文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社は「長期経営ビジョン2030」を定め、「お客様と共に未来を創る」をスローガンに10年後のあるべき姿に向けた経営を進めております。
お客様が求める価値を共に創造し実現すると共に、その先にある社会課題の解決を図り、持続可能な未来社会を創造します。
確かな業務力とIT技術力で、お客様の求めるニーズを創り出すと共に、そのニーズを満たすシステムを構築する技術者集団を目指します。
変化を恐れず、挑戦を厭わず、対話を重ね、協調・共創する。全てを楽しみながら。
・誠意を尽くしてお客様の要望に応え、信頼され満足していただくことを最上の喜びとします。
・豊富な知識と技術を以て、持続可能な未来社会の創造に貢献します。
・仕事に対して常に誇りと生きがいを持ち、会社の繁栄と豊かな生活を目指します。
当社は、「長期経営ビジョン2030」達成に向けて、「中期経営計画(2022-2027)」を策定し、具体的な戦略と施策を定めております。
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、営業利益額、売上高営業利益率、ROE(自己資本利益率)、配当性向を用いております。「長期経営ビジョン2030」では、売上高250億円、営業利益25億円以上、売上高営業利益率10%以上、ROE15%以上、配当性向40%以上としております。
今後の日本経済は、コロナの規制緩和や円安によるインバウンド需要等から景気は回復基調にあります。一方で、継続するインフレに伴い、個人の実質賃金は2年近くマイナスが継続しており、これが個人消費に与える影響に加え、世界的な地政学リスクの高まりによる海外経済の下振れ懸念等により、先行きは、一層、不透明感が増しております。一方、喫緊のマイグレーション対応に加え、生成AIを活用した企業変革・ビジネスモデル変革の推進により、今後もDX投資は益々加速していくものと思われ、情報サービス産業を取り巻くマーケットは引続き堅調であると予想されます。
このような環境のもと、当社は「お客様と共に未来を創る」をスローガンに、「長期経営ビジョン2030」並びに「中期経営計画」に基づき、社会のDX化を加速させるとともに、既存事業の成長と収益性の向上、新規事業の創出による新たな成長分野の確立を図ることで、確かなる事業成長を目指してまいります。
企業のIT投資が活性化しているなか、顧客から要望を聞き取り、システム開発を行う従来の案件探索型営業に加え、顧客の課題解決や付加価値創出といった新たなビジネス価値提供を目的とした提案型営業が、昨今のDX時代には不可欠となっております。そこで、営業プロセスの更なる効率化により引き合い案件量の飛躍的な向上を図るとともに、コンサルティング力やDX開発知見を活かした提案型営業に注力し、収益性や事業価値の高い案件の獲得を目指してまいります。加えて、全社最適での人的リソースマネジメントを適切に行うことで受注力を高め、飛躍的な売上・利益の確保を図ってまいります。
高付加価値技術者の獲得及び育成を推進し、加えてパートナー会社との関係強化によるビジネスパートナーの増強により、開発力を強化してまいりました。特に新入社員についてはJava言語の資格取得を義務付け、また若年層を中心にDXの要素技術である「クラウド構築」、「データ分析」、「アジャイル開発」を行うことができる技術者の育成に注力しました。さらにDXを中心とした開発を社内で担う内製化組織(DX開発推進センター)にて、市場の変化を捉えたDX人財のOJT育成を行うとともに、一定規模の請負開発を受託することでリソースの有効活用を図り、安定的かつ継続的な企業競争力の向上に努めてまいりました。今後は、さらに人的資本経営を加速させるべく、人財の資質、志向、経験、スキル等を正確に見える化し、それぞれの人財が最高のパフォーマンスを発揮できるようマネジメントすることで、最適な組織、チームを構築してまいります。
DX基盤の要となる「クラウド構築」やDX開発における標準プロセスとも言える「アジャイル開発」、データドリブン経営を支える「データの取得・蓄積・分析」、様々なデジタルコンテンツを自動生成する「生成AI」、これらをキーワードに案件を受注し、売上・利益の確保を図ってまいりました。今後も市場の変化を捉え、DX開発推進センターの徹底的な活用とともに、データの利活用に関わるビジネスやネットサービスビジネス等、顧客にとって付加価値の高い開発エリアに注力してまいります。
当社が強みとする金融ソリューションについては維持拡大しつつ、更なる収益基盤の強化を図るために、通信や公共、製造、流通、放送、運輸領域等、非金融ソリューション案件の獲得に注力してまいりました。今期は、年金機構システム更改プロジェクトやマイナポータル連携サービスシステム等、行政手続きのオンライン化を推進するプロジェクトへ積極的な参画を図りました。今後も、安定成長基盤を維持、拡大させるとともに、資本業務提携契約を締結した日鉄ソリューションズ株式会社との連携強化を含め、DX対応が活況な非金融ソリューションを積極的に推し進めながら事業ポートフォリオの変革を図り、更なる事業拡大に努めてまいります。
人月ビジネスからの脱却を図るべく、ボラティリティの高い労働集約型の受託開発だけでなく、安定的な収益確保が見込めるサービス提供型ビジネスの創出を図ってまいりました。具体的には、スマートフォンを活用した証券業務の運用ビジネスのサービス化や自社プロダクト(様々な用途に使用できる汎用的なコミュニケーションサービス基盤)の活用、海外を含めた他社プロダクトとの融合ソリューション、生成AI、メタバースによる研究開発等を行ってまいりました。今後も、顧客に対しビジネス価値を提供するため、自社だけでなく新たなパートナーと戦略的な互恵関係を築き、サブスクリプション型ビジネスのような新たなビジネスモデルを創出し売上・利益の確保を実現してまいります。
プライム市場の上場維持基準を達成すべく、事業拡大に向けた各種施策とともに、広報・IRの強化(株主通信や決算説明会による対話機会の創出、開示資料の英訳化等)や株主還元施策(株式分割に伴う資産価値の上昇、中間・期末配当の増配、株主優待制度の拡充)を実施してまいりました。その結果、2023年12月末においてプライム市場の上場維持基準に適合しました。
今後も、プライム市場における上場維持基準の継続的な適合に努めながら、資本コストと株価を意識した経営の推進に向け、取締役会の機能向上を図るとともに実効性の高い経営体制を構築してまいります。
「お客様と共に未来を創る」をスローガンに事業を推進するなか、持続可能な未来社会の構築に向け、4つのマテリアリティ「豊かな未来社会」「安心安全な未来社会」「生きがいのある未来社会」「透明性の高いガバナンス」を定義し、その実現に向け、様々な取り組みを行いました。具体的には、新たな価値創造と社会貢献に向けたESG活動を推進するガバナンス組織として設置した「サステナビリティ委員会」にてKPI(重要業績評価指標)を設定し、その達成に向けた活動を行うとともに、新設したサステナビリティサイトにて投資家と対話の促進を図ってまいりました。その中でも、気候変動への対応として、今般トラッキング付FIT非化石証書を購入したことで、『2030年CO234%削減目標』を前倒しで達成することができました。当社は、地球環境問題に関する国際的な非営利団体であるCDP(Carbon Disclosure Project)を活用することで気候変動への対応を推進することとしており、今後も、CDPの対応の促進(解析及びスコアアップ)に向け、バリューチェーンエンゲージメント活動の検討や2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた省エネ活動等を実施し、企業価値の更なる向上に努めてまいります。
今後、飛躍的に事業を拡大させるためには、DX人財の確保・育成に加え、新たな事業領域や技術領域を獲得することが必須と考えております。これまで培ってきた資産・ケイパビリティを活かしながら、引き続きIT投資、研究開発等を推進するとともに、アライアンスの強化を目的とした資本業務提携に続く、M&A投資も積極的に推進し、売上規模500億円を視野に、収益基盤の更なる拡大に努めてまいります。
当社にとっての「サステナビリティ」とは、当社の 「基本理念」に基づく「Vision」により、ステークホルダーとともに事業を通して「2つの価値 (経済的価値・社会的価値)」 の最大化を図り、当社と社会の持続的な成長と未来社会の創造を目指すことにあります。
そして、経営ビジョンである「お客様が求める価値を共に創造し実現すると共にその先にある社会課題の解決を図り、持続可能な未来社会を創造する」を実現するため、長期的視点から「長期経営ビジョン2030」を策定し、そこでは中心課題である「持続可能な社会の実現」に向けて、サステナビリティに関する課題に対し積極的に対応し、またESGへの取り組みを掲げることで環境や社会課題の解決、ガバナンスの向上に向けた取り組み推進を図ります。本取り組みにあたっては、ステークホルダーからの期待と当社事業との関連性の両面から考えられる「重要課題(マテリアリティ)」に重点を置いて、サステナブルな経営を推進します。
※マテリアリティについては、当社サステナビリティサイトをご参照ください。
当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言へ賛同しており、これを契機として、今後の気候変動に関連する事象を経営リスクとして捉え対応するとともに新たな機会も見出すことで、事業戦略へと生かしてまいります。
また、当社は、「お客様と共に未来を創る」をスローガンとした「長期経営ビジョン2030」を実現するために、「人こそ財産」の理念のもと、国籍、年齢、性別等に関わらず社員一人ひとりの個性や志向を受け入れて、多様な力に変えていくことが重要であると考えております。そのような方針のもと、女性が活躍できる職場は男女ともに活躍できる職場であるとの考え方に立ち、男女を問わずすべての社員が自身の成長や活躍を実感し、いきいきと働ける職場づくりを目指して、①人財育成の強化、社員一人ひとりが活躍できる環境づくり、社員の成長の可視化/社員の活躍の評価等の仕組みづくりを中心とした「人財育成方針」、及び②社員エンゲージメントの向上を軸とした健康経営の推進、働き方改革の促進等の「社内環境整備方針」を両輪で推進してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社は、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置するなかで、重要な気候変動対応についてリスクと機会を特定するなど、適切なマネジメントを実施しております。当サステナビリティ委員会では、これらTCFDの枠組みに基づく気候関連リスクへの取り組みを含むサステナビリティ全般に関する、基本方針の策定や重要事項の解決に向けた目標の設定、活動計画の策定、目標に対する進捗管理や評価、個別施策の審議、必要に応じて是正策を検討するなど、社内関係部署への展開も行っております。
また、これらの結果は定期的に取締役会・経営会議に報告され、取締役会において管理・監督を行っております。
当社は、TCFD提言に基づき、リスク及び機会の特定・評価、気候関連問題が事業に与える中長期的な影響を把握するため、シナリオ分析を実施しております。
パリ協定の目標である産業革命以前に比べて全世界の平均気温の上昇を1.5℃とする (1.5℃シナリオ)、及び新たな政策・制度が導入されず世界の温室効果ガスが現在より増加するシナリオ(4℃シナリオ)の2つのシナリオを用いて対応方針をまとめ、気候変動対応を中長期におけるシナリオ分析に基づく事業インパクト(リスクと機会)を評価しております。
※シナリオ分析に基づく事業インパクト(リスクと機会)については、当社サイトをご参照ください。
また、「人財育成方針」及び「社内環境整備方針」を両輪として整備する中で、それぞれ下記の通り取り組んでおります。
イ キャリアデザインの推進
ロ 人財育成の強化(スキル体系の整備、キャリアモデル別研修の実施、次世代リーダーの育成、OJTの強化等)
ハ 成長実感サイクルの構築
イ 健康経営の推進(心身共に健康で働くことのできる職場づくり)
ロ 働き方改革の促進(社員が個々のライフプランや社会環境の変化に対応しつつ、高い生産性を発揮できる柔軟な働き方を実現することを支援)
ハ 労働安全衛生の確保(労働安全衛生に関するリスクを未然に防止する取り組み等、社員が安心して働ける職場づくり)
気候変動関連のリスクに関しては、サステナビリティ委員会とビジネスリスク評価検討会が情報を共有しながらリスクの特定、評価・管理しております。
全社レベルのリスクマネジメント体制においては、ビジネスリスク評価検討会が、気候変動関連を含む会社全体のリスクについて「経営環境等の外部要因、内部要因」に分類し、それぞれのリスクの識別、評価・管理を実施し、各部門責任者による報告を経て全社共通のリスクアセスメントを定期的に実施しております。そこではBCP対応を含む対策の検討を行い、結果については内部統制委員会へ報告し、内部統制委員会から取締役会に報告・説明しております。
またサステナビリティ委員会では、気候変動が中長期的に当社の経営戦略に与えるリスクとインパクトの分析と対策の検討を行っております。その内容については、取締役会に報告し取締役会は必要な指示を行い対応状況について監督しております。
このように、サステナビリティ委員会とビジネスリスク評価検討会で検討するリスクは、事業リスクとして統合・管理しております。
当社では、温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指し、SBTi企業ネットゼロ基準を満たすべく、SBT基準1.5℃シナリオに準拠した目標を設定いたしました。
具体的には、2030年までの中期目標として2022年比で34.0%削減(毎年4.2%削減)、長期目標として2050年までに100.0%削減(カーボンニュートラル)としております。
実施施策として、従前の省エネ活動の継続実施に加え、新たな価値創造と社会貢献に向けたESG活動を推進するガバナンス組織として設置した「サステナビリティ委員会」にてKPI(重要業績評価指標)を設定し、その達成に向けた活動を行うとともに、サステナビリティサイトにて投資家との対話の促進を図ってまいりました。その中でも、気候変動への対応として、今般トラッキング付FIT非化石証書を購入したことで、『2030年CO234%削減目標』を前倒しで達成することができました。当社は、地球環境問題に関する国際的な非営利団体であるCDP(Carbon Disclosure Project)を活用することで気候変動への対応を推進することとしており、今後も、CDPの対応の促進(解析及びスコアアップ)に向け、バリューチェーンエンゲージメント活動の検討や2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた省エネ活動等を実施し、企業価値の更なる向上に努めてまいります。
なおScope3の温室効果ガス排出量の算出、目標設定、施策に関しては、今後速やかに対応し、準備ができ次第開示いたします。具体的には、気候変動関連のリスクに関しては、サステナビリティ委員会とビジネスリスク評価検討会が情報を共有しながら評価・管理しております。
また、当社では、上記「(2) 戦略」において記載した「人財育成方針」及び「社内環境整備方針」について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次の通りであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が経営成績や財政状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社の経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
「人財」は当社の成長の源泉であります。「人財」の採用、育成、及び働きがいの創出をすることにより、競争力の高い企業になることができます。将来何らかの不測の事態によりこの循環が途切れた場合には、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、「人財育成基本方針」を定め、人財、組織、そして企業が持続可能な成長をしていく仕組みを作ってまいります。人事制度においては、評価基準や報酬制度を見直し、若年層の活躍を推進し、人財の活きる働き方・環境を創出してまいります。
当社は、事業活動において、各種データを処理・蓄積するため、またはビジネスプロセスを管理するため、様々なシステムやネットワークを利用しております。これらのシステムやネットワークは、安全対策が施されているものの、サイバーセキュリティに関連する様々なリスクに直面しており、その対策がぜい弱であった場合、サイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏洩、データ改ざん・消失・利用不能、システム停止等を引き起こす可能性があります。
このような事態が起きた場合、業務の中断や機密データの漏洩、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務等が発生する可能性があります。その結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー、ブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのサイバーセキュリティ関連のリスクに対して、適切なセキュリティ対策を講じるための体制を整えて、定期的なセキュリティ評価、継続的な改善活動や教育・啓蒙活動を行うことで、リスクの最小化と情報資産の保護を図っております。しかしながら、サイバーセキュリティに関する脅威は常に進化しているため、新たなリスクに対応するためにも取り組みを継続及びレベルアップしていくことによりリスクの軽減を図っております。
大規模災害等が発生した場合、社員やパートナー技術者への人的な被害、社内システム等の停止及び社内サーバに保管されているデータの消失等により、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、「地震災害応急対策計画」を定め、人的な被害を軽減させるための施策として年2回の安否確認訓練を実施しております。またBCP(Business Continuity Plan)の定期的な見直しに取り組んでおります。その他社内システムについては、人給・会計・プロジェクト管理等基幹システムをクラウド化しております。社内サーバで保管しているデータについては、クラウドへのバックアップを定期的に実施しております。
当社では、ISO9001規格に適合した品質管理システムによりシステム開発を実施しておりますが、システム開発において機能は複雑化、顧客要望は高度化しており、完成までには仕様変更や機能追加等も加わり、当初の想定以上の追加費用が発生し仕損となることがあります。また顧客納入後であっても、契約不適合責任等により想定外の費用が発生することがあります。これらの費用が発生することにより当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、DX開発推進センターについてはDX関連開発や持ち帰り開発のプロジェクトにおけるナレッジの蓄積と共有を行い、リスクの逓減と同時に人財育成に対応してまいります。またプロジェクト革新室については、継続して商談検討会や見積検討会の実施、週次・月次でのモニタリングにより品質の確保及び仕損防止に取り組んでまいります。
当社は、生命保険会社の関連会社として設立した経緯から、金融業界を主要分野として営業活動を実施しております。また、金融業務知識とIT技術の融合によりシステム開発の経験値及びノウハウを蓄積して、他社との差別化を図ってまいりました。その結果、当事業年度における金融ソリューションの売上高は、総売上高の75%となっております。このため金融業界におけるIT投資の動向により、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、中期経営計画においては、金融ソリューションは維持拡大しながら、DX対応が活況な非金融系ソリューションの案件獲得を積極的に推し進め、事業ポートフォリオを変革することでリスクの軽減を図ってまいります。
クラウド化の進展によりソフトウェアは「作る」から「使う」へとサービスシフトしており、その契約形態もサブスクリプション型がより注目されるようになってきております。このような流れは、将来ソフトウェア開発における人月ビジネス型の受託開発工数の低減につながり、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社はボラティリティの高い労働集約型の受託開発だけでなく、安定的に収益を確保できるビジネスモデルを構築するとともに、自社プロダクトの活用や国内外の先進プロダクトとの融合ソリューション等によるサービス提供型ビジネスの創出を図ってまいります。
システム開発の業務遂行にあたり、当社の社員及びパートナー技術者が顧客企業もしくはその委託元である企業の機密情報や個人情報等にアクセスできる環境で作業する場合があります。機密情報、個人情報及び特定個人情報等の取扱いについては規則を定め、情報管理に関する教育等を実施しております。また定期的に開催しておりますセキュリティ委員会で、情報管理等に関する運用状況をモニタリングしております。しかしながら、予期せぬ事態により個人情報や機密情報が万一漏洩、あるいは不正使用された場合には、損害賠償責任や社会的信用の失墜等に繋がり、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、2007年1月にプライバシーマーク、2016年6月にはISO27001を取得しております。社内の取り組みとして部署別に年度セキュリティの目標管理を実施し、四半期ごとにセキュリティ委員会にてモニタリングすることによりセキュリティ意識の向上に努めております。
当社は事業基盤の拡大、また中期事業計画の重点事項であるDX領域への進出、サービス提供型ビジネスの創出のため、M&A及び資本業務提携を推進事項としております。M&A及び資本業務提携により想定した収益性やシナジー効果が得られない場合、また当初想定し得ない債務等が発生した場合は当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、社内で収益性やシナジー効果の分析を十分に検討し、社外の税務・財務・法務等の専門機関と十分協議し、リスクの低減に努めます。
システム開発の業務遂行にあたり、ソフトウェア著作権を始めとする多くの知的財産権を利用しております。当社では業務上必要となる知的財産権の確保や第三者の権利侵害について、充分な啓蒙活動を行っておりますが、ライセンスの取得、維持等が適正に行われなかったり、第三者の権利を侵害する場合、多額の費用負担が生じたり、損害賠償責任が生じることにより当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。また当社が推進するサービス提供型ビジネスにおいて、予期せぬ知的財産権の侵害等により損害賠償責任や事業の拡大の停止などにより、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、常に知的財産権の取扱いに注意し、新規ビジネスにあたっては専門機関と連携してリスクの低減に努めます。
当社の従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。したがって、経済環境等の変動により計算の前提となる割引率や平均残存勤務期間等の条件に変更が生じた場合には、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、各種前提条件のモニタリングのほか、当社に有益となるリスクヘッジ手法の情報収集等を実施してまいります。
当事業年度における株式会社野村総合研究所の販売実績は、総販売実績に対し25.4%となっており、長年顧客別販売実績順位1位を継続しております。このため、同社の事業方針、経営状況及びパートナー施策等に変化が生じた場合、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、政策保有株式として同社株式の保有、戦略的パートナーシップ契約の締結のほか、最重要顧客として営業活動を実施し関係の維持、強化に努めております。また、中期経営計画を推進し当社全体の売上規模を拡大し、相対的に同社への依存度を下げることにより、リスクの軽減を図ってまいります。
当事業年度における当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
また、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」の記載にありますように、当社では報告セグメントは「ソフトウェア開発」のみとしていることから、事業セグメントで売上高については記載しておりますが、その他の状況については記載を省略しております。
当事業年度における日本経済は、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあり、経済活動の正常化が進展し、緩やかな回復基調で推移しました。一方、物価上昇や為替変動による影響、海外経済の下振れ懸念等、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社が属する情報サービス産業におきましては、特定サービス産業動態統計(2024年2月分確報)によると、売上高は前年同月比9.3%増で23か月連続の増加、受注ソフトウェアにおけるシステムインテグレーションは同11.6%増となりました。企業のIT投資は、その中心をDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務プロセス・業務システムの変革へと移行してきており、引き続き拡大傾向にあります。
このような環境のもと、当社は2021年12月に発表した「長期経営ビジョン2030」(2022-2030)並びに「中期経営計画」(2022-2027)に基づき、「お客様と共に未来を創る」をスローガンに掲げ、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 対処すべき課題」に記載の8項目を重点施策に取り組んでまいりました。
以上の結果、当事業年度の業績は、売上高は16,280百万円(前期比5.4%増)、営業利益は1,574百万円(同3.9%増)、経常利益は1,583百万円(同4.0%増)、当期純利益は1,082百万円(同3.1%減)となりました。
イ 売上高
当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ834百万円増加し、16,280百万円(前期比5.4%増)となりました。
セグメントごとの売上高は次のとおりであります。
a ソフトウェア開発
ⅰ 金融ソリューション
当社の強みである金融業務知識とIT技術の融合により、顧客に対し新事業の創出やITコストの最適化を図ってまいりました。各セグメントの業績は下記の通りであり、金融ソリューションの売上高は11,889百万円(前期比4.1%増)となりました。
ⅱ 非金融ソリューション
活況なDX対応ニーズに応えるべく技術オリエンテッドな志向で案件の受注に努め、法人顧客に対する業務の効率化やマーケティング支援、コンシューマーのサービスレベル向上に努めてまいりました。医療福祉領域や通信領域において大規模開発のピークアウトがあったものの、公共領域においては行政手続きのオンライン化や運輸、情報サービス、建設等の領域で新規顧客の獲得や領域開拓が進んだことで非金融ソリューションの売上高は4,008百万円(同10.1%増)となりました。
以上の結果、ソフトウェア開発全体の売上高は15,898百万円(同5.5%増)となりました。
b 情報システムサービス等
モバイル証券会社におけるクラウドベースのシステム運用及び監視サービス業務が継続した、情報システムサービス等の売上高は382百万円(前期比0.0%減)となりました。
ロ 売上総利益
当事業年度における売上総利益は、前事業年度に比べ119百万円増加し、2,903百万円(前期比4.3%増)となりました。主な要因は売上高の増加によります。売上高総利益率は、17.8%と前事業年度から0.2ポイント減少しております。
ハ 営業利益
当事業年度における営業利益は、前事業年度に比べ59百万円増加し、1,574百万円(前期比3.9%増)となりました。主な要因は売上総利益の増加によります。
ニ 経常利益
当事業年度における経常利益は、前事業年度に比べ61百万円増加し、1,583百万円(前期比4.0%増)となりました。主な要因は営業利益の増加によります。
ホ 当期純利益
当事業年度における当期純利益は、前事業年度に比べ34百万円減少し、1,082百万円(前期比3.1%減)となりました。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ664百万円増加し、13,477百万円(前期比5.2%増)、負債合計は、前事業年度末に比べ72百万円増加し、4,111百万円(同1.8%増)、純資産は、前事業年度末に比べ591百万円増加し、9,365百万円(同6.7%増)となりました。各項目別の分析等につきましては次のとおりであります。
イ 流動資産
当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末に比べ642百万円増加し、12,008百万円(前期比5.7%増)となりました。これは主として、現金及び預金が618百万円、売掛金及び契約資産が26百万円増加したことによります。
ロ 固定資産
当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末に比べ21百万円増加し、1,468百万円(前期比1.5%増)となりました。これは主として、投資有価証券が141百万円増加し、工具、器具及び備品(純額)が6百万円、ソフトウエアが10百万円、繰延税金資産が94百万円、敷金が7百万円減少したことによります。
ハ 流動負債
当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末に比べ135百万円増加し、2,052百万円(前期比7.1%増)となりました。これは主として買掛金が59百万円、未払費用が27百万円、未払法人税等が56百万円、預り金が38百万円、受注損失引当金が27百万円増加し、未払金が106百万円減少したことによります。
ニ 固定負債
当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末に比べ63百万円減少し、2,059百万円(前期比3.0%減)となりました。これは退職給付引当金が49百万円、その他固定負債が13百万円減少したことによります。
ホ 純資産
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ591百万円増加し、9,365百万円(前期比6.7%増)となりました。これは主として、当期純利益1,082百万円を計上したこと、剰余金の配当により608百万円の減少があったことによります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ618百万円増加し、9,737百万円(前期比6.8%増)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は1,252百万円(同5.3%増)となりました。主な増加要因として、税引前当期純利益1,583百万円、減価償却費が40百万円、仕入債務の増加額が59百万円、主な減少要因として、退職給付引当金の減少額が49百万円、その他の減少額が69百万円、法人税等の支払額が397百万円あったことによります。
投資活動の結果使用した資金は17百万円(同74.4%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が8百万円、無形固定資産の取得による支出が8百万円あったことによります。
財務活動の結果使用した資金は615百万円(同45.2%増)となりました。これは自己株式の取得による支出が8百万円、配当金の支払額が607百万円あったことによります。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社は所要資金については原則として自己資金にて対応する方針であり、銀行からの借り入れはありません。なお、現在予定はありませんが、重要な資本的支出や当社の業容拡大・収益基盤拡大に向けたM&A等による資金需要が発生した場合、市場動向等を総合的に判断して調達方法を決定する方針であります。
運転資金については換金性に重点を置き、リスクの低い金融商品での運用を基本としておりますが、現在の金利情勢から資金のほとんどを普通預金に置いております。
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は9,737百万円となっております。
イ 生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
ロ 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
ハ 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当事業年度においては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中長期的な会社の経営戦略」による5項目、及びその戦略と施策を推進しており、進捗について問題はありません。また個別の戦略や施策について課題はあるものの、中期経営計画の達成が困難となるほどのものではないと判断しており、その前提において各種会計上の見積り等を行っております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
当社の財務諸表で採用した会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
イ 受注損失引当金
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当事業年度末において損失が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることが可能なものについては、翌事業年度以降に発生が見込まれる損失額を引当計上しております。受注損失引当金の算定における重要な見積りは、総原価であります。総原価は、主として予定総工数と予定単価により見積られる人件費及び外注費により構成されており、総原価の見積りにおける主要な仮定は、予定総工数であります。総原価の見積りは不確実性が高く、当初予定していなかった仕様変更や追加作業の発生により受注契約に係る損失発生額が想定以上に膨らんだ場合、当社の業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ロ 退職給付引当金
従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、利息費用、退職率、死亡率等の要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって認識されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
ハ 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得の見積りに当たって前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得額が減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
なお、受注損失引当金につきましては、「3 事業等のリスク (4)システム開発の品質の確保と仕損防止体制」の記載に関する会計処理であり、業績に重大な影響を及ぼす可能性がある事項として認識しております。
イ 経営成績等
当社の得意分野である金融ソリューションを維持拡大する一方で、DX進展スピードが速いとされている非金融ソリューションでの案件獲得により事業ポートフォリオの変革を進めております。IT人財、特に高度なDX人財が不足することにより案件獲得ができない機会損失が発生する可能性があることから、DX人財の採用や育成、パートナーシップ強化による人財確保、またDX開発推進センター活用により効率的なプロジェクト運営を推進しております。一方で、システム開発期間の短縮及び複雑化から仕損等のリスクも高まっていることからPMOによる監視強化を行い、利益面についても十分な配慮を行っております。
そのような状況のもと当事業年度の経営成績は、売上高は16,280百万円、営業利益1,574百万円、経常利益は1,583百万円、当期純利益は1,082百万円となりました。
上記のほか、当事業年度における経営成績の前事業年度との比較分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績」に記載しております。
ロ 財政状態の分析
当事業年度は、現金及び預金、投資有価証券が増加しております。これは売上の増加に伴う債権の回収及び株価上昇によるものです。
当事業年度末における流動資産は12,008百万円、固定資産は1,468百万円、資産合計は13,477百万円となっております。流動負債は2,052百万円、固定負債は2,059百万円、負債合計は4,111百万円となっております。また純資産合計は9,365百万円、負債純資産合計は13,477百万円となっております。
上記のほか、当事業年度における財政状態の前事業年度との比較分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態」に記載しております。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ618百万円増加し、9,737百万円(前期比6.8%増)となりました。
当事業年度の営業活動において得られた資金は1,252百万円となりました。主な増加要因として、税引前当期純利益の増加、減価償却費、仕入債務の増加、主な減少要因として、退職給付引当金の減少、その他の減少、法人税等の支払額によります。
投資活動において使用した資金は17百万円となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支払い、無形固定資産の取得による支払いによります。
また、財務活動により使用した資金は615百万円となりました。主な要因は、配当金の支払いによります。
上記のほか、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社は現在、自己資金により運転資金及び設備投資等を行っております。なお、現在予定はありませんが、将来的にМ&A等の大規模な投資を行う場合については、財務の健全性を考慮し最適な資金調達を行う場合があります。
当社は、経営目標の達成状況を判断するための客観的指標として売上高及び営業利益を用いております。目標達成のために事業部・部別に活動計画を立てて取り組んでおります。2023年5月13日に公表した業績予想と比較して、当事業年度の売上高は16,280百万円(予算比1.3%減)の減収、営業利益は1,574百万円(同1.6%増)の増益となりました。
該当事項はありません。
当社は、中期経営計画の重点施策であるサービスビジネスの構築、経営基盤の強化を目的に国内外の新技術やソリューションを活用した研究開発を進めております。具体的には、海外プロダクトを活用した物流効率化・労働安全強化・生活環境改善ソリューションを当社既存・新規顧客に提案すべく技術調査・評価、PoC、プロダクト開発等を進めてまいりました。
このような活動により、当事業年度の研究開発費の総額は