第5【経理の状況】

1.連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について

(1)当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を全て満たすことから、第93条の規定により、国際財務報告基準に準拠して作成しています。

 

(2)当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号、以下「財務諸表等規則」)に基づいて作成しています。また、当社は、特例財務諸表提出会社に該当し、財務諸表等規則第127条の規定により財務諸表を作成しています。

 

2.監査証明について

 金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の連結財務諸表及び事業年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の財務諸表について、EY新日本有限責任監査法人の監査を受け、監査報告書を受領しています。

 

3.連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みについて

 当社は、連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みを行っています。具体的には、国際会計基準審議会、金融庁及び会計専門家等が提供する情報の継続的な入手、並びに公益財団法人財務会計基準機構への加入等、会計基準等の内容を適切に把握し、会計基準等の変更等について的確に対応することができる体制を整備しています。

 

1【連結財務諸表等】

(1)【連結財務諸表】

①【連結財政状態計算書】

 

 

 

(単位:百万円)

 

注記

番号

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

資産の部

 

 

 

流動資産

 

 

 

現金及び現金同等物

25

833,283

705,367

売上債権及び契約資産

6、20、25

2,874,987

2,991,316

棚卸資産

1,646,188

1,510,647

有価証券及びその他の金融資産

11、25

346,916

331,280

その他の流動資産

 

227,161

315,987

流動資産合計

 

5,928,535

5,854,597

非流動資産

 

 

 

持分法で会計処理されている投資

5、8

478,620

816,434

有価証券及びその他の金融資産

11、25

496,897

320,101

有形固定資産

1,700,471

1,221,842

のれん

10

2,165,350

2,371,678

その他の無形資産

10

1,244,688

1,178,750

その他の非流動資産

12

486,853

457,882

非流動資産合計

 

6,572,879

6,366,687

資産の部合計

 

12,501,414

12,221,284

負債の部

 

 

 

流動負債

 

 

 

短期借入金

25

777,650

37,827

償還期長期債務

25

141,861

187,486

その他の金融負債

25

263,748

266,245

買入債務

13

1,548,497

1,399,699

未払費用

 

720,961

697,471

契約負債

20

1,241,366

1,658,435

その他の流動負債

14

472,095

555,437

流動負債合計

 

5,166,178

4,802,600

非流動負債

 

 

 

長期債務

25

1,293,837

954,709

退職給付に係る負債

15

323,264

246,231

その他の非流動負債

8、12、

14、25

382,568

358,141

非流動負債合計

 

1,999,669

1,559,081

負債の部合計

 

7,165,847

6,361,681

資本の部

 

 

 

親会社株主持分

 

 

 

資本金

16、19

462,817

463,417

資本剰余金

5、16、

19、25

利益剰余金

16、18

3,637,184

4,084,729

その他の包括利益累計額

17

846,392

1,160,550

自己株式

16

3,539

4,991

親会社株主持分合計

 

4,942,854

5,703,705

非支配持分

5、25

392,713

155,898

資本の部合計

 

5,335,567

5,859,603

負債・資本の部合計

 

12,501,414

12,221,284

 

②【連結損益計算書及び連結包括利益計算書】
【連結損益計算書】

 

 

 

(単位:百万円)

 

注記

番号

 前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

売上収益

20

10,881,150

9,728,716

売上原価

 

8,192,063

7,146,629

売上総利益

 

2,689,087

2,582,087

販売費及び一般管理費

 

1,940,943

1,826,271

その他の収益

5、21

302,196

116,653

その他の費用

5、15、21

245,016

97,184

金融収益

22

7,878

17,388

金融費用

22

20,417

10,015

持分法による投資損益

52,847

75,284

受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益

 

845,632

857,942

受取利息

 

25,652

38,781

支払利息

 

51,313

70,922

税引前当期利益

 

819,971

825,801

法人所得税費用

12

116,101

199,053

当期利益

 

703,870

626,748

当期利益の帰属

 

 

 

親会社株主持分

 

649,124

589,896

非支配持分

 

54,746

36,852

 

 

 

 

1株当たり親会社株主に帰属する当期利益

23

 

 

基本

 

684.55

634.57

希薄化後

 

683.89

633.75

 

【連結包括利益計算書】

 

 

 

(単位:百万円)

 

注記

番号

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

当期利益

 

703,870

626,748

 

 

 

 

その他の包括利益

17

 

 

純損益に組み替えられない項目

 

 

 

その他の包括利益を通じて測定する

金融資産の公正価値の純変動額

 

21,484

45,156

確定給付制度の再測定

 

40,202

13,872

持分法のその他の包括利益

 

1,511

1,437

純損益に組み替えられない項目合計

 

63,197

60,465

 

 

 

 

純損益に組み替えられる可能性がある項目

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

 

232,360

354,395

キャッシュ・フロー・ヘッジの

公正価値の純変動額

 

7,265

14,915

持分法のその他の包括利益

 

14,595

22,025

純損益に組み替えられる可能性がある項目合計

 

254,220

391,335

 

 

 

 

その他の包括利益合計

 

317,417

451,800

当期包括利益

 

1,021,287

1,078,548

当期包括利益の帰属

 

 

 

親会社株主持分

 

905,819

1,013,811

非支配持分

 

115,468

64,737

 

③【連結持分変動計算書】

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資本金

(注16)

資本

剰余金

(注5  

 及び16)

利益

剰余金

(注16  

 及び18)

その他の

包括利益

累計額

(注17)

自己株式

(注16)

親会社

株主持分

合計

非支配

持分

(注5)

資本の部

合計

期首残高

461,731

46,119

3,197,725

639,263

3,002

4,341,836

1,013,441

5,355,277

変動額

 

 

 

 

 

 

 

 

利益剰余金への振替

72,970

72,970

当期利益

649,124

649,124

54,746

703,870

その他の包括利益

256,695

256,695

60,722

317,417

親会社株主に対する

配当金

129,148

129,148

129,148

非支配持分に対する

配当金

34,828

34,828

自己株式の取得

200,212

200,212

200,212

自己株式の売却

94

258

164

164

自己株式の消却

199,417

199,417

新株の発行(注19)

1,086

1,086

2,172

2,172

利益剰余金から

資本剰余金への振替

153,487

153,487

非支配持分との取引等

1,181

23,404

22,223

701,368

679,145

変動額合計

1,086

46,119

439,459

207,129

537

601,018

620,728

19,710

期末残高

462,817

3,637,184

846,392

3,539

4,942,854

392,713

5,335,567

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資本金

(注16)

資本

剰余金

(注16)

利益

剰余金

(注16  

 及び18)

その他の

包括利益

累計額

(注17)

自己株式

(注16)

親会社

株主持分

合計

非支配

持分

(注5)

資本の部

合計

期首残高

462,817

3,637,184

846,392

3,539

4,942,854

392,713

5,335,567

変動額

 

 

 

 

 

 

 

 

利益剰余金への振替

110,653

110,653

当期利益

589,896

589,896

36,852

626,748

その他の包括利益

423,915

423,915

27,885

451,800

親会社株主に対する

配当金

144,461

144,461

144,461

非支配持分に対する

配当金

30,580

30,580

自己株式の取得

100,458

100,458

100,458

自己株式の売却

151

213

62

62

自己株式の消却

98,793

98,793

新株の発行(注19)

600

600

1,200

1,200

利益剰余金から

資本剰余金への振替

105,689

105,689

非支配持分との取引等

7,345

2,854

896

9,303

270,972

280,275

変動額合計

600

447,545

314,158

1,452

760,851

236,815

524,036

期末残高

463,417

4,084,729

1,160,550

4,991

5,703,705

155,898

5,859,603

 

④【連結キャッシュ・フロー計算書】

 

 

 

(単位:百万円)

 

注記

番号

 前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

営業活動に関するキャッシュ・フロー

 

 

 

当期利益

 

703,870

626,748

 

 

 

 

当期利益から営業活動に関する

キャッシュ・フローへの調整

 

 

 

減価償却費及び無形資産償却費

 

526,310

451,525

減損損失

 

129,894

29,668

法人所得税費用

 

116,101

199,053

持分法による投資損益

 

52,847

75,284

金融収益及び金融費用

 

18,204

21,824

事業再編等損益

 

297,351

97,048

固定資産売却等損益

 

2,465

17,857

売上債権及び契約資産の増減(△は増加)

 

60,673

40,206

棚卸資産の増減(△は増加)

 

244,346

88,320

買入債務の増減(△は減少)

 

43,964

7,327

未払費用の増減(△は減少)

 

36,826

54,016

退職給付に係る負債の増減(△は減少)

 

49,935

5,193

その他

 

28,182

34,598

小計

 

995,604

1,112,067

利息の受取

 

25,675

38,655

配当金の受取

 

26,419

29,963

利息の支払

 

49,770

69,165

法人所得税の支払

24

170,883

154,908

営業活動に関するキャッシュ・フロー

 

827,045

956,612

 

 

 

 

投資活動に関するキャッシュ・フロー

 

 

 

有形固定資産の取得

 

252,638

232,874

無形資産の取得

 

157,947

152,271

有形固定資産及び無形資産の売却

 

55,580

45,048

有価証券及びその他の金融資産(子会社及

び持分法で会計処理されている投資を含む)の取得

 

106,069

70,622

有価証券及びその他の金融資産(子会社及

び持分法で会計処理されている投資を含む)の売却

 

616,317

265,693

その他

 

4,180

13,483

投資活動に関するキャッシュ・フロー

 

151,063

131,543

 

 

 

 

財務活動に関するキャッシュ・フロー

24

 

 

短期借入金の純増減

 

277,685

550,170

長期借入債務による調達

 

80,062

105,130

長期借入債務の償還

 

288,795

301,507

非支配持分からの払込み

 

310

487

配当金の支払

 

129,005

144,343

非支配持分株主への配当金の支払

 

52,217

32,345

自己株式の取得

 

200,212

100,458

自己株式の売却

 

164

62

非支配持分株主からの子会社持分取得

 

274,687

1,763

その他

 

901

財務活動に関するキャッシュ・フロー

 

1,142,966

1,024,907

 

 

 

 

現金及び現金同等物に係る為替変動による影響

 

29,314

71,922

現金及び現金同等物の増減

 

135,544

127,916

 

 

 

 

現金及び現金同等物の期首残高

 

968,827

833,283

現金及び現金同等物の期末残高

 

833,283

705,367

 

【連結財務諸表注記】

 

注1.報告企業

 株式会社日立製作所(以下、当社)は日本に拠点を置く株式会社であり、その株式を公開しています。当社の連結財務諸表は、当社及び子会社並びにその関連会社及び共同支配企業に対する持分により構成されています。当社及び子会社からなる企業集団は、デジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズ、オートモティブシステム、その他の5セグメントにわたって、製品の開発、生産、販売、サービス等、グローバルに幅広い事業活動を展開しています。

 

注2.作成の基礎

 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を全て満たしていることから、同第93条の規定により、国際会計基準審議会(以下、IASB)によって公表された国際財務報告基準(以下、IFRS)に準拠して作成しています。当社の連結会計年度は、4月1日から翌年3月31日までです。

 当社の連結財務諸表は、デリバティブ金融資産及び金融負債、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及び金融負債、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、確定給付制度にかかる資産又は負債を除き、取得原価を基礎として作成しています。また、連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円により百万円単位で表示しています。

 IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、当社の経営者は会計方針の適用並びに資産及び負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行うことが義務付けられています。実際の業績はこれらの見積り等とは異なる場合があります。

 見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しています。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りを変更した会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識しています。

 連結財務諸表上で認識する金額に重要な影響を与える会計方針の適用に関する判断に関する情報は、以下の注記に含まれています。

・注3.(1)連結の基礎

・注3.(4)金融商品及び注25.金融商品及び関連する開示

 

 翌連結会計年度において重要な修正をもたらすリスクのある、仮定及び見積りの不確実性に関する情報は、以下の注記等に含まれています。

・注3.(4)金融商品及び注25.金融商品及び関連する開示

・注3.(10)非金融資産の減損、注9.有形固定資産及び注10.のれん及びその他の無形資産

・注3.(11)退職後給付及び注15.従業員給付

・注3.(12)引当金、注3.(14)収益認識、注14.引当金及び注20.売上収益

・注3.(15)法人所得税費用及び注12.繰延税金及び法人所得税

 

注3.重要性がある会計方針の概要

(1)連結の基礎

① 子会社

 子会社とは、当社が支配を有する事業体をいいます。支配とは、その事業体への関与により生じる変動リターンに対するリスク又は権利を有し、かつ当該事業体に対するパワーを通じてその変動リターンに影響を及ぼす能力をいいます。

 子会社は全て、取得日すなわち当社が支配を獲得した日から、当社が支配を喪失する日まで連結しています。

 子会社が適用する会計方針が当社の適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じ当該子会社の財務諸表の調整を行っています。

 支配の喪失を伴わない子会社に対する持分変動があった場合には、資本取引として会計処理しています。一方、支配の喪失を伴う子会社に対する持分変動があった場合には、子会社の資産及び負債、子会社に関連する非支配持分及びその他の包括利益累計額の認識を中止しています。

 

② 関連会社及び共同支配企業

 関連会社とは、当社が支配を有していないものの、その企業の経営方針や財務方針に重要な影響力を行使できる事業体をいいます。

 共同支配企業とは、契約上の取決めにより当社を含む複数の当事者が共同して支配をしており、その活動に関連する財務上及び経営上の決定に際して、支配を共有する当事者の一致した合意を必要とする企業をいいます。

 

 当社は、関連会社及び共同支配企業への投資について、持分法を用いて会計処理しています。(以下、持分法適用会社)

 連結財務諸表には、重要な影響力又は共同支配を獲得した日から喪失するまでの持分法適用会社の純損益及びその他の包括利益に対する当社の持分を含めています。

 持分法適用会社が適用する会計方針が当社の適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じ持分法適用会社の財務諸表を調整しています。

 

③ 組成された事業体

 当社は、組成された事業体への関与から生じる変動リターンに対するリスク又は権利を有している場合で、当該事業体に対するパワーを通じてこれらの変動リターンに影響を与えることができる場合、当該事業体に対し支配を有していると判断し連結しています。

 

(2)現金同等物

現金同等物は、流動性が高く、元本の価値変動のリスクが極めて低い、取得日から3か月以内に満期となる短期投資からなります。

 

(3)外貨換算

当社の連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しています。

① 外貨建取引

 外貨建取引は、取引日における直物為替相場又はそれに近似するレートにより当社及び子会社の各機能通貨に換算しています。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しています。当該換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識しています。ただし、発生する損益がその他の包括利益で認識される資産及び負債に関しては、それらから生じる換算差額はその他の包括利益として認識し、その累計額はその他の包括利益累計額に認識しています。

 

② 在外営業活動体の財務諸表の換算

 在外営業活動体の資産及び負債は決算日の為替相場により、収益及び費用は期中平均為替相場により円換算しています。在外営業活動体の財務諸表の換算により発生する換算差額は、その他の包括利益として認識し、その累計額はその他の包括利益累計額に認識しています。

 

(4)金融商品

① 非デリバティブ金融資産

 当社は、売上債権及びその他の債権を、これらの発生日に当初認識しています。その他の金融資産は、当社が当該金融商品の契約当事者となった取引日に当初認識しています。

 当社は、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合又は金融資産の所有にかかるリスクと経済的便益を実質的に全て移転する取引において、当該金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転した時に当該金融資産の認識を中止しています。金融資産の所有に伴う実質的に全てのリスク及び経済価値を留保も移転もしない取引においては、当社は当該金融資産への支配を保持していない場合にその資産の認識を中止するものとしています。

 

 非デリバティブ金融資産の分類及び測定方法の概要は、下記のとおりです。

 

償却原価で測定する金融資産

 以下の要件を満たす金融資産を償却原価で測定する金融資産として分類しています。

・当社のビジネスモデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有している場合

・契約条件が、特定された日に元本及び元本残高にかかる利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる場合

 償却原価で測定する金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用を含む)で当初認識しています。当初認識後は、実効金利法を用いて帳簿価額を算定しています。また、償却原価で測定する金融資産にかかる利息発生額は連結損益計算書の受取利息に含まれます。

 

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産

 当社は、主に投資先との取引関係の維持、強化による収益基盤の拡大を目的として保有している資本性金融資産をその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として分類しています。その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は公正価値(直接帰属する取引費用を含む)で当初認識し、それ以降も連結決算日の公正価値で測定しています。公正価値の変動は連結会計期間のその他の包括利益として認識し、その累計額はその他の包括利益累計額に認識しています。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産から生じる配当金については、明らかに投資の払い戻しの場合を除き、純損益として認識しています。

 

純損益を通じて公正価値で測定する金融資産

 その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として分類されない資本性金融資産及び償却原価で測定する金融資産に分類されない負債性金融資産は、全て純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識後、公正価値(直接帰属する取引費用を含む)で測定し、その公正価値の変動は純損益として認識しています。

 

金融資産の減損

 当社は、売上債権及び契約資産並びにその他の債権に関する予想信用損失に係る貸倒引当金について、信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているか否かに応じて、少なくとも四半期毎に継続的評価を実施しています。

 

 信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、金融資産の予想残存期間の全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しています。信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、期末日後12か月以内に生じる予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しています。ただし、売上債権、契約資産及びリース債権については、常に全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しています。

 

 信用リスクの著しい増大の有無は、債務不履行発生のリスクの変化に基づいて判断しており、債務不履行とは、債務者による契約上のキャッシュ・フローの支払いに重大な問題が生じ、金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していない状態と定義しています。債務不履行発生のリスクに変化があるかどうかの判断においては、主に外部信用格付け、期日経過の情報等を考慮しています。

 

 予想信用損失は、金融資産に関して契約上支払われるキャッシュ・フロー総額と、受取りが見込まれる将来キャッシュ・フロー総額との差額の割引現在価値を発生確率により加重平均して測定します。支払遅延の存在、支払期日の延長、外部信用調査機関による否定的評価、債務超過等悪化した財政状況や経営成績の評価を含む、一つ又は複数の事象が発生している場合には、信用減損が生じた金融資産として個別的評価を行い、主に過去の貸倒実績や将来の回収可能額等に基づき予想信用損失を測定しています。信用減損が生じていない金融資産については、主に過去の貸倒実績に必要に応じて現在及び将来の経済状況等を踏まえて調整した引当率等に基づく集合的評価により予想信用損失を測定しています。

 

 売上債権及び契約資産並びにその他の債権に関する予想信用損失については、帳簿価額を直接減額せず、貸倒引当金を計上しています。予想信用損失の変動額は減損損失として純損益に認識しており、連結損益計算書の販売費及び一般管理費に含まれます。なお、金融資産について、全ての回収手段がなくなり、回収可能性がほぼ尽きたと考えられる時点で、金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していないと判断し、直接償却しています。

 

② 非デリバティブ金融負債

 当社は、発行した負債性金融商品を、その発行日に当初認識しています。その他の金融負債は全て、当社が当該金融商品の契約の当事者になる取引日に認識しています。

 当社は、金融負債が消滅した場合、つまり契約上の義務が履行されるか、債務が免責、取消又は失効となった場合に、認識を中止しています。

 当社は、非デリバティブ金融負債として、社債、借入金、買入債務及びその他の金融負債を有しており、それらを公正価値(直接帰属する取引費用を控除後)で当初認識しています。また、社債及び借入金については当初認識後、実効金利法を用いた償却原価により測定しており、利息発生額は連結損益計算書の支払利息に含まれます。

 

③ デリバティブ及びヘッジ会計

 当社は、為替リスク及び金利リスクをヘッジするために、先物為替予約契約、通貨スワップ契約及び金利スワップ契約といったデリバティブ商品を利用しています。これらのデリバティブはその保有目的、保有意思にかかわらず全て公正価値で計上しています。

 当社が利用しているヘッジの会計処理は、下記のとおりです。

・「公正価値ヘッジ」は、既に認識された資産又は負債もしくは未認識の確定契約の公正価値の変動に対するヘッジであり、ヘッジの効果が有効である限り、既に認識された資産又は負債もしくは未認識の確定契約とその関連するデリバティブの公正価値の変動は純損益で認識しています。

・「キャッシュ・フロー・ヘッジ」は、将来取引のヘッジ又は既に認識された資産又は負債に関連して発生する将来キャッシュ・フローの変動に対するヘッジであり、ヘッジの効果が有効である限り、キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定したデリバティブの公正価値の変動はその他の包括利益として認識しています。この会計処理は、ヘッジ対象に指定された未認識の確定契約又は将来キャッシュ・フローの変動を純損益に認識するまで継続し、その時点でデリバティブの公正価値の変動も純損益に含めています。なお、ヘッジ対象に指定された予定取引により、非金融資産もしくは非金融負債が認識される場合、その他の包括利益として認識したデリバティブの公正価値の変動は、当該資産又は負債が認識された時点で、当該資産又は負債の取得原価その他の帳簿価額に直接含めています。

 当社は、IFRS第9号「金融商品」に定められるデリバティブを利用する目的、その戦略を含むリスク管理方針を文書化しており、それに加えて、そのデリバティブがヘッジ対象の公正価値又は将来キャッシュ・フローの変動の影響を相殺しているかどうかについて、ヘッジの開始時及び開始後も引き続き、一定期間毎に評価を行っています。ヘッジの効果が有効でなくなった場合は、ヘッジ会計を中止しています。

 

④ 金融資産と金融負債の相殺

 金融資産と金融負債は、認識された金額を相殺する強制可能な法的権利が現時点で存在し、かつ、純額ベースで決済するかもしくは資産を実現すると同時に負債を決済する意図が存在する場合にのみ相殺し、連結財政状態計算書において純額で報告しています。

 

(5)非支配持分株主に対するプット・オプション

当社及び当社の子会社において、非支配持分株主に付与している子会社持分の売建プット・オプションは、その行使価格の現在価値を金融負債として認識するとともに、非支配持分の認識を中止し、その差額を資本剰余金として認識しています。

 

(6)棚卸資産

棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で評価しており、原価は、製品・半製品・仕掛品については個別法又は移動平均法により、材料については概ね移動平均法によっています。正味実現可能価額とは、通常の営業過程における見積売価から、完成までの見積原価及び販売に要する見積費用を控除したものをいいます。

 

(7)有形固定資産

有形固定資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、将来の解体、除去及び原状回復費用を含めています。各資産はそれぞれの見積耐用年数にわたって、主として定額法で減価償却を行っています。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は、下記のとおりです。

建物及び構築物    2年から60年

機械装置及び運搬具  2年から17年

工具、器具及び備品  2年から20年

使用権資産      2年から30年

なお、見積耐用年数及び減価償却方法等は、各会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として扱い、将来に向かって変更しています。

 

(8)のれん及びその他の無形資産

耐用年数を確定できるその他の無形資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で表示しています。各資産はそれぞれの見積耐用年数にわたって、主として定額法で償却を行っています。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は、下記のとおりです。

自社利用ソフトウェア 2年から10年

市場販売ソフトウェア 2年から10年

その他        2年から20年

のれん及び耐用年数を確定できないその他の無形資産は、取得原価から減損損失累計額を控除した金額で表示しています。

 

(9)リース

① 借手側

 当社及び一部の子会社は、建物、機械装置及び車両等を中心とした設備を賃借しており、原資産を使用する権利である使用権資産と、リース料を支払う義務であるリース負債を認識し、リースに関する費用を使用権資産の減価償却費及びリース負債に係る支払利息として認識しています。リース期間が12か月以内である短期リースのリース料は、リース期間にわたって定額法により純損益として認識しています。

 

使用権資産

 使用権資産の測定においては原価モデルを採用し、リース開始日における取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で有形固定資産及びその他の無形資産に含めて表示しています。取得原価には、リース負債の当初測定の金額、借手に発生した当初直接コスト等を含めています。各使用権資産は、リース開始日から使用権資産の耐用年数の終了時又はリース期間の終了時のいずれか早い方までにわたって、定額法で減価償却を行っています。なお、耐用年数又はリース期間に変更があった場合は、会計上の見積りの変更として扱い、将来に向かって変更しています。

 

リース負債

 リース負債は、リース開始日現在で支払われていないリース料をリースの計算利子率又は借手の追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値で測定しており、償還期長期債務及び長期債務に含めて表示しています。リース期間中の各期間におけるリース負債に係る金利費用は、リース負債の残高に対する毎期一定の率をリース期間にわたり純損益として認識し、連結損益計算書の支払利息に含めて表示しています。

 

② 貸手側

 当社及び一部の子会社は、建物、機械装置等を中心とした設備を賃貸しており、有形固定資産のリースで、所有に伴うリスクと経済価値のほとんど全てを借手に移転する場合のリースは、ファイナンス・リースに分類され、原資産の認識の中止を行い、リース料総額の現在価値で正味リース投資未回収額を認識及び測定しています。

 所有に伴うリスクと経済価値のほとんど全てが貸手に帰属する場合のリースは、オペレーティング・リースに分類され、原資産の認識を継続し、リース収益をリース期間にわたり定額法で認識しています。

 

(10)非金融資産の減損

各資産について減損の兆候の有無の判定を行い、その帳簿価額が回収不可能であるような兆候がある場合、減損テストを実施しています。各資産が、他の資産からのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出さない場合、資金生成単位又は資金生成単位グループについて減損の兆候の有無を判定しています。耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年、主に第4四半期において、その資産の属する資金生成単位又は資金生成単位グループごとに回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。

各資産及び資金生成単位又は資金生成単位グループごとの回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方で算定しています。当社及び子会社は、公正価値を算定するために用いる評価技法として、主に当該資産等の使用及び最終処分価値から期待される見積将来キャッシュ・フローに基づくインカム・アプローチ(現在価値法)又は類似する公開企業との比較や当該資産等の時価総額等、市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積り算定するマーケット・アプローチを用いています。当社及び子会社は、公正価値算定上の複雑さに応じ、外部専門家を適宜利用しています。使用価値は、経営者により承認された事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見積額を、加重平均資本コストをもとに算定した割引率で現在価値に割引いて算定しています。事業計画は外部情報に基づき、過去の経験を反映したものであり、原則として5年を限度としています。当社及び子会社においては、多種多様な製品の開発、生産、販売からサービスの提供等、幅広い事業活動を展開しており、各事業活動に適した外部情報を用いています。事業計画の予測の期間を超えた後のキャッシュ・フロー見積額は、当該資産等が属する市場の長期平均成長率の範囲内で見積った成長率をもとに算定しています。なお、事業計画は、事業環境に応じて一部の事業における損益悪化を一定程度織り込んでいますが、今後の情勢変化に伴う、マーケットに係るリスク、経営環境に係るリスク等により、実際の結果が大きく異なることがあります。また、使用価値の算定に使用する割引率は、株式市場の動向や金利の変動等により影響を受けます。

各資産及び資金生成単位又は資金生成単位グループの帳簿価額が回収可能価額を超える場合には、その超過額を減損損失として認識しています。

のれん以外の各資産又は資金生成単位もしくは資金生成単位グループに関しては、過年度に認識された減損損失について、その回収可能価額の算定に使用した前提事項に重要な変更が生じ、損失の減少又は消滅の可能性を示す兆候が認められる場合に、当該資産等を対象に回収可能価額の見積りを行っています。算定した回収可能価額が当該資産等の帳簿価額を超える場合には、過年度に減損損失が認識されていなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額を上限として、減損損失を戻し入れています。

 

(11)退職後給付

当社及び一部の子会社は、従業員の退職給付を行うため、確定給付型年金制度、退職一時金制度及び確定拠出型年金制度を採用しています。

 

① 確定給付制度

 確定給付制度には、確定給付型年金制度、退職一時金制度が含まれます。確定給付型年金制度を採用している会社は、確定給付制度債務の現在価値及び退職給付費用を予測単位積増方式により算定しています。確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値は、報告期間末に再測定し、数理計算上の差異及び制度資産の利息収益を除く公正価値の変動額はその他の包括利益で全額認識し、その後純損益に組み替えていません。また、制度改訂時に生じる過去勤務費用は発生時に全額純損益として認識しています。連結財政状態計算書上、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した純額を確定給付負債又は資産として非流動負債又は資産に表示しています。ただし、確定給付制度が積立超過である場合は、制度からの返還又は制度への将来掛金の減額の形で利用可能な経済的便益の現在価値を資産上限額としています。

 数理計算によって算出される多額の退職給付費用の評価には、死亡率、脱退率、退職率、給与の変更及び割引率等の様々な数理計算上の仮定が含まれています。当社及び子会社は、人員の状況、市況及び将来の金利の動向等の多くの要素を考慮に入れて、数理計算上の仮定を見積っています。数理計算上の仮定は、最善の見積りと判断により決定していますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果や関連法令の改正・交付によって影響を受ける可能性があります。

 

② 確定拠出制度

 確定拠出型年金制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払いについて法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度です。確定拠出型年金制度の拠出額は、従業員がサービスを提供した期間に、純損益として認識しています。

 

(12)引当金

当社は、過去の事象の結果として現在の債務(法的債務又は推定的債務)が生じており、当該債務を決済するための経済的資源の流出が生じる可能性が高く、かつ、当該債務の金額の合理的な見積りが可能である場合に引当金を認識しています。引当金は、予想しえない事象の発生や状況の変化によって影響を受ける可能性があり、実際の支払額が見積りと異なる可能性があります。

なお、債務の決済までの期間が長期となると想定され、貨幣の時間価値が重要な場合には、決済時に予測される支出額の現在価値により引当金を測定しています。

 

(13)偶発事象

当社は国際会計基準(以下、IAS)第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に従い、(12)引当金に記載している引当金の認識基準を満たさない債務については、当該債務の履行による経済的資源の流出の可能性がほとんどないと判断している場合を除き、偶発債務として注記をしています。なお、当社及び子会社が締結した金融保証契約は、特定の債務者が負債性金融商品の条件に従った期日の到来時に支払を行わないことにより保証契約保有者に発生する損失を、当社又は子会社がその保有者に対し補償する契約です。

 

(14)収益認識

当社は、以下の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しています。

ステップ1:顧客との契約を識別する。

ステップ2:契約における履行義務を識別する。

ステップ3:取引価格を算定する。

ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。

ステップ5:履行義務を充足した時点で(又は充足するにつれて)収益を認識する。

 

当社は顧客の要望に合わせて多様な取引を行っており、製品、サービス等の複数の要素を組み合わせて顧客に提供する取引が含まれています。製品及びサービス等を提供するにあたり、複数の契約を締結している場合、各契約における対価の相互依存性や各契約の締結時期等を評価し、関連する契約を結合したうえで、取引価格を独立販売価格の比率でそれぞれの履行義務に配分し、収益を認識しています。

独立販売価格は、市場の状況、競合する製品等の市場売価、製品原価や顧客の状況等の様々な要因を考慮して見積られています。

取引価格の算定においては、顧客への約束した財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価の金額で測定しています。値引き・リベート等の変動対価は、その発生の不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ取引価格に含めています。なお、約束した対価の金額に重大な金融要素は含まれていません。

一定の期間にわたり製品及びサービス等の支配の移転が行われる取引については、顧客に提供する当該製品及びサービス等の性質を考慮し、履行義務の充足に向けての進捗度を発生原価又はサービス提供期間に基づき測定し収益を認識しています。なお、当該進捗度を合理的に測定することができない場合は、発生したコストの範囲で収益を認識しています。

顧客との契約獲得のための増分コスト及び契約に直接関連する履行コストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産として認識しており、当該資産が関連する製品及びサービスの収益の認識方法に従って償却を行っています。また、当該償却の期間が1年以内である場合に、契約獲得のための増分コストを資産計上せず発生時に費用として認識しています。

長期請負契約等に基づく収益認識において、見積原価総額、見積収益総額、契約に係るリスクやその他の要因について重要な仮定を用いて見積る必要があります。これらの見積りは将来の不確実な経済条件の変動の影響を受けるほか、当社のコントロールの及ばない様々な理由によって変動する場合があります。当社は、これらの見積りを継続的に見直し、会計処理に反映しています。

 

(15)法人所得税費用

一時差異等に起因する繰延税金資産及び負債の認識を資産負債法により行っています。のれんから生じる一時差異、企業結合以外の取引における会計上又は税務上のいずれの損益にも影響を及ぼさない取引で、かつ、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせない取引から発生する資産及び負債の当初認識にかかる一時差異、及び子会社又は持分法適用会社に対する投資にかかる将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合においては、繰延税金資産及び繰延税金負債を認識していません。繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。将来課税所得には、事業環境に応じて一部の事業における損益悪化を一定程度織り込んでいます。課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受け、実際に課税所得が生じる時期及び金額は見積りと異なる可能性があります。なお、その他の包括利益に認識される項目に関する当期税金及び繰延税金は、その他の包括利益として認識しています。

繰延税金資産及び負債は、それらの一時差異等が解消されると見込まれる連結会計年度の課税所得に対して適用される税率を使用して測定しています。税率変更による繰延税金資産及び負債への影響は、その税率変更に関する法律の制定日を含む連結会計年度の純損益及びその他の包括利益として認識しています。

また、当社はIAS第12号「法人所得税」に基づき、経済協力開発機構が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関して、認識及び情報開示に対する例外を適用しています。

 

(16)1株当たり利益

基本1株当たり親会社株主に帰属する当期利益は平均発行済株式数に基づいて計算し、希薄化後1株当たり親会社株主に帰属する当期利益は平均発行済株式数と希薄化効果のある証券の転換又は発行可能株式数の合計に基づいて計算しています。

 

(17)企業結合

企業結合の会計処理は取得法を用いています。当社は、企業結合ごとに、公正価値又は被取得企業の識別可能純資産の公正価値に対する持分割合相当額のいずれかにより、被取得企業に対する非支配持分を測定するかを選択しています。また、発生した取得関連費用は、発生時に費用処理しています。

 

(18)未適用の新会計基準

連結財務諸表の承認日までに新設又は改訂が行われた主な公表済基準書及び解釈指針のうち、当連結会計年度末において未適用の主な基準書は下記のとおりです。なお、適用による連結財務諸表への影響は検討中です。

 

基準書

基準名

強制適用時期

(以降開始年度)

当社

適用年度

新設・改訂の概要

IFRS第18号

財務諸表における表示

及び開示

2027年1月1日

2027年度

財務諸表における表示及び開示に関する現行の会計基準であるIAS第1号を置き換える新基準

 

 

注4.セグメント情報

(報告セグメント情報)

 事業セグメントは、独立した財務情報が入手可能であり、最高経営意思決定機関が、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象とする当社の構成単位です。

 

 当社は報告セグメントを、主に市場、製品及びサービスの性質及び経済的特徴の類似性を総合的に勘案し、下記5区分に系列化しています。以下に記載する報告セグメントのうち、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズは、当社の財政状態及び経営成績の適切な理解に資するために、複数の事業セグメントを集約しています。事業セグメントの集約においては、各事業セグメントの売上収益に対するセグメント損益の利益率を用いて経済的特徴の類似性を判断しています。それぞれの報告セグメントに含まれる主な製品・サービスは下記のとおりです。

 

(1)デジタルシステム&サービス

デジタルソリューション(システムインテグレーション、コンサルティング、クラウドサービス)、ITプロダクツ(ストレージ、サーバ)、ソフトウェア、ATM

(2)グリーンエナジー&モビリティ

エネルギーソリューション(パワーグリッド、再生可能エネルギー、原子力)、鉄道システム

(3)コネクティブインダストリーズ

ビルシステム(エレベーター、エスカレーター)、生活・エコシステム(家電、空調)、計測分析システム

(半導体製造装置、医用分析装置)、産業・流通ソリューション、水・環境ソリューション、産業用機器

(4)オートモティブシステム

パワートレイン、シャシー、先進運転支援、二輪車用システム

(5)その他

不動産の管理・売買・賃貸、その他

 

 当社は、当連結会計年度の期首から、従来グリーンエナジー&モビリティセグメントに含めていた事業の一部を事業マネジメント強化統括本部に移管し、その他に含めて開示しています。当該区分変更により、前連結会計年度を変更後の区分にて表示しています。

 当社は、2022年8月に日立建機㈱(日立建機)の株式の一部を譲渡しており、従来日立建機セグメントに含めていた日立建機及びその子会社は当社の持分法適用会社となりました。また、2023年1月に日立金属㈱(現㈱プロテリアル)の全ての株式を譲渡し、日立金属㈱は当社の連結範囲から除外されました。さらに、2023年10月に日立Astemo㈱(日立Astemo)の株式の一部を譲渡しており、従来オートモティブシステムセグメントに含めていた日立Astemo及びその子会社は当社の持分法適用会社となりました。これに伴い、日立建機セグメント、日立金属セグメント及びオートモティブシステムセグメントは当社の事業セグメントに該当しないこととなりましたが、明瞭性を高める観点から、前連結会計年度及び当連結会計年度に係るセグメント情報については、日立建機セグメント、日立金属セグメント及びオートモティブシステムセグメントを引き続き別掲して表示しています。なお、株式譲渡後の日立建機及びその子会社に係る持分法による投資損益については前連結会計年度第2四半期より、株式譲渡後の日立Astemo及びその子会社に係る持分法による投資損益については当連結会計年度第3四半期より、それぞれ「全社及び消去」に含めて開示しています。

 

前連結会計年度及び当連結会計年度におけるセグメント情報は下記のとおりです。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

報告セグメント

 

デジタルシステム

&サービス

グリーンエナジー

&モビリティ

コネクティブ

インダストリーズ

オートモティブ

システム

売上収益

 

 

 

 

 外部顧客に対する売上収益

2,217,973

2,409,601

2,759,660

1,915,254

 セグメント間の内部売上収益

171,122

60,318

215,612

4,813

 合計

2,389,095

2,469,919

2,975,272

1,920,067

セグメント損益

293,729

163,505

312,183

73,447

総資産

3,140,933

3,762,723

3,552,848

1,687,076

その他の項目

 

 

 

 

 減価償却費及び無形資産償却費

129,741

117,859

78,530

105,040

 減損損失

52,163

49,584

3,502

24,160

 持分法による投資損益

2,597

10,168

19,855

706

 持分法で会計処理されている投資

51,997

87,484

162,248

11,406

 のれん

1,269,171

589,011

220,688

86,480

 資本的支出

132,754

118,147

75,451

87,916

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

報告セグメント

全社

及び

消去

合計

 

日立建機

日立金属

その他

小計

売上収益

 

 

 

 

 

 

 外部顧客に対する売上収益

474,168

825,588

261,234

10,863,478

17,672

10,881,150

 セグメント間の内部売上収益

946

22,138

234,384

709,333

709,333

 合計

475,114

847,726

495,618

11,572,811

691,661

10,881,150

セグメント損益

43,226

43,054

15,215

913,929

29,323

884,606

総資産

2,147,020

14,290,600

1,789,186

12,501,414

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 減価償却費及び無形資産償却費

25,664

27,903

32,251

516,988

9,322

526,310

 減損損失

93

74

318

129,894

129,894

 持分法による投資損益

1,171

1,265

121

35,883

16,964

52,847

 持分法で会計処理されている投資

4,536

317,671

160,949

478,620

 のれん

2,165,350

2,165,350

 資本的支出

32,372

20,763

33,180

500,583

7,459

508,042

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月31日

 

報告セグメント

 

デジタルシステム

&サービス

グリーンエナジー

&モビリティ

コネクティブ

インダストリーズ

オートモティブ

システム

売上収益

 

 

 

 

 外部顧客に対する売上収益

2,432,182

2,980,675

2,857,211

1,160,008

 セグメント間の内部売上収益

166,477

71,627

200,749

4,376

 合計

2,598,659

3,052,302

3,057,960

1,164,384

セグメント損益

333,433

199,184

320,681

50,694

総資産

3,480,331

4,719,717

3,800,781

その他の項目

 

 

 

 

 減価償却費及び無形資産償却費

131,461

138,930

81,328

58,350

 減損損失

19,133

1,860

5,021

1,636

 持分法による投資損益

2,353

17,066

19,194

497

 持分法で会計処理されている投資

49,496

104,383

175,255

 のれん

1,433,628

690,034

248,016

 資本的支出

126,057

168,337

78,080

61,533

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月31日

 

報告セグメント

全社

及び

消去

合計

 

日立建機

日立金属

その他

小計

売上収益

 

 

 

 

 

 

 外部顧客に対する売上収益

267,395

9,697,471

31,245

9,728,716

 セグメント間の内部売上収益

240,401

683,630

683,630

 合計

507,796

10,381,101

652,385

9,728,716

セグメント損益

6,780

910,772

7,412

918,184

総資産

1,908,227

13,909,056

1,687,772

12,221,284

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 減価償却費及び無形資産償却費

32,608

442,677

8,848

451,525

 減損損失

2,018

29,668

29,668

 持分法による投資損益

563

39,673

35,611

75,284

 持分法で会計処理されている投資

4,626

333,760

482,674

816,434

 のれん

2,371,678

2,371,678

 資本的支出

36,876

470,883

2,575

468,308

 

 セグメント損益はAdjusted EBITAで表示しています。Adjusted EBITAは、Adjusted Earnings before interest, taxes and amortizationの略であり、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除し、企業結合により認識した無形資産等の償却費を足し戻した上で、持分法による投資損益を加算した損益です。セグメント間取引は独立企業間価格で行っており、セグメント損益の「全社」には主として先端研究開発費等の各セグメントに配賦していない費用及び持分法による投資損益の一部等が含まれています。

 「全社」の資産の主な内容は有価証券及びその他の金融資産です。

 減価償却費は、有形固定資産及び投資不動産の減価償却費です。

 減損損失は、主に有形固定資産、のれん及びその他の無形資産の減損です。

 資本的支出は、有形固定資産、投資不動産及びその他の無形資産の受入額で表示しています。

 

セグメント損益の合計額から税引前当期利益への調整は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

セグメント損益

884,606

918,184

 企業結合により認識した無形資産等の償却費

83,615

87,084

 その他の収益

302,196

116,653

 その他の費用

245,016

97,184

 金融収益

7,878

17,388

 金融費用

20,417

10,015

受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益

845,632

857,942

 受取利息

25,652

38,781

 支払利息

51,313

70,922

税引前当期利益

819,971

825,801

 

(地域別情報)

 前連結会計年度及び当連結会計年度における、仕向地別の外部顧客向け売上収益は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

日本

4,118,244

3,773,383

アジア

2,635,114

2,151,544

北米

1,877,992

1,582,916

欧州

1,535,948

1,550,878

その他の地域

713,852

669,995

海外売上収益

6,762,906

5,955,333

売上収益

10,881,150

9,728,716

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度において、中国における外部顧客向け売上収益は、それぞれ1,345,223百万円及び1,154,781百万円であり、米国における外部顧客向け売上収益は、それぞれ1,732,535百万円及び1,426,930百万円です。前連結会計年度及び当連結会計年度において、日本、中国及び米国を除き、外部顧客向け売上収益が重要な単一の国及び地域はありません。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在における、所在地別の有形固定資産、投資不動産、のれん及びその他の無形資産の残高は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

日本

1,097,816

723,713

アジア

520,213

296,175

北米

1,896,359

2,069,604

欧州

1,501,367

1,606,086

その他の地域

137,077

91,206

小計

5,152,832

4,786,784

全社及び消去

△5,606

19,050

合計

5,147,226

4,805,834

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、米国における有形固定資産、投資不動産、のれん及びその他の無形資産の残高は、それぞれ1,886,723百万円及び2,058,257百万円であり、スイス連邦における有形固定資産、投資不動産、のれん及びその他の無形資産の残高は、それぞれ1,065,498百万円及び1,223,641百万円です。2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、日本、米国及びスイス連邦を除き、有形固定資産、投資不動産、のれん及びその他の無形資産の残高が重要な単一の国及び地域はありません。

 

(顧客別情報)

 前連結会計年度及び当連結会計年度において、単一顧客として重要な顧客に対する売上収益はありません。

 

注5.事業再編等

 前連結会計年度に生じた主な事業再編等は下記のとおりです。

 

(1)日立建機㈱(以下、日立建機)株式の売却

 当社は、日本産業パートナーズ㈱が管理・運営・情報提供等を行うファンドがその持分の全てを保有する特別目的会社であるHCJホールディングス㈱と、伊藤忠商事㈱がその持分の全てを保有する特別目的会社であるシトラスインベストメント合同会社が共同で出資する特別目的会社であるHCJIホールディングス合同会社との間で、当社の子会社で日立建機セグメントに属する日立建機の普通株式について、当社が保有する株式の一部を譲渡する契約を2022年1月14日に締結し、当該譲渡契約に基づく株式譲渡を2022年8月23日に完了しました。

 その結果、日立建機に対する当社の所有持分の割合は51.4%から25.4%となり、日立建機は当社の持分法適用会社となりました。当社の売却の対価は、182,457百万円です。当社は、日立建機に対する支配の喪失に伴って認識した利益39,211百万円を、前連結会計年度の連結損益計算書上、その他の収益に計上しています。また、前連結会計年度の連結持分変動計算書の非支配持分との取引等には、日立建機が持分法適用会社となったことによる非支配持分の減少が含まれています。

 2022年3月31日における日立建機の資産、負債及び資本は、下記のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

現金及び現金同等物

 

87,583

売上債権及び契約資産

 

237,792

棚卸資産

 

 

368,267

有価証券及びその他の金融資産

62,193

その他の流動資産

 

8,421

 流動資産合計

 

764,256

持分法で会計処理されている投資

26,662

有価証券及びその他の金融資産

63,197

有形固定資産

 

 

442,904

のれん

 

 

55,367

その他の無形資産

58,967

その他の非流動資産

 

29,321

 非流動資産合計

 

676,418

  資産の部合計

 

1,440,674

 

 

 

 

 

短期借入金

 

 

103,320

償還期長期債務

 

81,731

その他の金融負債

 

51,239

買入債務

 

 

144,531

未払費用

 

 

37,965

契約負債

 

 

9,967

その他の流動負債

 

24,893

 流動負債合計

 

453,646

長期負債

 

229,487

退職給付に係る負債

 

17,622

その他の非流動負債

 

50,607

 非流動負債合計

 

297,716

  負債の部合計

 

751,362

 

 

 

親会社株主持分

 

318,069

非支配持分

 

371,243

 資本の部合計

 

689,312

  負債・資本の部合計

 

1,440,674

 

 

(2)Hitachi Energy Ltd(以下、日立エナジー)株式の追加取得

 当社は、2022年9月30日にABB Ltd(以下、ABB社)との間で、当社の子会社でグリーンエナジー&モビリティセグメントに属する日立エナジーについて、当社が保有するコール・オプションの行使により、ABB社が保有する日立エナジーの発行済株式の19.9%を取得する株式譲渡契約を締結しました。

 2022年12月28日、本契約に基づく株式の取得により、日立エナジーに対する所有持分の割合は80.1%から100%となり、日立エナジーは当社の完全子会社となりました。取得の対価は1,679百万米ドル(243,200百万円)です。

 当該追加取得の結果、非支配持分の認識を中止し、取得の対価との差額を資本剰余金として認識しています。

 

(3)日立金属㈱(以下、日立金属)株式の売却

 当社は、Bain Capital Private Equity, LP及びそのグループが投資助言を行う投資ファンドが持分の全てを間接的に所有する合同会社BCJ-51の完全子会社である㈱BCJ-52(以下、公開買付者)との間で、当社の子会社で、日立金属セグメントに属する日立金属の普通株式に対して、以下の4点に関する公開買付不応募契約(以下、本不応募契約とし、一連の取引を本取引とする)を、2021年4月28日に締結しました。

① 公開買付者は、本不応募契約に定める前提条件が充足された場合、日立金属の普通株式に対して公開買付け(以下、本公開買付け)を実施し、当社は、当社が保有する日立金属株式の全て(以下、当社売却予定株式)について本公開買付けに応募しないこと。

② 本公開買付けが成立し、公開買付者が本公開買付けにおいて日立金属株式の全て(ただし、日立金属が所有する自己株式及び当社売却予定株式を除く)を取得できなかった場合に、公開買付者及び当社は、日立金属に対して株式併合(以下、本株式併合)の実施に必要な事項を議案とする株主総会の開催を要請し、当該議案に賛成の議決権を行使すること。

③ 本株式併合の結果として公開買付者及び当社が日立金属株式の全て(ただし、日立金属が所有する自己株式を除く)を所有することになった後、実務上可能な限り速やかに、日立金属が、自己株式取得(以下、本自己株式取得)を行うために必要な分配可能額を確保するため、日立金属が減資等(以下、本減資等)を実施すること。

④ 本減資等の効力発生後速やかに、当社は、本自己株式取得により、当社売却予定株式を日立金属に譲渡すること。

 公開買付者は2022年9月27日に本公開買付けを開始し、本公開買付けは2022年10月25日に成立しました。本公開買付けが成立したことにより、上記株式併合等の関連する取引が実施され、2023年1月5日に売却が完了しました。当社の売却の対価は、382,042百万円です。

 本取引の結果、日立金属に対する当社の所有持分の割合は、53.4%から0%となり、日立金属は当社の連結範囲から除外されました。当社は、日立金属に対する支配の喪失に伴って認識した利益95,324百万円を、前連結会計年度の連結損益計算書上、その他の収益に計上しています。また、前連結会計年度の連結持分変動計算書の非支配持分との取引等には、日立金属が連結範囲から除外されたことによる非支配持分の減少が含まれています。

 

 日立金属は2023年1月4日付で㈱プロテリアルに商号変更しています。

 

 2022年3月31日における日立金属の資産、負債及び資本は、下記のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

現金及び現金同等物

 

100,936

売上債権及び契約資産

 

187,264

棚卸資産

 

 

227,615

有価証券及びその他の金融資産

44,821

その他の流動資産

 

9,028

 流動資産合計

 

569,664

持分法で会計処理されている投資

11,612

有価証券及びその他の金融資産

9,885

有形固定資産

 

 

334,603

のれん

 

 

95,276

その他の無形資産

23,610

その他の非流動資産

 

27,375

 非流動資産合計

 

502,361

  資産の部合計

 

1,072,025

 

 

 

 

 

短期借入金

 

 

100,316

償還期長期債務

 

21,907

その他の金融負債

 

26,121

買入債務

 

 

200,659

未払費用

 

 

41,161

契約負債

 

 

787

その他の流動負債

 

3,849

 流動負債合計

 

394,800

長期負債

 

74,686

退職給付に係る負債

 

63,775

その他の非流動負債

 

3,045

 非流動負債合計

 

141,506

  負債の部合計

 

536,306

 

 

 

親会社株主持分

 

284,484

非支配持分

 

251,235

 資本の部合計

 

535,719

  負債・資本の部合計

 

1,072,025

 

(4)㈱日立物流(以下、日立物流)株式の売却

 当社は、Kohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.が間接的に保有・運営するHTSK Investment L.P.が発行済株式の全てを所有しているHTSKホールディングス㈱(以下、公開買付者親会社)の完全子会社であるHTSK㈱(以下、公開買付者)との間で、当社の持分法適用会社で、セグメント情報に含まれる「全社」に属する日立物流の普通株式(以下、日立物流株式)に対して、以下の3点等に関する基本契約(以下、基本契約に定めた一連の取引を本取引とする)を、2022年4月28日に締結しました。

① 公開買付者により、日立物流株式に対して実施される公開買付け(以下、本公開買付け)の際に、当社は、当社が保有する日立物流株式の全て(以下、当社売却予定株式)について本公開買付けに応募しないこと。

② 日立物流が実施する自己株式取得に応じて当社売却予定株式を売却すること。

③ 当社は総額100億円の公開買付者親会社の議決権付き株式を取得(議決権比率10%)すること。

 公開買付者は2022年10月28日に本公開買付けを開始し、本公開買付けは2022年11月29日に成立しました。2023年3月1日に当社は日立物流が実施する自己株式取得に応じて日立物流株式を売却しました。当社の売却の対価は、221,983百万円です。

 本取引の結果、日立物流は当社の持分法適用会社ではなくなりました。当社は、日立物流株式の売却に伴って認識した利益140,293百万円を、前連結会計年度の連結損益計算書上、その他の収益に計上しています。

 

 なお、日立物流は2023年4月1日付でロジスティード㈱に商号変更しています。

 

 当連結会計年度及び連結財務諸表の承認日までに生じた主な事業再編等は下記のとおりです。

 

(1)日立Astemo㈱(以下、日立Astemo)株式の売却

当社は、当社の子会社でオートモティブシステムセグメントに属する日立Astemoの普通株式の一部を日立Astemo及び本田技研工業㈱(以下、本田技研工業)に譲渡し、JICキャピタル㈱(以下、JICC)を新たな共同パートナーとするために以下2つの契約書(契約書に基づき実施される一連の取引を以下、本取引とする)を2023年3月30日に締結しました。

① JICCの100%子会社であるJICC-01合同会社が運用するJICC-01投資事業有限責任組合(以下、JICC-01)との間の、日立AstemoがJICC-01に対して新たに種類株式(以下、本種類株式)を発行すること、及び日立Astemoが本種類株式発行を通じて調達した資金の一部を利用して、当社の保有する日立Astemoの普通株式の一部を対象とする自己株式取得を行うこと、などに関する株式引受契約書

② 本田技研工業との間の、本田技研工業が日立Astemoに対して日立Astemo電動機システムズ㈱の株式の現物出資を行い、新たに発行される日立Astemoの普通株式を引き受けること、及び当社が、当社の保有する日立Astemoの普通株式の一部を、本田技研工業に譲渡すること、などに関する現物出資及び株式譲渡に関する契約書

本取引は2023年10月16日に完了しました。当社の売却の対価は、157,807百万円です。

本取引の結果、日立Astemoに対する当社の所有持分の割合は66.6%から40%となり、日立Astemoは当社の持分法適用会社となりました。

当社は、日立Astemoに対する支配の喪失に伴って認識した利益121,642百万円を、当連結会計年度の連結損益計算書上、その他の収益に計上しています。上記の121,642百万円には、同社株式に対する残存持分を公正価値で再評価したことによる利益77,792百万円が含まれています。また、当連結会計年度の連結持分変動計算書の非支配持分との取引等には、日立Astemoが持分法適用会社となったことによる非支配持分の減少が含まれています。

 

前連結会計年度末日における日立Astemoの資産、負債及び資本は、下記のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

現金及び現金同等物

 

138,491

売上債権及び契約資産

 

341,914

棚卸資産

 

 

284,449

有価証券及びその他の金融資産

39,757

その他の流動資産

 

23,301

 流動資産合計

 

827,912

持分法で会計処理されている投資

11,406

有価証券及びその他の金融資産

12,196

有形固定資産

 

 

555,360

のれん

 

 

86,480

その他の無形資産

125,397

その他の非流動資産

 

68,325

 非流動資産合計

 

859,164

  資産の部合計

 

1,687,076

 

 

 

 

 

短期借入金

 

 

186,002

償還期長期債務

 

28,547

その他の金融負債

 

38,796

買入債務

 

 

267,933

未払費用

 

 

111,110

契約負債

 

 

676

その他の流動負債

 

30,900

 流動負債合計

 

663,964

長期負債

 

279,680

退職給付に係る負債

 

31,045

その他の非流動負債

 

14,249

 非流動負債合計

 

324,974

  負債の部合計

 

988,938

 

 

 

親会社株主持分

 

437,640

非支配持分

 

260,498

 資本の部合計

 

698,138

  負債・資本の部合計

 

1,687,076

 

上記のうち、内部取引により計上されている金額は以下のとおりです。

 

 

2023年3月31日

短期借入金

未払費用

長期負債

181,165

12,154

43,178

 

 

(2)鉄道信号関連事業の買収

当社の子会社で、グリーンエナジー&モビリティセグメントに属するHitachi Rail Ltd.(以下、日立レール社)は、鉄道信号システム事業をグローバルに拡大することを目的として、2021年8月3日、フランスのThales S.A.(以下、Thales社)との間で、Thales社の鉄道信号関連事業の買収に関する契約を締結しました。本契約に基づき、Thales社からカーブアウトされたCENTELEC UK LIMITED(以下、CENTELEC社)に100%の出資を行い、2024年5月31日に取得を完了しました。その結果、CENTELEC社は当社の子会社となりました。

CENTELEC社の取得の対価は2,009百万ユーロ(304,990百万円)です。取得関連費用は、前連結会計年度において2,544百万円、当連結会計年度において2,876百万円を、連結損益計算書上のその他の費用に計上しており、また翌連結会計年度において約3,000百万円を計上する予定です。当該取得に加え、日立レール社はThales社のCENTELEC社に対する貸付金143百万ユーロ(24,210百万円)を引継ぎ、同額をThales社に支払っています。

なお、取得日から連結財務諸表の承認日までには時間的制約があったことから、CENTELEC社の取得に関する当初の会計処理は完了していません。このため、取得した資産及び引き継いだ負債の取得日において認識した価額、並びにのれんの残高に関する情報は開示していません。また、取得の対価は価格調整により変動する可能性があります。

 

注6.売上債権及び契約資産

 売上債権及び契約資産の内訳は下記のとおりであり、貸倒引当金控除後の金額で表示しています。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

売掛金

1,972,168

1,975,770

契約資産

804,500

930,743

その他

98,319

84,803

合計

2,874,987

2,991,316

 

 その他には電子記録債権及び受取手形が含まれます。

 

注7.棚卸資産

 棚卸資産の内訳は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

製品

469,770

439,220

半製品・仕掛品

592,860

597,357

材料

583,558

474,070

合計

1,646,188

1,510,647

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度において費用として認識され、売上原価に含まれている棚卸資産の金額はそれぞれ6,560,038百万円及び5,053,376百万円です。また、棚卸資産の評価減金額はそれぞれ60,278百万円及び31,954百万円です。

 

注8.持分法で会計処理されている投資

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在の連結財務諸表に含まれる、投資の帳簿価額並びに前連結会計年度及び当連結会計年度の連結財務諸表に含まれる、持分法適用会社の包括利益に対する当社及び一部の子会社の持分はそれぞれ下記のとおりです。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

関連会社

共同支配企業

2023年3月31日

2024年3月31日

2023年3月31日

2024年3月31日

投資の帳簿価額

396,626

727,644

81,994

88,790

 

 なお、2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、一部の共同支配企業の損失に対する持分については、その累計額が当該投資を超過しているため、その他の非流動負債にそれぞれ1,126百万円及び1,128百万円計上しています。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

関連会社

共同支配企業

2023年3月31日

2024年3月31日

2023年3月31日

2024年3月31日

当期利益

40,911

58,251

11,936

17,033

その他の包括利益

△5,857

22,195

21,963

1,267

包括利益合計

35,054

80,446

33,899

18,300

 

注9.有形固定資産

 有形固定資産の帳簿価額の増減内容は下記のとおりです。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

土地

建物及び

構築物

機械装置

及び

運搬具

工具、器具

及び備品

使用権資産

その他の

有形

固定資産

建設仮勘定

合計

帳簿価額

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年3月31日

256,392

723,067

679,334

183,821

312,420

148,474

175,393

2,478,901

取得

376

7,000

29,963

19,573

98,585

3,270

190,979

349,746

科目間振替

178

42,212

116,644

37,064

△4,163

7,319

△199,254

売却又は処分

△4,536

△9,584

△4,366

△2,641

△7,020

△11,355

△3,305

△42,807

減価償却費

△50,060

△135,592

△66,387

△91,971

△12,794

△356,804

減損損失

△788

△7,643

△9,618

△1,339

△371

△50

△1,846

△21,655

連結範囲の異動

△113,663

△202,652

△209,118

△25,091

△73,035

△142,155

△33,616

△799,330

為替換算影響額

2,868

15,559

25,234

3,838

6,992

△428

4,028

58,091

その他

466

4,891

914

9,230

1,495

20,051

△2,718

34,329

2023年3月31日

141,293

522,790

493,395

158,068

242,932

12,332

129,661

1,700,471

取得

933

5,748

18,736

14,722

85,375

2,443

187,721

315,678

科目間振替

3,801

49,233

73,175

31,069

△230

586

△157,634

売却又は処分

△4,531

△3,272

△6,084

△2,339

△4,200

△81

△2,157

△22,664

減価償却費

△39,433

△92,092

△56,206

△86,476

△4,181

△278,388

減損損失

△103

△2,055

△2,384

△812

△209

△16

△620

△6,199

連結範囲の異動

△53,398

△128,697

△278,826

△26,522

△26,077

△6

△65,613

△579,139

為替換算影響額

4,573

20,034

37,457

8,645

15,295

△2,135

9,941

93,810

その他

△4,119

△599

△905

6,288

△1,514

4,226

△5,104

△1,727

2024年3月31日

88,449

423,749

242,472

132,913

224,896

13,168

96,195

1,221,842

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度において認識された減価償却費の金額は、連結損益計算書の売上原価及び販売費及び一般管理費に含まれています。また、減損損失の金額は、連結損益計算書のその他の費用に含まれています。

 

 有形固定資産の取得原価並びに減価償却累計額及び減損損失累計額は下記のとおりです。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

土地

建物及び

構築物

機械装置

及び

運搬具

工具、器具

及び備品

使用権資産

その他の

有形

固定資産

建設仮勘定

合計

取得原価

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年3月31日

329,445

1,852,873

3,024,650

1,001,685

657,010

246,691

353,891

7,466,245

2023年3月31日

210,288

1,302,106

2,186,968

865,630

526,665

26,543

313,586

5,431,786

2024年3月31日

92,229

999,856

1,092,588

657,139

519,870

29,237

305,575

3,696,494

減価償却累計額及び

減損損失累計額

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年3月31日

△73,053

△1,129,806

△2,345,316

△817,864

△344,590

△98,217

△178,498

△4,987,344

2023年3月31日

68,995

779,316

1,693,573

707,562

283,733

14,211

183,925

3,731,315

2024年3月31日

3,780

576,107

850,116

524,226

294,974

16,069

209,380

2,474,652

 

 前連結会計年度中に計上した減損損失の主な内容は下記のとおりです。

 グリーンエナジー&モビリティセグメントにおいて、11,292百万円の損失を計上しています。主な内容は、鉄道事業の英国子会社における車両製造工場の収益性低下に伴い計上した、建物及び構築物5,834百万円、機械装置4,548百万円、土地190百万円の減損損失です。

 

 当連結会計年度中に計上した減損損失の主な内容は下記のとおりです。

 コネクティブインダストリーズセグメントにおいて、2,641百万円の損失を計上しています。主な内容は、ヘルスケア事業における収益性低下による機械装置等の事業用資産にかかる減損損失です。

 

注10.のれん及びその他の無形資産

 のれん及びその他の無形資産の帳簿価額の増減は下記のとおりです。

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

その他の無形資産

 

のれん

自社利用

ソフト

ウェア

市場販売

ソフト

ウェア

顧客関係

技術

その他

帳簿価額

 

 

 

 

 

 

 

2022年3月31日

2,153,706

154,808

49,558

711,653

117,172

223,937

1,257,128

内部開発

24,833

10,515

88,573

123,921

外部購入

4,167

86

30,112

34,365

科目間振替

56,620

15,141

△71,761

償却費

△51,787

△21,052

△45,687

△15,703

△33,669

△167,898

減損損失

△84,126

△10,886

△6,164

△6,694

△23,744

処分

△1,696

△30

△1,865

△3,591

連結範囲の異動

△87,966

△20,229

△322

△15,534

△6,426

△14,927

△57,438

為替換算影響額

183,736

2,522

1,707

53,253

10,105

12,139

79,726

その他

492

11

1,716

2,219

2023年3月31日

2,165,350

158,844

49,450

703,685

105,148

227,561

1,244,688

内部開発

20,908

12,658

88,405

121,971

外部購入

3,378

252

26,650

30,280

科目間振替

34,952

18,586

△53,538

償却費

△49,283

△20,426

△45,185

△15,992

△40,348

△171,234

減損損失

△8,072

△5,638

△7,233

△20,943

処分

△1,338

△442

△1,995

△3,775

連結範囲の異動

△64,493

△41,423

△25

△61,800

1,742

△45,867

△147,373

為替換算影響額

275,040

5,808

5,624

79,085

12,852

22,861

126,230

その他

△4,219

1,442

△1,527

△1,009

△1,094

2024年3月31日

2,371,678

125,216

58,512

675,785

103,750

215,487

1,178,750

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度において認識された償却費の金額は、連結損益計算書の売上原価及び販売費及び一般管理費に含まれています。また、減損損失の金額は、連結損益計算書のその他の費用に含まれています。

 

 のれん及びその他の無形資産の取得原価並びに償却累計額及び減損損失累計額は下記のとおりです。

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

その他の無形資産

 

のれん

自社利用

ソフト

ウェア

市場販売

ソフト

ウェア

顧客関係

技術

その他

取得原価

 

 

 

 

 

 

 

2022年3月31日

2,210,512

696,925

602,142

801,610

149,743

636,471

2,886,891

2023年3月31日

2,229,739

699,414

621,620

815,503

145,470

524,418

2,806,425

2024年3月31日

2,420,134

668,350

652,857

825,438

153,967

531,825

2,832,437

償却累計額及び

減損損失累計額

 

 

 

 

 

 

 

2022年3月31日

△56,806

△542,117

△552,584

△89,957

△32,571

△412,534

△1,629,763

2023年3月31日

64,389

540,570

572,170

111,818

40,322

296,857

1,561,737

2024年3月31日

48,456

543,134

594,345

149,653

50,217

316,338

1,653,687

 

 当社は、全額を減損損失として認識したのれんについては、取得原価と減損損失累計額の両方から除いています。

 

 前連結会計年度中に計上した減損損失の主な内容は下記のとおりです。

 デジタルシステム&サービスセグメントにおいて、52,036百万円の損失を計上しています。主な内容は、ERPオンプレミス型事業を非注力分野に位置付けたことに伴う当該事業ののれん31,917百万円全額の減損損失の計上、及び市場動向の変化等に伴う将来収益見込みの減少による自社利用ソフトウェア9,599百万円、市場販売ソフトウェア6,164百万円の減損損失の計上です。

 グリーンエナジー&モビリティセグメントにおいて、38,411百万円の損失を計上しています。主な内容は、パワーグリッド事業において前第2四半期連結会計期間に計上したのれんに係る減損損失38,394百万円です。これは急激な金利上昇等による割引率の上昇に伴い計上したもので、回収可能価額は使用価値に基づき、減損損失を認識した2022年9月30日時点で10,600百万米ドル(1,534,986百万円)と評価しています。当該使用価値を算出するにあたっては、5年間の事業計画を基礎とし、6年目以降については成長率2.8%を加味した将来キャッシュ・フローの見積額を、加重平均資本コストをもとに算定した割引率13.2%(税引前)で現在価値に割引いています。事業計画における主要な仮定は、売上収益成長率及び売上総利益率であり、外部情報及び過去の経験を反映したものです。事業計画後の成長率は外部調査機関の公表した長期インフレ率及び割引率に織り込まれた減損テスト時点の金利の影響を考慮して設定しています。

 

 当連結会計年度中に計上した減損損失の主な内容は下記のとおりです。

 デジタルシステム&サービスセグメントにおいて、18,449百万円の損失を計上しています。主な内容は、市場動向の変化等に伴う将来収益見込みの減少による自社利用ソフトウェア、市場販売ソフトウェアの減損損失の計上です。

 

 研究開発活動による支出のうち、新規の科学的又は技術的な知識、及び理解を得る目的で実施される研究活動に対する支出は全て発生時に費用処理しています。また、商業生産又は使用の開始以前における、生産計画や設計等の新規又は大幅な改良を目的で実施される開発活動による支出については、関連する無形資産に起因する支出が信頼性をもって測定ができる場合において、当社が無形資産の開発を完成させることが実現可能であり、かつ、将来的な経済的便益を得られる可能性が高い場合にのみ自己創設無形資産として資産計上を行い、それ以外の支出は発生時に費用処理をしています。

 

 その他の無形資産のうち、自己創設に該当するその他の無形資産の償却累計額及び減損損失累計額控除後の帳簿価額は、2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、それぞれ286,839百万円及び262,555百万円であり、主に自社利用ソフトウェア及び市場販売ソフトウェアに計上しています。

 

 また、当社の前連結会計年度及び当連結会計年度における期中に費用として認識された研究開発活動による支出は316,280百万円及び290,145百万円であり、連結損益計算書の売上原価及び販売費及び一般管理費に含まれています。

 

 企業結合により取得したのれんは、資金生成単位又は資金生成単位グループごとに帳簿価額と回収可能価額を比較し、減損テストを実施しています。

 

 前連結会計年度において、重要なのれんが配分されている資金生成単位グループは下記のとおりです。

 2023年3月31日現在において、グリーンエナジー&モビリティセグメントに属するパワーグリッド事業に配分されたのれんの帳簿価額は524,951百万円です。前第2四半期連結会計期間において、当該のれんに係る減損損失を計上しています。前第2四半期連結会計期間における減損テストの詳細は、上記の前連結会計年度中に計上した減損損失の主な内容に記載しています。前第2四半期連結会計期間の減損テストに加え、パワーグリッド事業では前第4四半期連結会計期間において年次減損テストを実施しました。前連結会計年度のパワーグリッド事業におけるのれんの年次減損テストに用いた回収可能価額は、使用価値で算定しています。使用価値を算定するにあたっては、5年間の事業計画を基礎とし、6年目以降については成長率2.9%を加味した将来キャッシュ・フローの見積額を、加重平均資本コストをもとに算定した割引率13.2%(税引前)で現在価値に割り引いています。事業計画における主要な仮定は、売上収益成長率及び売上総利益率であり、外部情報及び過去の経験を反映したものです。また、事業計画後の成長率は外部調査機関の公表した長期インフレ率及び割引率に織り込まれた減損テスト時点の金利の影響を考慮して設定しています。年次減損テストの結果、追加の減損損失は計上されませんでした。

 

 2023年3月31日現在において、デジタルシステム&サービスセグメントに属するサービス&プラットフォームBUに配分されたのれんの帳簿価額は1,238,239百万円です。前連結会計年度のサービス&プラットフォームBUにおけるのれんの減損テストに用いた回収可能価額は、使用価値で算定しています。使用価値を算定するにあたっては、8年間の事業計画を基礎とし、9年目以降については成長率2.9%を加味した将来キャッシュ・フローの見積額を、加重平均資本コストをもとに算定した割引率11.1%(税引前)で現在価値に割り引いています。事業計画における主要な仮定は、売上収益成長率及びEBITDA率であり、外部情報及び過去の経験を反映したものです。サービス&プラットフォームBUの主要な事業特有の中長期的な成長率を反映させることが適切と判断し、事業計画の対象期間を8年間として策定しています。

 

 当連結会計年度において、重要なのれんが配分されている資金生成単位グループは下記のとおりです。

 2024年3月31日現在において、グリーンエナジー&モビリティセグメントに属するパワーグリッド事業に配分されたのれんの帳簿価額は623,034百万円です。当連結会計年度のパワーグリッド事業におけるのれんの減損テストに用いた回収可能価額は、使用価値で算定しています。使用価値を算定するにあたっては、5年間の事業計画を基礎とし、6年目以降については成長率3.0%を加味した将来キャッシュ・フローの見積額を、加重平均資本コストをもとに算定した割引率13.1%(税引前)で現在価値に割り引いています。事業計画における主要な仮定は、売上収益成長率及び売上総利益率であり、外部情報及び過去の経験を反映したものです。また、事業計画後の成長率は外部調査機関の公表した長期インフレ率等を考慮して設定しています。

 

 2024年3月31日現在において、デジタルシステム&サービスセグメントに属するサービス&プラットフォーム事業に配分されたのれんの帳簿価額は1,397,890百万円です。当連結会計年度のサービス&プラットフォーム事業におけるのれんの減損テストに用いた回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値で算定しています。処分費用控除後の公正価値は、マーケット・アプローチを使用し、サービス&プラットフォーム事業と比較可能な類似会社のEV/EBITDAの評価倍率に基づいて算定しています。当該公正価値測定のヒエラルキーは、観察可能でない指標を用いて測定するレベル3に分類されます。

 

 なお、各資金生成単位又は資金生成単位グループに配分されたのれんについて、減損テストに用いた主要な仮定が合理的な範囲で変動があった場合にも、帳簿価額が回収可能価額を上回る可能性は低いと判断しています。

 

注11.リース

(1)借手側

当社及び一部の子会社は、リースとして、建物、機械装置及び車両等を中心とした設備を使用しています。

 

2023年3月31日及び2024年3月31日現在における使用権資産の原資産の種類別の帳簿価額は、下記のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

原資産の種類

合計

建物及び

構築物

機械装置及び

運搬具

工具、器具

及び備品

土地

その他

2023年3月31日

179,878

22,200

16,813

22,468

2,001

243,360

2024年3月31日

168,457

27,798

17,186

11,192

604

225,237

 

前連結会計年度及び当連結会計年度におけるリースに関連する費用及びキャッシュ・アウトフローは、下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

使用権資産の減価償却費

 

 

建物及び構築物

74,229

68,823

機械装置及び運搬具

9,449

9,895

工具、器具及び備品

6,928

6,950

土地

1,328

787

その他

284

306

 合計

92,218

86,761

リース負債に係る支払利息

5,151

5,483

短期リースに係る費用等

26,192

21,059

リースに関連する費用合計

123,561

113,303

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

リースに係るキャッシュ・アウトフロー合計

128,590

118,607

 

前連結会計年度及び当連結会計年度における使用権資産の増加額は、注9.有形固定資産に記載しています。

また、2023年3月31日及び2024年3月31日現在におけるリース負債の満期分析は、注25.金融商品及び関連する開示に記載しています。

 

(2)貸手側

当社及び一部の子会社は、ファイナンス・リース及びオペレーティング・リースとして、建物、機械装置等を中心とした設備を賃貸しています。

 

前連結会計年度及び当連結会計年度におけるリースに係る収益は、下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

ファイナンス・リースに係るリース収益

718

399

オペレーティング・リースに係るリース収益

32,460

251

リースに係る収益合計

33,178

650

 

なお、ファイナンス・リースに係るリース収益の主な内訳は、正味リース投資未回収額に係る金融収益です。

 

① ファイナンス・リース

2023年3月31日及び2024年3月31日現在のファイナンス・リースに係るリース料債権の満期分析は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

割引前受取リース料

 

 

1年以内

10,055

13,755

1年超5年以内

10,090

11,529

5年超

6,225

4,909

 合計

26,370

30,193

リース料債権に係る未稼得金融収益

△3,087

△2,338

正味リース投資未回収額

23,283

27,855

 

② オペレーティング・リース

2023年3月31日及び2024年3月31日現在のオペレーティング・リースに係る割引前受取リース料の満期分析は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

1年以内

198

175

1年超5年以内

24

67

5年超

合計

222

242

 

注12.繰延税金及び法人所得税

 法人所得税費用及びその他の包括利益純額に係る繰延税金の内訳は、下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

法人所得税費用

 

 

当期分

280,420

254,207

繰延税金

 

 

一時差異等の発生と解消

△76,126

△46,690

未認識の繰延税金資産の増減

△88,193

△8,464

合計

116,101

199,053

その他の包括利益に係る繰延税金

 

 

その他の包括利益を通じて測定する金融資産の

公正価値の純変動額

13,528

19,609

確定給付制度の再測定

△23,224

910

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値の純変動額

3,899

5,973

在外営業活動体の換算差額

△2,782

△2,587

合計

△8,579

23,905

 

 当社及び国内の子会社は、課税所得に対して、主に法人税、住民税及び事業税が課されており、前連結会計年度及び当連結会計年度における法定実効税率はおよそ30.5%です。

 

 当社及び一部の国内子会社は、前連結会計年度からグループ通算制度を適用しています。また、一部の海外子会社は連結納税制度を適用しています。

 

 前連結会計年度において、グループ通算制度を適用している当社および国内の一部の子会社において、将来の課税所得の計上に関する長期的な見通しが改善したことを踏まえ、繰延税金資産の実現可能性を見直した結果、将来減算一時差異のうち過去に認識されていなかった部分の一部に対して繰延税金資産を認識しました。

 

 当社が事業活動を営む一定の国・地域において、経済協力開発機構が公表した第2の柱モデルルールを導入するための税法が制定又は実質的に制定されています。当社の当連結会計年度の売上収益は9,728,716百万円であり、翌連結会計年度の売上収益が7億5,000万ユーロの閾値を超えることが予想されるため、第2の柱モデルルールの閾値に抵触します。そのため、当社は経済協力開発機構が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税(以下、第2の柱の法人所得税)に対する潜在的なエクスポージャーの評価を実施しました。

 第2の柱モデルルールによる潜在的なエクスポージャーの評価は、子会社の直近の税務申告の内容、国別報告書に基づいており、特殊な要因及び企業結合の影響についても考慮しています。

 この評価に基づくと、当社が事業活動を営む一部の国・地域において第2の柱の法人所得税が発生する可能性がありますが、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響はないものと考えています。

 

 

 税率差異の調整は、下記のとおりです。

 

 

2023年3月31日

2024年3月31日

法定実効税率

30.5%

30.5%

持分法による投資損益

△2.0

△2.8

子会社投資及び持分法で会計処理されている投資の

税務上の簿価に対する超過額

0.9

0.6

子会社投資及び持分法で会計処理されている投資の

売却に係る損益

△9.4

△4.7

損金不算入の費用

1.2

1.1

のれんの減損

3.1

未認識の繰延税金資産の増減

△9.1

△1.0

国内会社の法定実効税率と海外会社の税率差

△3.1

△3.2

その他(純額)

2.1

3.6

税金充当率

14.2%

24.1%

 

 繰延税金資産及び負債の増減内容は以下のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

期首残高(繰延税金資産-純額)

△44,897

116,387

純損益として認識

164,319

55,154

その他の包括利益として認識

8,579

△23,905

連結範囲の異動他

△11,614

25,574

期末残高(繰延税金資産-純額)

116,387

173,210

 

 繰延税金資産及び負債の主な内訳は以下のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

連結財政状態計算書

連結損益計算書

2023年

3月31日

2024年

3月31日

2023年

3月31日

2024年

3月31日

繰延税金資産

 

 

 

 

退職給付に係る負債

65,082

49,403

45,642

△5,421

未払費用

180,488

187,635

43,833

9,873

有形固定資産に係る減価償却

12,253

10,029

2,290

1,526

繰越欠損金

62,981

41,712

△4,478

7,162

棚卸資産及び固定資産未実現利益

23,955

29,137

3,221

5,844

繰延収益

22,917

27,915

4,379

2,254

その他

127,464

163,040

20,669

25,695

繰延税金資産総額

495,140

508,871

115,556

46,933

繰延税金負債

 

 

 

 

圧縮記帳

△1,489

△853

90

81

有価証券

△102,897

△79,932

33,423

△2,285

無形資産

△196,534

△193,214

19,114

13,564

その他

△77,833

△61,662

△3,864

△3,139

繰延税金負債総額

△378,753

△335,661

48,763

8,221

繰延税金資産純額

116,387

173,210

164,319

55,154

 

 当社は、当連結会計年度の期首よりIAS第12号「法人所得税」の改訂(単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金)を適用しています。当社はIAS第12号を遡及的に適用し、前連結会計年度の金額を修正再表示しています。

 繰延税金資産及び負債の主な内訳に関する注記を除き、当社の連結財務諸表への重要な影響はありません。

 

 繰延税金資産純額は、連結財政状態計算書の下記区分に含めて表示しています。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

 その他の非流動資産

271,567

285,337

 その他の非流動負債

△155,180

△112,127

 合計

116,387

173,210

 

 当社は、予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高いため、再投資されると考えられる子会社又は持分法適用会社に対する投資の税務上の簿価を超過する部分については、繰延税金負債を計上していません。

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在の繰延税金負債として認識されていない子会社の未分配利益に関連する一時差異の総額は、それぞれ849,240百万円及び1,055,601百万円です。

 

 繰延税金資産の実現可能性を評価するにあたり、当社は、同資産の一部又は全部が実現しない蓋然性の検討を行っています。同資産が最終的に実現するか否かは、これらの一時差異等が、将来、それぞれの納税地域における納税額の計算上、課税所得の減額あるいは税額控除が可能となる会計期間において、課税所得を計上しうるか否かによります。実現可能性は確定的ではないですが、実現可能性の評価において、当社は、繰延税金負債の振り戻しの予定及び予想される将来の課税所得を考慮しています。これらの諸要素に基づき当社は、2024年3月31日現在の認識可能と判断された繰延税金資産が実現する蓋然性は高いと判断しています。

 

 繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び繰越欠損金は以下のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

将来減算一時差異

1,012,587

761,522

繰越欠損金

623,273

423,982

合計

1,635,860

1,185,504

 

 繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の繰越期限は以下のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

5年以内

119,265

52,754

5年超10年以内

201,007

31,464

10年超及び繰越期限なし

303,001

339,764

合計

623,273

423,982

 

注13.買入債務

 買入債務の内訳は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

買掛金

1,463,971

1,343,234

その他

84,526

56,465

合計

1,548,497

1,399,699

 

 その他には電子記録債務及び支払手形が含まれます。

 

注14.引当金

 当連結会計年度の引当金の内訳及び増減は、下記のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

資産除去債務

事業構造改革

関連引当金

製品保証引当金

工事損失引当金

その他の引当金

2023年3月31日残高

30,043

7,922

71,340

94,952

130,456

期中増加額

1,030

19,443

26,833

58,042

57,075

目的取崩による減少

△2,171

△18,630

△17,320

△58,928

△55,864

連結範囲の異動

△900

△808

△9,438

△4,312

為替換算影響額他

△211

567

6,231

3,855

7,626

2024年3月31日残高

27,791

8,494

77,646

97,921

134,981

流動負債

631

8,241

69,854

96,607

121,692

非流動負債

27,160

253

7,792

1,314

13,289

 

資産除去債務

 当社及び子会社が使用する工場設備や敷地等の賃貸借契約に付随する原状回復義務等、通常の使用に供する固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務を有する場合には、主に過去の実績等に基づき算出した将来支出の見積額に基づき資産除去債務を認識しています。

 

事業構造改革関連引当金

 当社及び子会社における事業の全部又は一部に関する事業構造改革に関する詳細な公式計画を有し、かつ、計画の実施や公表を通じて影響を受ける関係者に当該事業構造改革が確実に実施されることについて妥当な期待を生じさせた時点で、事業構造改革に関連して発生する直接支出の見積額に基づき引当金を認識しています。

 事業構造改革関連引当金には、主に事業構造改革に伴う特別退職金を計上しています。

 

製品保証引当金

 当社及び子会社は、一部の製品及びサービスに対する保証を行っているため、主に過去の保証実績に基づき算定した将来支出の見積額に基づき引当金を認識しています。

 

工事損失引当金

 当社及び子会社は、請負工事等の長期請負契約等の履行に伴い、将来において発生する損失の見積額に基づき引当金を認識しています。

 

注15.従業員給付

(1)退職後給付

 当社及び一部の子会社は、従業員の退職給付に備え、確定給付型の年金制度及び退職一時金制度、並びに確定拠出型の年金制度を設けており、ほぼ全ての従業員が対象となっています。

 

 確定給付型年金制度の主なものは、確定給付企業年金法に基づく企業年金制度であり、その一部についてキャッシュバランスプラン制度を採用しています。キャッシュバランスプランにおける給付は、加入者毎に仮想個人口座を設け、給付水準等に基づく拠出クレジット及び市場金利動向に基づく利息クレジットにより算定されます。

 確定給付企業年金法に基づき、当社には企業年金制度を運営する日立企業年金基金(以下、「基金」)への掛金の拠出等の義務が課されています。基金の理事には、法令、法令に基づく厚生労働大臣又は地方厚生局長による処分、基金の規約及び代議員会の決議を遵守し、基金のために忠実にその職務を遂行する義務が課されています。また、理事に対しては、自己又は第三者の利益を図る目的をもって、給付に充てるべき積立金(以下、「積立金」)の管理及び運用の適正を害する行為をしてはならないこと、積立金の管理及び運用に関する基金の業務について、その任務を怠った場合には、基金に対して連帯責任を負うことが規定されています。

 基金は、当社より法的に独立した機関であり、基金の代議員会は、雇用主側において選定された代表者(選定代議員)及び従業員側において選出された代表者(互選代議員)の同一人数にて構成され、代議員会の議事は出席した代議員の過半数で決定していますが、可否同数の場合は、特段重要な事項の議事を除き、議長が決定します。

 積立金の運用については、代議員会の決議を経た運用管理規定により定められている契約内容に基づき、運用受託機関が行います。基金は運用に関する基本方針を作成するとともに、基本方針に整合した運用指針を作成し運用受託機関に交付すること等により、積立金の運用を安全かつ効率的に行う義務を果たしています。

 当社は、将来にわたり基金が定める積立金の掛金の拠出義務を負っています。掛金の額は法令が認める範囲で定期的に見直されます。

 

 リスク分担型企業年金制度は、標準掛金相当額の他に、リスク対応掛金相当額があらかじめ規約に定められており、毎連結会計年度におけるリスク分担型企業年金の財政状況に応じて給付額が増減し、年金財政上の均衡が図られます。

 なお、当社及び当社の子会社が導入したリスク分担型企業年金は労使でリスクを分担する仕組みであり、雇用主は当該制度への移行時点で労使合意によりあらかじめ定められたリスクへの対応分(リスク対応掛金)を含む固定の掛金を拠出することにより一定のリスクを負い、加入者も財政バランスが崩れた場合には給付調整が行われることで一定のリスクを負っています。確定給付型年金制度は、積立不足が生じた時に雇用主に追加の掛金負担が生じますが、リスク分担型企業年金は、あらかじめ将来発生するリスクを測定し労使合意によりその範囲内でリスク対応掛金を拠出し平準的な拠出とするものです。移行時に算定された財政悪化リスク相当額の水準を踏まえ定めたリスク対応掛金相当額を制度改訂日以降5年定額で拠出し、これら拠出の完了後、追加的な掛金は発生しません。

 退職後給付に係る会計処理において、リスク分担型企業年金のうち、企業の拠出義務が規約に定められた掛金の拠出に限定され、企業が当該掛金相当額の他に、追加掛金の拠出義務を実質的に負っていないものは確定拠出制度に分類されます。当社及び当社の子会社が導入したリスク分担型企業年金制度は追加掛金の拠出義務を実質的に負っておらず、確定拠出型年金制度に分類されます。

 2019年4月1日に当社及び当社の子会社が日立企業年金基金の年金制度の加入者を対象にリスク分担型企業年金制度を導入して以降、日立企業年金基金に加入する他の子会社についてもリスク分担型企業年金制度への移行を進め、2022年4月1日に日立企業年金基金に加入するほぼ全ての会社の年金制度が、加入者を対象に確定給付型年金制度からリスク分担型企業年金制度へ移行しました。これに伴い、前連結会計年度において、制度移行した部分に係る退職給付債務とその減少分相当額に係る当該制度に移行した資産の額との差額51,185百万円を、制度移行に伴う清算損として連結損益計算書のその他の費用に計上しています。また、当該制度移行により連結財政状態計算書のその他の非流動資産が49,334百万円減少し、退職給付に係る負債が1,851百万円増加しています。その他、当該制度移行が前連結会計年度の損益に与える影響は重要ではありません。2023年4月1日に日立企業年金基金に加入する全ての会社の年金制度が、加入者を対象に確定給付型年金制度からリスク分担型企業年金制度へ移行完了しましたが、当連結会計年度の連結財務諸表に与える影響は重要ではありません。

 

 退職一時金制度は、退職者に対し一時金を支給するもので、給付は退職時の給与水準及び勤続年数等に基づき算定されます。退職一時金制度については、当社及び一部の子会社が直接退職者への支給義務を負っています。

 

 確定拠出年金制度は、加入期間にわたり会社が掛金を拠出し、加入者自らが積立金の運用を行う制度です。給付は受託機関が行うものであり、当社及び一部の子会社の義務は掛金の拠出に限定されます。

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度の確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値の変動は、下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

確定給付制度債務の変動

 

 

確定給付制度債務期首残高

1,879,432

1,053,570

勤務費用

33,847

25,166

利息費用

10,629

12,367

制度改訂影響額

△85

△2,086

数理計算上の差異

△32,352

△955

退職給付支払額

△89,487

△73,436

連結範囲の異動

△272,034

△42,103

確定拠出年金制度移行影響額

△3,114

△10

制度の清算・縮小

△3,901

△1,538

リスク分担型企業年金制度移行影響額

△498,477

△5,780

為替換算影響額

29,112

30,840

確定給付制度債務期末残高

1,053,570

996,035

制度資産の変動

 

 

制度資産の期首公正価値

1,598,966

800,064

利息収益

7,845

10,032

制度資産に係る収益

(利息収益除く)

△15,176

62,714

会社拠出額

14,265

10,176

従業員拠出額

3,580

4,440

退職給付支払額

△66,084

△55,105

連結範囲の異動

△208,104

△9,985

確定拠出年金制度移行影響額

△830

制度の清算・縮小

△3,886

△2,287

リスク分担型企業年金制度移行影響額

△549,662

△6,960

為替換算影響額

19,150

29,415

制度資産の期末公正価値

800,064

842,504

資産上限額の影響

8,186

58,510

連結財政状態計算書に計上した純額

261,692

212,041

 

 資産上限額の影響の変動は、下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

資産上限額の影響の期首残高

8,692

8,186

利息収益

111

242

再測定による増減

 資産上限額の影響の変動

△1,365

48,773

為替換算影響額

748

1,309

資産上限額の影響の期末残高

8,186

58,510

 

 数理計算上の差異発生額の内訳は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

財務上の仮定の変化により生じるもの

35,015

1,337

人口統計上の仮定の変化により生じるもの

140

△143

その他

△2,803

△239

 

 当社及び一部の子会社は、確定給付制度債務及び制度資産の測定日を連結会計年度末日としています。数理計算に使用した割引率の仮定は、下記のとおりです。

 

 

2023年3月31日

2024年3月31日

割引率

1.2%

1.2%

 

 2024年3月31日現在において、割引率が0.5%変化した場合に想定される確定給付制度債務に与える影響は、仮に割引率が0.5%増加した場合は42,006百万円減少し、割引率が0.5%減少した場合46,881百万円増加します。

 感応度分析は、他の前提条件を一定であることを前提としていますが、実際は、他の前提条件の変化が感応度分析に影響する可能性があります。

 

 基金における制度資産の運用は、積立金の安全かつ効率的な運用、分散投資及び長期にわたり持続的に維持すべき資産の構成割合の決定が基本方針として定められています。将来にわたり、年金給付に必要かつ十分な時価資産の蓄積を図り、また長期的に安定した収益を確保するための目標収益率を定め、その目標収益率を達成するために政策的資産構成割合を策定の上、各資産に分散投資を行っています。政策的資産構成割合は、各資産区分の期待収益率、収益率の標準偏差及び資産間の相関係数を考慮しています。また、一定以上の時価変動があった場合は、資産構成割合を政策的資産構成割合に調整する等の適切なリスク管理を行っています。

 運用受託機関及び資産管理機関の選定にあたっては、適切な定量評価、定性評価に基づき行っています。また、運用受託機関に対し運用方針等を明示し、定期的な運用状況の報告を受ける等の適切な監督を行っています。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在における、制度資産の公正価値は下記のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

活発な市場における公表市場価格

合計

あるもの

ないもの

資本性証券

1,178

168

1,346

公債

3,203

200

3,403

社債及びその他の負債証券

5,783

5,783

ヘッジファンド

23,426

23,426

証券化商品

13,963

13,963

現金及び現金同等物

30,694

30,694

生保一般勘定

79,720

79,720

合同運用投資

604,746

604,746

その他

3,085

33,898

36,983

合計

38,160

761,904

800,064

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月31日

活発な市場における公表市場価格

合計

あるもの

ないもの

資本性証券

1,643

1,643

公債

3,367

218

3,585

社債及びその他の負債証券

6,785

6,785

ヘッジファンド

32,526

32,526

証券化商品

14,762

14,762

現金及び現金同等物

22,827

22,827

生保一般勘定

117,539

117,539

合同運用投資

596,252

596,252

その他

1,063

45,522

46,585

合計

28,900

813,604

842,504

 

 資本性証券は、前連結会計年度において国内上場株式が約10%、海外上場株式が約90%、当連結会計年度においては海外上場株式が100%を占めています。

 公債は、国内の公債が前連結会計年度において約2%を占め、その主な内訳は日本国債です。海外の公債は、前連結会計年度において約98%を占め、その主な内訳は外国国債であり、当連結会計年度においては100%を占め、その主な内訳は外国国債です。

 社債及びその他の負債証券は、前連結会計年度及び当連結会計年度において海外が100%を占めています。

 ヘッジファンドは、主に相対価値戦略型ヘッジファンド、イベントドリブン型ヘッジファンド、株式ロングショート型ヘッジファンド、マクロ及びコモディティ・トレーディング・アドバイザー(CTA)型ヘッジファンドに投資しています。

 証券化商品は、主に国内不動産私募ファンドへの出資や、海外シニアローンを担保資産とする証券化商品の債券及び劣後証券に投資しています。

 合同運用投資は、前連結会計年度及び当連結会計年度において上場株式が約30%、公債が約40%、社債及びその他の負債証券が約10%、現金及び現金同等物が約10%、その他の資産が約10%を占めています。

 

 日立企業年金基金における年金積立は、年金制度資産の積立状況、数理計算等の様々な要因を考慮の上行われます。また、日立企業年金基金の規約においては、確定給付企業年金法の規定に従い、将来にわたって財政の均衡を保つことができるように、5年毎に事業年度末日を基準日として掛金の額の再計算を行うことが規定されています。再計算では、基金財政上の基礎率(予定利率、死亡率、脱退率等)を見直し、掛金を見直しています。

 

 翌連結会計年度の確定給付年金制度における拠出の見込額は11,335百万円です。

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在における確定給付制度債務の加重平均デュレーション(平均支払見込期間)は、それぞれ9.8年及び10.0年です。

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度の当社及び子会社における確定拠出年金制度への拠出に係る費用認識額は、それぞれ44,087百万円及び42,718百万円です。また、前連結会計年度及び当連結会計年度の当社及び子会社におけるリスク分担型企業年金制度への拠出に係る費用認識額は、それぞれ39,629百万円及び37,778百万円です。なお、翌連結会計年度以降に拠出するリスク対応掛金の見込み額は4,117百万円です。

 

(2)従業員給付費用

 前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書上に含まれる従業員給付費用の合計金額は、それぞれ2,937,094百万円及び2,868,049百万円です。

 

注16.資本

(1)普通株式

 

2023年3月31日

2024年3月31日

発行可能株式総数

2,000,000,000

2,000,000,000

 

 

 

(単位:百万円)

 

発行済株式の総数

資本金額

2022年3月31日

968,234,877

461,731

2023年3月31日

938,083,077

462,817

2024年3月31日

927,167,877

463,417

 

(注)前連結会計年度において、当社は譲渡制限付株式報酬として新株式を発行し、当社の発行済株式総数は、2022年6月15日付で337,000株増加しました。また、自己株式の消却により、当社の発行済株式総数は、2022年12月14日付で30,488,800株減少し、938,083,077株となりました。

当連結会計年度において、当社は譲渡制限付株式報酬として新株式を発行し、当社の発行済株式総数は、2023年5月31日付で158,200株増加しました。また、自己株式の消却により、当社の発行済株式総数は、2023年10月18日付で11,073,400株減少し、927,167,877株となりました。

 

当社が発行する株式は無額面の普通株式です。また、上記の発行済株式の総数には自己株式が含まれています。前連結会計年度及び当連結会計年度における自己株式の増減は、下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

自己株式数

自己株式

2022年3月31日

998,721

3,002

自己株式の取得

30,084,761

 

200,212

自己株式の売却

△83,852

 

△258

自己株式の消却

△30,488,800

 

△199,417

2023年3月31日

510,830

3,539

自己株式の取得

11,139,272

 

100,458

自己株式の売却

△30,529

 

△213

自己株式の消却

△11,073,400

 

△98,793

2024年3月31日

546,173

4,991

 

なお、2023年3月31日及び2024年3月31日現在における関連会社が保有する当社株式数は、31,100株です。

 

(2)剰余金

① 資本剰余金

 日本における会社法(以下、会社法)では、株式の発行に対して払込み又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることが規定されています。

 資本剰余金の増減には、当社の子会社に対する持分の変動による影響及び自己株式の消却による減少等が含まれています。前連結会計年度及び当連結会計年度における増減のうち、主なものは、自己株式の消却による減少です。

 なお、資本剰余金の期末残高が負の値になる場合は、利益剰余金から振替を行い、資本剰余金をゼロとしています。

 

② 利益剰余金

 会社法では、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本剰余金に含まれている資本準備金及び利益剰余金に含まれている利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されています。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができます。

 

注17.その他の包括利益累計額及びその他の包括利益

 前連結会計年度及び当連結会計年度の連結持分変動計算書に計上された、関連する税効果影響額控除後のその他の包括利益累計額は、下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

在外営業活動体の換算差額

 

 

期首残高

444,651

635,260

その他の包括利益純額

166,238

349,404

非支配持分振替額

24,371

△232

期末残高

635,260

984,432

確定給付制度の再測定

 

 

期首残高

105,675

87,967

その他の包括利益純額

38,254

12,647

非支配持分振替額

41

2,707

利益剰余金への振替額

△56,003

△282

期末残高

87,967

103,039

その他の包括利益を通じて測定する金融資産の

公正価値の純変動額

 

 

期首残高

110,109

115,355

その他の包括利益純額

22,260

45,389

非支配持分振替額

△47

5

利益剰余金への振替額

△16,967

△110,371

期末残高

115,355

50,378

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値の純変動額

 

 

期首残高

△21,172

7,810

その他の包括利益純額

29,943

16,475

非支配持分振替額

△2

その他

△961

△1,582

期末残高

7,810

22,701

その他の包括利益累計額合計

 

 

期首残高

639,263

846,392

その他の包括利益純額

256,695

423,915

非支配持分振替額

24,365

2,478

利益剰余金への振替額

△72,970

△110,653

その他

△961

△1,582

期末残高

846,392

1,160,550

 

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度の非支配持分を含むその他の包括利益の各区分の当期損益項目との調整額及び各項目の税効果影響額は、下記のとおりです。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

2023年3月31日

税効果影響額控除前

税効果影響額

税効果影響額控除後

 

その他の包括利益

 

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

308,396

△2,276

306,120

 

確定給付制度の再測定

16,978

23,224

40,202

 

その他の包括利益を通じて測定する

金融資産の公正価値の純変動額

35,012

△13,528

21,484

 

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値

の純変動額

△4,584

6

△4,578

 

持分法のその他の包括利益

27,996

△6,747

21,249

 

合計

383,798

679

384,477

 

その他の包括利益と

当期損益項目との調整額

 

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

△78,818

5,058

△73,760

 

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値

の純変動額

15,748

△3,905

11,843

 

持分法のその他の包括利益

△5,150

7

△5,143

 

合計

△68,220

1,160

△67,060

その他の包括利益純額

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

229,578

2,782

232,360

確定給付制度の再測定

16,978

23,224

40,202

その他の包括利益を通じて測定する

金融資産の公正価値の純変動額

35,012

△13,528

21,484

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値

の純変動額

11,164

△3,899

7,265

持分法のその他の包括利益

22,846

△6,740

16,106

合計

315,578

1,839

317,417

非支配持分に帰属する

その他の包括利益純額

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

 

 

58,178

確定給付制度の再測定

 

 

2,627

その他の包括利益を通じて測定する

金融資産の公正価値の純変動額

 

 

56

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値

の純変動額

 

 

△139

合計

 

 

60,722

親会社株主持分に帰属する

その他の包括利益純額

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

 

 

174,182

確定給付制度の再測定

 

 

37,575

その他の包括利益を通じて測定する

金融資産の公正価値の純変動額

 

 

21,428

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値

の純変動額

 

 

7,404

持分法のその他の包括利益

 

 

16,106

合計

 

 

256,695

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

2024年3月31日

税効果影響額控除前

税効果影響額

税効果影響額控除後

 

その他の包括利益

 

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

460,465

△37

460,428

 

確定給付制度の再測定

14,782

△910

13,872

 

その他の包括利益を通じて測定する

金融資産の公正価値の純変動額

64,765

△19,609

45,156

 

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値

の純変動額

18,847

△5,294

13,553

 

持分法のその他の包括利益

24,941

△1,280

23,661

 

合計

583,800

△27,130

556,670

 

その他の包括利益と

当期損益項目との調整額

 

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

△108,657

2,624

△106,033

 

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値

の純変動額

2,041

△679

1,362

 

持分法のその他の包括利益

△199

△199

 

合計

△106,815

1,945

△104,870

その他の包括利益純額

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

351,808

2,587

354,395

確定給付制度の再測定

14,782

△910

13,872

その他の包括利益を通じて測定する

金融資産の公正価値の純変動額

64,765

△19,609

45,156

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値

の純変動額

20,888

△5,973

14,915

持分法のその他の包括利益

24,742

△1,280

23,462

合計

476,985

△25,185

451,800

非支配持分に帰属する

その他の包括利益純額

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

 

 

25,471

確定給付制度の再測定

 

 

1,320

その他の包括利益を通じて測定する

金融資産の公正価値の純変動額

 

 

1,109

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値

の純変動額

 

 

△15

合計

 

 

27,885

親会社株主持分に帰属する

その他の包括利益純額

 

 

 

在外営業活動体の換算差額

 

 

328,924

確定給付制度の再測定

 

 

12,552

その他の包括利益を通じて測定する

金融資産の公正価値の純変動額

 

 

44,047

キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値

の純変動額

 

 

14,930

持分法のその他の包括利益

 

 

23,462

合計

 

 

423,915

 

注18.剰余金の配当

 前連結会計年度及び当連結会計年度の配当金は下記のとおりです。

 

決議

配当金の総額

(百万円)

配当の原資

1株当たり

 配当額(円)

基準日

効力発生日

2022年5月13日

取締役会

62,870

利益剰余金

65.0

2022年3月31日

2022年6月2日

2022年10月28日

取締役会

66,277

利益剰余金

70.0

2022年9月30日

2022年11月29日

2023年5月12日

取締役会

70,317

利益剰余金

75.0

2023年3月31日

2023年6月2日

2023年10月27日

取締役会

74,144

利益剰余金

80.0

2023年9月30日

2023年11月27日

 

 基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌期となるものは、下記のとおりです。

 

決議

配当金の総額

(百万円)

配当の原資

1株当たり

 配当額(円)

基準日

効力発生日

2024年5月13日

取締役会

92,662

利益剰余金

100.0

2024年3月31日

2024年6月4日

 

注19.株式に基づく報酬

 当社は、株式に基づく報酬として、2019年度より、ストックオプション制度に代えて、譲渡制限付株式報酬制度を導入し、従来の株式報酬型ストックオプションに代えて、譲渡制限付株式を付与しており、2020年度より、譲渡制限付株式報酬ユニット制度を導入し、譲渡制限付株式報酬ユニットを付与しています。また、当連結会計年度より、譲渡制限付株式報酬制度の一部に代えて、業績連動型譲渡制限付株式報酬ユニット制度を導入し、業績連動型譲渡制限付株式報酬ユニットを付与しています。

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度において計上された株式に基づく報酬費用は、それぞれ1,699百万円及び2,260百万円です。

 

(1)譲渡制限付株式報酬

当社の譲渡制限付株式報酬制度は、当社の執行役、理事及び子会社の役員の一部(以下、対象者)に対して、譲渡制限付株式(以下、本譲渡制限付株式)を割り当てるために、金銭報酬債権を付与し、対象者は当該金銭報酬債権を現物出資することで、当社の普通株式の発行又は処分を受けるものです。また、本制度に基づき当社の普通株式の発行又は処分をするにあたり、当社と各対象者との間で譲渡制限付株式割当契約を締結しています。

 

譲渡制限付株式割当契約の概要

① 譲渡制限期間

付与日から、対象者が当社の執行役、取締役、理事及び子会社の役員のいずれの地位からも退任する日まで

② 当社による無償取得

本割当契約に定める一定の事由に該当した場合は、当社が対象者に通知した日以降速やかに本譲渡制限付株式を無償取得する。また、当社は、譲渡制限が解除されない本譲渡制限付株式について譲渡制限が解除されないことが確定した時点をもって、当然に無償で取得する。

 

前連結会計年度及び当連結会計年度に発行した譲渡制限付株式の内容は以下のとおりです。

 

2023年3月31日

2024年3月31日

発行日

2022年6月15日

2023年5月31日

発行株式数

303,000株

103,800株

1株当たり発行価額 (a) (b)

6,448円

7,586円

 

(a)前連結会計年度に付与した譲渡制限付株式の発行価額については、2022年5月10日(本新株発行に係る当社執行役社長の決定日の前営業日)の東京証券取引所プライム市場の終値としています。

(b)当連結会計年度に付与した譲渡制限付株式の発行価額については、2023年4月26日(本新株発行に係る当社執行役社長の決定日の前営業日)の東京証券取引所プライム市場の終値としています。

 

(2)業績連動型譲渡制限付株式報酬ユニット(以下、PSU)

 当社のPSU制度は、当社の執行役、理事及び子会社の役員の一部(以下、対象者)に対して、当社が対象者毎にあらかじめ定める数の当社普通株式に相当するPSUを付与し、一定の評価期間におけるKPIの達成度に応じて権利確定するPSUに対して、評価期間経過後に譲渡制限付株式(以下、本交付譲渡制限付株式)を交付する制度です。PSUには、株価条件を付した株式報酬ユニットと中期経営計画目標達成条件を付した株式報酬ユニットがあり、それぞれのPSUに対して本交付譲渡制限付株式を交付する条件については以下のとおりです。

 

本交付譲渡制限付株式の交付条件

① 株価条件付株式報酬ユニットは、ユニットが付与された日の属する連結会計年度の期首から3連結会計年度

における当社株式のTotal Shareholder Return(株主総利回り)成長率とTOPIX成長率を比較した結果及び報酬委員会が定めるグローバル競合比較対象企業群の株価成長率を比較した結果に応じて、付与された株式報酬ユニットの0~200%相当分の譲渡制限付株式が付与されます。

② 中期経営計画目標達成条件付株式報酬ユニットは、ユニットが付与された日の属する連結会計年度を対象に

含む中期経営計画の最終連結会計年度までの期間におけるROIC及びサステナビリティ指標の目標達成時に、付与された株式報酬ユニット相当分の譲渡制限付株式が付与されます。

 

 本交付譲渡制限付株式の交付について、当社は、各連結会計年度終了後、対象者に対して金銭報酬債権を付与し、対象者は、当該金銭報酬債権を現物出資することで、本交付譲渡制限付株式の発行又は処分を受けます。

 

(3)譲渡制限付株式報酬ユニット(以下、RSU)

当社のRSU制度は、当社の外国人の執行役及び理事(以下、対象者)に対して、当社が対象者毎にあらかじめ定める数の当社普通株式(以下、本交付株式)に相当するRSUを付与し、付与後3連結会計年度にわたり、3分の1ずつ権利確定するRSUに対して、各連結会計年度終了後、本交付株式及び現金を交付する制度です。

本交付株式の交付について、当社は、各連結会計年度終了後、対象者に対して金銭報酬債権を付与し、対象者は、当該金銭報酬債権を現物出資することで、本交付株式の発行又は処分を受けます。

対象者が任期満了、死亡、その他当社の報酬委員会が認める正当な理由により退任する場合は、対象者に付与されたRSUのうち、付与から当該退任した時点までに相当する分の本交付株式及び現金のみが交付されます。

 

 

(4)ストックオプション

当社のストックオプション制度においては、執行役及び理事に対して、当社の普通株式を購入できる権利(以下、新株予約権)が与えられています。

前連結会計年度及び当連結会計年度における当社のストックオプション制度は以下のとおりです。

 

発行年度・名称

 

付与日

 

行使期間

2016年度

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式会社日立製作所 第1回新株予約権

 

2016年6月29日

 

自2016年7月15日

 

 

 

至2046年7月14日

2017年度

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式会社日立製作所 第2回新株予約権

 

2017年4月6日

 

自2017年4月27日

 

 

 

至2047年4月26日

2018年度

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式会社日立製作所 第3回新株予約権

 

2018年4月11日

 

自2018年4月27日

 

 

 

至2048年4月26日

 

新株予約権の行使条件

① 新株予約権者は、上記の行使期間内において、当社の執行役、取締役及び理事のいずれの地位をも喪失した日の翌日から10日(10日目が休日に当たる場合には翌営業日)を経過する日までの間に限り、②又は③の規定により確定した新株予約権を一括してのみ行使できる。

② 新株予約権者が行使できる新株予約権の個数は、割当日の属する連結会計年度の期首から3年間(以下、待機期間)における当社株式に係る株主総利回りを同期間における東証株価指数の成長率と比較し、その割合(以下、対TOPIX成長率)に応じて確定する(以下、株式市場条件)。

③ 待機期間終了前に退任した新株予約権者(以下、退任者)が行使できる新株予約権の個数は、当該退任者の割当個数を待機期間のうちに占める当該退任者の在任期間の割合を乗じて得た個数に減算し、上記②に準じ割当日の属する連結会計年度の期首から退任時までの期間における対TOPIX成長率に応じて確定する。

 

前連結会計年度及び当連結会計年度のストックオプションの状況は以下のとおりです。なお、ストックオプションの個数は株式数に換算(ストックオプション1個あたり20株)して記載しています。

 

2023年3月31日

2024年3月31日

株式数

加重平均行使価格

株式数

加重平均行使価格

(株)

(円)

(株)

(円)

期首未行使残高

499,000

1

417,340

1

権利付与

権利失効(a)

権利行使

△81,660

1

△29,720

1

満期消滅

期末未行使残高

417,340

1

387,620

1

期末行使可能残高

 

(a)株式市場条件を満たさないことによる行使不能分も含まれます。

 

前連結会計年度及び当連結会計年度に権利行使されたストックオプションの加重平均株価は、それぞれ5,849.0円及び7,300.0円です。

 

前連結会計年度及び当連結会計年度における未行使ストックオプションの行使価格の範囲は1円であり、加重平均残存契約年数は、それぞれ24.2年及び23.2年です。

 

注20.売上収益

(1)収益の分解

当社の売上収益は、主に顧客との契約から認識された収益であり、当社の報告セグメントを地域別に分解した場合の内訳は、下記のとおりです。

当社は当連結会計年度の期首から報告セグメントの区分を変更しています。当該区分変更に伴い、前連結会計年度を変更後の区分にて表示しています。報告セグメントの区分変更に係る詳細は注4.セグメント情報に記載しています。

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

2023年3月31日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本

アジア

北米

欧州

その他

海外

売上収益

売上収益

デジタルシステム

&サービス

1,555,208

236,443

321,996

222,346

53,102

833,887

2,389,095

グリーンエナジー

&モビリティ

424,825

410,651

458,978

829,338

346,127

2,045,094

2,469,919

コネクティブ

インダストリーズ

1,480,942

994,751

259,907

201,803

37,869

1,494,330

2,975,272

オートモティブシステム

485,774

699,256

455,255

161,012

118,770

1,434,293

1,920,067

日立建機

80,640

83,040

94,671

80,460

136,303

394,474

475,114

日立金属

323,193

181,280

283,606

41,547

18,100

524,533

847,726

その他

411,560

65,676

6,121

8,141

4,120

84,058

495,618

小計

4,762,142

2,671,097

1,880,534

1,544,647

714,391

6,810,669

11,572,811

全社及び消去

△643,898

△35,983

△2,542

△8,699

△539

△47,763

△691,661

合計

4,118,244

2,635,114

1,877,992

1,535,948

713,852

6,762,906

10,881,150

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

2024年3月31日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本

アジア

北米

欧州

その他

海外

売上収益

売上収益

デジタルシステム

&サービス

1,731,209

227,920

344,412

235,460

59,658

867,450

2,598,659

グリーンエナジー

&モビリティ

426,098

466,546

665,049

1,009,260

485,349

2,626,204

3,052,302

コネクティブ

インダストリーズ

1,519,738

1,030,523

267,199

204,838

35,662

1,538,222

3,057,960

オートモティブシステム

273,069

395,538

305,639

100,803

89,335

891,315

1,164,384

日立建機

日立金属

その他

427,956

60,131

7,029

9,751

2,929

79,840

507,796

小計

4,378,070

2,180,658

1,589,328

1,560,112

672,933

6,003,031

10,381,101

全社及び消去

△604,687

△29,114

△6,412

△9,234

△2,938

△47,698

△652,385

合計

3,773,383

2,151,544

1,582,916

1,550,878

669,995

5,955,333

9,728,716

 

 

 

デジタルシステム&サービスセグメントは、フロントビジネス、ITサービス及びサービス&プラットフォームで構成され、それぞれの売上収益は前連結会計年度においては、982,541百万円、886,508百万円、950,040百万円であり、当連結会計年度においては、1,111,193百万円、969,816百万円、983,456百万円です(内部取引を含む)。フロントビジネス及びITサービスは主に日本で、サービス&プラットフォームは主に日本、北米及び欧州で展開されています。

 

当社の売上収益には、長期請負契約等から生じた費用の発生態様に応じて認識された収益が含まれています。前連結会計年度中及び当連結会計年度中に認識された収益のうち、長期請負契約等から生じた費用の発生態様に応じて認識された収益の額は、それぞれ1,805,588百万円及び2,255,703百万円です。

 

(2)履行義務の充足に関する情報

各報告セグメントの主な製品・サービスに対する履行義務に関する情報は下記のとおりです。

(デジタルシステム&サービス)

フロントビジネス及びITサービスにおいては、主にシステムインテグレーション、コンサルティング及びクラウドサービスが提供されており、サービス&プラットフォームにおいては、主にITプロダクツ及びソフトウェアが提供されています。

システムインテグレーション、コンサルティング及びクラウドサービス事業における長期請負契約等は顧客仕様に応じた製品及びサービスを顧客に対して一定期間にわたり提供しており、一定期間にわたって履行義務が充足されるため、主に、費用の発生態様(見積原価総額に対する実際発生原価の割合で測定される進捗度等)もしくは時の経過に応じて収益を認識しています。多くの契約はマイルストーンに基づく請求となっており、履行義務充足前に入金される場合もあります。

ITプロダクツ及びソフトウェア事業は、顧客に製品を販売し引渡を完了した時点で履行義務が充足されるため、支配が移転した時点において収益を認識しています。支払条件は、通常、履行義務を充足してから1年以内で支払期日が到来する条件となっており、延払等の支払条件となっている取引で重要なものはありません。

 

(グリーンエナジー&モビリティ及びコネクティブインダストリーズ)

グリーンエナジー&モビリティセグメントにはエネルギーソリューション事業、鉄道システム事業等の売上収益が含まれており、エネルギーソリューション事業はアジア、北米や欧州を中心に、鉄道システム事業は主に欧州でそれぞれ展開されています。

コネクティブインダストリーズセグメントにはビルシステム事業、生活・エコシステム事業、計測分析システム事業、産業・流通ソリューション事業等の売上収益が含まれており、ビルシステム事業は主に中国で、生活・エコシステム事業は主に日本で、計測分析システム事業は日本、アジア、北米や欧州を中心に、産業・流通ソリューション事業は主に日本でそれぞれ展開されています。

これらのセグメントにおける請負工事等に係る長期請負契約等は顧客仕様に基づいた製品等を一定期間にわたり製造し顧客に提供することにより、履行義務が充足されるため、主に、費用の発生態様(見積原価総額に対する実際発生原価の割合で測定される進捗度等)に応じて収益を認識しています。また、契約期間に応じて均一のサービスを提供しているメンテナンスサービス等は、時の経過に応じて収益を認識しています。多くの契約の支払条件は、マイルストーンに基づく請求となっており、履行義務充足前に入金される場合もあります。

また、コネクティブインダストリーズセグメントにおけるエレベーター、家電製品、計測分析装置及び産業用機器の販売等は、顧客に製品を販売し引渡を完了した時点において履行義務が充足されるため、支配が移転した時点において収益を認識しています。支払条件は、通常、履行義務を充足してから1年以内で支払期日が到来する条件となっており、延払等の支払条件となっている取引で重要なものはありません。

 

(オートモティブシステム)

 オートモティブシステムセグメントにおける製品は、主に顧客に製品を販売し引渡が完了した時点において履行義務が充足されるため、支配が移転した時点において収益を認識しています。支払条件は、通常、履行義務を充足してから1年以内で支払期日が到来する条件となっており、延払等の支払条件となっている取引で重要なものはありません。

 

(3)契約残高に関する情報

前連結会計年度及び当連結会計年度における当社の顧客との契約から計上された売上債権、契約資産及び契約負債の期首及び期末残高は下記のとおりです。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

 

期首残高

期末残高

期首残高

期末残高

売上債権

2,381,832

2,072,238

2,072,238

2,063,056

契約資産

665,627

849,402

849,402

971,988

契約負債

1,150,592

1,314,799

1,314,799

1,739,770

 

前連結会計年度中及び当連結会計年度中に認識された収益のうち、期首時点で契約負債に含まれていた金額は、それぞれ745,452百万円及び800,909百万円であり、過去の期間に充足された履行義務に係る金額は重要ではありません。

 

(4)残存する履行義務に配分された取引価格

前連結会計年度及び当連結会計年度末時点における報告セグメント別の未履行の履行義務残高は下記のとおりです。

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

 

うち、セグメント間

内部取引

未履行の

履行義務残高

うち、セグメント間

内部取引

未履行の

履行義務残高

デジタルシステム

&サービス

52,481

1,253,318

69,825

1,446,972

グリーンエナジー

&モビリティ

45,801

7,517,839

50,743

10,189,630

コネクティブ

インダストリーズ

106,653

1,825,227

107,453

2,019,113

 

当社及び子会社において、長期にわたり収益が認識される契約を有するセグメントは、主にデジタルシステム&サービスセグメント、グリーンエナジー&モビリティセグメント、コネクティブインダストリーズセグメントです。

 

前連結会計年度末時点における未履行の履行義務残高の履行時期の見込みは下記のとおりです。

デジタルシステム&サービスセグメントの残高のうち約9割は3年以内に、約1割は3年超5年以内に履行される見込みです。グリーンエナジー&モビリティセグメントの残高のうち約6割は3年以内に、約4割は3年超5年以内に履行される見込みです。コネクティブインダストリーズセグメントの残高のうち約9割は3年以内に履行される見込みです。

 

当連結会計年度末時点における未履行の履行義務残高の履行時期の見込みは下記のとおりです。

デジタルシステム&サービスセグメントの残高のうち約9割は3年以内に、約1割は3年超5年以内に履行される見込みです。グリーンエナジー&モビリティセグメントの残高のうち約6割は3年以内に、約2割は3年超5年以内に履行される見込みです。コネクティブインダストリーズセグメントの残高のうち約9割は3年以内に履行される見込みです。

 

なお、上記以外のセグメントについては、主に当初の予想期間が1年以内の契約であるため、実務上の便法の規定を適用し当該開示には含めていません。

 

(5)資産化した、顧客との契約の獲得又は履行するために生じたコスト

当社及び子会社は、顧客との契約を獲得又は履行するために発生したコストのうち、回収すると見込まれるものについて資産計上しています。前連結会計年度及び当連結会計年度末において、資産計上している金額は重要ではありません。

 

注21.その他の収益及び費用

 前連結会計年度及び当連結会計年度におけるその他の収益及び費用の主な内訳は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

固定資産損益

2,285

17,056

減損損失

129,894

29,668

事業再編等損益

297,351

97,048

特別退職金

9,323

19,443

 

 減損損失は、主に有形固定資産、のれん及びその他の無形資産に係る減損です。事業再編等損益には、支配の獲得及び喪失に関連する損益、投資先への重要な影響力の獲得及び喪失に関連する損益等が含まれています。

 前連結会計年度における減損損失には、デジタルシステム&サービスセグメントにおいて計上した減損損失52,163百万円及びグリーンエナジー&モビリティセグメントにおいて計上した減損損失49,584百万円が含まれています。詳細は注9.有形固定資産及び注10.のれん及びその他の無形資産に記載しています。

 その他の費用に含まれている前連結会計年度及び当連結会計年度における事業構造改革関連費用は、それぞれ139,217百万円及び49,111百万円です。事業構造改革関連費用には、減損損失及び特別退職金が含まれています。

 また、前連結会計年度のその他の費用には、子会社のリスク分担型企業年金制度への移行に伴う清算損51,185百万円が含まれています。詳細は注15.従業員給付に記載しています。

 

注22.金融収益及び費用

 前連結会計年度及び当連結会計年度における金融収益及び費用の主な内訳は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

受取配当金

7,878

9,875

為替差損益

11,911

7,068

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度における受取配当金はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に係るものです。

 

注23.1株当たり利益情報

 基本1株当たり親会社株主に帰属する当期利益及び希薄化後1株当たり親会社株主に帰属する当期利益の計算は、下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

平均発行済株式数

948,247,986

929,605,301

希薄化効果のある証券

 

 

 

 

ストックオプション

417,340

 

387,620

 

譲渡制限付株式

493,790

 

784,832

 

譲渡制限付株式ユニット

5,419

 

24,405

 

希薄化後発行済株式数

949,164,535

930,802,158

親会社株主に帰属する当期利益

 

 

 

 

基本

649,124

589,896

希薄化効果のある証券

希薄化後親会社株主に帰属する当期利益

649,124

589,896

1株当たり親会社株主に帰属する当期利益

 

 

 

 

基本

684.55

634.57

希薄化後

683.89

633.75

 

 

注24.連結キャッシュ・フロー計算書の補足説明

(1)財務活動から生じた負債

財務活動から生じた負債の増減内容は、下記のとおりです。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

短期借入金

社債

長期借入金

リース負債

合計

2022年3月31日

1,234,119

357,548

1,207,825

327,220

3,126,712

キャッシュ・フローを伴う増減

△277,685

△108,918

2,583

△102,398

△486,418

キャッシュ・フローを伴わない増減

 

 

 

 

 

リース負債の新規計上額

98,925

98,925

連結範囲の異動

△205,217

△89,787

△230,229

△76,455

△601,688

為替換算影響額他

26,433

1,157

42,815

5,412

75,817

2023年3月31日

777,650

160,000

1,022,994

252,704

2,213,348

キャッシュ・フローを伴う増減

△550,170

60,000

△158,829

△97,548

△746,547

キャッシュ・フローを伴わない増減

 

 

 

 

 

リース負債の新規計上額

85,528

85,528

連結範囲の異動

△249,991

△243,994

△12,953

△506,938

為替換算影響額他

60,338

59,184

15,109

134,631

2024年3月31日

37,827

220,000

679,355

242,840

1,180,022

 

(2)法人所得税の支払

前連結会計年度において、日立金属及び日立物流株式の売却に係るキャッシュ・フローは、みなし配当に係る源泉税額控除後の純額を、投資活動に関するキャッシュ・フローの有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の売却に計上しています。

当該源泉税額を含めた、前連結会計年度の法人所得税の支払の合計は、284,265百万円です。

 

注25.金融商品及び関連する開示

(1)資本管理

当社は、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の資産、負債及び資本を維持することに加えて、事業活動における資本効率の最適化を図ることを重要な方針として資本を管理しています。

当社は資本管理において、親会社株主持分比率を重要な指標として用いており、継続的にモニタリングしています。2023年3月31日及び2024年3月31日現在における親会社株主持分比率は、それぞれ39.5%及び46.7%です。

なお、会社法等の一般的な規制を除き、当社が適用を受ける資本規制はありません。

 

(2)財務上のリスク

当社は、国際的に事業活動を行っており、その過程において、常に市場リスク(主に為替リスク及び金利リスク)、信用リスク、流動性リスク等の様々なリスクに晒されています。当社ではこれらの財務上のリスクを回避もしくは低減するためにリスク管理を行っています。

① 為替リスク

 当社及び子会社は、外国為替相場の変動リスクに晒されている金融資産及び金融負債を保有しており、外国為替相場の変動リスクをヘッジするために、先物為替予約契約あるいは通貨スワップ契約を利用しています。

 売上及び仕入に係る為替変動リスクについては、毎月通貨毎に将来キャッシュ・フローを決済期日毎に測定し、この一定割合に対して主に先物為替予約契約を締結することにより、外貨建債権債務及び外貨建予定取引から発生する将来キャッシュ・フローを固定化しています。先物為替予約の期間は、概ね1年以内です。なお、当社及び子会社は、事業特性、収支構造、契約内容等を確認し、必要に応じて個別案件に適応した為替リスク管理方針を作成し、案件毎のリスク管理体制を整備した上でヘッジ取引を行っています。

 また、外貨建の長期債務から生じる将来キャッシュ・フローを固定化するために負債元本の償還期限と同じ期限の通貨スワップ契約を締結しています。先物為替予約契約及び通貨スワップ契約とヘッジ対象とのヘッジ関係は高度に有効であり、ヘッジ対象外貨建資産・負債の為替相場の変動の影響を相殺しています。

 

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在において当社及び子会社が保有する外貨建金融商品につき、その他全ての変数を一定とすることを前提に、当社の機能通貨である日本円が1%円安となった場合の前連結会計年度及び当連結会計年度の連結損益計算書上の税引前当期利益への影響額は、下記のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 

通貨

2023年3月31日

2024年3月31日

税引前当期利益への影響

米ドル

2,447

2,336

ユーロ

16

52

 

② 金利リスク

 当社及び一部の子会社は、主に長期債務に関連する金利変動リスクに晒されており、この変動の影響を最小化するため、主に金利スワップ契約を締結してキャッシュ・フローの変動リスクを管理しています。金利スワップ契約は主に受取変動・支払固定の契約であり、長期債務の変動金利支払分を受取り、固定金利を支払うことによって、変動金利の長期債務を固定金利の長期債務としています。

 また、一部の金融子会社は、主に固定金利で資金調達を行い、変動金利での貸付等を行っているため金利変動リスクに晒されており、この変動の影響を最小化するため、主に金利スワップ契約を締結して公正価値の変動を管理しています。

 金利スワップ契約とヘッジ対象とのヘッジ関係は高度に有効であり、金利変動リスクから生じるキャッシュ・フロー及び公正価値の変動の影響を相殺しています。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在において当社及び子会社が保有する金融商品(償却原価で測定する金融資産及び金融負債、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及び金融負債、並びにデリバティブ資産及び負債)につき、その他全ての変数を一定とすることを前提に、金利が1%上昇した場合の前連結会計年度及び当連結会計年度の連結損益計算書上の税引前当期利益に与える影響額は、下記のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

税引前当期利益への影響

△5,662

△2,736

 

③ 信用リスク

 当社及び子会社の営業活動から生じる売上債権及び契約資産並びにその他の債権は顧客の信用リスクに晒されています。また、余剰資金の運用のために保有している債券等及び政策的な目的のために保有している株式等は、発行体の信用リスクに晒されています。さらに市場リスクを軽減する目的で行うデリバティブ取引については、取引相手先である金融機関の信用リスクに晒されています。

 顧客の信用リスクに対しては、取引対象商品及び取引先の財務状態や信用格付等により定期的に信用調査を行い、信用リスクに応じた取引限度額を設定しています。余剰資金については、安全性の高い債券等での資金運用に限定し、デリバティブ取引先については、格付の高い金融機関に限定して取引を行っています。

 当社及び子会社は、世界各地で多業種にわたり事業を行っており、特定の地域や取引先に対する信用リスクの集中は発生していません。

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度の売上債権及び契約資産並びにその他の債権に係る貸倒引当金の増減内容と、貸倒引当金に対応する売上債権及び契約資産並びにその他の債権の総額での帳簿価額の増減内容は、下記のとおりです。なお、その他の債権には、主にリース債権並びに短期貸付金、未収入金、償却原価で測定する負債性証券及び長期貸付金等の償却原価で測定される金融資産が含まれます。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

売上債権及び契約資産

貸倒引当金

総額での帳簿価額

 

集合的評価

個別的評価

合計

集合的評価

個別的評価

合計

 

2022年3月31日

28,960

51,985

80,945

3,021,093

107,311

3,128,404

 

期中増減(純額)

5,091

6,930

12,021

321,035

2,716

323,751

 

信用減損(a)

△350

350

△2,226

2,226

 

直接償却(b)

△2,182

△2,274

△4,456

△50,896

△2,520

△53,416

 

その他(c)

△3,219

△1,450

△4,669

△390,525

△2,733

△393,258

 

2023年3月31日

28,300

55,541

83,841

2,898,481

107,000

3,005,481

 

期中増減(純額)

3,631

28,158

31,789

389,431

7,847

397,278

 

信用減損(a)

△4,405

4,405

△21,304

21,304

 

直接償却(b)

△4,085

△1,959

△6,044

△7,533

△6,125

△13,658

 

その他(c)

451

5,317

5,768

△244,619

5,916

△238,703

 

2024年3月31日

23,892

91,462

115,354

3,014,456

135,942

3,150,398

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

その他の債権

貸倒引当金

総額での帳簿価額

 

集合的評価

個別的評価

合計

集合的評価

個別的評価

合計

 

2022年3月31日

292

4,733

5,025

418,932

9,136

428,068

 

期中増減(純額)

77

567

644

38,650

1,462

40,112

 

信用減損(a)

△137

137

 

直接償却(b)

△1

△1,296

△1,297

△3,557

△1,398

△4,955

 

その他(c)

21

△2,592

△2,571

△85,440

△6,970

△92,410

 

2023年3月31日

389

1,412

1,801

368,448

2,367

370,815

 

期中増減(純額)

84

△286

△202

29,287

△421

28,866

 

信用減損(a)

△122

122

△355

355

 

直接償却(b)

△1

△4

△5

△1,381

△11

△1,392

 

その他(c)

23

92

115

△29,764

115

△29,649

 

2024年3月31日

373

1,336

1,709

366,235

2,405

368,640

 

(a)信用減損が生じた金融資産に関する貸倒引当金については、個別的評価により貸倒引当金を測定するため、集合的評価から振替えています。

(b)金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していないと判断された場合、直接償却として認識を中止しています。

(c)主に連結範囲の異動、為替換算影響等が含まれています。

 

 保有する担保を考慮に入れない場合の当社及び子会社の金融資産の信用リスクに係る最大エクスポージャーは、連結財政状態計算書に表示されている貸倒引当金控除後の帳簿価額です。また、貸出コミットメントの信用リスクに係る最大エクスポージャーは、注29.コミットメント及び偶発事象に記載している貸出コミットメントの総額であり、債務保証契約の信用リスクに係る最大エクスポージャーは、注29.コミットメント及び偶発事象に記載している債務保証残高です。

 

④ 流動性リスク

 当社及び子会社の買入債務、長期債務等の金融負債は流動性リスクに晒されています。当該リスクに関し、当社及び子会社は運転資金の効率的な管理による資本効率の最適化、当社及び金融子会社による資金の集中管理等により資金管理の維持に努めています。また需要に応じ、資本市場における債券発行、株式発行及びコミットメントラインを含む金融機関からの借入による資金調達が可能です。当連結会計年度末日における当社のコミットメントライン契約に係る借入未実行残高は、注29.コミットメント及び偶発事象に記載しています。

 

 デリバティブ負債を除く金融負債の期日別残高は、下記のとおりです。なお、買入債務の簿価と契約上の

キャッシュ・フローは一致しており、支払期日は全て1年以内であるため下表に含めていません。

 

 2023年3月31日

 

 

 

(単位:百万円)

 

帳簿価額

契約上のキャッ

シュ・フロー

1年以内

1年超5年以内

5年超

短期借入金

777,650

778,586

778,586

長期債務

 

 

 

 

 

リース負債

252,704

265,017

80,785

149,329

34,903

社債

160,000

163,843

30,811

22,236

110,796

長期借入金

1,022,994

1,063,672

45,657

940,611

77,404

 

 2024年3月31日

 

 

 

(単位:百万円)

 

帳簿価額

契約上のキャッ

シュ・フロー

1年以内

1年超5年以内

5年超

短期借入金

37,827

38,051

38,051

長期債務

 

 

 

 

 

リース負債

242,840

257,076

79,559

140,850

36,667

社債

220,000

231,072

1,479

55,852

173,741

長期借入金

679,355

709,884

124,916

564,885

20,083

 

 短期借入金の加重平均利率は7.5%であり、長期借入金の加重平均利率は2.2%、返済期限は2024年から2039年までです。

 

 社債の銘柄別明細は、下記のとおりです。

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

発行

会社

銘柄

発行年

2023年

3月31日

2024年

3月31日

担保

利率(%)

償還期限

当社

国内公募第16回普通社債

2013年

30,000

無担保

0.8

2023年

当社

国内公募第17回普通社債

2013年

20,000

20,000

無担保

1.4

2028年

当社

国内公募第19回普通社債

2020年

20,000

20,000

無担保

0.2

2027年

当社

国内公募第20回普通社債

2020年

90,000

90,000

無担保

0.3

2030年

当社

国内公募第21回普通社債

2023年

10,000

無担保

0.6

2028年

当社

国内公募第22回普通社債

2023年

30,000

無担保

0.9

2030年

当社

国内公募第23回普通社債

2023年

50,000

無担保

1.2

2033年

合計

160,000

220,000

 

 

 主なデリバティブの流動性分析は、下記のとおりです。なお、他の契約と純額決済するデリバティブについても総額で表示しています。

 

 2023年3月31日

 

 

(単位:百万円)

 

1年以内

1年超5年以内

5年超

合計

為替予約

収入

21,367

4,806

26,173

 

支出

24,765

13,775

38,540

通貨スワップ

収入

6,031

24,531

30,562

 

支出

9,251

495

9,746

金利スワップ

収入

128

19,702

19,830

 

支出

8

8

オプション

収入

 

支出

 

 2024年3月31日

 

 

(単位:百万円)

 

1年以内

1年超5年以内

5年超

合計

為替予約

収入

45,636

8,188

89

53,913

 

支出

39,090

14,908

755

54,753

通貨スワップ

収入

57,347

684

58,031

 

支出

9,562

89

9,651

金利スワップ

収入

440

18,985

19,425

 

支出

オプション

収入

2,171

2,171

 

支出

 

(3)金融商品の公正価値

① 公正価値の測定方法

 金融資産及び金融負債の公正価値は、以下のとおり決定しています。

 

現金及び現金同等物、売上債権、短期貸付金、未収入金、短期借入金、未払金、買入債務

 満期までの期間が短いため、公正価値は帳簿価額とほぼ同額です。

 

有価証券及びその他の金融資産

 リース債権の公正価値は、一定の期間毎に区分した債権毎に、債権額を満期までの期間及び信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値に基づいて算定しています。

 市場性のある有価証券の公正価値は、市場価格を用いて見積っています。市場性のない有価証券の公正価値は、類似の有価証券の市場価格及び同一又は類似の有価証券に対する投げ売りでない市場価格、観察可能な金利及び利回り曲線、クレジット・スプレッド又はデフォルト率を含むその他関連情報によって見積っています。重要な指標が観察不能である場合、金融機関により提供された価格情報を用いて評価しています。提供された価格情報は、独自の評価モデルを用いたインカム・アプローチあるいは類似金融商品の価格との比較といったマーケット・アプローチにより検証しています。

 長期貸付金の公正価値は、同様の貸付形態での追加貸付に係る利率を使用した将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて見積っています。

 デリバティブ資産の公正価値は、投げ売りでない市場価格、活発でない市場での価格、観察可能な金利及び利回り曲線や外国為替及び商品の先物及びスポット価格を用いたモデルに基づき測定しています。また、重要な指標が観察不能である場合、主にインカム・アプローチあるいはマーケット・アプローチを使用し、金融機関が提供する関連情報等を検証しています。

 

長期債務

 長期債務の公正価値は、当該負債の市場価格、又は同様の契約条項での市場金利を使用した将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて見積っています。

 

その他の金融負債

 デリバティブ負債の公正価値は、投げ売りでない市場価格、活発でない市場での価格、観察可能な金利及び利回り曲線や外国為替及び商品の先物及びスポット価格を用いたモデルに基づき測定しています。また、重要な指標が観察不能である場合、主にインカム・アプローチあるいはマーケット・アプローチを使用し、金融機関が提供する関連情報等を検証しています。

 

② 償却原価で測定する金融商品

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、償却原価で測定する金融資産及び金融負債の帳簿価額及び公正価値は下記のとおりです。なお、償却原価で測定する金融資産及び金融負債の見積公正価値は、下記③に示されるレベル2に分類しています。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

区分

帳簿価額

公正価値

帳簿価額

公正価値

資産

 

 

 

 

有価証券及びその他の金融資産

 

 

 

 

リース債権

22,858

22,858

27,414

28,810

負債性証券

46,729

46,729

46,486

46,162

長期貸付金

385

385

8,840

8,840

負債

 

 

 

 

長期債務(a)

 

 

 

 

社債

160,000

159,250

220,000

218,586

長期借入金

1,022,994

1,022,130

679,355

677,633

 

(a)長期債務は、連結財政状態計算書上の償還期長期債務及び長期債務に含まれます。

 

③ 公正価値で測定する金融商品

 経常的に公正価値で測定する金融商品は、当該商品の測定に際し使用した指標により以下の3つのレベル(公正価値ヒエラルキー)に分類しています。

レベル1:同一の資産又は負債の活発な市場における(無調整の)市場価格により測定した公正価値

レベル2:レベル1以外の直接又は間接的に観察可能な指標を用いて測定した公正価値

レベル3:重要な観察可能でない指標を用いて測定した公正価値

 なお、公正価値の測定に複数の指標を使用している場合には、その公正価値測定の全体において重要な最も低いレベルの指標に基づいてレベルを決定しています。

 レベル間の振替は各四半期の期首時点で発生したものとして認識しています。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、経常的に公正価値で測定する金融資産及び金融負債の公正価値は下記のとおりです。

 

2023年3月31日

 

 

(単位:百万円)

区分

レベル1

レベル2

レベル3

合計

純損益を通じて公正価値で測定する金融資産

 

 

 

 

有価証券及びその他の金融資産

 

 

 

 

資本性証券

335

28,352

28,687

負債性証券

8,684

4,145

4,959

17,788

デリバティブ資産

78,327

78,327

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産

 

 

 

 

有価証券及びその他の金融資産

 

 

 

 

資本性証券

234,175

104,445

338,620

合計

243,194

82,472

137,756

463,422

純損益を通じて公正価値で測定する金融負債

 

 

 

 

その他の金融負債

 

 

 

 

デリバティブ負債

49,385

49,385

合計

49,385

49,385

 

2024年3月31日

 

 

(単位:百万円)

区分

レベル1

レベル2

レベル3

合計

純損益を通じて公正価値で測定する金融資産

 

 

 

 

有価証券及びその他の金融資産

 

 

 

 

資本性証券

510

35,404

35,914

負債性証券

10,523

5,648

2,901

19,072

デリバティブ資産

132,410

2,171

134,581

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産

 

 

 

 

有価証券及びその他の金融資産

 

 

 

 

資本性証券

58,929

105,910

164,839

合計

69,962

138,058

146,386

354,406

純損益を通じて公正価値で測定する金融負債

 

 

 

 

その他の金融負債

 

 

 

 

デリバティブ負債

64,659

64,659

合計

64,659

64,659

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル3に分類される経常的に公正価値で測定する金融商品の増減は下記のとおりです。

 

2023年3月31日

 

 

 

(単位:百万円)

レベル3金融資産

資本性証券

負債性証券

デリバティブ資産

合計

期首残高

123,632

5,686

129,318

当期利益に認識した

利得(a)

777

96

873

その他の包括利益に認識した

損失(b)

△1,213

△1,213

購入及び取得

33,762

529

34,291

売却及び償還

△13,513

△521

△14,034

連結範囲の異動による影響

△13,964

△846

△14,810

その他

3,316

15

3,331

期末残高

132,797

4,959

137,756

期末に保有する金融商品に係る

未実現の利得(c)

766

96

862

 

2024年3月31日

 

(単位:百万円)

レベル3金融資産

資本性証券

負債性証券

デリバティブ資産

合計

期首残高

132,797

4,959

137,756

当期利益に認識した

利得及び損失(a)

512

△47

465

その他の包括利益に認識した

利得(b)

4,375

4,375

購入及び取得

10,408

39

2,095

12,542

売却及び償還

△8,176

△746

△8,922

連結範囲の異動による影響

△2,170

△14

△2,184

その他

3,568

△1,290

76

2,354

期末残高

141,314

2,901

2,171

146,386

期末に保有する金融商品に係る

未実現の利得及び損失(c)

480

△7

473

 

(a)当期利益に認識した利得及び損失は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結損益計算書上の金融収益及び金融費用に含まれます。

(b)その他の包括利益に認識した利得及び損失は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結包括利益計算書上のその他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動額に含まれます。

(c)各期末に保有する金融商品に係る未実現の利得及び損失は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結損益計算書上の金融収益及び金融費用に含まれます。

 

 公正価値の測定は、当社の評価方針及び手続に従って、財務部門により行われており、金融商品の個々の性質、特徴並びにリスクを最も適切に反映できる評価モデルを決定しています。また、財務部門は公正価値の変動に影響を与え得る重要な指標の推移を継続的に検証しています。検証の結果、金融商品の公正価値の毀損が著しい際は、部門管理者のレビューと承認を行っています。

 

④ その他

 公正価値で測定する金融商品のうち、取引関係の維持、強化を目的として保有する資本性証券については、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として分類しています。主な資本性証券の株式銘柄及び公正価値は下記のとおりです。

 

 2023年3月31日

(単位:百万円)

銘柄

金額

ルネサスエレクトロニクス

118,619

三菱HCキャピタル

39,459

JECC

22,298

Western Digital

15,556

東海旅客鉄道

14,229

日鉄興和不動産

9,810

本田技研工業

7,020

日本土地建物

5,438

Invivoscribe

5,341

第一三共

4,340

 

 2024年3月31日

(単位:百万円)

銘柄

金額

JECC

22,298

東海旅客鉄道

16,767

日鉄興和不動産

10,265

ロジスティードホールディングス

9,993

日本土地建物

5,643

Invivoscribe

4,845

第一三共

4,299

千葉銀行

3,784

日本原燃

3,667

サッポロホールディングス

3,628

 

 その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類される有価証券に係る受取配当金は、注22.金融収益及び費用に記載しています。

 

 その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類される有価証券に係る評価損益の累計額は、連結会計年度中に認識の中止を行ったものに係る部分を利益剰余金に振り替えています。前連結会計年度及び当連結会計年度における税引後の振替額は純額でそれぞれ、16,967百万円(利益)及び110,371百万円(利益)です。

 これらは主として、取引関係の見直しにより売却したもの、連結範囲の異動によるものです。

 前連結会計年度及び当連結会計年度において認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類している有価証券の公正価値及び累計利得・損失は下記のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

認識中止時点の公正価値

111,441

246,758

認識中止時点の累計利得・損失

23,754

148,808

 

(4)デリバティブとヘッジ活動

① 公正価値ヘッジ

 既に認識している資産又は負債とそれに対する公正価値ヘッジに指定したデリバティブの公正価値の変動は、発生した連結会計年度の純損益に計上しています。公正価値ヘッジとして指定したデリバティブには、営業活動に関連する先物為替予約契約と、資金調達活動に関連する通貨スワップ契約及び金利スワップ契約等があります。

 

② キャッシュ・フロー・ヘッジ

為替変動リスク

 将来の外貨建取引の有効なキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定した先物為替予約契約の公正価値の変動のうち有効なヘッジと判断される部分は、その他の包括利益に計上しています。ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で、その他の包括利益累計額に認識した金額を純損益に組み替えています。なお、ヘッジ対象に指定された予定取引により、非金融資産もしくは非金融負債が認識される場合、その他の包括利益として認識したデリバティブの公正価値の変動は、当該資産又は負債が認識された時点で、当該資産又は負債の取得原価その他の帳簿価額に直接含めています。

金利変動リスク

 長期性負債に関連したキャッシュ・フローの変動に対し指定した金利スワップ契約の公正価値の変動のうち有効なヘッジと判断される部分は、その他の包括利益に計上しています。その他の包括利益累計額は、その後、負債の利息が純損益に影響を与える期間にわたって支払利息に組み替えています。

 

当社は、ヘッジ会計を適用する際は、ヘッジ対象とヘッジ手段との間に経済的関係があることを確認するために、ヘッジ対象とヘッジ手段の重要な条件が一致しているか又は密接に合致しており、ヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動と、ヘッジ手段の公正価値又はキャッシュ・フローの変動とが相殺し合うかどうかの定性的な評価を通じてヘッジの有効性を評価しています。また、ヘッジ対象とヘッジ手段の経済的関係及びリスク管理方針に基づき適切なヘッジ比率を設定しています。なお、当連結会計年度において、純損益に認識したヘッジ非有効部分は重要ではありません。

 

2023年3月31日及び2024年3月31日現在におけるヘッジ手段の想定元本及び帳簿価額は下記のとおりです。なお、ヘッジ手段の帳簿価額は、連結財政状態計算書において「有価証券及びその他の金融資産」及び「その他の金融負債」又は「その他の非流動負債」に含まれています。

 

2023年3月31日

 

 

 

(単位:百万円)

ヘッジ手段

想定元本

帳簿価額

 

内、1年超

資産

負債

公正価値ヘッジ

 

 

 

 

為替リスク

196,388

76,303

25,192

553

金利リスク

41,120

27,767

1,048

キャッシュ・フロー・ヘッジ

 

 

 

 

為替リスク

234,313

31,136

8,375

5,561

金利リスク

173,589

173,589

18,765

合計

645,410

308,795

53,380

6,114

 

2024年3月31日

 

 

 

(単位:百万円)

ヘッジ手段

想定元本

帳簿価額

 

内、1年超

資産

負債

公正価値ヘッジ

 

 

 

 

為替リスク

515,005

5,964

39,357

642

金利リスク

46,458

15,141

515

キャッシュ・フロー・ヘッジ

 

 

 

 

為替リスク

511,522

53,517

22,713

6,638

金利リスク

196,833

196,833

18,910

合計

1,269,818

271,455

81,495

7,280

 

2023年3月31日及び2024年3月31日現在において公正価値ヘッジを適用しているヘッジ対象の帳簿価額は下記のとおりです。

 

2023年3月31日

 

 

(単位:百万円)

公正価値ヘッジの

ヘッジ対象

連結財政状態計算書

表示科目

帳簿価額

資産

負債

為替リスク

売上債権及び契約資産、有価証券及びその他の金融資産、買入債務、長期債務

58,872

137,516

金利リスク

有価証券及びその他の金融資産

41,120

合計

 

99,992

137,516

 

2024年3月31日

 

 

(単位:百万円)

公正価値ヘッジの

ヘッジ対象

連結財政状態計算書

表示科目

帳簿価額

資産

負債

為替リスク

売上債権及び契約資産、有価証券及びその他の金融資産、償還期長期債務、買入債務

344,572

170,433

金利リスク

有価証券及びその他の金融資産

46,458

合計

 

391,030

170,433

 

前連結会計年度及び当連結会計年度において公正価値ヘッジを適用しているヘッジ手段及びヘッジ対象の公正価値の変動並びにヘッジ対象の帳簿価額に含められたヘッジ対象に係る公正価値ヘッジ調整の累計額は重要ではありません。

 

前連結会計年度及び当連結会計年度においてその他の包括利益累計額に計上されたキャッシュ・フロー・ヘッジを適用しているヘッジ手段の公正価値の増減内容は下記のとおりです。

 

前連結会計年度

 

 

(単位:百万円)

 

期首残高

その他の包括利益に認識したヘッジ手段の公正価値の変動

ヘッジ対象資産及び負債の帳簿価額へ直接含めた金額

純損益への

振替額(a)

期末残高

為替リスク

△7,939

△10,150

△1,322

15,729

△3,682

金利リスク

13,180

5,566

19

18,765

合計

5,241

△4,584

△1,322

15,748

15,083

 

当連結会計年度

 

 

(単位:百万円)

 

期首残高

その他の包括利益に認識したヘッジ手段の公正価値の変動

ヘッジ対象資産及び負債の帳簿価額へ直接含めた金額

純損益への

振替額(a)

期末残高

為替リスク

△3,682

18,702

△2,220

2,041

14,841

金利リスク

18,765

145

18,910

合計

15,083

18,847

△2,220

2,041

33,751

 

(a)純損益への振替額は、連結損益計算書において、為替リスクについては主に「売上収益」「金融費用」に、金利リスクについては主に「支払利息」に含まれています。

 

(5)金融資産の証券化

当社及び一部の子会社は、資金調達の多様化を図り、安定的に資金を調達することを目的として、金融資産の証券化を実施しており、売上債権、リース債権等の金融資産を第三者である金融機関又は当該金融機関によって組成された事業体に譲渡しています。当社はこれらの証券化目的で組成された事業体に対する支配を有していないと判断し、連結していません。

これらの非連結の証券化目的で組成された事業体は、第三者である金融機関が事業の一環として運営しており、コマーシャル・ペーパーや借入といった手段で資金調達を行っています。当該事業体の投資家は、原則として、債務者の不履行に際して、当該事業体の保有する資産に対してのみ遡求でき、当社及び一部の子会社の他の資産に対しては遡求できません。当該事業体は当社及び子会社以外の顧客からも多額の資産を買い取るため、当該事業体の総資産に占める当社及び一部の子会社が譲渡した金融資産の割合は小さく、当該事業体が抱えるリスクへのエクスポージャーの評価に対する当社及び子会社の関連性は低くなっています。証券化を実施している当社及び一部の子会社による当該事業体に対する関与の内容は、主に債権の回収代行であり、契約外の支援の提供及び潜在的な支援の合意は行っていません。

当社及び一部の子会社による金融資産の証券化で、金融資産全体の認識が中止された譲渡に関して重要な継続的関与はありません。また、当社及び一部の子会社による証券化のうち、劣後の権益の保有等を通じ、金融資産に関連する信用リスクと経済価値の実質的に全てを保持している金融資産の譲渡については、金融資産全体の認識を中止していませんが、その残高は重要ではありません。

 

注26.担保資産

 長期及び短期借入金の一般的な契約条項として、銀行の要請がある場合には現在及び将来の負債に対し担保差入及び債務保証をすること並びに銀行は返済期日において又は債務不履行が生じた場合に、債務を預金と相殺する権利を有していることが規定されています。

 担保付社債の受託契約及び特定の担保付あるいは無担保の借入契約により、一般的に、受託者又は貸手は、配当の支払い及び新株式の発行を含む利益の分配に関し事前に承認を与える権利及び追加の担保又は抵当を要求する権利を有しています。

 当社及び一部の子会社は、主に銀行借入に対して下記のとおり、資産の一部を担保に供しています。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

売上債権及び契約資産

349

310

有価証券及びその他の金融資産

319

311

土地

2,002

2,167

建物及び構築物

2

3

機械装置及び運搬具

6,918

合計

2,672

9,709

 

注27.主要な子会社

 当社の連結財務諸表には以下の子会社の財務諸表が含まれます。

 

 

(2024年3月31日現在)

報告セグメント

名    称

住  所

議決権

に対する

所有割合

 

 

 

デジタルシステム&サービス

㈱日立情報通信エンジニアリング

神奈川県横浜市

100.0

デジタルシステム&サービス

日立チャネルソリューションズ㈱

東京都品川区

100.0

デジタルシステム&サービス

㈱日立ソリューションズ

東京都品川区

100.0

デジタルシステム&サービス

㈱日立システムズ

東京都品川区

100.0

デジタルシステム&サービス

GlobalLogic Worldwide Holdings, Inc.

アメリカ

カリフォルニア

100.0

デジタルシステム&サービス

Hitachi Computer Products (America), Inc.

アメリカ

オクラホマ

100.0

デジタルシステム&サービス

Hitachi Digital LLC

アメリカ

カリフォルニア

100.0

デジタルシステム&サービス

Hitachi Digital Services LLC

アメリカ

カリフォルニア

100.0

デジタルシステム&サービス

Hitachi Payment Services Private Limited

インド

チェンナイ

100.0

デジタルシステム&サービス

Hitachi Vantara LLC

アメリカ

カリフォルニア

100.0

グリーンエナジー&モビリティ

日立GEニュークリア・エナジー㈱

茨城県日立市

80.0

グリーンエナジー&モビリティ

㈱日立プラントコンストラクション

東京都豊島区

100.0

グリーンエナジー&モビリティ

㈱日立パワーデバイス

茨城県日立市

100.0

グリーンエナジー&モビリティ

㈱日立パワーソリューションズ

茨城県日立市

100.0

グリーンエナジー&モビリティ

Hitachi Energy Ltd

スイス

チューリッヒ

100.0

グリーンエナジー&モビリティ

Hitachi Rail Ltd.

イギリス

ロンドン

100.0

コネクティブインダストリーズ

㈱日立ビルシステム

東京都千代田区

100.0

コネクティブインダストリーズ

日立グローバルライフソリューションズ㈱

東京都港区

100.0

コネクティブインダストリーズ

㈱日立ハイテク

東京都港区

100.0

コネクティブインダストリーズ

㈱日立産機システム

東京都千代田区

100.0

コネクティブインダストリーズ

㈱日立インダストリアルプロダクツ

東京都千代田区

100.0

コネクティブインダストリーズ

㈱日立産業制御ソリューションズ

東京都台東区

100.0

 

 

 

 

(2024年3月31日現在)

報告セグメント

名    称

住  所

議決権

に対する

所有割合

 

 

 

コネクティブインダストリーズ

㈱日立プラントサービス

東京都豊島区

100.0

コネクティブインダストリーズ

日立電梯(中国)有限公司

中国

広州市

70.0

コネクティブインダストリーズ

Hitachi Global Air Power US, LLC

アメリカ

インディアナ

100.0

コネクティブインダストリーズ

Hitachi Industrial Holdings Americas, Inc.

アメリカ

イリノイ

100.0

コネクティブインダストリーズ

JR Technology Group, LLC

アメリカ

ミシガン

100.0

その他

㈱日立リアルエステートパートナーズ

東京都千代田区

100.0

その他

Hitachi America, Ltd.

アメリカ

カリフォルニア

100.0

その他

Hitachi Asia Ltd.

シンガポール

100.0

その他

日立(中国)有限公司

中国

北京市

100.0

その他

Hitachi Europe Ltd.

イギリス

ストーク ポージス

100.0

その他

Hitachi India Pvt. Ltd.

インド

ニューデリー

100.0

その他    540社

 

注28.関連当事者取引

(1)関連会社及び共同支配企業との取引

関連会社及び共同支配企業に対する当社及び子会社の債権債務残高は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

関連会社

2023年3月31日

2024年3月31日

売上債権及び契約資産

39,762

75,562

買入債務

40,398

37,128

契約負債

20,078

38,201

 

 

 

(単位:百万円)

共同支配企業

2023年3月31日

2024年3月31日

売上債権及び契約資産

59,742

70,882

 

関連会社及び共同支配企業に対する当社及び子会社の取引高は下記のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

関連会社

2023年3月31日

2024年3月31日

売上収益

164,164

163,852

仕入高

270,287

183,023

 

 

 

(単位:百万円)

共同支配企業

2023年3月31日

2024年3月31日

売上収益

76,980

81,156

仕入高

9,534

8,754

 

(2)当社の役員の報酬等の額

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

基本報酬、期末手当及び業績連動報酬

3,687

3,780

中長期インセンティブ報酬

1,279

1,888

合計

4,967

5,668

 

注29.コミットメント及び偶発事象

(1)貸出コミットメント

① 持分法適用会社等に対する貸出コミットメント

 2024年3月31日現在、当社は、持分法適用会社等に対する貸出コミットメントを行っています。当該業務等における貸出コミットメントに係る貸出未実行残高は、下記のとおりです。

 

(単位:百万円)

 

2024年3月31日

貸出コミットメントの総額

130

貸出実行残高

-

差引額

130

 

 なお、上記貸出コミットメント契約においては、貸出先の信用状態等に関する審査を貸出の条件としているものが含まれているため、必ずしも全額が貸出実行されるものではありません。

 

② 金融機関と締結したコミットメント

 当社は、事業活動の効率的な資金調達を行うため金融機関との間で貸出コミットメント契約を締結しています。2024年3月31日現在における貸出コミットメントに係る借入未実行残高は505,000百万円です。当社は、複数の銀行とコミットメントライン契約を結んでおり、対価として手数料を支払っています。契約期間は通常1年単位で、期間終了時には契約を更新しています。2024年3月31日現在のこれらの契約に関する借入未実行残高は305,000百万円です。その他に当社は、契約期間が3年で2025年7月を期限としたコミットメントライン契約を複数の金融機関と結んでおり、2024年3月31日現在の本契約に関する借入未実行残高は、200,000百万円です。

 

(2)資産の取得契約

2024年3月31日現在の有形固定資産購入契約残高は、20,702百万円です。

 

(3)債務保証契約

当社及び一部の子会社は、第三者に関する債務保証を行っています。2024年3月31日現在の債務保証残高は10,725百万円です。

 

(4)訴訟等

2017年11月に、日本の子会社は、一次下請けとして請け負ったマンション(以下、本件マンション)の杭工事において一部不具合が懸念されることにより生じた費用等につき、日本の発注者から、本件マンション施工会社、日本の子会社及び杭工事二次下請施工会社の3社に対し、損害賠償として約459億円を支払うよう求める訴訟の提起を受けました。その後、2018年7月に請求額を約510億円に変更する旨の申立てを受け、2022年9月に請求額を約505億円に変更する旨の申立てを受けました。

これに関連して、2018年4月に、本件マンション施工会社から、日本の子会社及び杭工事二次下請施工会社に対し、上記訴訟において損害賠償責任を負担した場合に被る損害につき、損害賠償として約496億円を支払うよう求める訴訟の提起を受け、2018年7月に請求額を約548億円に変更する旨の申立てを受けました。日本の子会社は、これらの請求に対し見解を主張していく方針ですが、一切の支払義務を負わないとの確証はありません。

 

2017年12月に、欧州の子会社は、欧州の顧客から、発電プラントの性能不良による逸失利益等として263百万ユーロ(42,940百万円)及びこれに対する利息の支払いを請求する旨の訴状を受領しました。また、2024年3月31日現在、損害賠償等請求額は270百万ユーロ(44,081百万円)に変更となっています。欧州の子会社は、この訴えに対して争う方針ですが、請求額について一切の支払義務を負わないとの確証はありません。

 

当社及び子会社が実施する事業再編等において、事業再編後に契約条件に基づき価格が調整されるプロセスが含まれる場合があります。また、当社及び子会社が提供した製品及びサービスに関し欠陥や瑕疵等が発生する場合があります。これらの事業再編における価格調整並びに、製品及びサービスに関する補償等の結果、支払が生じる可能性があります。

 

上記の訴訟等の結果によっては、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がありますが、現時点においてその影響額は未確定であり、罰金、課徴金又は訴訟等に基づく支払額は引当計上した金額と異なる可能性があります。

 

上記の他、当社及び子会社に対し、訴訟を起こされています。当社の経営者は、これらの訴訟から債務の発生があるとしても連結財務諸表に重要な影響を与えるものではないと考えています。

 

注30.後発事象

(1)重要な自己株式の取得

 当社は、2024年4月26日開催の取締役会において、以下のとおり、会社法第459条第1項及び当社定款第32条の規定に基づき、自己株式の取得枠を設定することを決議しました。

① 取得の理由

 当社は、中長期的な企業価値の向上と継続的な配当の実施を通じて、株主へ利益を還元していくことを重要な経営課題と位置づけています。この度、当社の財務状況及び資産売却の進捗等に鑑み、株主への利益還元の拡充のため、自己株式の取得を実施することを決定しました。

② 取得に係る事項の内容

(ⅰ)取得対象株式の種類

普通株式

(ⅱ)取得し得る株式の総数

2,100万株(上限)(注)

(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合2.27%)

(注)「(2)株式分割及び株式分割に伴う定款の一部変更」記載の株式分割効力発生日(2024年7月1日)の後、取得し得る株式の総数は、1億500万株となります。

(ⅲ)株式の取得価額の総額

2,000億円(上限)

(ⅳ)取得期間

2024年4月30日~2025年3月31日

(ⅴ)取得方法

東京証券取引所における市場買付を予定

 

(2)株式分割及び株式分割に伴う定款の一部変更

  当社は2024年4月26日に、株式分割及び発行可能株式総数を変更する定款の一部変更について決定しました。

① 株式分割の目的

 株式分割を行い、投資単位当たりの金額を引き下げることにより、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的としています。

② 株式分割の概要

(ⅰ)分割の方法

 2024年7月1日付で、同6月30日最終の株主名簿に記録された株主の所有株式について、1株につき5株の割合で分割します。

(ⅱ)分割により増加する株式数

 本株式分割前の発行済株式総数         927,167,877株

 本株式分割により増加する株式数     3,708,671,508株

 本株式分割後の発行済株式総数       4,635,839,385株

 本株式分割後の発行可能株式総数    10,000,000,000株

 上記の株式数は2024年3月31日現在の発行済株式総数を基準として算出しており、株式分割基準日までに変動する可能性があります。

③ 日程

  基準日公告日  2024年6月14日

  基準日        2024年6月30日

  効力発生日    2024年7月1日

④ 発行可能株式総数の変更

  2024年7月1日をもって、発行可能株式総数を10,000,000,000株に変更します。

 

⑤ 1株当たり情報に及ぼす影響

 本株式分割が前連結会計年度の期首に行われたと仮定した場合の、前連結会計年度及び当連結会計年度における1株当たり情報は以下のとおりです。

 

 

2023年3月31日

2024年3月31日

1株当たり親会社株主持分

1,054円39銭

1,231円08銭

基本1株当たり親会社株主に帰属する当期利益

136円91銭

126円91銭

希薄化後1株当たり親会社株主に帰属する当期利益

136円78銭

126円75銭

 

⑥ その他

 今回の株式分割に際して、資本金の額に変更はありません。

 今回の株式分割は、2024年7月1日を効力発生日としていますので、2024年3月31日を基準日とする2024年3月期の期末配当については、株式分割前の株式数を基準に実施します。

 

注31.連結財務諸表の承認

 連結財務諸表は、2024年6月21日に執行役社長兼CEO小島啓二により承認されています。

 

(2)【その他】

 

① 当連結会計年度における四半期情報等

 

   第1四半期

  連結累計期間

(自2023年4月1日

 至2023年6月30日)

   第2四半期

  連結累計期間

(自2023年4月1日

 至2023年9月30日)

   第3四半期

  連結累計期間

(自2023年4月1日

 至2023年12月31日)

    第155期

 

(自2023年4月1日

 至2024年3月31日)

売上収益(百万円)

2,322,488

4,960,069

7,218,154

9,728,716

税引前四半期(当期)利益

(百万円)

115,485

322,056

642,107

825,801

親会社株主に帰属する

四半期(当期)利益

(百万円)

70,021

209,103

445,092

589,896

1株当たり親会社株主に帰属する四半期

(当期)利益(円)

74.79

224.14

478.24

634.57

 

 

 

 

 

 

   第1四半期

  連結会計期間

(自2023年4月1日

 至2023年6月30日)

   第2四半期

  連結会計期間

(自2023年7月1日

 至2023年9月30日)

   第3四半期

  連結会計期間

(自2023年10月1日

 至2023年12月31日)

   第4四半期

  連結会計期間

(自2024年1月1日

 至2024年3月31日)

1株当たり親会社株主に帰属する四半期利益(円)

74.79

149.61

254.77

156.32