独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

2024年6月19日

株式会社豊田自動織機

取 締 役 会 御 中

P w C Japan 有 限 責 任 監 査 法 人

 

        名古屋事務所

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

公認会計士

小    林    正    英

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

公認会計士

市  原  順  二

 

 

 

<連結財務諸表監査>

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社豊田自動織機の2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表に対する注記について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、株式会社豊田自動織機及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

1.のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産の評価

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、産業車両事業において、エネルギー効率を高めた電動フォークリフトトラックやフォークリフトトラックの次世代モデル、産業車両機器の自動化技術、物流ソリューションに対応するシステム機器などの開発に取り組んでいる。会社は、当事業のさらなる強化を目的として、2018年3月期に物流ソリューション事業をグローバルに展開するVanderlandeグループおよび北米の大手物流システムインテグレーターであるBastianグループを、2023年3月期にドイツの物流システムインテグレーターであるviastoreグループを子会社化した。その結果、2024年3月31日現在、会社は、Vanderlandeグループの取得に伴うのれんおよび耐用年数を確定できない無形資産の残高それぞれ81,017百万円、29,546百万円、Bastianグループの取得に伴うのれんの残高20,407百万円、viastoreグループの取得に伴うのれんの残高27,277百万円を計上している(【連結財務諸表に対する注記】10.のれん及び無形資産)。これらののれんは産業車両事業を資金生成単位グループとして配分されており、Vanderlandeグループの耐用年数を確定できない無形資産はVanderlandeグループを資金生成単位としている。2024年3月期において、産業車両セグメント売上高は2,589,626百万円、セグメント利益は165,616百万円である(【連結財務諸表に対する注記】4.セグメント情報)。

会社は、のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産について、減損の兆候の有無にかかわらず毎年減損テストを実施している。減損テストの回収可能価額は、使用価値に基づき算定している。会社は、使用価値を計算するにあたって、主として経営者が承認した今後5年分の事業計画を基礎とした産業車両事業またはVanderlandeグループのキャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引き、5年超のキャッシュ・フローは、一定の成長率で逓増すると仮定している。事業計画は、顧客の所在地に基づく地域の市場の状況に応じた新製品の投入を含む生産・販売活動上の施策、設備投資計画を踏まえて作成されている。5年超のキャッシュ・フローに係る成長率は、産業車両事業またはVanderlandeグループが属する市場の長期期待成長率を参考に一定の率として決定し、割引率は、産業車両事業またはVanderlandeグループの税引前の加重平均資本コストを基礎に算定している。会社は、これらの仮定が合理的に予測可能な範囲で変動した場合においても、重要な減損が発生する可能性は低いと判断している(【連結財務諸表に対する注記】10.のれん及び無形資産)。

のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産の残高に金額的重要性があること、また減損テストにおける使用価値の算定において、今後5年の事業計画に基づく将来キャッシュ・フローの見積りや成長率、割引率などの仮定が使用されており、これらは経営者による主観的な判断を伴うことから、当監査法人は、のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産の減損を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した

当監査法人は、のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産の減損を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。

・  内部管理目的でモニターされている企業内の最小単位等を考慮し、経営者が識別した資金生成単位グループの適切性を評価した。

・  経営者が承認した今後5年分の産業車両事業に関する事業計画およびVanderlandeグループの事業計画について以下の手続を実施した

過年度の減損の検討において利用された事業計画と実績値を比較した。

 顧客の所在地に基づく地域の市場の状況に応じた生産・販売活動上の施策および設備投資計画を理解し、その理解および過年度の売上高・利益の推移と事業計画との整合性を検討した。

・  5年超のキャッシュ・フローに係る成長率について、以下の手続を実施した

過去の成長率の実績との整合性を検討した。

 市場の長期期待成長率を示す、企業から独立した第三者組織から提供されたデータを考慮したうえで、成長率が合理的に決定されているかを検討した。

・  割引率について、以下の手続を実施した。

割引率が合理的に決定されているかを検討し、割引率の再計算を行った。

割引率の決定にあたって利用される市場データについて、企業から独立した価格ベンダーのデータとの整合性を検討した。

事業価値評価の専門家を利用して、独自に割引率を計算し、経営者が決定した割引率と比較した。

 

 

 

2.出荷停止に伴うその他国内認証関連引当金の評価

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、2024年3月31日現在、引当金85,890百万円を連結財政状態計算書の流動負債に計上している。当該引当金に、2023年3月17日に公表した国内市場向けフォークリフト用エンジン認証に関する法規違反および2024年1月29日に公表したエンジン国内認証に関する調査結果により計上した、出荷停止に伴うその他国内認証関連引当金49,984百万円が含まれている【連結財務諸表に対する注記】16.引当金)。

会社は、出荷停止に伴うその他国内認証関連引当金について、自動車用および産業車両用エンジンの納入先への補償、国内フォークリフト顧客対応費や仕入先への補償など、国内認証問題に起因するフォークリフトおよびエンジンの出荷停止に伴い発生する費用を見積り計上している。その見積額は、月当たりの発生額の見積りを基礎としている(【連結財務諸表に対する注記】16.引当金)。

出荷停止に伴うその他国内認証関連引当金に金額的重要性があること、2024年1月29日に公表したエンジン国内認証に関する調査結果が、連結財務諸表又は監査に重要な影響を与える当連結会計年度に発生した重要な事象に該当すること、引当金の見積りは経営者による主観的な判断を伴うことから、当監査法人は、出荷停止に伴うその他国内認証関連引当金の評価を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した

当監査法人は、出荷停止に伴うその他国内認証関連引当金の評価を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。

 引当金の認識要件に対する経営者の判断の妥当性の検討のため、認識要件に含まれる、自動車用および産業車両用エンジンの納入先および国内フォークリフトの顧客への補償に関する義務を履行するであろうという妥当な期待を生じさせるかについて、自動車用および産業車両用エンジンの納入先および国内フォークリフトの顧客への補償に関する資料を閲覧し、評価した。

 自動車用および産業車両用エンジンの納入先および国内フォークリフトの顧客への補償に関する決裁資料を閲覧するとともに、販売関連部門に対して質問を実施し、経営者が自動車用および産業車両用エンジンの納入先への補償および国内フォークリフト顧客対応費の見積り金額について合理的に見積りを行っているかを検討した。

 前期末の顧客への補償に関する見積金額とその確定額について遡及的に検討し、会計上の見積りの不確実性について検討した。

 引当金の認識要件に対する経営者の判断の妥当性の検討のため、仕入先への補償に関する仕入先への通知資料を閲覧し、補償の履行について妥当な期待を生じさせるという認識要件を充足しているかを評価した。

 仕入先への補償に関する決裁資料を閲覧するとともに、調達関連部門に対して質問を実施し、経営者が補償に要すると見込まれる金額について合理的に見積りを行っているかを検討した。

 前期末の仕入先への補償に関する見積金額とその確定額について遡及的に検討し、会計上の見積りの不確実性について検討した。

 

 

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある

当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない

 

 

<内部統制監査>

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社豊田自動織機の2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った

当監査法人は、株式会社豊田自動織機が2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う

 

 

<報酬関連情報>

当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

 

(注)1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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