【連結財務諸表注記】
1.報告企業
株式会社デンソー(以下、「当社」)は、日本に所在する株式会社です。当社及び国内外の連結子会社(以下、まとめて「連結会社」)は、「日本」、「北米」、「欧州」、「アジア」、「その他」の各セグメントで、主に自動車部品におけるサーマルシステム、パワトレインシステム、モビリティエレクトロニクス、エレクトリフィケーションシステム、先進デバイス、及び非車載事業の領域において、開発、製造及び販売を行っています。連結会社の概要については「第一部 企業情報 第1 企業の概況 4 関係会社の状況」をご参照ください。
2.作成の基礎
(1) IFRSに準拠している旨
本連結財務諸表は、連結財務諸表規則 第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、同規則第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しています。
本連結財務諸表は、2024年6月20日に取締役社長 林新之助によって承認されています。
(2) 測定の基礎
本連結財務諸表は、注記3「重要性のある会計方針の要約」に記載している公正価値で測定する金融商品等及び連結子会社における超インフレ会計の適用を除き、取得原価を基礎として作成しています。
(3) 機能通貨及び表示通貨
本連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、百万円単位で表示しています。
(4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っています。
見積り及びその基礎となる仮定は、関連性があると思われる過去の経験及びその他の要素に基づいていますが、実績はこれらの見積りと異なる場合があるため、継続的に見直しています。会計上の見積りの修正は、修正した期間にのみ影響を及ぼす場合は見積りが修正された期間に認識され、修正した期間及び将来の期間の双方に影響を及ぼす場合には当該期間及び将来の期間で認識されます。
① 当社グループの会計方針を適用する際の重要な判断
見積りを伴う重要な判断とは別に、経営者が当社グループの会計方針を適用する過程で行った重要な判断のうち、連結財務諸表に認識されている金額に最も重要な影響を与えているものは以下のとおりです。
・連結の範囲-注記3「重要性のある会計方針の要約 (1)連結の基礎」
・収益-注記3「重要性のある会計方針の要約 (16)売上収益」及び注記22「売上収益」
② 見積りの不確実性の主な発生要因
当連結会計年度における将来に関する主な仮定及び見積りの不確実性の主な発生要因のうち、翌連結会計年度において資産及び負債の帳簿価額に対する重要な修正の原因となる重要なリスクが生じる可能性があるものは、以下のとおりです。
ⅰ) 非金融資産の減損
有形固定資産、使用権資産、無形資産等の非金融資産について、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、減損の兆候があるものとして、その資産又は資金生成単位の回収可能価額を見積っています。回収可能価額の見積りには、資産の残存耐用年数や将来のキャッシュ・フローの予想、割引率等の前提条件を使用しています。
連結会社は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断、並びに回収可能価額の見積りは合理的であると判断しています。ただし、これらの見積りには不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により非金融資産の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来追加で減損損失を計上する可能性があります。
有形固定資産の減損損失については注記11「有形固定資産 (4)減損損失」に、使用権資産の減損損失については注記13「使用権資産 (2)減損損失」に、無形資産の減損損失及びのれんの減損テストについては注記14「無形資産 (2)減損損失 及び (4)のれんの減損テスト」に記載しています。
ⅱ) 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識しています。繰延税金資産は各報告期間末に見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分について減額しています。
連結会社は、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり実施している見積りは合理的であると判断しています。ただし、これらの見積りには不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により繰延税金資産の回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来追加で繰延税金資産を減額する可能性があります。
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び繰越欠損金については、注記15「法人所得税 (2)繰延税金資産及び繰延税金負債」に記載しています。
ⅲ) 製品保証引当金及び独占禁止法関連損失引当金
a) 製品保証引当金
製品保証費用には、主にエンドユーザからの修理依頼に基づく修理費用と、自動車メーカ等の顧客が決定したリコールを含む不具合対応に基づく対象車両の修理費用があります。
上記のうち、不具合対応に係る製品保証引当金は、過去に連結会社が製造した製品に関して自動車メーカ等の顧客が不具合の修理対応を行った場合等に、連結会社が負担すると合理的に見込まれる金額に基づき算出しています。算出にあたっては、a.対象となる車両台数、b.1台当たりの修理単価、c.不具合対応の実施率、d.自動車メーカ等の顧客との負担金額の按分見込割合をそれぞれ掛け合わせて行っています。これらの前提条件は、製品不具合の原因に照らして修理に係る工数の見積りや、自動車メーカ等の顧客との交渉結果等の見積りを行う必要があることから、相対的に不確実性が高くなります。
連結会社は、製品保証費用の算出に係る前提条件の見積りは合理的であると判断しています。ただし、これらの見積りには不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により、実際の製品保証費用が見積りと異なり、結果として製品保証引当金の追加計上又は戻入が必要となる可能性があります。
(会計上の見積りの変更)
過去に連結会社において生産した製品の一部で生じた不具合に係る負担費用として製品保証引当金を計上していましたが、その後の状況を踏まえ、当連結会計年度において見積りの変更を行いました。
この変更により流動負債の引当金、販売費及び一般管理費がそれぞれ179,000百万円増加しています。
b) 独占禁止法関連損失引当金
独占禁止法関連損失引当金は、特定の自動車部品の過去の取引についての独占禁止法違反の疑いに関する和解金等に備えるため、将来発生しうる損失の見積額を計上しています。
和解金等には、主に、a.国及び競争法当局の調査の結果として支払いが命じられる課徴金、b.民事訴訟の原告側との和解交渉の結果として支払われる和解金、c.自動車メーカとの個別の和解交渉の結果として支払われる和解金があります。連結会社は、独占禁止法違反が生じないような社内体制を整え、2012年3月に独占禁止法に関する安全宣言を社外に公表しており、独占禁止法違反のリスクは低減されたと考えています。ただし、2012年3月以前の取引に関連した国及び競争法当局の調査の状況、和解交渉の進展状況、過去の和解案件の決着及び担当弁護士からの意見聴取等を踏まえて、将来に発生が見込まれる和解金の金額を見積り、若しくは既に引当金を計上済みの案件は適時に見積りの見直しを行っています。
連結会社は、課徴金及び和解金の見積り及び見積りの見直しは合理的であると判断しています。ただし、これらの見積り及び見積りの見直しには、当局及び相手先の意向による不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により、結果として独占禁止法関連損失引当金の追加計上又は戻入が必要となる可能性があります。
製品保証引当金及び独占禁止法関連損失引当金の金額については、注記18「引当金」に記載しています。
ⅳ) 確定給付制度債務の測定
確定給付制度債務の現在価値は、割引率、昇給率、退職率、死亡率等の前提条件を使用した年金数理計算により算定しています。特に、割引率は重要な前提条件であり、連結会社の確定給付制度債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りを使用しています。
連結会社は、確定給付制度債務の算定に係る前提条件の見積りは合理的であると判断しています。ただし、これらの見積りには不確実性が含まれているため、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件に変化がある場合には、結果として連結会社の確定給付制度債務の評価額に影響を与える可能性があります。
確定給付制度債務の帳簿価額や、割引率の変動により想定される確定給付制度債務に与える影響については、注記19「退職後給付 (1)確定給付型制度」に記載しています。
ⅴ) 金融商品の公正価値測定
特定の資産及び負債の公正価値は、市場価格等の市場の情報や、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチ等の算出手順に基づき決定しています。公正価値の測定には、入手可能な場合は、活発な市場における相場価格、又は観察可能な価格を使用します。入手できない場合は、市場参加者が資産又は負債の価格を決定する上で使用している前提条件についての連結会社の判断を反映した観察不能なインプットを使用しており、インプットの算定は、連結会社自身のデータを含め、入手可能な最良の情報に基づき実施しています。
連結会社は、金融商品の公正価値の評価は合理的であると判断しています。ただし、これらの評価には不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により金融商品の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として公正価値評価額が変動する可能性があります。
金融商品の帳簿価額、レベル3に分類された金融商品の重要な観察不能なインプットの内容及び評価技法については、注記29「金融商品 (4)公正価値測定」に記載しています。
(5) 会計方針の変更
連結会社は、IAS第12号「法人所得税」に関する以下の改訂を当連結会計年度より適用しています。
(単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金)
IAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)の適用により、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせる取引に関する当初認識時の会計処理が明確化され、当該将来加算一時差異と将来減算一時差異について繰延税金負債及び繰延税金資産が連結財政状態計算書にそれぞれ認識されます。当該改訂が連結財務諸表に与える影響額に重要性はありません。
(国際的な税制改革-第2の柱モデルルール)
IAS第12号「法人所得税」(2023年5月改訂)の適用により、経済協力開発機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールに関する税制から生じる税金に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の認識及び開示が一時的に免除される例外規定を遡及適用しています。
日本では、令和5年度税制改正において、グローバル・ミニマム課税に対応する法人税が創設され、それに係る規定を含めた税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第3号)。以下、「改正法人税法」)が2023年3月28日に成立しました。改正法人税法では、グローバル・ミニマム課税ルールのうち、所得合算ルール(IIR)が導入され、2024年4月1日以後開始事業年度より、日本に所在する親会社の子会社等の税負担が最低税率(15%)に至るまで、日本に所在する親会社に対し、追加の上乗せ課税がされることになります。連結会社では、アラブ首長国連邦等にある子会社で税負担が最低税率(15%)を下回る可能性がありますが、当該課税が連結財務諸表に与える影響額に重要性はありません。
3.重要性のある会計方針の要約
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社により支配されている企業であり、子会社の財務諸表は、連結会社が支配を獲得した日から支配を終了した日までの間、当社の連結財務諸表に含まれています。子会社が適用する会計方針が連結会社の適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表を修正しています。連結会社内の債権債務残高及び取引、並びに連結会社内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表上消去しています。包括利益は非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者に帰属する持分と非支配持分に帰属させています。
連結財務諸表には、子会社の所在する現地法制度上、親会社と異なる決算日が要請されていることにより、決算日を親会社の決算日に統一することが実務上不可能であり、親会社の決算日と異なる日を決算日とする子会社の財務諸表が含まれています。
連結財務諸表の作成に用いる子会社の財務諸表を当社と異なる決算日で作成する場合、その子会社の決算日と当社の決算日との間に生じた重要な取引又は事象については必要な調整を行っています。
② 関連会社及び共同支配企業
関連会社とは、連結会社が財務及び営業の方針に重要な影響力を有しているが支配はしていない企業であり、連結会社が重要な影響力を有することとなった日から、重要な影響力を喪失する日まで、持分法により処理しています。
共同支配企業とは、共同支配を有する当事者が純資産に対する権利を有している場合の共同支配の取決めをいいます。共同支配とは、取決めに対する契約上合意された支配の共有であり、関連性のある活動に関する意思決定が、支配を共有している当事者の全員一致の合意を必要とする場合にのみ存在します。共同支配企業については、持分法により処理しています。
関連会社及び共同支配企業の会計方針は、連結会社が適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて修正しています。
連結財務諸表には、他の株主との関係等により、決算日を統一することが実務上不可能であるため、決算日が異なる関連会社及び共同支配企業への投資が含まれています。決算日の差異により生じる期間の重要な取引又は事象については必要な調整を行っています。
持分法の下では、投資額は当初は原価で測定し、それ以後は、関連会社及び共同支配企業の純資産に対する連結会社の持分の取得後の変動に応じて投資額を変動させています。その際、関連会社及び共同支配企業の純損益のうち連結会社の持分相当額は連結会社の純損益に計上しています。また、関連会社及び共同支配企業のその他の包括利益のうち連結会社の持分相当額は連結会社のその他の包括利益に計上しています。関連会社及び共同支配企業の損失に対する持分相当額が投資額(実質的に関連会社又は共同支配企業に対する連結会社の正味投資の一部を構成する長期の持分を含みます)を超過するまで当該持分相当額は純損益に計上し、さらなる超過額は連結会社が損失を負担する法的又は推定的義務を負うあるいは企業が関連会社又は共同支配企業に代わって支払う範囲内で損失として計上しています。重要な内部取引に係る利益は、関連会社及び共同支配企業に対する持分比率に応じて相殺消去しています。
関連会社及び共同支配企業の、取得日に認識した資産、負債及び偶発負債の正味の公正価値に対する持分を取得対価が超える額はのれん相当額として認識し投資の帳簿価額に含めており、償却はしていません。
③ 共同支配事業
共同支配事業とは、共同支配の取決めのうち、共同支配を行う参加者が契約上の取決めに関連する資産に対する権利及び負債に係る義務を有するものをいいます。共同支配事業に係る投資については、共同支配の営業活動から生じる資産、負債、収益及び費用のうち、連結会社の持分相当額のみを認識しています。重要な内部取引並びに債権債務は、持分比率に応じて相殺消去しています。
(2) 企業結合及びのれん
企業結合は取得法を用いて会計処理しています。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び連結会社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。発生した取得関連コストは費用として処理しています。
現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な持分を保有者に与えている非支配持分は、公正価値若しくは被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する非支配持分の比例的な取り分で当初測定しています。この測定方法の選択は、取引ごとに行っています。その他の非支配持分は、公正価値若しくは他のIFRSが適用される場合は、他のIFRSに基づき、測定しています。
取得日において、識別可能な資産及び負債は、以下を除き、取得日における公正価値で測定しています。
・繰延税金資産(又は繰延税金負債)及び従業員給付契約に関連する負債(又は資産)は、それぞれIAS第12号「法人所得税」及びIAS第19号「従業員給付」に従って認識し測定しています。
・IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的に分類される資産又は処分グループは、当該基準書に従って認識し、測定しています。
・被取得企業の株式に基づく報酬取引に係る負債若しくは資本性金融商品、又は被取得企業の株式に基づく報酬取引の連結会社の株式に基づく報酬取引への置換えに係る負債若しくは資本性金融商品は、IFRS第2号「株式に基づく報酬」に従って測定しています。
取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、連結財政状態計算書においてのれんとして資産計上しています。反対に下回る場合には、直ちに連結損益計算書において利得として計上しています。なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しており、当該取引からのれんは認識していません。
のれんは企業結合時に決定した測定額から減損損失累計額を控除した価額で、連結財政状態計算書の「無形資産」に計上しています。のれんは償却を行わず、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。のれんの減損損失は連結損益計算書において認識され、その後の戻入は行っていません。
企業結合が発生した報告期間末までに企業結合の当初の会計処理が完了しない場合、連結会社は、未完了の項目については暫定的な金額で報告します。それらが判明していた場合には取得日に認識された金額に影響を与えたと考えられる、取得日に存在していた事実や状況に関して得た新しい情報を反映するために、暫定的な金額を測定期間(最長で1年間)の間に修正するか、追加の資産又は負債を認識しています。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引の換算
連結会社の各企業の財務諸表は、その企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨(機能通貨)で作成され、各企業の機能通貨以外の通貨(外貨)での取引の換算については、取引日又はそれに近似する為替レートが使用されます。
報告期間末に、外貨建の貨幣性項目は、決算日の為替レートで換算され、外貨建の非貨幣性項目は、取得原価で測定されているものは取引日の為替レート、公正価値で測定されているものは、公正価値が決定された日の為替レートで換算されます。
換算又は決済により生じる換算差額は、その期間の損益として認識され、連結損益計算書において「為替差損益」に計上しています。
② 在外営業活動体の換算
連結財務諸表は、親会社の機能通貨であり、連結財務諸表の表示通貨である日本円で表示されます。連結財務諸表を表示するために、在外営業活動体の資産及び負債は、決算日の為替レート、収益及び費用は、超インフレ経済下にある在外営業活動体を除き、期中平均レートを使用して日本円に換算しています。換算差額が生じた場合、その他の包括利益に「在外営業活動体の換算差額」として認識され、累積額は資本の「その他の資本の構成要素」に分類されます。在外営業活動体が処分され、支配を喪失した場合には、累積換算差額を処分した期に純損益に振り替えています。
在外営業活動体の取得により生じたのれん及び公正価値修正は、報告期間末時点で当該活動体の資産及び負債として換算替えを行い、換算差額は「その他の資本の構成要素」に分類されます。
③ 超インフレ経済下における財務報告
連結会社は、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に従い、アルゼンチン・ペソ及びトルコ・リラを機能通貨とする連結子会社について、超インフレ会計による調整を実施しています。超インフレ経済下の在外営業活動体の財務諸表にはインフレーションの影響を反映させており、収益、費用及びキャッシュ・フローは決算日の為替レートにより日本円に換算しています。
(4) 金融商品
① 金融資産
ⅰ) 当初認識及び測定
連結会社は、金融資産を償却原価で測定する金融資産、公正価値で測定する金融資産にその性質・目的により分類しており、当初認識時において分類を決定しています。通常の方法による金融資産の売買は、取引日において認識又は認識の中止を行っています。
a) 償却原価で測定する金融資産
金融資産は、次の条件がともに満たされる場合に償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている場合
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる場合
償却原価で測定する金融資産は、公正価値の取得に直接起因する取引コストを加えた額で当初測定しています。
b) 公正価値で測定する金融資産
上記の償却原価で測定する場合を除き、金融資産は純損益又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
資本性金融商品については公正価値で測定し、売買目的で保有する金融資産はその変動を純損益で認識すること及びそれ以外はその変動をその他の包括利益を通じて認識することに指定し(取消不能)、当該指定を継続的に適用しています。
資本性金融商品を除く金融資産で償却原価で測定する区分の要件を満たさないものは、公正価値で測定しその変動を純損益を通じて認識しています。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値で測定し、取引コストは発生時に純損益で認識しています。その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、公正価値の取得に直接起因する取引コストを加えた額で当初測定しています。
ⅱ) 事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
a) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産の帳簿価額については、実効金利法を用いて測定しています。実効金利は、当該金融資産の予想残存期間を通じての、将来の現金受取額の見積額を、正味帳簿価額まで正確に割り引く利率です。利息収益は純損益に認識し、連結損益計算書上「金融収益」に含めて計上しています。償却原価で測定する金融資産の認識を中止した場合、資産の帳簿価額と受け取った対価又は受取可能な対価との差額は純損益に認識しています。
b) 公正価値で測定する金融資産
公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動額は純損益に計上しています。ただし、資本性金融商品のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、当該金融資産の処分又は公正価値評価から生じる利得又は損失は、純損益に認識せずその他の包括利益に認識し、「その他の資本の構成要素」項目に累積します。認識を中止した場合には、利益剰余金に振り替えています。なお、資本性金融商品に係る配当金は、配当金を受領する権利が確定した時点で純損益に認識され、連結損益計算書上「金融収益」に含めて計上しています。純損益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、当該金融資産から生じる利得又は損失の純額は、連結損益計算書上「金融収益」又は「金融費用」項目(注記29「金融商品」)に計上されています。また、負債性金融商品の利息収益は、上記の利得又は損失の純額に含まれます。
ⅲ) 償却原価で測定する金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産については、報告期間末ごとに、当初認識時と比べた信用リスクの著しい増大の有無を検証しています。金融資産に係る信用リスクが当初認識時以降に著しく増大している場合、又は信用減損金融資産については、全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。著しく増大していない場合には、12ヵ月間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。予想信用損失は、契約に従って受け取るべき契約上のキャッシュ・フローと受け取ると見込んでいるキャッシュ・フローとの差額の割引現在価値に基づいて測定しています。
なお、営業債権については当初認識時から全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額又は貸倒引当金を減額する場合における貸倒引当金の戻入額を純損益に計上しています。
ⅳ) 金融資産の認識の中止
連結会社は、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した時、又は、当該金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてが移転した時にのみ、当該金融資産の認識を中止しています。連結会社がリスクと経済価値のほとんどすべてを移転しないが保持もせず、譲渡された資産を支配し続ける場合には、連結会社は資産に対する留保持分及び関連して支払う可能性がある負債を認識しています。
② 金融負債
ⅰ) 当初認識及び測定
連結会社は、金融負債を償却原価で測定する金融負債、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しており、当初認識時において分類を決定しています。すべての金融負債は公正価値で当初測定していますが、償却原価で測定する金融負債については、公正価値から発行に直接起因する取引コストを控除した金額で測定しています。
ⅱ) 事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
a) 償却原価で測定する金融負債
売買目的で保有せず、純損益を通じて公正価値で測定するものに指定しない金融負債は、当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しています。利息費用は連結損益計算書上「金融費用」に含めて計上しています。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得又は損失は、連結損益計算書上「金融収益」又は「金融費用」として計上しています。
b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
売買目的保有又は当初認識時に純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、当初認識後、公正価値で測定し、その変動については当期の純損益として認識しています。
ⅲ) 金融負債の認識の中止
連結会社は、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に認識を中止しています。
③ ヘッジ会計及びデリバティブ
連結会社は、金利及び為替の変動リスクをヘッジするために、通貨スワップ、金利スワップ、為替予約等のデリバティブをヘッジ手段として利用しています。これらのデリバティブは、契約締結時点の公正価値で当初測定し、その後も各報告期間末の公正価値で再測定しています。
連結会社には、ヘッジ目的で保有しているデリバティブのうち、ヘッジ会計の要件を満たしていないものがあります。これらのデリバティブの公正価値の変動はすべて即時に純損益で認識しています。
連結会社は、ヘッジの開始時に、リスク管理目的や様々なヘッジ取引を行うための戦略に従い、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係について文書化しています。さらに、ヘッジの開始時及びヘッジ期間中に、ヘッジ手段がヘッジされるリスクに起因するヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動を相殺するのに極めて有効であるかどうかを四半期ごとに評価しています。予定取引に対してキャッシュ・フロー・ヘッジを適用するのは、当該予定取引の発生可能性が非常に高い場合に限ります。
・キャッシュ・フロー・ヘッジ
連結会社は、ヘッジ会計の手法としてキャッシュ・フロー・ヘッジのみを採用しています。
ヘッジ手段に係る利得又は損失のうち、有効部分は連結包括利益計算書においてその他の包括利益として認識し、非有効部分は連結損益計算書において即時に純損益として認識しています。
その他の包括利益に計上されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えています。
ヘッジがヘッジ会計の要件を満たさない場合、ヘッジ手段が失効、売却、終了又は行使された場合、あるいはヘッジ指定が取り消された場合には、ヘッジ会計の適用を将来に向けて中止しています。
ヘッジ会計を中止した場合、連結会社は、すでにその他の包括利益で認識したキャッシュ・フロー・ヘッジに係るその他の包括利益の残高を、予定取引が純損益に影響を与えるまで引き続き計上しています。予定取引の発生が予想されなくなった場合は、キャッシュ・フロー・ヘッジに係るその他の包括利益の残高は、即時に純損益で認識されます。
④ 金融資産及び金融負債の相殺表示
金融資産及び金融負債は、連結会社が残高を相殺する強制可能な法的権利を有し、純額で決済するか、又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しています。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヵ月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額で測定しています。棚卸資産は、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のすべてのコストを含んでおり、原価の算定にあたっては、主として総平均法を使用しています。また、正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成に要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除して算定しています。
(7) 有形固定資産
連結会社は、有形固定資産の測定に「原価モデル」を採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示しています。
土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産の減価償却費は、以下の見積耐用年数にわたり、主として定額法で計上されます。
見積耐用年数、減価償却方法等は、各報告期間末に見直されます。
・建物及び構築物 6-50年
・機械装置及び運搬具 3-10年
・その他 2-10年
有形固定資産は、処分時、若しくは継続的な使用又は処分から将来の経済的便益が期待されなくなった時に認識を中止しています。有形固定資産の認識の中止から生じる利得又は損失は、当該資産の認識の中止時に純損益に含めています。
(8) 投資不動産
連結会社は、投資不動産の測定に「原価モデル」を採用しており、有形固定資産に準じた見積耐用年数及び減価償却方法を使用しています。
(9) 無形資産
① 個別に取得した無形資産
耐用年数を確定できる個別に取得した無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示しています。償却は、見積耐用年数に従い定額法に基づいています。
見積耐用年数及び償却方法は、各報告期間末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
耐用年数を確定できない個別に取得した無形資産は、償却を行わず減損テストの上、取得原価から減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示しています。減損テストは、毎年又は減損の兆候が存在する場合はその都度、個別に又は各資金生成単位で実施しています。
② 自己創設無形資産
研究活動の支出は、発生した年度に連結損益計算書上の費用として認識しています。
開発過程(又は内部プロジェクトの開発段階)で発生したコストは、以下のすべてを立証できる場合に限り、資産計上しています。
ⅰ) 使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
ⅱ) 無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意図
ⅲ) 無形資産を使用又は売却する能力
ⅳ) 無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法
ⅴ) 無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上
及びその他の資源の利用可能性
ⅵ) 開発期間中に無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
自己創設無形資産の当初認識額は、無形資産が上記の認識条件のすべてを初めて満たした日から開発完了までに発生した費用の合計です。自己創設無形資産が認識されない場合は、開発コストは発生した年度に連結損益計算書上の費用として認識しています。
当初認識後、自己創設無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しています。
③ 企業結合で取得した無形資産
企業結合で取得した無形資産の取得原価は、取得日現在における公正価値で測定しています。
当初認識後、企業結合で取得した無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しています。
④ 無形資産の償却
耐用年数を確定できる無形資産は、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却しています。
主な見積耐用年数は以下のとおりです。
・ソフトウエア 3-5年
・開発費 3年
・顧客関連資産 3-25年
・技術関連資産 10-19年
⑤ 無形資産の認識の中止
無形資産は、処分時、若しくは継続的な使用又は処分から将来の経済的便益が期待されなくなった時に認識を中止しています。無形資産の認識の中止から生じる利得又は損失は、当該資産の認識の中止時に純損益に含めています。
(10) リース
① 連結会社が借手の場合
短期リース及び少額資産のリースを除くリースに関して、リース開始日において、リース期間にわたり原資産を使用する権利を使用権資産として、貸手に対してリース料を支払う義務をリース負債として認識しています。
使用権資産は、リース負債の当初測定額に前払リース料等を調整した額で当初測定しています。当初測定後は、「原価モデル」を適用して事後測定しており、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示しています。減価償却費は、リース期間の終了時に所有権を取得することが合理的に確実である場合を除き、定額法に基づき、見積耐用年数又はリース期間のいずれか短い方の期間にわたって計上しています。
リース負債は、リース開始日現在で支払われていないリース料を、借手の追加借入利子率で割り引いた現在価値で当初測定しています。当初測定後は、リース負債に係る金利費用、支払われたリース料を反映するように事後測定しています。
なお、リース期間は、リースの解約不能期間に、行使することが合理的に確実である延長オプションと行使しないことが合理的に確実である解約オプションの対象期間を加えることにより、決定しています。
短期リース及び少額資産のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識せず、リース料をリース期間にわたって定額法で費用として認識しています。
② 連結会社が貸手の場合
原資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合には、ファイナンス・リースに分類し、その他の場合には、オペレーティング・リースに分類しています。
ファイナンス・リースに係るリース債権は、対象リース取引の正味リース投資未回収額に等しい金額を債権として計上しています。
(11) 借入コスト
連結会社は、意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産、つまり適格資産の取得、建設又は生産に直接起因する借入コストは、その資産が実質的に意図した使用又は販売を可能にする時まで、それらの資産の取得原価に加算しています。
上記以外のすべての借入コストは、発生した期間に純損益に認識しています。
(12) 非金融資産の減損
連結会社は各年度において、各資産についての減損の兆候の有無の判定を行い、兆候が存在する場合又は毎年減損テストが要求されている場合、その資産の回収可能価額を見積っています。個々の資産について回収可能価額を見積ることができない場合には、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積っています。連結会社の減損会計適用にあたっての資産のグルーピングは、継続的に損益の把握を実施している管理会計上の単位である事業グループ別に行っています。そのほかに、物件を最小の単位として賃貸物件グループと遊休資産グループにグルーピングしています。また本社、福利厚生施設等については、独立したキャッシュ・フローを生み出さないことから全社資産としています。
減損損失は連結損益計算書上の「その他の費用」に計上しています。減損の判定は資産、資金生成単位又はそのグループごとに実施しています。回収可能価額は、資産又は資金生成単位(又はそのグループ)の処分コスト控除後の公正価値とその使用価値のうち高い方の金額で算定しています。資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える場合は、その資産について減損を認識し、回収可能価額まで評価減しています。また、処分コスト控除後の公正価値の算定にあたっては、利用可能な公正価値指標に裏づけられた適切な評価モデルを使用しています。使用価値の評価における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値に関する現在の市場評価等を反映した割引率を使用して、算定しています。
のれん以外の資産に関しては、過年度に認識された減損損失について、その回収可能価額の算定に使用した想定事項に変更が生じた場合等、損失の減少の可能性を示す兆候が存在しているかについて評価を行っています。そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻し入れています。ただし、のれんに関する減損損失は戻し入れしません。
(13) 売却目的で保有する資産
継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産及び資産グループのうち、1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能で、連結会社の経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する資産及び処分グループとして分類し、非流動資産は減価償却又は償却は行わず、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しています。
(14) 引当金
過去の事象の結果として、現在の法的債務又は推定的債務が存在し、連結会社が当該債務の決済をするために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、その債務の金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、引当金を認識しています。
貨幣の時間価値の影響に重要性がある場合には、見積られた将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値と当該負債に固有のリスクについての現在の市場の評価を反映した税引前の割引率で割り引いた現在価値で測定しています。時の経過に伴う割引額の割戻しは、連結損益計算書上の「金融費用」として認識しています。
主な引当金の計上方法は以下のとおりです。
・製品保証引当金
製品のアフターサービスの費用に備えるために、過去の実績を基礎にして製品保証費用、経済的便益の流出時期を見積り、認識しています。
・独占禁止法関連損失引当金
特定の自動車部品の過去の取引についての独占禁止法違反の疑いに関する和解金等の支払に備えるため、将来発生しうる損失の見積額を計上しています。
(15) 従業員給付
① 退職後給付
ⅰ) 確定給付型制度
連結会社では、確定給付型の退職年金及び退職一時金制度を設けています。
確定給付型制度は、確定拠出型制度(下記ⅱ)参照)以外の退職後給付制度です。確定給付型制度に関連する連結会社の純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割り引くことによって算定しています。この計算は、毎年、年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っています。制度資産の公正価値は当該算定結果から差し引いています。確定給付制度が積立超過である場合には、将来掛金の減額又は現金等の返還という形で利用可能な将来の経済的便益の現在価値を資産上限額としています。
割引率は、連結会社の確定給付制度債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りです。制度の改訂による従業員の過去の勤務に係る確定給付制度債務の増減は、純損益として認識しています。連結会社は、確定給付型制度の給付債務及び制度資産の再測定による債務の増減をその他の包括利益で認識し、累積額は直ちに利益剰余金に振り替えています。
ⅱ) 確定拠出型制度
確定拠出型制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度です。確定拠出型制度の拠出は、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識しています。
② その他の長期従業員給付
永年勤続表彰等の長期従業員給付制度については、連結会社が、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて見積られる将来給付額を現在価値に割り引くことによって算定しています。
割引率は、連結会社の債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りです。
③ 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しています。
賞与については、連結会社が、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しています。
(16) 売上収益
連結会社は、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に(又は充足するに応じて)収益を認識する
連結会社は、自動車メーカ向け部品供給事業においては、国内外の自動車メーカを主な顧客とし、自動車部品におけるサーマルシステム、パワトレインシステム、モビリティエレクトロニクス、エレクトリフィケーションシステム、先進デバイス製品等を製造・販売しています。市販・非車載事業においては主に、エンドユーザ向けに自動車補修用部品等の販売を行っています。
連結会社では、主に完成した製品を顧客に供給することを履行義務としており、原則として、製品の納入時点において支配が顧客に移転して履行義務が充足されると判断し、当時点において収益を認識しています。
これらの履行義務に対する対価は、履行義務充足後、別途定める支払条件により概ね1年以内に受領しており、重大な金融要素は含んでいません。収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベート及び有償受給取引において顧客に支払われる対価等を控除した金額で測定しています。また、仮単価により製品販売取引を行う場合は、変動対価として、最頻値法等を用いて適切な方法で見積っています。
買戻し契約に該当する一部の有償支給取引については、金融取引として棚卸資産を引き続き認識するとともに、有償支給先に残存する支給品の期末棚卸高について金融負債を認識しています。
(17) 政府補助金
補助金交付のための条件を満たし、補助金を受領することに合理的な保証がある場合は、補助金収入を公正価値で測定し、認識しています。発生した費用に対する補助金は、費用の発生と同じ連結会計年度に収益として計上しています。資産の取得に対する補助金は、資産の取得原価から補助金の額を控除して、資産の帳簿価額を算定しています。
(18) 法人所得税
法人所得税費用は当期法人所得税費用及び繰延法人所得税費用の合計として表示しています。これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本の部又はその他の包括利益に認識する項目から生じる税金を除き、純損益として認識しています。
当期法人所得税費用は、税務当局に対する納付又は税務当局から還付が予想される金額で算定しています。税額は、決算日までに制定又は実質的に制定された税率及び税法により算定しています。
繰延法人所得税費用は、決算日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に対して計上しています。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として将来加算一時差異について認識しています。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上していません。
・のれんの当初認識から生じる場合
・企業結合並びに取引時に同額の将来加算一時差異及び将来減算一時差異が生じる取引を除く、会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えない取引によって発生する、資産及び負債の当初認識により生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配企業に対する持分に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が低い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配企業に対する持分に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、決算日までに制定又は実質的に制定されている税率に基づいて、当該資産が実現される又は負債が決済される年度の税率を見積り、算定しています。
繰延税金資産は各報告期間末に見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分について減額しています。未認識の繰延税金資産は各報告期間末に再評価され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識されます。
連結会社は、法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき税務ポジションが発生する可能性が高い場合には、合理的な見積額を資産又は負債として認識しています。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び当期税金負債を相殺する法律上の強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって、同一の納税主体、若しくは別々の納税主体であるが、多額の繰延税金負債又は資産の決済又は回収が見込まれている将来の各期間において、当期税金負債と当期税金資産とを純額で決済するか、あるいは資産の実現と負債の決済を同時に行うことを意図している納税主体のいずれかに課されている場合、相殺しています。
なお、当社及び国内の100%出資子会社は、グループ通算制度を適用しています。
(19) 資本
① 普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を「資本金」及び「資本剰余金」に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は「資本剰余金」から控除しています。
② 自己株式
自己株式を取得した場合は、直接取引費用を含む税効果考慮後の支払対価を、資本の控除項目として認識しています。ストック・オプション行使に伴う自己株式の処分を含め、自己株式を売却した場合は、処分差損益を「資本剰余金」として認識しています。
(20) 公正価値の測定
特定の資産・負債は、公正価値によって計上することが求められています。当該資産・負債の公正価値は、市場価格等の市場の情報や、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチ等の算出手順に基づき、決定されています。公正価値の測定に使用されるインプットは、以下の3つのレベルがあります。
① レベル1
測定日現在で連結会社がアクセスできる活発な市場(十分な売買頻度と取引量が継続的に確保されている市場)における同一資産又は負債の市場価格を、調整を入れずにそのまま使用しています。
② レベル2
活発な市場における類似の資産又は負債の公表価格、活発でない市場における同一の資産又は負債の公表価格、資産又は負債の観察可能な公表価格以外のインプット及び相関その他の手法により、観察可能な市場データによって主に算出又は裏付けられたインプットを含んでいます。
③ レベル3
限られた市場のデータしか存在しないために、市場参加者が資産又は負債の価格を決定する上で使用している前提条件についての連結会社の判断を反映した観察不能なインプットを使用しています。連結会社は、連結会社自身のデータを含め、入手可能な最良の情報に基づき、インプットを算定しています。
公正価値の測定は、連結会社の評価方針及び手続きに従い経理部門によって行われており、金融商品の個々の性質、特徴並びにリスクを最も適切に反映できる評価モデルにて実施しています。また、公正価値の変動に影響を与える重要な指標の推移を継続的に検証しています。検証の結果、金融商品の公正価値の変動が著しい際は、経理部門責任者への報告及び承認を行っています。
(21) 賦課金
連結会社は、政府に対する債務が確定した時点で、支払が見込まれる金額を負債として認識しています。
(22) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有する潜在株式の影響を調整して計算しています。
(23) 配当
配当金については、期末配当、中間配当の各々について決議された日の属する期間の負債として認識しています。
4.未適用の新基準
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設又は改訂は次のとおりであり、2024年3月31日現在において連結会社はこれを適用していません。
IFRS第18号「財務諸表における表示及び開示」の適用による影響は、現時点で合理的に見積ることはできません。
5.事業セグメント
(1) 一般情報
連結会社の報告セグメントは、連結会社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社取締役社長が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
連結会社は、主に自動車部品等を生産・販売しており、国内並びに北米、欧州、アジア地域の担当役員を配置しています。日本、北米、欧州、アジアの各地域の現地法人は、地域の顧客に対する営業活動を通じて獲得した受注に対し、製品の最適生産、供給の観点から製造拠点の新規設立又は拡大等を事業部門と連携のうえ立案する等、独立した経営単位として事業活動を展開しています。
国内においては当社が、北米については米国、カナダと地理的近接度によりメキシコを加えデンソー・インターナショナル・アメリカ社が、欧州(主にオランダ、イギリス、イタリア、スペイン、ハンガリー、チェコ等)についてはデンソー・インターナショナル・ヨーロッパ社が担当しています。アジア(主にタイ、マレーシア、インドネシア、インド、台湾、中国、韓国等)については、最適生産・供給体制の両面から地域に密着した体制強化のため、デンソー・インターナショナル・アジア社(タイランド)、デンソー・インターナショナル・アジア社(シンガポール)、電装(中国)投資有限公司の3社が連携して担当しており、これらを1つのマネジメント単位として管理しています。
したがって、連結会社は、生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「北米」、「欧州」及び「アジア」の4つを報告セグメントとしています。各報告セグメントでは、主として自動車部品等を生産・販売しています。
セグメントの会計処理の方法は、注記3「重要性のある会計方針の要約」における記載と同一です。なお、セグメント間の内部取引における価額は、外部顧客との取引価額に準じています。
報告セグメントの利益は、連結損益計算書上の営業利益ベースの数値です。金融収益、金融費用、為替差損益、持分法による投資損益、法人所得税費用は当社取締役社長が検討するセグメント利益に含まれていないため、セグメント業績から除外しています。
(2) セグメントごとの売上収益、利益又は損失、その他の重要な項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注)「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、南米等の現地法人の事業活動を含んでいます。
その他の重要な項目
(注1)「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、南米等の現地法人の事業活動を含んでいます。
(注2)非流動資産は、有形固定資産、使用権資産及び無形資産の合計です。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注1)「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、南米等の現地法人の事業活動を含んでいます。
(注2)日本セグメントにおけるセグメント利益には、製品保証引当金繰入額202,711百万円が含まれています。
その他の重要な項目
(注1)「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、南米等の現地法人の事業活動を含んでいます。
(注2)非流動資産は、有形固定資産、使用権資産及び無形資産の合計です。
(3) セグメントごとの資産の金額に関する情報
(注1)「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、南米等の現地法人の事業活動を含んでいます。
(注2)全社資産は、主に報告セグメントに帰属しない資金等です。
(4) 製品及びサービスに関する情報
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
製品別に分解した売上収益については、注記22「売上収益」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
製品別に分解した売上収益については、注記22「売上収益」をご参照ください。
(5) 地域に関する情報
① 売上収益
(注1)連結決算上重要性のある国を個別開示しています。
(注2)売上収益は顧客の所在地に応じて算定しています。
② 非流動資産
(注1)連結決算上重要性のある国を個別開示しています。
(注2)上記の非流動資産(有形固定資産、使用権資産及び無形資産の合計)は資産の所在地に応じて算定しています。
(6) 主要な顧客に関する情報
主要な顧客はトヨタグループであり、全てのセグメント(日本、北米、欧州、アジア)において売上収益を計上しています。各セグメントの売上収益はそれぞれ、「日本」は1,982,057百万円、「北米」は805,740百万円、「欧州」は119,449百万円、「アジア」は715,097百万円、「その他」は45,109百万円です。
6.企業結合
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当社は2023年8月1日よりBelua Beheer B.V.を新たに当社の完全子会社としています。
(1) 企業結合の概要
当社は、Certhon Build B.V.を始めとするセルトングループの親会社であるBelua Beheer B.V.の株式を2023年8月1日に譲り受け、Belua Beheer B.V.を当社の完全子会社としました。その結果、当社の保有するBelua Beheer B.V.の議決権比率は40%(2023年7月31日時点)から100%(2023年8月1日時点)となり、当社は議決権の全てを保有しています。
(2) 企業結合の理由
農業生産事業のグローバル展開の加速を目的としています。
(3) 被取得企業の概要
名称 Belua Beheer B.V.
事業内容 施設園芸ソリューションの開発、販売
(4) 支配獲得日
2023年8月1日
(5) 取得対価及びその内訳
(単位:百万円)
当社が支配獲得時に既に保有していたBelua Beheer B.V.に対する資本持分を支配獲得日の公正価値で再測定した結果、2,858百万円の利益を認識しています。この利益は、当連結会計年度の連結損益計算書上、「その他の収益」に計上されています。
また、当該企業結合に係るアドバイザリー費用等の取得関連コスト298百万円(前連結会計年度89百万円、当連結会計年度209百万円)を「販売費及び一般管理費」に計上しています。
(6) 支配獲得日における資産・負債の公正価値及びのれん
(単位:百万円)
(注1)暫定的な金額の修正
取得対価は、支配獲得日における公正価値を基礎として、取得した資産に配分しています。2024年3月31日に終了した3ヶ月間において、取得対価の配分が完了しました。当初の暫定的な金額からの主な修正内容は以下の通りです。
Belua Beheer B.V.の公正価値に関して追加的な分析を行ったことにより、無形資産が10,201百万円、繰延税金負債が2,632百万円増加しました。その結果、のれんが7,569百万円減少しました。
(注2)のれん
のれんは、今後の事業展開や当社と被取得企業とのシナジーにより期待される将来の超過収益力を反映したものです。税務上損金算入可能と見込まれるのれんの金額は発生していません。
(7) 子会社の支配獲得による支出
(単位:百万円)
(8) 被取得企業の売上収益及び当期利益
連結損益計算書に認識している、支配獲得日以降における内部取引消去前の被取得企業の売上収益は5,397百万円、当期損失は524百万円です。なお、上記の当期損失には、支配獲得時に認識した無形資産の償却費等が含まれています。
(9) 企業結合が期首に完了したと仮定した場合の連結売上収益及び連結純利益
Belua Beheer B.V.の企業結合について、支配獲得日が2023年4月1日であったと仮定した場合の、2024年3月31日に終了した12ヵ月間における当社の連結業績に係るプロフォーマ情報(非監査情報)は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
7.現金及び現金同等物
「現金及び現金同等物」の内訳は以下のとおりです。
8.営業債権及びその他の債権
「営業債権及びその他の債権」の内訳は以下のとおりです。
(注)営業債権及びその他の債権は償却原価で測定する金融資産に分類しています。
9.棚卸資産
「棚卸資産」の内訳は以下のとおりです。
(注)期中に原価として認識された棚卸資産の正味実現可能価額への評価減の金額は当連結会計年度において22,767百万円(前連結会計年度21,949百万円)です。
10.その他の金融資産
(1) 「その他の金融資産」の内訳は以下のとおりです。
(注)デリバティブ資産はヘッジ会計を適用しているものを除き、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
(2) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の主な銘柄及び公正価値等は以下のとおりです。
株式は主に政策投資目的で保有しているため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において保有する、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関し、前連結会計年度及び当連結会計年度に認識した受取配当金はそれぞれ、34,423百万円及び42,773百万円です。
保有資産の効率化及び有効活用を図るため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却等(認識の中止)を行っています。認識の中止時の公正価値、資本でその他の包括利益として認識されていた累計損益及び受取配当金は、以下のとおりです。
(注)資本でその他の包括利益として認識されていた累計損益は、売却した時点で利益剰余金に振り替えています。利益剰余金への振替額は税引後です。なお、△は損失を表します。
11.有形固定資産
(1) 「有形固定資産」の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減及び帳簿価額は、以下のとおりです。
(注1)建設仮勘定には、建設中の有形固定資産に関する支出額が含まれています。
(注2)「その他」には建設仮勘定から本勘定への振替等が含まれています。
(注3)企業結合による増加は、Belua Beheer B.V.の取得によるものです(注記6「企業結合」参照)。
(注4)有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれています。
(2) 負債の担保の用に供されている有形固定資産の帳簿価額
負債の担保の用に供されている有形固定資産の金額に重要性はないため、記載を省略しています。
(3) コミットメント
有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは、以下のとおりです。
(4) 減損損失
連結会社は以下の資産について減損損失を計上しました。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
計上した減損損失の金額に重要性はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。
(5) 減損損失戻入
連結会社は以下の資産について減損損失戻入を計上しました。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。
12.売却目的で保有する資産
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(フューエルポンプモジュール事業の譲渡)
2021年3月31日に終了した連結会計年度において、売却目的で保有する資産及び直接関連する負債に分類した、フューエルポンプモジュール事業並びにこれに含まれるKYOSAN DENSO MANUFACTURING KENTUCKY, LLCが保有する資産及び負債は、2022年9月1日付で愛三工業株式会社に譲渡されました。
本事業譲渡に係る売却損益は、前連結会計年度における連結損益計算書上、「その他の収益」に計上されています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(豊田自動織機株式の売却)
2024年3月29日付で、当社が保有する株式会社豊田自動織機(以下、豊田自動織機)株式について、一部の売却及び残る株式全てについて株式先渡契約を締結したことにより、当連結会計年度末において、保有している豊田自動織機株式を売却目的保有に分類しました。
当連結会計年度における売却目的で保有する資産、並びにこれに関連する負債及びその他の包括利益の内訳は、以下の通りです。
(単位:百万円)
(TDモバイル事業の売却)
2023年7月10日付で、株式会社TDモバイルの携帯電話販売・代理店事業(一部の店舗を除く)について、株式会社ラネットの新設子会社へ当該事業の譲渡を意思決定したことにより、第2四半期連結会計期間において、当社の連結子会社である株式会社TDモバイルが保有する資産及び負債を、売却目的で保有する資産及び直接関連する負債に分類しました。
当該事業譲渡が2023年10月1日に実行されたことに伴い、第3四半期連結累計期間において事業譲渡に伴う利益を認識しています。この利益は、当連結会計年度における連結損益計算書上、「その他の収益」に計上されています。
13.使用権資産
(1) 「使用権資産」の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減及び帳簿価額は、以下のとおりです。
(注)使用権資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれています。
リース取引の状況については、注記30「リース取引」をご参照ください。
(2) 減損損失
連結会社は以下の資産について減損損失を計上しました。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。
14.無形資産
(1) 「無形資産」の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減及び帳簿価額は、以下のとおりです。
(注1)企業結合による増加は、Belua Beheer B.V.の取得によるものです(注記6「企業結合」参照)。
(注2)「無形資産」の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において純損益に認識した研究開発支出は、それぞれ503,012百万円及び527,945百万円です。これらは、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれています。
(2) 減損損失
連結会社は以下の資産について減損損失を計上しました。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
TDモバイルについて、公正価値測定に伴いのれんの減損損失1,188百万円を計上しています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。
(3) 重要な無形資産
連結財政状態計算書に計上されている重要な無形資産は以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
前連結会計年度において計上されている重要な無形資産は、トヨタ自動車株式会社からの主要な電子部品事業の取得により認識された顧客関連資産(帳簿価額23,493百万円、残存償却年数22.0年)及び技術関連資産(帳簿価額3,978百万円、残存償却年数7.0年)です。
当連結会計年度(2024年3月31日)
当連結会計年度において計上されている重要な無形資産は以下のとおりです。
・トヨタ自動車株式会社からの主要な電子部品事業の取得により認識された顧客関連資産(帳簿価額22,425百万円、残存償却年数21.0年)及び技術関連資産(帳簿価額3,410百万円、残存償却年数6.0年)
・Belua Beheer B.V.の取得により認識された顧客関連資産(帳簿価額135百万円、残存償却年数2.5年)及び技術関連資産(帳簿価額9,779百万円、残存償却年数18.5年)
(4) のれんの減損テスト
のれんが配分されている資金生成単位(又はそのグループ)については、毎報告期間末、さらに減損の兆候がある場合には都度、減損テストを行っています。
企業結合により生じたのれんは、企業結合のシナジーから将来の超過収益力が生じると期待される資金生成単位(又はそのグループ)に配分しています。のれんの資金生成単位(又はそのグループ)への配分額は以下のとおりです。
(注1)当社に配分したのれんは、関連事業分野に配分しています。
(注2)TDモバイルに配分したのれんは、TDモバイルが運営する直営店に配分しています。なお、当連結会計年度において、TDモバイルの事業を譲渡しています(注記12「売却目的で保有する資産」参照)。
(注3)デンソーテングループに配分したのれんは、デンソーテンを含む主要な子会社に配分しています。
(注4)当連結会計年度において、Belua Beheer B.V.を新たに当社の完全子会社としています(注記6
「企業結合」参照)。
のれんが配分された資金生成単位(又はそのグループ)の回収可能価額は、過去の経験と外部からの情報を反映されて作成され、経営陣によって承認された、最長で5年間の予測を基礎とする使用価値に基づき算定しています。当該5年間を超えるキャッシュ・フローの予測は、一定又は逓減する成長率を適用し、以降の年度分を推測して延長することにより見積もっています。また、割引率は、当該資金生成単位(又はそのグループ)の加重平均資本コスト10.00%~10.48%を使用しています。なお、当連結会計年度において回収可能価額は帳簿価額を上回っていますが、仮に割引率が0.5%上昇した場合、減損損失が発生します。
15.法人所得税
(1) 法人所得税費用
「法人所得税費用」の内訳は次のとおりです。
(注)日本における、前連結会計年度及び当連結会計年度の適用税率は30.07%です。また、他の納税管轄地における税額は、それぞれの管轄地において一般的な税率をもって計算しています。
適用税率と、連結損益計算書における平均実際負担税率との差異要因は次のとおりです。
前連結会計年度において、「その他」に含めていた「在外子会社の留保利益」及び「持分法投資損益」は、重要性が高まったため、当連結会計年度で独立掲記しています。これらの表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の注記の組み替えを行っています。
この結果、前連結会計年度の注記において「在外子会社の留保利益」0.51%、及び「持分法投資損益」0.19%をそれぞれ独立掲記し、「その他」が1.27%から0.57%に減少しました。
(2) 繰延税金資産及び繰延税金負債
「繰延税金資産」及び「繰延税金負債」の増減内訳は次のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注1)繰延税金資産の認識にあたり、将来加算一時差異の十分性、将来課税所得の十分性及びタックスプランニングを考慮しています。また、連結会社は、OECD第2の柱の法人所得税に係る繰延税金資産及び負債を認識せず、それらに関する情報を開示しないという、IAS第12号の要求事項に対する例外を適用しています。
(注2)企業結合による増加は、Belua Beheer B.V.の取得によるものです(注記6「企業結合」参照)。
(注3)売却目的保有への振替による減少は、株式会社豊田自動織機の株式について売却する意思決定を行ったことによるものです(注記12「売却目的で保有する資産」参照)。
(会計方針の変更)
連結会社は、当連結会計年度よりIAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)を適用しています。改訂内容の詳細は注記2「作成の基礎 (5)会計方針の変更」に記載しています。
本改訂は遡及適用されますが、前連結会計年度において遡及適用後の連結財務諸表に与える影響額に重要性はありません。前連結会計年度の繰延税金資産及び繰延税金負債の主な発生原因別の内訳及び増減は、遡及適用後の金額に基づき作成しています。
連結財政状態計算書上の「繰延税金資産」及び「繰延税金負債」は次のとおりです。
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異は以下のとおりです。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の繰越期限別の金額は以下のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、当社は子会社に対する投資に係る将来加算一時差異については、報告期間末において配当することが予定されている未分配利益に係るものを除き、繰延税金負債を認識していません。これは、当社が一時差異の取崩しの時期をコントロールする立場にあり、このような差異を予測可能な期間内に取崩さないことが確実であるためです。前連結会計年度及び当連結会計年度において、繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る将来加算一時差異はそれぞれ、1,541,627百万円及び1,740,000百万円です。
(3) 不確実な税務ポジション
当社及び米国子会社は、移転価格に関する事前確認を申請し、日米税務当局間で合意しました。当該事前確認の対象期間の最終事業年度である当連結会計年度において、翌連結会計年度以降、日米税務当局の相互協議により、当社の所得を減額し、米国子会社の所得を増額する補償調整を行う可能性が高まったため、不確実な税務ポジションに係る資産及び負債を、当社及び米国子会社でそれぞれ認識しました。
その結果、当連結会計年度において、流動資産のその他に含まれる未収法人所得税が7,990百万円、未払法人所得税が6,431百万円増加し、法人所得税費用が1,679百万円減少しました。当該影響額は、当連結会計年度における米国子会社の損益見込みに基づき、期待値により算定しています。
なお、これらの見積りには不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により、見積りが変化した場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
16.社債及び借入金
「社債及び借入金」の内訳は以下のとおりです。
なお、前連結会計年度末及び当連結会計年度末の一部の借入金について、財務制限条項が付されています。当社は前連結会計年度末及び当連結会計年度末において当該条項を遵守しています。当該条項については、必要とされる水準を維持するようにモニタリングしています。
(注1)平均利率については、借入金の期末残高に対する加重平均利率を記載しています。
(注2)社債の内訳は以下のとおりです。
(注)前連結会計年度及び当連結会計年度欄の(内書)は、1年内償還予定の金額です。
17.営業債務及びその他の債務
「営業債務及びその他の債務」の内訳は以下のとおりです。
(注1)「営業債務及びその他の債務」における金融負債は償却原価で測定しています。
(注2)その他には、主に未払費用や設備未払金等が含まれます。
18.引当金
「引当金」は、連結財政状態計算書上、流動負債及び非流動負債に計上しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度における引当金の増減の内訳は以下のとおりです。
(注1)製品保証引当金については、その金額の一部が仕入先との合意により補填される見込みです。補填される金額の見込みは前連結会計年度963百万円及び当連結会計年度3,027百万円であり、「営業債権及びその他の債権」の中に含まれています。
(注2)独占禁止法関連損失引当金については、注記33「偶発事象」をご参照ください。
19.退職後給付
連結会社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付型制度及び確定拠出型制度を採用しています。確定給付型制度における給付額は、勤続した各年に稼得したポイントや勤務年数及びその他の条件に基づき設定されています。また、将来の給付に備え、賃金及び給与の一定比率により年金数理計算したものを掛金として拠出し、積み立てています。なお、従業員の退職等に際して、IFRSに準拠した数理計算による確定給付制度債務の対象とされない割増退職金を支払う場合があります。
積立型の確定給付型制度は、法令に従い、連結会社と法的に分離された年金基金により運営されています。年金基金の理事会及び年金運用受託機関は、制度加入者の利益を最優先にして行動することが法令により求められており、所定の方針に基づき制度資産の運用を行う責任を負っています。
(1) 確定給付型制度
確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値の変動は以下のとおりです。
① 確定給付制度債務の増減
(注1)数理計算上の差異には、実績による修正を含めて表示しています。
(注2)事業譲渡による減少は、TDモバイル事業の譲渡によるものです(注記12「売却目的で保有する資産」参照)。
② 制度資産の増減
(注3)事業譲渡による減少は、TDモバイル事業の譲渡によるものです(注記12「売却目的で保有する資産」参照)。
③ 確定給付制度債務及び制度資産の調整表
投資方針
連結会社の確定給付型年金制度の制度資産の投資方針としては、そのリスク許容度を適切に活用し、資本性金融商品、負債性金融商品及び保険契約等にバランスよく分散したポートフォリオを構成し、将来の給付義務を全うできる水準の収益を長期的・安定的に目指しています。
なお、投資方針については、確定給付型年金制度の財政状況や運用環境を勘案しながら、必要に応じて見直しを行うこととしています。
また、各資産の運用を実行する際にも、連結会社は戦略・ファンドマネージャーに係るリスク分散に留意し、継続的なモニタリングを通じて運用面の効率性を追求することとしています。
制度資産の主な内訳
前連結会計年度及び当連結会計年度の制度資産の公正価値は以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
(注1)保険契約には、主として元本と予定利率が保証される生保一般勘定が含まれています。
(注2)その他には、主として現金同等物等が含まれています。
当連結会計年度(2024年3月31日)
(注1)保険契約には、主として元本と予定利率が保証される生保一般勘定が含まれています。
(注2)その他には、主として現金同等物等が含まれています。
資産上限額の影響の変動は、以下のとおりです。将来掛金が減額されない又は将来掛金が返還されないために経済的便益が利用できないことから、連結会社の年金制度の一部に未認識の積立超過額が発生しています。
各連結会計年度の数理計算の仮定の主要なものは、以下のとおりです。
数理計算のために使用した主要な仮定が変動した場合に想定される確定給付制度債務に与える影響は次のとおりです。なお、以下の分析は主要な仮定における感応度の概要を提供するものであり、予測されるキャッシュ・フロー情報のすべての影響は考慮していません。
連結会社の2024年4月1日から2025年3月31日までに予定される、会社拠出掛金の金額は19,546百万円です。前連結会計年度及び当連結会計年度における確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、それぞれ17年及び16年です。
(2) 確定拠出型制度
前連結会計年度及び当連結会計年度における確定拠出型制度に関して費用として認識した金額は、それぞれ11,490百万円及び15,192百万円です。
20.資本及びその他の資本項目
(1) 資本金及び資本剰余金
日本の会社法(以下、「会社法」)では、株式の発行に対しての払込又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることができると規定されています。また、会社法では、資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
前連結会計年度及び当連結会計年度における授権株式数は、それぞれ1,500,000,000株及び6,000,000,000株です。
全額払込済みの発行済株式数の期中における変動内訳は以下のとおりです。
(注1)当社の発行する株式は、すべて権利内容に制限のない無額面の普通株式です。
(注2)当社は2023年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っており、授権株式数及び発行済株式数が、それぞれ4,500,000,000株及び2,363,834,853株増加しています。
(2) 利益剰余金
会社法では、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されています。積み立てられた利益準備金は、欠損補填に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができることとされています。
(3) 自己株式
会社法では、株主総会の決議により分配可能額の範囲内で、取得する株式数、取得価格の総額等を決定し、自己株式を取得することができると規定されています。また、市場取引又は公開買付による場合には、定款の定めにより、会社法上定められた要件の範囲内で、取締役会の決議により自己株式を取得することができます。
自己株式の期中における変動内訳は以下のとおりです。
(注)当期における自己株式数の増加には、2023年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合での株式分割を行ったことによる117,368,791株の増加の他、取締役会決議による自己株式の取得等84,523,106株の増加が含まれます。
(4) その他の資本の構成要素
① FVTOCIに指定した資本性金融商品への投資による損益
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融商品に係る評価損益の累計額です。
② 確定給付制度の再測定
確定給付制度の再測定は、期首時点の数理計算上の仮定と実際の結果との差異による影響額、数理計算上の仮定の変更による影響額及び資産上限額の影響の変動額を含みます。これらは発生時にその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から利益剰余金に直ちに振り替えています。
③ 在外営業活動体の換算差額
連結会社の在外営業活動体の財務諸表をそれらの機能通貨から連結会社の表示通貨である日本円に換算することによって生じた換算差額です。
④ キャッシュ・フロー・ヘッジ損益
キャッシュ・フロー・ヘッジに係るヘッジ手段の公正価値の変動から生じた利得又は損失のうち、ヘッジ有効部分の累計額です。
21.配当
前連結会計年度及び当連結会計年度における配当金支払額は以下のとおりです。
(注)2023年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っています。「1株当たり配当額」については、当該株式分割前の金額を記載しています。
基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となる配当金の総額は以下のとおりです。
22.売上収益
(1) 収益の分解
連結会社は先進的な自動車技術、システム・製品を提供する、グローバルな自動車部品メーカであり、自動車メーカ向けの部品供給事業を中心にビジネスを行っています。市販・非車載事業においては、主に、エンドユーザ向けに自動車補修用部品等の販売を行っています。これらのビジネスから生じる収益は顧客との契約に従って計上し、売上収益として表示しています。
得意先別に分解した売上収益は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注1)グループ会社間の内部取引控除後の金額を表示しています。
(注2)「自動車メーカ向け部品供給事業計」には、IFRS第16号に基づく使用権資産のサブリースによる収益が14,224百万円含まれています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注1)グループ会社間の内部取引控除後の金額を表示しています。
(注2)「自動車メーカ向け部品供給事業計」には、IFRS第16号に基づく使用権資産のサブリースによる収益が14,622百万円含まれています。
製品別に分解した売上収益は以下のとおりです。
なお、2023年1月1日付の組織変更に伴い、当連結会計年度より、従来「非車載事業分野」としていた一部製品を「サーマルシステム」に区分を変更しています。当該変更に伴い、前連結累計期間の売上収益を、変更後の区分に組み替えて表示しています。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
[組織変更前の区分]
(注1)グループ会社間の内部取引控除後の金額を表示しています。
(注2)「自動車分野計」には、IFRS第16号に基づく使用権資産のサブリースによる収益が14,224百万円含まれています。
[組織変更後の区分]
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注1)グループ会社間の内部取引控除後の金額を表示しています。
(注2)「自動車分野計」には、IFRS第16号に基づく使用権資産のサブリースによる収益が14,622百万円含まれています。
なお、地域別に分解した売上収益及びトヨタグループ向け売上収益については、注記5「事業セグメント」をご参照ください。
(2) 契約残高
連結会社の契約残高の内訳は以下のとおりです。
(単位:百万円)
契約資産については、残高に重要性が乏しく、重大な変動は発生していません。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、認識した収益のうち期首の契約負債残高に含まれていた金額、また、過去の期間に充足(又は部分的に充足)した履行義務から認識した収益の金額に重要性はありません。
(3) 返金負債
連結会社は、一部の製品販売取引について、顧客から受け取った対価の一部を値引きにより顧客に返金すると見込んでいます。前連結会計年度及び当連結会計年度の「その他の流動負債」には、返金負債がそれぞれ9,267百万円、16,771百万円含まれています。
(4) 残存履行義務に配分した取引価格
連結会社に予想期間が1年超の重要な契約がないため、実務上の便法を使用し、残存履行義務に関する情報の記載を省略しています。また、顧客との契約から生じる対価の中に、取引価格に含まれていない重要な金額はありません。
23.その他の収益
「その他の収益」の内訳は以下のとおりです。
(注)当連結会計年度の「その他」には、当社が支配獲得時に既に保有していたBelua Beheer B.V.に対する資本持分を支配獲得日の公正価値で再測定した結果による利益2,858百万円が、含まれています(注記6「企業結合」参照)。
24.販売費及び一般管理費及びその他の費用
「販売費及び一般管理費」の内訳は以下のとおりです。
「その他の費用」の内訳は以下のとおりです。
(注)当連結会計年度の「その他」には、特定の自動車部品の過去の取引についての独占禁止法違反の疑いに関する和解金等である独占禁止法関連損失が、4,951百万円含まれています(注記33「偶発事象」参照)。
25.金融商品に係る収益及び費用
「金融収益」の内訳は以下のとおりです。
(注)前連結会計年度及び当連結会計年度に認識された、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産からの配当収益には、各報告期間において、認識の中止を行ったその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産からの配当収益が含まれています(注記10「その他の金融資産」参照)。
「金融費用」の内訳は以下のとおりです。
26.1株当たり利益
(1) 基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎
① 親会社の所有者に帰属する当期利益
② 普通株式の期中平均株式数
(注)2023年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っています。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、普通株式の期中平均株式数を算定しています。
(2) 希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎
希薄化後1株当たり当期利益については、希薄化効果のある株式が存在しないため記載していません。
27.その他の包括利益
その他の包括利益(非支配持分を含む)の各項目の内訳は以下のとおりです。
その他の包括利益(非支配持分に帰属)の各項目の内訳(税効果後)は以下のとおりです。
28.重要な非資金取引
連結会社における重要な非資金取引の内容は以下のとおりです。
(単位:百万円)
29.金融商品
(1) 資本管理
連結会社は、健全な財務体質を確保しながら、持続的成長のために必要な設備投資、研究開発、M&A等に資金を活用するとともに、長期安定的に株主還元を継続することにより、持続的な企業価値向上を目指します。そのために必要な事業資金は、連結会社の収益力・キャッシュ創出力を維持強化することにより、営業キャッシュ・フローで賄うことを基本とし、必要に応じて有利子負債(社債・借入等)で補充します。また、財務健全性を長期安定的に維持するための資金も確保します。なお、連結会社は2024年3月31日現在、外部から資本規制を受けていません。
(2) 金融商品から生じるリスクの内容及び程度
連結会社は、営業活動に係わる財務リスク(信用リスク・市場リスク・流動性リスク)に晒されており、当該リスクの影響を回避又は低減するために、一定の方針に基づくリスク管理を行っています。資金運用及びデリバティブ取引の方針については、主として毎期初に当社取締役会の承認を受け、また期中の取引及びリスク管理については、主に社内管理規程に基づいて実施しています。
デリバティブは、後述するリスクを回避するために利用しており、投機的な取引は行わない方針です。
① 信用リスク
連結会社の営業債権である受取手形及び売掛金は、顧客の信用リスクに晒されています。営業債権については、取引先ごとの期日管理及び残高管理を行っており、特に信用リスクの懸念される取引先については、その状況を定期的にモニタリングする事で財務状況の悪化等による回収懸念を早期に把握し、個別に保全策を検討・実施しています。連結会社の当連結会計年度の連結決算日現在における営業債権のうち、37%がトヨタグループに対するものです。
負債性金融商品における短期債券型投資信託、公社債は、資金運用管理規程に従い、格付けの高い金融機関、商品、発行体を対象としている為、信用リスクは僅少です。
デリバティブ取引の利用にあたっては、カウンター・パーティ・リスクを軽減するために、格付の高い金融機関とのみ取引を行っています。
連結財務諸表に表示されている金融資産の減損後の帳簿価額は、獲得した担保の評価額を考慮に入れない、当社の金融資産に対するエクスポージャーの最大値です。
信用リスクが当初認識時以降に著しく増大しているか否かは、債務不履行発生リスクの変動に基づいて判断しており、その判断にあたっては、取引先の財務状況や期日経過情報等を考慮しています。契約上の支払の期日経過が30日超である場合には、原則として信用リスクの著しい増大があるものと判断しています。これらの判断には、過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報を考慮しており、当該情報に基づいて反証可能である場合には、信用リスクの著しい増大はないものと判断しています。
また、連結会社は、契約上の支払の期日経過が90日超である場合及び信用減損が発生している場合には、原則として債務不履行が発生していると判断しています。連結会社は、報告期末ごとに信用減損していることを示す客観的証拠の有無を評価しています。信用減損の証拠には、債務者による支払不履行又は滞納、連結会社が債務者に対して、そのような状況でなければ実施しなかったであろう条件で行った債権の回収期限の延長、債務者又は発行企業が破産する兆候、活発な市場の消滅等が含まれています。また、将来の回収が合理的に見込めない場合には、直接償却しています。
貸倒引当金の増減
連結会社は、取引先の信用状況に応じて営業債権等の回収可能性を検討し、貸倒引当金を設定しています。予想信用損失は、総額での帳簿価額に予想貸倒率を乗じて算定しています。当該予想貸倒率は、過去の貸倒実績、債権の期日経過の状況、又は債務者の財政状態及び債務者が属する業界の経済見通しについて、過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報により算出しています。
また、信用リスクの著しい増大があるもの及び信用減損金融資産については、取引相手先の財務状況に将来の経済状況の予測等を加味した上で個別に算定した回収可能価額と、総額での帳簿価額との差額をもって算定しています。
なお、貸倒引当金の評価について、当報告期間における見積技法又は重要な仮定の変更はありません。
営業債権等に対する貸倒引当金の増減は以下のとおりです。
営業債権
(単位:百万円)
(注)契約資産及びリース債権に貸倒引当金は計上されていません。
営業債権以外の債権
(単位:百万円)
上記の貸倒引当金の対象資産の増減は以下のとおりです。
営業債権
(単位:百万円)
営業債権以外の債権
(単位:百万円)
リスク・プロファイル
金融資産の総額での帳簿価額について、外部格付け等級等による信用リスク・プロファイルの内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
営業債権、契約資産又はリース債権
上記以外の債権
(注)償却原価で測定する金融資産のうち、大手金融機関に預入れている定期預金等、明らかに信用リスクが低く予想信用損失を計上していない金融商品は、上記の表に含めていません。
債券
(注)ムーディーズ・ジャパン株式会社、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社及び株式会社格付投資情報センターから格付情報を取得しています。
当連結会計年度(2024年3月31日)
営業債権、契約資産又はリース債権
上記以外の債権
(注)償却原価で測定する金融資産のうち、大手金融機関に預入れている定期預金等、明らかに信用リスクが低く予想信用損失を計上していない金融商品は、上記の表に含めていません。
債券
(注)ムーディーズ・ジャパン株式会社、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社及び株式会社格付投資情報センターから格付情報を取得しています。
② 市場リスク
ⅰ) 為替変動リスク
連結会社は、グローバルに事業を展開していることから外貨建の取引を行っており、損益及びキャッシュ・フロー等が為替変動の影響を受けるリスクに晒されています。連結会社は、為替変動のリスクを回避するために、外貨建の営業債権債務については主として先物為替予約を、外貨建借入金については通貨スワップをデリバティブ取引として利用しています。当社経理部は、取引権限や限度額等を定めたデリバティブ取引管理規程に基づいてリスク管理を実施しています。連結子会社についても、当該デリバティブ取引管理規程に準じた管理を行っています。
通貨デリバティブの詳細は以下のとおりです。
(注)上記取引でヘッジ会計が適用されているものはありません。
為替感応度分析
以下の表は、関連する外国為替に対して日本円が1%増減した場合に純損益及び資本に与える影響を示す連結会社の感応度分析です。本分析は報告期間末の外国為替レートに1%の変動を調整して換算しており、その他の変動要因(残高、金利等)は一定であることを前提としています。
ⅱ) 金利変動リスク
連結会社は、固定金利と変動金利双方で資金を借り入れているため、金利変動リスクに晒されています。有利子負債の殆どは固定金利により調達された社債及び借入金ですが、変動金利性借入金については、原則として金利スワップ契約により実質的に固定金利性借入金と同等の効果を得ています。
当社経理部は、取引権限や限度額等を定めたデリバティブ取引管理規程に基づいてリスク管理を実施しています。連結子会社についても、当該デリバティブ取引管理規程に準じた管理を行っています。
金利デリバティブの詳細は、以下のとおりです。
ヘッジ会計が適用されていない金利デリバティブ取引
(注)ヘッジ会計が適用されている金利デリバティブ取引については、(3)ヘッジ会計をご参照ください。
金利感応度分析
以下の表は、報告期間末において金利が1%上昇した場合に、金利変動の影響を受ける金融商品が純損益及び資本に与える影響を示しています。本分析は、報告期間末に連結会社が保有する正味の変動金利性金融商品残高に1%を乗じて算出しており、将来にわたる残高の増減、為替変動の影響等その他の全ての変動要因は一定であることを前提としています。
③ 流動性リスク
連結会社は、借入金及び社債により資金を調達していますが、資金調達環境の悪化等により支払期日にその支払いを実施できなくなる流動性リスクに晒されています。連結会社は、各部署からの報告に基づき経理部が適時に資金計画を作成・更新するとともに、手許流動性を連結売上収益の1ヵ月分相当以上に維持すること等により、流動性リスクを管理しています。
当社の金融負債の残存契約満期金額は次のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
(注)その他の金融負債に含まれるリース負債については、注記30「リース取引」をご参照ください。
当連結会計年度(2024年3月31日)
(注)その他の金融負債に含まれるリース負債については、注記30「リース取引」をご参照ください。
④ 資本性金融商品の価格変動リスク
連結会社は、資本性金融商品(株式)から生じる株価変動リスクに晒されています。短期トレーディング目的で保有する資本性金融商品はなく、定期的に公正価値や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、株価が1%上昇又は下落すると仮定した場合、資本合計の増加額又は減少額はそれぞれ10,579百万円及び18,738百万円です。なお、連結会社が保有する市場性のある株式の大部分はFVTOCIの金融資産として指定しているため、株価が1%上昇又は下落すると仮定した場合の純損益に与える影響額に重要性はありません。
非上場株式、その他の持分証券の公正価値で用いている重要な観察不能なインプットは、非流動性ディスカウントです。これらのディスカウントの著しい上昇(下降)は公正価値の著しい低下(上昇)を生じさせることとなります。
(3) ヘッジ会計
金利通貨スワップ取引
連結会社は、一部の借入を外貨建かつ変動金利で行っており、為替変動リスク及び金利変動リスクに晒されています。外貨建かつ変動金利で借入を行う場合には、当該リスクをヘッジするために、原則として借入と同時に金利通貨スワップを締結することにより、キャッシュ・フローの支払額を円貨で固定しています。
連結会社は、外貨建借入金の金利の為替変動リスクと金利変動リスクをヘッジするため、ヘッジ手段として金利通貨スワップを利用しています。連結会社は、ヘッジ対象とヘッジ手段との経済的関係性を、関係するキャッシュ・フローの通貨、金額及び発生時期に基づいて判断しています。現在ヘッジ会計を適用している取引において、ヘッジ対象とヘッジ手段の当該主要な条件はすべて一致しており、ヘッジ比率は1:1です。なお、通貨ベーシス・スプレッドには重要性は無いと判断しています。ヘッジ非有効部分は、ヘッジ対象及びヘッジ手段のカウンター・パーティの信用リスクの変動等により発生しますが、連結会社は格付の高い金融機関とのみ取引を行っているため、当該非有効部分が発生するリスクは極めて僅少であると考えています。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において純損益に認識したヘッジ非有効部分はありません。
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されているヘッジ手段の詳細は以下のとおりです。
上記デリバティブに関する資産又は負債は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」又は「その他の金融負債」に含めています。また、前連結会計年度及び当連結会計年度においてヘッジ会計を使用したが発生が見込まれなくなったためヘッジ会計を中止した予定取引はありません。
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されているヘッジ対象の詳細は以下のとおりです。
ヘッジ会計の適用による連結損益計算書への影響は以下のとおりです。
(注)純損益に振り替えた金額は連結損益計算書上、「為替差損益」又は「金融費用」に含めています。なお、資本の各内訳項目の調整表及びその他の包括利益の分析については、注記27「その他の包括利益」をご参照ください。
(4) 公正価値測定
金融商品の公正価値ヒエラルキーは、レベル1からレベル3までを以下のように分類しています。
レベル1:活発な市場における相場価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1以外の、観察可能な価格を直接又は間接的に使用して算出された公正価値
レベル3:観察可能な市場データに基づかないインプットを含む、評価技法から算出された公正価値
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、各四半期の期首時点で発生したものとして認識しています。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル間の振替は行われていません。
① 償却原価で測定する金融商品
前連結会計年度及び当連結会計年度における償却原価で測定する金融商品の帳簿価額と公正価値ヒエラルキーは、以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
(注)1年内返済及び償還予定の残高を含んでいます。
当連結会計年度(2024年3月31日)
(注)1年内返済及び償還予定の残高を含んでいます。
償却原価で測定する短期金融資産、短期金融負債については、公正価値は帳簿価額と近似しているため、注記を省略しています。
長期借入金の公正価値は、元利金の合計額を、新規に同様の借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しています。
② 経常的に公正価値で測定する金融資産及び金融負債の公正価値
前連結会計年度及び当連結会計年度における公正価値で測定する金融商品の公正価値ヒエラルキーは、以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
デリバティブは主に為替予約、金利スワップ、金利通貨スワップに係る取引です。
為替予約の公正価値は、先物為替相場等に基づき算定しています。金利スワップ、金利通貨スワップの公正価値は、取引先金融機関等から提示された金利等観察可能な市場データに基づき算定しています。
非上場株式、その他の持分証券の公正価値測定においては、特定の状況に応じて最も適切な方法を選択しています。評価技法は、ディスカウント・キャッシュ・フロー法、又は、必要に応じてPBRによる時価修正等を加えた修正時価純資産方式等を使用することにより、算出しています。
非上場株式、その他の持分証券の公正価値測定で用いている重要な観察不能なインプットである非流動性ディスカウントは、30%で算定しています。
各報告期間における、レベル3に分類された金融商品の増減は、以下のとおりです。
(注1)損益に含まれている利得及び損失は、決算日時点の純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものです。これらの損益は連結損益計算書上「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
(注2)その他の包括利益に含まれている利得及び損失は、決算日時点のその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものです。これらの損益は連結包括利益計算書上「FVTOCIに指定した資本性金融商品への投資による損益」に含まれています。
(5) 金融資産と金融負債の相殺
連結会社の一部の金融資産及び金融負債について、金融資産と金融負債の相殺の要件に従って相殺し、連結財政状態計算書に純額で表示しています。また、デリバティブ取引は、マスター・ネッティング契約又はそれに類似する契約に基づいて行われており、契約当事者間で決済の不履行が起きた場合は、取引相手先の債権債務を純額で決済することとなっています。前連結会計年度及び当連結会計年度における、同一取引相手先に対して認識した金融資産及び金融負債の相殺に関する情報は次のとおりです。
(注1)前連結会計年度の「連結財政状態計算書に表示されている金融資産」には、デリバティブ資産が、6,779百万円含まれています。
(注2)前連結会計年度の「純額」には、デリバティブ資産が、4,952百万円含まれています。
(注3)前連結会計年度の「連結財政状態計算書に表示されている金融負債」には、デリバティブ負債が、6,056百万円含まれています。
(注4)前連結会計年度の「純額」には、デリバティブ負債が、4,229百万円含まれています。
30.リース取引
(1) 借手としてのリース取引
連結会社は、建物及び構築物、機械装置及び運搬具、土地等の資産をリースしています。
当該取引において、変動リース料、残価保証を含むリース契約、セール・アンド・リースバック取引から生じた利得又は損失の金額に重要性はありません。また、当該取引により課されている制限又は制約はありません。
① リース負債
リース負債の内訳は以下のとおりです。
リース負債の残高は、連結財政状態計算書の「その他の金融負債」に含まれています。
連結会社は、事業環境の悪化等により支払期日にリース負債の返済を実施できなくなる流動性リスクに晒されています。連結会社は、各部署からの報告に基づき経理部が適時に資金計画を作成・更新するとともに、手許流動性を連結売上収益の1ヵ月分相当以上に維持すること等により、流動性リスクを管理しています。
② リース負債に係る金利費用
リース負債に係る金利費用は以下のとおりです。
③ リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額
リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額は以下のとおりです。
④ 短期リース及び少額資産のリースに係る費用
短期リース及び少額資産のリースに係る費用は以下のとおりです。
なお、短期リース及び少額資産のリースについては、当該取引に関連したリース料を、リース期間にわたり定額法で費用として認識しています。
⑤ 契約期間の開始前のためリース負債の測定に反映されていない重要な将来キャッシュ・アウトフロー
契約期間の開始前のためリース負債の測定に反映されていない重要な将来キャッシュ・アウトフローの金額は以下のとおりです。
(2) 貸手としてのリース取引
① ファイナンス・リースに係るリース債権
ファイナンス・リースに係るリース債権の内訳は以下のとおりです。
リース債権の残高は、連結財政状態計算書の「営業債権及びその他の債権」及び「その他の金融資産」に含まれています。主に金型に係るリース取引であり、回収期間は主として2年のため、2年超のリース債権の金額に重要性はありません。また、当該リース債権に係る未稼得金融収益、割引後の無保証残存価値はありません。
ファイナンス・リースについて、販売損益、正味リース投資未回収額に対する金融収益、正味リース投資未回収額の測定に含めていない変動リース料に係る収益の金額に重要性はありません。
なお、使用権資産のサブリースによる収益は、注記22「売上収益」に記載の「IFRS第16号に基づく使用権資産のサブリースによる収益」と同額です。
② オペレーティング・リースに係るリース料
該当事項はありません。
使用権資産の状況については、注記13「使用権資産」をご参照ください。
31.財務活動に係る負債
財務活動に係る負債の変動は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注)デリバティブは、連結財政状態計算書の「その他の金融負債」、連結キャッシュ・フロー計算書の財務活動によるキャッシュ・フローの「その他」に含まれています。
32.関連当事者
(1) 関連当事者との取引
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
上記取引に対する未決済残高と未決済残高に関する貸倒引当金は以下のとおりです。
(2) 主要な経営幹部の報酬
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
33.偶発事象
当連結会計年度における偶発債務の内容は以下のとおりです。
独占禁止法関連
(1) 国及び競争法当局による調査
一部の国において当局による調査に対応しています。
(2) 民事訴訟
特定の自動車部品の過去の取引に関する独占禁止法違反の疑いに関連して、英国の裁判所において顧客1社が提起した訴訟で当社(及び一部の当社子会社)が被告に含まれています。当該訴訟は英国の民事訴訟規則に則って手続きが進行しますが、当社はどの段階でも原告側と和解交渉を開始し、和解することが可能です。
(3) 個別の和解交渉
当社は、特定の自動車部品の過去の取引に関する独占禁止法違反の疑いに関連して、主要顧客(自動車メーカ)との間で個別に交渉を行っています。
当社は、上記事案のいくつかについて、支出の可能性のある金額を見積ったうえ、引当金を計上しており、これに関する費用は、「その他の費用」に含めています(注記18「引当金」及び注記24「販売費及び一般管理費及びその他の費用」参照)。
なお、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に従い、当社の立場が不利になる可能性があるため、これらの係争の全般的な内容を開示していません。
34.子会社及び関連会社等
「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおり、前連結会計年度及び当連結会計年度において、個々に重要性のある非支配持分を有する子会社、関連会社及び共同支配企業は該当ありません。
支配の喪失とならない連結子会社の所有持分の変動による資本剰余金への影響は以下の通りです。
(単位:百万円)
前連結会計年度及び当連結会計年度において、連結子会社の支配喪失に伴う所有持分の変動について認識した損益に重要性はありません。
35.後発事象
連結会社は、後発事象を2024年6月20日まで評価しています。
(保有株式の一部売却)
2024年5月20日付で、当社が保有するルネサスエレクトロニクス株式会社の株式の一部を売却することを決定し、2024年5月21日に売却を完了しました。本件売却に伴う売却益は、その他の包括利益として処理されるため、連結損益計算書への影響はありません。
本件売却にかかる取引内容は以下のとおりです。