【連結財務諸表注記】
1 報告企業
㈱リクルートホールディングス(以下「当社」)は日本の会社法に基づいて設立された株式会社であり、日本に所在する企業です。当社の登記されている本社及び主要な事業所の住所は、ホームページ(https://recruit-holdings.com/)で開示しています。当社及びその子会社(以下「当社グループ」)の事業内容及び主要な活動は、「5 事業セグメント」に記載しています。
当連結会計年度の連結財務諸表は、2024年6月20日に代表取締役社長 兼 CEO 出木場 久征、取締役 兼 常務執行役員 ファイナンス本部担当 瀬名波 文野及び執行役員 ファイナンス本部 財務・経理・税務担当 森 暁彦によって承認されています。
2 作成の基礎
連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。当社は、連結財務諸表規則第1条の2の「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、連結財務諸表規則第93条の規定を適用しています。
連結財務諸表は、「3 重要性がある会計方針」に記載しているとおり、公正価値で測定している金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しています。
連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しており、百万円未満の端数を切捨てています。
連結財務諸表の承認日までに新設又は改定が行われた新基準書及び新解釈指針のうち、当連結会計年度において当社グループが早期適用していない主なものは、以下のとおりです。新しいIFRS適用による当社グループへの影響は検討中であり、現時点で見積ることはできません。
3 重要性がある会計方針
以下の会計方針は、他に記載がない限り、本連結財務諸表に記載されているすべての期間に適用しています。
本連結財務諸表は、当社グループの財務諸表及び関連会社の持分相当額を含んでいます。子会社及び関連会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社及び関連会社の財務諸表の調整を行っています。当社グループ内の債権債務残高及び取引高並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループが投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、且つ投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、その企業を支配していると判断しています。子会社については、当社グループが支配を獲得した日を取得日とし、その日より当社グループが支配を喪失する日まで連結しています。決算日が異なる子会社の財務諸表は、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しています。支配が継続する子会社に対する当社グループの持分変動については資本取引として会計処理し、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、当社の株主に帰属する持分として資本に直接認識しています。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得及び損失は純損益で認識しています。子会社の包括利益については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させています。
関連会社とは、当社グループが重要な影響力を有しているが、支配又は共同支配をしていない企業をいいます。関連会社については、当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法を適用して会計処理しています。
(2) 企業結合
当社グループは、取得法を適用して各企業結合を会計処理しています。企業結合で移転された対価は、移転した資産、取得企業に発生した被取得企業の旧所有者に対する負債及び取得企業が発行した資本持分の取得日の公正価値の合計額として測定され、該当する場合は条件付対価を含めています。
企業結合により取得した識別可能な資産及び引き受けた負債を、取得日の公正価値で測定しています。企業結合における取得関連費用は発生時に費用処理しています。取得日時点における移転された対価、すべての非支配持分の金額及び以前に保有していた被取得企業の資本持分の総額が、識別可能な資産及び引き受けた負債の取得日における正味の金額を超過した差額を、のれんとして認識しています。
企業結合の当初の会計処理が本連結財務諸表の承認日までに完了しない場合、当社は、完了していない項目については暫定的な金額で報告しています。その後、新たに入手した支配獲得日時点に存在していた事実と状況について、支配獲得日時点に把握していたとしたら企業結合処理の認識金額に影響を与えていたと判断される場合、測定期間の修正として、支配獲得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正します。測定期間は支配獲得日から最長で1年間としています。
当社の連結財務諸表は、各社の機能通貨に基づく財務諸表を基礎に作成しています。
外貨建取引は、取引日における直物為替レートを適用することにより、当社グループの各機能通貨に換算しています。外貨建の貨幣性資産及び負債は、決算日の直物為替レートにより機能通貨に換算しています。取得原価で測定している外貨建非貨幣性項目は、当初取引日における為替レートで機能通貨に換算しています。公正価値で測定している外貨建非貨幣性項目は、当該公正価値の測定日における直物為替レートで機能通貨に換算しています。当該換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識しています。但し、非貨幣性項目に係る利益又は損失がその他の包括利益に計上される場合は、為替差額もその他の包括利益に計上しています。
在外営業活動体の資産及び負債は、決算日の直物為替レートにより、収益及び費用は、取引日の直物為替レート又はそれに近似するレートで換算しています。その換算差額はその他の包括利益として認識しています。在外営業活動体が処分された場合には、当該営業活動体に関連する累積換算差額を処分時に純損益として認識しています。
金融資産は、当社グループが金融商品の契約上の当事者になった時点で認識しています。当社グループは、すべての金融資産を当初認識時に公正価値で測定し、償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産(FVTOCI金融資産)又は純損益を通じて公正価値で測定する金融資産(FVTPL金融資産)に分類しています。
当社グループは、以下の条件を満たす金融資産を、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
- 契約上のキャッシュ・フローの回収を保有目的とする事業モデルに基づいて、資産を保有していること
- 金融資産の契約条件により、特定の日に元本及び元本残高に対する利息の支払いのみのキャッシュ・フローが生じること
償却原価で測定する金融資産は、公正価値に取引費用を加算して当初認識し、当初認識後は実効金利法による償却原価から減損損失を控除した金額で認識しています。また、利息収益及び認識の中止に係る利得又は損失及び減損損失は金融損益として認識しています。
当社グループは、以下の条件を満たす負債性金融資産を、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するFVTOCI負債性金融資産に分類しています。
- 契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成する事業モデルに基づいて、資産を保有していること
- 金融資産の契約条件により、特定の日に元本及び元本残高に対する利息の支払いのみのキャッシュ・フローが生じること
FVTOCI負債性金融資産は、公正価値に取引費用を加算して当初認識し、当初認識後の公正価値の変動(減損損失を除く。)をその他の包括利益において認識し、その累計額は認識の中止を行う際に純損益に組替調整額として振替えています。また、利息収益及び認識の中止に係る利得又は損失及び減損損失は金融損益として認識しています。
当社グループは、公正価値で測定する金融資産のうち、当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択をした資本性金融資産については、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するFVTOCI資本性金融資産に分類しています。なお、当社グループは、原則としてすべての資本性金融資産をFVTOCI資本性金融資産に指定しています。FVTOCI資本性金融資産は、公正価値に取引費用を加算して当初認識しています。当初認識後の公正価値の変動及び認識の中止に係る利得又は損失はその他の包括利益として認識し、その累計額はその他の資本の構成要素に認識後、直ちに利益剰余金に振替えています。FVTOCI資本性金融資産に係る受取配当金は、当該配当金が明らかに投資の取得原価の回収を示している場合を除いて、配当受領権が確定した時点で金融収益として認識しています。
当社グループは、上記の償却原価で測定する金融資産又はFVTOCI負債性金融資産に分類されない負債性金融資産及びデリバティブを、FVTPL金融資産に分類しています。FVTPL金融資産は、公正価値で当初認識し、当初認識後の公正価値の変動及び売却損益は金融損益として認識しています。
当社グループは、償却原価で測定する金融資産又はFVTOCI負債性金融資産について、予想信用損失に基づき損失評価引当金を認識しています。当社グループは、報告期間の末日ごとに、金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているかどうかを評価しています。金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融資産に係る損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定し、著しく増加していない場合には、12カ月の予想信用損失に等しい金額で測定しています。信用リスクが著しく増加しているか否かは、デフォルトリスクの変化に基づいて測定しています。但し、重大な金融要素を含んでいない営業債権については、信用リスクの増減にかかわらず、全期間の予想信用損失を簡便的に過去の信用損失の実績等に基づき測定しています。
当社グループは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅したか、あるいは、金融資産が譲渡され、その金融資産の所有に係るリスク及び経済価値のほとんどすべてが移転した場合に、当該金融資産の認識を中止しています。移転した金融資産に関して当社グループが創出した又は当社グループが引き続き保有する持分については、別個の資産及び負債として認識しています。
金融負債は、当社グループが金融商品の契約上の当事者になった時点で認識しています。当社グループは、すべての金融負債を当初認識時に公正価値で測定し、償却原価で測定する金融負債又は純損益を通じて公正価値で測定する金融負債(FVTPL金融負債)に分類しています。
当社グループは、以下のものを除くすべての金融負債を、償却原価で測定する金融負債に分類しています。
- FVTPL金融負債(デリバティブ負債を含む。)
- 金融保証契約
- 企業結合において認識した条件付対価
償却原価で測定する金融負債は、公正価値に取引費用を減算して当初認識し、当初認識後は実効金利法による償却原価で認識しています。
FVTPL金融負債は、公正価値で当初認識し、当初認識後の変動はヘッジ会計の要件を満たしている場合を除き、金融損益として認識しています。
当社グループは、金融負債の義務が履行されたか、免除された又は失効した場合に当該金融負債の認識を中止しています。
金融資産と金融負債は、認識された金額を相殺する強制可能な法的権利が現時点で存在し、且つ純額ベースで決済する又は資産を実現すると同時に負債を決済する意図が存在する場合にのみ相殺し、連結財政状態計算書において純額で認識しています。
a. デリバティブ
当社グループは、金利及び為替レートの変動によるリスクに対処する目的で、金利スワップ、通貨スワップ及び先物為替予約等のデリバティブ契約を締結しています。これらのデリバティブは、契約が締結された日の公正価値で資産又は負債として当初認識し、当初認識後は報告期間の末日の公正価値で測定しています。デリバティブの公正価値の変動額(デリバティブ評価損益)は、ヘッジ会計を適用していない場合は、直ちに純損益として認識しています。なお、為替レートの変動によるリスクに対処する目的のデリバティブの公正価値の変動額は、連結損益計算書において外貨建貨幣性項目の為替レートの変動により生じる為替差額(為替差損益)と相殺して表示しています。
b. ヘッジ会計
当社グループは、ヘッジ関係がヘッジ会計の要件を満たしている場合において一部のデリバティブをキャッシュ・フロー・ヘッジとして会計処理をしています。デリバティブの公正価値の変動額のうちキャッシュ・フロー・ヘッジの有効部分はその他の包括利益として認識し、その累計額をその他の資本の構成要素として認識しています。その他の資本の構成要素として認識された金額は、ヘッジ対象が純損益として認識される場合に、その影響を相殺するよう純損益に振替えています。また、キャッシュ・フロー・ヘッジの非有効部分は直ちに純損益で認識しています。
現金及び現金同等物は、手許預金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、且つ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3カ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
有形固定資産の測定には原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しています。取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、除却及び原状回復費用の見積額を含めています。減価償却費は、償却可能価額を各構成要素の耐用年数にわたり定額法により算定しています。減価償却方法、耐用年数及び残存価額は各年度末に見直しを行い、変更がある場合には、会計上の見積りの変更として、見積りを変更した期間及び将来に向かって適用しています。主な耐用年数は以下のとおりです。
- 建物及び構築物: 2年~50年
- 工具、器具及び備品: 2年~20年
無形資産の測定には原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しています。個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しています。また、のれんとは別に企業結合で取得した識別可能な無形資産は、支配獲得日の公正価値で測定しています。
研究活動から生じた支出は、発生時に費用計上しています。開発活動から生じた支出は、以下のすべてを立証できる場合に限り、資産計上しています。
- 使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
- 無形資産を完成させ、更にそれを使用又は売却するという企業の意図
- 無形資産を使用又は売却する能力
- 無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法
- 無形資産の開発を完成させ、更にそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
- 開発期間中に無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
耐用年数を確定できる無形資産の償却費は、償却可能価額を耐用年数にわたり定額法により算定しています。償却方法及び耐用年数は各年度末に見直しを行い、変更がある場合には、会計上の見積りの変更として、見積りを変更した期間及び将来に向かって適用しています。なお、耐用年数を確定できない無形資産については償却を行っていません。主な耐用年数は以下のとおりです。
- ソフトウエア: 5年
- 顧客関連資産: 2年~15年
当社グループでは、契約開始時に、その契約がリースであるか否か又はその契約にリースが含まれているか否かを契約の実質を基に判断しています。
リース負債はリース開始日より認識し、リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、残存リース料を借手の追加借入利子率を用いて算定した割引現在価値で測定しています。開始日後においては、リース負債に係る金利や、支払われたリース料を反映するようにリース負債の帳簿価額を増減し、リースの条件変更等に伴って必要に応じて再測定しています。また、リース期間については、リースの解約不能期間にリース期間を延長するオプション(当該オプションを行使することが合理的に確実である場合)及び解約するオプション(当該オプションを行使しないことが合理的に確実である場合)を考慮し決定しています。
使用権資産の測定には原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しています。取得原価には、リースの開始日におけるリース負債の当初測定額に前払リース料からリース・インセンティブを控除したものを調整し、リース契約に基づき要求される原状回復義務等のコストを含めています。また、使用権資産に係る減価償却費は、リース期間にわたり定額法により算定しています。リース期間は、リースの延長・解約オプションの行使の可能性に影響を与えるような重大な事象又は状況の重大な変化が生じたとき等に見直しを行い、変更がある場合にはリース負債を再測定し、原則として使用権資産の金額を調整しています。
なお、少額資産のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しています。
当社グループでは、決算日に資産が減損している可能性を示しているか否かを判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額に基づき減損テストを実施しています。耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産は、償却を行わず、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しています。
回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方で測定しています。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間価値及びその資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いて算定しています。
個々の資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を純損益(その他の営業費用)に認識しています。過年度に減損損失を認識した資産については、決算日において、減損の戻入れの兆候の有無を判定しています。減損の戻入れの兆候があり、個々の資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を上回る場合には、回収可能価額と過年度に減損損失が認識されていなかった場合の償却又は減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失の戻入れを認識しています。
のれんは取得原価から減損損失累計額を控除した金額で測定しています。のれんは、企業結合によるシナジーから便益を享受できると期待される資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しています。のれんが配分される資金生成単位又は資金生成単位グループについては、のれんが内部管理目的で監視される最小レベルの単位に基づき決定し、事業セグメントの範囲内となっています。
当社グループは、各年度の一定の時期及び配分された資金生成単位又は資金生成単位グループに減損の兆候がある場合にはその時点で、減損テストを実施しています。減損テストにおいて資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、その差額を、原則として減損損失として認識します。減損損失は、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分されたのれんの帳簿価額から減額し、次に資金生成単位又は資金生成単位グループにおけるその他の資産の帳簿価額の比例割合に応じて各資産の帳簿価額から減額しています。のれんの減損損失は純損益(その他の営業費用)に認識し、その後の期間に戻入れは行っていません。
継続的使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産又は資産グループのうち、1年以内に売却する可能性が非常に高く、且つ現状のままで直ちに売却可能で、当社グループの経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する非流動資産又は処分グループとして分類しています。売却目的で保有する非流動資産は減価償却又は償却を行わず、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しています。
当社グループは、過去の事象の結果として現在の債務(法的債務又は推定的債務)を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、且つ当該債務の金額について信頼できる見積りが可能である場合に引当金を認識しています。貨幣の時間価値が重要な場合には、決済のために要すると見積もられた支出額の現在価値で測定しています。現在価値の算定には、貨幣の時間価値の現在の市場評価とその負債に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いています。
当社グループは、従業員の退職給付制度として、確定拠出制度及び確定給付制度を設けています。
① 確定拠出制度
確定拠出型の退職給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期間に純損益として認識しています。
② 確定給付制度
確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用を、予測単位積増方式を使用して制度ごとに個別に算定し、費用として認識しています。割引率は、将来の毎年度の給付支払い見込み日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した決算日時点の優良社債の利回りに基づき算定しています。また、確定給付負債の純額に係る利息の純額は、売上原価又は販売費及び一般管理費として計上しています。当期に発生した確定給付負債の純額の再測定額はその他の包括利益として認識し、その累計額はその他の資本の構成要素に認識後、直ちに利益剰余金に振替えています。
① 資本金及び資本剰余金
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、その発行に直接起因する取引費用(税効果考慮後)は発行価額の割合に応じて資本金及び資本剰余金から控除しています。
自己株式を取得した場合は、その取得に直接起因する取引費用(税効果考慮後)を含む支払対価を、資本の控除項目として認識しています。自己株式を売却した場合、受取対価を資本の増加として認識しています。
当社グループは、以下の持分決済型の株式報酬制度を導入しています。
当社グループは、当社の取締役、執行役員、専門役員(以下執行役員及び専門役員を総称して「執行役員等」)及び上級職員に対するインセンティブプランとして、持分決済型のストック・オプションを付与しています。当社グループは、ストック・オプションの対価として受領したサービスは費用として認識し、対応する金額を資本の増加として認識しています。当該費用は、付与日におけるストック・オプションの公正価値によって見積っています。公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラック・ショールズモデル等を用いて算定しています。
当社グループは、当社及び当社グループ会社の取締役及び執行役員等へのインセンティブプランとして、持分決済型の役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託を導入しています。受領したサービスの対価は、付与日における当社株式の公正価値を参照して測定しており、権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。
③ 持分決済型の株式付与ESOP(Employee Stock Ownership Plan)信託
当社グループは、当社グループ会社の従業員へのインセンティブプランとして、持分決済型の株式付与ESOP(Employee Stock Ownership Plan)信託を導入しています。受領したサービスの対価は、付与日における当社株式の公正価値を参照して測定しており、権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。なお、付与日における公正価値は、株式の市場価格に予想配当を考慮に入れた修正を行い、算定しています。
当社グループでは、以下の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しています。なお、各事業の収益認識の詳細は、「21 売上収益」に記載しています。
ステップ1: 顧客との契約を識別します。
ステップ2: 契約における履行義務を識別します。
ステップ3: 取引価格を算定します。
ステップ4: 取引価格を契約における履行義務に配分します。
ステップ5: 履行義務を充足した時点で(又は充足するにつれて)収益を認識します。
契約獲得のための増分コストのうち、回収可能と見込まれる部分について資産(以下「契約獲得コストから認識した資産」)を認識しています。契約獲得のための増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しなかったであろうものです。
契約獲得コストから認識した資産については、当該資産の償却期間が1年以内である場合を除き、当該資産に関連するサービスの顧客への移転に合わせて規則的に償却しています。当該資産の償却期間が1年以内である場合は、IFRS第15号で規定される実務上の便法を適用し、契約獲得のための増分コストを発生時に費用処理しています。
法人所得税は、当期税金費用及び繰延税金費用の合計金額です。これらは、その他の包括利益又は資本において直接認識される項目から生じる税金及び企業結合から生じる税金を除き、純損益として認識しています。
当期税金費用は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額を、決算日までに制定又は実質的に制定された税率(及び税法)を使用して測定しています。
繰延税金費用は、決算日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に基づいて算定しています。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び税務上の繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識しています。繰延税金負債は、原則として、すべての将来加算一時差異について認識しています。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産を認識していません。
- 企業結合ではなく、取引時に会計上の利益にも課税所得(税務上の欠損金)にも影響を与えず、且つ同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引における資産又は負債の当初認識から生じる場合
- 子会社及び関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異に関して、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
また、以下の一時差異に対しては、繰延税金負債を認識していません。
- のれんの当初認識から生じる場合
- 企業結合ではなく、取引時に会計上の利益にも課税所得(税務上の欠損金)にも影響を与えず、且つ同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引における資産又は負債の当初認識から生じる場合
- 子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異に関して、一時差異の解消時期をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
単一の取引から資産と負債の両方を同額で認識する特定の取引については、認識される資産に係る将来加算一時差異に対し繰延税金負債を、認識される負債に関する将来減算一時差異に対し繰延税金資産を、それぞれ当初認識する方法を採用しています。
繰延税金資産及び負債は、決算日までに制定又は実質的に制定されている税率(及び税法)に基づいて、資産が実現する又は負債が決済されるときに適用されると予想される税率を使用して算定しています。繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、且つ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体、又は、純額ベースでの決済を行うことを意図している異なる納税主体に課されている場合に相殺しています。
また、国際会計基準第12号「法人所得税」の一時的な救済措置に応じて、第2の柱モデルルールを導入するための税法により生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関する認識及び情報の開示に対する例外規定を適用しています。
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しています。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して算定しています。
(19) 表示方法の変更
連結キャッシュ・フロー計算書関係
前連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローのその他の増減に含めて表示していた受取利息及び受取配当金並びに財務活動によるキャッシュ・フローのその他の増減に含めて表示していたデリバティブの決済による収入は、金額的重要性が増したため、当連結会計年度より独立掲記しています。
この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローのその他の増減に含めて表示していた△18,758百万円は、受取利息及び受取配当金として、また、財務活動によるキャッシュ・フローのその他の増減に含めて表示していた5,866百万円は、デリバティブの決済による収入として組み替えています。
4 重要な会計上の判断、会計上の見積り及び仮定
連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定の設定を行っています。
見積り及び仮定は、過去の実績や、合理的だと考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいています。しかし実際の結果は、その性質上、見積り及び仮定と異なることがあります。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しています。これらの見積りの見直しによる影響は、当該見積りを見直した期間及び将来の期間において認識しています。
連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は、以下のとおりです。
特定の金融商品の公正価値は、観察不能なインプットを含む評価技法に基づき算定されています。観察不能なインプットは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。当連結会計年度の金額は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」に含まれています。
当社グループは、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産について、「3 重要性がある会計方針」に従って、減損テストを実施しています。減損テストにおける回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー予測に含まれる成長率や割引率等の仮定に基づいて算定されています。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定されますが、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。当連結会計年度の金額は、連結財政状態計算書の「有形固定資産」、「使用権資産」、「のれん」及び「無形資産」に計上されているとおりです。なお、のれん及び無形資産の詳細は「11 のれん及び無形資産」に記載しています。
当社グループは、退職給付制度として確定給付制度を設けています。当該制度に係る確定給付制度債務の現在価値及び関連する勤務費用等は、割引率や死亡率等の数理計算上の仮定に基づいて算定されています。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定されますが、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。当連結会計年度の金額は、連結財政状態計算書の「退職給付に係る負債」に計上されているとおりです。
(4) 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び税務上の繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる時期及び金額に基づき算定されています。課税所得が生じると見込まれる時期及び金額は、経営者の最善の見積りと判断により決定されますが、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。当連結会計年度の金額は、連結財政状態計算書の「繰延税金資産」に計上されているとおりです。
5 事業セグメント
当社グループの事業セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているセグメントです。当社グループは、事業の種類別にHRテクノロジー事業、マッチング&ソリューション事業及び人材派遣事業の3つを事業セグメントとしており、報告セグメントもこれらと同一です。
HRテクノロジー事業は、米国及び米国以外の2つの事業領域で構成されています。マッチング&ソリューション事業は、人材領域及び販促領域の2つの事業領域で構成されています。人材派遣事業は、日本並びに欧州、米国及び豪州の2つの事業領域で構成されています。
なお、これらの事業の詳細は、「21 売上収益」に記載しています。
報告セグメントの利益は調整後EBITDA(営業利益+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)+株式報酬費用±その他の営業収益・費用)です。
調整額の外部顧客からの売上収益には、特定の報告セグメントに配分されない収益が含まれており、セグメント利益には、各報告セグメントに配分していない全社費用が含まれています。全社費用は、主にセグメントに帰属しない一般管理費です。セグメント間の内部売上収益又は振替高は市場実勢価格に基づいています。なお、セグメント資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象とはなっていないため記載していません。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 減価償却費及び償却費は、使用権資産の減価償却費を除いた金額です。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 減価償却費及び償却費は、使用権資産の減価償却費を除いた金額です。
製品及びサービスの区分が報告セグメントと同一であるため、記載を省略しています。
(注) 売上収益は、外部顧客の所在地に基づき分類しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の「売上収益」の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。
6 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は以下のとおりです。
(注) 現金及び現金同等物は、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
7 営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は以下のとおりです。
(注1) 営業債権及びその他の債権は、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
(注2) 2022年4月1日における顧客との契約から生じた債権(売掛金)の残高は433,850百万円です。
8 その他の金融資産
(注1) 資本性金融資産は、原則としてその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
(注2) 負債性金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
(注3) 差入保証金は、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
株式等の資本性金融資産は、主に投資先との取引関係の維持強化を目的として保有しており、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の内訳は以下のとおりです。
活発な市場のある金融資産の主な銘柄及びそれらの公正価値は以下のとおりです。活発な市場のない金融資産は、主にインターネット関連分野への投資で構成されています。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
9 その他の資産
その他の資産の内訳は以下のとおりです。
10 有形固定資産
有形固定資産の帳簿価額の増減、取得原価並びに減価償却累計額及び減損損失累計額は以下のとおりです。
帳簿価額
取得原価
減価償却累計額及び減損損失累計額
(注) 減価償却費は、主に連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上しています。
11 のれん及び無形資産
帳簿価額
取得原価
償却累計額及び減損損失累計額
(注1) ソフトウエアは、主に自己創設ソフトウエアです。
(注2) その他には、主に商標権が含まれています。
(注3) 償却費は、主に連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上しています。
(注4) 前連結会計年度及び当連結会計年度において費用として認識した研究開発費は、それぞれ168,986百万円、154,862百万円です。
(2) 重要な無形資産
無形資産のうち、重要なものは、RGF Staffing B.V.の株式取得により発生した顧客関連資産(前連結会計年度37,383百万円、当連結会計年度36,035百万円)であり、当連結会計年度における残存償却期間は、6年です。
当社グループは、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資金生成単位でグルーピングを行っており、原則として、経営管理上の事業区分を考慮しています。また、企業結合のシナジーから便益を得ることが見込まれる資金生成単位又は資金生成単位グループに対して、のれんを配分しています。
HRテクノロジー事業では、各社間におけるシナジーから便益を得ることが見込まれており、それを考慮してのれんを内部管理目的でモニタリングしていることから、HRテクノロジー事業全体を単一の資金生成単位として減損テストを実施しています。人材派遣事業では、各社特有の事業環境があること等を考慮して、原則として各社を資金生成単位又は資金生成単位グループとして減損テストを実施しています。
各資金生成単位又は資金生成単位グループののれんの残高は以下のとおりです。
なお、当社における重要なのれんは、HRテクノロジー事業に関連するもの及びRGF Staffing B.V.の株式取得により発生したものです。
当社グループは、のれんは減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しています。
のれんの減損損失は、資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に認識しています。回収可能価額は使用価値により算定しています。使用価値は、各資金生成単位又は資金生成単位グループにおいて経営者によって承認された事業計画に基づく5年間の税引前の将来キャッシュ・フロー予測等を現在価値に割り引いて算定しています。
5年間の将来キャッシュ・フロー予測は、業界の将来の趨勢に関する経営者の評価と過去のデータを反映したものに加え、市場成長率を含む外部情報及び内部情報に基づき作成しています。将来キャッシュ・フロー予測が対象としている期間を超える期間については、資金生成単位又は資金生成単位グループの属する国、産業の状況を勘案して決定した保守的な成長率を用いて予測した将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引いて、継続価値を算定しています。税引前の割引率は加重平均資本コストを基礎とし、貨幣の時間価値及びその資産の固有のリスクを考慮して算出しています。
資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額の算定に利用している主要な仮定は以下のとおりです。
のれんを配分した資金生成単位又は資金生成単位グループにおいて、減損テストに用いた主要な仮定が合理的に予測可能な範囲で変化したとしても、重要な減損が発生する可能性は低いと判断しています。
RGF Staffing B.V.に関連するのれんについては、仮に成長率が2.2%低下した場合、又は割引率が1.6%上昇した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性があります。
のれん及び無形資産の減損損失は、連結損益計算書の「その他の営業費用」に計上しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるのれん及び無形資産の主な減損損失は「23 その他の営業費用」に記載しています。
12 リース
当社グループは、オフィスビル等を貸借して使用しています。リース契約には更新オプションを含むものがあります。また、リース契約によって課された重要な制限(追加借入及び追加リースに関する制限等)はありません。
(2) リースに係る費用の内訳は、以下のとおりです。
(注) 原資産が少額のリースについては、リース料をリース期間にわたり定額法により費用認識しています。
(注) 使用権資産の増加額は、前連結会計年度50,734百万円、当連結会計年度34,841百万円です。
潜在的に晒されている将来キャッシュ・アウトフローのうちリース負債の測定に反映されていないものについて、重要なものはありません。
リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額は、前連結会計年度52,534百万円、当連結会計年度55,672百万円です。
13 法人所得税
繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳は以下のとおりです。
(注) 当社グループは、繰延税金資産の認識に当たり、将来加算一時差異、将来課税所得及びタックスプランニングを考慮しています。
繰延税金資産及び繰延税金負債の増減の内訳は以下のとおりです。
(注) その他には在外営業活動体の換算差額等が含まれています。
連結財政状態計算書上で繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の失効期限別内訳は、以下のとおりです。
当連結会計年度において、繰延税金負債を認識していない子会社等に対する投資に係る将来加算一時差異の合計額は496,702百万円です。これらは当社グループが一時差異の解消時期をコントロールでき、且つ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高いことから、繰延税金負債を認識していません。なお、当該一時差異には主に在外営業活動体の換算差額のほか、当連結会計年度において発生したHRテクノロジー事業の組織再編により生じた将来加算一時差異が含まれています。
(4) 法人所得税費用の内訳
(注1) 当社は、主に法人税、住民税及び損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した法定実効税率は前連結会計年度及び当連結会計年度において30.6%となっています。但し、海外子会社についてはその所在地における法人税等が課されています。
(注2) 当連結会計年度において、HRテクノロジー事業の組織再編に伴う一過性の税負担率の減少による影響が含まれています。
(6) 国際的な税制改革-第2の柱モデルルール
経済協力開発機構(OECD)とG20各国が参加する税源侵食防止及び利益移転に関する包摂的枠組みは、世界経済のデジタル化で生じる税務上の課題に対処する目的で策定された第2の柱モデルルールを公表しました。
OECDが公表した第2の柱モデルルールを導入するための税法(第2の柱)は、当社グループが営業活動を行っている一定の法域では制定、又は実質的に制定されています。当該法制は、2024年4月1日以降に開始する当社グループの会計年度に適用されます。当社グループは制定された又は実質的に制定されている法律の範囲内にあり、第2の柱の法人所得税に対する潜在的なエクスポージャーの評価を実施しました。
第2の柱の法人所得税に対する潜在的なエクスポージャーの評価は、当社グループの構成企業の直近の税務申告、国別報告書及び財務諸表に基づいています。当該評価では、当社グループが営業活動を行っている法域のほとんどで第2の柱の実効税率は15%を上回っています。移行期セーフ・ハーバー救済措置が適用されない法域は限られており、第2の柱の実効税率も15%に近似しています。当社グループは、それらの法域に関し、第2の柱の法人所得税に対する重要性があるエクスポージャーを想定していません。
14 営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は以下のとおりです。
(注) 営業債務及びその他の債務は、償却原価で測定する金融負債に分類しています。
15 社債及び借入金
社債及び借入金の内訳は以下のとおりです。
(注1) 平均利率については、借入金等の期末残高に対する加重平均利率を記載しています。
(注2) 社債の内訳は、以下のとおりです。
16 その他の負債
その他の負債の内訳は以下のとおりです。
(注) 契約負債は、履行義務の充足前に対価を受領しているものであり、当社グループが契約に基づき履行義務を充足した時点で収益として認識しています。当社グループの主要な履行義務に関する情報については、「21 売上収益」に記載しています。2023年4月1日時点で保有していた契約負債に関しては主に当連結会計年度の収益として認識しています。また、当連結会計年度において、過去の期間に充足(又は部分的に充足)した履行義務から、取引価格の変動等により、当期認識した収益の額に重要性はありません。なお、2022年4月1日における契約負債の残高は75,204百万円です。
17 引当金
引当金の内訳及び増減は、以下のとおりです。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注1) 当社グループは、販売促進を目的とするポイント制度により付与されたポイントの使用に備えるため、過去の実績を基礎として将来使用されると見込まれる金額をポイント引当金として計上しています。会員によるポイントの使用金額又は時期については、不確実性があります。
(注2) 当社グループが使用するオフィスの賃貸借契約等に伴う原状回復義務に備えて、過去の実績及び第三者の見積り等に基づき将来支払うと見込まれる金額を計上しています。原状回復に係る支出は、主に1年以上経過した後になることが見込まれていますが、将来の事業計画等により影響を受けます。
18 従業員給付
当社グループは、退職給付制度として、退職一時金制度、確定給付企業年金制度及び確定拠出年金制度を設けています。
退職一時金制度は、外部積立を行わず、内部積立のみをもって一時金を支払う非積立型の制度です。退職一時金は各社の就業規則等の退職金規程に基づき給与や勤務期間、勤続した各年に獲得したポイント、その他条件に基づいた金額が支払われます。
当社グループの一部の子会社は、確定給付企業年金制度を設けており、勤続した各年に獲得したポイントに基づいた一時金又は年金が支給されます。確定給付企業年金制度において、法令及び規約を遵守し、加入者のために忠実に積立金の管理及び運用に関する業務を遂行する責任を負っています。
① 確定給付制度から生じた連結財務諸表上の金額
連結財政状態計算書で認識した確定給付負債及び資産の純額は以下のとおりです。
確定給付制度債務の加重平均デュレーションは以下のとおりです。
② 確定給付制度債務の調整表
確定給付制度債務の現在価値の変動は以下のとおりです。
(注) 確定給付制度債務に係る数理計算上の差異は、財務上の仮定の変化等により発生しています。
③ 将来キャッシュ・フローへの影響
a. 数理計算上の仮定
主要な数理計算上の仮定(加重平均)は以下のとおりです。
b. 感応度分析
数理計算上の仮定が変化した場合の期末の確定給付制度債務の現在価値の変動は以下のとおりです。
この分析は、その他の変数が一定との前提を置いていますが、実際には独立して変化するとは限りません。
なお、マイナスは確定給付制度債務の現在価値の減少を、プラスは確定給付制度債務の現在価値の増加を表しています。
④ 確定拠出制度への影響
前連結会計年度及び当連結会計年度における当社グループの確定拠出年金制度の拠出に係る費用計上額は、それぞれ87,184百万円、92,642百万円です。連結損益計算書の「売上原価」並びに「販売費及び一般管理費」に計上しています。
(2) 従業員給付費用
前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書の「売上原価」並びに「販売費及び一般管理費」に含まれる従業員給付費用の合計額は、それぞれ2,048,466百万円、2,093,066百万円です。
19 資本金及びその他の資本項目
(1) 資本金
資本金の増減は以下のとおりです。
(単位:株)
(注) 当連結会計年度における発行済株式数の減少は、2024年3月19日開催の取締役会決議に基づく自己株式の消却46,118,081株によるものです。
連結財政状態計算書に計上している自己株式には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託が保有する当社株式が含まれています。
自己株式の内訳及び増減は以下のとおりです。
(単位:株)
(注1) 前連結会計年度における当社が直接保有する自己株式数の増加は、主に、2022年10月17日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得35,004,100株によるものです。また、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託が保有する当社株式数の期中増減は、当該信託による当社株式の取得による増加435,500株、当該信託による当社株式の売却、交付による減少5,126,631株によるものです。
(注2) 当連結会計年度における当社が直接保有する自己株式数の期中増減は、主に、2023年5月17日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得による増加18,827,759株、2023年10月2日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得による増加10,580,722株、2023年12月13日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得による増加18,109,600株及び2024年3月19日開催の取締役会決議に基づく自己株式の消却による減少46,118,081株によるものです。また、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託が保有する当社株式数の期中増減は、当該信託による当社株式の取得による増加792,000株、当該信託による当社株式の売却、交付による減少13,807,770株によるものです。
連結財政状態計算書に計上している自己株式の帳簿価額の内訳は以下のとおりです。
(単位: 百万円)
会社法では、株式の発行に対しての払込み又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることが規定されています。資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
会社法では、剰余金の配当により減少する剰余金の額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されています。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当することができ、また株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができます。
20 配当金
配当金の支払額は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注1) 配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託が保有する当社株式に対する配当金133百万円が含まれています。
(注2) 配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託が保有する当社株式に対する配当金426百万円が含まれています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注1) 配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託が保有する当社株式に対する配当金745百万円が含まれています。
(注2) 配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託が保有する当社株式に対する配当金715百万円が含まれています。
配当の効力発生日が翌連結会計年度となるものは以下のとおりです。
(注) 配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託が保有する当社株式に対する配当金630百万円が含まれています。
21 売上収益
主要な財・サービスのライン及びセグメント収益の関連は以下のとおりです。
当社グループはHRテクノロジー事業、マッチング&ソリューション事業及び人材派遣事業の3つの事業を当社の取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために定期的に検討を行う対象としていることから、これら3事業で売上収益を計上しています。
これらの事業から生じる収益は顧客との契約に従い計上しており、売上収益に含まれる変動対価等の金額に重要性はありません。また、約束した対価の金額に含まれている重要な金融要素はありません。
オンライン求人マッチングプラットフォームを運営し、個人ユーザーの求職活動及び顧客の求人活動を支援するサービスを提供することで、顧客より対価を得ています。オンライン求人情報専門検索サイトにおいて、顧客が有料広告を出稿し、個人ユーザーが有料広告を通じて当該顧客の求人情報にアクセス又は応募した時点で当該履行義務は充足されるため、同時点で収益を認識しています。
人材領域
当社グループは、社員の中途採用を希望する顧客に対し、求める人材要件を整理した上で、職務経歴・スキル・志向の合った候補者を選定し、転職希望者を紹介する人材紹介サービスを提供しています。当社グループは、紹介した転職希望者の入社をもって、顧客から紹介料を得ています。人材紹介サービスについては、契約に基づき個々の採用の成立に関するサービスの提供を行う義務を負っています。当該履行義務は、個々の入社時点で充足されるため、同時点で収益を認識しています。
また、新卒社員・中途社員等の採用を希望する顧客に対して、当社グループが運営するインターネットサイトや情報誌への広告掲載により募集から採用までの活動を支援することで、顧客より広告掲載料を得ています。インターネットサイトへの広告掲載については、期間保証型の広告サービスについて、契約で定められた期間にわたり、広告を掲示する義務を負っています。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて均等按分し収益を認識しています。
情報誌への広告掲載サービスについては、契約に基づき顧客に対し、掲載期間を定めない広告関連サービスを提供しており、特定の紙面に広告を掲載する義務を負っています。そのため、情報誌の発売日(発行日)において、広告が掲載された情報誌が店頭に陳列され、消費者が購入・閲覧可能、もしくは読者に情報誌が到着した時点が履行義務の充足時点となると判断し、同時点で収益を認識しています。
販促領域
住宅、美容、旅行、結婚及び飲食等に関する情報を、当社グループが運営するインターネットサイトや情報誌に掲載し、サービス利用・商品購入を検討する個人ユーザーへ提供することで、顧客より広告掲載料を得ています。インターネットサイトへの広告掲載については、期間保証型の広告サービスについて、契約で定められた期間にわたり、広告を掲示する義務を負っています。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて均等按分し収益を認識しています。
情報誌への広告掲載サービスについては、契約に基づき顧客に対し、掲載期間を定めない広告関連サービスを提供しており、特定の紙面に広告を掲載する義務を負っています。そのため、情報誌の発売日(発行日)において、広告が掲載された情報誌が店頭に陳列され、消費者が購入・閲覧可能、もしくは読者に情報誌が到着した時点が履行義務の充足時点となると判断し、同時点で収益を認識しています。
当社グループは、事務職、製造業務・軽作業、各種専門職等の人材を顧客に派遣する人材派遣サービスを提供しています。人材派遣サービスについては、契約に基づき労働力を提供する義務を負っています。当該履行義務は、派遣スタッフによる労働力の提供に応じて充足されると判断し、派遣スタッフの派遣期間における稼動実績に応じて収益を認識しています。
顧客との契約から生じた債権(売掛金)については「7 営業債権及びその他の債権」、契約負債については「16 その他の負債」にそれぞれ記載しています。
当社グループは、実務上の便法を使用し、個別の予想契約期間が1年内の契約及び履行したサービスに応じて請求する権利を有する金額で収益を認識する契約については、開示を省略しています。なお、当社グループにおいては、個別の予想契約期間が1年を超える重要な取引はありません。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産の額に重要性はありません。
22 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費の内訳は以下のとおりです。
23 その他の営業費用
その他の営業費用の内訳は以下のとおりです。
(注1) 前連結会計年度において、HRテクノロジー事業におけるオフィスの統合に伴う使用権資産及び有形固定資産の減損損失13,902百万円、マッチング&ソリューション事業における一部の資金生成単位の収益性の低下に伴うソフトウエア等の減損損失9,374百万円、人材派遣事業における一部の資金生成単位の収益性の低下に伴うのれんの減損損失4,419百万円及び開発計画の変更に伴うソフトウエアの減損損失3,365百万円等が含まれています。
当連結会計年度において、HRテクノロジー事業におけるオフィスの統合に伴う使用権資産及び有形固定資産の減損損失16,057百万円、マッチング&ソリューション事業における一部の資金生成単位の収益性の低下に伴うソフトウエア等の減損損失13,213百万円、人材派遣事業における一部の資金生成単位の収益性の低下に伴うのれんの減損損失7,596百万円等が含まれています。
(注2) 前連結会計年度において、HRテクノロジー事業におけるセグメント従業員の約15%にあたる2,400名程度の人員削減に伴う費用17,685百万円が含まれています。
24 金融収益
金融収益の内訳は以下のとおりです。
(注) 受取利息は主に償却原価で測定する金融資産から生じています。
25 その他の包括利益
その他の包括利益の各項目の内訳とそれらに係る税効果額(非支配持分を含む。)は以下のとおりです。
26 1株当たり利益
27 株式報酬
当社はストック・オプション制度を採用しており、当社の取締役、執行役員、専門役員(以下執行役員及び専門役員を総称して「執行役員等」)及び上級職員に対してストック・オプションを付与しています。
ストック・オプションは、当社の株主総会において承認された内容に基づき、当社の取締役会で決議された対象者に対して新株予約権として付与されています。
当社のストック・オプション制度は、持分決済型の株式報酬として会計処理されています。
なお、当社は2014年7月31日付で普通株式1株につき10株の、2017年7月1日付で普通株式1株につき3株の株式分割を行っています。各連結会計年度のストック・オプションについては、当該株式分割調整後の数値を記載しています。
当連結会計年度に存在する株式報酬契約は以下のとおりです。
(注1) 原則として、権利確定日まで継続して勤務していることが権利確定条件となっており、付与日から勤務期間に応じて段階的に権利が確定します。
(注2) 権利行使期間は割当契約に定められた期間であり、その期間内に新株予約権が行使されない場合は、当該新株予約権は失効します。
(注3) 新株予約権の新株予約権者は、新株予約権を行使することができる期間内において、取締役及び執行役員等のいずれの地位も喪失した日から10日を経過する日までに限り、新株予約権を行使することができます。
(注4) 新株予約権の新株予約権者は、新株予約権を行使することができる期間内において、取締役、執行役員等及び上級職員のいずれの地位も喪失した日から3年以内又は新株予約権の行使期間の終期のいずれか早い日までに限り、新株予約権を行使することができます。
ストック・オプション1単位の公正価値の見積りはブラック・ショールズモデルを適用することにより計算しています。前連結会計年度及び当連結会計年度における期中に付与されたストック・オプションの付与日加重平均公正価値は、それぞれ1,646円、1,553円です。
期中に付与されたストック・オプションについて、ブラック・ショールズモデルに使用された仮定は以下のとおりです。
(注) 上場来の日次株価実績に基づき算出しています。
(注) 上場来の日次株価実績に基づき算出しています。
③ 株式に基づく報酬費用
前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれる、ストック・オプション制度による費用計上額は、それぞれ710百万円、785百万円です。
期中に行使されたストック・オプションの行使日における加重平均株価は、前連結会計年度5,463円、当連結会計年度6,045円であり、加重平均残存契約年数は、前連結会計年度9.1年、当連結会計年度8.4年です。
ストック・オプションの数の変動及び加重平均行使価格は以下のとおりです。
(2) 役員報酬BIP信託
当社グループは、当社及び当社グループ会社の取締役及び執行役員等へのインセンティブプランとして、持分決済型の役員報酬BIP信託を用いた株式報酬制度を導入しています。
本制度は、取締役及び執行役員等の報酬と当社の株式価値との連動性をより明確にし、中長期的な業績向上と企業価値増大への貢献意識を高めることを目的としています。本制度は、役位や、業績連動型とする場合には業績目標達成度等に応じて、当社株式を取締役及び執行役員等に交付又は給付する制度で、持分決済型の株式報酬として会計処理されています。
前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれる、役員報酬BIP信託による費用計上額は、それぞれ1,692百万円、1,771百万円です。
期中に付与された当社株式の加重平均公正価値は、以下の前提条件に基づき、算定しています。
(注1) 株式付与については、その公正価値の評価に際して、観察可能な市場価格を基礎として測定しています。
(注2) 原則として、権利確定日まで継続して勤務していることが権利確定条件となっています。
(3) 株式付与ESOP信託
① 株式付与ESOP信託の概要
当社グループは、当社グループ会社の従業員等へのインセンティブプランとして、持分決済型の株式付与ESOP信託を用いた株式交付制度を導入しています。本制度は、従業員等の報酬と当社の株式価値との連動性をより明確にし、中長期的な業績向上と企業価値増大への貢献意識を高めることを目的としています。本制度は権利確定期間に応じて当社株式を従業員等に交付又は給付する制度で、持分決済型の株式報酬として会計処理されています。
② 株式に基づく報酬費用
前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれる、株式付与ESOP信託による費用計上額は、それぞれ70,303百万円、76,810百万円です。
③ 株式付与ESOP信託に基づき期中に付与された当社株式の公正な評価単価の測定方法
期中に付与された当社株式の加重平均公正価値は、以下の前提条件に基づき、算定しています。
(注1) 株式付与については、その公正価値の評価に際して、観察可能な市場価格を基礎として測定しています。また、予想配当を公正価値の測定に織り込んでいます。
(注2) 原則として、権利確定日まで継続して勤務していることが権利確定条件となっています。
28 金融商品
資本管理に関する詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の分析 ③ 資本の財源及び資金の流動性」に記載のとおりです。
当社グループは、経営活動を行う過程において、財務上のリスク(信用リスク・流動性リスク・為替リスク・金利リスク・価格リスク)に晒されています。そのため、財務上のリスクのモニタリングを行い、リスクを回避又は低減するための対応を必要に応じて実施しています。また、当社グループは、デリバティブ取引を為替リスク又は金利リスクを回避するために利用しており、投機的な取引は行わない方針です。
当社グループの営業債権である受取手形及び売掛金は、顧客の信用リスクに晒されています。当社グループは、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図るため、新規取引先等の審査を行っています。また、営業債権については、取引先ごとに期日及び残高の管理を行い、主要な取引先については、状況を定期的にモニタリングしています。
また、カウンターパーティーリスクを軽減するために、格付の高い金融機関とのみ取引を行っています。なお、当社グループでは特定の相手先に対する過度に集中した信用リスクはありません。保証債務を除き、当社グループの信用リスクに対する最大エクスポージャーは連結財政状態計算書に表示される金融資産の減損後の帳簿価額です。
営業債権及びその他の債権
単独の相手先又はその相手先が所属するグループについて、過度に集中した信用リスクを有していません。
当社グループは、各社が適宜に資金繰り計画を作成・更新し収支の状況に応じた手元流動性を確保すること、キャッシュプーリングの仕組みを通じてグループファイナンスを実現すること等により、流動性リスクを管理しています。また、当社グループは流動性リスクへの更なる備えとして、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しています。
金融負債の期日別残高は以下のとおりであり、契約上のキャッシュ・フローは利息支払額を含んだ割引前のキャッシュ・フローを記載しています。
(5) 為替リスク
当社グループの活動は、為替レートの急激な変動によるリスクに晒されています。なお、一部の外貨建債権債務については、個別の案件ごとに為替の変動リスクをヘッジしています。
各報告期間において、円が米ドルに対して1%円高になった場合の、当社グループの税引前利益に与える影響額は、以下のとおりです。計算に当たり使用した通貨以外の通貨は変動しないものと仮定しています。当該分析には機能通貨建ての金融商品並びに在外営業活動体の資産及び負債を円貨に換算する際の影響は含んでいません。
なお、円が米ドルに対して1%円安となった場合の、当社グループの税引前利益に与える影響額は、ほかのすべての変数が一定の場合、以下の表と同額で反対の影響があります。
有利子負債に係る金利が変動金利である場合、スワップ取引等を利用して利息の一部もしくは全部を固定化しています。このため、支払金利の変動による当社グループの税引前利益に与える影響は僅少であることから、金利感応度分析の開示は省略しています。
当社グループは、資本性金融商品から生じる市場価格の変動リスクに晒されています。資本性金融商品については、定期的に市場価格や発行体の財務状況等を把握し、発行体との関係性を勘案しながら保有状況を継続的に見直しています。
各連結会計年度末において、活発な市場のある資本性金融資産の公正価値が一律10%下落した場合のその他の包括利益に与える影響額(税効果考慮前)は、以下のとおりです。
当社グループでは為替リスクや金利リスクをヘッジするために、デリバティブを利用しています。デリバティブは実需を伴う取引に限定し、投機目的では保有していません。当社グループは、市場リスクに対してナチュラルヘッジを活用できない場合に、リスク管理方針に基づきヘッジ指定を行い、ヘッジ会計を適用しています。
当社グループは事業活動上で発生する金利リスクや為替リスクを軽減するために、キャッシュ・フロー・ヘッジを適用しています。また、ヘッジ対象とヘッジ手段の重要な条件が一致しているか、あるいは、密接に合致しているかについての定性的評価、あるいはヘッジ対象とヘッジ手段の価値が同一のリスクにより価値変動を相殺しあう関係にあることの定量的評価を通じて、ヘッジ対象とヘッジ手段の間の経済的関係の存在を確認しています。非有効部分の発生が見込まれるヘッジ関係については、定量的な手法で非有効金額を算定しています。当社グループは有効性の高いヘッジを行っており、非有効部分の金額に重要性はありません。
ヘッジ会計を適用するデリバティブは、リスク管理方針の下に管理を行い、リスクの一部もしくは全部に対してヘッジを行っています。
連結財政状態計算書において、デリバティブから生じた資産は「その他の金融資産」、負債は「その他の金融負債」に計上しています。公正価値は取引金融機関から提示された価格に基づいて算定しています。
キャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金から純損益にリサイクルした金額は、連結損益計算書の「金融収益」又は「金融費用」に計上しています。
29 公正価値測定
(1) 公正価値の測定方法
① 資産
現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権については、短期間で決済されるものであり、帳簿価額が公正価値に近似しています。その他の金融資産の公正価値は以下を除き、将来キャッシュ・フローを、資産の残存期間及び信用リスクを加味した利率で割り引いた現在価値により算定しており、帳簿価額は公正価値に近似しています。
資本性金融資産及び負債性金融資産
資本性金融資産のうち活発な市場が存在する銘柄の公正価値は、市場価格に基づいて算定しています。資本性金融資産及び負債性金融資産のうち活発な市場が存在しない銘柄の公正価値は、主に直近の独立した第三者間の取引価格又は割引キャッシュ・フロー法に基づいて評価しています。
デリバティブ資産
デリバティブ資産の公正価値は、主に取引金融機関から提示された価格に基づいて算定しています。
② 負債
営業債務及びその他の債務、短期借入金については、短期間で決済されるものであり、帳簿価額が公正価値に近似しています。長期借入金の公正価値は、将来キャッシュ・フローを、新規に同様に借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しています。社債の公正価値は、市場価格を参照して算定しています。その他の金融負債の公正価値は以下を除き、将来キャッシュ・フローを、負債の残存期間及び信用リスクを加味した利率で割り引いた現在価値により算定しており、帳簿価額は公正価値に近似しています。
デリバティブ負債の公正価値は、主に取引金融機関から提示された価格に基づいて算定しています。
(2) 公正価値ヒエラルキー
当社グループにおける公正価値の測定レベルは、市場における観察可能性に応じて次の3つに区分しています。
レベル1: 活発に取引される市場における公表価格により測定された公正価値
レベル2: レベル1以外の、観察可能な価格を直接、又は間接的に使用して算定された公正価値
レベル3: 重要となる観察不能なインプットを含む評価技法から算定された公正価値
公正価値測定に複数のインプットを使用している場合には、その公正価値測定の全体において重要な最も低いレベルのインプットに基づいて公正価値のレベルを決定しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度においてレベル1、2及び3の間の重要な振替はありません。なお、当社グループは、各ヒエラルキー間の振替を、振替を生じさせた事象が発生した報告期間の末日において認識しています。
① 経常的に公正価値で測定する金融資産及び金融負債のレベル別の内訳
金融商品の公正価値ヒエラルキーのレベル別の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
レベル1の資本性金融資産は、主に活発な市場が存在する株式です。
レベル2のデリバティブ資産は、主に金利スワップ、通貨スワップ及び先物為替予約等のデリバティブ金融商品です。
レベル3の資本性金融資産は、主に活発な市場が存在しない非上場株式です。負債性金融資産は活発な市場が存在しない転換社債です。
公正価値ヒエラルキーレベル3に区分される金融資産及び金融負債について、前連結会計年度及び当連結会計年度における期首残高から期末残高への調整表は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注1)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
(注2)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動」に含まれています。
(注3)負債性金融資産の「購入」は、主に前連結会計年度において51job, Inc.の非公開化取引に関する契約に基づく株式の一部の譲渡の対価として受領した転換社債の増加によるものです。
② 償却原価で測定する金融資産及び金融負債
償却原価で測定する金融資産及び金融負債の帳簿価額と公正価値は近似しているため、開示を省略しています。
30 キャッシュ・フロー情報
財務活動に係る負債の調整表
財務活動に係る負債の変動は以下のとおりです。
(注) 「借入金」のキャッシュ・フローを伴う変動は、連結キャッシュ・フロー計算書の財務活動によるキャッシュ・フローにおける「長期借入金の返済による支出」及び「その他」に含まれる「短期借入金の純増減額」、「長期借入れによる収入」の純額です。
31 関連当事者取引
(1) 関連当事者との取引
当社グループと関連当事者との間の取引及び債権債務の残高は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 51job, Inc.の非公開化取引に関する契約に基づく株式の一部の譲渡並びにその対価としての転換社債及び現金の受領に伴い、持分法で会計処理されている投資の減額を行ったものです。なお、受領した転換社債については「29 公正価値測定」に記載しています。また、持分法で会計処理されている投資の売却による収入39,531百万円を計上しました。取引条件については、主に個別に交渉の上、当事者間での合意に基づき決定しています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
関連当事者との取引(連結財務諸表において消去されたものを除く。)については、重要な取引等がないため、記載を省略しています。
当社の取締役に対する報酬は、以下のとおりです。
32 主要な子会社
当社の主要な子会社は、以下のとおりです。
33 後発事象
自己株式の取得
当社は、2023年12月13日開催の取締役会決議に基づき、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条第1項の規定に基づく自己株式の取得を、以下のとおり実施しました。
(1) 2024年4月1日以降に取得した自己株式の内容
(2) 2023年12月13日開催の取締役会での決議内容
(3) 上記取締役会決議に基づき取得した自己株式の累計(2024年5月31日現在)