当社の本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下の通りです。また、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするテクノロジーやサービスを提供する企業グループとなることを目指すとともに、企業価値の最大化を図っています。
(2)重視する経営指標
当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ㈱が、子会社・関連会社および投資先を投資ポートフォリオとして統括するマネジメント体制の下、保有株式価値の増大を通じてNAV(Net Asset Value:保有株式価値-調整後純有利子負債で算出(注1))を中長期的に最大化することを目指しています。また、これを支えるための財務方針として、財務の安定性を確保するという観点から、ソフトバンクグループ㈱のLTV(Loan to Value:調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出(注1)。保有資産に対する負債の割合)を金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、今後2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保しています。
(注1)保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、上場子会社であるソフトバンク㈱(LINEヤフー㈱およびPayPay㈱をはじめとする子会社を含む)およびアーム、ならびにSVF1、SVF2、LatAmファンドなど独立採算で運営される事業体に帰属する有利子負債および現預金等(債券投資を含む)を除く。なお、SB Northstarの有利子負債(ただし、特定の有利子負債を除く)および現預金等(債券投資を含む)は調整後純有利子負債の算出に含む。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、情報技術の発展によって社会やライフスタイルが変革する「情報革命」を主要な成長機会として確実に捉え、長きにわたり人々の幸せに貢献していきたいと考えています。そのためには、社会ニーズの変化をいち早く捉え、今後の牽引役となるテクノロジーやビジネスモデルに合わせてグループの構成を最適化しながら自己変革を繰り返していくことが不可欠です。現在、人工知能(AI)がさまざまなビジネスモデルに組み込まれることにより、価値創造の在り方が塗り替えられ、多くの産業が再定義されようとしています。こうした中、当社は、AIの進化と普及がもたらす市場拡大や新産業創出といった大きな機会を確実に捉えるため、ソフトバンクグループ㈱による戦略投資のほか、SVFを通じた投資を行っています。さらに「群戦略」という独自の組織戦略の下、各投資先が刺激を与え合いながらそれぞれの事業の拡大やビジネスモデルの進化を可能にすることで、各投資先の企業価値、ひいては当社の保有株式価値の向上を図っています。
「群戦略」とは 「群戦略」は、特定の分野において優れたテクノロジーやビジネスモデルを持つ多様な企業群が、それぞれ自律的に意思決定を行いつつも、資本関係と同志的結合を通じてシナジーを創出しながら共に進化・成長を続けていくことを志向するものです。ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、群を構成する各企業の意思決定に影響を与えつつも、自律性を重んじ、出資比率は過半にこだわらず、ブランドの統一を志向しません。こうした多種多様な企業でグループを構成することにより、柔軟に業容を変化・拡大させ、長期にわたり成長を続けることを目指しています。
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(4)経営環境および優先的に対処すべき課題
世界の株式市場は米国・欧州中央銀行による金融引き締めや地政学リスクの高まりの影響で前期に下落したものの、多くの市場が当期は上昇基調で推移しました。当期において、上期は、米国景気の先行きを巡って見方が分かれる中でも、生成AIへの期待の高まりを背景に米国半導体企業および大型テクノロジー企業の株価が上昇しました。その後、利上げ打ち止めとその後の利下げ期待、米国景気が軟着陸するとの見方が広がったことで、2023年10月後半には米国長期金利が低下に転じ、下期は米国株式市場全般が上昇基調で推移しました。米国以外では、香港や上海に上場する中国企業の株価は厳しい状況が続いたものの、株高の流れが日本やインドをはじめ世界的に広がりを見せました。ベンチャー・キャピタル市場においては、2023年の米国の投資総額は依然として2021年の水準を大幅に下回ったものの(注2)、生成AIを手掛ける有力企業に対して活発に投資が行われました。新規株式公開(IPO)市場においては、2023年の米国のIPO件数は引き続き前年を下回ったものの(注2)、2023年末から本格的な再開の機運が高まっていると考えられます。
かかる経営環境において、当社は中長期的にNAVを最大化させるために以下1~3に注力しています。また、当社保有株式価値に占める割合が大きく、最重要資産と位置付けられるアーム、SVFおよびソフトバンク㈱はそれぞれの株式価値の拡大を図るため以下4~6に挙げた取り組みを行っています。
(注2)CBインサイツ『State of Venture 2023 Report』による。
1 既存投資先の価値拡大と新規投資の実行
2023年9月にIPOを果たしたアームの株価が当期末までに大幅に上昇したことにより、当社の保有株式価値およびNAVは前期末から大幅に増加しました。アームを中核とした現在のポートフォリオは、主にAIの進化を支えるハードウエアレイヤーからAIを活用したアプリケーションレイヤーまで幅広い投資先で構成されており、AIによって生まれつつある新潮流を捉えるための基盤が整っています。その上で将来の成長をより着実なものにするため、当社は既存投資先のさらなる価値拡大に取り組むとともに、成長性の高いAI関連企業への新規投資を進めています。
既存投資先のうちアームおよびソフトバンク㈱については、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下でそれぞれが後述の成長戦略を着実に遂行することで、当社保有株式価値の拡大につながると期待しています。SVFについては、今後、IPO市場の本格的な再開に伴い投資先の株式公開とその後のエグジットが順次進んでいくと期待しています。また、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却の機会も引き続き探っていきます。
新規投資については、エグジットによる回収資金も活用しつつ、AIという投資テーマに基づき投資案件を厳選し、経営に深く関わることで付加価値を提供できるような戦略投資についてはソフトバンクグループ㈱または100%子会社から行い、それ以外はSVFを通じた投資を行うことを想定しています。
2 財務方針の堅持
当社は、「(2)重視する経営指標」の通り、ソフトバンクグループ㈱のLTVを金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保することを財務方針として掲げています。
前期は新規投資を大幅に抑制するとともに資産の資金化や負債の返済を進める「守り」を徹底し、財務基盤を大幅に強化しました。当期は投資を徐々に再開しましたが、LTVは依然として25%を大幅に下回る水準で推移しました。2年分の社債償還資金を大きく上回る潤沢な手元流動性とあわせて、当社の財務は極めて安全な状態にあると考えており、今後の成長投資に向けて十分な調達余力を有していると認識しています。
来期以降、NAVのさらなる拡大に向けて継続的に新規投資を実行する中で、LTVは市場環境に合わせた適切な水準に回帰していくことが見込まれますが、当社は、新規投資や保有株式価値の状況に応じて適切に純有利子負債をコントロールするとともに、資産の資金化や子会社を含む投資先からの配当収入および分配金なども得ることで、財務方針を遵守していきます。
3 サステナビリティの推進
当社は、社会の持続的な発展と当社の中長期的な成長の両立を実現するために、企業活動においてサステナビリティを推進することが重要だと考えています。こうした考えの下、サステナビリティに関するリスクおよび機会を認識した上で、それぞれのリスクの軽減と機会の追求に取り組んでいます。
詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
4 アーム:AI革命を捉えた成長戦略の遂行
アームは、半導体技術が世界で最も重要な資源の一つとなった現在、半導体技術開発のグローバル・リーダーとしてこれからのコンピューティングの在り方を左右する存在になりつつあると当社では認識しています。アームのプロセッサー・テクノロジーは、高機能プロセッサーとしては世界で最も広くライセンス供与・採用されており、スマートフォンではほぼ全て、タブレットとデジタルテレビのほとんどで使用されているほか、組込プロセッサー用チップでも高い割合で搭載されています。
世界中の2,800億台以上のデジタル機器に採用されているアームのアーキテクチャーは、高性能と高エネルギー効率を両立しており、クラウドからエッジ、エンドポイントに至るまで、現在そして未来のAIワークロードを実行するために一貫性がありセキュアな基盤を提供しています。当社は、アームはAIが築く未来の根幹を支えていくと考えています。
現在、生成AIや大規模言語モデルをはじめとするAI技術の進展・普及が、アームの技術に対する需要を加速度的に後押ししています。多くのAIアルゴリズムは非常に計算量が多く、質問に対する答えを迅速に提供するために高性能な中央演算処理装置(CPU)を必要とします。現在AI処理の多くはクラウド上で行われていますが、スマートフォンや自動車等の端末側でリアルタイムにデータを処理するエッジAI(注3)へのシフトが着実に進んでいます。アームが提供する高性能かつエネルギー効率に優れたCPUは、エッジAIにおける推論を実行するために最適なソリューションであり、エッジ・コンピューティング(注3)の進化とともに、AI時代におけるアームの存在感は高まっていると認識しています。
アームは持続的な成長のため、以下に挙げた市場シェアの維持・拡大、ロイヤルティー単価の増加、およびエコシステムの強化に継続的に取り組んでいます。
(注3)スマートフォンや防犯カメラ等の利用者側の端末(エンドポイント)やその近くに設置するサーバーなどのネットワーク周縁(エッジ)部分でデータを処理するコンピューティング手法をエッジ・コンピューティングといい、データをクラウドに集約しクラウド上の高性能サーバーで処理を行うクラウド・コンピューティングに対し、不要な通信を避けることで通信遅延やネットワーク負荷の低減などを実現する。この仕組みをAI処理に応用・発展させたものをエッジAIという。
a. 市場シェアの維持・拡大
アームは、99%以上のシェアを持つモバイル・アプリケーション分野に加えて、自動車やクラウド・サーバー分野を中心に市場シェアを拡大しています。アームの顧客は、未来のAIアルゴリズムを実行するために欠かせない高性能かつ高エネルギー効率のチップを開発するための投資を加速しており、アームのテクノロジーに対する需要が増加しています。アームは、各エンドマーケットに特化した幅広いコンピュート・テクノロジー・ポートフォリオの提供に加えて、顧客がより高いライセンス料を支払うことでより広範なアームのテクノロジーにアクセス可能となるサブスクリプション型のライセンス契約を導入するなど、市場シェアの拡大に向けた柔軟な取り組みを行っています。アームは今後も、技術革新の最前線で、次世代のコンピューティング・デバイスのために必要な半導体IP(回路の設計情報などの知的財産)を提供していくことを企図しています。
b. ロイヤルティー単価の増加
AIが急速に進化を遂げる中、高性能かつ高エネルギー効率のチップへの需要が高まり、チップ設計はますます複雑化しています。近年、アームの最新世代テクノロジーである「Armv9」や、アームの複数のIPを組み合わせたコンピュート・サブシステム(CSS)の採用が、ハイエンドのスマートフォン向けチップやサーバー向けチップを中心に進んでいます。CSSはアームのCPUと他のオンチップ・テクノロジーを組み合わせたもので、事前に統合・検証され、主要なファウンドリー(半導体受託生産事業者)の製造プロセスのために最適化されています。CSSの採用により、顧客はより短い期間でより簡単にチップを設計し、市場投入までの時間を短縮することが可能になります。アームは、「Armv9」やCSSといったより高度な技術のチップ当たりのロイヤルティー単価を高く設定しており、ロイヤルティー収入を牽引役とした中長期的な売上高の拡大を実現するため、これらの技術の普及・拡大を推し進めています。
c. エコシステムの強化
アームの成長は、アームベースの製品向けにソフトウエアを開発する1,500万人を超えるエンジニアから成るエコシステムにより下支えされています。プログラムやアプリケーションは特定のCPUアーキテクチャー上で最適に動作するように作られるため、より多くのソフトウエアと互換性があることがCPUの成功を左右します。アームは過去30年以上にわたり、ソフトウエアエンジニアがアームベースのチップ向けにプログラムやアプリケーションを効率的に開発するために必要なツールやライブラリーを提供するなど、エコシステムの構築・醸成に注力してきました。今後も、あらゆる場所でAIがアームの基盤上で動作するために必要なエコシステムへの投資を継続していきます。
5 SVF:投資リターンの最大化
SVF1、SVF2およびLatAmファンドは、主にAIを活用した成長可能性の大きなテクノロジー企業への投資を目的としたファンドです。各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とLatAmファンドを運営するSBGA、以下総称して「ファンド運営子会社」)は、以下の取り組みを通じてそれぞれの存続期間の中で各投資ファンドのリターンの最大化を目指しています。
a. さまざまな地域やセクター、テクノロジーへの分散投資
SVF1、SVF2およびLatAmファンドはいずれも、存続期間が設立から10年超の長期にわたる私募投資ファンドです。AIという投資テーマの下、中長期的な視点からさまざまな地域やセクター、テクノロジーに分散投資を行うことで、株式市場の変動を乗り越えながら、中長期的なリターンの創出に取り組んでいます。
b. 投資先価値向上の追求
ファンド運営子会社は、既存投資先の中で株式価値の大きい会社またはその向上の余地の大きい会社を選定し、さまざまな戦略的支援やネットワークを通じて投資先の持続的な成長を促すことにより、SVFの保有株式価値の最大化を追求しています。具体的には、当社およびその投資先、取引先までを含めたエコシステムを通じてパートナーシップや協力関係を築くことにより、収益性と成長性を高める機会を捉え、実行することを目指しています。また、投資先の経営陣が成長を模索する中、クロスボーダーでの事業拡大や収益性改善のための助言を提供するとともにガバナンス体制のモニタリングを行い、投資先の健全な成長を支援しています。
c. 最適な出口戦略による投資回収
ファンドのリターン、ひいてはソフトバンクグループ㈱を含むリミテッド・パートナーへの分配を最大化するために、ファンド運営子会社は規律あるアプローチの下で適時・適切な保有資産のエグジットを実施する方針です。エグジットは、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却、または投資先の上場を通じて行われます。投資先の上場後は、投資時の計画に対するパフォーマンスや市場環境、株価の動向を慎重に評価しつつ、計画的に売却する仕組みを設定しています。また、株式を担保とした資金調達を行いリミテッド・パートナーへの分配を行う一方、リターンを最大化するために実際の売却は最適と考えるタイミングで行うこともあります。
当期においては、SVFの投資先5社が上場を果たし、活動開始以来累計の上場社数は50社となりました。SVFは長期投資ファンドであり、ファンド運営子会社は最適なエグジットの手段・時期を見極め、短期的な市場の変動による影響を抑えながら、中長期的な視点でリターンの最大化を目指しています。
d. 適切な運用体制の構築
投資の成功の再現性を高め、持続的にリターンを生み出すためには、それを可能にする組織体制を構築すること、特に優秀な人材の確保および維持が不可欠です。ファンド運営子会社では、投資銀行やベンチャー・キャピタルなどで豊富な経験を積んだシニア・リーダーたちが運営に当たっています。これまでに、グローバル展開およびポートフォリオ管理のためのニーズと規模を満たす投資・運用・資金調達・管理の各機能およびマネジメント陣を備えた組織を築き、継続的にその改善を行っています。こうした専門家集団によるチームアプローチを取ることにより、組織的に知見の蓄積・共有を図り各投資ファンドの持続的な成長を目指しています。
6 ソフトバンク㈱:「Beyond Carrier」戦略の遂行
コロナ禍をきっかけとした人々の生活様式の変化や深刻化する人手不足に対応するため、テレワークやオンラインショッピング、非接触型決済の利用拡大など、企業や行政のデジタル化は必要不可欠となりました。デジタル化は、生産性向上やイノベーションの創発を促すことで今後の日本の社会を変革していく原動力となっています。加えて、文章・画像・プログラムコードなどさまざまなコンテンツを生成することができる生成AIにより、この変革のスピードは加速すると考えています。
こうした中、当社で国内事業を担うソフトバンク㈱は、成長戦略「Beyond Carrier」の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的に事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指しています。具体的には、①通信事業のさらなる成長、②エンタープライズ事業におけるDX/ソリューションビジネスの拡大、③メディア・EC事業の成長、④ファイナンス事業の成長、および⑤新規事業の創出・拡大に加え、⑥コスト効率化に取り組んでいます。
財務戦略としては、ソフトバンク㈱は、調整後フリー・キャッシュ・フロー(注4)を重要な経営指標と考えており、高い株主還元を維持しながら、成長への投資を実施していくため、今後も同フリー・キャッシュ・フローの安定的な創出を目指しています。また、健全な財務体質を維持しつつ、適切な財務レバレッジを伴った資本効率の高い経営を行っていきます。
なお、メディア・EC事業の中心的な企業であるLINEヤフー㈱は、2023年11月に公表した不正アクセスによる情報漏洩に関して、2024年3月および4月に総務省から行政指導を、同年3月に個人情報保護委員会から勧告および指導を受けました。同社では、今回の行政指導および勧告・指導を真摯に受け止め、安全管理措置および委託先管理の抜本的な見直しや対策の強化、セキュリティガバナンスの本質的な見直しや強化を進めるとともに、再発防止策を順次実施していきます。ソフトバンク㈱は、同社の親会社として、実効的なセキュリティガバナンス確保の方策を検討していきます。
(注4)調整後フリー・キャッシュ・フロー=フリー・キャッシュ・フロー+(割賦債権の流動化による調達額―同返済額)
(1)サステナビリティに関するガバナンス
ソフトバンクグループ㈱は、取締役会において、グループ全体のサステナビリティ推進の責任者として、チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSusO)を任命するとともに、当社およびグループ会社のサステナビリティに関する活動を推進するため、サステナビリティビジョン・基本方針などの全体方針、サステナビリティに関する課題・目標設定・情報開示方針などの個別活動方針およびサステナビリティ推進体制・運営方針などを継続的に議論するサステナビリティ委員会を設置しています。同委員会は、CSusO(IR部長 兼 サステナビリティ部長)を委員長、取締役 専務執行役員 CFO 兼 CISO(注1)(財務統括 兼 管理統括)、常務執行役員(経理統括)、執行役員 CLO(注2)兼 GCO(注3)(法務統括)の3名を委員として構成されており、関係部門の責任者も出席し、専門的な知見や複合的な視点を交え、ステークホルダーからの要請を踏まえながら議論を行っています。サステナビリティ委員会の議論内容についてはCSusOが取締役会に報告し、監督を受けています。当期中、サステナビリティ委員会は2023年4月、10月および12月の計3回開催され、各回の議論内容は取締役会にて報告されました。
(注1)チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー
(注2)チーフ・リーガル・オフィサー
(注3)グループ・コンプライアンス・オフィサー
(2)サステナビリティに関するリスク管理
ソフトバンクグループ㈱では、リスク管理室が「リスク管理ポリシー」に基づき、グループ全体のリスクを統合的に管理しています。そのうちサステナビリティに関するリスクは、CSusOの下、サステナビリティ部が主要なグループ会社やソフトバンクグループ㈱の各部門から報告を受けて情報を収集し、サステナビリティ委員会での議論を踏まえて特定しています。また、上記グループ全体のリスク管理プロセスの枠組みに基づき、特定されたリスク、その対応策および対応状況についてリスク管理室へ報告しています。
リスク管理室は、サステナビリティを含む各種リスクおよびその対応策を分析・評価し、グループの持続的成長へ大きな影響を与える重大リスクについては、各リスクの関係者と連携し、対応策の検討や、対応策の有効性をモニタリングしています。また、ソフトバンクグループ㈱の取締役会や、取締役および執行役員で構成されるグループ・リスク・コンプライアンス委員会(GRCC)に、重大リスクとその対応状況を報告し、そこでの議論結果を踏まえてリスク管理の強化に努めています。
<サステナビリティガバナンス・リスク管理体制図>
(3)サステナビリティに関する重要課題
ソフトバンクグループ㈱は、株主、債権者、顧客、取引先、従業員、地域社会などのステークホルダーの期待に真摯に向き合い、持続的な社会の実現に貢献するために、当社のサステナビリティに関する指針として「ソフトバンクグループサステナビリティ基本方針」を定めています。本方針において、ダブルマテリアリティの考え方に基づき、ステークホルダーにとっての重要性および当社にとっての重要性の2軸で取り組むべき課題を分類した上で、優先して取り組むべきサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を特定しています。
ソフトバンクグループ㈱は、2020年度に特定した8項目のマテリアリティについて、その後の当社を取り巻く社会環境や事業環境などの変化を踏まえ、2024年1月に10項目へ見直しを実施しました。
マテリアリティ |
コンセプト |
責任あるAI |
常に情報革命の最先端に立ち、責任あるAIの活用を通じて新たな価値を創造し、人々の幸せに貢献します |
気候変動 |
多様な企業群の事業活動を通じてグローバルな気候変動の課題解決に挑みます |
人的資本 |
価値創造の源泉である人材の挑戦と活躍を支える基盤を整えることで、持続的な成長を目指します |
プライバシー保護/情報セキュリティ |
情報革命の担い手として、情報資産の保護に真摯に取り組み、安心・安全なデジタル社会の実現を牽引します |
投資先のサステナビリティ |
戦略的投資持株会社として、投資を通じて、投資先とともに、持続可能な社会の実現に貢献します |
コーポレート・ガバナンス |
自由・公正・革新の基本思想の下、透明性や実効性が確保されたガバナンス体制を強化します |
デジタルインクルージョン |
情報革命を推進することで、誰もがテクノロジーの恩恵を享受できるデジタルデバイドのない世界を目指します |
人権の尊重 |
事業活動のあらゆる場面において、サプライチェーンなどを含む全ての人々の人権を尊重します |
自然資本の保全 |
地球市民の一員として、地球環境の保存に真摯に取り組んでいきます |
サプライチェーンのサステナビリティ |
あらゆる事業活動において、ステークホルダーと協働し、持続可能なサプライチェーンの構築を追求します |
マテリアリティのうち、特に優先度の高いマテリアリティとして「責任あるAI」「気候変動」「人的資本」の3つを特定し、目標・アクションプランを設定した上で、継続的に取り組み状況のモニタリングを実施します。
(4)責任あるAIに関する取組
ソフトバンクグループ㈱は、ワーキンググループを設置した上で、ワーキンググループでの議論を通じて適切なグループAIガバナンス体制の確立を目指していきます。
ソフトバンクグループ㈱は、2024年4月に「AIガバナンスワーキンググループ」を設置し、議論を開始しています。
(5)気候変動に関する取組
ソフトバンクグループ㈱は、TCFD提言に基づく情報開示を行うとともに、温室効果ガス排出量の削減に向けたグループ目標の設定およびグループ目標達成に向けた削減計画の策定を行うなど、積極的に対応を進めています。
a.戦略
ソフトバンクグループ㈱は、持株会社投資事業およびソフトバンク・ビジョン・ファンド事業(以下、併せて「当社投資事業」)を対象として、当社投資事業における気候変動リスク・機会の洗い出しと影響の分析、対応策の検討を行っています。
具体的には、世界全体の脱炭素化が進展する1.5℃シナリオと、脱炭素化が進まず気候変動の影響が顕在化する4℃シナリオの2種類の気候変動シナリオを用いて、リスク・機会を洗い出すとともに、脱炭素社会への移行に伴う影響および気候変動による物理的な影響の分析を行いました。これらに基づき、当社として必要となる具体的な対応策を検討し、取り組みを進めています。
<当社投資事業におけるリスク・機会と対応>
(a)リスク・機会の概要
当社投資事業で想定される気候変動のリスク・機会の概要は、以下の通りです。
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機会 |
リスク |
新規投資 |
気候変動対策関連のテクノロジーやサービスを提供する企業(気候テック等)への新規投資による投資利益獲得 |
当社の気候変動対応が不十分な場合に、投資先候補から投資受け入れを忌避されることによる投資機会の減少 |
既存投資 |
既存投資先の気候変動対応による投資先の企業価値向上 |
既存投資先の気候変動対応が不十分であることによる投資先の企業価値低下 |
資金調達 |
当社が着実な気候変動対応を行うことによる投資家からの支持獲得を通じた資金調達機会の拡大 |
当社の気候変動対応が不十分な場合に、投資家からの評価が低下することによる資金調達機会の減少 |
(b)リスク・機会の当社への影響の認識
当社の気候変動対応が著しく不十分である場合、上記のような投資機会や資金調達機会の減少につながるリスクがあるものの、当社が温室効果ガス排出量の削減などの着実な気候変動対応を行うことで、こうしたリスクは十分に回避できると考えます。また、既存投資先における気候変動リスクについては、当社が投資する多くのAI企業は、温室効果ガス排出量が比較的少なく、また大規模な生産拠点や複雑なサプライチェーンを持たないことが多いため、移行リスク・物理的リスクの両面で影響は限定的であると想定しています。
一方で、当社は「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、新しいテクノロジーやビジネスモデルを有する起業家とのエコシステムの構築を通じて、人類の進歩に投資し、人々の幸せに貢献することを目指しています。深刻化する自然災害などが人々の生活にさまざまな悪影響を与える中、気候変動対策に寄与するテクノロジーやサービスを提供する企業への積極的な投資が、経営理念の実現につながると同時に気候変動の解決にも大きく貢献しうるものと考えます。
(c)リスク・機会への対応
上記の気候変動リスク・機会を踏まえ、当社は、以下の対応策を実施しています。
気候テック等への投資 |
気候変動対策関連のテクノロジーやサービスを提供する企業への投資 |
投資プロセスにおける対応 |
投資プロセスにおける気候変動リスク・機会の評価の組み込み |
投資先エンゲージメント |
投資先を対象としたワークショップの開催などを含む気候変動に関する投資先エンゲージメントの実施 |
温室効果ガス排出量の削減 |
再生可能エネルギー由来の電力への切り替えなど、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減 |
b.指標と目標
ソフトバンクグループ㈱は、事業活動に伴う温室効果ガス排出量のさらなる削減を目指し、2022年6月に「2030年度までにカーボンニュートラル達成」(注)というグループ目標を設定しました。本目標の達成に向けて、2024年3月に削減計画を策定するとともに、グループ全体で、再生可能エネルギー由来の電力への転換や省エネルギー化などに取り組んでいます。
(注)対象はソフトバンクグループ㈱および主要子会社の事業活動に伴う温室効果ガス排出(スコープ1および2)です。
(6)人的資本に関する取組
当社は、人材は価値創造の源泉であり、持続的成長を支える重要なステークホルダーと捉え、社員が個性や能力を最大限に発揮しながら、挑戦し活躍できる社内環境を整備することが企業価値の向上につながると考えています。
a.人材戦略
ソフトバンクグループ㈱は、自律的でプロフェッショナルな人材を確保し、成長と活躍を支援することを人材戦略として、継続的な取り組みを行っています。具体的な取り組みについては「
なお、子会社・グループ会社の人材戦略は、同志的結合を通じて共に成長していく「群戦略」に基づき、各社の意思決定を尊重しています。
b.多様性に富んだ人材マネジメント
(a)コア能力を重視したプロフェッショナル採用
ソフトバンクグループ㈱では、Professionalism・Smart・Relationの「3つのコア能力」を重視したプロフェッショナル採用を行っています。年齢、性別、国籍、障がいの有無などにかかわらず、ポジションに最適な人材を配置することを基本とし、優秀かつ多様な人材を確保しています。
(b)ダイバーシティ&インクルージョン
ソフトバンクグループ㈱は、企業の成長を支える原動力である社員が、個性と能力を最大限に発揮できるアサインメントに努めており、年齢、性別、国籍、障がいの有無などを問わない人材採用や管理職登用を推進し、誰もが活躍できる多様性に富んだ職場環境を実現しています。
特に女性の活躍推進については、2024年3月末時点で全社員の46.2%、管理職の25.0%を女性が占め、高度な専門性を活かした職務に従事しており、今後も女性のさらなる活躍を推進していきます。なお、2024年3月に女性活躍推進法に基づくえるぼし(3段階目)を獲得しました。
2024年3月末時点
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男性 |
女性 |
社員比率 |
53.8% |
46.2% |
平均年齢 |
42.7歳 |
40.1歳 |
平均勤続年数 |
10.4年 |
10.3年 |
管理職比率 |
75.0% |
25.0% |
また、障がい者雇用率は、2024年3月末時点で法定雇用率2.3%に対して2.8%を達成していますが、さらなる雇用率の向上を目指し、採用活動を継続しています。
(c)評価・報酬
ソフトバンクグループ㈱では、積極的に挑戦する社員を尊重し、その成果に正しく報いるため、人事評価は信賞必罰の原則に基づいて給与・賞与額に反映しています。
さらに、オーナーシップを持って業務に取り組むように、人事評価に基づいて株式報酬を支給するなど、企業価値向上への貢献を重視した制度になっています。
なお、2023年度における正社員の男女別報酬水準は、管理職では、男性100に対して女性が約68、非管理職では同約85、全体では同約52となっています(連結子会社の状況につきましては、「
c.自律的で継続的な人材育成
(a)キャリア開発
ソフトバンクグループ㈱は、社員が自律的にキャリア開発に取り組むことを重視しています。上長との継続的な1on1ミーティングや同僚からの多面的な360度フィードバックなど、個々の気づきの機会を提供することにより、社員が内省や振り返りを行いながら成長することを促しています。
(b)教育・研修
ソフトバンクグループ㈱は、社員一人ひとりが業務に必要な知識やスキルを自発的に習得できる環境を提供しています。具体的には、いつでも自由に受講できる英会話教育や当社内で運営する「ソフトバンクユニバーシティ」といった研修プログラムを提供するほか、社外の研修も受講できるよう、各部門に教育予算を配分しています。
さらに、業務遂行に必要な各種資格の登録や維持に関する費用を会社が負担することで、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士などのプロフェッショナルな人材の高度化をサポートしています。2023年度には、約12%の社員に対して支援を行いました。
(c)グループ人材育成制度
当社は、社員が自発的に人事異動を実現できる「フリーエージェント制度」や、次世代のグループ経営人材を発掘・育成するための「ソフトバンクアカデミア」、さらには戦略的なシナジーグループ企業群を実現するために社内起業家を養成するプログラム「ソフトバンクイノベンチャー」など、社員が当社内で活躍できる多彩な機会を提供しています。
(d)二重就業
ソフトバンクグループ㈱では、多様な経験を通じて自己成長する機会として、二重就業(副業)も可能としています。
d.職場環境づくり
(a)勤務環境整備
ソフトバンクグループ㈱は、社員のワークライフバランスを尊重し、仕事と生活の両立を支援するために、コアタイムを設けないスーパーフレックス制度や在宅勤務を導入し、時間や場所に捉われず、仕事を行うことができる環境を提供しています。これにより、社員は最適な働き方を選択し、自身のパフォーマンスを最大限に発揮できます。
(b)育児支援
働く父母にとって、子どもの成長に関わる機会は非常に重要であり、社会の発展に寄与する観点からも、積極的な取り組みが必要です。ソフトバンクグループ㈱では、配偶者が出産した男性正社員のうち、育児休業等を取得した割合が2023年度で約117%となっており、女性正社員と同水準です(連結子会社の状況につきましては、「
仕事と家庭の両立支援に向けた取り組みは一定の成果を得ていますが、さらなる育児支援の向上を目指して、「こども家庭庁(旧内閣府)ベビーシッタークーポン」の活用による保育などへの費用補助や、産前産後休暇・育児休業・出生時育児休業時における積立年休の充当など、収入面での懸念を軽減する施策を行っています。また、企業主導型保育園の共同利用を導入しており、休暇・休業中の社員の早期復職を実現しています。その他、両立支援休暇の拡充や育児休業中社員同士の交流の場を設けました。
(c)ウェルビーイング
純粋持株会社であるソフトバンクグループ㈱は、最大の資産である社員の健康管理や維持・増進のためにさまざまな取り組みを行っています。2023年度からは、通常の健康診断に加え、各世代に合わせたオプション検査が会社負担で受診できる制度を導入し、利用実績は約38%です。
また、年休取得の促進活動も継続的に行っており、2023年度の年休取得率は約64%(一人当たり14.6日)でした。2024年度以降はさらなる取得率向上を一般事業主行動計画に明記し達成を目指します。
なお、2024年4月には、女性特有の体調不良時や男女問わず不妊治療・更年期症状等で利用できる休暇を新設しました。
(d)従業員エンゲージメント
当社では、年に1回、全社員を対象とした満足度調査を実施しており、2023年度は、ソフトバンクグループ㈱を含む国内グループ企業32社が参加しました。この調査は、当社グループの特性を踏まえて開発されたもので、組織(仕事・職場・上司)および会社への満足度についての回答結果を項目ごとにスコア化して、課題を早期に発見します。この結果を継続的にモニタリングすることで、強い組織づくりと社員のモチベーション向上につなげています。
ソフトバンクグループ㈱では、全社員の86%が回答し、引き続き高い満足度が示されました。今後も、働きやすい職場環境を実現するため、従業員エンゲージメントの向上に積極的に取り組んでいきます。
本有価証券報告書の提出日現在において、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスクは、以下の通りです。これらのリスクが顕在化した場合には、
・NAV(Net Asset Value:保有株式価値-調整後純有利子負債で算出(注1))
・LTV(Loan to Value:調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出(注1)。保有資産に対する負債の割合)
・財政状態および経営成績
・ソフトバンクグループ㈱の分配可能額
に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクは、当社における全てのリスクを網羅しているものではなく、加えて、その対応策が十分に奏功する保障もありません。なお、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。
(注1)保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、上場子会社であるソフトバンク㈱(LINEヤフー㈱およびPayPay㈱をはじめとする子会社を含む)およびアーム、ならびにSVF1、SVF2、LatAmファンドなど独立採算で運営される事業体に帰属する有利子負債および現預金等(債券投資を含む)を除く。なお、SB Northstarの有利子負債(ただし、特定の有利子負債を除く)および現預金等(債券投資を含む)は調整後純有利子負債の算出に含む。
(1)グループ全体
当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ㈱が、子会社・関連会社および投資先(以下「投資先」)を統括するマネジメント体制の下、AIという投資テーマに基づき、幅広く投資活動を展開しています。当社の事業遂行における主要なリスクは、以下a~cに記載する通りです。
加えて、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業、ソフトバンク事業、アーム事業における主要なリスクについては、それぞれ「(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」と「(3)ソフトバンク事業」「(4)アーム事業」をご参照ください。
a.投資活動全般
(a)市場環境
当社は、AIに関連した情報・テクノロジー企業を中心に投資していますが、これらの企業に対する評価は技術進歩や市場規模の成長見通しによって大きく変動することがあります。したがって、当社の保有株式価値も、マクロ経済や金融政策、株式市場の動向に加え、こうしたセクター特有の要因によっても影響を受ける可能性があります。また、非上場の投資先は、ベンチャー・キャピタル市場や新規株式公開市場の動向にも影響を受けます。
2023年9月に上場したアームは、上場後も引き続き連結子会社であるため、上場後の株価の変動は財政状態および経営成績に影響を及ぼすことはありませんが、アーム株式は当社の保有株式価値に占める割合が高いため、その株価の変動は当社の保有株式価値へ大きな影響を与えます。
また、当社は外貨建て資産・負債の保有に伴い、為替変動の影響を受ける可能性があります。
なお、当社は、市場変動の影響に備えるべく、安定的な財務運営を目指しています。詳細は、「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(4)経営環境および優先的に対処すべき課題 2 財務方針の堅持」をご参照ください。
(b)国際情勢や規制の動向
当社は、日本だけでなく、米国、中国、インド、欧州・中南米諸国などの海外の国・地域に展開する企業等に投資しているため、これらの国・地域における政治・軍事・社会情勢の変化および法令・規制・制度など(以下「法令等」)の新設・強化(解釈や運用の変更を含みます。)により、当社の投資活動や投資先の事業活動が期待通りに展開できない可能性があります。法令等には、投資に関するもの以外に、AI、通信サービス、インターネット広告、イーコマース、自動運転、ロボット、ロジスティクス、金融・決済などの事業やその他の企業活動に関するもの(事業許認可、経済安全保障、輸出入、個人情報・プライバシー保護、環境、製造物責任、公正な競争、消費者保護、贈賄禁止、労務、知的財産権、マネー・ロンダリング防止、租税、為替に関するものを含みますが、これらに限りません。)が含まれ、当社の投資活動や投資先の事業活動は、これらの法令等の影響を直接または間接的に受けます。昨今、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢、米中対立の激化などを背景に、世界各国において経済安全保障の観点からの規制強化の動きも見られます。例えば、特定の国・企業に対する投資を制限する法令等の導入により、当社の投資活動が制約される可能性があるほか、投資回収の遅滞、投資回収における条件の悪化などが起こる可能性があります。また、地政学リスクの高まりによりサプライチェーンの分断が起こった場合や、貿易規制の強化により特定の製品や技術等の輸出入が制限された場合、投資先の事業や業績が悪影響を受ける可能性があります。
加えて、当社の投資活動に関係各国の規制当局からの承認等が必要となる場合や、投資先への関与に制約が加えられる場合があります。必要な承認等が得られないなど制約を回避できない場合には、当社の期待通りに投資や売却を実行できない可能性があります。
なお、当社は、外部のアドバイザーからの助言を受けながら、これらの外部環境の変化に関する情報収集を行い投資活動に及ぼす影響を検討するとともに、それぞれの規制に対応するよう努めています。また、投資ポートフォリオにおける特定の国・地域、業種への集中度を継続的に監視することなどにより、リスクを把握し経営判断に反映しています。
(c)投資先の事業展開
当社は、AIに関連した情報・テクノロジー企業を中心に投資を行い、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指していますが、投資先のテクノロジーやビジネスモデルの陳腐化、競争環境の激化などにより、投資決定時に想定した通りに投資先が事業を展開できず、業績が大幅に悪化したり、事業計画の大幅な見直しを迫られたりする可能性があります。また、投資先が想定通りに事業を展開できない場合、当社は、投資先の株式価値の向上に必要と判断すれば、投資先に対し融資や債務保証、追加出資などを行うことがあり、その場合には、当該投資先に対するエクスポージャーが増加することになります。ただし、当社は救済のみを目的とした投資等は行わないことを基本方針としています。
なお、当社は、投資実行後も、投資先の財務・経営情報や重要な経営指標、投資決定時の事業計画と実際の進捗の差異、コーポレート・ガバナンスの状況など、主なリスク要因を継続的に監視し、必要に応じて投資先の経営改善のための助言や、役員の派遣などを行っています。
(d)投資判断
当社は、投資の意思決定において、対象企業のテクノロジー、ビジネスモデル、競争環境、財務内容、法令遵守、ガバナンスまたは重要な影響力を持つ創業者や経営者の資質などに関するリスクを見誤ったまま投資判断を下す可能性があります。特に非上場企業においては、当社が投資判断の基礎とした情報の透明性、正確性、完全性が十分ではない可能性が相対的に高くなります。
なお、当社は、投資判断プロセスにおいて、社内関係部門による調査・検討に加え、必要に応じて外部の財務・法務・税務アドバイザーなどの協力を得ながら、対象企業の重要項目についてデュー・デリジェンスを実施し、投資に係るリスクを把握するよう努めています。それらの検討結果を踏まえて、ソフトバンクグループ㈱の取締役会、取締役会から権限を委譲された投融資委員会(「第4 提出会社の状況、4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照)、またはファンド運営子会社の投資委員会で投資判断を下しています。
b.資金調達
当社は、金融機関からの借入や社債のほか、保有資産を活用した資金調達(アセットバック・ファイナンス)、保有資産の売却などの多様な調達手段を活用しています。
金融機関からの借入や社債については、金利変動や信用格付けの変更などにより調達環境が悪化した場合、資金調達を予定した時期・規模・条件で行えない可能性があります。また、これらの債務には、各種コベナンツが付されていることがあり、抵触した場合、当該債務について期限の利益を喪失する可能性があります。さらに、それに伴い、その他の債務についても一括返済を求められる可能性があります。
アーム株式などをはじめとした上場および非上場株式を活用したアセットバック・ファイナンス(株式先渡売買契約を除きます。)については、対象となる保有株式の価値が下落した場合に、追加で現金担保の差し入れが必要となる可能性や期限前の返済義務が発生する可能性があることに加えて、新たな資金調達やリファイナンスに支障が生じる可能性があります。
保有資産の売却による資金調達については、市場流動性の低迷、契約上の売却制限、予定していた新規株式公開の遅延などにより、必要な時期に想定した価格で売却できない可能性があります。
なお、当社は、資金調達に係るリスクをコントロールするため、市場環境を注視した上で適切と考える時期、手法で資金調達を実施しています。特に金融機関からの借入、社債の発行やアセットバック・ファイナンスの実施にあたっては、様々なシナリオを想定した事前の検討・対応を行うことで各資金調達の安定性を高めています。こうした対応により、財務規律に基づき十分な手元流動性を維持することに努めています。
c.経営陣
当社の主要な子会社はそれぞれのCEOなどの下で、投資ファンドは後述のファンド運営子会社のCEOの下で、いずれも自律的に運営を行っていますが、当社の経営において中心的な役割を担っている代表取締役 会長兼社長執行役員 孫 正義に不測の事態が生じた場合には、当社の活動全般に支障が生じる可能性があります。
このような不測の事態が発生した場合における意思決定プロセスへの影響を最小限に留めるため、コンティンジェンシープランを策定しています。また、指名報酬委員会において、サクセッションプランについても定期的に議論しています。指名報酬委員会の活動状況については、「第4 提出会社の状況、4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業
ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF1、SVF2およびLatAmファンド、以下「SVF」)は、主にAIを活用した成長可能性が大きいと考えるテクノロジー企業への投資を目的としたファンドであり、ファンドの存続期間の中でリターンを最大化することを目指しています。ソフトバンクグループ㈱は、各投資ファンドにリミテッド・パートナーとして出資を行っており、また、各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とLatAmファンドを運営するSBGA、以下「ファンド運営子会社」)は、各投資ファンドの事業活動に応じて管理報酬、業績連動型管理報酬および成功報酬を受け取ります。
SVFを通じた投資やその運営における主要なリスクは、以下のa~dに記載する通りです。なお、本(2)において、「投資先」はSVFの投資先を意味します。
a.投資先の事業展開
多くの投資先は、AIやビッグデータなどの新技術を活用し、従来にはない新たなビジネスモデルの実現を目指しています。このような企業が、計画通りに事業を展開し、利益の獲得や強固な事業基盤の確立を果たすには様々なリスクを伴います。例えば、技術の開発やビジネスモデルの実現を想定通りに進められず顧客や市場に合致する商品・サービスを提供できない、スケールメリットを享受するまでの規模に至らず事業基盤の維持や技術開発に必要な費用を十分に確保できない、最新の技術を持つ他の新規参入企業や経営基盤の強固な既存企業との競争に敗れる、事業・地域の多角化への対応や経済・事業環境の変化への対応ができない、広告宣伝活動や営業人員の確保などの顧客獲得費用が計画を大幅に上回り利益を確保できない、複雑化する各国・地域のデータ保護やAI規制に対応できないまたは対応コストが増加する、などのリスクがあります。
また、国家安全保障における先端技術の戦略的重要性は近年高まっており、米中関係の悪化などを背景として、各国における規制が強化される可能性があり、その結果投資先の事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、事業展開に必要な資金を確保するに当たり、資金調達環境などが悪化した場合には、想定通りの条件での調達ができず、事業の成長を損なう大幅なコスト削減を迫られたり、当社持ち分の希薄化を伴う資金調達を余儀なくされたりする可能性があります。
なお、ファンド運営子会社では、投資承認プロセスや投資後の継続的なモニタリングを通じて、投資リスク部門が中心となり、これらのリスクの早期の把握と軽減に努めています。
b.投資におけるエグジット機会の不足
SVFの保有株式等は流動性が低いものが多く、また、経済、法律・規制、政治などの要因による影響も受けるため、当初の計画通りに資金化できない可能性があります。さらに、契約またはその他の制約により、SVFは特定の株式等の売却を一定期間禁止される場合があり、有利な市場価格で売却する機会を逸する可能性があります。
なお、エグジット戦略はファンド運営子会社の投資委員会において重要な検討事項となっており、慎重な議論を重ねた上で承認されます。エグジット戦略は、投資部門が継続的に見直し、更新するとともに、投資リスク部門がそれに対し様々な市場環境を想定したストレステストを実施しています。景気後退の可能性や、エグジットに時間を要する投資がありうることを想定し、SVFは存続期間が長期に設定されています。
c.保有する上場株式等
SVFの投資ポートフォリオには上場株式等が含まれています。これらの資産の保有には、投資先に関する情報の開示義務の増加、当該株式等の処分におけるSVFの裁量に対する制限、投資先の役員および取締役(ファンド運営子会社の従業員である場合を含みます。)に対する投資先株主からの訴訟提起およびインサイダー取引の告発の可能性の増加、などのリスクを伴います。また、これらのリスクに対応する費用が増加する可能性があります。
なお、ファンド運営子会社は、計画的に保有株式等を売却する仕組みを構築しており、市場への影響を最小限に抑えつつ、売却額の最大化に努めています。また、米ドルに対する為替レートが不安定な通貨建ての株式等の為替リスクをヘッジする必要性について検証しています。
さらに、SVFが上場株式等を管理する上で発生する業務運営上のリスクやコンプライアンスリスクは、ファンド運営子会社のオペレーション、コンプライアンス、リスク管理の各部門が関与するコントロール・フレームワークを通じて管理されており、これにはポリシー、社員研修、社内通報制度、取引相手の確認などの取引承認プロセス、および取引後のモニタリングが含まれます。
d.人材の確保・維持
ファンド運営子会社は、投資ファンドの保有株式価値の最大化を目的として、投資先を慎重に選定することに加え、投資後の成長を促す様々な支援を行います。このような取り組みの成功には、テクノロジーや金融市場に関する幅広い知見や投資事業の運営における専門的スキルを保有する有能な人材の確保・維持が不可欠です。有能な人材を十分に確保・維持することができない場合は、運営する投資ファンドの投資規模の維持・拡大や将来の投資成果に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、ファンド運営子会社は、投資・運用に求められる多様なノウハウを維持すべく、定期的な人事評価や組織の見直しに加え、研修や能力開発、スタッフが潜在能力を最大限に発揮できるよう行われる社内異動に至るまで、様々な人材サポートプログラムを提供しています。
(3)ソフトバンク事業
ソフトバンク㈱およびその子会社(以下「ソフトバンク㈱グループ 」)は、コアビジネスである通信事業に加え、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」、「PayPay」などのサービスを提供しており、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野でビジネスを展開しています。ソフトバンク㈱グループにおける主要なリスクは、以下のa~fに記載する通りです。
a.市場環境の変化、他社との競合
通信関連市場は、競争促進政策の強化や異業種からの新規参入などによって経営環境が大きく変化し、利用者からはより低廉で多様なサービスを求める動きが高まっています。これらの市場環境に対応するため、ソフトバンク㈱グループは消費者の志向に合ったサービス・商品・販売方法を導入していますが、料金プランや通話・データ通信の品質等の面で消費者の期待に沿えない場合やソフトバンク㈱グループが提供するサービス・商品に重大な瑕疵が存在した場合、既存の契約者数を維持できない可能性があります。また、法令・規制・制度などの制定、改正または解釈・適用の変更等により、ソフトバンク㈱グループが顧客に提供できるサービス・商品・販売方法および料金プラン等が実質的な制約を受け、収入の減少や金銭的負担の発生・増加が起きる可能性があります。
ソフトバンク㈱グループの競合他社は、その資本力、サービス・商品、技術開発力、価格競争力、顧客基盤、営業力、ブランド、知名度およびこれらの総合力などにおいて、ソフトバンク㈱グループより優れている場合があります。競合他社がその優位性を現状以上に活用してサービスや商品の販売に取り組んだ場合、ソフトバンク㈱グループが価格競争を含む販売競争で劣勢に立たされ、ソフトバンク㈱グループの期待通りにサービス・商品を提供できない、顧客を維持・獲得できない、またはARPU(1契約当たりの月間平均収入)が低下することも考えられます。また、設立間もない新興企業や新規参入者のサービス・商品がソフトバンク㈱グループのサービス・商品に対する競合となる可能性、またはソフトバンク㈱グループが競争優位性を発揮するための新規サービス・商品の開発に費用がかかる可能性があります。
ソフトバンク㈱グループは、重複する経営資源の効率化、意思決定の迅速化や事業間におけるより大きなシナジーの創出などを目的として、ソフトバンク㈱グループ内部において再編を行う場合があります。しかし、期待した再編の効果を十分に発揮できない場合、展開するサービスの連携の不調・遅れ、戦略やシナジーへの悪影響、再編に伴う混乱などの問題が発生する可能性があります。
b.技術・ビジネスモデルへの対応
ソフトバンク㈱グループは、技術やビジネスモデルの移り変わりが早い情報産業を主な事業領域としています。特に生成AIの分野の発展は目覚ましく、既存のビジネスモデルに大きな影響を与えています。ソフトバンク㈱グループは、常に、最新の技術動向や市場動向の調査、技術的優位性の高いサービスの導入に向けた実証実験、および他社とのアライアンスの検討などの施策を講じていますが、新たな技術への対応が想定通りの時間軸に沿って進むこと、想定通りの効果を上げること、共通の基準や仕様が確立すること、および商用性を持つようになることについての保証はなく、また、これらの施策を行ったとしても、新たな技術やビジネスモデルの出現を含む市場環境の変化にソフトバンク㈱グループが適時かつ適切に対応できず、または迅速かつ効率的に設備を配備できないことにより、市場変化に適した優れたサービス、技術やビジネスモデルを創出または導入できない可能性があります。その場合、ソフトバンク㈱グループのサービスが市場での競争力を失い、ソフトバンク㈱グループが維持・獲得できる契約数が抑制される、またはARPUが低下する可能性があります。
c.情報の流出や不適切な取扱いおよびソフトバンク㈱グループの提供する商品やサービスの不適切な利用
ソフトバンク㈱グループは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っています。ソフトバンク㈱グループは、情報セキュリティ管理責任者の設置や役職員へのセキュリティ教育・訓練をはじめ、適切に情報資産を保護・管理するための体制構築を図っていますが、ソフトバンク㈱グループ(役職員や委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失などが発生する可能性があります。
また、ソフトバンク㈱グループの提供する商品やサービスが詐欺等の犯罪等に不正に利用された場合、ソフトバンク㈱グループの信用および信頼の低下を招く可能性があります。
こうした事態が生じた場合、ソフトバンク㈱グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力の低下や、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生する可能性があります。
なお、LINEヤフー㈱については、2023年10月1日付でZホールディングス㈱を存続会社とし、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱を中心としたグループ内再編に関する手続きが完了し、Zホールディングス㈱からLINEヤフー㈱に商号変更されました。LINEヤフー㈱においては、LINEヤフー㈱のグループ会社全体のデータガバナンスが円滑かつ適切に機能するよう体制を整え、その強化に取り組んでいます。今後もこうした取り組みを継続していきますが、係る対策やガバナンス強化の施策が有効に機能しないことによる当局からソフトバンク㈱グループへの行政処分、ソフトバンク㈱グループの信用の毀損、ソフトバンク㈱グループのサービスへの需要の減少、追加の対策の策定・実施、また、データの漏洩などが発生する可能性があります。
また、LINEヤフー㈱は、同社が2023年11月27日に公表した不正アクセスの事案に関し、総務省および個人情報保護委員会へ報告を行い、2024年3月5日および4月16日に総務省より行政指導を、同年3月28日に個人情報保護委員会より勧告および報告等の求めを受けました。現在、LINEヤフー㈱はこれらの行政指導および勧告を踏まえた対応等を進めており、総務省に対しては2024年4月1日に再発防止等に向けた取組に関する報告書、個人情報保護委員会に対しては同年4月26日に再発防止策の実施状況等をまとめた報告書を提出し、対応を進めています。しかし、LINEヤフー㈱およびソフトバンク㈱の取り組みが適切ではない、または十分ではないと判断された場合、ソフトバンク㈱グループの信用の毀損、ソフトバンク㈱グループのサービスへの需要の減少等により、ソフトバンク㈱グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
d.業務の委託
ソフトバンク㈱グループは、提供する各種サービス・商品に係る販売、顧客の維持・獲得、通信ネットワークの構築およびメンテナンス、ならびにそれらに付随する業務の全部または一部について、他社に委託しているほか、情報検索サービスにおいて他社の検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムを利用しています。ソフトバンク㈱グループは、サプライチェーン上のリスクの低減に努めていますが、業務委託先(役職員や関係者を含みます。)がソフトバンク㈱グループの期待通りに業務を行うことができない場合や、顧客に関する情報の不正取得や人権侵害等に関連する問題を起こした場合、ソフトバンク㈱グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
また、上述のような事象により当該業務委託先の信頼性や企業イメージが低下した場合には、ソフトバンク㈱グループの信頼性や企業イメージも低下し、事業展開や顧客の維持・獲得に影響を及ぼす可能性があります。このほか、当該業務委託先において法令などに違反する行為があった場合、ソフトバンク㈱グループが監督官庁から警告・指導を受けるなど監督責任を追及される可能性があるほか、ソフトバンク㈱グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。
e.関連システムの障害などによるサービスの中断・品質低下
ソフトバンク㈱グループでは、通信ネットワークや顧客向けのシステム、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」、「PayPay」をはじめとする各種サービスを提供しています。これらサービスにおいて、人為的なミスや設備・システム上の問題(自然災害など予測困難な事情に起因するものも含みます。)、第三者によるサイバー攻撃、ハッキングその他不正アクセスなどに起因して各種サービスを継続的に提供できなくなること、または各種サービスの品質が低下することなどの重大なトラブルが発生する可能性があります。ソフトバンク㈱グループは、ネットワークを冗長化するとともに、障害やその他事故が発生した場合に備え、復旧手順を明確にしています。また、障害やその他事故が発生した場合、規模に応じて事故対策本部を設置するなど、適切な体制を構築して復旧に当たっています。これらの対策にもかかわらず、サービスの中断や品質低下を回避できず、サービスの中断・品質低下による影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。
f.経済安全保障
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(以下「経済安全保障推進法」)に基づき、2023年11月16日にソフトバンク㈱およびLINEヤフー㈱は電気通信事業における特定社会基盤事業者(基幹インフラ事業者)に指定されました。2024年5月17日から本制度の規律が適用されていますが、ソフトバンク㈱またはLINEヤフー㈱が経済安全保障推進法が定める国による審査に適切に対応できなかった場合、当局からのソフトバンク㈱またはLINEヤフー㈱に対する事業の是正や中止の勧告、命令等の行政措置、それに伴う事業の一時停止、遅延、追加の設備投資ならびに追加の対策やコスト、ソフトバンク㈱グループの信用の毀損が生じる可能性があります。
(4)アーム事業
アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。ライセンスを供与された半導体企業により設計されるアームベースのチップは、デバイスメーカーによってスマートフォン、デジタルテレビ、車用電子部品の最終製品に組み込まれます。アームの収益は、主に、アームのテクノロジーのライセンス収入およびライセンス先の企業がアームのテクノロジーを含むチップを販売することにより生じるロイヤルティー収入からなります。アームの事業における主要なリスクは、以下のa~jに記載する通りです。
a.業界動向の変化
アームの技術やサービスに対する需要は、変化と競争の激しい半導体およびエレクトロニクス産業の動向に大きく依存しています。また、アームのライセンス収入も、半導体企業およびデバイスメーカーがアームの新しい製品を採用する頻度に大きく依存しているため、これらの企業の製品に対する需要の影響を受けます。デバイスメーカーによる、アームベースのチップへの需要の減少は、アームのロイヤルティー収入に悪影響を及ぼします。
アームの成功は、その製品およびサービスが、半導体企業やデバイスメーカーに受け入れられるかどうかに大きく依存しています。市場には競合するアーキテクチャーがあり、アームの製品が市場で引き続き受け入れられる保証はありません。
また、半導体およびエレクトロニクス産業はますます複雑化し、設計および製造コストは増加の傾向にあります。そのため、アームの顧客の多くは、設計自動化ツール(EDA)や設計した半導体の製造にサードパーティを利用しています。アームはこれらのサードパーティと緊密に連携し、自社の技術とサードパーティのEDAや製造プロセスの互換性を確保しています。しかしながら、互換性の確保が適切に行われなかった場合や、EDAや半導体設計に関する情報へのアクセスが妨げられた場合、アームの製品に対する需要が減少する可能性があります。
なお、これらのリスクを軽減するために、アームの経営陣は定期的に戦略と長期の製品開発計画を見直し、将来のニーズを満たす製品の開発に努めています。また、半導体やエレクトロニクス業界の多くの顧客や企業と連携することで、状況の変化を察知し、適切な対応を図る体制を整えています。
b.競合
アームは、他社との競争に加え、設計および製造技術の進歩、エンドユーザーのニーズや業界標準の変化、頻繁な新製品の導入など、変化の激しい事業環境に晒されています。x86のような確立された技術や、RISC-Vのようなオープンソースの技術など、既存および新規の市場参加者との競合が今後も継続すると予想されます。
アームの競合他社が、開発・広告宣伝・販売により多くの経営資源を投入することで、価格、顧客対応、性能、品質の面でより優れた製品・サービスを提供した場合、アームは競争上の優位性を確保するため、相当規模の経営資源の投資が必要となる可能性があります。また、競争力を維持するため、アームは、顧客の要望や市場機会に対応し、既存の製品・サービスの強化や、新しい製品・サービスの創造、開発を継続することが不可欠です。 これらの競争上の課題を予測または対応することができない場合、アームの優位性が損なわれる可能性があります。
なお、アームは、主要な半導体企業と密接に連携し、リスクの軽減に努めています。アームは、アームベースのチップの構築や適合するソフトウエア開発の知識を持つ多くのエンジニアからなるエコシステムを確立しており、それに投資することで、様々なアームベースのチップの開発・維持コストのさらなる削減に努めています。
c.顧客の集中
アームの収益の大部分は少数の主要顧客に依存しており、これらの主要顧客の事業の動向に影響を受ける可能性があります。
なお、アームは、毎年複数のプロセッサーを開発することで、特定の顧客がアーム製品の導入を見送った場合の影響の軽減に努めています。
d.世界市場の細分化
アーム製品が属する世界市場は、地政学的影響を受けることがあります。地政学的要因や政治的対立によって、世界共通のアーキテクチャーの役割が低下し、国・地域特有の製品への需要が増加し、世界の半導体市場の細分化が起きる可能性があります。これは地域ごとの多様な製品をサポートするための費用の増加や、アーム製品を使用しなくなった地域における収益の減少、新規市場における将来のライセンス収入の機会損失につながる可能性があります。
なお、アームは、規制当局に対する働きかけや、将来の顧客ニーズに即した製品開発を行うために戦略の見直しを行うことで、これらのリスクの軽減に努めています。
e.中国への依存
アームは、収益の一定部分を中国の半導体企業およびOEM、ならびに中国に半導体や最終製品を輸出する半導体企業およびOEMから得ています。アームにおける中国関連市場での収益の維持が困難になる場合、中国における新規および既存の市場へのアクセスが閉ざされる場合、新規事業での成長の遅れまたは中国における市場シェアが低下する場合には、アームの業績や競争力に悪影響を与える可能性があります。
中国は半導体産業の収益のうち重要な部分を占めています。しかし、貿易や国家安全保障政策、債務残高の継続的な増加などにより中国経済は不確実性が高く、中国の半導体産業および関連産業の短期的な成長見通しは、不透明な状況にあります。このような状況が長期化する場合、アームに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、米国および中国政府による保護貿易政策や国家安全保障政策を含む政治的措置により、アームの中国でのビジネスおよび中国の顧客やサプライヤーとの取引は現在すでに一定の制約に服していますが、今後も取引が制約される、または禁止される可能性があります。
なお、これらのリスクを軽減するために、アームは、米中における政策の動向を的確かつ迅速に把握することに努めています。また、アーム・チャイナ(注2)における収益見通しやライセンス契約を定期的にレビューすることで、中国市場の動向をモニタリングするとともに、その対応に努めています。
(注2)アーム・チャイナは、当社の子会社と中国投資家による合弁会社です。アームはこの会社を通じて中国市場にアクセスしています。
f.ビジネスモデルの変更
アームは、過去にビジネスモデルを変更したことがあり、今後も変更する可能性があります。これらの変更が顧客に受け入れられる保証はありません。そのような場合、アームは想定した金額や時期で収益を得られない、または全く収益を得られない可能性があります。
また、ビジネスモデルの変更後において、契約の数や金額の増加が従来と同じようには、または全く実現せず、期待通りの収益が得られない可能性があります。さらに、新しいビジネスモデルの導入は、顧客にとってアームの製品の魅力を低減させてしまうなど、想定通りの結果を得られない可能性があります。
加えて、アームは、市場参加者の採用する次世代技術が事業へ与える影響を積極的に検討しており、新規市場の開拓や、既存および潜在顧客向けの新たなソリューションの開発を行うことがあります。これらの新規事業の実現可能性を検討するため、アームは経営資源を配分し、エコシステムにおける関係各社との対話を継続しています。新製品には、アームのIPだけでなく、コンピュート・サブシステム、チップレット、およびエンド・チップ・ソリューションなど、IP設計を超えたソリューションも含まれます。アームが新規市場への参入や新たなソリューションの提供をする場合、その事業が想定した通りに成果を上げられない可能性があるほか、アームが既存の顧客と競合した場合、その顧客は代替アーキテクチャーや競合他社の製品を使用する可能性があります。
なお、これらのリスクを軽減するため、アームは新しいビジネスモデルに関して、顧客と十分な議論を行うなど、広範な検討を実施し、リスクの特定と対応に努めています。
g.所有する知的財産権の保護
アームの事業の成功には、その知的財産権の保護が不可欠です。アームは、その保護に当たり、主に特許権・著作権・企業秘密・商標関連の法律や、従業員との機密保持契約、ならびに顧客などの関係者とのライセンス契約に依拠していますが、知的財産権を保護するためのアームの措置が不十分である可能性があります。加えて、アームが希望する特許権を取得できない、または特定の法域においては、アームが保持する知的財産に関する契約上の権利などが制限される可能性があります。アームがこれらに関連する法律や規制に適切に対応できない場合、および関連する法域において知的財産権や契約上の権利を行使できない場合、アームの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、特許権およびその他の知的財産権を行使するために、訴訟が必要となる場合があります。そのような訴訟は巨額の費用が必要となる、または経営陣やエンジニアの通常業務に支障をきたす可能性があります。
一例として、アームは、Qualcomm, Inc. および Qualcomm Technologies, Inc.(両者を含めて “Qualcomm”)、Nuvia, Inc.との係争中の訴訟に関与しています。このような訴訟の結果や、それによる現在主要顧客であるQualcommとの関係への影響は不透明です。さらに、アームによる訴訟への関与が、業界、Qualcommやその他の顧客などとの関係において風評被害が生じる可能性があります。
なお、アームは、関連法域における特許権、訴訟、係争事案の動向を注意深く監視することにより、これらのリスクの軽減に努めています。
h.知的財産権の侵害
アームは、第三者により知的財産権の侵害、濫用などを主張されたことがあり、今後も同様の主張がなされる可能性があります。そのような法的主張を受けた場合、顧客との契約に基づき、顧客に対する補償を行わなければならないことがあります。さらに、そのような法的主張により、高額かつ長期にわたる訴訟、ロイヤルティーまたはライセンス契約の締結、損害賠償または販売差止、特許の無効化、顧客からのライセンス料の返還または支払い免除の要求、製品の設計やブランドの変更が必要となる、などのさまざまなリスクを伴います。
なお、アームは、第三者に帰属する知的財産権を使用せずに製品を設計・実装することで(ライセンス契約による恩恵があり、かつ厳密に管理された手順に沿って使用する場合を除きます)、これらのリスクを軽減しています。
i.ブランドと評判
アームのブランドと評判を維持することは、顧客、従業員、政府、サプライヤー、およびその他のステークホルダーとの関係において不可欠です。アームのブランドと評判は、非倫理的行動や不正、製品の品質、不適切利用および安全性、法令または契約違反、内部統制の失敗、コーポレート・ガバナンスの不備、セキュリティインシデント、労働災害、環境問題、違法または不適切な用途への技術の使用、営業手法、サプライヤーの行為などにより影響を受ける可能性があります。また、AIや機械学習に関連して、アームの取組みやアームの技術が用いられた製品の使用への懸念が生じた場合も、アームの評判は影響を受ける可能性があります。これらの危機や脅威に迅速かつ効果的に対応できなかった場合、社会的な批判によりアームのブランドと評判が大きく棄損する可能性があります。また、アーム・チャイナなどの第三者の行為の責任がアームに転嫁された場合も、アームのブランドや評判が損なわれる可能性があります。
なお、アームは、製品の欠陥やバグのリスクを低減するために、厳格な品質保証と検証プロセスを実施しています。加えて、顧客などからのフィードバックを定期的に収集し、アームの製品や行動に対する認識の変化を把握し、評価の低下に対して早期の対応を図る体制を維持することで、これらのリスクの軽減に努めています。
j.輸出規制と貿易障壁
アームの本社は英国にあり、現時点において、米国、中国、インド、韓国、日本、台湾、および欧州を含む世界中の国や地域で事業を展開しています。これらの国際的な事業活動は、政治・経済・金融情勢や、法律・規制環境の変化による様々な影響を受けます。
各国政府による輸出入規制により、様々な負担や製品のライセンス提供の制限を伴う可能性があります。米国商務省が、他国の製品に対する輸出規制の適用範囲を拡大した場合、より多くのアームの製品が米国の輸出管理の対象となる可能性があります。さらに、米国政府がアームの顧客や取引先が拠点とする国・地域を対象としたより広範な経済制裁を導入した場合には、特定の国や組織に対する製品のライセンス提供に制約が生じる可能性があります。
アーム、またはその顧客が関与する国々の貿易における関係性は近年不安定であり、特に米国政府はアームの一部の取引先へ輸出規制を課しています。これら国々の規制は追加の費用負担や、重要市場での収益減少につながる可能性があります。
なお、アームは、米国、英国、EUの輸出管理当局と強い関係を維持し、政策や規制の動向を監視することで、これらのリスクの軽減に努めています。
(5)その他
a.法令遵守
当社は、各国の法令等の下で投資活動を行っています。当社や投資先(役職員を含みます。)が法令等に違反する行為を行った場合、違反の認識の有無にかかわらず、行政処分や法的措置の対象となる可能性があります。その結果、当社および投資先の信頼性や企業イメージの低下、取引先による契約解除、金銭的負担が発生する可能性があります。また、当社および投資先が活動を行う国・地域において、租税法令またはその解釈・運用が新たに導入・変更された場合や、税務当局との見解の相違により追加の税負担が生じる可能性があります。
なお、当社では、法令の遵守にとどまらず、高い倫理観に基づいた企業活動を行うため、全ての役職員に適用される「ソフトバンクグループ行動規範」を定めるとともに、グループコンプライアンス体制の強化や研修など役職員の知識や意識向上を促す取り組みを行っています。また、法令等の新設・改正に関しては、法務部門が外部のアドバイザーからの助言を受けながら情報収集などを行っています。
b.知的財産権
ソフトバンクグループ㈱が保有する「ソフトバンク」ブランドが第三者により侵害された場合、ソフトバンクグループ㈱および「ソフトバンク」ブランドを使用する子会社の企業イメージや信頼性が低下する可能性があります。また、子会社および投資先が保有する知的財産権が第三者により侵害された場合、同社の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、当社または投資先が意図せずに第三者の知的財産権を侵害した場合、権利侵害の差止めや損害賠償、ライセンス使用料の請求などを受ける可能性があります。
なお、事業の持続的成長を支えるソフトバンクグループ㈱のブランドの重要性に鑑み、商標権を国内外で戦略的に確保する取り組みを行うとともに、子会社の知的財産活動・戦略の評価や子会社との知的財産に関する連携等を行い、持株会社としてグループ全体の知的財産保護・活用も目指しています。
c.訴訟
当社は、株主、投資先、取引先、従業員(投資先の現在および過去の株主・従業員を含みます。)を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、当社の投資活動に支障が生じたり、企業イメージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担が発生する可能性があります。本有価証券報告書の提出日現在における主な訴訟内容については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表 注記46.偶発事象(3)訴訟」をご参照ください。
d.サステナビリティ
当社はサステナビリティに対し、本質的な取り組みを率先して実行することが重要であると考えています。しかし、当社のサステナビリティに関する取り組みが、投資家をはじめとした社内外のステークホルダーの期待から大きく乖離した場合、例えば、サステナビリティの要素が当社のガバナンス体制や経営戦略に十分に組み込まれていない、またはサステナビリティに関する重要課題として特定しているもののうち、特に優先度の高い「責任あるAI」、「気候変動」および「人的資本」への取り組みが不十分な場合、投資活動および資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、投資先のサステナビリティに関するリスクおよび機会を十分に把握できない場合は、当社が想定した通りに投資先が事業を展開できない可能性があります。さらに、当社の投資活動や投資先の事業活動に対するサステナビリティ関連規制が強化された場合は、投資スピードの鈍化や対応コストの増加が生じる可能性もあります。
なお、ソフトバンクグループ㈱は、取締役会で任命されたチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSusO)を委員長とするサステナビリティ委員会において、取り組むべきサステナビリティに関する課題や対応方針等を継続的に議論するとともに、サステナビリティに関わる対応および情報開示を強化しています。投資活動では、各投資エンティティにおいて、投資先のサステナビリティに関するリスクおよび機会を分析し、総合的な投資評価を行っています。
e.情報セキュリティ
昨今の国際情勢を受け世界中でサイバー攻撃の脅威が高まる中、当社および投資先においてサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスや内部不正を完全に防止できなかった場合、情報の漏えい、改ざん、消失またはその他の情報セキュリティ事故が発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、当社および投資先の信頼性や企業イメージが低下したり、事業活動に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭的損失やこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
なお、当社は、ソフトバンクグループ㈱の取締役会で任命された最高情報セキュリティ責任者であるチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー(CISO)の下、情報セキュリティを脅かす脆弱性などのリスク要因を特定し、リスクに応じた組織的、物理的、技術的および人的な情報セキュリティ対策を実施することで、情報資産の保護に努めています。
当期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
1.アームがNasdaq Global Select Marketへ上場 -2023年9月14日、アームが新規株式公開でNasdaq Global Select Marketへ上場。本新規株式公開において、当社100%子会社がアームの普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)102,500,000ADS(発行済株式総数の10%(注1))を売り出し、手取金51.2億米ドルを受領 -本売出し後もアームは引き続き当社の子会社であるため、売却益は連結損益計算書に計上せず、連結財政状態計算書の資本剰余金に売却益相当額6,744億円(46.5億米ドル)を計上
2.条件付対価の条件充足に伴い、Tモバイル株式48.8百万株を無償で取得 2020年4月1日に完了したT-Mobile USと当社米国子会社であったスプリントの合併取引の対価の一部として当社が受領した条件付対価の条件が2023年12月22日に充足されたことにより、2023年12月28日にTモバイル株式48.8百万株(77.4億米ドル(1.1兆円)相当)を無償で取得
3.業績ハイライト ◆ 投資損失5,594億円(前期の投資損失:8,351億円) -持株会社投資事業からの投資損失4,590億円 ・Tモバイル株式関連で3,711億円の投資利益を計上したものの、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円を補えず (アリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円は、同株式を利用した先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益1兆5,174億円(別科目「デリバティブ関連利益(投資損益を除く)」に計上)で相殺) -SVF事業からの投資損失1,673億円(当社子会社への投資に係る投資利益を含まない) ・ByteDance、Coupang、DoorDashを含む一部の投資先の公正価値は増加したものの、WeWork株式および債券をはじめとする他の投資の公正価値の減少を補えず、未実現評価損失を計上 ・活動開始来累計損益はSVF1で167億米ドルのプラス、SVF2で193億米ドルのマイナス(注2) ※アームやソフトバンク㈱などの子会社は連結されるため、株式の公正価値の変動は連結損益計算書に計上せず ◆ 税引前利益578億円(前期比5,269億円改善) -財務費用5,560億円 -為替差損7,031億円:主にソフトバンクグループ㈱において米ドル建負債が米ドル建現預金・貸付金を上回っている中、円安となった影響により損失を計上 -デリバティブ関連利益(投資損益を除く)1兆5,023億円:アリババ株式の株価下落に伴い、同株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益を計上。上記の通り、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失を相殺 ◆ 親会社の所有者に帰属する純損失2,276億円(前期比7,425億円改善) -法人所得税1,514億円のマイナス(利益) -非支配持分に帰属する純利益4,369億円
4.資産の資金化と新規投資を継続 ◆ 資産の資金化 -アリババ株式を利用した先渡売買契約により43.9億米ドルを調達 -アームの新規株式公開に際して同社発行済株式総数10%相当の持分を売り出し、手取金51.2億米ドルを受領 -SVFによる投資の売却で合計63.3億米ドルを受領(当社子会社へのアーム株式などの売却の対価を連結消去後)(注3) ◆ 新規投資 -SVFによる投資の取得で合計15.0億米ドルを支出(当社子会社への投資額を連結消去後)(注3) -ソフトバンクグループ㈱および100%子会社で戦略投資を中心に合計3,488億円を投資(注4)
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5.社債のリファイナンスを実行 ◆ 米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債のリファイナンスを完了 2023年4月に国内ハイブリッド社債2,220億円を発行し、同年5月のハイブリッドローン531億円(注5)の借入実行とあわせて、2023年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債(20億米ドル)のリファイナンスを完了。また、2023年9月に、同月に初回任意償還日を迎えた国内ハイブリッド社債(154億円)のリファイナンスを完了 ◆ 国内普通社債のリファイナンスを実行 2024年3月に満期を迎えた国内普通社債3,999億円を償還し、同年3月に個人投資家向け国内普通社債5,500億円を発行。当期末以降、2024年4月に機関投資家向け国内普通社債1,000億円、同年6月に個人投資家向け国内普通社債5,500億円をそれぞれ発行し、同年6月に満期を迎えた国内普通社債4,500億円を償還 |
(注1)2023年9月末の同社発行済株式総数(自己株式を除く)1,025,234,000株に基づき算出しています。
(注2)外部投資家持分および税金等の控除前のグロスの金額です。
(注3)連結キャッシュ・フロー計算書で計上された金額です。
(注4)連結キャッシュ・フロー計算書の「投資の取得による支出」に含まれるソフトバンクグループ㈱および主要な100%子会社による支出額(米国債への投資を除く)に、Berkshire Grey, Inc.(2023年7月)およびBalyo SA(2023年10月)の子会社化に伴う外部株主への支出額と両社が保有していた現金及び現金同等物との差額を加えた金額です。
(注5)本ハイブリッドローンは、㈱日本格付研究所およびS&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱より資本性の認定(借入実行額の50%)を受けています。
<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>
1. アーム株式のグループ内取引
①取引概要
アームの新規株式公開(以下「本新規株式公開」)に先立つ2023年8月、当社100%子会社はSVF1が保有していたアームの普通株式(発行済株式総数の24.99%相当)の実質的に全て(注6)を161億米ドル(以下「本取引対価」)で取得(以下「本取引」)しました。本取引対価は、当事者間の従前の契約上の条件を参照して決定されたものです。本取引対価は4分割で支払うこととなっており、2023年8月の取引完了時に第1回目の41億米ドルを支払い済みで、2025年8月までの2年間にわたって残りの3回分を支払う予定です。SVF1においては、第1回目の手取金41億米ドル全額を借入金の返済に充当しました。第2回目以降の手取金については、リミテッド・パートナーシップ・アグリーメントに定められた配分方法に基づき、当社を含むリミテッド・パートナーへの支払いなどに充当されます。
本取引対価の分割払いの支払タイミングおよび支払額の内訳
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第1回目 |
第2回目 |
第3回目 |
第4回目 |
支払タイミング |
2023年8月 |
2024年8月 |
2025年2月 |
2025年8月 |
支払額 |
41億米ドル |
41億米ドル |
41億米ドル |
38億米ドル |
なお、本取引に併せて、過去にアームからスピンアウトしたArm Technology (China) Co., Ltd.(以下「Arm China」)とTreasure Data, Inc.(以下「Treasure Data」)の持分の取得も合意しており、この両社の持分を含めたグループ内取引の対価は総額164億米ドルです。
(注6)本新規株式公開に先立つアームの組織再編完了後、SVF1はArm Limitedの完全親会社であるArm Holdings plcの普通株式1株を引き続き保有しています。
②連結財務諸表への主な影響
本取引対価の2023年8月時点の割引現在価値は151億米ドルです。SVF1では、この151億米ドルから投資額82億米ドルを差し引いた69億米ドルが2023年8月時点の投資利益となります。161億米ドルと151億米ドルの差額については、2025年8月までの2年間にわたって投資利益として計上します。
セグメント情報のソフトバンク・ビジョン・ファンド事業では、当期において「SVF事業からの投資利益」に、実現利益1,074,039百万円(74億米ドル)、未実現損失(過年度計上額のうち実現損益への振替額)189,817百万円(18億米ドル)および為替換算影響額として76,902百万円の損失を計上しました。ただし、本取引はグループ内で行われた当社子会社株式の譲渡のため、これらの投資利益は連結上消去します。
なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益は、投資利益のうち外部投資家に帰属する利益が控除されています。外部投資家に帰属する利益は、外部投資家持分の増加額として連結損益計算書にも計上されています。
セグメント情報と連結損益計算書の差異 (単位:百万円)
|
(セグメント情報) ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 |
調整額 |
連結損益計算書 |
||
SVF事業からの投資損益 |
724,341 |
△891,631 |
△167,290 |
||
|
子会社等に係る投資損益 |
891,631 |
△891,631 |
- |
|
|
|
うち、アーム株式に係る投資損益 |
807,320 |
△807,320 |
- |
|
子会社等以外に係る投資損益 |
△167,290 |
- |
△167,290 |
|
SVFにおける外部投資家持分の増減 |
△390,137 |
- |
△390,137 |
2. アームの新規株式公開
①取引概要
2023年9月14日、アームは本新規株式公開においてティッカーシンボル「ARM」でNasdaq Global Select Marketへの上場を果たしました。本新規株式公開においては、当社100%子会社がアームの普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)102,500,000ADS(発行済株式総数の10%)を1ADS当たり51.00米ドルの公開価格で売り出しました(以下「本売出し」)。
②連結財務諸表への主な影響
本売出し後もアームは引き続き当社の子会社であるため、本売出しによる売却益は連結損益計算書に計上せず、連結財政状態計算書の資本剰余金に売却益相当額674,370百万円(46.5億米ドル)を計上しました。また、連結キャッシュ・フロー計算書において、財務活動によるキャッシュ・フローの「非支配持分への子会社持分の一部売却による収入」に手取金745,082百万円(51.2億米ドル)を計上しました。
なお、アームは引き続き当社の子会社であり、連結されるため、株式の公正価値の変動は連結損益計算書に計上されません。
<条件付対価の条件充足に伴う、Tモバイル株式48.8百万株の無償での取得>
①取引概要
当社は、T-Mobile US, Inc.、当社およびDeutsche Telekom AG(以下「ドイツテレコム」)の間で締結された2020年2月20日付のレターアグリーメントに基づき、2020年4月1日に完了したT-Mobile US, Inc.と当社米国子会社であったスプリントの合併取引(以下「本合併取引」)の対価の一部として、一定の条件を満たした際にTモバイル株式48,751,557株(以下「本株式」)を無償で取得できる権利を受領していました(以下「条件付対価」)。2023年12月22日に当該条件が充足されたことに伴い、2023年12月28日に本株式(7,744百万米ドル(1,098,435百万円)相当)を無償で取得しました。
②連結財務諸表への主な影響
2020年4月1日の本合併取引完了時、当社は条件付対価の公正価値1,825百万米ドル(196,313百万円)をスプリント売却益の一部として連結損益計算書に計上するとともに、「デリバティブ金融資産」として連結財政状態計算書に計上しました。その後、公正価値の変動を連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に計上してきました。
本株式の取得日である2023年12月28日に当該デリバティブ金融資産(同日の公正価値:7,744百万米ドル(1,098,435百万円))の認識を中止するとともに、本株式を「投資有価証券」として同額で連結財政状態計算書に計上しました。当期においては、連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に227,012百万円の利益を計上しました。このほか、従来から保有するTモバイル株式と合わせて「持株会社投資事業からの投資損益(投資の未実現評価損益)」に154,538百万円の利益を計上しました。このうち2023年12月28日に受領した本株式に係る投資の未実現評価利益は31,440百万円です。
<WeWorkによる米国連邦破産法11条に基づく手続きの申請>
2023年11月6日、SVFの投資先であるWeWork Inc.(以下「WeWork」)が米国連邦破産法11条に基づく手続きを申請しました。同社に対する投資および財務サポートに関連して当期において連結損益計算書に計上した損益は以下の通りです(当第3四半期累計期間における計上額と同一)。
当第3四半期末時点で、SVF1および2が保有する同社株式およびワラント、ならびにSVF2が保有する同社債券の帳簿価額は0円まで引き下げています。また、金融機関から同社への支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポートについては、当第2四半期末までに支払保証枠の未履行分も含めた全額を金融保証契約損失評価引当金として計上し、当第3四半期に保証を履行しました。なお、2024年6月11日に、WeWorkは米国連邦破産法11条に基づく手続きを完了したと発表しました。
(単位:百万円)
|
連結損益計算書 |
|
計上科目 |
当期計上額 |
|
SVF1および2が保有するWeWork株式およびワラント |
SVF事業からの投資損益 |
△115,796 |
持分法による投資損益 /その他の損益 |
△5,082 |
|
SVF2が保有する額面4.6億米ドルの転換社債 |
SVF事業からの投資損益 |
△25,924 |
当社およびSVF2が保有していた額面16.5億米ドルのWeWork無担保債券(当第1四半期に株式および転換社債に交換) |
その他の損益 (WeWork無担保債券の認識中止損失) |
△21,579 |
SVF2が保有していた額面3.0億米ドルのWeWork担保付シニア債券(当第1四半期に償還) |
SVF事業からの投資損益 |
439 |
その他の損益 |
16 |
|
SVF2が保有する額面3億米ドルのWeWork債券 (当第1四半期末時点では同債券の買い受けに係る貸出コミットメント、当第2四半期に同債券を買い受け) |
SVF事業からの投資損益 |
△41,810 |
金融機関からWeWorkへの最大14.3億米ドルの支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポート (当第3四半期に保証を履行済み) |
その他の損益 (WeWorkクレジットサポート関連損失) |
△42,072 |
|
合計 |
△251,808 |
為替換算レート
2023年3月期 |
2024年3月期 |
|||||||
1米ドル |
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
期中平均 レート |
129.04円 |
138.68円 |
141.16円 |
133.26円 |
138.11円 |
145.44円 |
147.00円 |
147.87円 |
期末日 レート |
|
|
|
133.53円 |
|
|
|
151.41円 |
a.連結経営成績の状況
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(単位:百万円) |
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3月31日に終了した1年間 |
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2023年 |
2024年 |
増減 |
増減率 |
|
売上高 |
6,570,439 |
6,756,500 |
186,061 |
2.8% |
A |
売上総利益 |
3,328,042 |
3,542,392 |
214,350 |
6.4% |
|
投資損益 |
|
|
|
|
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持株会社投資事業からの投資損益 |
4,560,500 |
△459,045 |
△5,019,545 |
- |
B |
SVF事業からの投資損益 |
△5,322,265 |
△167,290 |
5,154,975 |
- |
C |
その他の投資損益 |
△73,294 |
66,985 |
140,279 |
- |
D |
投資損益合計 |
△835,059 |
△559,350 |
275,709 |
- |
|
販売費及び一般管理費 |
△2,695,328 |
△2,982,383 |
△287,055 |
10.7% |
|
財務費用 |
△555,902 |
△556,004 |
△102 |
0.0% |
E |
為替差損益 |
△772,270 |
△703,122 |
69,148 |
- |
F |
持分法による投資損益 |
△96,677 |
△38,641 |
58,036 |
- |
G |
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) |
54,256 |
1,502,326 |
1,448,070 |
- |
H |
SVFにおける外部投資家持分の増減額 |
1,127,949 |
△390,137 |
△1,518,086 |
- |
I |
その他の損益 |
△24,138 |
242,720 |
266,858 |
- |
J |
税引前利益 |
△469,127 |
57,801 |
526,928 |
- |
|
法人所得税 |
△320,674 |
151,416 |
472,090 |
- |
K |
純利益 |
△789,801 |
209,217 |
999,018 |
- |
|
非支配持分に帰属する利益 |
△180,343 |
△436,863 |
△256,520 |
- |
|
親会社の所有者に帰属する純利益 |
△970,144 |
△227,646 |
742,498 |
- |
|
|
|
|
|
|
|
包括利益合計 |
468,140 |
2,241,441 |
1,773,301 |
378.8% |
|
親会社の所有者に帰属する包括利益 |
293,116 |
1,809,984 |
1,516,868 |
517.5% |
|
以下、連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。
A 売上高
ソフトバンク事業およびアーム事業はいずれも増収となりました。詳細は「b. セグメントの業績概況」の「(c)ソフトバンク事業」および「(d)アーム事業」をご参照ください。
B 持株会社投資事業からの投資損益
持株会社投資事業からの投資損失は459,045百万円となりました。これは主に、Tモバイル株式48.8百万株を受領するまでの条件付対価の公正価値の上昇に伴うデリバティブ関連利益や同株式の未実現評価益などTモバイル株式関連で371,108百万円の投資利益を計上したものの、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失959,935百万円が大きく上回ったことによるものです。詳細は「b. セグメントの業績概況(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
C SVF事業からの投資損益
SVF事業からの投資損失は167,290百万円となりました。その内訳は、SVF1で37,903百万円の損失、SVF2で231,329百万円の損失、LatAmファンドで73,862百万円の利益、その他で28,080百万円の利益です。
SVF1においては、投資先7銘柄の全株式および複数の投資先の一部株式の売却1により投資の実現益19,892百万円(純額)を計上しました。また、当期末に保有する投資の未実現評価損失77,693百万円(純額)を計上しました。当期末に保有する投資のうち、公開投資先については株価上昇に伴い合計42,648百万円の未実現評価益(純額)を計上した一方、未公開投資先についてはBytedance Ltd.を含む一部の投資先の公正価値が増加したものの、主に業績の低迷を反映して他の投資先の公正価値が減少したことに伴い合計120,341百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。
SVF2においては、投資先7銘柄の全株式および複数の投資先の一部株式などの売却1により投資の実現損失107,912百万円(純額)を計上しました。また、当期末に保有する投資について、2023年11月に米国連邦破産法11条に基づく手続きを申請したWeWork株式および債券の公正価値を0円まで引き下げたことに加え、主に業績の低迷を反映して未公開投資先の公正価値が減少した結果、合計261,865百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。
LatAmファンドにおいては、主に公開投資先の株価上昇により、合計67,227百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。
なお、連結損益計算書の「SVF事業からの投資損益」には、SVFからアームやPayPay㈱などの当社子会社への投資に係る投資損益は含まれません。
詳細は「b. セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。
D その他の投資損益
その他の投資利益は66,985百万円となりました。当社100%子会社が2023年7月に取得したSymbotic Inc.(以下「Symbotic」)株式の株価上昇に伴う評価益などです。
主にB~Dの結果、投資損益合計は559,350百万円の損失となりました。
E 財務費用
ソフトバンクグループ㈱2の支払利息が前期比6,781百万円増の403,021百万円となりました。これは主に、前期第2四半期にアリババ株式を活用したマージンローンの全額返済、前期第3四半期に外貨建普通社債の買入れ、当第1四半期に外貨建普通社債の満期償還をそれぞれ行ったことにより、これらに係る支払利息が減少した一方、ベース金利の上昇および為替換算レートの円安進行の影響でアーム株式を活用したファイナンスに係る支払利息が増加したことによるものです。
F 為替差損益
主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建負債(子会社からの借入や外貨建普通社債など)および米ドル建現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損703,122百万円(純額)を計上しました。
なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなど機能通貨が外貨(主に米ドル)の在外子会社・関連会社の純資産については、為替換算レートが円安となったことにより円換算後の価値が増加しましたが、そのプラス影響は為替差損益には含まれず、連結財政状態計算書の資本の部の「その他の包括利益累計額」に在外営業活動体の為替換算差額の増加額2,009,461百万円として計上されています。
G 持分法による投資損益
前期にはアリババに係る持分法投資損失25,394百万円3が計上されていましたが、同社は前期第2四半期に当社関連会社から除外されています。
H デリバティブ関連損益(投資損益を除く)
アリババ株式を利用した先渡売買契約等に係るデリバティブ関連利益1,517,350百万円を計上しました。
なお、デリバティブ関連損益のうち、株式の取得や売却などの投資活動に係るデリバティブから生じる損益は「投資損
益」に含まれています。例えば、Tモバイル株式48.8百万株を受領するまでの条件付対価の公正価値変動に伴うデリバティブ関連損益がこれに該当します。一方で、投資活動以外のもの、特に資金調達に伴うデリバティブから生じる損益は「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」に含まれています。例えば、アリババ株式やTモバイル株式を活用した先渡売買契約に係るデリバティブ関連損益がこれに該当します。
I SVFにおける外部投資家持分の増減額
「SVFにおける外部投資家持分の増減額」は、SVFの投資損益から当社100%子会社である運営会社が受領する管理報酬や成功報酬、SVFの営業費用およびその他の費用を控除した金額をもとに算出された、外部投資家に帰属する損益です。連結損益計算書においては、通常、SVFにおいて投資利益を計上した場合には外部投資家に帰属する利益が外部投資家持分の増加額として費用方向(マイナス)に、投資損失を計上した場合には外部投資家に帰属する損失が外部投資家持分の減少額として利益方向(プラス)に寄与します。
しかし、当期においては、連結損益計算書の「SVF事業からの投資損益」が167,290百万円の損失となったにもかかわらず、「SVFにおける外部投資家持分の増減額」が390,137百万円のマイナスになりました。これは主に、2023年8月にSVF1が保有していたアーム株式を当社100%子会社に売却した結果、SVFにおいて807,320百万円の投資利益を計上したことによるものです。本取引は当社子会社株式のグループ内譲渡のため、当該投資利益は連結消去されます。一方で、当該投資利益のうち外部投資家に帰属する利益は、外部投資家持分の増加額として連結損益計算書に計上されています。
詳細は、「(1)財政状態及び経営成績の状況<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開> 1. アーム株式のグループ内取引」をご参照ください。
J その他の損益
当社100%子会社であったSBエナジー㈱株式の85%を売却した結果、同社に対する支配を喪失したことに伴い、子会社の支配喪失利益108,832百万円を計上しました。また、主に米ドル建預金の金利上昇に伴いソフトバンクグループ㈱の受取利息が前期比62,171百万円増の130,854百万円となりました。その他の内訳は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記41.その他の損益」をご参照ください。
主にA~Jの結果、税引前利益は前期比526,928百万円改善の57,801百万円の利益となりました。
K 法人所得税
法人所得税は、151,416百万円のマイナス(利益)となりました。これは主に、ソフトバンク㈱などの事業会社で当期税金費用429,070百万円を計上した一方で、繰延税金費用を利益方向に580,486百万円計上したことによるものです。
繰延税金費用を利益方向に計上したのは、主に、資金調達を目的とした当社100%子会社であるSkybridge LLCにおいて2021年10月以降段階的に実施してきたアリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済が2024年1月に全て完了したことに伴い、当該アリババ株式および関連するデリバティブに係る将来の課税見込みに基づき前期末に計上していた繰延税金負債を取り崩したことによるものです。
主にA~Kの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前期比742,498百万円改善の227,646百万円の損失となりました。
b.セグメントの業績概況
当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当期末現在、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」の4つを報告セグメントとしています。
報告セグメントの概要は以下の通りです。
セグメント名称 |
主な事業の内容 |
主な会社 |
|
報告セグメント |
|
|
|
|
持株会社投資事業 |
・ソフトバンクグループ㈱およびその子会社による投資事業
|
ソフトバンクグループ㈱ SoftBank Group Capital Limited ソフトバンクグループジャパン㈱ ソフトバンクグループオーバーシーズ合同会社 SB Northstar LP
|
|
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 |
・SVF1、SVF2およびLatAmファンドによる投資事業 |
SB Investment Advisers (UK) Limited SoftBank Vision Fund L.P. SB Global Advisers Limited SoftBank Vision Fund II-2 L.P. SBLA Latin America Fund LLC
|
|
ソフトバンク事業(注1) |
・コンシューマ事業:個人顧客を対象とした日本国内でのモバイルサービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドサービスの提供 ・エンタープライズ事業:法人顧客を対象とした日本国内でのモバイルサービスやソリューションサービスの提供 ・ディストリビューション事業:法人顧客を対象としたICTサービス商材の提供、個人顧客を対象とした通信端末関連商品・IoT機器の提供 ・メディア・EC事業:メディア・広告やコマースサービスの提供 ・ファイナンス事業:決済、金融サービスの提供
|
ソフトバンク㈱ LINEヤフー㈱ PayPay㈱ |
|
アーム事業 |
・マイクロプロセッサーのIPおよび関連テクノロジーのデザイン ・ソフトウエアツールの販売および関連サービスの提供
|
Arm Holdings plc |
その他 |
・オルタナティブ投資の資産運用事業 ・福岡ソフトバンクホークス関連事業 |
Fortress Investment Group LLC(注2) 福岡ソフトバンクホークス㈱ |
(注1)当第1四半期よりソフトバンク事業の管理区分の名称を一部見直し、「コンシューマ」、「法人」、「流通」、「ヤフー・LINE」、「金融」から「コンシューマ」、「エンタープライズ」、「ディストリビューション」、「メディア・EC」、「ファイナンス」へ変更しています。
(注2)2024年5月14日、ソフトバンクグループ㈱は、子会社を通じて保有するFortress Investment Group LLCの全持分をMubadala Investment Company PJSCの子会社に売却しました。本取引の完了をもって、同社はソフトバンクグループ㈱の子会社でなくなりました。
(a)持株会社投資事業
1.Tモバイル株式関連で3,711億円の投資利益を計上 - 2020年4月1日に完了したT-Mobile USとスプリントの合併取引の対価の一部として当社が受領した条件付対価の条件が2023年12月22日に充足されたことにより、2023年12月28日にTモバイル株式48.8百万株(77.4億米ドル(1.1兆円)相当)を無償で取得 - 条件付対価の公正価値上昇に伴い、投資に係るデリバティブ関連利益2,270億円を計上。このほか、従来から保有するTモバイル株式と合わせて投資の未実現評価利益1,545億円を計上(うち2023年12月28日に受領した株式に係る利益は314億円) 2.主に、Tモバイル株式関連利益をアリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円が上回ったことにより、投資損失4,590億円を計上 3.上記の投資損失を大きく上回るデリバティブ関連利益(投資損益を除く)1兆5,000億円を計上したものの、財務費用4,738億円や為替差損7,034億円などを計上した結果、975億円のセグメント損失に |
<事業概要>
当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱、SoftBank Group Capital Limited、ソフトバンクグループジャパン㈱、ソフトバンクグループオーバーシーズ合同会社および資産運用子会社であるSB Northstarのほか、投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。
当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、ドイツテレコムなどであり、そのほとんどがFVTPLの金融資産として認識されるものです。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。
アリババ
当社が保有するアリババ株式については、FVTPLの金融資産に分類しており、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。また、アリババ株式を利用した先渡売買契約等について、デリバティブ金融資産・負債を認識しており、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」として連結損益計算書に計上しています。
資産運用子会社からの上場株式や社債等への投資
SB Northstarはソフトバンクグループ㈱の余剰資金を用いて上場株式や社債等の取得および売却を行っています。当期における資産運用子会社に係る投資損失は696億円(活動開始来の累計投資損失:9,620億円)(注)、当期末における投資残高は3,477億円(うち、社債:2,649億円)です。社債は主に残存年数が短い投資適格債に投資しています。
同社における持分は、ソフトバンクグループ㈱が67%、ソフトバンクグループ㈱代表取締役 会長兼社長執行役員の孫 正義が33%をそれぞれ間接的に保有しています。孫 正義の持分は非支配持分として同社の投資損益から差し引かれるため、投資損益の67%が親会社の所有者に帰属する純利益に影響を与えます。ソフトバンクグループ㈱が同社に対しファンド存続期間(12年+延長2年)満了時に債権を保有し、その債権に返済不能分が発生した場合、持分比率に応じて孫 正義は損害額を補償します。
(注)累計投資損失は、SB NorthstarからSB Investment Advisers (US) Inc.子会社のSPAC(特別買収目的会社)3社への投資の影響を含まない金額です。
<業績全般>
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(単位:百万円) |
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3月31日に終了した1年間 |
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2023年 |
2024年 |
増減 |
増減率 |
|
持株会社投資事業からの投資損益 |
4,560,568 |
△459,045 |
△5,019,613 |
- |
A |
||
|
アリババ株式先渡売買契約決済益 |
4,838,251 |
- |
△4,838,251 |
- |
|
|
|
Tモバイル株式売却関連損益 |
24,842 |
- |
△24,842 |
- |
|
|
|
資産運用子会社からの投資の実現損益 |
△73,950 |
△90,360 |
△16,410 |
- |
|
|
|
資産運用子会社からの投資の未実現評価損益 |
△67,054 |
12,692 |
79,746 |
- |
|
|
|
資産運用子会社からの投資に係るデリバティブ関 連損益 |
△5,102 |
△792 |
4,310 |
- |
|
|
|
投資の実現損益(注1) |
△235,617 |
△38,429 |
197,188 |
- |
|
|
|
投資の未実現評価損益 |
△144,198 |
△611,627 |
△467,429 |
- |
|
|
|
|
当期計上額 |
△132,423 |
△647,414 |
△514,991 |
- |
|
|
|
過年度計上額のうち実現損益への振替額(注1) |
△11,775 |
35,787 |
47,562 |
- |
|
|
投資に係るデリバティブ関連損益 |
205,506 |
226,050 |
20,544 |
10.0% |
|
|
|
為替換算影響額(注2) |
- |
6,532 |
6,532 |
- |
|
|
|
その他 |
17,890 |
36,889 |
18,999 |
106.2% |
|
|
販売費及び一般管理費 |
△73,796 |
△89,285 |
△15,489 |
21.0% |
|
||
財務費用 |
△398,541 |
△473,811 |
△75,270 |
18.9% |
B |
||
為替差損益 |
△772,053 |
△703,438 |
68,615 |
- |
C |
||
持分法による投資損益 |
△22,836 |
1,904 |
24,740 |
- |
|
||
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) (主にアリババ株式の先渡売買契約の影響) |
65,732 |
1,500,015 |
1,434,283 |
- |
D |
||
その他の損益 |
△9,228 |
126,134 |
135,362 |
- |
|
||
セグメント利益(税引前利益) |
3,349,846 |
△97,526 |
△3,447,372 |
- |
|
(注1)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
(注2)投資の未実現評価損益は当該評価損益が生じた四半期の平均為替レートを用いて換算する一方、投資の実現損益は当該株式を処分した四半期の平均為替レートを用いて換算します。「為替換算影響額」は、未実現評価損益と実現損益の換算に使用する為替レートの差により生じた金額です。
A 持株会社投資事業からの投資損失:459,045百万円
・投資の未実現評価損失611,627百万円を計上しました。これは主に、Tモバイルの株価上昇に伴い同株式に係る未実現評価利益154,538百万円を計上した一方、アリババの株価下落に伴い同株式に係る未実現評価損失913,156百万円を計上したことによるものです。
・投資に係るデリバティブ関連利益226,050百万円を計上しました。これは主に、条件付対価に係るデリバティブ関連利益227,012百万円を計上したことによるものです。
B 財務費用:473,811百万円(前期比75,270百万円増加)
ソフトバンクグループ㈱2のグループ外への支払利息は前期比6,781百万円増の403,021百万円とほぼ横ばいに留まったものの、2023年8月に行ったSVF1からのアーム株式の取得の対価のうち未払金に係る償却原価67,390百万円を計上しました。なお、当該償却原価は連結上、消去されています。
C 為替差損:703,438百万円
主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建負債(子会社からの借入や外貨建普通社債など)および米ドル建現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損703,438百万円(純額)を計上しました。
D デリバティブ関連利益(投資損益を除く):1,500,015百万円
アリババ株式を利用した先渡売買契約等に係るデリバティブ関連利益1,517,350百万円を計上しました。
(参考情報)資産運用子会社の当社連結財政状態計算書への影響
|
|
(単位:百万円) |
|
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2024年3月31日 |
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現金及び現金同等物 |
794,508 |
|
|
資産運用子会社からの投資 |
347,679 |
|
|
|
うち、社債 |
264,854 |
|
資産運用子会社におけるデリバティブ金融資産 |
11 |
|
|
その他の金融資産 |
3,672 |
|
|
その他 |
4,660 |
|
|
資産合計 |
1,150,530 |
|
|
その他の金融負債 |
3,672 |
|
|
その他 |
521 |
|
|
負債合計 |
4,193 |
|
|
Delaware子会社からの出資(注1) |
1,971,699 |
|
|
|
ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への現金出資相当額 |
39,786 |
|
|
ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への貸付相当額 (ソフトバンクグループ㈱からの運用委託金) |
1,912,020 |
|
|
孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額 |
19,893 |
A |
利益剰余金 |
△994,680 |
B |
|
為替換算差額 |
169,318 |
|
|
純資産 |
1,146,337 |
C |
(注1)当社の子会社であるDelaware Project 1 L.L.C.、Delaware Project 2 L.L.C.およびDelaware Project 3 L.L.C.(以下「Delaware子会社」)から資産運用子会社であるSB Northstarへの出資額
(非支配持分の計算)
|
(単位:百万円) |
|
孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額 |
19,893 |
A |
非支配持分損益(累計)(注2) |
△331,460 |
|
為替換算差額 |
64,557 |
|
非支配持分(孫 正義の持分) |
△247,010 |
D |
(注2)表中Bの3分の1
(純資産(上記C)に対する持分)
|
(単位:百万円) |
|
ソフトバンクグループ㈱の持分 |
1,393,347 |
|
非支配持分(孫 正義の持分) |
△247,010 |
D |
純資産 |
1,146,337 |
C |
当事業における主な有利子負債およびリース負債
借入者 |
種別 |
当期末連結 財政状態計算書残高 |
ソフトバンクグループ㈱ |
借入金 |
4,630億円 |
社債 |
6兆1,476億円 |
|
リース負債 |
94億円 |
|
コマーシャル・ペーパー |
1,765億円 |
|
|
|
|
資金調達を行う100%子会社 (注) |
アーム株式を利用した借入(マージンローン) |
1兆2,749億円 |
アリババ株式を利用した株式先渡売買契約(カラー契約およびフォワード契約) |
4兆6,766億円 |
|
ソフトバンク㈱株式を利用した借入(マージンローン) |
4,988億円 |
|
Tモバイル株式を利用した株式先渡売買契約(カラー契約) |
4,322億円 |
|
ドイツテレコム株式を利用したカラー取引 |
4,969億円 |
(注)資金調達を行う100%子会社による借入はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。
(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業
1.活動開始来累計損益はSVF1で167億米ドルのプラス、SVF2で193億米ドルのマイナス(注1) SVF1:投資額896億米ドルに対しリターン(注2)1,063億米ドル、活動開始来累計利益は167億米ドル ・当期の投資利益は53億米ドル(7,689億円)。当社100%子会社へのアーム株式の売却による投資利益56億米ドル(8,073億円)を含む ・当第4四半期末に保有する投資の合計公正価値が前四半期末比0.4%減少(注3) -公開投資先(注4):前四半期末比0.9%増加。Coupang、DoorDashなどの株価が上昇 -未公開投資先(注4):前四半期末比1.2%減少。主に業績の低迷を反映し複数の銘柄の公正価値が減少 SVF2:投資額524億米ドルに対しリターン331億米ドル、活動開始来累計損失は193億米ドル ・当期の投資損失は10億米ドル(1,465億円) ・当第4四半期末に保有する投資の合計公正価値が前四半期末比1.1%減少 -公開投資先:前四半期末比10.3%減少。AutoStore、Symboticなどの株価が下落 -未公開投資先:前四半期末比0.4%増加。公開類似企業の株価上昇などを反映 なお、SVFによる当社子会社(主にアーム)への投資に係る投資損益は当事業における「SVF事業からの投資損益」に含まれるが、連結上消去され、連結損益計算書上の「SVF事業からの投資損益」には含まれない。
2.規律あるアプローチの下で資金化および投資を継続 ◆当期にSVF2で21.4億米ドルを投資1 ◆当期にSVF1およびSVF2でアームを含む17銘柄の全株式および複数の銘柄の一部株式などを合計219.9億米ドルで売却1 |
(注1)累計リターンおよび投資損益は外部投資家持分および税金等の控除前のグロスの金額です。以下本項の累計パフォーマンスの表示において同じです。
(注2)売却額等+保有投資の公正価値。以下同じです。
(注3)当第4四半期中に実行した投資と売却による変動を除いた公正価値(米ドルベース)の増減率です。なお、投資先の公開/未公開の区分は、当第4四半期末時点の状態に基づいており、当第4四半期中に公開/未公開の区分が変更になった投資先については、当第3四半期末の状態を当第4四半期末時点の状態に合わせた上で比較を行っています。以下本項における四半期末に保有する投資の公正価値の増減において同じです。
(注4)公開投資先は証券取引所および店頭市場で取引される株式を、未公開投資先は公開投資先に該当しない投資先を指します。以下同じです。
(注5)「エグジットした投資」の当期損益計上額は、当該投資のエグジット金額から投資額を差し引いた金額です。過年度または当期第3四半期までに計上した当該投資に係る未実現評価損益については、「当期にエグジットした投資の未実現評価損益過去計上額の振替」に表示しています。そのため、「エグジット前の投資」の当期第3四半期までの決算において開示した各四半期の損益計上額と、上記「当期1~3月」の損益計上額との合計は、上記「当期累計」の損益計上額と一致しない場合があります。
(注6)投資額は、デリバティブについてはデリバティブ原価を表します。リターンは、エグジットした投資についてはエグジット金額を、エグジット前の投資については公正価値を、デリバティブについては既決済契約の決済額または未決済契約の公正価値を、受取利息または配当金については各受領額を指します。
<事業概要>
当事業の業績には、主にソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)およびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド(LatAmファンド)における投資および事業活動の結果が含まれています。
当事業における主なファンドの概要
2024年3月31日現在
AIを活用した成長可能性の大きな企業へ投資し、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。SVF1の投資期間は終了しましたが、固定分配やファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。
|
SVF1 |
SVF2 |
LatAmファンド |
主なリミテッド・ パートナーシップ |
SoftBank Vision Fund L.P. |
SoftBank Vision Fund II-2 L.P. |
SBLA Latin America Fund LLC |
出資コミットメント総額 |
986億米ドル |
598億米ドル(注2) |
78億米ドル(注2) |
|
当社:331億米ドル(注1) 外部投資家:655億米ドル |
当社:572億米ドル 外部投資家(MgmtCo): |
当社:74億米ドル 外部投資家(MgmtCo): |
運営会社 |
SBIA(当社英国100%子会社) |
SBGA(当社英国100%子会社) |
|
投資期間 |
2019年9月12日に終了 |
運営会社の裁量により決定 |
|
存続期間 |
2029年11月20日まで (SBIAに最大2回の1年 |
2032年10月4日まで (SBGAに最大2回の1年延長オプションあり) |
(注1)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。
(注2)2023年9月27日から、SVF2の出資コミットメント残額は、40億米ドルを上限として運営会社であるSBGAの裁量でLatAmファンドに配分することが可能となりました。係る配分がなされた場合、SVF2の出資コミットメント総額は減少することとなります。
(注3)SVF2およびLatAmファンドには当社経営陣による共同出資プログラムが導入されており、経営陣の投資エンティティであるMASA USA LLC(以下「MgmtCo」)が参画しています。当社連結財務諸表上、MgmtCoの出資持分は外部投資家持分として扱われています。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記45.関連当事者(1)関連当事者との取引 a.配当受領権制限付き共同出資プログラム」をご参照ください。
SVFにおける借入
SVF1、SVF2およびLatAmファンドは、レバレッジの活用や手元流動性の確保などを目的として、ソフトバンクグループ㈱にはノンリコースの借入を独自に行うことがあります。このような借入には、例えばリターンの向上およびリミテッド・パートナーへの分配を目的とした保有資産を活用するアセットバック・ファイナンスがあります。
投資先の公正価値評価
SVF1、SVF2およびLatAmファンドはIFRS第13号「公正価値測定」に従い、SBIA Global Valuation PolicyおよびInternational Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines(IPEVガイドライン)に基づいて、毎四半期末日における投資先の公正価値を算定しています。公開投資先のうち、証券取引所で取引される株式については相場価格を用いて、店頭市場で取引される株式については相場価格および観察可能なその他のインプットを単一もしくは複数用いて公正価値を算定しています。未公開投資先の公正価値算定については、公開類似企業の情報を用いたマーケット・アプローチ、予想される将来キャッシュ・フローを用いたインカム・アプローチに加えて、直近の資金調達ラウンドや類似取引の価格を用いた取引事例法などの評価手法を単一もしくは複数用いています。
<業績全般>
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(単位:百万円) |
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3月31日に終了した1年間 |
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2023年 |
2024年 |
増減 |
増減率 |
|
SVF事業からの投資損益(注1) |
△5,279,494 |
724,341 |
6,003,835 |
- |
A |
|||
|
SVF1、SVF2およびLatAmファンドからの投資損益 |
△5,298,458 |
696,261 |
5,994,719 |
- |
|
||
|
|
投資の実現損益(注2) |
78,616 |
984,409 |
905,793 |
- |
|
|
|
|
投資の未実現評価損益 |
△5,267,270 |
△144,835 |
5,122,435 |
- |
|
|
|
|
|
当期計上額 |
△4,978,591 |
△189,604 |
4,788,987 |
- |
|
|
|
|
過年度計上額のうち実現損益への振替額 (注2) |
△288,679 |
44,769 |
333,448 |
- |
|
|
|
投資先からの利息及び配当金 |
1,512 |
21,668 |
20,156 |
- |
|
|
|
|
投資に係るデリバティブ関連損益 |
14,537 |
△7,337 |
△21,874 |
- |
|
|
|
|
為替換算影響額 |
△125,853 |
△157,644 |
△31,791 |
- |
|
|
|
その他の投資損益 |
18,964 |
28,080 |
9,116 |
48.1% |
|
||
販売費及び一般管理費 |
△65,999 |
△84,986 |
△18,987 |
28.8% |
|
|||
財務費用 |
△81,181 |
△74,322 |
6,859 |
△8.4% |
|
|||
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) |
907 |
- |
△907 |
- |
|
|||
SVFにおける外部投資家持分の増減額 |
1,127,949 |
△390,137 |
△1,518,086 |
- |
B |
|||
その他の損益 |
△10,473 |
△46,717 |
△36,244 |
- |
|
|||
セグメント利益(税引前利益) |
△4,308,291 |
128,179 |
4,436,470 |
- |
|
(注1)SVFによる当社子会社(主にアーム、PayPay㈱)への投資に係る投資損益は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益において「SVF事業からの投資損益」に含まれますが、連結上消去し、連結損益計算書上の「SVF事業からの投資損益」には含まれません。
(注2)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
SVF1およびSVF2の投資・売却実績
|
|
|
|
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|
|
(単位:十億米ドル) |
||||
|
当期投資実行額 |
|
当期売却額4 |
||||||||
|
Q1 |
Q2 |
Q3 |
Q4 |
累計 |
|
Q1 |
Q2 |
Q3 |
Q4 |
累計 |
SVF1 |
- |
- |
- |
- |
- |
|
0.56 |
16.36 |
2.04 |
2.41 |
21.37 |
SVF2 |
1.56 |
0.37 |
0.09 |
0.12 |
2.14 |
|
0.33 |
0.12 |
0.12 |
0.05 |
0.62 |
合計 |
1.56 |
0.37 |
0.09 |
0.12 |
2.14 |
|
0.89 |
16.48 |
2.16 |
2.46 |
21.99 |
(注)投資額は、新規および既存投資先への追加投資を含みます。
セグメント利益
A SVF事業からの投資利益:724,341百万円
(単位:百万円) |
|||
|
3月31日に終了した1年間 |
|
|
|
2023年 |
2024年 |
増減 |
SVF1からの投資損益 |
△2,311,213 |
768,891 |
3,080,104 |
SVF2からの投資損益 |
△2,445,427 |
△146,472 |
2,298,955 |
LatAmファンドからの投資損益 |
△541,818 |
73,862 |
615,680 |
その他の投資損益等 |
18,964 |
28,060 |
9,096 |
SVF事業からの投資損益(A) |
△5,279,494 |
724,341 |
6,003,835 |
|
|
|
|
当社子会社等への投資に係る投資損益(B) |
42,771 |
891,631 |
848,860 |
連結損益計算書における SVF事業からの投資損益(A)-(B) |
△5,322,265 |
△167,290 |
5,154,975 |
当期の「当社子会社等への投資に係る投資損益」には、主にアームへの投資に係る投資利益807,320百万円(56億米ドル)が含まれています。2023年8月に、SVF1が保有していたアーム株式を当社100%子会社へ売却したことにより、当事業において、実現利益1,074,039百万円(74億米ドル)、未実現損失(過年度計上額のうち実現損益への振替額)189,817百万円(18億米ドル)および為替換算影響額として76,902百万円の損失を計上しました。当該売却の詳細は「(1)財政状態及び経営成績の状況<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>」をご参照ください。
B SVFにおける外部投資家持分の増減額:△390,137百万円
各ファンドからの投資損益から、①SBIAがSVF1から受領する管理報酬および成功報酬、②SBGAがSVF2から受領する管理報酬および業績連動型管理報酬、③SBGAがLatAmファンドから受領する管理報酬、業績連動型管理報酬および成功報酬、④各ファンドの営業費用およびその他の費用を控除した金額をもとに算出された外部投資家に帰属する損益です。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 (2)SVFにおける外部投資家持分」をご参照ください。
投資の状況
2024年3月31日現在
SVF1
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
|
|
累計 投資銘柄数 |
累計 投資額 |
累計 リターン |
累計損益 (注1) |
|
投資損益 当期計上額 |
|
|
|
|
1~3月 |
累計 |
||||
|
|
102 |
89.6 |
106.3 |
16.7 |
|
0.0 |
5.3 |
(参考)
|
|
累計 投資銘柄数 |
累計 投資額 |
累計 リターン |
累計損益 (注1) |
株式交換による影響(注2) |
△4 |
△2.0 |
△2.0 |
- |
|
現物配当による影響(注3) |
△4 |
- |
- |
- |
|
上記による影響考慮後 |
94 |
87.6 |
104.3 |
16.7 |
①エグジットした投資
|
|
銘柄数
|
投資額
|
エグジット 金額
|
累計 実現損益 (注1) |
|
実現損益 当期計上額 |
|
|
|
|
1~3月 |
累計 |
||||
一部エグジット |
- |
7.6 |
16.9 |
9.3 |
|
|
0.6 |
|
全部エグジット(注4) |
34 |
30.4 |
47.2 |
16.8 |
|
|
6.7 |
|
合計 |
34 |
38.0 |
64.1 |
26.1 |
|
0.4 |
7.3 |
②エグジット前の投資(当期末に保有する投資)(注5)
|
|
銘柄数
|
投資額
|
公正価値
|
累計未実現 評価損益 (注7) |
|
未実現評価損益 当期計上額 |
|
|
|
|
1~3月 |
累計 |
||||
公開投資(注6) |
21 |
26.4 |
16.0 |
△10.4 |
|
0.1 |
0.3 |
|
未公開投資 |
47 |
25.2 |
23.9 |
△1.3 |
|
△0.2 |
△0.9 |
|
合計 |
68 |
51.6 |
39.9 |
△11.7 |
|
△0.1 |
△0.6 |
③デリバティブ
|
|
|
デリバ ティブ 原価 |
公正価値 /決済額 |
累計 デリバ ティブ 関連損益 |
|
デリバティブ関連損益当期計上額 |
|
|
|
|
1~3月 |
累計 |
||||
未決済 |
|
△0.0 |
△0.0 |
△0.0 |
|
|
△0.0 |
|
既決済 |
|
0.0 |
1.4 |
1.4 |
|
|
△0.0 |
|
合計 |
|
△0.0 |
1.4 |
1.4 |
|
△0.1 |
△0.0 |
④投資先からの利息および配当金
|
|
|
|
利息および 配当金 |
累計損益 |
|
利息および配当金 当期計上額 |
|
|
|
|
1~3月 |
累計 |
||||
合計 |
|
|
0.9 |
0.9 |
|
- |
- |
(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
(注1)外部投資家持分および税金等の控除前
(注2)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。Uber Advanced Technologies GroupとAurora Innovation Inc.、PT TokopediaとPT GoTo Gojek Tokopedia Tbk、Grofers International Pte. Ltd.とZomato Limited、Zymergen, Inc.とGinkgo Bioworks Holdings, Inc.、Candy Digital, Inc.とFanatics Holdings, Inc.(既存投資先)の株式交換が含まれます。なお、SVF1は過年度において既存投資先2社の株式を同じく既存投資先であるその関係会社株式に交換したため、当項目において該当する投資の取得額および処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。
(注3)既存投資先からの現物配当として受領した投資について投資件数から控除しています。アームから受領した2銘柄(Treasure DataおよびAcetone Limited(Arm China株式の約48%を保有する中間持株会社))およびReef Global Inc.から受領した2銘柄(REEF Proximity Aggregator LLCおよびParking Aggregator LLC)が含まれます。
(注4)株式交換および投資先の組織再編による処分(売却)を含みます。
(注5)投資先の公開/未公開の区分は、当期末時点の状態に基づいています。
(注6)公開株式には店頭市場で取引されているDiDi Global Inc.およびWeWorkへの投資を含みます。なお、WeWork株式の帳簿価額は0米ドルまで引き下げています。これは、2023年11月6日に同社と主要な債券投資家との間で締結されたリストラクチャリングサポート契約(RSA)に基づき判断したものです。
(注7)当社からSVF1への移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。
SVF2
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
|
|
累計 投資銘柄数 |
累計 投資額 |
累計 リターン |
累計損益 (注1) |
|
投資損益 当期計上額 |
|
|
|
|
1~3月 |
累計 |
||||
|
283 |
52.4 |
33.1 |
△19.3 |
|
△0.3 |
△1.0 |
(参考)
|
|
累計 投資銘柄数 |
累計 投資額 |
累計 リターン |
累計損益 (注1) |
WeWorkへの財務サポートによる影響(注2) |
△4 |
- |
- |
- |
|
株式交換による影響(注3) |
△2 |
△0.0 |
△0.0 |
- |
|
上記による影響考慮後 |
277 |
52.4 |
33.1 |
△19.3 |
①エグジットした投資
|
|
銘柄数
|
投資額
|
エグジット 金額
|
累計 実現損益 (注1) |
|
実現損益 当期計上額 |
|
|
|
|
1~3月 |
累計 |
||||
一部エグジット |
- |
0.4 |
0.3 |
△0.1 |
|
|
△0.0 |
|
全部エグジット |
11 |
2.6 |
3.1 |
0.5 |
|
|
△0.7 |
|
合計 |
11 |
3.0 |
3.4 |
0.4 |
|
△0.2 |
△0.7 |
②エグジット前の投資(当期末に保有する投資)(注4)
|
|
銘柄数
|
投資額 (注6) |
公正価値 (注6) |
累計未実現 評価損益
|
|
未実現評価損益 当期計上額 |
|
|
|
|
1~3月 |
累計 |
||||
公開投資(注5) |
16 |
8.6 |
4.0 |
△4.6 |
|
△0.4 |
△1.0 |
|
未公開投資 |
256 |
40.8 |
25.9 |
△14.9 |
|
0.1 |
△0.2 |
|
合計 |
272 |
49.4 |
29.9 |
△19.5 |
|
△0.3 |
△1.2 |
③デリバティブ
|
|
|
デリバ ティブ 原価 |
公正価値 /決済額 |
累計 デリバ ティブ 関連損益 |
|
デリバティブ 関連損益 当期計上額 |
|
|
|
|
1~3月 |
累計 |
||||
未決済 |
|
△0.0 |
0.0 |
0.0 |
|
|
△0.0 |
|
既決済 |
|
- |
△0.3 |
△0.3 |
|
|
0.0 |
|
合計 |
|
△0.0 |
△0.3 |
△0.3 |
|
0.0 |
0.0 |
④投資先からの利息および配当金
|
|
|
|
利息および 配当金 |
累計損益 |
|
利息および配当金 当期計上額 |
|
|
|
|
1~3月 |
累計 |
||||
合計 |
|
|
0.1 |
0.1 |
|
- |
0.1 |
(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
(注1)外部投資家持分および税金等の控除前
(注2)2019年10月の当社とWeWorkの合意に基づきSVF2が買い受けた同社担保付シニア債券(当第1四半期に同社が償還済み)(i)、2023年3月のWeWorkと主要な債券投資家およびSVF2等における同社の債務リストラクチャリングに対するサポートに係る合意に基づきSVF2が保有する転換社債(ii、iii)ならびに額面3.0億米ドルの債券(iv)を投資件数から控除しています。
(注3)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。当第2四半期にSVF2が保有していたXCOM Labs, Inc.の株式の一部をGlobalstar, Inc.の株式に交換し、当第4四半期にSVF2が保有していたODA Group Holding ASの株式をMathem Holdings ABの株式に交換しました。
(注4)投資先の公開/未公開の区分は、当期末時点の状態に基づいています。
(注5)公開株式には店頭市場で取引されているPear Therapeutics, Inc.およびWeWorkへの投資を含みます。なお、WeWork株式の帳簿価額は0米ドルまで引き下げています。これは、2023年11月6日に同社と主要な債券投資家との間で締結されたリストラクチャリングサポート契約(RSA)に基づき判断したものです。
(注6)SVF2のエグジット前の投資の投資額および公正価値には、投資の取得対価の一部として受領した他会社の非支配持分に係るものが含まれています。
LatAmファンド
当期末現在、LatAmファンドは累計投資額74億米ドルに対し累計リターンは63億米ドルとなり、活動開始来累計損失は11億米ドルとなりました。このうち当期の投資損益は5億米ドル(739億円)の利益です。
資金の状況
2024年3月31日現在
SVF1
|
|
|
(単位:十億米ドル) |
|
|
|
合計 |
当社 |
外部投資家 |
出資コミットメント(A) |
98.6 |
33.1 |
65.5 |
|
拠出額5(B) |
87.2 |
29.9 |
57.3 |
|
|
拠出額返還額(再コール不可)(C) |
37.3 |
9.2 |
28.1 |
|
拠出額残高(注1)(D)=(B)-(C) |
49.9 |
20.7 |
29.2 |
コミットメント残額(E)=(A)-(B) |
11.4 |
3.2 |
8.2 |
(注)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。
(注1)当期末現在、外部投資家の拠出額残高の292億米ドルのうち、133億米ドルはプリファード・エクイティ出資です。
SVF2
(単位:十億米ドル) |
|
|
合計 |
出資コミットメント(A) |
59.8 |
拠出額(B) |
57.3 |
コミットメント残額(C)=(A)-(B) |
2.5 |
(注)コミットメント残額には再コール可能な払込資金返還額を含みます。
(参考:2024年3月31日現在 出資コミットメントの内訳)
出資コミットメント合計 |
59.8 |
|
|
共同出資プログラムの対象外の投資への当社エクイティ出資 |
12.5 |
|
SVF2 LLCへの当社プリファード・エクイティ出資(注1) |
32.3 |
|
SVF2 LLCへの当社エクイティ出資 |
12.4 |
|
SVF2 LLCへのMgmtCoエクイティ出資 |
2.6 |
(注)当期末現在、MgmtCoによる出資額の支払いは実施されていません。
(注1)SVF2 LLC(SVF II Investment Holdings LLC)はSVF2の傘下に設立された当社の子会社であり、共同出資プログラムの対象となる投資を間接的に保有しています。
当期末現在、LatAmファンドに対する出資コミットメント総額は78億米ドル、拠出額は74億米ドルです。
(c)ソフトバンク事業
1. コンシューマ事業が増益に転じたほか、メディア・EC事業およびエンタープライズ事業が引き続き増益となったことなどにより、セグメント利益は前期比40.9%増加 2. モバイルサービス売上が通信料値下げの影響の縮小やスマートフォン契約数の増加などにより3期ぶりに増収 |
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(単位:百万円) |
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3月31日に終了した1年間 |
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2023年 |
2024年 |
増減 |
増減率 |
売上高 |
5,956,537 |
6,083,846 |
127,309 |
2.1% |
セグメント利益(税引前利益) |
592,782 |
835,076 |
242,294 |
40.9% |
減価償却費及び償却費 |
△768,712 |
△738,762 |
29,950 |
△3.9% |
投資損益 |
△25,381 |
6,664 |
32,045 |
- |
財務費用 |
△64,020 |
△63,706 |
314 |
△0.5% |
持分法による投資損益 |
△46,783 |
△22,595 |
24,188 |
- |
その他の損益 |
△42,753 |
33,132 |
75,885 |
- |
<事業概要>
当事業の業績には、ソフトバンク㈱および同社子会社が主に日本国内で行っているモバイルサービスの提供や携帯端末の販売、ブロードバンドサービスや広告サービス、コマースサービスの提供などの事業活動の結果が含まれています。「Beyond Carrier」戦略の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」といったインターネットサービスや、キャッシュレス決済サービス「PayPay」などのAI・IoT・FinTechを含む最先端テクノロジーを活用したビジネスの展開を通じ、通信以外の領域の拡大を目指しています。
<業績全般>
セグメント利益は、前期比242,294百万円(40.9%)増加の835,076百万円となりました。これは、メディア・EC事業およびエンタープライズ事業が引き続き増益だったことに加えて、コンシューマ事業も増益に転じたことによるものです。その他の損益が大きく改善したことも寄与しました。なお、ソフトバンク㈱は前期第3四半期にPayPay㈱の子会社化に係る企業結合に伴う再測定益294,843百万円を計上しましたが、ソフトバンクグループ㈱の連結財務諸表においてはPayPay㈱は従前より一貫して子会社であるため当該再測定益は計上していません。
コンシューマ事業は、主に物販売上やモバイルサービス売上、ブロードバンドサービス売上の増収効果で増益となりました。このうちモバイルサービス売上は、2021年春に実施した通信料値下げの影響が縮小傾向にある中、スマートフォン契約数が増加したことなどにより3期ぶりに増収となりました。メディア・EC事業は、コマース売上の増加やアカウント広告の成長に伴うメディア売上の増加に加えて、販売促進費や広告宣伝費の減少などにより増益となりました。エンタープライズ事業は、企業のデジタル化が加速する中でクラウドサービスなどの売上が拡大したことなどにより増益となりました。
その他の損益の改善は、主に、日本郵政グループから受注した通信回線敷設工事等を巡る訴訟に関連し前期に計上していた引当金繰入額19,176百万円について、ソフトバンク㈱に賠償金等の支払いを命じた第一審判決が2024年3月の控訴審判決により破棄されたことに基づき当期に全額を戻し入れたことや、持分法適用関連会社であるWebtoon Entertainment Inc.などの持分変動利益20,299百万円を当期に計上したことによるものです。このほか、㈱出前館に係る持分法投資の減損損失を前期に31,304百万円、当期に22,345百万円それぞれ計上しました。その他の損益の詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記41.その他の損益」をご参照ください。
なお、PayPay㈱およびPayPayカード㈱は主に決済取扱高の拡大に伴う売上の増加や、リボ払い残高の拡大に伴う金利収入の増加により損失が縮小しました。一部の残高チャージ方法(「ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い」)において新たに手数料を設定したことや、キャンペーン対象者の絞り込みなどにより費用が減少したことも損失縮小に寄与しました。
<Zホールディングス㈱と同社の中核完全子会社であるLINE㈱、ヤフー㈱を中心としたグループ内再編>
2023年10月1日付で、Zホールディングス㈱は、同社ならびに同社の中核完全子会社であるLINE㈱およびヤフー㈱の3社を中心とした合併を含むグループ内再編に関する手続きを予定通り完了するとともに、商号を「LINEヤフー株式会社」に変更しました。今後、よりプロダクトファーストの組織体制の下で、経営統合によるシナジーの拡大の加速を目指します。
(d)アーム事業
顧客のテクノロジー企業によるAI投資の増加を背景に、四半期および通期のいずれでもアーム史上最高の売上高(米 ◆ 米ドルベースの売上高は前期比13.6%増(円ベースでは同21.6%増)。ライセンスおよびその他の収入が過去最高となったほか、ロイヤルティー収入も過去最高を記録した前期にわずかに及ばなかったものの力強い結果に -米ドルベースのロイヤルティー収入は0.9%の微減:上期は半導体チップの販売低迷による影響を受けたものの、下期はアームの最新世代テクノロジー「Armv9」の普及促進に伴うロイヤルティー単価の上昇を背景にロイヤルティー収入が回復。当第4四半期のロイヤルティー収入は四半期ベースで過去最高を記録 -米ドルベースのライセンスおよびその他の収入は38.5%増:次世代スマートフォン、自動車、コンシューマー・エレクトロニクスおよびAIアプリケーション向けチップを開発する大手テクノロジー企業と高額かつ長期のライセンス契約を締結 ◆ 株式報酬費用の増加や研究開発強化に伴う従業員数の増加が増収影響を打ち消し、332億円のセグメント損失に |
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(単位:百万円) |
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3月31日に終了した1年間 |
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2023年 |
2024年 |
増減 |
増減率 |
売上高 |
381,746 |
464,025 |
82,279 |
21.6% |
セグメント利益(税引前利益)(注) |
48,663 |
△33,215 |
△81,878 |
- |
(注)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は65,581百万円、前期は61,467百万円含まれています。
<事業概要>
アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。
アームの業績は半導体市場の動向にプラスにもマイナスにも大きく影響を受けることがあります。市場の売上高はその成長に応じて増加し、アームのロイヤルティー収入の増加をもたらします。また、市場の成長はアームの顧客による活発な製品設計活動を促す可能性があり、アームがより多くの最新テクノロジーをライセンスする機会が生まれ、ライセンスおよびその他の収入の増加につながります。
アームは、コンピューティングの未来を築くため、研究開発投資を継続して強化しています。CPUや、グラフィックスプロセッサー、AIアクセラレーターおよび統合サブシステムなどの関連技術を開発することで、顧客が次世代のコンピューティングデバイスを開発できるようサポートしています。
<業績全般>
売上高(米ドルベース)
アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。
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(単位:百万米ドル) |
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3月31日に終了した1年間 |
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2023年 |
2024年 |
増減 |
増減率 |
ロイヤルティー収入 |
1,783 |
1,767 |
△16 |
△0.9% |
ライセンスおよびその他の収入 |
1,034 |
1,431 |
397 |
38.5% |
合計 |
2,817 |
3,198 |
381 |
13.6% |
(注)当第1四半期より、売上区分の名称を「テクノロジー・ロイヤルティー収入」および「非ロイヤルティー収入」から、それぞれ「ロイヤルティー収入」および「ライセンスおよびその他の収入」に変更しています。なお、集計方法については従来から変更ありません。
売上高は、前期から381百万米ドル(13.6%)増加しアーム史上最高となりました。
ロイヤルティー収入
ロイヤルティー収入は過去最高を記録した前期にわずかに及ばず、16百万米ドル(0.9%)減少しました。上期は、前期から続く世界的な半導体市場縮小の影響を受けて、特にスマートフォンおよびその他のコンシューマー・エレクトロニクス分野でロイヤルティー収入が伸び悩んだものの、下期は半導体市場全体の回復に加えて、アームの最新世代テクノロジーでありより高いロイヤルティー単価を見込める「Armv9」の普及を背景にロイヤルティー収入が力強く成長しました。当第4四半期は、四半期ベースのロイヤルティー収入がアーム史上最高となりました。WSTS(世界半導体市場統計)は2024年の世界半導体売上高は前年対比で13.1%増加すると予測しています6。市場の回復はアームのロイヤルティー収入を増加させるとともに、アームの注力分野である自動車やクラウド・サーバーでの市場シェア拡大、「Armv9」やアームの複数のIPを組み合わせたコンピュート・サブシステム(CSS)といった最新技術の普及が、今後のロイヤルティー収入の一層の原動力となることが見込まれます。
ライセンスおよびその他の収入
ライセンスおよびその他の収入は前期から397百万米ドル(38.5%)増加し、過去最高となりました。これは、アームの顧客がAI技術への投資を増やしていることや、これらの顧客がサブスクリプション・モデルへ移行していることによるものです。顧客は、サブスクリプション・モデルへ移行することにより、より高いライセンス料を支払うことで、単一の技術のライセンスを得るのではなくより広範なアームの技術へアクセスすることが可能となります。当期において、アームは次世代スマートフォン、自動車、コンシューマー・エレクトロニクスおよびAIアプリケーション向けチップを開発する大手テクノロジー企業と高額かつ長期のライセンス契約を締結しました。現在の旺盛なライセンス需要は、今後開発され数年後に市場に投入されるチップからのロイヤルティー収入の基盤となります。
セグメント利益
セグメント利益は、前期から81,878百万円悪化し、33,215百万円の損失となりました。これは主に、株式報酬費用の増加や、急速な研究開発体制の強化に伴い技術関連人員を中心に従業員の採用を進めたため、人件費が増加したことによるものです。当期において、アームの従業員数は1,133人(19%)増加し、新規採用の80%以上が技術関連人員でした。
<営業概況>
ロイヤルティー・ユニット7
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(単位:億個) |
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3月31日に終了した1年間 |
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2023年 |
2024年 |
増減 |
増減率 |
ロイヤルティー・ユニット出荷数 (ライセンシーからの報告) |
306 |
286 |
△20 |
△6.5% |
ライセンシーから報告された12カ月累計のロイヤルティー・ユニットの出荷数(2023年1~12月の出荷実績)は286億個となり、前年比6.5%減となりました。これは主に、2023年のスマートフォンの世界販売台数が前年から約4.7%減少8したことによるものです。一方、ハイエンドのスマートフォン向けに「Armv9」ベースのCPUの普及が進んだことや、自動車アプリケーションおよびクラウド・サーバー分野でアームの市場シェアが拡大したことが、スマートフォンの販売台数減少による影響を補ったことから、ロイヤルティー収入は前期比でほぼ横ばいとなりました。
<技術開発>
当期、アームおよびライセンシー企業は技術開発に関する以下の発表を行いました。なお、各技術開発の詳細については、発表各社のウェブサイトに掲載されているプレスリリースをご参照ください。
・アームは、モバイルアプリケーションプロセッサー向けの「Arm Total Computeソリューション2023(TCS23)」を発表(2023年5月)。プレミアムモバイルコンピューティング向けプラットフォームである「TCS23」が、没入感あふれるゲーム、リアルタイム3D体験、次世代のAIアプリケーションを実現
・NVIDIA Corporationは、NVIDIA Grace CPU Superchipを搭載したスーパーコンピューターを発表(2023年5月)。当該コンピューターは、「Arm Neoverse」プラットフォームをベースとしたエネルギー効率に優れたスーパーコンピューターの新たな一角に
・NVIDIA Corporationとソフトバンク㈱は、生成AIと5G/6Gに向けた次世代プラットフォームの構築に向けて協業を発表(2023年5月)。当該プラットフォームはNVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipがベースになっており、ソフトバンク㈱は今後構築する日本各地の新しい分散型AIデータセンターへの導入を予定
・アームは、「Arm Neoverse」プラットフォームの事前統合・検証済みの構成として「Arm Neoverse Compute Subsystems(CSS)」を発表(2023年8月)。サーバーやネットワーク機器向けのチップを開発する顧客は、開発コストを低減し、市場投入期間の短縮が可能に
・ルネサス エレクトロニクス㈱は、業界初となる「Arm Cortex-M85」コアを搭載した高性能マイクロコントローラーRA8シリーズを発表(2023年10月)。「Arm Helium」テクノロジーにより機械学習の処理性能が従来比4倍向上し、端末機器で優れたAI性能を実現
・MediaTek Inc.は、フラッグシップスマートフォン向けチップDimensity 9300を発表(2023年11月)。同チップは「Arm Cortex-X4」と「Arm Cortex-A720」をそれぞれ4基搭載した唯一のオールビッグコア設計に加え、「Arm Immortalis-G720」を採用。大規模言語モデルに対応し、デバイス上での生成AI処理性能を大幅に向上
・Microsoft Corporationは、サーバー向けの初の自社開発チップであるAzure Cobalt CPUを発表(2023年11月)。同CPUは128個の「Arm Neoverse」プロセッサーをベースにしており、現行世代のAzureサーバーチップと比較してワットあたりのパフォーマンスを40%向上
・アームは、AIインフラストラクチャーに必要なデータセンター、スーパーコンピューターおよびネットワーク機器向けのAI半導体チップの開発を加速する技術として、最新のプロセッサーコア「Neoverse V3」および「Neoverse N3」ならびにサブシステム「Arm Neoverse CSS V3」および「Arm Neoverse CSS N3」を発表(2024年2月)
・アームは、完全自動運転車の開発を加速する一連の新技術を発表(2024年3月)。車載用途に特化した「Armv9」ベースのプロセッサー群およびサブシステムに加えて、自動車の開発期間を最大2年短縮可能なバーチャル開発環境を提供
また、当期末以降に以下の技術開発に関する発表が行われました。
・Google LLCは、同社初となる自社開発のデータセンター向けアームベースCPU、Google Axionを発表(2024年4月)。同等の現行世代のx86ベースCPUと比較して最大50%の性能向上と、最大60%の高いエネルギー効率を実現
c.財政状態の状況
1.投資資産の状況 ◆ SVFからの投資(FVTPL)(注1)の帳簿価額は11兆145億円(前期末比5,248億円増加)(注2) -米ドルベースの残高は減少した一方で、対米ドルの為替換算レートが円安となった影響により増加 -SVF1は前期末比685億円減少:米ドルベースでは58.6億米ドル減少。投資の売却により52.7億米ドル、当期末に保有する投資先の公正価値減少により5.9億米ドルそれぞれ減少 -SVF2は前期末比4,506億円増加:米ドルベースでは2.5億米ドル減少。主に新規投資1および既存投資先へ21.4億米ドルの追加投資を行ったことにより増加した一方、当期末に保有する投資先の公正価値減少により18.3億米ドル、投資の売却1により5.3億米ドルそれぞれ減少 ◆ 投資有価証券の帳簿価額は9兆620億円(前期末比1兆3,555億円増加)(注2) -アリババ株式の帳簿価額は3兆7,571億円(前期末比1兆852億円減少) -Tモバイル株式の帳簿価額は2兆2,758億円(前期末比1兆5,066億円増加):条件付対価の条件充足に伴い同社株式48.8百万株(当期末残高は1兆2,048億円)を無償取得 -PayPay銀行による債券などの資産運用商品への投資の帳簿価額が2,232億円増加し5,120億円に
2.財務活動に伴う負債の増減 ◆ ソフトバンクグループ㈱の有利子負債が前期末比4,912億円増加 -2023年4月に国内ハイブリッド社債2,220億円を発行し、同年5月のハイブリッドローン531億円の借入実行とあわせて、同年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債(資本計上)20.0億米ドルのリファイナンスを完了 -2024年3月に満期を迎えた国内普通社債3,999億円を償還し、同年3月に国内普通社債5,500億円を発行 ◆ 資金調達を行う100%子会社の有利子負債が前期末比1兆1,141億円増加(注2) -アリババ株式を利用した先渡売買契約の新規締結により43.9億米ドルを調達した一方、一部の現物決済に伴い株式先渡契約金融負債24.9億米ドルの認識を中止 ◆ SVFの有利子負債が前期末比7,748億円減少 -SVF1およびSVF2でアセットバック・ファイナンスによる借入金を合計63.5億米ドル返済
3.資本の増減 ◆ 資本合計で前期末比2兆5,880億円の増加 -アームの上場に伴う売出しにより、売却益相当額6,744億円を資本剰余金に計上。アームの非支配持分は当期末現在2,368億円 -米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債の任意償還に伴い、その他の資本性金融商品が2,209億円減少 -親会社の所有者に帰属する純損失2,276億円を計上し、利益剰余金が減少 -為替換算レートが前期末から円安となったことにより在外営業活動体の為替換算差額が2兆95億円増加 -ソフトバンクの非支配持分が社債型種類株式1,200億円の発行などにより増加 ◆ 親会社の所有者に帰属する持分比率(自己資本比率)は当期末23.9%(前期末は20.6%) |
(注1)「SVFからの投資(FVTPL)」には、SVFが保有する当社の子会社への投資(主にPayPay㈱)および当社から移管後引き続き持分法を適用している投資(後者は「持分法で会計処理されている投資」に計上)を含みません。
(注2)期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことによる帳簿価額の増加を含みます。
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(単位:百万円) |
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2023年 3月31日 |
2024年 3月31日 |
増減 |
増減率 |
資産合計 |
43,936,368 |
46,724,243 |
2,787,875 |
6.3% |
負債合計 |
33,287,153 |
33,487,074 |
199,921 |
0.6% |
資本合計 |
10,649,215 |
13,237,169 |
2,587,954 |
24.3% |
(a)資産
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(単位:百万円) |
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2023年 3月31日 |
2024年 3月31日 |
増減 |
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現金及び現金同等物 |
6,925,153 |
6,186,874 |
△738,279 |
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営業債権及びその他の債権 |
2,594,736 |
2,868,767 |
274,031 |
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デリバティブ金融資産 |
249,414 |
852,350 |
602,936 |
A |
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その他の金融資産 |
371,313 |
777,996 |
406,683 |
B |
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棚卸資産 |
163,781 |
161,863 |
△1,918 |
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その他の流動資産 |
282,085 |
550,984 |
268,899 |
|
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売却目的保有に分類された資産 |
- |
42,559 |
42,559 |
|
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流動資産合計 |
10,586,482 |
11,441,393 |
854,911 |
|
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有形固定資産 |
1,781,142 |
1,895,289 |
114,147 |
|
|
使用権資産 |
858,577 |
746,903 |
△111,674 |
|
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のれん |
5,199,480 |
5,709,874 |
510,394 |
C |
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無形資産 |
2,409,641 |
2,448,840 |
39,199 |
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契約獲得コスト |
332,856 |
317,650 |
△15,206 |
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持分法で会計処理されている投資 |
730,440 |
839,208 |
108,768 |
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SVFからの投資(FVTPL) |
10,489,722 |
11,014,487 |
524,765 |
D |
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SVF1 |
6,110,527 |
6,042,046 |
△68,481 |
|
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SVF2 |
3,646,305 |
4,096,880 |
450,575 |
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LatAmファンド |
732,890 |
875,561 |
142,671 |
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投資有価証券 |
7,706,501 |
9,061,972 |
1,355,471 |
E |
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デリバティブ金融資産 |
1,170,845 |
385,528 |
△785,317 |
F |
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その他の金融資産 |
2,303,620 |
2,424,282 |
120,662 |
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繰延税金資産 |
210,823 |
245,954 |
35,131 |
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その他の非流動資産 |
156,239 |
192,863 |
36,624 |
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非流動資産合計 |
33,349,886 |
35,282,850 |
1,932,964 |
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資産合計 |
43,936,368 |
46,724,243 |
2,787,875 |
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主な科目別の増減理由
科目 |
前期末からの主な増減理由 |
流動資産 |
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A デリバティブ金融資産 |
・アリババ株式を利用した先渡売買契約について、一部を現物決済した一方で、同社株価の下落や円安影響に加え、決済日まで1年以内となったデリバティブ金融資産を非流動資産から振り替えたことにより、デリバティブ金融資産が644,078百万円増加しました。 ・前期末にデリバティブ金融資産として計上していた、2020年6月のTモバイル株式売却取引に関連して受領した不確定価額受領権(前期末残高は67,308百万円)の権利が2023年6月1日に確定し、同社株式3.6百万株を受領したことに伴い、認識を中止しました。当該株式は従前から保有する同社株式同様に「投資有価証券」に計上されています。
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B その他の金融資産 |
資産運用子会社からの投資が社債(主に残存年数が短い投資適格債)の取得により259,735百万円増加しました。
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非流動資産 |
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C のれん |
期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことにより、アームののれんが423,325百万円増加しました。なお、アームの新規株式公開における10%持分を売却後も、のれんは全額ソフトバンクグループ㈱に帰属しています。
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D SVFからの投資(FVTPL) |
期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことによる帳簿価額の増加が主な要因です。 ・SVF1の帳簿価額が685億円減少しました。米ドルベースでは、58.6億米ドル減少しました。投資の売却により52.7億米ドル、当期末に保有する投資先の公正価値減少により5.9億米ドル、それぞれ減少しました。 ・SVF2の帳簿価額が4,506億円増加しました。米ドルベースでは、2.5億米ドル減少しました。主に新規投資1および既存投資先へ21.4億米ドルの追加投資を行ったことにより増加した一方、当期末に保有する投資先の公正価値減少により18.3億米ドル、投資の売却1により5.3億米ドルそれぞれ減少しました。 ・LatAmファンドの帳簿価額が1,427億円増加しました。米ドルベースでは、2.9億米ドル増加しました。投資の売却により2.6億米ドル減少した一方、当期末に保有する投資先の公正価値増加(注)により4.7億米ドル、既存投資先への追加投資により0.8億米ドルそれぞれ増加しました。 詳細は「(1)財政状態及び経営成績の状況 b.セグメントの業績概況 (b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。
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(注)米ドルに対する現地通貨高の影響を含みます。
科目 |
前期末からの主な増減理由 |
E 投資有価証券 |
・アリババ株式の帳簿価額が前期末比1,085,242百万円(114.5億米ドル)減少しました(当期末残高は3,757,063百万円(248.1億米ドル))。主に同社株価の下落に伴い公正価値が105.7億米ドル減少したことによるものです(参考:1ADR当たり、2023年3月末の102.18米ドルから2024年3月末には72.36米ドルに下落)。このほか、当第3四半期および当第4四半期に同社株式を利用した先渡売買契約の一部について現物決済したことに伴い125,307百万円(8.8億米ドル)減少しました。 ・Tモバイル株式の帳簿価額が前期末比1,506,621百万円(92.7億米ドル)増加しました(当期末残高は2,275,827百万円(150.3億米ドル))。主に条件付対価の条件充足に伴い同社株式48.8百万株(当期末残高は1,204,804百万円)を受領したことによるものです。同社株価の上昇も帳簿価額の増加に寄与しました(参考:1株当たり、2023年3月末の144.84米ドルから2024年3月末には163.22米ドルに上昇)。 ・このほか、Symbotic(注1)およびNVIDIA Corporation、ドイツテレコム(注2)の3銘柄合計で帳簿価額が359,042百万円増加しました。 なお、これらの株式について、期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことによる帳簿価額の増加を含みます。 ・PayPay銀行㈱による債券などの資産運用商品の投資の帳簿価額が223,211百万円増加(当期末残高は511,994百万円)しました。
|
F デリバティブ金融資産 |
・Tモバイル株式取得に係る条件付対価について、同社株式受領に伴い認識を中止しました(前期末残高は833,770百万円)。 ・アリババ株式を利用した先渡売買契約について、同社株価の下落や円安影響の一方で、決済日まで1年以内となったデリバティブ金融資産を流動資産へ振り替えたことにより、デリバティブ金融資産が合計131,974百万円減少しました。 |
|
|
(注1)このほか、SVF2が保有するSymbotic株式は「SVFからの投資(FVTPL)」に、SB Northstarが保有する同株式は「その他の金融資産(流動)」にそれぞれ含まれています。
(注2)ドイツテレコム株式は当社米国子会社が保有するため、米ドルに対するユーロ安の影響を含みます。
(別掲)エンティティ別の現金及び現金同等物
連結上の現金及び現金同等物は前期末比7,383億円減少の6兆1,869億円となり、そのうちソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社等の現金及び現金同等物は1兆610億円減少の3兆240億円となりました。詳細については「(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
|
|
(単位:百万円) |
||
|
|
2023年 3月31日 |
2024年 3月31日 |
増減 |
ソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社等 (注1) |
4,085,004 |
3,023,961 |
△1,061,043 |
|
|
ソフトバンクグループ㈱(注1) |
3,523,393 |
2,198,869 |
△1,324,524 |
|
資金調達を行う100%子会社 |
543,380 |
30,584 |
△512,796 |
|
SB Northstar |
18,231 |
794,508 |
776,277 |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 |
|
|
|
|
|
SVF1 |
72,159 |
65,748 |
△6,411 |
|
SVF2 |
36,930 |
102,063 |
65,133 |
|
LatAmファンド |
2,818 |
3,084 |
266 |
|
SBIA、SBGA、SBLA Advisers Corp. |
97,546 |
58,992 |
△38,554 |
ソフトバンク事業 |
|
|
|
|
|
ソフトバンク㈱ |
280,768 |
482,763 |
201,995 |
|
LINEヤフー㈱(注2) |
443,424 |
325,391 |
△118,033 |
|
PayPay㈱、PayPay銀行㈱(注3)、PayPayカード㈱ |
857,430 |
739,759 |
△117,671 |
|
その他(注2) |
477,545 |
444,960 |
△32,585 |
アーム事業(注4) |
|
|
|
|
|
Arm Holdings plcおよび子会社 |
207,484 |
291,127 |
83,643 |
その他(注1)(注4) |
364,045 |
649,026 |
284,981 |
|
合計 |
6,925,153 |
6,186,874 |
△738,279 |
(注1)2023年9月21日付で、当社の100%子会社であった汐留事業9号合同会社を吸収合併しました。当該吸収合併に伴い、前期末について遡及修正して表示しています。
(注2)2023年10月1日付で、Zホールディングス㈱は、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱の3社を中心とした合併を含むグループ内再編を完了し、商号を「LINEヤフー株式会社」に変更しました。当該グループ内再編に伴い、前期末について遡及修正して表示しています。
(注3)PayPay銀行㈱の現金及び現金同等物の当期末残高は248,298百万円です。
(注4)従前「その他」に含めて表示していた「アーム事業」について独立した項目として表示し、前期末についても遡及修正して表示しています。
(b)負債
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
2023年 3月31日 |
2024年 3月31日 |
増減 |
|
有利子負債 |
5,129,047 |
8,271,143 |
3,142,096 |
|
リース負債 |
184,105 |
149,801 |
△34,304 |
|
銀行業の預金 |
1,472,260 |
1,643,155 |
170,895 |
|
営業債務及びその他の債務 |
2,416,872 |
2,710,529 |
293,657 |
|
デリバティブ金融負債 |
82,612 |
195,090 |
112,478 |
|
その他の金融負債 |
180,191 |
31,801 |
△148,390 |
A |
未払法人所得税 |
367,367 |
163,226 |
△204,141 |
B |
引当金 |
72,350 |
44,704 |
△27,646 |
|
その他の流動負債 |
675,920 |
801,285 |
125,365 |
|
売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債 |
- |
9,561 |
9,561 |
|
流動負債合計 |
10,580,724 |
14,020,295 |
3,439,571 |
|
有利子負債 |
14,349,147 |
12,296,381 |
△2,052,766 |
|
リース負債 |
652,892 |
644,706 |
△8,186 |
|
SVFにおける外部投資家持分 |
4,499,369 |
4,694,503 |
195,134 |
C |
デリバティブ金融負債 |
899,351 |
41,238 |
△858,113 |
D |
その他の金融負債 |
58,545 |
57,017 |
△1,528 |
|
引当金 |
163,627 |
167,902 |
4,275 |
|
繰延税金負債 |
1,828,557 |
1,253,039 |
△575,518 |
E |
その他の非流動負債 |
254,941 |
311,993 |
57,052 |
|
非流動負債合計 |
22,706,429 |
19,466,779 |
△3,239,650 |
|
負債合計 |
33,287,153 |
33,487,074 |
199,921 |
|
主な科目別の増減理由
科目 |
前期末からの主な増減理由 |
有利子負債の内訳は次ページの(別掲)をご参照ください。 |
|
流動負債 |
|
A その他の金融負債 |
金融機関からWeWorkへの最大14.3億米ドルの支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポートに係る引当金(金融保証契約損失評価引当金)は期首において152,365百万円でしたが、当第2四半期末までに全額を引き当てました。当第3四半期の保証履行に伴い認識した貸付金に対し当該引当金を充当した結果、金融保証契約損失評価引当金が期首から152,365百万円減少しました。なお同貸付金の当期末残高は、当該引当金を充当したため0円です。
|
B 未払法人所得税 |
当第1四半期に、ソフトバンクグループ㈱が法人所得税を支払いました。これは、前期に未払計上したアリババ株式を利用した先渡売買契約の早期現物決済に関連する資金調達子会社へのアリババ株式の売却に伴う利益を含む課税所得に基づく所得税の支払いです。
|
非流動負債 |
|
C SVFにおける外部投資家持分 |
期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことにより帳簿価額が増加しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 (2)SVFにおける外部投資家持分」をご参照ください。
|
D デリバティブ金融負債 |
アリババ株式を利用した先渡売買契約について、同社株価が下落したことなどにより、デリバティブ金融負債が805,039百万円減少しました。
|
E 繰延税金負債 |
資金調達を目的とした当社100%子会社であるSkybridge LLCにおいて2021年10月以降段階的に実施してきたアリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済が2024年1月に全て完了したことに伴い、当該アリババ株式および関連するデリバティブに係る将来の課税見込みに基づき前期末に計上していた繰延税金負債を取り崩しました。 |
|
|
(別掲)連結有利子負債およびリース負債(流動負債および非流動負債の合計)
|
|
|
(単位:百万円) |
||
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2023年 3月31日 |
2024年 3月31日 |
増減 |
|
ソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う 100%子会社等 |
12,635,554 |
14,239,518 |
1,603,964 |
|
|
|
ソフトバンクグループ㈱ |
6,306,590 |
6,796,406 |
489,816 |
|
|
借入金 |
381,851 |
462,977 |
81,126 |
A |
|
社債 |
5,753,022 |
6,147,578 |
394,556 |
B |
|
リース負債 |
10,717 |
9,351 |
△1,366 |
|
|
コマーシャル・ペーパー |
161,000 |
176,500 |
15,500 |
|
|
資金調達を行う100%子会社(注1) |
6,328,964 |
7,443,112 |
1,114,148 |
|
|
借入金 |
2,065,361 |
2,270,601 |
205,240 |
C |
|
株式先渡契約金融負債 |
4,263,603 |
5,172,511 |
908,908 |
D |
|
SB Northstar |
- |
- |
- |
|
|
借入金 |
- |
- |
- |
|
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 |
|
|
|
|
|
|
SVF1 |
552,681 |
- |
△552,681 |
|
|
借入金 |
552,681 |
- |
△552,681 |
E |
|
SVF2 |
770,004 |
547,894 |
△222,110 |
|
|
借入金 |
770,004 |
547,894 |
△222,110 |
E |
|
SBIA、SBGA、SBLA Advisers Corp. |
14,950 |
15,948 |
998 |
|
|
リース負債 |
14,950 |
15,948 |
998 |
|
ソフトバンク事業 |
|
|
|
|
|
|
ソフトバンク㈱ |
4,149,812 |
4,373,826 |
224,014 |
|
|
借入金 |
3,080,878 |
2,994,039 |
△86,839 |
|
|
社債 |
578,684 |
827,781 |
249,097 |
|
|
リース負債 |
490,249 |
466,005 |
△24,244 |
|
|
コマーシャル・ペーパー |
1 |
86,001 |
86,000 |
|
|
LINEヤフー㈱(注2) |
1,268,867 |
1,122,485 |
△146,382 |
|
|
借入金 |
608,177 |
591,338 |
△16,839 |
|
|
社債 |
578,987 |
469,270 |
△109,717 |
|
|
リース負債 |
81,703 |
61,877 |
△19,826 |
|
|
PayPay㈱、PayPay銀行㈱(注3)、PayPayカード㈱ |
396,075 |
503,714 |
107,639 |
|
|
その他(注2) |
319,937 |
321,069 |
1,132 |
|
アーム事業(注4) |
|
|
|
|
|
|
Arm Holdings plcおよび子会社 |
28,709 |
34,630 |
5,921 |
|
|
リース負債 |
28,709 |
34,630 |
5,921 |
|
その他 |
|
|
|
|
|
|
その他の有利子負債 |
130,014 |
133,442 |
3,428 |
|
|
リース負債(注4) |
48,588 |
69,505 |
20,917 |
|
合計 |
20,315,191 |
21,362,031 |
1,046,840 |
|
(注1)資金調達を行う100%子会社の有利子負債はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。
(注2)2023年10月1日付で、Zホールディングス㈱は、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱の3社を中心とした合併を含むグループ内再編を完了し、商号を「LINEヤフー株式会社」に変更しました。当該グループ内再編に伴い、前期末について遡及修正して表示しています。
(注3)PayPay銀行㈱の銀行業の預金は、有利子負債には含まれていません。
(注4)従前「その他」に含めて表示していた「アーム事業」について独立した項目として表示し、前期末についても遡及修正して表示しています。
前期末からの主な会社別の増減理由
項目 |
内容 |
ソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社等 |
|
ソフトバンクグループ㈱ |
|
A 借入金 |
当第1四半期に、ハイブリッドローンにより531億円を借り入れました。
|
B 社債 |
・当第1四半期に、国内ハイブリッド社債を2,220億円(額面総額)発行しました。 ・当第1四半期に、外貨建普通社債を1.6億米ドル(額面総額)および6.3億ユーロ(額面総額)、国内普通社債を195億円(額面総額)それぞれ満期償還しました。 ・当第2四半期に、国内ハイブリッド社債を154億円(額面総額)期限前償還しました。 ・当第4四半期に、国内普通社債を3,999億円(額面総額)満期償還しました。 ・当第4四半期に、国内普通社債を5,500億円(額面総額)発行しました。 ・外貨建普通社債を1.0億米ドル(額面総額)および0.7億ユーロ(額面総額)、国内普通社債を21億円(額面総額)、国内劣後社債を209億円(額面総額)市場買入れしました。 ・期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことにより外貨建普通社債の帳簿価額が増加しました。
|
資金調達を行う100%子会社 |
|
C 借入金 |
2023年9月のアーム上場前に、アーム株式を利用したアセットバック・ファイナンスによる借入金85.0億米ドル(前期末残高は1兆1,266億円)を返済し、上場後に再度アーム株式を利用したマージンローンにより85.0億米ドル(当期末残高は1兆2,749億円)を借り入れました。 詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記22.有利子負債 (1)有利子負債の内訳」をご参照ください。
|
D 株式先渡契約 |
・当第1四半期に、アリババ株式を利用した先渡売買契約(フォワード契約)を締結し43.9億米ドルを調達しました。 ・当第3四半期および当第4四半期に、アリババ株式を利用した先渡売買契約の一部を現物決済したことに伴い、株式先渡契約金融負債356,925百万円(24.9億米ドル)の認識を中止しました。 ・期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことにより帳簿価額が増加しました。 詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記22.有利子負債 (2)アリババ株式先渡売買契約取引」をご参照ください。
|
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 |
|
SVF1およびSVF2 |
|
E 借入金 |
・SVF1において、アセットバック・ファイナンスによる借入金の全額41.6億米ドルを返済しました。 ・SVF2において、アセットバック・ファイナンスによる借入金を21.9億米ドル返済しました。 |
(c)資本
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
2023年 3月31日 |
2024年 3月31日 |
増減 |
|
資本金 |
238,772 |
238,772 |
- |
|
資本剰余金 |
2,652,790 |
3,326,093 |
673,303 |
A |
その他の資本性金融商品 |
414,055 |
193,199 |
△220,856 |
B |
利益剰余金 |
2,006,238 |
1,632,966 |
△373,272 |
C |
自己株式 |
△38,791 |
△22,725 |
16,066 |
|
その他の包括利益累計額 |
3,756,785 |
5,793,820 |
2,037,035 |
D |
親会社の所有者に帰属する持分合計 |
9,029,849 |
11,162,125 |
2,132,276 |
|
非支配持分 |
1,619,366 |
2,075,044 |
455,678 |
E |
資本合計 |
10,649,215 |
13,237,169 |
2,587,954 |
|
主な科目別の増減理由
科目 |
前期末からの主な増減理由 |
A 資本剰余金 |
当第2四半期に、アームの上場に伴う売出しにより売却益相当額674,370百万円(46.5億米ドル)を計上しました。本取引の詳細は「(1)財政状態及び経営成績の状況<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>」をご参照ください。
|
B その他の資本性金融商品 |
当第2四半期に、初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債(20.0億米ドル)を償還しました。本社債は、IFRS上資本性金融商品に分類されていました。
|
C 利益剰余金 |
親会社の所有者に帰属する純損失227,646百万円を計上しました。
|
D その他の包括利益累計額 |
海外を拠点とする子会社・関連会社を円換算する際に生じる在外営業活動体の為替換算差額が、対米ドルの為替換算レートが前期末から円安となったことなどにより、2,009,461百万円増加しました。
|
E 非支配持分 |
・アーム上場後の当期末現在のアームの非支配持分は236,849百万円です。 ・ソフトバンク㈱が社債型種類株式120,000百万円を発行しました。
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(2)キャッシュ・フローの状況
1.営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税8,856億円を支払ったものの、2,505億円のキャッシュ・イン・フロー(純額)
2.投資活動によるキャッシュ・フロー:8,415億円のキャッシュ・アウト・フロー(純額) ◆ ソフトバンクグループ㈱および100%子会社による戦略投資等の拡大に加え、PayPay銀行による債券などの資産運用商品への投資の増加により、投資の取得による支出8,009億円を計上 ◆ SVFで資金化および投資を継続 -SVFによる投資の取得による支出:2,120億円 -SVFによる投資の売却による収入:9,220億円 ◆ ソフトバンクなどの設備投資に伴い、有形固定資産及び無形資産の取得による支出6,226億円を計上
3.財務活動によるキャッシュ・フロー:6,062億円のキャッシュ・アウト・フロー(純額) ◆ アーム株式の売出しによる手取金の受領、アリババ株式を利用した先渡売買契約による調達実施の一方、SVFのアセットバック・ファイナンスによる借入金を返済。SVF1が外部投資家への分配・返還を実施 -有利子負債の収入:5兆9,141億円 ・ソフトバンクグループ㈱における主な収入:1兆3,612億円 (国内ハイブリッド社債2,220億円および国内普通社債5,500億円(いずれも額面総額)を発行、短期借入により5,361億円、ハイブリッドローンにより531億円を調達) ・資金調達を行う100%子会社における収入:1兆8,419億円 (上場後のアーム株式を利用したマージンローンにより85.0億米ドル、アリババ株式を利用した株式先渡売買契約により43.9億米ドルを調達) -有利子負債の支出:5兆8,892億円 ・ソフトバンクグループ㈱における主な支出:1兆872億円 (2024年3月に満期を迎えた国内普通社債3,999億円(額面総額)を含む社債の償還および買い入れ5,806億円、短期借入金の返済5,066億円を実施) ・資金調達を行う100%子会社における主な支出:1兆2,362億円 (アーム株式を利用したアセットバック・ファイナンスの返済85.0億米ドル) ・SVFにおける支出:9,224億円 (SVF1およびSVF2が合計63.5億米ドルのアセットバック・ファイナンスによる借入金を返済) -SVFにおける外部投資家への分配額・返還額:7,835億円 -非支配持分への子会社持分の一部売却による収入:7,476億円 ・アームの新規株式公開における売出しによる手取金51.2億米ドル -その他の資本性金融商品の償還による支出:2,778億円 ・米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債の償還20.0億米ドル
4.現金及び現金同等物の当期末残高、増減額 ◆ 営業活動、投資活動、財務活動それぞれのキャッシュ・フローに加え、為替レートが円安となったことによる現金及び現金同等物に係る換算差額等4,589億円を計上した結果、当期末時点における残高は6兆1,869億円(前期末比7,383億円減少) |
<重要な非資金取引>
当期において、アリババ株式先渡売買契約の一部を現物決済しました。また、条件付対価の条件充足に伴いTモバイル株式48.8百万株を無償で取得しました。いずれの取引も非資金取引に該当するため、連結キャッシュ・フローへの影響はありません。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記44.連結キャッシュ・フロー計算書の補足情報(13)重要な非資金取引」をご参照ください。
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|
(単位:百万円) |
|
3月31日に終了した1年間 |
|
|
|
2023年 |
2024年 |
増減 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
741,292 |
250,547 |
△490,745 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
547,578 |
△841,461 |
△1,389,039 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
191,517 |
△606,222 |
△797,739 |
現金及び現金同等物に係る換算差額等 |
275,765 |
458,857 |
183,092 |
現金及び現金同等物の増減額 |
1,756,152 |
△738,279 |
△2,494,431 |
現金及び現金同等物の期首残高 |
5,169,001 |
6,925,153 |
1,756,152 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
6,925,153 |
6,186,874 |
△738,279 |
(a)営業活動によるキャッシュ・フロー
法人所得税885,617百万円の支払いやSB Northstarにおける余剰資金運用を目的とした社債(主に残存年数が短い投資適格債)の取得による支出があったものの、営業活動によるキャッシュ・フローは250,547百万円のキャッシュ・イン・フロー(純額)となりました。
法人所得税の支払額には、ソフトバンクグループ㈱による法人所得税の支払368,632百万円が含まれます。これは主に、アリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済などに伴い生じた前期の課税所得に対する法人所得税を当第1四半期に支払ったことや、当第3四半期に法人所得税118,026百万円を中間納付したことによるものです。
(b)投資活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
科目 |
主な内容 |
投資の取得による支出 △800,925百万円 |
・ソフトバンクグループ㈱および100%子会社で戦略投資を中心に311,870百万円の投資を取得しました。 ・PayPay銀行㈱が債券などの資産運用商品308,414百万円を取得しました。
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SVFによる投資の取得による支出 △212,045百万円 |
SVFが合計15.0億米ドルの投資を行いました。 |
SVFによる投資の売却による収入 922,020百万円 |
SVFが合計63.3億米ドルの投資の売却を行いました。 |
子会社の支配獲得による支出 △104,484百万円 |
・ソフトバンク㈱がCubic Telecom Ltd.を子会社化しました。 ・当社100%子会社がBerkshire Grey, Inc.およびBalyo SAを子会社化しました。 なお、左記は支配獲得時に各被取得企業が保有していた現金及び現金同等物を差し引いた金額です。
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子会社の支配喪失による収入 96,755百万円 |
主に当社の100%子会社であったSBエナジー㈱株式の85%を売却しました。 |
有形固定資産及び無形資産の取得による支出 △622,612百万円
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ソフトバンク㈱が通信設備等の有形固定資産やソフトウエア等の無形資産を取得しました。 |
貸付による支出 △313,686百万円 |
金融機関からWeWorkへの14.3億米ドルの支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポートについて保証義務を履行しました。
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(c)財務活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
科目 |
主な内容 |
短期有利子負債の収支(純額) 182,874百万円(注1) (有利子負債(流動負債)のうち、回転が早く、期日が短い項目の収支) |
・ソフトバンク㈱の短期借入金が151,145百万円(純額)増加しました。 ・LINEヤフー㈱およびその子会社の短期借入金が10,983百万円(純額)増加しました。 |
有利子負債の収入(以下A~Cの合計) 5,914,090百万円 |
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A借入による収入 4,276,463百万円(注2) |
・ソフトバンクグループ㈱が536,136百万円の短期借入を行ったほか、ハイブリッドローンにより53,100百万円を調達しました。 ・資金調達を行う100%子会社が上場後のアーム株式を利用したマージンローンにより1,236,240百万円(85.0億米ドル)を借り入れました。 ・ソフトバンク㈱が割賦債権の流動化、セール&リースバックなどにより964,409百万円を調達しました。また、コマーシャル・ペーパーを233,000百万円発行しました。 ・LINEヤフー㈱の子会社が個人向け無担保ローンサービスの需要拡大に伴い732,900百万円の短期借入を行いました。
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B社債の発行による収入 1,032,000百万円 |
・ソフトバンクグループ㈱が国内ハイブリッド社債を222,000百万円、国内普通社債を550,000百万円それぞれ発行しました。 ・ソフトバンク㈱が国内普通社債を260,000百万円発行しました。 上記は全て額面総額です。
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C株式先渡売買契約に基づく資金 調達による収入 605,627百万円 |
資金調達を行う100%子会社が、アリババ株式を利用した先渡売買契約(フォワード契約)を締結し、合計43.9億米ドルを調達しました。 |
有利子負債の支出 △5,889,186百万円 |
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A借入金の返済による支出 △5,183,435百万円(注2) |
・ソフトバンクグループ㈱が短期借入金506,600百万円を返済しました。 ・資金調達を行う100%子会社がアーム株式を利用したアセットバック・ファイナンスによる借入金1,236,240百万円(85.0億米ドル)を返済しました。 ・SVF1およびSVF2がアセットバック・ファイナンスによる借入金をそれぞれ604,823百万円(41.6億米ドル)、317,547百万円(21.9億米ドル)返済しました。 ・ソフトバンク㈱が割賦債権の流動化およびセール&リースバックなどによる借入金1,215,104百万円を返済しました。また、コマーシャル・ペーパーを147,000百万円返済しました。 ・LINEヤフー㈱の子会社が個人向け無担保ローンサービスの需要拡大に伴い借り入れた短期借入金713,700百万円を返済しました。 |
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B社債の償還による支出 △700,618百万円 |
・ソフトバンクグループ㈱が外貨建普通社債1.0億米ドルおよび0.7億ユーロ、国内普通社債2,100百万円、国内劣後社債20,900百万円をそれぞれ買い入れたほか、外貨建普通社債1.6億米ドルおよび6.3億ユーロ、国内普通社債419,412百万円をそれぞれ満期償還、国内ハイブリッド社債15,400百万円を期限前償還しました。 ・ソフトバンク㈱が国内普通社債10,000百万円を満期償還しました。 ・LINEヤフー㈱が国内普通社債110,000百万円を満期償還しました。 上記は全て額面総額です。
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科目 |
主な内容 |
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SVFにおける外部投資家に対する 分配額・返還額 △783,522百万円
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SVF1が外部投資家へ分配・返還を行いました。 |
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非支配持分への子会社持分の一部売却による収入 747,565百万円
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アームの新規株式公開における売出しによる手取金51.2億米ドルを受領しました。 |
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その他の資本性金融商品の償還による支出 △277,760百万円
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米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債20.0億米ドル(額面総額)を償還しました。本社債は、IFRS上資本性金融商品に分類されていました。なお、為替予約の影響については財務活動によるキャッシュ・フローの「その他」に計上しています。
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子会社におけるその他の資本性金融 120,000百万円
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ソフトバンク㈱が社債型種類株式120,000百万円を発行しました。 |
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配当金の支払額 △64,356百万円
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ソフトバンクグループ㈱が配当金を支払いました。
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非支配持分への配当金の支払額 △288,119百万円
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ソフトバンク㈱やLINEヤフー㈱などが非支配株主へ配当金を支払いました。 |
(注1)短期有利子負債の収支には、IFRSにおける「純額によるキャッシュ・フローの報告」の要件を満たした財務活動によるキャッシュ・フローを記載しています。
(注2)借入による収入および借入金の返済による支出には、契約上の借入期間が1年以内の借入金に係る収入が1,813,733百万円、支出が1,721,319百万円、それぞれ含まれています。
(d)当社の資本の財源および資金の流動性に係る情報
i.ソフトバンクグループ㈱における資本の財源
ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、子会社・関連会社への投資を含む直接投資(子会社を通じた投資を含みます。)または投資ファンド(例えば、SVF1およびSVF2ならびにLatAmファンド)を通じて多数の企業に投資を行っています。また、適切なタイミングでそれらの保有資産を資金化することで、回収した資金や投資先からの配当、投資ファンドからの分配金などを、成長戦略に基づき新規投資に充当するほか、適切なタイミングで株主還元や財務改善にも振り向けています。このほか、負債の返済原資等に充当する目的で社債の発行や金融機関からの借入を実施しています。
保有資産の資金化においては、保有資産の売却だけではなく、多様なアセットバック・ファイナンス(株式先渡売買契約やマージンローンなど、保有資産を活用した資金調達)により、機動的な資金化を実現しています。また、SVFを通じた投資についても、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却、投資先の上場を通じて資金化を行っています。
また、社債の発行においては、円建シニア社債だけではなく米ドルやユーロ建シニア社債、ハイブリッド社債など異なる商品性の債券を発行することで、国内外の様々な市場からの資金調達の機会を確保し、安定的な調達を図っています。
ii.当期における資本の財源と資金の流動性の分析
当期は、前期に大幅に抑制していた投資活動を徐々に再開し、ソフトバンクグループ㈱および100%子会社からの戦略投資およびSVFを通じた投資を行いました。財務活動においては、アリババ株式を利用した先渡売買契約による調達やアームの新規株式公開時の売り出しなど、引き続き保有資産の資金化を進めました。また、2023年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債や、国内普通社債などのリファイナンスも着実に実行しました。
主にこうした投資活動と財務活動の結果、当期末においても当社の手元流動性は今後2年間の社債償還に必要な資金を大幅に上回る水準を維持しています。
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における注記事項
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(3)生産、受注および販売の状況
当社グループのサービスは広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
なお、販売の状況については、「(1)財政状態及び経営成績の状況 b.セグメントの業績概況」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたり必要となった重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定については、「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記5.重要な判断および見積り」をご参照ください。
該当事項はありません。
当期における研究開発費は
このうち、アーム事業における研究開発費は