【連結財務諸表注記】
1 報告企業
住友商事株式会社(以下、親会社)は日本に所在する企業であります。親会社の連結財務諸表は2024年3月31日を期末日とし、親会社及び子会社(以下、当社)、並びに当社の関連会社及び共同支配の取決めに対する持分により構成されております。当社は、長年培ってきた信用、国内外のグローバルネットワーク、あらゆる分野の取引先とのグローバルリレーション、知的資産といったビジネス基盤と、ビジネス創出力、ロジスティクス構築力、金融サービス提供力、IT活用力、リスク管理力、情報収集・分析力といった機能を統合することにより、顧客の多様なニーズに応え、多角的な事業活動をグローバル連結ベースで展開しております。
2 作成の基礎
当社の連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
連結財務諸表は連結財政状態計算書における以下の重要な項目を除き、取得原価を基礎として作成されております。
・デリバティブについては公正価値で測定しております。
・公正価値で測定し、その変動を当期利益で認識する金融商品については、公正価値で測定しております。
・公正価値で測定し、その変動をその他の包括利益で認識する金融商品については、公正価値で測定しております。
・確定給付制度に係る資産または負債は、確定給付債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除したものとして認識されております。
・棚卸資産のうち、短期的な価格変動により利益を獲得する目的で取得したものについては、売却費用控除後の公正価値で測定しております。
・生物資産は、売却費用控除後の公正価値で測定しております。
・売却目的保有に分類された非流動資産又は処分グループは、帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しております。
本報告書の連結財務諸表は親会社の機能通貨である日本円で表示しております。日本円で表示しているすべての財務情報は、百万円未満を四捨五入して記載しております。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、マネジメントは、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行うことが義務付けられております。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した会計期間と将来の会計期間において認識されます。
連結財務諸表上で認識する金額に重要な影響を与える会計方針の適用に際する判断に関する情報は、以下の注記に含まれております。
・リースを含む契約の会計処理-注記3 重要性がある会計方針 (9) リース
・関連会社及び共同支配の取決めの範囲-注記11 持分法適用会社に対する投資
翌連結会計年度において重要な修正をもたらすリスクのある、仮定及び見積りの不確実性に関する情報は、以下の注記に含まれております。
・金融資産の減損-注記27 金融商品及び関連する開示
・公正価値で測定する金融資産-注記27 金融商品及び関連する開示
・非流動資産の回収可能性-注記11 持分法適用会社に対する投資、注記12 有形固定資産、注記13 無形資産、注記14 投資不動産
・繰延税金資産の回収可能性-注記16 繰延税金
・引当金の測定-注記20 引当金、注記37 契約及び偶発債務
・確定給付債務の測定-注記21 従業員給付
本連結財務諸表において適用する重要性がある会計方針は、以下を除き、前期の連結財務諸表において適用した会計方針と同一であります。
IAS第12号「法人所得税」
当社は、当期よりIAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)を適用しております。本改訂により、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせる取引に関する当初認識時の会計処理が明確化されました。これにより、当該将来加算一時差異と将来減算一時差異について繰延税金負債及び繰延税金資産を連結財政状態計算書にそれぞれ認識しております。
当該会計方針の変更は遡及適用され、前期については遡及適用後の連結財務諸表となっております。
この結果、連結財政状態計算書の前期において、「持分法で会計処理されている投資」及び「繰延税金資産」の変動により資産が872百万円減少し、「利益剰余金」及び「非支配持分」の変動により資本が872百万円減少しております。また、連結包括利益計算書において、「持分法による投資損益」及び「法人所得税費用」の変動により前期における当期利益が159百万円増加しております。加えて、前期における「基本的1株当たり当期利益」及び「希薄化後1株当たり当期利益」がそれぞれ0.12円増加しております。
なお、上記の基準の適用による累積的影響額が反映されたことにより、連結持分変動計算書において、前期における「利益剰余金」の期首残高が980百万円減少し、「非支配持分」の期首残高が51百万円減少しております。
(連結持分変動計算書)
従来、「所有者との取引額」の「自己株式の取得及び処分」として表示していた「自己株式の取得」及び「自己株式の処分」について、表示の明瞭性を高めるため、当期より区分掲記することとしました。また、従来、「所有者との取引額」において区分掲記していた「非支配持分の取得及び処分」及び「その他」は、重要性を考慮し、当期より「非支配持分株主との資本取引及びその他」として一括して表示する方法に変更しました。これらの表示方法の変更に伴い、前期の連結持分変動計算書の組替えを行っております。
この結果、前期の連結持分変動計算書において、「所有者との取引額」の「自己株式の取得及び処分」に表示していた△37,692百万円は、「自己株式の取得」△37,950百万円、「自己株式の処分」258百万円として組替えております。また、「所有者との取引額」の「非支配持分の取得及び処分」に表示していた△2,578百万円及び「その他」に表示していた137百万円は、「非支配持分株主との資本取引及びその他」△2,441百万円として組替えております。
3 重要性がある会計方針
連結財務諸表の作成にあたり適用した重要性がある会計方針は次のとおりであります。
当社はIFRS第3号「企業結合」(以下、IFRS第3号)及びIFRS第10号「連結財務諸表」をすべての企業結合に適用しております。
当社は、注記5で開示している企業結合に対して取得法を適用しております。
支配とは、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、その投資先に対するパワーを通じてそれらのリターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。取得日とは支配が取得企業に移転した日をいいます。取得日及び支配がある当事者から他の当事者に移転したか否かを決定するためには判断が必要な場合があります。
当社はのれんを取得日時点で測定した被取得企業に対する非支配持分の認識額を含む譲渡対価の公正価値から、取得日時点における識別可能な取得資産及び引受負債の純認識額(通常、公正価値)を控除した額として測定しております。
譲渡対価には、当社から被取得企業の従前の所有者に対して移転した資産、発生した負債、及び当社が発行した持分の公正価値が含まれております。譲渡対価には、偶発対価の公正価値が含まれております。
被取得企業の偶発負債は、それが現在の債務であり、過去の事象から発生したもので、かつその公正価値を信頼性をもって測定できる場合に限り、企業結合において認識されております。
現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な持分を保有者に与えている非支配持分は、公正価値もしくは被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する非支配持分の比例的な取り分で当初測定しております。
この測定方法の選択は、取引ごとに行っております。その他の非支配持分は、公正価値もしくは他のIFRSが適用される場合は、他のIFRSに基づき、測定しております。
仲介手数料、弁護士費用、デューデリジェンス費用及びその他の専門家報酬、コンサルティング料等の、企業結合に関連して当社に発生する取引費用は、発生時に費用処理しております。
非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理されているため、当該取引からのれんは認識されておりません。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した会計年度末までに完了していない場合には、完了していない項目を暫定的な金額で報告しております。取得日時点に存在していた事実と状況を取得日当初に把握していたとしたら、認識される金額の測定に影響を与えていたと判断される期間(以下、測定期間)に入手した場合、その情報を反映して、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しております。この新たに得た情報が、資産と負債の新たな認識をもたらす場合には、追加の資産と負債を認識しております。
測定期間は最長で1年間であります。
子会社とは、当社により支配されている企業をいいます。子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、当社の連結財務諸表に含まれております。子会社の会計方針は、当社が適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて修正しております。
当社の連結財務諸表には、報告期間の末日を親会社の報告期間の末日に統一することが実務上不可能であり、親会社の報告期間の末日と異なる日を報告期間の末日とする子会社の財務諸表が含まれております。当該子会社の所在する現地法制度上、親会社と異なる決算日が要請されていることにより、決算日を統一することが実務上不可能であり、また、現地における会計システムを取り巻く環境や事業の特性などから、親会社の報告期間の末日を子会社の報告期間の末日として仮決算を行うことが実務上不可能であります。当該子会社の報告期間の末日と親会社の報告期間の末日の差異は3ヶ月を超えることはありません。
連結財務諸表の作成に用いる子会社の財務諸表を当社と異なる報告期間の末日で作成する場合、その子会社の報告期間の末日と当社の報告期間の末日の間に生じた重要な取引または事象の影響については調整を行っております。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しております。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本の部に直接認識されております。
共通支配下における企業結合とは、企業結合当事企業もしくは事業のすべてが、企業結合の前後で同一の企業により最終的に支配され、かつ、その支配が一時的でない場合の企業結合であります。当社は、すべての共通支配下における企業結合取引について、継続的に帳簿価額に基づき会計処理しております。
関連会社とは、当社がその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配をしていない企業をいいます。当社が他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社は当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。
共同支配の取決めは、各投資者が有する契約上の権利及び義務に基づいて、共同支配事業または共同支配企業のいずれかに分類されます。
当社は、共同支配事業に対する持分に係る資産、負債、収益及び費用の会計処理を、特定の資産、負債、収益及び費用に適用される適切なIFRSに基づき行っております。
関連会社及び共同支配企業への投資は、持分法を用いて会計処理しており(以下、持分法適用会社)、取得時に取得原価で認識しております。当社の投資には、取得時に認識したのれん(減損損失累計額控除後)が含まれております。
連結財務諸表には、重要な影響または共同支配が開始した日から終了する日までの持分法適用会社の収益・費用及び持分の変動に対する当社持分が含まれております。持分法適用会社の会計方針は、当社が適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて修正しております。
また、連結財務諸表には、他の株主との関係等により、決算日を統一することが実務上不可能であるため、決算日の異なる持分法適用会社に対する投資もあります。当該持分法適用会社の報告期間の末日は主に12月末日であります。
決算日の差異より生じる期間の重要な取引または事象の影響については調整を行っております。
連結グループ内の債権債務残高及び取引、並びに連結グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、被投資企業に対する当社持分を上限として投資から控除しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で控除しております。
外貨建取引は、取引日における為替レートで当社の各機能通貨に換算しております。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しております。貨幣性項目にかかる換算差額は、期首における機能通貨建の償却原価に当期中の実効金利及び支払金利を調整した金額と、期末日の為替レートで換算した外貨建償却原価との差額であります。公正価値で測定される外貨建非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に再換算しております。
再換算によって発生した換算差額は、当期利益又は損失で認識しております。ただし、FVTOCIの金融資産の再換算により発生した差額、在外営業活動体に対する純投資のヘッジ手段として指定された金融商品(以下③参照)、及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益に計上しております。外貨建取得原価により測定されている非貨幣性項目は、取引日の為替レートを使用して換算しております。
在外営業活動体の資産・負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については平均為替レートを用いて日本円に換算しております。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額はその他の包括利益で認識しております。
当社のIFRS移行日以降、当該差額は「在外営業活動体の換算差額」として、その他の資本の構成要素に含めております。在外営業活動体の持分全体の処分、及び支配、重要な影響力または共同支配の喪失を伴う持分の一部処分につき、当該換算差額は、処分損益の一部として当期利益又は損失に振替えられます。
当社は、在外営業活動体に対する純投資を直接保有しているか中間的な親会社を通じて保有しているかにかかわらず、在外営業活動体の機能通貨と親会社の機能通貨(円)との間に発生する換算差額についてヘッジ会計を適用しております。
在外営業活動体に対する純投資のヘッジ手段として指定されている金融商品の再換算により発生した換算差額は、ヘッジが有効な範囲においてその他の包括利益で認識し、「在外営業活動体の換算差額」として、その他の資本の構成要素に含めております。ヘッジが有効でない部分については、当期利益又は損失で認識しております。純投資のうちヘッジされている部分が処分された場合には、当該換算差額は処分損益の一部として当期利益又は損失に振替えられます。
当社は、営業債権及びその他の債権を、これらの発生日に当初認識しております。その他のすべての金融資産は、当社が当該金融商品の契約当事者となった取引日に当初認識しております。
非デリバティブ金融資産の分類及び測定モデルの概要は以下のとおりであります。
償却原価で測定される金融資産
金融資産は、以下の要件を満たす場合に償却原価で事後測定しております。
・当社のビジネスモデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有している場合
・契約条件が、特定された日に元本及び元本残高にかかる利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる場合
償却原価で測定される金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。但し、重大な金融要素を含んでいない営業債権及びその他の債権については取引価格で当初認識しております。当初認識後、償却原価で測定される金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、必要な場合には減損損失を控除しております。
FVTOCIの負債性金融資産
金融資産は、以下の要件を満たす場合にその他の包括利益を通じて公正価値で事後測定しております。
・当社のビジネスモデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収と売却の両方を目的として保有している場合
・契約条件が、特定された日に元本及び元本残高にかかる利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる場合
FVTOCIの負債性金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。
当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動は「FVTOCIの金融資産」として、その他の資本の構成要素に含めております。FVTOCIの負債性金融資産の認識を中止した場合、その他の資本の構成要素の残高を当期利益又は損失に振替えております。
FVTPLの金融資産
資本性金融商品を除く金融資産で上記の償却原価で測定する区分及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する区分の要件を満たさないものは、公正価値で測定し、その変動を当期利益又は損失で認識しております。当該資産には、売買目的で保有する金融資産が含まれております。
資本性金融商品は公正価値で測定しその変動を当期利益又は損失で認識しております。ただし、当社が当初認識時に公正価値の変動をその他の包括利益で認識するという選択(撤回不能)を行う場合はこの限りではありません。
FVTPLの金融資産は、当初認識時に公正価値で認識し、取引費用は発生時に当期利益又は損失で認識しております。
FVTOCIの資本性金融資産
当社は当初認識時に、資本性金融商品への投資における公正価値の変動をその他の包括利益で認識するという選択(撤回不能)を行う場合があります。当該選択は、売買目的以外で保有する資本性金融商品に対してのみ認められております。
FVTOCIの資本性金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動は「FVTOCIの金融資産」として、その他の資本の構成要素に含めております。
FVTOCIの資本性金融資産の認識を中止した場合、または、取得原価に比し公正価値の著しい下落が一時的ではない場合、その他の資本の構成要素の残高は直接利益剰余金に振替え、当期利益又は損失で認識しておりません。
ただし、FVTOCIの資本性金融資産からの配当金については、金融収益の一部として当期利益又は損失で認識しております。
金融資産の認識の中止
当社は、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合、または、当該金融資産の所有にかかるリスク及び便益を実質的にすべて移転する取引において、金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転する場合に、当該金融資産の認識を中止しております。移転した金融資産に関して当社が創出した、または当社が引き続き保有する持分については、別個の資産・負債として認識しております。
現金及び現金同等物とは、現金及び容易に一定の金額に現金化が可能な流動性の高い投資をいい、預入時点から満期日までが3ヶ月以内の短期定期預金を含んでおります。
当社は、当社が発行した負債証券を、その発行日に当初認識しております。その他の金融負債はすべて、当社が当該金融商品の契約の当事者になる取引日に認識しております。
当社は、金融負債が消滅した場合、つまり、契約上の義務が免責、取消または失効となった場合に、金融負債の認識を中止しております。
当社は、非デリバティブ金融負債として、社債及び借入金、営業債務及びその他の債務を有しており、公正価値(直接帰属する取引費用を控除後)で当初認識しております。
売買目的で保有する非デリバティブ金融負債は、当初認識後公正価値で測定し、その変動については当期利益又は損失で認識しております。売買目的以外で保有する非デリバティブ金融負債については、当初認識後、実効金利法を用いた償却原価により測定しております。
なお、金融負債が条件変更または交換されたものの、大幅な条件変更を伴わないことから当該金融負債の認識の中止が生じない場合にも、条件変更または交換時に利得または損失を認識しております。
普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
自己株式
自己株式を取得した場合は、直接取引費用を含む税効果考慮後の支払対価を、資本の控除項目として認識しております。自己株式を売却した場合、受取対価を資本の増加として認識しております。
当社は、金利変動リスク、為替変動リスク、在庫及び成約の価格変動リスクをヘッジするためデリバティブを利用しております。これらに用いられるデリバティブは主に、為替予約、通貨スワップ、金利スワップ及び商品先物取引などであります。
当初のヘッジ指定時点において、当社は、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際の戦略、ヘッジ手段とヘッジ対象、ヘッジされるリスクの性質、及びヘッジ関係の有効性の評価方法、有効性及び非有効性の測定方法、及び非有効部分の発生原因の分析を文書化しております。
当社は、ヘッジ関係の開始時及び継続期間中にわたって、ヘッジ手段の公正価値の変動又はキャッシュ・フローの変動が、ヘッジ対象の公正価値の変動又はキャッシュ・フローの変動と高い相殺関係があるかどうかを確認するために、ヘッジ対象とヘッジ手段の重要な条件が一致しているか又は、密接に合致しているかどうかの定性的な評価、あるいはヘッジ対象とヘッジ手段の価値が同一のリスクにより価格変動が相殺しあう関係にあることの定量的評価を通じて、ヘッジ対象とヘッジ手段の間の経済的関係の存在を確認しております。
予定取引に対してキャッシュ・フロー・ヘッジを適用するためには、当該予定取引の発生可能性が非常に高い必要があります。
デリバティブは公正価値で当初認識し、関連する取引費用は発生時に当期利益又は損失として認識しております。当初認識後は、デリバティブは公正価値で測定し、その変動は以下のように会計処理しております。
公正価値ヘッジ
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動は当期利益又は損失で認識しております。ヘッジ対象の帳簿価額は公正価値で測定し、ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象に係る利得または損失は、その変動を当期利益又は損失で認識しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
デリバティブを、認識済み資産・負債、当期利益又は損失に影響を与え得る発生可能性の非常に高い予定取引に関連する特定のリスクに起因するキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのヘッジ手段として指定した場合、デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ有効部分は、「キャッシュ・フロー・ヘッジ」として、その他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素に含めております。また、通貨金利スワップの通貨ベーシス・スプレッド部分については、ヘッジ手段から除外し、公正価値の変動を「ヘッジ・コスト」としてその他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素に含めております。その他の資本の構成要素に累積された残高は、ヘッジ対象のキャッシュ・フローが当期利益又は損失に影響を及ぼす期間と同一期間にわたり当期利益又は損失に振り替えられております。デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ非有効部分は、即時に当期利益又は損失で認識しております。
ヘッジがヘッジ会計の要件を満たさない場合、ヘッジ手段が失効、売却、終了または行使された場合、あるいはヘッジ指定が取り消された場合には、ヘッジ会計の適用を将来に向けて中止しております。
ヘッジ会計を中止した場合、当社は、既にその他の包括利益で認識したキャッシュ・フロー・ヘッジの残高を、予定取引が当期利益又は損失に影響を与えるまで引き続き計上しております。予定取引の発生が予想されなくなった場合は、キャッシュ・フロー・ヘッジの残高は、即時に当期利益又は損失で認識されます。
当社には、ヘッジ目的で保有しているデリバティブのうちヘッジ会計の要件を満たしていないものがあります。また、当社は、デリバティブをヘッジ目的以外のトレーディング目的でも保有しております。これらのデリバティブの公正価値の変動はすべて即時に当期利益又は損失で認識しております。
金融資産及び負債は、当社が残高を相殺する法的権利を有し、純額で決済するか、または資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しております。
棚卸資産は主として、商品、原材料・仕掛品及び販売不動産から構成されております。
棚卸資産については、取得原価と正味実現可能価額のうちいずれか低い額で測定しております。正味実現可能価額は、通常の営業過程における予想販売価額から完成までに要する見積原価及び見積販売費用を控除した額であります。
なお、短期的な価格変動により利益を獲得する目的で取得した棚卸資産については、売却費用控除後の公正価値で測定し、公正価値の変動を当期利益又は損失で認識しております。
短期的な価格変動により利益を獲得する目的以外で取得した棚卸資産については、個々の棚卸資産に代替性がない場合、個別法に基づき算定し、個々の棚卸資産に代替性がある場合、主に移動平均法に基づいて算定しております。
当社は、非流動資産又は処分グループの帳簿価額が継続的使用ではなく主に売却取引により回収される場合は、当該資産又は処分グループを売却目的保有に分類し、流動資産に振り替えております。これに該当するのは、資産又は処分グループが売却に関する通常又は慣例的な条件のみに従って直ちに売却することが可能であり、その売却の可能性が非常に高い場合です。経営者は当該資産又は処分グループの売却計画の実行を確約している必要があり、売却が完了したものと認識されるための要件を売却目的保有に分類した日から1年以内に満たす予定でなければなりません。
売却目的保有に分類された非流動資産又は処分グループは、帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しております。
有形固定資産については、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
取得原価には資産の取得に直接関連する費用、解体・除去及び土地の原状回復費用、及び資産計上すべき借入費用が含まれております。
有形固定資産の構成要素の耐用年数が構成要素ごとに異なる場合は、それぞれ別個の有形固定資産項目として計上しております。
減価償却費は償却可能価額をもとに算定しております。償却可能価額は、資産の取得価額または取得価額に準じる額から残存価額を差し引いて算出しております。
減価償却については、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、主に定額法に基づいております。定額法を採用している理由は、これが資産によって生み出される将来の経済的便益の消費の想定パターンに最も近似していると考えられるためであります。
なお、鉱業権の減価償却については、見積埋蔵量に基づき、生産高比例法に基づいて費用計上しております。土地は償却しておりません。
前期及び当期における見積耐用年数は以下のとおりであります。
・建物及び附属設備 3-50年
・機械設備 2-20年
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、毎期末日に見直しを行い、必要に応じて改定しております。
当初認識
子会社の取得により生じたのれんは無形資産に計上しております。当初認識時におけるのれんの測定については、(1)①に記載しております。
当初認識後の測定
のれんは取得価額から減損損失累計額を控除して測定しております。持分法適用会社については、のれんの帳簿価額を投資の帳簿価額に含めております。また、当該投資にかかる減損損失は、持分法適用会社の帳簿価額の一部を構成するいかなる資産(のれんを含む)にも配分しておりません。
当社は、販売目的もしくは内部利用目的のソフトウェアを購入または開発するための特定のコストを支出しております。
新しい科学的または技術的知識の獲得のために行われる研究活動に対する支出は、発生時に費用計上しております。開発活動による支出については、信頼性をもって測定可能であり、製品または工程が技術的及び商業的に実現可能であり、将来経済的便益を得られる可能性が高く、当社が開発を完成させ、当該資産を使用または販売する意図及びそのための十分な資源を有している場合にのみ自己創設無形資産として資産計上しております。
資産計上したソフトウェアに係る支出は、取得価額から償却累計額及び減損損失累計額を差し引いて測定しております。
企業結合により取得し、のれんとは区分して認識した販売権、商標権、顧客との関係等の無形資産は取得日の公正価値で計上しております。
その後は、取得価額から償却累計額及び減損損失累計額を差し引いて測定しております。
当社が取得したその他の無形資産で有限の耐用年数が付されたものについては、取得価額から償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定しております。
商標権の一部については、事業を継続する限り基本的に存続するため、耐用年数を確定できないと判断し、償却しておりません。
償却費は、資産の取得価額から残存価額を差し引いた額をもとに算定しております。のれん以外の無形資産の償却は、当該資産が使用可能な状態になった日から見積耐用年数にわたり、定額法に基づいております。定額法を採用している理由は、これが無形資産によって生み出される将来の経済的便益の消費の想定パターンに最も近似していると考えられるためであります。前期及び当期における主な見積耐用年数は以下のとおりであります。
・ソフトウェア 3-10年
・販売権・商標権・顧客との関係 3-30年
・その他 3-20年
償却方法、耐用年数及び残存価額は、毎期末日に見直しを行い、必要に応じて改定しております。
投資不動産とは、賃料収入またはキャピタル・ゲイン、もしくはその両方を得ることを目的として保有する不動産であります。通常の営業過程で販売する不動産や、商品またはサービスの製造・販売、またはその他の管理目的で使用する不動産は含まれておりません。投資不動産は、取得原価から減価償却累計額((6)②参照)及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
契約時に、当該契約がリース又はリースを含んだものであるのかどうかを判定しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでいると判定しております。
契約がリースであるか又はリースを含んでいる場合、開始日において使用権資産及びリース負債を連結財政状態計算書に計上しております。リース期間が12ヶ月以内に終了する短期リースに係るリース料は、リース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
使用権資産の測定は原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
取得原価は、リース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整しております。使用権資産は、リース期間にわたり規則的に減価償却を行っております。
リース負債は、支払われていないリース料の現在価値で測定しております。リース料は、リース負債残高に対して毎期一定の率の金利を生じさせるよう、金融費用とリース負債残高の返済部分とに配分しております。金融費用は、連結包括利益計算書上、減価償却費と区分して表示しております。
当社は、償却原価で測定する金融資産、リース債権、契約資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識しております。
期末日時点で金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合、期末日後12ヶ月以内の生じうる債務不履行から生じる予想信用損失に基づき測定しております。
一方、期末日時点で信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品の予想存続期間にわたって生じうるすべての債務不履行から生じる予想信用損失をもとに測定しております。
ただし、重大な金利要素を含んでいない営業債権等については、いずれの場合においても常に全期間の予想信用損失に基づき測定しております。
当社は、信用リスクの変動及び予想信用損失の算定にあたっては、主に当社独自の信用格付けであるSumisho Credit Rating(SCR)を用いております。これには、債務者の過去の貸倒実績、現在の財務状態及び合理的に利用可能な将来予測情報等が含まれております。
信用減損の証拠については、債務者の重大な財政的困難や期日経過を含む契約違反等の事象を用いて判断しております。
また、報告日時点で信用減損の証拠がある金融資産については、担保や保証等を含め債務者の個別の状況を総合的に評価した上で個別に予想信用損失を測定しております。なお、金融資産の全部又は一部が回収できないと合理的に判断される場合は、当該金融資産の帳簿価格を直接減額しております。
棚卸資産、生物資産及び繰延税金資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれん及び耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を毎年同じ時期に見積っております。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いております。資金生成単位については、継続的に使用することにより他の資産または資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしております。
のれんの資金生成単位については、のれんが内部報告目的で管理される単位に基づき決定し、集約前の事業セグメントの範囲内となっております。
全社資産は独立したキャッシュ・インフローを生み出していないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を算定して判断しております。
減損損失については、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には当期利益又は損失で認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分されております。
のれんに関連する減損損失は戻し入れておりません。過去に認識したその他の資産の減損損失については、各期末日において、損失の減少または消滅を示す兆候の有無を判断しております。減損の戻し入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻し入れております。減損損失については、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費または償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として戻し入れております。
持分法適用会社に対する投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは別個に認識されておらず、個別に減損テストを実施しておりませんが、持分法適用会社に対する投資の総額を単一の資産として、持分法適用会社に対する投資が減損しているかもしれないという客観的な証拠が存在する場合に、減損テストの対象としております。
確定給付型年金制度は、確定拠出型年金制度(以下②参照)以外の退職後給付制度であります。確定給付型年金制度に関連する当社の純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割引き、制度資産の公正価値を差し引くことによって算定しております。
割引率は、当社の債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りであります。この計算は、毎年、年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っております。
年金制度が改定された場合、従業員による過去の勤務に関連する給付金の増減部分は、即時に当期利益又は損失で認識しております。
当社は、確定給付負債(資産)の純額の再測定を、その他の包括利益で認識し、即時にその他の資本の構成要素から利益剰余金に振替えております。
一部の子会社では、確定拠出型年金制度を採用しております。確定拠出型年金制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的または推定的債務を負わない退職後給付制度であります。確定拠出型年金制度の拠出は、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識しております。また、一部の子会社では退職一時金制度または退職年金制度に加え複数事業主による年金制度に加入しており、期中の拠出額を年金費用として当期利益又は損失で認識し、未払拠出金を債務として認識しております。
なお上記のほか、親会社及び一部の子会社では、自ら希望した従業員が、当期の勤務に係る賞与の一部を掛金として拠出させることができる選択型確定拠出年金制度を設けております。
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しております。
賞与については、当社が、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的または推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
当社は、取締役及び執行役員に対して、一定の譲渡制限期間を設けた上で、予め定めた業績条件の達成度に応じて交付株式数を変動させる「譲渡制限付業績連動型株式報酬」を採用しております。当該株式報酬の公正価値は付与日時点で見積り、付与日から役務提供期間終了までの期間にわたり人件費として認識し、同額を資本の増加として認識しております。公正価値は、当社株式の公正価値等を基礎として、モンテカルロ・シミュレーションを用いて測定しております。
引当金は、過去の事象の結果として、当社が、現在の法的または推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額が合理的に見積り可能である場合に認識しております。引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割引いております。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しております。
資産除去債務
当社が公表している環境方針及び当社がその適用を受ける法規制や契約等に従い、当社は、主として石炭の採掘等に関する設備の撤去及び賃借事務所等に対する原状回復義務に係る費用等を認識しております。
当社は、通常の商取引において提供される商品の販売、サービス及びその他の販売に係る収益(リース取引及び金融商品取引を除く)を以下の5ステップアプローチに基づき、認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5:履行義務の充足時に収益を認識する。
収益の主要な区分におけるそれぞれの収益認識基準、本人代理人の判定に関する基準は以下のとおりであります。
商品販売による収益には、卸売、小売、製造・加工を通じた商品の販売、不動産の開発販売などが含まれております。当社は、これらの収益を個々の契約内容に応じ、引渡、出荷、または検収時点など、約束した商品を顧客に移転することによって履行義務を充足した時に認識しております。顧客による検収条件は、契約内容や顧客との取り決めにより定められるものであり、事前に取り決めた仕様を満たさない場合には、最終的な検収終了まで収益は繰延べられることとなります。当社は原則として、販売した商品に欠陥等がない限り返品を受け付けないこととしております。
当社が技術提供、資材調達、建設工事を請負う電力発電所の建設事業や、顧客仕様のソフトウェアの開発請負事業などの長期請負工事契約については、一定の条件を満たす場合、収益と原価を一定期間にわたり履行義務が充足されることによって認識しております。履行義務が充足される進捗度は、工事契約等に必要な見積総原価に対する、現在までにかかった工事原価の割合に基づいて算定しております。当初の収益の見積り、完成までの進捗状況に変更が生じる可能性がある場合、見積りの見直しを行っております。
サービス及びその他の販売に係る収益には、ソフトウェアに関連するサービス、賃貸用不動産、船舶などの貸付金、ファイナンス・リース及びオペレーティング・リースなどが含まれております。
ソフトウェアに関連するサービスのうち、保守管理に係る収益は、保守管理契約期間にわたって認識する場合と、実際のサービスの提供に応じて認識する場合とがあります。
船舶などの貸付金に係る収益は、実効金利法に基づき認識しております。
ファイナンス・リースに係る収益は、リースの計算利子率に基づき認識しております。
オペレーティング・リースに係る収益は、連結包括利益計算書にリース期間にわたり、定額法で認識しております。
当社は、通常の商取引において、仲介業者または代理人としての機能を果たす場合があります。このような取引における収益を報告するにあたり、収益を顧客から受け取る対価の総額(グロス)で認識するか、または顧客から受け取る対価の総額から第三者に対する手数料その他の支払額を差し引いた純額(ネット)で認識するかを判断しております。ただし、グロスまたはネット、いずれの方法で認識した場合でも、売上総利益及び当期利益又は損失に影響はありません。
収益の本人代理人の判定に際しては、その取引における履行義務の性質が、特定された財又はサービスを顧客に移転される前に支配し、自ら提供する履行義務(すなわち、「本人」)に該当するか、それらの財又はサービスが当該他の当事者によって提供されるように手配する履行義務(すなわち、「代理人」)に該当するかを基準としております。当社が「本人」に該当する取引である場合には、履行義務を充足する時点で、又は充足するにつれて収益をグロスで認識しております。当社が「代理人」に該当する取引である場合には、履行義務を充足する時点で、又は充足するにつれて、特定された財又はサービスが当該他の当事者によって提供されるように手配することと交換に権利を得ると見込んでいる報酬又は手数料の金額にて収益をネットで認識しております。
ある取引において当社が本人に該当し、その結果、当該取引に係る収益をグロスで認識するための判断要素として、次の指標を考慮しております。
・当社が、特定された財又はサービスを提供する約束の履行に対する主たる責任を有している。
・特定された財又はサービスが顧客に移転される前、又は顧客への支配の移転の後に、当社が在庫リスクを有している。
・特定された財又はサービスの価格の設定において当社に裁量権がある。
金融収益は、受取利息、受取配当金、有価証券売却益、FVTPLの金融資産の公正価値の変動及び当期利益又は損失で認識されたヘッジ手段に係る利益等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。受取配当金は、当社の受領権が確定した日に認識しております。金融資産(除くFVTPLの金融資産)からの利息収益は、実効金利法により計上しております。
金融費用は、支払利息、有価証券売却損、FVTPLの金融資産の公正価値の変動、金融資産の減損損失及び当期利益又は損失で認識されたヘッジ手段に係る損失等から構成されております。適格資産の取得、建設または製造に直接起因しない借入費用は、実効金利法により当期利益又は損失で認識しております。
当社は、意図した使用または販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産、つまり適格資産の取得、建設または製造に直接起因する借入費用は、その資産が実質的に意図した使用または販売を可能にする時まで、それらの資産の取得原価に加算しております。
上記以外のすべての借入費用は、それが発生した会計期間に当期利益又は損失で認識しております。
法人所得税費用は、当期税金と繰延税金から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本の部またはその他の包括利益で認識される項目を除き、当期利益又は損失で認識しております。
当期税金は、期末日時点において施行または実質的に施行される税率を乗じて算定する当期の課税所得または損失に係る納税見込額あるいは還付見込額の見積りに、前年までの納税見込額あるいは還付見込額の調整額を加えたものであります。
繰延税金は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異に対して認識しております。繰延税金資産及び負債は、期末日に施行または実質的に施行される法律に基づいて一時差異が解消される時に適用されると予測される税率を用いて測定しております。
企業結合以外の取引で、会計上または税務上のいずれの損益にも影響を及ぼさず、かつ取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引における資産または負債の当初認識に係る差異については、繰延税金資産及び負債を認識しておりません。さらに、のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異についても、繰延税金負債を認識しておりません。
IAS第12号「法人所得税」における一時的な例外規定の適用により、経済協力開発機構が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び負債は認識しておりません。
繰延税金資産は、未使用の税務上の欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎期末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分について減額しております。
子会社、関連会社及び共同支配の取決めに対する投資に係る将来加算一時差異について繰延税金負債を認識しております。ただし、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予見可能な期間内での一時差異の解消が期待できない可能性が高い場合には認識しておりません。子会社、関連会社及び共同支配の取決めに係る将来減算一時差異から発生する繰延税金資産は、一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、予測可能な将来に解消されることが予期される可能性が高い範囲でのみ認識しております。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合または異なる納税主体に課されているものの、これらの納税主体が当期税金資産及び負債を純額ベースで決済することを意図している場合、もしくはこれら税金資産及び負債が同時に実現する予定である場合に相殺しております。
当社は、普通株式に係る基本的及び希薄化後1株当たり当期利益(損失)(以下、EPS)を開示しております。基本的EPSは、当期利益(損失)(親会社の所有者に帰属)から譲渡制限付株式に帰属する当期利益(損失)を差し引いた調整後の当期利益(損失)を、その期間の自己株式と譲渡制限付株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。希薄化後EPSは、すべての希薄化効果のある潜在的普通株式による影響について、当期利益(損失)(親会社の所有者に帰属)及び自己株式を調整した発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しております。当社の潜在的普通株式はストック・オプション制度、譲渡制限付株式報酬制度、業績連動型株式報酬制度及び譲渡制限付業績連動型株式報酬制度に係るものであります。
事業セグメントとは、他の事業セグメントとの取引を含む、収益を稼得し費用を発生させる事業活動の構成単位であります。すべての事業セグメントの事業の成果は、個別にその財務情報が入手可能なものであり、かつ各セグメントへの経営資源の配分及び業績の評価を行うために、マネジメントが定期的にレビューしております。
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設または改訂は次のとおりであり、2024年3月31日現在において当社はこれらを適用しておりません。適用による当社への影響は検討中であり、現時点で見積ることはできません。
4 セグメント情報
当社は、6つの業種に基づくセグメント(事業部門)により事業活動を行っております。業種に基づくセグメントは次のとおりであります。
以下の事業部門の記載にある「トレード」とは、事業部門が、契約当事者として行う取引及び代理人として関与する取引を表しております。収益の認識基準については、注記3(13)を参照願います。
金属事業部門―金属事業部門は、鋼材・鋼管などの鉄鋼製品を取り扱い、幅広い分野で顧客のニーズに対応したバリューチェーンを展開しております。鋼材分野では、調達・在庫管理・加工などの機能を備えた国内外のスチールサービスセンター網を通じ、自動車・家電メーカー向けを中心にジャストインタイムで薄板製品を納入するサービスを展開しております。鋼管分野では、石油・ガス会社向けに、当社独自のSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)に加えて、オイルフィールドサービス分野への展開を図り、トータルサービスプロバイダーとしての機能を拡充しております。金属事業部門は、鋼材本部及び鋼管本部から構成されております。
輸送機・建機事業部門―輸送機・建機事業部門は、船舶、航空機、自動車、建設機械及び関連機器・部品の国内・海外取引を行っております。当該事業部門のビジネスは、販売・サービス、リース・ファイナンス、製造などの幅広い分野に及んでおります。輸送機・建機事業部門は、リース・船舶・航空宇宙事業本部、モビリティ事業第一本部、モビリティ事業第二本部及び建設機械事業本部から構成されております。
インフラ事業部門―インフラ事業部門は、再生可能エネルギーを含む国内外の発電事業及び電力機器・プラント関連の建設工事請負・エンジニアリングなどの大規模なインフラビジネスに取り組んでおります。また、国内電力小売り、工業設備等の産業インフラビジネス、水事業、交通輸送インフラ関連ビジネス、空港、スマートシティ開発、環境関連ビジネス、蓄電池関連ビジネスに取り組んでおります。更に、輸送・通関・配送などの物流サービス、各種保険手配、海外工業団地の開発・運営などを行っております。インフラ事業部門は、社会インフラ事業本部、電力インフラ事業本部及び物流インフラ事業本部から構成されております。
メディア・デジタル事業部門―メディア・デジタル事業部門は、ケーブルテレビ、5G関連、多チャンネル番組供給、映画、デジタルメディア関連、映像コンテンツ関連、テレビ通販、ECなどのメディア事業を行っております。また、ICTプラットフォーム、デジタルソリューション、グローバルCVC(スタートアップ投資)などのデジタルビジネスも行っております。更に、携帯電話販売、情報通信インフラ・モバイル付加価値サービスなどのスマートプラットフォーム事業も展開しております。メディア・デジタル事業部門は、メディア事業本部、デジタル事業本部及びスマートプラットフォーム事業本部から構成されております。
生活・不動産事業部門―生活・不動産事業部門は、食品スーパーなどのリテイル事業、ドラッグストアなどのヘルスケア関連事業、青果や食肉などの食料・食品の取引、及びセメント・建材など生活関連資材の取引を行っております。また、ビル・商業施設・住宅・物流施設・ファンドの運営などの不動産事業に取り組んでおります。生活・不動産事業部門は、ライフスタイル事業本部、ヘルスケア事業本部及び建設不動産本部から構成されております。
資源・化学品事業部門―資源・化学品事業部門は、石炭、鉄鉱石、マンガン、ウラン、非鉄金属原料、貴金属、原油、天然ガス、液化天然ガス(LNG)などの鉱物・エネルギー資源の開発とトレード、商品デリバティブの売買等を行っております。また、非鉄金属製品、石油製品、液化石油ガス(LPG)、二次電池材料、炭素関連素材・製品、合成樹脂、有機・無機化学品、シリコンウェハー、LED素子、医薬、農薬・家庭用防疫薬、肥料、動物薬などのトレード及びこれらの事業投資を含む関連ビジネスを行っております。更に、アジアを中心としたEMS(Electronics Manufacturing Services)事業を展開しております。資源・化学品事業部門は、資源第一本部、資源第二本部、エネルギー本部、基礎化学品・エレクトロニクス本部及びライフサイエンス本部から構成されております。
当社のレポーティング・セグメントは、商品及びサービスに基づく事業部門セグメントから構成されております。それぞれの事業セグメントは、戦略目標の設定、経営管理、及びその結果に対する説明責任に関して、各々が自主性を発揮して、事業活動を行っております。また、マネジメントは、各セグメントの財務情報を定期的に評価し、業績評価や資源配分を行っております。
当社のセグメント情報は次のとおりであります。
前期(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
当期(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
(注) 1 当社は、2023年4月1日付で、メディア・デジタル事業部門傘下にあったDX推進支援機能を全社組織傘下の組織に移管しました。これに伴い、前期のセグメント情報は、組替えて表示しております。
2 各セグメントに配賦できない全社資産は、主に全社目的のために保有される現金及び現金同等物、及び市場性のある有価証券により構成されております。
3 消去又は全社の当期利益(親会社の所有者に帰属)には、特定の事業セグメントに配賦されない損益、及びセグメント間の内部取引消去が含まれております。
4 セグメント間の取引は、通常の市場価格にて行われております。
5 顧客との契約から生じる収益は、経済的要因別に区分の結果、各セグメントに分解されております。
6 金属事業部門において、前期に北米鋼管事業会社B&L PIPECO SERVICES,INC.の減損損失戻入益を計上しております。前期における当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する影響額は、11,379百万円であります。
7 輸送機・建機事業部門において、当期に北欧駐車場事業に関する減損損失を計上しております。当期における当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する影響額は、△12,249百万円であります。
8 メディア・デジタル事業部門において、前期及び当期にミャンマー通信事業に関する損失を計上しております。前期及び当期における当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する影響額は、それぞれ△17,464百万円及び△35,215百万円であります。
9 資源・化学品事業部門において、当期に南アフリカ鉄鋼石事業に関する減損損失戻入益、マダガスカルニッケル事業に関する減損損失を計上しております。当期における当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する影響額は、それぞれ13,782百万円及び△88,720百万円であります。
当社の地域別収益の内訳は次のとおりであります。
当社の所在地域別に分析した非流動資産(金融資産及び繰延税金資産を除く)の帳簿価額の内訳は次のとおりであります。
5 子会社の取得
前期における主な企業結合は、住友精密工業の完全子会社化やブラジルにおける農業資材直販事業の取得等であります。これらの企業結合に関わる買収基準日における支払対価、既保有分、取得資産・負債の公正価値及び非支配持分の総額は、次のとおりであります。支払対価は現金であり、一部未払を含んでおります。
なお、一部の企業結合については、連結財務諸表の発行日において、取得価額の取得資産・負債への配分が完了していないため、暫定的な金額で報告しております。
非支配持分は、識別可能な被取得企業の純資産に対する持分割合相当額で測定しております。
当期における主な企業結合は、Sunstate Equipment Co., LLCにおける建設機材レンタル事業の買収や北米における硫酸事業の取得等であります。これらの企業結合に関わる買収基準日における支払対価、既保有分、取得資産・負債の公正価値及び非支配持分の総額は、次のとおりであります。支払対価は現金であります。
なお、一部の企業結合については、連結財務諸表の発行日において、取得価額の取得資産・負債への配分が完了していないため、暫定的な金額で報告しております。また、前期に暫定的な会計処理を行っていたものは、当期において取得価額の配分が完了しております。取得価額の配分が当期に与える影響は軽微であります。
非支配持分は、識別可能な被取得企業の純資産に対する持分割合相当額で測定しております。
6 有価証券及びその他の投資
連結財政状態計算書の「有価証券」及び「その他の投資」計上額の内訳は次のとおりであります。
前期末及び当期末において、償却原価で測定される「有価証券」及び「その他の投資」の公正価値は、7,176百万円及び13,928百万円であります。
当社は、投資先企業との取引関係の維持・強化による中長期的な収益の拡大などを目的として保有している投資について、FVTOCIの金融資産に分類しています。
期末に「その他の投資」に計上されているFVTOCIの金融資産の公正価値及び受取配当金は次のとおりであります。
上記のうち、主な銘柄の公正価値は次のとおりであります。
前期(2023年3月31日)
当期(2024年3月31日)
期中に処分したFVTOCIの金融資産は次のとおりであります。
これらは主に、取引関係の見直し等により売却したものです。なお、前期及び当期において、その他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えた累積利得(税引後)は、それぞれ18,805百万円及び16,572百万円であります。
取得原価に比し公正価値の著しい下落が一時的ではないFVTOCIの金融資産について、前期及び当期にその他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えた累積損益(税引後)は、それぞれ△2,044百万円及び△4,238百万円であります。
7 営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は次のとおりであります。
FVTPLの金融資産は、前期末及び当期末において、それぞれ75,233百万円及び98,978百万円売掛金に含まれております。
当社は、主に輸出取引に伴い発生した受取手形を一部割引いております。これらの手形の振出人が支払不能となった場合には、当社に銀行等への支払義務が生じることとなります。
このため、割引いた手形については、前期末及び当期末でそれぞれ残高3,419百万円及び3,218百万円を連結財政状態計算書の「営業債権及びその他の債権」に含めて表示しております。
また、割引きにより入金した金額は、「社債及び借入金」として表示しております。
8 リース
当社は、オペレーティング・リースとして、建設機械、オフィスビル、及び船舶等の賃貸を行っております。前期末及び当期末におけるリース資産の取得原価は、それぞれ648,408百万円及び816,465百万円、また、減価償却及び減損損失累計額の合計は、それぞれ196,725百万円及び243,522百万円であり、これらは連結財政状態計算書の「有形固定資産」、「無形資産」及び「投資不動産」に含まれております。
当社が有するオペレーティング・リースに基づく将来の受取リース料は次のとおりであります。
当社は、賃貸契約上、IFRS第16号「リース」(以下、IFRS第16号)に基づくファイナンス・リースに分類される自動車、船舶、発電設備及びサービス装置等の賃貸を行っております。
当社が有するファイナンス・リースに基づく将来の受取額総額は次のとおりであります。
当社が有するファイナンス・リースに係る主な損益は次のとおりであります。
当社は、オフィスビル及び船舶、機械設備、店舗等を賃借しております。
使用権資産の帳簿価額は次のとおりであります。
使用権資産の減価償却費は次のとおりであります。
前期及び当期における使用権資産の取得は、それぞれ83,377百万円及び49,821百万円、また、企業結合による取得は、それぞれ3,369百万円及び2,902百万円であります。
当社のリース負債に係る残存契約満期金額は次のとおりであります。
9 担保差入資産
借入金及び取引保証等に対する担保差入資産は次のとおりであります。
(注) 主にデリバティブ取引に係る差入保証金及び賃貸物件に係る敷金であります。
当社は、輸入金融を利用する際、通常は銀行にトラスト・レシートを差し入れ、輸入商品または当該商品の売却代金に対する担保権を付与しております。輸入取引量が膨大であることから、手形を期日に決済するにあたり、個々に当該手形とその売却代金との関連付けは行っておらず、これらトラスト・レシートの対象資産の金額を算出することは実務上困難であり、上記金額には含まれておりません。
10 棚卸資産
棚卸資産の内訳は次のとおりであります。
上記の内、販売費用控除後の公正価値で計上した棚卸資産の帳簿価額は、前期末及び当期末において、それぞれ109,930百万円及び94,575百万円であります。
前期及び当期において費用認識された棚卸資産の評価損計上額は、それぞれ5,238百万円及び6,080百万円であります。
11 持分法適用会社に対する投資
当社の連結財務諸表数値に基づいた、関連会社及び共同支配企業に対する当社の持分の要約財務情報は次のとおりであります。
前期にミャンマー通信事業において、同国のカントリーリスクの高まりを受けて、投資の回収可能価額を見直した結果、当社グループが保有する投資につき、メディア・デジタル事業部門において17,464百万円の減損損失を連結包括利益計算書の「持分法による投資損益」に計上しております。
当期に以下のとおり利益及び損失を計上しております。なお、当該利益及び損失は連結包括利益計算書の「持分法による投資損益」に含まれております。
南アフリカ鉄鉱石事業において、資源価格の市況回復に伴い長期事業計画を見直した結果、資源・化学品事業部門において13,782百万円の減損損失戻入益を計上しております。
マダガスカルニッケル事業において、プラント設備の不具合等、足元の操業状況を踏まえて生産量の見通しを下方修正し、今般事業計画の見直しを実施しました。当事業において保有する固定資産につき見直し後の事業計画に基づいて回収可能価額まで減損損失を認識した結果、当社グループが保有する投融資につき、資源・化学品事業部門において75,462百万円の減損損失を計上しております。
ミャンマー通信事業において、ドルの兌換規制の状況が改善されていないこと等を受けて、リース債権の評価を見直した結果、当社グループが保有する投資につき、前期に計上した減損損失の戻入も加味し、メディア・デジタル事業部門において35,215百万円の減損損失を計上しております。
上記要約財務情報を構成する共同支配企業のうち、当社の経営上、重要性のある共同支配企業は、三井住友ファイナンス&リース(所有比率50%)、Ambatovy Minerals S.A.(所有比率54.17%)及びDynatec Madagascar S.A.(所有比率54.17%)であります。Ambatovy Minerals S.A.及びDynatec Madagascar S.A.については、50%超の議決権を有しておりますが、株主間協定に基づき共同支配企業と判断しております。
三井住友ファイナンス&リース
三井住友ファイナンス&リースの要約財務諸表は次のとおりであります。
なお、下記要約財務諸表には三井住友ファイナンス&リースに対するのれん等の金額が含まれております。
三井住友ファイナンス&リースは、リースを始めとする様々な金融サービスを提供しております。当社が三井住友ファイナンス&リースより受け取った配当金は、前期及び当期において、それぞれ6,246百万円及び12,666百万円であります。
マダガスカルニッケル事業
Ambatovy Minerals S.A.及びDynatec Madagascar S.A.両社財務諸表を合算した要約財務諸表は次のとおりであります。
Ambatovy Minerals S.A.及びDynatec Madagascar S.A.(以下、プロジェクト会社)は、マダガスカル共和国において、ニッケル採掘事業及びニッケル精錬事業を運営しております。
両社財務諸表を合算した要約財務諸表における非流動資産には、これら事業に係る鉱業権及び精錬設備を含んだ固定資産が、前期及び当期において、それぞれ309,366百万円及び179,877百万円含まれております。
プロジェクト会社の固定資産に減損の兆候が認められ、かつ、減損テストの結果、回収可能価額が固定資産の帳簿価額を下回った場合には、当社において持分相当額を持分法投資損失として認識します。認識した持分法投資損失がプロジェクト会社の株式に対する持分法投資額を超える場合、実質的に純投資と考えられる貸付金等の長期持分に対して配分します。プロジェクト会社における固定資産の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方が採用され、その見積りには、プロジェクト会社の生産数量、将来の資源価格(主にニッケル及びコバルト等の中・長期予想価格)、可採埋蔵量、割引率といった重要な仮定が使用されており、これらの仮定の変動により当社の業績に重要な影響を与えるリスクがあります。
当期において、プラント設備の不具合等、足元の操業状況を踏まえて生産量の見通しを下方修正し、今般事業計画の見直しを実施しました。プロジェクト会社が保有する固定資産につき見直し後の事業計画に基づいて回収可能価額まで減損損失を認識した結果、プロジェクト会社の株式に対する持分法投資額の全額及び長期持分として保有する貸付金の全額の合計額につき、減損損失を計上しております。なお、回収可能価額には処分コスト控除後の公正価値を採用しております。これに伴い、連結包括利益計算書において、75,462百万円の損失を「持分法による投資損益」に計上しております。
当社の持分法適用会社に対する債権残高、債務残高は次のとおりであります。
当社は、持分法適用会社と第三者間の販売及び仕入取引に関して、多様な仲介取引を行っております。それら取引による手数料収入に重要性はありません。
持分法適用会社との取引概要は次のとおりであります。
持分法適用会社との取引は独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っております。
12 有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減は次のとおりであります。
〔取得原価〕
〔減価償却累計額及び減損損失累計額〕
有形固定資産の減価償却費は、連結包括利益計算書の「原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めております。また、有形固定資産の減損損失は、連結包括利益計算書の「固定資産評価損益」に含めております。前期及び当期において計上した有形固定資産の減損損失の金額は、それぞれ19,170百万円及び19,494百万円であります。前期は主に輸送機・建機事業部門において、当期は主に生活・不動産事業部門において、それぞれ15,517百万円及び18,849百万円の減損損失を計上しております。
〔帳簿価額〕
13 無形資産
のれんの取得原価及び減損損失累計額の増減は次のとおりであります。
〔取得原価〕
〔減損損失累計額〕
前期及び当期において、それぞれ354百万円及び12,249百万円ののれんの減損損失を認識しており、連結包括利益計算書の「固定資産評価損益」に含まれております。このうち、当期の主なものは、北欧駐車場事業における減損損失12,249百万円であり、輸送機・建機事業部門にて認識しております。同社の減損損失に関する詳細は(3)のれん及びその他無形資産の減損テストに記載しております。
〔帳簿価額〕
企業結合で生じたのれんは、取得日に、企業結合から利益がもたらされる資金生成単位に配分しております。のれんの帳簿価額のセグメント別内訳は、次のとおりであります。
(注) 上記「消去又は全社」には、エネルギーイノベーション・イニシアチブ(EII)の帳簿価額が含まれております。
前期末において主なのれんは、北欧駐車場事業で29,974百万円、欧米州青果事業で12,061百万円であります。当期末において主なのれんは、米国建機レンタル事業で33,574百万円、北欧駐車場事業で20,646百万円、欧米州青果事業で13,392百万円であります。
その他無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減は次のとおりであります。
〔取得原価〕
〔償却累計額及び減損損失累計額〕
〔帳簿価額〕
販売権・商標権・顧客との関係のうち、主なものは米国建機レンタル事業、欧米州青果事業及び北欧駐車場事業であります。米国建機レンタル事業では当期末において25,544百万円であります。欧米州青果事業では前期末及び当期末において、それぞれ23,950百万円及び24,904百万円であります。北欧駐車場事業では前期末及び当期末において、それぞれ16,031百万円及び15,652百万円であります。このうち耐用年数を確定できる資産の平均残存償却期間は、米国建機レンタル事業では21年、欧米州青果事業では16年、北欧駐車場事業で8年であります。
前期及び当期において、それぞれ1,028百万円及び550百万円のその他無形資産の減損損失を認識しております。なお、前期において、12,179百万円の減損損失戻入益を認識しており、連結包括利益計算書の「固定資産評価損益」に含まれております。このうち、北米鋼管事業会社B&L PIPECO SERVICES,INC.において、市況回復に伴い長期事業計画を見直した結果、11,379百万円の減損損失戻入益を金属事業部門にて認識しております。
上記の無形資産のうち、耐用年数を確定できる資産は、その耐用年数にわたって償却しております。償却対象の無形資産償却費は、連結包括利益計算書の「原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めております。
上記の無形資産のうち、耐用年数を確定できない資産は、前期末及び当期末において、それぞれ20,323百万円及び24,667百万円であります。このうち、主なものは商標権であります。これらの商標権は企業結合時に取得したものであり、事業が継続する限り基本的に存続するため、耐用年数を確定できないと判断しております。耐用年数を確定できない資産のうち、重要なものはありません。
当社は、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について、少なくとも年1回減損テストを行っており、さらに、減損の兆候がある場合には、その都度、減損テストを行っております。重要なのれん及びその他無形資産の減損テストの前提は次のとおりであります。
欧米州青果事業
のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストは、バナナ&パイン事業について実施しており、回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は、欧米州青果事業の事業計画に対して、直近の事業環境を反映させた4年間の将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて、独立した鑑定人の支援を受け、評価しております。使用価値に大きく影響を及ぼす仮定は、バナナ&パイン事業において販売数量・マージン・割引率等であります。成長率及び割引率は次のとおりであります。
成長率は、資金生成単位グループが属する市場もしくは国の長期平均成長率を勘案して決定しております。
割引率は、資金生成単位グループの加重平均資本コストを基礎に算定しております。
なお、減損テストに用いた主要な仮定が合理的に予測可能な範囲で変化したとしても、回収可能価額が帳簿価額を下回る可能性は低いと判断しております。
北欧駐車場事業
のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストは、スウェーデン・ノルウェー・フィンランドの北欧3ヶ国の駐車場事業全体を一つの資金生成単位グループとして実施しており、回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は、北欧駐車場事業の事業計画に対して、直近の事業環境を反映させた将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて、独立した鑑定人の支援を受け、評価しております。事業計画の対象期間は駐車場拠点の平均賃借期間を基礎に算定し6~8年間としております。使用価値に大きく影響を及ぼす仮定は、駐車場事業の収益、割引率等であります。成長率及び割引率は次のとおりであります。
成長率は、各国の長期平均成長率を勘案して決定しております。
割引率は、各国の加重平均資本コストを基礎に算定しております。
北欧駐車場事業において、新型コロナウイルスの流行を経た行動様式の変容や、近年の国際的な地政学リスクの高まりによるインフレ率の上昇を背景とするコスト増加等、事業環境の変化による利益率の低下を踏まえ、事業計画を見直した結果、同事業に係るのれんにつき、12,249百万円の減損損失を輸送機・建機事業部門で認識しております。
その他
その他ののれんの減損テストにおいても、回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は、マネジメントが承認した事業計画と成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を現在価値に割引いて算定しております。事業計画は原則として5年を限度としており、業界の将来の趨勢に関するマネジメントの評価と過去のデータを反映したものであり、外部情報及び内部情報に基づき作成しております。成長率は、各資金生成単位が属する市場もしくは国の長期平均成長率を勘案して決定しております。当社は市場もしくは国の長期平均成長率を超過する成長率は用いておりません(国内:最大で1%程度、海外:最大で4%程度)。割引率は、各資金生成単位の加重平均資本コストもしくは資本コスト等を基礎に算定しております(国内:6%~8%程度、海外:5%~22%程度)。
14 投資不動産
投資不動産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額は次のとおりであります。
〔取得原価〕
〔減価償却累計額及び減損損失累計額〕
前期及び当期において、それぞれ4,854百万円及び6,012百万円の減損損失を認識しており、連結包括利益計算書の「固定資産評価損益」に含まれております。
〔帳簿価額及び公正価値〕
各基準日現在の公正価値は、投資不動産の所在する地域及び評価される不動産の種類に関する最近の鑑定経験を有し、かつ不動産鑑定士等の公認された適切な専門家としての資格を有する独立的鑑定人による評価に基づいております。その評価は、当該不動産の所在する国の評価基準に従い類似資産の取引価格を反映した市場証拠に基づいております。
なお、すべての投資不動産はIFRS第13号「公正価値測定」におけるレベル3-観察不能な価格を含むインプットにて測定しております。
投資不動産に係る賃貸料収入は、前期及び当期において、それぞれ38,090百万円及び40,524百万円であり、連結包括利益計算書の「収益」に含まれております。賃貸料収入に付随して発生した直接的な費用(修理、メンテナンスを含む)は、前期及び当期において、それぞれ28,131百万円及び30,497百万円であり、主に「原価」に含まれております。
15 生物資産
生物資産の増減は次のとおりであります。
当社はニュージーランドにおいて、山林資産(主に松)を保有しております。売却費用控除後の公正価値にて当該資産を測定しております。
なお、すべての生物資産はIFRS第13号「公正価値測定」におけるレベル3-観察不能な価格を含むインプットにて測定しております。
16 繰延税金
繰延税金資産及び繰延税金負債の主な内訳は次のとおりであります。
連結財政状態計算書上の繰延税金資産及び繰延税金負債は次のとおりであります。
繰延税金資産及び繰延税金負債の増減内容は次のとおりであります。
当社は、繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異または繰越欠損金の一部または全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される繰延税金負債の取崩し、予測される将来課税所得及びタックスプランニングを考慮しております。当社は、認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準及び繰延税金資産が認識できる期間における将来課税所得の予測に基づき、税務便益が実現する可能性は高いと判断しております。ただし、認識可能と考えられる繰延税金資産の金額は、控除可能である期間における将来課税所得見込が減少すれば、同様に減少することとなります。繰延税金資産は回収可能性の評価により、前期及び当期において、それぞれ14,296百万円減少及び12,358百万円減少しております。
当社は、一部の税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異について、繰延税金資産を認識しておりません。これらは、主に親会社の子会社への投資に係るものであります。当社はこうした繰延税金資産の回収可能性を評価し、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分について減額しております。将来の課税所得の発生可能性が高くないため、繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異は、それぞれ446,517百万円(前期末502,522百万円)及び148,796百万円(前期末218,298百万円)であります。将来減算一時差異は現行の税法上は失効することはありません。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の失効予定は次のとおりであります。
前期末及び当期末において、当社は子会社の投資に係る将来加算一時差異については、原則、繰延税金負債を認識しております。これは、当社が一時差異の取崩しの時期をコントロールする立場にあり、このような差異を予測可能な期間内に取崩すことが前提であるためであります。一方で、予測可能な範囲内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合については、繰延税金負債を認識しておりません。前期末及び当期末において、繰延税金負債を認識していない子会社の投資に係る将来加算一時差異は、それぞれ1,073,055百万円及び1,245,190百万円であります。
2021年10月、デジタル経済に係る国際課税に対応するため、経済協力開発機構及びG20主導の約140ヶ国における包摂的枠組みでグローバル・ミニマム課税(第2の柱)の導入が合意され、今後各国・地域の国内法が順次改正される見通しでありますが、当社グループへの影響は限定的となる見込であります。
ただし、この見込は連結財務諸表の作成の一環として決定された過年度の利益と税金費用に基づく見積りであり、当社グループの業績に与える実際の影響は異なる可能性があります。
当社グループは、第2の柱の税法が将来の財務業績に与える影響の評価を継続します。
当社は、IAS第12号「法人所得税」における一時的な例外規定の適用により、経済協力開発機構が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び負債は認識しておりません。
その他の流動資産には、前期末及び当期末において未収法人所得税が、それぞれ25,174百万円及び27,324百万円含まれております。
17 社債及び借入金
社債及び借入金(非流動負債)の内訳及び借入利率は次のとおりであります。
社債及び借入金(流動負債)の内訳は次のとおりであります。
社債及び借入金(流動負債)の連結財政状態計算書の残高と合計との差額は、一年以内に期限の到来する社債及び借入金となっております。
前期及び当期の短期借入金の加重平均利率は、それぞれ2.96%及び4.61%となっております。
前期及び当期のコマーシャルペーパーの加重平均利率は、それぞれ0.82%及び2.74%となっております。
当社は、海外の1つの銀行団、米銀及び欧銀との間で合計1,210百万米ドル、国内の2つの銀行団との間で合計285,000百万円の信用枠を締結しております。当期末において、これらの信用枠は未使用となっております。
主な長短銀行借入は、以下のような契約に基づいております。
銀行は、債権保全を必要とする相当の事由が生じた場合、借手に対し、担保差入または追加差入、乃至は保証人をたてることを要求することができ、また、それらの担保を、その銀行に対する借手のすべての債務への担保として扱うことが認められております。一部の銀行借入に係る契約では、特定の財務比率及び純資産の一定水準の維持が求められております。債務不履行の際に銀行による一定の占有権を認めている契約もあります。また、主に政府系金融機関との契約では、当社が株式及び社債の発行等により資金調達した際に、当該金融機関が借入金の期限前返済が可能と判断した場合には、当該借入金の期限前返済を請求することが認められております。また、一部契約では、銀行が請求した際には、借手は、剰余金の配当案等について、銀行からの事前承認を受けるよう定められております。当社はこのような請求を受けたことはなく、今後も受けることはないと判断しております。
なお、当社は、前期及び当期において、すべての社債及び借入金に係る契約を遵守しております。
18 財務活動から生じた負債
財務活動から生じた負債の増減は次のとおりであります。
前期(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
連結キャッシュ・フロー計算書における短期借入債務の収支には、上記科目のほかに関連会社からの預託金が含まれております。
当期(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
連結キャッシュ・フロー計算書における短期借入債務の収支には、上記科目のほかに関連会社からの預託金が含まれております。
19 営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は次のとおりであります。
買掛金には、FVTPLの金融負債が、前期末及び当期末において、それぞれ220,209百万円及び211,341百万円含まれております。
営業債務及びその他の債務の連結財政状態計算書における内訳は次のとおりであります。
20 引当金
引当金の内訳は次のとおりであります。
資産除去債務は、主に石炭の採掘等に関する設備の撤去及び賃借事務所等に対する原状回復義務に係る費用等に関するものであります。
従業員給付に係る引当金は、長期有給休暇に係る引当金等により構成されております。
「その他引当金」には、製品保証引当金等が含まれております。
21 従業員給付
親会社は、取締役及び執行役員を除く、ほぼすべての従業員に対して、確定給付型の年金制度及び退職一時金制度を設けております。確定給付型年金制度の給付額は、勤務年数、退職時の給与支給額、及びその他の要素に基づき設定されております。また、法令及び規約を遵守し、加入者等のために忠実に積立金の管理及び運用に関する業務を遂行する責任を負っており、掛金拠出の義務が課されております。なお、確定給付企業年金法に基づき、掛金の妥当性等を適時に把握する目的から、財政再計算を3年毎に実施しております。
年金形態は規約型であります。年金制度に関する重要事項の諮問機関として、各関係役員及び従業員等により構成される年金運営委員会を設置しております。当委員会において、資産運用実績や制度の状況、会計処理などの各種報告を行うこと、また、制度改訂や投資方針変更などの検討を目的として、適時にミーティングを実施しております。
子会社の多くは、内部積立による退職一時金制度と、外部積立による退職年金制度のいずれか、または両制度を併せて採用しております。役員を除く従業員は、通常の定年退職や早期退職にあたり、ほとんどの場合において、退職時の給与や勤続年数等に基づく退職一時金を受領する権利を有しております。また、一部の子会社では、確定拠出型の年金制度を採用しております。
なお、上記のほか、親会社及び一部の子会社では、自ら希望した従業員が、当期の勤務に係る賞与の一部を掛金として拠出させることができる選択型確定拠出年金制度を設けております。
給付債務の現在価値及び制度資産の公正価値の変動は次のとおりであります。
当社の給付債務の測定基準日は主に3月31日であります。
当社の年金積立は、税法上の損金算入限度額、制度資産の積立状態、数理計算等の様々な要因を考慮の上行われます。制度資産への拠出は、既に提供された役務に対する給付に加え、将来提供される部分に対する給付を賄うことも意図しております。これに加え、親会社では、期末時点の給付債務の積立不足額を積み立てるため、現金を退職給付信託に拠出する場合があります。
当社の制度資産運用は、年金受給者(将来の年金受給者を含む)に対する給付を確保するとともに、許容されるリスクの範囲内で制度資産価値の増大を図ることを目的としております。制度資産の運用にあたっては、投資対象資産のリスクやリターンを考慮した上で、将来にわたり最適な組み合わせである政策的資産構成(以下、政策アセットミックス)を策定し、運用受託機関の選定、資産配分状況のモニタリングなどにより資産運用状況を管理しております。政策アセットミックスは、設定した当初前提からの市場環境の変化や積立状況の変化に対応するため、定期的に見直しを行っております。当社の目標とする資産別配分比率は株式23%、債券48%及びその他29%であります。
運用受託機関とは定期的にミーティングを実施し、年金資産運用に関する重要事項についての協議を行うとともに、機関における運用指針等に反する行為や経営上の重大な事態の有無などについても報告を求めております。
制度資産の項目毎の公正価値は次のとおりであります。
数理計算のために使用した主要な仮定は次のとおりであります。
数理計算のための主要な仮定が合理的な範囲で変動した場合、期末の給付債務に影響を及ぼす可能性があります。例えば、前期及び当期において、割引率が0.5%上昇した場合、給付債務はそれぞれ20,225百万円及び18,327百万円減少します。また、割引率が0.5%低下した場合、給付債務はそれぞれ24,194百万円及び22,249百万円増加します。なお、この分析は、主要な仮定における感応度の概要を提供するものであり、予測されるキャッシュ・フロー情報の全ての影響は考慮しておりません。
当社の翌連結会計年度における予定拠出額は10,404百万円であります。
当期における給付債務の加重平均デュレーションは18年であります。
前期及び当期における確定拠出年金制度に関する費用認識額は、それぞれ△6,822百万円及び△7,956百万円であります。
一部の国内子会社では、退職一時金制度または退職年金制度に加えて複数事業主による年金制度に加入しており、期中の拠出額を年金費用として、未払拠出金を債務として認識しております。子会社の翌連結会計年度における当該年金制度に対する予定拠出額は836百万円であります。
前期及び当期における「原価」に含まれる人件費の合計金額は、それぞれ△183,117百万円及び△200,438百万円であります。
22 資本金
親会社の発行可能株式総数及び発行済株式総数は次のとおりであります。
上記の発行済株式総数に含まれる自己株式数は、前期末及び当期末において、それぞれ17,478,130株及び
1,143,723 株であります。
当期末時点の発行済株式総数は、業績連動型株式報酬としての新株式発行により257,200株増加しております。また、2023年2月6日及び2023年5月9日開催の取締役会において決議した自己株式の消却により、発行済株式総数がそれぞれ2023年6月2日付で21,268,200株及び2023年7月24日付で7,478,000株減少しております。
23 剰余金
日本における会社法(以下、会社法)では、株式の発行に対しての払込みまたは給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることが規定されております。また、会社法では、資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
会社法では、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金または利益準備金として積み立てることが規定されています。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取崩すことができることとされております。
親会社における会社法上の分配可能額は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成された親会社の会計帳簿上の利益剰余金の金額に基づいて算定されております。
また、会社法は分配可能額の算定にあたり一定の制限を設けております。親会社の会計帳簿上、その他利益剰余金として記帳されている金額は、前期末及び当期末において、それぞれ901,923百万円及び932,036百万円であり、上記の制約を受けておりません。
24 その他の資本の構成要素及びその他の包括利益
その他の資本の構成要素の各項目の増減は次のとおりであります。
非支配持分に含まれるその他の包括利益の各項目の内訳は次のとおりであります。
その他の包括利益の各項目の内訳とそれらに係る税効果額(非支配持分を含む)は次のとおりであります。
25 配当
26 株式報酬
当社の株式報酬制度に関する説明は次のとおりであります。
親会社は、取締役、執行役員及び会社の資格制度に基づく理事に対してストック・オプション制度を採用しております。当該制度の下では、新株予約権1個当たり普通株式100株が付与対象者に対して付与されることとなります。新株予約権の権利行使価格は、(i)新株予約権の発行日の属する月の前月の各日(取引が成立しない日を除く)における東京証券取引所の株式普通取引の終値の平均値に1.05を乗じた金額、あるいは、(ⅱ)新株予約権の発行日における東京証券取引所の株式普通取引の終値(取引が成立しない場合は、それに先立つ直近日の終値)のうち、いずれか大きい方の金額としております。
新株予約権は発行日に100%付与されます。付与された新株予約権は、その付与日の属する事業年度の翌事業年度の4月1日以降、4年3ヶ月間行使可能となります。
なお、2018年度以降、ストック・オプションの新たな発行は行わないこととしております。
また、前期末及び当期末における未行使残高及び行使可能残高はありません。
ストック・オプションの状況は次のとおりであります。
(2) 株式報酬型ストック・オプション制度
親会社は、取締役及び執行役員に対して株式報酬型ストック・オプション制度を採用しております。当該制度の下では、新株予約権1個当たり普通株式100株(2006年以前の付与分は1,000株)が付与対象者に対して付与されることとなりますが、新株予約権の権利行使価格は1株当たり1円であります。
新株予約権は発行日に100%付与されます。付与された新株予約権は、取締役及び執行役員のいずれの地位も喪失した日の翌日から10年間行使可能となります。
なお、2018年度以降、株式報酬型ストック・オプションの新たな発行は行わないこととしております。
株式報酬型ストック・オプションの状況は次のとおりであります。
(3) 業績連動型株式報酬制度
親会社は、予め定めた業績条件(株価条件)の達成度に応じて交付株式数を変動させる「業績連動型株式報酬(パフォーマンス・シェア・ユニット)」を採用しております。これは、株主価値との連動性を強化し中長期的な企業価値向上にむけた取組みや株主との一層の価値共有を進めることを目的としたものです。
当制度の下では、付与対象者(社外取締役を除く取締役及び執行役員)が一定期間継続して親会社の取締役又は執行役員を務めることを条件として、監査役より適正である旨の表明を受けて取締役会にて決定された算定方法に基づき、3年間の評価期間における株価条件(3年間の評価期間における当社株式成長率)の達成度に応じて0~150%の間で調整された数の当社普通株式を、評価期間終了後に交付します。また、2021年6月18日開催の第153期定時株主総会において、当制度に基づき当該定時株主総会終結以後に退任する対象取締役及び執行役員に交付する当社普通株式に譲渡制限を設定することの承認を得ております。なお、本制度の詳細は、第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等に記載されております。
期中に発行された業績連動型株式の内容は次のとおりであります。
(4) 譲渡制限付業績連動型株式報酬制度
親会社は、一定の譲渡制限期間を設けた上で、予め定めた業績条件(株価条件)の達成度に応じて交付株式数を変動させる「譲渡制限付業績連動型株式報酬(リストリクテッド・パフォーマンス・シェア・ユニット)」を採用しております。これは、株主価値との連動性を強化し中長期的な企業価値向上にむけた取組みや株主との一層の価値共有を進めるという現行株式報酬の目的を更に推し進めることを目的として、「譲渡制限付株式報酬」及び「業績連動型株式報酬制度」を一本化したものです。
当制度の下では、付与対象者(社外取締役を除く取締役及び執行役員)が一定期間継続して親会社の取締役又は執行役員を務めることを条件として、監査役より適正である旨の表明を受けて取締役会にて決定された算定方法に基づき、3年間の評価期間における当社株式成長率(0~150%の間で調整された数)及び非財務指標(「気候変動問題対応」、「女性活躍推進」及び「従業員エンゲージメント」)についての取り組みの進捗・成果に応じた評価(80%~120%の間で調整された数)を乗じて算出した当社普通株式を、評価期間終了後に交付します。なお、新制度の最初の評価期間の終了は2024年6月末日となるため、新制度に係る当社株式成長率の実績はありません。本制度の詳細は、第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等に記載されております。
期中に付与された譲渡制限付業績連動型株式報酬の加重平均公正価値及びその算定基礎は次のとおりであります。評価にあたっては、モンテカルロ・シミュレーションを用いております。
前期及び当期における譲渡制限付株式報酬制度、業績連動型株式報酬制度及び譲渡制限付業績連動型株式報酬制度に係る費用は、計1,185百万円及び計874百万円であります。
27 金融商品及び関連する開示
当社の資本管理は、経営の健全性・効率性を維持し、持続的な成長を実現するため、事業のリスクに見合った適正な資本水準、並びに負債・資本構成を維持することを基本方針としております。
当社が資本管理において用いる主な指標には、以下のものがあります。
・リスクアセット(注1)と株主資本のバランス
・ネット有利子負債(注2)の株主資本に対する倍率(ネットのデット・エクイティ・レシオ)
(注)1 将来に亘る一定の期間に、一定の確率の下で、保有する有形・無形の資産、契約、事業活動等から生じうる最大損失可能性額をいいます。
(注)2 有利子負債の金額から現金及び現金同等物並びに定期預金の金額を控除したものであります。
当社は、中期経営計画の策定及び見直しの都度、収益及び投資計画に加え、これらの指標についてもマネジメントがモニターし、確認しております。また、株主資本は為替や株価等、市況の影響を直接受けることから、そのような影響を極力ミニマイズするために、重要な外貨建事業投資に係る為替リスクに対するヘッジや、保有株式の見直しを適宜実施しております。
なお、当社が適用を受ける重要な資本規制(会社法等の一般的な規定を除く)はありません。
当社は国際的に営業活動を行っており、為替、金利及び商品価格の変動リスクに晒されております。当社が取り組んでいるデリバティブは、主にこれらのリスクを軽減するための為替予約、通貨スワップ、金利スワップ及び商品先物取引等であります。当社は為替変動リスク、金利変動リスク及び商品価格変動リスクの変化を継続的に監視すること及びヘッジ機会を検討することによって、これらのリスクを評価しております。当社はトレーディング目的のための商品デリバティブ取引を行っております。また当社は、これらのデリバティブ取引より生じる信用リスクに晒されておりますが、契約相手の大部分は国際的に認知された金融機関であり、契約も多数の主要な金融機関に分散されているため、そのようなリスクは小さいと考えております。当社の財務運営の方針・目的は、中長期にわたり安定的な資金調達を行うこと、及び十分な流動性を保持することであります。
当社は国際的に営業活動を行っており、当社の営業拠点の現地通貨以外の通貨による売買取引、ファイナンス及び投資に関連する為替変動リスクに晒されております。当社の為替リスク管理の方針は、外貨建の資産と負債や未認識の確定契約が相殺されることも考慮の上、為替予約や通貨スワップ等を利用して非機能通貨のキャッシュ・フローの経済的価値を保全することであります。
外貨感応度分析
以下の表は、当社の米ドルの為替リスクエクスポージャーに対する感応度分析であります。
感応度分析は、期末日現在における、為替差額を当期利益又は損失で認識する外貨建の営業債権・債務、予定販売・購入取引、デリバティブ等から生じる為替リスクエクスポージャーに対して、日本円が1%円高となった場合に、連結包括利益計算書の税引前利益又は損失に与える影響を示しております。本分析においては、その他の変動要因(残高、金利等)は一定であることを前提としております。
当社は、事業活動の中で様々な金利変動リスクに晒されております。特に、金利の変動は借入コストに影響を与えます。これは、当社が変動金利の借入を行っているためであり、また、都度借換えを行う短期借入金があるためであります。
しかしながら、金利変動が借入コストに与える影響は、金利変動の影響を受ける資産からの収益により相殺されます。当社は、これら資産・負債から生じる金利変動リスクをモニタリングし、急激な金利変動時には、金利スワップ等のデリバティブ取引等を利用することで、損益の変動を機動的にヘッジする体制を整えております。
また、銀行間調達金利をほぼ無リスクの代替的な金利指標に置き換えることも含め、主要な金利指標の抜本的な改革(金利指標改革)が世界的に進められており、ロンドン市場での金融取引における銀行間調達金利(以下、LIBOR)については、2023年6月末の米ドル建てLIBORの公表終了をもって、すべての公表が停止されました。当社グループは、前期末において保有していた当該LIBORを利用する金融資産及び負債の契約修正を完了しております。したがって、当期末において、代替的な金利指標に移行していない金融商品はありません。
金利感応度分析
次の表は、前期及び当期において、金利が1%上昇した場合に、金利変動の影響を受ける商品から生じる損益が当社の税引前利益又は損失に与える影響を示しております。この分析は、前期末及び当期末に当社が保有する正味の変動金利性金融商品残高に1%を乗じて算出しており、将来にわたる残高の増減、為替変動の影響、変動金利性の借入金に係る借換時期・金利改定時期の分散効果等を考慮せず、その他のすべての変数を一定として計算しております。
変動金利条件付有利子負債・融資、固定金利条件付であっても金利スワップ契約により実質変動金利条件付となっている有利子負債・融資、現金及び現金同等物、定期預金並びに期末日で未決済の売掛金・買掛金等を金利変動の影響を受ける商品として感応度を算定しております。
当社は、取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、信用リスクを負っております。当社は、取引先の信用リスク管理に、当社独自の信用格付であるSumisho Credit Rating(以下、SCR)を用いております。このSCRでは、取引先を信用力に応じて合計9段階に格付けし、格付に応じて与信枠設定の決裁権限を定めております。また、取引先の与信枠を定期的に見直し、信用リスクのエクスポージャーを当該枠内で適切に管理しているほか、取引先の信用評価を継続的に実施し、必要な場合には担保取得などの保全措置も講じております。
当社の債権は、広範囲の産業や地域に広がる多数の取引先に対する債権から構成されており、単独の相手先またはその相手先が所属するグループについて、過度に集中した信用リスクのエクスポージャーを有しておりません。
また、預金とデリバティブについては、取引先の大部分が国際的に認知された金融機関であることから、それらの信用リスクは限定的であります。
連結財務諸表に表示されている金融資産の減損後の帳簿価額、及び保証並びに資金供与に関する契約の額は、獲得した担保の評価額を考慮に入れない、当社の金融資産の信用リスクに対するエクスポージャーの最大値であります。
損失評価引当金
営業債権等及び契約資産、並びに貸付金に対する損失評価引当金の増減は、次のとおりであります。
前期(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
(単位:百万円)
当期(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
(単位:百万円)
当期中の損失評価引当金の変動の主な要因は、当社の100%子会社であるSummit Ambatovy Mineral Resources Investment B.V.を通じて54.17%を出資しているマダガスカルにおけるニッケル採掘事業会社であるAmbatovy Minerals S.A.及びニッケル精錬会社であるDynatec Madagascar S.A.に対する貸付金への引当の計上13,258百万円によるものであります。
金融資産の帳簿価額
営業債権等及び契約資産、並びに貸付金の帳簿価額は、次のとおりであります。
前期(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当期(2024年3月31日)
(単位:百万円)
当社では金融資産の帳簿価額が最大エクスポージャーとなり、これらに係る担保及びその他の信用補完に重要なものはありません。
当社は、貴金属、非鉄金属、燃料、農産物等の現物取引、鉱物、石油、及びガス開発プロジェクトへの投資を行っており、関連する商品価格の変動リスクに晒されております。当社は、商品の売り繋ぎや売り買い数量・時期等のマッチング、デリバティブ等の活用によって、商品の価格の変動によるリスクを減少させるよう努めております。また、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も実施しておりますが、限定的であるため、当該取引の公正価値変動が当社連結の当期利益及び資本合計に与える影響は重要ではありません。
当社の財務運営の方針・目的は、中長期にわたり安定的な資金調達を行うこと、及び十分な流動性を保持することであります。当社では、金融市場の混乱等いくつかの有事シナリオを想定し、流動性リスクを監視しております。必要となる流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローや、良好な関係を築いている金融機関からの借入、資本市場における社債発行、及びコマーシャルペーパーの発行等により調達した資金を、総じて格付機関から高い格付を付与された信用力の高い金融機関に預金として確保しております。
また、当社は、国内の有力金融機関及び海外の大手金融機関との間で未実行の複数の長期コミットメントライン契約を締結しており、コミットメントベースではない借入枠と併せ、流動性リスクの軽減を図っております。
当社の非デリバティブ金融負債の残存契約満期金額は次のとおりであります。なお、「リース負債」については、注記8において開示しております。
当社のデリバティブの流動性分析の結果は次のとおりであります。この表は、デリバティブ金融商品の将来の収入・支出をもとに作成しております。総額決済するデリバティブについても、取引毎に収入・支出純額で表示しております。受取金額または支払金額が固定されていない場合、開示金額は前期末及び当期末時点でのイールド・カーブを参照して見積られた金利で算出しております。
金融資産及び金融負債の公正価値は、次のとおり決定しております。金融商品の公正価値の見積りにおいて、市場価格が入手できる場合は、市場価格を用いております。市場価格が入手できない金融商品の公正価値に関しては、将来キャッシュ・フローを割引く方法、またはその他の適切な評価方法により見積っております。
現金及び現金同等物、定期預金、有価証券
満期までの期間が短期であるため帳簿価額と公正価値はほぼ同額であります。
その他の投資
市場性のある有価証券の公正価値は市場価格を用いて見積っております。非上場普通株式は、割引将来キャッシュ・フロー、収益、利益性及び純資産に基づく評価モデル、類似業種比較法及びその他の評価方法により、公正価値を算定しております。
営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務
帳簿価額と公正価値がほぼ同額であるとみなされる変動金利付貸付金等を除く当該債権債務の公正価値については、同程度の信用格付を有する貸付先または顧客に対して、同一の残存期間で同条件の貸付または信用供与を行う場合の金利を用いて、将来キャッシュ・フローを割引く方法により見積っております。
社債及び借入金
帳簿価額と公正価値がほぼ同額であるとみなされる変動金利付債務を除く社債及び借入金の公正価値については、同一の残存期間で同条件の借入を行う場合の金利を用いて、将来キャッシュ・フローを割引く方法により見積っております。
第三者の債務に対する保証
金融保証の公正価値は、独立した企業間の取引として、保証人の受け取るまたは受け取り得る保証料に基づき見積っております。
金利スワップ、通貨スワップ及び通貨オプション
金利スワップ、通貨スワップ及び通貨オプションの公正価値については、ブローカーによる提示相場や、利用可能な情報に基づく適切な評価方法により見積っております。
為替予約
為替予約の公正価値については、同様の条件により行う為替予約の市場価格に基づき見積っております。
金利先物取引・債券先物取引
金利先物取引・債券先物取引の公正価値については、市場価格を用いて見積っております。
商品先物、先渡及びスワップ取引
商品先物、先渡及びスワップ取引の公正価値については、市場価格等を用いて見積っております。
償却原価で測定される金融商品の公正価値は次のとおりであります。なお、償却原価で測定する金融資産のうち「有価証券」及び「その他の投資」については、注記6において開示しております。
IFRS第13号「公正価値測定」は、公正価値の測定に利用するインプットの重要性を反映させた公正価値の階層を用いて、公正価値の測定を分類することを要求しております。
公正価値の階層は、以下のレベルとなっております。
レベル1―活発な市場における同一資産・負債の市場価格
レベル2―直接または間接的に観察可能な、公表価格以外の価格で構成されたインプット
レベル3―観察不能な価格を含むインプット
公正価値の測定に使用される公正価値の階層のレベルは、公正価値の測定の重要なインプットのうち、最も低いレベルにより決定しております。
公正価値の階層ごとに分類された、連結財政状態計算書に公正価値で認識される金融資産及び金融負債は次のとおりであります。
経常的にレベル3で測定される金融商品の当期首から当期末までの変動は次のとおりであります。
(注) 1 連結包括利益計算書の「商品販売に係る収益」、「商品販売に係る原価」及び「有価証券損益」に含まれております。
(注) 2 為替相場の変動による影響(在外営業活動体の換算差額に含まれるもの)を含めております。
(注) 3 連結範囲の異動による影響及び保有銘柄の上場による振替を含めております。
公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジとは、資産及び負債、または確定約定に係る公正価値の変動リスクを回避するためのヘッジであります。当社は、確定約定に関する公正価値の変動をヘッジするために、商品先物取引及び為替予約を利用しております。また、当社は、変動金利を稼得する資産に対して固定金利支払の借入を行っている場合、当該借入の公正価値の変動をヘッジするために金利スワップを利用しております。公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値の変動は当期利益又は損失として認識され、ヘッジが有効な範囲においてヘッジ対象の公正価値の変動による当期利益又は損失と相殺されております。前期及び当期に計上されたヘッジ対象の損益は、それぞれ6,433百万円の利益及び5,445百万円の損失であり、ヘッジ手段の損益は、それぞれ6,433百万円の損失及び5,445百万円の利益であります。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとは、将来キャッシュ・フローの変動リスクを回避するためのヘッジであります。当社は予定取引に関するキャッシュ・フローの変動をヘッジするために商品先物取引及び為替予約を、また、変動金利の借入に関連するキャッシュ・フローの変動をヘッジするために金利スワップを利用しております。キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブ取引の公正価値の変動は、ヘッジが有効な範囲において「キャッシュ・フロー・ヘッジ」としてその他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素に含めております。なお、通貨金利スワップの通貨ベーシス・スプレッド部分については、ヘッジ手段から除外し、公正価値の変動を「ヘッジ・コスト」としてその他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素に含めております。その他の資本の構成要素に累積された残高は、ヘッジ対象が当期利益又は損失に認識された時点で当期利益又は損失へ振り替えております。
前期末及び当期末において1年以内に当期利益又は損失に振り替えられると見込まれるデリバティブ損益の金額(税効果後)は、それぞれ1,663百万円の利益及び10,004百万円の利益であります。
在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
当社は、在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクを回避するために、通貨スワップ、外貨建借入金及び外貨建社債を利用しております。ヘッジ手段であるデリバティブ取引の公正価値の変動及び外貨建借入金の換算差額は、ヘッジが有効な範囲においてその他の包括利益として認識し、その他の資本の構成要素に含まれております。
ヘッジに指定されないデリバティブ
当社は、ヘッジ関係がヘッジ会計を適用する要件を満たさない場合を含め、デリバティブを利用することが経済的に合理的である場合には、デリバティブを利用しております。
当社は、外貨建資産、負債及び会計上未認識の確定契約に係る為替変動を経済的にヘッジするために為替予約取引を利用しております。当社はまた、在庫及び会計上未認識の確定契約に係る市況商品の市場価格の変動を経済的にヘッジするために商品先物及び先渡取引、並びにスワップ契約を締結しております。当社はマネジメントの承認する範囲内でトレーディング目的の商品デリバティブ取引を行っております。これらのデリバティブにはヘッジ会計は適用されず、公正価値の変動はすべて当期利益又は損失として認識しております。
デリバティブの公正価値は次のとおりであります。
前期(2023年3月31日)
上記以外に、在外営業活動体に対する純投資ヘッジのヘッジ手段に指定されている外貨建借入金及び外貨建社債がそれぞれ337,944百万円及び46,062百万円あります。
なお、デリバティブ債権・債務記載額と連結財政状態計算書残高との相違は、非支配持分株主に対するプット・オプション付与に係る金融負債及びデリバティブ債権・債務及び預託金との相殺等によるものであります。連結財政状態計算書におけるその他の金融資産・負債のうち、強制可能なマスターネッティング契約又は類似の契約の対象である金額は64,519百万円であります。
当期(2024年3月31日)
上記以外に、在外営業活動体に対する純投資ヘッジのヘッジ手段に指定されている外貨建借入金及び外貨建社債がそれぞれ342,227百万円及び50,127百万円あります。
なお、デリバティブ債権・債務記載額と連結財政状態計算書残高との相違は、非支配持分株主に対するプット・オプション付与に係る金融負債及びデリバティブ債権・債務及び預託金との相殺等によるものであります。連結財政状態計算書におけるその他の金融資産・負債のうち、強制可能なマスターネッティング契約又は類似の契約の対象である金額は76,767百万円であります。
28 収益
当社が通常の営業活動において、顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する権利のうち、時の経過以外の条件が付されているものを、契約資産として表示しております。契約資産は、対価に対する当社の権利が無条件になった時点で顧客との契約から生じた債権に振り替えられます。当期中における契約資産の変動の主な要因は、インフラ事業における長期請負工事契約の履行義務の充足によるものです。
当社が通常の営業活動において、財またはサービスを移転する義務のうち、顧客から対価を受け取っている、または対価の期限が到来しているものを契約負債として表示しております。当期中において契約負債の残高に重大な変動はありません。また、当期首現在の契約負債残高のうち当期中に収益として認識していない金額に重要性はありません。
当社は通常の営業活動において、一部の取引に関して長期販売契約を締結しております。当該契約にかかる当社の履行義務のうち、未充足の履行義務に配分した取引価格の総額は、前期末時点及び当期末時点でそれぞれ2,190,254百万円及び2,364,147百万円であります。当該履行義務には、エネルギー事業における長期売買契約やバイオマス燃料事業における長期販売契約等が含まれております。当期末時点において、これらの残存履行義務は最長で24年以内に充足されることを見込んでおります。なお、当社は実務上の便法を適用している為、この金額には履行義務が充足される予想期間を1年以内として締結している販売契約は含んでおりません。
また、当該長期販売契約において約束された対価が変動性のある金額を含んでいる場合、変動対価に関する不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ、取引価格に含めております。
29 為替換算損益
機能通貨以外の通貨で記帳されている資産及び負債を換算することにより発生する損益及びそれらの資産及び負債を決済することにより発生する損益は、発生した時点で当期利益又は損失として認識しております。連結包括利益計算書に含まれるこれらの為替換算損益は、前期及び当期において、それぞれ28,322百万円及び8,080百万円の損失であります。
30 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費の内訳は次のとおりであります。
上記のうち、設備経費には設備賃借料、有形固定資産減価償却費等が含まれております。
31 金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用の内訳は次のとおりであります。
有価証券損益のその他は、主に関係会社株式に係る損益であります。そのうち、子会社の支配喪失に伴う売却損益等は、前期及び当期において、それぞれ16,852百万円及び1,820百万円であります。
上記のほか、ヘッジ指定されていないデリバティブの評価損益(純額)が、前期及び当期において、それぞれ「収益/原価」に△33,074百万円及び△12,164百万円、「その他の損益」に29百万円及び△27百万円含まれております。
また、償却原価で測定された金融資産に係る受取利息が、前期及び当期において、それぞれ「収益」に18,207百万円及び18,900百万円、償却原価で測定された金融負債に係る支払利息が、前期及び当期において、それぞれ「原価」に△1,959百万円及び△2,875百万円含まれております。
32 法人所得税費用
法人所得税費用の内訳は次のとおりであります。
当社は、主に法人税、住民税及び損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した適用税率は前期31.0%及び当期31.0%となっております。ただし、海外子会社についてはその所在地における法人税等が課されます。
適用税率と、連結包括利益計算書における平均実効税率との差異要因は次のとおりであります。
33 1株当たり情報
基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益は次の情報に基づいて算定しております。
34 キャッシュ・フロー情報
キャッシュ・フローの補足情報は次のとおりであります。
事業の取得時における資産・負債の公正価値は、注記5に記載しております。
前期中に売却した事業に関する受取対価の総額は、53,677百万円であります。
売却時における資産・負債の内訳は以下のとおりであります。
当期中に売却した事業に関する受取対価の総額は、4,502百万円であります。
売却時における資産・負債の内訳は以下のとおりであります。
35 関連当事者取引
役員報酬の内容
取締役に対する報酬額は次のとおりであります。
36 子会社
当社の主要な子会社は「第1 企業の概況 4 関係会社の状況 (1)子会社」に記載のとおりであります。
37 契約及び偶発債務
当社は、通常の営業活動において、船舶や資材をはじめとする一部の商品に関して固定価格または変動価格による長期購入契約を締結しております。これらの購入契約に対しては、通常、顧客への販売契約を取り付けております。当期末の固定価格または変動価格による持分法適用会社との長期購入契約の残高は、977,679百万円で最長期限は2033年であります。
当社はまた、資金供与に関する契約(貸付契約、出資契約)及び設備使用契約等を締結しており、当期末の契約残高は、937,571百万円であります。このうち、持分法適用会社との当期末の契約残高は、166,034百万円であります。
当社が借手であるリース契約については、注記8に記載しております。
当社は、様々な保証契約を締結しております。これらの契約には、持分法適用会社やサプライヤー、顧客に対する信用補完等が含まれます。
主な保証に対する、割引前の将来最大支払可能性額は、次のとおりであります。
当社は、一部の持分法適用会社の銀行借入、仕入先への支払債務及びその他の債務に対して保証(最長期限2034年)を行っております。一部の保証には、裏保証が付されており、当該裏保証の残高は当期末で2,707百万円であります。銀行からの借手である持分法適用会社が返済不能となった場合、当社は返済不能額を負担し、また付随する損失を負担することがあります。
当社は、主にサプライヤーや顧客を中心に第三者の債務に対して保証(最長期限2049年)を行っております。一部の保証には、裏保証が付されており、当該裏保証の残高は当期末で10,512百万円であります。当社は債務者が保証債務の対象となっている債務を返済できない場合、当該債務を負担しなければなりません。また、一部の保証債務は債務者の資産により担保されております。
上記契約及び保証のうち、発生しうる予想信用損失については、損失評価引当金を計上しており、マネジメントは、これらに関し重大な追加損失は発生しないものと見込んでおります。
当社は、事業遂行上偶発的に発生する訴訟や訴訟に至らない請求等を受けておりますが、当社の経営上、重要な影響を及ぼすものはありません。
38 後発事象
当期の連結財務諸表承認日である2024年6月21日現在における重要な後発事象は次のとおりであります。
自己株式の取得及び消却に係る事項の決定
当社は、2024年5月2日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づき、自己株式を取得すること、及び会社法第178条の規定に基づき自己株式の消却を行うことについて決議しました。
1.自己株式の取得を行う理由
資本効率の向上、及び株主還元の充実を図るため、自己株式を取得するもの
2.取得に係る事項の内容
(1) 取得する株式の種類 :当社普通株式
(2) 取得する株式の総数 :1,900万株を上限とする
(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合約1.6%)
(3) 株式の取得価額の総額 :500億円を上限とする
(4) 取得期間 :2024年5月7日~2024年7月19日
(5) 取得方法 :東京証券取引所における市場買付
3.消却に係る事項の内容
(1) 消却する株式の種類 :当社普通株式
(2) 消却する株式の総数 :上記2により取得する自己株式の全数
(3) 消却予定日 :2024年8月28日
<ご参考> 2024 年 3 月 31 日時点の自己株式の保有状況
発行済株式総数(自己株式を除く) 1,221,939,144株
自己株式数 1,143,723株
39 連結財務諸表の承認
2024年6月21日に、連結財務諸表は当社代表取締役 社長執行役員 CEO 上野 真吾及び最高財務責任者 諸岡 礼二によって承認されております。