第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

国際会計基準

第60期

第61期

第62期

第63期

第64期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

(単位: 百万円)

売上収益

2,399,465

2,269,346

2,871,705

3,429,519

3,416,492

税引前利益

226,149

168,502

382,749

367,767

426,241

当期利益

181,249

131,690

297,722

271,671

354,596

親会社の所有者に

帰属する当期利益

179,880

131,393

296,833

269,799

353,654

親会社の所有者に

帰属する包括利益

151,649

208,633

395,869

377,977

553,909

親会社の所有者に

帰属する持分

988,449

1,091,571

1,363,776

1,627,010

2,000,922

資産合計

1,998,917

2,196,613

2,423,542

2,793,281

3,144,646

 

(単位: 円)

1株当たり親会社

所有者帰属持分

599.65

667.96

847.45

1,030.33

1,295.40

基本的1株当たり

当期利益

108.27

79.83

181.68

168.59

225.99

希薄化後1株当たり

当期利益

108.07

79.70

180.83

167.44

222.90

 

親会社所有者帰属

持分比率(%)

49.4

49.7

56.3

58.2

63.6

親会社所有者帰属

持分当期利益率(%)

18.4

12.6

24.2

18.0

19.5

株価収益率(倍)

25.8

67.7

29.8

21.6

29.7

 

(単位: 百万円)

営業活動による

キャッシュ・フロー

303,325

286,597

439,610

438,193

535,362

投資活動による

キャッシュ・フロー

88,993

40,373

70,738

32,676

68,789

財務活動による

キャッシュ・フロー

192,721

172,713

254,371

252,060

334,648

現金及び現金同等物

の期末残高

421,253

501,043

669,551

877,370

1,136,858

 

(単位: 名)

従業員数

49,370

46,800

51,757

58,493

51,373

平均臨時雇用者数

2,530

1,720

1,896

1,915

1,952

 

 

(注) 当社は、IFRSに基づいて連結財務諸表を作成しています。

 

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

日本基準

第60期

第61期

第62期

第63期

第64期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

(単位: 百万円)

営業収益

102,061

27,324

42,029

417,404

153,932

経常利益

94,065

19,574

33,978

406,315

139,488

当期純利益

85,854

14,063

23,996

410,423

126,116

資本金

40,000

40,000

40,000

40,000

40,000

発行済株式総数 (株)

1,695,960,030

1,695,960,030

1,695,960,030

1,695,960,030

1,649,841,949

純資産額

872,799

805,322

672,979

926,772

879,782

総資産額

1,409,458

1,372,520

1,423,107

1,666,307

1,768,645

(単位: 円)

1株当たり純資産額

528.44

491.99

417.09

585.40

567.58

1株当たり配当額

30

20

21

22

23

(うち1株当たり
中間配当額)

(15.0)

(9.5)

(10.5)

(11.0)

(11.5)

1株当たり
当期純利益

51.68

8.54

14.69

256.47

80.59

潜在株式調整後
1株当たり
当期純利益

51.58

8.53

14.62

254.72

79.49

自己資本比率 (%)

61.8

58.6

47.2

55.5

49.6

自己資本利益率 (%)

9.5

1.7

3.3

51.4

14.0

株価収益率 (倍)

54.1

632.1

368.6

14.2

83.2

配当性向 (%)

58.1

234.1

143.0

8.6

28.5

(単位:名)

従業員数

158

138

136

128

119

外、平均臨時雇用者数

9

4

5

5

5

株主総利回り (%)

89.4

172.5

173.5

118.4

215.9

比較指標:

配当込みTOPIX (%)

90.5

128.6

131.2

138.8

196.2

最高株価 (円)

4,615

5,568

8,180

5,676

6,767

最低株価 (円)

2,442.5

2,240.5

4,435

3,284

3,583

 

 

(注) 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部における株価を、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場における株価を記載しています。

 

 

 

2 【沿革】

 

 


 

組織の沿革

 

当社は1960年3月、東京都港区において大学新聞に各企業の求人広告を掲載することを目的として、現在の㈱リクルートホールディングスの前身である「大学新聞広告社」を創業しました。その後、大学新聞複数紙の広告を一手に取り扱う契約を締結し、1960年10月に法人組織、㈱大学広告を設立しました。1962年、「企業への招待」を創刊しました。1963年4月、㈱日本リクルートメントセンターに社名を変更しました。同年8月、㈱日本リクルートセンターとして当社を設立しました。(以降の組織の沿革については、年表をご参照ください)

 

 


 

事業領域の拡大

 

1960年に大学新聞専門の広告代理店として創業。その2年後、大学生への求人情報だけを集めた「企業への招待」を発行し、個人ユーザーと企業クライアントをつなぐビジネスモデル「リボンモデル」を確立しました。中途採用、人材紹介、人材派遣等人材関連事業を拡げるほか、進学、住宅、中古車、結婚等のライフイベント領域へ、そして旅行、飲食、美容等の日常消費領域へと事業を拡大し、近年では、SaaS(Software as a Service)を活用し、小売店や飲食店を含む中小企業クライアントに対する業務・経営支援サービスに事業領域を拡大しています。

 

 


 

情報のデジタル化

 

当社は、一般的にはまだ導入が珍しかった時代からコンピュータを導入し、情報のデジタル化を通じた業務の迅速化と効率化を実践し続けてきました。1980年代のスーパーコンピュータの研究等を経て、1990年代には紙メディア(情報誌)をインターネットへ、そしてモバイルへと転換しました。情報をより手軽且つスピーディに届けられるようにしただけでなく、革新的なオンライン予約管理システムを開発する等、個人ユーザーと企業クライアントに情報のデジタル化を通じた圧倒的な利便性を提供することを目指し、現在、クラウドを活用したSaaSソリューションの拡大を加速しています。

 

 


 

グローバリゼーション

 

2000年代からグローバル市場への事業展開を推進し始め、当初は結婚関連の事業を中国で展開したものの、数年で撤退。しかしこの経験が、以降のM&Aを通じた海外事業戦略に活かされ、米国The CSI Companies, Inc.*の買収以降、人材派遣事業における買収を加速しました。買収した組織の生産性向上に取組みながら、欧州・豪州を含む世界各国に事業を拡大するとともに、2012年のIndeed, Inc.*、2018年のGlassdoor LLC*の買収により、HRテクノロジー事業が新たに加わり、グループ全体の成長を牽引しています。また、サービス展開が60か国以上に拡大しました。

 

 

 

 

1960年3月

 

 


大学新聞広告社として創業

1962年

 

 


「企業への招待」を創刊

大学生への求人情報だけを集めた就職情報誌を創刊。個人ユーザーと企業クライアントを結ぶマッチングプラットフォームを提供するビジネスモデルを確立

1963年8月

 

 


㈱日本リクルートセンターとして当社を設立

1968年

 

 


IBM 1130を導入

コンピュータ「IBM 1130」を日本企業として初めて導入し、テスト事業等で活用。情報を取り扱う企業として、最新のIT環境を追求・整備

1971年

 

 


㈱リクルートコンピュータプリントを設立

情報誌等の印刷前工程のデジタル化にいち早く取組むための子会社を設立

1976年

 

 


住宅情報事業を開始

オイルショック時の不況対応として開始した住宅情報の事業で急成長

1980年

 

 


とらばーゆを創刊

日本で初めての、女性のための転職情報誌を創刊。日本で男女雇用機会均等法が施行されたのは5年後の1985年。女性の社会進出を後押し。後に「とらばーゆする」が流行語に

1984年4月

 

 


社名を ㈱リクルートに変更

1984年

 

 


カーセンサーを創刊

中古車売買の専門情報誌を創刊。当時の新入社員研修プログラムで提案されたアイデアから生まれた事業

1985年

 

 


インフォメーションネットワークサービスを開始

リモートコンピューティングサービスを開始し、同年の日本における通信事業の民営化を背景とした情報サービス関連事業に取組むための基盤を強化。多くのエンジニアの採用を開始

1985年

 

 


Recruit U.S.A Inc.を設立

米国に事業展開する日本企業の採用支援等の事業を開始

1987年

 

 


スーパーコンピュータ研究所を設立

スーパーコンピュータの研究と利用促進を目的とした研究所を設立。情報サービス事業のあり方を模索しながら、来るべき情報化社会に向けた知見を深化

1990年

 

 


じゃらんを創刊

旅行や遊びに関する多彩な情報を集約し、予約できる情報誌を創刊

1993年

 

 


ゼクシィを創刊

新規事業提案制度「Ring」から生まれた結婚関連情報誌を創刊

1995年

 

 


Mix Juice(現 ISIZE)をリリース

インターネットの実証実験として、インターネットメディアを発行

1996年

 

 


就職情報をオンラインで提供開始

RB on the NET(現 リクナビ)、Digital B-ing(現 リクナビNEXT)等のオンライン就職情報サイトを開始

 

 

2000年

 

 


ホットペッパー(現 HotPepperグルメ)を創刊

グルメ等日常生活に密着した生活情報誌を創刊。結婚・住宅・中古車等ライフイベントからライフスタイル(日常消費)関連情報を取り扱うメディアへと事業展開を拡大

2000年

 

 


ISIZEトラベル(現 じゃらんnet)をリリース

宿泊施設のオンライン予約サービスを開始

2004年

 

 


中国での事業展開と撤退

結婚関連情報誌ゼクシィ等を中国で展開。数年で撤退を余儀なくされるが、この経験を踏まえ、以降のM&Aを通じた海外事業戦略を進化させる

2007年

 

 


HotPepper Beautyをリリース

オンライン予約サービスを開発。サロン予約の常識を変えた革新的サービスとして成長

2008年1月

 

 


グラントウキョウサウスタワー(東京都千代田区丸の内1丁目9番2号)へ本社機能を移転

2010年7月

 


 


The CSI Companies, Inc.*買収

米国の人材派遣会社を買収。ユニット経営を導入・実践。M&Aによる人材派遣事業のグローバル展開を開始

2011年

 

 


受験サプリ(現 スタディサプリ)をリリース

大学受験勉強を支援するオンライン学習サービスを開始。良質な学習コンテンツをウェブベース且つ低価格で提供するモデルを展開。後に語学・資格取得等多様な学びの機会創出へと拡大

2011年

 


 


Staffmark Group, LLC*買収(10月) 、Advantage Resourcing Europe B.V.(現 RGF Staffing UK Limited)*買収(12月)

海外派遣会社の買収を通じて米国・欧州に多数の事業拠点を獲得

2012年

 

 


SALON BOARDをリリース

ビューティーサロン向けのクラウド型オンライン予約管理システムを開発。店舗での紙ベースだった予約台帳をデジタル化し、サロン業界のさらなる生産性とサービスの向上に寄与することを目指して展開

2012年10月

 

 


当社を持株会社として以下のとおり会社分割を実施

これに伴い、当社の社名を㈱リクルートホールディングスに変更

新設分割により以下の会社を設立

 ㈱リクルート住まいカンパニー

 ㈱リクルートマーケティングパートナーズ

 ㈱リクルートライフスタイル

 ㈱リクルートテクノロジーズ

㈱リクルートオフィスサポート*と共同新設分割により以下の会社を設立

 ㈱リクルートアドミニストレーション(現㈱リクルート*)

吸収分割により、当社の100%子会社である以下の会社に一部事業等を承継

 ㈱リクルートキャリア(旧 ㈱リクルートエージェント)

 ㈱リクルートジョブズ(旧 ㈱リクルートHRマーケティング)

㈱リクルートコミュニケーションズ(旧 ㈱リクルートメディアコミュニケーションズ)

 

 

 

2012年10月

 


 


Indeed, Inc.*買収

オンライン求人情報専門検索サイトを運営するIndeedは2004年米国で創業。この買収を通じて人材関連事業をデジタル技術で変革するHRテクノロジー事業に本格参入

2013年

 

 


Airレジをリリース

飲食・小売・サービス等の幅広い業種で必須のレジ業務がスマートフォンやタブレットで行えるSaaSソリューションのPOSレジアプリをリリース。中小企業を取り巻く業務負荷を軽減し、クライアントが思い描く理想の店舗づくりを支援

2014年10月

 

 


東京証券取引所市場第一部に株式を上場

2015年

 

 


Airペイをリリース

中・小規模クライアント向けの決済サービスを開始し、業務支援サービスを拡張。現在、クレジットカード・電子マネー・QRコード(※)・ポイント等多様化する決済手段に対応するお店の決済サービスとして進化

※QRコードは㈱デンソーウェーブの登録商標です。

2015年

 

 


Recruit Institute of Technology(現 Megagon Labs)を設立

社外の研究機関とともに、AI(人工知能)や機械学習等の革新的な技術の研究開発に取組む研究所を設立

2015年

 


 


Peoplebank Australia Ltd*(1月)、Chandler Macleod Group Limited*(4月)買収

豪州の人材派遣会社2社を買収。豪州において、トップクラスの市場シェアと強固な事業基盤を獲得

2016年

 

 


Indeed Hireをリリース

既存のオンライン広告ビジネスを超えた新規事業を開始

2016年6月

 


 


USG People Holdings B.V.(現 RGF Staffing B.V.)*買収

欧州の大手人材派遣会社USG Peopleを買収。人材派遣事業の市場浸透率が高いオランダ、フランス、ドイツ、ベルギー等欧州諸国の市場において事業基盤を強化

2018年4月

 

 


会社分割及び組織再編を実施。SBU配下の子会社及び事業を統括する会社として、SBU統括会社を設置

SBU統括会社として以下の会社を設置

 HRテクノロジーSBU : RGF OHR USA, Inc. *

マッチング&ソリューションSBU : ㈱リクルート
(旧 ㈱リクルートアドミニストレーション) *

 人材派遣SBU :Recruit Global Staffing B.V.(現 RGF Staffing B.V.) *

2018年

 

 


Airシフトをリリース

シフトの作成・管理等ができるサービスをリリース。飲食・小売・サービス等深刻な人手不足を抱える幅広い業種での活用が拡大

2018年6月

 


 


Glassdoor, Inc.(現 Glassdoor LLC)*買収

オンライン求人広告及び企業情報サイトを運営するGlassdoorは、2007年に米国で創業。求人情報とユーザー投稿による企業レビュー等独自のデータベースを展開し、求職活動における情報の透明性を高めた。この買収を通じてHRテクノロジー事業の展開を強化

 

2018年

 


 


Indeed Assessmentsをリリース

採用プロセスのさらなる効率化に資する新規事業展開を加速

2020年

 


 


Indeed Interviewをリリース

面接と採用に特化したオンライン面接プラットフォーム。コロナ禍でも安全に求職・採用活動を進めたい個人ユーザーと企業クライアントのニーズに迅速に対応

2021年

 


 


Indeed Hiring Platformをリリース

Indeed上で採用プロセスを完結できる新たなソリューション。客観的な条件に合致した求職者が自動的に面接に進む等さらなる効率化を実現

2021年4月

 

 


マッチング&ソリューション事業において以下のとおり吸収合併を実施

SBU統括会社である㈱リクルートに中核事業会社・機能会社7社を統合

 ㈱リクルート住まいカンパニー

 ㈱リクルートライフスタイル

 ㈱リクルートマーケティングパートナーズ

 ㈱リクルートキャリア

 ㈱リクルートジョブズ

 ㈱リクルートコミュニケーションズ

 ㈱リクルートテクノロジーズ

2021年

 

 


COIN+搭載のエアウォレットをリリース

決済ブランド「COIN+」を搭載して、日常生活で使用するお金をシームレスに管理・送金できるデジタル口座管理・決済アプリ。チャージ・支払い・送金・出金を無料で、簡単に利用できるサービスを提供

2021年

 

 


Airワーク 採用管理(ATS)をリリース

全機能無料、採用HPの無料作成、Indeedへの転載、応募者管理ができる採用管理システムを提供

2021年

 

 


2031年3月期に向けたサステナビリティへのコミットメントを発表

企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、すべてのステークホルダーと共存共栄することを目指し、環境・社会・ガバナンスの目標を設定

2022年

 

 


Airキャッシュをリリース

企業クライアント向けの売上収益早期現金化サービスの提供

2022年

 

 


Airインボイスをリリース

スマホひとつで支払いもできる請求書管理サービスの提供

2022年4月

 

 


東京証券取引所の市場区分の見直しにより東京証券取引所市場第一部からプライム市場へ移行

2022年7月

 

 


グラントウキョウサウスタワー(東京都千代田区丸の内1丁目9番2号)へ本店所在地を変更

2023年

 

 


Airワーク 給与支払をリリース

毎月の給与振り込みを代行するサービスの提供

2023年

 


 


Indeed Skill Connectをリリース

求職者が自身のスキルや修了した職業訓練を採用企業にアピールできるようにし、スキルに基づく採用を推進するサービスの提供

 

2023年

 

 


RGF Connectを開始

教育や職業訓練、雇用機会の提供によって、これまで公平な機会を得られなかった人々を支援するRGF Staffingの世界的なプログラム

2023年

 


 


Glassdoor Communityをリリース

仕事や職場などに関するリアルタイムな情報交換の場を提供

2024年

 


 

Indeed PLUSを日本市場でリリース

企業クライアントの求人を、その内容に基づいて、連携ジョブボードの中から最も相応しいと判断されたものに自動で配信する求人配信プラットフォームを提供

 

 

(注1) *は連結子会社(2024年3月31日現在)です。

(注2) 表内の「現」は、2024年3月31日現在の名称です。

 

 

 

3 【事業の内容】

 

当社グループは、1960年に日本において大学新聞に企業の求人広告を掲載し、学生に求人情報を提供することから始まりました。設立以来、主に個人ユーザーと企業クライアントを結びつけるプラットフォームを創造し運営しています。

 

現在は、テクノロジーとデータを活用し、マッチングの更なる効率性向上と高速化に注力し、グローバル市場における個人ユーザーに最適な選択肢を提供し、企業クライアントの更なる業務効率化を支援しています。

 

また当社グループは、個人ユーザーのプライバシー保護を含めたデータセキュリティ・プライバシー対応の強化を企業活動の重要な基盤として位置づけ、体制や施策を整備しています。

 

当社グループは、HRテクノロジー、マッチング&ソリューション及び人材派遣の3つの戦略ビジネスユニット(Strategic Business Unit、以下「SBU」)ごとに統括会社を設置した経営体制により、各SBUが迅速に事業戦略を遂行すると同時に、当社グループ経営戦略であるSimplify Hiring、Help Businesses Work Smarter、そしてProsper TogetherをSBU間で連携しながら遂行しています。当社が持株会社としての機能の集中と強化を図り、戦略の策定と推進、適切なグループガバナンスやモニタリングの実行により、更なる企業価値の向上を実現することを目指しています。当連結会計年度末において、当社の連結子会社は227社、関連会社は8社です。

 

(1) セグメント別事業内容

 

① HRテクノロジー事業

HRテクノロジー事業は、Indeed、Glassdoor及びその他の関連する事業で構成されています。

 

Indeed及びGlassdoorは求職者が求人情報を検索したり、企業に関する情報を収集したりすることができるオンライン求人マッチングプラットフォームです。Indeedは「We help people get jobs」を、Glassdoorは「We make worklife better, together」をミッションとして掲げ、求職者が理想の仕事を見つけ、求職活動に成功することがIndeed及びGlassdoorのミッションの実現に繋がっています。

 

Indeedは、アグリゲート技術を活用した求人検索モデルから求職者と企業クライアントを繋ぐ人材マーケットプレイスへの進化に向けた取組みを通じて、毎月3億5,000万人(注1)のユニークビジター及び年間350万社(注2)の企業クライアントが利用する、世界最大の求人情報サイト(注3)になっています。

 

Glassdoorでは求人情報に、ユーザー同士の情報交換が可能なコミュニティや、ユーザー投稿による企業や雇用条件等のレビューを組み合わせることによって、求職者に対して職場の透明性を高め、仕事や企業の検索や評価方法に変革をもたらしています。この結果、Glassdoorは個人ユーザーの投稿による仕事や企業に関する知見を提供するオンライン求人マッチングプラットフォームのリーダーとして認識されるようになり、毎月5,500万人(注4)の求職者に利用されています。

 

Indeed及びGlassdoorでは、求職者が求人情報を見つけ、経歴書及びプロフィールを開示し、企業情報やそのレビューを調べ、スケジュールを設定し、ビデオ面接や電話面接を受けることができるようにする等、求職活動を支援する一連の機能を提供しています。企業クライアントは、求人広告の掲載や採用のための企業ブランディング等を双方のプラットフォームを通して行うことで、より効率的に多様な求職者へのアプローチが可能になります。

 

日本では今後、求人配信プラットフォームであるIndeed PLUSと当社グループ内及び当社グループ以外のジョブボードやATSとの連携を増やしていくことで、求職者へのリーチを拡大していきます。

 

IndeedとGlassdoorは、AIを利用したマッチングや、ペイフォーパフォーマンスモデル又はサブスクリプションモデルを採用するサービス、また、ソーシング、スクリーニング、採用候補者とのやり取りや面接といった採用プロセスに係るサービスを提供することによって、企業クライアントが効率的に採用候補者を見つけることを支援しています。その結果、求職者が仕事を見つけ、企業クライアントが優秀な人材を見つけることができる、グローバル人材マーケットプレイスを構築しています。

 

(注1) 社内データに基づく2023年10月から2024年3月までの期間にIndeedのウェブサイトを訪問したクッキーIDの月間平均数

(注2) 2024年3月時点における直近12ヶ月のアクション数に基づく社内データ

(注3) comScoreに基づく2024年3月の訪問数

(注4) Google Analyticsを用いた社内データに基づく2023年10月から2024年3月までの期間におけるGlassdoorのウェブサイトを訪問したクッキーIDの月間平均数

 

② マッチング&ソリューション事業

マッチング&ソリューション事業は、主に日本国内で事業を展開する、人材領域と販促領域で構成されています。人材領域は、個人ユーザーの求職活動及び企業クライアントの採用活動支援サービスを提供しています。販促領域は、個人ユーザーと企業クライアントを繋げる事業分野別のバーティカルマッチングプラットフォームと、企業クライアントに向けた業務支援SaaSを運営しています。

 

これらによって日本国内の、企業クライアントの事業運営を支える「エコシステム」を構築し、企業クライアントの生産性と収益性の向上を同時に実現することを目指しています。

 

人材領域では、マッチングプラットフォームとして、就職活動を行う学生向けのリクナビ、転職活動を行う社会人向けのリクナビNEXT、アルバイトやパート等の求職者向けのタウンワーク等のジョブボードを運営しています。現在、リクナビNEXTやタウンワーク等、6つのジョブボードがHRテクノロジー事業のIndeed PLUS利用ジョブボードとなっており、これにより、最大で国内主要求人サイト利用者の約7割にリーチすることが可能になりました。また、リクルートエージェントやリクルートダイレクトスカウト等を通じて人材紹介サービスも提供しています。

 

販促領域は、美容、旅行、飲食分野とAir ビジネスツールズを含む業務支援SaaSを合計した分野、住宅分野、その他のサービスを合計した分野、で構成されています。代表的なマッチングプラットフォームとして、美容分野はHotPepper Beauty、旅行分野はじゃらん、飲食分野はHotPepperグルメ、住宅分野はSUUMO等があります。課金体系は、主にマッチングプラットフォームへの広告掲載課金を採用していますが、旅行等一部の分野ではトランザクション課金を採用しています。企業クライアントとの取引を長期間維持し、1社当たりのライフタイムバリューを最大化するために、課金体系はそれぞれの分野の商習慣や特性等に合わせて設定し、また企業クライアントの事業運営にとって最適な形になるよう随時アップデートしています。

 

マッチング&ソリューション事業は、決済アプリであるAirペイ、POSレジアプリであるAirレジ、クラウドベースの応募情報一元管理システムであるAirワーク 採用管理等、約20のAir ビジネスツールズに加えて、各事業分野のマッチングプラットフォームに付随したSaaSを提供し、アカウント数の拡大に注力しています。

 

③ 人材派遣事業

人材派遣事業は、日本並びに欧州、米国及び豪州で構成され、事務職派遣、製造業務・軽作業派遣及び各種専門職派遣等の人材派遣サービスを提供しています。労働者の派遣に際しては、予め派遣スタッフを募集・登録し、当該登録者の中から派遣先企業の希望する条件に合致する派遣スタッフを人選し、当社グループとの間で雇用契約を締結した上で、派遣先企業へ派遣しています。国内、海外共にマーケット特性に応じて組織をユニット単位に区分し、権限移譲により、各ユニットがマーケットに最適な戦略を実行することによって、利益の最大化を目指すユニット経営を推進しています。

 

日本では、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の規定に従い、厚生労働大臣の許可を受けて派遣スタッフを募集・登録し、企業へ派遣する労働者派遣事業等を行っており、㈱リクルートスタッフィング及び㈱スタッフサービス・ホールディングス等を通じて、サービスを提供しています。

 

欧州、米国及び豪州では、欧州のRGF Staffing France SAS、RGF Staffing Germany GmbH、RGF Staffing the Netherlands B.V.、RGF Staffing UK Limited及びUnique NV、北米のStaffmark Group, LLC及びThe CSI Companies, Inc.、並びに豪州のChandler Macleod Group Limited等を通じて、サービスを提供しています。

 

(2) 事業の内容と当社グループ各社の位置づけ

2024年3月31日時点において、当社グループの主な事業の内容と当社又は主な関係会社の当該事業における位置づけ及びセグメントとの関連は以下のとおりです。

 

セグメントの名称

(SBU統括会社)

主な事業内容

HRテクノロジー
事業 (RGF OHR USA, INC.)

オンライン求人マッチングプラットフォームを通じて求人広告や採用ソリューションサービスをグローバルに提供

 

主な会社

主なサービス

 

Indeed, Inc.

Glassdoor LLC

Indeed

オンライン求人マッチングプラットフォーム

 

Glassdoor

オンライン求人マッチングプラットフォーム

 

 

セグメントの名称

(SBU統括会社)

領域

 

マッチング&ソリューション事業 (㈱リクルート)

人材領域

 

 

主な事業内容

主なサービス

 

主に日本国内にて、当社グループが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディア、人材紹介サービスを通じて、個人ユーザーの求職活動及び企業クライアントの採用活動を支援するサービスを提供

リクナビ

就職活動を行う学生向けオンラインプラットフォーム

 

リクナビNEXT

転職活動を行う社会人向けオンラインプラットフォーム

 

リクルートエージェント

転職活動をサポートする人材紹介サービス

 

リクルートダイレクトスカウト

転職活動をサポートするスカウト型転職サービス

 

タウンワーク

アルバイトやパート等の求職者向けオンラインプラットフォーム及び情報誌

 

 

 

 

領域

 

 

販促領域

 

 

 

主な事業内容

主なサービス

 

 

主に日本国内にて、住宅、美容、旅行、飲食及びその他の各事業分野に合わせた、マッチングプラットフォームを通じた企業クライアントの集客支援サービス及び経営・業務効率の改善を支援するSaaSを提供

SUUMO

住宅の売買/賃貸/リフォームに関するオンラインプラットフォーム・情報誌及び新築マンション/注文住宅購入に関する相談カウンター

 

HotPepper Beauty

ヘアサロン/リラクゼーション&ビューティーサロンのオンラインプラットフォーム及び情報誌

 

じゃらん

主に国内旅行の宿/ツアー/周辺観光に関するオンラインプラットフォーム及び情報誌

 

HotPepperグルメ

飲食店の情報と割引クーポンを掲載したオンラインプラットフォーム及び情報誌

 

Air ビジネスツールズ

事業分野を問わず幅広い企業クライアントに提供するクラウドベースの業務経営支援ソリューション

 

 

セグメントの名称

(SBU統括会社)

領域

人材派遣事業

(RGF Staffing B.V.)

日本

 

主な事業内容

 

日本における人材派遣サービスを提供

 

主な会社

 

㈱リクルートスタッフィング

㈱スタッフサービス・ホールディングス

 

 

領域

 

欧州、米国及び豪州

 

 

主な事業内容

 

 

欧州、米国及び豪州等における人材派遣サービスを提供

 

 

主な会社

 

 

RGF Staffing France SAS

RGF Staffing Germany GmbH

RGF Staffing the Netherlands B.V.

RGF Staffing UK Limited

Unique NV

Staffmark Group, LLC

The CSI Companies, Inc.

Chandler Macleod Group Limited

 

 

なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断しています。

 

(3) 事業系統図

 


 

 

 

4 【関係会社の状況】

(1) 連結子会社

 

名称

住所

資本金又は
出資金

主要な事業
の内容
(注1)

議決権の
所有割合
(%)

関係内容

RGF OHR USA, INC.

米国
デラウェア州

10米ドル

HRテクノロジー

100.0

役員の兼任

Indeed, Inc.(注6)

米国
デラウェア州

10米ドル

HRテクノロジー

100.0

(100.0)

役員の兼任

債務保証

Glassdoor LLC

米国
デラウェア州

1,292,440千米ドル

HRテクノロジー

100.0

(100.0)

役員の兼任

㈱リクルート(注3、6)

東京都千代田区

350百万円

マッチング&ソリューション

100.0

役員の兼任
資金の貸付

ロイヤリティーの受取

配当金の受取

RGF Staffing B.V.

オランダ
フレヴォラント州

1.50ユーロ

人材派遣

100.0

役員の兼任

㈱リクルートスタッフィング

東京都千代田区

300百万円

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任
資金の借入

ロイヤリティーの受取

㈱スタッフサービス・ホールディングス

東京都千代田区

500百万円

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任
資金の借入

RGF Staffing France SAS(注3)

フランス
モゼル県

26,395千

ユーロ

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

RGF Staffing Germany GmbH

ドイツ
バイエルン州

500千

ユーロ

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

RGF Staffing the Netherlands B.V.

オランダ
フレヴォラント州

1千

ユーロ

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

RGF Staffing UK Limited

英国
ロンドン市

11,172千

英ポンド

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

Unique NV(注3)

ベルギー
アントワープ州

50,082千

ユーロ

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

 

Staffmark Group, LLC(注3)

米国
オハイオ州

117,514千
米ドル

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

 

The CSI Companies, Inc.

米国
フロリダ州

2.00米ドル

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

Chandler Macleod
Group Limited(注3)

豪州
ニューサウスウェールズ州

191,490千

豪ドル

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

 

RGF ASSET MANAGEMENT LIMITED

アイルランド

ダブリン県

1ユーロ

HRテクノロジー

100.0

 

役員の兼任

RGF TREASURY SERVICES LIMITED(注3)

アイルランド

ダブリン県

3.30米ドル

HRテクノロジー

100.0

 

役員の兼任

RGF International Recruitment Holdings Limited(注3)

中国

香港

836,224千

香港ドル

マッチング&ソリューション

100.0

(100.0)

-

RYK Capital Partners Limited(注3)

中国

香港

299,756千香港ドル

マッチング&ソリューション

90.0

(90.0)

-

㈱スタッフサービス(注6)

東京都千代田区

300百万円

人材派遣

100.0

(100.0)

-

Start Holding B.V.(注3)

オランダ
フレヴォラント州

92,653千

ユーロ

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

 

Staffmark Investment, LLC
(注3)

米国
オハイオ州

117,514千

米ドル

人材派遣

100.0

(100.0)

-

Peoplebank Australia Ltd
(注3)

豪州
ニューサウスウェールズ州

68,160千

豪ドル

人材派遣

100.0

(100.0)

-

RGF STAFFING APEJ PTY LTD

(注3)

豪州
ニューサウスウェールズ州

440,756千

豪ドル

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

RGF STAFFING MELBOURNE TWO PTY LTD(注3)

豪州
ニューサウスウェールズ州

294,892千

豪ドル

人材派遣

100.0

(100.0)

役員の兼任

その他202社(注5)

 

 

 

 

 

 

 

(2) 持分法適用関連会社

 

名称

住所

資本金又は
出資金

主要な事業
の内容
(注1)

議決権の
所有割合
(%)

関係内容

51job, Inc.

英国領
ケイマン諸島

31千中国元

全社

39.9

-

㈱カオナビ(注4)

東京都渋谷区

1,153百万円

マッチング&ソリューション

21.2

(21.2)

-

その他6社

 

 

 

 

 

 

 

(注1) 主要な事業の内容欄にはセグメントの名称を記載しています。

(注2) 議決権の所有割合欄(内書)は間接所有です。

(注3) 特定子会社です。

(注4) 有価証券届出書及び有価証券報告書を提出しています。

(注5) 重要な債務超過の状況にある関係会社はありません。当社グループ内での借入金等がある関係会社は、当該借入金を控除した負債から算定した純資産額を用いて、重要な影響を与える債務超過の有無を判定しています。

(注6) Indeed, Inc.、㈱リクルート及び㈱スタッフサービスについては、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えています。なお、下記はいずれも単体決算数値であるため、当社が各子会社を買収した際に生じたのれん、無形資産及び当該無形資産に係る償却費を含んでいません。

 

 

主要な損益情報等

 

Indeed, Inc.

㈱リクルート(日本基準)

㈱スタッフサービス(日本基準)

 

(単位 : 百万米ドル)

(単位 : 百万円)

(単位 : 百万円)

売上収益

4,964

753,472

351,158

経常利益

-

77,574

23,071

当期利益

1,281

28,845

15,960

資本合計

1,897

58,861

39,525

資産合計

3,230

543,632

91,742

 

Indeed, Inc.の数値は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」に反映されているIFRSによるものであるため、経常利益は記載していません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

臨時従業員数(名)

HRテクノロジー

13,155

69

マッチング&ソリューション

24,439

521

人材派遣

13,657

1,357

全社(共通)

122

5

合計

51,373

1,952

 

 

(注1) 従業員は当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員です。臨時従業員は含みません。

(注2) 臨時従業、当連結会計年度の臨時従業員の年間平均雇用人員です。

(注3) 臨時従業員はアルバイト等を含み、派遣社員を除いています。

(注4) 全社(共通)として記載されている従業員は、主に持株会社である当社のファイナンス及びリスクマネジメント等の管理部門の従業員です。

(注5) 前連結会計年度末に比べ従業員数が7,120名減少しています。これは主に、HRテクノロジー事業傘下の子会社が2023年3月に発表した人員削減と、人材派遣事業の一部配下子会社において常用型派遣の集計方法を変更したことによる減少です。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

臨時従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

119

5

39.8

7.90

11,192,716

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

臨時従業員数(名)

HRテクノロジー

-

-

マッチング&ソリューション

-

-

人材派遣

1

-

全社(共通)

118

5

合計

119

5

 

 

(注1) 従業員は当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員です。臨時従業員は含みません。

(注2) 臨時従業は、当事業年度の臨時従業員の年間平均雇用人員です。

(注3) 臨時従業員はアルバイト等を含み、派遣社員を除いています。

(注4) 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。前事業年度は報酬制度改定の移行期として調整が発生し、一時的に年間平均給与が増加しましたが、当事業年度は標準支給になっています。

(注5) 全社(共通)として記載されている従業員は、主に持株会社である当社のファイナンス及びリスクマネジメント等の管理部門の従業員です。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しています。

 

 

(4) 多様性に関する状況

当社グループでは、創業以来、従業員一人ひとりの違いを大切にし、多様な個人の好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで新たな事業やサービスを生み出してきました。あわせて、当社グループでは人権方針を定め、企業活動において差別や人権侵害を行わないよう努めるとともに、すべての人々に公正な機会を提供し、その人らしい生き方や働き方を尊重することを目指しています。当社グループの人的資本や人権に対する考え方や取組みについては「第2 事業の状況」「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

これらの方針のもとで、当社グループでは、属性や就労における制約等に関わらず、誰にとっても働きやすく働きがいのある職場の実現に向けて取り組んでいます。そして、2021年5月にDEI(Diversity:多様性、Equity:公平性、Inclusion:包括性)を経営戦略の一環として掲げ、「2031年3月期までにすべての階層における女性比率を約50%にする」目標を決め、その実現に向けて3カ年計画を定めて取組みを進めています。また、3カ年計画の達成如何を、業務執行取締役と主にサステナビリティテーマの推進を担う執行役員の長期インセンティブ報酬(注1)の一部に連動させることで、更に取組みを加速しています。DEIに関する取組みの進捗については「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「(3)経営戦略」「ProsperTogether - ステークホルダーとの共存共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。

 

2031年3月期までに目指す女性比率50%の目標に向けた当社グループのマイルストン

 


 

 

2024年4月1日時点の当社グループ(注2)の無期雇用従業員、管理職、上級管理職に占める女性の割合は以下のとおりです。

 

名称

無期雇用従業員に占める

女性の割合(注3) (%)

管理職に占める

女性の割合(注4) (%)

上級管理職に占める

女性の割合(注5) (%)

当社グループ(注2)

49.0

39.4

26.8

 

 

(注1) 長期インセンティブ BIP信託(株式)報酬の一部として設定し、3カ年目標の達成如何により支給有無を決定します。

(注2) 当社グループとして提出会社、SBU統括会社及び各SBU配下の主要連結子会社を集計しており海外子会社を含みます。なお、「無期雇用従業員」の定義は当社グループの雇用管理区分に基づきます。一方、「管理職」及び「上級管理職」の定義は、それぞれ注4、注5のとおりであり「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下「女性活躍推進法」)に基づく「一般事業主行動計画等に関する省令」の「管理職」の定義(課長級及び課長級より上位の役職(役員を除く)にある労働者の合計)とは異なります。

(注3) 無期雇用従業員として、期間の定めの無い従業員を集計しています。また、当社グループから他社への出向者を除き、他社から当社グループへの出向者を含む就業人員です。

(注4) 管理職は部下を持つすべての従業員を示し、委任契約役員を含みます。

(注5) 上級管理職は、提出会社及びマッチング&ソリューション事業においては執行役員及び専門役員、HRテクノロジー事業と人材派遣事業においては主要子会社社長及び重要機能トップを示しています。

 

当社の管理職に占める女性の割合、男性の育児休業等の取得率、男女間の賃金の差異は以下のとおりです(注1)。

 

名称

管理職に占める

女性の割合

(注2)(%)

男性の育児休業等の取得率

(注3)(注4) (%)

男女間の賃金の差異(注3)(注5) (%)

全労働者

うち無期雇用

従業員

(注6)

うちパートタイム・有期雇用従業員等(注7)

提出会社

52.9

166.7

83.9

85.5

116.8

 

 

(注1) 当社は女性活躍推進法及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児・介護休業法」)」に基づく公表義務はありませんが参考情報として任意開示しています。

(注2) 管理職とは部下を持つ従業員であり、委任契約役員を除きます。当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員を対象に女性活躍推進法の規定に準じて算出しています。2024年4月1日時点。

(注3) 当社の労働者の大部分は㈱リクルートからの出向者で構成され、出向者の報酬は当社が定めるミッショングレードと基準に従って決定しています。このような就労と報酬決定の実情を踏まえ、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含めて集計しています。従って、後述する㈱リクルートが算定対象としている当該会社の労働者名簿に記載されている従業員(以下「原籍者」)のうち、当社に出向している従業員を含めて集計しており、当社の原籍者のみを対象に集計した場合は数値が異なります。

(注4) 育児・介護休業法に準じて「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(以下「育児・介護休業法施行規則」)」第71条の4第2号の育児休業等の取得割合を、当連結会計年度を対象に算出しています。また、育児休業等には法令で定められた育児休業及び出産育児を目的とした休暇制度等を含みます。

(注5) 女性活躍推進法の規定に準じて、当連結会計年度を対象に算出しています。

(注6) 無期雇用従業員とは期間の定めの無い従業員です。

(注7) パートタイム・有期雇用従業員等は、無期雇用従業員の所定労働時間(1日8時間)で換算した人員数を基に試算しています。

 

また、女性活躍推進法及び育児・介護休業法に基づいて開示する国内の主要連結子会社における管理職に占める女性の割合、男性の育児休業等の取得率、男女間の賃金の差異は以下のとおりです。

 

 

名称

主要な事業

の内容

(注1)

管理職に占める女性の割合

(注2) (%)

男性の育児休業等の取得率

(注3) (%)

男女間の賃金の差異(注4) (%)

全労働者

うち無期雇用

労働者

(注5)

うちパートタイム・有期雇用労働者等(注6)

㈱リクルート

マッチング&ソリューション

32.4

99.2

77.6

81.6

99.3

㈱リクルートスタッフィング

人材派遣

38.9

35.4

74.1

61.0

79.0

㈱スタッフサービス・ホールディングス

人材派遣

35.1

66.7

74.1

78.0

39.8

 

その他23社(注7)

 

(注1) 主要な事業の内容欄にはセグメントの名称を記載しています。

(注2) 管理職は部下を持つ従業員であり、委任契約役員を除きます。当該会社から他社への出向者を除き、他社から当該会社への出向者を含む就業人員を対象に女性活躍推進法の規定に基づき算出しています。2024年4月1日時点。

(注3) 当該会社の原籍者を対象に集計しています。育児・介護休業法の規定に準じて、育児・介護休業法施行規則第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を、当連結会計年度を対象に算出しています。育児休業等には法令で定められた育児休業及び、出産育児を目的とした休暇制度等を含んでいます。

(注4) 当該会社の原籍者と当該会社を通じて他社に派遣されている労働者を含み、当該会社に派遣されている労働者を含まずに、当連結会計年度を対象に女性活躍推進法の規定に基づき算出しています。そのため、人材派遣セグメントの連結子会社は、当該会社を通じて他社に派遣されている労働者を含んでいます。

(注5) 無期雇用労働者とは期間の定めの無い従業員です。

(注6) パートタイム・有期雇用労働者等は、無期雇用労働者の所定労働時間(1日8時間)で換算した人員数を基に試算しています。

(注7) 連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては「第7 提出会社の参考情報」「2 その他の参考情報」に記載しています。

 

今回示した男女間の賃金の差異について、当社及び主要な国内連結子会社では「Pay for Performance」を基本方針とし、無期雇用労働者については、年齢や入社年次等に関わらず、期待される役割とそれに対する成果の大きさで従業員の報酬を決定する「ミッショングレード制」を導入しているため、同一のミッショングレードや評価において男女間での賃金格差はありません。

 

そのため、男女間の賃金差異の低減に向けた第一の課題は、より高いミッショングレードや管理職の女性割合が低いことであると考えています。そこで、当社グループが掲げた女性管理職比率を約50%にする目標に向けた取組みを加速することで、高度プロフェッショナル人材を含めたより高いミッショングレードを担う女性比率の向上を目指しています。

 

またこの取組みを通じて、組織にある無意識の偏見(バイアス)に気づき、働く場所や時間等に対する先入観を低減し、多様な個人にとって更に働きやすく働きがいのある職場とするために創意工夫を凝らすことは、更に幅広い人材が活躍できる組織への進化に繋がると考えています。「仕事」に関わる事業を展開する当社グループとして、社会の更なる多様性と公平性、包括性の向上に向けて、事業やサービスを含めた企業活動全体を通じて貢献していきます。