第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針・経営戦略等

我が国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行され、日常生活の制約や社会活動への制限が緩和され、消費活動が正常化に向かい、緩やかな回復傾向が見受けられております。しかしながら、海外景気の下振れリスクや歴史的な円安、原材料・エネルギー価格の高騰が長期化するなど、先行きは不透明な状況が続いております。国内食品業界におきましては、コスト上昇に対応した価格改定が相次いだことにより、消費者の節約志向は一段と強まっており、引き続き業界全体で厳しい経営環境が続くことが予想されます。このような環境の中で当社におきましては、エンドユーザーの「安全安心でおいしく、安価で簡単調理な商品を」というニーズに対して満足して頂ける商品の提供が、当社の使命であると認識しております。また、高付加価値商品を開発して価格競争からの回避を図ることも当社の重要な基本戦略であります。2024年3月期の売上高は、当社独自商品の拡販や原料値上げに伴う販売価格改定などにより、27,416,847千円(前年同期比0.7%増)となりました。ロシア・ウクライナ情勢の長期化やイスラエル・パレスチナ情勢の深刻化により景気の先行きが不透明な中で、2025年3月期の業績につきましては、コロナ禍での社会経済活動の更なる回復と、新商品の販売、新規取引先の獲得が順調に推移することを前提として増収を見込んでおり、当社独自商品の販売強化や前期に工場移管トラブルなどで販売が軟調でありました直接貿易によるえび製品の販売につきまして、新たな取引先の獲得など再度拡販を図ってまいります。

 

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 ① 商品の競合に関する課題

当社は、当社独自技術の下、凍ったまま調理できる「楽らくクックシリーズ」や「楽らく匠味シリーズ」など、エンドユーザー様にご満足頂ける高付加価値商品の提供に注力しております。また、当社商品は、トレーサビリティなど徹底した品質管理により安全安心を追求し、競合商品との差別化を図っております。

しかし、競合他社も当社商品よりもさらに優れた骨なし魚やミート商品を開発し、あるいは当社と同様の技術で当社より安価な骨なし魚やミート商品を販売し、当社商品の競争力が低下する可能性も想定されます。これに対処するため、当社としては、海外の協力工場の拡充により仕入価格のコストダウンを図るとともに、新商品の販売強化やエンドユーザー様への直接営業の強化を図ることにより、当社商品の優位性の維持・拡充に努めてまいります。

 ② 単一事業に関する課題

当社は国内における業務用冷凍食品卸売事業の専業であり、将来的な国内需要の減少、景気の動向等により業務用冷凍食品事業の市場規模が縮小する可能性も想定されます。これに対処するため、エンドユーザー様の満足度をより高めることでユーザー様からの支持向上に努めることに加え、今後拡大が予想されるシルバー市場の需要取り込みや、販売チャネル・方法の多様化等を行うことで収益構造の多角化に努めてまいります。

 ③ 生産拠点に関する課題

当社が取り扱う商品の約60%が海外の協力工場に依存しており、そのうち約40%が中国の生産拠点に依存していることから、生産拠点の分散が不可欠であると考えております。今後は、タイ、ベトナムなどに生産拠点を新設・拡充するとともに、国内シフトも一部推し進めていくことにより生産拠点におけるリスクの分散を図り、生産管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は2024年度において、売上高30,000,000千円、経常利益1,250,000千円、経常利益率4.2%、ROE8.5%,ROA8.9%、配当性向42.0%を経営数値目標として掲げ、その達成に全力を注いでまいります。当該経営数値目標を採用した理由は、投資家が当社の経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となるためであります。なお、2023年度の経営指標計画対比は下記のとおりです。

 

2023年度
数値目標

2023年度
実績

対比

売上高       (千円)

30,300,000

27,416,847

△2,883,152

経常利益      (千円)

1,600,000

1,104,883

△495,116

経常利益率      (%)

5.3

4.0

△1.3

ROE        (%)

11.4

8.1

△3.3

ROA        (%)

11.9

8.2

△3.7

配当性向       (%)

32.3

46.2

13.9

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

食品を取り扱う当社は、安全・安心を経営理念とし、FOR THE COMPANY の基本理念に基づいたサステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)を定め、事業活動と融合させるべく体制の構築や具体的な取り組みを推進してまいります。

<大冷のマテリアリティ>

・品質と安全性の確認を徹底して、安心かつご満足いただける商品の提供を目指す

・全てのステークホルダーの人権の尊重、多様な従業員が働きがいのある職場づくりと環境整備の推進

・従業員が能力を最大限発揮できる人事制度や教育研修体系の整備により、創造と挑戦を実践する人づくり

・品質、コスト、納期、安定供給、信頼性など、公正で合理的な基準に基づいた評価による仕入先の選定

・あらゆる法令や規則を厳格に順守し、社会から高い信頼を得る経営の実現

 

これらの重要課題の解決にあたって関連性の高い主管部門を定め、課題解決に向けて取り組んでまいります。世界的な情勢や社会の要請、また経営の観点から、脱炭素社会の実現、人的資本経営の取り組みを拡充してまいります。

 

(1)気候変動への対応

 ①ガバナンス

当社では、気候変動への対応を重要な経営課題と捉え、全ての事業領域において地球環境を保全するべく、環境活動の指針となる「サステナビリティ基本方針」を定め、会社全体の環境マネジメントサイクルと、拠点ごとの環境マネジメントサイクルを連動させることで、全社員参加の環境活動を展開してまいります。また、中期経営計画に合わせた重要課題の設定、対応策の推進に取り組んでまいります。

 

 ②戦略

ファブレスメーカーである当社は、仕入先との脱炭素に向けた取り組みや目標の設定など、気候変動への対応について、仕入先とともに目標の達成に歩みを進めてまいります。

 

 ③リスク管理

当社は、直接的あるいは間接的に当社の経営または事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処するため、社長をはじめ常勤役員全員をメンバーとするリスク管理委員会を設置しております。これにより全社的なリスクの評価、管理、対策立案とその実行を行っております。気候変動に関するリスクについても、当委員会において評価、管理を行い、また危機発生時には危機のレベルに応じた対策本部を設置し、適切な対応を実施します。なお、当社におけるリスクマネジメントの取り組みについては「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 ④指標及び目標

当社では、気候変動についての指標や目標を現在のところ設置しておりませんが、ファブレスメーカーである当社は、仕入先との脱炭素に向けた取り組みや目標の設定など、気候変動への対応について、仕入先とともに目標の達成に歩みを進めてまいります。

 

(2)人的資本

 ①ガバナンス

当社組織力向上のために適切な人員配置を行うことに加えて、個人として主体的・自律的なキャリア形成を求め、成果だけでなく当社の組織力向上に貢献する人材を育成、支援します。社員が望む多彩なキャリアの形成に応えるよう努めながら、多様性を認め合い、個々人の能力を最大限発揮できる環境づくりを目指すことが、当社の持続的な成長につながっていくものと考えます。

 

 ②戦略

イノベーションの源泉として重要な経営資源である従業員が、能力を最大限発揮できるための人事制度や教育研修体系を整備することで、創造と挑戦を実践する人づくりに取り組んでまいります。多様な従業員が活き活きと仕事に取り組める働きがいのある職場づくりと心身ともに安全・健康に働ける環境整備を推進してまいります。

 

 ③リスク管理

当社は、直接的あるいは間接的に当社の経営または事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処するため、社長をはじめ常勤役員全員をメンバーとするリスク管理委員会を設置しております。これにより全社的なリスクの評価、管理、対策立案とその実行を行っております。人的資本に関連するリスクについても、当委員会において評価、管理を行い、また危機発生時には、危機のレベルに応じた適切な対応を実施します。なお、当社におけるリスクマネジメントの取り組みについては「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 ④指標及び目標

当社では、女性活躍推進法の公表項目として「管理職に占める女性労働者の割合」を選択しております。当該指標を用いた目標は、現在のところ設定しておりませんが、実績と致しましては7.3%となっております。当社では、あらゆる多様性が融合し活性することで、大きな変革と成長につなげていくため、多様な人材が活躍の場を広げられる環境整備とともに、女性のリーダーシップ開発を推進してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 商品の仕入れについて

① 食品の安全性の問題

当社は、消費者に安全・安心な食品の提供を常に心がけ、仕入先である国内外の協力工場に対する衛生・品質管理を徹底しております。しかしながら、当社の管理体制でカバーしきれない不測の商品クレームなどが大量に発生した場合、商品の回収または被害者への賠償など想定外の費用の発生により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また原材料の調達、当社商品の加工・製造を行っている国や地域において発生した食品の安全性に係わる問題の発生により、出荷制限や輸入禁止措置が発令された場合など、原材料の調達及び商品の供給に支障をきたし当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 原材料の市況変動について

当社の協力工場では国内外から水産物・畜肉をはじめとする原材料を買付しており、分散調達や協力工場に対し計画的に発注することにより特定の仕入先への集中の回避と安定した数量の確保を図っております。しかし、漁獲規制の強化、水揚げ数量や相場の変動、感染性疾病等による生産量の低下などによって予想以上に原料市況に影響を与える事象が生じた場合には、当社の商品に欠品が発生するなどにより当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 為替レートの変動について

当社は、骨なし魚など海外からの仕入の比率が約60%あるため、為替変動の影響を受ける事業を行っております。急激な為替レートの変動により仕入価格が高騰した場合に販売価格への転嫁が遅れる可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 一括物流センターについて

当社は大半の仕入商品を株式会社ヒューテックノオリンの冷凍食品物流機能を利用して一括納品しております。物流コスト等の条件面については都度他社とも比較検討しております。一方、天災等の大規模な災害や何らかの事由により、同社の物流システムが影響を受けた場合、また商品の保管や配送において正常な事業活動を行うことができなくなった場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定の仕入先への依存について

重要な仕入先である株式会社三翔とセイショウフーズ株式会社からの仕入高が当社仕入高に占める割合は、それぞれ前者が13.3%(2023年3月期)、13.7%(2024年3月期)、後者が12.8%(2023年3月期)、12.8%(2023年3月期)となっております。当社は、協力工場に対して分散調達することにより特定の仕入先からの依存度の低下を図っておりますが、当該企業との契約期間の満了、解除等による取引の終了や、天災等により当該企業の生産体制に重大な支障が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 商品の販売について

① 得意先の経営破綻について

当社は、得意先に対する債権の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理等、債権保全に注力していますが、今後予期せぬ得意先の経営破綻が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 食の安全性に関する風評被害について

過去における食品偽装問題等、食の安全性をおびやかす事態が発生し、当社が取扱う商品に問題がない場合でも、報道等により消費者の不安心理が高まり、受注が減少する等により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 知的財産権について

① 当社保有の知的財産権について

当社では「加熱処理した魚の製造方法」「凍ったまま調理できる冷凍魚の製造方法および冷凍魚」「湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品及びその製造方法」「施設調理用冷凍揚物の製造方法及び施設調理用冷凍揚物」の4つの製造特許を取得しております。今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定ですが、当社の知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当社による第三者の知的財産権侵害について

当社による第三者の知的財産権の侵害については、可能な範囲で調査を行い対応しております。しかしながら、当社の事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社が認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合には当社に対する損害賠償請求や、ロイヤリティの支払要求等が行われることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 情報システムの運用について

当社は、販売、購買、管理等の情報をコンピュータにより管理しています。これらの情報システムの運用については、コンピュータウイルス感染によるシステム障害やハッキングによる被害及び外部への社内情報の漏洩が生じないよう万全の対策を講じています。しかしながら、当社の想定を超えた技術による情報システムへの不正アクセスやコンピュータウイルスの感染などにより、当社の情報システムに障害が発生したり、外部へ社内情報が流出する事態が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 人材の確保・育成について

当社が今後の成長を実現していくためには、営業、開発、経営管理等の各方面において優秀な人材を確保・育成していくことが重要な課題と認識しており、必要な施策を実施しています。しかしながら人材の確保・育成ができなかった場合には、当社の事業目的の達成が困難となる可能性があります。

 

 

(6) 繰延税金資産等について

当社では、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産等を計上しています。しかし、今後の業績動向により、一部ないし全部について回収可能性が低いと判断された場合、繰延税金資産等の計上額が修正され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 法的規制等について

当社の事業を展開するうえで様々な法的規制を受けており、食品関係では食品衛生法・製造物責任法・食品リサイクル法・JAS法等の各種法規制に服しております。本書提出日現在これら法的規制の違反はなく、法的規制の順守に努めておりますが、将来、当社の事業に関連する新たな法的規制の成立、または既存の法的規制の改正・強化等が行われた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害への対応について

当社は、大規模な地震をはじめとする自然災害が発生した場合に備え、危機管理総括マニュアルを整備し、定期的な訓練により社内への浸透を図っておりますが、被害が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 関連当事者取引について

当社の筆頭株主は株式会社フルタであり、本書提出日現在で当社発行済株式総数の45.82%を所有しております。同社は古田耕司氏及びその近親者が全株式を所有する資産管理会社であります。一方、古田耕司氏及びその近親者が議決権の過半数を所有する株式会社昔亭・フルタフーズ株式会社は、当社商品の製造委託会社の一部であります。

① 株式会社昔亭について

株式会社昔亭とは商品の仕入取引を行っており、当社の主力商品である「楽らく匠味シリーズ」等の製造を委託しております。取引価格につきましては、第三者間取引と同様、市場での販売価格を勘案して決定しております。なお、同社との取引は今後も継続する方針であります。

 

② フルタフーズ株式会社について

フルタフーズ株式会社とは商品の仕入取引を行っており、主に「アメリカンドック」等の製造を委託しております。取引価格につきましては、株式会社昔亭同様、市場での販売価格を勘案して決定しております。なお、「アメリカンドック」につきましては同社の市場占有率が高く、他社からの入手が困難な商品のため、今後も同社との取引は継続する方針であります。

 

 

当社と関連当事者との2024年3月期における取引金額は以下のとおりであります。

(単位:千円)

 

株式会社昔亭

フルタフーズ株式会社

買掛金

159,445

29,034

未払費用

60

前受収益

833

預り保証金

1,920

商品仕入高

1,034,520

396,304

販売促進費

96

運搬費

58

1,114

雑費

238

7

受取賃貸料

8,976

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績

   (事業別売上)

    (単位:千円)

 

前事業年度

当事業年度

増 減

増減率(%)

 骨なし魚事業

10,234,634

10,437,145

202,511

2.0

ミート事業

2,414,650

2,421,787

7,137

0.3

その他事業

14,590,377

14,557,913

△32,463

△0.2

 

 

   (経営成績)

    (単位:千円)

 

前事業年度

当事業年度

増 減

増減率(%)

 売上高

27,239,662

27,416,847

177,185

0.7

 営業利益

1,525,232

1,066,297

△458,934

△30.1

 経常利益

1,537,291

1,104,883

△432,407

△28.1

  当期純利益

1,023,938

766,904

△257,033

△25.1

 

 

当事業年度における我が国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行され、日常生活の制約や社会活動への制限が緩和され、消費活動が正常化に向かい、緩やかな回復傾向が見受けられております。しかしながら、海外景気の下振れリスクや歴史的な円安、原材料・エネルギー価格の高騰が長期化するなど、先行きは不透明な状況が続いております。

国内食品業界におきましては、コスト上昇に対応した価格改定が相次いだことにより、消費者の節約志向は一段と強まっており、引き続き業界全体で厳しい経営環境が続くことが予想されます。

このような状況のもと当社は、直接貿易で調達したえび商品の販売や取引先展示会での新商品の販売など、積極的に営業活動を進めてまいりました。以上の結果、骨なし魚事業におきましては、「ダイスカットシリーズ」など当社独自商品の拡販や原料値上げに伴う販売価格改定により売上高10,437,145千円(前年同期比2.0%増)、ミート事業におきましては、「楽らく匠味シリーズ」の販売強化により売上高2,421,787千円(前年同期比0.3%増)、その他事業におきましては、大手ユーザーの商品拡販などにより売上高14,557,913千円(前年同期比0.2%減)となりました。これにより当期の売上高は27,416,847千円(前年同期比0.7%増)となりました。

損益面につきましては、粗利率の低下は想定通りに推移したものの、えび商品の販売軟調や滞留在庫消化による値引金額増加により、営業利益は1,066,297千円(前年同期比30.1%減)、経常利益は1,104,883千円(前年同期比28.1%減)、当期純利益は766,904千円(前年同期比25.1%減)となりました。

 

販売実績

当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

事業の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

業務用冷凍食品卸売

27,416,847

100.7

合計

27,416,847

100.7

 

 

仕入実績

当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。

 

事業の名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

業務用冷凍食品卸売

23,165,379

101.8

合計

23,165,379

101.8

 

        (注) 1.金額は、仕入価格によっております。

 

 

(2) 経営指標

                                   (単位:%)

 

前事業年度

当事業年度

増 減

 経常利益率

5.6

4.0

△1.6

 ROE

11.4

8.1

△3.3

 ROA

12.6

8.2

△4.4

  配当性向

34.6

46.2

11.6

 

 

当社は、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載のとおり、「売上高」「経常利益」「経常利益率」「ROE」「ROA」「配当性向」でそれぞれの経営数値目標を掲げ、収益の安定と財務体質の強化、資本効率の向上を目指してまいります。当事業年度は、直接貿易による安価なえび商品の拡販に取り組みましたが、滞留在庫消化による値引金額増加などにより粗利率が低下したことにより、前年同期比で経常利益率△1.6%、ROE△3.3%,ROA△4.4%、配当性向+11.6%となりました。2024年度は、コロナ禍での社会経済活動の更なる回復と、新商品の販売、新規取引先の獲得が順調に推移すると見込んで増収増益の目標を掲げておりますが、利益確保を最大の課題とし、大手ユーザーとの取り組み拡大と新たな取引先の獲得などにより、目標達成に向けて取り組んでまいります。

 

(3) 財政状態

    (単位:千円)

 

前事業年度末

当事業年度末

増 減

増減率(%)

 資産

12,826,813

14,040,312

1,213,498

9.5

負債

3,516,569

4,315,301

798,731

22.7

純資産

9,310,244

9,725,010

414,766

4.5

 

 

総資産は14,040,312千円となり、前事業年度末と比較して1,213,498千円増加となりました。これは主に前渡金が230,901千円減少した一方で、現金及び預金が1,216,820千円、売掛金が126,838千円増加したことによるものです。

負債合計は4,315,301千円となり、前事業年度末と比較して798,731千円増加となりました。これは主に未払法人税等が310,863千円減少した一方で、買掛金が1,151,753千円増加したことによるものです。

純資産合計は9,725,010千円となり、前事業年度末と比較して414,766千円増加となりました。これは主に配当金の支払を354,580千円、当期純利益を766,904千円計上したことにより利益剰余金が412,324千円増加したことによるものです。

 

 

(4) キャッシュ・フロー

    (単位:千円)

 

前事業年度

当事業年度

差 額

 営業活動によるキャッシュ・フロー

322,668

1,631,997

1,309,328

 投資活動によるキャッシュ・フロー

△316,749

△72,572

244,176

 財務活動によるキャッシュ・フロー

△93,058

△366,233

△273,174

 現金及び現金同等物に係る換算差額

1,001

23,628

22,626

 現金及び現金同等物の増減額

△86,137

1,216,820

1,302,958

  現金及び現金同等物の期末残高

2,657,108

3,873,928

1,216,820

 

 

当事業年度における現金及び現金同等物は3,873,928千円と前事業年度末と比べ1,216,820千円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりとなります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,631,997千円の収入(前期は322,668千円の収入)となりました。売上債権の増加が141,359千円あった一方で、税引前当期純利益が1,104,883千円、仕入債務の増加が1,151,753千円ありました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、72,572千円の支出(前期は316,749千円の支出)となりました。貸付金の回収による収入が27,093千円あった一方で、貸付金の支出が74,144千円ありました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、366,233千円の支出(前期は93,058千円の支出)となりました。配当金の支払が354,580千円ありました。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性についてですが、事業活動にかかる運転資金は営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。なお、当面の予定はありませんが、多額の設備資金については、第三者割当増資、社債の発行、長期借入金等の検討を行うこととしております。
 また、当社は取引銀行5銀行で短期借入金枠41億円を設定しており、資金の流動性は十分に確保されております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社の経営上の重要な契約は、次のとおりであります。

(1) 商品売買基本契約

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

セイショウフーズ株式会社

東京都港区浜松町1-9-9

冷凍食品

2013年4月

1年度毎の自動更新

冷凍食品製造加工委託契約

株式会社三翔

東京都中央区八丁堀3-22-13

冷凍食品

2005年8月

1年度毎の自動更新

冷凍食品製造加工委託契約

 

 

 

(2) 貨物保管運送契約

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

株式会社ヒューテックノオリン

神奈川県川崎市川崎区東扇島29-1

冷凍食品

2006年4月

1年度毎の自動更新

貨物保管運送契約

 

 

 

(3) 日本向け製造商品独占販売契約

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

REISEAFOODS JOINTSTOCK COMPANY

3,53rdSt,Van MinhResidentialArea,AnPhuward,ThuDucCity,

HoChiMinhCity,VietNam.

冷凍食品

2022年12月

10年間

独占販売契約

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。