【連結財務諸表注記】
1.報告企業
株式会社ニコン(以下、当社)は、日本に所在する株式会社であり、東京証券取引所に株式を上場しております。登記されている本社の所在地は、東京都港区港南2丁目15番3号であります。
当社、その子会社(以下、当社グループ)並びに持分法を適用した関連会社及び共同支配企業は、映像事業、精機事業、ヘルスケア事業、コンポーネント事業、デジタルマニュファクチャリング事業等を行っております。当社グループの主な事業内容は、注記「6.事業セグメント」にて開示されております。
連結財務諸表は、当社グループ並びに持分法を適用した関連会社及び共同支配企業の持分から構成されております。当社は3月31日を期末日としております。
当連結会計年度末の当社グループの主要な子会社並びに持分法を適用した関連会社及び共同支配企業は、第一部[企業情報]第1[企業の概況]4[関係会社の状況]に記載しております。
2.作成の基礎
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、国際会計基準(以下、IFRS)に準拠して作成しております。
当社グループの連結財務諸表は、注記「3.重要性がある会計方針」に記載している金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しております。
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、百万円未満を四捨五入して表示しております。
本連結財務諸表は、2024年6月24日に代表取締役 兼 会長執行役員 馬立稔和及び代表取締役 兼 社長執行役員 德成旨亮によって承認されております。
当社グループは、2024年3月31日現在有効なIFRSに準拠しており、早期適用しているものはありません。
3.重要性がある会計方針
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。当社グループが投資先の議決権の過半数を保有している場合には、原則として当該投資先を支配していると判断し、子会社に含めております。また、当社グループが保有する議決権が過半数未満の場合であっても、当社グループが投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当該投資先を支配していると判断し、子会社に含めております。
子会社の財務諸表については、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失した日までの期間を連結財務諸表に含めております。支配を喪失した場合には、支配の喪失に関連した利得及び損失を純損益で認識しております。支配の喪失を伴わない当社グループの持分変動は、資本取引として会計処理し、非支配持分の修正額と支払又は受取対価の公正価値との差額を資本に直接認識し、親会社の所有者に帰属させております。
子会社が適用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、当社グループの会計方針と整合させるため必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えております。当社グループ内の残高、取引高、収益及び費用は、全額を相殺消去しております。
一部の子会社では、子会社の所在する現地法制度上、親会社と異なる決算日が要請されていることにより、決算日を統一することが実務上不可能なため当社の決算日と異なる日を決算日としています。連結財務諸表には、子会社の決算日が当社の決算日と異なる場合には、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく子会社の財務数値を用いております。
② 関連会社及び共同支配企業に対する投資
関連会社とは、当社グループが投資先の財務及び経営の方針決定に重要な影響力を有しているが、支配をしていない投資先企業であります。当社グループが投資先の議決権の20%以上50%以下を保有している場合には、原則として重要な影響力を有しているものとしております。
共同支配企業とは、取決めに対して契約上合意された支配を共有し、関連性のある活動に関する意思決定が、支配を共有している当事者の全員一致の合意を必要とし、かつ、当社グループが当該取決めの純資産に対する権利を有している企業であります。
関連会社又は共同支配企業の経営成績並びに資産及び負債は、持分法により当社グループの連結財務諸表に反映されます。持分法においては、当初認識時に関連会社又は共同支配企業に対する投資は取得原価で認識され、それ以降は投資先である関連会社又は共同支配企業の純損益及びその他の包括利益の持分の変動に応じて当社グループ持分相当額を認識しております。
連結財務諸表には、決算日が当社の決算日と異なる日を決算日とする関連会社及び共同支配企業の財務諸表が含まれております。当社の決算日と関連会社及び共同支配企業の決算日との間に生じた重要な取引又は事象の影響については、必要な調整を行っております。
企業結合は、取得法に基づく会計処理をしております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に移転した資産、当社に発生した被取得企業の旧所有者に対する負債及び当社が発行した資本持分の取得日公正価値の合計額として測定されます。
被取得企業における識別可能な資産及び負債は、以下を除いて、取得日における公正価値で測定しております。
① 繰延税金資産又は繰延税金負債は、IAS第12号「法人所得税」に従って認識し測定しております。
② 従業員給付契約に係る負債(又は資産)は、IAS第19号「従業員給付」に従って認識し測定しております。
③ IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的保有に分類される資産又は処分グループは、当該基準書に従って測定しております。
④ 株式報酬に係る負債はIFRS第2号「株式に基づく報酬」に準拠して測定しております。
のれんは、企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額、及び当社グループが以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能な資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定されます。
当社グループは、非支配持分を公正価値で測定するか、又は識別可能な純資産の認識金額の比例持分で測定するかを、個々の企業結合ごとに選択しております。
企業結合が生じた報告期間末までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、会計処理が完了していない項目は暫定的な金額で測定しております。取得日から1年以内の測定期間に入手した新しい情報が、取得日時点で認識した金額の測定に影響を及ぼすものである場合には、取得日時点で認識した暫定的な金額を遡及修正しております。
企業結合を達成するために当社グループで発生した取得関連コストは、発生時に費用処理しております。なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しており、当該取引からのれんは認識しておりません。
当社グループの各企業の個々の財務諸表は、その企業が事業活動を行う主たる経済環境の通貨である機能通貨で表示しております。当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としております。
外貨建取引は、取引日の直物為替レート又はそれに近似するレートにより機能通貨に換算しております。
外貨建ての貨幣性項目は、各報告期間の末日現在の為替レートにより機能通貨に換算しております。取得原価で測定される外貨建非貨幣性項目は、取引日の為替レートにより機能通貨に換算しております。公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は、公正価値が決定された日の為替レートにより機能通貨に換算しております。当該換算及び決済により生じる換算差額は、その他の包括利益として認識する場合を除き、純損益として認識し、連結損益計算書の金融収益及び金融費用に含めております。
連結財務諸表を表示するために、当社グループの在外営業活動体の資産及び負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)は、各報告期間の末日現在の為替レートを用いて日本円に換算しております。収益及び費用は、その会計期間中の為替レートが著しく変動していない限り、その期間の平均為替レートで日本円に換算しております。在外営業活動体の財務諸表の換算から生ずる換算差額は、その他の包括利益「在外営業活動体の換算差額」として認識し、その他の資本の構成要素に含めております。在外営業活動体の処分をする場合には、その他の資本の構成要素に累積していた在外営業活動体の換算差額を、処分による利得又は損失が認識される時に資本から純損益に振り替えております。
なお、在外営業活動体の取得の際に生じたのれん及び公正価値の修正は在外営業活動体の資産及び負債として処理され、期末日の為替レートで換算しております。
① デリバティブを除く金融資産
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、デリバティブを除く金融資産を、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しており、当初認識時において分類を決定しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
金融資産は次の条件がともに満たされる場合に償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている場合
・金融資産の契約条件により元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる場合
償却原価で測定する金融資産は、公正価値(直接帰属する取引コストを含む)で当初測定しております。当初測定後は、実効金利法を用いて帳簿価額を算定しております。また償却原価で測定する金融資産に係る利息発生額は連結損益計算書の金融収益に含まれております。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
投資先との取引関係の維持又は強化を主な目的として保有する株式などの資本性金融商品について、当初認識時に、主にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値で測定し、当初認識後の公正価値の変動をその他の包括利益として認識しております。金融資産の認識を中止した場合には、その他の包括利益を通じて認識された利得又は損失の累計額を利益剰余金に振り替えております。なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産から生じる配当金については、配当を受領する権利が確立された時点で純損益として認識しております。
(c) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しなかった金融資産及び償却原価で測定する金融資産に分類されない負債性金融商品は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値で測定し、当初認識後の公正価値の変動を純損益として認識しております。
(ⅱ)金融資産の認識の中止
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、あるいは金融資産を譲渡し、実質的に所有に伴うすべてのリスクと経済価値のほとんどすべてを他の企業に移転した場合に、金融資産の認識を中止しております。
(ⅲ)償却原価で測定する金融資産の減損
当社グループは、償却原価で測定する金融資産の減損に係る予想信用損失に対して貸倒引当金を認識しております。
当社グループは、各報告日において、測定する金融資産に係る信用リスクが当初認識時点以降に著しく増大しているかどうかを評価しております。具体的には、当初認識時点から信用リスクが著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しております。一方、当初認識時点から信用リスクが著しく増大している場合には、残存期間に亘る予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しております。なお、売上債権であって、重要な金融要素を含んでいない場合には、当初認識時点から常に全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しております。
信用リスクが著しく増大しているか否かは、債務不履行発生のリスクの変動に基づき判断しており、債務不履行発生のリスクに変動があるかどうかの判断にあたっては、次を考慮しております。
・取引先相手の財務状況
・過去の貸倒損失計上実績
・過去の期日経過情報
貸倒引当金繰入額又は戻入額は純損益で認識しており、連結損益計算書の販売費及び一般管理費に含めております。
② デリバティブを除く金融負債
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、デリバティブを除く金融負債を、償却原価で測定する金融負債及び純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しており、当初認識時において分類を決定しております。
(a) 償却原価で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債以外の金融負債は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
償却原価で測定する金融負債は、当初認識時に公正価値からその発行に直接起因する取引コストを減算して測定しております。また、当初認識後は、実効金利法に基づく償却原価で測定しており、利息発生額は連結損益計算書の金融費用に含めております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、当初認識時に公正価値により測定し、当初認識後の公正価値の変動を純損益として認識しております。
(ⅱ)金融負債の認識の中止
金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に金融負債の認識を中止しております。
③ 金融資産及び金融負債の相殺表示
金融資産及び金融負債は、残高を相殺する強制可能な法的権利が存在し、純額で決済するか、又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図が存在する場合にのみ、連結財政状態計算書上において純額で表示しております。
④ 金融商品の公正価値測定
報告期間末において、金融商品の公正価値は、活発な市場における公表価格で測定しております。金融商品に関する市場が活発でない、又は市場が存在しない場合は、適切な評価技法を用いて公正価値を測定しております。公正価値で測定する金融商品について、その公正価値の観察可能度合いによって公正価値ヒエラルキーをレベル1から3に分類しております。
公正価値ヒエラルキーの定義は、次のとおりであります。
レベル1 - 活発な市場における同一資産又は負債の市場価格により測定した公正価値
レベル2 - 直接又は間接的に観察可能な価格で構成されたインプットを使用して測定した公正価値
レベル3 - 資産又は負債に関する観察可能でないインプットを使用して測定した公正価値
当社グループは、為替レート及び金利の変動によるリスクに対処するため、為替予約取引、金利スワップ取引、通貨スワップ取引、通貨オプション取引等のデリバティブ取引を行っております。
なお、当社グループの方針として投機目的のデリバティブ取引は行っておりません。
ヘッジの開始時においてヘッジ取引を行うための戦略や、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係について文書化しております。さらに、ヘッジ手段がヘッジが指定されている期間において関連するヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺するのにきわめて有効であるかどうかを継続的に評価しております。
デリバティブは、デリバティブ取引契約が締結された日の公正価値で当初認識し、当初認識後は報告期間末の公正価値で再測定しております。当初認識後の変動は次のとおり処理しております。
① 公正価値ヘッジ
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動は、純損益として認識しております。ヘッジ対象の公正価値の変動は、ヘッジ対象の帳簿価額を調整するとともに、純損益として認識しております。
② キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定し、かつ適格なデリバティブの公正価値の変動の有効部分はその他の包括利益として認識しております。利得又は損失のうち重要な非有効部分は直ちに純損益として認識しております。
ヘッジされた予定取引がその後に非金融資産もしくは非金融負債の認識を生じる場合、又は、非金融資産もしくは非金融負債に係るヘッジされた予定取引が公正価値ヘッジが適用される確定約定となった場合には、その他の包括利益で認識し、資本に累積している金額を、当該資産又は負債の当初の原価又はその他の帳簿価額に直接振り替えております。それ以外のキャッシュ・フロー・ヘッジについては、ヘッジされた予想将来キャッシュ・フローが純損益に影響を与えるのと同じ期間に、資本に累積している金額は純損益に振り替えております。ただし、当該金額が損失であり、当該損失の全部又は一部が将来の期間において回収されないと企業が予想する場合には、回収が見込まれない金額を、直ちに純損益に振り替えております。
当社グループがヘッジ指定を取消した場合、ヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合、もしくは、もはやヘッジ会計として適格でない場合には、ヘッジ会計を中止しております。その他の包括利益で認識し、資本に累積している金額は、そのまま資本に残し、ヘッジ対象である取引が最終的に純損益として認識された期間に、純損益に振り替えております。予定取引がもはや発生しないと見込まれる場合には、資本に累積している金額は、直ちに純損益に振り替えております。
① 普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を「資本金」及び「資本剰余金」に計上し、直接発行コスト(税効果考慮後)は「資本剰余金」から控除しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合には取得原価で認識し、資本から控除して表示しております。また、その取得に直接起因する取引コストは、資本から控除しております。自己株式を処分した場合、受取対価を資本の増加として認識し、帳簿価額と受取対価との差額は資本剰余金に含めております。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資からなります。
棚卸資産は、原価と正味実現可能価額のいずれか低い額により測定しております。原価は主として総平均法により算定し、当該原価には購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の保管場所及び状態に至るまでに要したすべての費用を含んでおり、加工費には、固定及び変動製造間接費の適切な配賦額も含んでおります。
正味実現可能価額とは、通常の事業の過程における予想売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積コストを控除した額であります。
当社グループは、有形固定資産の測定方法として原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、資産除去及び原状回復費用の当初見積額、適格要件を満たす資産の借入コスト等が含まれております。土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産は、取得原価から残存価額を控除した償却可能価額について、使用可能となった時点から見積耐用年数にわたり、定額法で減価償却を行っております。
主な有形固定資産の見積耐用年数は次のとおりであります。
見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行っております。
有形固定資産の認識の中止から生じる損益はその処分(売却)による正味収入と帳簿価額の差額を純損益として認識しております。
当社グループは、無形資産の認識後の測定方法として原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
① 個別取得した無形資産
個別取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
② 企業結合で取得した無形資産
企業結合で取得した無形資産は、取得日現在における公正価値で測定しております。
③ 自己創設無形資産
研究活動の支出は、発生した年度に連結損益計算書上の費用として認識しております。
開発(又は内部プロジェクトの開発局面)における支出は、次のすべての認識要件を満たした場合に限り資産として認識することとしており、その他の支出はすべて発生時に費用処理しております。
(a) 使用又は売却できるように無形資産を完成させることの、技術上の実行可能性
(b) 無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという意図
(c) 無形資産を使用又は売却できる能力
(d) 無形資産が蓋然性の高い将来の経済的便益を創出する方法
(e) 無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
(f) 開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
自己創設無形資産の取得原価は、資産の認識基準を最初に満たした日以降に発生する支出の合計となります。
耐用年数を確定できる無形資産は、当該無形資産が使用可能となった時点から見積耐用年数にわたり、定額法により償却を行っております。見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行っております。
主な無形資産の見積耐用年数は、次のとおりであります。
耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産は償却を行わず、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度減損テストを実施しております。
無形資産の認識の中止から生じる損益は、正味処分収入と資産の帳簿価額の差額を純損益として認識しております。
当初認識時点におけるのれんの測定については「(2)企業結合」に記載のとおりです。当初認識後ののれんは、減損損失累計額を控除した取得原価で測定しております。
のれんは、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、少なくとも年1回又は減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、のれんの減損損失を純損益として認識し、その後の戻入れは行っておりません。
減損については「(13)非金融資産及び持分法で会計処理されている投資の減損損失」に記載のとおりです。
当社グループは、契約の開始時に、当該契約がリース又はリースを含む契約であるかどうかを判定しております。契約が、特定された原資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリース又はリースを含む契約であると判定しております。
① 借手としてのリース
当社グループは、リースの開始日において、使用権資産及びリース負債を認識しております。
使用権資産の当初測定は、開始日において取得原価によって行っております。開始日後の事後測定は、原価モデルによる測定を採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時又はリース期間の終了時のいずれか早い時まで減価償却しております。
リース負債の当初測定は、開始日において未決済のリース料の現在価値で測定しております。開始日後は、リース負債に係る金利及び支払リース料を反映するようにリース負債を事後測定しております。また、契約条件の変更等があった場合は、リース負債の再測定を行い、使用権資産を修正しております。財政状態計算書上、リース負債は、その他の金融負債に含めて表示しております。
なお、短期リース及び少額資産のリースのリース料は、リース期間にわたり定額法により費用を認識しております。
② 貸手としてのリース
当社グループは、リースをファイナンス・リース又はオペレーティング・リースのいずれかに分類しております。原資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてを借手に移転する場合にはファイナンス・リースに分類し、それ以外の場合は、オペレーティング・リースに分類しております。
(a) ファイナンス・リース
ファイナンス・リース取引においては、対象リース取引の正味リース投資未回収額を債権として計上しております。
(b) オペレーティング・リース
オペレーティング・リースに基づく受取リース料は、リース期間にわたり定額法により収益計上しております。
当社グループでは、各報告期間の末日現在において、非金融資産の減損の兆候の有無を評価しております。
減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額の見積りを行っております。なお、減損の兆候の有無にかかわらず、のれん及び耐用年数の確定できない又は未だ使用可能ではない無形資産については、少なくとも年1回毎期減損テストを実施しております。
また持分法で会計処理されている投資は、減損の客観的な証拠が存在する場合に、投資全体の帳簿価額を単一の資産として減損テストを実施しております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額を見積っております。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算定しており、使用する割引率は、貨幣の時間価値、及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いております。
全社資産は別個のキャッシュ・インフローを発生させないため、個別の全社資産の回収可能価額は算定できません。全社資産に減損の兆候がある場合、当該資産の処分を決定している場合を除き、全社資産が属する資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額を算定し、帳簿価額と比較しております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合に、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しております。
過去の期間において、のれん以外の資産について認識した減損損失は、減損損失が最後に認識された以後、認識した減損損失がもはや存在しないか、あるいは減少している可能性を示す兆候に基づき、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻入れております。
非流動資産(又は資産グループ)の帳簿価額が、継続的使用ではなく、主として売却取引により回収される場合、売却目的保有に分類しております。売却目的保有に分類するためには、現況で直ちに売却することが可能で、当社グループの経営者が売却計画の実行を確約しており、1年以内に売却が完了する予定である必要があります。売却目的保有に分類した資産は、帳簿価額と、売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しております。当該資産については減価償却又は償却は行っておりません。
① 退職後給付
当社グループの従業員退職後給付制度は、確定給付制度と確定拠出制度があります。
当社国内グループでは、主として規約型確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しておりますが、一部は中小企業退職金共済制度に加入しております。また、一部の当社在外グループでは、確定給付制度及び確定拠出制度を採用しております。
確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて個々の制度ごとに算定され、その現在価値は、将来の予想支払額に割引率を適用して算定しております。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した、連結会計年度末の優良社債の市場利回りを参照して決定しております。確定給付制度に係る資産又は負債の純額は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値(必要な場合には、確定給付資産の上限及び最低積立要件への調整を含む)を控除したものであり、資産又は負債として連結財務諸表で認識しております。確定給付制度の当期勤務費用及び確定給付負債(資産)の純額に係る利息の純額は純損益として認識しております。確定給付制度の再測定額は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用は、発生時に純損益として認識しております。
確定拠出型の退職給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期間に費用処理しております。
② その他の長期従業員給付
長期勤続休暇等の長期従業員給付に関する債務は、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を現在価値に割り引いて算定しております。
③ 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しております。
当社グループは、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的及び推定的債務を負っており、その債務の金額を信頼性をもって見積ることができる場合、支払われると見積られる額を負債として認識しております。
① 持分決済型株式報酬制度
当社は、当社の取締役(監査等委員、社外取締役その他の非業務執行取締役を除く)及び執行役員(エグゼクティブ・フェローその他執行役員に準ずるものを含む)(以下、「業務執行取締役等」という)に対する報酬制度として、持分決済型のストック・オプションを採用しております。ストック・オプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定条件が充足されずに失効する数を考慮した上で、権利確定期間にわたり定額法で費用処理し、対応する金額を資本の増加として認識しております。付与されたストック・オプションの公正価値は、ブラック・ショールズ・モデルに基づいて測定されております。
当社は、業務執行取締役等に対する報酬制度として、持分決済型の譲渡制限付株式報酬制度を採用しております。受け取ったサービスの対価は、付与した当社の株式の公正価値を参照して測定し、測定されたサービスの対価を費用処理するとともに、対応する金額を資本の増加として認識しております。
当社は、業務執行取締役等に対する報酬制度として、中期経営計画で示す業績の実現及び企業価値の持続的向上のためのインセンティブを一層高めることを目的に、持分決済型の業績連動型株式報酬制度を採用しております。受け取ったサービスの対価は、付与した当社の株式の公正価値を参照して測定し、測定されたサービスの対価を費用処理するとともに、対応する金額を資本の増加として認識しております。
② 現金決済型株式報酬制度
一部の子会社は、同社の企業結合時の取締役に対する報酬制度として、現金決済型の長期インセンティブ報酬制度(Long-Term Incentive Plan)を採用しております。受領した役務及び発生した負債の公正価値を測定しており、権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を負債の増加として認識しております。当該負債の公正価値は期末日及び決済日において再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。
当社グループは、過去の事象の結果として、現在の法的債務又は推定的債務が存在し、当該債務を決済するために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に、引当金を認識しております。
引当金として認識された金額は、報告期間の末日における現在の債務を決済するために要する支出の最善の見積りであります。
貨幣の時間的価値の影響が重要な場合には、引当金額は見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及びその負債に特有なリスクを反映した税引前の割引率で割り引いた現在価値で測定しております。時の経過に伴う割引額の振戻しは金融費用として認識しております。
① 製品保証引当金
一定期間無償修理を行う旨の約定がある製品に対する修理費に充てるため、過年度の売上実績と保証実績に基づいて将来の製品保証見込費用を見積り、引当金を認識、測定しております。将来において経済的便益の流出が予測される時期は、各連結会計年度末日より概ね1年以内であります。
② 資産除去債務
事務所等の賃貸借契約に対する原状回復義務及び固定資産に関連する有害物質の除去に備えて、過去の実績に基づき将来支払うと見込まれる資産除去債務を見積り、引当金を認識、測定しております。将来において経済的便益の流出が予測される主な時期は、各連結会計年度末日より1年経過後であります。
当社グループは、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
当社グループは、「映像事業」において、レンズ交換式デジタルカメラ、レンズ一体型デジタルカメラや交換レンズなど、映像関連製品やその周辺領域の製品・サービスを提供、「精機事業」において、FPD露光装置及び半導体露光装置の製品・サービスを提供、「ヘルスケア事業」において、生物顕微鏡などのライフサイエンスソリューション分野、超広角走査型レーザー検眼鏡などのアイケアソリューション分野や細胞受託生産ソリューション分野の製品・サービスを提供、「コンポーネント事業」において、光学コンポーネント、光学部品、エンコーダや材料加工などのデジタルソリューションズ事業関連の製品、EUV関連コンポーネントや宇宙関連製品などのカスタムプロダクツ事業関連、FPDフォトマスク基板などのガラス事業関連の製品・サービスを提供、「デジタルマニュファクチャリング事業」において、工業用顕微鏡、測定機、X線/CT検査システム、金属3Dプリンターの販売を行っております。また、製品に関連した保証、修理・保守、移設などのサービスを提供しております。
製品の販売及びサービス業務について顧客との契約に基づき履行義務を識別しております。
製品の販売については、主に顧客への引渡の際に据付を要する製品については据付完了時点、また、据付を要しない製品については引渡時点に、顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、当該時点において収益を認識しております。収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベート等を控除した金額で測定しております。
サービス業務については、履行義務が一時点で充足される場合にはサービス提供完了時点において、一定期間にわたり充足される場合にはサービス提供期間にわたり定額で、又は進捗度に応じて収益を認識しております。
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、補助金が受領されることについて合理的な保証が得られる場合に認識しております。政府補助金で資産を取得した場合、繰延収益として補助金を計上し、当該資産の耐用年数にわたり、規則的に純損益として認識しております。
法人所得税費用は当期税金費用と繰延税金費用から構成されております。法人所得税費用は、その他の包括利益又は資本において直接認識される項目から生じる場合や企業結合から生じる場合を除き、当期の純損益として認識しております。
当期税金費用は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、報告期間の末日までに制定又は実質的に制定されたものであります。
繰延税金費用は、報告期間の末日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
繰延税金資産及び負債は、報告期間の末日までに制定され、又は実質的に制定されている税率(及び税法)に基づいて、資産が実現する期又は負債が決済される期に適用されると予想される税率で算定しております。
なお、次の一時差異に対しては、繰延税金資産又は負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から生じる一時差異
・企業結合以外の取引で、かつ会計上の利益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引における資産又は負債の当初認識から生じる一時差異
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に対して課されている場合、相殺しております。
当社及び一部の国内連結子会社では、グループ通算制度を適用しております。また、一部の在外連結子会社では、連結納税制度を適用しております。
当社グループは、経済協力開発機構が公表した第2の柱モデルを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関して、認識及び情報開示に対する例外を適用しております。
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を、各連結会計年度中の発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。
希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。
4.見積り及び判断の利用
連結財務諸表の作成において、資産、負債、収益及び費用の報告額は経営者による会計方針の選択や見積りにより影響されます。見積りの算定の基礎となる仮定は、過去の経験及び入手可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者による最善の判断に基づいております。経済状態や市場、消費動向、また当社各事業の属する産業における需要や供給の変化等を踏まえた一定の仮定を置いたうえで、見積りを行っております。しかし、その性質上、これらの見積りは、将来において、異なる結果となる可能性があります。
見積りは継続して見直されております。これらの見直しによる影響は、当該見積りを見直した期間及び将来の期間において認識しております。
連結財務諸表に重要な影響を与える会計方針を適用する過程で経営者が行った判断に関する情報は、次のとおりであります。
・子会社、関連会社及び共同支配企業の範囲(「3.重要性がある会計方針(1)連結の基礎」)
・収益認識(「3.重要性がある会計方針(18)収益の認識」)
翌連結会計年度に資産や負債の帳簿価額の重要な修正につながるリスクを伴う見積り及びその基礎となる仮定は次のとおりであります。
・企業結合により取得した資産及び引き受けた負債の公正価値の見積り
(注記3.重要性がある会計方針(2)企業結合、注記7.企業結合)
・金融商品の公正価値測定
(注記3.重要性がある会計方針(4)金融商品、注記35.金融商品)
・棚卸資産の評価
(注記3.重要性がある会計方針(8)棚卸資産、注記10.棚卸資産)
・有形固定資産、無形資産及び使用権資産の耐用年数
(注記3.重要性がある会計方針(9)有形固定資産、(10)無形資産、(12)リース)
・非金融資産の減損テストにおける割引キャッシュ・フロー予測の計算に用いた重要な仮定
(注記3.重要性がある会計方針(13)非金融資産及び持分法で会計処理されている投資の減損損失、
注記15.非金融資産の減損損失)
・従業員給付
(注記3.重要性がある会計方針(15)従業員給付、注記24.従業員給付)
・株式報酬
(注記3.重要性がある会計方針(16)株式報酬、注記34.株式報酬)
・引当金の会計処理と評価
(注記3.重要性がある会計方針(17)引当金、注記21.引当金)
・繰延税金資産の回収可能性
(注記3.重要性がある会計方針(20)法人所得税、注記18.法人所得税)
・偶発負債の将来の経済的便益の流出の可能性
(注記38.偶発負債)
5.未適用の公表済基準書
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設又は改訂のうち、以下を除き、重要な影響を及ぼす該当事項はありません。なお、以下基準の適用による影響は検討中であります。
6.事業セグメント
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは経済的特徴の類似性等を考慮したうえで各事業部を集約し、「映像事業」、「精機事業」、「ヘルスケア事業」、「コンポーネント事業」及び「デジタルマニュファクチャリング事業」の5つを報告セグメントとしております。
「映像事業」はレンズ交換式デジタルカメラ、レンズ一体型デジタルカメラや交換レンズなど、映像関連製品やその周辺領域の製品・サービスを提供、「精機事業」はFPD露光装置及び半導体露光装置の製品・サービスを提供、「ヘルスケア事業」は生物顕微鏡などのライフサイエンスソリューション分野、超広角走査型レーザー検眼鏡などのアイケアソリューション分野、細胞受託生産ソリューション分野の製品・サービスを提供、「コンポーネント事業」は光学コンポーネント、光学部品、エンコーダや材料加工などのデジタルソリューションズ事業関連、EUV関連コンポーネントや宇宙関連などのカスタムプロダクツ事業関連、FPDフォトマスク基板などのガラス事業関連の製品・サービスを提供、「デジタルマニュファクチャリング事業」は工業用顕微鏡、測定器、X線/CT検査システム、金属3Dプリンターの製品・サービスを提供しております。
(報告セグメントの変更に関する事項)
2023年4月1日付で、アディティブマニュファクチャリング事業の強化に向けて、アドバンストマニュファクチャリング事業部を新設しております。従来「コンポーネント事業」、「産業機器・その他」、「各セグメントに配賦されない全社損益」の一部に含まれていた材料加工ビジネスについてアドバンストマニュファクチャリング事業部に移管しております。アドバンストマニュファクチャリング事業部と、従来「産業機器・その他」に含まれている産業機器事業部を新たな報告セグメント「デジタルマニュファクチャリング事業」として開示しております。なお、従来報告セグメントに含まれない開示セグメントを「産業機器・その他」としておりましたが、産業機器事業部の移管に伴い、「その他」に変更しております。
また、「精機事業」に関連する一部の生産子会社を「その他」に移管しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の区分方法に基づき作成したものを開示しております。
報告セグメントの会計処理方法は、注記「3.重要性がある会計方針」で記載している当社グループの会計方針と同じであります。報告セグメントの利益は、営業利益をベースとした数値であります。
セグメント間の売上収益は市場実勢価格に基づいております。
当社グループのセグメント情報は次のとおりであります。
(注1)「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
(注2)セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の「営業利益」と調整を行っております。セグメント利益又は損失(△)の調整額には、セグメント間取引消去△2,756百万円及び各セグメントに配賦されない全社損益△35,262百万円が含まれております。全社損益には、主に基礎研究や新規事業創設、ものづくり革新に関連する「成長投資関連費用」△21,700百万円、また本社機能の一般管理費、各セグメントに配賦されないその他営業損益を合算した「本社管理部門費用」△13,562百万円が含まれております。
セグメント資産は、連結財政状態計算書の資産と調整を行っております。セグメント資産の調整額には、各セグメントに配分していない全社資産410,475百万円、セグメント間取引消去△13,707百万円が含まれております。全社資産は主に当社及び連結子会社での余資運用資金(現金及び現金同等物)、長期投資資金(株式)、繰延税金資産、各セグメント共用の固定資産及び使用権資産の一部であります。
(注1)「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
(注2)セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の「営業利益」と調整を行っております。セグメント利益又は損失(△)の調整額には、セグメント間取引消去2,977百万円、在外子会社の清算による換算差額累計額の純損益への振替△33百万円及び各セグメントに配賦されない全社損益△35,754百万円が含まれております。全社損益には、主に基礎研究や新規事業創設、ものづくり革新に関連する「成長投資関連費用」△20,904百万円、また本社機能の一般管理費、各セグメントに配賦されないその他営業損益を合算した「本社管理部門費用」△14,850百万円が含まれております。
セグメント資産は、連結財政状態計算書の資産と調整を行っております。セグメント資産の調整額には、各セグメントに配分していない全社資産445,730百万円、セグメント間取引消去△6,050 百万円が含まれております。全社資産は主に当社及び連結子会社での余資運用資金(現金及び現金同等物)、長期投資資金(株式)、繰延税金資産、各セグメント共用の固定資産及び使用権資産の一部であります。
外部顧客からの売上収益
(注) 売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
日本、米国及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
① 欧州:英国、フランス、ドイツ
② その他:カナダ、アジア、中東、オセアニア、中南米
非流動資産
(注) 非流動資産を資産の所在地により、国又は地域に分類しております。
日本、中国及びタイ以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
① 北米:米国、カナダ
② 欧州:英国、フランス、ドイツ
③ その他:アジア、中東、オセアニア、中南米
金融商品、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を含んでおりません。
売上高の10%以上を占める単一の外部顧客が存在しないため、記載しておりません。
7.企業結合
前連結会計年度に生じた企業結合は、次のとおりであります。
(1)企業結合の概要
当社は、当社が発行済株式の全てを直接保有する子会社であるNikon AM. AGを通じてSLM Solutions Group AG(フランクフルト証券取引所上場。以下、「SLM社」)の株式の過半数を2023年1月27日に取得し、連結子会社化しました。
① 被取得企業の名称、事業の内容
名称 :SLM Solutions Group AG
事業内容 :金属3Dプリンター(Additive Manufacturing)の製造及び販売
② 企業結合を行った主な理由
SLM社は、独リューベックに本社を置く世界有数の金属アディティブマニュファクチャリング(以下、「金属AM」)の統合ソリューションプロバイダーです。SLM社のポートフォリオには、最大12個のレーザーを備え、業界で最高のビルドレートを実現する世界最速の金属AM機器が含まれており、様々な業界の金属製造プロセスにおいて、アディティブマニュファクチャリング(以下、「AM」)が使用される場面を開拓しています。
当社は、2022年4月に発表した中期経営計画において、2030年のありたい姿として「人と機械が共創する社会の中心企業」となることを目指しています。当社が戦略事業の一つとして位置付けているデジタルマニュファクチャリング事業は、「光応用技術で、ものづくりの世界に革新をもたらす」ことをミッションに掲げ、「材料加工」と「ロボットビジョン」を成長ドライバーとして、完成品・コンポーネント・受託加工サービスなどの形で顧客に提供することを計画しています。とりわけ、「3Dプリンティング」と呼ばれる金属を積層する加工方法であるAMは、材料加工において大きな成長が期待できる有望な分野と捉えています。
当社は、当社が有する高精度計測、光学設計などの基盤技術等をSLM社に供与することにより、シナジーを創出し、成長性の高いAMをより発展させることで、総合的なソリューションの提供が可能になると考えております。
③ 被取得企業の支配を獲得した方法
現金を対価とする株式及び転換社債の公開買付による取得、並びに第三者割当増資の引受
④ 支配獲得日
2023年1月27日
⑤ 取得した議決権比率
取得した議決権付資本持分の割合 92.38%
(2)取得対価及びその内訳
(単位:百万円)
(3)取得関連コスト
当該企業結合に係る取得関連コストは1,964百万円であり、当連結会計年度において、連結損益計算書上の「販売費及び一般管理費」に計上しております。
(4)支配獲得日における資産・負債の公正価値、非支配持分及びのれん
(単位:百万円)
(注1)売上債権及びその他の営業債権4,955百万円が含まれております。
(注2)識別可能な無形資産33,616百万円が含まれており、技術関連資産が33,163百万円、顧客関連資産が
453百万円となります。
(注3)非支配持分は被取得企業の識別可能な純資産に対する非支配株主の持分割合で測定しております。
(注4)のれんは、今後の事業展開により期待される将来の超過収益力であります。また、認識された
のれんのうち、税務上損金算入が見込まれるものはありません。
(5)子会社の支配獲得による支出
SLM社株式の取得価額と取得のための支出(純額)との関係は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(6)当社グループの業績へ与える影響
連結損益計算書に計上されている取得日以降のSLM社の売上収益は3,415百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失は1,639百万円であります。
(7)企業結合が期首に完了したと仮定した場合の当社グループの売上収益及び当期利益
当該企業結合が期首に完了したと仮定した場合の売上収益は640,663百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は40,994百万円であります。
なお、当該企業結合が期首に行われたと仮定した場合の売上収益及び親会社の所有者に帰属する当期利益は、監査法人の監査証明を受けておりません。
当連結会計年度に生じた企業結合は重要性が乏しいため、記載を省略しております。
8.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、次のとおりであります。
9.売上債権及びその他の債権
売上債権及びその他の債権の内訳は、次のとおりであります。
(注) 売上債権及びその他の債権は償却原価で測定する金融資産に分類しております。
貸倒引当金については、注記「35.金融商品(5)信用リスク管理」をご参照ください。
10.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、次のとおりであります。
前連結会計年度に費用処理した棚卸資産の金額は、売上原価338,736百万円であります。売上原価には、正味実現可能価額が簿価を下回る資産に対して、廃棄・評価減した棚卸資産の金額6,498百万円が含まれております。
当連結会計年度に費用処理した棚卸資産の金額は、売上原価407,008百万円であります。売上原価には、正味実現可能価額が簿価を下回る資産に対して、廃棄・評価減した棚卸資産の金額7,793百万円が含まれております。
11.その他の金融資産
(1)その他の金融資産の内訳は、次のとおりであります。
金融資産の分類については、注記「35.金融商品(2)金融商品の分類」をご参照ください。デリバティブ資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産(ヘッジ会計が適用されているものを除く)、株式は主にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産にそれぞれ分類しております。
(2)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の主な銘柄及び公正価値
株式は主に取引関係の維持・強化目的で保有しているため、主にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しております。
(注)(株)京都銀行は2023年10月2日付の単独株式移転により完全親会社となる(株)京都フィナンシャルグループを設立しております。この単独株式移転に伴い、保有していた(株)京都銀行の普通株式1株につき、(株)京都フィナンシャルグループの普通株式1株の割当交付を受けております。
(3)認識の中止時点における公正価値、資本でその他の包括利益として認識されていた累積損益
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
資本でその他の包括利益として認識されていた累積損益は、認識の中止時点で利益剰余金に振り替えております。
12.その他の資産
その他の資産の内訳は、次のとおりであります。
13.有形固定資産
(1)増減表
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減は次のとおりであります。
(注1)有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれて
おります。
(注2)注記「15. 非金融資産の減損損失」をご参照ください。
帳簿価額
担保に供している有形固定資産の金額に重要性はないため、記載を省略しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度現在の、有形固定資産の取得に関するコミットメントは、それぞれ41,436百万円及び36,362百万円であります。
14.のれん及び無形資産
(1)増減表
のれん及び無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減は次のとおりであります。
償却累計額及び減損損失累計額
(注1)無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
(注2)注記「15. 非金融資産の減損損失」をご参照ください。
帳簿価額
(2)担保に供している資産
担保に供している資産はありません。
前連結会計年度及び当連結会計年度現在の、無形資産の取得に関するコミットメントは、それぞれ1,908百万円及び2,225百万円であります。
(4)重要な無形資産
当連結会計年度現在において、当社グループの主な無形資産は技術関連資産であります。
(単位:百万円)
15.非金融資産の減損損失
(1)減損損失
当社グループは、事業の種類別セグメントをもとに、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位にグルーピングを行った資金生成単位にて、資産の減損判定を実施しております。なお、遊休資産については今後の具体的な使用又は売却の見込みを勘案し、個別資産又は複数の資産をグルーピングした資金生成単位にて減損判定を実施しております。減損判定の結果、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、その回収可能価額まで帳簿価額を減額し、減損損失として計上しております。回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としております。減損損失は、連結損益計算書の「その他営業費用」に含まれております。
(2)認識した減損損失及び認識に至った事象及び状況
当社グループは、減損判定の結果、前連結会計年度及び当連結会計年度において減損損失をそれぞれ4,389百万円及び2,716百万円認識しております。減損損失の資産別内訳は次のとおりであります。
減損損失のセグメント別の内訳は、注記「6.事業セグメント」をご参照ください。
(前連結会計年度)
コンポーネント事業において、減損損失3,997百万円を認識しております。米国の生産・販売子会社であるMorf3D Inc.において、当初想定された収益が見込まれなくなったことから、見直した将来キャッシュ・フローの予測に基づき減損判定を実施いたしました。減損判定の結果、資金生成単位の回収可能価額がのれんを含む固定資産の帳簿価額を下回った為、減損損失3,968百万円を認識しております。なお、当該減損損失には、のれん及び識別可能資産が1,781百万円及び721百万円含まれております。回収可能価額は使用価値に基づき算定しており、税引前の割引率は16.0%としております。これら以外の固定資産の回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値に基づいており、主にインカム・アプローチ及びマーケット・アプローチにより算定しております。これらは第三者による評価額を基礎としており、観察不能のインプットを含むため、公正価値はヒエラルキーレベル3に区分しております。また、固定資産の今後の使用見込を調査した結果、当社の今後の具体的な使用を見込んでいない遊休資産について帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失29百万円を認識しております。
コンポーネント事業以外において、固定資産の今後の使用見込を調査した結果、主に国内子会社及び当社の今後の具体的な使用を見込んでいない遊休資産について帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失391百万円を認識しております。
(当連結会計年度)
デジタルマニュファクチャリング事業において、減損損失2,352百万円を認識しております。欧州の生産・販売子会社であるNikon Metrology NVにおいて、開発中止が決定した資産や製品化開発を延期していた資産等について、将来キャッシュ・フローが見込めなくなったことにより帳簿価額を回収可能価額まで減額した結果、減損損失1,283百万円を認識しております。回収可能価額は使用価値に基づいており、その価値をゼロとしております。また、米国の生産・販売子会社であるMorf3D Inc.において、主に売却を予定している資産について、帳簿価額を売却予定価額に基づく処分コスト控除後の公正価値により算定した回収可能価額まで減額し、減損損失1,069百万円を認識しております。当該公正価値はヒエラルキーレベル3に区分しております。
コンポーネント事業における国内子会社である株式会社エクスビジョンにおいて、当初想定された収益が見込まれなくなったことから、見直した将来キャッシュ・フローの予測に基づき減損判定を実施いたしました。減損判定の結果、資金生成単位の回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回ったため、減損損失349百万円を認識しております。回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。なお税引前の割引率は、当該資金生成単位の加重平均資本コストを基礎に7.1%(前連結会計年度:9.1%)としております。
これら以外の事業において、固定資産の今後の使用見込を調査した結果、主に当社及び在外子会社の今後の具体的な使用を見込んでいない遊休資産について帳簿価額を回収可能価額まで減額した結果、減損損失14百万円を認識しております。
(3)のれんの減損テスト
資金生成単位又は資金生成単位グループに配分されたのれんの帳簿価額は、以下のとおりであります。
各資金生成単位又は資金生成単位グループに配分されたのれんのうち、主要なものの帳簿価額はNikon SLM Solutions AG 55,115百万円(前連結会計年度:49,200百万円)、及びOptos Plc 26,933百万円(前連結会計年度:23,753百万円)であり、その資金生成単位はそれぞれデジタルマニュファクチャリング事業とヘルスケア事業に属しております。
(Nikon SLM Solutions AG)
回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値に基づき算定しております。処分コスト控除後の公正価値は、過去の経験と外部からの情報を反映し、経営者が承認した10年間の事業計画、及び事業計画の期間超過後は成長率を基礎とした継続価値によるキャッシュ・フローの見積額(税引後)を現在価値に割り引いて算定しております。(インカム・アプローチ)
キャッシュ・フロー予測を延長するために用いた成長率は2.0%(前連結会計年度:2.0%)であり、税引後の割引率は、当該資金生成単位の加重平均資本コストを基礎に11.6%(前連結会計年度:11.4%)としております。公正価値測定は、用いた評価技法への重大なインプットに基づき、レベル3の公正価値に区分しております。
なお、減損テストで使用した重要な前提(成長率、割引率)が変更された場合には、減損損失が発生する可能性があります。当連結会計年度末において公正価値は、帳簿価額を7,484百万円上回っていますが、仮に成長率が0.8%減少、もしくは割引率が0.5%上昇した場合には、公正価値が帳簿価額を下回り減損損失が発生する可能性があります。
(Optos Plc)
回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値に基づき算定しております。処分コスト控除後の公正価値は、過去の経験と外部からの情報を反映し、経営者が承認した10年間の事業計画、及び事業計画の期間超過後は成長率を基礎とした継続価値によるキャッシュ・フローの見積額(税引後)を現在価値に割り引いて算定しております。(インカム・アプローチ)
キャッシュ・フロー予測を延長するために用いた成長率は2.1%(前連結会計年度:2.0%)であり、税引後の割引率は、当該資金生成単位の加重平均資本コストを基礎に11.0%(前連結会計年度:10.7%)としております。公正価値測定は、用いた評価技法への重大なインプットに基づき、レベル3の公正価値に区分しております。
なお、回収可能価額は各資金生成単位又は資金生成単位グループの帳簿価額を上回っており、回収可能価額の基礎となっている重要な前提(成長率、割引率)に合理的に起こり得る変化があった場合にも、減損損失が発生する可能性は低いと判断しております。
16.持分法で会計処理されている投資
個々には重要性のない関連会社に対する投資の帳簿価額は次のとおりであります。
個々には重要性のない関連会社の当期包括利益の持分取込額は次のとおりであります。
(2)共同支配企業に対する投資
個々には重要性のない共同支配企業に対する投資の帳簿価額は以下のとおりであります。
個々には重要性のない共同支配企業の当期包括利益の持分取込額は次のとおりであります。
17.リース
(1)借手側
当社グループが、借手としてリースしている資産は主にオフィスビルや倉庫などの不動産であり、一部の契約には延長オプションや解約オプションが付与されております。延長オプションは、契約期間終了より一定期間の契約を延長するオプションであり、解約オプションは、契約に定めた期間より前に貸手に書面をもって通知した場合に早期解約が可能となるオプションであります。これらのオプションについて、リース契約主体である当社グループは、不動産価格の動向や事業環境を踏まえ、事業への利用を継続するか、中止するかを判断した上、必要に応じて行使しております。
なお、リース契約によって課された制限(配当、追加借入及び追加リースに関する制限など)はありません。
① 使用権資産の帳簿価額、増加額及び減価償却費
使用権資産の帳簿価額は、次のとおりであります。
前連結会計年度及び当連結会計年度に増加した使用権資産は、それぞれ9,018百万円及び11,183百万円であります。
使用権資産の減価償却費は、次のとおりであります。
(注)使用権資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
② リースに係る収益及び費用
連結損益計算書に含まれているリースに係る収益の内訳は、次のとおりであります。
連結損益計算書に含まれているリースに係る費用の内訳は、次のとおりであります。
③ リースに係るキャッシュ・アウトフロー
連結キャッシュ・フロー計算書に含まれているリースに係るキャッシュ・アウトフローは、次のとおりであります。
④ リース負債
リース負債の満期分析は、次のとおりであります。
(2)貸手側
① ファイナンス・リース
当社グループは、ファイナンス・リースとして、超広角走査型レーザー検眼鏡などの賃貸を行っております。
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるファイナンス・リースの販売損益は、それぞれ6,556百万円及び6,697百万円であります。
また、正味リース投資未回収額に対する金融収益及び変動リース料に係る収益は、次のとおりであります。
ファイナンス・リースに基づくリース投資未回収総額の満期分析は、次のとおりであります。
② オペレーティング・リース
当社グループは、オペレーティング・リースとして、主に映像機器のロボット制御ソリューションに関する装置の賃貸を行っております。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、連結損益計算書に含まれているオペレーティング・リースに基づくリース収益は、それぞれ698百万円及び780百万円であります。
なお、賃貸料部分には指数又はレートに応じて決まるものではない変動リース料が含まれており、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ32百万円及び29百万円であります。
オペレーティング・リースに基づく受取リース料の満期分析は、次のとおりであります。
18.法人所得税
繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別内訳は、次のとおりであります。
IAS第12号の改訂を受け、前連結会計年度数値は遡及適用後の金額に基づき作成しております。
連結財政状態計算書上の繰延税金資産及び繰延税金負債は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
繰延税金資産及び繰延税金負債の増減内容は、次のとおりであります。
当期利益への計上額については、注記「18.法人所得税(3)法人所得税費用」をご参照ください。
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異又は繰越欠損金の一部又は全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される繰延税金負債の取崩、予測される将来課税所得及びタックス・プランニングを考慮しております。当社グループは、認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準及び繰延税金資産が認識できる期間における将来課税所得の予測に基づき、税務便益が実現する可能性は高いと判断しております。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異は次のとおりであります。
なお、繰越欠損金及び繰越税額控除は税額ベースであります。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の金額と繰越期限は次のとおりであります。
繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る将来加算一時差異の金額は次のとおりであります。
これらは一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に解消しない可能性が高いことから、繰延税金負債を認識しておりません。
法人所得税費用の内訳は次のとおりであります。
繰延税金費用については、注記「18.法人所得税(1)繰延税金」をご参照ください。
当社グループは、経済協力開発機構が公表した第2の柱モデルを導入するために制定または実質的に制定された税法から生じる法人所得税に対するエクスポージャーの評価を実施しております。第2の柱モデルの法人所得税に対するエクスポージャーに重要性はありません。
各年度の法定実効税率と実際負担税率との調整は次のとおりであります。実際負担税率は税引前利益に対する法人所得税の負担割合を表示しております。
19.仕入債務及びその他の債務
仕入債務及びその他の債務の内訳は、次のとおりであります。
仕入債務及びその他の債務は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
20.社債及び借入金
社債及び借入金の内訳は、次のとおりであります。
(注1)平均利率については加重平均利率を使用しております。当該利率を算定する際の利率及び残高は期末時点のものを使用しております。
(注2)主な社債の発行条件の要約は次のとおりであります。
社債及び長期借入金の返済期日到来予定期別内訳については、注記「35.金融商品」に記載しております。
21.引当金
引当金の増減内容は、次のとおりであります。
22.その他の金融負債
その他の金融負債の内訳は、次のとおりであります。
23.その他の負債
その他の負債の内訳は、次のとおりであります。
24.従業員給付
(1) 退職給付制度の概要
当社は、規約型確定給付企業年金制度(キャッシュバランスプラン)と確定拠出制度を採用しております。
国内グループ会社では、主として規約型確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しておりますが、一部は、中小企業退職金共済制度に加入しております。また、一部の在外グループ会社では、確定給付制度及び確定拠出制度を採用しております。その他、従業員の退職に際して割増退職金を支払う場合があります。
当社グループの確定給付制度では、年金給付金及び一時金等の支払いを将来にわたり確実に行うという目的に資するため、年金運用の方針を定め、年金資産の運用や管理を委託する運用受託機関を選定しております。運用受託機関は、制度加入者の利益を最優先にして行動することが法令により求められており、所定の方針に基づき制度資産の運用を行う責任を負っております。
確定給付債務は、年金数理計算上の仮定に基づいて測定されているため、割引率等の仮定の変動によるリスクに晒されております。制度資産は、主に市場性のある株式、債券及びその他の利付証券から構成されており、株価及び金利の変動リスクに晒されております。
当連結会計年度に、海外の一部の連結子会社の退職給付制度において年金バイアウトを実施しました。これに伴い当連結会計年度において清算損益として1,592百万円を退職給付費用として計上しております。
確定拠出制度において、当社及び一部の子会社の責任は、各社ごとに定められた退職金規程に定められた拠出額を拠出することに限定されております。
(2) 確定給付制度
確定給付制度の給付額は、勤務年数、退職時の給与支払額及びその他の要素に基づき設定されております。
① 連結財政状態計算書に計上された負債と資産の純額
連結財政状態計算書で計上された確定給付負債及び資産の純額と、確定給付制度債務及び制度資産との関係は、次のとおりであります。
② 確定給付債務
確定給付債務の現在価値の増減は次のとおりであります。
(注)確定給付制度債務の加重平均存続期間は、前連結会計年度12.2年、当連結会計年度12.1年であり、著しい分布の偏りは認められません。
③ 制度資産
(ⅰ) 制度資産の公正価値の増減
制度資産の公正価値の増減は次のとおりであります。
(注)当社グループの確定給付制度への出資は、税法上の損金算入限度額、制度資産の積立状態、数理計算等の様々な要因を考慮の上で行われます。翌連結会計年度における、確定給付制度への拠出金額は2,279百万円と予測しております。
(ⅱ) 資産の上限額
資産の上限額による影響の変動は次のとおりであります。
(ⅲ) 制度資産の内訳
制度資産の公正価値の内訳は次のとおりであります。
(注)合同運用信託に投資している制度資産は、活発な市場での市場価格がないものに分類しております。生保一般勘定は、生命保険会社が主として元本と利息を保証している一般勘定において年金資産を運用しているものであります。
(ⅳ) 制度資産の運用
当社グループにおける制度資産の運用は、受給者に対する年金給付及び一時金等の支払いを確実にすることを目的とし、将来にわたって健全な年金制度運営を維持するために必要とされる運用収益を長期的に確保することを運用目標としています。
運用目標を達成するため、定期的に政策的資産構成割合を検討し、資産配分を行っております。政策的資産構成割合の検討に際しては、ALM分析等の結果を踏まえて、投資対象の期待収益率とリスク、各投資対象の収益率の相関係数を考慮しております。なお、市場環境や運用環境等に著しい変化があった場合などには、必要に応じて、政策的資産構成割合の見直しを随時行います。
④ 重要な数理計算上の仮定
確定給付債務の現在価値の算定に用いた重要な数理計算上の仮定は次のとおりであります。
重要な数理計算上の仮定である割引率が変動した場合に、退職給付債務の現在価値に与える影響の感応度分析は、次のとおりであります。本分析においては、その他の変数は一定であることを前提としております。また、当連結会計年度の分析は、前連結会計年度と同様の基礎を用いて実施しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、確定拠出制度に関して費用処理した金額は、それぞれ2,708百万円及び2,712百万円であります。
(4) 従業員給付費用
前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「その他営業費用」に含まれる従業員給付費用の合計額は、それぞれ156,238百万円及び175,350百万円であります。従業員給付費用には、給与、賞与、法定福利費及び退職給付に係る費用等を含めております。
25.資本及びその他の資本項目
当社の発行可能株式総数及び発行済株式総数は次のとおりであります。なお、当社が発行する株式はすべて無額面の普通株式であり、発行済株式は全額払込済みであります。
(注1)前連結会計年度の、普通株式の発行済株式数の減少26,859,835株は、2022年4月7日開催の取締役会で決議した自己株式の消却による減少26,451,400株及び役員報酬BIP信託制度の終了に伴い、2022年9月2日開催の取締役会で決議した自己株式の消却による減少408,435株であります。
(注2)前連結会計年度の、普通株式の自己株式の株式数の増加21,452,283株は、2022年4月7日開催の取締役会で決議した自己株式の取得による増加21,451,400株及び単元未満株式の買取による増加883株であります。
当連結会計年度の、普通株式の自己株式の株式数の増加1,928株は、単元未満株式の買取による増加であります。
(注3)前連結会計年度の、普通株式の自己株式の株式数の減少27,211,533株は、2022年4月7日開催の取締役会で決議した自己株式の消却による減少26,451,400株、役員報酬BIP信託制度の終了に伴い、2022年9月2日開催の取締役会で決議した自己株式の消却による減少408,435株、役員報酬BIP信託の受益者に対する交付による減少168,465株、譲渡制限付株式報酬の受益者に対する交付による減少114,932株、ストック・オプションの行使による減少68,300株及び単元未満株式の売渡による減少1株であります。
当連結会計年度の、普通株式の自己株式の株式数の減少285,847株は、譲渡制限付株式報酬の受益者に対する交付による減少131,527株、ストック・オプションの行使による減少106,200株、業績連動型株式報酬の受益者に対する交付による減少48,118株及び単元未満株式の売渡による減少2株であります。
会社法では、株式の発行に対しての払込み又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることが規定されております。資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
会社法では、剰余金の配当により減少する剰余金の額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されております。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当することができ、また株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができます。
(4)その他の資本の構成要素
① その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融商品に係る評価損益の累計額であります。
② 確定給付制度の再測定
確定給付制度の再測定は、期首時点の数理計算上の仮定と実際の結果との差異による影響額及び数理計算上の仮定の変更による影響額であります。これについては、発生時にその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から利益剰余金に直ちに振り替えております。
③ 持分法適用会社におけるその他の包括利益に対する持分
持分法適用会社におけるその他の包括利益に対する持分は、その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動、確定給付制度の再測定、及び在外営業活動体の換算差額が含まれております。
④ 在外営業活動体の換算差額
連結会社の在外営業活動体の財務諸表をそれらの機能通貨から連結会社の表示通貨である日本円に換算することによって生じた換算差額であります。
⑤ キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値変動額の有効部分
キャッシュ・フロー・ヘッジに係るヘッジ手段の公正価値の変動から生じた利得又は損失のうち、ヘッジ有効部分の累計額であります。
26.配当金
配当の総額は次のとおりであります。
(注)2022年6月29日定時株主総会決議による配当金の総額には、役員報酬BIP信託が保有する自社の株式に対する配当金12百万円が含まれております。
また、配当の効力発生日が翌年度となるものは次のとおりであります。
27.売上収益
(1)収益の分解
当社グループは経済的特徴の類似性等を考慮したうえで各事業部を集約し、「映像事業」、「精機事業」、「ヘルスケア事業」、「コンポーネント事業」及び「デジタルマニュファクチャリング事業」の5つを報告セグメントとしております。当該報告セグメントは、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績の評価をするために、定期的に検討を行う対象としていることから、これらの事業で計上する収益を売上収益として表示しております。顧客の所在地に基づく地域別に分解した売上収益及びセグメント売上収益の関連は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、報告セグメントに変更がありました。当該変更に伴い、前連結会計年度のセグメント売上収益は、変更後の区分方法に基づき作成したものを開示しております。詳細は、注記「6.事業セグメント」をご参照ください。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
(注1)「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
(注2)日本、米国及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
① 欧州:英国、フランス、ドイツ
② その他:カナダ、アジア、中東、オセアニア、中南米
(注3)その他の源泉から認識した収益には、IFRS第16号に基づくリース収益等が含まれています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注1)「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
(注2)日本、米国及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
① 欧州:英国、フランス、ドイツ
② その他:カナダ、アジア、中東、オセアニア、中南米
(注3)その他の源泉から認識した収益には、IFRS第16号に基づくリース収益等が含まれています。
① 財・サービスの内容と履行義務の充足時点
(ⅰ)製品の販売
(映像事業)
映像事業においては、レンズ交換式デジタルカメラ、レンズ一体型デジタルカメラ及び交換レンズなどの映像関連製品及びその周辺領域の製品の販売を行っております。
映像事業における製品の販売については、製品を顧客に引き渡した時点で、顧客が製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されたと判断して収益を認識しております。すなわち、当該時点において、製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が顧客に移転し、顧客から取引対価の支払いを受ける権利を得ていると判断しております。
(精機事業)
精機事業においては、FPD露光装置及び半導体露光装置の販売を行っております。
精機事業における製品の販売については、顧客への製品の引渡の際に据付を要する製品については、製品を顧客に引き渡した後に、契約に基づく製品の仕様を満たした状態で顧客の指定する場所に製品の据付を完了した時点で、顧客が製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されたと判断して収益を認識しております。すなわち、当該時点において、製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が顧客に移転し、顧客から取引対価の支払いを受ける権利を得ていると判断しております。
顧客への製品の引渡の際に据付を要しない製品については、製品を顧客に引き渡した時点で、顧客が製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されたと判断して収益を認識しております。すなわち、当該時点において、製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が顧客に移転し、顧客から取引対価の支払いを受ける権利を得ていると判断しております。
(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事業においては、生物顕微鏡などのライフサイエンスソリューション分野、超広角走査型レーザー検眼鏡などのアイケアソリューション分野や細胞受託生産ソリューション分野の製品の販売を行っております。
ヘルスケア事業における製品の販売については、製品を顧客に引き渡した時点で、顧客が製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されたと判断して収益を認識しております。すなわち、当該時点において、製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が顧客に移転し、顧客から取引対価の支払いを受ける権利を得ていると判断しております。
顧客の検収が必要となるヘルスケア事業における製品の販売については、製品を顧客に引き渡した後に、顧客が製品の検収を完了した時点で、顧客が製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されたと判断して収益を認識しております。すなわち、当該時点において、製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が顧客に移転し、顧客から取引対価の支払いを受ける権利を得ていると判断しております。
(コンポーネント事業)
コンポーネント事業においては、光学コンポーネント、光学部品、エンコーダや材料加工などのデジタルソリューション製品、EUV関連コンポーネントや宇宙関連製品などを取り扱うカスタムプロダクツ事業関連製品やFPDフォトマスク基板などのガラス事業関連製品の販売を行っております。
コンポーネント事業における製品の販売については、製品を顧客に引き渡した時点で、顧客が製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されたと判断して収益を認識しております。すなわち、当該時点において、製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が顧客に移転し、顧客から取引対価の支払いを受ける権利を得ていると判断しております。
顧客の検収が必要となるコンポーネント事業における製品の販売については、製品を顧客に引き渡した後に、顧客が製品の検収を完了した時点で、顧客が製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されたと判断して収益を認識しております。すなわち、当該時点において、製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が顧客に移転し、顧客から取引対価の支払いを受ける権利を得ていると判断しております。
(デジタルマニュファクチャリング事業事業)
デジタルマニュファクチャリング事業においては、電子部品、自動車、航空機などの産業分野向けの工業用顕微鏡、非接触三次元測定機、非破壊検査を可能とするX線/CT検査システムなどの産業機器事業関連製品や金属3Dプリンターの販売を行っております。
デジタルマニュファクチャリング事業における製品の販売については、製品を顧客に引き渡した時点で、顧客が製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されたと判断して収益を認識しております。すなわち、当該時点において、製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が顧客に移転し、顧客から取引対価の支払いを受ける権利を得ていると判断しております。
顧客の検収が必要となるデジタルマニュファクチャリング事業における製品の販売については、製品を顧客に引き渡した後に、顧客が製品の検収を完了した時点で、顧客が製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されたと判断して収益を認識しております。すなわち、当該時点において、製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が顧客に移転し、顧客から取引対価の支払いを受ける権利を得ていると判断しております。
(ⅱ)サービスの提供
当社グループでは、当社グループ製品に対する有償修理・保守、並びにFPD露光装置及び半導体露光装置等の移設等のサービス業務を提供しております。
サービス提供完了時点に顧客の検収作業が行われる場合には、当該時点に履行義務が充足されたと判断して収益を認識しております。顧客がサービス提供期間にわたって便益を受ける場合には、当該期間にわたって履行義務が充足されたと判断して、定額で、又は進捗度に応じて収益を認識しております。
② 取引価格の算定
当社グループは、履行義務を充足した時、又は、充足するにつれて、当該履行義務に配分した取引価格に基づき収益を認識します。取引価格には、固定金額、変動金額、又は、その両方が含まれる場合があります。取引価格の算定にあたっては、契約の内容により、当社グループが顧客により約束された対価の性質、時期及び金額等、契約の条件及び自らの取引慣行を考慮して、顧客との契約において約束された対価の金額が変動するものがあります。
対価の金額が変動する主な取引は、販売数量や販売金額に基づくリベートや値引き、返品権付き製品販売や顧客が当社グループ製品の販売のためエンドユーザーへ提供する販売促進等の費用になります。これらの変動対価の見積りは、収益から控除しております。
販売数量や販売金額に基づくリベートや値引きの見積りは、過去の実績などに基づいた最頻値法を用いて、認識した収益の累計額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高い範囲でのみ認識しております。
返品権付き製品販売については、返金負債を過去の実績等を考慮して見積り、収益から控除しております。返金負債の決済時に顧客から製品を回収する権利について、当該製品の従前の帳簿価額から当該製品の回収のための予想コストを控除した額を参照して、資産として認識しています。
顧客が当社グループ製品の販売のためエンドユーザーへ提供する販売促進等の費用については、当社グループが顧客へ当該費用の支払いを行い、かつ、その公正価値を合理的に見積もれない場合は、その対価を収益から控除しております。
なお、顧客に対して、個別に、又は品質保証型の製品保証に加えて追加でサービス型の製品保証を提供する場合には、当該製品保証を別個の履行義務として特定し、取引価格を配分して収益を認識しております。
③ 支払条件
履行義務の充足後、別途定める支払条件により短期のうちに支払いを受けております。履行義務を充足してから対価を受領するまでの期間が通常は1年以内であるため、営業債権については、実務上の便法を使用し、重大な金融要素の調整は行っておりません。
契約資産は、報告日時点で完了しているが、まだ請求していない履行義務に係る対価に関連するものです。
契約資産は、支払に対する権利が無条件になった時点で債権に振り替えられます。
地域や顧客に応じて、契約条件に従って履行義務の充足前に前受けの形式により対価を受領する場合には、前受金を計上しております。
(2)契約残高
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び前受金の残高は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前連結会計年度の前受金の重要な変動は、契約による増加138,002百万円、収益認識による減少182,006百万円であります。また収益認識による減少のうち、期首現在の前受金の残高に含まれていた金額は92,244百万円であります。
当連結会計年度の前受金の重要な変動は、契約による増加156,432百万円、収益認識による減少189,403百万円であります。また収益認識による減少のうち、期首現在の前受金の残高に含まれていた金額は69,673百万円であります。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の額に重要性はありません。
(3)残存履行義務に配分した取引価格
前連結会計年度末時点における未充足の履行義務に配分した取引価格は、154,934百万円であり、主に精機事業において2年以内に収益認識することを予定しております。
当連結会計年度末時点における未充足の履行義務に配分した取引価格は、165,018百万円であり、主に精機事業において2年以内に収益認識することを予定しております。
なお、実務上の便法を適用し、当初の予想契約期間が1年以内の取引は含んでおりません。また、顧客との契約からの対価の中に、取引価格に含まれていない重要な金額はありません。
28.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額は次のとおりであります。
29.その他営業収益及び費用
(1)その他営業収益
その他営業収益の内訳は次のとおりであります。
(2)その他営業費用
その他営業費用の内訳は次のとおりであります。
(注)減損損失については、注記「15.非金融資産の減損損失」をご参照ください。
30.金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用の内訳は次のとおりであります。
(注1)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産から生じた受取配当金の内、認識の中止を行った金融資産に係る配当金は、前連結会計年度及び当連結会計年度においてそれぞれ40百万円及び397百万円であります。その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産については、注記「11.その他の金融資産」をご参照ください。
(注2)デリバティブ評価益は、為替予約、金利通貨スワップ及び通貨オプション取引に関連して発生したものであります。
(注3)前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ302百万円及び2,062百万円の有価証券評価益をその他に含めております。
31.1株当たり当期利益
親会社の所有者に帰属する基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益の算定基礎は次のとおりであります。
(注1) 基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益の算定上、以下の株式数の役員報酬BIP信託が保有する当社株式を、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
前連結会計年度 217,854株、当連結会計年度 -株
(注2) 前連結会計年度及び当連結会計年度において、子会社が発行するストック・オプションについては、希薄化効果を有していないため、希薄化後1株当たり当期利益の算定に含めておりません。
32.その他の包括利益に係る組替調整額及び法人所得税
その他の包括利益の項目別の当期発生額及び組替調整額、並びに法人所得税の影響は次のとおりであります。
33.財務活動に係る負債の調整表
財務活動に係る負債の変動は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
(注)連結財政状態計算書上における流動負債及び非流動負債の「社債及び借入金」の合計額であります。
「社債及び借入金」のキャッシュ・フローを伴う変動は、連結キャッシュ・フロー計算書における「短期借入金の純増減額」、「長期借入れによる収入」、「長期借入金の返済による支出」、「社債の償還による支出」の純額です。なお、その他には利息費用等が含まれています。
「リース負債」のその他には契約変更等による変動額が含まれています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注)連結財政状態計算書上における流動負債及び非流動負債の「社債及び借入金」の合計額であります。
「社債及び借入金」のキャッシュ・フローを伴う変動は、連結キャッシュ・フロー計算書における「短期借入金の純増減額」、「長期借入金の返済による支出」、「社債の償還による支出」の純額です。なお、その他には利息費用等が含まれています。
「リース負債」のその他には契約変更等による変動額が含まれています。
34.株式報酬
当社グループは、中長期の業績及び企業価値を向上させることを目的とし、株式報酬制度を採用しております。
(ⅰ)株式報酬型ストック・オプション制度の内容
新株予約権の行使期間は付与日から30年を経過する日までとなります。
対象勤務期間内に退任日が到来した場合には、権利が確定するのは在任月数相当分の新株予約権に限ります。
当社のストック・オプション制度は持分決済型の株式報酬として会計処理しております。
なお、当社は、2023年3月期より譲渡制限株式報酬制度を導入したことにより、ストック・オプション制度を廃止しました。そのため、2023年3月期以降に付与されたストック・オプションはありません。
前連結会計年度及び当連結会計年度において存在するストック・オプション制度の詳細は次のとおりであります。
(ⅱ)ストック・オプションのオプション数及び平均行使価格
ストック・オプションの状況は次のとおりであります。
前連結会計年度において行使されたストック・オプションは次のとおりであります。
また、当連結会計年度において行使されたストック・オプションは次のとおりであります。
前連結会計年度の未行使のストック・オプションの行使価格は1円、加重平均残存契約年数は24.3年であります。
当連結会計年度の未行使のストック・オプションの行使価格は1円、加重平均残存契約年数は23.5年であります。
なお、一部の子会社の発行するストック・オプションは重要性が乏しいため、開示を省略しております。
(2)譲渡制限付株式報酬制度
(ⅰ)譲渡制限付株式報酬制度の内容
当社の譲渡制限付株式報酬制度は、業務執行取締役等に一定の株式譲渡制限期間及び当社による無償取得事由等の定めがある当社普通株式(以下「譲渡制限付株式」)を交付する報酬制度であります。
当社の譲渡制限付株式報酬制度は、原則として毎年、取締役会決議に基づき、業務執行取締役等に対して、譲渡制限付株式を交付するものであります。譲渡制限付株式は業務執行取締役等のいずれの地位からも退任するまでの期間中の処分が原則として禁止され、一定の事由が生じた場合には、譲渡制限付株式報酬のすべてにつき当社が無償で取得します。譲渡制限は業務執行取締役等が一定期間継続して、業務執行取締役等のいずれかの地位にあったことを条件として、譲渡制限付株式の全部について、譲渡制限期間が満了した時点をもって譲渡制限を解除します。
当社の譲渡制限付株式報酬制度は持分決済型の株式報酬として会計処理しております。
(ⅱ)期中に付与された付与株式数及び公正価値
付与日の公正価値は、取締役会決議日の前営業日の東京証券取引所における当社普通株式の終値を基礎として測定しております。期中に付与された譲渡制限付株式は、以下のとおりであります。
(3)業績連動型株式報酬制度
(ⅰ)業績連動型株式報酬制度の内容
当社の業績連動型株式報酬制度は、業務執行取締役等に対して、支給対象中期経営計画の対象期間の各事業年度における業績目標等の達成度に応じて算定した数の当社普通株式又は普通株式の時価相当額の金銭(以下「当社株式等」)を交付する報酬制度を採用しております。本制度に基づく報酬制度は、取締役会が別途定める連続した複数事業年度を対象とし、予め役位に応じた基準株式数及び業績目標等を提示し、各事業年度終了後に、当社株式等を業績の目標の達成度に応じて当社業務執行取締役等に交付するものであり、持分決済型の株式報酬として会計処理しております。
(ⅱ)期中に付与された付与株式数及び公正価値
公正価値は、測定日における株価を使用して測定しております。期中に付与された業績連動型株式報酬は、以下のとおりであります。
(注)基準株式数を記載しております。
(4)長期インセンティブ報酬制度(Long-Term Incentive Plan)
一部の子会社は、同社の企業結合時の取締役に対して、権利確定日までの一定期間の勤務を条件に、同社株式の公開買付け時における公開価格を基礎とした金額を現金で決済する長期インセンティブ報酬制度(Long-Term Incentive Plan)(以下「LTIP」)を採用しております。
対象者に対して付与されたLTIPは現金決済型の株式報酬として会計処理しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、当該制度に関する負債の帳簿価額は、それぞれ80百万円及び569百万円であります。
(5)株式報酬費用
(単位:百万円)
株式報酬費用は、主に連結損益計算書の販売費及び一般管理費に計上されております。
35.金融商品
(1)資本管理
当社グループは、一定の財務健全性の確保を前提に置きながら、自己資本比率55~60%を目安として、投資資本の運用効率を重視し、持続的な成長のために資本コストを上回る収益が見込める投資(戦略投資、R&D、設備投資)に資金を活用することで企業価値の最大化を実現すると同時に、安定的な株主還元を実施することで株主の要求にも応えることを資本管理の方針としております。そのために必要な資金については、収益力の維持強化により創出する営業キャッシュ・フローで賄うことを基本とし、必要に応じて銀行借入及び社債等による資金調達を行ってまいります。
当社グループは、資本の効率性を追求してROEを経営上の重要な指標に据え、向上を目指してまいります。
(単位:%)
なお、当社は会社法による利益準備金の要求以外の外部からの資本規制は受けていません。
(2)金融商品の分類
金融商品の分類は次のとおりであります。
(3)財務上のリスク管理方針
当社グループが保有する金融商品は、市場リスク(為替リスク、金利リスク、株価変動リスク)、信用リスク、流動性リスクなどの様々なリスクに晒されています。こうした様々なリスクを軽減するため、当社グループでは、取引内容、取引規模や地域特性に応じたリスク軽減のための施策を実施しております。
(4)市場リスク管理
当社グループは、外国為替レート及び資本性金融商品の価格変動による市場リスクに晒されております。
市場リスクをヘッジするために、先物為替予約等のデリバティブ金融商品を利用しております。デリバティブを保有又は発行するにあたっては、外国為替換算リスク、金利リスク、価格リスク、デリバティブ又はそれ以外の金融商品を掌る当社グループの管理規程に基づいて行っております。また、管理規程に基づく適正な運用を内部監査により継続的にモニタリングしております。
(ⅰ)為替リスク管理
グローバルに事業を展開していることから生じている外貨建ての営業債権は、為替の変動リスクに晒されています。一方、営業債務である支払手形及び買掛金の一部には、原料等の輸入に伴う外貨建てのものがあり、為替の変動リスクに晒されていますが、概ね同じ外貨建ての売掛金残高の範囲内にあります。そのため、主として外貨建ての営業債務をネットしたポジションについて主に先物為替予約を利用してヘッジし、ヘッジ会計の要件を満たしているものはヘッジ会計を適用しております。なお、為替相場の状況により、9ヶ月を限度として、輸出入にかかる予定取引により確実に発生すると見込まれる外貨建て営業債権に対する先物為替予約を行っております。
a)外貨感応度分析
各連結会計年度末において保有する外貨建金融商品について、日本円が米ドル、ユーロに対して1%高くなった場合の税引前利益及びその他の包括利益(税効果考慮前)に与える影響額は、次のとおりであります。計算にあたり使用した通貨以外の通貨は変動しないものと仮定しております。
b)デリバティブ
通貨デリバティブの詳細は、次のとおりであります。
ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引
ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引
当社グループは、外貨建資産及び負債に係る為替相場変動のヘッジを目的とした先物為替予約を金融機関と行っております。外貨建売掛金及び買掛金並びに将来の外貨建取引契約に関連する先物為替予約は、すべて1年以内に期限が到来します。
(ⅱ)金利変動リスク
固定金利と変動金利双方で資金を借り入れているため、金利変動リスクに晒されております。
有利子負債の殆どは固定金利により調達された社債及び借入金ですが、変動金利による借入金については、原則として金利スワップ契約により実質的に固定金利による借入金と同等の効果を得ております。
a)金利感応度分析
金利変動リスクのある変動金利の長期借入金については、金利スワップ取引を利用してキャッシュ・フローを固定化し、リスクを軽減しております。当社グループにおける金利変動リスクに対するエクスポージャーは限定的であり、金利変動に対する影響は軽微であります。
b)デリバティブ
金利デリバティブの詳細は、次のとおりであります。
ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引
ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引
(ⅲ)その他の価格リスク
有価証券及び投資有価証券については、市場価格の変動リスクに晒されていますが、定期的に時価や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
以下の感応度分析は報告期間末の株式価格エクスポージャーに基づき算定しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度において株式の市場価格が5%変動する場合、FVTOCI指定した資本性金融商品の公正価値の変動の結果として、その他の包括利益(税効果考慮前)はそれぞれ2,563百万円増減及び2,839百万円増減いたします。
(5)信用リスク管理
当社グループは、営業債権である受取手形、売掛金及びリース債権等、未収入金等のその他の債権及びその他の金融資産について、信用リスク(当社グループが保有する金融資産の相手方が債務を履行できなくなり、当社グループが財務的損失を被ることとなるリスク)に晒されております。
営業債権である受取手形、売掛金及びリース債権等については、顧客の信用リスクに晒されております。当該リスクに関しては、取引相手ごとに決済条件に準じた期日及び残高の管理、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握、また取引内容、取引規模、取引先の信用力に応じ、前受金、取引信用保険等の活用により信用リスクの軽減を図っております。
未収入金等のその他の債権についても、取引相手先の信用リスクに晒されておりますが、概ね短期間で決済されるものであります。
デリバティブ取引は、契約相手先の契約不履行により生ずる信用リスクに晒されております。デリバティブ取引の執行・管理については、取引権限を定めた社内規程に基づき運用されており、また、デリバティブの利用にあたっては、信用リスクを軽減するために、格付の高い金融機関とのみ取引を行っております。
連結財務諸表に表示されている金融資産の減損控除後の帳簿価額は、獲得した担保の評価額を考慮に入れない、当社グループの信用リスクに対するエクスポージャーの最大値であります。
(ⅰ)売上債権及びその他の債権等に係る信用リスクエクスポージャー
売上債権及びその他の債権に係る当社グループの信用リスクエクスポージャーは、次のとおりであります。売上債権及びその他の債権については、回収可能性や信用リスクの著しい増加等を考慮して、将来の予想信用損失を測定して、貸倒引当金を計上しております。信用リスクが著しく増加しているか否かについては、債務不履行発生リスクの変動により評価しております。そのために、取引相手先の財務状況、過去の貸倒損失計上実績、過去の期日経過情報などを考慮して判断しております。売上債権に係る貸倒引当金は、常に全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しており、全期間の予想信用損失を個別に測定する場合と集合的に測定する場合があります。集合的に測定する場合であっても、売上債権の見積将来キャッシュ・フローに不利な影響を与える、以下のような一つ又は複数の事象が発生している場合には、信用減損した売上債権として個別債権ごとに予想信用損失を測定しております。
・債務者の重大な財政的困難
・債務不履行又は期日経過などの契約違反
・債務者が破産又は他の財務上の再編を行う可能性が高くなったこと
売上債権及びその他の債権
(単位:百万円)
上記の金融資産には、受取手形及び売掛金、リース債権等を含んでおります。
未収入金等のその他の債権は、貸倒引当金を12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定している金融資産であり、前連結会計年度及び当連結会計年度の債権残高は、それぞれ1,419百万円及び3,180百万円であります。
その他の金融資産
(単位:百万円)
(ⅱ)貸倒引当金の増減分析
当社グループは金融資産が減損した場合、減損を資産の帳簿価額から直接減額せず、貸倒引当金勘定により処理しております。貸倒引当金の増減は次のとおりであります。
売上債権及びその他の債権
(単位:百万円)
上記の貸倒引当金は、受取手形及び売掛金、リース債権等が対象であります。
未収入金等のその他の債権について、前連結会計年度及び当連結会計年度の貸倒引当金の残高はそれぞれありません。
その他の金融資産
(単位:百万円)
(6) 流動性リスク管理
営業債務や借入金等の金融負債は、支払期日に支払いを実行できなくなる流動性リスクに晒されております。
当社グループは、中長期的な資金計画を定期的に作成・更新する等の方法により手元流動性の状況を把握し、状況に応じた適切な手元資金を維持、確保することで流動性リスクを管理しております。
また、当社グループはグローバルキャッシュマネジメントシステムを導入しており、国内外の子会社が保有する資金を含むグループ資金を集中的かつ効率的に管理することにより、流動性リスクの低減に努めております。
流動性及び金利リスク表
次の表は当社グループの金融負債の残存契約満期日別金額を示しております。
当該表は、当社グループが支払いを要求される最も早い日を基にして金融負債の割引前キャッシュ・フローに基づき作成しており、金利及び元本のキャッシュ・フローを含んでおります。
(単位:百万円)
各報告期間の末日現在におけるコミットメント・ライン総額及び借入実行残高は、次のとおりであります。
(7) 金融商品の公正価値等に関する事項
①公正価値で測定する金融商品
公正価値で測定する金融商品の公正価値ヒエラルキーは、次のとおりであります。
公正価値で測定する主な金融商品の測定方法は、以下のとおりであります。
(ⅰ)デリバティブ
デリバティブ資産及びデリバティブ負債のうち為替予約、金利スワップ、通貨スワップ及び通貨オプションの公正価値については、契約を締結している金融機関等による提示価格や、利用可能な情報に基づく適切な評価方法により算定しており、レベル2に分類しております。
(ⅱ)株式
活発な市場が存在する株式の公正価値は、取引所の価格を公正価値としてレベル1に分類しております。活発な市場が存在しない株式の公正価値は、観察可能なインプットを用いて算定している場合にはレベル2に分類し、観察不能なインプットを用いてマーケット・アプローチや将来キャッシュ・フローを割引く方法により公正価値を算定している場合には、レベル3に分類しております。
(ⅲ)その他
その他のうち活発な市場が存在しない銘柄の公正価値は、観察可能なインプットを用いて算定している場合にはレベル2に分類し、観察不能なインプットを用いてマーケット・アプローチや将来キャッシュ・フローを割引く方法により公正価値を算定している場合には、レベル3に分類しております。
経常的にレベル3で測定する金融商品の期首から期末までの変動は次のとおりであります。
(注1)純損益に含まれている利得及び損失は、各報告期間の末日時点の純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、「金融収益」及び「金融費用」に含まれております。
(注2)その他の包括利益に含まれている利得及び損失は、各報告期間の末日時点のその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動」に含まれております。
②償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額及び公正価値は、次のとおりであります。
(注)1年以内に返済予定又は償還予定の残高を含んでおります。
社債及び長期借入金については、注記「20.社債及び借入金」をご参照ください。
償却原価で測定する主な金融商品に係る公正価値の測定方法は、以下のとおりであります。
社債の公正価値については、市場価格に基づき算定しており、公正価値ヒエラルキーをレベル1に分類しております。長期借入金の公正価値については、将来キャッシュ・フローを国債の利回り等適切な指標に信用スプレッドを上乗せした利率で割り引いて算定しており、公正価値ヒエラルキーはレベル3に分類しております。
社債及び長期借入金以外の償却原価で測定する金融資産及び金融負債の公正価値は、帳簿価額と近似しております。
36.関連当事者取引
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。
主要な経営幹部に対する報酬は次のとおりであります。
37.子会社、関連会社及び共同支配企業
当連結会計年度末の当社グループの重要な子会社、関連会社及び共同支配企業は、第一部[企業情報]第1[企業の概況]4[関係会社の状況]に記載しております。
38.偶発負債
(訴訟関連)
当社グループが事業展開する中で、国内外において、係争案件へ発展すること、訴訟の被告になることや政府機関による調査を受けることがあります。当社グループでは、係争案件や訴訟に関連した債務に関し、当該債務を決済するために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性や、その影響額について信頼性のある見積りができるかを勘案のうえ、引当金の認識を検討しております。
当社のインド子会社は、当社デジタルカメラ製品の輸入に関連して、インド税当局から調査を受け、2016年10月、同製品について関税、延滞税及び加算税の支払決定を受けておりました。これに対し、当社インド子会社は、2017年1月、同国間接税租税審判所(CESTAT:Customs, Excise and Service Tax Appellate Tribunal)へ不服申立を行いましたが、2017年12月、当該申立は棄却されました。当社インド子会社はこれを不服とし、2018年1月、同国最高裁判所(以下「最高裁」)に対して上告し、2021年3月に最高裁は当社インド子会社に対する関税、延滞税及び加算税の支払決定を取り消す判決を下しました。なお、インド税当局は2021年4月に最高裁判決に対する再審請求を申立てています。現時点において同請求に対する最高裁の決定を予想することは不可能であるため、上記会計方針に則り、引当金は認識しておりません。
(契約・法令対応)
当社の連結子会社であるOptos Plcに関し、同社がリファービッシュ製品と新品とを区別せず販売していたという疑義が提起されたことを受け、当社では外部機関の協力を得て社内調査を進めております。現在までの調査の結果、同社のリファービッシュ製品の品質については問題がないものと判断しておりますが、米国政府系顧客等との契約及びそれに関連する米国における法令に抵触する可能性があることが判明しました。当社は、上記の特定顧客に対する契約に抵触した場合の補償費用及び当該米国法令に抵触した場合の課徴金に備えるため、引当金1,541百万円を計上しております。
また、当社は米国におけるリファービッシュ製品の販売に関する開示規制に抵触している事実はないものと判断しております。なお、今後の進捗次第では、各規制当局への支出や顧客あての賠償金等が新たに発生し、当社の連結業績に影響を及ぼす可能性がありますが、現時点ではその影響額を合理的に見積もることが困難と判断しております。
その他の案件においては、現時点において、当社の連結業績や財政状態へ重要な影響を与えるものはないと考えております。
39.重要な後発事象
当社グループは、後発事象を2024年6月24日まで評価しております。
当社は、RED.com, LLC(以下「RED社」)の持分のすべてを2024年4月8日に取得し、完全子会社化しました。
(1)企業結合の概要
① 被取得企業の名称、事業の内容
名称 :RED.com, LLC
事業内容:業務用シネマカメラの開発、製造、販売、サービス
② 企業結合を行った主な理由
RED社は2005年の創業以来、映画やCM撮影などに使用されるプロフェッショナル向けのシネマカメラを手掛ける企業です。RED社は、独自のRAW圧縮技術による「RED ONE 4K」や最先端の「V-RAPTOR [X]」などのデジタルシネマカメラを開発するなど、シネマカメラ市場をリードする製品を多くリリースしてきました。また、RED社の製品は、アカデミー賞の受賞をはじめとした数多くのハリウッド作品に選ばれており、世界中の監督やシネマトグラファーからその革新性と画質が高い評価を得ております。
今回の子会社化により、製品開発における高い信頼性や映像処理技術、ユーザーインターフェイス、光学技術などの知見を持つ当社と、独自の画像圧縮技術やカラーサイエンスをはじめとしたシネマカメラにおけるノウハウを培ってきたRED社の強みが一体化され、業務用動画機において特色のある製品開発が可能になります。当社とRED社はそれぞれの知見やノウハウを結集し、双方の事業基盤やネットワークを最大限活用しながら、今後拡大が見込まれる業務用動画市場の開拓を目指します。
③ 被取得企業の支配を獲得した方法
現金を対価とする持分の取得
④ 支配獲得日
2024年4月8日
⑤ 取得した議決権比率
100%
(2)取得対価及びその内訳
(注)本件持分譲渡契約に基づき、当該金額をベースに本件クロージング日までの運転資本等の増減を反映した価格調整が行われます。
なお、現時点において、当該企業結合の当初の会計処理が完了していないため、会計処理に関する詳細な情報は開示しておりません。
当連結会計年度における四半期情報等