第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 東京オリンピック・パラリンピックの入札に関する独禁法違反容疑において、皆様に多大なるご心配及びご迷惑をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます。

 

(1)経営の基本方針

 当社は、2013年4月より「イベントを通じて自らを含む周囲の幸福を実現し、笑顔のある明るい社会づくりに貢献する」ことを経営理念としてまいりました。これを実現するために、当社を取り巻く株主・顧客・取引先・社員などのステークホルダーと良好な互恵関係を築くことをすべての活動の起点としてきました。今後も時代に即した対応を行っていくことで、社会に信頼され、ステークホルダーと共に成長を続けられる「イベント・ソリューション・パートナー」を目指してまいります。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 当社の事業活動の目的は、直接体験の場であるイベントを通じて、世の中に当社がなければあり得なかった、楽しいこと、新しいことを人々にたくさん提供することで、笑顔や感動を創出し、顧客の目的実現に向けたソリューションを実現していくことにあります。

 一方、東京オリンピック・パラリンピックに関する独禁法違反容疑において、官公庁からの指名停止措置等は受注活動に大きな影響がありました。

 厳しい状況下にあるものの、中長期的かつ持続的成長を実現するために、下記の方法で競争優位性の追求と社会課題の解決に努めてまいります。

①事業基盤再建のため、各拠点のマネジメントを徹底します。

②顧客の信頼を得るため、自ら課題解決し様々な提案を行う自走式人材の育成に注力します。

③企業の信頼性の向上のため、コンプライアンスの徹底とガバナンスの強化を図ります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)サステナビリティに関する「ガバナンス」及び「リスク管理」

 ①ガバナンス(基本姿勢)

 当社は、持続可能な社会の実現が人類共通の最重要課題であることを認識し、すべての企業活動に

おいて、社員一人ひとりがステークホルダーとの信頼関係に基づく互恵関係を大切にし、責任ある行

動を行います。

 とくに業務の中核を成すイベント制作に対しては「ISO20121:イベントにおける持続可能性に関する

マネジメントシステム」を順守いたします。社会的・環境的・経済的にネガティブな影響を最小化

し、ポジティブな影響を拡大することで、イベントに関するサステナビリティの分野において、リー

ダーシップを発揮していくことを確約します。

 ②リスク管理(行動指針)

  a.サステナビリティの実行

 ISO20121 の運用を企画する際には、国際的な共通目標である SDGs(持続可能な開発目標)や社会的

責任の国際標準規格である ISO26000 の原則および中核主題を基に、ESG の視点から実際の企業活動

に関連付けてサステナビリティに関するリスク及び機会を整理・立案し、サステナビリティを実行し

てまいります。

  b.法的及びその他の要求事項の遵守

 企業活動に関わる法規制および社内基準を順守すると共に、ステークホルダーの要求や社会におけ

る合意に対しても公正に対応し、組織運営およびイベント制作の全ての段階に対して継続的な改善に

向けた努力をしていきます。

  c.教育とコミュニケーション

 本指針を全役員・従業員に周知するとともに、教育を行うことで、サステナビリティへの認識を高

め、社会に貢献できる人材を育成します。また、ステークホルダーへの情報開示を積極的に行い、説

明責任を果たすとともに、コミュニケーションを強化し、サステナビリティでのパートナーシップを

推進します。

 

(2)人的資本に関する「戦略」並びに「指標及び目標」

  ①戦略

 社内における組織力を強化するためのポイントは数々ありますが、その中でも「採用」「教育」

「評価」「処遇」については特に重要だと考えています。

  「採用」:イベント業務を支える一番大事な「人」の採用については、新卒・キャリア採用問わ

 ず、積極的に行っています。

  「教育」:新入社員向けの入社後の導入研修やOJT、中堅社員を対象とした企画力強化研修や、役員

 向け研修など、社内外の機会を活用して多様な研修を用意し、研鑽に努めています。

  「評価」:働き方が多様化している現状を踏まえて、新しい人事制度を導入いたしました。

  「処遇」:社員の満足度を図るためのサーベイを定期的に実施しております。社員の配属について

 は、特定の職種において社内公募制度を取り入れています。また、職場環境の改善のための「働き方

 改革プロジェクト」を立ち上げ、幅広く社内のニーズを聴取し、気持ちの良い職場づくりの実現に向

 けて活動をしています。

 

 

  ②指標及び目標

  人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備について、次の指標を用いて

 おります。

  当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2024年3月末までに2019年3月末時点より3%以上向上する(13.1%

12.8%

女性の勤続年数

2024年3月末までに2019年3月末時点の105%以上とする(12年11ヵ月)

13年8ヵ月

時間外労働、休日労働時間

時間外労働、休日労働時間の合計を各月平均44時間以内とする

15.3時間

 

3【事業等のリスク】

 当社の事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社は、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対処に努める所存であります。

 また、文中における将来に関する事項は、発表日現在において当社が判断したものです。

 

(1)イベント開催に対する社会の動向

 イベントは、国内経済政策や企業収益などの社会情勢、地震などの自然災害、細菌・ウイルスなどの感染症等の影響を受けやすい傾向にあります。従いまして、国内市場におけるイベント需要の縮小が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、適時に業務への影響を把握し、発生状況に合わせた対策を策定してまいります。

 

(2)顧客の動向

 当社は、あらゆる私企業、官公庁、各種団体から案件を受注しているため、リスクは分散されておりますが、業界および団体等の景気動向、官公庁の税収等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)保有土地について

 当社は、当事業年度末において、帳簿価額3,310百万円の土地を保有しております。

 2006年3月期より「固定資産の減損に係る会計基準」が適用されており、当社におきましても減損会計を適用しているため、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、当該土地を主として本社並びに物流センター及び支店等として使用しており、現在、売却する予定はありません。

 

(4)人材の確保及び育成について

 当社は、顧客起点の発想で課題発見・課題抽出を行い、現場力で提案・実施を行い課題を解決します。このサービスを提供する優秀な人材の確保・育成は重要な経営課題となっております。

 当社では継続的に採用活動を行い優秀な人材の確保に注力しておりますが、採用が不調の場合には、当社の将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、人事制度の充実を継続してまいります。

 

(5)公的規制に関するリスクについて

 当社では、事業活動を展開する各部門において、様々な公的規制を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合は、当社の活動が制約される可能性や、調査・訴訟等に基づく請求・罰金・課徴金等を受ける可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのような事態を予防すべく当社は、コンプライアンス(法令・規則・ルール等の遵守)を重視するよう、経営陣からの発言及び研修による啓蒙活動を行っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概況

 ①業績

 当社を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され感染防止と社会経済活動の両立を推進する動きが高まっているものの、国際情勢の不安定化による資材価格及びエネルギー価格等の高騰にも注意する必要があります。このような環境において、当社の主要領域におけるイベントは、回復基調にあります。

 しかしながら、売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症の対応案件の減少と、東京オリンピック・パラリンピックに関する独禁法違反容疑において、官公庁からの指名停止措置等の影響により、案件数及び単価が減少いたしました。この結果、10,966百万円の減収となりました。

 費用につきましても、外注費の減少等に伴い、売上原価が7,088百万円減少しました。

 以上の結果、当事業年度の業績は下記のとおりとなりました。

売上高    8,959百万円(前期同期の売上高は19,925百万円)

営業損失      383百万円(前期同期の営業利益は3,022百万円)

経常損失        378百万円(前期同期の経常利益は3,081百万円)

当期純損失      269百万円(前期同期の当期純利益は2,073百万円)

 

 各部門別の状況は次のとおりであります。

〔基本事業部門〕

   新型コロナウイルス感染症の対応案件の減少と、東京オリンピック・パラリンピックに関する

  独禁法違反容疑において、官公庁からの指名停止措置等の影響により、案件数と案件単価が減少

  し、売上高は6,596百万円と前年同期比57.2%の減収となりました。

〔スポーツ事業部門〕

 前年の実績と比較して、案件数は増加したものの案件単価の減少により、売上高は774百万円と前年同期比7.7%の減収となりました。

〔競争事業部門〕

 前年の実績と比較して、大型案件数の減少が影響し、売上高は1,587百万円と前年同期比56.8%の減収となりました。

 

 

 部門別の売上高の明細は次表のとおりであります。

(単位:百万円)

 

部 門

売 上 高

構 成 比

前期比増減

主 要 領 域

基本事業

6,596

73.6%

△8,810

(△57.2%)

各営業拠点が担当する、様々なイベント領域

スポーツ事業

774

8.7%

△64

(△7.7%)

中央競技団体等が開催するスポーツ・競技に関するイベント領域

競争事業

1,587

17.7%

△2,091

(△56.8%)

皇室ご臨席行事を中心とした全国持ち回りで開催されるイベント領域

合   計

8,959

100.0%

△10,966

(△55.0%)

 

 

②財政状態の分析

(資 産)

 当事業年度末の総資産は前事業年度末に比べて2,495百万円減少し、12,152百万円となりました。これは主に現金及び預金が1,656百万円、売掛金が885百万円減少したことによるものであります。

(負 債)

 当事業年度末の負債は前事業年度末に比べて1,719百万円減少し、2,126百万円となりました。これは主に未払金が326百万円、未払法人税等が786百万円、賞与引当金が230百万円減少したことによるものであります。

(純資産)

 当事業年度末の純資産は前事業年度末に比べて775百万円減少し、10,025百万円となりました。これは主に利益剰余金が660百万円減少し、自己株式が133百万円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの分析

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて1,656百万円減少し、6,437百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

    営業活動の結果、支出した資金は1,083百万円(前年同期は1,053百万円の獲得)となりまし

   た。

    これは主に売上債権が871百万円減少した一方、税引前当期純損失が378百万円あったことに加

   え、賞与引当金が230百万円、未払消費税等が348百万円、未払金が388百万円減少し、法人税等の

   支払が781百万円あったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、支出した資金は26百万円(前年同期は82百万円の支出)となりました。

 これは主に無形固定資産の取得による支出が25百万円あったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、支出した資金は545百万円(前年同期は595百万円の支出)となりました。

 これは主に自己株式の取得による支出が139百万円、配当金の支払額が390百万円あったこと等によるものであります。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

  当社で行う事業の性格上、生産実績の記載に馴染まないため、生産実績は記載しておりません。

 

b.受注実績

  当社で行う事業の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、受注実績は記載しておりません。

 

c.販売実績

    当事業年度の販売実績は、以下のとおりであります。

 

当事業年度

(自  2023年4月1日

 至  2024年3月31日)

前年同期比(%)

売上高 合計(百万円)

8,959

45.0

注)最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自  2022年4月1日

 至  2023年3月31日)

当事業年度

(自  2023年4月1日

 至  2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

岐阜県庁

2,530

12.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりで

あります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されて

おります。この財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積りは、「第5

経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 重要な会計方針」に記載のとおりです。

 

②経営成績の分析

(売上高)

売上高は前期に比べ55.0%減の8,959百万円となりました。

主として案件数及び単価が減少しました。その結果、10,966百万円の減収となりました。

(売上原価)

売上原価は前期に比べ54.3%減の5,962百万円となりました。

売上高の減少に伴い、外注費等の経費も減少しました。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は前期に比べ12.3%減の3,379百万円となりました。

主に賞与が減少しました。

(営業外収益及び営業外費用)

営業外収益は前期に比べ85.8%減の8百万円となりました。

前期と比べ主に保険解約返戻金が減少しました。

営業外費用は前期に比べ10.3%増の3百万円となりました。

前期と比べ主に支払手数料が増加しました。

(特別利益および特別損失)

特別利益は当期は発生しませんでした。

特別損失は前期に比べ32.6%減の0百万円となりました。

前期と比べ主に固定資産除却損が減少しました。

(法人税、住民税及び事業税)

法人税、住民税及び事業税は25百万円となりました。

(法人税等調整額)

法人税等調整額は△134百万円となりました。

(当期純利益)

売上高の減少に伴い、売上原価、販売費及び一般管理費も減少、営業損失となり当期純損失は269百万円となりました。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

  当社の資金需要は、営業活動に係る資金支出としてイベント制作等に係る外注費、材料費、経費及び人件費などがあります。

  これらの所要資金については、自己資金及び金融機関からの借入により調達しています。

現状、当社では必要な事業資金は確保されていると認識しております。

 

④目標とする経営指標

 当社では、主要業績指標として、売上高・営業利益・売上高営業利益率・自己資本当期純利益率(ROE)を掲げております。

 当事業年度における売上高は8,959百万円、営業損失383百万円、売上高営業利益率△4.3%、自己資本当期純利益率は△2.6%となりました。

 

 

2023年3月

2024年3月

増減

売上高

19,925百万円

8,959百万円

△10,966百万円

営業利益

3,022百万円

△383百万円

△3,405百万円

売上高営業利益率

15.2%

△4.3%

自己資本当期純利益率(ROE)

20.7%

△2.6%

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 特記事項はありません。