Ⅰ 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念は、社名の「リンテック」すなわち"リンケージ(結合)"と"テクノロジー"、および社是「至誠と創造」に裏付けされる人の和、技術開発力を基軸とし、国内・海外の業界において、誰からも信頼される力強い躍動感あふれる会社として社会に貢献し、株主各位・顧客・社員家族の期待に応える斬新な経営を推進するというものであります。
当社グループは、粘着応用技術、表面改質技術、システム化技術、並びに特殊紙・剥離材製造技術という四つの固有技術を基盤とし、さらにそれらを高次元で融合させることによって、より差別化された独自性の高い製品創りを進めてまいります。また、高い倫理観の下、CSRの精神を徹底し、社会から信頼される会社たるべく邁進してまいります。
Ⅱ 中長期的な会社の経営戦略と会社の対処すべき課題
当社グループは2030年3月期を最終年度とする長期ビジョン「LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030」(略称:LSV 2030)を掲げ、基本方針を「イノベーションによる企業体質の強靭化と持続的成長に向けた新製品・新事業の創出を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献する」とし、「社会的課題の解決」、「イノベーションによる企業体質の強靭化」、「持続的成長に向けた新製品・新事業の創出」の三つの重点テーマに対する諸施策を、長期ビジョンの実現に向けたマイルストーンと位置づけ、3か年ごとの中期経営計画を策定し、推進しています。
最初の中期経営計画「LSV 2030-Stage 1」の初年度においては、売上高・利益ともに過去最高を記録し、当初掲げた最終年度の経営目標を前倒しで達成したことから、最終年度の経営目標を上方修正しました。しかしながら、2年目については、電子・光学関連製品や他の製品において急激な受注減少があったほか、原燃料価格や物流費の高騰影響を大きく受けたことで、収益面では厳しい結果となりました。最終年度の2024年3月期においては、価格改定や円安効果に加え、第3四半期以降、半導体・電子部品関連製品やシール・ラベル用粘着製品を中心に受注は回復傾向にあったものの、上期の不振をカバーするまでには至らず、極めて厳しい結果となりました。
今後も原燃料調達コストの高止まりや地政学的リスクの高まりなど、当社グループを取り巻く事業環境は引き続き厳しい状況が続くと予想されます。
当社グループが持続的な成長を遂げていくためには、新中期経営計画「LSV 2030-Stage 2」において、長期ビジョン「LSV 2030」の実現に向け、三つの重点テーマに対する取り組みを一層強化してまいります。
また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については、長期ビジョンの重点テーマおよび新中期経営計画「LSV 2030-Stage 2」の経営目標の着実な達成、成長投資ならびに株主還元を主眼においたキャッシュアロケーション方針、積極的な株主との対話やIR活動の推進などを着実に実行することで、企業価値の向上と継続的なPBR1倍超えを目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
≪長期ビジョンの概要≫
1.社会的課題の解決
(1) 環境 … 脱炭素社会・循環型社会の実現への貢献 など
(2) 社会 … 人権の尊重、ステークホルダーへの情報開示とコミュニケーション強化 など
(3) ガバナンス … コーポレートガバナンスの強化、取締役会の実効性のさらなる向上 など
(4) 事業活動を通じたSDGs達成への貢献
2.イノベーションによる企業体質の強靭化
(1) DXによる設計・開発・製造・物流・業務プロセスの変革
(2) ビルド&スクラップによる省エネ、高品質、高効率、省人化を目的とした新規生産設備の導入
(3) 生産プロセス革新によるコスト競争力の強化
(4) 低成長・不採算事業の構造改革とグループ会社の経営健全化
(5) 強固な財務基盤の維持と資本効率の向上
3.持続的成長に向けた新製品・新事業の創出
(1) 技術革新による新製品・新事業の創出
(2) 戦略的投資の拡大と機動的M&A
(3) さらなるグローバルプレーヤーへの飛躍
(4) ローカリゼーションの確立
≪中期経営計画の概要≫
■印刷材・産業工材関連
北米やアジアでの拡販と収益向上
地球環境との共生と循環型社会の実現に向けた取り組み
ウインドーフィルムのさらなる高機能化と拡販
労働力不足の解決や生産効率の向上に貢献する新製品の開発やシステムの拡販 など
(印刷・情報材事業部門)
2025年3月期は、国内市場においては新たな市場創出とQCDの強化による収益性の改善が重要なテーマとなります。脱プラスチック対応製品や3R対応製品、環境負荷の少ないホットメルト粘着剤の活用など、需要が拡大している環境配慮製品の開発・拡販を加速させていくほか、品種統合や長期在庫の削減など継続的な収益改善に努めていきます。海外では、北米市場の在庫調整が進み、需要が回復傾向にあります。これまでにマックタック社の生産能力・市場対応力・新規販売網の拡充などを主眼に積極的なM&Aを行ってきましたが、この市場好転のタイミングを好機と捉え、安定成長が見込める北米での事業強化により一層注力してまいります。また、アジアでは現地のニーズに合わせた製品ラインアップ拡充とQCD強化による競争力の向上に取り組んでまいります。
(産業工材事業部門)
2025年3月期は、部門方針として「高品質な製品とサービスを提供し、お客様に信頼される部門となる」を掲げ、市場ニーズに合致した新たな価値を提供し、販売数量の確保・シェアアップを図っていきます。拡大が見込まれる通販市場や自動車市場向けの製品提案・拡販を図っていくほか、ニーズが高まっている環境配慮製品についても無溶剤化やバイオマス、リサイクルといったテーマを中心に製品開発を進めていきます。さらに事業拡大に向けて、海外グループ会社との連携を一層強化し、現地ニーズの的確な把握から市場の求める製品の提供を図るとともに、生産の現地化を推進していきます。
■電子・光学関連
エレクトロニクス市場の成長に向けた継続的な設備投資と需要対応
先進半導体後工程におけるパッケージング技術に関わる新たなテープや装置、独自プロセスの開発
EUV露光機用CNTペリクル量産体制の確立
車載用OCA(Optical Clear Adhesive)などの新製品の開発と拡販
光拡散フィルムの開発 など
(アドバンストマテリアルズ事業部門)
2025年3月期は、エレクトロニクス関連市場全体の回復を見込んでおり、需要を確実に捉えられるよう準備を進めてまいります。生成AI向けを中心とした半導体関連装置の需要増加に対応するための生産体制の強化や、先端半導体の後工程におけるパッケージング技術に関わる新たな製品の開発・提案、さらには積層セラミックコンデンサ関連市場の拡大に向けた継続的な設備投資などにも取り組んでいきます。また、お客様と継続的に実施しているTRM(テクニカル・レビュー・ミーティング)を通じた、半導体の新たな独自プロセスの構築を目指していくほか、次世代半導体の微細回路形成に欠かせない高透明・高耐久のEUV露光装置用ペリクルの第一次量産体制の確立に向けた設備・研究開発投資を推進してまいります。
(オプティカル材事業部門)
2025年3月期は、偏光板の粘着加工事業を手掛けていた韓国・台湾の生産子会社を解散するなど、液晶ディスプレイ関連のビジネスを大幅に縮小させ、有機ELディスプレイ関連などの高機能領域に注力していく事業戦略の転換を図ってまいります。また、車載ディスプレイの市場トレンドとして搭載数の増加や大画面化、高画質化などが進んでいます。それに伴って光学用厚手粘着シートの市場は拡大していくと見ており、継続して中国市場での拡販を図るとともに、機能性の高い新製品の開発・市場投入を進めていきます。そのほか新事業創出に向けて、反射型液晶向けの光拡散フィルムや次世代太陽電池向けのハイバリアフィルムなどの開発にも注力していきます。
■洋紙・加工材関連
耐油耐水紙のさらなる用途展開
プラスチック代替高機能紙の開発・拡販
合成皮革用工程紙の海外展開強化
炭素繊維複合材料用工程紙の拡販 など
(洋紙事業部門)
2025年3月期は、「収益性の改善」「販売数量のアップ」「新製品の創出」を部門方針として取り組んでまいります。利益の改善に向けては効率的な生産体制の構築や適正在庫の維持などに努め、販売数量のアップを目指して成長市場向けの新規顧客獲得や、耐油耐水紙をはじめとした特殊機能紙の海外展開強化なども推進していきます。新製品の創出においては非フッ素耐油紙への完全切替や、透明紙・生分解性ヒートシール紙などのプラスチック代替高機能紙の開発・拡販に努めてまいります。
(加工材事業部門)
2025年3月期については市場全体が回復基調であり、販売数量の増加やコスト削減などに努め、収益性の改善を進めてまいります。また、当部門においては中長期的な環境対応は重要テーマであり、剥離紙の製造時に有機溶剤を使用しない「無溶剤化」と剥離紙にポリエチレン樹脂をラミネートしない「脱ポリ化」を継続して推進していきます。重点戦略としては、一層の需要拡大が予想される航空機向け炭素繊維複合材料用工程紙の拡販や、合成皮革用工程紙のグローバルでの展開強化を進めていくことでシェアアップを図っていくほか、シーズ型新製品開発として撥水性や防滑性を付与するための工程紙や、トレンドを先取りする合成皮革用工程紙の新柄開発にも取り組んでいきます。
◆当社のESGおよびSDGsに関する取り組みについて◆
当社は長期ビジョン「LSV 2030」で掲げた重点テーマ「社会的課題の解決」において、ESG(環境・社会・ガバナンス)およびSDGsに関する取り組み課題として、次の項目を設定しております。
当社グループ全社員による取り組みを一層加速し、国際社会の課題解決に貢献することのできる企業グループを目指してまいります。また、マテリアリティ(重点課題)については毎年見直しを行っており、「サステナビリティレポート」および「統合報告書」並びに当社ウェブサイトにて開示しております。
当社はこれからも、社是「至誠と創造」の下、各項目に対して積極的に取り組んでまいります。
当社では人的資本や気候変動などのサステナビリティ経営課題について、当社ウェブサイトを通じ積極的な開示を進めてまいります。その概要は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
サステナビリティに関する具体的な取り組み施策については、「サステナビリティ委員会」(原則年4回開催)において、対応方針や実行計画についての議論と進捗状況の監督を行っています。同委員会は代表取締役社長が委員長を務め、全取締役および下部委員会の推進担当役員が参加しており、討議結果は取締役会において報告される体制としています。当事業年度における同委員会の活動状況は次のとおりです。
①人的資本
人的資本関連課題は「ダイバーシティ・働き方改革促進分科会」を通じて社内外のニーズの吸い上げを行い、人事部と協働して施策や制度の浸透と啓蒙を行います。この活動については「社会・ガバナンス委員会」で一次評価を実施し、「サステナビリティ委員会」において最終的な評価を行うとともに、全取締役および全推進担当役員に報告されています。
②気候変動
気候変動関連課題は「TCFD分科会」を通じて「環境委員会」で一次評価を実施し、「サステナビリティ委員会」において最終的な評価を行います。課題への対応策は各拠点で実行・管理され、対応状況は「環境委員会」にて取りまとめ、「サステナビリティ委員会」において全取締役および全推進担当役員に報告されています。
サステナビリティに関するさまざまなリスク・機会を事業戦略策定上の重要事項の一つとして捉えており、それぞれの対応策を長期ビジョン「LSV 2030」の取り組みに反映させています。さらに社会トレンド・ニーズに対する感度を高め、必要な諸施策をタイムリーに検討し、実行しております。
①人的資本
当社グループの社是は「至誠と創造」であり、すべての社員に対して誠意をもって、あらゆる差別的取り扱いをせず一人ひとりの多様性を尊重します。また、社員の多様性はイノベーションの源泉であり企業価値向上に資するものと考えており、さまざまな立場の方の採用・登用を積極的に進め、多様性の確保、拡大を目指してまいります。
このため、当社では定期採用のほか必要都度キャリア採用、高度専門人財採用を積極的に行っているほか、家庭の事情で退職した元社員を再雇用するジョブリターン制度や、他社で経験を積んだ元社員を再雇用するキャリアリターン制度、異業種経験を当社業務に活かしてもらうための兼業副業制度なども導入し、多様性の確保に努めております。
また、社員の育成については、当社は社員の業務や能力に合わせた教育プログラムを用意し、グローバル社会にも通用する人財の育成に努めています。加えて、当社グループにおいて直近ではサクセッションプラン(組織ごとの後任者および育成の計画化)導入の試みを始めており、会社の屋台骨となる人財の育成・確保にも注力してまいります。
このほか、当社では社内環境整備にも力点を置いており、出産・育児・介護などのライフイベントがあっても働き続けやすい制度作りなどの取り組みを続けております。
*詳細は、下記にて開示しております。
②気候変動
リスク管理体制強化のため、各本部長と社長直轄組織である各室の室長で構成される「全社リスク管理委員会」を2018年4月に設置し、定期的に委員会を開催しています。
2021年4月にサステナビリティ活動の推進体制が刷新・強化され、同委員会の目的を「事業におけるリスクと機会の把握、対応方針策定、職制への落とし込みおよび検証」として、改めて明確にしました。同委員会では、主に各委員の課題認識と管理職などを対象に毎年実施しているリスク洗い出しの結果に基づいて、サステナビリティ関連項目を含むさまざまなリスクの評価・分析を行っています。その結果は四半期ごとに「サステナビリティ委員会」で報告され、対応などについての指示を受けています。
各委員会が連携してリスク管理能力の強化に努めるとともに、リスク管理体制の継続的な改善に取り組みリンテックグループの持続的成長を図っております。
①人的資本
社員教育や採用活動、福利厚生などの人事に関する諸課題は人事部が所管し、社会トレンド・ニーズの変化も見据えつつ、経営と一体となり対応方針を検討していきます。また、「ダイバーシティ・働き方改革促進分科会」とも協働し、委員会を通じ社内外のニーズの吸い上げや、施策や制度の浸透と啓蒙を行います。
なお、2023年から従業員サーベイを導入しました。これにより組織の状態把握に努めるとともに、社員と会社の考え方の一致状況や、会社が社員の期待に応えられているかをチェックし、離職や組織力低下などのリスクに対する管理能力を高めてまいります。
②気候変動
気候関連リスクに係る情報は「環境委員会」が収集して識別・評価を行い、その結果を「サステナビリティ委員会」に報告しています。同委員会では対応の必要性を検討後、適宜、下部委員会を通じて推進担当役員に業務指示を行っており、指示を受けた推進担当役員はそれぞれの所管部署を通じて対応策を実行します。「環境委員会」はその後の状況の変化を継続的に確認し、当初掲げた指標・目標が達成できているかどうか定期的に把握しています。
サステナビリティのリスク・機会として重要な項目については、指標および目標を設定し、関係部署においてさまざまな施策を推進しています。
①人的資本
当社では人的資本経営に関連するKPIとして「女性管理職・監督職(係長・主査)比率」「女性採用比率(大卒・大学院卒・短大卒)」「障がい者雇用率」等を設定しており、これらの推移を確認しながら人財の多様性確保および人財育成ならびに社内環境整備に努めてまいります。なお、下記表の目標値および実績値は、当社グループでの従業員数において、単体の従業員数が過半数を占めていることから、その重要性を踏まえ単体の数値を記載しております。
*マテリアリティ・KPIおよび実績(2023年3月期)は、下記にて開示しております。
https://www.lintec.co.jp/sustainability/philosophy/ ※マテリアリティ・KPIのリンク
https://www.lintec.co.jp/sustainability/social/ ※社会性報告
②気候変動
気候変動への対応として温室効果ガス(GHG)排出量の削減が重要であると認識し、研究開発・製造・販売・物流面などにおいてさまざまな施策を推進しています。脱炭素に向けたこれらの取り組みはメーカーとしての使命であると同時に、気候関連の新たな機会獲得につながると考えています。
また、当社グループでは2030年を見据えた長期ビジョン「LSV 2030」において、「CO2排出量を2030年までに2013年度比で50%以上の削減」の目標を掲げ、2023年3月期(実績)は2013年度比39.7%の削減となりました。さらに「2050年カーボンニュートラル達成」を目標に設定しています。
*詳細は、下記にて開示しております。
当社グループは、グループ全体におけるリスクの把握と発生の防止に努め、チャンス(機会)を捉えて活かす行動を根付かせていくために、全社リスクマネジメントシステムの構築を推進する「全社リスク管理委員会」を設置し、グループ全社でのリスク管理体制構築に向けてシステムづくりから管理・運用までを担い、継続的に改善活動を行っております。
当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性がある主要なリスクには、以下のようなものがあると認識しておりますが、これらは想定される主要なリスクを例示したものであり、すべてのリスクを網羅したものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの事業は、あらゆる産業に展開しており、国内外の経済情勢、市場環境の影響を直接及び間接的に受けます。国内においては、少子高齢化の進展や人口減少社会の到来によって市場の縮小が進み、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がありますが、新たな需要の開拓を進め、既存事業のシェア拡大と新市場の創出を図っていきたいと考えております。また、電子・光学関連においては、世界のIT産業の動向の影響を受けます。今後のIT産業の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業を展開する市場は、国内外において厳しい競合状態にあり、十分な利益を確保するに足る販売単価の維持や販売シェアの確保ができない場合があります。競合に対する差別化やきめ細かい顧客サービスによるシェアの維持、コスト削減による利益の確保に努めてまいりますが、これらが困難になる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製紙用パルプや各種石化製品などを原材料、燃料として多く使用しており、その価格は在庫水準や需給バランスによって変動する市況製品であります。原材料等の購入に際しては、市況動向を見極めた発注に努めてはおりますが、価格の急激な変動によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、世界各地で生産・事業展開を進めており、2024年3月期の海外売上高比率は61.1%になっております。生産・事業展開をする各国において、テロ、政変、クーデター等による政情不安や治安の悪化、従業員による労働争議、感染症、予期せぬ税制、外為、通関等に関する法律、規制の変更など不測の事象が発生した場合、海外における当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、為替変動リスクも高まっており、米ドルのみならず、韓国ウォンや中国元、台湾ドルなどアジアの主要通貨の動向も注視するとともに、為替予約などを行うことでリスクの軽減を図っておりますが、想定以上の為替相場の変動によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、総合技術力で市場ニーズに対応し、競争力のある高付加価値製品を市場に投入していくことを目標に研究開発を推進しており、研究スタッフの増員や、産学共同研究等への経営資源投入を強化しております。
しかしながら、このような研究開発への経営資源の投入が必ずしも新製品の開発さらには営業収入の増加に結びつくとは限らず、開発期間が長期に亘ったことなどにより、開発を中止せざるを得ないような事象が発生した場合は、製品開発コストを回収できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、独自に蓄積してきた様々な製造技術について国内外において必要な知的財産権保護手続きを行っておりますが、法的制限だけでは完全な保護は不可能であり、取得した権利を適切に保護できない場合があります。また、当社グループの製品に関して第三者より知的財産権侵害の提訴を受ける場合があります。このような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが国内外で事業活動を行うにあたり、製造物責任(PL)関連、環境関連、知的所有権関連等に関し、訴訟その他の請求が提起される可能性があり、その内容によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業活動を展開する各国において、各種法規制の適用を受けております。これらの規制の遵守に努めておりますが、規制の強化または変更がなされた場合には、当社グループの事業活動が制限されたり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国では良好な雇用環境の改善による旺盛な個人消費に支えられ堅調に推移しましたが、欧州ではインフレ抑制のための金融引き締めなどにより回復が遅れ、中国では不動産市況の低迷などが個人消費に影を落とすなど景気低迷が続いています。一方、我が国におきましては、所得環境の改善やインバウンドによる需要が期待されましたが、円安などによる食料品や日用品の物価高騰を受け個人消費に伸びを欠くなど景気回復は極めて緩やかなものとなりました。
このような情勢の下、当社グループの事業環境につきましては、価格改定や円安効果に加え、第3四半期以降、半導体・電子部品関連製品やシール・ラベル用粘着製品を中心に受注は回復傾向にあったものの、上期の不振をカバーするまでには至らず、極めて厳しい結果となりました。
以上の結果、売上高は276,321百万円(前期比2.9%減)、営業利益は10,628百万円(同23.0%減)、経常利益は11,537百万円(同26.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,243百万円(同54.5%減)となりました。
なお、韓国連結子会社 LINTEC SPECIALITY FILMS (KOREA), INC. と台湾連結子会社 LINTEC SPECIALITY FILMS (TAIWAN), INC. の解散決議に伴い、今後発生することが見込まれる損失金額として、減損損失921百万円、関係会社整理損失引当金繰入額1,086百万円、合計2,008百万円を当連結会計年度において特別損失に計上いたしました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
〔印刷材・産業工材関連〕
当セグメントの売上高は価格改定や円安効果に加え、米国でのウインドーフィルムおよびインドでの自動車用粘着製品が好調に推移しましたが、米国でのシール・ラベル用粘着製品が大幅に減少したことなどにより168,970百万円(前期比2.5%減)となりました。利益面については国内において主原材料価格の高止まりや物流コストの上昇に加え、米国での販売数量減少の影響などもあり1,115百万円(同-%)の営業損失となりました。
当セグメントの事業部門別の売り上げの概況は次のとおりです。
(印刷・情報材事業部門)
シール・ラベル用粘着製品は、国内では物流や通販向けが堅調であったものの、食品関連を中心とした物価上昇影響により需要が減少しました。加えて、アイキャッチラベルや飲料キャンペーン用なども低調に推移しました。また、海外では米国、中国において販売数量が大幅に減少しました。この結果、当事業部門の売上高は133,175百万円(前期比4.9%減)となりました。
(産業工材事業部門)
国内では自動車用粘着製品や通販向け装置が堅調に推移しました。海外では米国やインドで建物・自動車用ウインドーフィルムや自動車用粘着製品が堅調に推移しました。この結果、当事業部門の売上高は35,795百万円(前期比7.4%増)となりました。
〔電子・光学関連〕
当セグメントの売上高は大型テレビやスマートフォン、パソコン用などの需要減少により73,892百万円(前期比5.3%減)となりました。利益面については受注減少による生産設備の稼働率低下に伴う操業損失もあり営業利益は11,661百万円(同6.4%減)となりました。
当セグメントの事業部門別の売り上げの概況は次のとおりです。
(アドバンストマテリアルズ事業部門)
半導体関連粘着テープおよび関連装置、積層セラミックコンデンサ関連テープは、第3四半期以降、受注が回復したものの、上期の不振をカバーするまでには至りませんでした。この結果、当事業部門の売上高は59,978百万円(前期比2.4%減)となりました。
(オプティカル材事業部門)
光学ディスプレイ関連粘着製品は、大型テレビ用やスマートフォン用などの需要減少に加え、競争が激化したこともあり低調に推移しました。この結果、当事業部門の売上高は13,914百万円(前期比16.2%減)となりました。
〔洋紙・加工材関連〕
当セグメントの売上高は販売数量は低調であったものの価格改定効果もあり前期並みの33,458百万円(前期比0.7%増)となりました。利益面についてはパルプを中心とした原燃料価格の高止まりや物流コスト上昇の影響を受けたものの価格改定効果もあり営業利益は21百万円(同-%)となりました。
当セグメントの事業部門別の売り上げの概況は次のとおりです。
(洋紙事業部門)
耐油耐水紙は堅調であったものの、主力のカラー封筒用紙や工業用特殊紙が低調に推移しました。この結果、当事業部門の売上高は15,329百万円(前期比5.0%減)となりました。
(加工材事業部門)
粘着製品用剥離紙は低調であったものの、電子材料用剥離紙は需要が大きく回復したことに加え、合成皮革用工程紙、炭素繊維複合材料用工程紙が堅調に推移しました。この結果、当事業部門の売上高は18,129百万円(前期比6.1%増)となりました。
2025年3月期の世界経済は、所得環境の改善を背景に個人消費の拡大が期待されるものの、欧米を中心とした金融引き締めやウクライナ・中東情勢の長期化、さらに米中対立など予断を許さない状況が続くと予想されます。
そのような経営環境の下、当社グループでは2024年4月から3か年にわたる中期経営計画「LSV 2030-Stage 2」をスタートしました。2030年を見据えた長期ビジョンの重点テーマを念頭に、成長事業に対する積極的な投資や資本効率の向上、事業ポートフォリオの最適化などに取り組んでまいります。
2025年3月期の連結業績予想は、売上高は2,900億円(当期比5.0%増)、営業利益は180億円(同69.4%増)、経常利益は180億円(同56.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は130億円(同147.9%増)を予想しております。
(2)財政状態の状況
〔資産〕
当連結会計年度末の総資産は、棚卸資産が減少しましたが、有形固定資産が積極的な設備投資などにより増加したことなどから、前連結会計年度末に比べて28,760百万円増加の333,642百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。
〔負債〕
当連結会計年度末の負債は、支払手形及び買掛金や未払金の増加などにより、前連結会計年度末に比べて22,927百万円増加の100,657百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。
〔純資産〕
当連結会計年度末の純資産は、為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末に比べて5,833百万円増加の232,984百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は52,396百万円となり、前連結会計年度末に比べて18,539百万円の増加となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比較して33,269百万円増加の39,205百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比較して9,374百万円減少の△21,512百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比較して11,487百万円増加の△1,288百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。
また、資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業キャッシュ・フロー内において、主な設備投資や借入金の返済などを実施しており、自己キャッシュ・フローにより流動性は確保できております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
〔のれんの減損及び子会社株式の評価〕
当連結会計年度末ののれん残高は15,064百万円であります。主なものは印刷・情報材事業の製品を製造・販売するMACTAC AMERICAS, LLCにおいて14,736百万円の残高を計上しており、同社は、米国におけるTopic350「無形資産-のれん及びその他」を適用し、のれんを10年間の定額法で償却しています。また、年4回(四半期決算期末)減損の兆候の判定をおこなっております。
減損の兆候の判定には、主にマクロ経済の動向、業界及び市場の動向、原材料費や輸送コスト等の調達コストの動向、業績の動向などを判断材料としており、これらの判断材料が大きく変化した場合、のれんの減損損失を認識する可能性があります。
当連結会計年度における減損の兆候を判定した結果、減損の兆候はなく、のれんの減損損失を認識することはありませんでした。
また、当事業年度末の子会社株式残高は63,047百万円であり、主なものは当社の米国子会社であるLINTEC USA HOLDING, INC.の48,731百万円であります。LINTEC USA HOLDING, INC.は、上記のMACTAC AMERICAS, LLCの持分を100%所有しており、MACTAC AMERICAS, LLCがのれんの減損損失を認識した場合、子会社株式の評価損を認識する可能性があります。
〔固定資産の減損〕
当連結会計年度において、洋紙・加工材関連セグメントのうち、洋紙事業で主要な原材料であるパルプ価格の高止まりの影響を大きく受けたことにより収益性が低下したため減損の兆候があると判断し、洋紙事業の固定資産に係る資産グループ10,897百万円について、減損損失の認識の要否判定を行いました。
判定の結果、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がその帳簿価額を上回ったことから、減損損失を認識しておりません。
なお、当該見積りに用いた仮定などは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5)生産、受注及び販売の実績
〔生産実績〕
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間およびセグメント内の取引が多様で、各セグメントの生産高を正確に算出することが困難であるため、概算金額を表示しております。また、セグメント間の内部振替高に伴う生産高を含めております。
2 金額は、製造原価によっております。
〔受注実績〕
製品及び商品の大部分が受注即出荷となりますので、受注状況は販売実績とほぼ同じであります。
〔販売実績〕
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
(1)当社は2023年5月24日開催の取締役会において、当社の子会社であるMACtac Americas, LLC(本社:米国オハイオ州、LINTEC USA Holding, Inc.*の100%子会社)の子会社である MACtac Canada LTD.(本社:カナダ・オンタリオ州、MACtac Americas, LLC の100%子会社)が、886381 Ontario Inc.(商号:"LABEL SUPPLY"、本社:カナダ・オンタリオ州)および 1598130 Ontario Limited(本社:カナダ・オンタリオ州)の事業並びに関連資産の買収に関する契約を締結することについて、会社法第 370 条および当社定款第 25 条(取締役会の決議に代わる書面決議)により決議し、2023年5月24日(現地時間)に事業並びに関連資産の買収に関する契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)をご参照ください。
* LINTEC USA Holding, Inc.は当社の100%子会社
(2)当社は2023年10月19日開催の取締役会において、当社の子会社である LINTEC ASIA PACIFIC REGIONAL HEADQUARTERS PRIVATE LIMITED(本社:シンガポール、当社 100%子会社)およびその子会社である PT. LINTEC JAKARTA(本社:インドネシア・ジャカルタ州、LINTEC ASIA PACIFIC REGIONAL HEADQUARTERS PRIVATE LIMITED の100%子会社)を通じて、PT Multiyasa Swadaya(本社:インドネシア・ジャカルタ州)の全株式を取得することを決議し、2023年11月3日(現地時間)に株式売買契約を締結し、2024年1月15日(現地時間)に子会社(当社における孫会社)化を完了いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)をご参照ください。
当社グループは、粘着応用技術、表面改質技術、システム化技術、並びに特殊紙・剥離材製造技術を基盤に、印刷・情報材料、産業工業材料、半導体関連材料、光学機能材料などの多岐にわたる製品を開発・製造・販売し、その研究開発活動の大部分を提出会社である当社が行っております。当期も中長期研究開発計画に基づいた新技術や新製品、特に機能性材料とその加工技術の開発に積極的に取り組み、ユーザーニーズを重視したマーケット対話型の研究開発に努めてまいりました。また「カーボン・ニュートラル・チャレンジ」のスローガンの下、CO2排出量の削減に向けた開発活動を強化し、脱プラスチック・減プラスチックを目指してプラスチック代替素材を用いた製品開発や、プラスチックフィルム使用量削減に積極的に取り組んでいます。
さらに、当社グループの海外における研究機関であるNano-Science & Technology Center(米国テキサス州)では、カーボンナノチューブ関連の研究と応用製品開発に力を入れております。当社の既存技術との融合による他に類を見ないユニークな製品開発を目指しています。
当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発費の総額は
なお、セグメント別の主な研究開発活動の状況は次のとおりです。
環境負荷低減に寄与する製品の開発に注力しています。その一環として、使用時は水にぬれても剥がれにくく、容器の洗浄工程できれいに剥がれるリターナブルラベル素材を開発しました。従来品は主に日本酒などの飲料用ガラス瓶向けとして採用されてきましたが、今回の開発品はプラスチック製容器にも適したラベル素材であり、容器のリユース・リサイクルに貢献します。また、表面基材と粘着剤にポリエステル系樹脂を使用することで、日用品や食品・飲料などに用いられているポリエステル製容器とのモノマテリアル化(単一素材化)を実現したラベル素材は、2023年9月にラベルインダストリーグローバルアワードを受賞しました。引き続きお客様に評価される新製品の開発・提供に努めてまいります。
さまざまな産業向けや建築物用の機能性粘着素材の開発を継続しています。車両用途では高機能化の検討を継続し、各種印字方式に対応するデジタルプリント対応ビジュアルマーキングフィルム(LAG製品)を開発しています。さらに環境配慮の観点からバイオマス材料を用いたビジュアルマーキングフィルム素材も開発しました。ウインドーフィルムにおいては、遮熱性や耐久性などの高機能化と、環境負荷の低減を実現する製品の開発を引き続き進めていきます。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は
スマートフォン等に用いられるウェハレベルパッケージ半導体向けに、生産性向上などの機能を付与したチップ裏面保護テープを開発しています。また、ダイシングテープ、表面保護テープを中心に環境負荷の少ない樹脂に帯電防止性能を付与した製品を開発し、それぞれ製品群を拡充しました。加えて、薄型ウェハが使用されるインテリジェントセンサーや3D NANDフラッシュメモリーの製造に不可欠な高機能ダイシングテープ、表面保護テープ、ダイシング・ダイボンディングテープなどの開発・上市を継続し、急速に進むDX化やAI、次世代通信の普及・拡大の一翼を担っています。
また、スマートフォンや車載用途向けの積層セラミックコンデンサ(MLCC)の需要が回復し、MLCC製造用剥離フィルム市場が活況です。現在は、MLCCの小型化・高性能化に伴う剥離フィルムの品質改善と高機能化、新規アイテムに対応した剥離フィルムの開発に取り組んでいます。将来の電気自動車や5G向け半導体や電子部品の需要増を見込んで増産体制の構築も進めています。
各種ディスプレイに用いられる機能性粘着剤と機能性コート剤の開発を継続しています。大型テレビやタブレット、スマートフォン、車載ディスプレイ用粘着剤では、プラスチックパネルに対する耐ブリスター性と耐湿熱白化性を向上させました。さらに着色、光拡散性などの機能を追加した製品も含めて拡販が進んでいます。また、タッチセンサーに使用される金属細線の腐食を抑制し、かつ紫外線の遮蔽性を兼ね備えた粘着剤や、フレキシブルディスプレイに必要な耐折り曲げ性を付与した粘着剤など、新規のディスプレイ製品に対応した素材開発を進めています。加えて、抗菌・抗ウイルス性を付与したガラス飛散防止フィルムなどの開発も行いました。
そのほか光の拡散領域が制御可能な光拡散フィルムは、顧客ニーズにマッチした特性にカスタマイズすることでさらに優位性を発現し、スマートウォッチなどの超低消費電力の反射型液晶ディスプレイ用に採用が加速しました。そのほか、プロジェクションスクリーンや反射型サイン用としてのデモ試験を活発に継続しています。これら製品のさらなる拡販を目指すとともに、新たな機能性粘着剤と機能性コート剤の開発を進めてまいります。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は
包装容器をはじめとした消費材の環境負荷低減に貢献できる特殊紙の開発に取り組んでいます。具体的にはポリエチレンのラミネートを必要としない脱プラスチック要求に応える特殊紙や、食の安全性への期待に応えるフッ素を使用しない特殊紙の開発を進めています。
靴やかばんなどに使われる合成皮革は、その表面に柄を付与するために工程紙を用いて製造されています。当社はトレンドに合わせたさまざまな柄の工程紙を開発しています。
また、剥離紙や剥離フィルムに塗布されている剥離処理層は、ナノメートルオーダーという極薄膜であることが求められ、これまでは有機溶剤を用いた希釈塗布が主流でした。しかし、環境保全の面からVOC排出量削減策として、高濃度化と無溶剤化に積極的に取り組み、その処方開発に注力しました。今後も、無溶剤化された剥離紙の展開を強く推進してまいります。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は