【連結財務諸表注記】
1 報告企業
本田技研工業株式会社(以下「当社」という。)は日本に所在する企業です。当社および連結子会社は、二輪車、四輪車、パワープロダクツなどの開発、製造、販売を世界各国で行っています。また、これらの事業における販売活動をサポートするために、顧客および販売店に対して金融サービス事業を営んでいます。主な生産拠点は、日本、米国、カナダ、メキシコ、中国、インド、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、ブラジルにあります。
2 作成の基礎
(1) 連結財務諸表がIFRSに準拠している旨の記載
当社は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たしているため、同第93条の規定により、連結財務諸表をIFRSに準拠して作成しています。
(2) 測定の基礎
当社の連結財務諸表は、連結財務諸表注記の「3 重要性がある会計方針」に別途記載している一部の資産および負債を除き、取得原価を基礎として作成しています。
(3) 機能通貨および表示通貨
当社の連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、特に注釈のない限り、百万円未満を四捨五入して表示しています。
(4) 未適用の新たな基準書および解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書および解釈指針のうち、適用が強制されないため当連結会計年度末において適用していない基準書および解釈指針は、以下のとおりです。
当社および連結子会社は、当該基準書の適用が当社の連結財務諸表に与える影響について、現在検討中です。
(5) 見積りおよび判断の利用
当社および連結子会社は、IFRSに準拠した連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針の適用、資産・負債および収益・費用の報告額ならびに偶発資産・偶発債務の開示に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定の設定を行っています。実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、これらの見積りや仮定は継続して見直しています。会計上の見積りの変更による影響は、見積りを変更した報告期間およびその影響を受ける将来の報告期間において認識されます。
当社の連結財務諸表に重要な影響を与える会計方針の適用に際して行った判断に関する情報は、以下のとおりです。
・連結子会社、関連会社および共同支配企業の範囲 (注記3(1),3(2))
・開発から生じた無形資産の認識 (注記3(8))
・リースを含む契約の会計処理 (注記3(9))
当社の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の見積りおよび仮定に関する情報は、以下のとおりです。
・オペレーティング・リース資産の残存価額 (注記3(6))
・償却原価で測定する金融資産およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類した負債性証券の評価 (注記6,7,8)
・金融商品の公正価値 (注記26)
・棚卸資産の正味実現可能価額 (注記9)
・非金融資産の回収可能価額 (注記11,12,13)
・引当金の測定 (注記17)
・確定給付負債(資産)の測定 (注記18)
・繰延税金資産の回収可能性 (注記23)
・偶発債務により経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性および規模 (注記28)
3 重要性がある会計方針
(1) 連結の基礎
当社の連結財務諸表は、当社および当社が直接または間接に支配する連結子会社、ならびに当社および連結子会社が支配するストラクチャード・エンティティの勘定を全て含んでいます。全ての重要な連結会社間の債権・債務残高および取引高は、当社の連結財務諸表作成にあたり消去しています。
支配とは、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、その投資先に対するパワー(関連性のある活動を指図する能力)を通じてそれらのリターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。当社および連結子会社は、支配の有無を、議決権または類似の権利の状況や投資先に関する契約内容などに基づき、総合的に判断しています。
ストラクチャード・エンティティとは、議決権または類似の権利が支配の有無の判定において決定的な要因とならないように設計された事業体をいいます。当社および連結子会社は、ストラクチャード・エンティティに対する支配の有無を、議決権または類似の権利の保有割合に加え、投資先に対する契約上の取決めなどを勘案して総合的に判定し、支配を有するストラクチャード・エンティティを連結しています。
連結子会社の財務諸表は、支配を獲得した日から支配を喪失した日までの間、当社の連結財務諸表に含めています。連結子会社が適用する会計方針が当社の適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該連結子会社の財務諸表を調整しています。
支配の喪失に至らない連結子会社に対する当社の所有持分の変動は、資本取引として会計処理しています。また、連結子会社に対する支配を喪失した場合には、残存する持分を支配を喪失した時点の公正価値で測定したうえで、支配の喪失から生じた利得および損失を純損益として認識しています。
(2) 関連会社および共同支配企業に対する投資(持分法で会計処理されている投資)
関連会社とは、当社および連結子会社が財務および営業の方針決定に対して重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配を有していない企業をいいます。
共同支配企業とは、当社および連結子会社を含む複数の当事者が共同支配の取決めに基づき、それぞれの当事者が投資先の純資産に対する権利を有している場合の当該投資先をいいます。共同支配は、契約上合意された支配の共有であり、関連性のある活動に関する意思決定に、支配を共有している当事者全員の一致した合意を必要とする場合にのみ存在します。
関連会社および共同支配企業に対する投資は、投資先が関連会社または共同支配企業に該当すると判定された日から該当しないと判定された日まで、持分法で会計処理しています。持分法では、投資を当初認識時に取得原価で認識し、それ以降に投資先が認識した純損益およびその他の包括利益に対する当社および連結子会社の持分に応じて投資額を変動させています。持分法の適用に際し、持分法適用会社となる関連会社または共同支配企業が適用する会計方針が当社の適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社または共同支配企業の財務諸表を調整しています。
関連会社または共同支配企業に該当しなくなり、持分法の適用を中止した場合には、残存する持分を公正価値で測定したうえで、持分法の適用を中止したことから生じた利得または損失を純損益として認識しています。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引が発生した時点の為替レートで当社および連結子会社の各機能通貨に換算しています。外貨建債権債務は、報告期間の期末日の為替レートで当社および連結子会社の各機能通貨に換算しています。この結果生じる損益および決済時の為替換算による損益は、純損益として認識し、連結損益計算書の金融収益及び金融費用のその他(純額)に含めています。
② 在外営業活動体
在外の連結子会社、関連会社および共同支配企業(以下「在外営業活動体」という。)の財務諸表項目の換算については、資産および負債は報告期間の期末日の為替レートにより、また、収益および費用は機能通貨が超インフレ経済国の通貨である場合を除き、対応する期間の平均為替レートにより円貨に換算しています。この結果生じる換算差額はその他の包括利益に認識し、連結財政状態計算書のその他の資本の構成要素に含めています。在外営業活動体を処分し、支配、重要な影響力または共同支配企業の取決めを喪失した場合は、この在外営業活動体に関連する換算差額の累積額を純損益に振り替えています。
(4) 金融商品
金融商品とは、一方の企業にとっての金融資産と、他の企業にとっての金融負債または資本性証券の双方を生じさせる契約をいいます。当社および連結子会社は、契約の当事者となった時点で、金融商品を金融資産または金融負債として認識しています。なお、金融資産の売買は、取引日において認識または認識の中止を行っています。
① デリバティブ以外の金融資産
当社および連結子会社は、当初認識時に、デリバティブ以外の金融資産を償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産および純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
当社および連結子会社は、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した時点、または、金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、リスクと経済的便益を実質的にすべて移転した時点で、金融資産の認識を中止しています。
(償却原価で測定する金融資産)
当社および連結子会社は、契約上のキャッシュ・フローを回収することを事業上の目的として保有する金融資産で、かつ金融資産の契約条件により特定の日に元本および元本残高に対する利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる金融資産を、償却原価で測定する金融資産に分類しています。償却原価で測定する金融資産は、顧客との契約から生じる営業債権を除き当初認識時に公正価値で測定し、顧客との契約から生じる営業債権は当初認識時に取引価額で測定しています。償却原価で測定する金融資産は、当初認識後は実効金利法による償却原価により測定しています。
(公正価値で測定する金融資産)
当社および連結子会社は、償却原価で測定する金融資産以外の金融資産を、公正価値で測定する金融資産に分類しています。公正価値で測定する金融資産は、さらに以下の区分に分類または指定しています。
(その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産)
負債性証券のうち、契約上のキャッシュ・フローを回収することと売却の両方を事業上の目的として保有する金融資産で、かつ金融資産の契約条件により特定の日に元本および元本残高に対する利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる金融資産を、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。当該負債性証券は、当初認識時に公正価値で測定し、当初認識後の公正価値の変動を、減損利得または減損損失および為替差損益を除き、その他の包括利益として認識しています。当該負債性証券の認識の中止が行われる場合、過去にその他の包括利益に認識した利得または損失の累計額を資本から純損益に振り替えています。
また、投資先との取引関係の維持または強化を主な目的として保有する株式などの資本性証券について、当初認識時に、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定した資本性証券は、当初認識時に公正価値で測定し、当初認識後の公正価値の変動をその他の包括利益として認識しています。ただし、当該資本性証券から生じる配当金については、原則として、純損益として認識しています。当該資本性証券の認識の中止が行われる場合、過去にその他の包括利益に認識した利得または損失の累計額を直接利益剰余金に振り替えています。
(純損益を通じて公正価値で測定する金融資産)
当社および連結子会社は、公正価値で測定する金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類または指定しなかった金融資産を、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値で測定し、当初認識後の公正価値の変動を純損益として認識しています。
(現金及び現金同等物)
現金及び現金同等物は、現金、随時引き出し可能な預金、および容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない流動性の高い短期投資により構成されています。当社および連結子会社は、取得日から3ヵ月以内に満期の到来する極めて流動性の高い債券および類似金融商品を現金同等物としています。
② デリバティブ以外の金融負債
当社および連結子会社は、デリバティブ以外の金融負債を、当初認識時に公正価値で測定し、当初認識後は、実効金利法による償却原価により測定しています。
当社および連結子会社は、契約上の義務が免責、取消しまたは失効した時点で、金融負債の認識を中止しています。
③ デリバティブ
当社および連結子会社は、為替リスクおよび金利リスクを管理する目的で、種々の外国為替契約および金利契約を締結しています。これらの契約には、為替予約、通貨オプション契約、通貨スワップ契約および金利スワップ契約が含まれています。
当社および連結子会社は、これらのすべてのデリバティブについて、デリバティブの契約の当事者となった時点で資産または負債として当初認識し、公正価値により測定しています。当初認識後における公正価値の変動は、直ちに純損益として認識しています。
なお、前連結会計年度および当連結会計年度において、当社および連結子会社がヘッジ手段として指定しているデリバティブはありません。
④ 金融資産および金融負債の相殺
当社および連結子会社は、金融資産および金融負債について、資産および負債として認識された金額を相殺するため法的に強制力のある権利を有し、かつ、純額で決済するか、もしくは資産の実現と債務の決済を同時に実行する意思を有している場合にのみ相殺し、連結財政状態計算書において純額で表示しています。
(5) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のうち、いずれか低い額により測定しています。棚卸資産の取得原価には購入原価、加工費が含まれており、原価の算定に当たっては原則として先入先出法を使用しています。加工費には通常操業度に基づく製造間接費の配賦額を含めています。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における予想販売価額から、完成までに要する見積原価および販売に要する見積費用を控除して算定しています。
(6) オペレーティング・リース資産
当社および連結子会社は、原価モデルを採用し、オペレーティング・リース資産を取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した金額で表示しています。
当社および連結子会社は、オペレーティング・リースとして貸与している車両について、当初認識時に取得原価で測定し、リース契約で定められている期間にわたり、残存価額まで定額法によって減価償却しています。
米国に所在する当社の最も重要な金融子会社においては、オペレーティング・リース開始時に、将来の中古車価格の見積りに基づいて、リース車両の契約上の残存価額を設定しています。リース車両については、契約上の残存価額と見積残存価額のいずれか低い価額までリース期間にわたり均等償却をし、少なくとも四半期に一度、見積残存価額を見直しています。なお、見積残存価額の修正については、オペレーティング・リース資産の減価償却費として、残存リース期間にわたり均等償却しています。車両をリースしている顧客は、リース期間満了時において、そのリース車両を契約上の残存価額で買い取るか、もしくは販売店に返却する選択権を持っています(リース期間満了前にリース車両を買い取る場合は、契約上の未払残高で買い取ります)。リース車両を返却された販売店は、リース期間満了時に顧客から返却されたリース車両を契約上の残存価額で買い取るか、市場価格で買い取る選択権を持っています(リース期間満了前にリース車両を買い取る場合は、契約上の未払残高で買い取ります)。リース車両を返却された販売店がリース車両を買い取らなかった場合は、市場のオークションによってリース車両を売却します。
見積残存価額は以下の2つの重要な構成要素に基づいています。
① 予測リース車両返却率、すなわちリース期間満了時に、顧客から金融子会社に返却されると予測されるリース車両の割合
② リース期間満了時における予測市場価額
これらの見積りにあたっては、一般的な経済指標、新車および中古車の外部市場情報並びに過去の実績等のさまざまな要素も勘案しています。
(7) 有形固定資産
当社および連結子会社は、原価モデルを採用し、有形固定資産を取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した金額で表示しています。
当社および連結子会社は、有形固定資産を当初認識時に取得原価で測定しています。有形固定資産の取得後に発生した支出については、その支出により将来当社および連結子会社に経済的便益がもたらされることが見込まれる場合に限り、有形固定資産の取得原価に含めています。
当社および連結子会社は、土地等の減価償却を行わない資産を除き、各資産について、それぞれの見積耐用年数にわたり、見積残存価額まで定額法によって減価償却しています。
有形固定資産の減価償却費を算定するために使用した主な見積耐用年数は、以下のとおりです。
有形固定資産の減価償却方法、耐用年数および残存価額は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更が必要な場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって調整しています。
連結財政状態計算書上の有形固定資産には、リース取引による使用権資産が含まれています。
使用権資産の会計処理については、「3 重要性がある会計方針 (9) リース」を参照ください。
(8) 無形資産
当社および連結子会社は、原価モデルを採用し、無形資産を取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除した金額で表示しています。
(研究開発費)
製品の開発に関する支出は、当社および連結子会社がその開発を完成させる技術上および事業上の実現可能性を有しており、その成果を使用する意図、能力およびそのための十分な資源を有し、将来経済的便益を得られる可能性が高く、信頼性をもってその原価を測定可能な場合にのみ、無形資産として認識しています。
資産計上した開発費(以下「開発資産」という。)の取得原価は、上記の無形資産に関する認識要件を最初に満たした時点から開発が完了した時点までの期間に発生した費用の合計額で、製品の開発に直接起因する全ての費用が含まれます。開発資産は、開発した製品の見積モデルライフサイクル期間(主に2年~6年)にわたり定額法で償却しています。
研究に関する支出および上記の認識要件を満たさない開発に関する支出は、発生時に費用として認識しています。
(その他の無形資産)
当社および連結子会社は、その他の無形資産を当初認識時に取得原価で測定し、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で償却しています。その他の無形資産は、主に自社利用目的のソフトウェアであり、その見積耐用年数は概ね3年~5年です。
無形資産の償却方法および耐用年数は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更が必要な場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって調整しています。
(9) リース
当社および連結子会社は、契約の開始時に、契約がリースであるまたはリースを含んだものであるか判定します。特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約は、リースであるかまたはリースを含んでいます。使用期間全体を通じて特定された資産の使用からの経済的便益のほとんどすべてを得る権利と、特定された資産の使用を指図する権利を借手が有している場合に、資産の使用を支配する権利が移転すると判定されます。
① 借手としてのリース
当社および連結子会社は、使用権資産およびリース負債をリース開始日に認識しています。
当社および連結子会社は、使用権資産を当初認識時に取得原価で測定しており、当該取得原価は、主にリース開始日以前に支払ったリース料を調整したリース負債の当初認識の金額、借手に発生した当初直接コスト、原資産の解体および除去費用や原状回復費用の見積りの合計で構成されています。当社および連結子会社は、リース構成部分と非リース構成部分を含んだ契約について、非リース構成部分を区別せずに、リース構成部分と非リース構成部分を単一のリース構成部分として会計処理しています。
当社および連結子会社は、原価モデルを採用し、使用権資産を取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した金額で表示しています。当初認識後、リース開始日から原資産の耐用年数の終了時またはリース期間の終了時のいずれか早い方まで定額法を用いて減価償却しています。原資産の見積耐用年数は、「3 重要性がある会計方針 (7) 有形固定資産」を参照ください。
リース負債はリース開始日現在で支払われていないリース料の現在価値で当初認識しています。当該リース料は、リースの計算利子率が容易に算定できる場合には、当該利子率を用いて割引いていますが、そうでない場合には、当社および連結子会社の追加借入利子率を使用しています。リース負債の測定に含まれているリース料は、主に固定リース料(延長オプションの行使が合理的に確実である場合の延長期間のリース料を含む)、解約しないことが合理的に確実である場合を除いたリースの解約に対するペナルティの支払額で構成されています。
当初認識後、リース負債の残高に対して一定の利子率となるように算定された金融費用を増額し、支払われたリース料を減額しています。リース負債は、延長オプションや解約オプションの行使可能性の評価に変更が生じた場合に再測定しています。
リース負債が再測定された場合には、リース負債の再測定の金額を使用権資産の修正として認識しています。ただし、使用権資産の帳簿価額がゼロまで減額され、さらにリース負債を減額する場合は、当該再測定の残額を純損益に認識しています。
② 貸手としてのリース
当社および連結子会社は、リースを含む契約について、原資産の所有に伴うリスクと経済的価値のほとんどすべてを借手に移転するリースをファイナンス・リースに分類し、その他のリースをオペレーティング・リースとして分類しています。サブリースは、原資産ではなくヘッドリースから生じる使用権資産を参照して分類しています。
当社の金融子会社は、車両のリースを行っています。ファイナンス・リースに係る顧客からの受取債権は、リース投資未回収総額をリースの計算利子率で割引いた現在価値で当初認識し、連結財政状態計算書上の金融サービスに係る債権に含めています。オペレーティング・リースとして貸与している車両は、オペレーティング・リース資産として連結財政状態計算書に表示しています。
契約がリース構成部分と非リース構成部分を含んでいる場合には、契約における対価をIFRS第15号に従い配分しています。
(10) 減損
① 償却原価で測定する金融資産およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類された負債性証券
当社および連結子会社は、営業債権以外の償却原価で測定する金融資産およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類された負債性証券の減損に係る引当金については次の3つのステージからなる予想損失モデルにより測定しています。
ステージ1 当初認識以降に信用リスクが著しく増大していない金融資産に対する12ヵ月の予想信用損失
ステージ2 当初認識以降に信用リスクが著しく増大したが、信用減損はしていない金融資産に対する全期間の予想信用損失
ステージ3 信用減損金融資産に対する全期間の予想信用損失
営業債権の減損に係る引当金については常に全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。
全期間の予想信用損失は金融資産の予想存続期間にわたるすべての生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失であり、12ヵ月の予想信用損失は全期間の予想信用損失のうち報告日後12ヵ月以内に生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失です。予想信用損失は契約上のキャッシュ・フローと回収が見込まれるキャッシュ・フローの差額を当初の実効金利で割引き、確率加重した見積りです。
(金融サービスに係る債権 - クレジット損失引当金)
当社の金融子会社は、金融サービスに係る債権の予想信用損失をクレジット損失引当金として計上しています。
信用リスクが著しく増大しているかの判定にあたり、顧客に対する金融債権については、個別的にも集合的にも評価しています。個別的な評価は延滞状況に基づいています。過去の実績では30日以上支払いを延滞した顧客に対する金融債権は貸倒れの可能性が高くなっているため、30日以上期日を超過している場合に信用リスクが著しく増大しているとみなしています。集合的な評価は当初認識した会計期間、担保の形態、契約期間、クレジットスコア等のリスク特性が共通するグループごとに当初認識時からの予想債務不履行率の相対的な変化に基づき行っています。販売店に対する金融債権については、信用リスクが著しく増大しているかの判定は販売店ごとに行われており、支払状況のほか、財政状態の変化や財務制限条項の順守状況等の要素を考慮しています。
金融サービスに係る債権に関する債務不履行の定義は、各金融子会社の内部リスク管理の実務によって定められています。米国に所在する当社の最も重要な金融子会社においては、60日の期日超過を債務不履行とみなしています。60日以上期日を超過している顧客に対する金融債権については、担保車両の差押えを含む回収活動を強化しており、債務不履行の顧客に対する金融債権を信用減損しているとみなしています。販売店に対する金融債権は販売店の重大な財政的困難、債務不履行や延滞等の契約違反、破産等、当初の契約条件に従ってすべての金額を回収できないという証拠が存在する場合に、信用減損しているとみなしています。
当社の米国の金融子会社は、顧客に対する金融債権のうち回収不能と見込まれる部分について、期日を120日超過した時点または担保車両を差し押さえた時点で直接償却しています。履行強制活動が行われる期間や方法は、様々な法的規制により制限されますが、未回収残高は通常、直接償却後も数年間は履行強制活動の対象となります。回収不能額の見積りには、履行強制活動による回収見込額が反映されています。販売店に対する金融債権は回収するという合理的な予想を有していない場合に直接償却しています。
当社の米国の金融子会社において、顧客に対する金融債権に係る予想信用損失の測定は、リスク特性が共通するグループごとに行われ、過去の実績、現在の状況、失業率、中古車価格、消費者の債務返済負担などの将来予測に基づく要素を反映しています。
② 非金融資産および持分法で会計処理されている投資
当社および連結子会社は、棚卸資産および繰延税金資産以外の非金融資産(主に、オペレーティング・リース資産、有形固定資産および無形資産)について、各報告期間の期末日において、資産が減損している可能性を示す兆候の有無を評価しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を算定し、当該資産の帳簿価額との比較を行うことにより、減損テストを行っています。
持分法で会計処理されている投資は、減損の客観的な証拠が存在する場合に、投資全体の帳簿価額を単一の資産として減損テストを行っています。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としています。使用価値は、資産または資金生成単位から生じると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値として算定しています。資金生成単位は、他の資産または資産グループのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の識別可能な資産グループであり、個別の資産について回収可能価額の見積りが不可能な場合に、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を算定しています。
資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を上回る場合に、当該帳簿価額を回収可能価額まで減額するとともに、当該減額を減損損失として純損益に認識しています。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、当該単位内の各資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しています。
過去に減損損失を認識した資産または資金生成単位について減損損失が既に存在しないか、あるいは減少している可能性を示す兆候がある場合で、当該資産または資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を上回るときは、減損損失を戻入れています。この場合、減損損失を認識しなかった場合の減価償却または償却控除後の帳簿価額を上限として、資産の帳簿価額を回収可能価額まで増額しています。
(11) 引当金
当社および連結子会社は、過去の事象の結果として現在の法的または推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に、引当金を認識しています。
引当金は、報告期間の期末日における現在の債務を決済するために要する最善の見積りで測定しています。なお、貨幣の時間的価値に重要性がある場合には、債務の決済に必要と見込まれる支出の現在価値で引当金を測定しています。現在価値の算定に当たっては、貨幣の時間的価値および当該債務に特有のリスクを反映した税引前の利率を割引率として使用しています。
(12) 従業員給付
① 短期従業員給付
給与、賞与および年次有給休暇などの短期従業員給付については、勤務の対価として支払うと見込まれる金額を、従業員が勤務を提供した時に費用として認識しています。
② 退職後給付
当社および連結子会社は、確定給付制度および確定拠出制度を含む各種退職給付制度を有しています。
(確定給付制度)
確定給付制度については、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額を、負債または資産として認識しています。確定給付制度が積立超過である場合は、制度からの返還または制度への将来掛金の減額の形で利用可能な経済的便益の現在価値を資産上限額としています。
確定給付制度債務の現在価値および勤務費用は、予測単位積増方式を用いて制度ごとに算定しています。割引率は、確定給付制度債務と概ね同じ支払期日を有し、かつ、給付の支払見込みと同じ通貨建ての優良社債の報告期間の期末日における市場利回りに基づいて決定しています。確定給付負債(資産)の純額に係る純利息費用は、確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じて算定しています。
制度改定や制度縮小により生じた確定給付制度債務の現在価値の変動として算定される過去勤務費用は、制度の改定や縮小が発生した時に、純損益として認識しています。
確定給付制度債務の現在価値と制度資産の公正価値の再測定に伴う調整額は、発生時にその他の包括利益として認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。
(確定拠出制度)
確定拠出制度については、確定拠出制度に支払うべき拠出額を、従業員が関連する勤務を提供した時に費用として認識しています。
(13) 資本
① 普通株式
当社が発行した普通株式は資本として分類し、発行価額を資本金および資本剰余金に含めています。
② 自己株式
当社および連結子会社が取得した自己株式は、取得原価で認識し、資本の控除項目としています。自己株式を売却した場合は、受取対価を資本の増加として認識し、帳簿価額と受取対価の差額は資本剰余金に含めています。
(14) 収益認識
① 製品の販売
製品の販売は、二輪事業、四輪事業、パワープロダクツ事業及びその他の事業に区分されます。各事業におけるより詳細な情報については、連結財務諸表注記の「4 セグメント情報」を参照ください。
当社および連結子会社は、製品に対する支配が顧客に移転した時点で収益を認識しています。この移転は、通常、顧客に製品を引渡した時点で行われます。収益は、顧客との契約で明確にされている対価に基づき測定し、第三者のために回収する金額を除いています。契約の対価の総額は、すべての製品およびサービスにそれらの独立販売価格に基づき配分され、独立販売価格は、類似する製品またはサービスの販売価格やその他の合理的に利用可能な情報を参照して算定しています。
当社および連結子会社は、販売店に対して奨励金を支給していますが、これは一般的に当社および連結子会社から販売店への値引きに該当します。また、当社および連結子会社は、販売店の販売活動をサポートするため、顧客に対して主として市場金利以下の利率によるローンやリースを提示する形式の販売奨励プログラムを提供しています。このプログラムの提供に要する金額は、顧客に提示した利率と市場金利の差に基づいて算定しています。これらの奨励金は、取引価格の算定における変動対価として考慮されることとなり、製品が販売店に売却された時点で認識する売上収益の金額から控除しています。売上収益は、変動対価に関する不確実性がその後に解消される際に重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ認識しています。
製品の販売に係る対価の支払は、通常、製品に対する支配が顧客に移転してから30日以内に行われます。
なお、製品の販売における顧客との契約には製品が合意された仕様に従っていることを保証する条項が含まれており、当社および連結子会社は、この保証に関連する費用に対して製品保証引当金を認識しています。当該引当金に関するより詳細な情報については、連結財務諸表注記の「17 引当金」を参照ください。
② 金融サービスの提供
金融サービスに係る債権の利息収益は、実効金利法によって認識しています。金融サービスに係る債権の初期手数料および初期直接費用は、実効金利の計算に含めて、金融債権の契約期間にわたって認識しています。
当社の金融子会社が提供する金融サービスにはリースが含まれています。ファイナンス・リースに係る受取債権の利息収益は、実効金利法によって認識しています。なお、当社および連結子会社が、製造業者または販売業者としての貸手となる場合、製品の販売とみなされる部分について、売上収益と対応する原価を製品の販売と同様の会計方針に従って認識しています。オペレーティング・リースから生じる収益は、リース期間にわたり定額法によって認識しています。
(15) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金と繰延税金から構成されています。当期税金と繰延税金は、直接資本またはその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益で認識しています。
当期税金は、当期の課税所得について納付すべき税額、または税務上の欠損金について還付されると見込まれる税額で測定しています。これらの税額は、報告期間の期末日において制定または実質的に制定されている税率および税法に基づいて算定しています。
繰延税金資産および負債は、報告期間の期末日における資産および負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との差額である一時差異ならびに税務上の繰越欠損金および繰越税額控除に関する将来の税務上の影響に基づいて認識しています。なお、繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金および繰越税額控除について、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。
連結子会社および関連会社に対する投資ならびに共同支配企業に対する持分に関する将来加算一時差異については、当該一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合は、繰延税金負債を認識していません。また、連結子会社および関連会社に対する投資ならびに共同支配企業に対する持分に関する将来減算一時差異については、当該一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、予測可能な将来において実現する可能性が高い範囲でのみ繰延税金資産を認識しています。
繰延税金資産および負債は、報告期間の期末日に制定または実質的に制定されている税率および税法に基づいて、資産が実現する期間または負債が決済される期間に適用されると予測される税率で測定しています。繰延税金資産および負債の測定に当たっては、報告期間の期末日において当社および連結子会社が意図する資産および負債の帳簿価額の回収または決済の方法から生じる税務上の影響を反映しています。
繰延税金資産の回収可能性は、各報告期間の期末日において見直し、繰延税金資産の一部または全部の税務便益を実現させるのに十分な課税所得の稼得が見込めないと判断される部分について、繰延税金資産の帳簿価額を減額しています。
繰延税金資産および繰延税金負債は、当期税金に対する資産と負債を相殺する法律上の強制力のある権利を有しており、法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、または異なる納税主体に課されている場合でこれらの納税主体が当期税金に対する資産と負債を純額で決済するか、あるいは資産の実現と負債の決済を同時に行うことを意図している場合に相殺しています。
当社および連結子会社の税務処理を税務当局が認める可能性が高くないと判断した場合に、不確実性の影響を財務諸表に反映しています。
当社および連結子会社は、2023年5月23日に公表された、「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール(IAS第12号の改訂)」を適用し、経済協力開発機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定または実質的に制定された税法から生じる法人所得税(適格国内最低トップアップ税を含む)に関する繰延税金資産および繰延税金負債について認識および開示を行っていません。
(16) 1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を対応する期間の加重平均発行済普通株式数で除して算定しています。
4 セグメント情報
当社のセグメント情報は、経営組織の形態と製品およびサービスの特性に基づいて4つに区分されています。二輪事業・四輪事業・金融サービス事業の報告セグメントに加え、それ以外の事業セグメントをパワープロダクツ事業及びその他の事業として結合表示しています。
以下のセグメント情報は、独立した財務情報が入手可能な構成単位で区分され、定期的に当社の最高経営意思決定機関により経営資源の配分の決定および業績の評価に使用されているものに基づいています。また、セグメント情報における会計方針は、当社の連結財務諸表における会計方針と一致しています。
各事業の主要製品およびサービス、事業形態は以下のとおりです。
(1) 事業の種類別セグメント情報
前連結会計年度および当連結会計年度における当社および連結子会社の事業の種類別セグメント情報は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 各セグメントの営業利益(△損失)の算出方法は、連結損益計算書における営業利益の算出方法と一致しており、持分法による投資利益、金融収益及び金融費用および法人所得税費用を含んでいません。また、各セグメントに直接賦課できない営業費用は、最も合理的な配賦基準に基づいて、各セグメントに配賦しています。
2 各セグメントおよび消去又は全社の資産の合計は、連結財政状態計算書の総資産と一致しており、持分法で会計処理されている投資、デリバティブ資産および繰延税金資産などを含んでいます。また、消去又は全社に含まれる金額を除く、各セグメントに直接賦課できない資産については、最も合理的な配賦基準に基づいて、各セグメントに配賦しています。
3 セグメント間取引は、独立企業間価格で行っています。
4 資産の消去又は全社の項目には、セグメント間取引の消去の金額および全社資産の金額が含まれています。全社資産の金額は、前連結会計年度末および当連結会計年度末において、それぞれ1,462,656百万円、
1,573,834百万円であり、その主な内容は、当社の現金及び現金同等物、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産です。
5 製品保証引当金繰入額は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ289,850百万円、536,590百万円であり、主に四輪事業に含まれています。
6 費用として認識した棚卸資産の評価減の金額は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ8,400百万円、12,220百万円であり、四輪事業や、パワープロダクツ事業及びその他の事業に含まれている航空機および航空機エンジンに関連するものです。
7 資本的支出には、使用権資産は含まれていません。
(2) 製品およびサービスに関する情報
前連結会計年度および当連結会計年度における当社および連結子会社の製品およびサービス別に区分した売上収益の金額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(3) 地域に関する情報
前連結会計年度および当連結会計年度における当社および連結子会社の所在地別に区分した売上収益および非流動資産(金融商品、繰延税金資産および確定給付資産の純額を除く)の金額は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
5 現金及び現金同等物
前連結会計年度末および当連結会計年度末における現金及び現金同等物の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
当社および連結子会社が保有する現金同等物は、主にマネー・マーケット・ファンドおよび譲渡性預金です。
6 営業債権
営業債権は償却原価で測定する金融資産に分類しています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における営業債権の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度および当連結会計年度における営業債権に係る貸倒引当金の増減は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
7 金融サービスに係る債権
当社の金融子会社は、製品の販売をサポートするために、顧客および販売店に対して様々な金融サービスを提供しており、これらの金融サービスに係る債権を以下のように区分しています。
顧客に対する金融債権
小売金融:主に、顧客との割賦契約に係る債権から構成されます。
ファイナンス・リース:主に、顧客との解約不能な車両のリース契約に係る債権から構成されます。
販売店に対する金融債権
卸売金融:主に、販売店の在庫購入のための融資に係る債権および販売店への貸付金から構成されます。
金融サービスに係る債権は主に償却原価で測定する金融資産に分類しています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における金融サービスに係る債権の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(ファイナンス・リースに係る債権)
前連結会計年度末および当連結会計年度末におけるファイナンス・リースに基づくリース料債権の期日別の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
貸手のリース活動の性質およびリスク管理戦略については、「3 重要性がある会計方針 (9) リースおよび(10) 減損」を参照ください。
(クレジット損失引当金)
前連結会計年度および当連結会計年度におけるクレジット損失引当金の増減は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(単位:百万円)
クレジット損失引当金の詳細は、連結財務諸表注記の「25 金融リスク管理 (3) 信用リスク」を参照ください。
8 その他の金融資産
前連結会計年度末および当連結会計年度末におけるその他の金融資産の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度および当連結会計年度におけるその他の金融資産に係る貸倒引当金の増減は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度および当連結会計年度のその他の金融資産に係る貸倒引当金は、主に信用減損金融資産に対するものです。
前連結会計年度末および当連結会計年度末におけるその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定した資本性証券の主な銘柄は、以下のとおりです。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
9 棚卸資産
前連結会計年度末および当連結会計年度末における棚卸資産の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度および当連結会計年度において、費用として認識した棚卸資産の評価減の金額は、それぞれ8,400百万円、12,220百万円です。
10 持分法で会計処理されている投資
前連結会計年度末および当連結会計年度末における関連会社および共同支配企業に対する当社および連結子会社の持分相当額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
当社は、前連結会計年度において、一部の活発な市場における公表価格のある持分法で会計処理されている投資について、市場価格の下落により減損の客観的な証拠が存在すると判断したため、公正価値に基づき回収可能価額を測定し、減損損失を計上しました。
また、活発な市場における公表価格のない持分法で会計処理されている投資のうち、前連結会計年度中に締結した株式譲渡契約での取引価格が取得価額を下回った投資先について、減損の客観的な証拠が存在すると判断したため、使用価値に基づき回収可能価額を測定し、前連結会計年度において、減損損失を計上しました。
以上の結果、前連結会計年度において、持分法で会計処理されている投資の減損損失68,545百万円を計上しています。当該減損損失は、持分法による投資利益に含まれており、主に四輪事業に含まれています。
なお、当連結会計年度において、重要な減損損失はありません。
前連結会計年度および当連結会計年度における関連会社および共同支配企業の当期包括利益に対する当社および連結子会社の持分は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
持分法で会計処理されている投資、未分配利益に対する持分相当額、当期利益、その他の包括利益、当期包括利益の共同支配企業の項目には、当社にとって重要性がある共同支配企業の金額が含まれています。
(重要性がある共同支配企業)
当社にとって重要性がある共同支配企業は、東風本田汽車有限公司です。当社および連結子会社と東風汽車集団有限公司がそれぞれ50%の持分を保有しており、中国武漢市で四輪製品の製造および販売をしています。
前連結会計年度および当連結会計年度における東風本田汽車有限公司に関する要約連結財務情報は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度および当連結会計年度における関連会社に関する合算財務情報は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
前連結会計年度および当連結会計年度における共同支配企業に関する合算財務情報は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
上記には、当社にとって重要性がある共同支配企業の金額が含まれています。
11 オペレーティング・リース資産
当社および連結子会社は、主に車両を貸与しています。
前連結会計年度および当連結会計年度におけるオペレーティング・リース資産の取得原価、減価償却累計額および減損損失累計額の増減ならびに帳簿価額は、以下のとおりです。
(取得原価)
(単位:百万円)
(減価償却累計額および減損損失累計額)
(単位:百万円)
(帳簿価額)
(単位:百万円)
(将来受取リース料)
前連結会計年度末および当連結会計年度末における、オペレーティング・リースに係る将来受取リース料の受取期間別の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
上記に記載されている将来受取リース料の金額は、必ずしも将来の現金回収額を示すものではありません。
(リース収益)
前連結会計年度および当連結会計年度におけるオペレーティング・リースのリース収益はそれぞれ1,152,964百万円、1,141,819百万円です。
12 有形固定資産
前連結会計年度および当連結会計年度における有形固定資産の取得原価、減価償却累計額および減損損失累計額の増減ならびに帳簿価額は、以下のとおりです。
(取得原価)
(単位:百万円)
(減価償却累計額および減損損失累計額)
(単位:百万円)
(帳簿価額)
(単位:百万円)
有形固定資産の購入に関する発注契約については、連結財務諸表注記の「28 契約残高および偶発債務」を参照ください。
(使用権資産)
連結財政状態計算書上の有形固定資産には、リース取引による使用権資産が含まれており、主に四輪事業に関連するものです。
当社および連結子会社は主に延長および解約オプションを含む店舗、社宅、駐車場に対するリース契約を締結しています。リース契約は各社で管理されており、その条件は個別交渉されるため、多様な契約条件を含んでいます。延長および解約オプションは、各社のマネジメントが事業上の柔軟性を高めるために設けたものです。
前連結会計年度および当連結会計年度における使用権資産の帳簿価額の増減は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
13 無形資産
前連結会計年度および当連結会計年度における無形資産の取得原価、償却累計額および減損損失累計額の増減ならびに帳簿価額は、以下のとおりです。
(取得原価)
(単位:百万円)
(償却累計額および減損損失累計額)
(単位:百万円)
(帳簿価額)
(単位:百万円)
開発資産の償却費は連結損益計算書の研究開発費に、開発資産以外の無形資産の償却費は連結損益計算書の売上原価、販売費及び一般管理費ならびに研究開発費にそれぞれ含まれています。
無形資産の購入に関する発注契約については、連結財務諸表注記の「28 契約残高および偶発債務」を参照ください。
14 営業債務
営業債務は償却原価で測定する金融負債に分類しています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における営業債務の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
15 資金調達に係る債務
資金調達に係る債務は償却原価で測定する金融負債に分類しています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における流動負債に区分される資金調達に係る債務の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度末および当連結会計年度末における流動負債に区分される資金調達に係る債務(非流動負債からの振替を除く)の加重平均利率は、以下のとおりです。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における非流動負債に区分される資金調達に係る債務の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度末および当連結会計年度末における非流動負債に区分される資金調達に係る債務(流動負債への振替を含む)の利率および返済期限の要約は、以下のとおりです。
(担保差入資産)
前連結会計年度末および当連結会計年度末における資金調達に係る債務に対する担保差入資産は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
金融サービスに係る債権およびオペレーティング・リース資産は資産担保証券の担保として供されています。その他の項目は主に銀行等借入金の担保として供されています。
日本における慣行として、銀行借入金については一般的な契約に基づき行われており、現在および将来に発生する債務について、銀行の請求に基づき担保の設定または保証の差入れの義務があります。また、当社および連結子会社が支払遅延あるいは債務不履行に陥った場合、銀行は、全ての債務について、銀行預金と相殺する権利を有しています。
(財務活動から生じた負債の調整表)
前連結会計年度および当連結会計年度における財務活動から生じた負債の内訳および増減は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) デリバティブ金融負債(△資産)は、当社および当社の金融子会社が長期資金調達に係る債務の元本および利息の支払いの為替変動リスクをヘッジするために保有しており、元本および利息の支払いに対応するキャッシュ・フローは、それぞれ財務活動によるキャッシュ・フローおよび営業活動によるキャッシュ・フローに含めています。
16 その他の金融負債
前連結会計年度末および当連結会計年度末におけるその他の金融負債の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
17 引当金
当連結会計年度における引当金の内訳および増減は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度末および当連結会計年度末における引当金の流動負債、非流動負債の残高は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 当社および連結子会社は、将来の製品保証に関連する費用に対して製品保証引当金を認識しています。製品保証に関連する費用には、(i)保証書に基づく無償の補修費用、(ii)主務官庁への届出等に基づく無償の補修費用が含まれています。(i)保証書に基づく無償の補修費用は、製品を販売した時点で認識しており、(ii)主務官庁への届出等に基づく新規の保証項目に関連する費用については、経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に、引当金を認識しています。これらの引当金の金額は、過去の補修実績、過去の売上実績、予測発生台数および予測台当たり補修費用等を含む将来の見込みに基づいて見積っており、顧客および販売店からの請求等に応じて取崩されるものです。製品保証引当金については、その金額の一部が取引先との合意により補填される見込みです。当連結会計年度末において、製品保証引当金に関連して補填されると見込まれている金額は167,920百万円です。
18 従業員給付
(1) 退職後給付
当社および連結子会社は、各種退職給付および年金制度を有しており、ほぼ全ての日本における従業員および一部の海外の従業員を対象としています。当社および日本の連結子会社は、日本の確定給付企業年金法に基づくキャッシュバランスプラン類似制度またはその他の確定給付型年金制度を設けています。また、当社および一部の連結子会社は、退職年金制度に加え退職一時金制度を設けており、これらの制度における給付額は、基本的に従業員の給与水準、勤続年数およびその他の要素に基づいて決定されます。これらの制度に加え、一部の北米の連結子会社は、健康保険や生命保険等の制度を退職後の従業員に提供しています。
当社が設けている年金制度は、当社より法的に独立したホンダ企業年金基金によって運営されており、基金の理事は、法令、法令に基づき行われる厚生労働大臣または地方厚生局長の処分、規約および代議員会の議決を遵守し、基金のために忠実にその職務を遂行する義務を負っています。当社には、ホンダ企業年金基金に対する掛金の拠出が要求されており、将来にわたってホンダ企業年金基金が定める掛金の拠出義務を負っています。また、掛金は法令が認める範囲で定期的に見直されています。
① 確定給付制度債務と制度資産
前連結会計年度および当連結会計年度における当社および一部の連結子会社の確定給付制度債務の現在価値および制度資産の公正価値の変動は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度末および当連結会計年度末の確定給付負債(資産)の純額に含まれる退職給付に係る資産は、それぞれ180,700百万円、148,296百万円であり、連結財政状態計算書において、その他の非流動資産に含まれています。
② 制度資産の公正価値
当社および連結子会社の国内制度および海外制度に係る資産運用方針は、従業員の将来の給付を確保するため許容されるリスクのもとで中長期的に総運用収益の最適化をはかるべく策定されています。制度資産は、資産配分目標に基づいて主に国内外の株式および債券に幅広く分散投資されており、リスクの低減を図っています。資産配分については、長期的なリスク、リターンの予想および各資産の運用実績の相関に基づき、中長期的に維持すべき配分の目標を設定しています。この資産配分目標は、制度資産の運用環境等に重要な変化が生じた場合には、適宜見直しを行っています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における国内制度および海外制度の制度資産の公正価値の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
③ 数理計算上の仮定
前連結会計年度末および当連結会計年度末における確定給付制度債務の現在価値の算定に用いた重要な数理計算上の仮定は、以下のとおりです。
④ 感応度分析
前連結会計年度末および当連結会計年度末における割引率が±0.5%変動した場合の確定給付制度債務に与える影響は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
感応度分析は、前連結会計年度末および当連結会計年度末において、当社が合理的に考えうる数理計算上の仮定の変化による確定給付制度債務の変動を示したものです。これらの分析は、あくまで試算ベースであり、実際の結果はこれらの分析と異なる可能性があります。また、昇給率については変動を見込んでいません。
⑤ キャッシュ・フロー
当社および一部の連結子会社の制度資産への拠出額は、従業員の給与水準や勤続年数、制度資産の積立状態、数理計算等様々な要因により決定されます。また、確定給付企業年金法の規定により、ホンダ企業年金基金では、将来にわたって財政の均衡を保つことができるよう、5年毎に報告期間の期末日を基準日として掛金の額の再計算を行っています。当社および一部の連結子会社は、積立金の額が最低積立基準額を下回る場合には、必要な額の掛金を拠出する場合があります。
当社および一部の連結子会社は、次連結会計年度において国内制度に拠出する金額を19,970百万円、海外制度に拠出する金額を18,282百万円と見積っています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、以下のとおりです。
(2) 人件費
前連結会計年度および当連結会計年度における連結損益計算書に含まれる人件費は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
人件費には、給与、賞与、法定福利費および退職後給付に係る費用などを含めています。
19 資本
(1) 資本の管理
当社および連結子会社は、グローバル規模での成長を通じた企業価値向上のために、設備投資および研究開発投資等を行っています。これらの資金需要に対応するために、資金調達に係る債務および資本の適切なバランスを考慮した資本管理を行っています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における資金調達に係る債務および資本の残高は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(2) 資本金
前連結会計年度および当連結会計年度における当社の発行可能株式総数および発行済株式総数は、以下のとおりです。
(単位:株)
(注) 1 当社は、2023年9月30日を基準日、2023年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っています。
2 当社は、2024年2月8日の取締役会の決議に基づき、2024年2月29日付で自己株式154,285,290株を消却しています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における発行済株式は、すべて払込済です。
(3) 資本剰余金および利益剰余金
資本剰余金は、資本取引から生じた金額のうち資本金に含まれない金額で構成され、主な内訳は資本準備金です。日本の会社法は、株式の発行に対する払込みまたは給付に係る金額の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りを資本準備金に組み入れることを規定しています。資本準備金は、株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
利益剰余金は、利益準備金とその他の剰余金により構成されます。日本の会社法は、利益剰余金を原資とする配当を行う日において、配当額の10分の1を、資本準備金および利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで、資本準備金または利益準備金として積み立てることを規定しています。利益準備金は、株主総会の決議により、取り崩すことができます。なお、一部の海外の連結子会社についても、各国の法律に基づき、同様の利益準備金を積み立てることが定められています。
(4) 自己株式
前連結会計年度末および当連結会計年度末における当社および連結子会社が保有する当社株式の総数は、以下のとおりです。
(単位:株)
日本の会社法では、株主総会の決議により分配可能額の範囲内で、取得する株式の数、取得価額の総額などを決定し、自己株式を取得することができます。また、市場取引または公開買付による場合には、定款の定めにより会社法上定められた条件の範囲内で、取締役会の決議により自己株式を取得することができます。
(5) その他の資本の構成要素
前連結会計年度および当連結会計年度におけるその他の資本の構成要素の内訳ごとの増減は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(6) その他の包括利益
前連結会計年度および当連結会計年度におけるその他の包括利益の内訳と対応する税効果額(非支配持分を含む)は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度および当連結会計年度における非支配持分に含まれるその他の包括利益の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(7) 剰余金の配当
当社は、剰余金の配当について、日本の会社法の規定に基づいて算定される分配可能額の範囲内で行っています。分配可能額は、日本において一般に公正妥当と認められた会計原則に準拠して作成された当社の会計帳簿における利益剰余金の金額に基づいて算定されます。
前連結会計年度および当連結会計年度における利益剰余金を原資とする配当の金額は、以下のとおりです。
① 配当金支払額
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
② 基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が当連結会計年度末後となるもの
(注) 当社は、2023年9月30日を基準日、2023年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っています。2024年5月10日取締役会決議に基づく1株当たり配当額については、当該株式分割の影響を考慮した金額を記載しています。
20 売上収益
(1) 収益の分解
当社のセグメント情報は、連結財務諸表注記の「4 セグメント情報」に記載のとおり、4つに区分されています。
前連結会計年度および当連結会計年度における仕向地別(外部顧客の所在地別)に分解された売上収益および分解された売上収益と各セグメントの売上収益の関係は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(2) 契約残高
前連結会計年度末および当連結会計年度末における顧客との契約から生じた債権および契約負債は、以下のとおりです。
前連結会計年度および当連結会計年度に認識した収益のうち、期首時点の契約負債残高に含まれていたものはそれぞれ219,873百万円、273,224百万円です。なお、前連結会計年度および当連結会計年度において、過去の期間に充足(または部分的に充足)した履行義務から認識した収益の金額に重要性はありません。また、当社および連結子会社における契約資産の残高に重要性はありません。
(3) 残存履行義務に配分した取引価格
前連結会計年度末および当連結会計年度末における未充足(または部分的に未充足)の履行義務に配分した取引価格の総額および収益の認識が見込まれる期間別の内訳は、以下のとおりです。
上記の表には、当初の予想期間が1年以内の残存履行義務に関する情報および収益認識が制限されている変動対価の金額の見積りは含めていません。
(4) 顧客との契約の獲得または履行のためのコストから認識した資産
前連結会計年度末および当連結会計年度末における顧客との契約の獲得のためのコストから認識した資産は、以下のとおりです。
当社および連結子会社は、顧客との契約を獲得するための増分コストおよび契約に直接関連する履行コストのうち、回収可能であると見込まれる部分を資産として認識しています。顧客との契約獲得のための増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しなかったであろうものです。契約の獲得のためのコストから認識した資産については、連結財政状態計算書上は主にその他の非流動資産に計上し、契約に基づくサービスが提供される期間にわたって償却しています。なお、契約の履行のために発生したコストから認識した資産の額に重要性はありません。
前連結会計年度および当連結会計年度における当該資産の償却額はそれぞれ52,193百万円、60,391百万円です。
21 研究開発費
前連結会計年度および当連結会計年度の研究開発費の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
22 金融収益及び金融費用
前連結会計年度および当連結会計年度における金融収益及び金融費用の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
23 法人所得税
(1) 法人所得税費用
前連結会計年度および当連結会計年度における税引前利益および法人所得税費用の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度の国内の法人所得税費用(繰延分)の減少額には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額96,195百万円が含まれています。これは、当社および一部の国内の連結子会社により構成される通算グループにおいて、将来課税所得が稼得される可能性が高いと判断したことによるものです。
当社および国内の連結子会社の法定実効税率は前連結会計年度および当連結会計年度において30.2%です。海外の連結子会社の所得に対しては、16.0%から34.0%の範囲の税率が適用されています。
日本の法定実効税率と平均実際負担税率との差異は、以下のとおりです。
(2) 繰延税金資産および繰延税金負債
前連結会計年度末および当連結会計年度末における繰延税金資産および繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 当社および連結子会社は、当連結会計年度より「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金(IAS第12号の改訂)」を適用し、比較情報については遡及適用後の金額となっています。
前連結会計年度および当連結会計年度における繰延税金資産および繰延税金負債の増減のうち、連結損益計算書で法人所得税費用として認識された金額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 当社および連結子会社は、当連結会計年度より「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金(IAS第12号の改訂)」を適用し、比較情報については遡及適用後の金額となっています。
繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除の一部又は全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しています。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される繰延税金負債の取崩し、予測される将来課税所得およびタックス・プランニングを考慮しています。当社および連結子会社は、過去の課税所得水準および繰延税金資産が控除可能な期間における将来課税所得の予測に基づき、前連結会計年度末および当連結会計年度末における繰延税金資産は、回収される可能性が高いものと考えていますが、当社および連結子会社を取り巻く市場の動向や為替変動などの経済情勢により、将来課税所得の予測の不確実性は増大します。なお、前連結会計年度末および当連結会計年度末の繰延税金資産のうち、それぞれの前連結会計年度または当該連結会計年度に損失が生じている納税主体に帰属しているものは、それぞれ19,414百万円、629百万円です。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度末および当連結会計年度末における繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の失効期限別の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度末および当連結会計年度末における繰延税金資産を認識していない繰越税額控除の失効期限別の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度末および当連結会計年度末の連結子会社に対する投資および共同支配企業に対する持分に係る繰延税金負債を認識していない一時差異の合計は、それぞれ6,956,545百万円、8,112,152百万円です。
(3) グローバル・ミニマム課税
経済協力開発機構(OECD)により公表された第2の柱モデルルールに関する法制が、当社グループが事業活動を行っている一定の国・地域において制定、または実質的に制定されています。日本においては、令和5年度税制改正により、グローバル・ミニマム課税に対応する法人税が創設され、それに係る規定を含めた税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」(2023年(令和5年)法律3号))が成立しました。それに伴い、日本に所在する親会社等の子会社等が所在する国・地域での税負担が最低税率(15%)に至るまで、親会社等に対して追加で上乗せ課税されることになります。当該法律は、日本において2024年4月1日以降開始する連結会計年度から適用されるため、当連結会計年度の法人所得税への影響はありません。また、当連結会計年度より上乗せ課税が適用されるとした場合、当社の連結財務諸表に与える影響は軽微であると合理的に見積っています。
24 1株当たり当期利益
前連結会計年度および当連結会計年度における基本的および希薄化後1株当たり当期利益(親会社の所有者に帰属)は、以下の情報に基づいて算定しています。なお、前連結会計年度および当連結会計年度において、希薄化効果のある重要な潜在的普通株式はありません。
(注) 当社は、2023年9月30日を基準日、2023年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っています。基本的および希薄化後1株当たり当期利益(親会社の所有者に帰属)については、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しています。
25 金融リスク管理
(1) リスク管理に関する事項
当社および連結子会社は、日本をはじめとする世界各国の生産拠点で生産活動を行っており、その製品および部品を複数の国で販売しています。その過程において、当社および連結子会社は、事業活動から生じる営業債権、金融サービスに係る債権、営業債務および資金調達に係る債務等を保有し、当該金融商品を保有することで市場リスク、信用リスクおよび流動性リスクにさらされています。
当社および連結子会社は、定期的なモニタリングを通じてこれらのリスクを評価しています。
(2) 市場リスク
当社および連結子会社は、為替または金利の変動により金融商品の公正価値または将来キャッシュ・フローが変動するリスクを有しています。
当社および連結子会社は、主に、為替または金利の変動により将来キャッシュ・フローが変動するリスクを低減するために、為替予約、通貨オプション契約、通貨スワップ契約および金利スワップ契約などのデリバティブ取引を行っています。
デリバティブ取引については、リスク管理方針に従い、実需の範囲で行っています。また、当社および連結子会社は、売買目的でデリバティブを保有していません。
① 為替リスク
当社および連結子会社は、日本をはじめとする世界各国の生産拠点で生産活動を行っており、その製品および部品の多くを複数の国に輸出しています。各国における生産および販売では、外貨建てで購入する原材料および部品や、販売する製品および部品があります。したがって、為替変動は、当社および連結子会社の収益またはその保有する金融商品の価値に影響を及ぼす可能性があります。
為替予約および通貨オプション契約は、外貨建取引(主に米ドル建)の為替レートの変動リスクを管理するために行っています。
(為替感応度分析)
当社および連結子会社が前連結会計年度末および当連結会計年度末において保有する金融商品の為替リスクに対する感応度分析は、以下のとおりです。なお、感応度分析は、為替以外のその他の全ての変数が一定であることを前提として、米ドルに対して日本円が1%円高(上昇)となった場合における税引前利益への影響を示しています。
(単位:百万円)
② 金利リスク
当社および連結子会社は、主に債務契約および金融サービスに係る債権に関連する金利変動リスクを有しています。当社および連結子会社は、コマーシャルペーパーのような短期調達資金に加え、固定または変動金利の長期債務を保有しています。通常、金融サービスに係る債権は、固定金利です。金利スワップ契約については、主に金融サービスに係る債権の金利変動に対するリスクを管理し、金融収益と金融費用を対応させることを目的としています。通貨スワップ契約は、上記の金利スワップ契約を他通貨間で行う際のもので、為替変動リスクのヘッジ機能を併せもつものです。
(金利感応度分析)
当社および連結子会社が前連結会計年度末および当連結会計年度末において保有する金融商品の金利リスクに対する感応度分析は、以下のとおりです。なお、感応度分析は、金利以外のその他の全ての変数が一定であることを前提として、金利が100ベーシス・ポイント上昇した場合における税引前利益への影響を示しています。
(単位:百万円)
③ 株価リスク
当社および連結子会社は、市場性のある資本性証券を保有していることから価格変動リスクを有しています。市場性のある資本性証券は、売買以外の目的で保有しており、主にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
(3) 信用リスク
当社および連結子会社は、相手方が債務を履行できなくなることにより、財務的損失を被るリスクを有しています。デリバティブ以外の金融資産については、与信管理規程に従ってリスクの低減を図っています。また、デリバティブについては、契約相手を既定の信用基準に該当する国際的な有力銀行や金融機関に限定することでリスクの低減を図っています。
当社および連結子会社の信用リスクは、主に、金融サービスに係る債権に関して発生しています。顧客に対する金融債権に係る信用リスクは、一般的な経済動向によって影響を受けることがあります。失業率の上昇などの経済情勢悪化は貸倒れのリスクを高め、中古車価格の下落は、担保の回収による補填金額を減少させる可能性があります。当社の金融子会社は、信用リスクに影響を与えると考えられる審査基準のモニタリングおよび見直し、見積損失を考慮した契約金利の設定、損失を最小化する回収努力を通じ、顧客に対する金融債権に係る信用リスクに対処しています。販売店に対する金融債権に係る信用リスクは、販売店の財務体質、担保の価値、販売店の信用力に影響を与える可能性のある経済要因などにより影響を受けます。当社の金融子会社は、融資前に実施する販売店の財務体質の包括的な審査、支払実績と既存の融資に対する弁済能力の継続的なモニタリングなどを通じ、直面する信用リスクに対処しています。
また、当社および連結子会社は、さまざまな保証契約を結んでいます。これらの契約には販売店に対する貸出コミットメントおよび従業員の銀行住宅ローンに対する保証が含まれます。当社の金融子会社は、販売店に対する貸出コミットメント契約に基づき、貸付金の未実行残高を有しています。これらの貸出コミットメント契約には、貸出先の信用状態等に関する審査を貸出の条件としているものが含まれるため、必ずしも貸出実行されるものではありませんが、貸出実行後に販売店が債務を履行できなくなることにより、財務的損失を被るリスクを有しています。また、従業員が銀行住宅ローンについて債務不履行に陥った場合、当社および連結子会社は、保証を履行することが要求されます。当連結会計年度末において、従業員は予定された返済を行えると考えられるため、当該支払義務により見積られた損失はありません。
① 信用リスク・エクスポージャー
前連結会計年度末および当連結会計年度末における支払期日を過ぎた金融サービスに係る債権の年齢分析は、以下のとおりです。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
前連結会計年度末および当連結会計年度末における顧客に対する金融債権のうち小売金融の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 当社の金融子会社は小売金融に係る債権の予想信用損失を集合的に測定しており、当該債権の残高を信用リスクごとの等級に直接配分していないことから、小売金融に係る債権について予想信用損失モデルのステージ毎の総額を表示しています。
当社の金融子会社は、販売店毎に各社の財政状態などを踏まえて等級を設定しています。等級については、少なくとも年に一度見直しを行い、リスクの高い販売店については、より高い頻度で見直しを行っています。
以下の表は、販売店に対する金融債権および貸出コミットメントの残高を、等級を基にグループA、グループB、2つのグループに分類して表示しています。リスクの低い販売店に対する残高をグループAに分類し、残りの残高をグループBに分類しています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における、販売店に対する金融債権の残高および貸出コミットメントに対する割引前の将来最大支払額の等級別の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
前連結会計年度末における、従業員の銀行住宅ローンに対する割引前の将来最大支払額は、5,988百万円です。
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末における、従業員の銀行住宅ローンに対する割引前の将来最大支払額は、5,034百万円です。
② 保証として保有している担保
当社の金融子会社は顧客に対する金融債権については、通常、販売した製品を担保として保有しています。販売店に対する金融債権については、販売した製品に加えて、販売店のその他の資産を担保として保有しています。担保が信用リスクをどの程度軽減しているかは、担保回収時の未回収債権残高に対する、担保の価値に影響されます。帳簿価額を上回る部分を除くと、前連結会計年度末および当連結会計年度末における信用減損した顧客に対する金融債権に対する担保の見積公正価値は、それぞれ概ね帳簿価額の80%、80%であり、信用減損した販売店に対する金融債権に対する担保の見積公正価値は、それぞれ概ね帳簿価額の100%、100%です。担保が信用リスクをどの程度軽減しているかは、担保を回収できるか否かにも影響されます。
(4) 流動性リスク
当社および連結子会社は、コマーシャルペーパーの発行、銀行借入金、ミディアムタームノート、社債の発行、金融債権の証券化およびオペレーティング・リース資産の証券化等により資金を調達しており、資金調達環境の悪化などにより支払期日にその支払を実行できなくなるリスクを有しています。
当社および連結子会社は、事業活動のための適切な資金確保、適切な流動性の維持および健全なバランスシートの維持により、流動性リスクに対処しています。
生産販売事業における必要資金については、主に営業活動から得られる資金、銀行借入金、社債の発行およびコマーシャルペーパーの発行などによりまかなっています。また、顧客および販売店に対する金融サービスにおける必要資金については、主にミディアムタームノート、銀行借入金、金融債権の証券化、オペレーティング・リース資産の証券化、コマーシャルペーパーの発行および社債の発行などによりまかなっています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における当社および連結子会社のコマーシャルペーパープログラムおよびミディアムタームノートプログラムに関する発行限度額のうち、未使用の金額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
これらのプログラムにより、当社および連結子会社は市中金利で資金調達を行うことが出来ます。
当社および連結子会社は、景気後退による市場の縮小や金融市場・為替市場の混乱などにより、流動性に一部支障をきたす場合に備え、継続的に債務を借り換えているコマーシャルペーパーについて、代替流動性として十分な契約信用供与枠(コミットメントライン)を有しています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における当社および連結子会社の金融機関からの契約信用供与枠(コミットメントライン)のうち、未使用の金額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
通常、この契約信用供与に基づく借入は、プライムレート(最優遇貸出金利)で行われます。
(金融負債の満期分析)
① デリバティブ以外の金融負債
前連結会計年度末および当連結会計年度末における非デリバティブ金融負債の期日別の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
その他の金融負債には、リース負債が含まれています。前連結会計年度末および当連結会計年度末のリース負債の期日別の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
② デリバティブ金融負債
前連結会計年度末および当連結会計年度末におけるデリバティブ金融負債の期日別の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
26 公正価値
(1) 公正価値ヒエラルキーの定義
当社および連結子会社は、公正価値の測定に使われる評価手法における基礎条件を次の3つのレベルに順位付けしています。
レベル1 測定日現在において入手しうる同一の資産または負債の活発な市場における公表価格
レベル2 レベル1に分類される公表価格以外で、当該資産または負債について、直接または間接的に市場で
観察可能な基礎条件
レベル3 当該資産または負債について、市場で観察不能な基礎条件
これらの基礎条件に基づき測定された資産および負債の公正価値は、重要な基礎条件のうち、最も低いレベルの基礎条件に基づき分類しています。なお、当社および連結子会社は、資産および負債のレベル間の振替を、振替のあった報告期間の期末日に認識しています。
(2) 公正価値の測定方法
資産および負債の公正価値は、関連市場情報および適切な評価方法を使用して決定しています。
資産および負債の公正価値の測定方法および前提条件は、以下のとおりです。
(現金及び現金同等物、営業債権、営業債務)
これらの公正価値は、短期間で決済されるため、帳簿価額と近似しています。
(金融サービスに係る債権)
金融サービスに係る債権の公正価値は、主に類似の残存契約期間の債権に対し適用される直近の利率を使用し、将来のキャッシュ・フローを現在価値に割引くことによって測定しています。したがって、金融サービスに係る債権の公正価値の測定は、レベル3に分類しています。
(負債性証券)
負債性証券は、主に投資信託、社債、地方債およびオークション・レート・セキュリティで構成されています。
活発な市場のある投資信託の公正価値は、市場における公表価格に基づいて測定しています。したがって、活発な市場のある投資信託の公正価値の測定は、レベル1に分類しています。
社債や地方債の公正価値は、金融機関等の独自の価格決定モデルに基づき、信用格付けや割引率などの市場で観察可能な基礎条件を用いて測定しています。したがって、社債および地方債の公正価値の測定は、レベル2に分類しています。
当社の連結子会社が保有するオークション・レート・セキュリティはA格からAAA格で、保証機関による保険および教育省や米国政府による再保険がかけられており、約95%は米国政府によって保証されています。オークション・レート・セキュリティの公正価値は、市場で観察可能な基礎条件に加えて、各オークションの成立確率のような市場で観察不能な基礎条件を用いる、第三者機関の評価を使用しています。したがって、オークション・レート・セキュリティの公正価値の測定は、レベル3に分類しています。
(資本性証券)
活発な市場のある資本性証券の公正価値は、市場における公表価格に基づいて測定しています。したがって、活発な市場のある資本性証券の公正価値の測定は、レベル1に分類しています。
活発な市場のない資本性証券の公正価値は、主に割引キャッシュ・フロー法、類似企業比較法またはその他の適切な評価方法を用いて測定しています。したがって、活発な市場のない資本性証券の公正価値の測定は、レベル3に分類しています。なお、活発な市場のない資本性証券について、取得原価が公正価値の最善の見積りを表す場合には、取得原価をもって公正価値としています。
レベル3に区分された資本性証券の公正価値の測定に関する重要な観測不能な基礎条件は、割引キャッシュ・フロー法においては将来キャッシュ・フローの見積りおよび割引率、類似企業比較法においては類似企業の株価純資産倍率です。公正価値は将来キャッシュ・フローの増加(減少)、割引率の低下(上昇)および類似企業の株価純資産倍率の上昇(低下)により増加(減少)します。当該公正価値測定は、適切な権限者に承認された連結決算方針書に従い、当社および連結子会社の経理部門担当者等が評価方法を決定し、公正価値を測定しています。
(デリバティブ)
デリバティブは、主に為替予約、通貨オプション契約、通貨スワップ契約および金利スワップ契約で構成されています。
為替予約および通貨オプション契約の公正価値は、為替レートや割引率、ボラティリティなどの市場で観察可能な基礎条件に基づいて測定しています。通貨スワップ契約および金利スワップ契約の公正価値は、金利や為替レートなどの市場で観察可能な基礎条件を使用し、将来のキャッシュ・フローを現在価値に割引くことによって測定しています。したがって、デリバティブの公正価値の測定は、レベル2に分類しています。
デリバティブの評価については、契約相手先の信用リスクを考慮しています。
(資金調達に係る債務)
資金調達に係る債務の公正価値は、条件および残存期間の類似する債務に対し適用される現在入手可能な利率を使用し、将来のキャッシュ・フローを現在価値に割引くことによって測定しています。したがって、資金調達に係る債務の公正価値の測定は、主にレベル2に分類しています。
(3) 経常的に公正価値で測定する資産および負債
前連結会計年度末および当連結会計年度末における経常的に公正価値で測定する資産および負債の測定値の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
前連結会計年度において、レベル1とレベル2の間の振替はありません。
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度において、レベル1とレベル2の間の振替はありません。
前連結会計年度および当連結会計年度における経常的に公正価値により測定するレベル3の資産および負債の増減は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 前連結会計年度および当連結会計年度の純損益に含まれる利得または損失は、連結損益計算書の金融収益及び金融費用 その他(純額)に含まれています。
2 前連結会計年度および当連結会計年度の資本性証券のその他の包括利益に含まれる利得または損失は、連結包括利益計算書の純損益に振り替えられることのない項目のその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の純変動に含まれています。
(4) 償却原価で測定する金融資産および金融負債
前連結会計年度末および当連結会計年度末における償却原価で測定する金融資産および金融負債の帳簿価額と公正価値は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
上記の表には、償却原価で測定する金融資産および金融負債のうち、帳簿価額が公正価値と近似するものを含めていません。
27 金融資産および金融負債の相殺
前連結会計年度末および当連結会計年度末における金融資産および金融負債の相殺に関する情報は、以下のとおりです。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
金融資産および金融負債の相殺の要件を満たさないため相殺していない金融商品に関する相殺の権利は、通常、倒産その他の事由により取引先が債務を履行できなくなるなどの特定の状況が発生した場合にのみ強制力が生じるものです。
28 契約残高および偶発債務
(1) 契約
(発注契約)
前連結会計年度末および当連結会計年度末における設備投資の発注残高およびその他契約残高は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(2) 損害請求および訴訟
当社および連結子会社は、さまざまな訴訟および損害賠償請求の潜在的な義務を負っています。当社および連結子会社は、経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、かつ、その債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に、引当金を計上しています。当社および連結子会社は、定期的に当該引当金を見直し、訴訟および損害賠償請求の性格や訴訟の進行状況、弁護士の意見などを考慮して、当該引当金を修正しています。
製造物責任(PL)または個人傷害に関する損害賠償請求または訴訟に関して、当社および連結子会社は、一般的な損害や特別な損害について原告側が勝訴した判決による債務および裁判のための費用は、保険および引当金で十分に賄えるものと考えています。いくつかの訴訟では懲罰的な損害賠償が申し立てられています。
弁護士と相談し、現存する訴訟および損害賠償請求に関連する知る限りの全ての要素を考慮した結果、これらの訴訟および損害賠償請求は当社および連結子会社の財政状態および経営成績へ重要な影響を与えるものではないと考えています。
(エアバッグインフレーターに関連する損失)
当社および連結子会社は、エアバッグインフレーターに関連した市場措置を実施しています。当該案件に関連し、経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、かつ、その債務の金額について信頼性をもって見積ることができる製品保証費用について、引当金を計上しています。新たな事象の発生等により追加的な引当金の計上が必要となる可能性がありますが、現時点では、将来の引当金の金額、発生時期を合理的に見積ることができません。
29 ストラクチャード・エンティティ
当社および連結子会社は、IFRS第10号「連結財務諸表」に基づき、ストラクチャード・エンティティに対する支配についての検討を行っています。当社および連結子会社は、ストラクチャード・エンティティに対する支配の有無を、議決権または類似の権利の保有割合に加え、投資先に対する契約上の取決めなどを勘案して総合的に判定し、支配を有するストラクチャード・エンティティを連結しています。
当社の金融子会社は、流動性の確保および資金調達の目的で、定期的に金融債権およびオペレーティング・リース資産の証券化を行っています。証券化された資産は、資産担保証券を発行することを目的に設立したストラクチャード・エンティティに譲渡されます。当社の金融子会社は、金融債権およびオペレーティング・リース資産の受益権に対する支払いの延滞や不履行を含むサービス業務の権利を保持することにより、当該ストラクチャード・エンティティの経済実績にもっとも重要な影響を与える活動を指揮する能力を有していると判断しています。また、当社の金融子会社は、当該ストラクチャード・エンティティの劣後持分の一部を保有することにより、当該ストラクチャード・エンティティの潜在的に重要な損失を負担する義務および様々な便益を享受する権利を有していると判断しています。したがって、当社は当該ストラクチャード・エンティティを実質的に支配しているとみなし、当社が支配を有するストラクチャード・エンティティとして連結しています。
なお、当該資産担保証券の所有者は、業界の慣行において、当社の金融子会社が当該ストラクチャード・エンティティに提供する表明事項および保証事項を除き、当社の金融子会社の債権一般に対して遡及権を有しません。
前連結会計年度末および当連結会計年度末において、重要な連結対象外のストラクチャード・エンティティはありません。
30 関連当事者
(1) 関連当事者との取引
当社および連結子会社は、関連会社および共同支配企業から、原材料、部品およびサービスなどについて仕入れており、また、製品、生産用部品、設備およびサービスなどを売上げています。関連会社および共同支配企業との取引は、独立企業間価格を基礎として行っています。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における関連会社および共同支配企業に対する債権債務の残高は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度および当連結会計年度における関連会社および共同支配企業との取引高は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(未認識のコミットメント)
当社は、2022年8月29日付けでLGエナジーソリューションとの間で合弁契約を締結し、新たに設立されたL-Hバッテリーカンパニー・インコーポレーテッド(当社の関連会社)に対する1,730百万米ドルの出資に合意しました。当社は、前連結会計年度末および当連結会計年度末において、当該合弁契約に基づく出資のコミットメントを、それぞれ1,627百万米ドル、891百万米ドル有しています。
(2) 主要な経営幹部に対する報酬
前連結会計年度および当連結会計年度における当社の取締役および執行役に対する報酬は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(3) 主要な連結子会社
2024年3月31日現在、主要な連結子会社は、以下のとおりです。
(注) 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数です。
31 重要な後発事象
自己株式取得
当社は、2024年5月10日開催の取締役会において、以下のとおり、会社法第459条第1項および当社定款第36条の規定に基づき、自己株式取得に係る事項について決議しました。
(1) 自己株式の取得を行う理由
資本効率の向上および機動的な資本政策の実施など
(2) 取得に係る事項の内容
① 取得対象株式の種類 普通株式
② 取得し得る株式の総数 180,000千株(上限)
(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 3.7%)
③ 株式の取得価額の総額 300,000百万円(上限)
④ 取得期間 2024年5月13日から2025年3月31日まで
⑤ 取得方法 東京証券取引所における市場買付
1 自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による買付け
2 自己株式取得に係る取引一任契約に基づく市場買付け
32 連結財務諸表の発行の承認
連結財務諸表の発行は、2024年6月19日に当社の取締役 代表執行役社長である三部敏宏および取締役 執行役常務 最高財務責任者である藤村英司によって承認されています。