(1) 経営の基本方針
当社グループは、企業理念として「社会的使命」を「最適整合の創造」、「企業目標」を「意欲あふれる快心企業」と定め、その達成のためのポリシーとして「1.顧客志向の実践」「2.理と情との調和」「3.社会との共感」、行動指針として「1.違いをつくる思考」「2.先を行く元気」「3.あたたかい言動」のもとに、社会課題を解決し、株主の期待に応える企業グループを目指しております。
(2) 経営環境
今後の国内外の景気動向は、ウクライナや中東地域をめぐる情勢、物価の上昇、世界的な金融引締めに伴う影響等による景気減速が懸念されていることから、先行き不透明な状況が継続すると推測されます。
当社グループのセグメントごとの経営環境の認識は、以下のとおりであります。
当社グループの主たるお客様である自動車業界においては、半導体不足の緩和により、当連結会計年度の自動車生産は回復傾向で推移いたしました。しかし、日本市場は少子高齢化~人口減により縮小傾向にあり、ものづくり現場においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)やSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の実現に向けた取り組みが加速していくと予測しております。また、グローバル市場、特に経済成長が高い水準で推移している開発途上国においては、日本のものづくりにおけるノウハウに、いまだ一定のプレゼンスがあると考えております。
塗料関連事業と同様に、ものづくり現場におけるDXやSXの実現に向けた取り組みが加速していくことから、当社主力製品であるホールICをはじめとしたセンサーやソフトウエアの需要は拡大していくと見込んでおります。
当社グループは、2024年3月15日に、2024年度から2026年度までの中期経営計画「MAP24-26」を公表しております。当社グループでは、中期経営計画を、「My Action Plan=私の計画」の頭文字をとり、かつ、「進むべき地図=MAP」の意味を込めて「MAP」と称しています。また、「24-26」は2024年度から2026年度の3年間を表しています。
「グローバルブランドO-Wellの樹立」を10年後の目指す姿とし、当社グループが主体者として、ビジョン「ものづくり現場の発展・進化をリードし、持続可能な世界の創造・実現に貢献する」の実現を目指してまいります。
世界のものづくり現場が、DXやSXといった社会的な概念が浸透・実現される中、当社グループは中期経営方針「提供価値を革新し、創造する」のもと、グローバルに展開するお客様の課題解決手段として、「商材提供」型から、「ワンストップソリューション提供」型へと提供価値を強化してまいります。
ワンストップで広範囲の課題を解決し、ビジネスを拡大していくことを踏まえて、2025年3月期よりセグメント名称を「塗料関連事業」「電気・電子部品事業」から、我々が事業を展開する分野・領域を表現した「コーティング関連事業」「エレクトロニクス関連事業」に変更致します。
コーティング関連事業においては、中期重点方針「コーティングの未来を創る」のもと、培ってきた塗膜形成力を核(コア)とした機能拡大を図ると同時に、未来のものづくりのイノベーションの中においても、我々の新たな提供価値を創造してまいります。
エレクトロニクス関連事業においては、中期重点方針「提供価値を拡大する」のもと、これまで育んできたエレクトロニクス分野ビジネスで、我々の発揮する機能を、さらに付与し、さらに拡大してまいります。
(当社グループの事業領域)
経営基盤においては、中期重点方針「資本効率を向上する」のもと、今後も社会的責任を果たしながら、持続的な発展と成長を遂げるために、保有・調達する資源(人、もの、金、情報、時間、知的財産)を、適切かつ効率良く活用してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、ROEを成長性と収益性の観点から、重要な経営指標としております。中期経営計画「MAP24-26」の最終年度である2026年度の目標値は売上高770億円、営業利益18億円、経常利益20億円、当期純利益13億円、ROE8.0%超であります。各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
製造現場におけるDXは、日本国内では労働人口の減少による人手不足も背景として、加速する一方であり、工業用塗装もその渦中にあります。当社グループの提供する塗膜形成力は、お客様の塗膜の品質維持・向上のために、半製品である塗料を塗膜にするまでの工程における課題を把握し、解決する力のことであり、それを具現化したシステムがOLDASです。塗膜形成力をマネタイズしていくことの具体的な姿・形として、OLDASを実装・実現していかなければならないと考えており、そのためにも経営資源を集中し、開発に取り組んでまいります。
② 更なる機能発揮による付加価値の拡大~収益性の向上
コーティング関連事業において、我々の塗膜形成力を最大限発揮する塗装請負事業については、国内人手不足を背景とした要請は多く、今後は、お客様からの要求事項を満たすだけでなく、OLDASの実装を含めた我々自身のDXによる省人化・高度化や、周辺工程の取り込み等、請負事業範囲の拡大を図る必要があると考えております。
エレクトロニクス関連事業においては、現在発揮している、営業、グローバル物流、技術サポート、品質管理について、取引先からの期待に応え続けることはもとより、今後は、ソフトウエアをはじめ、組合せや組込み等、我々が担う機能から果たす役割を拡大していく必要があると考えております。
当社グループは、上記「(3) 中期経営戦略」に記載しております方針のもと、事業セグメントを問わず、CN(カーボンニュートラル)をはじめとした社会課題の解決に向けた新規事業・ビジネスへの取り組み、既存事業についての効率化等により、更なる付加価値の拡大~収益性の向上に取り組んでまいります。
③ グローバルビジネスの創出・拡大
EV化の波に代表されるような急激な外部環境の変化を受け、日系ものづくり企業のグローバル戦略から海外拠点の在り方は、大きく見直され、変化し、新しい課題が設定されていると同時に、新興国・途上国と言われる国々においても、グローバル展開により成長を目指す企業が次々に現れ、課題に直面されております。当社グループは、ぞれぞれの課題をしっかりと掴み、現有するプレゼンスを活かし、それぞれにソリューションを提供・創出してまいります。
更なる企業価値の向上(PBR1.0倍超)に向けて、継続的に事業そのものの収益や効率を上げていくためにも、継続して政策保有株式の縮減を実行し、得た資金について、今後の更なる成長に向けた事業投資(M&Aを含む)の充実及び加速を図りながら、資本効率を上げていく施策を検討してまいります。
働く人は、企業の主体者であり、資本であり、価値であると考えております。当社グループの目指す姿を実現するために、どのような人的ポートフォリオや人財教育・育成、人事体制・制度が望ましいかについて、描き、議論し、構築し、実現してまいります。また、当社グループで働く人の人的価値の向上に向けた取り組みについても、投資として拡大・拡充してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。経営会議等で協議された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会の対応方針や実行計画等についての審議・監督を行っております。
また、当社の環境方針に基づき、環境マネジメントシステム(EMS)を構築・運営しており、EMSの進捗、運用状況の管理、全社的なリスク及び機会の識別、問題点の審議をする機関として、業務部門管掌役員を委員長とする環境管理委員会を設置しております。このEMSに基づき、事業の環境活動にかかわる法令・その他ルールの遵守、環境負荷低減並びに汚染の予防に努めております。
気候変動への対応に関する取り組みとしては、環境管理委員会内に分科会を設置し、社会課題である2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み及び目標設定を検討しております。
(2) 戦略
当社グループは、中期経営計画「MAP24-26」において、推し進める中期重点方策がSDGsのどの目標に貢献するのかを整理することで、事業活動を通じて、サステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を進めております。
また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。
① 多様性の確保
a.女性の管理職の登用
当社グループは、女性活躍推進法に基づき、女性の経営参画を促進するために、女性の管理職への登用を進めていきます。
b.外国人、中途採用者の管理職への登用
当社グループは、性別や国籍等の個人属性に関係なく人材活用することを基本としております。外国人、中途採用者につきましては、必要な人材を必要なポストに登用しております。
② 人材育成方針
性別や国籍に関係なく、計画的な研修や教育の実施、定期的な人事異動をもって知見を広げる育成を行っております。
③ 社内環境整備
女性活躍推進法及び次世代育成支援対策推進法に基づき、社員が仕事と子育てを両立させることができる雇用環境を整備することで、全ての社員が能力を発揮し、活躍できる職場環境にするための行動計画を定め、取り組みを進めております。
(3) リスク管理
当社グループの事業活動における環境影響のリスク及び機会の管理については、環境管理委員会にて行っております。また、その他の全社的なリスク管理については、総務部担当役員を統括責任者として、総務部が行っております。重要なリスクの管理状況については、取締役会へ報告、監督されます。
サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、毎年11月に実施されるマネジメントレビューにて、当社グループに与える財務的影響、当社グループの活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえて詳細な検討を行い、その結果を取締役会で共有しております。
(4) 指標及び目標
当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 感染症の拡大によるリスク
当社グループの従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス等の感染が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対して、速やかにその状況を把握・確認し、迅速かつ適切に対処するとともに、被害を最小限に食い止めるための管理体制を構築しております。
(2) 自然災害
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、自然災害が発生し、社会のインフラ機能が低下し、業務の停止を余儀なくされた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対して、当社が定めた緊急事態対策要領や対策マニュアルに基づき、速やかにその状況を把握・確認し、迅速かつ適切に対処するとともに、被害を最小限に食い止めるための管理体制を構築しております。
(3) 経済状況、需要動向の急激な変動
当社グループは、様々な製品を広範な産業に供給しておりますが、現在、自動車業界向け取引が5割程度を占めており、自動車生産及び自動車販売動向の影響を受けております。また、需給環境の変動や取引先の購買方針の変更等により、当社グループの納入品に対する需要が減退する可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対して、中期経営計画「MAP24-26」に沿って、新たな需要を創造すべく活動しております。中期経営計画「MAP24-26」につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(4) 為替相場の変動
当社グループの電気・電子部品事業におけるホールICの取引については、外貨建の取引において為替変動リスクにさらされております。国内外で発生する外貨建取引につきましては、主に為替予約等によるヘッジ取引により、為替変動リスクの軽減に努めておりますが、為替相場の変動規模によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 顧客の海外展開
当社グループの多くの顧客は、企業活動のグローバル展開を進めております。当社グループも顧客の動きに併せて海外の進出を進めておりますが、顧客の海外の製造拠点が閉鎖された場合や、国内の製造拠点が加速的に当社の進出していない海外に移管された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) カントリーリスク
当社グループが進出した国(中国、韓国、ベトナム、インドネシア、タイ、メキシコ、インド、シンガポール)または地域において、政治・経済・社会情勢等に起因して生じる予期せぬ事態により、社会的混乱が生じた場合は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 特定の仕入先への依存
当社グループは、塗料関連事業については、日本ペイントグループ各社、関西ペイントグループ各社、大日本塗料株式会社、日本特殊塗料株式会社、神東塗料株式会社等、国内の主たる塗料メーカーを仕入先として、それぞれ特約店契約を締結し、仕入を行っております。電気・電子部品事業においては、ホールICはTDK-Micronas GmbH1社のみから仕入れており、同社とは非独占的代理店・販売店契約を締結しております。
現時点では継続的で良好な関係を構築しておりますが、今後、契約の維持に問題が生じた場合には、別の仕入先を選定し、既存顧客への代替商品の供給を確保することが必要となるため、当社グループの財政状態及び経営成績並びに事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 株式市場の変動
当社グループは、事業上の関係緊密化を図るために取引先等の有価証券を保有しておりますが、2024年3月末時点で投資有価証券11,410百万円を保有しており、総資産に対して23.6%を占めております。当社では、保有している投資有価証券について定期的に保有方針の見直しを行うことにより、リスク低減を図っておりますが、保有する有価証券の多くは時価のある有価証券であるため、株価の動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。現時点において必要な減損等の処理はしておりますが、経営環境の著しい悪化による収益性の低下等により、減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 売上債権の回収
当社グループは、取引先ごとに個別に与信限度額を設定し、その範囲内で取引を行う等、与信管理には細心の注意を払っております。しかし、取引先の急激な経営の悪化や倒産等により、売上債権の回収に支障が出た場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 法規制
当社グループの事業は、事業を展開する様々な国において、事業投資の許可、国家安全保障等による輸出入制限等の政府規制を受けるとともに、国内においても、主なものに、消防法に基づく危険物の取扱に関する規制、毒物及び劇物取締法に基づく保健衛生上の規制、産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく環境汚染に対する規制、下請代金支払遅延等防止法に基づく親事業者の規制、建設業法に基づく営業許可の規制、関税法に基づく保税蔵置場の規制等の法的規制を受けております。これらの法規制の変更や規制の強化により、その対応のための設備投資や関連費用が発生する場合や今後法令違反等が発生することで、これらの許認可等が停止もしくは取消しとなった場合または許認可が更新できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 品質リスク
当社グループが、当社ブランドで製造委託し、販売している製品は、厳重な品質管理体制のもと製造、出荷しております。不具合等が発生した場合には迅速な対応を行う管理体制を構築していますが、製造物責任法に関する問題が発生した場合には、社会的評価、企業イメージ低下のリスクがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 重要な訴訟のリスク
当社グループは、コンプライアンス体制の構築に努めており、将来問題となる懸念のあるものについては、顧問弁護士と連携し、訴訟リスクに対しては細心の注意を払って業務を遂行しておりますが、何らかの要因により訴訟を提起される可能性があります。訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 情報管理に関するリスク
当社グループは、顧客情報等の重要な情報の管理については、「情報管理規程」、「個人情報取扱規程」等の社内規程を制定し、コンピュータシステム面においても十分なセキュリティ対策を講じておりますが、 不測の情報漏洩やシステム障害が発生する可能性は否めず、その場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 資金使途に関するリスク
当社グループが計画している自己資金の使途については、設備投資、子会社への融資、運転資金及び借入金の返済に充当することを予定しております。しかしながら、上記資金使途へ予定どおり投資した場合においても想定どおりの投資効果が得られない可能性があります。また、当社グループを取り巻く外部環境の急激な変化等により、現在計画している資金使途以外の目的に変更する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、アフターコロナに向けた社会経済活動の正常化が進み、景気は持ち直しの動きが見られました。また、当社グループの主たるお客様である自動車業界においては、半導体不足の緩和により自動車生産は回復傾向で推移致しました。
当社グループが主に関連する塗料業界におきましては、日本塗料工業会の集計によりますと、2024年3月時点で出荷数量では前期比2.1%減の150万トン、出荷金額では前期比3.3%増の7,321億円となりました。
当社グループはこのような状況の中において、マーケティング活動を強化し、当社グループのコア事業である塗料関連事業と電気・電子部品事業のシナジーを高め、ものづくり現場のデジタル化、グローバル化を推進しました。また、お取引先様の課題解決に的を絞り、急速に変化し続ける経済環境下においても通用する価値を提供して、新たな需要を創造していくとともに、事業活動を通じてSDGs等の社会課題の解決に貢献してまいりました。さらに、これらの事業を展開する上で、事業構造や経営資源の配分を抜本的に見直し、収益体質を強化することに努めてまいりました。
その結果、財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末の29,657百万円に比べ1,872百万円(6.3%)増加し、31,530百万円となりました。その主な内訳は、現金及び預金が2,032百万円、電子記録債権が614百万円それぞれ増加し、受取手形が301百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末の15,812百万円に比べ1,082百万円(6.8%)増加し、16,895百万円となりました。その主な内訳は、投資有価証券が909百万円、退職給付に係る資産が251百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末の21,978百万円に比べ812百万円(3.7%)増加し、22,790百万円となりました。その主な内訳は、電子記録債務が1,925百万円、未払法人税等が431百万円それぞれ増加し、支払手形及び買掛金が1,584百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末の4,173百万円に比べ458百万円(11.0%)増加し、4,631百万円となりました。その主な内訳は、長期借入金が300百万円、繰延税金負債が143百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末の19,318百万円に比べ1,684百万円(8.7%)増加し、21,002百万円となりました。その主な内訳は、利益剰余金が1,220百万円、その他有価証券評価差額金が176百万円、退職給付に係る調整累計額が120百万円それぞれ増加したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は71,049百万円(前連結会計年度比10.4%増)、営業利益は930百万円(前連結会計年度比34.5%増)、経常利益は1,212百万円(前連結会計年度比23.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,526百万円(前連結会計年度比134.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(塗料関連事業)
塗料関連事業では、主たるお客様である自動車メーカーの生産台数が、前連結会計年度と比較すると増加したこと、塗装設備完工による完成工事高が増加したこと等により、売上高は増加しました。
その結果、塗料関連事業の業績は、売上高は前連結会計年度比7.1%増の49,701百万円、セグメント利益は前連結会計年度比27.4%増の2,442百万円となりました。
(電気・電子部品事業)
電気・電子部品事業では、主たるお客様である自動車メーカーの生産台数が、前連結会計年度と比較すると増加したことに加えて、為替が円安で推移したこと等により、売上高は増加しましたが、当社子会社であるユニ電子㈱において、次世代カーナビゲーションソフトウエアの開発費を原価に計上したため、利益は減少しました。
その結果、電気・電子部品事業の業績は、売上高は前連結会計年度比19.0%増の21,348百万円、セグメント利益は前連結会計年度比12.7%減の451百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ2,032百万円(46.6%)増加し、6,393百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,919百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,217百万円及び仕入債務の増加額291百万円の収入、法人税等の支払額333百万円及び売上債権の増加額283百万円の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、178百万円の収入となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入1,200百万円、投資有価証券の取得による支出780百万円、固定資産の取得による支出293百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、121百万円の支出となりました。これは主に、短期借入金の純増加額957百万円、長期借入れによる収入500百万円、長期借入金の返済による支出1,200百万円、配当金の支払310百万円によるものであります。
③ 仕入、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
b.受注実績
受注と販売との差異は僅少であるため、受注高の記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における商品販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、経営者によって一定の会計基準の範囲内で見積りを行い、その結果を資産・負債や収益・費用の数値に反映しておりますが、実際の結果はこの見積りと異なる場合があります。
重要な会計方針及び見積りの内容は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(注記事項)(連結財務諸表作成の基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」及び「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (注記事項) (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は、売上高は71,049百万円(前連結会計年度比10.4%増)、営業利益は930百万円(前連結会計年度比34.5%増)、経常利益は1,212百万円(前連結会計年度比23.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,526百万円(前連結会計年度比134.7%増)となりました。
a.売上高及び売上総利益
主たるお客様である自動車メーカーの生産台数が、前連結会計年度と比較すると増加したことに加えて、塗装設備完工による完成工事高が増加したことや為替が円安で推移したこと等により売上高、売上総利益ともに増加しました。
その結果、売上高は71,049百万円(前連結会計年度比10.4%増)、売上総利益は8,679百万円(前連結会計年度比7.3%増)となりました。
b.販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は、7,749百万円(前連結会計年度比4.7%増)となりました。これは主に、OLDAS開発に伴う研究開発費や販売管理システム更新により減価償却費が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は930百万円(前連結会計年度比34.5%増)となりました。
c.営業外収益、営業外費用及び経常利益
営業外収益につきましては、為替差益や関連会社にかかる持分法による投資利益等の減少により、357百万円(前連結会計年度比0.1%減)となりました。営業外費用につきましては、支払利息等の増加により75百万円(前連結会計年度比14.1%増)となりました。その結果、経常利益は1,212百万円(前連結会計年度比23.3%増)となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益が2,217百万円(前連結会計年度比126.2%増)となり、法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,526百万円(前連結会計年度比134.7%増)となりました。
e.キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析)
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの運転資金需要は、商品仕入の他、人件費、物流費等の販売費及び一般管理費が主なものであります。また、設備資金需要は、塗装技術開発機能の強化、営業所の維持管理・保守などを目的とした設備投資が主なものであります。今後、グローバルな事業展開の継続にあたり、成長市場への進出、事業拡大のための投資を行っていく予定であります。
当社グループは、事業活動のための適切な資金の調達及び適切な流動性を安定的に確保することを基本方針としております。短期的な運転資金の需要に対しては、主に自己資金やシンジケートローンによるコミットメントライン等により、また長期的な運転資金の需要に対しては、必要に応じて金融機関からの長期借入を行っております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 経営戦略の現状と見通し
中期経営計画につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
2025年3月期の連結業績予想につきましては、売上高は72,000百万円(当連結会計年度比1.3%増)、営業利益は1,150百万円(当連結会計年度比23.6%増)、経常利益は1,350百万円(当連結会計年度比11.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は900百万円(当連結会計年度比41.0%減)を見込んでおります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社グループでは、当社塗膜形成部が主体となり、当社が長年蓄積してきた塗装技術に関するノウハウをベースとして、コーティングに関する技術開発を行っております。当社の研究開発は、顧客に対して最適塗装条件・工法の提案、新しいコーティング技術の開発等、塗膜形成に関する顧客の課題を解決できる商品、サービスを創出することを研究開発活動の方針としております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は
当連結会計年度における主な研究成果は次のとおりであります。
(1) 塗料関連事業
塗料関連事業におきましては、塗装現場管理システム(OLDAS)のモジュールやソフトウエア開発を行っております。また塗膜形成部において、対象物の機能向上を目的とした表面処理技術及びその工法や、高い塗着効率を実現する塗装工法の開発を行っており、その中には、航空機の燃費改善によるCO2排出量削減を目指し、お客様と共同開発にて、機体外板の塗膜上にリブレットを施工した航空機による飛行実証実験を進めております。いずれも将来の実用化に向けた開発、検討段階にあります。
(2) 電気・電子部品事業
電気・電子部品事業におきましては、センサー製品の試作品作成や、外部機関での評価試験費用を研究開発費として支出しております。