第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当行グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 北洋銀行グループは、厳しさを増している経営環境下において、職員一人ひとりが果たすべき役割とそれを通じて北海道の未来に貢献するという使命を明確にするため、グループとしての統一した経営理念を掲げ、その実現のために、4つの行動規範を定めております。

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 この経営理念及び行動規範に基づき、当行グループは、お客さまの信頼の下にあることを意識し、お客さま・地域の多様化するニーズや課題に最善の提案を持って応えるとともに、こうした一つひとつの取組みを通じて、北海道の持続可能な未来のために、自ら困難に立ち向かってまいります。

 

(2)経営戦略

 人口減少に伴い縮小が懸念される北海道マーケットにおいて、道内企業や個人のお客さま、地域社会のサステナビリティの実現をサポートすることが北洋銀行グループの使命と考え、2023年度より中期経営計画「『新たな成長へのチャレンジ』~お客さま、地域と共に持続可能な成長を~」(2023年4月~2026年3月)をスタートさせております。

 「成長」と「環境・社会」をキーワードに、次の3点を柱とする全体戦略と、各個別戦略を着実に実践していくことで、北海道の未来への成長サポートと持続可能な地域社会の実現に貢献し、当行グループの企業価値向上につなげていくことを経営戦略の方向性としております。

 

 

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(3)目標とする経営指標

 中期経営計画『新たな成長へのチャレンジ』では、収益性や健全性、効率性などの持続可能性に重要と考えられる以下の指標を目標に掲げ、各種施策に取り組んでおります。

 

目標とする経営指標

2025年度(計画)

3年間増減

親会社株主に帰属する当期純利益   (連結)

170億円

+74億円

自己資本比率            (連結)

14%程度

+2.2pt程度

 

中長期的に目指す経営指標

2025年度(計画)

3年間増減

中長期目標

ROE            (連結)

4%程度

+1.7pt程度

5%程度

コアOHR          (連結)

70%程度

△7.3pt程度

60%台

注)1.自己資本比率はバーゼルⅢ最終化(経過措置期間)ベース

2.ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷{(期首自己資本+期末自己資本)÷2}

3.コアOHR=経費÷コア業務粗利益

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

 当行が営業基盤とする北海道経済は、観光関連産業を中心に景況感は回復傾向にあるものの、物価高と実質賃金の伸び悩みによる消費低迷の懸念、深刻化する人手不足などの下振れリスクを抱えています。

 また、少子高齢化に伴う人口減少の加速、後継者不在による事業所数の減少などにより、マーケットは中長期的には縮小が見込まれているほか、金融業界を取り巻く環境においても、デジタル化の急速な進展やそれらに伴う異業種の参入、CO₂排出量削減をはじめとする環境課題への対応、人生100年時代と言われる老後の長期化など、外部環境の変化による多くの課題に直面しております。

 このような環境下において、当行グループは経営理念・行動規範の更なる実践とともに、新たにスタートした中期経営計画を確実に実践することで、対処すべき課題の解決につなげてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当行グループが判断したものであります。

 当行グループは2021年5月、持続可能な地域社会・環境の実現に対する社会的な意識の高まりを受け、CSR基本方針を発展的に見直し、新たに「サステナビリティ方針」を策定しました。「経営理念」と「行動規範」に基づく企業活動を通じて、当行グループを支えていただいている全てのステークホルダーと地域社会・環境の持続的発展に貢献するとともに、当行グループの中長期的な企業価値の向上、持続的経営の実現に努めます。

 本方針のもと、環境・社会・ガバナンスに係る「ESG取組方針」、5項目(お客さまとの共通価値の創造、環境保全、医療福祉、教育文化、ダイバーシティ)からなる「SDGsに係る重点取組テーマ」「環境・社会に配慮した投融資方針」「北洋銀行グループ人権方針」を掲げ、地域社会の活性化と持続的発展に向けさまざまな活動に取り組んでいます。

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 当行では、頭取を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ方針に基づく活動の企画・推進・管理に関する事項、サステナビリティ方針に基づく活動のために必要と考えられるその他の事項について、協議・報告を行っています。具体的には、サステナビリティ課題の特定や見直しをはじめとして、年度毎のサステナビリティ取組方針の制定、気候変動や生物多様性などの「環境保全」や金融教育などの「教育文化」、ダイバーシティや人権などの「社会問題」に関する施策・方針、取組状況などについて報告・協議を行っています。

 協議事項等は取締役会へ報告し、取締役会による監督が適切に図られるよう体制を整備しています。

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 2022年12月、サステナビリティに係るガバナンス強化の一環として、「環境・社会に配慮した投融資方針」を新たに制定しました。地域金融機関は地域のサステナビリティ実現に向け、環境・社会に配慮し、かつ最も環境・社会課題の解決に資する事業領域である投融資に積極的に取り組まなければならないことから、取組方針を明確化しました。

 本方針は、環境・社会に「ポジティブな影響を与えると考えられる事業」と「ネガティブな影響を与えると考えられる事業」に区分し、前者を積極的に取り組み、後者を慎重に判断する当行の投融資姿勢を示すものです。環境保全や気候変動対応など環境課題の解決に資する事業などは、環境・社会にポジティブな影響を与えるものとし、積極的に推進します。また、石炭火力発電・石炭採掘事業、森林伐採事業・パーム油農園開発事業などは、環境・社会にネガティブな影響を与えると考えられることから、慎重に投融資判断を行います。ただし、脱炭素社会実現に向けた移行期間(トランジション期間)の対応等については、積極的に投融資していきます。

 また、近年、企業が果たす人権尊重責任がますます重要になっており、人権方針の制定や企業倫理に則った対応や活動が求められていることなどから、2023年6月、北洋銀行グループ人権方針を制定するとともにお客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまからの人権関連を含む相談・苦情に適切に対応するための態勢を構築しました。

②リスク管理

 当行では、統合的なリスク管理として、「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナル・リスク」「与信集中リスク」「銀行勘定の金利リスク」を管理対象としています。

 「気候変動に伴うリスク」が将来的に当行の事業活動や財務内容に影響を及ぼす可能性があることを認識しており、引き続き、当該リスクを分析・評価・把握し、統合的リスク管理の枠組みの中で管理する体制の構築を進めていきます。

 

(2)気候変動問題への取組

 当行は、気候変動問題に対する国内外での関心の高まりなどを踏まえ、2021年5月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明しました。今後も提言に沿った態勢整備を進め、当行グループを支えていただいている全てのステークホルダーと地域社会・環境の持続的発展に貢献するとともに、当行グループの中長期的な企業価値の向上と持続的経営の実現に努めます。

①ガバナンス

 頭取を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、気候変動をはじめとする環境問題への対応等について協議を行っています。進捗状況は取締役会へ報告し、取締役会による監督が適切に図られるよう体制を整備しています。

 

 気候変動問題への取組みについては、SDGsに係る重点取組テーマ「環境保全」の大きな柱と位置付けており、脱炭素や気候変動に関する取組みを一層強化していきます。2022年12月に制定した「環境・社会に配慮した投融資方針」では、環境保全や気候変動対応など環境課題の解決に資する事業等に対しては、北海道経済の成長・発展に結びつくよう積極的に投融資していくことを明文化しています。

 

②戦略

A 機会

 お客さまの脱炭素社会への移行を支援するファイナンス(サステナビリティ・リンク・ローン、グリーンローン等)やソリューション(SDGsコンサルティング等)の提供を通じて、金融・非金融の両面から、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

B リスク

 気候変動に伴うリスクとして移行リスクと物理的リスクを以下の通り認識しており、引き続きTCFD提言が推奨するシナリオを活用した分析を実施し、各リスクの定量的な評価を進めていきます。

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C 炭素関連資産

 「エネルギーおよびユーティリティー(※1)」セクターの当行貸出金等に占める割合は1.0%です。なお、2021年TCFD改訂付属書に基づく炭素関連資産(※2)の割合は12.0%です。

※1石油精製・石油製品製造、ガス、石炭製品、大手電力会社等。水道事業者、再生可能エネルギー発電事業者は除きます。

※2「エネルギーおよびユーティリティー」セクターに「運輸」「素材・建築物」「農業・食料・林産物」セクターが追加されました。

D シナリオ分析

 TCFD提言では、気候変動のリスクに対する戦略のレジリエンスを示すために複数のシナリオに基づいた分析の実施を推奨しており、当行では移行リスクと物理的リスクについてシナリオ分析を実施します。

 シナリオ分析結果を当行のリスク低減やお客さまの脱炭素社会への移行に向けた対話の強化や支援につなげていくため、引き続き分析手法の高度化に取り組んでまいります。

 

【移行リスク】

・移行リスクについては、脱炭素社会への移行に伴うマクロ経済環境の変化によるお客さまの財務悪化を通じた信用コストへの影響を分析対象とし、TCFD提言等を参考に移行リスクが高いと考えられるセクターとして「エネルギー」「ユーティリティー」を特定し、分析を実施します。

・分析にあたっては、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)が公表する「秩序ある2050年脱炭素」「無秩序な移行」の各シナリオで想定する経済指標(実質GDP・長期金利・インフレ率等)からお客さまの将来にわたるデフォルト率の変化を予想し、信用コストへの影響を推計します。

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【物理的リスク】

・物理的リスクについては、洪水等の増加による担保物件の毀損並びにお客さまの事業停滞に伴う業績悪化を通じた信用コストへの影響を分析対象とします。

・分析にあたっては、洪水ハザードマップ等のデータを活用し、洪水により一定水準の浸水被害が発生した場合の担保物件毎の毀損額並びにお客さまの事業停滞による業績への影響を推計します。

・そのうえで、担保物件の毀損に伴う非保全与信額の増加並びにお客さまの業績悪化に伴う債務者格付の変化を踏まえた信用コスト増加額を推計します。

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③リスク管理

 当行は、気候変動に伴うリスクが将来的に当行の事業活動や財務内容に影響を及ぼす可能性があることを認識しています。引き続き、当該リスクを分析・評価・把握し、統合的リスク管理の枠組みの中で管理する体制の構築を進めていきます。

 2022年12月に「環境・社会に配慮した投融資方針」を制定し、環境や社会に負の影響がある特定の事業(石炭火力発電・石炭採掘事業、森林伐採事業・パーム油農園開発事業、非人道兵器製造事業)への投融資は慎重に判断し、脱炭素社会実現に向けた移行期間(トランジション期間)における投融資については、発電効率の高度化や当地の安定的な電力供給などの観点から個別にその必要性を十分に検討したうえで、投融資判断を行います。

 

④指標及び目標

・当行のCO₂排出量を2030年度までに2013年度比50%削減し、2050年カーボンニュートラルの実現を目指します。2021年度は、2013年度比32.3%削減しました。

・金融機関として最も環境課題の解決に資する事業領域は投融資であるとの考えのもと、脱炭素社会への移行を支援する「環境関連投融資」について、以下の通り実行金額の目標を設定しました。2021~2022年度までの環境関連投融資累計実行額は934億円です。

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(3)人的資本

①戦略

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 経営理念や長期ビジョンを実現するために、2023年4月から始まった中期経営計画では「成長」と「環境・社会」をキーワードに、以下のビジネスを強化してまいります。

・サステナブルな投融資

・コンサルティング機能の更なる強化

・コロナ禍などで苦しんだお客さまへの経営改善支援

・銀行取引DX

・地域振興への貢献

 以上を達成するため、当行では、お客さまのニーズを発掘できる能力や、より高度なソリューションを提案できる能力、DX・SXなどの新分野に対応できる能力を有する人財の育成・確保が必要と考え、「専門性の高い人財育成」「自律性・多様性・創造性の追求」「職員エンゲージメントの向上」の相乗効果により、「地域社会のサステナビリティを支える人財の創出」を行ってまいります。

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A 人材育成方針

 当行は、人財への投資により、その価値を最大限に引き出すことが、中長期的な企業価値の向上につながると捉え、地域社会のサステナビリティを支える人財の創出のために、「必要な業務」に「必要な人財」を適切に配置できるよう、人財育成を行っております。

a. 変化に対応できる専門人財の育成

 銀行を取り巻く環境が大きく変化しているなか、お客さま本位を徹底し、お客さまのニーズに応え続けていくため、タレントマネジメントシステムを活用したスキルチェック等により現在の人財のスキルレベル(質)と配置状況(量)を把握し、必要な人財の計画的育成に取り組んでおります。

 カリキュラムに事業性理解やロールプレイングを導入するなど、コンサルティング強化に特化した研修や、業務別のスキル向上研修、個人コンサルティング担当者や法人業務担当者向けに専門性の高い外部講師による研修のほか、職場単位(支店内)で行う対話力向上研修等を実施しております。

 加えて、リーダーシップの強化や、業務別の新たな研修を追加するなど、さらなる専門知識の向上を図るとともに、SX・DX人財の育成を図り、北海道とお客さまのサステナビリティ向上サポートやデジタル支援を進めてまいります。

 

2022年度実績

コンサルティング力強化研修受講者数

12研修/延べ223人

業務別スキル向上研修受講者数

17研修/延べ418人

 

b. 自律性の高い人財の育成

 入行後3年間で習得すべき銀行業務の基礎項目とゴールを明確にし、お客さま対応ができる人財の早期育成を図るとともに、各種資格試験や検定試験への取得費用の補助等、業務に関する自己啓発を支援しております。

 また、公募を行い、選抜試験を経た若手行員を外部または本部部室で一定期間、専門業務に従事させることで、専門的な業務スキルを身につける機会(トレーニー制度)を提供しています。

 加えて、長期的なキャリアプランの作成によるキャリアアップ意識の醸成やリーダーシップ力の強化、リスキリングの取組み強化、希望業務へのチャレンジ制度の検討等を図り、より自律性の高い人財の育成を進めてまいります。

 

2023年3月末実績

FP資格取得者

1級69人、2級1,400人

トレーニー制度利用者数

20人

 

c. 多様な人財の育成・確保

 当行グループの北洋証券株式会社(証券業務)や株式会社北海道共創パートナーズ(コンサルタント業務)などを活用し、より専門的なコンサルティング提案に繋げるとともに、人事交流などを通じて、職員の専門的能力を高めております。

 加えて、専門的知識を有する人財のキャリア採用等を積極化し、多様化・高度化するお客さまのニーズや課題にお応えしてまいります。

 

B 社内環境整備方針

 当行は、「地域社会のサステナビリティをサポートする人財の創出」のためには、人財育成に加え、従業員が安心してやりがいを持って働ける環境や、従業員の多様性を認め、尊重する環境の整備に取組んでおります。

a. well-beingの実現

 仕事と生活の両立を積極的に支援するため、コース別人事や勤務地変更制度、企業内託児所、半日有給休暇制度、育児休暇制度などのワークライフバランス関連制度を充実させているほか、1週間の連続休暇や勤続年数に応じたリフレッシュ休暇による有給休暇の取得推進、定時退行励行週間の実施など、時間外労働削減に取り組んでいます。

 上司部下の相互理解や信頼関係の構築のため1on1ミーティングや役職員・職場のトピックスを紹介する行内SNSの積極利用など、行内のコミュニケーションの充実を図っております。また、初級行員のメンタル不調や離職を抑制する取組として「メンター制度」を取り入れております。

 職員の経済的な安定の支援として財形制度、持ち株会制度、選択型確定拠出年金などの制度を導入しております。確定拠出年金については、約8割(2022年3月末)の職員が投資信託を含めた分散投資をしており、2023年度には投資ファンドの追加や全職員を対象とした研修など、金融リテラシー向上と、さらなる資産形成支援に取組んでまいります。

 加えて、健康経営への取組みを一層強化し、いきいきと働きがいのある職場づくりや、介護相談窓口の設置など仕事と介護の両立支援を強化してまいります。

 

2022年度実績

1on1ミーティング実施回数

4,453回

 

b. ダイバーシティ(Diversity)&インクルージョン(Inclusion)の深化

 ダイバーシティの取組みとして、ワークライフバランスの充実などにより、全ての人財が能力を最大限発揮できる多様な働き方を提供し、職員一人ひとりが働きがいを感じられる組織づくりに取り組んでおります。

 人事部内に設置した「ダイバーシティ推進室」では、女性のキャリア形成支援を目的とした研修や、育児休業中の職員の職場復帰支援等、出産・子育てをしながら働き続けるためのサポートをしています。これら女性の活躍支援の結果、男性と女性の平均雇用年数の差は2017年の4.3年から2022年度には2.4年に短縮しております。

 また、希望者全員が満65歳まで引き続き勤務可能な「シニア職員再雇用制度」や、最長70歳まで雇用延長可能な「シニアパートナー制度」により、これまでのキャリアや経験を活かして活躍できる環境の整備や、障がいのある方が地域の中で安心して暮らせる社会の実現と、障がいのある方の社会的自立を支援するために障がい者雇用に取り組んでおります。

 加えて、女性経営職育成を目的とした研修やメンター制度の新設等、女性の活躍支援を一層強化いたします。

 

2023年3月末実績

従業員に占める女性比率

41.0%

男性と女性の平均雇用年数の差

2.4年

 

 

②指標及び目標

 「指標及び目標」は、当行に関する指標及び目標となっております。

項目

2022年度実績

2025年度目標

職員一人あたりの研修費用(注1)

26千円

75千円

職員一人あたりの研修時間(注2)

7時間

12時間

コンサルティング力強化研修の受講人数(注3)

223人

350人

年次有給休暇取得率(注4)

44.0%

55.0%

女性管理職比率(注5)

20.8%

25.0%

注)1.年間の「研修費用」を職員の「平均人数」で除して算出しております。「研修費用」は外部講師費、教材費、外部研修への参加費、資格取得費、宿泊費、交通費等を含んでおります。「平均人数」は2022年4月から2023年3月までの毎月の人数の和を12で除して算出しております。

2.年間の「研修時間」を職員の平均人数で除して算出しております。「研修時間」は集合研修(リモート開催含む)に出席した職員の受講時間を合計しております。

3.お客さまに対する話し方やロールプレイングなどコンサルティング力を強化するための研修の受講者数であります。

4.「有給休暇の取得日数」を「有給休暇付与日数」で除して算出しております。

5.女性の「課長」級以上の人数を男女合計の「課長」級以上の人数で除して算出しております。

 

(4)SDGsに係る重点取組テーマ毎の当行の取組み

①お客さまとの共通価値の創造

 事業性理解を通してお客さまと経営課題を共有したうえで、その解決に向け、融資や各種ファンドによる資金面のご支援はもとより外部専門機関も活用するなど、金融・非金融の両面から支援しています。

 2022年4月よりお取り扱いを開始した「SDGsコンサルティング」では、お客さまの経営理念やビジョン、事業内容とSDGsの関連性を踏まえ、重要課題の特定と目標・KPI、取組内容をまとめた事業計画書の策定等を支援し、対外的なコミットメントとなる「サステナビリティ経営方針」の策定についても支援します。

 また、同年9月より、ほくようサステナブルローンの商品ラインナップに「ソーシャルローン(以下「SoL」)」「サステナビリティローン(以下「SuL」)」、「ポジティブインパクトファイナンス(以下「PIF」)」を追加しました。SoLは、資金使途を「社会課題解決に資するプロジェクト」に限定する商品、SuLは資金使途を「環境改善効果のあるプロジェクトかつ社会課題解決に資するプロジェクト」に限定する商品です。PIFは、企業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクトを包括的に分析・評価し、ネガティブインパクトの緩和とポジティブインパクトの拡大について目標を設定し、その実現に向けた継続的な対話や支援を重視することでSDGs達成に貢献していく商品です。

 道内経済の活性化および道内企業の成長・発展のため、「北洋SDGs推進2号ファンド」を通じた出資による支援も行っています。本ファンドは、SDGsのコンセプトに合致する北海道内の企業を対象に「北洋SDGs推進ファンド」の後継ファンドとして、2022年6月に設立しました。

 引き続き、ほくようサステナブルローンや北洋SDGs推進2号ファンド等を通じ、北海道を営業基盤とする金融機関として環境・社会面に前向きに取り組むお客さまを支援し、お客さまの企業価値向上をサポートしてまいります。

②環境保全

 北海道の生物多様性保全を目的として2010年に「ほっくー基金」を設立し、道内の希少種保護や生息環境整備などに取り組む様々な団体を助成金により幅広く支援しています。基金設立以来、7,990万円(延べ145先)助成しました。また、「ほっくー基金」の主な拠出原資を、2023年度からスマートフォンアプリ「ほくようスマート通帳」による通帳デジタル化に伴う紙通帳の印刷コスト相当額と、ほっくーの「LINEスタンプ」の販売収益としています。今後も、お客さまのニーズや社会情勢等を見極めながら北海道の生物多様性保全に貢献してまいります。

 また、環境課題への取組みの一環として、花川北支店が道内金融機関では初となる改修工事による「ZEB Ready(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディ)」の認証を受けるなど、温室効果ガスの削減に取り組むとともに、環境に配慮した取組みを行う企業をサポートする「SDGs(エコ)私募債」や地域ESG融資促進利子補給制度を取り扱っています。

 

③医療福祉

 地域医療支援の取組みとして、地元大学との連携による道民医療講座WEBセミナー(YouTube配信)の開催や行員による企業団体献血への協力を推奨しています。

 また、新型コロナウィルス感染症拡大防止の最前線でご尽力いただいている道内医療従事者を支援するSDGs(医療応援)私募債を取り扱っています。2022年度は「エールを北の医療へ!(※)」を通じて156万円の寄付金を贈呈し、医療用資機材の整備等に活用されています。

※道内医療従事者に対する寄付金を募集する北海道の取組み

④教育文化

 北海道の未来を担う子どもたちへの教育活動を、地域に根差した金融機関として重要な取組みと位置づけ、金融教育や育成支援に力を入れています。その一環として、2021年10月より、発行金額の一部について小学生向けのSDGs教育教材制作等に充当するSDGs(教育)私募債の取り扱いを開始しました。2022年度は楽しみながらSDGsについて学ぶことのできる「SDGsをさがせ!」を制作し、北海道教育委員会にもご協力をいただきながら、SDGsの普及促進に取り組んでいます。

 また、2022年4月に成年年齢が18歳に引き下げられたことや高校の学習指導要領に「資産形成」が加わったことなど、金融教育に対する地域金融機関の役割が一層高まっていると捉え、同年4月より、従来の金融教育をより充実させるべく「ほくよう金融教室」プロジェクトを開始しました。本プロジェクトでは、対象者(※)1万人を初年度目標として掲げ、主に道内大学生向け講義、新学習指導要領への対応が求められている高校教員向けのセミナー、PTA向けセミナー、小・中・高生向けの出前授業などに取り組んできました。

2022年度「ほくよう金融教室」対象者数 実績

延べ 10,207人

※対象者には、セミナーにご参加いただいた教員が担当する生徒の皆さま等も含めます。

⑤ダイバーシティ

 「夫婦帯同転勤制度」「勤務地変更制度」「育児休暇制度」など、ダイバーシティ推進の取組みとして、働きがいのある職場づくりのためにワークライフバランスの実現に取り組んでいます。

 また、職員の4割を占める女性職員のキャリアアップやライフプランについての個別相談やキャリア形成支援を目的とした研修を実施し、上位職への登用を進めています。これらの実績が評価され、「子育てサポート企業(プラチナくるみん)」(2018年)や、女性活躍支援法に基づく「えるぼし」3段階目(2016年)の認定を受けています。

 2022年12月に北洋銀行グループとしての健康経営に対する考え方や取組姿勢を北洋銀行グループ「健康経営宣言」として明文化し、公表しました。また、健康経営の推進体制を一層強化すべく健康経営責任者(頭取)、健康経営推進責任者(人事担当役員)を新たに選任するとともに、当行の健康経営の取組みである「職場」「からだ」「こころ」各々の健康づくりに対する施策・効果を「健康経営戦略マップ」として「見える化」しました。2023年3月には「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に6年連続認定されました。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、主に下記の(1)~(5)のとおりであります。

 これらのリスクが顕在化する可能性について、特にその蓋然性が高いと認識しているのは、海外での高インフレ持続と各国中央銀行の利上げ継続、国内物価上昇と日本銀行の金融政策修正、それに起因する信用リスク、市場リスクなどであり、その動向によっては、信用コストの増加や保有有価証券の減損・評価損など、当行及び当行グループ(以下、本項では「当行」という。)の経営成績等に相当の影響を及ぼすものと認識しております。

 当行では、想定される具体的なリスクについて、機動的に(原則毎月)その発生の「影響度」と「蓋然性」を確認の上、その重要性を判定しており、早期予兆管理とコントロールするための施策を講じることに努めております。また、発生した場合には、迅速かつ適切な対応に努める所存であります。

<リスク認識のイメージ図>

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 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行が判断したものです。

 

(1)信用リスク

① 不良債権の状況

 当行の当連結会計年度末における銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権額(破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権)は865億円です。それらは当行の内部基準に照らし判定を行ったものであり、当連結会計年度末現在において償却・引当処理を実施しております。

 銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権額の貸出金に対する比率は低位な水準にありますが、今後の資源・資材の高騰に伴う北海道の景気動向、融資先の経営状況、不動産価格及び株価の変動等によっては、当行の不良債権及び貸倒償却引当費用が増加し、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2022年3月期

2023年3月期

銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する

法律に基づく債権額

796億円

865億円

与信額に占める割合

1.04%

1.09%

 

 当行では、日常のお客さまとの対話などを通じて、事業内容の変化をその都度把握し、売上・利益の縮小や資金繰りに問題を抱えるお客さまに対して、経営改善支援等のソリューション提供による課題解決に取組むことなどにより、不良債権の増加を抑制する対応を行っております。

② 特定の業種等への与信集中に係るリスク

 当行の業種別貸出状況では、卸売業・小売業、不動産業・物品賃貸業及び地方公共団体に対する貸出金の構成比が比較的高く、それらの業種の経営環境等に変化が生じた場合には、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当行では、特定業種への過度な与信集中を回避するために、与信取引の大口集中排除・小口分散化を基本にポートフォリオのコントロールを行っております。業種全体の悪化が懸念されるような注意を要する業種については、定期的に分析を行い、状況に応じた管理施策を導入し対応しております。

③ 新型コロナウイルス感染症に関するリスク

 新型コロナウイルス感染症の影響による売上低迷など、業況回復が遅れている取引先企業の倒産・廃業等が発生し、信用コストが増加する可能性があります。

 当行は、地域金融機関として、緊急時におけるお客さまの資金ニーズ等にきめ細かく対応し、柔軟かつ迅速な支援の徹底により、企業の倒産等を抑えることなどを通じて、信用コスト増加の抑制と適時適切な管理に努めております。

 

(2)自己資本比率が低下するリスク

 当行は、自己資本比率規制における国内基準行であり、連結自己資本比率及び単体自己資本比率について4%以上の水準を確保することが求められております。

 そのいずれかが4%を下回った場合は、金融庁長官から、その水準如何によって、改善計画の提出及びその実行の命令、自己資本の充実に資する措置に係る命令、業務の全部又は一部の停止の命令等の措置を受けることとなりますが、直近4年間の推移では、連結・単体ともに概ね11%~12%を維持しており、現状4%を下回る蓋然性は高くないものと認識しております。

 

自己資本比率

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

連 結

12.61%

12.41%

12.53%

11.78%

単 体

12.30%

12.07%

12.17%

11.48%

 

 当行の自己資本比率にマイナスに影響する主な要因は以下のとおりです。

・有価証券ポートフォリオの価値の低下

・債務者と株式・債券の発行体に対する内部格付に応じて生じるリスク・アセット及び期待損失の増加

・繰延税金資産の自己資本への算入制限が課せられた場合の自己資本の減少

・繰延税金資産の回収可能性判断に基づく繰延税金資産の取崩しによる自己資本の減少

・債務者の信用力の悪化や不良債権の処分に際して生じうる与信関係費用の増加

・銀行の自己資本比率の基準及び算定方法の変更

・為替レートの不利益な変動

・本項記載のその他の不利益な展開等

 当行は、様々なリスク事象によるストレスが加わった場合にも、十分な自己資本の維持が可能かどうかについて、年に2回「統合ストレステスト」を実施しており、資本の十分性について定点的に検証しております。

 

(3)業務に伴うリスク

① 市場リスク

 当行では有価証券などの市場取引及び投資活動を行っております。したがいまして、当行の業績及び財政状態は、これらの活動に伴うリスク(金利、為替レート、株価及び債券相場の変動等)にさらされております。例えば、金利が上昇した場合、当行の保有する国債をはじめとする債券ポートフォリオの価値に悪影響を及ぼします。また保有している株式の価格が下落した場合には減損又は評価損が発生することにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 流動性リスク

 資金繰りに関して、内外の経済情勢や市場環境等の変化、当行格付の低下及びその他の何らかの理由によって当行の信用力が低下することなどにより、必要な資金が確保できなくなる場合や、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされたり調達が困難となったりすることで損失を被る可能性があります。また債券などの金融商品の売買において、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることで損失を被る可能性があります。

 例えば、2008年のリーマン・ショック時には保有している金融資産を適正な価格で現金化できない、「市場流動性が枯渇」した状況が発生しました。著しく不利な価格での取引を余儀なくされた場合、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 事務リスク

 当行では、各種取引に伴う事務処理について、規程等に則った適宜適切な処理を徹底しておりますが、当行役職員や外部委託先の人為的ミスなどにより事故が生じ、金融資産の喪失や原状回復等に係る対応費用などの発生及び社会的信用の失墜などにより、不測の損害を被る可能性があります。

 

④ システムリスク

 コンピュータ機器や通信回線の故障、プログラムの不具合などによるコンピュータシステムの停止又は誤作動や、コンピュータの不正使用又は外部からのサイバー攻撃などによる情報の破壊や流出が発生した場合、決済機能やサービス業務の停止、社会的信用の失墜などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では、コンピュータ機器や通信回線の二重化、サイバー攻撃などの探知システムの拡充を図っており、2023年1月には基幹系システムを刷新し、メインシステムに加え、バックアップシステムについても強化を図っております。

⑤ 法務リスク

 当行役職員の法令等違反に起因した多大な損失の発生や当行への訴訟の提起等により信用力の低下等が生じた場合には、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行ではコンプライアンス(法令等遵守)を経営の最重要課題のひとつと位置付け、法令等遵守態勢の充実・強化に取組んでおります。

⑥ 災害等の発生により業務に支障を来たすリスク

 当行が保有する店舗、事務所、電算センター等の施設が、地震等の自然災害の発生、停電等の社会インフラ障害及び犯罪、物理的テロ等の被害を受けることにより、当行の業務運営に支障を来たし、業績及び財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 風評リスク

 当行及び銀行業界に対するネガティブな報道や悪質な風評等により、それが事実であるか否かにかかわらず、流動性リスクを誘発することなどにより、当行の業績や財務内容、株価等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 情報漏洩に関するリスク

 当行役職員及び外部委託先の人為的ミス・事故等や外部者の不正アクセス等により、お客さまに関する情報が外部に漏洩した場合、お客さまからの損害賠償請求や社会的信用の失墜などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では、グループ会社情報管理に関する基本方針・取扱規程及び体制を整備し、各部署への「お客さま情報管理責任者」、「お客さま情報管理者」設置のほか、職員教育、セキュリティ対策といった情報漏洩防止策を講じております。

⑨ ビジネス戦略が奏功しないリスク

 当行では収益力増強のため様々なビジネス戦略を実施していますが、これら戦略が功を奏さないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。戦略が奏功しない例としては既存の貸出についての利鞘拡大が進まないこと、手数料収入の増大が期待どおりとならないこと、経費削減等の効率化を図る戦略が期待どおりに進まないこと、などが挙げられます。

⑩ 業務の外部委託に伴うリスク

 当行は、様々な業務を外部委託するにあたり、業務委託を行うことの妥当性検証や委託先の情報管理態勢の確認等により、委託先の選定を適切に行うよう努めておりますが、委託先において重要な業務の遂行に支障を来たす事態が発生した場合、当行の業務運営に支障を来たし、業績及び財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)金融環境等に係るリスク

① 競争の激化

 近年、日本の金融制度は大幅に規制が緩和されてきており、これに伴い競争が激化してきております。当行がこうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行の事業、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 規制変更のリスク

 当行は現時点の規制に従って、また規制上のリスクを伴って業務を遂行しております。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈、財政及びその他の施策の変更並びにそれらによって発生する事態が、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 地域経済の動向

 当行は、北海道を主要な営業基盤としておりますが、インバウンドや公共事業の大幅な縮小等により地域経済が想定以上に悪化した場合は、収益基盤の拡大が困難となるほか、信用リスクの増加などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では、事業性理解や経営改善支援など、道内企業の価値向上に向けた取組みを通じて、地域経済の持続可能性に貢献すべく努めております。

 

(5)その他

① 格付低下のリスク

 格付機関が当行の格付を引下げた場合、当行のマーケット部門は、取引において不利な条件を承諾せざるを得なくなったり、又は一定の取引を行うことができなくなり、資本・資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。このような事態が生じた場合には、当行のマーケット部門及びその他業務の収益性に悪影響を与え、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 退職給付債務に関するリスク

 当行の年金資産の時価が下落した場合、年金資産の運用利回りが低下した場合、予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合、又は退職給付に係る会計基準が改正された場合には、損失が発生する可能性があります。また、年金制度の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金の未積立債務及び年間積立額にマイナスの影響を与える可能性があります。これらの結果、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 固定資産の減損会計に関するリスク

 固定資産の減損に係る会計基準及び適用指針を適用し、所有する固定資産に損失が発生した場合には、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 会計制度変更に伴うリスク

 現時点で将来の会計制度変更について影響を測定することは困難ですが、会計制度の変更内容によってはコストの増加につながり、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 財務報告に係る内部統制に関するリスク

 当行は、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価した「内部統制報告書」の提出、及びその評価内容について監査法人の監査を受けることが求められており、財務報告に係る内部統制の整備・運用を行い有効性を評価する過程で発見された事項は、速やかに改善するよう努めております。

 しかしながら、改善が不十分な場合や、開示すべき事項に重大な不備があると監査法人が評価するような場合には、当局による監督指導や社会的信用の失墜により、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 疫病発生による業務継続に関するリスク

 事前に疫病発生の影響を測定することは困難ですが、社会的混乱により当行の業務運営に支障が生じ、業績及び財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では業務継続計画(BCP)や「緊急時対応要領」を策定のうえ、様々な緊急時の訓練を定期的に実施しています。また、職員の出勤前・出勤時の健康管理チェックを行い体調不良者は自宅待機を徹底、窓口等における飛沫防止のパーテーションの設置など、感染予防・感染拡大防止のための対策を講じています。

⑦ 気候変動リスク

 地球温暖化の進行やそれに伴う異常気象等による自然災害の急増など、気候変動リスクがもたらす被害は年々拡大しています。こうした被害の状況によっては、当行の業務運営への影響に加え、当行取引先の事業活動や業況の悪化等による信用リスクの増加などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があることから、当行では気候変動問題への対応を進めるため、2021年5月にTCFD(※)提言への賛同を表明しました。引き続き、当該リスクを分析・評価・把握し、統合的リスク管理の枠組みの中で管理する体制の構築を進めていきます。

 今後もTCFD提言に沿った体制整備に努めてまいります。

(※)TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)

Task Force on Climate-related Financial Disclosures の略。2015年12月に金融安定理事会(FSB)により設立された、気候変動リスク・機会の情報開示を推奨する国際的な支援組織。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、ウィズコロナに向けての各種政策の効果もあり緩やかに持ち直しています。個人消費は、実質の雇用者所得は弱含みではあるものの、国内外の行動制限緩和による旅行・宿泊などのサービス消費の回復や供給制約を受けていた耐久財の消費が底堅く推移し緩やかに持ち直しています。設備投資は、資材価格上昇の影響を受けながらも緩やかに回復しています。輸出は、アジア向けが減少するなど弱含んでいます。

 物価は、伸び率は鈍化しているものの、輸入物価上昇により国内企業物価、消費者物価ともに上昇しています。金融面では、無担保コールレートはマイナス金利で推移しています。新発10年物国債利回りは0.5%程度で推移しています。対ドル円相場は、世界的な金融引き締めを背景に一時150円台まで円安が進みましたが、年度末にかけては130円台前半で推移しました。

 次に北海道経済をみますと、一部に弱さが残るものの緩やかに持ち直しています。住宅投資は価格高騰の影響を受けて減少しています。公共投資は高い水準ながら弱めの動きとなっています。設備投資は、持ち直しの動きとなっています。個人消費は、持ち直しています。観光関連は、来道者数やインバウンドの回復とともに持ち直しの動きとなっています。雇用情勢は持ち直しています。

 このような金融経済環境のもと、当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

経営成績の状況(連結)

 当連結会計年度の経営成績、損益の状況につきましては、中核となる当行の経営成績を主な要因として、経常収益が1,267億円と前年比22億円増加となりました。経常費用は1,094億円と前年比42億円増加となりました。その結果、経常利益は173億円と前年比19億円減少し、親会社株主に帰属する当期純利益は96億円と前年比21億円減少となりました。

 

<主な損益項目の分析>

 

 

前連結会計年度

(億円)

当連結会計年度

(億円)

増減

(億円)

連結コア粗利益

888

871

△17

 

資金利益

678

677

△0

 

役務取引等利益

162

157

△4

 

その他

47

35

△12

営業経費

640

673

33

その他経常損益等

△55

△23

31

 

貸倒償却引当費用

34

58

23

 

有価証券関係損益

△29

24

54

 

その他

9

9

0

経常利益

192

173

△19

法人税等調整額

△3

△0

2

親会社株主に帰属する当期純利益

117

96

△21

 

 

 

 

 

連結コア業務純益

239

197

△42

(注)1.連結コア粗利益=[資金運用収益-(資金調達費用-金銭の信託運用見合費用)]+[役務取引等収益-役務取引等費用]+[(その他業務収益-その他業務費用)-国債等債券関係損益]

2.連結コア業務純益=連結コア粗利益-経費(除く臨時処理分)

 

 なお、セグメントごとの経営成績につきましては、以下のとおりであります。

銀行業(単体)

 当事業年度の経営成績につきましては、経常収益は1,031億円と前年比22億円増加となりました。このうち資金運用収益は、有価証券利息配当金の増加を主因に714億円と前年比12億円増加したものの、役務取引等収益は為替手数料の引き下げや預り資産手数料の減少などにより240億円と前年比8億円減少となりました。

 経常費用は、852億円と前年比23億円増加となりました。このうち営業経費はTSUBASA基幹系システム共同化に伴う業務委託費の増加や税金の増加を主因に638億円と前年比31億円増加となり、貸倒引当金繰入額につきましては、46億円と前年比15億円増加となりました。

 その結果、当事業年度の経常利益は178億円と前年比で微減、当期純利益は105億円と前年比5億円の減益となりました。

リース業

 リース業の経営成績につきましては、リース売上の増加により経常収益が227億円と前年比9億円増加となりました。この結果、経常利益は7億円と前年比で微減、当期純利益は4億円と前年比で微増となりました。

 

(営業施策)

 当行は、経営理念に掲げている「お客さま本位を徹底」した、深度あるコンサルティング営業を中心に、お客さま・地域の多様化するニーズや課題に沿った最適なサービスやソリューションの提供を通じて、多様な課題の解決に積極的に取り組んでおります。

 

イ 個人のお客さまに向けた取組み

 北洋銀行本体では、若年層や資産形成層を中心にNISAやiDeCoといった定時定額積立型投資のご提案のほか、InstagramなどのSNS、Web広告を通じたプロモーションの展開、金融リテラシー向上に役立つ情報を発信しております。また、「北洋証券」との連携を強化し、お客さまの高度化・多様化する資産運用ニーズにお応えしております。個人ローンでは、廃棄物が少なく環境保全の観点から需要が高まっているリノベーション住宅に対応したリノベーション一体型ローンや、脱炭素の取組みに資する資金に限定した「ゼロカーボン応援プラン」のマイカーローン・リフォームローンの取扱いを開始するなど、ローンを通じた環境保全の課題解決に積極的に取り組んでおります。

ロ 法人のお客さまに向けた取組み

 本支店及び法人コンサルティング業務全般を担う「北海道共創パートナーズ」等グループ会社との連携を強化したほか、従来実施してきた事業性理解の取組みを更に深度あるものとし、お客さまの経営課題と多様化するニーズにタイムリーに対応しております。また、北海道の基幹産業である「食」と「観光」に関連した商談会や、道内ものづくり企業のビジネス拡大・受注機会の増大を目的とした受発注商談会などの本業支援にも取り組んでおります。

 道内事業者数が減少していく中で、未開拓の分野を切り開き、雇用とイノベーションを社会にもたらすスタートアップは北海道の成長のドライバーであり、その成長を支援していくことは地域金融機関の役割の一つと考え、2018年6月より開始している「北洋SDGs推進ファンド」、同後継ファンドである「北洋SDGs推進2号ファンド」による出資を通じたスタートアップ支援にも取り組んでおります。

ハ 地域の活性化に向けた取組み

 道内の地方公共団体や信用金庫・信用組合も含めた金融機関・大学など、産学官金の連携を拡充させながら、地域の優位性や資源を活かした産業の振興、革新的な新事業の創出など、地方の意欲的な取組みを支援しております。

 包括連携協定締結先である道内大学を対象とした「道内大学ブランド食品フェア」を開催したほか、道内企業と大学教職員の交流会を開催し、人材不足で悩んでいる道内企業の新卒者採用支援など、産学金の連携を強化しております。また、北広島市とは地方創生に関する包括連携協定の一環として、旧店舗施設を北広島市に賃貸し、同市が実施する放課後等の児童生徒の居場所づくりや子育てサークル等の活動に協力するなど、官民連携による地方創生への取組みも進めております。

 

ニ その他の取組み

 地銀最大の規模となる「TSUBASAアライアンス(※)」による協業を強化しており、スケールメリットを活かした金融サービスの向上や、新ビジネスの創出、業務共同化による効率化を進めております。2022年度はアライアンスの目的の一つである地域の持続的な成長を実現するため、ダイバーシティ&インクルージョンに対する取組方針をまとめた「TSUBASAダイバーシティ&インクルージョン宣言」を共同で制定し、本宣言に基づく連携施策として、女性の幹部候補育成を目的とした「TSUBASAクロスメンター制度」を創設しております。また2023年1月にはTSUBASA基幹系システム共同化が完了し、事務効率化の更なる実現やシステムコストの削減、長期安定稼働に資するシステムの構築が可能となりました。

 引続き連携の幅を拡大させ、経営統合に匹敵する効果を追求してまいります。

(※)TSUBASAアライアンス

千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、武蔵野銀行、滋賀銀行、琉球銀行、群馬銀行及び当行の10行が参加する地銀広域連携の枠組みです。

 

財政状態の状況(連結)

(主要勘定残高)

 2023年3月末の総資産は、12兆5,209億円と前年比1兆228億円減少(△7.5%)いたしました。貸出金は、7兆7,035億円と前年比3,416億円増加(4.6%)いたしました。有価証券は、1兆5,889億円と前年比1,049億円増加(7.0%)いたしました。

 預金・譲渡性預金は、11兆31億円と前年比3,398億円増加(3.1%)いたしました。

 純資産は、4,073億円と前年比137億円減少(△3.2%)いたしました。

 

2022年3月末

(億円)

2023年3月末

(億円)

増減

(億円)

総資産

135,438

125,209

△10,228

貸出金

73,618

77,035

3,416

有価証券

14,839

15,889

1,049

預金・譲渡性預金

106,632

110,031

3,398

純資産

4,210

4,073

△137

 

(銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権)

 2023年3月末の銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権は、865億円と前年比69億円増加いたしました。

 また、債権が与信額に占める割合は、1.09%と前年比0.05ポイント上昇いたしました。

 

2022年3月末

(億円)

2023年3月末

(億円)

増減

(億円)

 

 

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

302

357

55

 

 

危険債権

353

330

△23

 

 

要管理債権

140

178

37

 

 

三月以上延滞債権

3

5

2

 

 

貸出条件緩和債権

137

172

35

合計

796

865

69

(与信額に占める割合)

(1.04%)

(1.09%)

(0.05%)

 

 

(有価証券の評価損益)

 2023年3月末の有価証券の評価損益は、591億円の評価益となり、前年比257億円減少いたしました。内訳としては、株式の評価益が927億円と前年比49億円減少、債券の評価損が280億円と同176億円の減少、その他は55億円の評価損となり同32億円減少いたしました。

 

 

2022年3月末

(億円)

2023年3月末

(億円)

増減

(億円)

その他有価証券

849

591

△257

 

株式

977

927

△49

 

債券

△103

△280

△176

 

その他

△23

△55

△32

 

 

 

 

 

日経平均株価(円)

27,821.43

28,041.48

220.05

長期国債利回(%)

0.210

0.320

0.110

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ1兆5,389億円減少し2兆7,726億円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加及び借用金の減少等により1兆3,621億円の支出(前連結会計年度は1兆7,361億の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出等により1,719億円の支出(前連結会計年度は161億の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いによる支出等により48億円の支出(前連結会計年度は40億の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(国内・海外別収支)

 国内業務部門では、資金運用収支が有価証券利息配当金の増加等を主因として前連結会計年度比3億5百万円増加の675億71百万円、役務取引等収支が同4億55百万円減少の156億65百万円、その他業務収支が国債等債券売却益の増加及び国債等債券売却損の減少等を主因として同4億16百万円増加し33億45百万円となりました。

 国際業務部門では、資金運用収支が売現先利息及び債券貸借取引支払利息の増加等を主因として前連結会計年度比3億45百万円減少の2億13百万円、役務取引等収支が同6百万円増加の1億34百万円、その他業務収支が商品有価証券売買益の減少等を主因として同8億66百万円減少の1億36百万円となりました。

 この結果、合計では、資金運用収支が前連結会計年度比40百万円減少の677億85百万円、役務取引等収支が同4億49百万円減少の157億99百万円、その他業務収支が同4億50百万円減少の34億82百万円となり、収支合算では同9億40百万円減少の870億66百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

67,266

559

67,825

当連結会計年度

67,571

213

67,785

うち資金運用収益

前連結会計年度

68,114

597

1

68,710

当連結会計年度

68,368

1,033

0

69,400

うち資金調達費用

前連結会計年度

848

37

1

885

当連結会計年度

796

819

0

1,615

役務取引等収支

前連結会計年度

16,120

127

16,248

当連結会計年度

15,665

134

15,799

うち役務取引等収益

前連結会計年度

27,539

183

27,723

当連結会計年度

26,959

195

27,154

うち役務取引等費用

前連結会計年度

11,418

55

11,474

当連結会計年度

11,294

61

11,355

その他業務収支

前連結会計年度

2,928

1,003

3,932

当連結会計年度

3,345

136

3,482

うちその他業務収益

前連結会計年度

23,237

1,575

24,813

当連結会計年度

23,942

660

24,603

うちその他業務費用

前連結会計年度

20,309

571

20,880

当連結会計年度

20,597

524

21,121

(注)1.当行及び連結子会社は海外拠点を有していないので、(国内・海外別貸出金残高の状況)を除き、以下の各表とも「国内業務部門」「国際業務部門」に区分して記載しております。なお、「国内業務部門」とは当行及び連結子会社の円建取引であり、「国際業務部門」とは当行及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2.「資金調達費用」は、金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。

3.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。

 

(国内・海外別資金運用/調達の状況)

 国内業務部門では、資金運用勘定は、平均残高が貸出金と有価証券の増加等を主因として前連結会計年度比3,062億円増加の11兆2,207億円、利回りが商品有価証券で低下したこと等により同0.02ポイント低下の0.60%となり、受取利息は同2億円増加の683億円となりました。また、資金調達勘定は、平均残高が預金の増加等を主因として前連結会計年度比3,574億円増加の12兆2,793億円、利回りは同0.00ポイント低下の0.00%となり、支払利息は同52百万円減少の7億円となりました。

 国際業務部門では、資金運用勘定は、平均残高が有価証券の増加等を主因として前連結会計年度比31億円増加の743億円、利回りが同0.55ポイント上昇の1.38%となり、受取利息は同4億円増加の10億円となりました。また、資金調達勘定は、平均残高が前連結会計年度比32億円増加の741億円、利回りが同1.05ポイント上昇の1.10%となり、支払利息は同7億円増加の8億円となりました。

 この結果、合計では、資金運用勘定は平均残高が前連結会計年度比3,081億円増加の11兆2,604億円、利回りが同0.01ポイント低下の0.61%となり、受取利息が同6億円増加の694億円となりました。資金調達勘定は平均残高が前連結会計年度比3,593億円増加の12兆3,188億円、利回りが同0.01ポイント上昇の0.01%となり、支払利息は同7億円増加の16億円となりました。

 

(① 国内業務部門)

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

10,914,487

68,115

0.62

当連結会計年度

11,220,752

68,368

0.60

うち貸出金

前連結会計年度

7,416,177

57,553

0.77

当連結会計年度

7,667,875

57,348

0.74

うち商品有価証券

前連結会計年度

3,155

13

0.43

当連結会計年度

2,400

8

0.34

うち有価証券

前連結会計年度

1,273,266

7,218

0.56

当連結会計年度

1,480,144

8,280

0.55

うちコールローン

及び買入手形

前連結会計年度

9,709

0

0.00

当連結会計年度

13,205

0

0.00

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

2,164,568

3,153

0.14

当連結会計年度

2,012,975

2,571

0.12

資金調達勘定

前連結会計年度

11,921,892

848

0.00

当連結会計年度

12,279,341

796

0.00

うち預金

前連結会計年度

9,893,099

132

0.00

当連結会計年度

10,245,325

110

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

220,621

11

0.00

当連結会計年度

272,330

10

0.00

うちコールマネー

及び売渡手形

前連結会計年度

130,632

△15

△0.01

当連結会計年度

179,450

△32

△0.01

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

236,922

23

0.00

当連結会計年度

326,595

32

0.00

うちコマーシャル・

ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

1,437,916

694

0.04

当連結会計年度

1,248,037

674

0.05

(注)1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.「資金調達勘定」は、金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。

 

(② 国際業務部門)

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

71,233

596

0.83

当連結会計年度

74,381

1,033

1.38

うち貸出金

前連結会計年度

6,990

31

0.44

当連結会計年度

5,702

63

1.12

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

55,538

563

1.01

当連結会計年度

59,198

947

1.60

うちコールローン

及び買入手形

前連結会計年度

298

0

0.12

当連結会計年度

409

6

1.70

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

当連結会計年度

資金調達勘定

前連結会計年度

70,993

37

0.05

当連結会計年度

74,198

819

1.10

うち預金

前連結会計年度

11,013

1

0.01

当連結会計年度

10,335

15

0.14

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー

及び売渡手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

14,498

13

0.09

当連結会計年度

18,510

537

2.90

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

11,888

22

0.18

当連結会計年度

10,440

266

2.54

うちコマーシャル・

ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(③ 合計)

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り

(%)

小計

相殺消去額

(△)

合計

小計

相殺消去額

(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

10,985,720

33,375

10,952,345

68,712

1

68,710

0.62

当連結会計年度

11,295,133

34,654

11,260,478

69,401

0

69,400

0.61

うち貸出金

前連結会計年度

7,423,167

7,423,167

57,584

57,584

0.77

当連結会計年度

7,673,577

7,673,577

57,412

57,412

0.74

うち商品有価証券

前連結会計年度

3,155

3,155

13

13

0.43

当連結会計年度

2,400

2,400

8

8

0.34

うち有価証券

前連結会計年度

1,328,804

1,328,804

7,781

7,781

0.58

当連結会計年度

1,539,343

1,539,343

9,228

9,228

0.59

うちコールローン

及び買入手形

前連結会計年度

10,008

10,008

0

0

0.00

当連結会計年度

13,615

13,615

7

7

0.05

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

2,164,568

2,164,568

3,153

3,153

0.14

当連結会計年度

2,012,975

2,012,975

2,571

2,571

0.12

資金調達勘定

前連結会計年度

11,992,886

33,375

11,959,511

886

1

885

0.00

当連結会計年度

12,353,540

34,654

12,318,885

1,616

0

1,615

0.01

うち預金

前連結会計年度

9,904,113

9,904,113

133

133

0.00

当連結会計年度

10,255,660

10,255,660

125

125

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

220,621

220,621

11

11

0.00

当連結会計年度

272,330

272,330

10

10

0.00

うちコールマネー

及び売渡手形

前連結会計年度

130,632

130,632

△15

△15

△0.01

当連結会計年度

179,450

179,450

△32

△32

△0.01

うち売現先勘定

前連結会計年度

14,498

14,498

13

13

0.09

当連結会計年度

18,510

18,510

537

537

2.90

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

248,810

248,810

46

46

0.01

当連結会計年度

337,035

337,035

298

298

0.08

うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

1,437,916

1,437,916

694

694

0.04

当連結会計年度

1,248,037

1,248,037

674

674

0.05

(注)1.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。

2.「資金調達勘定」は、金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。

 

(国内・海外別役務取引の状況)

 国内業務部門の役務取引等収益は前連結会計年度比5億80百万円減少の269億59百万円、役務取引等費用は同1億24百万円減少の112億94百万円となりました。この結果、合計の役務取引等収益は前連結会計年度比5億68百万円減少の271億54百万円、役務取引等費用は同1億19百万円減少の113億55百万円となり、役務取引等収支は同4億49百万円減少の157億99百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

27,539

183

27,723

当連結会計年度

26,959

195

27,154

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

9,901

12

9,914

当連結会計年度

10,451

24

10,475

うち為替業務

前連結会計年度

6,602

159

6,761

当連結会計年度

6,011

165

6,177

うち証券関連業務

前連結会計年度

1,340

0

1,341

当連結会計年度

1,260

2

1,262

うち代理業務

前連結会計年度

5,987

5,987

当連結会計年度

6,000

6,000

うち保護預り・貸金庫業務

前連結会計年度

324

324

当連結会計年度

245

245

うち保証業務

前連結会計年度

1,142

10

1,152

当連結会計年度

1,038

3

1,042

役務取引等費用

前連結会計年度

11,418

55

11,474

当連結会計年度

11,294

61

11,355

うち為替業務

前連結会計年度

870

35

906

当連結会計年度

550

29

579

 

(国内・海外別預金残高の状況)

○預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

10,552,331

11,452

10,563,784

当連結会計年度

10,820,299

7,882

10,828,182

うち流動性預金

前連結会計年度

8,543,484

8,543,484

当連結会計年度

8,880,220

8,880,220

うち定期性預金

前連結会計年度

1,847,885

1,847,885

当連結会計年度

1,791,116

1,791,116

うちその他

前連結会計年度

160,961

11,452

172,413

当連結会計年度

148,963

7,882

156,845

譲渡性預金

前連結会計年度

99,451

99,451

当連結会計年度

174,937

174,937

 総合計

前連結会計年度

10,651,783

11,452

10,663,235

当連結会計年度

10,995,237

7,882

11,003,119

(注)1.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

2.定期性預金=定期預金

 

(国内・海外別貸出金残高の状況)

○業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

(除く特別国際金融取引勘定分)

7,361,881

100.00

7,703,573

100.00

製造業

403,018

5.47

392,099

5.09

農業,林業

28,514

0.39

30,723

0.40

漁業

1,568

0.02

1,545

0.02

鉱業,採石業,砂利採取業

3,433

0.05

3,712

0.05

建設業

267,630

3.64

270,358

3.51

電気・ガス・熱供給・水道業

97,782

1.33

104,659

1.36

情報通信業

44,181

0.60

39,516

0.51

運輸業,郵便業

190,788

2.59

197,280

2.56

卸売業,小売業

561,990

7.63

583,246

7.57

金融業,保険業

203,208

2.76

235,470

3.06

不動産業,物品賃貸業

662,389

9.00

625,563

8.12

各種サービス業

587,745

7.98

574,013

7.45

地方公共団体等

2,351,725

31.94

2,576,186

33.44

その他

1,957,904

26.60

2,069,196

26.86

特別国際金融取引勘定分

政府等

金融機関

その他

 合計

7,361,881

――

7,703,573

――

(注) 「国内」とは当行及び連結子会社であります。

 

(国内・海外別有価証券の状況)

○有価証券残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

437,109

437,109

当連結会計年度

405,503

405,503

地方債

前連結会計年度

487,075

487,075

当連結会計年度

574,709

574,709

短期社債

前連結会計年度

1,999

1,999

当連結会計年度

4,999

4,999

社債

前連結会計年度

304,728

304,728

当連結会計年度

337,452

337,452

株式

前連結会計年度

145,635

145,635

当連結会計年度

138,572

138,572

その他の証券

前連結会計年度

55,191

52,251

107,442

当連結会計年度

77,699

50,013

127,713

合計

前連結会計年度

1,431,739

52,251

1,483,991

当連結会計年度

1,538,937

50,013

1,588,951

(注) 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

(自己資本比率等の状況)

 自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

 2023年3月末の自己資本比率は、利益剰余金の積上げを主な要因として、連結ベースでは11.78%、単体ベースでは11.48%となりました。

 なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2022年3月31日

2023年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

12.53

11.78

2.連結における自己資本の額

3,555

3,398

3.リスク・アセットの額

28,359

28,842

4.連結総所要自己資本額

1,134

1,153

 

単体自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2022年3月31日

2023年3月31日

1.単体自己資本比率(2/3)

12.17

11.48

2.単体における自己資本の額

3,393

3,248

3.リスク・アセットの額

27,869

28,288

4.単体総所要自己資本額

1,114

1,131

 

 

(資産の査定)

 資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

 破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

 危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

 要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

 正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

2022年3月31日

2023年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

292

346

危険債権

353

330

要管理債権

140

178

正常債権

75,091

78,479

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当行グループの当連結会計年度の経営成績は、経常収益が有価証券利息配当金や有価証券売却益の増加などから1,267億円と22億円の増加となりました。経常費用はTSUBASA基幹系システム共同化に伴う物件費及び税金の増加により1,094億円と42億円の増加となりました。その結果、経常利益は173億円と19億円の減益、また、親会社株主に帰属する当期純利益は96億円と21億円の減益となりました。この主な要因分析等につきましては、前段「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 当行グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであり、リスクが顕在化する蓋然性が高いと認識しているのは、海外での高インフレ持続と各国中央銀行の利上げ継続、国内物価上昇と日本銀行の金融政策修正、それに起因する信用リスク、市場リスクなどで、その動向によっては、信用コストの増加や保有有価証券の減損・評価損など、相当の影響を及ぼすものと認識しております。

 当行では、想定される具体的なリスクについて、機動的に(原則毎月)その発生の「影響度」と「蓋然性」を確認の上、その重要性を判定しており、早期予兆管理とコントロールするための施策を講じることに努めております。また、発生した場合には、迅速かつ適切な対応に努める所存であります。

 

 2020年度よりスタートした中期経営計画『共創の深化』で掲げた、目標とする経営指標の進捗状況は以下のとおりです。

 収益性の目標のうち経常利益は2022年度目標を上回りましたが、当期純利益についてはTSUBASA基幹系システム共同化に伴う特別損失の計上などにより目標を下回りました。健全性の目標である自己資本比率は前年比△0.75%となり、目標の12%程度から未達となりましたが、貸出金平均残高は道内中小企業向けなどの伸長により2022年度目標を上回りました。一人あたり生産性についても、2022年度目標を上回りました。

 長期的に目指す経営指標として掲げているROE、コアOHRは目標を達成しましたが、道内貸出シェアについては未達となりました。いずれの経営指標も長期目標からは乖離があり、引き続き目標達成に向け取り組んでまいります。

 

目標とする経営指標

2022年度実績(前年比)

2022年度目標

経常利益              (連結)

173億円(△19億円)

158億円

親会社株主に帰属する当期純利益   (連結)

96億円(△21億円)

105億円

自己資本比率            (連結)

11.78% (△0.75%)

12%程度

貸出金平均残高           (単体)

7.7兆円(0.2兆円)

7兆円

一人当たり生産性          (単体)

4.3百万円(△0.0百万円)

4.2百万円

 

長期的に目指す経営指標

2022年度実績(前年比)

2022年度目標

長期目標

ROE            (連結)

2.35%(△0.4%)

2%程度

5%以上

コアOHR          (単体)

77.2% (3.5%)

83%程度

70%以下

道内貸出シェア(※)    (単体)

33.1% (0.0%)

33.6%

34.7%

(※)2020年度初めより政府施策の実質無利子・無担保融資の取扱いが先行した政府系金融機関の大幅な貸出増加の影響から、計画が実態と乖離したことを補正するため、政府系金融機関を除いた道内貸出のシェア目標へ修正。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当行グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況並びに資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが1兆3,621億円の支出(前年比3兆982億円の支出増加)となりました。これは、日本銀行の金融施策を活用するために調達していた借用金の返済が主因となります。このほか、投資活動によるキャッシュ・フローは、1,719億円の支出(前年比1,558億円の支出増加)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いにより、48億円の支出(前年比7億円の支出増加)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、2兆7,726億円と前連結会計年度に比べ1兆5,389億円減少しておりますが、資本の財源や資金の流動性は十分に維持されております。なお、当行グループの主な設備投資の内容については、「第3 設備の状況」に記載のとおりであり、設備投資の資金源は自己資金であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。