文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その実現を保証するものではありません。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの企業理念は「世界に通用する一流技術商品と有用な価値ある資源を国内外に販売し、豊かな社会に貢献すること」です。これからも当社グループのような伝統型企業がさらなる発展を遂げるために、新たなコア・コンピタンスを創造・育成することにより、会社の永続的な発展とさらなる飛躍を目指してまいります。このために、下記の経営基本方針をもって今後の事業を展開してまいります。
① コーポレート・ガバナンスを機能させるために、リスクマネジメントの徹底とコンプライアンスの強化を図ります。
② 経営資源の選択と集中により経営効率を高め収益の一層の拡大を図ります。
③ 高度の商品知識や技術力を持つ人材の育成に注力し、人的基盤の充実を図ります。
④ 自己資本の一層の充実を図り、財務基盤を強化し、新たな投資・事業拡大への即対応体制を強化します。
2022年5月、当社は上記企業理念のもと、長期ビジョン(10年後の目指す姿)として、「専門商社の枠組みを超えて、社会インフラを支える付加価値創出企業へ」を策定いたしました。そして、そのスタートとして、2025年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画「“Resilience”Rasa 2024~再生から飛躍へ~」を発表いたしました。
当中期経営計画においては、最終年度(2025年3月期)売上高320億円、営業利益23億円、経常利益25億円、当期純利益18億円を連結経営目標に掲げ、4つの重点施策を推し進めることにより、持続可能な社会の実現に寄与するとともに、グループ全体の持続的な成長を目指します。
重点施策
① グループ・ガバナンスの確立
② グループの連携強化によるシナジーの追求
③ 既存事業の収益基盤強化と新規事業機会の獲得
④ 事業を通じたサステナビリティへの取り組み
当社グループは、財務の健全性を念頭におきながら、自己資本を効率的に活用しつつ、株主価値の拡大を図ることを主眼に、目標とする経営指標を下記の通り掲げております。
① 自己資本当期純利益率(ROE)は9%以上
② 売上高営業利益率は6%以上
③ 自己資本比率は50%以上
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上の課題
当社グループは、資源・金属素材関連、産機・建機関連、環境設備関連、プラント・設備工事関連、化成品関連、不動産賃貸関連の6事業体制で、収益の更なる拡大を図ると共に、新商品の開発、開拓、グローバル化を積極的に推進し、新たな収益基盤の確立を目指してまいります。
① 資源・金属素材関連
ジルコンサンドを中心とした鉱産物を主に国内に安定的に供給してきましたが、これらの原料の用途が限定的であること、供給元の状況に左右されやすいこと、国内外の景気の影響を大きく受けること、価格変動リスク及び為替リスクがあることなどから、下記事項を中長期的課題として取り組んでまいります。
・ジルコンサンドの安定的な供給体制の確立と適正な在庫管理
国内外の景気動向、供給各国の治安や政情、国際紛争の影響などにより、ジルコンサンドの世界的な需給は大きく変動する傾向があり、供給元や取引先各社と緊密な連携を取り、安定的な供給体制の強化と適正な在庫管理に注力してまいります。
・新たな資源関連素材の開拓
取扱商品の拡大を目指し、チタン関連素材や二次電池関連の各種原材料など、新たな資源関連素材の開拓に取り組んでまいります。
② 産機・建機関連
産機・建機ともに民需・官需市場における環境保全・負荷軽減というテーマに向き合い、設備の整備・長寿命化へ貢献すべく、その需要に対応してまいります。
・産機商品の市場展開
主力のポンプについては、環境へのやさしさ・ランニングコストの削減というテーマに向き合い、ポンプ効率の改善を優先課題として進めており、また材質面でも長寿命化を図るべく取り組んでおります。長年、当社主力大型ポンプが稼働する石炭火力発電においては、社会生活を支える重要な一電源であるものの、当社製品にも環境負荷低減が求められ、製品損耗を抑えるべく耐久性の高い新たな材質を導入しております。今後もこのような取組みを引き続き追求してまいります。
開拓市場に掲げている食品業界については、業界団体へ新規加盟をしましたので、その可能性をさらに探っていきたいと考えております。
下水道BCPについては、当社の主力商品を応用し、津波、高潮、豪雨等の自然災害から下水道施設等を保護する目的で、多目的モバイルポンプユニット「SUPER BETSY」を供給しております。インフラ用途にとどまらずその適用範囲は極めて広く、官庁・民間企業ともに需要が増加してきております。そして、数年前より取り組んでおります下水汚泥ポンプ耐水化計画への歩みも着実に進めており、災害時にも強い下水道施設の安定化に貢献してまいります。
また、販売提携先の商品についても、活発な営業活動を行っており取引先拡大にも有効な商材として引き続き推進してまいります。
・建機商品の新市場展開
脱炭素社会に向けた、自然エネルギー比率の高まりは、併せて送電網の普及・整備を必要とします。間接的な貢献となりますが、そうした環境・社会の持続的発展に欠かせない新たなインフラ整備に対し製品の供給を行ってまいります。
海外市場における掘進機については、海外製品との競合を見据え国内とは異なった需要への対応力を発揮し、またレンタル市場の開拓にも取り組んでまいります。
・グループ各社との連携
旭テック株式会社との連携は双方にメリットを生む重要なテーマです。ポンプメンテナンス、設備工事での協力に留まらず、広く情報を共有し営業展開にも活かしてまいります。
また、当社の主力ポンプメーカーであり関連会社でもある大平洋機工株式会社との協業体制は特に重要であり、グループ及びメンテナンス協力会社とともに業容拡大を目指してまいります。
③ 環境設備関連
水砕スラグ製造設備に関して、主要機器の更新や整備需要は安定しているものの将来的には製鉄所各社が取り組んでいる環境対策に連動した対応が今後の課題です。一方、海外機械製品については、バイオガス発電の案件が一巡し新規計画の具現化には時間を要するものの、下水や電力分野において環境問題に対する技術力が求められているため、既存商品に付加価値を与え競争力を高める新技術の開発に取り組んでまいります。
・当社独自の水砕スラグ製造設備「ラサ・システム」の新規市場の開拓及び新技術の開発
既存の技術を応用しながら設備のコンパクト化及び高機能薬品との組み合わせによるシステム負荷の低減及び非鉄金属業界への市場拡大を図るとともに、脱炭素化に向けた新技術の開発にも取り組んでまいります。
・環境問題に取り組む海外主要機械メーカーとの提携
再生可能エネルギー分野で乾式メタン発酵バイオガス発電プラントにピストンポンプが導入され安定した稼働実績が評価されています。下水分野でもCO2の削減に向け下水汚泥の低含水率化が進んでいるため、既存商品の改良をおこなうとともに、ドイツの高圧ポンプメーカーとの連携を強化してまいります。さらにボイラー制御に不可欠な高い制御性に加え、シンプルで信頼性の高い自動バイパス弁メーカーとの連携により、新たな市場の創出と拡大を目指してまいります。
④ プラント・設備工事関連
近隣事業所の定期修繕工事を確実に取り込み、大型工場を所有するメリットを活かしつつ、今後も取引先との信頼関係を深めてまいります。また、時間外労働の短縮に対する試みについても進めてまいります。具体的には中期的な課題として下記事項を取り組んでまいります。
・近隣製造設備の増改修・補修及び新設
主要顧客の京葉臨海コンビナートの新設、増改修、定期修繕の受注及びエネルギー関連、特に「地域冷暖房」関連への取り組みを強化してまいります。また、各種プラントによる脱炭素関連事業に対応し、設備の新設及び改修の受注拡大を目指してまいります。
・新規プラント建設への取り組み
当連結会計年度は主に首都圏にて新規プラント建設を手掛けました。工期の短縮化を実現すべく、自社工場で組み立てるプレハブ工法を用いる等、大型工場を保有しているメリットを活かし、今後も積極的に新規プラントの受注に取り組みます。
・時間外労働の短縮に対する取り組み
受注案件の精査を行った上で、適正な人員配置と自社に合ったITツールを取り入れ、効率化の取り組みを進めてまいります。
・グループ連携
現在でも営業活動やポンプメンテナンス工事などで連携しておりますが、定期的な情報共有を含め、相互理解を強化させることでさらなるシナジー効果を図ってまいります。
⑤ 化成品関連
生産拠点の海外移転などから、国内における生産量、消費量とも減少傾向にあるため、国内企業とその海外現地法人への関係強化が必要なことなどから、下記事項を中長期的課題として取り組んでまいります。
・国内取引の拡大
国内の一流メーカー及び特徴ある製品を持つメーカーとの関係強化を進め、販売先への水平展開を行い、売上、収益の拡大を目指してまいります。
・海外取引の拡大
主要取引先の海外展開に伴い、海外駐在員事務所を情報拠点として、東南アジアへの販売強化を推進してまいります。
・運営強化及び効率化
事業力強化のため、社内での連携促進と販売コストなどの効率化に努めてまいります。
⑥ 不動産賃貸関連
保有不動産の有効活用により、安定的な賃料収入を得られております。残された課題として、上尾市の土地区画整理地の有効活用を検討してまいります。
当社は2023年2月にサステナビリティ基本方針を策定し、当該方針に則り、社会にとっての重要度と、ラサ商事グループにとっての重要度が共に高いと考えられる課題をサステナビリティ委員会で検討し、その課題をESG視点で捉え、以下の3点をマテリアリティ(重要課題)として特定しました。
E. 脱炭素社会と環境保全への貢献
S. 組織と人材の活性化
G. グループガバナンスの確立
このマテリアリティに対する取り組みを開示していくにあたり、当社は2023年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しました。TCFD提言は気候関連情報開示の枠組みであり、全ての企業に対して「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿った情報開示を推奨しています。当社も、賛同表明を機に、持続可能な社会の実現を目指して、気候変動問題への取り組みをさらに推進してまいります。また、環境面だけではなく、人的資本経営の推進、グループガバナンスの確立を進めていくことで、社会インフラを支える付加価値創出企業として持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社が判断したものです。
①ガバナンス
当社は、サステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ委員会を設置しています。同委員会では、社長が委員長を務め、取締役、執行役員等を構成メンバーとして、原則年2回、当社グループのサステナビリティに関する基本方針や戦略の策定、重要課題(マテリアリティ)の特定、施策の立案、目標についての進捗管理等を審議しています。また、気候変動を事業に影響を与えるリスクと認識し、リスクマネジメント委員会において、他の全社的なリスクとともに、統合的に審議しています。
サステナビリティ委員会およびリスクマネジメント委員会は、審議した内容を定期的に取締役会に報告します。取締役会は、気候変動問題に関する最高意思決定機関として、報告された内容を踏まえて、当社の経営戦略に反映させます。
ⅰ)シナリオ分析
当社は、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクおよび機会、影響度を把握するため、TCFDが提唱するフレームワークに則り、サステナビリティ委員会で審議した内容を基にシナリオ分析を行いました。
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)が作成したレポートや気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数のシナリオを参照した上で、2030年時点の世界を想定した2つのシナリオ(1.5℃/2℃未満シナリオ、4℃シナリオ)における当社の資源・金属素材関連事業、産機・建機および環境設備関連事業への影響を試算しました。
なお、ここでいう1.5℃/2℃未満シナリオとは、パリ協定の目標である「産業革命後の気温上昇を2℃に抑え、1.5℃に抑える努力をする」ことを想定したシナリオであり、4℃シナリオとは、現状を上回る気候変動対策が取られず、4℃程度気温が上昇することを想定したシナリオです。
ⅱ)リスク及び機会の内容と影響
シナリオ分析からTCFDが推奨する気候変動リスクおよび機会を「移行」「物理」の2つの大分類および6つの小分類に分け、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性のある主なリスクおよび機会を特定しました。
定性的には1.5/2℃未満シナリオでは、リスクとして炭素税導入(カーボンプライシング)による製造・調達コストが上昇し、また、クリーンエネルギーへの移行により火力発電所向けポンプの需要が減少する一方で、機会として再生可能エネルギーの普及等に伴うバイオガス発電向けポンプの需要や、水素社会の実現に向けた半導体工場等の排水処理に必要なポンプの需要が増加すると認識しています。4℃シナリオでは、リスクとして異常気象に起因する災害による設備損耗や、サプライチェーンの寸断による操業停止の損失等が生じる一方で、機会として水害等でのBCP対応によるポンプの需要が増加すると認識しています。また、その他のリスクおよび機会の内容、影響度および時間軸は以下のリスク・機会一覧表に記載しています。
定量的には、算出が可能な5項目(炭素税導入、電力価格変化、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化対応、空調使用量の変化、災害被害)について影響額を試算しました。1.5℃/2℃未満シナリオでは、主に災害被害、ZEB化対応および炭素税導入による損失が発生し、4℃シナリオでは、主に災害被害による損失が発生すると認識しています。しかし、いずれの場合でも算出した金額の財務的な影響は限定的です。
ⅲ)リスク及び機会への対応
当社は、シナリオ分析からリスクおよび機会の特定・評価を行い、重要課題(マテリアリティ)に対する取り組みと連動して、主に以下の4つの活動を行っています。
1.「バイオガス、水力、地熱発電向けのポンプ市場の開拓」
2.「太陽光発電の継続利用および新規導入の検討」
3.「カーボンニュートラル対応商品の開拓」
4.「自然環境保護、水衛生環境改善、感染症予防に対する貢献」
これらは、1.5/2℃未満シナリオおよび4℃シナリオのいずれのシナリオ下においても必要な活動として取り組んでおり、気候変動関連リスクを抑制するとともに、市況変化に適切に対応することで新たなビジネス機会の獲得に努めてまいります。
当社では、サステナビリティ委員会において、気候変動関連リスクとなりうる情報を洗い出して、リスクマネジメント委員会に報告し、報告を受けたリスクマネジメント委員会が、気候変動関連リスクおよび他の全社的なリスクを、統合的に特定・評価・管理しています。リスクマネジメント委員会は、社長が委員長を務め、取締役、各本部長等をメンバーとして、原則年2回開催しています。
特定については、リスクマネジメント委員会がサステナビリティ委員会、各部門およびグループ会社からの報告を受け、中長期的な企業価値の向上に向け、ESGが非常に重要であるとの認識のもと、気候変動をはじめとする全社的なリスクを短期的、中期的、長期的な視点で特定しています。
評価については、「リスクの影響度」と「リスクの発生確率」の二軸で評価し、気候変動によるリスクは「リスクの影響度『大』」かつ「リスクの発生確率『中』」であると評価しています。
管理については、年2回の定例リスクマネジメント委員会において、気候変動関連を含めた全社的なリスクの見直しと対応策を検討し、定期的に取締役会へ報告し、取締役会が審議・決議することにより管理しています。また、リスクを伴う個別事案が発生した場合、または発生の恐れを認識した場合、迅速に臨時のリスクマネジメント委員会を開催し、個別事態への対応を協議し、事態の拡大防止と早期収束を図っています。
当社は、気候変動関連のリスクおよび機会を評価・管理するため、温室効果ガス排出量を指標としています。なお、当社の2022年度の温室効果ガス総排出量(Scope1・2合計)は約310.8t-CO2となり、2021年度から+14.2t-CO2の排出量となりました。
※算定の範囲はラサ商事株式会社単体
当社は、国内拠点における温室効果ガス排出量の削減に関する基本方針として、温室効果ガス総排出量(Scope 1・2)を2030年度までに、2021年度対比で50%削減することを目指しています。この目標達成に向け、事業拠点でのエネルギー使用量の削減および効率化、再生可能エネルギーの活用を進めてまいります。また、今後Scope3の算定にも取り組み、サプライヤーと協働して、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減に取り組んでまいります。
(2)人的資本への対応
①戦略
当社は性別、国籍、採用形態を問わず、能力や経験を重視する人物本位の人材登用を通じた「組織と人材の活性化」を人材への取組方針として掲げています。
特に、女性従業員の割合が従業員全体の25.0%と低く、また管理職全体でも12.0%と女性の割合が低い当社の現状を踏まえ、女性が活躍する機会の拡大、働く環境の向上を目指しています。そのためにも女性の積極的採用と営業職での育成強化とともに、オンライン営業やリモートワークなど新たな働き方を取り入れ、社内環境整備にも注力していく方針です。
具体的には、新卒、中途採用において女性の採用を積極的に行い、入社後の教育研修プログラム、フォローアップ体制の強化等により、早期離職の防止、営業職として更なる育成強化を図ります。
仕事と育児の両立支援にも取り組みます。出産時や育児期間中における看護休暇、時短勤務、リモートワーク等の各種制度の見直しについて検討を進め、安心して仕事と育児の両立が図れるように努めていきます。
当社としては上記戦略のもと、下記目標を掲げ、女性をはじめとする多様な人材が活躍できる環境づくりを進め、組織と人材を活性化させ、企業価値の向上を目指していきます。
・営業職を中心に女性採用者数を増やす(毎年3名以上採用する)
まずは、女性の新卒採用、中途採用を積極的に進めていくことで、将来当社の中核となりうる女性人材の母数を増やしていきます。
・女性管理職比率を高める(2031年3月期までに20.0%とする)
入社後の教育研修プログラム、フォローアップ体制の強化、仕事と育児の両立支援に取り組み、早期離職の防止、営業職としての育成強化を図ることにより、中核人材としての管理職への登用比率を高めていきます。
なお、当社役員に占める女性の割合については、当連結会計年度末現在において16.7%です(女性取締役2名/全取締役12名)。有価証券報告書提出日現在では、当社役員に占める女性の割合は18.2%となっています(女性取締役2名/全取締役11名)。
(注) 1.女性採用者数、女性管理職比率は、集計対象をラサ商事株式会社原籍者としています。
2.女性採用者数は正規雇用従業員及び有期雇用従業員の採用を指標とします。
3.2023年3月期女性採用者の業務別内訳は営業系1名(内新卒者1名)、事務系1名です。
2024年3月期女性採用者の業務別内訳は営業系2名(内新卒者2名)、事務系その他3名です。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。ただし、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の判断において重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から開示しております。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在における当社の判断に基づいたものであり、その実現を保証するものではありません。
当社グループが資源・金属素材関連及び化成品関連において取り扱う商品は、相場変動による商品価格リスクがあります。資源・金属素材関連においては、在庫として保有する期間を最適化させるとともに、商品によっては年間の販売量を事前に交渉するなどしてリスクの軽減を図っております。資源・金属素材関連及び化成品関連とも短期的に想定以上の相場変動が生じた場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの外貨建てによる販売、仕入については、為替相場の変動によるリスクを負っておりますが、当該リスクを減少させるために原則として取引契約成立の都度、為替予約を行っております。したがって、短期的な為替変動が当社の業績に与える影響は軽微なものであると考えられますが、想定以上の為替変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが産機・建機関連及び環境設備関連において取り扱う商品並びにプラント・設備工事関連は、製造業を主体とした顧客の工場や地方自治体等の運営する下水処理場等において主に使用又は施工されております。当該事業は機械や設備の販売及び工事施工のみならず、メンテナンス関連の需要も継続的にあること、また、製造業を主体とした民需においては、当社グループの顧客は幅広い業種に亘っていることから、競合激化はあるものの、一定の収益の安定性は確保できているものと考えております。しかしながら、全般的な経済動向や設備投資動向の変化によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが資源・金属素材関連において取り扱う商品は、主に海外から輸入し、国内の耐火材、鋳造用部材、セラミックス製品原料、電子材料等幅広い用途に供給されており、国内外の経済動向や設備投資動向の変化によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが化成品関連において取り扱う商品は、自動車、建材、電気、電子分野などに幅広く素材を提供しており、国内外の経済動向の変化によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの産機・建機関連、環境設備関連及びプラント・設備工事関連の業績は、販売先の設備投資予算の執行の関係により、売上高が第4四半期に偏重する傾向があり、利益についても第4四半期に偏重する構造となっております。
地震、洪水等の自然災害、事故やテロのような、当社グループが予測不可能な事により、インフラや下記の特定商品の依存先に壊滅的被害があった場合や当社グループの設備に被害が発生し、再構築の範囲が大規模となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの設備は、日常的及び定期的に保守管理、安全対策を実施しておりますが、不慮の事故による物的、人的被害が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症については、行動制限が緩和され経済活動も正常化に向かっており、当社グループの業績に与える影響は現時点では限定的であります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症については不透明な点もあり、今後の当社グループの事業展開に一定の影響を及ぼす可能性があります。
(6) 特定商品の依存について
① ジルコンサンド
ジルコンサンドについては、その大半を世界有数のミネラルサンズの生産会社であるオーストラリアのアイルカ社から仕入れており、同社との間で日本における総販売代理店契約を締結しております。
当社グループは同社との安定的な取引関係を維持しておりますが、ジルコンサンドは鉱物資源であるため、同社において安定した採掘量が確保できなくなった場合、同社との関係に変更があった場合、又は同社の事業方針に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② ワーマンポンプ
ワーマンポンプについては、当社の関連会社である大平洋機工株式会社との間で総販売代理店契約を締結しております。当社グループは、同社に対して資本関係のみならず、役員を派遣するなど、強固な関係を構築しておりますが、同社との関係に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 法的規制について
当社グループの各関連事業は、環境関連法令、貿易関連法令、その他多数の法令の規制を受けているため、今後、これらの規制の改廃や新たな法規制が設けられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 人材の確保について
当社グループの事業には、専門的な技量や経験を有する人材が不可欠であるため、高度な商品知識をもった人材や高度な技術力をもったエンジニア等の育成には常に注力しております。しかしながら、予定通りの人材の確保を行えなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 気候変動によるリスク
世界的規模でエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策のための法規制等、気候変動抑制のための動きが強まっ
ております。当社グループにおいても、気候変動の重要性を認識しており、気候変動の移行リスク(炭素税の導入
等の地球温暖化対策の環境規制等によって調達やエネルギーコストが上昇するリスク等)と物理的リスク(事業拠
点の被災、サプライチェーンの寸断や物流の稼働停止のリスク等)は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性が
あります。
これらのリスクに対して、当社グループはサステナビリティ基本方針を策定し、サステナビリティ委員会を中心
とした推進体制に基づき、その対策について審議しております。また、その内容は、必要に応じて取締役会に報告
しております。
また、2023年3月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、気候変動の影響評価及びその情報開示に取り組んでおります。
(10) 地政学リスクについて
2022年ロシアのウクライナ侵攻とそれに伴うヨーロッパにおけるエネルギー供給の懸念や、台湾問題等をめぐる米中対立の高まり等、地政学リスクをめぐる企業活動への影響が注目されています。
当社グループでは、ジルコンサンドを中心とする鉱産物、その他物資等の輸出入を行うとともに、環境設備関連
の機械類の一部を輸入しております。各国の経済情勢、地政学的なリスク等によって、物流体制やサプライチェー
ンが影響を受け、国際的な需給動向の変化が起きる場合、当社グループの仕入コストが高騰する可能性があるとと
もに、地政学的リスクやサプライヤーの事故等により商品供給責任を果たせなくなる可能性があり、この場合、当
社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 情報セキュリティリスクについて
当社グループが事業を行うにあたり、商品に関する技術情報、顧客の営業情報、役職員の個人情報など、多くの
機密情報を保有しております。当社グループでは、これらの情報の外部流出、データの改竄等や消失を防止するた
め、情報セキュリティ管理規程を制定するとともに、役職員に対する情報セキュリティに関する研修を実施し、情
報システムの適切な管理、運用などに努めております。
しかしながら、外部からの不正アクセスやランサムウエアなどのサイバー攻撃や、自然災害、大規模停電等によ
るシステム障害が発生し、事業継続が困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束とともに社会経済活動の正常化が進むなか、雇用・所得環境の改善や堅調な企業業績等に支えられ、緩やかに回復しつつあります。しかしながら、原材料価格の高騰等に伴う物価の上昇により回復途上の個人消費に足踏みがみられるほか、世界的な金融引き締めの影響や中国経済の低迷など海外景気の下振れリスクもあり、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経済環境のもとで当社グループは、2023年3月期から2025年3月期までの3か年を計画期間とする新中期経営計画「“Resilience”Rasa 2024 ~再生から飛躍へ~」を策定し、グループ・ガバナンスの確立を最重要課題と位置づけ、グループの連携をさらに強固なものとしつつ、更なる飛躍を目指し、持続的な企業価値向上に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の売上高は、資源・金属素材関連、プラント・設備工事関連、化成品関連が減収となったことを受けて279億16百万円となり、前連結会計年度と比べ17億39百万円(△5.9%)の減収となりました。
利益につきましては、営業利益は24億97百万円となり、前連結会計年度と比べ3億55百万円(△12.5%)の減益となりました。また、経常利益は28億16百万円となり、前連結会計年度と比べ1億68百万円(△5.6%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は19億97百万円となり、前連結会計年度と比べ1億16百万円(△5.5%)の減益となりました。
セグメント別の状況は、次のとおりです。
資源・金属素材関連では、中国における不動産不況やサプライチェーンの混乱により積み上がった過剰在庫の消化に時間が掛かったことで、当社取扱原料の需要が低迷したことから、関連部門の売上高は64億41百万円となり、前連結会計年度と比べ18億7百万円(△21.9%)の減収となりました。また、売上減収からセグメント利益は3億99百万円となり、前連結会計年度と比べ4億41百万円(△52.5%)の減益となりました。
産機・建機関連では、民間・官庁ともに活発な設備メンテナンス需要・新規案件等により、各種ポンプ関係の販売・整備は堅調に推移いたしました。また、シールド掘進機も販売・レンタルともに大型案件の獲得により底堅く推移し、関連部門の売上高は103億26百万円となり、前連結会計年度と比べ13億39百万円(14.9%)の増収となりました。また、売上増収からセグメント利益は15億13百万円となり、前連結会計年度と比べ4億8百万円(37.0%)の増益となりました。
環境設備関連では、主力商品の一つであるピストンポンプ本体の販売が一巡したものの、民間及び官庁ともに整備需要が増大しました。また水砕関連について、既設プラントの能力アップ改造やCO2の削減に向けた環境対策の一環として設備を開発する設計業務の新規案件が重なったため、関連部門の売上高は19億10百万円となり、前連結会計年度と比べ1億10百万円(6.1%)の増収となりました。セグメント利益は3億51百万円となり、前連結会計年度と比べ84百万円(31.5%)の増益となりました。
プラント・設備工事関連では、大型工事が減少したことなどによる減収要因があり、関連部門の売上高は28億21百万円となり、前連結会計年度と比べ6億38百万円(△18.5%)の減収となりました。また、売上減収及び一部工事の採算悪化が大きく影響し、セグメント損失は99百万円(前連結会計年度は2億84百万円の利益)となりました。
化成品関連では、自動車関連分野での受注回復が見られましたが、電線分野やグリース分野での受注が減少したことから、関連部門の売上高は61億68百万円となり、前連結会計年度と比べ7億44百万円(△10.8%)の減収となりました。また、売上減収からセグメント利益は1億34百万円となり、前連結会計年度と比べ9百万円(△6.3%)の減益となりました。
不動産賃貸関連では、賃貸ビルの満室維持と駐車場用地の地代見直しがあったため、関連部門の売上高は3億71百万円となり、前連結会計年度と比べ1百万円(0.3%)の増収となりました。一方、修繕費、租税公課、減価償却費などが増加したことから、セグメント利益は1億95百万円となり、前連結会計年度と比べ7百万円(△3.6%)の減益となりました。
当連結会計年度の受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 不動産賃貸関連は、全て賃貸によるもののため、記載しておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 販売実績の合計額は、セグメント間の内部取引調整前のものであります。
当連結会計年度末の総資産は325億68百万円となり、前連結会計年度に比べ6億47百万円の増加となりました。
(流動資産)
流動資産は195億23百万円となり、前連結会計年度に比べ4億30百万円の増加となりました。
これは主に、商品及び製品で10億49百万円の増加に対し、現金及び預金で8億85百万円の減少等があったことによるものです。
(固定資産)
固定資産は130億44百万円となり、前連結会計年度に比べ2億17百万円の増加となりました。
これは主に、投資有価証券で4億88百万円の増加に対し、建物及び構築物(純額)で87百万円の減少等があったことによるものです。
(流動負債)
流動負債は82億44百万円となり、前連結会計年度に比べ4億22百万円の減少となりました。
これは主に、短期借入金で5億円の減少等があったことによるものです。
(固定負債)
固定負債は28億72百万円となり、前連結会計年度に比べ2億80百万円の減少となりました。
これは主に、長期借入金で3億21百万円の減少等があったことによるものです。
(純資産)
純資産は214億50百万円となり、前連結会計年度に比べ13億50百万円の増加となりました。
これは主に、剰余金の配当で8億51百万円の減少があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益で19億97百万円を計上したこと、その他有価証券評価差額金で1億47百万円の増加等があったことによるものです。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は46億47百万円となり、前連結会計年度に比べ8億83百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は7億17百万円(前連結会計年度は25億38百万円の獲得)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益28億42百万円、仕入債務の増加額4億14百万円などによる資金の増加に対し、法人税等の支払額又は還付額10億49百万円、棚卸資産の増加額10億19百万円、未収消費税等の増加額3億円による資金の減少等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は25百万円(前連結会計年度は2億6百万円の支出)となりました。
これは主に、保険積立金の払戻による収入2億98百万円に対し、保険積立金の積立による支出2億64百万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は16億26百万円(前連結会計年度は12億45百万円の支出)となりました。
これは主に、配当金の支払額8億51百万円、短期借入金の減少額5億円、長期借入金の返済による支出4億90百万円等があったことによるものです。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入や設備投資であります。これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローの収入及び金融機関の借入にて対応することとしており、資金の流動性を安定的に確保しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成してお
ります。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び
仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(工事損失引当金)
当連結会計年度末の手持工事のうち、工事原価総額等が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額
を合理的に見積もることができる場合には、将来の損失に備えるため、その損失見込額を工事損失引当金として計
上しております。工事収益総額及び工事原価総額等の見積りにあたっては、プラント・設備工事関連事業の進捗状
況を踏まえた最新の情報に基づいて行っておりますが、当初想定されていなかった事象の発生などにより見積りと
実績が乖離した場合には、将来の損益は見積り金額と異なる可能性があります。
(プラント・設備工事関連の収益認識)
プラント・設備工事関連事業は、石油精製、石油化学、ガス関連、クリーンルーム関連、各種工事関連、都市部大型空調設備関連等の多種多様な分野のプラント及び関連設備工事に係る設計、施工及びメンテナンス工事を主たる事業としております。
プラント・設備工事等の契約に関しては、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗率の見積りの方法は、見積総原価に対する実際原価の割合(インプット法)で算出しております。なお、履行義務の充足に係る進捗率の合理的な見積りが出来ない工事については、原価回収基準を適用しております。また、期間がごく短い工事については、原価回収基準は適用せず、履行義務を充足した時点で収益を認識しております。
工事収益総額及び工事総原価の見積算定にあたっては、プラント・設備工事関連事業の進捗状況を踏まえた最新の情報に基づいて行っておりますが、当初想定されていなかった事象の発生などにより見積りと実績が乖離した場合には、将来の損益は見積り金額と異なる可能性があります。
(注)2024年1月1日から1年毎の更新かつ最大2年間の延長条項があります。
(連結子会社の吸収合併)
当社は、2023年10月24日開催の取締役会において、2024年4月1日を効力発生日として、当社を存続会社、当社の完全子会社であるイズミ株式会社を消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、同日付で吸収合併契約を締結し、2024年4月1日付でイズミ株式会社を合併いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
記載すべき重要な研究開発活動はありません。