文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び当社の連結子会社)が判断したものであります。当該将来に関する事項は、取締役会等の社内の会議体で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであり、検討にあたっては、当社グループの事業所ごとに事業を取り巻く環境、事業計画、その他関連する諸条件を総合的に勘案して判断しております。
なお、将来に関する事項につきましては、不確実性を有しており、将来生じる結果と異なる可能性がありますので、記載しております事項に対する判断は、以下記載事項及び本項目以外の記載内容も合わせて慎重に行われる必要があります。
当社グループは、経営理念に基づき、当社グループ全体としてチェーンストアのマスメリットを創出しつつ、それぞれの事業が地域に密着した経営を行っております。
主力であるスーパーマーケット事業は、「鮮度」、「品質」、「品揃え」、「価格」、「サービス」などにおいて地域のお客様から圧倒的に支持されるリージョナル・チェーンの実現を目指しております。
当社グループは、経営理念等を以下のとおり定めております。
(注) 「TQM:トータル・クオリティ・マネジメント、総合的品質管理」 お客様満足のため、継続的に仕事やサービスや商品の質をレベルアップしていく経営品質向上のための活動
(2) 経営戦略
当社グループは、経営理念実現に向け、グループビジョン(長期経営計画)を定めており、環境変化に応じて更新を行っております。
過去におけるグループビジョンの変遷は、以下のとおりであります。
この間、当社グループは、企業規模の拡大、収益性の改善、店舗や商品・サービスの魅力向上等を図り、グループビジョン達成に向け着実に成長を遂げてまいりました。その一方で、時代の変化も進みました。
現在取り組むグループビジョンについては、当社グループの現状、今後予測される環境変化、今後の成長戦略を踏まえ、次のように定めております。
(注)1 「SSM:スーパー・スーパーマーケット」 売場面積500坪~800坪のスーパーマーケット
2 「NSC:ネバフッド・ショッピング・センター」 食品スーパーを核とし、近隣住宅街などの小商圏を対象としたショッピング・センター
3 「ドミナント・エリア」 当社グループ店舗が集中出店し、お客様より圧倒的な支持を得ている地域
当社グループは、スーパーマーケット事業を主要事業としており、当社グループの事業全体の売上高及び営業利益に対し、同事業の売上高及び営業利益は、いずれも9割超を占めております。
企業体系は、純粋持株会社である当社を中心に、機能別の各事業会社(すべて国内完全子会社、12社)で構成しており、その事業構成は、事業関連性を重視して主要事業に関連性のあるものを基本としております。
その内容につきましては、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」に、各事業会社の事業を示しておりますので、ご覧ください。
各事業会社は、当社グループ統一方針の下、協調して事業運営を行いますが、それぞれの自主性、主体性、独自性は、グループ全体最適の枠内で尊重し、事業運営を行っています。
現在の企業体系は、業績の状況、事業運営の状況等から判断し、良好に機能していると考えております。
② 主要商品・サービスの内容
当社グループが販売する主要商品・サービスは、生鮮食品、一般食品の小売であり、その事業全体に占める売上高の構成は約9割であります。
その内容につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要及び分析・検討内容 ② 生産、受注及び販売の状況 a 販売実績」に、商品別売上高の状況を示しておりますので、ご覧ください。
③ 顧客基盤
当社グループの主要事業が主に対象とする顧客は、不特定多数の一般消費者であり、特定の顧客に集中はしておりません。
販売方法は、店舗における顧客との対面によるものがほとんどであり、他にインターネット等による通信販売がごく僅かにあります。顧客が店舗に来店する頻度は、当社グループが扱う商品(主に食品)の特性上、週に数度であり、他業種に比較し高くなっております。また、顧客が来店する範囲は、概ね店舗から半径5Km以内が大半を占めております。
顧客の購買動向につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要及び分析・検討内容 ① セグメント別経営成績 a スーパーマーケット (販売指標に関する動向)」に、来店客数、客単価等の状況を示しておりますので、ご覧ください。
④ 事業を行う市場の状況
当社グループは、事業を行う対象を国内市場としており、海外市場は想定しておりません。
国内市場の情勢は、人口減少や高齢化等に伴う構造的な諸問題を抱えており、国内景気は、先行きの見通しが難しい状況となっております。
市場規模につきましては、都市部への人口流出が続いており、当社グループの主たる事業地域における市場では規模縮小の傾向が見受けられますが、短期間で大幅に市場規模が変化する状況にはありません。
販売する商品の動向につきましては、共働き世帯の増加や世帯人員の減少、高齢化が進んでいることで、簡単便利な商品や短時間で調理することが可能な商品の販売が伸長しております。
お客様の購買支出につきましては、物価上昇により増加傾向であるものの、可処分所得の伸び悩みにより、お客様の購買行動は慎重さがうかがえ、実質的な個人消費は勢いに欠けているものと認識しております。
市場内で競合する事業者の状況につきましては、多数の事業者が存在しており、近年では他業種の事業者が、当社グループと競合する商品の販売に参入する傾向も見受けられます。また、顧客との対面によらないインターネット市場が規模を拡大しており、競合状況は、同業種間に限らず、他業種、販売方法といった垣根を越えて激しさを増しております。
事業に関連する法令関係の状況につきましては、近年では消費税法の改正、食品表示法の改正及び労働法規の改正が挙げられます。消費税法につきましては、インボイス制度関連の対応コストや運用上の負荷が生じております。食品表示法につきましては、食品表示に関する各種義務化が行われており、対応コストや運用上の負荷が生じております。労働法規につきましては、労働環境の改善や社会保険料の負担増など、対応コスト、環境整備等の負担増加に加え、個人消費の抑制要因となる影響が生じております。
技術革新につきましては、近年の情報技術の革新は目覚ましく、経営環境に関連したものでは、キャッシュレス決済が特に注目を浴びております。当社グループでは、現状、クレジットカード決済には対応しており、電子マネー等の電子決済方法には一部対応しております。
⑤ 販売網
店舗の出店にあたっては、店舗の収益性、店舗運営の実現性を慎重に判断し、当社グループ店舗が集中出店し、お客様より圧倒的な支持を得られる地域(ドミナント・エリア)の形成に重点を置いており、現状の出店地域を基本としつつ、新たな商勢圏への出店によって、慎重に出店地域の拡大を図っております。
当社グループ店舗の当連結会計年度末現在における出店状況は、スーパーマーケットの店舗が131店舗であり、その地域別内訳は次のとおりであります。
また、当社グループの主力事業であるスーパーマーケット店舗の近年の出店状況は次のとおりであります。
(注)1 店舗数は、スーパーマーケットの店舗数のみであり、他業態(100円ショップ)を含みません。
2 出店数及び退店数には、移転、建替に伴う新設及び閉鎖を含めて表示しております。
近年、競合他社との競争が激化しておりますが、当社グループといたしましては、独自性を発揮し、競争優位性を確保するため、以下に注力しております。
・ 基本の徹底(明るく元気な挨拶、清潔なお店、価格・鮮度・味の追求、品切れのない売場)
・ 袋詰めサービスをはじめとした、他社には真似できないサービスの提供
・ 当社ならではの商品の開発、品揃え
・ おいしさ、価格、品質、機能を兼ね備えたプライベート・ブランド商品の拡充
・ 購買力を活かした、魅力ある販売価格の実現
・ 新しい技術、サービスの積極的導入
・ 以上を可能にするため、中期経営計画で重点課題とする生産性や原資の確保
当社グループは、資本効率向上の観点から、総資本経常利益率(ROA)を経営の重要指標と位置付け、15%を長期目標に掲げており、当面の目標として、10%を上回るべく総資産回転率と経常利益率の改善に努めています。
直近の状況を示すと、次のとおりであります。
(注) 指標の算出方法は以下のとおりであります。
総資本経常利益率 = (経常利益)÷((期首総資産額+期末総資産額)÷2)
② 中期経営計画
当社グループは、グループビジョン実現のための橋渡しとして、中期経営計画をローリング方式により定め、実行しております。
当連結会計年度の中期経営計画に対する実績の状況を示すと、以下のとおりであります。
(注)1 店舗数は、期末のスーパーマーケット店舗数のみであり、他業態(100円ショップ)を含みません。
2 指標の算出方法は以下のとおりであります。
経常利益率 = (経常利益)÷(売上高)
翌連結会計年度以降目標とする中期経営計画の概要は、以下のとおりであります。
(注)1 店舗数は、期末のスーパーマーケット店舗数のみであり、他業態(100円ショップ)を含みません。
2 指標の算出方法は以下のとおりであります。
経常利益率 = (経常利益)÷(売上高)
今後3年間の中期経営計画では、以下の項目を重点課題として経営戦略を実行してまいります。
ドミナント・エリア(当社グループ店舗が集中出店し、お客様より圧倒的な支持を得ている地域)の強化と新商勢圏の開拓により、持続的成長を実現してまいります。
これに向け、次のような施策を実行してまいります。
・ 新規出店を支える組織体制の強化を図り、新規出店を積極的に進めてまいります。
・ 既存店の改装・移転再配置による競争力向上を図ってまいります。
・ 多様な出店地の状況にあっても、出店戦略を可能にする新たな店舗フォーマットの開発と店舗設備の標準化を検討してまいります。
バーティカル・マーチャンダイジング(商品の製造段階からお客様に届くまでの一貫した商品化計画)を推進し、日常生活全般におけるあらゆるシーンに必要な商品の充実、お買い物の楽しさ、便利さのご提供を行ってまいるとともに、健康や簡便、癒し、環境といったスマートな生活提案に配慮した商品の取り扱い拡大を図り、お客様へご利益を一層提供できるように努めてまいります。
これに向け、次のような施策を実行してまいります・
・ お客様にとって魅力ある商品を品揃えするため、プライベート・ブランド商品(当社グループの独自開発商品)や当社グループならではの独自商品の開発・取扱い店舗の拡大、海外商品の自社輸入推進、エシカル(人や社会、地球環境に配慮した倫理的に正しい消費行動)を意識した社会課題の解決につながるような商品の育成・品揃えの拡大を図ってまいります。
・ 商品の価格政策として、あらゆる部門の売れ筋商品が「いつも安い」とお客様に感じていただけるようなESLP(エブリデイ・セイム・ロー・プライス)を推進し、お客様にとって魅力ある売場を実現するとともに、その原資を確保するための店舗の作業削減と生産性改善に努めてまいります。
・ 情報システムの活用、改善による販売・購買の好事例共有と最適化実現を推進してまいります。
c 店舗・サービス戦略
お客様にとって魅力があり利便性が高い選ばれる店舗を目指してまいります。
これに向け、次のような施策を実行してまいります。
・ 電子決済手段等の簡単で使いやすい決済手段の対応拡大、楽しく容易なお買い物を支える新技術を活用した什器やサービスの導入検討を進め、ショートタイム・ショッピング(お客様が気持ちよく短時間でお買い物を楽しめる環境)の実現に努めてまいります。併せて、店舗従業員の会計業務負担軽減を進めてまいります。
・ インターネットを活用したEC(エレクトロニック・コマース)の規模拡大・サービス拡充を図ってまいります。
・ 各種手法や分析方法、事例の共有等を活用し、当社グループ全店舗で店舗運営における提案力・販売力の共有を図り、当社グループが一体となって力を発揮できるような店舗運営の強化を進めてまいります。
ローコスト・オペレーション(ムダを排除した効率的な事業運営)を構築することで、お客様よりご支持をいただける商品の品質・価格、サービスを実現する原資を確保し、他社との差別化を図ってまいります。
これに向け、次のような施策を実行してまいります。
・ 新技術の研究と活用推進、業務の棚卸と改廃を行い、省人化、省力化を推進してまいります。
・ 最良オペレーションへの統一に向けた環境整備を行い、運営改善を図ってまいります。
中長期的な視点から物流戦略の策定、計画を検討します。
これに向け、次のような施策を実行してまいります。
・ 物流網の再整備、機能強化、新たな機能の導入を前提として、全体最適を実現できるような物流網の再整備、拠点の新設を検討してまいります。
・ 商品の集中製造拠点について、既存体制の再整備、新設拠点の軌道化、拠点新設等の計画を進めてまいります。
従業員が能力を最大限に発揮できるよう働きやすい職場環境を実現し、組織の持続的な成長が図られるようにしてまいります。
これに向け、次のような施策を実行してまいります。
・ 人事・教育システムの再整備を行い、スペシャリストの育成・獲得、採用につながる環境整備を図ってまいります。
・ コミュニケーション推進、福利厚生の拡充、働き方への柔軟な対応を進め、風通しの良い企業風土を醸成してまいります。
昨今の経営環境は、円安の進行や原料原価・諸経費の高騰、前向きな賃上げを実施したことによる従業員給付の増加、社会保険料の企業負担増加など、企業経営を行っていく上で、これらのコストを吸収しつつ適正利益を確保するための取組みが重要な課題となっております。
このような状況において、近年は、商品の品質、品揃えを充実しつつ、お客様がお求めやすい価格で商品をご提供できるように、経営基盤を整備するための諸施策として、設備・情報投資、従業員が働きやすい職場環境の整備等に努めてまいりました。
お客様より「あの商品おいしいよね!」と言われることは、当社グループにとって、最も喜ばしいことであります。翌連結会計年度につきましては、整備した基盤を活用した成長ステージのステップアップが大きな課題と認識しており、年度方針に 「おいしさがドまん中大作戦!!」~ うまいよねって言われたい!(≧▽≦) ~ を掲げ、食品スーパーマーケットとして味をはじめ、商品やサービスの品質に徹底してこだわることで、アクシアルらしさ、ひいては原信、ナルス、フレッセイらしさを追求してまいります。
何よりも味や品質を大切にする姿勢を再確認し、品質のために手間をかけるべきところには手間を惜しまない。しかし、「良い商品を良い売場で安くご提供する」ためには、全体の効率を上げていかなければならない。これは二律背反するようなことかもしれませんが、当社が長年経営の根幹として培ってきたTQM(トータル・クオリティ・マネジメント、経営における総合的品質管理)活動でこれを実現し、「選ばれるアクシアル」を目指してまいります。
② 競合他社との競争優位性
基本である、商品の品質、サービスレベルについて、高い水準を維持するための諸施策を継続して実施してまいります。
他社との差別化については、当社グループ独自のサービスやプライベート・ブランド(自社開発)商品の拡充、簡単便利な商品や即食ニーズの充実等により、お客様のご要望にお応えできるよう努めてまいります。
③ 人材確保
人材確保難への対応として、働きやすい就業環境の実現が必要であると考えております。この実現のため、有給休暇取得率の向上や諸制度の変更を進めるとともに、それを実現するための環境整備に努めてまいります。
④ 法改正への対応
当社グループの事業に関係する様々な法令改正の対応については、その影響等を検討し、慎重に対応を進めてまいります。
⑤ 技術革新への対応
キャッシュレス決済手段への対応拡充や電子商取引への対応については、今後、重要性が増してくるものと考えております。今後の動向を見ながら、様々な選択肢の検討を進めてまいります。
⑥ エネルギー関連費用、原料原価高騰への対応
様々な要因が関連し、エネルギー関連の費用や原料原価が高騰しており、今後もその流れは続くことが想定されます。これに対し、現状の事業運営における諸費用の使い方や契約の見直し、新技術の導入等を検討し、諸費用の削減、環境負荷低減を進めてまいります。
⑦ 翌連結会計年度に目標とする業績見込み
翌連結会計年度に目標とする連結業績の見込値は次のとおりであります。
(注) 翌連結会計年度見込値は、(株)東京証券取引所の適時開示規則に基づき、2024年5月7日付けで「2025年3月期の連結業績予想」として公表したものであります。
(全般)
売上高につきましては、新規出店、並びに、昨今の堅調な販売動向を踏まえた既存店の売上増加により、当連結会計年度と比較して増加を見込んでおります。
営業利益につきましては、前向きな賃上げの実施及び社会保険料負担が増すことによる人件費増加により、販売費及び一般管理費が増加して営業利益を圧迫することを見込んでいるため、第2四半期連結累計期間では当連結会計年度と比較して減少を見込んでおります。なお、通期では、店舗改装と新規出店に関する諸費用の当連結会計年度と翌連結会計年度の発生時期の違い、継続して取り組んでいるコストカットの取組み効果、その他年間計画に基づく予算の執行方針等を勘案し、当連結会計年度に比べ増加を見込んでおります。
(売上高予想の前提となる店舗売上高の見通し)
業績予想の基本となる翌連結会計年度の店舗売上高については、次のとおり見込んでおります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び当社の連結子会社)が判断したものであります。当該将来に関する事項は、取締役会等の社内の会議体で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであり、検討にあたっては、当社グループの事業所ごとに事業を取り巻く環境、事業計画、その他関連する諸条件を総合的に勘案して判断しております。
なお、将来に関する事項につきましては、不確実性を有しており、将来生じる結果と異なる可能性がありますので、記載しております事項に対する判断は、以下記載事項及び本項目以外の記載内容も合わせて慎重に行われる必要があります。
当社グループは、中長期的な持続可能性を実現し、企業価値向上を図っていくため目指している方向性として、お客様の毎日の生活に”豊かさ”、”楽しさ”、”便利さ”をご提供していくことを目指しております。
これらを実現していくためには、まず一定の「規模」、スケールが必要になります。一方で、規模をメリット、力に変えるには「機能」、仕組みが欠かせません。また、仕組みを作り、維持していくのは「人材」ですが、当社ではTQM活動、いわゆるカイゼン活動を40年以上にわたって取り組んでおり、このTQM活動が基盤となっております。
当社グループは、規模と機能と人材、この3つでチェーンストアとしてのマスメリットを生み出し、社会への貢献と企業の持続可能性を実現していきたいと考えております。
① 気候変動対応に関するガバナンス
気候変動対応は、グループ全体で取り組むべき重要課題の一つと考え、取締役会による監督とコンプライアンス委員会を中心とするガバナンス体制を構築しております。
取締役会は、気候変動対応全般に関するリスク及び機会の監督に関する責任と権限を有しており、コンプライアンス委員会で審議、協議された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等の承認と監督を行っております。環境プロセスの検討においては、ISO14001の考え方に基づき当社グループで定めている環境マネジメントシステムについて、現状把握、変更の検討等を行い、事前課題と有益な環境側面を把握して環境影響評価を行っております。
なお、この方針並びに実行計画等は、CSR広報部が主幹となって各事業会社に展開し、具体的な行動として実行しています。
② 人材の多様性を含む人的資本に関するガバナンス
人材の多様性を含む人的資本の確保は、グループ全体で取り組むべき重要課題の一つと考え、取締役会による監督と労使が協調したガバナンス体制を構築しております。
取締役会は、人的資本の確保に関するリスク及び機会の監督に関する責任と権限を有しており、労働側との協議や委員会等で審議、協議された内容の報告を受け、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備の検討を行い、当社グループの人的資本に関するリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての承認と監督を行っております。人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備の検討においては、労働側と経営側がともに現状把握と課題を共有し、改善策の評価を行っております。
なお、この方針並びに実行計画等は、人事教育部が主幹となって各委員会や各事業会社に展開し、具体的な行動として実行しています。
③ ガバナンス体制の関係図
気候変動対応、並びに、人的資本に関するガバナンス体制の関係図を示すと、次のとおりであります。
当社グループでは、経営理念を達成するために、すぐには到達できずとも会社の羅針盤とすべきものを記載したVISION(長期経営計画)を策定しています。
VISIONにおける基本政策は、品質経営、環境経営、健康経営、技術革新への対応、人づくりの5項目であります。
基本政策とサステナビリティに関する事項の関係は以下のとおりであります。
① 気候変動対応に関する戦略
(気候変動対応に関する方針)
地域社会のインフラであるスーパーマーケットは、地域のお客様に商品やサービスをご提供し続けることが使命の一つであります。その責任を果たすべく、環境経営の政策に基づき、気候変動によるリスク、機会を分析し、持続的な経営に活かしてまいります。
(気候変動対応に関する戦略)
・ 気候変動に関わる指標・目標の設定
当社グループは「アクシアル ポリシー」の経営原則に、「持続可能な社会の実現への貢献」を掲げ、二酸化炭素排出量、ワンウェイプラスチック対策、食品廃棄物の発生抑制などを具体的なテーマとしております。
温室効果ガス排出量については、国の削減目標に基づき削減を進めており、ISO14001の認証取得をしている子会社の原信とナルスにおいては、具体的な数値目標を掲げ、達成状況についてモニタリングしています。今後、目標を確実に達成するためには、2030年、2050年の環境変化を想定したうえで、対応策を考える必要があります。そのため、シナリオ分析の手法を用い、影響の大きいリスクを特定し、事業が持続可能であるための対応策を検討しております。
・ シナリオ分析の前提条件
当社グループは、スーパーマーケット事業を主要事業としており、当社グループの事業全体の売上高及び営業利益に対し、同事業の売上高及び営業利益は、いずれも9割超を占めています。シナリオ分析をするにあたり、このような理由から、スーパーマーケット事業を検証の対象事業としております。
また「2℃上昇のシナリオ」「4℃上昇のシナリオ」の2つのシナリオについて、2030年時点の影響を分析、分析では国際エネルギー機関(IEA)の「WEO:World Energy Outlook(世界エネルギー展望)」で示されているシナリオや「IPPC:Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)」の報告書等を参考にいたしました。
② 人材の多様性を含む人的資本に関する戦略
(人材の育成に関する方針)
健康経営の政策に基づき、スーパーマーケットにおけるチェーンストア経営システムの基幹業務に必要な人材を育成いたします。そのために、チェーンストア理論に基づいた教育・訓練プログラムを編成し、チェーンストア経営の分業を担い、数値責任を果たすスペシャリストの人材を確保します。
(人材の育成に関する戦略)
1 人材開発
① 実務経験を広く積む配置転換(教育配転:ジョブ・ローテーション)
② 長期ビジョンと経営戦略に基づく職能資格等級制度と評価制度
2 教育
① 全従業員へのTQM手法教育
② 中堅・幹部へのマネジメント教育
③ チェーンストアの原理・原則における体系的な知識教育
3 訓練
① 「あゆみノート」に基づく技能習得
② 訓練センターを活用した商品づくり
(注)1 「TQM:トータル・クオリティ・マネジメント、総合的品質管理」 お客様満足のため、継続的に仕事やサービスや商品の質をレベルアップしていく経営品質向上のための活動
2 「あゆみノート」 従業員それぞれが教育訓練、技術習得の成長を記録するノート
(社内環境整備に関する方針)
従業員一人ひとりが働くことにやりがいを感じ、明るく、闊達、イキイキとした職場環境を維持します。そのための働きやすい諸制度の導入と推進をいたします。
(社内環境整備に関する戦略)
1 有給休暇取得率の向上
会議の合理化、弾力的な勤務時間、技能習得と作業のマルチ化推進
2 一人当たり時間外労働時間
業務のデジタル化、有給休暇の促進
3 離職率の低減
健康管理、福利厚生の充実、育児・介護・病気と仕事の両立
当社グループの全社的なリスク管理は、リスクマネジメント委員会で行っており、その検討を経て、重要なものについては経営会議での審議を行い、取締役会へ報告が行われます。
・ リスク項目の特定と評価、対応策
気候変動によるリスク・機会として「異常気象の発生割合・深刻度の増加」「平均気温の上昇」「海面上昇」「カーボンプライシングの導入及び価格の上昇」「電力小売価格の変動」「低炭素な新しい生産技術の開発」「消費者嗜好の変化」を抽出し、次のとおり抽出された項目が財務に与えるインパクトを定性的に評価しております。今後は定量的なインパクト評価を行い、影響の大きさを明確にしていく予定であります。
② 人材の多様性を含む人的資本に関するリスク管理
・ リスク項目の特定と評価、対応策
人材の多様性を含む人的資本のリスク・機会として「労働者確保が充足できないことによる労働力不足」を抽出し、次のとおり抽出された項目が財務に与えるインパクトを定性的に評価し、対応を進めてまいります。
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
温室効果ガス排出量(集計対象期間 2023年4月1日~2024年3月31日)
(注)1 集計対象企業
「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」1976年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社と一致しております。
2 集計における参考資料、出典
・ 「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位について(Ver.3.3)」(環境省)
・ 「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.3)」(環境省)
・ 温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧(環境省)
3 目標値は、集計対象企業の一部で設定しておりますが、集計対象全体としては設定していないため、記載しておりません。なお、当社グループは、(株)原信、(株)ナルス、原信ナルスオペレーションサービス(株)、アクシアル レーベル(株)を適用範囲として、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得しております。この活動において、毎期、温室効果ガス排出量削減等のために環境目標を設定して取組んでおり、当連結会計年度における目標値と実績値の状況は次のとおりであります。
② 人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注)1 集計対象企業
「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」1976年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社と一致しております。
2 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率並びに労働者の男女の賃金の差異の算定方法、基準日並びに基準期間は、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ③ 連結会社」と同一であります。
3 一人当たり月間時間外労働時間並びに離職率は、対象とする会社を一体とみなした分子合計総数並びに分母合計総数を用いて算定しており、算定における基準期間は、2023年4月1日から2024年3月31日であります。
4 目標とする期限は、いずれも2026年3月であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び当社の連結子会社)が判断したものであります。当該将来に関する事項は、取締役会等の社内の会議体で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであり、検討にあたっては、当社グループの事業所ごとに事業を取り巻く環境、事業計画、その他関連する諸条件を総合的に勘案して判断しております。
なお、将来に関する事項につきましては、不確実性を有しており、将来生じる結果と異なる可能性がありますので、記載しております事項に対する判断は、以下記載事項及び本項目以外の記載内容も合わせて慎重に行われる必要があります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
当社グループは、主として食料品の販売を中心としたスーパーマーケット事業を営んでおり、多店舗展開を行っているため、以下のような店舗展開に係るリスクがあります。
出店にあたっては、当社グループのスーパーマーケット店舗を中心とした近隣型ショッピングセンター形態での出店を基本としており、ドミナントを形成しながら出店地域の拡大を図っております。なお、出店の判断にあたっては、地域特性を考慮しつつ、投資回収期間の検討、店舗採算性の検討を重視しており、店舗の統廃合や再配置、改装、移転により経営資源の集中、分散を図り店舗網の整備を行っております。
しかし、経営環境の変化や法的規制、出店地域の確保状況等により出店政策を計画どおり進められなかった場合には、今後の業績に負の影響を与える可能性があり、その程度につきましては、1店舗当たり売上高10億円から30億円程度と認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、出店案件について、特定地域に偏らず安定して確保できるよう努めております。
当社グループは、「サービス日本一」を目標に掲げ、地域のお客様から親しみを持ってご支持をしていただけるような店舗オペレーションを行うことを重要課題と認識しております。この課題に対し、当社グループの経営方針を理解し実現できる人材の確保に努めるとともに、フレンドリーサービス提供のための様々な教育やTQM(トータル・クオリティ・マネジメント)活動を中心とした人材育成に努めております。
しかし、当該人員の確保と育成が店舗展開に対応できない場合には、今後の業績に負の影響を与える可能性があり、その程度につきましては、状況により様々であると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりませんが、昨今の人手不足は多少なりとも影響が生じております。当該リスクへの対応については、多様な採用手法を活用して安定した人材確保できるよう努めるとともに、補完的な外部サービスの活用も検討してまいります。また、柔軟な雇用形態の設定、福利厚生の充実等、多くの方々から当社グループで働いてみたいと思っていただけるような働きやすい職場環境の整備に努めてまいります。
流通業界、特に食料品小売業におきましては、従来の出店地域・業態を越えた各企業の出店攻勢が相次ぎ、オーバーストア状態となっている中、企業淘汰や業界再編の様相を呈しております。当社グループの出店地域においても、他社との競合状況が生じており、売上総利益率やお客様一人当たりの買上げ点数及び一品当たりの販売価格に影響を生じております。これに対し、商品やサービスでの差別化を図るとともに、諸経費の見直し等によりローコストオペレーションの実現を図ってまいります。
しかし、新たな競合状況の発生により、今後の業績に負の影響を与える可能性があり、その程度につきましては、競合近隣店舗の1店舗売上高が競合発生初年度において10%前後減少すると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性については、例年数店舗発生しております。当該リスクへの対応については、競合発生店舗の販売促進対策等や商品の品質・サービス等の向上により、売上高の回復に努めております。
当社グループが取り扱う商品は、主として食料品であるため、以下のような商品の安全性に係るリスクがあります。
近年、食の安全に対して不信感を生ずる様々な事象が発生しております。これに対し、当社グループは、安全な商品の安定調達ができる仕入ルートの確保及び商品の適切な加工、表示等に努めております。
しかし、食の安全に対し信頼感を損なうような問題が生じた場合、今後の業績に負の影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の事案の内容により様々であると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性については、例年、軽微なものが数件発生しております。当該リスクへの対応については、専任部署の設置、法令や社内ルールの徹底、情報システム等を活用した管理の徹底に努めております。
b 衛生管理について
当社グループの店舗で販売する商品は、品質保持期限が比較的短い食料品や店内加工を要する食料品が多いため、商品の温度管理や取扱い等をはじめとする衛生管理について厳格な注意を払っており、各種教育やマニュアルの整備を図るとともに、専任の品質管理担当者を配置して指導、改善を行っております。また、設備面においても工夫を加え、衛生管理の充実を図っております。
しかし、衛生面において問題が生じ、店舗の営業に影響が及んだ場合には、今後の業績に負の影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の事案の内容により様々であると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性については、例年、軽微なものが数件発生しております。当該リスクへの対応については、専任部署の設置、法令や社内ルールの徹底、情報システム等を活用した管理の徹底に努めております。
当社グループは、事業の運営等に関し数種の法的規制を受けておりますが、主として以下のものがあります。
当社グループ店舗の出店及び増床に際しては「大規模小売店舗立地法」(以下「大店立地法」といいます。)の規制対象になっており、店舗面積1,000㎡を超える店舗の新規出店及び増床については、都道府県又は政令指定都市に届出が義務付けられています。また、届出後、駐車台数、騒音対策、廃棄物処理等について、地元住民の意見を踏まえ、審議会の審査が進められ、その結審を経て出店等を行っております。
しかし、審査の状況及び規制の変更等により出店政策に影響が及んだ場合には、今後の業績に負の影響を与える可能性があり、その程度につきましては、1店舗当たり売上高10億円から30億円程度と認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、出店案件について、法令を遵守し出店地域において良好な関係が築けるよう努めております。
当社グループ店舗の出店については、地元自治体との協議、許可等を必要といたします。
しかし、関係省庁や地元自治体による一定規模以上の出店規制に関する法令の制定により出店政策の変更を余儀なくされ、出店政策に影響が及んだ場合には、今後の業績に負の影響を与える可能性があり、その程度につきましては、1店舗当たり売上高10億円から30億円程度と認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、出店案件について、法令を遵守し慎重に進めております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び当社の連結子会社)が判断したものであります。当該将来に関する事項は、取締役会等の社内の会議体で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであり、検討にあたっては、当社グループの事業所ごとに事業を取り巻く環境、事業計画、その他関連する諸条件を総合的に勘案して判断しております。
なお、将来に関する事項につきましては、不確実性を有しており、将来生じる結果と異なる可能性がありますので、記載しております事項に対する判断は、以下記載事項及び本項目以外の記載内容も合わせて慎重に行われる必要があります。
なお、当社は、2024年4月1日付で当社普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。従いまして、以下文中の1株当たり指標につきましては、「1株当たり当期純利益に関する会計基準」等に基づき、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した値を記載しております。
当社グループは、スーパーマーケットの経営を事業主体としており、店舗「原信」「ナルス」「フレッセイ」を各地に出店しております。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い人流や経済活動が回復に向かっており、企業業績の伸長や株価水準の高まりが見られますが、個人消費は、物価上昇により慎重な部分も見られ勢いに欠けているものと思われます。
このような状況において、当連結会計年度における当社グループの連結経営成績は、売上高が2,702億24百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益が117億79百万円(前年同期比12.8%増)、経常利益が123億32百万円(前年同期比12.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が74億42百万円(前年同期比17.1%増)となりました。
売上高につきましては、社会経済活動の再開や商品販売価格改定が進んだことに加え、一部生活必需品の価格を据え置いた政策がお客様から評価をいただいたため、過去最高となりました。
営業利益につきましては、売上高の伸長に加え、以前より継続して取り組んでいる利益確保及びコストカット施策が効果を発揮し前年同期に比べ増加いたしました。
経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、営業利益の増加に伴い前年同期に比べ増加いたしました。
(アクシアル発足10周年と機構改革)
当社グループは、2023年10月にアクシアル リテイリングとしての体制発足から10年を迎えました。
これにあたり、持株会社である当社と各事業会社の役割分担を明確にしつつ、一層の成長に向かって当社グループのシナジー効果を発揮するため、機構改革を行いました。この機構改革により、当連結会計年度に入って以降、当社グループ全体のコミュニケーションの活性化とチームワークの高まりが図られ、チェーンストアとしてのマスメリット創出に向けた取組みのスピードやレベルが一層向上したと考えております。
なお、機構改革の内容は次のとおりであります。
<アクシアル リテイリングのガバナンス強化>
アクシアル リテイリングの社長は、事業会社である原信、ナルス、原信ナルスオペレーションサービスの社長を兼務しておりましたが、アクシアル リテイリングの社長に専念するため、事業会社の社長兼務を解き、アクシアル リテイリング代表取締役社長・CEOに就任いたしました。
アクシアル リテイリング社長は、当社グループの戦略立案、実現に集中し、各事業会社の政策実行を監督して、当社グループ全体がより一体感を持ってマスメリットの創出を図る体制にいたしました。
<CxO(最高責任者)の任命>
当社グループ全体の経営政策、財務政策、情報システム政策、人事政策を統括するため、それぞれCEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、CIO(最高情報システム責任者)、CHRO(最高人事責任者)を任命し、各機能を統括させることといたしました。
<その他>
新店等の建設・改修修繕、TQM(Total Quality Management:総合的品質管理)、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)、広報及び内部統制の各機能を再編、強化いたしました。
当連結会計年度における各セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。なお、各セグメントの経営成績につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
当連結会計年度におきましては、「“原点回帰”― マスメリットの創出へ、執念を持って取り組む ―」を年度方針として掲げ、再整備(畑を耕し直し)、開拓・開発(新しい種をまく)、新しい価値観への対応(これからの時代を見据えて)のための諸施策の展開を進めました。
業績につきましては、主に冒頭記載の売上高並びに営業利益に係る要因影響を受けており、当連結会計年度におけるスーパーマーケット事業の経営成績は、売上高が2,694億86百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益が111億86百万円(前年同期比14.7%増)となりました。
当連結会計年度における業績の内容、取組みに関する事項は、以下のとおりであります。
(販売指標に関する動向)
当連結会計年度の販売指標は以下のとおりであります。
(注)1 記載数値は、「収益認識に関する会計基準」等に基づく調整前の数値で記載しております。
2 店舗数は、当連結会計年度末現在におけるスーパーマーケットの設置店舗数であり、他業態の設置店舗数(100円ショップ2店舗)は含みません。
3 店舗売上高、来店客数、客単価、買上点数、一品単価は、スーパーマーケット店舗のみの数値であります。
4 客単価は、お客様一人当たりが一回のご来店でお買い上げになった金額の平均であります。
5 買上点数は、お客様一人当たりが一回のご来店でお買い上げになった商品数の平均であります。
6 一品単価は、お客様がお買い上げになった商品の一品当たり金額の平均であります。
7 既存店は、店舗開設より満13ヶ月以上を経過した店舗であります。
<来店客数>
値上げ基調の中、お客様が、いつでも買いたいものを安く同じ価格で安心して購入できるよう、販売政策として、普段使いの商品を中心にESLP(Everyday Same Low Price)を推進いたしました。また、プライベート・ブランド商品で値ごろ感、価格に見合った価値、独自性を、幅広い品揃えの惣菜でおいしさ、簡便性をご提供していること、そして、すべての商品の基本である鮮度、品質を徹底する安全・安心の取組みが、他社店舗を超えてでも当社店舗を利用したいとの来店動機につながりました。加えて、人流の回復で来店頻度が高まったため、来店客数は、既存店で前年同期に比べ2.5%増加し、全店では新規出店の効果もあり前年同期に比べ3.4%増加いたしました。
<買上点数>
来店頻度の高まりで1回あたりのお買い上げ数量の減少に加え、物価高騰でお客様の節約志向が高まったため、買上点数は、既存店、全店いずれも前年同期に比べ2.2%減少いたしました。
<一品単価>
生鮮相場が前年同期に比べ高く推移したことに加え、商品・原材料等の仕入価格上昇に伴う販売価格改定により、一品単価は、既存店で前年同期に比べ4.6%増加し、全店では前年同期に比べ4.8%増加いたしました。
<客単価>
買上点数は前年同期を下回りましたが、一品単価が前年同期を上回ったため、客単価は、既存店で前年同期に比べ2.4%増加し、全店では前年同期に比べ2.5%増加いたしました。
<売上総利益率>
お客様にとってあるべき売場を科学的にとらえて改善を図り、売上高と売上総利益の最大化を実現するインストア・マーチャンダイジングの取組みを前連結会計年度に引き続き強化しており、併せて、値下げ・廃棄の削減や、得られるはずの利益を適切に確保するためのロス・チャンスロス分析を強化し、これらを当社グループの経営の根幹であるTQM(トータル・クオリティ・マネジメント)の手法で進めました。この結果、各売場、各店舗、各部署のマネジメントレベルが向上したことにより、値上げ基調が進む状況においても、商品販売における売上総利益率は前年同期と同様の28.9%となり、商品販売における売上総利益は前年同期に比べ6.1%増加いたしました。
(出店・退店等)
出店につきましては、フレッセイ沼田栄町店(10月、群馬県沼田市、売場面積2,115㎡)を新設いたしました。また、フレッセイ境町店(7月、群馬県伊勢崎市、売場面積2,133㎡)、原信燕店(9月、新潟県燕市、売場面積2,136㎡)を移転新設し、原信白根店(11月、新潟県新潟市南区、売場面積2,380㎡)の建替えを完了いたしました。
改装につきましては、原信紫竹山店(4月、新潟県新潟市中央区、売場面積2,475㎡)、フレッセイ新保店(4月、群馬県高崎市、売場面積1,999㎡)について実施いたしました。
退店につきましては、フレッセイ前橋プラザ店(1月、群馬県前橋市、売場面積1,356㎡)を閉鎖いたしました。また、(旧)原信燕店(9月、新潟県燕市、売場面積2,000㎡)について、移転に伴い閉鎖いたしました。
(成長基盤の整備)
当連結会計年度は、将来の成長に向けた布石となる基盤整備を年度目標の重要政策に掲げて様々な取組みを進めました。
その一環として、子会社のローリーにおいて、炊飯や惣菜加工を行う機能を更新・能力拡張するため、新たにデリカセンターの建設を行いました。また、子会社の原信では、今後の新規出店による店舗数の増加への対応と物流機能の生産性向上を図るため、物流センターの改築・拡張工事を行いました。いずれも、当連結会計年度末に工事完了し、次期に本格稼働いたします。
(エシカルな新ブランドの立ち上げ)
近年、世界が直面する様々な課題に対し、持続可能な社会の実現を目指す取組みの必要性が周知され、地球環境や社会問題における課題を考慮した消費活動、いわゆるエシカル(ethical)消費が高まりを見せております。
当社グループでは、これまで事業活動を通じて社会に貢献する様々な取組みを行ってまいりましたが、社会課題への対応と事業の一体化を一層進める取組みとして、このたび、原信ナルスではエシカル商品の新ブランド「Hana-well」(ハナウェル)を立ち上げました。このブランド名には、次のような想いを込めています。
~~~ Hana-well ~~~
人と地球が「幸せ」に、そして「健やか」に互いを認め合いながら、そして手をとりながら
「今」と「未来」に花が咲くように、の意味を込め「花 Well-being」を略して名付けました。
花は「自然・成長・笑顔」を象徴し、Wellは「well-being(総合的な幸福感)」を意味します。
「幸せの花を植えていく」その想いを込めたオリジナルブランドです。
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また、ロゴマークは、障がいをお持ちでありながらアーティストとしてご活躍されている田中翠恵様に制作していただいたものであり、次のような作者様の想いが込められています。
~~~ ロゴマーク ~~~
やさしい手(人)がつながって、健康・福祉・幸福がある。
やさしい手(人)が花を植え、地球に笑顔をもたらす。
わたしは、やさしい手の中に、花ことばが幸福の意味を持つ花々・動物・魚・野菜・果物で
「はーと」を表現しました。
「はーと」には、心・命・愛・地球の意味を込めました。
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このブランドは、独自に開発した商品を通じ、「地球と人」の「今と未来」に向け私たちが発信・提供・提案する取組みです。やさしさを「地球」「健康」「地域」「人」「未来」の5つの軸と15のテーマで取り組み、おいしくご提供することで、お客様の暮らしをはじめ、ウェルビーイングな社会の実現に貢献してまいりたいと考えております。
当連結会計年度末においては117品目を販売しており、各種媒体を活用したブランドの認知向上やキャンペーンの実施を行い、お客様に共感してお使いいただけるよう当社グループの想いを広くお伝えしております。
(地球温暖化対策の取組み)
地球温暖化対策のため、我が国は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。これを受け閣議決定された地球温暖化対策計画では、事務所ビル、商業施設などの建物において2030年度のエネルギー起源CO2排出量を2013年度比51%削減するといった目標を設定しており、建物でのエネルギー消費量を大きく減らすことができるZEBの普及がカーボンニュートラルの実現に向けて求められています。
ZEBは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、快適な室内環境を実現しながら、対象となる設備(※1)において、消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことを指します。
当社は、この方針に賛同し、11月に開店した原信白根店について、ZEBの考え方に沿って様々な省エネ対策を施すとともに太陽光発電設備を設置して建築いたしました。外部審査を受けた結果、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)による5段階評価の中で最高ランクの5つ星と国内のスーパーマーケットでは初めて(※2)省エネ達成度4段階の中で最高ランクのZEBの認証を得ることができました。今回の取組みを今後の出店に活かし、拡大してまいりたいと考えております。
※1 対象となる設備とは、空調・換気・給湯・照明・昇降機を指します。
※2 一般社団法人環境共創イニシアチブが公表するZEBリーディング・オーナー一覧に基づく当社独自の調査によるものです。
(身だしなみ基準の緩和)
頭髪やアクセサリーの着用について定めている従業員の身だしなみの社内基準について、従来の定めを大幅に緩和いたしました。
この基準変更は、個人の価値観・個性の多様化や、これを尊重する社会的な流れに適応し、従業員一人ひとりが自分らしくイキイキと働き、その力を発揮できる職場環境を整えること、並びに、当社グループでは、様々な外国籍の方々も働いていることから、ダイバーシティの推進と人材活用を図ることを目的としております。なお、基準変更においては、これまで同様、安全・安心を最優先し、衛生面や作業に支障をきたさないこと、お客様に威圧感や恐怖感を感じさせないことを大前提としております。今後も様々な観点から、従業員が自分らしさを表現できることで、自由な発想を生み、そこに自然と笑顔も溢れる良好な職場環境づくりを目指してまいります。
(全般)
当連結会計年度におけるその他の事業の経営成績は、売上高が61億74百万円(前年同期比13.3%増)、営業利益が6億46百万円(前年同期比7.4%増)となりました。
当連結会計年度における業績の内容、取組みに関する事項は、以下のとおりであります。
(情報処理事業)
主力であるスーパーマーケット事業向けの販売は、情報機器の販売や既存システムの更新が前年同期を上回ったため増加いたしました。一方、外部顧客向けの販売は、一部受注案件の納期が次期にずれ込んだことや、スーパーマーケット事業向けの情報システム更新に注力した影響で前年同期に比べ減少いたしました。この結果、売上高は、前年同期に比べ28.2%増加し、営業利益は、前年同期に比べ24.4%増加いたしました。
なお、情報処理事業は子会社のアイテックが担っており、当連結会計年度における当社グループ向けの主な取組みとして、全社の業務を支えるグループウェアの刷新、サーバー群の再構成、消費税インボイス制度対応のための社内システム改修を行いました。また、当社グループ外部向けの取組みとして、全国の流通各社へ自社開発したAI需要予測型自動発注システムの導入提案、商品の発注業務を効率化するシステム、生産管理を支えるシステム等の開発、販売を行っております。
(印刷事業)
主力であるスーパーマーケット事業向けの販売は、各種印刷物について電子媒体への移行が進んだことによる減少がありましたが、新規出店に伴う販売促進資材の受注があったため、前年同期に比べ増加いたしました。また、外部顧客向けの販売は、顧客の事業活動等について新型コロナウイルス環境下における低迷からの回復が見られ、印刷物や各種イベント関連の受注が増えて増加いたしました。この結果、売上高は、前年同期に比べ4.0%増加いたしましたが、営業利益は、原料原価の高騰が影響し前年同期に比べ7.3%減少いたしました。
(清掃事業)
主力であるスーパーマーケット事業向けの販売は、安定した受注により前年同期に比べ増加いたしました。また、外部顧客向けの販売は、清掃関連の受注が前年同期並みであったことに加えリサイクル資材の販売単価相場が前年同期に比べ若干増加いたしました。この結果、売上高は、前年同期に比べ3.5%増加いたしましたが、営業利益は、人員体制の見直しによる人件費増加で前年同期に比べ4.7%減少いたしました。
(注)1 セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
2 主な商品別売上高の状況
(注) 主要な販売先(総販売実績の100分の10以上を占める相手先)に該当する相手先はありません。
(注)1 セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
2 主な商品別仕入高の状況
当連結会計年度における連結経営成績全般の各項目の内容を示すと、次のとおりであります。
セグメント別の詳細に関しましては、「① セグメント別経営成績」及び「② 生産、受注及び販売の状況」に記載したとおりであります。
この結果、売上高(セグメント間の内部取引高消去後)は、社会経済活動の再開や商品販売価格改定が進んだことに加え、一部生活必需品の価格を据え置いた政策がお客様から評価をいただいたため既存店の売上高が堅調に推移したことや近年の新規出店、店舗改装による売場面積の増加により、前年同期に比べ6.0%増加し2,702億24百万円となりました。
また、売上総利益は、前年同期に比べ5.8%増加し791億38百万円となり、売上高売上総利益率は、前年同期と同様の29.3%となりました。
諸経費につきましては、当社グループ全体の観点から、あらゆるコストの見直し、削減、適正利用に努め、削減の取組みを進めております。なお、総額につきましては、主に店舗の新設や改装並びに売上の状況に伴い変動しております。
人件費につきましては、適正な人員配置と生産性の向上を進めておりますが、新規出店等による新規採用に加え、前向きな定期昇給や基本給のベースアップ実施、社会保険料負担増加の影響等により、前年同期に比べ16億68百万円増加いたしました。なお、売上高に対する比率は、前年同期に比べ0.2ポイント減少し14.4%となり、労働分配率(人件費÷売上総利益)は、前年同期に比べ0.7ポイント減少し49.2%となりました。
水道光熱費につきましては、単価の下落や近年積極的に進めている省エネルギー設備や太陽光発電の効果により、前年同期に比べ3億63百万円減少いたしました。
修繕費につきましては、店舗改装による既存設備の改修、酷暑による機器故障の増加、並びに、将来の収益改善に向けた修繕の実施により、前年同期に比べ6億11百万円増加いたしました。
支払手数料につきましては、キャッシュレス決済の増加により、前年同期に比べ2億56百万円増加いたしました。
その他諸経費につきましては、物価上昇や店舗数の増加により、前年同期に比べ8億2百万円増加いたしました。
この結果、販売費及び一般管理費の総額は、前年同期に比べ4.6%増加し673億58百万円となり、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前年同期に比べ0.3ポイント減少し24.9%となりました。
前向き賃上げの実施による人件費の増加や物価上昇による諸経費の増加に対して、全社、各部署が横断的に適正利益確保対策、費用削減対策等の様々な施策を講じ、販売費及び一般管理費の増加を売上総利益の増加で吸収できたため、営業利益は、前年同期に比べ12.8%増加し117億79百万円となりました。なお、売上高営業利益率は、前年同期に比べ0.3ポイント増加し4.4%となりました。
受取保険金は、主に店舗設備に関する損害保険金の受領であり、前年同期に水害の被災があった反動で、前年同期に比べ2億6百万円減少いたしました。一方、補助金収入は、省エネルギー設備の導入に関して受領したものが増えたため、前年同期に比べ2億76百万円増加いたしました。
この結果、営業外収益の総額は、前年同期に比べ12.4%増加し6億16百万円となり、売上高に対する営業外収益の比率は、前年同期と同様の0.2%となりました。
支払利息は、設備投資に充てる短期運転資金の外部調達が増加したことにより、前年同期に比べ0百万円増加いたしました。また、取締役会決議による自己株式の取得を実施したことにより、自己株式取得費用を10百万円計上いたしました。
この結果、営業外費用の総額は、前年同期に比べ23.6%増加し64百万円となり、売上高に対する営業外費用の比率は、前年同期と同様の0.0%となりました。
なお、インタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローの増加により、前年同期に比べ121.1ポイント向上し435.8倍となりました。
営業利益及び営業外損益の要因により、経常利益は、前年同期に比べ12.7%増加し123億32百万円となり、売上高経常利益率は、前年同期に比べ0.3ポイント増加し4.6%となりました。
なお、経営の重要指標と位置付けている総資本経常利益率(ROA)は、将来に向けた成長投資で総資産が増加したものの一定水準の利益確保をできたことにより、前年同期に比べ0.6ポイント増加し9.7%となりました。
前年同期同様、固定資産売却益、並びに、投資有価証券売却益の計上が若干ありました。
この結果、特別利益の総額は、前年同期に比べ85.7%減少し6百万円となり、売上高に対する特別利益の比率は前年同期と同様の0.0%となりました。
減損損失は、新規出店後経過年数の浅い店舗が固定資産の減損に該当したこと等により、前年同期に比べ19.7%増加いたしました。災害による損失は、前年同期において水害の被災に関連した計上がありましたが、当連結会計年度における計上はありません。
この結果、特別損失の総額は、前年同期に比べ12.2%増加し15億23百万円となり、売上高に対する特別損失の比率は、前年同期に比べ0.1ポイント増加し0.6%となりました。
経常利益、並びに、特別損益の要因により、税金等調整前当期純利益は、前年同期に比べ12.3%増加し108億15百万円となり、売上高に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前年同期に比べ0.2ポイント増加し4.0%となりました。
税金費用の総額は、課税所得の増加により、前年同期に比べ3.0%増加し33億72百万円となり、売上高に対する税金費用の比率は、前年同期に比べ0.1ポイント減少し1.2%となりました。
また、税金等調整前当期純利益に対する税効果会計適用後の法人税等の負担率は、法人税額の特別控除の適用額が増加したこと等により、前年同期に比べ2.8ポイント減少し31.2%となりました。
以上の結果、当期純利益は、前年同期に比べ17.1%増加し74億42百万円となり、売上高に対する当期純利益の比率は、前年同期に比べ0.3ポイント増加し2.8%となりました。
すべての連結子会社は完全子会社であるため、該当事項はありません。
非支配株主に帰属する当期純利益がないため、親会社株主に帰属する当期純利益は、当期純利益と同額となり、前年同期に比べ17.1%増加し74億42百万円となり、売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は、前年同期に比べ0.3ポイント増加し2.8%となりました。
また、自己資本利益率(ROE)は、前年同期に比べ0.9ポイント増加し9.2%となり、1株当たり当期純利益は、前年同期に比べ12円83銭増加し81円79銭となりました。なお、当連結会計年度に属する年間配当金は、1株当たり85円(2024年4月1日付の1株につき4株の割合をもって分割した株式分割前の株式数基準)としており、この結果、連結ベースの配当性向は、前年同期に比べ3.0ポイント減少し26.0%となりましたが、当連結会計年度においては、取締役会決議による自己株式408,200株の取得を実施しており、連結ベースの総還元性向((配当金総額+自社株式取得総額)÷親会社株主に帰属する当期純利益)は、46.0%となりました。
当期純利益の増加に加え、金融市場における株価上昇等の動向を受け、その他有価証券評価差額金は計上額が増加し、退職給付に係る調整額は年金資産の増加により借方差異が生じたため、前年同期に比べ23.9%増加し80億39百万円となりました。
当連結会計年度の実績は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれについても、当初の見込値を上回る実績値を達成することができました。
(当連結会計年度の見込みに対する実績の状況)
当連結会計年度における業績見込みに対する実績の状況を示すと、以下のとおりであります。
(注) 見込値は、2023年5月2日付けで「2023年3月期の通期連結業績予想」として公表したものを、2023年8月1日付けで2024年3月期の「業績予想の修正に関するお知らせ」として上方修正して公表したものであります。
(業績見込みに対する実績の状況の分析)
売上高が当初の見込値を上回った要因につきましては、以下のとおりであると考えております。
・当社グループの規模を活かした商品調達や品ぞろえの優位性が確保できたこと。
・当社グループならではの名物商品やプライベート・ブランド商品の販売が好調だったこと。
・営業全般における週間管理の仕組みが良好に運用され、売場管理や不要なロス削減が維持されていること。
営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が当初の見込値を上回った要因につきましては、以下のとおりであると考えております。
・売上高の増加に加え、売上総利益率を高い水準で維持できたことにより、売上総利益が増加したこと。
・諸費用について、契約内容や調達先の見直し、費用削減対策の継続的取組みにより、増加額を最小限にとどめることができたこと。
・全社的な経費削減活動が奏功し、営業利益段階で増益を実現できたこと。
当連結会計年度末における連結財政状態は、総資産が1,313億90百万円(前連結会計年度末比86億33百万円増)、総負債が480億91百万円(前連結会計年度末比40億40百万円増)、純資産が832億98百万円(前連結会計年度末比45億93百万円増)となりました。
当連結会計年度末における各セグメントの財政状態を示すと、次のとおりであります。なお、各セグメントの財政状態につきましては、セグメント間の調整額控除前で表示しております。
資産は1,266億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ99億8百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が、営業キャッシュ・フローの増加による手持資金の増加により前連結会計年度末に比べ19億29百万円増加したこと、売掛金が、売上高の増加とキャッシュレス決済の増加により前連結会計年度末に比べ10億34百万円増加したこと、並びに、有形固定資産が、店舗の新規出店及び改装、食品工場増強、物流センター拡張及び今後の出店等に係る設備投資により前連結会計年度末に比べ44億12百万円増加したことによるものであります。
負債は492億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ43億63百万円増加いたしました。これは主に、買掛金が、仕入高の増加及び金融機関営業日の関係で未決済金額が増加したことにより前連結会計年度末に比べ27億67百万円増加したこと、賞与引当金が、前向きな賃上げにより前連結会計年度に比べ3億66百万円増加したこと、その他流動負債が、金融機関営業日の関係で未決済金額が増加したことにより前連結会計年度末に比べ7億30百万円増加したこと、並びに、セグメントに帰属しない全社(持株会社である当社)からの短期借入金が、短期決済資金確保のため前連結会計年度末に比べ5億円増加したことによるものであります。
資産から負債を差し引いた純資産相当額は773億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ55億45百万円増加いたしました。なお、純資産相当額を資産で除した自己資本比率相当は、資産の増加額が多かったため、前連結会計年度末に比べ0.4ポイント減少し61.1%となりました。
資産は81億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億98百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が、営業キャッシュ・フローの増加による手持資金の増加により前連結会計年度末に比べ6億74百万円増加したこと、並びに、ソフトウエア仮勘定が、情報基盤の改修等により前連結会計年度末に比べ1億80百万円増加したことによるものであります。
負債は10億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億72百万円増加いたしました。これは主に、買掛金が、仕入高の増加及び金融機関営業日の関係で未決済金額が増加したことにより前連結会計年度末に比べ80百万円増加したことによるものであります。
資産から負債を差し引いた純資産相当額は71億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億26百万円増加いたしました。また、純資産相当額を資産で除した自己資本比率相当は、資産の増加額が多かったため、前連結会計年度末に比べ1.4ポイント減少し87.4%となりました。
当連結会計年度における連結財政状態全般の各項目の内容を示すと、次のとおりであります。
流動資産は372億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億52百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が、キャッシュフローの要因により前連結会計年度末に比べ14億79百万円増加したこと、並びに、売掛金が、曜日周りの関係と電子決済利用の増加により前連結会計年度末に比べ10億9百万円増加したことによるものであります。なお、流動資産の構成比は、前連結会計年度末と同様の28.4%となりました。
固定資産は941億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ61億81百万円増加いたしました。その内容は次のとおりであり、固定資産の構成比は、前連結会計年度末と同様の71.6%となりました。
有形固定資産は752億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ46億1百万円増加いたしました。これは主に、建物及び構築物が、店舗の新規出店及び改装、食品工場増強、物流センター拡張により前連結会計年度末に比べ44億70百万円増加したことによるものであります。
無形固定資産は30億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億82百万円増加いたしました。これは主に、借地権が、新規出店に関連して前連結会計年度末に比べ2億50百万円増加したこと、並びに、ソフトウエア仮勘定が、情報システムへの投資により前連結会計年度末に比べ1億80百万円増加したことによるものであります。
投資その他の資産は158億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億96百万円増加いたしました。これは主に、投資有価証券が、時価評価額の上昇により前連結会計年度末に比べ4億12百万円増加したこと、繰延税金資産が、将来減算一時差異の発生により前連結会計年度末に比べ3億40百万円増加したこと、並びに、退職給付に係る資産が、年金資産の評価額上昇により前連結会計年度末に比べ4億30百万円増加したことによるものであります。
b 総負債
流動負債は333億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ40億81百万円増加いたしました。これは主に、買掛金が、仕入高の増加及び金融機関営業日の関係で未決済金額が増加したことにより前連結会計年度末に比べ28億49百万円増加したこと、賞与引当金が、前向きな賃上げにより前連結会計年度に比べ4億4百万円増加したこと、並びに、その他流動負債が、金融機関営業日の関係で未決済金額が増加したことにより前連結会計年度末に比べ6億89百万円増加したことによるものであります。なお、流動負債の構成比は、前連結会計年度末に比べ1.6ポイント増加し25.4%となりました。
固定負債は147億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ41百万円減少いたしました。これは主に、リース債務が、返済により前連結会計年度に比べ2億60百万円減少したことによるものであります。なお、固定負債の構成比は、前連結会計年度末に比べ0.9ポイント減少し11.2%となりました。
c 純資産
株主資本は811億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ39億96百万円増加いたしました。増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益74億42百万円であり、減少要因は、剰余金の配当19億46百万円及び自己株式の取得15億円であります。なお、取締役会決議に基づく自己株式の取得(約定日基準による取得期間:2023年6月14日から2023年12月31日、取得しうる株式の総数上限500,000株、株式の取得価額の総額上限15億円)を実施し、2023年8月2日の約定をもって当該取得枠の買付を終了しており、当該決議に基づき総数408,200株、総額14億99百万円の自己株式を取得いたしました。
その他の包括利益累計額は21億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億96百万円増加いたしました。これは主に、その他有価証券評価差額金が、保有する投資有価証券の時価評価額の上昇により前連結会計年度末に比べ3億18百万円増加したこと、並びに、退職給付に係る調整累計額が、年金資産評価額の上昇により前連結会計年度末に比べ2億78百万円増加したことによるものであります。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.7ポイント減少し63.4%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ66円15銭増加し920円10銭となり、当連結会計年度末におけるPBR(株価純資産倍率)は1.13倍となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、210億19百万円(前連結会計年度末比14億79百万円増)となりました。
当連結会計年度末における各セグメントの資金の期末残高を示すと、次のとおりであります。なお、各セグメントの資金の期末残高には、報告セグメントに帰属しない全社(持株会社である当社)の資金の期末残高は含まれておりません。
スーパーマーケット事業は、現金販売が主体であるため資金の流動性が高く、滞留資金が極力生じないよう効率的な資金繰りに努めております。
資金の期末残高は、170億87百万円となり前連結会計年度末に比べ19億29百万円増加いたしました。これは主に、営業キャッシュ・フローの増加による手持資金の増加、金融機関営業日の関係による営業債務の未決済金額の増加、並びに、短期決済資金確保のためにセグメントに帰属しない全社(持株会社である当社)からの短期借入を増加したことによるものであります。
資金の期末残高は、14億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億74百万円増加いたしました。これは主に、営業キャッシュ・フローの増加による手持資金の増加、並びに、金融機関営業日の関係による営業債務の未決済金額の増加によるものであります。
当連結会計年度における連結キャッシュ・フロー全般の各項目の内容を示すと、次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は170億99百万円となり、前年同期に比べ45億4百万円増加(前年同期比35.8%増)いたしました。これは主に、法人税等の支払額が、前年同期に比べ10億27百万円増加(前年同期比40.7%増)した一方で、経常利益が、前年同期に比べ13億91百万円増加(前年同期比12.7%増)したこと、仕入債務の増減額が、商品仕入高の増加と金融機関営業日の関係で未決済金額が増加したことにより前年同期に比べ23億79百万円増加(前年同期比506.6%増)したこと、並びに、各調整項目が総じてキャッシュ・フローの増加に影響したことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は118億64百万円となり、前年同期に比べ25億73百万円増加(前年同期比27.7%増)いたしました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が、店舗の新規出店及び改装、本社移転、食品工場増強、並びに、物流センター拡張に係る設備投資により前年同期に比べ17億38百万円増加(前年同期比18.9%増)したことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は37億55百万円となり、前年同期に比べ15億40百万円増加(前年同期比69.5%増)いたしました。これは主に、自己株式の取得による支出が、取締役会決議による自己株式の取得を実施したため前年同期に比べ15億10百万円増加(前年同期比大幅増加)したことによるものであります。
当社グループは、スーパーマーケット事業を主体としており、売上金の回収期間が比較的短い特性があるため、営業活動の収益性を高める一方、余剰資金の削減を積極的に進め、手許流動性の向上と自己資金を主体とした事業運営に努めております。
設備投資については、営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内で行うことを基本とし、最近5年間の状況は、営業活動の結果得られた資金が平均で130億円程度に対し、投資活動の結果使用した資金は平均で80億円程度で推移しており、方針に沿った結果となっております。
資金調達の方法については、自己資金を基本とし、短期的に運転資金が不足した場合には、金融機関から短期運転資金の調達を行っており、長期運転資金の調達については、現時点では想定しておりません。
資金調達の状況については、当連結会計年度末において、金融機関から借り入れている短期借入金並びに長期借入金(1年内返済予定のものを含む)の残高はありません。なお、当連結会計年度においては、金融機関より短期運転資金を延べ783億円調達し、延べ783億円返済しております。
今後の資金需要の動向については、概ね、これまでと同様の状況が続くと考えております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(3) キャッシュ・フローの状況の概要及び分析・検討内容」に記載したとおりであります。
当社の企業集団のキャッシュ・フロー指標を示すと、次のとおりであります。
(注)1 各指標の算出方法は以下のとおりであります。
自己資本比率 = (自己資本)÷(総資産)
時価ベースの自己資本比率 = (株式時価総額)÷(総資産)
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 = (有利子負債)÷(キャッシュ・フロー)
インタレスト・カバレッジ・レシオ = (キャッシュ・フロー)÷(利払い)
2 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3 株式時価総額は、(期末株価終値)×(期末発行済株式総数(自己株式控除後))により計算しております。
4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象にしております。
5 キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
6 利払いは連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループが主として事業展開しております小売業、特にスーパーマーケット事業については、競合各社の新規出店が相次ぎ、市場全体がいわゆるオーバーストアの状態にあり、企業淘汰や外資を巻き込んだ業界再編の様相を呈しております。このような状況は、当社グループがドミナント化を図りつつ出店している地域にも重要な影響を及ぼしていると判断しております。
消費者のライフスタイルは年々変化しており、生活シーンの多様化はますます進んでいくものと考えております。
このような現状において、数ある企業の店舗から当社グループの店舗へのお客様の支持を獲得し続けていくためには、販売する商品の鮮度・価格・品質といった基本的事項の徹底はもとより、食を中心とした生活全体に対する様々な提案と接客サービスの充実を図っていくことが重要であると考えております。
当社グループを取り巻く経営環境は、個人消費の動向や他社との競合の問題等を踏まえ、今後も厳しい状況が続くものと考えております。
当社グループは、これらの状況を踏まえ、お客様から真にご支持をいただける経営を行っていくことが重要であると考えており、経営理念を「我々は毎日の生活に必要な品を廉価で販売し、より豊かな文化生活の実現に寄与することを目的とする」と定め、それぞれの事業が地域に密着して経営を行っております。
特に、主力であるスーパーマーケット事業は、「鮮度」、「品質」、「品揃え」、「価格」、「サービス」などにおいて地域のお客様から圧倒的に支持されるリージョナル・チェーンの実現を目指してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準(いわゆる日本基準)に基づき作成されており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに関する以下の分析を行っております。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行う必要があり、仕入リベート、貸倒債権、投資、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。また、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判断しにくい資産・負債の簿価及び収入・費用の報告数値についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り及び仮定に基づく数値と異なる場合があります。
当社グループは、特に、以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。
① 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、グループ通算制度は適用しておらず、繰延税金資産について、当社グループ企業(納税主体)ごとに、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 企業会計基準委員会)に定める「企業の分類に応じた繰延税金資産の回収可能性に関する取扱い」における会社分類を検討し、同指針に定める一時差異のうち、将来減算一時差異に係る繰延税金資産の回収可能性を評価しており、将来における一時差異の解消見込み(以下、「スケジューリング」といいます。)が明確でないと判断された将来減算一時差異に係る繰延税金資産については、回収可能性がないと判断し、評価性引当額を設定して繰延税金資産から控除しております。なお、その内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (税効果会計関係)」に示したとおりであります。
会社分類の評価においては、一時差異の総額、過去の課税所得、将来の経営環境の評価等を含み、過去実績、翌期の予算、今後の経営環境、中期経営計画等を総合的に勘案し検討しており、当連結会計年度末において、近い将来に経営環境の著しい変化が見込まれないという仮定のもと、当社グループ全社が、会社分類1(繰延税金資産の全額について回収可能性があると判断する会社)又は会社分類2(スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産については原則として回収可能性がないと判断されるが、将来減算一時差異のうち、将来のいずれかの時点において損金に算入される可能性が高いと見込まれるものについて合理的な根拠をもって説明が可能な場合、その将来減算一時差異に係る繰延税金資産については回収可能性があると判断する会社)のいずれかに該当すると判断しております。
会社分類2に該当する会社においては、スケジューリング可能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産の全額を回収可能と判断しており、スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産については、当連結会計年度末現在、15億36百万円の評価性引当額を設定しております。なお、この対象のほとんどは、固定資産の減損損失計上に伴い計上された土地等の非償却資産に関する将来減算一時差異に係る繰延税金資産であり、売却等に係る意思決定又は実施計画等がない限り、当該繰延税金資産に対する評価性引当額の取崩は行われません。
会社分類及び繰延税金資産の回収可能性を評価するにあたっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的な税務計画を検討しますが、将来、各当社グループ会社を取り巻く経営環境の変化がもたらす課税所得の見込みや会社分類の変更、スケジューリングの変化等により、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を及ぼす可能性があります。なお、繰延税金資産の一部又は全部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産に対する評価性引当額の控除増加額を費用として計上します。同様に、繰延税金資産の一部又は全部を将来回収できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産に対する評価性引当額の控除減少額を収益として計上します。
当社グループは、主としてスーパーマーケット事業を営んでおり、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、他の資産又は資産グループから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位を考慮し、主として店舗を基本単位として資産のグルーピングを行っており、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。なお、当連結会計年度において計上した減損損失14億95百万円であり、その内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結損益計算書関係)」に示したとおりであります。
回収可能価額の評価は、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方により測定しております。正味売却価額は、各資産グループの構成資産について、市場価格が観察できる場合には観察可能な市場価格とし、市場価格が観察できない場合には、路線価又は固定資産税評価額等を勘案した合理的な見積りにより算定しております。また、使用価値は、各資産グループの継続的使用と使用後の構成資産の処分によって見込まれる将来キャッシュ・フローを、借入資本コストと自己資本コストを加重平均した資本コスト(WACC)で現在価値に割り引いて算定しております。
店舗に関する将来キャッシュ・フローは、継続的な使用とその後の処分によって見込まれるキャッシュ・フローを、その構成要素である売上高、売上総利益率、販売費及び一般管理費、構成資産の処分価値等について、過去実績、競合関係や近隣状況の変化、翌期の予算、今後の改廃等を総合的に勘案し、年度ごとに算出した値の経済的残存使用年数における累計値として見積もっております。経済的残存年数は、上限を20年とし、自社物件及び普通借地物件については、店舗の残存耐用年数を用い、定期借地物件については、残存借地期間を用いております。資本コストは、外部より入手しており、当連結会計年度において用いた値は6.6%で、その算定基礎には、当社の負債・株式時価総額の構成のほか、国債の利回り、予想マーケットリターン、当社株式の株価、株式市場全体の株価指標等の要素が含まれております。
なお、重要な会計上の見積りの内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に示したとおりであります。
固定資産の回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストなどが含まれますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の各資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や金融市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、追加の減損損失が発生する可能性があります。
当社グループは、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式のほか、債券等を保有しており、これらの投資には、市場価格のない株式等以外のものとして時価法で評価する上場株式等と、市場価格のない株式等として主として移動平均法による原価法で評価する非上場株式等が含まれております。なお、当連結会計年度末現在における投資有価証券の残高は36億14百万円であり、このうち時価をもって連結貸借対照表計上額とするものが32億86百万円、取得原価をもって連結貸借対照表計上額とするものが3億28百万円であります。時価をもって連結貸借対照表計上額とするものの内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (有価証券関係)」に示したとおりであります。
上場株式等への投資の場合、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、個別銘柄ごとの市場価格の推移、金融市場の動向、発行会社の業績等を総合的に勘案した時価の回復可能性を考慮し、必要と認められた額について減損処理を行っております。また、非上場株式等への投資の場合、それらの発行体の純資産額等に基づく評価額が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行っております。
将来の金融市況の悪化又は発行会社の業績不振により、現在の投資有価証券の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能額を生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、投資有価証券評価損の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、債権の貸倒時に発生する回収不能見込額に対して貸倒引当金を計上しております。
債権区分については、貸倒懸念が顕在化していないものを一般債権とし、貸倒懸念が顕在化しているものを貸倒懸念債権等として区分しております。
貸倒懸念が顕在化していない一般債権については、当社グループ企業ごとに、過去の貸倒実績と同等の貸倒実績が発生する可能性があるとの仮定のもと、過去3年の貸倒実績率に基づいて債権の期末残高に対し一括で回収不能見込額の見積りをしており、貸倒実績率は0.00%~0.03%で、貸倒引当金を1百万円計上しております。貸倒懸念が既に顕在化している特定の貸倒懸念債権等については、個別に回収可能性を勘案して回収不能見込額を見積もっており、対象となった貸倒懸念債権等の総額は当社グループ合計で37百万円であり、これに対し貸倒引当金を27百万円計上しております。
債権の回収可能性の評価は、債権保有先からの回収状況等の評価等が含まれますが、当社グループには考慮しえない外的要因が含まれるため、将来の債権に関する貸倒懸念の変化により、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、設定する貸倒引当金の金額に影響を及ぼす可能性があります。なお、一般債権の貸倒実績率が増加した場合又は債権の回収可能性を評価し貸倒懸念債権の増加を認識する判断した場合、当該判断を行った期間に貸倒引当金の調整額を費用として計上します。同様に、一般債権の貸倒実績率が減少した場合又は債権の回収可能性を評価し貸倒懸念債権の減少を認識する判断をした場合は、当該判断を行った期間に貸倒引当金の調整額を収益として計上します。
⑤ 退職給付に係る資産又は負債の算定
当社グループは、一部の企業で積立型の確定給付制度(規約型確定給付企業年金制度)を採用しております。退職給付に係る資産又は負債の計上にあたっては、退職給付債務と年金資産の純額を、退職給付に係る資産又は負債として計上しており、その内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (退職給付関係)」に示したとおりであります。
退職給付債務の算定においては、退職給付見込額を見積り、現在価値に割り引くことで算定するため、数理計算上の仮定の要素が含まれております。その主要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (退職給付関係)」に示したとおりであります。なお、割引率算定の基礎となるデュレーション(退職給付の支払見込期間を支払見込期間ごとの金額の現在価値で加重平均したもの)は11.1年であり、これに基づき対応する国債の利回りを指標として決定しております。
これらの計算基礎については、「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 企業会計基準委員会)の定めに基づき、数理計算上の仮定に重要な変動が生じている場合には、これを見直し、退職給付債務を再計算することとされております。当社グループでは、重要な変動の有無について、継続して検証を行っておりますが、退職給付債務が10%以上変動すると推定される場合には、退職給付債務の再計算を行い差額の追加計上を行います。なお、退職給付債務が10%変動する場合に該当するのは、割引率が現状より1.2ポイント程度変動した場合と想定しております。
数理計算上の仮定の前提となる要素につきましては、将来の経済条件、従業員構成等を含むため、数理計算上の仮定の見直しが生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、認識する退職給付に係る資産又は負債並びに退職給付費用の金額に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、仕入高について、通常、発注書に基づき当社グループに対して商品が納品された時点、又は、サービスが提供された時点に計上しており、仕入リベートについて、入金済みのものについては、その確定額を仕入高から控除し、入金未了のものについては、リベート契約書と仕入実績に基づいた見積り額を仕入高から控除しております。なお、見積りにあたっては、取引先より確認書を入手した上で、算定を行っております。
仕入リベートの前提となる契約については、仕入実績に基づいて一定割合又は一定額で受領するものや、一定の条件を満たした場合に受領するものなど、様々な形態があるため、将来の契約内容や仕入実績の状況により、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、認識する仕入リベートに影響を及ぼす可能性があります。
重要性が乏しいものとして、当社の連結子会社である株式会社フレッセイを吸収合併存続会社、同じく当社の連結子会社である力丸流通サービス株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を2024年4月1日をもって行うことを2023年12月12日開催の取締役会において決議し、吸収合併契約を締結しております。これは、当社グループ内部の資本構成を見直すとともに経営資源を集約し経営効率の向上を図ることを目的とするものであります。本合併は、連結会社間の合併であるため、今後の連結財務諸表等に与える影響は軽微であります。
特記すべき事項はありません。