踏まえた社員一人ひとりへの浸透策を推進

・インターナルな取り組みだけでなく外から見える〈みずほ〉を再認識し、ブランドを再構築

②戦略的ローテーションや人材投資を通じた社会課題解決に対応可能な人材の育成

[人材育成方針]

社員一人ひとりのキャリア志向と、各事業分野における戦略実現を支える人材ニーズが両立した人材ポートフォリオの構築を目指して、社員のキャリア発展段階に応じた事業領域別の計画的な人材育成をグループベースで展開するとともに、事業領域横断的な経営リーダーの育成、サクセッションプランニングに取り組み

・キャリア形成に必要な学びやリスキリング・アップスキリングに必要な人材投資の拡大をすることで人材力を強化

・中長期的な事業戦略にアラインした戦略的ローテーションを推進するとともに、ピープルアナリティクスを高度化

・グループCEOの下、アサインメントや本人の自走を通じた中長期視点での経営リーダー育成プログラムを推進

③多様な人材の活躍を支える働きやすい職場と、インクルーシブな組織づくり

[社内環境整備方針]

すべての社員が、「働きやすさ」を感じながら長く〈みずほ〉で活躍し、会社への貢献意欲や仕事のモチベーションを高めていくことができる職場の実現を目指して、多様な視点や価値観を尊重し、一人ひとりが自分らしさと能力を最大限に発揮できる組織を構築

・社員の挑戦を支え、貢献に報い、働きやすさを感じられるグループ5社共通の人事の枠組みの構築・移行や人事システムの一元化を実施

・「人と人の関係性」に働きかけ、組織全体のモチベーションとパフォーマンスを高める職場主体での組織開発支援

・社員が財産形成を支援する枠組みや、金融教育機会の提供等、ファイナンシャルウェルネスを支える取り組みを実施

 

 

(2) 主要な指標・目標*1

 

指標

目標

直近実績

エンゲージメントスコア *2

2025年度65

2023年度:59

インクルージョンスコア *2

2025年度65

2023年度:60

女性管理職比率 *3

2025年度:部長相当職(部長及び部長に準ずる役職)14

2023年度 *4 *9:

部長相当職10

2025年度:課長相当職以上21

2030年代の早期に30%

課長相当職以上20

女性新卒採用者比率 *3

30維持

2023年度 *537

男性育児休業取得率 *3

100維持

2023年度 *9105

海外現地採用社員の管理職比率 *6

83維持

2023年度:85

有給休暇取得率 *3 *7

80維持

2023年度:83

プレゼンティーズム *8

15以下

2023年度:20%

 

*1  当グループでの連結ベースでの状況を最も表し得る主要グループ5社(FG・BK・TB・SC・RT)の数値を開示

*2  社員意識調査におけるエンゲージメントおよびインクルージョンに関する各4設問に対する回答の、肯定的回答率(1~5の5段階で4,5を回答した割合)

*3  国内 (FG・BK・TB・SC・RT) 合算

*4  「課長相当職以上」は、 2023年度より、算定対象の変更により算出範囲から海外関連会社への出向者を除外

*5  2024年4月入社

*6  「海外ナショナルスタッフ管理比率」より名称変更、海外 (BK・TB・SC・RT) 合算

*7 2024年度より目標値変更

*8 病気や怪我がない状態を100%とした場合、過去4週間の自分の状態が何%か問うもの、100%から欠ける部分(損失割合)を算出

*9  5[従業員の状況]にも掲載

 

 

3 【事業等のリスク】

本項は、当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項や、リスク要因に該当しない事項であっても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項について記載しています。これらのリスクは互いに独立するものではなく、ある事象の発生により複数のリスクが増大する可能性があります。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生を回避するための施策を講じるとともに、発生した場合には迅速かつ適切な対応に努める所存です。

なお、本項に含まれている将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

1.金融諸環境等に関するリスク

① 金融経済環境の変化による悪影響

当社グループは、日本国内の各地域及び米国や欧州、アジアなどの海外諸国において幅広く事業を行っております。金融経済環境における先行きは、米国におけるインフレの趨勢や、日本における大規模な金融緩和策修正による影響等、不透明な状況です。これらに加え、日本や世界各国、地域における経済状況が悪化した場合、あるいは、金融市場の著しい変動等が生じた場合には、当社グループの事業の低迷や資産内容の悪化等が生じ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 国家間の対立や世界の分断に関するリスク

足もとでは、ウクライナ情勢が長期化する中、欧米各国や日本等がロシアに対する経済制裁を継続しております。また、米国とその同盟国等による対中政策の強化と、中国による対抗措置の実施等、米中対立の拡大も懸念されます。さらには、中東においても不安定な情勢が続いており、資源価格等への影響が懸念されるほか、各国・地域の政治動向等により国家間のみならず、各国内の分断が進む惧れがあります。こうした対立や分断等により、当社グループの取引先等が事業の縮小やサプライチェーンの見直し等の事業戦略の再考を余儀なくされることや、グローバル経済の減速、地政学情勢の悪化等により、企業業績の悪化や金融市場の混乱が生じる可能性があります。これにより、当社グループにおいて、与信関係費用の増加や、保有資産等の評価損や減損の発生・拡大、資金流動性の低下等につながる可能性があります。また、国家間の対立における各国規制の強化に伴い、規制抵触による法令違反の発生やレピュテーションの悪化が発生する可能性があります。

こうした事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法令諸規制の改正等による悪影響

当社グループは、国内において事業活動を行う上で、会社法、独占禁止法や会計基準等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、自己資本比率規制を含む銀行法、金融商品取引法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用を受けております。また、海外での事業活動においては、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用も受けております。

これらの法令諸規制は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供の制限や、追加のシステム開発負担につながる等、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 環境・社会に配慮した投融資等の取り組みに係るリスク

当社グループは、金融の円滑化を図り、経済・社会の持続可能な発展に貢献するため、社会的責任と公共的使命の重みを常に認識し、適切なリスク管理態勢のもと、高度なリスクテイク能力を活用した金融仲介機能の発揮に努めています。

昨今、気候変動、自然の損失、人権侵害をはじめとする環境・社会課題の顕在化に伴い、当社グループを取り巻くステークホルダーからは、資金提供者として、環境・社会に一層配慮することが期待されています。かかる背景から、当社グループは、取引を通じて環境・社会に対する負の影響を助長する可能性が高いセクターに対する取り組みやセクター横断的な取り組みを定めた包括的な方針を制定する等、環境・社会への負の影響の防止・軽減に向けた取り組みを強化しています。

しかしながら、ステークホルダーからの期待は日増しに高まっており、当社グループや取引先企業の取り組みが期待から大きく乖離した場合等には、当社グループのレピュテーションの毀損・与信関係費用の増加等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 気候変動リスク

2015年に「パリ協定」が採択されて以降、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求するという決意のもと、気候変動の原因とされる温室効果ガスの排出量削減を目的とした取り組みが世界的に進められています。また、2023年の第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)において、2035年までに温室効果ガスの排出量を60%削減する必要性が示され、化石燃料からの段階的な脱却を今後10年で加速することや、2030年までに世界の再生可能エネルギー容量を3倍にすることが呼びかけられる等、気候変動対策に向けた各国政府等の取り組みは加速しており、様々な環境・社会課題の中でも気候変動リスクへの対応の重要性がますます高まっています。

当社グループは、気候変動が環境・社会、人々の生活・企業活動にとっての脅威であり、金融市場の安定にも影響を及ぼしうる最も重要なグローバル課題の一つであると認識しています。気候変動リスクとしては、脱炭素社会への移行に伴う事業環境の変化に起因する移行リスク、気温の変化と災害による被害の変化に起因する物理的リスクが挙げられます。移行リスクについては、炭素税や燃費規制といった政策強化や脱炭素技術への転換の遅れにより、取引先の業績悪化を通じた与信関係費用の増加が代表的なリスクとして想定されます。また、物理的リスクとしては、風水災・山火事等の災害に伴う急性リスク、気温上昇での労働力低下等に伴う慢性リスクから生じる、当社グループの資産への影響や取引先の事業停滞による業績悪化を通じた与信関係費用への影響等が代表的です。

当社グループはこれらのリスクを管理するために、グローバルな潮流・動向も捕捉しながら、戦略やリスク管理態勢の見直しを実施しておりますが、こうした取り組みが奏功せず気候変動リスクが顕在化した場合には、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 金融業界の競争激化による悪影響

当社グループは、国内外の大手金融機関やノンバンク等との激しい競争環境に晒されています。また、昨今は様々なテクノロジーの進展や新たなサービス提供方法等により、業種の垣根を越えて非金融事業者による金融領域への新規参入が相次ぐなど、当社グループを取り巻く競争環境はますます激化する可能性があります。さらに、これまで進められてきた金融規制改革により、競合他社との戦略の差別化が難しくなり、特定のビジネスにおける競争環境が激化していく惧れもあります。当社グループが、競争に十分対応することができない場合には、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、競争激化等に伴い、金融業界において金融機関の再編が進み、当社グループの競争力や当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 災害・テロ・感染症等の発生による悪影響

当社グループは、国内外において店舗、事務所や電算センター等の施設等を保有しておりますが、このような施設等は常に地震や台風等の災害やテロ・犯罪等の発生による被害を受ける可能性があります。また、感染症の流行により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。当社グループは、各種緊急事態を想定したコンティンジェンシープランを策定し、バックアップオフィスの構築等、緊急時における態勢整備を行っておりますが、被害の程度によっては、当社グループの業務の一部が停止する等、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、2011年3月に発生した東日本大震災のような大規模な災害や新型コロナウイルスのような感染症の流行に起因して、景気の悪化、多数の企業の経営状態の悪化、株価の下落等が生じる可能性があります。その結果、当社グループの不良債権及び与信関係費用が増加したり、保有株式や金融商品等において売却損や評価損が生じること等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2.財務面に関するリスク

(1) 信用リスク
① 与信関係費用の増加等による追加的損失の発生

当社グループは、多くの与信先についてメインバンクとなっているとともに、相当程度大口の与信先があります。また、与信先の業種については分散に努めておりますが、不動産業、製造業、金融・保険業向けの与信の割合が相対的に高い状況にあります。

当社グループは、個々の与信先の信用状態や再建計画の進捗状況を継続的にモニタリングするとともに、企業グループやリスク事象発現時に影響が想定される特定業種への与信集中状況等を定期的にモニタリングするポートフォリオ管理を実施しているほか、クレジットデリバティブの活用によるヘッジ及び信用リスクの減殺を行っております。また、与信先から差入れを受けている担保や保証の価値についても定期的に検証しております。

しかしながら、国内外のクレジットサイクルの変調、特定の業界における経営環境の変化、不動産等の資産価格下落等によっては、想定を超える新たな不良債権の発生、メインバンク先や大口与信先の信用状態の急激な悪化、特定の業界の与信先の信用状態の悪化、担保・保証の価値下落等が生じる可能性があります。こうした事象によって、与信関係費用が増加する等追加的損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 貸倒引当金の状況

当社グループは、自己査定基準、償却・引当基準に基づき、与信先の状況、差入れられた担保の価値及び経済動向を考慮した上で、貸倒引当金を計上しております。

償却・引当の計上にあたっては、貸出資産を適正に評価し、市場売却を想定した厳正な担保評価を行っておりますが、国内外の経済情勢の悪化、与信先の業況の悪化、担保価値の下落等により、多くの与信先で貸倒引当金及び貸倒償却等の与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市場リスク
① 株価下落による追加的損失の発生

当社グループは、国内上場企業の普通株式を中心に、市場性のある株式を大量に保有しております。当社グループでは、「上場株式の政策保有に関する方針」を掲げ、株価変動リスクが財務状況に大きな影響を与えうることに鑑み、その保有の意義が認められる場合を除き、上場株式を政策保有しないことを基本方針としており、売却を計画的に進めております。また、必要に応じて部分的にヘッジを行うことによりリスク削減にも努めております。しかしながら、これらの保有株式の株価が下落した場合には評価損や売却損が発生する可能性があります。

また、当社グループの自己資本比率の計算においては、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率が低下する可能性があります。

その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

「上場株式の政策保有に関する方針」及び政策保有株式の保有意義検証等の概要については、当社の「コーポレートガバナンスに関する報告書」をご覧ください。

https://www.mizuho-fg.co.jp/company/structure/governance/pdf/g_report.pdf

 

② 金利の変動による追加的損失の発生

当社グループは、投資等を目的として国債をはじめとする市場性のある債券等を大量に保有しているため、金利上昇に伴う価格の下落により、評価損や売却損が発生する可能性があります。また、当社グループの金融資産と負債の間では満期等に違いがあるため、金利変動により損失が発生する可能性があります。当社グループは、厳格なリスク管理体制の下、必要に応じて債券の売却や銘柄の入れ替え、デリバティブ取引等によるヘッジを行う等、適切な管理を行っておりますが、金融政策の変更や、財政悪化等によるソブリンリスク顕在化、その他市場動向等により大幅に金利が変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 外国為替相場の変動による追加的損失の発生

当社グループは、資産及び負債の一部を米ドル等の外貨建てで有しております。外貨建ての資産と負債が通貨毎に同額ではなく互いに相殺されない場合には、その資産と負債の差額について、為替相場の変動により円貨換算額が変動し、評価損や実現損が発生する可能性があります。当社グループでは、必要に応じ適切なヘッジを行っておりますが、予想を超える大幅な為替相場の変動が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 保有資産の市場流動性低下による追加的損失の発生

当社グループは、市場で取引される様々な資産を保有しておりますが、金融市場の混乱等により保有資産の市場流動性が著しく低下し、その結果、保有資産の価値が下落する可能性があります。グローバルな金融市場混乱や経済・金融環境の悪化等により、保有資産の市場流動性が著しく低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ ヘッジ目的等の金融取引に係る財務上の影響

ヘッジ目的等で利用するクレジットデリバティブや株式関連デリバティブ等の金融取引については、ヘッジ対象資産と会計上の取扱いや評価方法が異なる場合があります。そのため、市場の変動等により、ある特定の期間において、ヘッジ対象資産の評価が上昇しても、当該金融取引から損失のみが発生する場合があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 流動性リスク
① 資金調達が困難となることによる追加的損失の発生

当社グループの資金調達は、主に預金、債券発行及び市場からの調達により行っております。特に、外貨資金は、円貨資金に比べ市場からの調達の依存度が高くなっております。そのため、資金調達の安定性の観点から、流動性ストレス状況下における資金繰り逼迫の影響分析や資金繰りの状況に応じた対応方針の策定等、厳格な管理を行っております。

しかしながら、国内外の景気悪化、金融システム不安、金融市場の混乱等により資金流動性が低下した場合、あるいは当社グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等が発生し、予想外の資金流出が発生した場合には、資金調達コストの増加や、外貨資金調達等に困難が生じることがあり、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 格付引き下げによる悪影響

当社や銀行子会社等、当社グループの一部の会社は、格付機関から格付を取得しております。格付の水準は、当社グループから格付機関に提供する情報のほか、格付機関が独自に収集した情報に基づいています。また、日本国債の格付や日本の金融システム全体に対する評価等の影響も受けているため、常に格付機関による見直し・停止・取下げが行われる可能性があります。

仮に格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの上昇や資金調達の困難化、市場関連取引における追加担保の提供、既存取引の解約等が発生する可能性があり、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

例えば、当社グループのデリバティブ契約に基づき格下げによる追加担保の金額を試算すると、他の条件が不変であれば、2024年3月末に1ノッチの格下げがあった場合は約118億円、2ノッチの格下げの場合は約292億円となります。

 

 

 

(4) 自己資本比率等に係るリスク
① 自己資本比率規制

当社グループ及び銀行子会社には、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢテキスト(銀行の自己資本と流動性に係る国際的な基準の詳細を示すもの)に基づき、金融庁の定める自己資本比率規制(当社グループがグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)に選定されていることに伴う、G-SIBsバッファーに係る規制を含む)が適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書に基づく改正後の自己資本比率規制は、2024年3月末から当社グループに適用されています。

仮に当社グループや銀行子会社の自己資本比率が一定基準を下回った場合には、その水準に応じて、金融庁から社外流出の制限や資本の増強を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当社グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国・地域において、現地の自己資本比率規制に服しており、当該規制に抵触した場合には、現地当局から様々な規制及び命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② レバレッジ比率規制

当社グループ及び銀行子会社には、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢテキストに基づき、金融庁の定めるレバレッジ比率規制が適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書に基づき、G-SIBsに対するレバレッジ比率の上乗せ措置(レバレッジ・バッファー)に係る規制が2023年3月末から適用され、さらに当該最終規則文書に基づくレバレッジ比率の算出方法の改正については、2024年3月末から実施されています。

仮に当社グループや銀行子会社のレバレッジ比率が一定基準を下回った場合には、その水準に応じて、金融庁から社外流出の制限や、資本の増強に係る措置を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当社グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国・地域において、現地のレバレッジ比率規制に服しており、当該規制に抵触した場合には、現地当局から様々な規制及び命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 総損失吸収力(TLAC)規制

G-SIBsに選定されている当社グループ及び主要子会社には、FSBが公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収及び資本再構築に係る原則」等に基づき、金融庁の定めるTLAC規制が適用されております。

仮に当社グループの外部TLAC比率や主要子会社の内部TLAC額が一定基準を下回った場合には、金融庁から外部TLAC比率の向上や内部TLAC額の増加に係る改善策の報告を求められる可能性に加えて、業務改善命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 資本調達

普通株式等Tier1資本を除き、当社グループの資本調達(TLAC規制に対応した調達を含む)は、主に債券発行により行っております。

仮に当社グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等のほか、国内外の景気悪化、金融システム不安や金融市場の混乱等が生じた場合には、資本調達コストの増加や、十分な資本調達が出来ないことにより、企図した水準への自己資本比率等の向上が図れない事象等が生じる可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) その他の財務面に関するリスク
① 分配可能額等に関するリスク

持株会社である当社は、その収入の大部分を傘下の銀行子会社等から受領する配当金に依存しておりますが、会社法の制限等により、当該銀行子会社等が当社に対して配当金を支払わない可能性があります。また、当社の業績及び財務状況の悪化や、会社法の制限や銀行の自己資本規制の強化に伴う配当制限等により、当社株主への配当の支払や当社グループが発行する一部の資本性証券の配当又は利払いが困難もしくは不可能となる可能性があります。

 

② 退職給付債務等の変動による追加的損失の発生

当社グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、株式相場並びに金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件に変更があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループの退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 繰延税金資産に係る財務上の影響

繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得見積りを合理的に行った上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 固定資産の減損に係るリスク

当社グループは、保有する有形固定資産及び無形固定資産について、現行の会計基準に従い減損会計を適用しておりますが、当該資産に係る収益性の低下や時価の下落等により、投資額の回収が見込めなくなった場合は減損損失を認識する可能性があります。減損損失を認識した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3.業務面に関するリスク

(1) オペレーショナルリスク
① システムリスクの顕在化による悪影響

当社グループは、勘定系・決済系等の巨大なコンピュータシステムを保有しており、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムとグローバルなネットワークで接続されています。また、近年では外部委託を利用した自社開発型のシステムに加えて、社外の事業者が提供するクラウドサービス等の利用も増加しております。

当社グループは、日頃よりシステムの安定稼動の維持に努めるとともに、重要なシステムについては、原則としてバックアップを確保する等、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。また、外部委託先やクラウドサービスを提供するクラウド事業者等のサードパーティに対しても当社グループが必要とする管理水準を示し、その管理態勢・対応状況を事前及び定期的に確認する等、適切な対応に努めております。

しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により重大なシステム障害が発生した場合には、こうした対策が有効に機能しない可能性があります。

2021年2月以降、株式会社みずほ銀行(同年8月20日の障害は、みずほ信託銀行株式会社も含む)において複数のシステム障害が発生し、営業部店やATMでの取引、インターネットバンキング取引、内為・外為取引等が一部不能となりました。これに伴い、当社及び株式会社みずほ銀行は、2021年9月22日及び同年11月26日に銀行法第52条の33第1項及び同法第26条第1項に基づき、金融庁より業務改善命令を受けました。その後、11月26日付の業務改善命令に基づき、当社及び株式会社みずほ銀行は、2022年1月17日に金融庁へ業務改善計画を提出いたしました。また、同命令に基づき、当該業務改善計画の実施状況について、2022年3月末の実施状況を初回として、以降3ヶ月毎に報告を実施しており、直近では2024年1月15日に報告書を金融庁に提出いたしました。なお、当該報告をもって金融庁への定期報告は終了となります。

このような事案を含め、システムリスクが顕在化した場合には、情報の流出、誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② サイバー攻撃等による悪影響

当社グループが保有する多くのシステムは、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムと、グローバルなネットワークで接続されております。当社グループは、サイバー攻撃の高度化・裾野拡大を踏まえて、サイバーセキュリティ対策を経営の重要課題として認識し、経営主導のもと、金融という重要な社会インフラの担い手として、安心・安全なサイバー空間の構築に貢献することを「サイバーセキュリティ経営宣言」にて意思表明を行い、継続的にグループ・グローバルおよびサードパーティを含めた対策を推進しています。

具体的なサイバーセキュリティ対策としては、Mizuho-CIRT*1を中心に、高度なプロフェッショナル人材を配置し、外部の専門機関とも連携したインテリジェンスや先進技術を駆使しながら、統合SOC*2等による24時間365日の監視体制を整備しています。当社システムでは、ウイルス解析や多層的防御体制等を導入しており、これら技術的な対策の有効性や対応プロセスの実効性をテストするためにTLPT*3を実施する等、レジリエンス態勢の強化に取り組んでいます。

また、外部委託先やクラウドサービスを提供するクラウド事業者等のサードパーティにおけるサイバーインシデント発生時の対応を含めたセキュリティ管理態勢等を事前および定期的に確認しています。サードパーティからサイバーインシデントの発生報告を受けた際には、当社グループへの影響を把握・分析するとともに、当社グループに影響が懸念される場合には、当社グループにおいてもリスクへの適切な対応に努めています。

当社では、これらサイバーセキュリティ対策の成熟度を評価するため、FFIEC*4 Cybersecurity Assessment Toolによる第三者評価の実施や、NIST*5のCybersecurity Framework等を参考にしています。

しかしながら、サイバーセキュリティ対策強化が奏功せずサイバー攻撃を受けた場合、電子データの漏えい・改ざんや業務停止、情報漏えい、不正送金等が発生し、お客さまに不便・不利益を与える可能性があります。また、それに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

*1 Cyber Incident Response Team(組織内の情報セキュリティ上の問題を専門に扱うインシデント対応

チーム)

*2 Security Operation Center(企業などの組織において、情報システムに対する脅威の監視や分析などを

行う役割や専門チーム)

*3 Threat-Led Penetration Testing(実際の技術を使用してシステム侵害を試みることで、セキュリティ

の強度を確認するテスト)

*4 Federal Financial Institutions Examination Council(米国連邦金融機関検査協議会)

*5 National Institute of Standards and Technology(米国立標準技術研究所)

 

③ 事務リスクの顕在化による悪影響

当社グループは、幅広い金融業務において大量の事務処理を行っております。これらの多様な業務の遂行に際して、役員・社員による過失等に起因する不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。

当社グループは、各業務の事務取扱を明確に定めた事務手続を制定するとともに、事務処理状況の定期的な点検を行っており、さらに本部による事務指導の強化や管理者の育成、システム化等を推進しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重大な事務リスクが顕在化した場合には、損失の発生、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 人事上のリスクの顕在化による悪影響

当社グループは、多数の従業員を雇用しており、日頃より多様な人材の確保や育成等に努めております。しかしながら、十分に人材を確保・育成できない場合には、当社グループの競争力や効率性が低下し、業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 訴訟に関するリスク

当社グループは、国内外において銀行業務を中心に様々な金融業務を行っておりますが、こうした業務を行うにあたり、損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があり、その場合、訴訟の動向によっては、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) コンプライアンスに関するリスク
① 個人情報等の漏えい等の発生による悪影響

当社グループは、多数の法人・個人のお客さまの情報を保有しているほか、様々な内部情報を有しております。特に、個人情報については、個人情報保護法の下で、情報の漏えいや不正なアクセスを防止するため、より厳格な管理が要求されております。当社グループにおいても情報管理に関するポリシーや事務手続を策定しており、役員・社員に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行い、外部委託先についても同様に情報管理態勢を監督しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重要な情報が外部に漏えいした場合には、損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策上の不備に係るリスク

金融犯罪が多様化かつ高度化し、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下「マネロン対策」という)の重要性が急速に高まっております。「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(2021年2月改正)の本邦金融当局からの発出や、2021年8月の我が国のマネロン対策に関する法規制の遵守状況及び対策の実効性を審査するFATF第4次対日相互審査結果の公表など、金融機関のマネロン対策の強化が課題となっています。当社グループは、国内外において事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用及びそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けており、当社グループでは、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、マネロン対策の更なる強化を継続的に実施しております。

しかしながら、マネロン対策が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ テロ支援国家との取引に係るリスク

米国法上、米国人は、米国国務省によりテロ支援国家と指定された国(イラン、シリア、北朝鮮、キューバ。以下「指定国」という)と事業を行うことが一般的に禁止されており、当社グループは、関係する米国法を遵守する態勢を整備しております。但し、米国外の拠点において、関係法令の遵守を前提に、顧客による輸出入取引に伴う貿易金融やコルレス口座の維持等、指定国に関連する業務を限定的に行っております。なお、イランには、駐在員事務所を設置しています。指定国に関係するこれらの業務は、当社グループ全体の事業、業績及び財務状態に比し小規模であり、また、関係する日本及び米国の法令を遵守する態勢を整備しております。

指定国が関与する取引に関わる規制は今後強化もしくは改定されていく可能性があり、当社グループの法令遵守態勢が米国における規制に十分対応できていないと米国政府に判断された場合には、当社グループの業務運営に悪影響を及ぼすような、米国政府による何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。また、顧客や投資家を失う、ないしは当社グループのレピュテーションが毀損することで、当社グループの業務運営又は当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 不公正な市場取引に係るリスク

当社グループは、国内外において市場業務を行う上で、不公正な市場取引に係る本邦及び他国の法令諸規制や取引所規則等の適用とともに国内外の金融当局の監督を受けております。

当社グループは、不公正な市場取引に係る法令諸規制や取引所規則等が遵守されるよう、役員・社員に対するコンプライアンスの徹底やコンプライアンス・リスク管理等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。

今後、仮に不公正な市場取引に係る法令諸規制の違反等が発生した場合には、関係当局からの処分やレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 法令違反等の発生、役員・社員による不適切な行為・不作為による悪影響

当社グループは、国内において事業活動を行う上で、会社法や独占禁止法等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、銀行法、金融商品取引法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用、金融当局の監督を受けております。また、海外での事業活動については、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用とともに金融当局の監督を受けております。さらに、当社グループ及びグループ役員・社員は、法令諸規制やルールを遵守することのみならず、「顧客や社会から期待される水準」、「社会的規範や目線」に即した行動を取ることが求められていますが、その水準や目線は日々高まるとともに内容は変容していくことが想定されます。

当社グループは、上記を踏まえ、役員・社員に対するコンプライアンスの徹底や健全なリスクカルチャーの浸透及び醸成に向けた取り組み、法務リスク管理等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。

今後、仮に法令違反等や役員・社員による不適切な行為・不作為が発生した場合には、行政処分やレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 戦略に関するリスク
① 当社グループの戦略、施策が奏効しないリスク

当社グループは、2023年5月に発表した、2023年度から2025年度までの3年間を計画期間とする当社グループの経営計画等、様々な戦略や施策を実行しております。

しかしながら、こうした戦略や施策が実行できない、あるいは、たとえ戦略や施策が実行できた場合でも当初想定した成果の実現に至らない可能性、本項に示した各種リスクの顕在化又は経済環境の変化等により発表した数値目標を達成できない可能性があります。

なお、当社グループの経営計画の内容につきましては、有価証券報告書「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご覧ください。

 

② 業務範囲の拡大等に伴う新たなリスクの発生による悪影響

当社グループは、銀行業・信託業・証券業をはじめとする様々な業務を行っております。さらに、お客さまのニーズの高度化や多様化、ないしは規制緩和の進展等に応じた新たな業務分野への進出や各種業務提携、資本提携を実施しております。当社グループは、こうした新たな業務等に伴って発生する種々のリスクについても適切に管理する体制を整備しております。しかしながら、想定を超えるリスクが顕在化すること等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) レピュテーショナルリスク

当社グループの事業は、お客さま、社員の他、経済・社会における様々なステークホルダーからの信用に大きく依存しております。そのため、当社グループおよびその役員・社員が提供するサービス・活動が、ステークホルダーの期待・要請から大きく乖離していると評価された場合には、当社グループの信用またはブランドに対して負の影響が及び、有形無形の損失を被る可能性があります。当社グループは、こうしたレピュテーショナルリスクを早期に捕捉し、適切に対応することで、リスクの顕在化を未然に防止するよう努めております。しかしながら、こうした取り組みが十分に機能せず、ステークホルダーの期待・要請に沿わない結果となった場合には、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況、ないしは当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) モデルリスク

当社グループは、事業の広範化・複雑化と人工知能等の技術革新を背景に、モデルを活用する機会が広がり、その重要性や影響度は増しています。そのため、モデルを利用する業務において、モデルの誤り又は不適切な使用に基づく意思決定によって、当社グループが有形無形の損失を被る可能性があります。当社グループは、グループ全体で包括的かつ実効的なモデルリスク管理の取り組みを進めております。しかしながら、内部環境や外部環境の変化などから誤ったモデルや不適切な使用に基づく意思決定により、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 財務報告に係る内部統制の構築等に関するリスク

当社は、ニューヨーク証券取引所上場企業であり、当社グループは、米国サーベンス・オクスリー法に準拠した開示体制及び内部統制の強化を行っております。同法により、当社経営者及び監査法人はそれぞれ当社の財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その評価結果をForm20-Fにより報告することが求められています。

また、金融商品取引法においても、当社経営者による財務報告に係る内部統制の有効性の評価、及び経営者評価に対する監査法人の意見を内部統制報告書及び内部統制監査報告書により報告することが求められています。

当社グループは、上記に従い財務報告に係る内部統制の構築を行っており、評価の過程で発見された問題点は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、改善が間に合わない場合や、経営者が内部統制を適正と評価したとしても監査法人は不適正とする場合があり、その場合、当社グループの財務報告の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) リスク管理の方針及び手続が有効に機能しないリスク

当社グループは、リスク管理の方針及び手続に則りリスク管理の強化に注力しております。しかしながら、急速な業務展開に伴い、リスクを特定・管理するための方針及び手続が、必ずしも有効に機能するとは限りません。また、当社グループのリスク管理手法は、過去の市場動向に基づいている部分があることから、将来発生するリスクを正確に予測できるとは限りません。当社グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4.トップリスク

当社は、「1.金融諸環境等に関するリスク」、「2.財務面に関するリスク」、「3.業務面に関するリスク」に記載されている各リスク事象を含めた企業価値毀損につながるリスク事象について、当社の脆弱性や外部環境変化等を踏まえて幅広く収集した後、リスクの波及経路や蓋然性・影響度等を評価し、リスクコントロールの難度も勘案の上、トップリスクを選定しております。この運営を通じて当社グループ内のリスクコミュニケーションを深めるとともに、未然防止策や事後対応等のリスクコントロール強化策の検討、業務計画への反映等を通じ、ガバナンスの強化に活用しています。

トップリスクの選定や期中におけるコントロール状況は経営陣での議論に加え、リスク委員会や取締役会等にも報告し、外部委員や社外取締役を含めた多面的な議論を行っております。また、期中においても必要に応じて内外環境変化を踏まえた機動的な見直しを行っております。

2024年3月現在、以下をトップリスクとして選定しております。

 

トップリスク

リスク事象

リスクシナリオ

米欧のインフレ再燃と景気減速

高金利影響の顕在化による需要の低下等により景気が後退する一方、地政学情勢の悪化等による資源価格高騰等によりインフレ再燃

米欧の追加利上げにより、市場関連損益の評価損拡大や外貨調達の困難化に帰結。金融環境の引き締まりが景気減速を招き、与信コストやRWAが増加

国内物価・金利上昇と財政懸念の拡大

資源価格高騰や円安、人手不足等により物価は上昇するも、賃金と物価の好循環には至らず消費が減速。かかる中で利上げが実施され、景気は減速へ

景気減速や国内金利上昇は与信コストの増加や市場関連損益の悪化に波及。

 国債の利払い増加を想起させ、財政懸念が拡大

米中対立の激化と中国経済の低迷

国際情勢が不安定化する中、経済安全保障や人権問題等を背景とした米中対立や台湾情勢が中国及び近隣地域への投資抑制を招き、持続的な経済発展を阻害

不動産市況の長期低迷や過剰債務等の構造問題への対応遅滞により中国経済が低迷し、企業業績の悪化を通じて与信関係費用が増加

世界の分断と地政学リスクの高まり

ウクライナ・中東情勢の悪化、各国の自国優先姿勢の鮮明化、偽情報の拡散に

 よる世論の扇動等により世界の分断が加速し国際秩序が不安定化。世界各地に

 おける軍事的緊張の高まりにも波及

サプライチェーンの寸断やグローバル企業の国際的なビジネス展開の阻害が、世界経済の成長力や企業の収益性を下押し

気候変動影響の深刻化

各国・企業の気候変動対応遅延や石炭火力への回帰、自然の損失等が気候関連リスクを高め、金融機関に対する規制・監督が厳格化

自然の損失等の環境・社会課題への対応や移行・物理的リスクに対する〈みずほ〉の不十分な取り組みによる批判の増加が企業価値の毀損に帰結

システム障害

・人為的過失、機器の故障、災害等を要因としてシステム障害が発生し、お客さまに不便・不利益を与え信頼が毀損・ビジネス機会を喪失

サイバー攻撃

・諜報活動や破壊活動を目的とした特定国家や、金銭要求等を目的とした犯罪・テロ組織等からの攻撃、AIを悪用した攻撃の発生等により業務停止や情報漏えい、不正送金等が発生し、お客さまに不便・不利益を与え信頼が毀損・ビジネス機会を喪失

マネロン・テロ資金供与

・金融サービスが犯罪行為等に悪用され、国際社会からの批判に発展、お客さま・取引金融機関からの信頼が毀損し、グローバルにビジネス機会を喪失

役員・社員による不適切な

行為・不作為

・国内外における法令・規制違反事例の発生、お客さま本位ではない業務運営等〈みずほ〉に求められる社会的責任・使命にふさわしくない行為・不作為や社会的目線からの乖離に伴う批判により信頼が毀損・ビジネス機会を喪失

人材不足等による持続的成長の停滞

人材市場の活性化による人材の外部流出、労働人口の減少による採用の不調、専門人材の育成遅延等により人的資本が毀損し、人的ポートフォリオの構築が不十分に

競争環境の変化

生成AI活用等のテクノロジーの革新や規制緩和に伴う新たなサービスの誕生や異業種の参入およびサステナビリティへの意識の高まりに伴うお客さまのニーズの変化等が競争環境の変化を招き、〈みずほ〉の事業基盤を毀損

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は以下の通りと分析しております。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。

 

1.経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

[総論]

① 連結業務純益

・当連結会計年度の連結粗利益は、金利収支やソリューション・投資銀行関連収益の拡大等に加え、市場環境の追い風もあり、顧客部門・市場部門ともに好調に推移したこと等により、前連結会計年度比4,248億円増加し、2兆7,033億円となりました。

・営業経費は、円安・インフレ等の環境要因に加え、成長領域やガバナンス等の経営基盤への資源投下等により、前連結会計年度比2,186億円増加し、1兆6,639億円となりました。

・これらの結果、連結業務純益は、前連結会計年度比2,315億円増加し、1兆368億円となりました。

なお、連結業務純益に銀行単体合算ベースのETF関係損益とみずほ証券連結の営業有価証券等損益を加えた連結業務純益+ETF関係損益等は、前連結会計年度比1,986億円増加し、1兆58億円となりました。

 

② 親会社株主に帰属する当期純利益

・与信関係費用は、一部業種における事業環境の将来見通しの改善を踏まえ、フォワード・ルッキングな引当の取り崩しを実施した一方、国内外で費用が発生したこと等により、前連結会計年度比170億円増加し、1,063億円の費用計上となりました。

・株式等関係損益は、政策保有株式の売却を着実に進めた一方、株式含み益の一部固定化を目的に導入したベアファンドの解約によるマイナス影響等もあり、前連結会計年度比628億円減少し、236億円の利益となりました。

・これらの結果、経常利益は、前連結会計年度比1,244億円増加し、9,140億円となりました。

・特別損益は、前連結会計年度に計上した固定資産減損影響の剥落等により、前連結会計年度比516億円増加し、409億円の利益となりました。

・税金関係費用は、前連結会計年度比529億円増加し、2,717億円となりました。

・以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比1,234億円増加し、6,789億円となりました。

 

③ 経営指標

前述の経営成績等の結果、中期経営計画における経営指標の実績は以下の通りとなっております。

・連結ROE*1は、利益成長と効率性改善等により、前連結会計年度比1.0ポイント上昇し、7.6%となりました。

・連結業務純益*2は、トップラインの好調等により1兆58億円となり、中間期に500億円上方修正した通期業績見通し9,500億円に対し、105.8%の達成率となりました。

・エンゲージメントスコア*3は、前連結会計年度比8ポイント上昇し、59%となりました。

・インクルージョンスコア*3は、前連結会計年度比5ポイント上昇し、60%となりました。

<財務目標>

2023年度実績

2025年度目標

連結ROE*1

7.6%

8.0%超

連結業務純益*2

1兆58億円

1~1.1兆円

 

*1 その他有価証券評価差額金を除く

*2 連結業務純益+ETF関係損益等(銀行単体合算ベースのETF関係損益+みずほ証券連結の営業有価証券等損益)

 

<その他主要計数>

2023年度実績

2025年度目標

エンゲージメントスコア*3

59%

65%

インクルージョンスコア*3

60%

65%

 

*3 社員意識調査におけるエンゲージメント及びインクルージョンに関する各4設問に対する回答の肯定的回答率(1~5の5段階で4,5を回答した割合)

 

 

④ 重要な会計上の見積り

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1)連結財務諸表の(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

 

[損益の状況]

前連結会計年度及び当連結会計年度における損益状況は以下の通りです。

(図表1)

 

 

前連結会計年度

(自 2022年

   4月1日

至 2023年

   3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年

   4月1日

至 2024年

   3月31日)

比較

 

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

連結粗利益

22,784

27,033

4,248

資金利益

 

9,605

8,876

△729

信託報酬

 

589

614

25

うち信託勘定与信関係費用

①'

役務取引等利益

 

7,516

8,566

1,049

特定取引利益

 

3,347

7,265

3,918

その他業務利益

 

1,724

1,710

△14

営業経費

△14,452

△16,639

△2,186

不良債権処理額

(含:一般貸倒引当金純繰入額)

△967

△1,140

△173

貸倒引当金戻入益等

74

76

2

株式等関係損益

864

236

△628

持分法による投資損益

118

262

143

その他

△525

△688

△162

経常利益(①+②+③+④+⑤+⑥+⑦)

7,896

9,140

1,244

特別損益

△106

409

516

税金等調整前当期純利益(⑧+⑨)

7,789

9,550

1,760

税金関係費用

△2,188

△2,717

△529

当期純利益(⑩+⑪)

5,601

6,832

1,231

非支配株主に帰属する当期純損益

△46

△43

2

親会社株主に帰属する当期純利益(⑫+⑬)

5,555

6,789

1,234

 

 

 

 

 

包括利益

2,776

13,450

10,673

 

 

 

 

 

与信関係費用(①'+③+④)

△893

△1,063

△170

(注) 費用項目は△表記しております。

(参考)連結業務純益

 

8,052

10,368

2,315

(参考)連結業務純益+ETF関係損益等

 

8,071

10,058

1,986

* 連結業務純益=連結粗利益-経費(除く臨時処理分)+持分法による投資損益等連結調整

* ETF関係損益等=銀行単体合算ベースのETF関係損益+みずほ証券連結の営業有価証券等損益

 

 

 

① 連結粗利益

当連結会計年度の連結粗利益は、前連結会計年度比4,248億円増加し、2兆7,033億円となりました。項目ごとの収支は以下の通りです。

(資金利益)

資金利益は、貸出金利息の増加を預金利息・売現先利息の増加が上回ったこと等により、前連結会計年度比729億円減少し、8,876億円となりました。

(信託報酬)

信託報酬は、前連結会計年度比25億円増加し、614億円となりました。

(役務取引等利益)

役務取引等利益は、証券関連業務手数料の増加等により、前連結会計年度比1,049億円増加し、8,566億円となりました。

(特定取引利益・その他業務利益)

特定取引利益は、海外連結子会社の特定取引利益の増加等により、前連結会計年度比3,918億円増加し、7,265億円となりました。また、その他業務利益は、前連結会計年度比14億円減少し、1,710億円となりました。

② 営業経費

営業経費は、円安・インフレ等の環境要因に加え、成長領域やガバナンス等の経営基盤への資源投下等により、前連結会計年度比2,186億円増加し、1兆6,639億円となりました。

③ 不良債権処理額及び④貸倒引当金戻入益等(⑯与信関係費用)

不良債権処理額(含:一般貸倒引当金純繰入額)に、貸倒引当金戻入益等を加算した与信関係費用は、一部業種における事業環境の将来見通しの改善を踏まえ、フォワード・ルッキングな引当の取り崩しを実施した一方、国内外で費用が発生したこと等により、前連結会計年度比170億円増加し、1,063億円の費用計上となりました。

⑤ 株式等関係損益

株式等関係損益は、政策保有株式の売却を着実に進めた一方、株式含み益の一部固定化を目的に導入したベアファンドの解約によるマイナス影響等もあり、前連結会計年度比628億円減少し、236億円の利益となりました。

⑥ 持分法による投資損益

持分法による投資損益は、前連結会計年度比143億円増加し、262億円の利益となりました。

⑦ その他

その他は、688億円の損失となりました。

⑧ 経常利益

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度比1,244億円増加し、9,140億円となりました。

⑨ 特別損益

特別損益は、前連結会計年度に計上した固定資産減損影響の剥落等により、前連結会計年度比516億円増加し、409億円の利益となりました。

⑩ 税金等調整前当期純利益

以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比1,760億円増加し、9,550億円となりました。

⑪ 税金関係費用

税金関係費用は、前連結会計年度比529億円増加し、2,717億円となりました。

⑫ 当期純利益

当期純利益は、前連結会計年度比1,231億円増加し、6,832億円となりました。

⑬ 非支配株主に帰属する当期純損益

非支配株主に帰属する当期純損益(利益)は、前連結会計年度比2億円減少し、43億円となりました。

⑭ 親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比1,234億円増加し、6,789億円となりました。

 

⑮ 包括利益

包括利益は、当期純利益やその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度比1兆673億円増加し、1兆3,450億円(利益)となりました。

 

-参考-

(図表2)損益状況 (株式会社みずほ銀行及びみずほ信託銀行株式会社2行合算ベース(以下「銀行単体合算ベース」))

 

前事業年度

(自 2022年

   4月1日

至  2023年

   3月31日)

当事業年度

(自 2023年

   4月1日

至 2024年

   3月31日)

比較

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

業務粗利益

14,310

16,253

1,943

資金利益

8,906

8,866

△39

信託報酬

595

618

23

うち一般合同信託報酬

40

39

△0

うち信託勘定与信関係費用

役務取引等利益

4,420

4,748

328

特定取引利益

59

1,436

1,376

その他業務利益

328

583

254

経費(除:臨時処理分)

△8,566

△9,374

△807

実質業務純益(除:信託勘定与信関係費用)

5,743

6,879

1,135

臨時損益等(含:一般貸倒引当金純繰入額)

228

△1,032

△1,260

うち一般貸倒引当金純繰入額+不良債権処理額

△432

△1,029

△596

うち貸倒引当金戻入益等

69

57

△12

うち株式等関係損益

607

11

△596

経常利益

5,972

5,847

△125

特別損益

289

444

155

当期純利益

4,231

4,016

△215

 

 

 

 

与信関係費用

△362

△971

△608

与信関係費用=一般貸倒引当金純繰入額+不良債権処理額+貸倒引当金戻入益等+信託勘定与信関係費用

 

 

 

[セグメント情報]

当社グループは、顧客セグメント別のカンパニー制を導入しており、これに伴って報告セグメントを5つのカンパニーに分類しております。

前連結会計年度及び当連結会計年度におけるセグメント情報の概要は、以下の通りです。

なお、詳細につきましては、第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1)連結財務諸表の(セグメント情報等)に記載しております。

 

(図表3)報告セグメントごとの業務粗利益+ETF関係損益等、業務純益+ETF関係損益等及び固定資産の金額に関する情報

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(億円)

金額(億円)

業務粗利益

+ETF関係

損益等

業務純益

+ETF関係

損益等

固定資産

業務粗利益

+ETF関係

損益等

業務純益

+ETF関係

損益等

固定資産

リテール・事業法人

カンパニー

7,065

803

4,833

7,492

1,050

5,338

コーポレート&

インベストメントバンキング

カンパニー

5,087

3,129

1,528

5,563

3,461

1,571

グローバルコーポレート&

インベストメントバンキングカンパニー

6,271

3,375

1,777

6,702

3,374

1,979

グローバルマーケッツ

カンパニー

3,142

599

873

4,324

1,250

903

アセットマネジメント

カンパニー

547

128

572

27

その他

687

35

7,773

2,068

894

8,854

みずほフィナンシャル

グループ(連結)

22,802

8,071

16,785

26,722

10,058

18,646

 

 

 

比較

金額(億円)

業務粗利益

+ETF関係

損益等

業務純益

+ETF関係

損益等

固定資産

リテール・事業法人

カンパニー

426

246

504

コーポレート&

インベストメントバンキング

カンパニー

476

332

43

グローバルコーポレート&

インベストメントバンキングカンパニー

430

△1

201

グローバルマーケッツ

カンパニー

1,182

650

30

アセットマネジメント

カンパニー

24

△100

その他

1,380

859

1,080

みずほフィナンシャル

グループ(連結)

3,920

1,986

1,860

 

* 業務粗利益は、信託勘定償却前の計数であり、業務純益は、信託勘定償却前及び一般貸倒引当金繰入前の計数であります。

 

 

各カンパニーの2023年度の取り組み内容は次の通りです。

 

(リテール・事業法人カンパニー)

個人のお客さまには、新NISA制度開始やインフレ・円金利上昇等の環境変化を背景とした運用ニーズの拡大も踏まえ、グループ一体となった総合資産コンサルティングの充実に向け、銀行・信託・証券のそれぞれの強みや特性を活かした総合的な金融サービスの提供を行うとともに、法人のお客さまには、東証改革や国内外の金利上昇等、社会・経済の環境変化を受け多様化するお客さまニーズへの対応力を強化し、グループ一体でのソリューション提供に取り組みました。ビジネス領域を拡げるアライアンスにおいては、楽天証券株式会社との戦略的な資本業務提携を強化しました。

また、安定的な業務運営体制の構築・持続的強化のため、システム障害の再発防止・未然防止に向けた点検を継続するとともに、お客さま・現場の「声」を収集し活用・評価するプロセスの定着化にも取り組みました。

 

(コーポレート&インベストメントバンキングカンパニー)

カーボンニュートラル等のサステナビリティ重視の潮流や、金利環境の変化を受けた内外市場における不確実性の高まりにより、社会・経済において様々な構造転換が加速しております。多種多様な課題に起因するお客さまのニーズに対して、深い業界知見とプロダクツ専門知識を活かし、グループ横断的なセクター別営業体制を通じてタイムリーにソリューション提供を行いました。お客さまの資金ニーズへの対応に加え、M&A、不動産等をはじめとする仲介機能・コンサルティング力を発揮するとともに、メザニンファイナンスやエクイティの提供を通じて、お客さまとの事業リスクシェアにもより一層踏み込んで対応しました。

 

(グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニー)

世界的なインフレ進行や各国の金融政策の見直し、地政学リスクの高まり等、海外事業を取り巻く環境が大きく変化する中、お客さまの事業戦略の見直しやサプライチェーンの再構築に対して、金融面からサポートを行ってまいりました。資本市場ビジネスやアジアにおけるトランザクションバンキングにて商機を捉え、収益を着実に伸長させ、米国においては、M&A機能の内製化による一層のビジネス拡大を目的に、Greenhill社の買収を実施しました。

また、〈みずほ〉のセクター知見を活かしたエンゲージメントを通じて、お客様のトランジション・脱炭素への取り組みをサポートし、サステナブルファイナンスやアドバイザリーサービスを提供してまいりました。

 

(グローバルマーケッツカンパニー)

セールス&トレーディング業務においては、国内外で銀行・証券の実質一体運営の推進、「ソリューションアプローチ」の強化によりお客さまの多様なニーズに対応し、フローを的確に捉えることで、収益化してまいりました。ALM・投資業務においては、不確実性の高い環境下、抑制的なポートフォリオ運営を基本としつつも、局面に応じて、資産毎にダイナミックにリスクをコントロールし、相場変動を捉えた機動的なオペレーションにより、収益を積み上げました。また、安定的かつ効率的な外貨資金調達を通じて、お客さまのグローバルビジネスのサポートに努めるとともに、海外でのグリーンボンド発行等でサステナビリティ推進に取り組みました。

 

(アセットマネジメントカンパニー)

個人のお客さまに対しては、人生100年時代においてますます高まっていく資産運用ニーズに対応すべく、中長期にわたる資産形成に適した投資信託や、個人型確定拠出年金(iDeCo)等のサービスを提供してまいりました。日本の成長企業に投資をする投資信託の設定や、インデックスファンドシリーズの信託報酬引き下げ等、幅広い商品開発・提供を通じ、多様なニーズに応えてまいりました。金融法人等のお客さまには資産・負債の両面を踏まえたポートフォリオの分析・助言を、年金基金等のお客さまには年金制度・運用にかかるコンサルティング提案等のサービス提供に取り組みました。

 

 

[財政状態の分析]

前連結会計年度及び当連結会計年度における財政状態のうち、主なものは以下の通りです。

(図表4)

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

比較

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

資産の部

2,542,582

2,786,721

244,139

うち有価証券

373,631

382,454

8,822

うち貸出金

886,871

927,787

40,916

負債の部

2,450,497

2,683,600

233,102

うち預金

1,504,989

1,598,546

93,556

うち譲渡性預金

137,883

115,905

△21,978

純資産の部

92,084

103,121

11,036

うち株主資本合計

84,711

89,159

4,448

うちその他の包括利益累計額合計

6,621

13,165

6,544

うち非支配株主持分

751

795

44

 

 

[資産の部]

① 有価証券

(図表5)

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

比較

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

有価証券

373,631

382,454

8,822

国債

172,485

114,937

△57,548

地方債

5,546

5,837

290

社債・短期社債

32,353

28,082

△4,270

株式

30,259

37,774

7,515

その他の証券

132,985

195,822

62,836

 

有価証券は38兆2,454億円と、前連結会計年度末比8,822億円増加しました。うち国債(日本国債)が5兆7,548億円減少し、その他の証券が6兆2,836億円増加しました。

 

② 貸出金

(図表6)

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

比較

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

貸出金

886,871

927,787

40,916

 

 

 

(銀行単体合算ベース:銀行勘定+信託勘定)

 

 

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

比較

 

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

貸出金

 

909,185

956,513

47,327

国内店貸出金残高

 

613,078

648,219

35,140

中小企業等貸出金

*1

360,701

377,153

16,452

うち居住性住宅ローン

 

76,031

72,524

△3,506

海外店貸出金残高

*2

296,106

308,293

12,186

 

*1 「中小企業等」とは、資本金3億円(ただし、卸売業は1億円、小売業、飲食業、物品賃貸業等は5千万円)以下の会社又は常用する従業員が300人(ただし、卸売業、物品賃貸業等は100人、小売業、飲食業は50人)以下の企業等であります。

*2 海外店貸出金残高には、特別国際金融取引勘定を含んでおります。

 

当連結会計年度末の連結ベースの貸出金残高は、国内店貸出金の増加を主因に、前連結会計年度末比4兆916億円増加し、92兆7,787億円となりました。

なお、銀行単体合算ベースの貸出金は95兆6,513億円と前事業年度末比4兆7,327億円増加しております。国内店貸出金残高は、金融業・保険業向け貸出金が増加したこと等で、3兆5,140億円増加(うち金融業・保険業向け2兆545億円増加)しております。海外店貸出金残高(含む特別国際金融取引勘定)は米州を中心に増加したこと等により、1兆2,186億円増加しております。

 

[負債の部]

預金

(図表7)

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

比較

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

預金

1,504,989

1,598,546

93,556

譲渡性預金

137,883

115,905

△21,978

 

 

(銀行単体合算ベース)

 

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

比較

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

預金(国内)

1,191,828

1,255,648

63,819

個人

480,827

489,902

9,075

一般法人

600,914

667,758

66,843

金融機関・政府公金

110,086

97,987

△12,099

 

* 海外店分及び特別国際金融取引勘定分は含まれておりません。

 

当連結会計年度末の連結ベースの預金は、前連結会計年度末比9兆3,556億円増加し、159兆8,546億円となりました。銀行単体合算ベースの国内預金は、一般法人預金の増加等により、前事業年度末比6兆3,819億円増加しております。

また、連結ベースの譲渡性預金は11兆5,905億円と、前連結会計年度末比2兆1,978億円減少しております。

 

 

[純資産の部]

(図表8)

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

比較

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

純資産の部合計

92,084

103,121

11,036

株主資本合計

84,711

89,159

4,448

資本金

22,567

22,567

資本剰余金

11,292

11,297

4

利益剰余金

50,939

55,388

4,449

自己株式

△87

△94

△6

その他の包括利益累計額合計

6,621

13,165

6,544

その他有価証券評価差額金

5,644

9,298

3,653

繰延ヘッジ損益

△3,581

△2,982

598

土地再評価差額金

1,293

1,268

△24

為替換算調整勘定

1,440

3,442

2,001

退職給付に係る調整累計額

1,823

2,143

320

在外関係会社における債務評価
調整額

0

△4

△4

新株予約権

0

0

非支配株主持分

751

795

44

 

当連結会計年度末の純資産の部合計は、前連結会計年度末比1兆1,036億円増加し、10兆3,121億円となりました。主な変動は以下の通りです。

株主資本合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払等により、前連結会計年度末比4,448億円増加し、8兆9,159億円となりました。

その他の包括利益累計額合計は、その他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末比6,544億円増加し、1兆3,165億円となりました。

非支配株主持分は、前連結会計年度末比44億円増加し、795億円となりました。

 

 

[不良債権に関する分析(銀行単体合算ベース)]

① 残高に関する分析

(図表9)銀行法及び再生法に基づく債権(銀行勘定+信託勘定)

 

 

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

比較

 

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

340

266

△73

危険債権

 

6,584

7,086

501

要管理債権

 

3,549

5,209

1,659

三月以上延滞債権

 

2

4

1

貸出条件緩和債権

 

3,546

5,204

1,657

小計(要管理債権以下)

(A)

10,474

12,562

2,087

正常債権

 

1,031,122

1,088,837

57,715

合計

(B)

1,041,597

1,101,400

59,802

(A)/(B)(%)

 

1.00

1.14

0.13

 

当事業年度末の不良債権残高(要管理債権以下(A))は、前事業年度末比2,087億円増加し、1兆2,562億円となりました。不良債権比率((A)/(B))は1.14%となっております。不良債権残高・比率共に増加となりました。

 

② 保全に関する分析

前事業年度及び当事業年度における銀行法及び再生法に基づく債権(要管理債権以下)の保全及び引当は以下の通りであります。

(図表10)保全状況(銀行勘定)

 

 

 

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

比較

 

 

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

(A)

340

 

266

 

△73

 

うち担保・保証等

 

(B)

289

 

260

 

△28

 

うち引当金

 

(C)

51

 

5

 

△45

 

信用部分に対する引当率

(C)/((A)-(B))

100.0

100.0

 

保全率

((B)+(C))/(A)

100.0

100.0

 

危険債権

 

(A)

6,584

 

7,086

 

501

 

うち担保・保証等

 

(B)

1,728

 

1,617

 

△111

 

うち引当金

 

(C)

3,429

 

4,085

 

655

 

信用部分に対する引当率

(C)/((A)-(B))

70.6

74.6

4.0

保全率

((B)+(C))/(A)

78.3

80.4

2.1

要管理債権

 

(A)

3,549

 

5,209

 

1,659

 

うち担保・保証等

 

(B)

1,034

 

1,462

 

427

 

うち引当金

 

(C)

660

 

1,441

 

780

 

信用部分に対する引当率

(C)/((A)-(B))

26.2

38.4

12.1

保全率

((B)+(C))/(A)

47.7

55.7

7.9

 

 

 

(参考)要管理先債権に対する引当率・保全率

 

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

比較

信用部分に対する引当率

29.7

37.0

7.3

保全率

51.5

54.5

3.0

 

破産更生債権及びこれらに準ずる債権については、前事業年度末比、担保・保証等が28億円減少、引当金が45億円減少しております。信用部分全額を個別貸倒引当金として計上、ないしは直接償却を実施しており、その結果、信用部分に対する引当率、保全率ともに100%となっております。

危険債権については、前事業年度末比、担保・保証等が111億円減少、引当金が655億円増加しております。また、信用部分に対する引当率は4.0ポイント上昇74.6%に、保全率は2.1ポイント上昇80.4%となっております。

要管理債権については、前事業年度末比、担保・保証等が427億円増加、引当金が780億円増加しております。また、信用部分に対する引当率は12.1ポイント上昇38.4%に、保全率は7.9ポイント上昇55.7%となっております。

 

前記債権以外の債権に対する引当率は、以下の通りであります。

(図表11)

 

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

比較

要管理先債権以外の要注意先債権

2.91

4.08

1.17

正常先債権

0.09

0.05

△0.03

 

 

 

[自己資本比率等に関する分析]

自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。

なお、当社は、国際統一基準を適用のうえ、2024年3月よりバーゼルⅢ最終化を適用し、信用リスク・アセットの算出においては内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては標準的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。2023年3月末については最終化適用前であり、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては先進的計測手法を採用しております。

また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第12号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。

(図表12)

連結自己資本比率(国際統一基準)

 

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

比較

 

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

普通株式等Tier1資本の額

83,155

 

92,599

 

9,444

 

資本金・資本剰余金・利益剰余金

 

84,710

 

89,159

 

4,448

 

その他Tier1資本の額

14,878

 

15,418

 

539

 

その他Tier1資本調達手段の額

 

14,850

 

15,510

 

660

 

Tier1資本の額(①+②)

98,033

 

108,018

 

9,984

 

Tier2資本の額

15,035

 

15,127

 

92

 

Tier2資本調達手段の額

 

13,954

 

14,099

 

144

 

総自己資本の額(①+②+④)

113,069

 

123,146

 

10,076

 

リスク・アセットの額

704,341

 

727,202

 

22,860

 

信用リスク・アセットの額

 

644,953

 

650,718

 

5,765

 

マーケット・リスク相当額に係る額

 

26,644

 

35,732

 

9,087

 

オペレーショナル・リスク相当額に係る額

 

32,743

 

40,751

 

8,007

 

連結総自己資本比率(⑤/⑥)

16.05

16.93

0.88

連結Tier1比率(③/⑥)

13.91

14.85

0.94

連結普通株式等Tier1比率(①/⑥)

11.80

12.73

0.93

連結総所要自己資本額

 

56,347

 

58,176

 

1,828

 

 

 

持株レバレッジ比率(国際統一基準)

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

比較

持株レバレッジ比率

4.46

4.70

0.24

 

 

 

普通株式等Tier1資本の額は、前連結会計年度末比9,444億円増加し、9兆2,599億円となりました。一方、リスク・アセットの額は、信用リスク・アセットの額の増加等により、前連結会計年度末比2兆2,860億円増加し、72兆7,202億円となりました。この結果、連結普通株式等Tier1比率は前連結会計年度末比0.93ポイント上昇し、12.73%となりました。

また、持株レバレッジ比率は前連結会計年度末比0.24ポイント上昇し、4.70%となりました。

 

[キャッシュ・フローの状況]

前連結会計年度及び当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下の通りです。

(図表13)

 

前連結会計年度

(自 2022年

   4月1日

至 2023年

   3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年

   4月1日

至 2024年

   3月31日)

比較

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

88,672

18,849

△69,822

投資活動によるキャッシュ・フロー

66,056

19,822

△46,234

財務活動によるキャッシュ・フロー

△6,111

△2,309

3,801

 

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、コールマネー等の増加等により1兆8,849億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得・売却・償還等により1兆9,822億円の収入となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付社債の償還等により2,309億円の支出となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比5兆3,401億円増加して、71兆1,658億円となりました。

外貨につきましては、対顧預金の獲得に加え、TLAC債等の中長期調達等により十分な流動性を確保しております。

 

 

2.生産、受注及び販売の実績

「生産、受注及び販売の実績」は、銀行持株会社としての業務の特殊性から該当する情報がないため、記載しておりません。

 

 

(参考)

(1) 国内・海外別収支

当連結会計年度において、資金運用収支・信託報酬・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は2兆7,033億円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

476,114

490,220

5,725

960,610

当連結会計年度

546,366

344,234

2,960

887,641

うち資金運用収益

前連結会計年度

999,640

2,264,905

86,330

3,178,214

当連結会計年度

1,444,463

4,450,243

122,171

5,772,536

うち資金調達費用

前連結会計年度

523,525

1,774,684

80,605

2,217,604

当連結会計年度

898,097

4,106,008

119,211

4,884,894

信託報酬

前連結会計年度

58,976

18

58,958

当連結会計年度

61,497

10

61,487

役務取引等収支

前連結会計年度

472,384

293,745

14,436

751,693

当連結会計年度

525,888

348,678

17,959

856,608

うち役務取引等収益

前連結会計年度

602,348

369,056

55,871

915,534

当連結会計年度

657,741

460,886

58,391

1,060,235

うち役務取引等費用

前連結会計年度

129,964

75,311

41,435

163,841

当連結会計年度

131,852

112,207

40,432

203,627

特定取引収支

前連結会計年度

135,640

201,859

2,790

334,708

当連結会計年度

291,490

437,012

1,918

726,584

うち特定取引収益

前連結会計年度

157,229

835,443

40

992,631

当連結会計年度

166,690

923,707

1,090,397

うち特定取引費用

前連結会計年度

21,588

633,584

△2,750

657,923

当連結会計年度

△124,799

486,694

△1,918

363,813

その他業務収支

前連結会計年度

62,427

109,986

△52

172,466

当連結会計年度

80,487

90,492

△32

171,013

うちその他業務収益

前連結会計年度

325,986

126,868

2

452,853

当連結会計年度

247,665

113,061

3

360,724

うちその他業務費用

前連結会計年度

263,558

16,882

54

280,386

当連結会計年度

167,177

22,568

35

189,710

 

(注) 1.「国内」とは、当社及び国内に本店を有する連結子会社(海外店を除く。以下「国内連結子会社」という)であります。

2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下「海外連結子会社」という)であります。

3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。

4.資金調達費用は金銭の信託運用見合費用を控除しております。

5.前連結会計年度の計数の一部について、開示の適切性の観点から必要な組み替えを行っております。

 

(2) 国内・海外別資金運用/調達の状況

当連結会計年度において、資金運用勘定の平均残高は213兆5,348億円、利息は5兆7,725億円、利回りは2.70%となりました。資金調達勘定の平均残高は236兆280億円、利息は4兆8,848億円、利回りは2.06%となりました。

① 国内

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

136,422,036

999,640

0.73

当連結会計年度

136,021,627

1,444,463

1.06

うち貸出金

前連結会計年度

57,947,538

560,464

0.96

当連結会計年度

59,481,312

666,119

1.11

うち有価証券

前連結会計年度

37,789,358

320,845

0.84

当連結会計年度

37,621,577

520,620

1.38

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

3,251,285

238

0.00

当連結会計年度

4,487,144

△139

△0.00

うち買現先勘定

前連結会計年度

6,585,256

25,631

0.38

当連結会計年度

7,081,658

34,592

0.48

うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

2,089,451

22,495

1.07

当連結会計年度

1,914,119

45,154

2.35

うち預け金

前連結会計年度

25,240,374

27,964

0.11

当連結会計年度

25,332,469

26,969

0.10

資金調達勘定

前連結会計年度

148,920,355

523,525

0.35

当連結会計年度

155,944,449

898,097

0.57

うち預金

前連結会計年度

110,795,626

70,087

0.06

当連結会計年度

117,476,868

128,578

0.10

うち譲渡性預金

前連結会計年度

12,597,046

498

0.00

当連結会計年度

8,383,149

212

0.00

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

1,536,938

1,577

0.10

当連結会計年度

1,924,411

2,367

0.12

うち売現先勘定

前連結会計年度

6,037,660

66,087

1.09

当連結会計年度

6,250,122

129,776

2.07

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

1,041,516

8,749

0.84

当連結会計年度

1,108,602

27,643

2.49

うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

4,887,405

41,993

0.85

当連結会計年度

4,952,440

65,307

1.31

 

(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の国内連結子会社については、四半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。

4.前連結会計年度の平均残高・利回りの一部について、開示の適切性の観点から必要な組み替えを行っております。

 

② 海外

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

71,094,978

2,264,905

3.18

当連結会計年度

82,800,498

4,450,243

5.37

うち貸出金

前連結会計年度

34,127,901

1,215,876

3.56

当連結会計年度

36,057,977

2,146,825

5.95

うち有価証券

前連結会計年度

3,591,764

73,933

2.05

当連結会計年度

4,026,599

156,833

3.89

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

1,034,750

13,660

1.32

当連結会計年度

1,061,743

33,695

3.17

うち買現先勘定

前連結会計年度

9,308,458

264,227

2.83

当連結会計年度

12,575,693

716,814

5.69

うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

16,759,371

470,563

2.80

当連結会計年度

19,641,948

1,033,469

5.26

資金調達勘定

前連結会計年度

72,167,047

1,774,684

2.45

当連結会計年度

84,242,869

4,106,008

4.87

うち預金

前連結会計年度

33,409,011

769,990

2.30

当連結会計年度

37,204,768

1,609,838

4.32

うち譲渡性預金

前連結会計年度

7,524,607

208,724

2.77

当連結会計年度

10,002,475

520,674

5.20

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

632,016

15,579

2.46

当連結会計年度

473,499

20,583

4.34

うち売現先勘定

前連結会計年度

20,587,972

594,151

2.88

当連結会計年度

29,624,293

1,653,779

5.58

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

1,627,773

51,776

3.18

当連結会計年度

1,521,152

83,741

5.50

うち借用金

前連結会計年度

2,445,807

15,904

0.65

当連結会計年度

2,817,242

26,457

0.93

 

(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、海外連結子会社については、四半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。

4.前連結会計年度の平均残高・利回りの一部について、開示の適切性の観点から必要な組み替えを行っております。

 

③ 合計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り

(%)

小計

相殺消去額

(△)

合計

小計

相殺消去額

(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

207,517,015

4,734,707

202,782,308

3,264,545

86,330

3,178,214

1.56

当連結会計年度

218,822,126

5,287,310

213,534,815

5,894,707

122,171

5,772,536

2.70

うち貸出金

前連結会計年度

92,075,440

2,636,966

89,438,473

1,776,340

25,355

1,750,984

1.95

当連結会計年度

95,539,289

2,855,827

92,683,462

2,812,945

25,427

2,787,517

3.00

うち有価証券

前連結会計年度

41,381,123

959,400

40,421,722

394,779

2,674

392,104

0.97

当連結会計年度

41,648,176

1,001,661

40,646,515

677,454

3,067

674,386

1.65

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

4,286,036

4,286,036

13,898

13,898

0.32

当連結会計年度

5,548,887

5,548,887

33,555

34

33,521

0.60

うち買現先勘定

前連結会計年度

15,893,715

459,590

15,434,124

289,858

8,544

281,313

1.82

当連結会計年度

19,657,352

682,041

18,975,311

751,406

30,079

721,327

3.80

うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

2,089,451

3,276

2,086,174

22,495

83

22,411

1.07

当連結会計年度

1,914,119

1,630

1,912,489

45,154

238

44,916

2.34

うち預け金

前連結会計年度

41,999,745

55,594

41,944,151

498,527

22

498,504

1.18

当連結会計年度

44,974,417

49,809

44,924,608

1,060,439

93

1,060,345

2.36

資金調達勘定

前連結会計年度

221,087,402

3,757,008

217,330,393

2,298,210

80,605

2,217,604

1.02

当連結会計年度

240,187,319

4,159,280

236,028,038

5,004,105

119,211

4,884,894

2.06

うち預金

前連結会計年度

144,204,637

18,631

144,186,006

840,077

34

840,042

0.58

当連結会計年度

154,681,637

17,054

154,664,582

1,738,417

129

1,738,287

1.12

うち譲渡性預金

前連結会計年度

20,121,653

20,121,653

209,222

209,222

1.03

当連結会計年度

18,385,624

18,385,624

520,886

520,886

2.83

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

2,168,955

39,819

2,129,135

17,156

15

17,140

0.80

当連結会計年度

2,397,911

28,471

2,369,439

22,951

23

22,927

0.96

うち売現先勘定

前連結会計年度

26,625,633

454,300

26,171,333

660,239

8,251

651,987

2.49

当連結会計年度

35,874,416

684,944

35,189,472

1,783,556

29,098

1,754,457

4.98

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

1,041,516

3,083

1,038,433

8,749

14

8,734

0.84

当連結会計年度

1,108,602

207

1,108,394

27,643

7

27,635

2.49

うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

1,627,773

1,627,773

51,776

51,776

3.18

当連結会計年度

1,521,152

1,521,152

83,741

83,741

5.50

うち借用金

前連結会計年度

7,333,212

2,587,312

4,745,900

57,898

23,520

34,377

0.72

当連結会計年度

7,769,682

2,811,717

4,957,965

91,764

25,471

66,293

1.33

 

(注) 1.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。

 2.前連結会計年度の平均残高・利回りの一部について、開示の適切性の観点から必要な組み替えを行っております。

 

(3) 国内・海外別役務取引の状況

当連結会計年度において、役務取引等収益は1兆602億円、役務取引等費用は2,036億円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

602,348

369,056

55,871

915,534

当連結会計年度

657,741

460,886

58,391

1,060,235

うち預金・債券・

貸出業務

前連結会計年度

128,048

180,597

411

308,235

当連結会計年度

155,123

203,409

432

358,100

うち為替業務

前連結会計年度

91,837

12,407

185

104,059

当連結会計年度

95,054

12,299

221

107,133

うち証券関連業務

前連結会計年度

110,543

117,877

40,289

188,131

当連結会計年度

129,664

164,428

42,845

251,246

うち代理業務

前連結会計年度

31,579

5,191

241

36,529

当連結会計年度

33,535

5,040

247

38,328

うち保護預り・

貸金庫業務

前連結会計年度

3,845

2,230

△1

6,078

当連結会計年度

3,646

2,322

△1

5,969

うち保証業務

前連結会計年度

21,174

20,162

961

40,375

当連結会計年度

21,001

24,005

1,156

43,850

うち信託関連業務

前連結会計年度

73,001

5,747

3,083

75,665

当連結会計年度

76,902

7,445

4,975

79,372

役務取引等費用

前連結会計年度

129,964

75,311

41,435

163,841

当連結会計年度

131,852

112,207

40,432

203,627

うち為替業務

前連結会計年度

22,369

1,418

159

23,628

当連結会計年度

21,833

1,577

170

23,240

 

(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。

 

 

(4) 国内・海外別特定取引の状況
① 特定取引収益・費用の内訳

当連結会計年度において、特定取引収益は1兆903億円、特定取引費用は3,638億円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

157,229

835,443

40

992,631

当連結会計年度

166,690

923,707

1,090,397

うち商品有価証券収益

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券

収益

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融派生商品

収益

前連結会計年度

157,229

835,443

40

992,631

当連結会計年度

166,220

923,700

1,089,921

うちその他の特定取引

収益

前連結会計年度

当連結会計年度

469

6

476

特定取引費用

前連結会計年度

21,588

633,584

△2,750

657,923

当連結会計年度

△124,799

486,694

△1,918

363,813

うち商品有価証券費用

前連結会計年度

20,878

632,918

△2,750

656,547

当連結会計年度

△124,863

486,039

△1,918

363,095

うち特定取引有価証券

費用

前連結会計年度

493

△132

361

当連結会計年度

63

654

717

うち特定金融派生商品

費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うちその他の特定取引

費用

前連結会計年度

216

798

1,014

当連結会計年度

 

(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。

4.内訳科目はそれぞれの収益と費用で相殺し、収益が上回った場合には収益欄に、費用が上回った場合には費用欄に、国内・海外・合計毎の純額を表示しております。

 

 

② 特定取引資産・負債の内訳(末残)

当連結会計年度末において、特定取引資産は21兆3,814億円、特定取引負債は13兆8,360億円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

7,902,737

10,273,853

772,097

17,404,494

当連結会計年度

9,974,816

12,152,303

745,675

21,381,444

うち商品有価証券

前連結会計年度

2,256,806

4,835,974

7,092,780

当連結会計年度

3,053,829

6,960,022

10,013,851

うち商品有価証券派生

商品

前連結会計年度

69,638

208,653

278,292

当連結会計年度

90,288

156,259

246,548

うち特定取引有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

929

929

うち特定取引有価証券

派生商品

前連結会計年度

3

3

当連結会計年度

1

1

うち特定金融派生商品

前連結会計年度

5,071,467

5,216,478

772,097

9,515,848

当連結会計年度

6,502,199

5,012,764

745,675

10,769,287

うちその他の特定取引

資産

前連結会計年度

504,822

12,747

517,569

当連結会計年度

328,497

22,327

350,825

特定取引負債

前連結会計年度

6,693,473

6,776,630

772,097

12,698,007

当連結会計年度

7,966,636

6,615,067

745,675

13,836,028

うち売付商品債券

前連結会計年度

2,018,408

1,537,419

3,555,828

当連結会計年度

2,203,365

1,799,510

4,002,876

うち商品有価証券派生

商品

前連結会計年度

60,493

264,004

324,497

当連結会計年度

121,945

159,628

281,574

うち特定取引売付債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券

派生商品

前連結会計年度

161

161

当連結会計年度

15

15

うち特定金融派生商品

前連結会計年度

4,614,410

4,975,206

772,097

8,817,519

当連結会計年度

5,641,309

4,655,928

745,675

9,551,562

うちその他の特定取引

負債

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。

 

 

(5) 国内・海外別預金残高の状況
○預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

118,895,993

31,626,074

23,091

150,498,976

当連結会計年度

125,228,055

34,641,015

14,401

159,854,668

うち流動性預金

前連結会計年度

92,193,898

9,103,192

20,869

101,276,221

当連結会計年度

97,518,649

10,202,443

11,923

107,709,169

うち定期性預金

前連結会計年度

20,030,539

22,504,207

1,362

42,533,384

当連結会計年度

22,823,671

24,414,816

1,434

47,237,054

うちその他

前連結会計年度

6,671,554

18,673

858

6,689,369

当連結会計年度

4,885,734

23,755

1,044

4,908,445

譲渡性預金

前連結会計年度

6,232,050

7,556,297

13,788,347

当連結会計年度

2,461,285

9,129,247

11,590,532

総合計

前連結会計年度

125,128,043

39,182,371

23,091

164,287,324

当連結会計年度

127,689,340

43,770,262

14,401

171,445,201

 

(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。

4.預金の区分は次の通りであります。

① 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

② 定期性預金=定期預金+定期積金

 

 

(6) 国内・海外別貸出金残高の状況
① 業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

56,142,800

100.00

58,949,439

100.00

製造業

9,847,269

17.54

9,885,632

16.77

農業,林業

47,576

0.08

46,859

0.08

漁業

2,782

0.01

10,460

0.02

鉱業,採石業,砂利採取業

205,529

0.37

194,364

0.33

建設業

902,238

1.61

1,110,388

1.88

電気・ガス・熱供給・水道業

3,398,352

6.05

3,311,929

5.62

情報通信業

977,380

1.74

968,603

1.64

運輸業,郵便業

2,436,087

4.34

2,359,382

4.00

卸売業,小売業

4,912,702

8.75

4,822,630

8.18

金融業,保険業

4,609,244

8.21

6,279,897

10.65

不動産業

10,931,283

19.47

11,706,580

19.86

物品賃貸業

3,136,352

5.59

3,129,847

5.31

各種サービス業

2,983,719

5.31

3,075,910

5.22

地方公共団体

540,392

0.96

486,963

0.83

政府等

1,079,360

1.92

1,425,340

2.42

その他

10,132,530

18.05

10,134,649

17.19

海外及び特別国際金融取引勘定分

32,544,355

100.00

33,829,341

100.00

政府等

148,171

0.45

272,276

0.80

金融機関

11,448,499

35.18

12,868,672

38.04

その他

20,947,684

64.37

20,688,393

61.16

合計

88,687,155

92,778,781

 

(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

 

 

② 外国政府等向け債権残高(国別)

期別

国別

金額(百万円)

前連結会計年度

ロシア

161,482

ミャンマー

7,940

ラオス

27

合計

169,450

(資産の総額に対する割合:%)

(0.06)

当連結会計年度

ロシア

123,959

ミャンマー

8,955

合計

132,914

(資産の総額に対する割合:%)

(0.04)

 

(注) 「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げております。

 

(7) 国内・海外別有価証券の状況
○有価証券残高(末残)

種類

期別

国内

海外

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

17,237,535

11,062

17,248,598

当連結会計年度

11,482,725

11,064

11,493,790

地方債

前連結会計年度

554,662

554,662

当連結会計年度

583,738

583,738

社債

前連結会計年度

3,229,883

5,458

3,235,341

当連結会計年度

2,767,873

40,369

2,808,242

株式

前連結会計年度

3,025,940

3,025,940

当連結会計年度

3,777,449

3,777,449

その他の証券

前連結会計年度

9,783,362

3,515,234

13,298,596

当連結会計年度

15,384,600

4,197,601

19,582,202

合計

前連結会計年度

33,831,385

3,531,755

37,363,140

当連結会計年度

33,996,386

4,249,036

38,245,422

 

(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

3.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

みずほ証券株式会社及び楽天証券ホールディングス株式会社による戦略的な資本業務提携の強化について

当社の連結子会社であるみずほ証券株式会社及び、楽天グループ株式会社の連結子会社である楽天証券ホールディングス株式会社は、2022年10月7日より両社が行っている戦略的な資本業務提携をさらに強化することを、2023年11月9日に合意いたしました。本提携の強化では、資産形成・資産運用分野におけるオンライン・リアルの双方を組み合わせた新しいリテール事業モデル構築に向けた取り組みを両グループの連携も含め推進してまいります。本提携の強化に向け、2023年12月15日に、みずほ証券株式会社は楽天証券ホールディングス株式会社が保有する楽天証券株式会社の普通株式29.01%を追加取得(取得後の株式保有比率49.00%)いたしました。

 

 

6 【研究開発活動】

該当ありません。