第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営の基本方針

ビジョン・ミッション・バリューズ

当社グループの経営理念として、基本理念、ビジョン(目指す世界観)、ミッション(果たす役割)、バリューズ(大切にする価値観)を掲げています。

 

 

基本理念

 

私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、

一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す

ビジョン

(目指す世界観)

 

 

Follow Your Heart

一人ひとりが、自分に素直に、自分で決める、自分らしい人生。本当に大切なことに夢中になれるとき、人や組織は、より良い未来を生み出せると信じています。

ミッション

(果たす役割)

 

 

 

 

 

 

 

まだ、ここにない、出会い。

より速く、シンプルに、もっと近くに。

 

私たちは、個人と企業をつなぎ、より多くの選択肢を提供することで、「まだ、ここにない、出会い。」を実現してきました。

 

いつでもどこでも情報を得られるようになった今だからこそ、より最適な選択肢を提案することで、「まだ、ここにない、出会い。」を、桁違いに速く、驚くほどシンプルに、もっと身近にしていきたいと考えています。

バリューズ

(大切にする価値観)

新しい価値の創造

 

世界中があっと驚く未来のあたりまえを創りたい。遊び心を忘れずに、常識を疑うことから始めればいい。良質な失敗から学び、徹底的にこだわり、変わり続けることを楽しもう。

 

個の尊重

 

すべては好奇心から始まる。一人ひとりの好奇心が、抑えられない情熱を生み、その違いが価値を創る。すべての偉業は、個人の突拍子もないアイデアと、データや事実が結び付いたときに始まるのだ。私たちは、情熱に投資する。

社会への貢献

 

私たちは、すべての企業活動を通じて、持続可能で豊かな社会に貢献する。

一人ひとりが当事者として、社会の不に向き合い、より良い未来に向けて行動しよう。

 

 

 

 

これらを実現するため、当社グループが創業より大切にし活用してきたリボンモデルをビジネスモデルの基礎としています。リボンモデルとは、個人ユーザーと、企業クライアントのマッチング・プラットフォームを作り出し、より多くの最適なマッチングソリューションを提供することにより双方の満足を追求するビジネスモデルです。

 

現在は、テクノロジーとデータを活用することで、マッチングの更なる効率性向上と高速化に注力し、個人ユーザーに対して最適な選択肢を提供し、企業クライアントに対して更なる業務効率化を支援しています。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、長期的な利益成長と企業価値及び株主価値の最大化に向け、新規事業投資や研究開発、M&A等の成長投資を機動的且つ積極的に実行していきます。そのための主な経営指標を調整後EBITDAと設定し、調整後EBITDAの達成度を役員の報酬に連動させることにより、株主の皆様との価値共有を促進しています。また、サステナビリティ目標の達成度を一部の役員の報酬に連動させ、取組みを強化しています。詳しくは、「(3)経営戦略」「Prosper Together」をご参照ください。

 

(3) 経営戦略

当社グループは、テクノロジーの進化等により急速に変化する事業環境に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取組んでいます。

 

HRテクノロジー事業、マッチング&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業が、グローバル人材マッチング市場において、マッチング&ソリューション事業の販促領域が日本において、インターネット広告事業にとどまらず、テクノロジーを駆使して企業クライアントの業績向上及び生産性改善をサポートするソリューションプロバイダーに進化することを目指しています。

 

加えて、不確実性が高まる中で持続的な企業価値向上を目指すためには、健全なガバナンスの基で、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、すべてのステークホルダーとの共存共栄を目指す必要があると考えています。そのため、ESG(環境・社会・ガバナンス)について具体的な目標を掲げ、社内外ステークホルダーとの対話を重視しながら、その実現に向けて取組んでいます。

 

 

① 当社グループ全体の経営戦略

当社グループ全体の経営戦略と対処すべき課題は、以下のとおりです。

 

Simplify Hiring - 人材マッチング市場における採用プロセスの効率化

 

当社グループは、求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、採用オートメーション市場及び人材派遣市場の総称を人材マッチング市場と定義し、求職者がより速く容易に仕事を得られることや、企業クライアントの採用に係るコストと時間を削減することを通じた人材マッチング市場における採用プロセスの効率化に取組んでいます。当社グループの人材関連事業全体で連携し、人材マッチング市場全体をターゲットとして、Simplify Hiringの実現に向けて取組んでいます。

 

当社グループは、事業を展開しているすべての人材マッチング市場において、数多くある採用プロセスを自動化し、マッチングの質とスピードの向上に取組んでいます。各サービスが持つ膨大なデータをAIや機械学習技術と組み合わせて活用することで、採用プロセスを簡素化し、求職者と企業クライアントにさらなる価値を提供することを目指しています。長期的には、ボタンをクリックするだけで完了するような、より速く効率的で、公正な求職者と企業クライアントのマッチングを目指します(注1)。

 

HRテクノロジー事業は、世界有数のオンライン求人マッチングプラットフォーム及び企業求人サイトであるIndeedとGlassdoor(注2)を含む、求職者と採用企業からなるグローバル人材マーケットプレイスを運営しており、Simplify Hiring戦略推進の中心的な役割を担っており、求職者と中小企業や大企業、派遣会社といった事業規模を問わず数多くの企業クライアントのマッチングを可能にしています。

 

HRテクノロジー事業のプラットフォームに掲載されている求人は、公開情報からアグリゲートされたもの、採用管理システム(以下、ATS)を通じて投稿されたもの、企業クライアントにより直接プラットフォームに投稿されたものがあり、求人件数は3,000万件以上(注3)にのぼります。更に、求職者は数十億もの企業評価、企業レビュー、給与情報(注4)にアクセスできるため、それらの情報に基づいた仕事やキャリアに関する意思決定をすることができます。より簡単で速く、また、一人ひとりに合った求職活動を支援するため、求人情報の検索やレコメンデーション、経歴書の掲載やプロフィールの作成、キャリアアドバイス、動画や電話による面接の設定や実施等、求職活動に関わる一連のツールを提供しています。

 

企業クライアントに対しても同様に、AIを活用して、より簡単で、速く、また一社一社に合わせた採用活動を支援するソリューションを提供しています。IndeedとGlassdoorは、求人広告の掲載や採用のための企業ブランディング等を通して、多様な求職者へのアプローチを可能にしています。また、ペイフォーパフォーマンスモデルあるいはサブスクリプションモデルのソーシング、スクリーニング、採用候補者とのやり取りや面接といった採用プロセスに係るサービスを提供することで、効率的な採用活動を支援しています。

 

Indeedを採用のために毎年利用する企業クライアントは350万社(注5)、求人検索、経歴書作成、企業研究等の採用プロセスに参加するIndeedのユニークビジターは毎月3億5,000万人(注6)、Glassdoorのユニークビジターは毎月5,500万人(注7)であり、これらの数値が、IndeedとGlassdoorが構築する人材マーケットプレイスの規模を示しています。2023年12月末までにHRテクノロジー事業が運営するウェブサイト上に登録されている求職者のプロフィールは5億2,500万件にのぼります(注8)。

 

人材マーケットプレイスの効率性と有効性を高めるためには、求職者と企業クライアントをマッチングするプロセスの改善が不可欠です。そのためには、当社サービスが使用する情報の正確性と適時性を改善し続けながら、AIや機械学習技術を活用し、求職者には最適な求人のレコメンデーションを、又企業クライアントには最適な候補者リストを提供することが必要です。加えて、この改善を可能にするためには、当社サービスの人材マーケットプレイスにおける求職者とのエンゲージメントを高めることも不可欠です。求職者がログインをしてプロフィールを作成することで、当社サービスは求職者のスキルや好みをより深く理解することができ、よりパーソナライズされた求人情報を提供することができるようになります。これにより、求職者はより良いユーザー体験を得られるだけでなく、より効率的に適切な就職の機会を見つけることができるようになります。

 

更に、当社サービスがマッチング成立あるいは不成立の要因を理解することも、求職者と企業クライアントそれぞれにとって極めて重要だと考えています。当社の人材マーケットプレイスでは、求職者と企業クライアントの間で、メッセージのやり取り、電話、応募書類の提出、面接の申し込みや返信のリマインド、採用オファー等のやり取りが行われています。また、外部ATSとの連携を増やすことで、更に多くのデータをIndeedプラットフォームに集約し、マッチング精度の向上に取組んでいます。マーケットプレイス上でのやり取りを、採用プロセスにおけるそれぞれのステップごとに追跡することで、求職者と企業クライアント双方の視点から、何故次のステップに進むことができたのかという貴重な情報を得ることができます。

 

採用プロセスの効率化の進捗度合いを表す指標は、Indeed及びGlassdoor上における1分当たりの平均採用者数(注9)であると考えています。この指標はマッチング精度の向上、採用プロセスの自動化、企業クライアントとの関係性の深化の進捗を計るものであり、これら要素の改善はさらなる採用者数の増加に繋がります。2023年の1分当たりの平均採用者数は、社内測定に基づくと23名となりました。

 

また、Simplify Hiringを実現することを目指し、当社グループ全体が保有する企業クライアントとの関係性、オフライン、オンラインを合わせたすべてのユニークなデータを活用した機械学習やAIのテクノロジーを活用し、グループの人材関連事業全体でマッチングエンジンの進化に取り組んでいます。

 

この一例が、Indeed PLUSです。Indeed PLUSは、HRテクノロジー事業のプラットフォームに関するテクノロジーの強みと、タウンワークやリクナビNEXTをはじめとする、マッチング&ソリューション事業人材領域のジョブボードに蓄積されたデータや知見を組み合わせた求人配信プラットフォームで、日本国内の求職者と企業クライアントのマッチングをより効率化するサービスです。人材領域のジョブボードのうち、6つのジョブボードは既にIndeed PLUS 利用ジョブボードとなっています。Indeed PLUSにより、求職者はより多くの求人の中から仕事を選択することが可能になり、また、企業クライアントは最大で国内主要求人サイト利用者の約7割にリーチすることが可能となる等、より多くの候補者の中から求める人材を、より速く、効率的に採用することが可能になります。

 

また、人材紹介サービスであるリクルートエージェントやリクルートダイレクトスカウトでは、当社グループのマッチングエンジンを活用し、経歴書のスクリーニング等これまで人が手作業で行っていた工程の効率化を進めています。日本市場で60年以上、人材マッチングビジネスを運営する当社のノウハウやデータと、このマッチングエンジンを連携させることで、日本国内でのSimplify Hiring戦略を今後加速度的に進めていきます。

 

更に、人材派遣事業では、当社グループが持つ独自のマッチングエンジン等のテクノロジーを活用することに注力しています。従来の人材派遣の事業プロセスにデータの活用や自動化を導入することで、企業クライアントにより良い採用体験を、派遣社員にはより良い求職体験を提供していきます。マッチングの精度とスピードを改善し、派遣社員の定着率を向上させ、手作業のプロセスを自動化することで、人材派遣市場をリードする最も革新的なプラットフォームとなることを最終目標としています。一例として、HRテクノロジー事業のアプリベースのe-staffingマーケットプレイスであるIndeed Flexと連携することにより、求人情報や、給与の選択肢及び柔軟な労働スケジュールを提供しています。

 

当社は、企業クライアントの採用活動の低下や求職者の求職活動の増加をはじめ、労働市場の平準化が進んだことにより、2023年のグローバル人材マッチング市場の規模が3,020億米ドル程度(注10)に縮小したと推定しています。

 

 

人材マッチング市場規模 (推定)

 

 

 

2022年

2023年

単位:十億米ドル

2023年5月15日時点

求人広告及び採用ツール市場(注11,12)

32

31

人材紹介市場(注13,14)

61

58

エグゼクティブサーチ市場(注13,14)

42

37

人材派遣(注15,16)

128

116

採用オートメーション市場(注17,18)

64

60

合計(注19)

327

302

 

 

求人広告及び採用ツール市場
2023年におけるオンライン求人広告及び採用ツール市場は、グローバルでの年間売上金額ベースで290億米ドル程度(注11)と推定しています。一方で、当社グループがグローバルで2023年における年間売上金額ベースが20億米ドル(注12)を超える規模と見積もるオフライン求人広告市場は、今後もオンライン求人広告市場に流入を続けながら縮小していくと考えています。

 
人材紹介市場
人材紹介市場は、2023年におけるグローバルでの市場規模を年間売上金額ベースで580億米ドル程度(注14)と推定しており、同市場における多くのサービスは属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルを採用しています。


エグゼクティブサーチ市場
2023年におけるエグゼクティブサーチ市場はグローバルでの年間売上金額ベースで370億米ドル程度(注14)の市場規模であると推定しており、同市場における多くのサービスは、人材紹介市場と同様に属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルによるものです。

 
人材派遣市場
2023年における人材派遣市場は、グローバルでの年間売上金額ベースで5,460億米ドル程度(注16)の市場規模であると推定しており、売上金額から派遣スタッフの給料や関連する費用を控除した売上総利益金額は1,040億米ドル程度(注16)と推定しています。人材プラットフォーム(注20)、人材派遣プラットフォーム(注21)及びVMS/FMS(注22)における2023年のグローバルでの年間推定売上、並びにMSP(注23)及びRPO(注24)により代替可能な企業クライアントのリソースの年間推定金額(自動化によって得られる企業クライアントのコスト削減効果を考慮)もこの市場に含まれています。伝統的な人材派遣市場とこれらの新規市場の関連性及び人材派遣のサービスプロバイダーが新規市場のサービスの一部又は全部を提供する頻度を考慮し、当社は新規市場を人材派遣市場として統合することが適切であると考えています。なお、2023年のこれらの市場規模の合計は約1,160億米ドルであると推定しています。当社グループは、同市場において短期的には、テクノロジーを活用して人材派遣事業の効率化に繋がるオンラインプラットフォームサービスを提供し、長期的にはこれらのソリューションを通して市場の変革を図ります。当社は、人材派遣市場における革新的なソリューションの開発を模索し、それを新規及び既存事業に応用することで、データやテクノロジーを活用した将来の事業機会に繋げることを目指します。

 
採用オートメーション市場
当社が既に一部で事業展開を行っている採用オートメーション市場は、2023年において、600億米ドル程度(注18)の市場規模であると推定しています。市場規模は、企業クライアントが人材採用のために社内リソースに費やしている金額を基に、その金額のうちどの程度が第三者による採用オートメーションサービスによって代替可能であるかを推定することに加え、自動化によって得られる企業クライアントのコスト削減効果を考慮した上で算出しています。更に、採用プロセスにおいて現在使用されている自動化ツールをより包括的に含めるため、この市場には、ATS市場における2023年のグローバルでの年間推定売上(注25)と身辺調査のうち、第三者によるサービスによって代替可能な社内リソースの年間推定金額(注26)も含まれます。


人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、採用オートメーション市場は、候補者のソーシングやスクリーニング、面接の設定、候補者の選定や配属といった、多くのサービスにおいて属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルを採用しているとされてきました。当社グループはデータや自動化を活用し、これらの作業を効率化するソリューションを、業界平均よりも低価格で採用担当者や企業経営者に提供することを目指します。それによって、当社がサービスを提供する企業クライアント数を更に増やし、採用予算のうち、より多くのシェアを獲得することを目指します。

 

(注1)

当社グループは当該領域において法的規制が存在する可能性を認識しており、それらの規制を遵守するよう努めています。

(注2)

comScoreに基づく2024年3月の訪問数

(注3)

2023年1月から12月においてIndeedに掲載されていた求人数の1日当たり平均

(注4)

2024年3月末時点のIndeed上のグローバルでの企業評価、企業クチコミ、給与情報の累計数(約40億件)

(注5)

2024年3月時点における直近12ヶ月のアクション数に基づく社内データ

(注6)

社内データに基づく2023年10月から2024年3月までの期間にIndeedのウェブサイトを訪問したクッキーIDの月間平均数

 

(注7)

Google Analyticsを用いた社内データに基づく2023年10月から2024年3月までの期間におけるGlassdoorのウェブサイトを訪問したクッキーIDの月間平均数クチコミ

(注8)

社内データに基づくHRテクノロジー事業が運営するウェブサイト上で2023年12月31日までに登録された、メールアドレス認証済みの求職者の累計アカウント数

(注9)

1分当たりの採用者数は、年間採用者数を一年当たりの分数で割ることで算出される数値です。特定の求職者が特定の日付に特定の仕事に採用された場合に採用者数としてカウントしています。企業クライアント又は求職者がアンケートを通じて採用の意思表示をした場合や、Indeedのレジュメやメッセージ機能において、採用が行われたという明確な証拠が確認された場合に採用者数としてカウントされます。

(注10)

求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、及びエグゼクティブサーチ市場における売上金額ベースのそれぞれの市場規模、採用オートメーション市場において企業クライアントが人材採用のために社内リソースに費やしている金額のうち、第三者による採用オートメーションサービスへ代替可能な金額の推定値及びATSと身辺調査の市場規模、並びに人材派遣市場における売上総利益ベースの市場規模及び人材プラットフォーム、人材派遣プラットフォーム、VMS/FMS、MSP、RPOの市場規模に関する当社グループ及び第三者機関の市場データによる推計値の単純合計額。推計値の算出方法は以下の注記をご参照ください。

(注11)

各年におけるHRテクノロジー事業の売上に、当社グループがHRテクノロジー事業のサービスを提供している国のオンライン求人広告における主要な競合他社の売上総額についての第三者機関のレポートの数値を当社グループの推計に基づき修正した金額及びLinkedInのタレントソリューション事業の年間売上金額について同社の公表資料からセルサイドアナリストのモデル及び当社グループの推計に基づき修正した金額を合算した、オンライン求人広告及び採用ツール市場の規模

 

(注12)

各年のオンライン求人広告及び採用ツール市場の市場規模に、各年における広告市場全体におけるオンライン広告及びオフライン広告(但し、テレビ、映画及びラジオ広告等を除く。)の比率(第三者機関のレポートに基づく。)を乗じて算出した、オフライン求人広告市場の規模。なお、表中の数値は、オンライン求人広告及び採用ツール市場規模の数値と、オフライン求人広告市場規模の数値を合計したもの

(注13)

人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場における2022年の数値は、SIA, Global Staffing Market Estimates and Forecast: November 2022 Updateに基づく2021年に推定されるグローバル人材市場の成長率11%を2021年のグローバル人材市場の売上金額と推定される6,200億米ドルに適用して得られた2022年の売上推定金額とされる6,880億円に、そのうち「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」が占める割合である15%を適用して市場規模を算定。同資料においては、人材紹介市場を「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」の一部と分類し、「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」をグローバル人材市場の一部と分類しています。人材紹介市場の市場規模は、上記SIAの資料におけるグローバル人材市場規模の数値に対し、当社が第三者機関から入手した非公開の市場データである当該セグメントのグローバル人材市場に対する国別の人材紹介市場比率を適用して算定。エグゼクティブサーチ市場は、人材紹介市場を除いた「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」の一部として定義され、これら2つのセグメント間の差分として算定

(注14)

人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場における2023年の数値は、SIA, Global Staffing Market Estimates and Forecast: November 2023 Updateに基づく、2023年に推定されるグローバル人材市場の成長率△2%を2022年のグローバル人材市場の売上金額と推定される6,540億米ドルに適用して得られた6,400億米ドルに、そのうち「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」が占める割合として、15%を適用して市場規模を算定。同資料においては、人材紹介市場を「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」の一部と分類し、「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」をグローバル人材市場の一部と分類しています。人材紹介市場の市場規模は、上記SIAの資料におけるグローバル人材市場規模の数値に対し、当社が第三者機関から入手した非公開の市場データである当該セグメントのグローバル人材市場に対する国別の人材紹介市場比率を適用して算定。エグゼクティブサーチ市場は、人材紹介市場を除いた「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」の一部として定義され、これら2つのセグメント間の差分として算定

(注15)

人材派遣市場における2022年の数値は、SIA, Global Staffing Market Estimates and Forecast: November 2022 Updateに基づく、2022年に推定される人材派遣市場の成長率11%を2021年の人材派遣市場の売上金額5,270億米ドルに適用して算出した2022年の売上金額5,850億米ドルに、2022年におけるグローバル人材派遣上場企業の売上金額上位3社の売上総利益率の加重平均19.85%を適用して算出した額

(注16)

人材派遣派遣市場における2023年の数値は、SIA, Global Staffing Market Estimates and Forecast: November 2023 Updateに基づく、2023年に推定される人材派遣市場の成長率△2%を2022年の人材派遣市場の売上金額5,550億米ドルに適用して算出した2023年の売上金額5,440億米ドルに、2023年におけるグローバル人材派遣上場企業の売上金額上位3社の売上総利益率の加重平均19.30%を適用して算出した額

(注17)

採用オートメーション市場における2022年の数値は、SIA, The Evolution of Recruiting: 2023 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2023(Indeedは当該レポートの作成に関し、作成者に報酬を支払っています。)の、企業クライアントが人材採用に際し社内リソースに費やしている予算のうち40%がテクノロジーに代替可能であることに加え、係るテクノロジーにより企業クライアントがコストを28%削減することが可能になるという仮定に基づいています。グローバル市場規模を算定する上での情報の不完全性を考慮し、SIAは読者に対し、推定される市場規模が上下20%の幅を持つ可能性がある旨を念頭におくよう忠告しています。この市場の定義には、ATS市場及び身辺調査市場が含まれています。

(注18)

採用オートメーション市場における2023年の数値は、SIA, The Evolution of Recruiting: Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2024(Indeedは当該レポートの作成に関し、作成者に報酬を支払っています。)の、企業クライアントが人材採用に際し社内リソースに費やしている予算のうち41%がテクノロジーに代替可能であることに加え、係るテクノロジーにより企業クライアントがコストを37%削減することが可能になるという仮定に基づいています。グローバル市場規模を算定する上での情報の不完全性を考慮し、SIAは読者に対し、推定される市場規模が上下20%の幅を持つ可能性がある旨を念頭におくよう忠告しています。この市場の定義には、ATS市場及び身辺調査市場が含まれています。

(注19)

本項に記載する求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、採用オートメーション市場、及び人材派遣市場の市場規模については、上記の注記に記載のとおり外部の統計資料や公表資料を基礎として当社グループが推計したものであり、その正確性には係る統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模は係る推計値と大きく異なる可能性があります。

(注20)

人材プラットフォーム市場は、企業クライアントと労働者の法的関係を可能にする直接的な臨時労働の取り決めを促進するマーケットプレイスで、SIA, The Evolution of Recruiting: 2023 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2023及びSIA, The Evolution of Recruiting: 2024 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2024(Indeedは当該レポートの作成に関し、作成者に報酬を支払っています。)に基づき、2022年と2023年のグローバルでの年間売上を、それぞれ約20億米ドルと推定

 

(注21)

人材派遣プラットフォーム市場は、企業クライアントと派遣業務の候補者との自動マッチングを促進するマーケットプレイスで、SIA, The Evolution of Recruiting: 2023 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2023及びSIA, The Evolution of Recruiting: 2024 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2024(Indeedは当該レポートの作成に関し、作成者に報酬を支払っています。)に基づき、2022年と2023年のグローバルでの年間売上を、それぞれ約40億米ドルと推定

(注22)

VMS/FMS市場は、ベンダー及びベンダーから派遣された臨時スタッフやフリーランス等企業の臨時雇用者プログラムを管理するための技術を提供するもので、SIA, The Evolution of Recruiting: 2023 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2023及びSIA, The Evolution of Recruiting: 2024 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2024(Indeedは当該レポートの作成に関し、作成者に報酬を支払っています。)に基づき、2022年と2023年のグローバルでの年間売上を、それぞれ約30億米ドルと推定

(注23)

MSP市場は、企業クライアントの臨時雇用プログラムの全部又は一部を自動的に管理するサービスを提供するもので、SIA, The Evolution of Recruiting: 2023 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2023及びSIA, The Evolution of Recruiting: 2024 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2024(Indeedは当該レポートの作成に関し、作成者に報酬を支払っています。)に基づき、2022年と2023年の第三者サービスにより代替可能な企業クライアントのリソースの年間推定金額を、それぞれ約10億米ドルと推定

(注24)

RPO市場は、企業が第3者に代わって、ソーシングからオンボーディングまでの社内採用機能の一部又は全部を自動的に行うもので、SIA, The Evolution of Recruiting: 2023 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2023及びSIA, The Evolution of Recruiting: 2024 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2024(Indeedは当該レポートの作成に関し、作成者に報酬を支払っています。)に基づき、2022年と2023年の第三者サービスにより代替可能な企業クライアントのリソースの年間推定金額を、それぞれ約30億米ドルと推定

(注25)

ATS市場は、応募者を採用プロセスの様々な段階で追跡するためのソフトウエアやその他のツールを企業が提供するもので、SIA, The Evolution of Recruiting: 2023 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2023及びSIA, The Evolution of Recruiting: 2024 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2024(Indeedは当該レポートの作成に関し、作成者に報酬を支払っています。)に基づき、2022年及び2023年のグローバルでの年間売上を約20億米ドルと推定

(注26)

身辺調査市場は、企業がデジタル化された方法で応募者の経歴や資格を確認・審査するもので、SIA, The Evolution of Recruiting: 2023 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2023及びSIA, The Evolution of Recruiting: 2024 Update to Estimating the Addressable Market for Recruitment Automation: January 2024(Indeedは当該レポートの作成に関し、作成者に報酬を支払っています。)に基づき、2022年と2023年の第三者サービスにより代替可能な社内リソースの年間推定金額を約10億米ドルと推定

 

 

 

Help Businesses Work Smarter - 日本国内企業クライアントの生産性及び業績向上

 

Help Businesses Work Smarterは、日本における企業クライアントの生産性及び業績向上に貢献するという戦略です。マッチング&ソリューション事業の販促領域を中心に、各事業分野、つまりバーティカルに特化した販促マッチングプラットフォーム及びそれに付随するバーティカル業務支援SaaSや、バーティカルを問わない業務支援SaaSのAir ビジネスツールズの提供を推進しています。

 
これは、販促マッチングプラットフォームとSaaS、人材マッチングサービスで構成するエコシステム内で、企業クライアントの事業運営に係るすべての経済活動を支える業務を循環、完結させることで実現します。

 
当社はエコシステムの構築にあたって、「個人ユーザーのアクション数(注1)」、「SaaSサービス別アカウント数(注2)」、「決済流通額(注3)」をKPIとしています。

 

個人ユーザーのアクション数(注4)は、マッチングプラットフォーム上で発生した美容院や飲食店、宿泊施設への予約数、求人広告等への応募数を指し、2024年3月期は約4.8億件となり、前年同期比23.2%増となりました。アクション数の増加は、販促領域のマッチングプラットフォームでは企業クライアントの売上増加に繋がり、人材領域では求職者と企業クライアントのマッチング機会の増加に繋がります。マッチング&ソリューション事業全体でアクションデータやマッチングテクノロジーを駆使することで、マッチングプラットフォームの利便性を向上させ、アクション数の増加を目指します。

 

SaaSサービス別累計アカウント数は、2024年3月期末時点で前年同期比18.0%増の約377万アカウントとなりました。事業分野を問わない業務支援SaaSであるAir ビジネスツールズの提供、特にキャッシュレス決済サービスのAirペイがアカウント数の増加を牽引しました。Airペイを通して、当社がマッチングプラットフォームを提供している事業分野以外にも、小売業やサービス業、調剤薬局等、これまで取引がなかった新規企業クライアントの獲得が可能となりました。また、採用管理システム(ATS)のAirワーク 採用管理の新規企業クライアントによる利用も増加しました。

 

当社は、当事業が提供するSaaSの日本における潜在顧客事業所数を438万程度(注4)と推定しており、各事業所による複数のSaaS利用を想定するため、累計アカウント数の拡大余地は依然として大きいと認識しています。この指標の伸長は、当事業の顧客基盤の拡大を意味します。当社は、今後もAir ビジネスツールズが企業クライアントの業務を代替することで顧客基盤が広がっていくと見込んでいます。

 

決済流通額の2024年3月期の実績は約1.8兆円となり、前年同期比43.6%増となりました。これは、Airペイのアカウント数増加に加えて、じゃらんネット、HotPepper BeautyやHotPepperグルメでAirペイによるオンライン決済サービスの利用増加によるものです。予約だけではなく、予約時にマッチングプラットフォーム上で決済まで、当社のエコシステム内で完結させることで、個人ユーザーには支払いにおける利便性の向上、企業クライアントには機会損失の軽減、そして当社にとっては、エコシステム内で生じる決済流通額の拡大に寄与します。この指標の拡大は、新たな収益貢献の可能性があるフィンテックサービスの拡充にとって、その基盤となることから重要になります。フィンテックサービスの例として、企業クライアント向け早期現金化サービスのAirキャッシュや、スマホ1つで支払いもできる請求書管理サービスのAirインボイスがあります。

 

当社は、販促マッチングプラットフォームにSaaSのAir ビジネスツールズを組み合わせることで、企業クライアントと広く事業接点を持つことが可能になります。更に、人材マッチングサービスを加えることで、エコシステム内で企業クライアントの事業運営に係る多くの業務を完結することにより、多様なサービスを継続的に利用いただき、個人ユーザーと企業クライアント双方のライフタイムバリューの効率的な拡大に繋げます。

 

(注1)

2023年4月1日から2024年3月31日までの、リクナビNEXT応募数、タウンワーク応募数、リクルートエージェント応募数、SUUMOカウンター来店個人ユーザーの当社企業クライアントへの送客数、HotPepper Beautyオンライン予約数、じゃらん宿泊予約数、HotPepperグルメオンライン送客数(予約人数)、Airペイ決済回数の合計

(注2)

2024年3月末時点でマッチング&ソリューション事業が日本国内で提供する有料及び無料のSaaSサービス別累計アカウント数であり、各サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブを含みます。

(注3)

Airペイ端末を通じた店舗決済金額(Airペイ QRによるQR決済を含む)及びAirペイ オンラインを通じたオンライン決済における決済金額の合計金額(決済流通額のうちの、ごく一部に当たる決済手数料が当社の売上収益となるため、流通決済額の増減は当社の売上収益の増減と必ずしも比例しません)

(注4)

アクション数については、商品リニューアルによるカウント手法の変更等を遡及的に反映しています。

(注5)

2024年3月末時点でマッチング&ソリューションSBUが日本国内で提供しているSaaSの潜在顧客事業所数の当社推定。総務省・経済産業省「平成33年経済センサス-活動調査結果」及び中小企業基本法における中小企業者の定義等に基づく中小企業者の事業所数を潜在顧客事業所数としています。2024年3月末時点でマッチング&ソリューションSBUが日本国内で提供しているSaaS(Airワーク 採用管理含む)の内容に鑑み、業種にかかわらず全業種においてもSaaS導入可能性があると判断し、すべての業種を潜在顧客事業所数の対象としています。また、潜在顧客事業所数に算入する事業所の規模は、SaaSの現時点における主たる顧客ターゲットに鑑みこれまでと同様、中小企業基本法における中小企業としています。

 

 

Prosper Together -ステークホルダーとの共存共栄を通じた持続的な成長

 

当社は、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、すべてのステークホルダーと共存共栄を目指していくことが、当社の持続的な成長に繋がると考えています。2021年5月に経営戦略として掲げた環境・社会・ガバナンスの目標に対する2024年3月期(注1)の進捗は以下のとおりです。

 

環境(Environment)

短期目標として定めた、当社グループの事業活動におけるカーボンニュートラルは、2022年3月期より継続して、2024年3月期も達成する見込みです(注2,3)。そして、2031年3月期までに目指すバリューチェーン全体を含めたカーボンニュートラル(注2)に向けては、3カ年の実質削減目標(注4)を定めて取組みを進めています。特に、当社の温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量の95%以上(注5)を占めるスコープ3(注2,3)の実質削減に向けては、パートナー企業と協働し、バリューチェーンにおけるGHG排出量測定の精緻化及び削減に向けた打ち手の検討を進めています。

 
また、企業の環境リスクに対する取組みを評価する国際的な非営利団体であるCDPにより、気候変動分野における課題解決と開示の透明性におけるリーダーシップが認められ、2023年調査で最高評価であるAリスト企業に選定されました(注6)。

 
社会(Social)

世界で人材マッチング事業を展開する当社グループとして、人々にとって欠かせない生活基盤である「仕事」の領域で、すべての求職者の雇用機会を拡大し、就業までにかかる期間を短縮することで、社会に大きなインパクトを創出するために2つのコミットメントを掲げています。

 

2031年3月期までに就業までに掛かる時間を半分にするという長期目標に向けては、Indeed上のデータを用いてプロセスの分析が可能な、雇用主の「採用までに掛かる時間(注7)」に着目しています。

 

現在、Indeedのプラットフォーム上の求人募集において、1人目の採用が決まるまでに平均55日間(注8)掛かっていることが分かっています。採用までには、求人情報の掲載、求職者からの応募、そして書類選考や面接といったステップがありますが、Indeedのデータを用いてこのプロセスを分析し、採用までに掛かる時間を短縮するためのプロダクト進化を進めています。

 

例えば、採用に至る求職者からの応募を早めるには、仕事に適した候補者とのマッチングを向上し、自動化によってプロセスを短縮することが重要です。Indeedの「Matched Candidates(マッチト・キャンディデッツ)」(注9)は、Indeed上に登録された履歴書と求人募集のデータを基にAIを活用して、雇用主に対して、仕事に適した候補者を表示する機能です。雇用主は、表示された候補者を求人応募に招待することができます。そして、この機能を利用して招待された求職者からの応募の半数以上が、たった5時間以内に行なわれました(注10)。この成功を受けて、2024年4月より、スピーディなマッチングとスムーズな採用を実現するプロダクト「Smart Sourcing(スマートソーシング)」を通じて、より多くの雇用主がMatched Candidatesを利用することが可能になりました。

 

このように、責任あるテクノロジーの活用を考慮した上で、求職者と雇用主のマッチング向上、求職活動のステップにおける手間の削減とプロセスの自動化によって、就業に掛かる時間の短縮に取組んでいきます。

 

労働市場には、ジョブマッチングのスピードと精度を向上するだけでは解決することが難しい、構造的な偏見(バイアス)や障壁が数多く存在しています。そこで2031年3月期までに累計3,000万人の障壁に直面する求職者の就業を実現する目標を定め、世界で共通した障壁となっている学歴や障がい、犯罪歴(注11)等の5つの障壁を定めて取組みを進めています。

 

2024年3月期は、世界で地政学的な緊張感が高まる中で祖国を離れることを余儀なくされる人が急増し、大きな社会課題となっている難民問題に着目し、これを6つ目の障壁として加え、その低減に取組みました。Indeedでは、難民のバックグラウンドを持つ求職者(注12)に対して、UNHCR(注13)やTENT(注14)といった国際人道支援組織と共同で就職フェアを開催する等の就業支援を行いました。また、当社グループの人材派遣事業では、難民雇用に向けた雇用主への働きかけや、難民の求職者や就労者に対して面接での通訳や翻訳ツールの提供等を行いました。

 

結果として、2024年3月期までに、累計で約690万人の障壁を持つ求職者の就業を実現することができました(注15)。引き続き、インクルーシブでスキルファーストな採用(注16)を促進することで、労働市場のバイアスや障壁の低減に取組んでいきます。

 

当社グループでは、創業以来、従業員一人ひとりの違いを大切にし、その好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで、新たな事業やサービスを生み出してきました。そして、2031年3月期までに当社グループ全体における上級管理職・管理職・従業員それぞれの女性比率を約50%とする目標(注17)に向けては、3カ年目標(注18)を定め、従業員の能力開発に向けた機会の拡大を通じて管理職候補者プールの拡大に取組んでいます。

 

特に、ジェンダーギャップが大きい日本を中心に事業を展開するリクルートでは、女性従業員及び管理職を対象とした研修(注19)に加えて、コーチングメソッドを取り入れた人材育成プログラムを導入し、上司と社内コーチが連携して、女性を含めた従業員一人ひとりの内発的動機を引き出しながらキャリア構築を支援する取組みを強化しています。

 
ガバナンス(Governance)

当社は、経営の透明性と健全性を向上し、経営の意思決定の質を上げるためには、監査役を含む取締役会構成員の多様性を高めることが重要であると考えています。スキルや経験、バックグラウンドの多様性を高めることに加えて、特にジェンダーについては目標を定めて取組んでいます。

 

2031年3月期までに当社の取締役及び監査役全体の女性比率を約50%にする目標(注20)に向けては、当社の中長期戦略の実現に向けて必要となるスキルやバックグラウンドを検討した上で、継続して、取締役候補の検討を行っています。

 

また、当社の業務執行取締役と主にテーマを推進する執行役員に対して、3カ年目標を定めたGHG排出量削減と女性比率向上の達成如何を長期インセンティブ報酬(注21)の一部に連動させ、取組みを強化しています。

 

(注1)

本文書に記載の「20XX年3月期」は、その年の3月31日に終了する会計年度。

(注2)

事業活動における温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量は、スコープ1(自社が管理・所有するオフィスにて直接排出されるGHG)とスコープ2(自社が管理・所有するオフィスにて購入した電力・熱・蒸気エネルギー等の使用を通して間接的に排出されるGHG)の合計。バリューチェーン全体におけるGHG排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出されるGHG)を含むすべて。GHG排出量の測定、排出量に対する第三者認証の取得、残存する排出量に対してオフセットを行った上でカーボンニュートラルの達成を目指す。

(注3)

GHG排出量の数値はGHGプロトコルに基づき算定した概数であり、SOCOTEC Certification Japanによる独立した第三者保証を取得している。

(注4)

GHG排出削減目標は2022年度から2024年度の実績を対象とする。

(注5)

2023年3月期の排出量に基づく数字。

(注6)

CDPは2000年に設立された英国の慈善団体が管理する非政府組織。世界最大級の環境データベースを保有し世界の主要金融機関と協力し、気候変動、フォレスト、水セキュリティの分野に分けて企業が環境に与える影響を明らかにしている。2023年は、気候変動セクターの環境情報開示に応じた約23,000社の中から、400社強がAリストに選定され、うち日本企業はリクルートホールディングスを含む111社。

(注7)

「採用までに掛かる時間」は、Indeed上で求人情報が作成されてから、その求人情報に対して最初の採用が報告されるまでの日数。当社が2031年3月期に向けて掲げる「就業までに掛かる時間を半分にする」目標に変更はないが、Indeed上で計測可能な雇用主側のアクションデータである「採用までに掛かる時間」を基に求職者が採用に至るまでのプロセスの課題を発見し、プロダクトの進化を加速することとした。

 

(注8)

55日間は、2023年12月にIndeedで実測された、求人が作成されてから最初の採用までの平均日数。最初の採用までに720日を超える期間を要した求人(求人全体の約1%)はデータ収集の異常値として除外している。

(注9)

Matched Candidates(マッチト・キャンディデッツ)は、求人に適した候補者の探索を自動化する機能。本機能は、2024年3月期には求人広告を出稿した企業クライアントのみ利用可能だったが、2025年3月期にはスマートソーシングプロダクトの一部として利用可能となった。2024年3月期は、米国、イギリス、カナダ(英語のみ)で利用可能だった。

(注10)

Matched Candidates機能が利用できた米国、イギリス、カナダ(英語のみ)における、2023年4月から2024年3月の数値。

(注11)

米国では3億3000万人の人口に対して、約7,900万人に犯罪歴があり(出典:Prison Policy Initiative, 2024)、犯罪歴がある求職者の失業率は米国平均の約5倍(出典:Prison Policy Initiative, 2022)。

(注12)

紛争、暴力、迫害から逃れるために自国を逃れ、他国に安全を求めた個人 (国連難民高等弁務官事務所が定める定義)。

(注13)

United Nations High Commissioner for Refugees(国連難民高等弁務官事務所)の略。

(注14)

Tent Partnership for Refugeesの略。難民の健康と生活の支援を企業に働きかけることを目的に、2016年に設立された非営利組織。

(注15)

2021年5月1日から2024年3月31日までの間に、世界中の求職者及び雇用主からIndeed上で報告された採用シグナルを通じた就業データの集計。学歴、犯罪歴、軍隊経験、障がいの有無、求職活動のために必要なパソコンやインターネット等を持っていないという労働市場の障壁のうち、少なくとも1つに直面した求職者の就業数の累計。難民のバックグラウンドを持つ求職者は2025年3月期より計測予定。

(注16)

求人に対する候補者を、採用プロセスの初期段階でスキルに基づいて選考する方法。まず学歴で選別する従来の選考方法とは異なり、スキルに基づいた評価を行うことで活躍の可能性がある候補者をリストに含め、業務遂行能力の高い人材を見逃さずに、短期間での採用実現を目指す。

(注17)

上級管理職は、当社及びマッチング&ソリューション戦略ビジネスユニット(Strategic Business Unit、 以下SBU)においては執行役員/専門役員、HRテクノロジーSBUと人材派遣SBUにおいては主要子会社社長/重要機能トップを示す。管理職・従業員の女性比率は、当社、全SBU統括会社及び各SBU配下の主要子会社について集計。管理職は、部下を持つすべての管理職。

(注18)

従業員における女性比率目標は2022年4月1日時点から2025年4月1日時点までの実績を対象とする。

(注19)

28歳前後の女性従業員を対象に、自分の強みを把握しキャリアを前倒しで構築することを学ぶ「Career Cafe 28」、30歳代の女性従業員向けに、キャリアオーナーシップの発揮を支援する「Career Cafe Next Step」、管理職を対象に多様な人材マネジメントについて学ぶ「Career Cafe for BOSS」等の研修を含む。

(注20)

取締役会構成員は、取締役及び監査役の合計を示す。

(注21)

長期インセンティブBIP信託(株式)報酬の一部として設定し、3カ年目標の達成如何によって支給有無を決定する。

 

 

 

 

(4) キャピタルアロケーション方針

当社のキャピタルアロケーションは、以下を優先順位として設定しています。

 

- 既存事業の継続的な成長に資する開発費用及びマーケティング費用

- 安定的な1株当たりの配当の継続的な実施

- 人材マッチング市場におけるHRテクノロジー事業を中心とした戦略的M&A

- 市場環境及び財務状況の見通しを考慮した上での自己株式取得

 

また、個別の投資案件の実行の是非を判断する際には、資本コストを上回るハードルレートを適用する等、資本効率を重視し、ROEを意識した経営に取組んでいます。なお、2024年3月期のROE (親会社所有者帰属持分当期利益率) は19.5%でした。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、すべてのステークホルダーと共存共栄を目指していくことが、当社の持続的な成長に繋がると考えています。そこで当社では、サステナビリティに関する取組みを経営戦略の1つとして位置付け、2021年5月に「サステナビリティへのコミットメント」として、2031年3月期に向けた具体的な時間軸と目標を定め、取組みを進めています。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが本報告書提出日現在に合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1) サステナビリティ全般に対する対応

① ガバナンス

当社では、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会での審議を踏まえて、サステナビリティに関する取組みに必要な体制整備を行い、その取組みを取締役会において監督しています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関するインパクトやリスクと機会の評価、ネガティブインパクトの緩和とポジティブインパクトの拡大、リスク低減と機会獲得に向けた方針、戦略及び計画について議論します。取締役会では、その進捗とともに、対応策を含めた事業計画や投融資を確認し、その進捗を監督しています。

 

そして、サステナビリティ委員会の社内委員である各SBU統括会社のCEOを兼務する当社執行役員は、各SBUにおけるサステナビリティ戦略及び計画を策定し、事業運営の中でネガティブなインパクトやリスクを低減し、ポジティブなインパクトや機会を獲得するための取組みを進めています。

 

また、当社のサステナビリティに関する取組みは、サステナビリティ担当執行役員を責任者として進めています。当該責任者は、取締役会に対して、サステナビリティに関する取組みについて報告します。そして、当該責任者の配下にサステナビリティ所管部署を設置し、当社グループのサステナビリティ関連情報の収集、インパクトやリスクと機会の識別及び評価、その対応方針と戦略の検討、施策の推進及び進捗管理、ステークホルダーとの対話等を行います。

 

② リスク管理

当社では、毎年、サステナビリティに関するステークホルダーの関心テーマを収集し、社会潮流の変化を分析します。そして、サステナビリティ委員会において、サステナビリティに関するインパクトやリスクと機会を評価し、対応すべき課題について審議しています。また、サステナビリティに関するリスクは、当社グループ全体のリスクマネジメントプロセスに統合して評価し、リスクマネジメント委員会において、包括的且つ一元的に管理しています。サステナビリティに関する中長期的なリスクと機会についてはサステナビリティ委員会に委任され、具体的な議論を行います。その結果はリスクマネジメント委員会に連携され、取締役会に報告されます。

 

 

サステナビリティに関するインパクトやリスクと機会の管理体制(役割と会議体)

 


 

サステナビリティ委員会及びリスクマネジメント委員会については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」「(1) コーポレート・ガバナンスの概要」「① 企業統治の体制の概要等について」を、気候関連のリスク管理については本項目「(2)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示」「② リスク管理」を、人的資本に関するリスク管理については本項目「(3)人的資本の強化に向けた社内環境整備・人材育成」「② リスク管理」をあわせてご参照ください。

 

③ 戦略

(a) サステナビリティ重要項目(マテリアリティ項目)

当社では、サステナビリティに関する戦略の立案に向けて、インパクトやリスクと機会に繋がる可能性が高いと考えられる項目として、サステナビリティ重要項目(マテリアリティ項目)を特定しています。2024年3月期は、当社が社会や地球環境に対して与える影響(インパクト)と当社財務に対する影響(財務影響)の2軸で評価するダブルマテリアリティの考え方に基づき、以下のプロセスでマテリアリティ項目を特定しました。

 

ステップ1:サステナビリティ項目の抽出

分析対象となるサステナビリティ項目の包括的なリストを作成しました。リストの作成にあたっては、外部機関が定める基準(注2)を参考にしました。

 

ステップ2:サステナビリティ項目の評価

ステップ1で抽出した各サステナビリティ項目について、ダブルマテリアリティの考え方に基づき、インパクトと財務影響の2軸で評価を行いました。インパクトの評価においては発生可能性と深刻度(範囲・規模・是正困難度)について、財務影響の評価においては発生可能性と影響金額について、それぞれ採点を行い、採点結果を総合して優先順位付けを行いました。採点にあたっては、従業員・個人ユーザー・NGO/NPO・投資家等の多様なステークホルダーとのエンゲージメントを通じて得たフィードバックを活用しました。また、社会潮流の変化を反映すべく、国際機関やNGO/NPO等が公表している情報を参照しました。

 

ステップ3:マテリアリティ項目の特定

ステップ2の評価結果が事業実態に即していることを、各SBU統括会社のCEO及びサステナビリティ担当役員が確認しました。その上で、社外の有識者が参加するサステナビリティ委員会での審議を経て、取締役会においてマテリアリティ項目を決議しました。

 

上記の分析を通じて特定したマテリアリティ項目は以下のとおりです。なお、マテリアリティ項目については、より正確に把握するために、外部機関が定める基準(注2)における詳細項目ごとに分析と特定を行いました。

 

リクルートグループのマテリアリティ項目

 


 

(b) 企業活動の重要基盤

当社では、特定したマテリアリティ項目に関わるインパクトやリスクと機会に対応するための戦略上の重点テーマとして「企業活動の重要な基盤」を定め、取締役会の諮問機関である各委員会での審議を踏まえて取組みを進め、取締役会にて進捗確認をしています。当社が定めた「企業活動の重要な基盤」と、基盤の強化に向けた対策は以下のとおりです。

 

- 地球環境の保全 (マテリアリティ項目1、2に対応)

当社は、すべての企業活動はあらゆる生命の生存基盤である地球環境が健全であってはじめて成り立つと考え、様々な活動を行っています。特に気候変動対策については重要テーマと位置づけ、当社グループ全体で温室効果ガス排出量のカーボンニュートラル達成に向けた目標を定め、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗管理と議論をしていきます。当社の気候変動に対する取組みについては、本項目「(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示」をご参照ください。

 

- 人的資本の強化 (マテリアリティ項目3、4、5に対応)

当社グループでは、従業員の意欲を最大化することを改めて経営の重要テーマとし、特にダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)と従業員の職場におけるウェルビーイング、内発的動機を引き出す社内環境整備と人材育成に重点的に取組んでいます。当社の人的資本に対する取組みについては、本項目「(3) 人的資本強化に向けた社内環境整備・人材育成」もあわせてご参照ください。

 

- 人権の尊重 (マテリアリティ項目7、8、10、11、12、13、14、15に対応)

当社は、当社グループの役員と従業員、当社グループ会社の派遣サービスに登録している方々を直接の保護の対象と位置付けて「リクルートグループ人権方針」を掲げています。また、その中に個人ユーザーの人権をより尊重する方法を追求し、サービスを進化させていく方針を含めています。人権方針は、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて決議しています。

 

 

- データセキュリティ・データプライバシーへの対応 (マテリアリティ項目6、9に対応)

当社は、データセキュリティ・データプライバシー対応を当社グループの重要課題と定め、保有するデータを重要性に応じて分類し、事業内容や国・地域ごとの法規制や保護すべき情報資産の特性に応じて必要な体制や施策を整備しています。また、リスクマネジメント委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認と議論をしています。詳細は「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

- 企業倫理の徹底 (マテリアリティ項目16、17に対応)

当社グループでは、コンプライアンスを法令遵守の枠を越えて企業と個人が適正な行動を行うことで社会的な期待や要請に応えていくことであると位置づけ、事業活動の大前提としています。企業倫理の徹底のため、従業員教育等の施策、内部通報窓口の設置を行うとともに、コンプライアンス委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認と議論をしています。詳細は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」「(1)コーポレート・ガバナンスの概要」「②内部統制システム整備の状況」をご参照ください。

 

- コーポレート・ガバナンス (マテリアリティ項目18に対応)

当社は、取締役 兼 常務執行役員 兼 COOを、サステナビリティ推進を含めたコーポレート・ガバナンスの責任者と位置づけ、指名・ガバナンス委員会及び報酬委員会での審議を踏まえて、取締役会にて適切なコーポレート・ガバナンス体制や役員報酬のあり方を確認しています。当社のコーポレート・ガバナンス方針及び役員報酬については「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

当社では、2021年5月に、経営戦略の1つとして「Prosper Together - ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」を加え、地球環境や社会へのポジティブなインパクトを拡大するための具体的な指標と目標を定めた「サステナビリティへのコミットメント」を発表しました。特に、当社グループが事業として携わっている「仕事」は、人々にとって欠かせない生活基盤です。そこで、サステナビリティのコミットメントの中では、特にS(社会)の領域で事業を通じたインパクトを創出していくことで、主要な機会の獲得を目指しています。

 

E:Environmental 環境

すべての企業活動は、あらゆる生命の生存基盤である地球環境が健全であってはじめて成り立ちます。当社グループでは、気候変動対策として、温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量の削減に取組みます。

 

環境に関するコミットメント(マテリアリティ項目1に対応)

・2022年3月期中に、当社グループの事業活動(注3)において、カーボンニュートラルを目指す

・2031年3月期までに、当社グループの事業活動を含むバリューチェーン全体(注3)において、カーボンニュートラルを目指す

 

また、2031年3月期までに目指すバリューチェーン全体を含めたカーボンニュートラル(注3)に向けては、2015年12月に採択されたパリ協定が求める、地球の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5度未満に抑えることを目指す削減水準に沿った3カ年目標(注4)を定め、排出量削減に向けた取組みを加速しています。また、気候変動への対策に向けて、プロダクトやサービスを通じた貢献も進めていきます。当社の気候変動に対する取組みについては、本項目「(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示」をご参照ください。

 

S:Social 社会

OECDの調査によると、3カ月間収入が無い状態が続くと約40%の人々が貧困に陥ってしまう(注5)ことが分かっています。そこで、働きたいのに就業できない人を無くすことを目指して、求職者と仕事のマッチングを圧倒的に速くすることで失業期間の短縮に貢献します。また、雇用市場にはマッチングの効率化だけではすぐに解決することが難しい、様々な就業への障壁が存在します。そこで、当社グループでは、テクノロジーとパートナーシップを活用してこの障壁を低減することで、あらゆる人々の就業機会を拡大し、その失業期間の短縮に貢献します。

 

ソーシャルインパクトに向けたコミットメント(マテリアリティ項目8、14、15に対応)

・2031年3月期までに、就業までに掛かる時間(注6)を2022年3月期比で半分に短縮することを目指す

・2022年3月期から2031年3月期までに、雇用市場にある障壁を低減することで累計3,000万人(注7)の採用を支援する

 

また、当社では、創業以来、多様な従業員一人ひとりの違いを大切にし、その好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで新たな事業やサービスを生み出してきました。そこで、従業員の価値創造への意欲を最大化することを改めて経営の重要テーマとし、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)に取組みます。特に、ジェンダーについては当社グループ全体で目標を定め、取組みを加速します。

 

従業員の多様性に向けたコミットメント(マテリアリティ項目4、5に対応)

・2031年3月期までに、当社グループ全体における上級管理職・管理職・従業員(注8)それぞれにおける女性比率を約50%にすることを目指す

 

2031年3月期までにそれぞれの女性比率を約50%にする目標に向けては、3カ年目標(注4)を定めて取組みを加速しています。従業員の多様性に関する詳細は「第1 企業の概況」「5 従業員の状況」「(4) 多様性に関する状況」を、当社の人的資本に対する取組みについては、本項目「(3) 人的資本強化に向けた社内環境整備・人材育成」もあわせてご参照ください。

 

G:Governance ガバナンス

経営の透明性と健全性を向上し、経営の意思決定の質を上げるために、取締役会構成員(注9)の多様性を高めます。スキルや経験、バックグラウンドの多様性を高めることに加えて、特にジェンダーについては目標を定めて取組みます。

 

経営の多様性に向けたコミットメント(マテリアリティ項目4、5、18に対応)

・2031年3月期までに、当社の取締役会構成員(注9)の女性比率を約50%にすべく、定時株主総会の選任議案を上程することを目指す

 

2031年3月期までに女性比率を約50%にする目標に向けては、3カ年目標(注4)を定めて取組みを加速しています。また、当社の業務執行取締役と主にテーマを推進する執行役員に対して、3カ年目標を定めたGHG排出量削減と女性比率向上の達成如何を、2023年3月期からの長期インセンティブ報酬(注10)の一部に連動させることを取締役会において決定し、取組みを加速しています。

 

2024年3月期の実績については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「(3)経営戦略」「Prosper Together - ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。

 

(注1)

本文書に記載の「20XX年3月期」は、その年の3月31日に終了する会計年度。

(注2)

外部機関が定める基準として、欧州連合(EU)の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)やサステナビリティ会計基準審議会 (SASB) の「サステナビリティ会計基準」 等を参考にしました。

(注3)

事業活動における温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量は、スコープ1(自社が管理・所有するオフィスにて直接排出されるGHG)、スコープ2(自社が管理・所有するオフィスにて購入した電力・熱・蒸気エネルギー等の使用を通して間接的に排出されるGHG)の合計。バリューチェーン全体におけるGHG排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出されるGHG)を含むすべて。GHG排出量の測定、GHG排出量に対する第三者認証の取得、更に残存する排出量に対してオフセットを行った上で、カーボンニュートラルの達成を目指す。

(注4)

GHG排出削減目標については2023年3月期から2025年3月期、従業員における女性比率目標については2022年4月1日時点から2025年4月1日時点まで、取締役会構成員における女性比率については2022年7月1日時点から2025年7月1日時点までを対象とする。

(注5)

出典:OECD「How's Life? 2020」に基づく、OECD加盟28カ国の数値。

(注6)

Indeedの求人広告プラットフォームにおいて、求職者が仕事に応募してから就業するまでの推定期間。入手できた対象データの平均値。

(注7)

当社のオンライン求人プラットフォームを通じた支援や、当社が協働するNPO等とのパートナーシップを通じた支援等を実施。当社は、2031年3月期に向けて今後新たに発生し得る雇用市場の障壁についても、その低減を目指した取組みを更に追加する可能性がある。

(注8)

上級管理職は、提出会社及びマッチング&ソリューション事業においては執行役員及び専門役員、HRテクノロジー事業と人材派遣事業においては主要子会社社長及び重要機能トップを示す。管理職・従業員の女性比率は、当社グループとして提出会社、SBU統括会社及び各SBU配下の主要連結子会社を集計。管理職は部下を持つすべての管理職を示し、委任契約役員を含む。

(注9)

取締役会構成員は、取締役及び監査役の合計を示す。

(注10)

長期インセンティブ BIP信託(株式)報酬の一部として設定し、3カ年目標の達成如何によって支給有無を決定する。

 

 

(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示

当社では、地球環境の保全は、持続的な企業価値の向上に向けてステークホルダーと共存共栄をする上で重要な企業活動の基盤であると定めています。その上で、特に気候変動については、2031年3月期までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラル(注1)を目指す目標を定めて、温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)の排出削減を進めています。その一環として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、本項目にて、そのフレームワーク(注2)に沿って気候変動への移行計画に関する開示を行っています。

 

(注1)

事業活動におけるGHG排出量は、スコープ1(自社が管理・所有するオフィスにて直接排出されるGHG)、スコープ2(自社が管理・所有するオフィスにて購入した電力・熱・蒸気エネルギー等の使用を通して間接的に排出されるGHG)の合計。バリューチェーン全体におけるGHG排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出されるGHG)を含むすべて。GHG排出量の測定、排出量に対する第三者認証の取得、更に残存する排出量に対してオフセットを行った上で、カーボンニュートラルの達成を目指す。

(注2)

気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)が定める、気候変動関連リスク及び機会を示す項目。

 

 

① ガバナンス

(1)で記載のサステナビリティに関するガバナンスの一環として、気候変動に対するガバナンスを行っています。責任者であるサステナビリティ担当執行役員は、取締役会に対して、気候変動によるリスクや機会の評価、リスク低減と機会の獲得方法について報告します。また、当該責任者配下のサステナビリティ所管部署において、当社グループの環境関連情報の収集、GHG排出量削減の進捗管理、気候変動によるリスクや機会の識別及び評価、その対応方針の検討及び推進、ステークホルダーとの対話や関連調査を行います。

 

② リスク管理

前述のサステナビリティに関するテーマの一環として、気候変動によるリスク及び機会を特定し管理しています。リスク管理に対する取組みについては、本項目「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「②リスク管理」をご参照ください。

 

③ 戦略

a. 戦略の前提

当社は、気候変動によって平均気温が4℃上昇することが世界に大きな影響を及ぼすことを認識し、気温上昇を1.5℃未満に抑制することが重要であると考えています。そこで、複数の気候変動シナリオ(4℃と1.5℃)に基づき、2031年3月期までの短期・中期・長期のリスクと機会の発生可能性と財務影響を評価し、主要なリスクの低減及び機会の獲得に向けた対策を取締役会において確認しています。また、シナリオ分析においては、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)(注1)や国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)等の国際機関及びそれに準ずる調査機関が発行するレポートを参照しています。

 

(注1) 代表濃度経路シナリオ(RCP: Representative Concentration Pathways)8.5, RCP1.9、共通社会経済経路(SSP: Shared Socioeconomic Pathways)5-8.5、SSP1-1.9に該当。

 

 

b. 気候変動による主要なリスク

当社がシナリオ分析を経て特定した主要なリスクとその発生可能性、財務影響は以下のとおりです。財務影響は項目ごとに試算しており、金額根拠の確度が比較的高いと考えられる炭素税のみ数値で示しています。

 

 

なお、2031年3月期に向けて、発生可能性が上昇する見込みである場合は「


」、発生可能性が大きく変化し

 

 

ない見込みの場合は「


」と記載しています。

 

 

気候変動による主要なリスク

発生可能性

財務影響

リスク低減施策

1

カーボンニュートラルに向けたカーボンクレジット価格の高騰


 

2031年3月期に目指す自社の事業活動及びバリューチェーン全体を通したカーボンニュートラルに向けて、オフィスの省エネルギー化と再生可能エネルギーへの転換、リモートワーク推進や公共政策への関与(注2)、主要バリューチェーンへのエンゲージメント等を通してGHG排出量の実質削減を進める。

2

炭素税課税の導入及び

その価格高騰


 

(約4億円
(注1))

3

サーバーの水没や損壊


 

サーバー設置地域の水没や損壊リスクモニタリングを開始し、一定リスクに達した際に移転や代替サーバー等の検討を行う。

 

 

(注1)

2031年3月期時点の炭素税算定における前提は以下のとおり。

炭素税価格はInternational Institute for Applied Systems Analysis提供の"NGFS Climate Scenarios for central banks and supervisors (2023 version, Net Zero 2050シナリオ)"を参照し、約$300/t-CO2とする。

当社グループの事業活動におけるGHG排出量(Scope1,2)は2023年3月期の実績である約9,600t-CO2を用いる。

(注2)

当社グループでは、パリ協定及び気候変動戦略の目標に照らして、気候変動におけるすべてのエンゲージメント活動(バリューチェーンとの協働、業界団体への加盟、公共政策への関与、及び関連する活動の検討等)の実施可否を評価し、担当執行役員の承認を得て実施しています。

 

 

今回の分析を通じて、事業戦略に影響を及ぼす重大なリスクは特定されませんでした。今後も、前述のガバナンス体制の下で気候変動が当社グループに及ぼす影響を注視し、継続的に評価の見直しと情報開示を充実させていきます。

 

c. 気候変動による主要な機会

当社グループが特定した主要な機会とその発生可能性、財務影響は以下のとおりです。

 

 

なお、2031年3月期に向けて、発生可能性が上昇する見込みである場合は「


」と記載しています。

 

 

気候変動による主要な機会

発生可能性

財務影響

1

気候変動への適応に向けた労働移動の取込み


2

低炭素社会実現に向けた求人ニーズの取込み


 

 

今回のシナリオ分析を通じて、当社が定める3つの経営戦略であるSimplify Hiring、Help Businesses Work Smarter そしてProsper Togetherを推進することが、気候変動に対するレジリエンスを高め、主要リスクを低減し、機会を獲得することに繋がることを確認しました。今後も気候変動に関する社会やステークホルダーの動向を注視し、その変化を捉えて当社グループの機会としていくことで、労働市場のレジリエンスと持続可能性の向上に貢献したいと考えています。具体的な取組みについては、本項目「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「サステナビリティへのコミットメント」をご参照ください。

 

 

④ 指標・目標と実績

a. 指標

当社では、GHGプロトコルに則った温室効果ガス排出量(Scope1,2,3の絶対量(注1,2))を、気候関連のリスクと機会を管理する指標に定めています。

 

b. 目標

当社は、2021年5月に発表した「サステナビリティのコミットメント」において、2022年3月期までに自らの事業活動におけるカーボンニュートラル(注1,3)、2031年3月期までにバリューチェーン全体におけるカーボンニュートラルを目指す目標を経営戦略として定めています(注2,3)。そして、カーボンニュートラルの達成に向けては、SBTi(Science Based Targets initiative)より認定を取得した以下の「1.5℃目標」(注4)に基づき排出削減を進めると共に、残存排出量のオフセットを行います。

 

・スコープ1+2(注1):GHG排出量を2030年度までに46.2%削減 (基準年2019年度)

・スコープ3(注2):GHG排出量を2030年度までに30%削減 (基準年2019年度)

 

また、当社の業務執行取締役と主にテーマを推進する執行役員に対して、3カ年目標を定めたGHG排出量削減の達成如何を、2023年3月期からの長期インセンティブ報酬(注5)の一部に連動させることを取締役会において決定しています。詳細は本項目「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「④指標及び目標」をご覧ください。

 

c. 実績

当社では、2020年3月期より、GHGプロトコルに則ったGHG排出量の算定を開始し、2023年3月期の事業活動を通じた排出量(Scope1+2)は9,551t-CO2(前年比+1.6%)(注6)。このスコープ1及び2のGHG排出量については第三者保証(注7)を取得しています。また、短期目標である2023年3月期事業活動におけるスコープ1及び2のカーボンニュートラルは、計画どおり達成しています(注1,3)。

 

 

2020年3月(注5)

(t-CO2)

2021年3月(注5)

(t-CO2)

2022年3月(注5)

(t-CO2)

2023年3月(注5)

(t-CO2)

Scope 1

12,268

7,526

9,053

7,289

Scope 2

(マーケットベース)

29,854

12,831

351

2,262

Scope 1+2

(マーケットベース)

42,122

20,357

9,404

9,551

 

 

(注1)

事業活動における温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量は、スコープ1(自社が管理・所有するオフィスにて直接排出されるGHG)、スコープ2(自社が管理・所有するオフィスにて購入した電力・熱・蒸気エネルギー等の使用を通して間接的に排出されるGHG)の合計。

(注2)

バリューチェーン全体におけるGHG排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出されるGHG)を含むすべて。

(注3)

GHG排出量に対して第三者認証を取得。更に残存排出量に対してオフセットを行い、カーボンニュートラル第三者認証も取得している。2022年3月期及び2023年3月期に引き続き、2024年3月期のカーボンニュートラルも達成予定。

(注4)

The Science Based Targets initiative (SBTi)が定めるGHG排出量削減に関わる短期目標であり、企業が設定する目標値を地球温暖化を産業革命前の温度レベルと比較して1.5℃以内に維持するために必要な削減のレベルと一致させることを前提に定められている。

(注5)

GHG排出削減目標については2023年3月期から2025年3月期の実績を対象とする。長期インセンティブ BIP信託(株式)報酬の一部として設定し、3カ年目標の達成如何によって支給有無を決定する。

(注6)

GHG排出量の数値は、すべて概数。

(注7)

GHG排出量はSOCOTEC Certification Japan及びSCS Global Servicesによる「独立した第三者保証」を受領。

 

 

(3) 人的資本の強化に向けた社内環境整備・人材育成

当社では、人的資本の強化を重要な企業活動の基盤として定め、持続的な企業価値の向上に向けた社会環境の整備と人材育成を進めています。

 

① ガバナンス

当社は、グループの基幹組織設計と主要ポストのサクセション、多様性向上に向けた風土醸成を主軸に人的資本強化に向けたガバナンスを行っています。経営戦略の実現に向けた基幹組織と人事については、指名・ガバナンス委員会での諮問を経て、取締役会において決議しています。また、当社グループの主要事業や機能トップといった主要ポストのサクセションに向けては、経営戦略会議の諮問機関として「人材開発委員会」を設置し、当社CEOが議長となり、戦略ビジネスユニット(SBU: Strategic Business Unit) ごとにサクセション議論とその進捗確認を行なっています。ポストごとに求める職務要件や人材要件を定め、短期・中長期の候補者を選定し、候補者の強みと課題を明らかにした上で育成計画を議論します。そして、年に1回、育成状況の進捗確認を行うことで取組みを加速しています。多様性の向上に向けた施策については「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「③戦略」「(b) 企業活動の重要基盤」を、また従業員の多様性の状況については「第1 企業の概況」「5 従業員の状況」「(4) 多様性に関する状況」をご参照ください。

 

また、人的資本の責任者である取締役兼COOは、取締役会に対して、人的資本に関するリスクや機会の評価、その対応策を含んだ組織人事案について報告します。また、当該責任者の配下に人事所管部署を設置し、経営戦略の実現に向けて最適なグループストラクチャーや基幹人事の検討、主要ポストのサクセション、多様性の向上に向けた風土醸成の推進等を行います。

 

人的資本強化に向けたグループ推進体制

 


 

 

② リスク管理

人的資本に関する中長期的なリスク及び機会の議論は人材開発委員会に委任され、リスク低減と機会獲得に向けた組織人事案に関する具体的な議論を行い、その結果は取締役会に報告されます。また、人的資本に関するリスクについてはリスクマネジメント委員会に連携され、取締役会に報告された上で、当社グループ全体のリスクマネジメントプロセスに統合して評価し、リスクマネジメント委員会において包括的且つ一元的に管理しています。

 

③ 戦略と指標及び目標

当社は、グループの基幹組織設計、主要ポストのサクセションと多様性向上の方針をガバナンスした上で、事業の成功に向けては、ビジネスモデルや事業戦略と人材・組織戦略との合致(アラインメント)が何よりも重要であると考えています。そこで当社では、組織人事に関する主要な権限をSBUに移譲し、事業戦略との接続を強化しています。各SBUでは、事業成功に向けて重要な人的資本に関する指標や目標を定めて取組みを進めていますが、当社が最も重視する多様性向上については、グループで指標と目標を定めて取組みを加速しています。

 

a.多様な個人の好奇心や情熱を最大化する

当社は、創業以来、大切にする価値観(バリューズ)として「個の尊重 - Bet on Passion」を掲げ、多様な従業員一人ひとりの違いを尊重し、その好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで、新たなサービスや事業を生み出してきました。そこで、多様な個人の好奇心や情熱こそが競争優位の源泉であると考え、個人の内発的動機を高めるための社内環境整備を行っています。

 

まず、多様な個人の違いを尊重する起点として、「リクルートグループ人権方針」において、企業活動において階級や人種、肌の色、性別、言語、宗教、ジェンダー、年齢、政治的・その他の意見、国民的若しくは社会的出身、国籍、財産、性的指向、性自認、障がい、出生等を理由とした差別や人権侵害を行わないように努め、すべての人々に平等な機会を提供し、その人らしい生き方や働き方を尊重することを定めています。そして、国や地域、事業に応じて多様性を高めるためのテーマを定めて取組んでいますが、グループ共通の課題であるジェンダーについては、経営戦略の一環として指標と目標を定め、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認をしています。具体的な指標・目標については「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「③主要なリスクと機会」「c. 戦略と指標・目標」「(b) サステナビリティのコミットメント-S(Social)」を、また従業員の多様性の状況については「第1 企業の概況」「5 従業員の状況」「(4) 多様性に関する状況」をご参照ください。

 

また、当社グループでは、人的資本及び知的財産への投資の一環として、多様な個人の内発性動機を最大限に引き出す組織文化の醸成に継続的に取組んでいます。その実現に向けて、例えば、当社及び国内外の主要子会社では従業員エンゲージメント・サーベイを行い、従業員のエンゲージメント向上に向けて対処すべき課題を把握し、組織風土を継続的に改善するサイクルを実施しています。

 

各SBUにおける組織文化の醸成に向けた取組みは以下をご確認ください。

 

HRテクノロジーSBU

 

HRテクノロジーSBUは、当社グループが保有する膨大なデータとテクノロジーを活用して、より効率的な求職活動及び採用活動を実現するためのグローバル人材マッチングプラットフォームを運営しています。この事業成功に向けては、世界中から、エンジニアをはじめとした優秀な人材を獲得し、中長期的な事業価値向上に向けて従業員の意欲を高めていくことが重要です。

 

そこで、2021年より、役員や従業員を対象とした株式交付制度(Employee Stock Ownership Plan信託)を導入し、グローバルに展開する上場テクノロジー企業と比肩する採用競争力を確保するとともに、当社の中長期的な企業価値向上に向けた貢献意欲を高めています。また、主要子会社であるIndeedでは、従業員のパフォーマンス向上やイノベーションの促進、そしてキャリアアップの支援を目的に、様々な研修プログラムを提供してい ま す。たとえば「 Indeedスキルアカデミー」と呼ばれる学習プラットフォームを通じて、従業員は複数のメンバーから成るコミュニティにおいて同僚や専門家から学ぶ、あるいは自分のペースで学ぶ等、自分で学ぶ環境を選択し、継続して学習できるようになりました。

 

また、多様な従業員の働く意欲を高めるために、従業員データを活用して、採用から退職までの従業員ライフサイクル全体における従業員エクスペリエンスの向上に取組んでいます。また、更なる多様性の向上に向けては、候補者の多様性を担保した上で採用面接や任用検討を始めるインクルーシブ・インタビュー・ルールを展開するとともに、従業員主導で会社横断の課題を解決するために組成されているインクルージョン・ビジネス・リソース・グループ(IBRGs)と連携して、様々なマイノリティ従業員のエクスペリエンス改善を目指しています。

 

そして、多様な働き方のニーズに応えるために、従業員の健康やワークライフバランス、ウェルビーイングを高めるための制度や仕組みを整備しています。例えば、必要に応じて有給を追加取得できるオープン有給休暇制度を設定しています。また、快適な在宅勤務に向けた周辺機器の提供や、オフィスにフィットネススペースを用意する等によって快適なワークプレイスの実現を支援しています。

 

マッチング&ソリューションSBU

 

マッチング&ソリューションSBUでは、日本を主な市場として、販促オンラインプラットフォームや人材マッチングサービス、SaaSソリューション等を運営しています。これらの事業成功に向けては、多様な従業員のアイデアや情熱から生まれる市場ニーズを捉えたプロダクトやサービス開発を促進することに加えて、進化を続ける個人が集まりチームとしての力を最大化することが重要です。

 

そこで、「価値の源泉は人」を基本方針として、年齢や入社年次、経験に関係なく従業員の可能性に期待して求める役割と報酬を決める「ミッショングレード制度」、従業員の意志を起点として仕事を通じた能力開発を行う「Will-Can-Mustシート」、組織全体で従業員の進化に向けた機会提供を議論する「人材開発委員会」、自ら手を挙げて仕事機会を獲得する社内異動の仕組みである「キャリアウェブ」、自ら発見した社会の不や違和感から新規ビジネスを創造する「Ring」、イノベーティブな仕事とナレッジを共有する「FORUM」を軸として人材マネジメントを行うことで、従業員と組織の自律的な進化を促進しています。

 

また、事業戦略の実現に向けては、ポストごとに人材要件を定めて人材獲得と育成を進めています。中途採用はもちろん新卒採用においても、ビジネスグロース、プロダクトグロース、エンジニア、データスペシャリスト、デザイン、ファイナンスといった職種別採用を行うことで、個人の志向やスキル、経験を活かした活躍を促進しています。

 

そして、能力開発を促進する配置やミッションアサインといったOJTと、それをサポートするOFFJTを組み合わせて育成を進めています。OFF-JTとしては、プロダクト開発者向けのITブートキャンプ研修や、役割変更後の早期立ち上がりを支援するトランジション研修等様々なプログラムを用意しています。

 

あわせて、「公園(CO-EN/Co-Encounter)」を新たなコンセプトとして、一人ひとりの好奇心や情熱を起点に組織や会社の垣根を超えた協働や協創を生み出し、価値創造につなげる場を目指しています。その実現に向け、個人とチームが自律的に生産性高く働き、創造性を最大限発揮できるように、副業兼業や再入社等を通じて社外で自己実現することも応援する環境を整備し、多様な働き方のニーズに応えています。

 

また、2006年にはDEI推進の専門組織を立ち上げ、多様な従業員の「働きやすさ」向上に向けた制度やサポート体制の整備を進めてきました。そして、2021年からは、多様な個人の活躍を推進する「働きがい」の向上に向けて、まずはジェンダーについて管理職比率の目標を定めて取組みを加速しています。その一つである「管理職要件の明文化」では、女性と男性の両方の管理職候補者が増え、多様なリーダーが生まれる兆しが出てきています。また、エンゲージメントサーベイを含めた様々な従業員データを用いて人的資本を可視化することで、その強化に向けた取組みを加速しています。

 

人材派遣SBU

 

人材派遣SBUは、多くの国や地域や業界で、求職者に就業機会を、企業クライアントに柔軟な労働サービスを提供し、調整後EBITDAマージンの維持改善を通じて安定的な事業運営を目指しています。この実現に向けては、対峙する地域や市場ごとに、EBITDAマージンを最大化するために最適な意思決定を、柔軟且つ迅速に行うことが重要です。

 

この実現に向けて、SBU配下の子会社に「ユニット経営」と呼ばれる経営手法を導入しています。「ユニット経営」では、権限移譲されたユニットの長が、自分のユニットを独立した会社のように運営します。ユニットごとの自由裁量を促すことで責任者の当事者意識を高め、迅速で質の高い意思決定を促進する仕組みです。この経営手法によって、従業員は、成果に向けて意思決定をする権限を持つことで高い貢献意欲を持つとともに、リーダーとして意思決定力を高める機会を得ています。

 

また、意思決定ボードの多様性を重視し、主要ポストのサクセションプランニングでは候補者の多様性を担保してから採用や任用を議論する仕組みを導入しています。あわせて、会社や国を超えてSBU全体で多様なリーダーを育成するためのグローバルメンター制度を導入しています。

 

あわせて、国や地域を超えて主要子会社においてエンゲージメントサーベイを導入し、従業員のエンゲージメントを定点把握することで、組織風土を継続的に改善するサイクルを実施しています。

 

b. 社会の「不」の解消に向けて、組織を変え続ける

また、当社では「新たな価値の創造 - Wow the World」を掲げ、社会の「不」を解消するために従業員が生み出すプロダクトやサービスを起点に、市場環境の変化にあわせて組織を変容(トランスフォーメーション)し続けてきました。当社では、多様な従業員を起点にした価値創造サイクルを強化し、会社を変容し続ける力を経営における重要なスキルであると定め、社内・社外問わずすべての取締役会メンバーに求めるスキルとして「トランスフォーメーション」を特定しています。取締役会のスキル要件については「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 」「(1) コーポレート・ガバナンスの概要 」「① 企業統治の体制の概要等について」を、具体的な指標・目標については本項目「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「④指標及び目標」「G:Governance ガバナンス」をご参照ください。

 

 

リクルートグループの価値創造サイクル

 


 

 

当社グループの人的資本については「Recruit Group Profile」「リクルートの人的資本経営」(https://recruit-holdings.com/files/sustainability/data/Recruit_insideout2023_ja.pdf#page=32)を、人的資本に関するデータや詳細施策については「ESG Data Book」「社会」「人的資本」(https://recruit-holdings.com/en/sustainability/data/、2024年6月・2025年1月の年2回更新予定)をご参照ください。

 

 

3 【事業等のリスク】

(1) リスクマネジメント体制

 

① リスクマネジメントに関する規程

当社では、当社グループ全体のリスクマネジメントの体制を体系的に定める「リクルートグループリスクマネジメント規程」や、重大案件の迅速な報告及び情報共有を行うことを目的とした「リクルートグループエスカレーション細則」を制定し、グループ全体のリスクマネジメントを、当社グループの事業の継続及び安定的な発展を確保するために重要なものと捉えて積極的に取組んでいます。

 

② リスクマネジメント委員会

当社は、取締役会の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置しています。当社のリスクマネジメント委員会は、当社の取締役及び執行役員が参加し、各SBUのリスクマネジメント状況のモニタリングを行い、その状況及び当社におけるリスクマネジメント状況も踏まえてグループリスクマップを基に、当社グループを取り巻くリスクについての包括的な議論を行っています。その上で、当社のリスクマネジメント委員会においてグループトップリスクを選定し、その対応策やモニタリングの方針を決定しています。

 

③ 当社及びSBUにおけるリスクマネジメント体制

当社は、取締役 兼 常務執行役員を、リスクマネジメント本部担当として配置しています。当社は、リスクへの対応のポイントが日本と海外とで差異があると考えていることから、リスクマネジメント本部配下にJapan担当とInternational担当の執行役員を配置し、それぞれの特性に応じて、グループトップリスクへの対応を行っています。加えて、当社の内部監査所管部署においてグループトップリスクへの対応状況の業務監査を円滑に実施することができるよう、当社のリスクマネジメント所管部署は当社の内部監査所管部署とも適時に情報共有を行い、連携をしています。

 

また、SBUにおけるリスクマネジメント体制は以下のとおりです。

 

a. SBU統括会社では、当該SBUにおけるリスクマネジメント担当役員を任命し、当該SBUにおける子会社の事業に関連するリスクマネジメントの状況のモニタリングを行っています。これに加え、SBU統括会社は、それぞれSBUリスクマネジメント委員会を半期に一度開催し、SBUを取り巻くリスクを包括的に確認して議論を行うとともに、SBUのトップリスクの選定と対応策の決定を行い、それらのリスクの状況のモニタリングを行っています。

b. SBUリスクマネジメント委員会には当社のリスクマネジメント本部担当取締役 兼 常務執行役員も参加し、SBUにおけるリスクマネジメント状況を確認しています。各SBUの子会社においては、リスクの洗い出しや重要性の判断、対応策の実施等、リスク管理を実施することとしています。

 

当社のリスクマネジメント委員会の事務局を担うリスクマネジメント所管部署は、これらのリスクマネジメント活動について、定期的に当社の取締役会に報告し、取締役会が当社グループを取り巻くリスクの状況や対応状況について、適切にモニタリングできる体制を整えています。

 

 

当社グループのリスクマネジメント体制図

 


 

 

 

(2) 当社グループのトップリスクと主な対応策

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」)に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、当社の取締役及び執行役員が特に注力して対応が必要であると認識するグループトップリスクとそれに対する主な対応策は以下のとおりです。

このリスクについての詳細な説明は、本項目「(3) 当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク」「 ⑨データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク」をご参照ください。

 

グループトップリスク

データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク

 

リスク認識

 

当社グループでは、すべてのSBUにおいて、多くの個人ユーザーの情報を含む個人情報を取得、管理、活用をしています。各国法令を遵守することはもちろん、社会からの期待に反せず個人ユーザーのプライバシーを尊重し、保護することが責務であると考えています。

 

万が一でも個人情報に関する事件事故が生じた際には、個人ユーザーの皆様に多大なご迷惑をかけるだけでなく、当社グループのブランドの価値及び信用やサービスへの信頼を大きく棄損し、又、当局から業務停止命令、罰金その他の処分を受けることや、個人ユーザー又は企業クライアントから訴訟を提起されること等により、当社グループの経営成績等に甚大なダメージが生じかねないと認識をしています。

 

そのためデータセキュリティ・データプライバシーに関連するリスクの取扱いは、当社リスクマネジメント委員会及び各SBUのリスクマネジメント委員会においてトップリスクと認識し、様々な対策を実施しています。

 

主な対応策(注)

当社グループ全体の対応策として、保有するデータを重要性に応じて分類し、事業内容・国や地域ごとの法規制や保護すべき情報資産の特性に応じて必要な体制や施策を整備しています。例えば、不正アクセスの検知、ウイルス感染の検知と遮断や、調査に備えた通信・アクセスの記録、定期的な脆弱性検査等を実施しています。

 

Internationalにおける対応策例

データプライバシーに関しては、欧州連合(EU)の「欧州連合一般データ保護規則」や米国カリフォルニア州の「California Consumer Privacy Act」をはじめとする各地域・国の法規制への対応をしています。データセキュリティに関しては、SBUごとに事業内容やリスクの特性に応じてNISTやISO、CIS20等、参照する基準を設定し、業界で求められる水準を満たすレベルでの対応策を実施しています。

 

・Japanにおける対応策例

データプライバシーに関しては、パーソナルデータ指針の制定やプライバシーセンターの設置等の対応をしています。データセキュリティに関しては、「Recruit-CSIRT」等セキュリティに関する専門部署を設置し、被害の最小化、早期検知、未然防止に関する各施策を実施しています。

 

なお、当社グループにおいては、上記施策の実施に当たり、会社ごとに導入の是非及び取組みの優先順位を検討の上、進めています。

 

 

(注) 上記は、本報告書提出日時点において、グループトップリスクによる、当社が想定する当社グループの経営成績等への影響を低減するために有効と判断した対応策のうち主要なものを記載したものです。しかし、人為的なミスや内部者の意図的な行為により情報漏洩が発生する等、上記の対応策が奏功しない可能性があり、また、係る対応策を有効に実施したとしてもリスクが一切消滅することを保証するものではありません。更に、将来データプライバシーの保護に関する法令等が改正され、又は新たな不正アクセス方法やコンピュータウイルスが開発される等により、リスク自体の重要性や内容が変化し、又その対応策の有効性が低下する可能性があります。

 

 

(3) 当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク

上記の当社グループトップリスクを含む、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があると当社の経営陣が認識するリスクの詳細は以下のとおりです。但し、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

 

なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク一覧

 

項番

リスク名称

景気の動向等のマクロ環境に関するリスク

競合に関するリスク

個人ユーザー・企業クライアントのニーズの変化に関するリスク

技術革新によるリスク

事業戦略に関するリスク

買収・投資活動等に伴うリスク

グローバル展開に伴うリスク

人材確保・労務環境リスク

データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク

情報システムに関するリスク

当社グループが提供するアプリケーションの欠陥等によるリスク

法規制に関するリスク

訴訟等によるリスク

当社グループのブランド・社会的信用に関するリスク

外部事業者への依存に関するリスク

広告・マーケティング活動に関するリスク

自然災害、感染症の伝染及び有事に関するリスク

資産の減損等に関するリスク

税務に関するリスク

為替変動リスク


資金調達リスク


経営指標、財務方針等に関するリスク


株価変動に関するリスク

 

 

 

 

景気の動向等のマクロ環境に関するリスク

当社グループの業績は、一般的に日本、米国、欧州及び豪州を中心とする各国の景気等の経済情勢、社会情勢及び地政学的状況に影響されます。特に、HRテクノロジー事業、マッチング&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業で構成される人材マッチング事業は、経済情勢の不透明感又は悪化に伴う企業の雇用環境の変化の影響を受けます。また、マッチング&ソリューション事業の販促領域においても、経済情勢等の変動により個人ユーザーの消費が低迷すること等に伴って、企業クライアントが広告宣伝費を削減する可能性があります。

 

近時の急激な物価上昇や日本における長期的な少子高齢化及び総人口の減少、長期間にわたった日本銀行によるマイナス金利政策の終了などの金融政策の変更、米中間の政治的経済的対立や大統領選後の米国における移民政策の転換可能性等、当社グループが事業を展開する各国の経済情勢の不確実性が高まっていることや、エネルギー価格の大幅な上昇や金融市場の変動を引き起こしている、ロシア・ウクライナの軍事衝突及びそれに関連して実施されているロシアへの国際的制裁措置の影響とその拡大、中国経済の先行き不透明感の増大、台湾・北朝鮮及びパレスチナ情勢を含む中東諸国の地政学的リスクの増加等、グローバルの経済情勢等に及ぼす影響も懸念されます。

 

HRテクノロジー事業においては、足元では、米国において、金利の上昇やIT大手企業等における人員削減の発表等により、企業クライアントにおいて景気後退を意識する状況となっている結果、採用意欲が減退し、労働需給の平準化が進む状況になっています。米国外の多くの地域でも同様の傾向が見られ、売上収益は減少しました。今後かかる傾向が継続する場合、長期間に亘り同事業の業績に影響を与える可能性があります。

 

マッチング&ソリューション事業の人材領域においては、一部の企業クライアントの採用需要の低下が見られ、今後係る傾向が継続する場合、長期間にわたり同事業の業績に影響を与える可能性があります。

 

また、マッチング&ソリューション事業の販促領域においては、旅行、外食又は結婚式に対する根本的な意識の変化が生じる等、これらのサービスの需要がより長期的に変化する場合に、同事業の業績に影響を与えます。通常の消費行動が制限される状況において、企業クライアントによる広告出稿の停止が継続したり低価格プランへ移行する傾向が継続する等の場合、売上収益が減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

日本における人材派遣事業については、当連結会計年度において派遣労働者受入れの需要が増加傾向にありました。一方で、欧州、米国及び豪州については、不透明な経済状況を背景に派遣労働者受入れの需要が低下しており、今後係る傾向が継続したり、日本においても同様の傾向が見られる場合には、売上収益が減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

経済情勢等の停滞・悪化や新型コロナウイルス感染症のような感染症の拡大により当社グループのサービスに対する需要が低迷する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

② 競合に関するリスク

当社グループの各事業が事業展開を行う市場には、複数の競合他社が存在する上、参入障壁が必ずしも高くない事業も存在するため、他業種の事業者等を含む新規参入者による市場への新規の参加が比較的容易であり、競争はより激しくなる傾向にあります。これらの市場の中には、テクノロジーの重要性が高く、テクノロジーの進歩が非常に速いものがあるため、当社グループが技術革新に対応できない場合や競合他社が技術革新に成功した場合、業界の動向が一変し、当社グループが大きく市場シェアを失う可能性や当社グループの将来の事業展開が著しく困難となる可能性があります。

 

これらの市場においては、ブランド・ロイヤリティ、法規制及び大きな資金力や既存の顧客基盤等により競争上の優位性を維持することが必ずしも容易ではありません。当社グループの競合他社の中には、グローバルに事業展開を行う巨大テクノロジー企業を中心に、テクノロジー、ビジネスモデル、資金力、価格競争力、グローバル又は特定の地域における認知度、既存ユーザー層の厚さ、クライアントとの関係、人材の確保、独自のサービス及び営業・マーケティング力それぞれの点において、現在当社グループより優位に立つ事業者も存在します。このような競合環境において当社グループが競争力を維持できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

更に、当社グループが、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズ又は嗜好の変化等に対応できないこと、その提供するサービスの機能向上を図れないこと、当社グループの提供するサービスについて競合他社との十分な差別化を図れないこと、競合他社が当社グループより低い価格で同水準のサービスを提供すること、競合他社が個人ユーザーの嗜好にあったサービスを導入すること、競合他社間が合併・統合等により競争力を高めること及び規制環境の変化等に対応できないこと等によっても、当社グループの競争力を維持できなくなる可能性があります。また、企業クライアントが自らユーザー基盤を確立し、当社グループのサービスを利用しなくなる可能性もあります。

 

当社グループは、特に日本では、マッチング&ソリューション事業の多くの主要事業において既に高い市場シェアを獲得しているため、それらの領域において更なる成長を達成する難易度は高く、クライアントが当社グループに支払う広告宣伝費を維持又は増加できない場合や、当社グループが過去に取引実績がなかったクライアント等に対する新規開拓が進まなかった場合には、当社グループが持続的な成長を達成することは困難となる可能性があります。仮に当社グループが市場シェアを維持又は増加するために価格を下げ、又は新サービスを導入する場合には、当社グループの事業の収益性が低下する可能性があります。

 

③ 個人ユーザー・企業クライアントのニーズの変化に関するリスク

当社グループが競争力や市場シェアを維持するためには、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの変化に対応する必要があります。また、昨今、従来のマスメディアによる情報発信だけでなく、急速に普及したインターネット・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等により、リアルタイムでの情報発信が行われていることや、技術革新により多様なサービスが比較的少額の投資で短期間に個人ユーザーに普及し得ること、新たなデバイスや技術の普及によりユーザー・エクスペリエンスが大きく変わり得ること等により、個人ユーザーのニーズの移り変わりや、これを受けた企業クライアントのニーズの変化は非常に激しくなっています。

 

また、HRテクノロジー事業やマッチング&ソリューション事業においては、当社グループのオンラインプラットフォームへの広告出稿が売上収益の多くを占めますが、一部のサービスにおいては企業クライアントのニーズに即するために出稿期間を短期に設定することも可能であるため、当社グループのサービスを継続的に使用しない可能性や、他のプラットフォーマーへの乗り換えが容易になる可能性があります。

 

更に、新型コロナウイルス感染症の影響により、今後個人ユーザーの生活様式や企業クライアントの事業運営の方法が変わる可能性や、それに伴い個人ユーザー及び企業クライアントのニーズや嗜好が変化する可能性があります。

 

当社グループがこのような個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの変化を的確且つ迅速に把握できない場合や、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズに対応する当社グループのサービスの適切なタイミングでの改良又は開発及びサービスの提供ができない場合並びにこれらのニーズにより合致したサービスが他社により新たに開発された場合、個人ユーザー及び企業クライアントそれぞれのニーズと利害のバランスの取れたサービスを提供することができない場合には、個人ユーザー及び企業クライアントが当社グループのサービスから離れ、当社グループの市場シェアの縮小や売上収益の減少、又はそれに対応した値下げ等による利益率の低下、係る利益率の低下に対応するためのビジネスモデルの改良又は開発が成功しないこと等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

④ 技術革新によるリスク

テクノロジー業界においては、技術革新のサイクルが極めて速く、競合他社が使用するテクノロジー、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズに影響することから、当社グループが競争力を維持するためには、将来における技術革新を予測して、新たなテクノロジーへの投資と導入・事業化を継続的に行う必要があります。このような技術革新に関しては、以下のような様々なリスクが伴います。

 

・当社グループが技術革新や業界標準技術のトレンドを正確に予測することができず、結果として当社グループが採用又は開発した新技術等が、そもそも事業化できない、又は使用可能となってもその時点では陳腐化、競争力低下等が生じているリスク

・高度な専門性や斬新なアイデアを創出する技術者又はマネジメントを確保又は育成できない、又は係る技術者の確保又は育成に多額の費用が発生するリスク

・技術革新に対応するために必要なシステム・技術インフラを維持又は更新できない、そのために多額の費用が発生する、又は適切なシステム・技術インフラの取捨選択に失敗するリスク

・5G等の新たな通信技術や端末や業界標準技術の多様化及び進化に対応した改良が適時に行えない、又は既存のシステム又は設備等の改良や新たな開発等により多額の費用が発生するリスク

AIや機械学習等の新技術を適用した商品又はサービスに、想定していないバグ、欠陥又は不備があるリスク

AIや機械学習等の新技術をいち早く導入した企業や、新技術をより効果的に利用する企業との間で新たな競争が生じるリスク

 

これらの各要因により、当社グループが追加の費用の支出を余儀なくされ、又は技術革新に対応することが困難となる場合、個人ユーザー及び企業クライアントが当社グループのサービスから離れ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 事業戦略に関するリスク

当社グループは、急速に変化するインターネット事業環境等に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取組むため、SBU単位で事業価値の拡大に取組んでいます。

 

各SBUにおいては、広範で地理的にも多様な事業ポートフォリオの構築を通じた持続可能な成長を志向していますが、このためには既存事業の拡大に加え、戦略的な提携や買収の慎重な実施を含む新規事業への参入が必要です。しかし、変化が極めて速く不確実性の高い事業環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及びこれに基づく有効な戦略の策定は極めて困難であるため、当社グループの予測や各種施策が有効であるとの保証はなく、また、以下に記載するリスク要因を含む様々なリスク要因が存在するため、当該事業戦略が当社グループの将来の業績の向上につながらない可能性や、将来において当該事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があります。

 

HRテクノロジー事業

 

Indeed及びGlassdoorを中心に買収等の成長投資による事業規模の拡大を含め、オンライン求人広告市場での持続的な成長を企図しています。しかし、当社グループの成長は経済全体の成長及び雇用状況に大きく依存しています。加えて、売上収益の成長性は、顧客層の拡大、有料求人広告数の増加、採用プロセスの自動化を通じた収益性の向上に影響されます。また、人材マッチング市場の中で、HRテクノロジー事業が市場シェアを拡大できるかにも影響されます。

 

また、当社の採用オートメンションに係るサービスは、企業クライアントの採用オートメーションの活用に対する意欲が当社の予想を下回るといった、様々な要因により、当社が現在想定している速度で成長しない可能性があります。

 

また、当社グループによる新しいテクノロジーへの対応の遅れ、人材市場における個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの急激な変化、新たな法規制の導入、競争環境の激化等により、当社グループが事業機会を捉え収益化することができない可能性があります。

 

 

マッチング&ソリューション事業

 

主に日本国内企業クライアントを対象に、人材・販促領域において、テクノロジーやデータを駆使したオンラインプラットフォームや業務・経営支援ツールであるSaaSの提供等を行っています。

しかし、当社グループが新規の個人ユーザー及び企業クライアントを獲得できない、又は競合他社よりも魅力的・革新的なサービスを提供できないことにより、当社グループが提供するオンラインプラットフォームやSaaSが個人ユーザー及び企業クライアントに採用されない若しくは採用されるために多額の費用を要する可能性があります。

 

人材派遣事業

 

グローバルレベルで事業の収益性の向上を図ります。しかし、当社グループが事業展開する主要な法域における法規制の強化等により、収益性が想定どおりに向上しない又は悪化する可能性があります。

 

また、人材マッチング市場においては、市場における当社グループの存在感の拡大を目指して投資を行います。現在、当社グループは、HRテクノロジー事業やマッチング&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業において人材マッチング事業を展開していますが、求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、人材派遣市場並びに採用オートメーション市場において、テクノロジーの活用により業務プロセスを自動化・効率化し、これまでとは異なる課金モデルを提供するとともに、より費用対効果が高くより高い生産性をもたらすマッチングソリューションの拡大を続けることを目指しています。

 

しかし、かかるソリューションの開発や導入ができない可能性や人材市場の急激な変化に対応できない可能性、当社グループのソリューションが市場に受け入れられない可能性、かかるソリューションの提供に必要な投資を回収できない可能性があります。

 

更に、当社グループは、人材マッチング市場において、従来の人的作業によらずに先端的なテクノロジーや大量のデータを駆使して、企業クライアントの採用活動を自動化するという長期ビジョンを掲げていますが、効率的なソリューションが開発できない、かかるソリューションの収益化のための需要が足りない、又は法令による規制等により、当社グループが当該長期ビジョンを達成できる保証はありません。また、業務プロセスの効率性を高めるソリューションを提供していくことにより、当社グループが運営している人材紹介や人材派遣等の既存事業と、新規に開始又は拡大する事業が競合関係になる場合、当社グループの既存の事業の収益性が低下する可能性があります。

 

当社は社外の第三者のデータ及び独自の市場調査及び仮定に基づき、当社の事業が展開可能な市場に関する市場規模を推定しています。しかし、いかなる推定も、確実に実現可能であることを示すものではありません。特に、採用オートメーション市場に関しては、社内における開発が初期段階にあるため、係る市場における事業機会を推定することが困難です。その結果、当社事業の成長機会が想定を下回る可能性があり、係る成長機会を追求するために結果として誤った資源配分を行う可能性があります。

 

加えて、新規事業の展開全般については、当社グループが新規に開始し又は拡大した事業に対する個人ユーザー及び企業クライアントのニーズが想定を下回り又はその嗜好や需要が変化した場合、新たな国又は事業への参入やそのための人材確保・育成に要する費用が想定よりも増加する場合、当該市場での競争が激化した場合、個人ユーザーに対する訴求力や取引する企業クライアント数を増加させるための施策が不十分である場合等には、既存事業の拡大や新規事業の開発のための投資に見合った収益を得られない可能性があります。

 

逆に、当社グループが新規に開始し又は拡大した事業が当初期待していた効果をあげることができなかった場合や当該事業の成長余力が低いと判断した場合には、これらの事業の撤退や事業の縮小を行うことにより、費用又は損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、これらの事業についての撤退や縮小についての判断が遅れた場合には、損失の計上が長期化し、また、撤退等に要する費用や損失が増加する可能性があります。

 

 

⑥ 買収・投資活動等に伴うリスク

当社グループでは、長期的な利益成長の実現に向け、海外での事業展開、新規ユーザーの獲得、新規サービスの展開、既存サービスの拡充、関連技術の獲得等を目的として、買収や出資、協業・提携を機動的且つ積極的に実行しており、今後も、将来の当社グループの業績や企業価値の向上に貢献すると判断した場合には、これらを実行していきます。

 

買収や出資における対象会社の選定においては、対象会社の事業計画とそのリスク等を予測して行いますが、これらの予測を誤る場合には、買収した企業が期待された収益やシナジーを生み出さず、当該買収等により生じた投資の回収に想定以上の期間を要する可能性や、投資の回収を図れない可能性があります。

 

特にテクノロジー企業の買収や出資については、対象会社のテクノロジーが初期段階に留まることや技術革新が急速に発生し得ることから、係る買収・出資においては、上記のリスクはより高まる可能性があります。加えて、適切な対象企業又は合弁パートナーを見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、買収、合弁事業その他の提携行為を行うこと自体ができない可能性があります。

 

この他、革新的なテクノロジーや人材の獲得等を目的に、社歴が浅く経営管理体制が不十分な企業を買収する場合や、利益を計上していない企業を買収する場合、十分なデューディリジェンスが実施できない場合には、想定していなかった又は想定していた金額以上の債務の存在やコンプライアンス上の問題点が買収後に判明する可能性があります。

 

また、当社グループが対象企業の支配権を有しない案件においては、出資先の経営に対して十分なコントロール又はモニタリングができない可能性や、事業開始後に経営方針の相違等から期待した収益が得られない可能性があります。

 

更に、買収や協業・提携の実施には、事業・テクノロジー等の統合や期待したシナジーの実現が困難となる可能性や多額の費用が発生する可能性、協業先・提携先に対して、当社グループの保有するノウハウやマネジメント・人材・取引先が流出する可能性、各国における法規制、労使関係、文化、言語等の違いや政治・経済情勢により買収等の実施又はその後の対象会社の経営が困難となる可能性、買収や投資のために借入が増加する可能性があります。

 

また、将来的に各合弁パートナーとの間で何らかの理由により協業・提携関係に支障をきたすような事態が発生した場合、当該事業の経営成績等に影響を与え、又は当該事業の継続が不可能になる可能性があります。当社グループのHRテクノロジー事業においては、革新的なテクノロジーや人材の獲得を目的に、比較的社歴の浅く利益を計上していない企業の買収・出資が増加することが見込まれますが、係る買収・出資においては、上記の各リスクはより高まる可能性があります。

 

⑦ グローバル展開に伴うリスク

当社グループは、米国、欧州、豪州及びアジア諸国等多くの国と地域で事業を展開しています。

 

当社グループがこれらの多様な国と地域で事業を展開する上では、又は既に事業を展開していた国と地域以外にも新たに事業を展開していく上では、各国・地域の政治情勢、経済情勢、法規制、税制、当局による監督、商慣習及び文化の差異、個人ユーザー及び企業クライアントの嗜好、インターネット・モバイル機器の普及状況、労働問題、言語の差異、国際関係の悪化、訴訟の多発、外資規制、人材確保の困難性、海外における当社グループの知名度の相対的な低さ、多様な国・地域における事業のモニタリングの困難性等、事前に想定することの困難な様々な課題に対応する必要があります。

 

これらの課題に適時適切に対応できない場合、各国・地域の事業展開において当社グループが期待する成果を上げられず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 人材確保・労務環境リスク

当社グループが、競争上の優位性の確保、事業環境の変化への対応又は持続的な成長を可能とするためには、マネジメント・技術・営業等の様々な分野において優秀な人材を確保し且つ育成する必要があります。近年、特にHRテクノロジー事業及びマッチング&ソリューション事業において、優秀なIT技術者の確保及び育成が重要となってきていますが、係るIT技術者の確保又は育成ができない場合や優秀な人材を確保するため従業員の報酬・賃金水準が上昇する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、マネジメントや技術者を含む重要な人材が競合他社等に流出した場合や、当社グループが想定するよりも多くの離職が生じ、新たな人材を確保できない場合には、当社グループの競争力や社会的信用が悪化し、経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、当社グループが人材の多様性等を確保した良好な職場環境や、特に新型コロナウイルス感染症への対応として増加したリモートワーク等、従業員にとって柔軟な職場環境を整備できない場合には、優秀な人材の採用や確保に影響を及ぼすことやイノベーションを阻害すること等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

更に、当社グループの人材派遣事業においては、当社グループが派遣する社員が安全且つ衛生的に働ける職場環境が派遣先において整備されていない場合、派遣社員の人権が侵害され、当社グループの経営成績等やブランド及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

 データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク

当社グループは、その事業の運営に際し、個人ユーザー又は企業クライアントその他の関係者の個人情報及び機密情報を大量に保有しています。当社グループによる個人情報の取扱いについては、日本における「個人情報の保護に関する法律」(以下「個人情報保護法」)、欧州連合(EU)の「欧州連合一般データ保護規則」、米国カリフォルニア州の「California Consumer Privacy Act」(「California Privacy Rights Act」による改正部分を含む)等、各国・地域の個人情報に関する法律が適用されます。

 

これらの法規制の中には、データセキュリティシステムが不十分であることが判明した場合に、データの流出について重大な制裁金や直接責任を課すものがあります。また、これらの法規制は、法域ごとに異なるものとなる可能性や、近年の個人情報及び機密情報の管理に対する意識の高まりから内容が複雑化しており、その遵守や事業運営のための費用が増加する可能性があります。更に、これらの個人情報等の取扱いに関する法規制には、制定又は施行されてからの期間が短いため当局の解釈及び運用が必ずしも明確でないことがあり、係る解釈や運用によっては、当社グループの従来の情報の取扱いと整合しない可能性があります。

 

一方で、当社グループの事業において個人情報や機密情報等を含むデータやそれを管理・運用するテクノロジーの重要性は高まる傾向にあり、当社グループのサービスにおけるデータの運用が意図せず法規制の違反や個人ユーザー又は企業クライアントの不利益又は不信感を招き、当局から業務停止命令、罰金その他の処分を受ける可能性、個人ユーザー又は企業クライアントから訴訟を提起される可能性や当社グループのブランドの価値及び信用が毀損する可能性があります。

 

また、個人情報等の取扱いに関する法規制が今後より厳格となる場合又は当社グループが法規制の違反若しくは社会的な意識の高まりその他の理由に基づき個人情報や機密情報等の管理・運用に関する当社グループの方針の変更を余儀なくされる場合には、情報の活用に対する制約が増すことにより、当社グループのサービスの品質が低下し、個人ユーザー又は企業クライアントが減少する可能性や、多種且つ大量の個人情報を用いて事業を展開する当社グループの優位性が失われ若しくは経営戦略の見直しを迫られる可能性があります。

 

更に、第三者によるセキュリティ侵害、ソフトウエアのバグ、ハッキング、従業員の故意又は過失等によって、当社グループが保有する個人ユーザー又は企業クライアントその他の関係者の個人情報や機密情報の外部流出又は不正使用等が発生した場合、当社グループは個人ユーザーや企業クライアント等に対する損害賠償責任を負うとともに、当局から業務の停止につながり得る行政処分等を受ける可能性がある等、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

 

⑩ 情報システムに関するリスク

当社グループでは、システムトラブルの発生可能性を低減するためのシステムやセキュリティの強化等の対策を行っていますが、その事業の運営において情報ネットワーク及びコンピュータシステムを多岐にわたり使用しているため、災害・事故等による通信ネットワークの障害、ハードウエアやソフトウエアの欠陥や事故によるシステム障害、過失や妨害行為、コンピュータウイルスや第三者による不正アクセス等のサイバーアタックが生じた場合、システムや通信ネットワークが使用できなくなることや、当社グループが保存する当社の個人ユーザー又は企業クライアントの個人情報及び機密情報が喪失又は流出することにより、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。更に、業界全体の脆弱性が、当社の事業及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、当社グループのマッチング&ソリューション事業においては、企業や店舗で必要な会計・決済等の機能に関するクライアントの経営・業務効率を改善するサービスとして、Air ビジネスツールズ等のSaaSソリューションを提供していますが、これらのシステム障害等やサービスの中断等が発生した場合には、当社グループがこれにより個人ユーザー又は企業クライアントに対する損害賠償責任や補償金の支払い等を負担する可能性があることに加え、当社グループが提供するサービスへの信頼喪失を招き、当社グループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

また、当社グループは、システムの運用やメンテナンス等の一部を第三者に委託し、それらへの依存度が増加していくことが予想されるため、システムの不具合等について当社グループ自身で対処できない可能性が高まりつつあります。更に、情報インフラの構築、運用、拡張に係るシステム投資や維持費用が将来大幅に増加する可能性もあります。

 

⑪ 当社グループが提供するアプリケーションの欠陥等によるリスク

当社グループは、様々なサービスをアプリケーション等のソフトウエア及びデバイスを通じて個人ユーザーや企業クライアントに提供しています。これらの開発過程において検証やテストを実施し、動作確認には万全を期していますが、サービス提供開始後に、ソフトウエアやデバイスに重大なバグや欠陥が発生し、当社グループのサービスの一部又は全部を正常に提供することができない可能性、個人ユーザーや企業クライアントのデータの消滅や書換えその他係るデータを適切に保護できない可能性、第三者によるデータの不正入手、取引停止等が発生する可能性があります。

 

また、当社グループの提供する一部のサービスにおいては、オンライン上でのユーザー獲得、オンライン予約管理、POSレジ、決済等のクライアントが事業を運営する上での主要な機能全般をカバーするため、アプリケーションの欠陥等が発生した場合、クライアントに重大な損害が生じる可能性や、個人ユーザー又は企業クライアントの機密情報や個人情報が喪失又は流出する可能性があります。

 

今後当社グループは、マッチング&ソリューション事業において、中小企業を含むクライアントの事業運営の効率化と生産性の向上を企図する包括的なソリューションであるAir ビジネスツールズ等のSaaSソリューションを拡大する方針であるため、係るリスクはより高まることが見込まれます。これらの影響により、当社グループに対する訴訟や損害賠償請求が提起され、又は行政処分が課される等、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 法規制に関するリスク

当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。個人情報保護、データ保護、電気通信、消費者保護、労働、人権、反贈収賄、税法、独占禁止法等、当社グループに適用される法令等に違反した場合、当社グループの事業運営、業績及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、一定の事業を行う上では各国・地域の許認可等を取得するとともに、当局の監視を受けることがありますが、当社グループがかかる許認可等を失い又は当局から業務停止命令、罰金、その他の処分を受ける場合には、対象事業を営むことができなくなる可能性があります。

 

更に、将来当社グループに適用される法令等の新設又は改正、司法・行政解釈等の変更がある場合、複雑化する法規制への対応の遅れや、それにより当社グループが事業機会を逸する可能性や、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。また、近時、企業と人権問題に関する活発な議論がなされていますが、当社グループが人権に関する法令に関して適切に対応できない場合、当社グループのブランドに影響を与える可能性があります。

 

当社グループの事業に適用される法令等には、主として以下のものがあります。

 

HRテクノロジー事業

 

HRテクノロジー事業は、米国の「Communications Decency Act」、「California Consumer Privacy Act(2023年に効力が発生する「California Privacy Rights Act」による改正部分を含む)」、「Telephone Consumer Protection Act」、「Wiretap Act」、「Stored Communications Act」、「Fair Credit Reporting Act」、その他類似の法規制(バイオメトリクスに関するものも含みます。)、EUの「欧州連合一般データ保護規則」、「デジタルサービス法」、「デジタル市場法」、日本の「個人情報の保護に関する法律」や「職業安定法」、英国や他の国の類似の規制の適用を受け、又は受ける可能性があります。また、EUにおいては、欧州議会が、2024年3月13日、AI法案を採択し、これが施行されればEU市民の人権及び個人データの取扱いに一定の規制が課されることになります。米国においても「AI権利章典」の草案が発表され、2023年10月30日には「The Executive Order on the Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence」(人工知能の安全・安心・信頼できる開発と利用に関する大統領令)が発令され、これによって連邦機関はAIに関する新しいガイドラインや指針を導入することを求められます。

 

これらの法令が施行・改正された場合や法令に関する行政解釈又は司法解釈が変更された場合、また、かかる変更を受けて実務の運用が変更された場合、HRテクノロジー事業の事業内容に制約が生じ、又は当該法令の改正への対応に時間やリソースを要する結果、当社グループの事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。例えば、現在、米国では、プラットフォーマーが取り扱う消費者の個人データについて消費者に広範な権利(AIによってなされた判断からオプトアウトする権利を含みます。)を与える新しい法案(American Privacy Rights Act)が連邦レベルで議論されています。また、EEOC(米国雇用機会均等委員会)は、企業が候補者のアセスメントを実施する場合、場合によっては当該企業が職業紹介事業者としての義務を負う可能性を示唆しており、これは候補者と企業のマッチングを行う当社のビジネスに更なる規制を課すことになる可能性があります。

 

加えて、「デジタルサービス法」については、Indeedがオンラインプラットフォーム(online platforms)に該当する結果、ユーザーに表示されるオンライン広告の透明性を確保すること等の同法に基づく義務が課されます。また、EUでのユーザー数の増加により、更に重い義務が課される超巨大オンラインプラットフォームに指定された場合には、当社グループの事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があり、現在の傾向が続けば、かかる義務の基準値を超える可能性があります。

 

更に、個人情報を取り扱う企業に対して新たにデータセキュリティ及びデータプライバシーに関する義務を課す様々な新法や法案の提案が行われており、かかる新法が当社グループの事業に影響を与える可能性があります。

 

加えて、立法機関は、Indeedが提供するサーチエンジンのようなデジタル・マーケットプレイスを有する企業を調査研究しており、かかるマーケットプレイスにおいて自己のプロダクトを販売する企業に制約を課す可能性があります。

 

また、現在、HRテクノロジー事業に適用のある法令以外にも、テクノロジー分野における法令の整備は十分に進んでおらず、欧州や米国においてはテクノロジー分野に関する規制を強化する動きもあり、将来、HRテクノロジー事業に適用される法令が新たに制定され、規制が強化される可能性もあります。例えば、個人ユーザーの行動履歴情報を収集・分析し、広告に反映することを規制する法規制が新たに制定された場合、HRテクノロジー事業を従来どおりに遂行することができなくなり、HRテクノロジー事業の事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

マッチング&ソリューション事業

 

マッチング&ソリューション事業においては、個人ユーザー及び企業クライアントの情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」等の各国の個人情報保護法制の適用を受けます。

 

また、販促領域においては、企業や店舗で必要な会計・決済等の機能に関するクライアントの経営・業務効率を改善するサービスとして、Airペイを提供していますが、当該サービスについては、「割賦販売法」の適用を受けています。

 

人材領域における日本での人材紹介事業は、「職業安定法」に基づき、有料職業紹介事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っている事業です。当該事業についても、一定の要件を満たさない場合には許可の取消し、業務停止命令又は業務改善命令の対象となる可能性があり、また、関係諸法令の改正により、当社グループが受領する手数料に変更が生じる場合があります。

 

人材派遣事業

 

人材派遣事業における国内派遣領域については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づき、労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を取得して行っています。

 

また、人材派遣事業の海外派遣領域は、事業展開する各国・地域の規制に従い業務を遂行しています。一例として米国では、派遣事業に関する連邦法の他、州法により規制が行われています。

 

日本及び海外における人材派遣事業において、当社グループによる法令違反等が発生した場合又は派遣事業者の欠格事由に該当する場合には、許可の取消し、業務停止命令又は業務改善命令等の対象となる可能性があります。また、欧州においては上述のAI法案が暫定的な政治合意に達したことを受け、新たな規制や法対応に時間やリソースを要する結果、当社グループの事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、日本における労働関連法令の改正により、コンプライアンスに係る多額の費用が発生するとともに、規制違反のリスクが高まる可能性があります。

 

⑬ 訴訟等によるリスク

当社グループは、その事業活動の遂行過程において、個人ユーザー、企業クライアント及び競合他社その他の関係者から、当社グループが提供するサービスの不備、派遣社員も含む労働者の労務管理、個人情報及び機密情報の漏洩若しくは特許又はその他の知的財産の侵害又は当社グループのプラットフォームにおける個人ユーザーの不適切な投稿やクライアントによる違法出品若しくは虚偽誇大広告等に関する訴訟その他の法的手続を提起され、また当局による捜査や処分等の対象となり、これらの法的手続に関連して多額の費用を支出し、また、事業活動に支障をきたすおそれがあります。

 

係る法的手続は長期且つ多額となることがあり、また結果の予測が困難となる場合があり、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑭ 当社グループのブランド・社会的信用に関するリスク

当社グループの事業活動において、当社グループのブランドは重要な影響力を有していると認識しています。当社グループの提供サービスに不備がある場合、当社グループの情報セキュリティに問題が生じた場合、当社グループのブランドの価値の維持及び強化のための投資が十分でない場合、競合他社がより競争力のあるブランドを確立した場合に加え、当社グループに不利なメディア報道があった場合、更にはインターネットやSNSで根拠の乏しい風説が流布された場合等に、当該内容が真実か否かにかかわらず、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。

 

更に、当社グループの従業員による不正行為、当社グループの雇用環境に関する従業員又は派遣社員からのクレーム、当社グループへの訴訟の提起等によっても、当社グループのブランドの価値が毀損されることがあります。更に、当社グループの事業においてテクノロジーやデータの重要性は高まる傾向にあり、当社グループのサービスにおいて使用されるAI等のアルゴリズムや、当社グループ又は他社によるデータの運用が予期せぬ結果を招き、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。

 

また、当社グループ自身による行為だけでなく、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントによって、特に当社グループの提供するオンラインプラットフォームにおいて、不適切な投稿、求人を装ったフィッシング詐欺等、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等を侵害する行為及び詐欺その他の法令違反行為が行われた場合、当該行為者だけでなく、当社グループもサービスの提供者として責任を問われ、当社グループに対して損害賠償請求訴訟が提起され、又は当社グループのブランドの価値が著しく毀損される可能性があります。

 

更に、第三者が無断で当社グループのサービスと同一又は類似の名称を使用してサービスを行った場合にも、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。このようにして当社グループのブランドの価値が毀損された場合、個人ユーザーや企業クライアントによる当社グループのサービスの利用が減少すること等によって、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑮ 外部事業者への依存に関するリスク

当社グループのHRテクノロジー事業及びマッチング&ソリューション事業における一部のサービスでは、主にインターネット上でのユーザー獲得において、グローバルに事業展開する巨大企業が提供する検索エンジンサービスを活用しており、今後、当該検索エンジン運営者による検索に関するアルゴリズムの変更又は競合他社の動向等によって、検索結果の表示が当社グループにとって有利に働かない状況が生じる可能性があります。このような場合には、当社グループが運営するインターネットサイトにおけるユーザー獲得の効率が低下し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、当社グループは、当社グループのサービスを提供するためのアプリケーションを、グローバルに事業展開する大手テクノロジー企業やプラットフォーム運営事業者を通じてユーザーに提供しており、更に、当社グループの一部のサービスについては、当社グループの企業クライアントへの営業活動等に関し、外部の販売代理店を利用しており、また、当社グループのオペレーションにおいては、外部事業者の提供するデータセンターやデータサーバー、クレジットカード会社等の決済処理サービスを利用しています。

 

しかし、これらの外部事業者において、サービス提供を中断・中止する場合やネットワークの質が低下する場合、これらの外部事業者との関係が終了又は悪化する場合、これらの外部事業者による個人ユーザーや企業クライアントに関するデータの保護が十分でない場合、使用料・手数料の値上げその他当社グループに追加的な費用が発生する場合には、当社グループの事業に影響を及ぼし、営業力が減退する等、当社グループの事業の縮小又は中断、個人ユーザーや企業クライアントの喪失又は減少、競合他社へのノウハウの流出、新たな競合他社の参入等に繋がる可能性があります。

 

更に、当社グループが事業の一部を委託する外部事業者等に対するモニタリングが不十分であることにより、外部事業者における労務問題その他の法令違反等に対して適時適切に対応できなかった場合には、当社グループの社会的信用を毀損し、又はクライアントとの関係を悪化させ経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、当社グループの提供するオンライン上のサービスについては、インターネットサービスプロバイダーや通信事業者等の外部事業者に依存しています。これらの事業者が、ネットワークインフラやクッキー等の利用を制限する措置を講じる場合や、当社グループの事業が展開されている法域で政府がインターネットへのアクセスを制限する場合には、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントが減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑯ 広告・マーケティング活動に関するリスク

当社グループは、成長戦略の一環として、新規又は既存のサービスの認知度の維持・向上や、個人ユーザー及び企業クライアントの拡大を目的として、広告・マーケティング活動を積極的に行っています。

 

特にインターネットユーザーの多くは、検索サイトやスマートデバイス(スマートフォンやタブレット端末等)におけるアプリケーション等を利用して必要な情報を入手しているため、特に当社グループのHRテクノロジー事業やマッチング&ソリューション事業においては、各サービスのユーザー獲得効率は、検索エンジンの表示結果やスマートデバイスのアプリケーションの利用状況等に大きく影響されます。人材派遣事業においても、特に労働者が不足している市場では、派遣労働者の登録者数増加のためのマーケティング活動の成否が重要です。

 

また、当社グループにとってより有利な検索結果を表示させるために検索エンジン運営者に手数料を支払うこととなる可能性や、テレビ・オンラインでの広告宣伝費等、当社グループが個人ユーザーや企業クライアントとの接点を多く確保するために要する費用が将来更に増加する可能性、係る広告宣伝費の増加が当社グループの事業拡大に有効に機能しない可能性もあります。

 

⑰ 自然災害、感染症の伝染及び有事に関するリスク

地震、台風及び津波等の自然災害、火災、停電、感染症の伝染並びに違法なサイバー攻撃、戦争及びテロ攻撃等が発生した場合、当社グループのサービスや業務に従事する従業員、業務委託先の従業員、派遣社員が大量に罹災・罹患することや、各国政府における非常事態宣言や外出禁止等の措置に伴う業務の制限、地震等による当社設備の損壊等により、当社グループのサービス提供、その他事業運営に影響が生じ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

特に、これらの自然災害又は有事等により、当社グループのITシステムに障害等が生じた場合や、データサーバーが機能不全に陥る場合、インターネット関連サービスの提供が困難となり、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントの満足度が低下し、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらの影響が広範囲にわたる場合には、復旧に相当の時間及び費用を要する可能性があり、また障害が発生した期間やその後において正常なサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

 

また、大規模な自然災害等が発生した場合、当社グループの企業クライアントの事業の中断や休止等並びに個人ユーザーのライフイベント活動の休止や日常消費活動の縮小等の二次的影響が生じ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑱ 資産の減損等に関するリスク

当社グループは、買収に伴い発生するのれんや無形資産を含む資産を連結財政状態計算書に計上していますが、急激な景況の悪化や事業環境、競合状況の変化、法規制の変更、当社の事業戦略の変更、資産の処分、当社グループの戦略の変更、金利上昇等により当該のれんや無形資産等の資産の価値が下落した場合には、減損損失を計上する可能性があります。

 

当社グループが買収した又は今後買収する子会社の中には、スタートアップ等事業の収益化が実現していない段階にあり、成長投資の成果が発現し投資に見合うキャッシュ・フローが生じるまでには一定期間を要するものも含まれるため、当該買収に伴い発生するのれんや無形資産等について、当社の連結損益計算書において減損損失が計上される可能性があります。同様に、当社グループが主として投資目的から非支配株主として保有する関連会社株式についても、当該関連会社の業績によっては、当社の連結損益計算書において減損損失が計上される可能性があります。

 

また、当社グループは、長期的・持続的に成長するために、業務提携等、事業戦略上取引関係等の維持・強化の必要性があると考えられる上場会社を含む相手企業の株式を政策保有株式として保有しています。当社グループは、原則として保有するすべての株式を公正価値で評価しており、当該株式の公正価値が著しく下落した場合、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑲ 税務に関するリスク

当社グループは、日本をはじめ、事業を展開している各法域において、法人税をはじめとした各種の税制の対象となっています。当社グループの連結ベースでの課税額や実効税率は、これらの法域でその年度に適用される税制、繰延税金資産や負債の評価方法、課税所得の額とその関連法域毎の配分状況等の影響を受けます。

 

これらの法域での政治経済状況等により税制関連法令の改正や解釈変更が実施された場合に、課税額や実効税率が上昇し、また各国における税制の相違により当社グループが求められる対応が複雑となり、これに対応するためのコストが増加する等、当社グループの財政状態及び業績に影響が及ぶリスクがあります。例えば、経済協力開発機構(OECD)は、税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクトに取り組んでおり、当社が事業を行っている多くの国において納税義務決定に係る既存の枠組みが様々な点で変更される可能性があります。OECDは現在多国籍企業に対する市場国への課税権の分配(第一の柱(Pillar 1))及びグローバル・ミニマル課税の枠組みに関するモデルルール(第二の柱(Pillar 2))を公表しておりますが、このような枠組みにより当社の納税義務が変更された場合、当社グループの財政状態及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

また、当社グループは、グローバルに事業を展開しており、適用される各国の移転価格税制等の国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。

 

更に、当社グループは、定期・不定期に関連税務当局による税務調査の対象となっており、それらの時期や結果の予測は困難です。

 

これらの税務上のリスクが発現した場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑳ 為替変動リスク

当社グループの海外事業の取引は、主に米ドル、ユーロ及び豪ドル等の外貨建てで行われており、近年は外貨建ての取引が占める割合が増加しています。当社グループの連結財務諸表及び四半期連結財務諸表では、海外子会社の現地通貨建ての資産及び負債を各四半期末日の直物為替レートにより、収益及び費用は、取引日の直物為替レート又はそれに近似するレートにより日本円に換算しています。

 

これらの要因により、当社グループの連結財務諸表及び四半期連結財務諸表は、為替レートの変動による影響にさらされており、為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループでは為替変動リスクを軽減するため、通貨スワップや為替予約等のデリバティブ契約を締結することがありますが、為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替変動によっては当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

更に、為替変動により当社グループが事業を営む国・地域におけるマクロ経済環境が悪化する場合や、当社グループによる海外事業の買収・提携等に係るコストが増加する場合等には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 


資金調達リスク

 

当社グループの事業資金及び投資資金の一部は、金融機関からの借入や社債の発行等により調達しています。このため、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社グループの信用力の低下や格付けの引き下げ、業績及び事業環境の悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達を行えない可能性があります。

 

また、金融機関からの借入や社債等には各種コベナンツが規定されている場合もあり、当社グループの業績、財政状態又は信用力の悪化等の要因でいずれかのコベナンツへの抵触が不可避な場合には、これらの条項に基づき残存する債務の一括返済を求められる可能性や、金利及び手数料率の引上げや新たな担保権の設定を求められる可能性があります。

 

これらの要因により、当社グループが今後資金調達を望ましい条件で実行できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 


経営指標、財務方針等に関するリスク

 

当社グループは、目標とする経営指標の見込みや財務方針等を掲げる場合がありますが、係る経営指標の見込みや財務方針等は、経済状況の変化、経営環境、個人ユーザーの嗜好の変化、企業クライアントのニーズの変化、他社との競合、技術革新の動向、法規制の変更及び為替変動等に係る多くの前提に基づいて作成されています。

 

また、変化が極めて速く不確実性の高い事業環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及びこれに基づく有効な戦略の策定は極めて困難であるため、当社グループの予測やそれに対応する各種の施策が有効であるとの保証はなく、当社グループがこれらの経営指標の見込みや財務方針等を達成できない可能性があります。

 


株価変動に関するリスク

 

当社の株価は、過去において急激に変動したことがあり、今後も、本「事業等のリスク」に記載の各リスクの発現をはじめとして、当社グループの業績、業績予想、配当等の株主還元策に関連する変化、更には外部メディアによる報道、当社株式の需給関係に相応の影響を与え得る当社株式の売却等により変動する可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営成績等の分析

① 連結経営成績の概況

 


 

(注) 「調整額」調整後の数値を記載しているため、各セグメントの金額合計と一致していません。

 

 

当連結会計年度の売上収益は3兆4,164億円(前連結会計年度比0.4%減)となりました。マッチング&ソリューション事業と人材派遣事業は増収となったものの、HRテクノロジー事業は減収となり、連結売上収益は減少しました。為替によるプラス影響1,282億円を控除した売上収益は前連結会計年度比4.1%減となりました。

 

当連結会計年度の営業利益は4,025億円(前連結会計年度比16.9%増)となりました。これは主に、広告宣伝費及び人件費の削減を含むコストコントロールを実施したことに加え、前期にHRテクノロジー事業の人員削減に伴う費用を計上したことによるものです。

 

当連結会計年度の税引前利益は4,262億円(前連結会計年度比15.9%増)となりました。

 

当連結会計年度の当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益はそれぞれ3,545億円(前連結会計年度比30.5%増)、3,536億円(前連結会計年度比31.1%増)となりました。営業利益が増加し、また、HRテクノロジー事業の組織再編に伴う一過性の影響により、連結税負担率が減少しました。

 

当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは、各事業において将来の成長のための投資は継続しながらも、主に人件費と広告宣伝費を中心にコストコントロールを実施したことから、17.5%(前連結会計年度は15.9%)、調整後EBITDAは5,983億円(前連結会計年度比9.8%増)、調整後EPSは241.11円(前連結会計年度比20.9%増)となりました。

 

当連結会計年度の研究開発費は1,548億円となりました(前連結会計年度比8.4%減)。主な内訳は、新プロダクトの開発や新しいテクノロジーを活用した既存プロダクトの改善に係るエンジニア及びテクノロジー開発担当者の人件費であり、その大半はHRテクノロジー事業に関連するものです。

 

 

重要な会計方針、見積り及び仮定

 

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。

 

連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しています。重要な見積り及び仮定については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の判断、会計上の見積り及び仮定」に記載しています。なお、のれんの減損テストで用いた主要な仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん及び無形資産」に記載しています。

 

また、見積り及び仮定は、過去の実績や、合理的だと考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいています。しかし、これらの見積り及び仮定には不確実性が存在するため、翌期以降の連結財務諸表において認識する金額と異なる場合があります。

 

② セグメント業績の概況

HRテクノロジー事業

 


 

当連結会計年度の売上収益は9.3%減1兆118億円、米ドルベース売上収益は15.0%減となりました。引き続き採用需要の平準化が進み、求職者と企業クライアント間の需給の乖離が緩和しました。

 

当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは34.0%となり、前連結会計年度の30.7%から増加しました。調整後EBITDAは0.6%増の3,443億円となりました。将来の成長に向けて、新しい商品やテクノロジー開発に係る投資は継続しながらも、主に人件費と広告宣伝費を中心にコストコントロールを実施しました。

 

 

 

マッチング&ソリューション事業

 


(注) 「その他/消去」調整後の数値を記載しているため、各セグメントの金額合計と一致していません。

 

当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比6.2%増8,078億円となりました。

 

人材領域では、売上収益は前連結会計年度比2.5%増となりました。人材紹介サービスは増収となったものの、求人広告サービスが減収となりました。

 

販促領域の売上収益は前連結会計年度比9.0%増となりました。販促領域は美容、旅行、飲食分野とAir ビジネスツールズを含む業務支援SaaSを合計した分野、住宅分野、その他のサービスを合計した分野のすべてで増収となりました。

 

当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは、生産性向上に向けたコストコントロールを実施したことから、20.3%と前連結会計年度比で増加し、調整後EBITDAは49.0%増1,636億円となりました。

 

 

 

人材派遣事業

 


(注) 欧州、米国、豪州の各売上収益は、欧州、米国及び豪州における子会社の所在地で分解しています。

 

当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比3.1%増1兆6,342億円となり、為替によるプラス影響648億円を控除した場合の売上収益は前連結会計年度比1.0%減となりました。

 

日本の売上収益は、人材派遣需要が引き続き増加したことで稼働人数が前年同期の水準を上回ったことにより、前連結会計年度比で9.9%増となりました。

 

欧州、米国及び豪州においては、前連結会計年度比で売上収益は2.1%減また為替によるプラス影響648億円を控除した場合の売上収益は前連結会計年度比9.2%減となりました。不透明な経済環境の見通しにより、人材派遣需要の鈍化が見られました。

 

当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは6.0%となり、前連結会計年度の6.5%から減少し、調整後EBITDAは4.2%減979億円となりました。これは主に、将来の成長に向け、戦略的マーケティング活動を実施したことによるものです。

 

各セグメントに帰属する地域別のれん金額

 

当連結会計年度末の各セグメントに帰属するのれんの帳簿価額は以下のとおりです。人材派遣事業で、当第3四半期に米国において75億円の、のれんの減損損失を計上しました。

 

のれん

HRテクノロジー

280.3

マッチング&ソリューション

-

 

日本

-

 

海外

-

人材派遣

230.2

 

日本

27.8

 

欧州

187.6

 

米国

11.3

 

豪州

3.3

合計

510.6

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 

基本方針

 

当社は、企業価値向上に繋がる戦略的投資への機動的な対応と円滑な事業活動に必要な流動性の確保のため、資金調達が必要な際には適切な格付及び財務の健全性を維持しつつ、グローバルな金融市場からの負債による資金調達を活用することを基本方針としています。

 

自己資本は、適切な資本効率を維持しつつ、成長投資の機会等に対して機動的に対応できる財務基盤を整えること及び事業活動や資産のリスクと比較して十分な水準を維持します。

 

資金使途

 

運転資金、法人税の支払い、各セグメントにおけるM&A及び資産取得等による外部資源の獲得や設備投資、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式の取得等に資金を充当しています。

 

資金調達

 

運転資金及び投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を充当することを基本としていますが、資金需要及び金利動向等の調達環境並びに既存の有利子負債の返済及び償還時期等を考慮の上、調達規模及び調達手段を適宜判断して外部資金調達を実施する場合があります。

 

外部資金調達を行う運転資金のうち、原則として、短期の運転資金については、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー又はその組み合わせにより調達することとしています。中長期の運転資金については、金融機関からの借入、社債又はその組み合わせにより調達することとしています。なお、当社は、機動的な資金調達を可能とするため、2,000億円(当連結会計年度末における未使用枠2,000億円)を上限とする社債の発行登録を行っています。

 

また、当社は、流動性を確保し、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関4社と当座貸越契約を締結しています。なお、当連結会計年度末における当座貸越極度額の合計は1,130億円であり、当該契約に基づく借入実行残高はありません。加えて、当社は総額2,000億円のコミットメントライン契約を締結しています。当連結会計年度末において、当該コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。これらにより、当社は事業環境の大きな変化の際にも十分な流動性が確保できると考えています。

 

格付

 

当社は、格付機関から長期格付を取得しています。当連結会計年度末における格付は、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱:A、ムーディーズ・ジャパン㈱:A3、㈱格付投資情報センター(R&I):AA、及び㈱日本格付研究所:AA+でした。また、当社は、R&Iから短期格付:a-1+を取得しています。

 

 

キャッシュマネジメント

 

当社は、当社グループ全体の資金効率を最大化するため、法制度上許容され、且つ経済合理性が認められることを前提として、主にキャッシュマネジメントシステムを通じた当社グループ内での資金貸借の実施を外部借入よりも優先しています。

 

当社は、当社及び財務統括子会社にすべての通貨のキャッシュマネジメントを集約することで、当社グループが保有する現金及び現金同等物の機動性を確保しています。

 

資金運用

 

資金運用は、投機目的で行わず、元本が保証され、安全且つ確実で効率の高い金融商品のみで行うこととしています。

 

政策保有株式に関する方針等

 

当社は、原則として政策保有株式を縮減していくことを方針としています。当社が保有する政策保有株式について、個別銘柄ごとに経済的価値と資本コストの見合いを定量的に検証するとともに、戦略的な関係性・重要性や、環境、社会及びガバナンス(ESG)等の定性的な観点を総合的に勘案し、保有の適否を検証しています。取締役会にて年1回精査し、これらの観点に合致しないと判断された株式は縮減する方針としています。

 

当社及び㈱リクルートが保有する政策保有株式の状況は以下のとおりです。その合計額は、2024年3月末において939億円で、連結資本合計の4.7%です。

 

 

当社

㈱リクルート

非上場株式

非上場株式

以外の株式

非上場株式

非上場株式

以外の株式

銘柄数 (銘柄)

3

12

3

4

貸借対照表計上額の合計額(百万円)

549

76,086

1,397

15,947

 

 

④ 連結財政状態の概況

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率

 

流動資産合計

1,465.3

1,762.7

297.4

20.3%

 

非流動資産合計

1,327.9

1,381.9

53.9

4.1%

 

  資産合計

2,793.2

3,144.6

351.3

12.6%

 

流動負債合計

782.7

758.8

△23.8

△3.1%

 

非流動負債合計

369.5

376.8

7.3

2.0%

 

  負債合計

1,152.3

1,135.7

△16.5

△1.4%

 

親会社の所有者に帰属する持分合計

1,627.0

2,000.9

373.9

23.0%

 

非支配持分

13.9

7.9

△5.9

△42.8%

 

  資本合計

1,640.9

2,008.9

367.9

22.4%

 

 

流動資産は、当連結会計年度に実施した自己株式の取得による支出があったものの、主に営業キャッシュ・フローの増加により、現金同等物が増加し、前連結会計年度末と比べ2,974億円増となりました。

 

当連結会計年度末における当座貸越極度額の合計は1,130億円であり、当該契約に基づく借入実行残高はありません。加えて、当連結会計年度末時点における2023年9月29日に締結した総額2,000億円のコミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。

 

なお、当社は2,000億円(当連結会計年度末における未使用枠2,000億円)を上限とする社債の発行登録を行っています。

 

現金及び現金同等物、有利子負債及びその差額のネットキャッシュは以下のとおりです。

 

 

前連結会計年度
 

当連結会計年度
 

増減

増減率

現金及び現金同等物

877.3

1,136.8

259.4

29.6%

有利子負債(リース負債を除く)

35.2

1.3

△33.8

△96.0%

 

ネットキャッシュ

842.0

1,135.4

293.3

34.8%

 

 

 

 

⑤ 連結キャッシュ・フローの概況

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

438.1

535.3

97.1

投資活動によるキャッシュ・フロー

△32.6

△68.7

△36.1

財務活動によるキャッシュ・フロー

△252.0

△334.6

△82.5

現金及び現金同等物に係る換算差額

54.3

127.5

73.2

 現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

207.8

259.4

51.6

現金及び現金同等物の期首残高

669.5

877.3

207.8

 現金及び現金同等物の期末残高

877.3

1,136.8

259.4

 

 

当第4四半期及び当連結会計年度の自己株式の取得による支出は、それぞれ881億円、2,189億円となりました。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績及び受注実績

当社グループが提供するサービスの性質上、生産実績及び受注実績の記載に馴染まないため、省略しています。

 

② 販売実績

本項目「(1) 経営成績等の分析」に記載のとおりです。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

適用される法令等を踏まえて作成した当社基準に照らして検討した結果、該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費は1,548億円となりました。主な内訳は、新プロダクトの開発や新しいテクノロジーを活用した既存プロダクトの改善に係るエンジニア及びテクノロジー開発担当者の人件費であり、その大半はHRテクノロジー事業に関連するものです。