文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念に『「サービス先端企業」として、「顧客満足主義の実践」「取引先との相互利益の尊重」「創造的革新の社風創り」の3点を共通の価値観として浸透させ、競争に打ち勝ち、お客様、株主の皆様、そしてすべての取引先の皆様の期待に添うようにチャレンジを続け社会的責任を果たしてまいります。』を掲げております。
国内においては、ペイメント事業やリース事業、ファイナンス事業など、さまざまなビジネスにおいてグループ各社とのシナジーを強化していく一方、お客様に付加価値の高いサービスを提供するため、多種多様な企業との提携ネットワークの充実を図ってまいります。また、グローバル事業においては、進出国の実態に即した金融ビジネスを提供することで地域の経済発展に寄与することを目指してまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「サービス先端企業」を経営理念に、お客様の利便性を徹底的に追求し、系列や業態などの枠組みを超えた多様な提携パートナーとともに革新的なサービスを創造し続けております。当社グループを取り巻く経営環境は、海外の景気下振れがわが国経済に与える影響や物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動影響に留意が必要な状況であることに加えて、先進的テクノロジーの活用や異業種参入によって新たな金融サービスが次々と創出されるなど、企業間競争が激しさを増すものと予想されます。
このような状況において当社グループは、『GLOBAL NEO FINANCE COMPANY ~金融をコアとしたグローバルな総合生活サービスグループ~』を中期経営ビジョンとして掲げ、「Innovative」「Digital」「Global」を基本コンセプトとした2027年3月期までの中期経営計画を策定いたしました。「総合生活サービスグループ」への転換に向けて、グループや提携先と「セゾン・パートナー経済圏」の確立に注力し、グループ企業間の事業シナジーによる他社にはない価値の創造を目指してまいります。加えて、お客様のあらゆる困りごとに、親切に適切に素早く解消することで顧客満足度向上を目指してまいります。また、2021年8月のサステナビリティ推進委員会設置以降、サステナビリティ重要課題の設定、TCFD提言への賛同及びTCFDコンソーシアムへの参画など、グループ全体でさらにサステナビリティ領域の取り組みを深耕させ、今後はサステナビリティ推進部を新設し、今よりもっと便利で豊かな持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上を目指すにあたり、財務の健全性の維持向上を優先課題とし、連結事業利益、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を重要な指標としております。また、信用格付を意識して財務健全性を維持するよう経営してまいります。
・中期経営計画における数値目標 2027年3月期 連結事業利益 1,000億円
・中長期的な経営指標 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 10%超
(4) 事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題
当連結会計年度を終えた時点で、当社グループにおける対処すべき事業上の課題及び諸施策は次のとおりです。
① ペイメント事業の生産性向上
金利や賃金の上昇などの経営環境変化に加え、個別競争から経済圏の競争に変化し、ますます競争環境が激化するペイメント事業においては、生産性を向上させ筋肉質な体制基盤の構築を目指し、組織・業務のシンプル化及び、DXによるオペレーション業務の効率化を進めております。また、市況に合わせたサービス改定や、DX推進によるUIUX改善を強化し、マーケット及び個々のニーズに最適化された金融サービスをグループ一体となって提供することで、お客様の感動体験を追求し、メインカード化を目指してまいります。法人領域においては、SMEマーケット(Small and Medium Enterprises:中小企業)に資源を投下し、資金ニーズに応えるために、ビジネスカードと法人関連商材のクロスセルの取り組みを加速させ、法人マーケットのシェア拡大を目指してまいります。
② ファイナンス事業の健全な成長及び新たな事業領域への進出
ファイナンス事業の健全な成長と事業の多角化を進めており、リース事業は事業者の設備投資計画に合わせてOA通信機器などの提供、新たに厨房機器などのメンテナンス付きリースを推進しております。信用保証事業においては、地域金融機関と提携し資金使途を事業性資金にも広げたフリーローンの信用保証に加え、住宅ローン保証の取り扱いを拡大しております。住宅ローン事業については、「フラット35」のほか、スルガ銀行㈱、auじぶん銀行㈱の銀行代理業としての住宅ローン商品取り扱いを開始いたしました。今後も「フラット35」、投資用不動産の購入をサポートする「セゾンの資産形成ローン」等に加え、新規マーケットへの挑戦を継続することによりさらなる拡大を目指してまいります。
③ グローバル事業のスケールアップ
当社は、グローバル事業をペイメント事業、ファイナンス事業に次ぐ「第三の柱」と位置づけ、インド・東南アジア・ラテンアメリカ地域でレンディング(貸付)事業及びインベストメント(投資)事業を展開しております。
レンディング事業を牽引するインドにおいては、現地のFintech事業者との提携によるシニア資金の提供モデルの拡大に加えて、支店の増設や非金融業者との提携の拡大により、自社で直接お客様へ貸付を行うダイレクトレンディングの強化に取り組んでまいりました。今後も引き続きプロダクトの複線化を推進し収益性の向上を図るとともに、事業全体の拡大を加速してまいります。また2023年に新たに設立したブラジルとメキシコのレンディング子会社においても事業開発・組織体制両面において着実に基盤構築を進めており、今後両国でのビジネスをグローバル事業の次なる柱とすべく、インドの事業モデルやノウハウ・知見を活用し、シンガポール・日本の協力体制のもと事業拡大を推進してまいります。
インベストメント事業においては、シンガポールにあるSaison Capital Pte. Ltd.及びSaison Crypto Pte. Ltd.を通じて、FintechやB2Bコマース及びWeb3領域等における有望なスタートアップやVCファンドへの投資を行っております。今後もVC市場の動向を見極めながら、長期的な目線をもって投資を継続してまいります。
これら各国での取り組みは、ファイナンシャル・インクルージョンや雇用機会創出といった社会課題に直接貢献し得る事業であり、当社は社会・環境におけるポジティブ・インパクトの創出をグローバル事業のテーマに掲げてまいりました。そうした中で、昨年11月にはIHQ(国際統括会社)であるSaison International Pte. Ltd.にて当社グループ初のインパクトレポートを発刊いたしました。今後も本レポートの充実化を図るとともに、ファイナンシャル・インクルージョン並びに国際連合が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みを推進し、世界的な社会課題の解決に貢献してまいります。
④ 与信管理・回収体制強化による債権の健全化及び業務効率化による生産性向上
DX推進によるオペレーション業務の効率化を進め、初期与信・途上与信においては、内外の環境やお客様の状況に応じた適正与信を実施するとともに、モニタリング強化による延滞リスクの抑制を図っております。債権回収においては、お支払い期日までの事前入金訴求によって延滞発生を未然に防止する一方、延滞発生後のお客様に対してはコンタクト及びカウンセリングの強化による、債権保全を行っております。また、不正利用においては、不正検知システムにAI(人工知能)を導入し不正検知の精度向上を図っており、お客様に安心、安全な決済環境を提供するとともに、利便性の高いサービスを提供し顧客満足度の向上を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
ステークホルダーの信頼を得ながら、持続的に成長していくために、クレディセゾングループだからこそできる持続可能な社会発展・課題解決への取り組みを推進しております。
(1)クレディセゾングループのサステナビリティ
基本的な考え方
当社グループは、「サービス先端企業」という経営理念のもと、当社独自のノウハウ、経営資源、そして社員一人ひとりの経験を活かし、クレディセゾングループだからこそできる社会の発展・課題解決に向けて、日々の事業を通じて貢献することで、今よりもっと便利で豊かな持続可能な社会をつくってまいります。
ステークホルダーとの価値共創
社会から必要とされる企業であり続けるためには、ステークホルダーから「何を求められているか」を理解し、サービスや企業活動に反映させていくことが重要だと考えます。ステークホルダーからの意見を常に真摯に受け止め、当社グループの企業価値の向上と持続的成長に結び付けてまいります。
① ガバナンス
気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、社員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、2021年8月からは、サステナビリティ戦略に関する活動の方向性を議論し、代表取締役に答申する機関として「サステナビリティ推進委員会」を新たに設置いたしました。
サステナビリティ活動に関する代表取締役の諮問機関となる本委員会は、持続可能な社会の実現に向けて、グループ全体で事業を通じた社会・環境課題解決への取り組みを強化しております。
代表取締役(兼)社長執行役員COOの参画や、社内外、ジェンダー平等、またグローバル視点を持ったメンバーで構成し、多様な意見の交換を図っております。
本委員会には「気候変動戦略推進WG(※1)」「DE&I推進WG」「Social Impact推進WG」(※2)の3つのWGがあり、本委員会と報告・指示関係のもと、定期的にグループ全体を通じたサステナビリティ戦略及び取り組みを代表取締役に答申の上、必要に応じて取締役会に報告しております。
サステナビリティに関する監督責任については取締役会が監督機関を担っており、取締役、執行役員が参画する「ビジネス戦略委員会」でのサステナビリティ戦略提案や、サステナビリティ情報含む国内外の機関投資家との対話状況の報告などを受け、取締役会がサステナビリティに関する目標達成に向けた監督を行っております。
持続可能な経済発展に向けた事業推進・企業活動へ取り組み、それらと当社 DNA を融合し真にユニークな日本発グローバル企業を創出するため、サステナビリティ推進委員長をグローバル事業管掌の取締役(兼)専務執行役員に変更、また、2024年3月には「サステナビリティ推進部」を新設いたしました。
※1 ワーキンググループ(以下同様)
※2 Social Impact推進に関する取り組み(インパクトレポート):
https://saison-international.com/ja/impact/
サステナビリティ推進体制図
サステナビリティ推進委員会メンバー |
|
委員長 |
森 航介 取締役(兼)専務執行役員 |
委員 |
水野 克己 代表取締役(兼)社長執行役員COO |
大槻 奈那 社外取締役 |
|
田畑 隆紀 常務執行役員 |
|
安森 一惠 常務執行役員 |
|
三坂 直樹 執行役員(兼)経営企画部長 |
|
若松 夕香 サステナビリティ推進部長 |
サステナビリティ推進委員会メンバーのポイント
・委員長は、グローバルな視点から持続可能な経済発展に向けた事業推進・企業活動に取り組むことができる取締役であること
・代表取締役(兼)社長執行役員COOも参画していること
・ブランディング戦略部、経営企画部、戦略人事部、サステナビリティ推進部、グローバル事業部等をはじめとする多様な部門を担当するメンバーであること
・客観的・中立的な立場で意見をいただくために、社外取締役も委員会メンバーであること
・専門分野において助言や提言をいただくために第三者機関にも参画いただくこと
② リスク管理
リスク管理については、「リスク管理委員会」及びリスク統括部を中心として、リスク発生の予防及び顕在化による当社への影響の極小化に努めております。そのため、「リスク管理規程」「損失の危険の管理に関する規程」及び「危機管理規程」に基づき、社員に対して定期的な社内教育・訓練を行い、リスク管理体制の維持に努めております。また、当社グループ内に内在する諸問題又は重大なリスクを伴う統制事項については、グループ戦略部を中心としてグループ各社の業務執行状況を監督するとともに、グループ各社の主管部門と情報共有を行っております。
気候変動リスク、人的資本や人権への対処に関するリスク、グローバルビジネスにおけるESG投資リスクなどサステナビリティを巡るリスクについては、「サステナビリティ推進委員会」を中心としてリスクの極小化と機会獲得に向けた方針・戦略を策定することに加えて、取り組みに関するモニタリング管理を行う体制になっております。
サステナビリティ推進委員会の事務局であるサステナビリティ推進部が中心となり、監査部、経営企画部、戦略人事部やリスク統括部と連携しながら定期的に各種リスク・機会の見直しを実施します。
(2)気候変動への対応(TCFD提言及び新たなISSBの基準に基づく情報開示)
世界では、気候変動をはじめとする環境課題が深刻化しております。
日本国内でも異常気象による大規模自然災害が発生し大きな影響をもたらすなど、気候変動は企業にとって看過できない状況となっております。このような中、気候変動問題をサステナビリティ経営上の重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しております。
当社は、事業における環境負荷の軽減に努めるとともに金融商品などを通じて社会全体の環境負荷軽減にも積極的に取り組んでおります。また、赤城自然園の運営を通じて環境保全活動も推進しております。
TCFD提言及び新たなISSBの基準に沿った情報開示
当社は、2022年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明するとともに、賛同企業や金融機関が議論する場である、TCFDコンソーシアムに参画いたしました。また、TCFD提言及び新たなISSBの基準に基づき、気候変動への対応に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」についての情報開示にも対応いたしました。今後も、情報開示と気候変動への対応を推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスはクレディセゾングループのサステナビリティのガバナンスに組み込まれております。詳細については「
② 戦略
将来の気候変動が当社事業にもたらす影響について、TCFD及び新たなISSBが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、外部環境の変化を予測し分析を実施いたしました。
当社は、事業活動を通じて気候変動の緩和と適応を行いながら持続的成長を目指すことが重要であると認識し、気候変動対応を経営上の重要課題と位置付けております。気候関連リスクの顕在化に伴う外部環境や業務環境の変化をあらかじめ想定し、リスク事象を洗い出すことで、当社への影響を特定・評価しております。なお、シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照しており、今後もさまざまな動向を踏まえ定期的に分析を行い、評価の見直しと開示情報の拡充を進めてまいります。
影響の区分 |
収益に対する比率 |
金額 |
利益に対する比率 |
金額 |
大 |
10%以上 |
322億円~ |
30%以上 |
182億円~ |
中 |
5%以上10%未満 |
161~321億円 |
15%以上30%未満 |
91~181億円 |
小 |
5%未満 |
~160億円 |
15%未満 |
~90億円 |
※2022年度 当社グループ連結経営成績をベースに算出
リスク・ 機会種類 |
リスク・ 機会項目 |
事業インパクト |
事業インパクト指標 |
影響額 |
影響度 |
時間軸 |
|
リスク |
移行リスク |
政策・ 法規制 |
温暖化対策税等の引き上げ |
販管費への影響 |
約3.8億円 |
小 |
短期~長期 |
炭素税導入により建築資材が 高騰し、不動産の取得額が増加 |
収益・資産への影響 |
約15.6億円 |
小 |
短期~長期 |
|||
建築物省エネ法、ZEB等の対応 |
収益・資産への影響 |
約32.5億円 |
小 |
短期~長期 |
|||
市場 |
エネルギー価格の上昇 |
販管費への影響 |
約2.1億円 |
小 |
短期~長期 |
||
消費者行動の変化による製品及びサービスに対する需要減少 |
収益・資産への影響 |
約2.7億円 |
小 |
長期 |
|||
物理的リスク |
急性 物理的 リスク |
風水害激甚化による建物損壊、 休業による売上減少 |
本社・営業部門・ データセンター等の資産及び事業収益 への影響 |
約2.5億円 |
小 |
短期~長期 |
|
慢性 物理的 リスク |
気温上昇に伴う農業・水資源・ 健康等への影響に起因する マクロ経済の悪化 |
貸倒コストへの影響 |
約40億円 |
小 |
短期~長期 |
||
平均気温上昇による熱中症頻発、冷房使用による電力コストの増加 |
販管費への影響 |
約1.1億円 |
小 |
短期~長期 |
|||
機会 |
エネルギ|源 |
温室効果ガス排出ゼロ |
温室効果ガス排出ゼロの達成による炭素税非課税 |
販管費への影響 |
約3.8億円 |
小 |
短期~長期 |
市場 |
サステナブル志向の高い会員増加による営業指標への影響 |
当社では、日本の2050年カーボンニュートラル目標に向け、企業と個人の共創による脱炭素社会の実現を目指し、2022年6月から日本で初めて、カーボンニュートラル視点のクレジットカード「Saison Card for becoz(=be co2 zero) 」の発行を開始しました。 カード会員は、㈱DATAFLUCTのアプリケーションプラットフォーム内で、カードの決済データからご利用カテゴリ毎のCO2排出量が可視化され、会員による脱炭素に向けた行動変容の動機付けが行われます。 日常生活での購買活動を通じてCO2排出量を可視化し、利用者の環境課題への意識向上につなげようとする姿勢が評価され2023年3月、日本経済新聞社主催の「NIKKEI脱炭素アワード2022」(プロジェクト部門)大賞と、FINOLAB主催の金融イノベーションを表彰する「JapanFinancialInnovationAward 2023」の大賞を受賞しました。 カード発行後1年を迎えた2023年6月には、ご利用額に応じて、クレディセゾンが運営する赤城自然園(群馬県渋川市)の環境保全活動に参画できる取り組みもスタートさせるなど、サービスの拡充を図っています。 本クレジットカードの発行と利用促進により、サステナブルな意識の高い将来世代が、脱炭素社会の実現に向け行動変容が行われCO2排出量が削減されることに加え、クレジットカードの利用による長期的な収益貢献が期待されます。また、現時点では、収益評価をしておりません。 |
- |
短期~長期 |
※2022年度グループ実績をベースに一部限定的な範囲で算出
③ リスク管理
気候変動に関するリスク管理はクレディセゾングループのサステナビリティのリスク管理に組み込まれております。詳細については「
④ 指標と目標
Scope測定対象とする連結グループ各社のうち、当連結事業年度の純収益の95%超を占める6社にて測定しております。
目標についてはSBT(Science Based Targets)を参考に設定しております。また、算定及びTCFD開示フレームワークに基づく各種取り組みは、㈱ウェイストボックスの協力を得ております。
なお、上記①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標と目標に記載の情報は、企業サイト内「TCFD提言に沿った情報開示(※3)」、毎年秋頃発刊予定の統合レポート(※4)から抜粋しております。
詳細な開示情報は以下URLから参照ください。
※3 企業サイト内「TCFD提言に沿った情報開示」
(2022年6月開示:2020年度実績/2023年6月開示:2021年度実績/2024年6月開示:2022年度実績)
https://corporate.saisoncard.co.jp/sustainability/environment/tcfd/
※4 統合レポート(次回発刊予定:2024年秋頃)
https://corporate.saisoncard.co.jp/ir/integrated_report/
(3)人的資本
① 戦略
当社グループは、「総合生活サービスグループへの転換~リアルとデジタルの融合でカスタマーサクセスを実現~」を中期の経営ビジョンとして掲げ、お客様のあらゆる「困りごと」を適切かつ迅速に解消することをモットーとして新たな価値創造に取り組んでおります。それらの実現に向けた、経営基盤の最も重要な資産の一つは「人財」であるという認識のもと、価値創造し続ける人財創出を目指し、以下3つを強化ポイントとして取り組みを進めております。
・“多様な人財が個の強みを活かして活躍できる環境作り”
・“失敗を恐れずチャレンジし、失敗を許容する組織風土醸成”
・“主体的に学び成長する人財への教育支援”
・多様な人財が個の強みを活かして活躍できる環境作り
当社では、1980年代から社員の多様性尊重し、一人ひとりの強みや能力・経験が最大限に発揮されるよう、さまざまな人事制度を導入してきました。
2023年12月には、各組織の自律的な組織改善と効果的な人事施策実行を目指し、全社員対象のエンゲージメントサーベイを導入しました。社員のエンゲージメントを注視しながら、組織・人財活性に向けた効果的な施策の検討・実行を続けております。
2021年8月に設置した「サステナビリティ推進委員会」では、本委員会内にDE&I推進WG(ワーキンググループ)を発足しました。2024年1月には全社イベント「『全員活躍』を考えようWEEK」を開催し、ゲストインタビューやパネルディスカッションを通して社員自らがDE&I推進の重要性を考える機会を設けるなど多様性受容の組織風土醸成に向けた取り組みを進めております。
女性活躍推進においては、当社社員の約7割を占める女性社員が、より発言力のある役割を担い会社に貢献することを当社の重要戦略の一つと捉え、2024年度末までに女性管理職比率25%を目指し2023年度中に目標を達成しましたが、引き続き推進いたします。
取り組みの一環として、例えばキャリアサポート関連では育児と仕事の両立支援セミナーの実施、希望する時期に復職できるよう企業主導型保育園マッチングサービス「子育てみらいコンシェルジュ」の導入と活用、女性特有の健康課題に関する勉強会を実施しております。また、法定基準を上回る育児休業制度を導入するほか、性別にかかわらず誰もが積極的に育児参加できる職場風土を目指し、2024年度末までに男性育児休業取得率100%を目指し取り組みを進めております。
新たな価値創造が創出されやすい組織を創るべく、専門職などのキーポストにおける高度専門人財の積極的なキャリア採用も行っており、2023年度はエンジニア学生の採用も実施しております。多様な経験・スキル・価値観を持つ人財が当社で働くことに魅力を感じることができるよう、社会情勢を踏まえ副業、テレワーク、フレックス勤務など柔軟な働き方の制度を整えるとともに、専門人財の処遇制度改定などを行っております。
当社の成長戦略の一つであるグローバル事業においては、現地採用をメインに多様な国籍のメンバーを採用しており、2024年3月末時点で連結子会社を含む海外拠点に1,000名を超える社員が在籍しております。経営陣についても、現地の優秀な人財を積極的に登用し、現地主導の事業運営を推進しております。また、グループ全体の一体感によるシナジー創出を目的に、多様な価値観の交流の場「SAISON GLOBAL SUMMIT」を年に1度開催しております。そこでは、各海外拠点メンバーを交えた事業内容共有をはじめ、礼拝室の設置や食文化への配慮を通じた宗教に対する理解醸成や通訳による言語対応などを行い、率先したDE&I推進に取り組んでおります。
・失敗を恐れずチャレンジし、失敗を許容する組織風土醸成
社員一人ひとりの多様なチャレンジを認め、失敗が許容される信頼性を確保し、パフォーマンスを最大限引き出すことを目指したさまざまな取り組みを行っております。
2023年4月にアセスメントプログラムの受験資格条件を見直し、対象者を拡大し、立候補制に変更しました。これにより、社員が自らの意志でキャリアアップに挑戦でき、さらなる企業成長につながることを期待しております。また、関連する施策として2021年からスタートした「NEXT SAISON」では、幹部の率先垂範を目的に、社内外問わずあらゆる課題解決に向けたテーマを選定し、一般社員とともに施策の立案からリリースに向けた取り組みを行っております。幹部との交流を通して、経営者視点での考え方も学ぶことができます。また、ボトムアップで社員がアイデアを提案し、事業化する社内ベンチャープログラム「SWITCH SAISON」を2019年から開催しており、累計約1,000件の応募の中から4つの事業化提案が採用されております。
さらに、キャリア自律人財を後押しすべく、これまで以上に社内公募を活性化しており、経営戦略に基づき、当社が注力する事業領域、新規事業、そしてグループ会社を対象に社内公募を展開しております。毎回応募数は100名近くに及び、多くの社員が異動を実現させ、グループ会社含めた新しいフィールドで挑戦・活躍しております。
・主体的に学び成長する人財への教育支援
新たな事業領域に展開していくにあたって、社内で専門性を高めるだけでなく、会社の枠を超えて、多様な経験、視点を養う必要があります。社員が、自分自身のキャリアについて必要な能力やスキルを取得するための学びを実践し、自分の強みを活かしながら次なるステップへと進んでいくことを後押ししております。
直近では、2017年、さらに2022年9月に人事制度を一部リニューアルするなど、常にすべての社員が働きやすく、やりがいのある企業を目指して取り組んでおります。2022年人事制度改定においては、大きく2点の改定を行いました。
1つ目は、マネジメントを主な役割とする「課長職」と同列に、個人の強みやスキル・経験を活かして活躍する新たなキャリアパス「スペシャリスト職」を新設し本格運用を開始したことであります。昨今、自身の強みや適性を深く掘り下げ、キャリア形成していきたいと考える人が増えております。専門性の高いスキルや知識をより一層発揮してもらうために、発言権と責任を与えて会社に貢献することを期待しております。
2つ目は、「課長相当職」「係長相当職」に就くジョブグレードヘの昇格にあたり「アセスメントプログラム」を組み込みました。特に課題発掘や対人協働といったあらゆる側面から個人の能力を可視化します。それにより自身の強みや今後啓発すべき能力を明確にし、能力開発の精度を向上させるとともに、主体的に学びが促進されることを目指します。
上記を後押しする施策の一つとして、一人ひとりが定着させたいコンピテンシーに合わせた研修を自由に受講できる制度として「選択型研修」を導入しております。期待役割に応える行動発揮及び自ら学ぶことを習慣化し、社員と会社の成長につながることを期待しております。そして、手を挙げた社員が、自身が持つ専門・得意領域のスキルや知識について自ら講座内容を設計し、講師となって授業を行う「セゾンの学び」も2022年より実施しております。
また、市場・業界やお客様の消費動向などが急速に変化する時代に新しいアイデアや課題の解決手段を考えるために、デジタル技術やデータを活用できることが重要と位置づけ、デジタル人財の育成を推進し、2024年度に1,000名を目指します。
これらの他、変化に強い「人」と「組織」を創り出していくために、逆境において力強く組織を牽引する能力(レジリエンス)を重視し、2022年から役員を対象にレジリエンスプログラムを実施しております。役員及び部長職が率先垂範し、身体力・情動力・思考力・精神力の4つの活力を高める習慣を身に付け、組織に波及させることで、社員がよりイキイキと幸せに働き続けられることを目指して活動を行っております。
このような取り組みをグループ各社への波及・浸透させ、新しい価値を創造する人財を育成し、当社グループで働くことが社員にとって成長とやりがいを実感でき、失敗を恐れずチャレンジし続けられる環境を作ってまいります。
② 指標と目標
多様性
項目 |
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23年度実績 |
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育成
項目 |
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23年度実績 |
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(注)上記の②指標と目標は、当社単体における指標及び目標であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済環境など外部環境に関するリスク
a.経済環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復が続いております。一方、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分に留意する必要があります。
当社は「サービス先端企業」を経営理念に、お客様の利便性を徹底的に追求し、系列や業態などの枠組みを超えた多様な提携パートナーと共に革新的なサービスを創造し続けております。当社グループを取り巻く経営環境は、海外景気の下振れがわが国経済に与える影響や金融資本市場の変動影響に留意が必要な状況であることに加えて、先進的テクノロジーの活用や異業種参入によって新たな金融サービスが次々と創出されるなど、企業間競争が激しさを増すものと予想されます。このような経営環境の中、当社グループは、『総合生活サービスグループへの転換~リアルとデジタルの融合でカスタマーサクセスを実現~』を中期経営ビジョンとして掲げ、「Innovative」「Digital」「Global」を基本コンセプトとした、「総合生活サービスグループ」への転換に向けて、グループや提携先と「セゾン・パートナー経済圏」の確立に注力し、グループ企業間の事業シナジーによる他社にはない価値の創造を目指しております。加えて、お客様のあらゆる困りごとを、親切に適切に素早く解消することで顧客満足度向上に努めております。既存事業においては、「ペイメント事業の再生」「ファイナンス事業の健全な成長及び新たな事業領域への進出」「グローバル事業の展開加速」を重点方針とする成長戦略を実行し、更なる成長拡大を図っております。
b.競争環境
ペイメント業界では、規制緩和及び技術の進展により異業種からの新規参入等で競争が激化するとともに、競合他社との戦略の差別化が難しくなっており当社グループが競争に十分対応することができない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このような環境下において、生産性を向上させ筋肉質な体制基盤の構築を目指し、組織・業務のシンプル化及び、DXによるオペレーション業務の効率化を進めております。また、市況に合わせたサービス改定や、DX推進によるUIUX改善を強化し、マーケット及び個々のニーズに最適化された金融サービスをグループ一体となって提供することで、お客様の感動体験を追求し、メインカード化を目指してまいります。法人領域においては、SMEマーケット(Small and Medium Enterprises:中小企業)に資源を投下し、資金ニーズに応えるために、ビジネスカードと法人関連商材のクロスセルの取り組みを加速させ、法人マーケットのシェア拡大を目指してまいります。住宅ローンを含む不動産ファイナンス市場は、非常に多くの金融機関などが参加しているため、取引条件やサービス品質などにおいて、厳しい競争環境に置かれております。競合他社がマーケットシェア拡大などのために、収益性を度外視した顧客に有利な取引条件の提示やサービスを提供した場合、当社グループのマーケットシェアの低下や営業収益が不安定になり、業績の悪化を招く可能性があります。
当社グループにおける不動産関連事業においては、グループ各社の強みを活かした役割分担によってマーケットをカバーし、不動産金融における「機会」と「リスク」を捉えたバランス&積極推進により、富裕層向けの新規商材の開発など新たな事業領域へ進出してまいります。
c.各種規制及び法制度の変更
当社グループは、現時点の規制に従って、また、規制上のリスクを伴って業務を遂行しております。当社グループの事業は、会社経営に係る一般的な法令諸規則のほか、金融関連法令諸規則の適用を受けておりますが、これらの法令諸規則は将来において改正もしくは解釈の変更や厳格化、又は新たな法的規制によって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、規制の変更等が発生した場合は、当該変更に則った社内体制、ルール、運用の検討、整備等を行っております。また、規制の変更等により一定のサービスを停止せざるを得ない状況になった場合でも、業績に与える影響を軽減させるため、法令を遵守し、新たな規制に則したサービスの開発を迅速に対応する態勢を構築してまいります。
d.海外事業展開
当社グループは、ペイメント、ファイナンス事業と並ぶ第三の柱として、レンディング(貸付)及びインベストメント(投資)をコアとしたグローバル事業を推進しております。当社が事業を展開するインド、東南アジア、およびラテンアメリカ地域においては、市場動向、競合会社の存在、政治、経済、法律、文化、宗教、習慣、為替、その他のさまざまなカントリーリスクが存在しております。また法律・規制の変更や予期せぬ政治・経済の不安定化などにより、当社グループの事業活動が期待どおりに展開できない、もしくは事業の継続が困難となり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、複数の国・地域への進出を行うことで特定の国へのカントリーリスクを分散させるとともに、IHQであるSaison International Pte. Ltd.が中心となり、定期的に所在国のリスク分析及び現地関係会社の詳細なモニタリング体制の構築並びにモニタリングを実施することによってリスクの軽減を図っております。
e.大規模災害の発生
当社グループは、国内外の各地域において事業を行っておりますが、これらの地域で、地震等の大規模な自然災害により、保有する資産への物理的な損害、社員への人的被害があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、不測の事態に備えたBCPプランを策定しており、定期的に実効性の確認、教育、訓練を実施しております。特に、当社グループの主要な事業であるペイメント事業については、社会的インフラとして継続したサービス展開が必要であることを踏まえ、オーソリゼーションシステムを関東と関西に分散することでクレジットカードが利用できる環境を整備するなどの対応を実施しております。
f.気候変動の影響
気候変動による自然災害の激甚化や生態系の変化等は、地球環境や経済に重大な影響を与えるおそれがあり、持続可能性の観点から当社でも主要なリスクとして認識しております。気候変動への対応遅延などにより、当社グループの信用やブランドが悪化することに伴う取扱高の減少や資金調達コストの上昇、台風・豪雨など異常気象による顧客の家計や業績悪化に伴う貸倒コストの増加などにより、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、2021年より「サステナビリティ推進委員会」を設置し、持続可能な事業運営への取り組みを強化しております。また、2022年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、賛同企業や金融機関が議論する場であるTCFDコンソーシアムに参画しております。今後もTCFD提言に基づき、気候変動への対応に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について情報開示を推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
g.アンチ・マネーローンダリング
国際的に核・ミサイルやテロの脅威が増す中、犯罪者・テロリスト等につながる資金を断つことは、日本及び国際社会がともに取り組まなくてはならない課題であり、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下「マネロン対策」という。)の重要性はこれまでになく高まっております。マネロン対策が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社及び当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社及び当社グループは、国内外において事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用及びそれに基づく国内外の監督官庁による監督を受けており、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、マネロン対策の更なる強化を継続的に実施してまいります。
(2) 財務面に関するリスク
a.資金調達
当社グループの主な資金調達方法は、銀行など金融機関からの借入金のほか、社債やコマーシャル・ペーパー(CP)の発行など資本市場からの調達になります。調達方法の中には、短期借入金やCPなど調達期間が一年以内のものが相当額あり、また一年以内に返済・償還予定の長期負債もあることから、当社グループ固有の要素(業績悪化や信用格付の格下げなど)や外部の要素(経済・金融危機や自然災害など)などさまざまな要因によって流動性リスクが増加すると、事業活動や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、資金調達のうち長期化・固定化を一定割合維持するとともに、コミットメントラインなど流動性補完枠の設定や、社債や債権流動化など直接調達の実行による多様化を推進し、流動性リスクの軽減に努めております。
b.マーケットリスク
当社グループは上場会社・非上場会社の株式、ベンチャー企業投資ファンド、債券、不動産及び不動産ファンドなどへの投資を行っております。これらの投資資産の価格が市場において下落した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、資金調達においては、銀行などの金融機関からの借入れによる間接金融のほか、社債など直接金融を利用しておりますが、その中には変動金利による調達もあり、マーケットにおいて金利が急激に上昇する場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではRCM(リスクキャピタル・マネジメント)やALM(資産及び負債の総合的管理)を導入しており、これらの手法を活用することで、投資の方針や限度額を設けることや調達金利の長期化・固定化を一定割合に維持することで急激な金利上昇に備えることに加え、有価証券やデリバティブ取得時の事前審査、継続的なモニタリングを行っております。また、取締役会やALM委員会において、短期的な視点のみならず中長期的な視点に立ち、あらゆる角度から分析を行い、当社グループが保有するマーケットリスクを適切にコントロールしております。
c.金融商品の減損(貸倒引当金)
当社グループは各事業においてさまざまな融資を行っており、多数の顧客に対する債権を保有しております。国内外の経済環境(景気後退に伴う雇用環境、家計可処分所得、個人消費)等の状況の変化により、多くの顧客において契約条件に従った債権の返済がなされず、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、信用リスクに関する管理諸規程に従い、継続的な債権内容の健全化に努めており、与信限度額、信用情報管理、内部格付けなど与信管理に関する体制を整備し、運営していることに加え、債権状況モニタリング等の与信管理体制を強化しております。これにより、将来貸し倒れるであろう金額を適切に見積り、貸倒引当金として計上することで、信用リスクの高まりに対する業績への急激な影響を防いでおります。
d.利息返還損失引当金
国内の当社グループにおいて過去に弁済を受けた利息制限法に定められた利息の上限金利を超過する部分に対して、顧客より不当利得として返還を請求される場合があります。これに備えて、当社グループでは利息返還損失引当金を計上しておりますが、今後、経済状況が大きく変化し、過払い請求件数や処理単価が想定以上に増えること、もしくは、法的規制の動向等によって当該返還請求が予想外に拡大することによって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、過去の返還実績等を慎重に検討するだけでなく、利息返還の請求動向について将来の経済状況も見据えながら考慮した上で、現時点において必要とされる引当額を計上し、想定外の事象が発生した場合にも耐え得るように備えております。
e.のれんの減損
当社グループは、連結財務諸表についてIFRSを適用しております。日本基準ではのれんの償却が規則的に行われるため、時の経過に伴いのれんの残高は減少し減損リスクも小さくなりますが、IFRSでは定期的にのれんの償却が行われないため、将来にわたって減損リスクが残り続けることになり、M&Aなどにより新たなのれんが発生すると、その都度のれんの残高は増加し続け、減損処理を行った際に当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、RCMにより投資限度額を設定することで、過度なリスクを取らない仕組みを設けるとともに、投資段階では買収価格の妥当性について主管部門と専任部門による審議を行い、出資後においても買収時の収支計画実現に向けたフォローアップや経営環境の定期的なモニタリングを行っております。
(3) 業務面に関するリスク
a.主要提携先との関係
当社グループでは、多数の企業や団体との業務提携を通じ、会員獲得やサービス商品販売チャネルの拡大・多角化を行っております。また提携先の一部と出資関係を結んでおり、当社グループ及び提携先の顧客基盤等を双方で活かした事業展開を行っております。各提携先との事業は、当社グループの重要な事業戦略である一方、提携先の業績悪化や提携先との業務提携の条件変更や提携解消が行われた場合には当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、既存の提携先とのリレーションの強化を行うとともに、多様な業種・業界のパートナーと新規アライアンスを進めることで、特定の提携先に依存することのないビジネスモデルを構築してまいります。
b.システムリスク
当社グループの主要な事業は、コンピュータシステムや通信ネットワークを使用し、大量かつ多岐にわたるオペレーションを実施しており、システムの不具合、通信回線の障害などによりシステムが機能不全に陥った場合には、事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは日頃よりシステムの安定稼働の維持に努めるとともに、重要なシステムについてはバックアップを確保する等、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定し、対応の手順の策定や定期的な訓練等を実施しております。
c.情報セキュリティリスク
当社グループの主要な事業は、コンピュータシステムを使いカード会員情報等の個人情報を大量に保有しており、近年深刻化するサイバーセキュリティ上の脅威から、システムの機能不全だけでなく個人情報や機密情報などが漏えいする等のリスクがあります。仮に、このようにリスクが顕在化した場合、信用低下や損害賠償等により当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティインシデント対応として、「サイバーセキュリティ対応チーム」を設置し、平時においては、インシデント対応の手順の策定や定期的な訓練等、インシデント発生時の対応に必要な事前準備及び予防策を実施しております。また、インシデント発生時においては、当該チームによりインシデントの判断・トリアージ・インシデントレスポンス等、必要な対応を迅速に実施できる体制を構築しております。また、近年被害が拡大しているランサムウェアなどによる攻撃への対策も複合的に取り組みを進めています。
d.個人情報の漏えい等
当社グループは、カード会員情報等の個人情報を大量に保有しており、個人情報保護法が定めるところの個人情報取扱事業者にあたることから、個人情報の漏えいや不正利用などの事態が生じた場合、個人情報保護法の規定に違反したとして勧告、命令、罰則処分を受ける可能性があります。これにより、当社グループに対する信頼性が著しく低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、個人情報保護法に定められたとおり、個人情報について適切な保護措置を講ずる態勢を整備し、適切な情報の取り扱いを行っております。
e.コンプライアンス
当社グループは、事業活動を行う上で、会社法をはじめとする会社経営に係る一般的な法令諸規制や、銀行法・金融商品取引法・割賦販売法・貸金業法・保険業法等の金融関連法令を含む国内外の法令諸規制の適用、さらには監督官庁の監督を受けております。今後、仮に法令違反等が発生した場合には、行政処分やレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、法令諸規制を遵守すべく、コンプライアンス態勢構築及び内部管理態勢の強化を図っており、経営者のコンプライアンス意識の再認識のもと、継続した社員教育の実施及び業務実施状況のモニタリングを行うなど予防策を講じております。また、当社グループでは内部通報制度を整備し、法令遵守違反・経営者及び社員による不正行為、不祥事・潜在的な利益相反等に対し、早期に発見することに努め、迅速な対応を図っております。
f.事務リスクの顕在化
当社グループは、事業運営において社員が手作業による大量の事務処理を行っております。これらの多様な業務の遂行に際して、社員による過失等に起因する不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。今後、仮に重大な事務リスクが顕在化した場合には、損失の発生、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各業務の事務取扱を定めたマニュアルを制定し、事務処理状況の定期的な点検を行うとともに、社員の誤謬・不正を防止し、継続した社員教育の実施及び業務実施状況のモニタリングを行うなど予防策を講じているほか、早期発見するための内部通報制度に係る規程類を整備、運用しております。特に財務報告に関わる業務については、「財務報告に係る内部統制管理規程」等を定め、財務報告に係る内部統制の整備・運用及び評価のための態勢整備を努めるとともに、内部統制の有効性評価の重要性について、評価対象部門担当者への意識付けを行い、内部統制の実効性を高めております。さらに、手作業による大量の事務処理が必要な業務については、随時システム化するとともに、システム化できない作業については、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの導入による事務処理の自動化を推進しております。
g.人材の育成及び確保
当社グループでは、顧客に付加価値の高いサービスを提供するとともに、先進的な商品・サービスを開発するために、多様な人材を採用し育成をすることに努めております。当社グループに必要な人材の獲得が困難である場合や、人材の社外流出が生じた場合、業務運営や当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、多様な人材を確保するため、社員のニーズに応じた働き方を選択できるようテレワークや短時間勤務、副業などの制度を用意しております。また当社においては、雇用形態を統一し、すべての社員に公平な機会を提供する一方、スペシャリスト・エキスパート制度など社員それぞれの能力や特徴を活かせる人事制度を採用することで、優秀な人材の確保を行っております。加えて、ライフワークフルネスの実現に向け「自己啓発・自己研鑽」「不妊治療」のために活用できる休暇・休職制度を導入いたしました。教育面ではアセスメントプログラム、新規事業提案制度や手挙げ選択式の研修プログラム、年代別キャリア形成セミナーなど育成・キャリアを支援する制度を導入しております。また、公募を軸とする社員希望に基づいた人員配置など長期的かつ多角的な育成・キャリア形成に取り組める環境を整え「挑戦する文化」を創っております。
h.レピュテーションリスク
当社及び当社グループに関連するネガティブな評判・風評が拡散された場合、その内容の真偽に関わらず、当社グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、こうした風説・風評の早期発見に努めるとともに、その影響度・拡散度等の観点から適時かつ適切に対応することで、影響の極小化を図るよう対策を講じてまいります。
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、今後のグローバル展開拡大への取り組みに伴い、損益管理区分の見直しを行い「ペイメント事業」に含まれていたグローバル展開に関する事業及び関係会社について「グローバル事業」として独立して記載する方法に変更し、さらに、各セグメントの業績をより適切に評価するために、金融費用の配賦方法を変更し、合理的な基準に基づき各報告セグメントへ配賦しております。当該セグメント変更に伴い、前連結会計年度の情報は、変更後の報告セグメント区分に組み替えて表示しております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復が続いております。一方、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分に留意する必要があります。
当社は「サービス先端企業」を経営理念に、お客様の利便性を徹底的に追求し、系列や業態などの枠組みを超えた多様な提携パートナーとともに革新的なサービスを創造し続けております。当社グループを取り巻く経営環境は、海外景気の下振れがわが国経済に与える影響や金融資本市場の変動影響に留意が必要な状況であることに加えて、先進的テクノロジーの活用や異業種参入によって新たな金融サービスが次々と創出されるなど、企業間競争が激しさを増すものと予想されます。このような経営環境の中、当社グループは、『総合生活サービスグループへの転換~リアルとデジタルの融合でカスタマーサクセスを実現~』を中期経営ビジョンとして掲げ、「Innovative」「Digital」「Global」を基本コンセプトとした、「総合生活サービスグループ」への転換に向けて、グループや提携先と「セゾン・パートナー経済圏」の確立に注力し、グループ企業間の事業シナジーによる他社にはない価値の創造を目指しております。加えて、お客様のあらゆる困りごとを、親切に適切に素早く解消することで顧客満足度向上に努めております。既存事業においては、「ペイメント事業の再生」「ファイナンス事業の健全な成長及び新たな事業領域への進出」「グローバル事業の展開加速」を重点方針とする成長戦略を実行し、更なる成長拡大を図っております。
また、当社は2021年9月に策定したデジタルトランスフォーメーション戦略(CSDX戦略)における取り組みが評価され、2023年5月に経済産業省と東京証券取引所が選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」に選定されております。2023年12月にシステム開発プロセスでの成果や課題を踏まえ、全社員がDX推進に携わることができる新たな開発体制の構築を目指し、CSDX戦略をアップデートいたしました。社員が自ら手挙げで参加でき、データ活用などのデジタル技術に関する知識を習得するデジタル認定制度の開講や、事業ごとの特性や解決したい課題内容に合わせて、専門的な知識やスキルが不要な「ノーコード・ローコード開発」を活用していく体制の構築を目指してまいります。また、文章の要約や企画アイデアの検討に役立つAIアシスタント「SAISON ASSIST」を内製開発し、全社員を対象に提供することで、生成AIの活用を軸とした業務プロセスの見直しや新たなサービス創出に向けた取り組みを開始しております。
今後、更なる感動体験の創出に向けて、デジタルを活用した新たなお客様体験の提供や、デジタル人材によるイノベーションの創出に向けて取り組んでまいります。
さらに、バンクとノンバンク双方の強みを融合させた新しいビジネスモデルを創出することで、両社の中長期的な企業価値の向上を目指すべく、2023年5月にスルガ銀行㈱と資本業務提携契約を締結いたしました。2023年10月よりスルガ銀行㈱が取り扱う住宅ローンの保証を当社が行う取り組みを開始し、さらに、スルガ銀行㈱を所属銀行とする銀行代理業委託契約を締結し、2024年3月よりスルガ銀行㈱の住宅ローンの取り扱いを開始しております。今後も両社のリテールノウハウを最大限活用し、金融分野におけるあらゆる「困りごと」や「不」(不安、不便、不満等を意味します。)の問題に対するソリューションの提供を目指してまいります。
2023年8月より、CO2排出量削減に向けコールセンター機能・オペレーション業務を行う「東京ユビキタスビル」における使用電力の全量について、トラッキング付非化石証書を活用した実質再生可能エネルギー由来100%の電力 への切り替えを実施しており、これらの導入により、当社が2022年6月から開示を始めた「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示」における当社グループ6社の2030年GHG排出量削減目標42%のうち12%を削減できる計画となっております。加えて、2021年8月のサステナビリティ推進委員会設置以降、サステナビリティ重要課題の設定、TCFD提言への賛同及びTCFDコンソーシアムへの参画など、グループ全体で事業を通じた社会・環境課題解決への取り組みを強化した結果、当社は、世界最大規模の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用しているESG総合指数「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に初めて選定されました。今後も、グループ全体でさらにサステナビリティ領域の取り組みを深耕させ、今よりもっと便利で豊かな持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
(a)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して4,397億47百万円増加し、4兆3,358億52百万円となりました。これは主に、ショッピング取扱高の増加及びレンディング事業拡大に伴う貸付残高増加等により営業債権及びその他の債権が3,540億54百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して3,221億77百万円増加し、3兆6,182億40百万円となりました。これは主に、社債及び借入金が2,436億21百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末と比較して1,175億70百万円増加し、7,176億11百万円となりました。これは主に、利益剰余金が614億39百万円増加したこと及びスルガ銀行㈱を処分先とする第三者割当による自己株式の処分等により、自己株式が149億1百万円減少したことによるものです。
(b)経営成績
当連結会計年度における経営成績は次のとおりです。なお、純収益は収益から原価を控除して算出した指標であり、事業利益は当社グループが定める経常的な事業の業績を測る利益指標です。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へ移行されたことに伴い、経済活動の回復、個人消費の持ち直しの動きが続き、「ペイメント事業」「ファイナンス事業」「グローバル事業」が伸長した結果、純収益は3,616億4百万円(前期比12.1%増)、事業利益は719億41百万円(前期比18.0%増)、スルガ銀行㈱への持分法適用開始に伴う負ののれん発生益の影響等により親会社の所有者に帰属する当期利益は729億87百万円(前期比67.4%増)となりました。
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(単位:百万円) |
(単位:円) |
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純収益 |
事業利益 |
税引前利益 |
親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
基本的1株当たり 当期利益 |
当連結会計年度 |
361,604 |
71,941 |
97,952 |
72,987 |
453.08 |
前連結会計年度 |
322,638 |
60,977 |
61,044 |
43,599 |
278.92 |
伸び率 |
12.1% |
18.0% |
60.5% |
67.4% |
62.4% |
当連結会計年度におけるセグメントの業績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、今後のグローバル展開拡大への取り組みに伴い、損益管理区分の見直しを行い「ペイメント事業」に含まれていたグローバル展開に関する事業及び関係会社について「グローバル事業」として独立して記載する方法に変更し、さらに、各セグメントの業績をより適切に評価するために、金融費用の配賦方法を変更し、合理的な基準に基づき各報告セグメントへ配賦しております。
上記セグメント変更に伴い、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメント区分に組み替えて 表示しております。
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(単位:百万円) |
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純収益 |
事業利益 |
||||
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
伸び率 |
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
伸び率 |
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ペイメント |
220,222 |
235,237 |
6.8% |
10,141 |
19,270 |
90.0% |
リース |
12,049 |
12,544 |
4.1% |
5,182 |
4,355 |
△16.0% |
ファイナンス |
50,754 |
58,502 |
15.3% |
22,211 |
28,265 |
27.3% |
不動産関連 |
24,177 |
23,942 |
△1.0% |
13,064 |
16,407 |
25.6% |
グローバル |
11,368 |
27,208 |
139.3% |
9,039 |
2,478 |
△72.6% |
エンタテインメント |
6,214 |
6,319 |
1.7% |
719 |
1,079 |
50.1% |
計 |
324,786 |
363,754 |
12.0% |
60,359 |
71,856 |
19.0% |
調整額 |
△2,148 |
△2,150 |
- |
618 |
84 |
- |
連結 |
322,638 |
361,604 |
12.1% |
60,977 |
71,941 |
18.0% |
(注)各セグメントの純収益及び事業利益は、セグメント間取引消去前の数値を記載しております。
<ペイメント事業>
他社のポイント戦略や異業種参入などにより競争環境が激化しているペイメント事業において、AMEXブランド拡販に加えて、新たなカードビジネスモデルの確立としてGOLDカード戦略に重点を置き、ペイメント事業の強化に取り組んでおります。個人領域においては、お客様に選ばれるメインカードを目指し、当社の強みである幅広いアライアンスに「新たなロイヤリティサービス」を加え、新プロダクトとして、2022年7月より「SAISON GOLD Premium」、2023年3月より「JQ CARDセゾンGOLD」の募集活動を本格化しております。また、公益財団法人日本サッカー協会(以下「JFA」という。)と、2023年から8年間の「JFA メジャーパートナー」契約を締結し、既に発行しているサッカー日本代表を応援するクレジットカード「JAPANカードセゾン」を、2023年11月にさまざまなサービスが加わった新たなクレジットカード「SAMURAI BLUE カード セゾン」にリニューアルして新規募集を開始いたしました。また、2024年1月よりセゾン投信㈱と連携し、セゾン投信㈱が提供する投資信託の積立投資を、当社発行のセゾンカード・UCカードで決済できるサービスを開始いたしました。さらに、2024年1月より、大和コネクト証券㈱と連携し提供している当社発行のクレジットカードでの積立投資サービスの上限額を、新NISA制度移行後の非課税保有限度額拡大に合わせて拡大いたしました。法人領域においては、SME(Small and Medium Enterprises:中小企業)マーケットに資源を投下し、ビジネスカードと法人関連商材のクロスセルの取り組みを加速させることで法人マーケットのシェア拡大を目指しております。
<今年度の新たな取り組みの一例>
・2023年4月より、お客様ご自身やご家族の将来のためになる終活に関するさまざまな困りごとや悩みごとを気軽に相談いただけ、お客様へ適切な解決策を提供するトータルサポートサービス「セゾンの相続」を提供開始
・2023年5月より、順天堂大学医学部附属順天堂医院と連携し、先進の遺伝関連ドックや会員様一人ひとりに綿密な医療サポートを行う会員制医療クラブ「セゾンマイドクター」を設立し、会員募集を開始
・2023年7月より、ブロードマインド㈱と連携し、オンライン上でファイナンシャルプランナーの指名や面談予約ができるオンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」を提供開始
・2023年9月より、スマートフォンを活用した新たな顧客コミュニケーションの創出を目的に、「もっと身近にセゾンカードを。」をコンセプトとしたセゾンカードLINE公式アカウントを開設。ご利用状況の確認や各種お手続きがLINE上で可能なサービスを提供開始
・2023年11月より、JFAと連携して「JAPANカードセゾン」をリニューアルし、カード会員様限定のチケット販売枠ご案内や限定イベントへのご招待など、利用額に応じた特典を提供する「SAMURAI BLUE カード セゾン」の募集を開始
・2023年12月より、これから増加が見込まれる外国人留学生や労働者など、日本に在住される外国籍の方のニーズに応えるため、母国語による言語サポートや、スルガ銀行㈱と連携し「外国籍のお客様専用銀行口座」をご案内できる家賃保証プラン「セゾンの家賃保証・外国籍プラン」を提供開始
・2023年12月より、スルガ銀行㈱にて法人のお客様を対象に、業務効率化や、資金繰り、未回収リスクの改善にお応えできるよう開発した、後払い決済・請求代行サービス「セゾンインボイス」の紹介業務を開始
・2024年1月より、セゾン投信㈱と連携し、セゾン投信㈱が提供する投資信託の積立投資を、当社発行のクレジットカードで決済できるサービスを開始
・2024年1月より、大和コネクト証券㈱と連携し、提供している当社発行のクレジットカードでの積立投資サービスの上限額を、新NISA制度移行後の非課税保有限度額拡大に合わせて拡大し提供開始
・2024年1月より、管理会社への早期精算と入居者様の多様な支払方法のニーズに応えるべく、賃貸物件の入居初期費用をカード決済できるサービス「セゾンの住まい決済サポート」を提供開始
・2024年2月より、スルガ銀行㈱にて、中小企業の事業者を対象に、企業の福利厚生サービスとして、全国25,000以上の施設を割引価格で使える充実した「セゾンフクリコ」の紹介業務を開始
上記のような諸施策に取り組んだ結果、当連結会計年度における主要指標は、新規カード会員数は172万人(前期比1.2%増)、カード会員数は2,462万人(前期末比1.6%減)、カードの年間稼動会員数は1,372万人(前期比0.7%減)となりました。また、ショッピング取扱高は5兆6,876億円(前期比7.6%増)、カードキャッシング取扱高は1,659億円(前期比1.7%減)、ショッピングのリボルビング残高は4,534億円(前期末比10.8%増)、カードキャッシング残高は1,897億円(前期末比3.6%増)となりました。
当連結会計年度における純収益は、2,352億37百万円(前期比6.8%増)、事業利益は192億70百万円(前期比90.0%増)となりました。
(A) 取扱高
|
|
(単位:百万円) |
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
カードショッピング |
5,287,073 |
5,687,693 |
カードキャッシング |
168,785 |
165,968 |
証書ローン |
3,044 |
2,554 |
プロセシング・他社カード代行 |
2,893,873 |
3,016,958 |
ペイメント関連 |
155,307 |
229,431 |
ペイメント事業計 |
8,508,083 |
9,102,607 |
(注)上記の区分別取扱高の内容及び範囲、主な手数料等の状況は次のとおりであります。
カードショッピング |
取扱高は、当社が発行するクレジットカードによるカード会員のショッピング利用額であります。カードショッピングにより得られる主な手数料〔主要な料率〕は、カード会員がリボルビング払い等を利用した場合の会員(顧客)手数料〔クレジット対象額に対して実質年率9.6%~15.0%〕、加盟店より得られる加盟店手数料〔クレジット対象額の平均料率1.3%〕であります。 |
カードキャッシング |
取扱高は、当社グループが発行するクレジットカード又はローン専用カードによるカード会員のキャッシング利用額であります。カードキャッシングにより得られる主な手数料〔主要な料率〕は、利息〔融資額に対して実質年率2.8%~18.0%〕であります。 |
証書ローン
|
取扱高は、当社グループがカードキャッシング以外で直接会員又は顧客に金銭を貸付ける取引における融資元本の期中平均残高であります。主な手数料〔主要な料率〕は、利息〔融資額に対して実質年率3.8%~17.4%〕であります。 |
プロセシング・ 他社カード代行 |
取扱高は、当社がプロセシング業務を受託している会社のカードによるショッピング利用額及び、当社ATM機の利用について提携している他社カードのカード会員のキャッシング利用額であります。手数料については提携会社より得られる代行手数料等であります。 |
(B) 純収益
|
|
(単位:百万円) |
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
カードショッピング |
143,024 |
152,143 |
カードキャッシング |
24,741 |
25,166 |
証書ローン |
412 |
344 |
プロセシング・他社カード代行 |
27,213 |
27,829 |
業務代行 |
5,286 |
5,790 |
ペイメント関連 |
17,580 |
21,491 |
金融収益 |
586 |
741 |
セグメント間の内部純収益又は振替高 |
1,377 |
1,730 |
ペイメント事業計 |
220,222 |
235,237 |
(C) 会員数及び利用者数
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
クレジットカード発行枚数(枚) |
25,034,225 |
24,628,919 |
利用者数 |
|
|
カードショッピング(人) |
9,318,543 |
9,076,546 |
カードキャッシング(人) |
557,981 |
573,888 |
証書ローン(人) |
9,188 |
8,219 |
プロセシング・他社カード代行(件) |
32 |
16 |
ペイメント関連(人) |
99,472 |
142,221 |
(注)1 クレジットカード発行枚数は自社カードと提携カードの発行枚数の合計であります。
2 利用者数は主として2023年3月及び2024年3月における顧客に対する請求件数であります。
<リース事業>
事業者の設備投資計画に合わせ、OA通信機器や厨房機器などを中心に営業を推進しております。既存主力販売店への営業活動深耕・関係構築に加え、新商品であるメンテナンス付リースの取扱高が好調に推移し、当連結会計年度における取扱高は1,468億円(前期比15.8%増)、純収益は125億44百万円(前期比4.1%増)となりました。一方、市況の変化に伴い貸倒コストが増加した結果、事業利益は43億55百万円(前期比16.0%減)となりました。
(A) 取扱高
|
|
(単位:百万円) |
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
リース |
126,787 |
146,819 |
(注)上記の区分別取扱高の内容及び範囲、主な手数料等の状況は次のとおりであります。
リース |
当社が顧客に事務用機器等を賃貸するファイナンス・リース取引であり、取扱高の範囲はリース契約額であります。主な手数料〔主要な料率〕は、リース契約残高に含まれる利息〔リース契約期間に応じてリース取得価額の1.4%~4.6%〕であります。 |
(B) 純収益
|
|
(単位:百万円) |
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
リース |
12,048 |
12,542 |
セグメント間の内部純収益又は振替高 |
1 |
1 |
リース事業計 |
12,049 |
12,544 |
(C) 利用者数
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
リース(件) |
436,501 |
447,481 |
(注) 利用者数は主として連結会計年度末における残高保有件数であります。
<ファイナンス事業>
信用保証事業、ファイナンス関連事業から構成されております。信用保証事業では、金融機関向け「住宅ローン保証」が好調に推移し、保証商品のラインナップを広げるとともに、地域金融機関等とのきめ細かな連携体制の構築に努めました。その結果、当連結会計年度における保証残高(金融保証負債控除前)は5,577億円(前期末比30.6%増)、提携先数は合計で404先(前期末差2先増)となりました。
ファイナンス関連事業では、「フラット35」及び「セゾンの資産形成ローン」については従来同様、良質な資産の積み上げに取り組みました。「フラット35」については、長期金利上昇に伴い固定金利型住宅ローン市場の融資実行金額が、前期比として56.1%減少する中、当連結会計年度の実行金額は1,204億円(前期比31.6%減)、サービシング債権残高等は1兆3,734億円(前期末比2.5%増)となりました。「セゾンの資産形成ローン」については、当連結会計年度の実行金額は991億円(前期比1.0%増)、貸出残高は7,292億円(前期末比1.7%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度におけるファイナンス事業の債権残高は1兆1,847億円(前期末比6.9%増)、当連結会計年度における純収益は585億2百万円(前期比15.3%増)、事業利益は282億65百万円(前期比27.3%増)となりました。
※固定金利型住宅ローン市場の動向については、独立行政法人住宅金融支援機構が開示している「[フラット35]の申請戸数等について」を参照しております。
(A) 取扱高
|
|
(単位:百万円) |
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
信用保証 |
190,920 |
264,015 |
ファイナンス関連 |
1,077,675 |
1,115,979 |
ファイナンス事業計 |
1,268,596 |
1,379,995 |
(注) 上記の区分別取扱高の内容及び範囲、主な手数料等の状況は次のとおりであります。
信用保証 |
提携金融機関が行っている融資に関して、当社グループが顧客の債務を保証する取引であり、取扱高の範囲は保証元本であります。主な手数料〔主要な料率〕は、保証残高に対して得られる保証料〔平均保証料率6.1%〕であります。 |
ファイナンス関連 |
当社グループが直接顧客に金銭を貸付ける取引等であり、取扱高の範囲は融資元本の期中平均残高であります。主な手数料〔主要な料率〕は、不動産融資におきましては利息〔融資額に対して実質年率1.4%~15.0%と諸手数料(融資額の3.0%以内)〕であります。 |
(B) 純収益
|
|
(単位:百万円) |
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
信用保証 |
17,250 |
19,124 |
ファイナンス関連 |
33,504 |
39,377 |
ファイナンス事業計 |
50,754 |
58,502 |
(C) 利用者数
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
信用保証(件) |
246,775 |
243,311 |
ファイナンス関連(件) |
82,982 |
82,914 |
(注)1 信用保証は連結会計年度末における残高保有件数であります。
2 ファイナンス関連は主として2023年3月及び2024年3月における顧客に対する請求件数であります。
<不動産関連事業>
不動産事業、不動産賃貸事業等から構成されております。堅調な市況を背景に、実需向けの不動産を中心に需要が継続したものの、前期に物件販売が集中した影響等により、当連結会計年度の純収益は239億42百万円(前期比1.0%減)、事業利益は164億7百万円(前期比25.6%増)となりました。
<グローバル事業>
インド・東南アジア・ラテンアメリカ地域にてアンダーサーブド層をメインターゲットとしたレンディング事業及びFintech、Web3領域を中心に有望なスタートアップやVCファンドへの投資を行うインベストメント事業を展開しております。インドのKisetsu Saison Finance(India)Pvt. Ltd.(以下「Credit Saison India」という。)では、これまで事業拡大の牽引役であった「パートナーシップレンディング」を含むシニア資金の提供モデルに加えて、Credit Saison Indiaが直接エンドユーザーに貸付を行う「ダイレクトレンディング」の強化に取り組んでまいりました。インド全土に設置した40以上の支店を拠点に展開している「ブランチレンディング」は、中小零細企業向けビジネスローンに加え有担保ローンなどを追加し商品の多角化を推進しました。また個人に向けた同社による直接貸付「エンベデッドファイナンス」では、大手携帯キャリアやECサイト事業者など提携パートナーを順調に増やしております。その結果、当連結会計年度での債権残高は2,152億円(貸倒引当金控除前)(前期末比20.6%増)となりました。また、2023年に新たに設立したブラジルとメキシコのレンディング子会社においても事業開発・組織体制両面で基盤構築を推進させ、順調に投融資実績を積み上げており、今後グローバル事業の次なる柱とすべくインドの事業モデルやノウハウ・知見を活用し、事業拡大を推進してまいります。
以上の結果、当連結会計年度における純収益は272億8百万円(前期比139.3%増)となりました。一方、インベストメント事業において出資先の評価損の計上、前期の保有ファンドの評価益計上の反動等により、事業利益は24億78百万円(前期比72.6%減)となりました。今後も国際統括会社であるSaison International Pte. Ltd.と連携のもと、グローバル事業全体の更なる収益拡大に向けた各国事業のスケールアップ及び管理体制の強化を進めてまいります。
<エンタテインメント事業>
アミューズメント事業等から構成されております。当連結会計年度は、イベントの復調によりチケット販売が好調に推移したことで、純収益は63億19百万円(前期比1.7%増)、事業利益は10億79百万円(前期比50.1%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動に使用したキャッシュ・フローは、2,134億4百万円の支出(前連結会計年度は1,300億92百万円の支出)となりました。
これは主に、税引前利益979億52百万円の計上による収入がある一方で、営業債権及びその他の債権の純増額3,467億87百万円の支出によるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動に使用したキャッシュ・フローは、857億54百万円の支出(前連結会計年度は438億28百万円の支出)となりました。
これは主に、定期預金の預入による451億42百万円の支出及び投資不動産の取得による360億21百万円の支出によるものです。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動により得られたキャッシュ・フローは、2,466億99百万円の収入(前連結会計年度は2,245億36百万円の収入)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による1,672億74百万円の支出及び社債の償還による850億16百万円の支出がある一方で、長期借入れによる3,343億97百万円の収入、社債の発行による1,244億64百万円の収入によるものです。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して、509億25百万円減少し、1,087億45百万円となりました。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針並びに見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の業績は「経営成績等の状況の概要」で述べたとおり、純収益は3,616億4百万円(前期比12.1%増)、事業利益は719億41百万円(前期比18.0%増)、税引前利益は979億52百万円(前期比60.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は729億87百万円(前期比67.4%増)となりました。
① 純収益
表1は、純収益の内訳を記載しております。当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へ移行されたことに伴い、経済活動の回復、個人消費の持ち直しの動きが続き、「ペイメント事業」のショッピング取扱高や「ファイナンス事業」の債権残高が堅調に推移したことに加え、「グローバル事業」の海外におけるレンディング事業の貸付残高の拡大等により、純収益は3,616億4百万円(前期比12.1%増)となりました。
表1 連結損益計算書の主要項目
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
伸び率 (%) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
ペイメント事業収益 |
218,258 |
232,765 |
6.6 |
リース事業収益 |
12,048 |
12,542 |
4.1 |
ファイナンス事業収益 |
50,754 |
58,502 |
15.3 |
不動産関連事業利益 |
23,406 |
23,522 |
0.5 |
グローバル事業収益 |
11,078 |
25,036 |
126.0 |
エンタテインメント事業利益 |
6,214 |
6,319 |
1.7 |
金融収益 |
877 |
2,915 |
232.2 |
純収益合計 |
322,638 |
361,604 |
12.1 |
表2は、表1のペイメント事業収益の内訳であります。
表2 ペイメント事業収益の内訳
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
伸び率 (%) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
カードショッピング |
143,024 |
152,143 |
6.4 |
うち加盟店手数料 |
83,331 |
86,576 |
3.9 |
うち顧客手数料 |
49,749 |
54,346 |
9.2 |
うち年会費等 |
9,943 |
11,220 |
12.8 |
カードキャッシング |
24,741 |
25,166 |
1.7 |
証書ローン |
412 |
344 |
△16.5 |
プロセシング・他社カード代行 |
27,213 |
27,829 |
2.3 |
業務代行 |
5,286 |
5,790 |
9.5 |
ペイメント関連 |
17,580 |
21,491 |
22.2 |
ペイメント事業収益合計 |
218,258 |
232,765 |
6.6 |
② 販売費及び一般管理費・金融資産の減損
表3は、販売費及び一般管理費並びに金融資産の減損の内訳を記載したものであります。販売費及び一般管理費・金融資産の減損は、ショッピング取扱高増加による連動費用の増加やグローバル事業の拡大に伴う費用の増加に加え、利息返還請求の動向予測等を踏まえ利息返還損失引当金を繰入れた影響等により、2,810億64百万円(前期比6.9%増)となりました。
表3 販売費及び一般管理費・金融資産の減損の内訳
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
伸び率 (%) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
貸倒関連費用 |
34,611 |
40,601 |
17.3 |
うち金融資産の減損(債権) |
29,378 |
30,176 |
2.7 |
うち金融資産の減損(金融保証契約) |
5,233 |
8,108 |
54.9 |
うち利息返還損失引当金繰入額 |
- |
2,315 |
- |
貸倒関連費用を除く販売費及び一般管理費 |
228,367 |
240,462 |
5.3 |
うち広告宣伝費 |
28,619 |
29,409 |
2.8 |
うちポイント引当金繰入額 |
20,365 |
19,106 |
△6.2 |
うち人件費(従業員給付費用) |
53,088 |
57,171 |
7.7 |
うち支払手数料 |
68,243 |
73,956 |
8.4 |
販売費及び一般管理費・金融資産の減損合計 |
262,979 |
281,064 |
6.9 |
③ 金融費用
金融費用は、248億96百万円(前期比63.2%増)となりました。
④ 持分法による投資利益
持分法による投資利益は、負ののれん発生益などの影響より、292億62百万円(前期比389.1%増)となりました。
⑤ その他の収益
その他の収益は、141億91百万円(前期比22.0%増)となりました。
⑥ その他の費用
その他の費用は、14億33百万円(前期比40.9%増)となりました。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は729億87百万円(前期比67.4%増)となりました。
(3) 割賦売掛金の状況及び債権リスクの状況
以下の分析におきましては、連結財務諸表の報告数値に基づく情報(以下「報告ベース」という。)に加え、「貸倒引当金」を直接控除する前の情報(以下「管理ベース」という。)を記載しております。なお、管理ベースの情報は、条件変更が行われた債権及び求償債権について、対象債権から貸倒引当金を控除する前の情報を記載しております。
また、文中で特に断りが無い限り、当該情報は管理ベースの情報であります。これは、事業運営に際して、特に事業の動向を把握する際、控除される債権も含め、一括して捉えることが不可欠であると考えているからであります。
表4は、割賦売掛金残高の内訳を記載したものであり、カッコ書きによって報告ベースの数値を表示しております。当連結会計年度末の割賦売掛金残高は、管理ベースでは3兆749億6百万円(前期末比12.6%増)、報告ベースでは2兆9,849億39百万円(前期末比12.4%増)となりました。
表4 割賦売掛金残高の内訳(管理ベース。ただし、カッコ内の数値は報告ベース。)
|
前連結会計年度 (2023年3月31日) |
当連結会計年度 (2024年3月31日) |
伸び率 (%) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
ペイメント事業計 |
1,445,659 |
1,574,028 |
8.9 |
(1,380,844) |
(1,496,895) |
(8.4) |
|
うちカードショッピング |
1,152,219 |
1,273,885 |
10.6 |
(参考)リボルビング払い債権 |
409,073 |
453,412 |
10.8 |
うちカードキャッシング |
183,068 |
189,741 |
3.6 |
うち証書ローン |
3,827 |
3,130 |
△18.2 |
うちプロセシング・他社カード代行 |
106,248 |
106,892 |
0.6 |
うちペイメント関連 |
295 |
379 |
28.1 |
リース事業計 |
76,617 |
84,826 |
10.7 |
(73,295) |
(80,925) |
(10.4) |
|
ファイナンス事業計 |
1,108,666 |
1,184,750 |
6.9 |
(1,102,037) |
(1,180,348) |
(7.1) |
|
うち信用保証 |
1,452 |
1,609 |
10.8 |
うちファイナンス関連 |
1,107,214 |
1,183,141 |
6.9 |
不動産関連事業計 |
26 |
25 |
△3.6 |
(3) |
(8) |
(121.3) |
|
グローバル事業計 |
100,238 |
231,274 |
130.7 |
(98,670) |
(226,762) |
(129.8) |
|
割賦売掛金残高 |
2,731,208 |
3,074,906 |
12.6 |
(2,654,852) |
(2,984,939) |
(12.4) |
表5は、営業債権に対する延滞及び引当状況を記載したものであります。
管理ベースの割賦売掛金残高、買取債権及びファイナンス・リース債権残高に偶発負債を加算した残高(以下「営業債権」という。)のうち、3ヶ月以上延滞債権残高は806億95百万円(前期末比27.6%増)となりました。これに対する当連結会計年度末の貸倒引当金残高は、969億62百万円(前期末比16.7%増)となりました。これらの結果、3ヶ月以上延滞債権残高に対する充足率は前期末の190.5%から177.2%に下落いたしました。
表5 営業債権に対する延滞及び引当状況
|
前連結会計年度 (2023年3月31日) |
当連結会計年度 (2024年3月31日) |
伸び率 (%) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
営業債権残高 ① |
3,673,836 |
4,306,328 |
17.2 |
3ヶ月以上延滞債権残高 ② |
63,239 |
80,695 |
27.6 |
②のうち担保相当額 ③ |
19,622 |
25,974 |
32.4 |
貸倒引当金残高 ④ |
83,082 |
96,962 |
16.7 |
3ヶ月以上延滞比率(=②÷①) |
1.7% |
1.9% |
- |
3ヶ月以上延滞債権に対する充足率 (=④÷(②-③)) |
190.5% |
177.2% |
- |
(参考)担保相当額控除後3ヶ月 以上延滞比率(=(②-③)÷①) |
1.2% |
1.3% |
- |
表6は、当社グループの貸倒引当金の動態を記載したものであります。
表6 貸倒引当金の動態
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
伸び率 (%) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
期首貸倒引当金残高 |
71,428 |
85,040 |
19.1 |
増加 |
35,537 |
37,677 |
6.0 |
減少 |
21,926 |
23,804 |
8.6 |
期末貸倒引当金残高 |
85,040 |
98,912 |
16.3 |
(4) 資本の財源及び資金の流動性
① 調達政策
当社グループでは資金調達において安定性とコストを重視し、調達手法の多様化を図っております。主な調達方法では、銀行、系統金融機関、生命保険会社、損害保険会社との相対取引のほか、シンジケートローンやコミットメントラインの設定といった間接調達、また普通社債やコマーシャル・ペーパー(CP)の発行等の直接調達に取り組んでおります。当連結会計年度末の連結有利子負債(リース負債176億円を含む)は3兆487億円であり、借入金57.4%、社債18.7%、CP14.6%、営業債権の流動化等9.3%から構成されております。
間接調達については既存取引先とのリレーションを図る一方で、長期の安定的な取引が望める金融機関を対象に、新たな取引先を開拓し調達先の分散化を図るなど、リファイナンスリスクの軽減及びコスト削減に努めております。また、直接調達については普通社債やCP以外に、当社の信用状況に左右されない債権の流動化など資金調達手法の多様化により、流動性リスクの軽減やコスト削減を図っております。
当社では資本市場から円滑な資金調達を行うため、発行する債券について㈱格付投資情報センター(R&I)から国内無担保社債に「A+」、国内CPに「a-1」の格付けを取得しております。
② 流動性の確保
当社グループの保有する資産のうち68.8%がペイメント事業を中心とした割賦売掛金であり、その回転率も年間平均3回であり、高い流動性を維持しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(5) 特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく営業貸付金の状況
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、提出会社個別における営業貸付金の状況は以下のとおりです。
① 貸付金の種別残高内訳
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|
|
|
|
2024年3月31日現在 |
|
貸付種別 |
件数 |
残高 |
平均約定金利 |
|||
|
構成割合 |
|
構成割合 |
|||
消費者向 |
無担保 (住宅向を除く) |
件 |
% |
百万円 |
% |
% |
611,336 |
90.20 |
177,006 |
10.92 |
14.48 |
||
有担保 (住宅向を除く) |
21 |
0.00 |
1,090 |
0.07 |
2.79 |
|
住宅向 |
66,033 |
9.74 |
939,289 |
57.94 |
2.19 |
|
計 |
677,390 |
99.94 |
1,117,387 |
68.93 |
4.14 |
|
事業者向 |
計 |
390 |
0.06 |
503,690 |
31.07 |
1.54 |
合計 |
677,780 |
100.00 |
1,621,077 |
100.00 |
3.33 |
(注)事業者向貸付残高には、関係会社向け貸付473,980百万円が含まれております。
② 資金調達内訳
|
|
|
2024年3月31日現在 |
借入先等 |
残高 |
平均調達金利 |
|
金融機関等からの借入 |
百万円 |
% |
|
1,586,789 |
0.53 |
||
関係会社 |
1,000 |
0.33 |
|
その他 |
1,270,583 |
0.35 |
|
|
社債・CP |
1,012,000 |
0.30 |
合計 |
2,858,372 |
0.44 |
|
自己資本 |
712,075 |
- |
|
|
資本金・出資額 |
75,929 |
- |
(注)当事業年度における貸付金譲渡金額は、80百万円であります。
③ 業種別貸付金残高内訳
|
|
|
2024年3月31日現在 |
|
業種別 |
先数 |
残高 |
||
|
構成割合 |
|
構成割合 |
|
製造業 |
件 |
% |
百万円 |
% |
12 |
0.00 |
7 |
0.00 |
|
建設業 |
26 |
0.00 |
27 |
0.00 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
- |
- |
- |
- |
運輸・通信業 |
5 |
0.00 |
4 |
0.00 |
卸売・小売業、飲食店 |
36 |
0.01 |
79 |
0.00 |
金融・保険業 |
5 |
0.00 |
294,830 |
18.19 |
不動産業・物品賃貸業 |
183 |
0.03 |
200,792 |
12.39 |
サービス業 |
16 |
0.00 |
1,219 |
0.08 |
個人 |
677,295 |
99.95 |
1,117,387 |
68.93 |
その他 |
35 |
0.01 |
6,728 |
0.41 |
合計 |
677,613 |
100.00 |
1,621,077 |
100.00 |
④ 担保別貸付金残高内訳
|
|
|
2024年3月31日現在 |
受入担保の種類 |
残高 |
構成割合 |
|
有価証券 |
百万円 |
% |
|
5 |
0.00 |
||
|
うち株式 |
5 |
0.00 |
債権 |
- |
- |
|
|
うち預金 |
- |
- |
商品 |
- |
- |
|
不動産 |
827,696 |
51.06 |
|
財団 |
- |
- |
|
その他 |
- |
- |
|
計 |
827,702 |
51.06 |
|
保証 |
109,787 |
6.77 |
|
無担保 |
683,587 |
42.17 |
|
合計 |
1,621,077 |
100.00 |
⑤ 期間別貸付金残高内訳
|
|
|
2024年3月31日現在 |
|
期間別 |
件数 |
残高 |
||
|
構成割合 |
|
構成割合 |
|
1年以下 |
件 |
% |
百万円 |
% |
611,933 |
90.29% |
654,743 |
40.39% |
|
1年超 5年以下 |
368 |
0.05% |
26,669 |
1.64% |
5年超 10年以下 |
256 |
0.04% |
6,065 |
0.37% |
10年超 15年以下 |
564 |
0.08% |
3,003 |
0.19% |
15年超 20年以下 |
1,100 |
0.16% |
8,437 |
0.52% |
20年超 25年以下 |
2,081 |
0.31% |
21,722 |
1.34% |
25年超 |
61,478 |
9.07% |
900,435 |
55.55% |
合計 |
677,780 |
100.00% |
1,621,077 |
100.00% |
1件当たりの平均約定期間 |
2.80年 |
|
|
(注)期間は約定期間によっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。