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独立監査人の監査報告書 |
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2024年6月25日 |
野村ホールディングス株式会社 |
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取 締 役 会 御中 |
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EY新日本有限責任監査法人 |
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東京事務所 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
松 村 洋 季 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
湯 原 尚 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
中 桐 徹 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
津 村 健二郎 |
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている野村ホールディングス株式会社の2019年4月1日から2020年3月31日までの連結会計年度の訂正後の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結資本勘定変動表、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表注記及び連結附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第95条の規定により米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、野村ホールディングス株式会社及び連結子会社の2020年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
流動性の低い金融商品の評価の妥当性 |
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監査上の主要な検討事項の 内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
2020年3月31日において、会社は金融商品の内、公正価値階層のレベル3の区分に金融資産及び金融負債をそれぞれ949十億円、668十億円計上している。これらは自己売買及び顧客取引のために、債券市場や株式市場等で投資ポジションとして保有されている。また、これらの金融商品の公正価値を決定するために、会社は独自の仮定や特定のデータを反映した、観察不能な評価インプットを使用している。これらの評価インプットは金融商品の評価に重要な影響を与え、市場活動による裏付けがほとんどないか、もしくは全くないものである。経営者が公正価値を決定するために適用した評価方法については、連結財務諸表の「注記2 公正価値測定」に記載されている。 会社のレベル3に区分される金融商品の公正価値の監査は、特に国際金融市場への新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮した公正価値の決定の際に経営者が使用する判断や見積りに主観性が伴うため、複雑かつ高度な判断を要する。特に一部の金融商品について、会社は、一定の重要な仮定や観察不能な評価インプットを用いた様々な評価手法により評価しており、これらの評価手法にはWACC、成長率、流動性ディスカウント、EV/EBITDAなどのマルチプル、ボラティリティや相関係数など評価に重要なインプットが含まれる。このため、流動性の低い金融商品の評価の妥当性を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 |
公正価値評価に含まれる重要なインプット及び見積りに関する経営者の評価に係る重要な虚偽表示リスクに対応する内部統制を理解し、整備及び運用状況の有効性の評価手続を実施した。この評価手続には、様々な部門によるモデル検証プロセスの手続の他、新型コロナウイルス感染拡大の影響に起因する重要な市場の変動を受けて実施したモデルのパフォーマンスや適合性検証手続に関する内部統制の評価手続も含まれる。 また、会社が使用している評価方法を評価するために、重要な観察不能なインプット、見積り及び会社の評価モデルの数学的正確性を検証した。サンプルベースで公正価値の見積りを独自に行い、この見積りと会社の結果の比較も実施した。この手続には、金融商品評価の専門家を関与させた。さらに、会社の金融商品評価に係る重要なインプット及び基礎データが、契約書、入手可能な外部情報または市場データと一致することを確かめた。これに加えて、決算日後に生じた事象や取引を評価し、会社の期末評価との整合性や反証の存在の有無について検討した。 |
繰延税金資産の評価の妥当性 |
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監査上の主要な検討事項の 内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
「注記16 法人所得税等」に記載されているとおり、2020年3月31日において、会社は、評価性引当金388十億円を控除した繰延税金資産151十億円を計上している。繰延税金資産は、すべての利用可能な証拠に基づき、回収できないと予想される一部または全部について、評価性引当金により減額される。 経営者の繰延税金資産の回収可能性の評価の過程には重要な判断が伴うため、繰延税金資産の回収可能性の評価に際しての分析の妥当性の監査は複雑かつ高度な判断が必要となる。例えば、経営者が使用している仮定は、将来の市場動向や経済情勢、会社の決定の影響を受け、これにはビジネスプラットフォームの再構築及び新型コロナウイルス感染拡大に関連する影響が含まれる。これらの仮定は、繰延税金資産の回収可能性の評価に使用する収益や費用の予測に影響を与えることから、繰延税金資産の評価の妥当性を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 |
経営者による繰延税金資産の回収可能性の評価に関する重要な虚偽表示リスクに対応する内部統制を理解し、整備及び運用状況の有効性の評価手続を実施した。これには、ビジネスプラットフォームの再構築及び新型コロナウイルス感染拡大に関連する影響、将来加算一時差異の解消ならびにタックス・プランニングの識別及び利用を含めた将来の課税所得の予測に関する内部統制が含まれる。 また、繰延税金資産の回収可能性の評価のために実施した監査手続には、取締役会及び経営会議の資料及び議事録を閲覧し、経営者の将来の課税所得及び将来減算一時差異等の解消時期の見積りが事業計画と整合しているかどうかの検討を含む。例えば、過去に見積もられた将来の課税所得と対応する実績の比較、その時点の経営者による市況や経済情勢に関する考慮事項と対応する実績の比較及び関連する仮定及び予測について合理的に起こり得る変化を想定した場合の結果の感応度を評価することにより、会社が将来の課税所得を予測するために用いた仮定を評価し、その予測に使用された基礎データの網羅性と正確性を検証した。 |
法令諸規則等への違反や訴訟に対する引当金 |
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監査上の主要な検討事項の 内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
「注記21 コミットメント、偶発事象及び債務保証」に開示されているとおり、会社は規制当局の調査や訴訟、その他の法的手続に関係している。会社は、連結財務諸表の作成基準日時点に負債が発生している蓋然性が高く、金額を合理的に見積もることができる偶発事象について負債を認識している。これに関連して、経営者は、損失の発生する合理的な可能性があるか、もしくは負債として認識されている金額を超える損失が発生する合理的な可能性がある偶発事象の重要性の評価を行っている。そのような損失や追加的な損失が発生し、財務諸表に重要な影響を与える合理的な可能性がある場合には、会社は偶発損失の性質や潜在的な損失額または損失の範囲の見積り、もしくは見積りを行うことができない旨を注記に記載している。 経営者が実施した、偶発損失が発生する蓋然性が高くかつそのような損失の金額を見積もることが合理的に可能な状況なのか、発生する合理的な可能性がある状況なのか、もしくは可能性が低い状況なのかの判断や関連する開示を監査するためには、複雑かつ高度な判断が必要となる。経営者は、2020年3月31日時点での義務の有無及び偶発損失を計上すべきかを判断する必要がある。これには、認識された偶発損失に関する資金流出が発生する可能性の有無や信頼性をもって見積もることができるかどうかの判断を伴う。加えて経営者は、予想される損失が生じる蓋然性が高い状況なのか、それとも合理的な可能性がある状況なのかどうかを判断する必要がある。 このため、法令諸規則等への違反や訴訟に対する引当金を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 |
訴訟や規制当局の調査により発生し得る偶発事象を適時に識別するための経営者の評価には、損失の発生に関して、蓋然性が高いかもしくは合理的な可能性があるかどうかの評価及び最善の見積りに関する測定が含まれる。当該経営者の評価に係る重要な虚偽表示リスクに対応するための内部統制を理解し、整備及び運用状況の有効性の評価手続を実施した。 また、損失の発生可能性と損失金額の合理的な見積可能性を確かめるため、取締役会及び経営会議の議事録の閲覧や、重要な案件の進展を評価するための関連する規制当局とのやり取りや法的文書を閲覧した。加えて、会社外部の顧問弁護士からの確認状の入手、会社内部の法務関係者及び会社外部の顧問弁護士からの会社の申立に関する意見の聴取、並びに経営者確認書の入手を行った。さらに、偶発損失の評価と負債として認識された金額を超えて合理的に発生する可能性のある損失の開示の妥当性を確かめるため、偶発損失の測定方法の評価、データの正確性と網羅性のテスト、合理的に発生する可能性のある損失の範囲を決定するために使用された、会社内部の法務関係者及び会社外部の顧問弁護士から受領した回答の通読、及び見積りに影響を与える新たな証拠もしくは反証の存在の有無の検討を行った。 |
強調事項
連結財務諸表の注記1に記載されているとおり、会社は、連結財務諸表を訂正している。当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。
なお、当監査法人は、訂正前の連結財務諸表に対して2020年6月30日に監査報告書を提出しているが、当該訂正に伴い、訂正後の連結財務諸表に対して本監査報告書を提出する。
連結財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任
経営者の責任は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
利害関係
会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
※1 上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社が別途保管しております。 2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |