第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、グループの目指す姿として「経営理念(ミッション)」、「経営ビジョン」、「行動指針(バリュー)」を以下のとおり定めております。

<経営理念(ミッション)>

グローバルな保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支えます

<経営ビジョン>

持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造します

<行動指針(バリュー)>

お客さま第一     :わたしたちは、常にお客さまの安心と満足のために、行動します

誠実         :わたしたちは、あらゆる場面で、あらゆる人に、誠実、親切、公平・公正に接します

チームワーク     :わたしたちは、お互いの個性と意見を尊重し、知識とアイデアを共有して、ともに成長します

革新         :わたしたちは、ステークホルダーの声に耳を傾け、絶えず自分の仕事を見直します

プロフェッショナリズム:わたしたちは、自らを磨き続け、常に高い品質のサービスを提供します

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは2024年度よりスタートした中期経営計画(2022-2025)第2ステージにおいて、グループ全体の業績を示す経営指標として「グループ修正利益」(注1)、「グループ修正ROE」(注2)、「IFRS純利益」、「修正ROE」(注3)、「ESR(Economic Solvency Ratio)」(注4)を掲げており、目標値は次のとおりであります。なお、当社グループは2025年度末決算からIFRS(国際財務報告基準)を適用する予定であります。

 

 

(2023年度実績)

2025年度目標

グループ修正利益

(3,799億円)

7,600億円

グループ修正ROE

(9.0%)

16%

IFRS純利益

4,500億円

修正ROE

12%

ESR

(229%)

180~250%

(注)1 グループ修正利益 =連結当期純利益+異常危険準備金等繰入・戻入額-その他特殊要因(のれん・その他無形固定資産償却額等)+非連結グループ会社持分利益

2 グループ修正ROE=グループ修正利益÷グループ修正純資産(連結純資産+異常危険準備金等-のれん・その他無形固定資産)

3 修正ROE    =IFRS純利益÷(IFRS純資産-政策株式の含み損益)

4 ESR      =時価純資産÷統合リスク量(信頼水準99.5%)

 

(3) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

今後のわが国を含む世界経済は、景気の緩やかな回復が持続することが期待される一方、中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクが懸念されます。

保険業界においては、企業保険分野における保険料調整行為と大手中古車販売店による自動車修理費の不正請求の2つの問題が相次いだことを受け、損害保険業界への信頼を回復するための徹底した取組みを行うことが急務となっております。また、地震など各種の災害に対して、迅速な保険金の支払いや、各種防災・減災サービスの提供を通じて社会のレジリエンスを高める社会インフラとしての役割を果たしていくことが一層強く求められております。

このような中、当社グループは、2024年度よりスタートした中期経営計画(2022-2025)第2ステージに基づき、グループの「ミッション・ビジョン・バリュー」に立ち返って全役職員及び代理店・業務委託先の行動を見直すことにより、お客さまの信頼回復に全力で取り組んでまいります。そのうえで、デジタル技術の進展や人手不足の進行などの事業環境の変化を踏まえて計画に掲げた基本戦略やその基盤の取組みを進めてまいります。

 

[ビジネススタイルの大変革]

 当社グループでは、保険料調整行為等の反省を踏まえて事業のあり方を見直し、「お客さま第一の業務運営」「ガバナンスの強化」「コンプライアンス」を基礎に据えて、「提供価値の変革」「事業構造の変革」「生産性・収益性の変革」を内容とするビジネススタイルの大変革を進めてまいります。

 

 

提供価値の変革

事業構造の変革

生産性・収益性の変革

○適正な競争環境の構築

 商品・サービスにおける競争優位

 性の強化

○リスクソリューション提案力の強化

 「保険本来の機能」+「補償・保

 障前後のソリューション」の強化

○引受管理の強化

 リスク関連情報・データを活用し

 たアンダーライティング強化

○新たな成長投資

 開拓余地・市場成長が見込める事

 業への新たな投資の拡充

○デジタル・人財への投資

 生成AI等新たなソリューション

 へのDX投資、人的資本投資の拡

 大

○1プラットフォーム戦略の完遂

 本社機能の一体運営の推進、グル

 ープへの拡大

○オーバースペックな業務の見直し

 ペーパーレス化・デジタル化推進

○資産運用の強化

 市場環境の変化を踏まえた収益性

 の追求

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お客さま第一の業務運営

ガバナンスの強化

コンプライアンス

○お客さま第一の業務運営の再徹底

○お客さま・社会の要請・期待に応

 える自発的な行動

○経営陣によるガバナンス態勢強化

○3ラインディフェンスにおける第

 2線・第3線の機能強化

○コンプライアンス知識・意識の向

 上

○リスクの予見、予兆検知能力向上

○モニタリング、知見の蓄積とグル

 ープ内共有

 

当社は、これらの取組みをグループ各社が確実に進め、三井住友海上火災保険株式会社及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社がそれぞれの業務改善計画を着実に実行していくよう、持株会社としての経営管理態勢の強化、ガバナンスの発揮に引き続き取り組んでまいります。

 

 

[中期経営計画の基本戦略・基盤]

 中期経営計画第2ステージでは、ビジネススタイルの大変革を進めつつ、お客さまと真摯に向き合い、お客さまと社会の課題を解決していくことにより、CSVの実現と持続的な成長を引き続き追求することとしております。レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループを実現するため、基本戦略「Value(価値の創造)」「Transformation(事業の変革)」「Synergy(グループシナジーの発揮)」と基本戦略を支える基盤「サステナビリティ」「品質」「人財」「ERM」それぞれについて着実に取組みを進めてまいります。

 

 

基本戦略

Value

(価値の創造)

提供価値の変革の推進

 

・デジタル技術・データを活用した補償・保障前後を含む新たな商品・サービスの開発・収益化を推進し、お客さま・社会の課題解決を実現します。

・自然災害ロス等の増加、インフレの継続等の事業環境変化を踏まえ、自動車保険・火災保険の収益力強化、生産性の向上を図ります。

Transformation

(事業の変革)

事業構造の変革の推進

 

・国内損害保険市場の中長期的な成長鈍化を踏まえ、海外事業・生保事業の拡大により、分散の効いた事業ポートフォリオを実現します。また、事業管理の高度化(業績改善や不採算事業の見極め)による資本効率向上を図ります。

・生成AI等デジタル技術の急速な進化と利活用の加速を踏まえた最適なソリューションを追求することで、ビジネススタイル変革を進め、事業の変革に取り組みます。

Synergy

(グループシナジーの発揮)

生産性・収益性の変革の推進

 

・人手不足の進行等を踏まえ、1プラットフォーム戦略の推進によるグループ会社間のシナジーを発揮し、持続可能な事業運営体制の構築とさらなる効率化と品質向上に取り組みます。

・加えて、グループ各社の顧客基盤を活かした生損及び生保2社間の提携販売の拡大や、本社と海外拠点間のコミュニケーションを強化し、国内外でノウハウの相互展開を推進します。

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基盤

サステナビリティ

品質

人財

ERM

ステークホルダーと当社双方にとって重要度が高い社会課題の解決を目指し、3つの重点課題

「地球環境との共生

(Planetary Health)」「安心・安全な社会

(Resilience)」

「多様な人々の幸福

(Well-being)」に統合的に取り組みます。

保険料調整問題等を踏まえ、従来の品質取組に加えて、業務運営ルールの明確化や第2線・第3線のリスク管理態勢の強化を行い、代理店も含めたお客さま第一の業務運営・コンプライアンスの再徹底を図ります。

人手不足の進行に対応するため、人的資本への投資を拡大し、社員のエンゲージメントの向上を図ります。

法務リスク・コンダクトリスク等の定量化が難しいリスクの定性的な評価とガバナンス態勢を強化します。また、次期中期経営計画期間末に政策株式の保有ゼロを実現することにより、リスクの削減と資本効率の向上を図ります。ROEの向上に向けて、各事業会社が利益創出力を強化するとともに資本収益性を高めていきます。

 

 

[事業領域別の取組み]

 主な事業領域別の取組方針は以下のとおりであります。

国内損害保険事業においては、保険料調整行為等の反省を踏まえ、お客さま第一の業務運営をあらためて徹底して、お客さまに向き合った企業活動を実践してまいります。また、自然災害の甚大化・頻発化、再保険市場のハード化、インフレの継続等の保険引受損益の悪化要因を踏まえつつ、自動車保険、火災保険及び新種保険の収益力強化を図ります。

国内生命保険事業においては、長期的な人口減少や高齢化社会の進展等の環境変化に対応した商品・サービスの開発や販売チャネル・販売管理態勢の強化を進めます。また、三井住友海上あいおい生命保険株式会社と三井住友海上プライマリー生命保険株式会社それぞれの商品特性に応じた資産運用を基本としつつ、金利等の市場の変動を捉えて運用収益の拡大に取り組んでまいります。

海外事業においては、MS Amlinのロイズ・再保険事業の安定的な拡大やトヨタリテール事業の収益改善に取り組むとともに、米国・アジア事業のさらなる拡大を図るため事業投資等を検討し、リスク分散を図りつつ資本効率の向上・企業価値向上を実現してまいります。

資産運用においては、金利上昇などの市場環境の変化に対応しつつ、時価純資産価値を持続的に拡大するため、分散されたポートフォリオを構築してグループ全体のリスク対比リターン向上を図るとともに、政策株式の削減を加速してまいります。また、グループ各社の運用方針・戦略・計画や投資情報の共有、人財育成や外国資産運用に係る共通プラットフォームの活用等を通じてグループ内の知見やリソースを有効に活用してまいります。

金融サービス事業においては、資産形成関連ビジネスにおける多様な商品・サービスや、ESGに係るお客さまの取組みをサポートするリスクソリューションなどを提供することにより、安定的な収益を確保してまいります。

 デジタル・リスク関連サービス事業においては、お客さまのリスク状況を把握したうえで事故の回避や損害の回復に資するソリューションを提供するビジネスモデルを事業化し、お客さまへの提供価値向上に取り組みます。また、当社グループの販売網を最大限活用して補償・保障前後のソリューションを提供することにより、事故の予防・削減を通じて収支改善を実現するとともに、より多くのお客さまに安心と安全をお届けしてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「グローバルな保険・金融サービス事業を通じて安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支える」ことを経営理念に掲げており、経営理念実現に向けて「MS&ADインシュアランス グループのサステナビリティの考え方」を定め、取組みを進めております。

 

当社グループの経営理念、経営ビジョン、行動指針

 

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 当社グループの経営理念は平易でわかりやすく社会的存在意義を示していること、また、すでにグループ内に浸透していることから、当社グループではパーパスを経営理念と同一であると定めております。

 

MS&ADインシュアランス グループのサステナビリティの考え方

 

MS&ADインシュアランス グループは、経営理念の実現に向け「価値創造ストーリー」を紡ぐ企業活動を通じて、社会との共通価値を創造し、「レジリエントでサステナブルな社会」を目指します。

信頼と期待に応える最高の品質を追求し、ステークホルダーとともに、地球環境と社会の持続可能性を守りながら、誰もが安定した生活と活発な事業活動にチャレンジできる社会に貢献し続けます。

<以下略>

 

なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 価値創造ストーリー

当社グループは、保険事業という公共性の高い事業を中心に、社会課題を解決し社会への価値を提供するとともに、我々自身も売上や利益といった価値を享受するというビジネスモデル「価値創造ストーリー」を掲げております。

当社グループは、「MS&ADインシュアランス グループのサステナビリティの考え方」に基づき、保険・金融サービス事業者として、事故や災害をはじめ様々なリスクを引き受け、万一の際の補償を提供します。また、リスクそのものの発生を抑制するとともに、リスクを引き起こす要因となる社会課題の解決に力を注いでおります。「リスクを見つけ伝える」「リスクの発現を防ぐ・影響を小さくする」「経済的な負担を小さくする」、この取組みにより、企業活動を通じた社会との共通価値の創造を実現してまいります。これが当社グループのビジネスモデルであります。

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② めざす姿「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループ」

中期経営計画(2022-2025)では、価値創造ストーリーを実践し、社会課題の解決へ貢献し社会とともに成長する「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループ」をめざす姿としました。

経営理念の実現に向けて、社員一人ひとりが様々な社会課題に向き合い、当社のビジネスモデルを通じた商品・サービスを提供することで、お客さまが安心して生活や事業活動を行うことのできる社会を支えてまいります。

 

③ 重点課題の設定

当社が取り組む主な社会課題については、世界共通の目標や国際的なガイドラインやフレームワーク等を踏まえ、解決が望まれる社会課題を洗い出したうえで、ステークホルダーにとっての影響と、当社グループにとっての影響を評価し、双方にとって重要度の高いものを重点課題と設定しております。

重点課題の分析は、中期経営計画を策定するタイミングで見直すことを基本としておりますが、社会情勢の変化等に応じて、適宜見直すこととしております。

 

[STEP1]社会課題についての分析

社会で解決が求められている課題を的確に把握するために、世界共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)や、ISO26000、GRIスタンダード、SASBスタンダードなどの国際的なガイドラインやフレームワーク、政府や国内外諸団体が公表する報告書等を踏まえ、解決が望まれる社会課題を洗い出し、21項目を選定しました。

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[STEP2]サステナビリティの重点課題の設定

選定した社会課題について、「当社が社会に与える影響(ステークホルダーにとっての重要度)」、「社会から当社が受ける影響(当社にとっての重要度)」の2つの観点で分析しました。ステークホルダーと当社の双方にとって重要度の高い社会課題として絞り込んだ14項目を整理して、3つの重点課題「地球環境との共生(Planetary Health)」、「安心・安全な社会(Resilience)」、「多様な人々の幸福(Well-being)」及び基盤取組(品質、人財、ERM)を定めました。

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[STEP3]重点課題における主な取組み

気候変動への対応や防災・減災、人権尊重の推進等、特定した3つの重点課題に基づき、リスクと機会を踏まえたCSV取組を推進しております。

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[STEP4]経営への報告

中期経営計画(2022-2025)では、「Value(価値の創造)」、「Transformation(事業の変革)」、「Synergy(グループシナジーの発揮)」を基本戦略とし、「サステナビリティ」は基本戦略を支える基盤の一つと位置付けております。「サステナビリティ」については、重点課題ごとにKPIを設定しており、取組状況及びKPIの進捗を定期的に経営に報告しております(重点課題ごとのKPIは「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 指標・目標」参照)。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ関連の課題に対して取締役会、グループ経営会議、及び課題別委員会によるガバナンス体制を敷いております。

 

① 取締役会

法令・定款に定める事項のほか、グループの経営方針、経営戦略、資本政策等、グループ経営戦略上の重要なサステナビリティ関連の事項及び会社経営上の重要な事項の論議・決定を行うとともに、取締役、執行役員の職務の執行を監督しております。取締役会では、リスク・リターン・資本をバランスよくコントロールしたリスク選好に基づいて経営資源の配分を行い、健全性を基盤に「成長の持続」と「収益性・資本効率の向上」を実現し、中長期的な企業価値の拡大をめざしております。取締役会は、執行役員を選任するとともに、その遂行すべき職務権限を明確にすることにより、取締役会による「経営意思決定、監督機能」と執行役員による「業務執行機能」の分離を図っております。執行役員は、取締役会より委ねられた業務領域の責任者として業務執行を行い、その業務執行状況について取締役会に報告します。

取締役会には内部委員会として人事委員会と報酬委員会を設置し、実効性と透明性の高いコーポレートガバナンス態勢を構築しております。

人事委員会では、取締役候補・監査役候補・執行役員及び当社が直接出資するグループ国内保険会社の取締役・監査役の選任等の重要な人事事項について審議し、取締役会に助言しております。当社グループの成長戦略の実現に向けて、多様な視点から論議を行うため、取締役会の実効性確保に必要なスキルの一つにサステナビリティを位置付けております。

報酬委員会では、取締役・執行役員の報酬等及び当社が直接出資するグループ国内保険会社の役員報酬体系等について取締役会に助言しております。取締役の業績連動報酬は会社業績と連動し、財務指標とあわせてサステナビリティを指標に取り入れた非財務指標をもとに決定しております。

 

 

② グループ経営会議

経営方針、経営戦略等、グループの経営に関する重要な事項について協議するとともに、執行役員による決裁事項の一部について報告を受けることにより、具体的な業務執行のモニタリングを行っております。

 

③ 課題別委員会

業務執行に係る会社経営上の重要事項に関する論議及び関係部門の意見の相互調整を図ることを目的として7つの課題別委員会を設置しております。サステナビリティ関連の課題や取組みは、主として、課題別委員会のサステナビリティ委員会及びERM委員会での論議を経て、取締役会とグループ経営会議の双方に報告し、決定します。

 

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サステナビリティ委員会は、サステナビリティ領域の推進責任者として2023年度に新設されたグループCSuO(Group Chief Sustainability Officer)が運営責任者となり、グループ各社の社長、及びグループCFO、グループCRO、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン担当役員等で構成し、サステナビリティ課題の取組方針・計画・戦略等の論議を行っております。2023年度は、4回開催しました。主な論議テーマは、2023年度のサステナビリティ取組、気候変動・自然資本関連の開示、DE&Iの推進、グループ人権尊重取組の推進、取引先に係る温室効果ガス排出量削減目標等であります。なお、各論議内容は、取締役会に報告しております。

ERM委員会は、グループCFOとグループCROが運営責任者となり、ERMに関する重要事項の協議・調整等を行うとともに、リスク・リターン・資本の状況やサステナビリティ関連を含むリスク管理の状況等について、モニタリング等を行っております。2023年度は9回開催し、2024年2月に開催したERM委員会では、経営が管理すべき重要なリスク(グループ重要リスク)として、「国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機」を追加すること、「気候変動」に引き続き留意してリスクを管理していくこと等を論議し、取締役会にてグループ重要リスクを決定しております。また、ERM委員会では気候変動を含む自然災害リスク管理の高度化についても論議しており、論議内容は取締役会に報告しております。

なお、腐敗防止、贈収賄防止については「品質向上・コンプライアンス委員会」、情報セキュリティ管理については「グループシステム委員会」において論議しております。両委員会については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照ください。

 

 

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(2) 戦略

当社グループの中期経営計画(2022-2025)では、補償・保障前後における商品・サービスのシームレスな提供や、リスクコンサルティングによるソリューションの提供など、リスクソリューションのプラットフォーマーとして気候変動をはじめとした社会課題の解決に貢献し、社会と共に成長する「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループ」をめざしております。

また、「地球環境との共生(Planetary Health)」、「安心・安全な社会(Resilience)」、「多様な人々の幸福(Well-being)」の3つをサステナビリティの重点課題(マテリアリティ)として定めております。

社会で解決が求められている様々な課題は、当社グループの事業活動へのリスクとなる一方で、これらの課題解決につながる商品・サービスの提供は、社会との共通価値を創造する新たな事業機会になることから、社会との共通価値を創造するCSV取組を進めております。

 

① 重点課題「地球環境との共生(Planetary Health)」

a.気候関連のリスクと機会

(a)気候関連のリスク

当社グループは、気象条件の物理的な変化による影響や脱炭素社会への移行を、事業におけるリスクとして捉え、安定的な収益や財務の健全性確保のための取組みを進めております。大規模自然災害発生時にも円滑に保険金をお支払いできる体制を維持・強化するとともに、防災・減災取組を進め、リスクの軽減を図ります。

気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TCFD」という。)では、気候関連のリスクを物理的リスクと移行リスクの2つに分類しており、当社グループはTCFDの枠組に沿ってリスクを特定しております。

物理的リスクは、気候変動の物理的影響に関連したリスクであります。更に、リスクが発生する状態に応じて2種類(「台風等の急性の物理的な事象に起因する急性物理的リスク」、「長期的な気候パターンの変化に起因する慢性物理的リスク」)に分類しております。

移行リスクは、脱炭素経済への移行に関連するリスクであります。リスクをもたらす要因別に、4種類(「気候変動の緩和や適応に対する政策・法規制によるリスク」、「脱炭素社会への移行を支援する技術の革新等によるリスク」、「市場の需要供給の変化によるリスク」、「気候変動への対応に対する社会の評価・評判によるリスク」)に分類しております。

 

 

本分類に沿ったリスクは以下のとおりであります。

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[シナリオ分析]

当社グループでは、自然災害被害を補償する保険引受に係る影響(物理的リスク)と、地球温暖化対策の導入による投資に係る影響(移行リスク)について、それぞれシナリオ分析を実施しております。

物理的リスクの分析では、温暖化の進行に伴って勢力等が変化した台風による支払保険金の変動について分析し、支払保険金が増加する可能性があることを確認しております。また、移行リスクの分析では、温暖化対策の進展に応じて投資先企業が追加負担する可能性のあるコストについて分析し、投資先企業が温暖化対策を進めることで追加コストを抑制できる可能性があることを確認しております。

当社グループは、気候変動の緩和と適応への取組みや科学的知見の更新等を踏まえ、今後も継続的なシナリオ分析の見直しと高度化に取り組んでまいります。

 

(b)気候関連の機会

お客さまや社会のリスクを引き受け、補償を提供することを主要な事業領域としている損害保険業界にとって脱炭素社会への移行は、急激な社会・経済の変化に伴う新たな保険商品・サービスへの需要喚起や、新たな産業の勃興や技術変革に伴う顧客企業の業績向上など、当社グループの成長につながる機会になると考えております。TCFDでは、気候関連の機会を「資源の効率性」、「エネルギー源」、「製品・サービス」、「市場」、「レジリエンス」の5つに分類しております。

 

本分類に沿った当社グループの事業活動に対する機会は、以下のとおりであります。

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(c)気候関連のリスクと機会を踏まえた当社グループの取組み

・2050年のネットゼロの実現に向け、2023年11月に保険引受先及び投融資先に係る温室効果ガス(以下、「GHG」という。)排出量の削減について、2030年までの中間目標を設定しました。

・2023年5月、サステナビリティに関する保険引受・投融資の方針を変更し、GHG排出量削減計画のない、石炭を主業とする企業のエネルギー採掘や、オイルサンド・ガス採掘に関する新規取引停止を導入しました。

・投資先のGHG排出量削減に向けて、気候変動に対応した対話取組の推進、再生可能エネルギーへの投融資を行っております。加えて、インパクト投資の実行と共にノウハウ構築も進めております。

・2024年3月、対象機器が自然災害等で罹災し、J-クレジット創出量が減少した場合に、減少した販売収益を補償する保険の販売を開始しております。

・2023年9月、衣料品に損害が生じた場合、従来は焼却廃棄されていた衣料品を循環させるために、事業者が負担する追加費用等を補償する業界初の保険「燃やさない保険(衣料品循環費用補償)」の販売を開始しております。

 

 

  b.自然関連のリスクと機会

 自然関連のリスクと機会は、自然関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TNFD」という。)が提唱する評価プロセス「LEAPアプローチ」の考え方に沿って、自然への依存とインパクトを考慮し、特定しました。優先的に分析するべき範囲を検討する「スコーピング」においては、事業規模、自然資本への影響、評価可能性を考慮し、「損害保険事業」、「金融サービス事業」、「デジタル・リスク関連サービス事業」を主な対象としております。

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  (a)自然関連のリスク

 TNFDでは、自然関連のリスクを物理的リスクと移行リスクの2つに分類しております。物理的リスクは、リスクの発生状態に応じて2種類(「台風や病害虫発生等の急激で物理的な事象に起因する急性物理的リスク」、「長期的な変化に起因する慢性物理的リスク」)に分類しております。

 移行リスクとは、自然と共生する世界への移行に関連するリスクであり、4種類(「政策・法規制によるリスク」、「技術の革新等によるリスク」、「市場の需要供給の変化によるリスク」、「社会の評価・評判によるリスク」)に分類しております。本分類に沿ったリスクは以下のとおりであります。

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  (b)自然関連の機会

 ネイチャーポジティブな社会の実現に向け、企業は事業活動において自然に著しくネガティブなインパクトを発生させる場合、その軽減・回避をするための費用負担が発生する可能性があります。当社グループのビジネスモデルである「リスクを見つけ伝える」サービスに始まり、「リスクの発現を防ぐ・影響を小さくする」、「経済的な負担を小さくする」商品・サービスは、企業に解決策を提供することとなり、当社グループの機会につながると考えております。

 TNFDでは、自然関連の機会を、「製品・サービス」、「市場」、「資源の効率性」、「天然資源の持続可能な利用」、「資本フロー・資金調達」、「評判資本」、「自然の保護・修復・再生」の計7分類としております。

 

 本分類に沿った当社グループの事業活動に対する機会は以下のとおりであります。

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 当社グループにおける自然関連の機会を具体的に特定するために、当社グループの保険商品・サービスが対象とする個人や企業の事業活動における自然への依存やインパクトを把握することは重要であると考えております。

 保険商品・サービスが対象とする個人や企業の事業活動が自然とどう関わり、自然へのネガティブなインパクトの緩和にどのように貢献できるか、さらなる検討を続け、商品・サービスの開発を進めてまいります。

 

  (c)自然関連のリスクと機会を踏まえた当社グループの取組み

・2008年に発足した企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)の活動を通じて普及啓発や研究を進め、企業全体における取組みの促進を図っております。

・2023年8月には気候関連財務情報と自然関連財務情報を統合したTCFD・TNFDレポートを公表しました。

・2023年9月に当社グループの社員がタスクフォースメンバーを務めるTNFDがTNFD開示提言第1.0版をローンチしました。当社は、TNFDに賛同する組織が参加するTNFDフォーラムメンバーへの支援を行うTNFDコンサルテーション・ジャパンの事務局の一社を担っており、開示提言のローンチに合わせたイベントを開催するなど、日本企業へのTNFDの普及啓発に努めました。

・MS&ADインターリスク総研株式会社では、TNFDに対応した情報開示の支援や、事業活動における自然関連のリスク評価サービスの提供など、ネイチャーポジティブに向けた企業のサポートを行っております。

・2023年2月に当社グループと株式会社三井住友フィナンシャルグループ、農林中央金庫、株式会社日本政策投資銀行の4金融機関グループで、ネイチャーポジティブの実現に向けた金融アライアンスを発足しました。2023年9月にネイチャーポジティブ実現に向けたTNFD対応支援サービスや、ネイチャーポジティブに資するソリューション情報をまとめたカタログの提供を行いました。

・世界銀行(国際復興開発銀行International Bank for Reconstruction and Development)が発行するグリーンボンドの資金使途が当社の目指す「レジリエントでサステナブルな社会の実現」に繋がると考え、2023年10月に投資しました。

・当社グループ傘下の保険会社4社(三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、三井住友海上あいおい生命保険株式会社、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社)共同で、2024年3月に森林ファンド「Manulife Forest Climate Fund LP」に投資しました。

 

② 重点課題「安心・安全な社会(Resilience)」

a.リスクと機会

当社グループは、イノベーションの進展や産業構造の変化などに伴う新しいリスクの発現、感染症の拡大、自然災害や大規模地震、地域産業の衰退などの社会課題を重点課題「安心・安全な社会(Resilience)」と位置づけております。これらは取引先の事業活動におけるリスクにもなり、当社グループにおいても保険金支払の増加や保険料収入の減少につながります。

一方、増加するサイバーリスクや、新たに発現しているAI、宇宙開発、拡張・仮想現実などでのリスクへの対処は、当社グループ事業における機会でもあると考えております。

 

b.リスクと機会を踏まえた当社グループの取組み

(a)社会の変革に伴い発現する新たなリスクへの対応

2023年9月、MS&ADインターリスク総研株式会社は、米国インシュアテック企業Coalition, Inc.の先進技術を活用した、中小企業向けサイバーリスク診断サービス「MS&ADサイバーリスクファインダー」をリリースしました。

 

(b)データ分析やAIを活用した防災・減災

・2022年4月から、災害リスクの事前予測や発災後の被害推定等を可視化することで地域の防災・減災を支援するソリューションサービス「防災ダッシュボード」を自治体向けに提供しております。

・2023年6月、当社グループは、降雹(こうひょう)被害の軽減に向けメール等を通じて社員、代理店、保険契約者等へ降雹を事前に知らせる「雹災(ひょうさい)アラートサービス」の実証実験を開始しました。

・2023年9月、株式会社JX通信社との共同開発により、自然災害発生時の被災建物棟数をリアルタイムで予測する「cmap」アプリに、事件・事故などに関するSNS投稿情報を地図上に表示する機能と、ユーザーが地域で発生した各種リスク情報をアプリに直接投稿できる機能をリリースしました。

・2024年1月、現在及び将来の浸水深や被害額等を算出することができ、高解像度の洪水リスク評価を行うことが可能なSaaS型プラットフォーム「洪水リスクファインダー」をリリースしました。

 

(c)レジリエントで包摂的な地域社会づくり(地方創生)

・当社グループは、自治体や研究者、地域のNPOと協働し、自然環境を再生して保全する「MS&ADグリーンアースプロジェクト」に取り組んでおり、社員と家族が参加しております。

・自治体と連携して水災時に罹災証明書の発行手続を支援する「被災者生活再建支援サポート」サービスを提供しております。

 

③ 重点課題「多様な人々の幸福(Well-being)」

a.リスクと機会

当社グループは、高齢化・少子化の進展、人権侵害・多様性の排除、貧困・格差拡大といった社会課題を重点課題「多様な人々の幸福(Well-being)」と位置づけており、これらは、人口減少や少子高齢化の進展による国内損害保険市場の中長期的な成長鈍化や企業価値のき損等、当社グループの事業活動にとってもリスクとなります。

一方、自治体や地域企業、金融機関等と連携した地方創生取組は当社事業における機会になると考えております。また、人権デュー・ディリジェンスの推進・支援や、女性、高齢者、障がい者、LGBTQのお客さまの保険・金融アクセス向上など、課題解決に向けた取組みは、当社グループ事業の中期的な成長実現につながる機会と考えております。

 

b.リスクと機会を踏まえた当社グループの取組み

(a)健康、長寿社会への対応

・企業の健康経営の支援や健康増進、未病・重症化予防に資する商品・サービスや、人生100年時代における資産寿命の延伸を支援する商品・サービスを提供しております。

・病気の予防・早期発見から健康に関するご相談、重症化・再発予防など、お客さまの健康をトータルでサポートすることを目指すヘルスケアサービス「MSAケア」を提供しております。

・社員の認知症サポーター養成講座の受講をグループ共同で推進しております。

 

(b)人権尊重の推進

・当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に依拠した、人権尊重のマネジメントシステムである人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、幅広いステークホルダーとの対話をとおして得られた意見を反映しております。

・2021年度に当社グループのバリューチェーンとステークホルダーから人権リスクの発生する接点を整理し、人権尊重取組における重点課題として「公平・公正なお客さま対応」、「取引先・代理店における人権対応の考慮への取組み」、「社員の健康への配慮と差別のない職場環境」を設定しております。重点課題ごとに予防・改善策とモニタリング方法を策定し、取組みを推進しております。

・海外拠点では、国・地域によって抱える課題が異なるため、2022年6月に実施した海外拠点向けアンケート結果をもとに、各国の人権リスク対応状況を確認したうえで、予防・改善策やモニタリング方法を定めて人権尊重取組を推進しております。

・従来から対策を進めている人権リスクに加えて、LGBTQのお客さまへの対応、テクノロジー・AIに関する人権侵害への対応、外部委託先・代理店の人権課題に対する認識度の引上げ・人権尊重取組推進の支援、カスタマー・ハラスメント対策に取り組み、継続的に防止・軽減に努めております。

・2023年7月に外部委託先向けの救済窓口を開設し、順次、バリューチェーン上の利用対象者を拡大してまいります。

 

(c)社員のエンゲージメント向上

グループの最大の財産は人財であり、グループ社員一人ひとりの能力・スキル・意欲が最大限発揮できるよう、基本戦略の実現に必要なスキルを明確化して、社員の自律的な成長機会を拡充しております。

 

(3) リスク管理

当社グループは、サステナビリティに関連するものを含め、当社グループを取り巻くリスクについて、リスク管理態勢を整備し、リスク管理を経営の最重要課題として取り組んでおります。当社グループのリスク管理については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を参照ください。

 

(4) 指標・目標

当社グループは、3つの重点課題ごとにリスクと機会に関する指標・目標を次のとおり定めております。

 

① 地球環境との共生(Planetary Health)

当社グループは、当社グループやサプライチェーンを通じて排出するGHGの削減に向けて、次のa.及びb.を指標・目標として取り組んでおります。

a.GHG排出量削減率

指標・目標

進捗状況

・2030年度: ▲50%

 (2019年度比)

・2050年度: ネットゼロ

スコープ1・2(※1)

2022年度:▲26.8%

スコープ3(※2)

2022年度:▲26.9%

※カテゴリ1・3・5・6・7・13

※1 スコープ1は社有車のガソリン等、当社グループが直接排出するもの、スコープ2は電力などの使用により間接排出するもの。

※2 当社グループの事業活動に伴って間接的に排出するもののうち、スコープ2以外のもの。カテゴリ1は購入した製品・サービス(対象:紙・郵送)、カテゴリ3はスコープ1、2以外の燃料及びエネルギー活動、カテゴリ5は事業から出る廃棄物、カテゴリ6は従業員の出張、カテゴリ7は従業員の通勤、カテゴリ13はリース資産。

 

また、2023年11月に収入保険料をもとに選定した国内主要取引先(約3,300社)に対して、当社の保険引受先及び投融資先に係るGHG排出量削減率の2030年度までの中間目標として、2019年度比▲37%を設定しました(ファイナンスドエミッション)。

 

b.再生可能エネルギー導入率

指標・目標

進捗状況

・2030年度: 60%

・2050年度:100%

・2022年度: 21.1%

 

当社グループは、脱炭素社会・環境汚染対策につながる循環型経済への移行に向けて、次のc.を指標・目標として、技術革新と社会実装を支える商品・サービスの提供を行っております。

c.社会の脱炭素化、循環型経済に資する商品

指標・目標

進捗状況

・保険料増収率: 平均18%

・2023年度: 24.5%

 

② 安心・安全な社会(Resilience)

当社グループは、イノベーションの進展や産業構造の変化に伴う、サイバーリスクなど新たなリスクに対応するため、次のa.を指標・目標として、商品・サービスの提供を行っております。

a.社会のレジリエンス向上に資する商品

指標・目標

進捗状況

・引受件数増加率: 年平均20%

・2023年度: 17.6%

 

当社グループは、次のb.を指標・目標として、自治体や商工団体等、地域を取り巻くステークホルダーと連携した社会課題解決の推進や、持続可能なインフラへの移行、地域産業の活性化、多様なモビリティサービスの実現等による地方創生の推進に取り組んでおります。

 

b.地域企業の課題解決支援数

指標・目標

進捗状況

・コンサルティングサービス、研修・セミナー等: 2025年度 年1万件

・2023年度: 11,892件

 

 多様な人々の幸福(Well-being)

当社グループは、次のa.及びb.を指標・目標として、企業の健康経営の支援、健康増進、未病・重症化予防に資する商品・サービスの提供、人生100年時代における資産寿命の延伸を支援する商品・サービスの提供を行っております。

a.健康関連の社会課題解決につながる商品

指標・目標

進捗状況

・保有契約件数: 260万件(2025年度末)

・2023年度: 222万件

 

b.長寿に備える資産形成型商品

指標・目標

進捗状況

・保有契約件数: 10万件(2025年度末)

・2023年度: 7万件

 

当社は、次のc.を指標・目標として、企業の人権関連対応の支援を行っております。

c.企業の人権関連対応の支援数

指標・目標

進捗状況

・コンサルティングサービス、研修・セミナー等: 2025年度 年1,000件

・2023年度: 1,047件

 

当社グループは、次のd.を指標・目標として、グループ一体感の醸成と社員がいきいきと活躍できる企業文化を目指し、社員が参加できるグループ横断活動に取り組んでおります。

d.社員意識調査

指標・目標

進捗状況

CSVを実感している: 前年同水準以上

・2023年度 4.5 pt(2022年度 4.5 pt)

MVV※を意識している: 前年同水準以上

※ミッション(経営理念)、ビジョン(経営ビジョン)、バリュー(行動指針)

・2023年度 4.6 pt(2022年度 4.6 pt)

 

(5) 人財育成方針

① 基本的な方針

・当社グループには、国内外の連結会社に約4万人の社員がおり、グループの最大の財産は人財と考えております。人財はグループの企業価値向上の原動力であり、人財育成に積極的に投資します。

・当社グループがめざす人財像は、「自律的に行動し、変革にチャレンジし、新たな価値を創造する人財」であります。このような人財を継続的に輩出するよう、人財育成に取り組みます。

・当社グループの強みである多様性を活かして組織を牽引することができる、多様なリーダーの育成に取り組みます。経営をリードする人財、女性リーダーなどの育成を、グループ共同で進めます。

 

② 中期経営計画を踏まえた方針

・経営戦略を実現するのは人財であり、戦略実現のために必要なスキルを明確化し、リスキリングやアップスキルなどへの人財投資により社員の自律的な成長機会を拡充するとともに、外部人財を含めた専門人財の確保・活躍を推進し、最適な人財ポートフォリオを構築します。

・特に、CSV×DXのグローバルな展開や、事業・リスクポートフォリオの変革などを担う「デジタル人財」「海外人財」については、KPIを設定し、人財育成の進捗を確認しながら、重点的に育成に注力します。

・併せて、社員のコンプライアンス知識・意識の向上・徹底に取り組みます。

 

a.デジタル人財の育成

すべての社員がベーシックなデジタルスキルを身につけることに加えて、大学等との連携育成プログラムなどを活用し、ビジネスサイド、データ分析サイドの両面からデジタル人財の育成を進めます。

(a)ビジネスサイド :DXを活用してビジネスを創造・拡大することのできる人財

デジタルスキルに関するオンライン教育ツールの拡充や、グループ各社のデジタル人財認定制度、大学等(※)との連携講座などを活用して体系的に進めることで、多くの社員がスキルを身につけ、向上するよう取り組みます。

 

(b)データ分析サイド:高度なデータ分析等、ビジネスを実現するための高いスキル・専門性を有し発揮できる人財

大学等(※)との連携講座や、データサイエンスに関する高度なスキルの認定制度を活用して育成に取り組みます。また、ジョブ型の社員区分を設け、外部専門人財の確保・活躍に適した環境を整備・活用します。

 

〔KPI〕 2025年度7,000人  (上記(a)と(b)合計)

デジタル人財の推移(グループ国内保険会社5社合計)            (各年度4月1日時点)

2022年度

2023年度

2024年度

2,179人

3,601人

5,814人

 

(※)MS&ADデジタルアカデミー(INIAD:東洋大学情報連携学部)

累計参加人数956人(2018年度~2023年度)

MS&ADデジタルカレッジfrom京都(KUAS:京都先端科学大学)

累計参加人数559人(2020年度~2023年度)

 

b.海外人財の育成

海外事業を担う人財を、ポストに対して質・人数ともに十分に確保することを必要としております。現状、必要な人数は確保できており、世代交代を進めながら持続的に人財を育成・確保するためのプログラムに取り組んでおります。

 

〔KPI〕 2025年度1,200人

海外人財の推移(※)                           (各年度4月1日時点)

2022年度

2023年度

2024年度

1,129人

1,182人

1,189人

 

(※)三井住友海上火災保険株式会社・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社・三井住友海上あいおい生命保険株式会社・三井住友海上プライマリー生命保険株式会社の4社合計

 

具体的には、海外事業に必要な「経営人財」や「専門人財(経理・財務、IT、リスク管理等)」について、次のような取組みを実施しており、多面的・計画的に人財を育成します。

 

(a)指名型研修の実施

・経営人財育成:グローバルリーダー養成プログラム 2014年度~2023年度累計参加人数72人

・専門人財育成:グローバルエキスパート養成プログラム 2014年度~2023年度累計参加人数97人

・海外雇用社員の経営人財育成:グローバルマネジメント研修 2021年度~2023年度累計参加人数80人

 

(b)海外派遣研修制度:2014年度~2023年度累計参加人数350人

・公募による海外派遣研修制度。派遣期間は原則1年以上で、海外事業展開を支える人財を中長期的視点で育成する取組み。

 

(c)グローバルトレーニー制度:2014年度~2023年度累計参加人数1,155人

・1週間程度の外国人との協働プログラムを通じてグローバルビジネスを疑似体験することで、海外人財に求められるスキル・要素の習得を目指す取組み。

 

上記のほかにも、海外駐在経験者への本社部門やマネジメント経験の付与、若手の海外赴任、海外雇用社員の日本での勤務など、グローバルな人財相互交流などにより、人財育成を進めます。

 

(6) 社内環境整備方針

① 基本的な方針

・経営戦略を実行するのは、社員一人ひとりであります。社員の能力・スキル・意欲を最大限発揮できる職場環境を整備することで、エンゲージメントを高め、経営戦略の実効性を高めます。

・中期経営計画の基本戦略「Transformation」にある「新たなビジネスの創造等、事業の構造を変革し、事業環境の変化に適応する」などの実現にあたっては、多様な人財の意見やアイデアを引き出し、活かすことが重要であります。ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進し、意思決定層の多様性を確保し、当社グループの特長である多様性のメリットを最大化します。

 

② 中期経営計画を踏まえた方針

・人財戦略の特に重要な要素にKPIを設定して取組みを進め、社員がいきいきと活躍し、グループの多様性を企業価値向上に結びつける環境を整えます。

 

a.魅力ある職場環境の整備

社員のエンゲージメントを向上させるためには、自律的なキャリア形成機会、柔軟で効率的・効果的な働き方、チャレンジを後押しする企業文化といった職場環境の整備が重要であり、それぞれ次のような取組みを進めます。

 

(a)自律的なキャリア形成機会の提供

自らが希望するポスト・部門に異動し、活躍のステージを広げるための公募制度(ポストチャレンジ)の活用を拡大し、グループ会社間での人事異動、人財育成、キャリア形成取組を活性化します。また、社員が既存組織の枠を越えて会社施策に参画する仕組みなど、自律的なキャリア形成機会の提供を拡充します。

ポストチャレンジ応募実績:2023年度 481人

 

(b)多様で柔軟な働き方の推進

・在宅勤務と出社を効率的に組み合わせ、リモートワークを活用した業務運営を進めます。また、ジョブ型雇用の活用や、副業・兼業の緩和により、スキル向上・活用の機会を拡大します。

・キャリアビジョンやライフイベント等に応じた転居転勤の可否選択を柔軟に認めていきます。

 

(c)新たなチャレンジを後押しするマネジメント

チャレンジを奨励し、社員の意欲を引き出し活かす意識改革・風土醸成につながるマネジメントを展開します。

 

これらの取組みとともに、心理的安全性が確保された職場環境の浸透、企業風土の醸成を進めていきます。

 

b.ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)

(a)意思決定層の多様化

イ 女性の役員や管理職への登用に向けたパイプライン整備の取組みを強化しております。また、2030年度末までのKPIとして、女性管理職比率を30%に設定するとともに、組織の長となる「女性ライン長」の比率をその半数に定め、意思決定者の多様化を促進します。

〔KPI〕 女性管理職比率  30% (2030年度末)   2024年4月時点21.6%

女性ライン長比率15% (2030年度末)   2024年4月時点18.4%

                (当社及びグループ国内保険会社5社合計)

グループ各社におけるパイプライン整備の取組み例は次のとおりであります。

・当社が直接出資する関連事業会社の非常勤取締役への女性登用

2024年4月新任4人、2019年度以降累計32人

・副部長・副支店長ポストへの女性の配置

2024年4月時点44人

 

ロ 外部人財の登用について、管理職に占める外部人財の比率向上を進めるなど、多様な経験を意思決定に活かす

取組みを進めます。

〔KPI〕 管理職に占める経験者採用比率:現行水準以上

 2024年4月時点23.0%、2023年4月時点22.6% (グループ国内保険会社5社合計)

 

(b)男性労働者育児休業

男性労働者育児休業の取得促進は、企業の社会的責任・社会への貢献であるとともに、男性が育児や育児休業への理解を深める機会であります。多様な価値観を受け容れる職場環境整備の一環として、KPIを設定して取組みを進めます。

〔KPI〕 2025年度男性労働者育児休業:取得率100%、取得日数4週間を目指す

 2023年度 取得率89.9%、取得日数12.1日 (グループ国内保険会社5社合計)

 

(c)意見やアイデアを積極的に引き出し活かすマネジメントノウハウの展開

当社グループの特長である多様性を活かすためには、様々な人財の知識・経験・価値観を引き出し、組織の意思決定に活かすインクルーシブな組織運営が不可欠であります。そのためのマネジメントノウハウである「インクルーシブ・リーダーシップ」の実践・浸透に取り組みます。

 

(d)グループ社員の交流・意見交換機会の提供

多様な人財が集まり、知識・経験の共有や、新たな気づきや価値観を創出する契機とするため、グループ各社の社員がグループ横断で参加する交流・意見交換会などを実施し、多様性とインクルーシブな体験の機会を提供します。

 

c.社員のWell-being

社員が自律的にいきいきと働き、その能力を最大限発揮するためには、社員の「心身の健康」「働きがい」「働きやすさ」の維持・向上が不可欠であります。労働時間や休暇等の時間管理の徹底、メンタル不調への対策強化・復帰支援などにより、社員の心身の健康を保持・増進するとともに、働きがいや働きやすさの向上につながる各種施策に取り組み、社員のWell-beingを推進します。

〔KPI〕 ・年次有給休暇取得日数:前年同水準以上 2023年度16.5日

休暇取得を促進し、社員の心身の健康保持に取り組みます。

・運動習慣者比率:現行水準以上 2023年度27.8%

「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施」の運動習慣のある社員の比率をKPIに設定し、健康保持・増進への意識を高めております。

                        (当社及びグループ国内保険会社5社合計)

 

上記のような環境整備を進め、以下の設問に対する回答スコアを社員のエンゲージメントを測る指標として、KPIを「前年同水準以上」と設定し、進捗を確認しております。

〔KPI〕 社員意識調査

・設問「私は、今の仕事に誇りと働きがいを持っている」

:スコア4.4(2023年度)

・設問「私の職場は、年齢・経験・国籍・性別・障がいの有無等で差別することなく、多様な人財の多様な価値観や意見が受け容れられ、人権を尊重し、いきいきと活躍できる環境にある」

:スコア4.7(2023年度)

        (6段階スコア、当社及びグループ国内保険会社5社合計)

 

3【事業等のリスク】

(1) 当社グループのリスク管理

 ① リスク管理基本方針

当社グループは、持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造することを経営ビジョンに掲げ、その実現を阻害するあらゆる不確実性を「リスク」と捉え、リスク管理態勢を整備し、リスク管理を経営の最重要課題として取り組んでおります。

当社グループでは、「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」を定め、グループ内で共有された基本的な考え方のもとでリスク管理を実行しております。

「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」には、リスク管理の基本プロセスと体制、保険グループとして認識すべきリスクの定義や管理の考え方等が定められております。

グループ国内保険会社では、この基本方針に沿って各社の実態に合わせた「リスク管理方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っております。

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 ② リスク管理体制

当社では、取締役会の課題別委員会の1つであるERM委員会にてリスク管理に係るモニタリング等を行い、重要事項についてはERM委員会の協議を踏まえて、グループ経営会議及び取締役会に報告を行う体制としております。

グループ国内保険会社は、国内外の子会社も含め各社それぞれのリスク管理を実行します。リスク管理部は、グループ全体のリスク及び各社のリスク管理の状況をモニタリングし、グループ全体の統合リスク管理を行い、ERM委員会へその結果を報告しております。

 

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 さらに、2024年度より、連結子会社である三井住友海上火災保険株式会社及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の企業保険分野における独占禁止法に抵触すると考えられる行為及び同法の趣旨に照らして不適切な行為の発生等を踏まえ、当社グループに内在するリスクをフォワードルッキングに検知して、グループ内に展開し、自律的にリスクに対応していくため、当社及びグループ国内保険会社の役員が出席する「グループリスク対策会議」を新設しております。グループリスク対策会議には幅広い視点から助言・指導を受けるため、社外の有識者も出席します。また、グループリスク対策会議での論議事項について、必要と判断した事項は、当社の取締役会及びグループ経営会議に直接報告します。これらを通じ、リスクの検知力の強化及びリスク管理体制の強化を図ってまいります。

 

 ③ ERMをベースにしたグループ経営

ERM(Enterprise Risk Management)は、保険会社の経営において重要なリスク・収益(リターン)・資本という3つの経営指標をバランスよく管理していく機能を担っております。

当社グループでは、現中期経営計画の基本戦略を支える基盤の1つとして、ERMを位置づけ、リスク・収益(リターン)・資本のバランスを取った経営資源配分により、企業価値向上に取り組んでおります。

a.ERMの機能と役割

ERMでは、リスクを取って収益を求める際、リスク対比の収益性(ROR※1やVA※2)の高いものや高まる取り方を考え、資本の健全性(ESR※3)を維持しつつ、目標とする資本効率性(グループ修正ROE※4)の達成を図ります。これら3者の関係は下図のようになります。

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※1 ROR(Return on Risk):後述b.(a)参照

※2 VA(Value Added):後述b.(b)参照

※3 ESR(Economic Solvency Ratio):経済価値ベースのソルベンシー・レシオ:後述b.(c)参照

※4 修正ROE(Return on Equity):後述b.(d)参照

 

b.ERMで注視する指標

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※5 統合リスク量:200年に一度の確率で当社グループ全体が被る損失の予想額(時価)

※6 時価純資産:経営のバッファとしての純資産管理を徹底するために使用している指標(修正純資産+保険負債の含み損益+その他負債性資本等)

 

(a) ROR (Return on Risk)とは

リスク量に対して利益(リターン)がどの程度確保されているか(リスク量対比の収益性)を示す指標です。

リスクを引き受けるためには、それに見合う資本の確保が必要になります。したがって、RORが高い(すなわち、引き受けたリスクに対して得られる利益が大きい)事業は、必要な資本に対して、得られる利益がより大きい事業と言えます。

(b) VA (Value Added)とは

リスクを引き受けることによって、どれだけの付加価値が得られるかを示す指標です。資本コストは、資本資産価格モデル(CAPM)により推計しています。

(c) ESR(Economic Solvency Ratio)とは

リスク量に対する資本の充実度を示す指標(=「時価純資産」÷「統合リスク量」)です。リスク量は、事業や資産に係る損失や価値変動のリスクを統計的に数値化したものであり、統合リスク量は当社グループ全体のリスクの総額となります。

(d)修正ROE(Return on Equity)とは

資本に対する利益の割合で、資本の効率性を示す指標です。

 

 ④ ERMとリスク管理

当社グループでは、リスク選好方針に沿って経営計画を策定し、ERMサイクルをベースに、健全性の確保と、収益力と資本効率の向上を図っております。ERMサイクルに沿って、リスクに見合った資本の配賦を行い、引き受けたリスクに対するリターン(ROR)のモニタリングを通じて、リスクコントロールやアンダーライティングの強化等を行っております。

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a.ERMサイクル

ERMは、企画・執行・モニタリングのサイクルを通じて実践しております。

b.ROR向上に向けた取組み

引き受けたリスクに対しどれだけの利益が得られるかを示すRORの推移は、当社グループのリスクポートフォリオの収益力の状況を表しております。当社グループでは、ERMサイクルをベースにRORの向上に取り組んでおります。

c.ストレステストの実施

当社グループは自然災害の発生、資産価値の下落など、様々な事象の発現による影響を分析して、資本の十分性、期間損益への影響、ポートフォリオの脆弱性の確認を行うためにストレステストを実施しております。

また、事象発現時の状況を分析し、資本を毀損する因子の洗い出しを行い、リスク耐性の向上に有効な対策の検討にも活用しております。

 

(2) 当社グループの主要なリスク

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

① グループ重要リスク

グループ各社が洗い出した主要なリスク事象リストに基づき、下表のように発生可能性と影響度を目安として、総合的な判断により、経営が管理すべき重要なリスク事象を「グループ重要リスク」として選定し、グループ重要リスク管理取組計画を策定した上で、リスク対策の実行や各リスクの状況を定期的にモニタリングしております。

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※7 発生可能性:当面(5年以内)の発生可能性。統計的な発生頻度(確率)に加え、統計的手法で捉えきれない切迫度、予兆等を勘案し、総合的に判断。

※8 影響度:「経済的損失」「ブランド力・信用力への影響」等を勘案し、総合的に判断。

 

2024年度は、ロシアのウクライナへの侵攻、イスラエルとハマスの衝突、台湾への関与を含む米国と中国の緊張状態、世界各地での暴動の発生等の地政学的な緊張の高まりが継続しており、保護主義の台頭等によりサプライチェーンや経済面での不安定、安全保障に関するリスクに波及する可能性があります。また、米国大統領選挙をはじめとして各国で選挙が実施されますが、上記の状況と相まって、政治的・社会的な分断が加速する懸念(生成AI等の技術進展に伴った誤報・デマの流布によって助長される可能性を含みます)、さらにはグローバルサウスの台頭に伴って国際的な分極化が進む懸念があります。これらを踏まえ、これまで各グループ重要リスクに包含していたこれらのリスク要素を括り出し、「国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機」としてグループ重要リスクに追加しております。

また、連結子会社である三井住友海上火災保険株式会社及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の企業保険分野における独占禁止法に抵触すると考えられる行為及び同法の趣旨に照らして不適切な行為の発生等を踏まえ、法令違反リスクや、不作為を含むコンダクトリスク等、リスクへの感度をより一層高め、リスクを早期に検知して対応を図るためのリスク管理態勢を強化してまいります(前述(1)②参照)。この一環として、グループ重要リスク「グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生」を「グループ事業に関連する法令等違反行為、重大な労務問題、人権侵害・多様性の排除、データガバナンスの不備等」及び「お客さま等のステークホルダーの視点の欠如・不徹底や社会規範等からの逸脱、当社グループの行動指針・行動基準に反する行為等(コンダクトリスク等)」の2つに分類し、それぞれについて「主な想定シナリオ」を明示することでグループ内の管理強化に繋げてまいります。

さらに、下表のリスクの高まりや変化については、「主な想定シナリオ」に明示することで管理を強化しております。

 

なお、主な想定シナリオの策定においては「気候変動」「インフレーション」「デジタライゼーション」「少子高齢化」に留意しております。

 

主な領域

「主な想定シナリオ」に明示する環境変化

外的変化

社会

・資金決済インフラ(全国銀行データ通信システム等)の停止

経済

・インフレーションへの継続的な注視の必要性

環境

・循環型社会における新たな健康被害や環境被害の発生、グリーンウォッシングに関するリスク認識の高まり

技術

・生成AI等の技術の進展・グローバルな規制環境の変化・社会実装段階でのトラブルの発生、サイバー攻撃の巧妙化や影響範囲の拡大

外的・内的変化

・保険料調整行為等の発生を踏まえた保険市場や販売チャネルの変化の可能性

内的変化

・お客さま・代理店向けシステムにおける障害の複数同時発生

・カスタマーハラスメントに対する組織的対応の必要性

・経済価値ベースの資本規制の導入

 

2024年度グループ重要リスクは下表のとおりであります。

これらのリスクが発現することにより、多額の保険金・給付金の支払、保有資産の価値の低下、競争環境や評判の変化等が生じ、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。当社グループでは、これらのリスクに対して、グループ重要リスク管理取組計画を策定(取締役会で決議)した上で、リスク対策の実行を通じて、リスクの軽減やコントロールを実施しております。

No.

グループ重要リスク

(点線枠内は「主な想定シナリオ」/「留意事項」は主な想定シナリオの策定において留意する事項)

 

大規模自然災害の発生                          (留意事項:気候変動)

 

・気候変動の影響も受けた国内及び海外の大規模な風水災・森林火災・雪雹災・干ばつや地震・噴火等の発生による保険金支払の増加

・大規模自然災害の発生等に伴う出再保険料の高騰や再保険会社の引受キャパシティの減少等により、方針どおりのリスクコントロールが困難になる事態の発生

・大規模自然災害の発生により当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生

金融マーケットの大幅な変動                   (留意事項:インフレーション)

 

・世界的な景気・経済活動の停滞懸念による株式等の保有資産価値の下落

・物価動向を踏まえた各国の金融政策の変更や財政規律の欠如に伴う各国の国債の格下げ等に伴う  金利・為替の変動による資本余力の低下

信用リスクの大幅な増加                         (留意事項:気候変動)

 

・実体経済の悪化や脱炭素社会への移行に向けた規制の強化・対応の遅延等による投融資先企業の業績悪化やデフォルト

・世界経済の減速懸念等に伴う投資家のリスク回避姿勢の強まり等による保有債券等の価値の下落

グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生

(留意事項:デジタライゼーション、気候変動)

 

①グループ事業に関連する法令等違反行為、重大な労務問題、人権侵害・多様性の排除、データガバナンスの不備等

 

・国内関係法令等及び事業を営む海外現地の法令等への違反(不当な取引制限や優越的地位の濫用を含む)、長時間労働・ハラスメント等の重大な労務問題等の発生

・当社グループ又は外部委託先等における人権・知的財産権等の侵害や情報漏えい等の発生

・生成AIの活用推進・規制変更・社会的な認識の変化等に伴う権利侵害・不適切な情報開示・関係当局等が策定するガイドライン等への抵触・評判の低下等の発生

・国際財務報告基準(IFRS)ベースの連結財務諸表の開示や経済価値ベースの資本規制の導入に向けた態勢整備の遅延・不備等による開示情報の重大な誤りの発生

②お客さま等のステークホルダーの視点の欠如・不徹底や社会規範等からの逸脱、当社グループの行動指針・行動基準に反する行為等(コンダクトリスク等) ※不作為によるものを含む

 

・業界慣行等に基づく行動がお客さま等の視点を欠くこと等による当社グループの社会的信用の失墜

・グループ戦略遂行上の組織改編・業務変革・システム開発に伴う業務混乱やそれに起因する苦情の増加

・リモートワーク等に伴う社内コミュニケーション不足等による業務品質や効率の低下

・当社グループにおける気候変動対応等のサステナビリティに関わる開示や課題への対応不備やそれに伴う訴訟等による評判の低下や財務的な負担

サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい   (留意事項:デジタライゼーション)

 

・デジタライゼーションの進展等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大、サイバー攻撃の巧妙化・多様化(技術進展が著しい生成AI等を利用したものを含む)、クラウドの活用やサプライチェーンの拡大に伴うサイバー攻撃による影響範囲の拡大等による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいの発生

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現                        (留意事項:デジタライゼーション)

 

・デジタライゼーションの進展に伴うお客さま・代理店向けシステムにおける障害の複数同時発生、大規模自然災害の発生等に伴うシステム関連施設の罹災、資金決済インフラの停止、宇宙天気現象の影響も懸念される通信衛星・通信回線の不具合・事故等に伴う通信障害によるビジネス・サービスの停滞

・休日や営業時間外に稼働するお客さま・代理店向けシステムの大規模な障害発生によるお客さま等への対応の遅れ

・大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現による経営計画の未達成

新型インフルエンザ等の感染症の大流行                  (留意事項:気候変動)

 

・地球温暖化の影響も受けた新種の感染症の大流行・影響長期化等に伴い当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生

・世界的な感染拡大による保険金・給付金支払の増加や感染症の影響長期化に伴う経済活動の長期停滞等による収益の低下

保険市場の変化   (留意事項:デジタライゼーション、気候変動、少子高齢化、インフレーション)

 

・デジタルプラットフォーマーの台頭、消費者意識の変化、社会的要請への対応等によるビジネスモデル・販売チャネルの大きな変革、運転支援・自動運転技術の進展による自動車事故の減少等による収益構造への影響

・補償・保障前後のサービス拡大に伴うアプリ・システム・IoT機器等の不具合、業務委託先・事業提携先の不正・事務ミスによる風評被害、機器等の供給制約等による販売戦略への影響

・低炭素・脱炭素技術等の気候変動への対応に係る新たな保険引受、循環型社会の進展や化学物質等の健康被害・環境被害等による保険金支払の増加

・少子高齢化の進展・人口減少等に伴う市場規模・構造の変化による事業ポートフォリオへの影響

・外部環境変化(社会的要請の変化、企業等の建物・設備の老朽化、気候変動リスクやサイバーリスクといった国・地域をまたがるリスクの出現を含む)に伴うリスクの高まり・集積やインフレ(ソーシャル・インフレーションを含む)等による保険金・事業費の増加

人財を取り巻く環境の変化             (留意事項:少子高齢化、デジタライゼーション)

 

・人財市場・労働需給等の外的な変化やDX推進等の戦略実行に必要なスキル・専門性の変化等による、経営戦略と人財ポートフォリオのギャップ及びその解消に向けた人財の確保・育成の不足

・自律的なキャリア形成機会・柔軟で多様な働き方・多様性の尊重等に対する社員の意識の変化を的確に捉えた環境整備やハラスメント(カスタマーハラスメントを含む)に対する組織的対応の不足による社員のエンゲージメントの低下や人財の流出

10

国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機

 

・国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化(各国大統領等のグローバルリーダーの交替やグローバルサウスの台頭等に伴うものを含む)等に伴う経済活動の停滞懸念による株式等の保有資産価値の下落

・各国の経済安全保障関連規制の強化等によるサプライチェーンの分断等に伴う実体経済の悪化等による投融資先企業の業績悪化やデフォルト

・当社グループ又は外部委託先等における経済安全保障上の問題等による当社グループの評判の低下

・大国間の対立激化等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大等による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいの発生

・大国間の対立激化や保護主義の台頭等に伴う規制変更や軍事的行動等による特定の国や地域での事業の制限・中断・撤退、戦争危険等を担保する特約等の保険金支払の発生

 

 

 ② グループエマージングリスク

中長期的な視点から当社グループ経営に影響を与える可能性のある事象や、現時点では当社グループ経営への影響の大きさ、発生時期の把握が難しいものの、経営が認識すべき事象を次のとおり「グループエマージングリスク」として特定し、定期的にモニタリングしております。

2024年度は国家内の政治的・経済的・社会的な緊張の高まりを想定していたエマージングリスク「国家統治・政治の大きな混乱・機能不全、安全保障の崩壊」について、大統領選挙を巡る米国内の状況等のリスクの高まりを踏まえ、新設するグループ重要リスク「国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機」に包含(グループ重要リスクに移行)しております。

 

No.

グループエマージングリスク

経済・消費者行動・ビジネスモデルの大きな変化・変革を及ぼす新たな仕組みや革新的な技術の出現・台頭

自然資本の毀損(資源の枯渇、生態系の劣化・危機、環境に甚大な損害を与える人為的な汚染や事故)

当社グループに大きな影響を及ぼす可能性がある国内外の法令・制度・規制等の新設・改廃

社会資本(橋梁・トンネル・河川施設・港湾施設・下水道等)の維持管理・更新の大幅な停滞・遅延、エネルギー等の大幅かつ恒常的な供給不足

 

③ グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理

概要は下図のとおりです。

 

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4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の期首より、国際財務報告基準(IFRS)を適用している在外連結子会社及び在外持分法適用会社においてIFRS第17号「保険契約」を適用しており、前連結会計年度に係る経営成績等は当該会計基準を遡及適用した後の数値となっております。また、連結主要指標における前連結会計年度に係る対前年増減率は記載しておりません。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当期の世界経済は、米国において、雇用者数の増加や個人消費の拡大等を背景に景気は堅調に推移しましたが、欧州では、物価高の影響等により景気に弱さが見られました。また、わが国経済は、原材料価格の高騰等の影響を受けつつも、経済活動の再開による内需の回復等により景気は緩やかに回復しました。

当社グループは、中期経営計画(2022-2025)に基づいて、「リスクソリューションのプラットフォーマーとして、社会と共に成長する」ことを目指し、「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループ」を実現するため、3つの基本戦略「Value(価値の創造)」「Transformation(事業の変革)」「Synergy(グループシナジーの発揮)」に取り組みました。また、三井住友海上火災保険株式会社(以下「三井住友海上」といいます。)とあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下「あいおいニッセイ同和損保」といい、三井住友海上と合わせて「両社」といいます。)において企業保険分野の保険料を調整する行為が確認されたことを受け、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(以下「独占禁止法」といいます。)の遵守等のコンプライアンスの徹底やガバナンスの強化を重要課題と位置付け、全役職員一丸となって取組みを進めました。

当期の業績は、海外事業における収益拡大や政策株式の売却の加速などにより、グループ修正利益は年初予想(3,500億円)を上回り、過去最高益である3,799億円となりました。また、資本効率においては、グループ修正ROEが年初予想(10.0%)を下回りましたが、修正予想である7.5%を上回る9.0%となりました。財務の健全性の観点では、ESRが目標レンジ(180~250%)内の229%となりました。

2024年1月に発生した令和6年能登半島地震につきましては、被災されたお客さまへ早期に安心を提供するため、対策本部や現地立会拠点を設置し多くの社員・鑑定人を動員して集中的に調査に当たるなど、迅速な保険金の支払いに努めました。

 

コンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、企業保険分野における保険料調整行為に関して、2023年12月、金融庁より保険業法に基づく業務改善命令を受け、経営責任の明確化のための役員報酬の減額を含む業務改善計画を策定し金融庁に提出しました。また、両社は、独占禁止法違反の疑いがあるとして、2023年12月、公正取引委員会による立入検査を受けました。

当社は、これらの事態を厳粛に受け止め、社会やお客さまからの信頼を回復すべく、グループの5つのValueである「お客さま第一」「誠実」「チームワーク」「革新」「プロフェッショナリズム」に立ち返って、両社とともにコンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化など再発の防止と経営・業務の改善の取組みをさらに進めてまいります。

 

<主な取組み>

・経営トップメッセージの発信等を通じた、グループのミッション・ビジョン・バリューと「お客さま第一の業務運営」の浸透

・社内で認識された重要な情報や疑問が経営・本社部門に迅速に伝わる仕組みの構築

・同業他社に対するメールのモニタリングなど3線管理(注1)の第1線に当たる営業部門への注意喚起

・リスクの予兆検知や第1線のコンプライアンスに関する実態の把握など第2線の機能強化

・経営に提言する態勢の構築などを通じた内部監査部門の機能強化

・独占禁止法を踏まえた社員の行動ルールの明確化やマニュアルの整備

・お客さま第一の業務運営を通じて収益性を確保する考え方に則った、営業部門の評価基準の見直し

・両社における各取組みの着実な遂行に対する適切な監督・指導

(注1)3線管理

3ラインディフェンスともいい、第1線(現業部門)、第2線(管理部門)、第3線(内部監査部門)にそれぞれの役割に応じたリスク管理を担わせ、これら3つのラインが一体となって内部統制を実行していく考え方。

 

中期経営計画(2022-2025)3つの基本戦略の取組み

Value

(価値の創造)

「CSV×DX(注2)」のグローバル展開により、すべてのステークホルダーに価値を提供し、企業価値を向上させること、ビジネス・商品・サービスの収益性を高め、収益基盤を強化することを目指し、以下の取組みを行いました。

(取組内容)

・補償・保障前後の商品・サービスの開発を進めるとともに、それを支えるグループデータ連携基盤を開発し活用を開始

・自然災害の甚大化・頻発化やインフレ継続、大口の保険事故の増加を受けた商品改定(保険料率の適正化を含む)やアンダーライティング(注3)強化等、国内損害保険事業の収支改善策を推進

Transformation

(事業の変革)

新たなビジネスの創造等により、事業の構造を変革し事業環境の変化に適応すること、事業・商品・リスクポートフォリオを変革し、安定的な収益基盤を構築することを目指し、以下の取組みを行いました。

(取組内容)

・MS Transverse(注4)を通じた米国のMGA(注5)市場の捕捉、MS Amlinの収益力の回復・拡大、トヨタリテール事業の収益改善

・火災保険の収支改善(黒字化)と新種保険の収益拡大(新たなリスクに対応した商品の拡販)により、自動車保険中心のポートフォリオから、利益の源泉が分散されたポートフォリオへの変革

Synergy

(グループシナジーの発揮)

1プラットフォーム戦略(注6)による業務品質と生産性の向上、グループの多様性を活かした連携強化による一層の成長の実現、グローバルベースでのシナジー発揮を目指し、以下の取組みを行いました。

(取組内容)

・グループ会社の間で本社機能の一体運営、共通業務に係る一体的な外部委託の拡大、支店等の拠点の同居などを推進

・損保の販売チャネルを通じた生命保険の販売や、三井住友海上プライマリー生命の商品の三井住友海上あいおい生命における提携販売を推進

・海外拠点との間でそれぞれが持つ商品・サービスや様々な知見を双方向で共有し活用する「TENKAIプロジェクト」を推進

(注2)CSV×DX

社会との共通価値の創造(Creating Shared Value)に、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)を掛け合わせることによって、生産性と競争力の向上を図り、持続的成長と企業価値向上を実現するための取組み。

(注3)アンダーライティング

保険の契約を引き受ける際、引受けの可否を判断することや引受条件を決めること。

(注4)MS Transverse

MS Transverse Insurance Group, LLC。

(注5)MGA

保険会社から権限を付与され、保険募集に加えて引受けや損害額認定・査定の業務などの幅広い業務を担う代理店(Managing General Agent)

(注6)1プラットフォーム戦略

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保のミドル・バック部門を中心に、グループで戦略的に差異を残すものを除き、共通化・共同化・一体化を進める取組み。

 

 

このような中、当連結会計年度の経営成績は次のとおりとなりました。

経常収益は、保険引受収益が5兆1,070億円、資産運用収益が1兆4,177億円、その他経常収益が481億円となった結果、6兆5,728億円となりました。一方、経常費用は、保険引受費用が5兆1,073億円、資産運用費用が2,155億円、営業費及び一般管理費が7,979億円、その他経常費用が355億円となった結果、6兆1,564億円となりました。

以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ1,241億円増加し、4,164億円となりました。経常利益に特別損益、法人税及び住民税等などを加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,582億円増加し、3,692億円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

イ  国内損害保険事業(三井住友海上火災保険株式会社)

経常収益は、保険引受収益が1兆7,991億円、資産運用収益が2,524億円、その他経常収益が64億円となった結果、2兆580億円となりました。一方、経常費用は、保険引受費用が1兆5,502億円、資産運用費用が387億円、営業費及び一般管理費が2,488億円、その他経常費用が58億円となった結果、1兆8,437億円となりました。

以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ730億円増加し、2,143億円となりました。経常利益に特別損益、法人税及び住民税などを加減した当期純利益は、前事業年度に比べ598億円増加し、1,677億円となりました。

ロ  国内損害保険事業(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社)

経常収益は、保険引受収益が1兆4,766億円、資産運用収益が1,758億円、その他経常収益が77億円となった結果、1兆6,602億円となりました。一方、経常費用は、保険引受費用が1兆3,321億円、資産運用費用が552億円、営業費及び一般管理費が1,915億円、その他経常費用が22億円となった結果、1兆5,811億円となりました。

以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ123億円増加し、790億円となりました。経常利益に特別損益、法人税及び住民税などを加減した当期純利益は、前事業年度に比べ128億円増加し、560億円となりました。

ハ  国内損害保険事業(三井ダイレクト損害保険株式会社)

経常収益は、保険引受収益が356億円となったことなどにより、358億円となり、経常費用は、保険引受費用が252億円、営業費及び一般管理費が126億円となったことなどにより、378億円となりました。

これらにより、経常損益は前事業年度に比べ14億円減少し、20億円の損失となりました。経常損益に特別損益、法人税及び住民税などを加減した当期純損益は、前事業年度に比べ24億円減少し、15億円の損失となりました。

ニ  国内生命保険事業(三井住友海上あいおい生命保険株式会社)

経常収益は、保険料等収入が4,751億円、資産運用収益が675億円、その他経常収益が38億円となった結果、5,464億円となりました。一方、経常費用は、保険金等支払金が2,756億円、責任準備金等繰入額が1,177億円、資産運用費用が69億円、事業費が765億円、その他経常費用が205億円となった結果、4,973億円となりました。

以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ212億円増加し、491億円となりました。経常利益に特別損益、法人税及び住民税などを加減した当期純利益は、前事業年度に比べ154億円増加し、281億円となりました。

ホ  国内生命保険事業(三井住友海上プライマリー生命保険株式会社)

経常収益は、保険料等収入が1兆5,668億円、資産運用収益が7,633億円、その他経常収益が46億円となった結果、2兆3,348億円となりました。一方、経常費用は、保険金等支払金が1兆5,255億円、責任準備金等繰入額が7,184億円、資産運用費用が324億円、事業費が701億円、その他経常費用が151億円となった結果、2兆3,617億円となりました。

以上の結果、経常損益は前事業年度に比べ579億円減少し、269億円の損失となりました。経常損益に特別損益、法人税及び住民税などを加減した当期純利益は、前事業年度と同水準の196億円となりました。

ヘ  海外事業(海外保険子会社)

海外保険子会社セグメントについては、正味収入保険料は前連結会計年度に比べ3,007億円増加し、1兆2,336億円となりました。

経常利益は、前連結会計年度に比べ860億円増加し、1,570億円となり、出資持分考慮後の当期純利益(セグメント利益)は、前連結会計年度に比べ872億円増加し、1,538億円となりました。

 

当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。

 

総資産は前連結会計年度末に比べ2兆6,102億円増加し、26兆9,602億円となりました。

当社の連結ソルベンシー・マージン比率は、前連結会計年度末に比べ5.9ポイント低下し、771.8%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ3,553億円増加し、5,494億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ7,577億円減少し、△2,768億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ829億円増加し、△2,315億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より873億円増加し、2兆7,337億円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

保険持株会社としての業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、本項に記載した予想、予測、見込み、見通し、方針、予定等の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には不確実性が内在しており、将来生じる実際の結果とは大きく異なる可能性があります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。

 

[連結主要指標]

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

比較増減

増減率

正味収入保険料 (百万円)

3,933,235

4,261,736

328,500

8.4%

生命保険料   (百万円)

458,430

735,249

276,819

60.4%

経常利益    (百万円)

292,262

416,440

124,177

42.5%

親会社株主に帰属する当期純利益      (百万円)

211,006

369,266

158,260

75.0%

 

正味収入保険料は、国内損害保険事業において火災保険や自動車損害賠償責任保険で減収したものの、海外事業において欧州をはじめアジアや米州でも増収したことや為替影響もあり、前連結会計年度に比べ3,285億円増加し、4兆2,617億円となりました。

生命保険料は、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社などで増収となり、前連結会計年度に比べ2,768億円増加し、7,352億円となりました。

経常利益は、国内損害保険事業や海外事業が増益となったことにより、前連結会計年度に比べ1,241億円増加し、4,164億円となりました。

経常利益に特別損益、法人税及び住民税等などを加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ1,582億円増加し、3,692億円となりました。

 

 

0102010_022.png

 

保険種目別の保険料・保険金は次のとおりであります。

 

a 元受正味保険料(含む収入積立保険料)

区分

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

火災

923,201

22.0

1,003,286

22.2

8.7

海上

257,973

6.1

267,731

5.9

3.8

傷害

296,275

7.1

303,471

6.7

2.4

自動車

1,672,549

39.9

1,741,903

38.6

4.1

自動車損害賠償責任

279,102

6.7

245,448

5.5

△12.1

その他

762,069

18.2

949,757

21.1

24.6

合計

4,191,172

100.0

4,511,598

100.0

7.6

(うち収入積立保険料)

(41,359)

(1.0)

(-)

(31,658)

(0.7)

(△23.5)

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。

2 元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものであります。(積立型保険の積立保険料を含む。)

 

b 正味収入保険料

区分

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

火災

725,597

18.4

785,976

18.4

8.3

海上

199,745

5.1

207,868

4.9

4.1

傷害

247,603

6.3

259,781

6.1

4.9

自動車

1,727,462

43.9

1,813,439

42.6

5.0

自動車損害賠償責任

275,732

7.0

255,550

6.0

△7.3

その他

757,093

19.3

939,120

22.0

24.0

合計

3,933,235

100.0

4,261,736

100.0

8.4

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。

 

c 正味支払保険金

区分

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

火災

511,720

22.8

448,816

19.6

△12.3

海上

85,584

3.8

92,540

4.0

8.1

傷害

154,734

6.9

131,858

5.8

△14.8

自動車

952,042

42.5

1,033,472

45.1

8.6

自動車損害賠償責任

183,660

8.2

192,389

8.4

4.8

その他

354,758

15.8

392,104

17.1

10.5

合計

2,242,501

100.0

2,291,182

100.0

2.2

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

イ 国内損害保険事業(三井住友海上火災保険株式会社)

ロ 国内損害保険事業(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社)

三井住友海上火災保険株式会社では、フリート契約(注1)のお客さまが各ドライバーのアルコールチェックの結果や走行データをまとめて記録・管理する業務を支援する「F-ドラアルチェキプラン」の提供を開始しました。また、大規模な自然災害等お客さまからの事故連絡が集中した場合においてもその受付けなどのお客さま対応を迅速に行えるよう、一定の事故の連絡についてAI音声が自動的に応答するサービスを開始しました。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社では、安全運転の度合いを保険料に反映するテレマティクス自動車保険について、専用の車載機器を導入しなくてもスマートフォン上のカーナビアプリを通じて利用でき、より利便性の高い「タフ・見守るクルマの保険NexT」の販売を開始しました。また、自動車の修理費に関する不正請求を検知するため、修理費の水準など請求の傾向を修理工場ごとに把握しAIを活用して分析するシステムを開発しました。

さらに、両社共同で交通事故の発生箇所、道路構造、人流などのデータを組み合わせ、AIを活用して事故発生リスクを評価・可視化するサービス「事故発生リスクAIアセスメント」について、全国の自治体や企業への販売を開始しました。

 

(注1)フリート契約

10台以上の自動車について保険に加入しているお客さまとの契約。

 

三井住友海上火災保険株式会社の経営成績は次のとおりとなりました。

 

[三井住友海上火災保険株式会社(単体)の主要指標]

 

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

比較増減

増減率

正味収入保険料 (百万円)

1,629,832

1,623,307

△6,525

△0.4%

正味損害率    (%)

64.3

65.6

1.3

正味事業費率   (%)

32.5

32.7

0.2

保険引受利益又は保険引受損失(△)    (百万円)

△15,937

20,709

36,646

経常利益    (百万円)

141,224

214,319

73,094

51.8%

当期純利益   (百万円)

107,899

167,777

59,878

55.5%

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 正味損害率=(正味支払保険金+損害調査費)÷正味収入保険料

3 正味事業費率=(諸手数料及び集金費+保険引受に係る営業費及び一般管理費)÷正味収入保険料

 

保険引受の概況は次のとおりであります。

正味収入保険料は、火災保険や自動車損害賠償責任保険で減収したことなどにより前事業年度に比べ65億円減少し、1兆6,233億円となりました。一方、正味支払保険金は、自動車保険で増加したことなどにより前事業年度に比べ55億円増加し、9,501億円となりました。以上により、正味損害率は65.6%と、前事業年度に比べ1.3ポイント上昇しました。また、保険引受に係る営業費及び一般管理費が増加したことなどにより、正味事業費率は32.7%と、前事業年度に比べ0.2ポイント上昇しました。

 

これらに収入積立保険料、満期返戻金、支払備金繰入額、責任準備金戻入額などを加減した保険引受利益は、責任準備金戻入額が増加したことなどにより、前事業年度に比べ366億円増加し、207億円となりました。

 

資産運用の概況は次のとおりであります。

利息及び配当金収入が前事業年度に比べ197億円増加し1,547億円となったことなどから、積立型保険の満期返戻金などに充当する運用益を控除した残額の資産運用収益は、前事業年度に比べ263億円増加し、2,524億円となりました。一方、資産運用費用は、有価証券売却損が115億円減少したことなどにより前事業年度に比べ133億円減少し、387億円となりました。

 

これらの結果、経常利益は前事業年度に比べ730億円増加し、2,143億円となりました。当期純利益は、前事業年度に比べ598億円増加し、1,677億円となりました。

 

保険種目別の保険料・保険金は次のとおりであります。

 

a 元受正味保険料(含む収入積立保険料)

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

火災

377,269

20.1

8.4

367,272

19.6

△2.6

海上

108,808

5.8

20.1

109,858

5.9

1.0

傷害

195,908

10.4

2.2

195,713

10.5

△0.1

自動車

695,445

37.0

△0.1

703,894

37.6

1.2

自動車損害賠償責任

132,470

7.1

△0.2

116,361

6.2

△12.2

その他

368,989

19.6

2.6

377,812

20.2

2.4

合計

1,878,892

100.0

3.3

1,870,912

100.0

△0.4

(うち収入積立保険料)

(31,397)

(1.7)

(△17.9)

(23,364)

(1.2)

(△25.6)

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものであります。(積立型保険の積立保険料を含む。)

 

 

b 正味収入保険料

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

火災

266,048

16.3

12.4

250,590

15.5

△5.8

海上

76,070

4.7

22.0

73,466

4.5

△3.4

傷害

151,856

9.3

2.1

158,616

9.8

4.5

自動車

688,505

42.3

△0.0

698,382

43.0

1.4

自動車損害賠償責任

142,102

8.7

△2.3

130,287

8.0

△8.3

その他

305,248

18.7

2.6

311,963

19.2

2.2

合計

1,629,832

100.0

3.2

1,623,307

100.0

△0.4

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

c 正味支払保険金

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額

(百万円)

対前年増減(△)率 (%)

正味損害率(%)

金額

(百万円)

対前年増減(△)率 (%)

正味損害率(%)

火災

199,385

38.9

77.3

173,502

△13.0

72.1

海上

34,996

10.2

48.3

39,263

12.2

56.2

傷害

82,614

21.9

59.4

79,551

△3.7

55.6

自動車

367,488

13.0

63.5

393,128

7.0

67.2

自動車損害賠償責任

99,530

△7.3

78.3

103,916

4.4

89.4

その他

160,556

3.0

54.8

160,799

0.2

54.2

合計

944,572

13.6

64.3

950,161

0.6

65.6

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 正味損害率は正味支払保険金に損害調査費を加えて算出しております。

 

運用資産、有価証券及び利回りの状況は次のとおりであります。

 

a 運用資産

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

預貯金

621,810

8.9

569,605

7.2

買入金銭債権

3,091

0.0

2,121

0.0

金銭の信託

494

0.0

570

0.0

有価証券

5,288,584

75.5

6,266,431

79.7

貸付金

403,552

5.8

390,765

5.0

土地・建物

186,854

2.7

178,120

2.3

運用資産計

6,504,387

92.9

7,407,614

94.2

総資産

7,000,023

100.0

7,864,388

100.0

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

b 有価証券

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国債

605,721

11.4

573,288

9.2

地方債

77,611

1.5

75,469

1.2

社債

534,191

10.1

526,310

8.4

株式

1,785,604

33.8

2,600,340

41.5

外国証券

2,166,296

41.0

2,332,051

37.2

その他の証券

119,158

2.2

158,970

2.5

合計

5,288,584

100.0

6,266,431

100.0

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

 

c 利回り

運用資産利回り(インカム利回り)

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

収入金額

(百万円)

平均運用額

(百万円)

年利回り

(%)

収入金額

(百万円)

平均運用額

(百万円)

年利回り

(%)

預貯金

1,125

675,340

0.17

2,787

633,038

0.44

買入金銭債権

86

5,524

1.57

61

5,348

1.15

金銭の信託

8

378

2.22

12

462

2.66

有価証券

125,062

3,984,016

3.14

143,033

3,908,056

3.66

貸付金

2,382

403,809

0.59

2,808

396,874

0.71

土地・建物

6,260

192,834

3.25

5,848

187,228

3.12

小計

134,926

5,261,903

2.56

154,551

5,131,009

3.01

その他

76

226

合計

135,003

154,777

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 収入金額は、「利息及び配当金収入」に、「金銭の信託運用益」のうち利息及び配当金収入相当額を含めた金額であります。

3 平均運用額は原則として各月末残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。ただし、買現先勘定及び買入金銭債権については日々の残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。

 

  資産運用利回り(実現利回り)

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

資産運用損益

(実現ベース)

(百万円)

平均運用額

(取得原価

ベース)

(百万円)

年利回り

(%)

資産運用損益

(実現ベース)

(百万円)

平均運用額

(取得原価

ベース)

(百万円)

年利回り

(%)

預貯金

4,495

675,340

0.67

11,969

633,038

1.89

買入金銭債権

86

5,524

1.57

61

5,348

1.15

金銭の信託

20

378

5.41

76

462

16.57

有価証券

188,384

3,984,016

4.73

213,668

3,908,056

5.47

貸付金

2,363

403,809

0.59

3,580

396,874

0.90

土地・建物

6,260

192,834

3.25

5,848

187,228

3.12

金融派生商品

△2,294

4,012

その他

219

△176

合計

199,536

5,261,903

3.79

239,039

5,131,009

4.66

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 資産運用損益(実現ベース)は、「資産運用収益」及び「積立保険料等運用益」の合計額から「資産運用費用」を控除した金額であります。

3 平均運用額(取得原価ベース)は原則として各月末残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。ただし、買現先勘定及び買入金銭債権については日々の残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。

 

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の経営成績は次のとおりとなりました。

 

[あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(単体)の主要指標]

 

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

比較増減

増減率

正味収入保険料 (百万円)

1,335,557

1,368,988

33,431

2.5%

正味損害率    (%)

66.6

66.4

△0.2

正味事業費率   (%)

34.6

34.2

△0.4

保険引受利益又は保険引受

損失(△)  (百万円)

679

△33,195

△33,874

△4,982.1%

経常利益    (百万円)

66,757

79,064

12,307

18.4%

当期純利益   (百万円)

43,195

56,081

12,886

29.8%

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 正味損害率=(正味支払保険金+損害調査費)÷正味収入保険料

3 正味事業費率=(諸手数料及び集金費+保険引受に係る営業費及び一般管理費)÷正味収入保険料

 

 

保険引受の概況は次のとおりであります。

正味収入保険料は、火災保険で減収したものの、自動車保険で増収したことなどにより前事業年度に比べ334億円増加し、1兆3,689億円となりました。一方、正味支払保険金は、火災保険で減少したものの、自動車保険で増加したことなどにより前事業年度に比べ175億円増加し、8,268億円となりました。以上により、正味損害率は66.4%と、前事業年度に比べ0.2ポイント低下しました。また、正味収入保険料が増加したことなどにより、正味事業費率は34.2%と、前事業年度に比べ0.4ポイント低下しました。

これらに収入積立保険料、満期返戻金、支払備金繰入額、責任準備金戻入額などを加減した保険引受損益は、自動車事故による発生保険金(正味支払保険金と支払備金繰入額の合計)が増加したことなどにより、前事業年度に比べ338億円減少し、331億円の損失となりました。

 

資産運用の概況は次のとおりであります。

利息及び配当金収入が前事業年度に比べ100億円増加し736億円となり、また、有価証券売却益が前事業年度に比べ643億円増加し1,143億円となったことなどから、積立型保険の満期返戻金などに充当する運用益を控除した残額の資産運用収益は、前事業年度に比べ753億円増加し、1,758億円となりました。一方、資産運用費用は、有価証券売却損が増加したことなどにより前事業年度に比べ280億円増加し、552億円となりました。

 

これらの結果、経常利益は前事業年度に比べ123億円増加し、790億円となりました。当期純利益は前事業年度に比べ128億円増加し、560億円となりました。

 

保険種目別の保険料・保険金は次のとおりであります。

 

a 元受正味保険料(含む収入積立保険料)

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

火災

289,953

20.8

11.0

269,934

19.7

△6.9

海上

傷害

77,048

5.5

△1.2

75,235

5.5

△2.4

自動車

710,812

50.9

0.4

719,197

52.5

1.2

自動車損害賠償責任

146,631

10.5

2.3

129,087

9.4

△12.0

その他

170,941

12.3

1.6

177,129

12.9

3.6

合計

1,395,388

100.0

2.7

1,370,583

100.0

△1.8

(うち収入積立保険料)

(9,962)

(0.7)

(△28.6)

(8,293)

(0.6)

(△16.8)

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものであります。(積立型保険の積立保険料を含む。)

 

b 正味収入保険料

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

対前年増減(△)率 (%)

火災

224,684

16.8

12.6

207,372

15.2

△7.7

海上

7,847

0.6

15.2

5,147

0.4

△34.4

傷害

60,615

4.5

2.0

60,725

4.4

0.2

自動車

765,208

57.3

2.3

812,260

59.3

6.1

自動車損害賠償責任

133,306

10.0

△1.6

124,982

9.1

△6.2

その他

143,895

10.8

1.4

158,499

11.6

10.1

合計

1,335,557

100.0

3.4

1,368,988

100.0

2.5

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

 

c 正味支払保険金

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額

(百万円)

対前年増減(△)率 (%)

正味損害率(%)

金額

(百万円)

対前年増減(△)率 (%)

正味損害率(%)

火災

178,407

27.4

83.4

160,804

△9.9

81.4

海上

6,852

78.2

87.8

4,757

△30.6

93.2

傷害

31,118

18.1

56.8

29,992

△3.6

55.1

自動車

417,598

15.7

61.6

459,047

9.9

63.4

自動車損害賠償責任

83,775

△6.6

69.6

88,109

5.2

78.0

その他

91,562

24.7

67.3

84,110

△8.1

56.3

合計

809,314

16.6

66.6

826,822

2.2

66.4

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 正味損害率は正味支払保険金に損害調査費を加えて算出しております。

 

運用資産、有価証券及び利回りの状況は次のとおりであります。

 

a 運用資産

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

預貯金

232,701

6.2

277,424

6.7

金銭の信託

3,050

0.1

3,419

0.1

有価証券

2,536,311

67.9

2,873,118

69.9

貸付金

260,537

7.0

269,267

6.6

土地・建物

165,225

4.4

161,332

3.9

運用資産計

3,197,827

85.6

3,584,561

87.2

総資産

3,733,689

100.0

4,111,688

100.0

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

 

b 有価証券

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国債

407,935

16.1

378,531

13.2

地方債

23,768

0.9

12,549

0.4

社債

254,975

10.1

220,379

7.7

株式

863,841

34.1

1,091,267

38.0

外国証券

885,682

34.9

1,059,859

36.9

その他の証券

100,107

3.9

110,531

3.8

合計

2,536,311

100.0

2,873,118

100.0

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

 

c 利回り

運用資産利回り(インカム利回り)

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

収入金額

(百万円)

平均運用額

(百万円)

年利回り

(%)

収入金額

(百万円)

平均運用額

(百万円)

年利回り

(%)

預貯金

93

212,080

0.04

221

288,486

0.08

金銭の信託

0

2,535

0.00

0

2,535

0.00

有価証券

56,127

2,030,208

2.76

64,458

1,959,359

3.29

貸付金

2,393

251,897

0.95

3,157

273,353

1.16

土地・建物

4,477

167,405

2.67

4,672

165,642

2.82

小計

63,091

2,664,126

2.37

72,510

2,689,377

2.70

その他

545

1,132

合計

63,636

73,643

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 収入金額は、「利息及び配当金収入」に、「金銭の信託運用益」のうち利息及び配当金収入相当額を含めた金額であります。

3 平均運用額は原則として各月末残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。

 

資産運用利回り(実現利回り)

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

資産運用損益

(実現ベース)

(百万円)

平均運用額

(取得原価

ベース)

(百万円)

年利回り

(%)

資産運用損益

(実現ベース)

(百万円)

平均運用額

(取得原価

ベース)

(百万円)

年利回り

(%)

預貯金

614

212,080

0.29

1,833

288,486

0.64

金銭の信託

0

2,535

0.00

0

2,535

0.00

有価証券

89,859

2,030,208

4.43

144,155

1,959,359

7.36

貸付金

2,396

251,897

0.95

3,160

273,353

1.16

土地・建物

4,477

167,405

2.67

4,672

165,642

2.82

金融派生商品

△10,786

△19,947

その他

742

1,522

合計

87,304

2,664,126

3.28

135,396

2,689,377

5.03

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 資産運用損益(実現ベース)は、「資産運用収益」及び「積立保険料等運用益」の合計額から「資産運用費用」を控除した金額であります。

3 平均運用額(取得原価ベース)は原則として各月末残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。

 

ハ 国内損害保険事業(三井ダイレクト損害保険株式会社)

三井ダイレクト損害保険株式会社では、「強くてやさしい」ブランドを具現化すべく、データを活用してお客さまとの連絡を最適なタイミングで行い、一人ひとりのお困りごとやご不安を丁寧に解消するサービスを開始しました。また、「人とデジタルのベストミックス」によってお客さまに最適なサポートを行う「あなたのコンシェルジュ」サービスを提供しました。

 

三井ダイレクト損害保険株式会社の経営成績は次のとおりとなりました。

 

正味収入保険料は前事業年度に比べ6億円増加し、352億円となりました。一方、正味支払保険金は前事業年度に比べ8億円増加し、214億円となりました。正味損害率は68.6%と、前事業年度に比べ1.1ポイント上昇しました。

また、諸手数料及び集金費並びに保険引受に係る営業費及び一般管理費は前事業年度並みの130億円となりました。正味事業費率は37.1%と、前事業年度に比べ0.8ポイント低下しました。

保険引受損益は前事業年度に比べ17億円減少し、21億円の損失となりました。当期純損益は前事業年度に比べ24億円減少し、15億円の損失となりました。

(注) 正味損害率=(正味支払保険金+損害調査費)÷正味収入保険料

 正味事業費率=(諸手数料及び集金費+保険引受に係る営業費及び一般管理費)÷正味収入保険料

 

ニ 国内生命保険事業(三井住友海上あいおい生命保険株式会社)

三井住友海上あいおい生命保険株式会社では、健康に不安のあるお客さまも加入しやすく、保障内容も充実した「&LIFE 医療保険Aセレクト(引受緩和型)」や介護・認知症への備えに対するお客さまのニーズに合わせて保障範囲や給付金の受取方法を選べる介護保険「&LIFE 介護保険Cセレクト」を発売し、商品を拡充しました。サービスについても、お客さまの健康をトータルでサポートするヘルスケアサービス「MSAケア」について、保険契約者自身に加えて、保険契約者が法人や団体である場合にはその従業員や構成員にも利用いただけるよう対象者の範囲を拡大したほか、生活習慣病の予防・改善につながるサービスや介護・認知症に関連するサービスを追加して内容を拡充するなど、保障と保障前後のサービスを一体で提供する取組みを進めました。

 

三井住友海上あいおい生命保険株式会社の経営成績は次のとおりとなりました。

 

保険料等収入は、個人保険の保険料が減少したことなどにより前事業年度に比べ139億円減少し、4,751億円となりました。

経常利益は、新型コロナウイルス感染症による給付金支払いが減少したことにより前事業年度に比べ212億円増加し、491億円となりました。当期純利益は前事業年度に比べ154億円増加し、281億円となりました。

 

保有契約高、新契約高及び保有契約年換算保険料の状況は次のとおりであります。

 

a 保有契約高

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額 (億円)

対前年増減(△)率(%)

金額 (億円)

対前年増減(△)率(%)

(1) 個人保険

226,521

△2.5

218,930

△3.4

(2) 個人年金保険

5,977

△3.6

5,724

△4.2

(3) 団体保険

98,467

2.4

96,076

△2.4

(4) 団体年金保険

2

△9.1

2

8.2

 

個人合計((1)+(2))

232,499

△2.5

224,655

△3.4

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 個人年金保険については、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金を合計したものであります。

3 団体年金保険については、責任準備金の金額であります。

 

b 新契約高

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

新契約+転換

による純増加

(億円)

新契約

(億円)

転換によ

る純増加

(億円)

新契約+転換

による純増加

(億円)

対前年増減 (△)率

(%)

新契約

(億円)

転換によ

る純増加

(億円)

(1) 個人保険

14,534

14,534

12,906

△11.2

12,906

(2) 個人年金保険

32

32

21

△32.8

21

(3) 団体保険

687

687

1,803

162.5

1,803

(4) 団体年金保険

 

個人合計

((1)+(2))

14,566

14,566

12,928

△11.2

12,928

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 新契約の個人年金保険の金額は年金支払開始時における年金原資であります。

 

c 保有契約年換算保険料

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額(億円)

対前年増減(△)率

(%)

金額(億円)

対前年増減(△)率

(%)

個人保険

4,035

△0.6

4,001

△0.8

個人年金保険

369

△2.9

354

△4.3

合計

4,405

△0.8

4,356

△1.1

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額(一時払契約等は、保険料を保険期間で除した金額)であります。

 

個人保険・個人年金保険を合計した新契約高は、収入保障保険の減少などにより前事業年度に比べ1,638億円減少し、1兆2,928億円となりました。一方、個人保険・個人年金保険を合計した解約失効契約高は前事業年度に比べ471億円増加し、1兆4,777億円となりました。これらの結果、個人保険・個人年金保険を合計した保有契約高は前事業年度末に比べ3.4%減少し、22兆4,655億円となりました。

保有契約年換算保険料は前事業年度末に比べ48億円減少し、4,356億円となりました。

 

運用資産、有価証券及び利回りの状況は次のとおりであります。

 

a 運用資産

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

預貯金

416,761

8.3

234,479

4.5

有価証券

4,422,873

88.3

4,749,619

92.1

貸付金

60,780

1.2

62,341

1.2

土地・建物

304

0.0

255

0.0

運用資産計

4,900,718

97.8

5,046,695

97.8

総資産

5,009,178

100.0

5,160,831

100.0

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

 

b 有価証券

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国債

3,279,976

74.2

3,376,278

71.1

地方債

102,572

2.3

88,361

1.9

社債

636,994

14.4

628,348

13.2

株式

823

0.0

1,039

0.0

外国証券

341,199

7.7

578,089

12.2

その他の証券

61,306

1.4

77,501

1.6

合計

4,422,873

100.0

4,749,619

100.0

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

 

c 利回り

運用資産利回り(インカム利回り)

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

収入金額

(百万円)

平均運用額

(百万円)

年利回り

(%)

収入金額

(百万円)

平均運用額

(百万円)

年利回り

(%)

預貯金

0

380,444

0.00

0

512,099

0.00

有価証券

52,246

4,595,862

1.14

56,677

4,634,828

1.22

貸付金

1,664

59,740

2.79

1,700

61,380

2.77

土地・建物

358

311

小計

53,911

5,036,406

1.07

58,377

5,208,620

1.12

その他

436

512

合計

54,347

58,890

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 収入金額は、「利息及び配当金収入」であります。

3 平均運用額は日々の残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。

 

資産運用利回り(実現利回り)

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

資産運用損益

(実現ベース)

(百万円)

平均運用額

(取得原価

ベース)

(百万円)

年利回り

(%)

資産運用損益

(実現ベース)

(百万円)

平均運用額

(取得原価

ベース)

(百万円)

年利回り

(%)

預貯金

△0

380,444

△0.00

0

512,099

0.00

有価証券

55,469

4,595,862

1.21

64,651

4,634,828

1.39

貸付金

1,664

59,740

2.79

1,700

61,380

2.77

土地・建物

358

311

金融派生商品

△2,718

△6,180

その他

366

437

合計

54,782

5,036,406

1.09

60,608

5,208,620

1.16

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 資産運用損益(実現ベース)は、「資産運用収益」から「資産運用費用」を控除した金額であります。

3 平均運用額(取得原価ベース)は日々の残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。

 

ホ 国内生命保険事業(三井住友海上プライマリー生命保険株式会社)

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社では、運用成績に応じて上昇した年金額がその後の運用状況によって下がることがない年金保険や、死亡・高度障害状態に備えながら資産形成を行うことができる変額保険、資産形成を気軽に始めたいというニーズに応えるスマートフォン完結型の変額年金保険の販売を開始しました。また、外貨建て保険や変額年金保険などのリスク性金融商品を販売した後のお客さまへのアフターフォローを支援するため、金融機関代理店向けの研修コンテンツを開発するなど、お客さま第一の業務運営を実践する取組みも行いました。

 

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社の経営成績は次のとおりとなりました。

 

保険料等収入は、マーケット環境の改善に加え、営業・研修活動の積極展開により前事業年度に比べ2,169億円増加し、1兆5,668億円となりました。

経常損益は、保有契約の増加等による利息及び配当金等収入の増加はあったものの、外貨建保険に係る責任準備金繰入負担の増加などにより前事業年度に比べ579億円減少し、269億円の損失となりました。

特別損益は、価格変動準備金の戻入により前事業年度に比べ582億円増加し、540億円の利益となりました。当期純利益は前事業年度と同水準の196億円となりました。

 

保有契約高、新契約高及び保有契約年換算保険料の状況は次のとおりであります。

 

a 保有契約高

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額 (億円)

対前年増減(△)率(%)

金額 (億円)

対前年増減(△)率(%)

(1) 個人保険

46,553

1.5

52,671

13.1

(2) 個人年金保険

22,768

2.7

26,386

15.9

(3) 団体保険

(4) 団体年金保険

 

個人合計((1)+(2))

69,322

1.9

79,057

14.0

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 個人年金保険については、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資(ただし、個人変額年金保険については保険料積立金)と年金支払開始後契約の責任準備金を合計したものであります。

 

b 新契約高

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

新契約+転換

による純増加

(億円)

新契約

(億円)

転換による純増加

(億円)

新契約+転換

による純増加

(億円)

対前年増減 (△)率

(%)

新契約

(億円)

転換による純増加

(億円)

(1) 個人保険

9,256

9,256

10,399

12.4

10,399

(2) 個人年金保険

3,542

3,542

3,970

12.1

3,970

(3) 団体保険

(4) 団体年金保険

 

個人合計

((1)+(2))

12,798

12,798

14,370

12.3

14,370

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 新契約の個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資(ただし、個人変額年金保険については契約時の保険料積立金)であります。

 

c 保有契約年換算保険料

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額(億円)

対前年増減(△)率

(%)

金額(億円)

対前年増減(△)率

(%)

個人保険

4,632

8.1

5,274

13.9

個人年金保険

2,618

5.8

2,882

10.1

合計

7,250

7.3

8,156

12.5

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額(一時払契約等は、保険料を保険期間で除した金額)であります。

 

個人保険・個人年金保険を合計した新契約高は前事業年度に比べ1,572億円増加し、1兆4,370億円となりました。一方、個人保険・個人年金保険を合計した解約失効契約高は前事業年度に比べ1,999億円減少し、5,828億円となりました。個人保険・個人年金保険を合計した保有契約高は、新契約高の増加や為替影響により前事業年度末に比べ14.0%増加し、7兆9,057億円となりました。

保有契約年換算保険料は前事業年度末に比べ906億円増加し、8,156億円となりました。

 

運用資産、有価証券及び利回りの状況は次のとおりであります。

 

a 運用資産

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

預貯金

764,633

11.2

817,589

10.9

買入金銭債権

74,996

1.1

69,995

0.9

金銭の信託

2,078,352

30.5

2,416,000

32.1

有価証券

3,451,044

50.6

3,755,611

49.9

貸付金

261,512

3.8

267,371

3.6

土地・建物

236

0.0

218

0.0

運用資産計

6,630,775

97.2

7,326,787

97.3

総資産

6,823,733

100.0

7,528,672

100.0

(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

 

b 有価証券

区分

前事業年度

(2023年3月31日)

当事業年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国債

18,884

0.5

118,807

3.2

地方債

社債

67,776

2.0

67,648

1.8

外国証券

1,801,060

52.2

2,069,759

55.1

その他の証券

1,563,322

45.3

1,499,396

39.9

合計

3,451,044

100.0

3,755,611

100.0

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 「その他の証券」は、証券投資信託の受益証券等であります。

 

c 利回り

運用資産利回り(インカム利回り)

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

収入金額

(百万円)

平均運用額

(百万円)

年利回り

(%)

収入金額

(百万円)

平均運用額

(百万円)

年利回り

(%)

預貯金

115

834,512

0.01

258

747,455

0.03

買入金銭債権

28

83,070

0.03

24

72,332

0.03

金銭の信託

68,216

2,150,859

3.17

81,347

2,311,909

3.52

有価証券

66,661

1,686,862

3.95

97,261

2,124,792

4.58

貸付金

10,317

290,864

3.55

10,060

271,230

3.71

土地・建物

256

227

小計

145,339

5,046,426

2.88

188,952

5,527,947

3.42

その他

0

0

合計

145,339

188,952

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。なお、保険業法第118条に規定する特別勘定に係る収入金額及び平均運用額については除外しております。

2 収入金額は、「利息及び配当金収入」に、「金銭の信託運用益」のうち利息及び配当金収入相当額を含めた金額であります。

3 平均運用額は日々の残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。

 

資産運用利回り(実現利回り)

区分

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

資産運用損益

(実現ベース)

(百万円)

平均運用額

(取得原価

ベース)

(百万円)

年利回り

(%)

資産運用損益

(実現ベース)

(百万円)

平均運用額

(取得原価

ベース)

(百万円)

年利回り

(%)

預貯金

△4,381

834,512

△0.53

△16,686

747,455

△2.23

買入金銭債権

28

83,070

0.03

24

72,332

0.03

金銭の信託

162,891

2,150,859

7.57

249,591

2,311,909

10.80

有価証券

89,931

1,686,862

5.33

240,444

2,124,792

11.32

貸付金

5,342

290,864

1.84

35,614

271,230

13.13

土地・建物

256

227

その他

△1,224

3,359

合計

252,588

5,046,426

5.01

512,347

5,527,947

9.27

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。なお、保険業法第118条に規定する特別勘定に係る資産運用損益及び平均運用額については除外しております。

2 資産運用損益(実現ベース)は、「資産運用収益」から「資産運用費用」を控除した金額であります。

3 平均運用額(取得原価ベース)は日々の残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。

 

ヘ 海外事業(海外保険子会社)

当社グループでは、グループ中期経営計画で掲げるMS Amlinの収益拡大、アジア市場の成長捕捉、トヨタリテール事業の持続的成長、事業投資による成長加速及びグループシナジーの発揮に取り組み、前期の2倍以上の収益を挙げました。

MS Amlinにおいては、米国のハリケーンなど自然災害リスクの引受けを削減しつつそれ以外のリスクの引受けを拡大するとともに、市場環境を踏まえて保険料の引上げを行ったことにより、収益が拡大しました。また、アジア市場においては、プラットフォーマーと連携しデジタル技術を活用したリテール市場の開拓や、MS First Capital Insurance Limitedの高いアンダーライティング力など各拠点の強みを活かした企業マーケットの開拓に引き続き努めたことにより、収益が順調に拡大しました。

トヨタリテール事業については将来にわたる収益の改善に資する活動を進めました。当期の収益は、欧州における自動車盗難の増加やインフレの影響を受けて前期を下回りましたが、事業環境の変化を踏まえ、収益性の低い事業からの撤退を含めた選択と集中により収益性の改善を図る方針を定め、事業計画を見直しました。

事業投資については、米国保険市場におけるプレゼンス拡大を目指して買収したMS Transverseを通じて、成長する米国のMGA市場を捕捉する取組みを開始しました。

 

海外保険子会社セグメントの経営成績は次のとおりとなりました。

 

[海外保険子会社の主要指標]

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

比較増減

 増減率

正味収入保険料 (百万円)

932,949

1,233,673

300,723

32.2%

経常利益       (百万円)

70,983

157,077

86,094

121.3%

セグメント利益 (百万円)

66,578

153,815

87,236

131.0%

(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。

2 セグメント利益は出資持分考慮後の当期純利益に相当する金額であります。

 

正味収入保険料は、新規の引受けや保険料率の引上げにより大きく増収した欧州をはじめアジアや米州でも増収したことや、為替影響もあり、前連結会計年度に比べ3,007億円増加し、1兆2,336億円となりました。

経常利益は、保険料増収、ポートフォリオの収益性向上、自然災害に係る発生保険金(正味支払保険金と支払備金繰入額の合計)の減少などにより保険引受収支(除く保険金融収支)が改善したことを主因に、前連結会計年度に比べ860億円増加し、1,570億円となりました。

出資持分考慮後の当期純利益(セグメント利益)は前連結会計年度に比べ872億円増加し、1,538億円となりました。

 

当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。

総資産は前連結会計年度末に比べ2兆6,102億円増加し、26兆9,602億円となりました。主な総資産の内訳は、有価証券が18兆1,666億円(前連結会計年度末比2兆226億円増加)、現金及び預貯金が2兆9,113億円(同1,393億円増加)、金銭の信託が2兆4,201億円(同3,381億円増加)であります。

 

当社及び国内保険子会社のソルベンシー・マージン比率の状況は、以下のとおりであります。

 

保険会社グループでは、保険金支払等に備えて準備金を積み立てておりますが、巨大災害の発生や、資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。この「通常の予測を超える危険」を示す「リスクの合計額」(以下の各表の(B))に対する「資本金・準備金等の支払余力」(すなわちソルベンシー・マージン総額:以下の各表の(A))の割合を示す指標として、保険業法等に基づき計算されたものが、「ソルベンシー・マージン比率」(以下の各表の(C))であります。

ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社又は保険持株会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつでありますが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされております。

 

イ 当社

連結ソルベンシー・マージン比率

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

(百万円)

(A)ソルベンシー・マージン総額

5,234,013

6,531,328

(B)リスクの合計額

1,345,950

1,692,314

(C)ソルベンシー・マージン比率

[(A)/{(B)×1/2}]×100

777.7%

771.8%

(注)「連結ソルベンシー・マージン比率」は、保険業法施行規則第210条の11の3及び第210条の11の4並びに平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出された比率であります。

 

資産運用リスクや巨大災害リスクが増加したことを主因に、リスクの合計額が前連結会計年度末に比べて3,463億円増加したことなどにより、ソルベンシー・マージン比率は前連結会計年度末に比べて5.9ポイント低下し、771.8%となりました。

 

ロ 三井住友海上火災保険株式会社

単体ソルベンシー・マージン比率

 

前事業年度

(2023年3月31日)

(百万円)

当事業年度

(2024年3月31日)

(百万円)

(A)ソルベンシー・マージン総額

3,405,349

4,133,628

(B)リスクの合計額

995,234

1,196,153

(C)ソルベンシー・マージン比率

[(A)/{(B)×1/2}]×100

684.3%

691.1%

(注)「単体ソルベンシー・マージン比率」は、保険業法施行規則第86条及び第87条並びに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出された比率であります。

 

保有株式の時価上昇に伴いその他有価証券の評価差額が増加したことを主因に、ソルベンシー・マージン総額が前事業年度末に比べて7,282億円増加したことなどにより、ソルベンシー・マージン比率は前事業年度末に比べて6.8ポイント上昇し、691.1%となりました。

 

ハ あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

単体ソルベンシー・マージン比率

 

前事業年度

(2023年3月31日)

(百万円)

当事業年度

(2024年3月31日)

(百万円)

(A)ソルベンシー・マージン総額

1,327,493

1,572,188

(B)リスクの合計額

319,545

402,936

(C)ソルベンシー・マージン比率

[(A)/{(B)×1/2}]×100

830.8%

780.3%

(注)上記ロの(注)に記載のとおりであります。

 

巨大災害リスク相当額の増加を主因に、リスクの合計額が前事業年度末に比べて833億円増加したことなどにより、ソルベンシー・マージン比率は前事業年度末に比べて50.5ポイント低下し、780.3%となりました。

 

ニ 三井ダイレクト損害保険株式会社

 単体ソルベンシー・マージン比率

 

前事業年度

(2023年3月31日)

(百万円)

当事業年度

(2024年3月31日)

(百万円)

(A)ソルベンシー・マージン総額

17,853

16,137

(B)リスクの合計額

5,060

5,089

(C)ソルベンシー・マージン比率

[(A)/{(B)×1/2}]×100

705.5%

634.1%

(注)上記ロの(注)に記載のとおりであります。

 

当期純損失による株主資本の減少を主因に、ソルベンシー・マージン総額が前事業年度末に比べて17億円減少したことなどにより、ソルベンシー・マージン比率は前事業年度末に比べて71.4ポイント低下し、634.1%となりました。

 

ホ 三井住友海上あいおい生命保険株式会社

単体ソルベンシー・マージン比率

 

前事業年度

(2023年3月31日)

(百万円)

当事業年度

(2024年3月31日)

(百万円)

(A)ソルベンシー・マージン総額

338,880

355,345

(B)リスクの合計額

69,474

76,569

(C)ソルベンシー・マージン比率

[(A)/{(B)×1/2}]×100

975.5%

928.1%

(注)上記ロの(注)に記載のとおりであります。

 

資産運用リスク相当額の増加を主因に、リスクの合計額が前事業年度末に比べて70億円増加したことなどにより、ソルベンシー・マージン比率は前事業年度末に比べて47.4ポイント低下し、928.1%となりました。

 

ヘ 三井住友海上プライマリー生命保険株式会社

単体ソルベンシー・マージン比率

 

前事業年度

(2023年3月31日)

(百万円)

当事業年度

(2024年3月31日)

(百万円)

(A)ソルベンシー・マージン総額

683,942

771,366

(B)リスクの合計額

152,103

203,346

(C)ソルベンシー・マージン比率

[(A)/{(B)×1/2}]×100

899.3%

758.6%

(注)上記ロの(注)に記載のとおりであります。

 

新契約獲得および円安に伴い予定利率リスク相当額や資産運用リスク相当額が増加したことを主因に、リスクの合計額が前事業年度末に比べて512億円増加したことなどにより、ソルベンシー・マージン比率は前事業年度末に比べて140.7ポイント低下し、758.6%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

比較増減

営業活動によるキャッシュ・フロー (百万円)

194,153

549,466

355,313

投資活動によるキャッシュ・フロー (百万円)

480,953

△276,825

△757,778

財務活動によるキャッシュ・フロー (百万円)

△314,502

△231,549

82,952

現金及び現金同等物の期末残高   (百万円)

2,646,431

2,733,760

87,328

 

当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、保険料の収入額が増加したことなどにより前連結会計年度に比べ3,553億円増加し、5,494億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が増加したことや有価証券の売却・償還による収入が減少したことなどにより前連結会計年度に比べ7,577億円減少し、△2,768億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に社債の償還による支出が増加したことの反動などにより前連結会計年度に比べ829億円増加し、△2,315億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より873億円増加し、2兆7,337億円となりました。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性に係る情報は次のとおりであります。

長期的な投資資金等に対しては、主に営業活動から得た資金及び内部留保による自己資金を活用するほか、社債の発行や金融機関からの長期借入による外部からの資金調達を行っております。

また、資金の流動性につきましては、大規模自然災害時に保険金の支払や市場の混乱等により資金繰りが悪化する場合に備え、当社グループは、流動性資産を十分に保有するとともに、資金の流出入の動向を踏まえて資産・負債両面から流動性についての評価を行い、適切な資金繰りを行っております。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、次の事項を会計上の重要な見積りと考えております。

イ 時価の算定方法

 資産・負債の一部は時価をもって貸借対照表価額としており、時価の算定は市場価格等に基づいております。一部のデリバティブ取引において市場価格がない場合には、将来キャッシュ・フローの現在価値や取引対象の市場価格、契約期間等の構成要素に基づく合理的な見積りによって算出された価格を時価としております。

ロ 有価証券の減損

 保有している有価証券は有価証券市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来、有価証券市場が悪化した場合には有価証券評価損が発生する可能性があります。

ハ 固定資産の減損

 収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように、減損処理を行っております。資産又は資産グループの回収可能価額は、正味売却価額(資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される価額)と使用価値(資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値)のいずれか高い金額であることから、固定資産の減損損失の金額は合理的な仮定及び予測に基づく将来キャッシュ・フローの見積りに依存しております。したがって、関連する事業の環境が変化した場合、固定資産の使用方法を変更した場合又は不動産取引相場や賃料相場等が変動した場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。

ニ 繰延税金資産

 繰延税金資産の回収可能性の判断に際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が変動した場合は繰延税金資産が変動する可能性があります。

ホ 貸倒引当金

 債権の貸倒れによる損失に備えて、回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。貸付先の財務状況の変化などにより、回収不能となった金額や貸倒引当金の計上額が、当初の見積額から変動する可能性があります。

ヘ 支払備金

 保険契約に基づいて支払義務が発生した、又は発生したと認められる保険金等のうち、まだ支払っていない金額を見積もり、支払備金として積み立てております。損害調査の進展、裁判等の結果、インフレーションや為替の変動などにより保険金等の支払額や支払備金の計上額が、当初の見積額から変動する可能性があります。

ト 責任準備金等

 保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金等を積み立てております。当初想定した環境・条件等が大きく変動し予期せぬ損害の発生が見込まれる場合には、責任準備金等の積増しが必要になる可能性があります。

チ 退職給付費用及び退職給付債務

 退職給付費用及び退職給付債務は、割引率や将来の退職率及び死亡率など、いくつかの前提条件に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件を変更する必要が生じた場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務が変動する可能性があります。

 

 なお、上記のうち「ハ 固定資産の減損」及び「ヘ 支払備金」については、関連する事項を「第5 経理の状況」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

④ 目標とする経営指標等の分析等

 

目標項目

 

2022年度

 

2023年度

 

 

実績

修正予想

実績

 

グループ修正利益    (億円)

 

2,222

 

2,800

3,799

 

 

国内損害保険事業  (億円)

 

1,183

 

1,380

1,867

 

国内生命保険事業  (億円)

 

347

 

450

497

 

海外事業      (億円)

 

670

 

940

1,395

 

金融サービス/リスク

関連サービス事業  (億円)

 

20

 

30

40

 

グループ修正ROE

 

6.1%

 

7.5%

9.0%

 

ESR(Economic Solvency Ratio)

 

228%

 

229%

 

(注1)グループ修正利益=連結当期利益+異常危険準備金等繰入・戻入額-その他特殊要因(のれん・その他無形固定資産償却額等)+非連結グループ会社持分利益

グループ修正ROE=グループ修正利益÷期初・期末平均修正純資産(除く新株予約権・非支配株主持分)

修正純資産=連結純資産+異常危険準備金等-のれん・その他無形固定資産

ESR=時価純資産÷統合リスク量(信頼水準99.5%)

(注2)IFRSを適用している在外連結子会社及び在外持分法適用会社においてIFRS第17号「保険契約」を2023年度期首から適用しており、2022年度については当該会計基準を遡及適用した後の実績。

 

2025年度までの中期経営計画の第2年度となる2023年度は、海外事業における収入保険料の増加や損害率の改善、国内損害保険事業における政策株式売却益・利配収入の増加、国内生命保険事業における新型コロナウイルス感染症に係る給付金の減少などにより、グループ修正利益とグループ修正ROEは2022年度実績および期中に公表した修正予想を上回る水準を達成しました。財務健全性を表すESRは、目標とする幅(180~250%)の範囲内を維持しております。

 

0102010_023.png

 

⑤ 問題認識と今後の方針について

問題認識と今後の方針は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しているとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。