【連結財務諸表注記】

1.報告企業

 当社は、日本に所在する株式会社です。当社及び当社の連結子会社(以下「ソニー」又は「ソニーグループ」)は、様々な一般消費者向け、業務向け及び産業向けのエレクトロニクス製品・部品、具体的にはネットワークサービス、家庭用ゲーム機、ゲームソフトウェア、テレビ、オーディオ・ビデオレコーダー及びプレーヤー、静止画・動画カメラ、スマートフォン、イメージセンサー等を開発、設計、制作、製造、提供、販売しています。ソニーの主要な生産施設は日本を含むアジアにあります。ソニーは、また、特定の製品の製造を外部の生産受託業者に委託しています。ソニーの製品及びサービスは世界全地域において、販売子会社及び資本関係のない各地の卸売業者ならびにインターネットによる直接販売により販売、提供されています。ソニーは、音楽ソフトの企画、制作、製造、販売及び楽曲の詞及び曲の管理及びライセンスならびにアニメーション作品及びゲームアプリケーションの制作、販売を行っています。ソニーは、また、映画作品及びテレビ番組の製作又は制作、買付、販売ならびにテレビネットワーク及びDirect-to-Consumer(以下「DTC」)配信サービスのオペレーションを行っています。さらに、ソニーは、日本の生命保険子会社及び損害保険子会社を通じた保険事業、日本のインターネット銀行子会社を通じた銀行業などの様々な金融ビジネスを行っています。

 

2.作成の基礎

(1) 連結財務諸表がIFRSに準拠している旨の記載

 ソニーの連結財務諸表は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同規則第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しています。

 

(2) 連結財務諸表の承認

 連結財務諸表は、2024年6月25日に、当社代表執行役会長CEOの吉田 憲一郎及び代表執行役社長COO兼CFOの十時 裕樹によって承認されています。

 

(3) 機能通貨及び表示通貨

 連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨とし、百万円未満を四捨五入して表示しています。

 

(4) 見積り及び判断の利用

 IFRSに準拠した連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針の適用、資産、負債及び収益・費用の報告金額ならびに偶発資産・偶発負債の開示に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っています。実際の結果は、これらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。なお、見積り及び仮定は、継続して見直しています。会計上の見積りの変更による影響は、見積りを変更した報告期間及びその影響を受ける将来の報告期間において認識されます。

 

 連結財務諸表に重要な影響を与える会計方針の適用に際して行った判断に関する情報は以下のとおりです。

・金融商品の分類(注記3 I 重要性がある会計方針(5))

・保険契約負債の測定(注記3 I 重要性がある会計方針(11)、注記13)

 

 連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の見積り及び仮定に関する情報は、以下のとおりです。

・金融商品の公正価値(注記3 I 重要性がある会計方針(5)及び(15)、注記5)

・非金融資産の減損(注記3 I 重要性がある会計方針(10)、注記12)

・保険契約負債の測定(注記3 I 重要性がある会計方針(11)、注記13)

・繰延映画製作費及び映画分野における未払分配金債務の測定(注記3 I 重要性がある会計方針(9)及び(12)、注記11、注記18)

・繰延税金資産の回収可能性(注記3 I 重要性がある会計方針(24)、注記25)

・企業結合により取得した資産、引受けた負債の測定(注記3 I 重要性がある会計方針(2)、注記30)

 

(5) 会計方針の変更

 ソニーが2023年度より適用している基準書は以下のとおりです。

 

IFRS第17号「保険契約」

 2017年5月、IASBは、IFRS第17号「保険契約」(以下「IFRS第17号」)を公表し、2020年6月及び2021年12月にIFRS第17号の修正を公表しました。IFRS第17号は、IFRS第4号「保険契約」(以下「IFRS第4号」)を置き換え、IFRS第17号の範囲に含まれる保険契約の認識、測定、表示及び開示に関する原則を示しています。IFRS第17号は一般モデルを提供し、これに直接連動有配当性を有する保険契約特有のアプローチ(変動手数料アプローチ)と、主に短期の保険契約に対する簡素化されたアプローチ(保険料配分アプローチ)が加えられています。

 ソニーは、2023年4月1日からIFRS第17号を適用しています。連結財政状態計算書上、従来適用していたIFRS第4号にもとづき、主に保険契約債務その他、生命保険ビジネスにおける契約者勘定及び繰延保険契約費として表示されていた保険関連科目は、IFRS第17号の適用により、主に保険契約負債として表示しています。従来の保険契約債務の測定は、主に当初認識時の仮定を用いて行っていましたが、IFRS第17号の適用後の保険契約負債は、各報告日における仮定を用いて再測定されます。また、従来の繰延保険契約費は、保険契約債務とは別の資産として計上されていましたが、IFRS第17号の適用後は、履行キャッシュ・フローに含まれる範囲で保険契約負債の測定に含まれています。その結果、IFRS第17号の適用によるソニーの資本合計への影響額は、移行日である2022年4月1日時点において、利益剰余金の409,654百万円の増加及び累積その他の包括利益の1,900,321百万円の減少による1,490,667百万円の減少であり、これらの変化は、主に保険契約負債の測定にあたって使用する割引率の変更の影響及びIFRS第4号とIFRS第17号のその他の測定方法の違いによるものです。また、連結損益計算書上、IFRS第17号の適用後の金融ビジネス収入は、保険収益及びその他の金融ビジネス収入に分けて表示しています。IFRS第17号の適用後の保険収益は、預り金である投資要素を控除していること等の理由により、IFRS第4号における保険料収入とは異なっています。

 ソニーは、IFRS第17号の適用にともなう会計方針の変更については、実務上不可能でない限り遡及適用しています。一部の保険契約グループについては、完全な遡及適用が実務上不可能なため、ソニーは合理的で裏付け可能な情報を用いる修正遡及アプローチ又は移行日(2022年4月1日)時点の公正価値を用いる公正価値アプローチを適用して、移行日時点における保険契約グループの識別、認識及び測定を行っています(注記13を参照)。そのため、ソニーは比較期の連結財務諸表をIFRS第17号を遡及適用した前提で修正再表示し、2022年4月1日時点の連結財政状態計算書についても修正再表示しています。

 ソニーは、IFRS第17号の経過措置を適用しており、IFRS第17号の遡及適用による各財務諸表項目及び一株当たり利益への影響を開示していません。IFRS第17号の遡及適用による2022年4月1日時点のソニーの資本合計への影響は、連結持分変動計算書に表示しています。

 IFRS第17号の適用により、前連結会計年度に係る連結財務諸表において適用した保険契約に係る会計方針を変更しています。変更後の保険契約に係る会計方針は、注記3 I 重要性がある会計方針(11)をご参照ください。

 

(6) 表示方法の変更

連結キャッシュ・フロー計算書関係

 2022年度に係る連結キャッシュ・フロー計算書の一部の金額を、2023年度の表示に合わせて組み替えています。

 

3.重要性がある会計方針の要約

I.重要性がある会計方針

(1) 連結の基礎

i)子会社

 子会社とは当社により支配されている企業をいいます。支配とは、企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。

 子会社の財務諸表は、支配獲得日から支配喪失日までの間、ソニーの連結財務諸表に含まれています。

 連結会社間の取引高及び債権債務は、連結財務諸表の作成にあたり全て消去しています。

 子会社が適用する会計方針がソニーの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表を調整しています。

 支配が継続する子会社に対するソニーの持分変動は、資本取引として会計処理しており、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、ソニーの所有者に帰属する持分として資本に直接認識しています。支配を喪失した場合には、残存する持分の支配を喪失した時点の公正価値で測定した上で、支配の喪失から生じた利得及び損失を純損益で認識しています。

 

ⅱ)関連会社及び共同支配企業

 関連会社とは、ソニーがその財務及び営業方針に対して重要な影響力を有しているものの支配もしくは共同支配をしていない企業をいいます。

 共同支配企業とは、ソニーを含む複数の当事者が共同支配の取決めにもとづき、それぞれの当事者が投資先の純資産に対する権利を有している場合の当該投資先をいいます。共同支配は、契約上合意された支配の共有であり、関連性のある活動に関する意思決定に、支配を共有している当事者全員の一致した合意を必要とする場合にのみ存在します。

 関連会社及び共同支配企業への投資は、重要な影響力又は共同支配を獲得した日から喪失する日まで持分法を用いて会計処理しています。持分法では、関連会社及び共同支配企業に対する投資は、重要な影響力又は共同支配を獲得した日から喪失する日までの投資先の純損益及びその他の包括利益の変動に対するソニーの持分額を取得価額に加減算して計上されます。これらの投資に関する純損益は税引後の金額で計上され、未実現内部利益を控除した金額が営業利益(損失)に含まれています。

 持分法で会計処理されている投資は、減損の客観的な証拠が存在する場合に、投資全体の帳簿価額を単一の資産として減損テストを行っています。

 関連会社又は共同支配企業が適用する会計方針がソニーの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社又は共同支配企業の財務諸表を調整しています。

 関連会社又は共同支配企業に該当しなくなり、持分法の適用を中止した場合には、持分法の適用を中止したことから生じた利得又は損失を純損益として認識しています。

 

ⅲ)共同支配事業

 共同支配事業とは、ソニーを含む複数の当事者が共同支配の取決めにもとづき、それぞれの当事者が投資先の資産に対する権利及び負債に対する義務を有するものをいいます。

 ソニーは、共同支配事業に関する資産、負債、収益及び費用のうち、ソニーの持分相当額を認識しています。

 

ⅳ)ストラクチャード・エンティティ

 ストラクチャード・エンティティとは、議決権又は類似の権利が支配の有無の判定において決定的な要因とならないように設計された事業体をいいます。

 ソニーは、ストラクチャード・エンティティへの関与から生じる変動リターンに対するリスク又は権利を有している場合で、当該投資先に対するパワーを通じてこれらの変動リターンに影響を与えることができる場合、支配を有していると判断し連結しています。

 

(2) 企業結合

 被取得企業における識別可能資産及び負債は、限定的な例外を除き、取得日の公正価値で測定しています。

 企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額及びソニーが従来保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にはその超過額がのれんとして認識され、下回る場合には純利益として認識されます。移転された対価は、移転した資産、引受けた負債及び発行した資本持分の公正価値の合計で算定されています。非支配持分は、個々の企業結合取引ごとに、公正価値又は被取得企業の識別可能な純資産に対する非支配持分の比例的持分として測定しています。

 また、取得関連費用は、発生した期間において費用として認識しています。

 

(3) 外貨換算

i)外貨建て取引

 外貨建て取引は、取引日における直物為替相場又はそれに近似するレートにより換算しています。決算日における外貨建て貨幣性資産及び負債は、決算日の為替レートで機能通貨に換算しています。通常、当該換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識しています。ただし、キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されるデリバティブに関する換算差額は、その他の包括利益として認識しています。

 

ⅱ)在外営業活動体の換算

 海外子会社や関連会社等の在外営業活動体の資産及び負債は、決算日の為替レートで、収益及び費用は、為替レートが著しく変動している場合を除き、期中の平均レートでそれぞれ換算しています。当該換算により生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しています。

 在外営業活動体を処分する場合、当該在外営業活動体に関連する換算差額の累計額は、処分時に純損益に振り替えています。

 

(4) 現金及び現金同等物

 現金及び現金同等物は、表示された金額で容易に換金され、かつ価値変動リスクが僅少なもので、取得日から3ヵ月以内に満期の到来する流動性の高い全ての投資を含んでいます。

 

(5) 金融商品

 ソニーは、金融商品の契約の当事者になった時点で、金融商品を金融資産又は金融負債として認識しています。

 金融資産及び金融負債は公正価値で当初測定されます。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及び純損益を通じて公正価値で測定する金融負債を除き、金融資産及び金融負債の取得又は発行に直接起因する取引コストは、当初認識時に金融資産の公正価値に加算又は金融負債の公正価値から減算されます。

 

i)非デリバティブ金融資産

a.分類及び測定方法

 ソニーの保有する非デリバティブ金融資産は、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産のいずれかに分類されます。

 

償却原価で測定する金融資産

 ソニーは、契約上のキャッシュ・フローを回収することを事業上の目的として保有され、かつ当該金融資産の契約条件により所定の日に元本及び元本残高に対する利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる金融資産を、償却原価で測定する金融資産に分類しています。当該金融資産は、当初認識後は実効金利法による償却原価により測定しています。また、償却原価で測定する金融資産の認識を中止した場合、資産の帳簿価額と受け取った対価又は受取可能な対価との差額は純損益に認識しています。

 

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品

 負債性金融商品のうち、契約上のキャッシュ・フローを回収することと売却の両方を事業上の目的として保有され、かつ金融資産の契約条件により所定の日に元本及び元本残高に対する利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる金融資産を、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。当該金融資産は当初認識後の公正価値の変動を、減損利得、減損損失及び為替差損益を除き、その他の包括利益として認識しています。また、当該金融資産から生じる実効金利法による金利収益は純損益に認識しています。その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の認識の中止が行われる場合、過去にその他の包括利益で認識した累計額を純損益として振り替えています。

 生命保険ビジネスにおいては、資産負債の総合管理(以下「ALM」)の観点から当該金融資産を保有しています。生命保険ビジネスにおいて金融資産を保有する目的は、主に保険契約負債の金利感応度(デュレーション)と可能な限り一致させることにより、期限到来時の保険金等の支払原資を十分に確保することです。

 ソニーは、当該金融資産を、デュレーションと流動性ニーズを効率的に管理するという全体的な目的にもとづき、1つのポートフォリオとして管理しています。ポートフォリオには、より長期間にわたって保有される可能性のある金融資産が含まれていますが、ポートフォリオに含まれる全ての金融資産は、上記の全体的な目的を考慮して、キャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される1つのビジネスモデル内で保有されていると判断しています。

 

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品

 売買目的以外で保有する資本性金融商品に対する投資については、当初認識時に、公正価値の事後の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能の選択を行う場合があります。

 当該金融資産は公正価値で測定し、その事後的な変動はその他の包括利益に計上されます。なお、当該金融資産から生じる配当金については純損益で認識しており、認識を中止した場合は、その他の包括利益で認識した累計額を利益剰余金に振り替えています。

 

純損益を通じて公正価値で測定する金融資産

 償却原価で測定されるもの及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定するもの以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。当該資産には、売買目的で保有する金融資産が含まれています。

 生命保険ビジネスにおいては、変額保険及び変額個人年金保険に対する投資は主に株式、債券、投資ファンドで構成されており、純損益を通じて公正価値で測定しています。

 また、会計上のミスマッチを解消又は大幅に削減するために、通常純損益を通じて公正価値で測定しない金融資産に対し、当初認識時に、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定する取消不能な選択をする場合があります。

 生命保険ビジネスにおいては、IFRS第17号適用後において、一部の変額保険及び変額個人年金保険から生じる保険金融収益又は費用と整合させて、一部の負債性証券を純損益を通じて公正価値で測定するものと指定することにより、会計上のミスマッチを軽減しています。

 銀行ビジネスにおいては、一部の固定金利付負債性証券に関する金利の不利な変動にともなう公正価値変動リスクをヘッジするためにデリバティブを利用しており、当該負債性証券を純損益を通じて公正価値で測定するものと指定することにより、会計上のミスマッチを軽減しています。

 

b.認識の中止

 ソニーは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は、金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産に係るリスクと経済価値のほとんど全てを移転した場合に、当該金融資産の認識を中止しています。

 

c.減損

 ソニーは、償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品について、予想信用損失を見積もり、損失評価引当金の計上を行っています。各決算日において、ある金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品に係る損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。一方で、各決算日において、ある金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る損失評価引当金を12ヵ月の予想信用損失に等しい金額で測定しています。信用リスクの著しい増大の有無については、当該金融商品の予想存続期間にわたる債務不履行発生のリスクの変動を用いて判断し、過去の損失率及びマクロ経済状況が顧客の支払能力に与える影響を考慮し、その他合理的に利用可能な将来予測情報等を反映する方法で予想信用損失を見積もっています。

 ソニーは金融資産に対して、貨幣の時間価値を反映し、過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測について報告日時点で合理的で裏付け可能な入手できる情報を加味した、偏向のない確率加重を考慮した予想信用損失を測定しています。

 ただし、営業債権、その他の債権及び契約資産(映画分野におけるその他の非流動債権を含む)については、期日経過状況や取引相手の属性等に応じた集合的ベース又は個別の取引相手ごとに、信用リスクの増減にかかわらず、損失評価引当金を全期間の予想信用損失と等しい金額で測定しています。

 ソニーは金融資産の将来見積キャッシュ・フローに不利な影響を与える1つ又は複数の事象が発生している場合に金融資産が信用減損したと判断しています。ソニーの金融資産が信用減損していると判断する基準には、利息や元本の支払いにおいて債務不履行又は90日超の期日経過事象が生じていることを含みます。

 ソニーは金融資産の全部又は一部の回収が合理的に見込まれなくなった時点で、その資産の総額での帳簿価額を直接償却しています。

 

金融分野における負債性証券及び貸出金

 金融分野における負債性証券及び貸出金に係る予想信用損失は、バーゼルⅢ規制の枠組みや主要な信用格付機関が公表する外部情報を活用して、デフォルト率(以下「PD」)、デフォルト時損失率(LGD)及びデフォルト時貸出残高(EAD)を乗じて算出されています。また、PDの算定には将来の経済予測が含まれています。

 信用リスクの著しい増大の評価は、当初認識と報告日時点におけるデフォルト率を比較することによって実施されています。ソニーは、資産種別、信用格付け、担保の回収能力、期日経過状況や金融商品のその他の関連する特性等の過度なコストや労力をともなわずに入手できる合理的で裏付け可能な情報を用いて、集合的ベース又は個々の発行体ごとに予想信用損失を認識し測定しています。

 また、ソニーは報告日時点で主要な信用格付機関によって投資適格とみなされる一部の負債性証券について、低い信用リスクの例外を適用しています。そのような金融商品について、ソニーは信用リスクが当初認識時点より著しく増大していないと推定しています。

 貸出金の契約条件が変更される場合、総額の帳簿価額が当初の実効金利で再測定され、変更による利益又は損失は純損益として認識されています。

 

ⅱ)非デリバティブ金融負債

 ソニーは、非デリバティブ金融負債を実効金利法による償却原価で事後測定するもの又は純損益を通じて公正価値で事後測定するものに分類しています。

 ソニーは、金融負債が消滅した場合、すなわち、契約上の義務が免責、取消又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しています。

 

ⅲ)デリバティブ及びヘッジ会計

 全てのデリバティブは公正価値により連結財政状態計算書上、資産又は負債として計上されています。デリバティブの公正価値の変動は、対象となるデリバティブがヘッジとして適格であるか否か、また適格であるならば公正価値変動もしくはキャッシュ・フロー変動のいずれをヘッジするために利用されているかに応じて、直ちに純損益もしくはその他の包括利益に計上されています。

 ソニーが保有しているデリバティブの会計処理は、下記のとおりです。

 

キャッシュ・フロー・ヘッジ

 予定取引、又は認識された資産もしくは負債に関連するキャッシュ・フロー変動リスクに対するヘッジとして指定され、かつ有効と判定されたデリバティブの公正価値変動は当初、その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が純損益に影響を与える時に純損益に振り替えられています。公正価値変動のうち、ヘッジの効果が有効でない部分は直ちに純損益に計上されています。

 

ヘッジとして指定されていないデリバティブ

 ヘッジとして指定されていないデリバティブの公正価値変動は直ちに純損益に計上されています。

 

ヘッジの有効性の評価

 ヘッジ会計を適用する場合には、ソニーは様々なヘッジ活動を行う際のリスク管理目的及び方針を文書化するとともに、ヘッジとして指定される全てのデリバティブとヘッジ対象との間のヘッジ関係を文書化しています。ソニーはキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されるデリバティブを連結財政状態計算書の特定の資産及び負債、又は特定の予定取引と紐付けています。ソニーはまた、ヘッジの開始時及び継続期間中において、ヘッジとして指定されたデリバティブがヘッジ対象の公正価値変動もしくはキャッシュ・フロー変動を相殺するのに経済的関係があるかどうかの評価を行っています。なお、ソニーが契約するヘッジ取引については、信用リスクの影響が経済的関係から生じる価値変動の大部分を占めることはありません。さらに、ヘッジ関係の比率が、ソニーが実際にヘッジするヘッジ対象の数量とソニーがヘッジ対象の当該数量をヘッジするために実際に使用するヘッジ手段の数量の比率と同じとなるようにデザインされています。

 なお、デリバティブがヘッジ対象と経済的関係がないと認められた場合には、ヘッジ会計は中止されます。

 

ⅳ)金融資産と金融負債の相殺

 ソニーは、認識している金額を相殺する法的に強制可能な権利を現在有している場合であって、かつ、純額で決済する意図又は資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有している場合にのみ、金融資産と金融負債とを相殺し、その純額を連結財政状態計算書上で表示しています。

 

(6) 棚卸資産

 棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のうち、いずれか低い金額により測定しています。棚卸資産の取得原価は、加重平均法によって計算しています。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積販売価格から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除した額です。

 

(7) 有形固定資産及び減価償却

 有形固定資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、解体・除去及び原状回復費用が含まれています。減価償却は、耐用年数(建物及び構築物については2年から50年、機械装置及びその他の有形固定資産については2年から10年の期間)にもとづき、定額法で行っています。耐用年数及び残存価額は、各報告期間の末日、又は必要に応じて適時に見直しを行っています。

 

(8) リース

 契約開始時点において、ソニーは当該契約がリースを含んでいるかどうかを決定しています。対価の支払いと引き換えに、識別された資産の使用を一定期間支配する権利を契約が提供している場合には、その契約にはリースが含まれているものとしています。リースから認識した資産及び負債は、連結財政状態計算書上、使用権資産、1年以内に返済期限の到来する長期借入債務及び長期借入債務に含まれています。

 使用権資産は、リース期間にわたって原資産を使用する権利を表しており、リース負債はリース契約より発生するリース料の支払いに係る債務を表しています。使用権資産とリース負債は、リース開始日においてリース期間にわたるリース料の現在価値にもとづいて認識されます。また使用権資産は、リース開始日以前に発生したリース料と当初直接コストを含んでおり、リース・インセンティブを除いています。リース料の現在価値を計算するにあたって、大部分のリースについてリースの計算利子率は入手可能ではないため、ソニーは通常、借手の追加借入利子率を使用しています。ソニーは、リース開始日におけるそれぞれの国や地域の経済状況及びリース期間を考慮した上で、担保付借入の見積利子率をもとに借手の追加借入利子率を決定しています。リースを延長又は終了させる契約上のオプションの行使が合理的に確実な場合、リース期間は当該オプションを含みます。リースの原資産の所有権が、リース期間が終了する以前に借手へと移転する場合、もしくは借手の購入オプションの行使が合理的に確実である場合、ソニーは使用権資産を開始日から原資産の耐用年数の終了時まで減価償却しています。それ以外の場合には、ソニーは使用権資産を開始日から使用権資産の耐用年数の終了時又はリース期間の終了時のいずれか早い方の期間で減価償却しています。ソニーは、リース構成要素と非リース構成要素を単一のリース構成要素として会計処理しています。リース期間が1年以内のリースについて、ソニーは短期リースの認識に関する免除規定を適用しており、使用権資産及びリース負債を認識せず費用を定額で認識しています。

 

(9) 無形資産(コンテンツ資産を含む)及び償却

 無形資産は原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しています。個別に取得した無形資産は取得原価で当初測定しています。

 

 償却対象となる無形資産は、主に特許権、ノウハウ、ライセンス契約、顧客関係、商標、ソフトウェア、テレビ放送委託契約、繰延映画製作費、テレビ放映権、ミュージック・カタログ、アーティスト・コントラクト、音楽配信権及びゲームコンテンツからなっています。特許権、ノウハウ、ライセンス契約、商標及びソフトウェアは、主に3年から10年の期間で定額法により償却しています。顧客関係、テレビ放送委託契約、アーティスト・コントラクト、音楽配信権及びゲームコンテンツは、主に2年から15年の期間で定額法により償却しています。ミュージック・カタログは、主に5年から44年の期間で定額法により償却しています。繰延映画製作費は、作品ごとの予想総収益に対する各年度の収益割合に応じて償却しています。ソニーは、この予想総収益にもとづく償却方法は関連資産に関わる活動で生み出される経済的便益の消費割合の予想を反映しており、収益と無形資産の経済的便益の消費との相関が高いと考えています。テレビ放映権は、主に使用見込みにもとづき又は耐用年数にわたって定額法にもとづき償却しています。

 

 無形資産の償却費は、連結損益計算書の売上原価、販売費及び一般管理費に計上されています。耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産は償却していません。ソニーに正味のキャッシュ・インフローをもたらすと見込まれる期間について予測可能な限度がない無形資産を、耐用年数が確定できない無形資産とみなしています。

 

 繰延映画製作費、テレビ放映権、ミュージック・カタログ、アーティスト・コントラクト、音楽配信権及びゲームコンテンツは合わせて連結財政状態計算書のコンテンツ資産として表示されています。繰延映画製作費は、映画作品及びテレビ番組の両方に係る直接製作費、間接製作費、取得及び配信権に係る費用を含んでいます。テレビ放映権は、ソニーの世界的なチャネル及びDTC配信サービスで放映される買付作品を含み、ライセンス期間が開始され放映できる状態にある場合にこれらの放映権が認識されます。ミュージック・カタログは、原盤権もしくは音楽著作権に対する独占的権利です。原盤権もしくは音楽著作権には、様々な市場において利用及び販売することができる楽曲及び歌詞を含んでいます。アーティスト・コントラクトは、音楽アーティストもしくは作曲家がソニーに対し音楽作品に係る独占的権利を提供する契約です。音楽配信権は、第三者が所有する音楽コンテンツを配信する権利です。ゲームコンテンツは、自社制作又は第三者に制作を委託しソニーが権利を保有するゲームコンテンツ、第三者との契約により取得したゲームコンテンツ及び第三者が所有するゲームコンテンツを配信する権利です。

 

(10) 非金融資産の減損

 ソニーは、棚卸資産、契約コスト及び繰延税金資産を除く非金融資産について、個々の資産又は資金生成単位に係る減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能性の検討を行っています。これに加え、各資金生成単位に配分されているのれん、耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産の帳簿価額については、年に1回第4四半期に減損テストを実施しています。

 

 資金生成単位は、他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローからおおむね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の識別可能な資産グループです。のれんは、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれている資金生成単位又は資金生成単位グループのそれぞれに配分されています。のれんの資金生成単位又は資金生成単位グループは、事業セグメントの範囲内となっています。

 

 資産、資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方の金額としています。使用価値は、将来見積キャッシュ・フローの現在価値として算定しています。割引計算には、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクについての現在の市場評価を反映した税引前の割引率が用いられています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フローに固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、利益倍率又は収益倍率、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定等多くの重要な見積り・仮定を使用します。それぞれの資金生成単位における将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)に使用される仮定は、主に3ヵ年中期計画にもとづいており、過去の経験、市場及び産業データ、現在及び見込まれる経済状況等を考慮しています。永続成長率は主に3ヵ年予測期間後のターミナル・バリューを決定するために使用されています。

 

 回収可能価額が資金生成単位又は資金生成単位グループの帳簿価額を下回る場合、帳簿価額が回収可能価額を超過する金額を減損損失として認識します。識別された減損損失はまず当該単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額し、それから当該資金生成単位内の各資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しています。コンテンツ資産を除く減損損失は連結損益計算書のその他の営業損(益)(純額)に、コンテンツ資産の減損損失は売上原価に含まれています。

 

 また、過去に減損損失を認識したのれん以外の資産について、減損損失が既に存在しないか、あるいは減少している可能性を示す兆候があるかどうかの検討を行っています。そのような兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額を見積もり、回収可能価額が帳簿価額を上回るときは、減損損失を戻入れています。減損損失の戻入れによって増加した帳簿価額は、過去の期間において当該資産について認識した減損損失がなかったとした場合の減価償却又は償却額控除後の帳簿価額を超えることはありません。

 

(11) 保険契約負債

ⅰ)保険契約の定義及び分類

 ソニーは、保険契約を、所定の不確実な将来事象が保険契約者に不利な影響を与えた場合に、保険契約者への補償に同意することにより、重大な保険リスクを引受けている契約と定義しています。保険リスクが重大であるかの評価にあたっては、ソニーは法律又は規則にもとづく権利及び義務を含め、全ての実質的な権利及び義務を契約単位で考慮しています。その上で、現在価値ベースでソニーが損失を被る可能性のある経済的実質を有するシナリオが存在するかどうか及びソニーが引受けた保険リスクが重大であるかどうかを評価しています。なお、保険の法的形態を有しているものの重大な保険リスクをソニーに移転していない契約は、投資契約に分類され、当該投資契約負債は金融負債として、その他の金融負債に含めて会計処理されています。

 

 金融分野に含まれる生命保険ビジネスにおいてソニーが引受ける保険契約は、主に終身保険、定期保険、疾病・医療保険、変額保険及び変額個人年金保険から構成されます。ソニーは、変額保険及び変額個人年金保険が当初認識時に以下の全ての要件を満たす場合に、直接連動有配当保険契約に分類しています。

・契約条件で、基礎となる項目の明確に識別されたプールに対する持分に保険契約者が参加する旨を定めている。

・基礎となる項目に対する公正価値リターンの相当な持分に等しい金額を保険契約者に支払うとソニーが予想している。

・保険契約者に支払う金額の変動の相当部分が、基礎となる項目の公正価値の変動に応じて変動するとソニーが予想している。

 

 ソニーはそれ以外の全ての保険契約を、直接連動有配当保険契約以外の保険契約に分類しています。

 

ⅱ)保険契約の集約

 保険契約の測定にあたっては、ソニーは保険契約をいくつかのグループに集約しています。保険契約グループは、保険契約のポートフォリオを識別することによって決定しています。各ポートフォリオは、類似したリスクにさらされていて一括して管理されている複数の契約で構成され、ソニーは各ポートフォリオを保険契約の発行時期が属する四半期会計期間ごとに分割した上で、保険契約の収益性にもとづき以下の3つのグループのいずれかに分類しています。

・当初認識時に不利な契約

・当初認識時において、その後に不利となる可能性が高くない契約

・残りの契約

 

ⅲ)保険契約の認識及び認識の中止

 ソニーは、発行した保険契約グループを以下のうちの最も早い時点から認識しています。

・保険契約グループのカバー期間の開始時

・保険契約グループ内の保険契約者からの最初の支払いの期限が到来した日

・事実及び状況が、保険契約グループが不利であることを示している日

 なお、契約上の支払期日がない場合には、保険契約者から最初の支払いを受けた日をもって支払期日とみなしています。

 

 また、報告期間末までに個別に認識要件を満たす契約のみが保険契約グループに含まれ、契約が報告期間の末日以降に認識要件を満たす場合には、認識要件を満たした報告期間の保険契約グループに追加されます。保険契約グループの構成は、その後の期間に再評価はされません。

 ソニーは、規則的かつ合理的な方法を用い、過大なコスト又は労力をかけずに利用可能な全ての合理的で裏付け可能な情報を偏りのない方法で考慮して、保険獲得キャッシュ・フローを保険契約グループに配分しています。ソニーは、保険獲得キャッシュ・フローが保険契約グループに直接帰属する場合には、当該グループに配分しており、保険契約グループではなくポートフォリオに直接帰属する場合には、規則的かつ合理的な方法を用いてポートフォリオ内のグループに配分しています。

 

 なお、ソニーは、保険契約が消滅する場合、すなわち、保険契約で定められた義務が消滅するか、免除されるか又は取り消される場合に、保険契約の認識の中止を行っています。保険契約の認識の中止が行われる場合には、以下の会計処理を行っています。

・保険契約グループに配分される履行キャッシュ・フローは、認識の中止が行われた権利及び義務に係る履行キャッシュ・フローを除去するように修正される。

・保険契約グループの契約上のサービス・マージン(以下「CSM」)は、履行キャッシュ・フローの変動について修正される。

・残存する保険契約サービスについて見込まれるカバー単位の数は、保険契約グループから認識の中止が行われたカバー単位を反映するように修正される。

 

ⅳ)契約の境界線

 ソニーは、保険契約グループの測定にあたり、グループ内の各契約の境界線内にある全ての将来キャッシュ・フローを含めています。保険契約者が保険料を支払う義務を負う報告期間中又はソニーがサービス(保険カバー及び投資サービスを含む)を提供する実質的な義務を有している報告期間中に存在する実質的な権利及び義務から生じるキャッシュ・フローは、契約の境界線内にあります。

 

 以下のいずれかの場合には、サービスを提供する実質的な義務は終了します。

(a) ソニーが、特定の保険契約者のリスクを再評価する実務上の能力を有していて、その再評価したリスクを完全に反映した価格又は給付水準を設定できる場合

(b) ソニーが、当該契約を含むポートフォリオのリスクを再評価する実務上の能力を有していて、そのポートフォリオのリスクを完全に反映した価格又は給付水準を設定でき、かつ、その再評価日までの保険料の価格設定にその再評価日後の期間に係るリスクが考慮されていない場合

 

 自動更新条項が付帯されている保険契約の契約更新後の期間に生じるキャッシュ・フローについては、ソニーは、契約の境界線を評価し、ソニーがこうしたリスクを再評価する実務上の能力を有していない場合には、既存の契約の境界線内にあるものと判断しています。

 

ⅴ)保険料配分アプローチ(以下「PAA」)を適用せずに測定している保険契約の当初測定

 ソニーは、当初認識時において、保険契約グループを以下の合計額で測定しています。

 

(a) 履行キャッシュ・フロー

 保険契約グループの履行キャッシュ・フローは、将来キャッシュ・フローの見積り及び非金融リスクに係るリスク調整で構成されます。将来キャッシュ・フローの見積りは、貨幣の時間価値及び関連する金融リスクを反映するよう調整されますが、ソニーの不履行リスクを反映していません。割引率は、キャッシュ・フローの発生時期、通貨及び流動性を含む、保険契約グループから生じるキャッシュ・フローの特性を反映しています。保険契約のキャッシュ・フローや流動性の特性を反映した割引率の決定には、重要な見積りが含まれています。非金融リスクに係るリスク調整は、他の見積りとは別に決定されるものであり、キャッシュ・フローの金額及び時期に関する非金融リスクから生じる不確実性の負担に対して要求される対価を反映するためのものです。

 

(b) CSM

 保険契約グループのCSMは、ソニーがその契約にもとづき保険契約サービスを提供するにつれて認識することとなる未稼得利益を表しています。

 

ⅵ)PAAを適用せずに測定している保険契約の事後測定

 各報告日現在の保険契約グループの帳簿価額は、発生保険金に係る負債と残存カバーに係る負債の合計です。発生保険金に係る負債は、既発生未報告の保険金を含む未払発生保険金及び未払費用に係る履行キャッシュ・フローから構成されています。残存カバーに係る負債は、以下の項目から構成されています。

 

(a) 履行キャッシュ・フロー

 保険契約グループの履行キャッシュ・フローは、将来キャッシュ・フロー、割引率及び非金融リスクに係るリスク調整に関する現在の見積りを用いて、報告日時点で測定されます。将来キャッシュ・フローの現在価値の見積りを測定するために使用している死亡率、罹患率、解約・失効率及び割引率は、PAAを適用せずに測定している保険契約負債を測定するために用いられる重要な仮定です。

 

(b) CSM

 直接連動有配当保険契約以外の契約については、各報告日におけるCSMの帳簿価額は、期首の帳簿価額を以下の項目で調整した金額です。なお、以下の(2)、(3)1、(3)2及び(3)4については、当初認識時に決定した割引率(ロックイン割引率)を用いて測定されます。

(1) 当期にグループに加えられた新しい契約の影響

(2) CSMの帳簿価額に対して当期に発生し、計上した利息

(3) 以下の事項を含む将来のサービスに関する履行キャッシュ・フローの変動

1. 将来のサービスに関して当期に受け取った保険料から生じた実績調整(保険獲得キャッシュ・フローや保険料ベースの税金等の関連するキャッシュ・フローに係るものを含む)

2. 残存カバーに係る負債の将来キャッシュ・フローの現在価値の見積りの変動(貨幣の時間価値、金融リスク及びそれらの変動にともなう影響を除く)

3. 当期に支払われると見込まれた投資要素と当期に支払いが確定した実際の投資要素との差異

4. 将来のサービスに関する非金融リスクに係るリスク調整の変動

(4) 為替差額の影響

(5) 上記の全ての調整後に算定された、当期における保険契約サービスの提供により保険収益として認識した金額

 

 また、直接連動有配当保険契約については、各報告日におけるCSMの帳簿価額は、期首の帳簿価額を以下の項目で調整した金額です。なお、以下の(3)2、(3)3、(3)4及び(3)5については、現在の割引率を用いて測定されます。

(1) 当期にグループに加えられた新しい契約の影響

(2) 基礎となる項目の公正価値に対するソニーの持分の金額の変動

(3) 以下の事項を含む基礎となる項目に対するリターンにもとづいて変動しない履行キャッシュ・フローの変動

1. 貨幣の時間価値及び金融リスクの影響の変動(金融保証の影響を含む)

2. 将来のサービスに関して当期に受け取った保険料から生じた実績調整(保険獲得キャッシュ・フローや保険料ベースの税金等の関連するキャッシュ・フローに係るものを含む)

3. 残存カバーに係る負債の将来キャッシュ・フローの現在価値の見積りの変動(貨幣の時間価値、金融リスク及びそれらの変動にともなう影響を除く)

4. 当期に支払われると見込まれた投資要素と当期に支払いが確定した実際の投資要素との差異

5. 将来のサービスに関する非金融リスクに係るリスク調整の変動

(4) 為替差額の影響

(5) 上記の全ての調整後に算定された、当期における保険契約サービスの提供により保険収益として認識した金額

 

 なお、ソニーは、過去の期中連結財務諸表において行った保険契約における会計上の見積りについて、その後の年次及び期中の連結財務諸表において更新し、年次の会計上の見積りの結果は事業年度ごとに洗い替えて測定する会計方針を選択しています。

 

 現在又は過去のサービスに関する履行キャッシュ・フローの変動は、純損益として認識されます。また、将来のサービスに関する履行キャッシュ・フローの変動は、CSM又は損失要素として、以下のとおり調整されます。

・履行キャッシュ・フローの増加がCSMの帳簿価額を上回る場合にはCSMはゼロに減額され、超過額は保険サービス費用として認識するとともに、当該超過額は残存カバーに係る負債における損失要素として計上されます。

・CSMがゼロの場合には、履行キャッシュ・フローの変動は、残存カバーに係る負債の中の損失要素を保険サービス費用に対応させて調整します。

・履行キャッシュ・フローの減少が損失要素を超過する場合には、損失要素がゼロに減額され、超過額はCSMとして再認識されます。

 

 損失要素が存在する場合、ソニーは、将来キャッシュ・アウトフローの見積りに関連する履行キャッシュ・フローに対する損失要素の比率にもとづき、以下の項目を各保険契約グループの残存カバーに係る負債の損失要素と他の要素とに配分します。

(1) 当期に発生すると見込まれる保険金及びその他の直接起因する費用

(2) リスクからの解放による非金融リスクに係るリスク調整の変動

(3) 発行した保険契約からの保険金融収益又は費用

 

 上記(1)及び(2)における損失要素の配分額は、保険収益のそれぞれの構成要素を減少させ、保険サービス費用において反映されます。

 

ⅶ)PAAを適用して測定している保険契約の測定

 ソニーは、当初認識時にカバー期間が1年以内である保険契約の一部に、PAAを適用して保険契約グループの測定を簡素化しています。

 

 PAAにおいては、各保険契約グループの当初認識時の残存カバーに係る負債の帳簿価額は、当初認識時に受け取った保険料から、その時点で当該保険契約グループに配分された保険獲得キャッシュ・フローを減額し測定しています。ソニーは、保険獲得キャッシュ・フローを保険契約グループのカバー期間にわたり償却しています。

 

 その後、残存カバーに係る負債の帳簿価額は、受け取った保険料及び費用として認識した保険獲得キャッシュ・フローの償却によって増加し、提供したサービスに対する保険収益及び当初認識後に配分された追加的な保険獲得キャッシュ・フローによって減少します。

 

ⅷ)表示

 資産である保険契約のポートフォリオ及び負債である保険契約のポートフォリオは、連結財政状態計算書において区分して表示しています。報告日において保険事故が未発生かつ解約オプションが行使されていない場合は、保険契約負債は非流動負債として分類されます。ただし、保険事故が発生、あるいは解約オプションが行使された場合、ソニーはこれらの支払いを延期する権利を失います。この場合、かかる保険契約負債は報告期間終了後12ヵ月以内に決済される予定となるため、流動負債として分類されます。

 また、ソニーは、連結損益計算書及び連結包括利益計算書で認識する金額を、保険収益と保険サービス費用(あわせて保険サービス損益という)及び保険金融収益又は費用に分解しています。ソニーは、非金融リスクに係るリスク調整の変動については、保険サービス損益と保険金融収益又は費用とに分解せず、保険サービス損益に含めています。

 

(a) 保険収益

 保険収益は、投資要素を含んでおらず、以下のとおり認識しています。

 

(1) PAAを適用せずに測定している契約

 ソニーは、保険契約サービスの提供に応じて保険収益を認識しています。PAAを適用せずに測定している契約の場合、各期間において提供したサービスに係る保険収益は、ソニーが対価の受領を見込むサービスに関連する残存カバーに係る負債の変動の合計額を表し、主に以下の項目で構成されています。

・当期に提供したカバー単位をもとに測定したCSMの解放

・現在のサービスに関連する、非金融リスクに係るリスク調整の変動

・当期に生じた保険金請求及びその他の保険サービス費用(当期首に見込んでいた金額で測定)

・時間の経過にもとづき規則的に配分された保険獲得キャッシュ・フローの配分

 

 各期間において保険収益として認識される保険契約グループのCSMの解放金額は、当該グループのカバー単位を識別し、当期に提供したカバー単位に配分したCSMの金額を純損益として認識することによって決定しています。カバー単位の数は、当該グループ内の保険契約にもとづき提供されるサービスの量であり、当該グループ内の各保険契約にもとづき提供する給付の量及びカバーの予想存続期間を考慮して決定しています。

 保険契約にもとづき提供されるサービスには、保険カバーが含まれ、全ての直接連動有配当保険契約については、保険契約者に代わって基礎となる項目を管理する投資関連サービスが含まれます。また、直接連動有配当契約以外の保険契約には、保険契約者のための投資リターンを生むための投資リターン・サービスが含まれます。

 

(2) PAAを適用して測定する契約

 PAAを適用して測定する契約の場合、各期間の保険収益は、当該期間におけるサービス提供の対価として受領することが見込まれる保険料の金額です。ソニーは、主に時間の経過にもとづき、かかる予想保険料受取額を各期間に配分しています。

 

(b) 保険サービス費用

 保険サービス費用は、以下の項目から構成されています。

(1) 保険金及び給付金(投資要素を除き、損失要素の配分を減額)

(2) 保険サービスに直接起因して発生したその他の費用(損失要素の配分を減額)

(3) 保険獲得キャッシュ・フローの償却

(4) 過去のサービスに関する変動(例えば、発生保険金に係る負債に関する履行キャッシュ・フローの変動)

(5) 将来のサービスに関する変動(例えば、損失要素の変動から生じる不利な保険契約グループの損失及び戻入)

 

 PAAを適用せずに測定している契約に係る保険獲得キャッシュ・フローの償却については、上記の保険収益の中で反映された保険獲得キャッシュ・フローの回収と同じ金額が、保険サービス費用にも反映されます。

 

(c) 保険金融収益又は費用

 保険金融収益又は費用は、貨幣の時間価値及び金融リスクならびにこれらの変動の影響から生じた、保険契約グループの帳簿価額の変動で構成されています。ソニーは、直接連動有配当保険契約以外の契約について、一部の変額保険及び変額個人年金保険を除き、保険金融収益又は費用を純損益とその他の包括利益とに分解することを選択しています。純損益に含める金額は、見込まれる保険金融収益又は費用の合計額を保険契約グループの存続期間にわたり規則的に配分することによって算定しています。規則的な配分額は、保険契約グループの当初認識時に決定した割引率を使用して算定しています。この規則的な配分により、保険契約グループの存続期間にわたりその他の包括利益に認識される合計金額はゼロとなります。なお、いずれの時点においてもその他の包括利益に認識される累計金額は、保険契約グループの帳簿価額と規則的配分を適用する際に当該グループが測定される金額との差額です。

 また、直接連動有配当保険契約については、保険金融収益又は費用は、基礎となる項目の価値の変動(追加払込み及び引出しを除く)を含んでおり、その全てを純損益として認識します。

 

(12) 引当金

 過去の事象の結果として、現在の法的又は推定的義務を有しており、当該義務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、その義務の金額について信頼性のある見積りができる場合に、引当金を認識しています。

 主な引当金は、映画分野における未払分配金債務、及び製品保証引当金です。

 

i)映画分野における未払分配金債務

 映画製作及びテレビコンテンツの制作、ならびにそれらの配給に関与する当事者は、契約上の定めに従い映画及びテレビ番組の業績に応じた条件付支払い及び団体協約の条項にもとづく条件付支払いを報酬として受け取る場合があります。これらの当事者を総称して参加者(Participants)と呼び、これらの支払いを総称して分配金と呼んでいます。分配金は、俳優又は作家等のクリエイター、出資者、あるいは配給権を許諾した企業に支払われる場合があります。

 未払分配金債務は予想総収益に対する各年度の収益割合に応じて計上されます。未払分配金債務は条件付支払いが確定し、支払われた時点で使用されます。未払分配金債務のうち非流動部分の多くは将来10年以内に支払われると予想されます。

 ソニーは、他の製作会社と共同で映画を製作・配給する契約を締結しており、これらの契約において、各参加者は特定の地域ごとあるいは特定の流通方法ごとに映画を配給しています。他の参加者に帰属する映画製作及び配給に関する損益は、分配金の金額に含まれます。

 

ⅱ)製品保証引当金

 ソニーは、通常、引き渡した製品の品質及びサービスの提供を一定の期間にわたり関連する支出に備えるために製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、売上高、見積故障率及び修理単位あたりのアフターサービス費の見積額にもとづいて計算されています。製品保証引当金の計算に用いられた見積り・予測は定期的に見直されています。

 

(13) 従業員給付

i)退職後給付

 ソニーは、確定給付制度及び確定拠出制度を採用しています。

 

確定給付制度

 確定給付制度については、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額を確定給付負債又は資産の純額として連結財政状態計算書に計上しています。

 確定給付制度債務の現在価値は、将来の見積給付額を割り引いて算定され、勤務費用は予測単位積増方式を用いて算定されます。制度資産の公正価値が確定給付制度債務の現在価値を超過している場合、資産計上額は、利用可能な制度からの返還又は将来掛金の減額の現在価値を上限としています。割引率は、確定給付制度債務とおおむね同じ支払期日を有し、かつ、給付の支払見込みと同じ通貨建ての優良社債の報告期間の決算日における市場利回りにもとづいて決定しています。確定給付負債又は資産の純額に係る利息純額は、確定給付負債又は資産の純額に割引率を乗じて算定しています。

 制度改訂又は縮小により生じた確定給付制度債務の現在価値の変動として算定される過去勤務費用は、純損益として認識しています。

 確定給付負債又は資産の純額の再測定にともなう調整額は、発生時にその他の包括利益として認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。

 

確定拠出制度

 ソニーは、確定拠出制度に支払う掛金を、従業員が関連する勤務を提供した時に費用として認識しています。

 

ⅱ)短期従業員給付

 給与、賞与及び年次有給休暇などの短期従業員給付については、勤務と交換に支払うと見込まれる金額を、従業員が勤務を提供した時に費用として認識しています。

 

(14) 株式にもとづく報酬

i)ストック・オプション制度

 ソニーは、ストック・オプションを付与日における公正価値で見積もり、付与日から権利が確定するまでの期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラック・ショールズ・オプション・プライシング・モデルを用いて算定しています。

 

ⅱ)譲渡制限付株式制度

 ソニーは、譲渡制限付株式を付与日における公正価値で見積もり、付与日から権利が確定するまでの期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。

 

ⅲ)譲渡制限付株式ユニット制度

 ソニーは、譲渡制限付株式ユニットを付与日における公正価値で見積もり、付与日から権利が確定するまでの期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。

 

(15) 公正価値による測定

 ソニーは、測定日に市場参加者間で行われる通常の取引において、資産の譲渡の対価として受け取ると想定される金額又は負債を移転する際に支払うと想定される金額である出口価格にもとづき公正価値を測定しています。

 

 ソニーは、市場における観察可能性の程度にもとづき、評価に使用するインプットの階層を決定しています。観察可能なインプットは、独立した情報源から入手した市場データを反映したものですが、観察可能でないインプットは、市場参加者が資産あるいは負債を評価する際に通常使用するであろう情報を用いてソニーが独自に推定しているものです。過度なコストや労力をかけない範囲で観察可能な市場データが利用可能である場合には、観察可能な市場データが利用されています。全ての公正価値は下記3段階のレベルのいずれかで報告されますが、報告されるレベルは公正価値の測定に重大な影響を及ぼすインプットのレベルのうち最も低いレベルにもとづき決定されています。

 公正価値の3段階のレベルは以下のとおりです。

レベル1

 重大なインプットが活発な市場における同一の資産・負債の未調整の取引価格

レベル2

 重大なインプットがレベル1以外の観察可能なデータ

 例えば、活発な市場における類似商品の取引価格、活発でない市場における同一又は類似商品の取引価格、全ての重大なインプットが活発な市場で観察可能な場合のモデル計算による評価が含まれています。

レベル3

 1つあるいは複数の重大なインプットが観察可能でない

 

 ソニーは、活発な市場における取引価格が調整を加えることなく利用可能である場合には、それを利用して公正価値の測定を行い、その項目をレベル1に分類しています。取引価格が利用できない場合には、金利、為替レート、オプションのボラティリティ等、直近の市場もしくは独立した情報源から入手した市場パラメータを使用し、ソニー内部で組成した評価技法にもとづいて公正価値を測定しています。ソニー内部で組成したモデルを使用して評価した項目は、評価に使用した重大なインプットのうち、最も低いレベルに合わせてレベルの分類が行われています。一部の金融資産・負債については、ソニー内部で組成した価格との比較検証を含む評価手続にもとづいて、証券業者から得た指標価格や投資顧問会社から入手した定量的なインプット等の第三者の価格を使用し、公正価値を測定しています。また、ソニーは公正価値を測定する際に、取引相手及びソニーの信用力を考慮しています。ソニーは、ネッティング契約の締結や、与信限度の設定を通じ信用リスクの残高及び取引相手の信用力を積極的にモニターすることに加え、取引相手を各国の大手銀行や主要な金融機関に限定することにより、第三者に対する信用リスクを軽減する努力をしています。

 

 レベル間の移動は、移動が生じた各四半期連結会計期間の期首に生じたとみなしています。

 

(16) 収益認識

 ソニーは顧客との契約において約束した財又はサービスを顧客へ移転する履行義務を充足した時に、当該財又はサービスとの交換に権利を得ると見込んでいる対価を反映する金額で収益を認識します。これは、以下の5つのステップを用いて適用されます。

 

ステップ1.顧客との契約を識別する。

ステップ2.契約における履行義務を識別する。

ステップ3.取引価格を算定する。

ステップ4.取引価格を契約における履行義務に配分する。

ステップ5.ソニーが履行義務を充足した時に(又は充足するにつれて)収益を認識する。

 

 ソニーはいくつかの分野において多様な知的財産を保有しており、その知的財産のライセンスによる収益を認識します。ソニーは知的財産を使用する権利及び知的財産にアクセスする権利の供与を行っています。ソニーの知的財産を使用する権利を顧客に供与する場合、ソニーは顧客が支配を獲得し、そのライセンスからの便益を享受する権利を得た時点で履行義務を充足します。ソニーの知的財産にアクセスする権利を顧客に供与する場合、ソニーはライセンス期間にわたって履行義務を充足します。

 

 ソニーは契約獲得の増分コスト及び契約を履行するためのコストを回収すると見込んでいる場合には、当該コストを資産として認識します。契約獲得の増分コストは、当該契約を獲得しなければ発生しなかったものです。契約を履行するためのコストは、契約又は予想される契約に直接関連しており、ソニーが履行義務を充足するために使用する資源を創出もしくは増価するものです。ソニーは実務上の便法を適用しており、資産として認識するはずの契約獲得の増分コストの償却期間が1年以内である場合には、発生時に費用として認識します。

 

 エンタテインメント・テクノロジー&サービス(以下「ET&S」)及びイメージング&センシング・ソリューション(以下「I&SS」)分野においては、顧客との契約における履行義務とは、主には、様々なエレクトロニクス製品・部品を顧客に引き渡すことです。一般的に、当該履行義務から生じる収益は、約束された製品・部品を顧客に引き渡した時点で認識します。ただし、顧客との契約上、顧客による検収についての定めが存在する場合、顧客が検収を完了した時点又は検収猶予期間が終了し検収がなされたとみなされた時点で収益を認識します。また、インターネット関連サービスを利用者に提供する契約においては、加入契約期間にわたって収益を認識します。なお、予想される返品及びセールス・インセンティブが控除された後の純額で収益は認識されます。

 

 ゲーム&ネットワークサービス(以下「G&NS」)分野においては、ハードウェア、周辺機器及びソフトウェアディスクからの収益は、小売事業者又は販売業者へ支配を移転することによって履行義務を充足した時に、予想される返品、セールス・インセンティブ及び広告協賛金が控除された後の純額で認識されます。開発・販売事業者へのプラットフォームライセンスからの収益は、ソフトウェアディスクが引き渡された時に認識されます。また、ソニーの知的財産を使用する権利を与えるデジタルゲームコンテンツからの収益は、オンラインプラットフォームを通じたデジタルコンテンツがライセンシーによって使用可能になった時に、予想されるセールス・インセンティブ及びクレジットカード会社への支払いが控除された後の純額で認識されます。将来にコンテンツを利用可能にする履行義務などの複数の履行義務に関連するデジタルゲームコンテンツからの収益は、市場において観察可能な独立販売価格もしくはソニーの最善の見積りである独立販売価格にもとづき各履行義務に配分されます。サブスクリプション方式による収益は、その加入契約期間に応じて認識されます。

 

 音楽分野においては、ソニーの知的財産を使用する権利、もしくはソニーの知的財産にアクセスする権利を顧客に与える知的財産のライセンスを行っています。これらの収益は、顧客が知的財産を使用する権利もしくはアクセスする権利を保有し、そのライセンスの使用又はアクセスのための支配を獲得した時に認識されます。デジタルコンテンツからの収益には、デジタルストリーミングサービス契約からの収益が含まれており、デジタルストリーミングサービスは契約期間にわたって更新され続けるコンテンツライブラリにおける知的財産への継続的なアクセス権として通常は別個の履行義務として認識されます。これは、(1)特定のコンテンツの削除を、当該コンテンツを別のコンテンツに置き換える必要も、ロイヤルティに関する最低保証料への影響もなく、行うことができるビジネス上の慣行や契約上の権利、及び(2)ライセンス対象に特定のコンテンツリストを含まない契約であることにもとづいています。これらの契約からの収益は、契約期間にわたって定額法で認識される固定収入、もしくは回収されないと予測されるロイヤルティに関する最低保証料がある場合を除いて、売上高及び使用量ベースのロイヤルティ収入にもとづき認識されます。CDなどの製品売上からの収益は、物品が移転し販売業者が販売可能となった時点で、予想される返品及びセールス・インセンティブが控除された後の純額で認識されます。

 

 映画分野においては、劇場映画収益は、劇場での上映に合わせて認識されます。映画作品及びテレビ番組の放映に係るライセンス契約による収益はライセンシーによって作品が放映可能となった時点で認識されます。複数の作品、地域、放映可能期間などの要素を持つ複数の履行義務に関わる映画作品及びテレビ番組の放映に係るライセンス契約による収益は、市場環境や価格設定に関する社内規程などの入手可能な情報にもとづくソニーの最善の見積りを使用し、各履行義務の独立販売価格にもとづいて配分されます。配給される各映画やテレビ番組は一般に別個の履行義務と識別されます。映画製作及びテレビ番組制作における現行契約の更新又は延長に関連するライセンス収益は、ライセンシーがその更改や延長されたコンテンツを使用し便益を享受する時に、認識されます。ソニーの知的財産にアクセスする権利に対する最低保証料に関連するライセンス収益は、ライセンス期間にわたって一定の比率で認識されます。ホームエンタテインメント用のDVD及びブルーレイディスクに係る収益は、物品が移転し販売業者が販売可能となった時点で、予想される返品及びセールス・インセンティブが控除された後の純額で認識されます。デジタルダウンロード及びビデオ・オン・デマンドからの収益は、作品がデジタル配信プラットフォームで閲覧可能となった時点で収益を認識します。テレビ広告収入は、広告が放映された時点で認識され、この収益に関わる履行義務は広告掲載の提供であり、インプレッション保証型広告を含む場合があります。もし保証した広告表示回数に達しなかった場合は、その広告表示回数を満たすための追加の広告掲載が行われるまで認識されません。テレビネットワーク及びDTC配信サービスに支払われた有料放送料金は、サービスが提供された時点で収益が認識されます。この収益に関わる履行義務は知的財産を使用する権利を与えることであり、契約期間にわたって番組が提供されるにつれて充足されます。

 

 収益は、通常、顧客から徴収し政府機関へ納付される税金が控除された後の純額で認識されます。

 

(17) 金融ビジネス収入

 金融ビジネス収入は、保険収益及びその他の金融ビジネス収入で構成されています(保険収益については、注記3 I 重要性がある会計方針(11)を参照)。その他の金融ビジネス収入には、金融分野で保有する金融商品から生じる利息や配当、為替差損益等の運用損益などが含まれます。

 

(18) 売上原価

 売上原価に分類される費用は製品の製作と生産に関連するもので、材料費、外注加工費、有形固定資産の減価償却費、無形資産(コンテンツ資産を含む)の償却費、従業員給付費用及び研究開発費などが含まれます。

 

(19) 研究開発費

 研究開発費には、研究及び製品の開発に係る従業員給付費用、またその他の直接経費及び間接経費などが含まれます。開発費用は、開発を完成させる技術上の実行可能性があり、ソニーが開発を完成させ、その成果を使用又は販売する意図ならびにそのための資源及び能力を有し、開発に関する支出が信頼性をもって測定可能であり、成果が将来の経済的便益を得られる可能性が高い場合のみ、資産化しています。資産計上した開発費用は、上記の要件を最初に満たした時点から開発が完了した時点までの期間に発生した費用の合計として測定しています。研究活動に関する支出及びその他の上記資産化の要件を満たしていない開発費用は、発生時に費用として認識し、連結損益計算書上で売上原価に含まれています。

 

(20) 販売費及び一般管理費

 販売費に分類される費用は製品の販売促進と販売に係る費用で、広告宣伝費、販売促進費、運賃、製品保証費用などが含まれます。一般管理費には従業員給付費用、有形固定資産の減価償却費、販売、マーケティング及び管理部門のオフィス賃借料、営業債権に対する損失評価引当金繰入額ならびに無形資産の償却費などが含まれます。

 

(21) 広告宣伝費

 広告宣伝費は発生時に費用を認識しています。

 

(22) 物流費用

 製品の運賃、荷役料、保管料及びソニーグループ内の運搬費用等の大部分は販売費及び一般管理費に含まれています。ただし、映画分野においては、映画の製作又はテレビ番組の制作、及びこれらの配給に必要な構成要素となる一部の費用は売上原価に計上されています。原材料や仕掛品の運賃、仕入受取費用、検査費用及び保管料等のソニーの物流ネットワークに関わるその他の全ての費用は売上原価に含まれています。顧客が物品の支配を獲得した後に実行される発送活動は、約束された物品の移転とは別個の履行義務とみなされます。また、顧客が負担する物流費用は売上高に含まれています。

 

(23) 金融ビジネス費用

 金融ビジネス費用は、保険サービス費用、保険金融収益又は費用、その他の金融ビジネス費用で構成されています(保険サービス費用及び保険金融収益又は費用については、注記3 I 重要性がある会計方針(11)を参照)。その他の金融ビジネス費用には、銀行ビジネスにおける支払利息などが含まれます。

 

(24) 法人所得税

 法人所得税は、当期税金及び繰延税金から構成されています。当期税金と繰延税金は、企業結合から生じる場合、又は同じ期間又は異なった期間に純損益の外で(その他の包括利益に又は資本に直接に)認識される取引又は事象から生じる場合を除き、純損益で認識しています。

 当期税金は、当年度の課税所得にもとづいて計上しています。これらの税額は、報告期間の末日において制定又は実質的に制定されている税率にもとづいて算定しています。

 繰延税金資産及び負債は、税務上の金額と報告期間末日時点の資産・負債の帳簿価額との間の一時差異に対して認識しています。また、繰延税金負債は、子会社及び持分法適用会社の将来配当することを予定している未分配利益に係る負債を含んでいます。

 繰延税金資産及び負債は、報告期間の末日までに制定又は実質的に制定されている税率及び税法にもとづいて、繰延税金資産が実現する期又は繰延税金負債が決済される期に適用されると予想される税率で算定されます。企業結合以外の取引で、かつ取引時に会計上又は税務上のいずれの純損益にも影響を及ぼさない取引における資産又は負債の当初認識に係る一時差異については、繰延税金資産及び負債を認識していません。

 繰延税金資産は、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。したがって、繰延税金資産計上の要否は、繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能な証拠にもとづいて、定期的に評価されます。この評価に関するマネジメントの判断は、それぞれの税務管轄ごとの当期及び累積の損失の性質、頻度及び重要性、不確実な税務ポジションを考慮した将来の収益性予測、税務上の簿価を超える資産評価額、繰越欠損金の法定繰越可能期間、過去における繰越欠損金の法定繰越可能期間内の使用実績、繰越欠損金及び繰越税額控除の期限切れを防ぐために実行される慎重かつ実行可能な税務戦略などを考慮します。

 ソニーは、税務申告において採用した、あるいは採用する予定の不確実な税務ポジションに起因する資産・負債を計上しています。ソニーの納税額は、様々な税務当局による継続的な調査によって、更正処分などの影響を受ける可能性があります。加えて、いくつかの重要な移転価格税制の案件に関する事前確認申出を受けて、それぞれの国の税務当局同士が現在交渉しています。不確実な税務ポジションから起こり得る結果に対するソニーの見積りは、判断を必要とし、また高度な見積りが要求されます。ソニーは、税務調査の対象となる全ての年度の税務ポジションについて、決算日における事実、状況、及び入手可能な証拠にもとづき評価し、税務上の便益又は費用を計上しています。

 

(25) 1株当たり当社株主に帰属する当期純利益(損失)(以下「EPS」)

 基本的EPSは各算定期間の普通株式の加重平均発行済株式数にもとづいて計算されます。希薄化後EPSは、新株発行をもたらす権利の行使や約定の履行あるいは新株への転換によって起こる希薄化の影響を考慮して計算されます。当社株主に帰属する当期純損失の場合は全ての潜在株式をこの計算から除いています。

 

Ⅱ.未適用の新たな基準書及び解釈指針

 連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設又は改訂は以下のとおりであり、2024年3月31日現在においてこれらを適用していません。

 

IAS第1号「財務諸表の表示」の改訂

 2020年1月、IASBは「流動又は非流動負債の分類」(IAS第1号の改訂)を公表しました。この改訂は、負債を流動又は非流動に分類する際の要件の1つである、負債の決済を延期する企業の権利を明確化するものです。また、2022年10月、IASBは「特約条項付の非流動負債」(IAS第1号の改訂)を公表しました。この改訂は、特約条項付の非流動負債に関して、一年以内に返済すべきこととなる可能性があるというリスクを投資者が理解できるようにするために、特約条項に関する情報の開示を要求しています。これらの改訂は2024年4月1日からソニーに適用されます。これらの改訂の適用は、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与えないと予想されています。

 

IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」及びIFRS第7号「金融商品:開示」の改訂

 2023年5月、IASBは「サプライヤー・ファイナンス契約」(IAS第7号及びIFRS第7号の改訂)を公表しました。これらの改訂は、サプライヤー・ファイナンス契約に関する情報の開示を要求するものであり、2024年4月1日からソニーに適用されます。これらの改訂は、開示への影響のみであるため、ソニーの業績及び財政状態に与える影響はありません。

 

IFRS第18号「財務諸表における表示及び開示」

 2024年4月、IASBは、IFRS第18号「財務諸表における表示及び開示」(以下「IFRS第18号」)を公表しました。IFRS第18号は、企業の財務業績に関してより透明性と比較可能性の高い情報を投資者に提供するため、損益計算書における収益及び費用の新たに定義された区分の導入及び新しい小計の開示、経営者が定義した業績指標に関する開示、ならびに財務諸表におけるより有用な情報のグルーピングの3つを含んだ事項を要求しています。

 IFRS第18号は、2027年4月1日からソニーに適用されますが、早期適用も認められています。IFRS第18号の適用がソニーの連結財務諸表に与える影響は評価中です。

 

4.セグメント情報

 以下の報告セグメントは、そのセグメントの財務情報が入手可能なもので、その営業利益(損失)が最高経営意思決定者によって経営資源の配分の決定及び業績の評価に通常使用されているものです。最高経営意思決定者は、個別の資産情報を使用してセグメント評価を行っていません。ソニーにおける最高経営意思決定者は、会長CEOです。

 

 G&NS分野には、主にネットワークサービス事業、家庭用ゲーム機の製造・販売及びデジタルソフトウェア・アドオンコンテンツの制作・販売が含まれています。音楽分野には、主に音楽制作、音楽出版及び映像メディア・プラットフォーム事業が含まれています。映画分野には、主に映画製作、テレビ番組制作及びメディアネットワーク事業が含まれています。ET&S分野には、主にテレビ事業、オーディオ・ビデオ事業、静止画・動画カメラ事業、スマートフォン事業及びインターネット関連サービス事業が含まれています。I&SS分野には、主にイメージセンサー事業が含まれています。金融分野には、主に日本における個人向け生命保険及び損害保険を主とする保険事業ならびに銀行業が含まれています。その他分野は、ディスク製造事業、記録メディア事業等の様々な事業活動から構成されています。ソニーの製品及びサービスは、一般的にはそれぞれのオペレーティング・セグメントにおいて固有のものです。

 

ビジネスセグメント情報

セグメント別売上高及び金融ビジネス収入

項目

2022年度

修正再表示

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

売上高及び金融ビジネス収入:

 

 

ゲーム&ネットワークサービス:

 

 

外部顧客に対するもの

3,538,533

4,172,994

セグメント間取引

106,065

94,740

 計

3,644,598

4,267,734

音楽:

 

 

外部顧客に対するもの

1,364,815

1,594,955

セグメント間取引

15,817

24,003

 計

1,380,632

1,618,958

映画:

 

 

外部顧客に対するもの

1,364,887

1,486,717

セグメント間取引

4,535

6,333

 計

1,369,422

1,493,050

エンタテインメント・テクノロジー&サービス:

 

 

外部顧客に対するもの

2,436,739

2,414,946

セグメント間取引

39,286

38,772

 計

2,476,025

2,453,718

イメージング&センシング・ソリューション:

 

 

外部顧客に対するもの

1,301,481

1,503,906

セグメント間取引

100,706

98,832

 計

1,402,187

1,602,738

金融:

 

 

外部顧客に対するもの

878,532

1,760,731

セグメント間取引

10,550

9,223

 計

889,082

1,769,954

その他:

 

 

外部顧客に対するもの

72,338

75,784

セグメント間取引

15,285

13,586

 計

87,623

89,370

全社(共通)及びセグメント間取引消去

275,196

274,754

 連結合計

10,974,373

13,020,768

 

 G&NS分野におけるセグメント間取引は、主としてET&S分野に対するものです。

 ET&S分野におけるセグメント間取引は、主としてG&NS分野に対するものです。

 I&SS分野におけるセグメント間取引は、主としてG&NS分野及びET&S分野に対するものです。

 全社(共通)及びセグメント間取引消去には、ブランド及び特許権使用によるロイヤルティ収入が含まれています。

 

セグメント別損益

項目

2022年度

修正再表示

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

営業利益(損失):

 

 

ゲーム&ネットワークサービス

250,006

290,184

音楽

263,107

301,662

映画

119,255

117,702

エンタテインメント・テクノロジー&サービス

179,461

187,399

イメージング&センシング・ソリューション

212,214

193,541

金融

318,118

173,576

その他

16,849

1,600

 計

1,359,010

1,265,664

全社(共通)及びセグメント間取引消去

56,621

56,833

連結営業利益

1,302,389

1,208,831

金融収益

31,058

125,597

金融費用

58,951

65,766

連結税引前利益

1,274,496

1,268,662

 

 上記の営業利益(損失)は、売上高及び金融ビジネス収入から売上原価、販売費・一般管理費及びその他の一般費用を差し引き、持分法による投資利益(損失)を加えたものです。

 

その他の重要事項

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

持分法による投資利益(損失):

 

 

ゲーム&ネットワークサービス

144

922

音楽

7,063

6,091

映画

515

173

エンタテインメント・テクノロジー&サービス

1,076

777

イメージング&センシング・ソリューション

1,128

4,155

金融

55

その他

16,779

7,095

 連結合計

24,449

10,502

 

 

項目

2022年度

修正再表示

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

減価償却費及び償却費:

 

 

ゲーム&ネットワークサービス

87,201

123,065

音楽

67,240

84,576

映画

506,697

541,106

エンタテインメント・テクノロジー&サービス

97,448

101,676

イメージング&センシング・ソリューション

196,674

247,900

金融

26,333

27,689

その他

4,376

4,830

 計

985,969

1,130,842

全社(共通)

18,621

14,139

 連結合計

1,004,590

1,144,981

 

製品カテゴリー別売上高内訳:

 下記の表は、各セグメントにおける製品カテゴリー別の外部顧客に対する売上高及び金融ビジネス収入です。ソニーのマネジメントは、各セグメントをそれぞれ単一のオペレーティング・セグメントとして意思決定を行っています。

項目

2022年度

修正再表示

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

 ゲーム&ネットワークサービス

 

 

デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ

1,523,045

1,934,586

ネットワークサービス

464,676

545,537

ハードウェア・その他

1,550,812

1,692,871

 計

3,538,533

4,172,994

音楽

 

 

音楽制作(ストリーミング)

598,868

709,453

音楽制作(その他)

286,270

356,646

音楽出版

276,665

326,727

映像メディア・プラットフォーム

203,012

202,129

 計

1,364,815

1,594,955

映画

 

 

映画製作

464,043

542,044

テレビ番組制作

536,250

551,035

メディアネットワーク

364,594

393,638

 計

1,364,887

1,486,717

エンタテインメント・テクノロジー&サービス

 

 

テレビ

733,251

624,264

オーディオ・ビデオ

391,608

412,067

静止画・動画カメラ

565,018

643,429

モバイル・コミュニケーション

356,771

299,905

その他

390,091

435,281

 計

2,436,739

2,414,946

イメージング&センシング・ソリューション

1,301,481

1,503,906

金融

878,532

1,760,731

その他

72,338

75,784

全社(共通)

17,048

10,735

連結

10,974,373

13,020,768

 

 G&NS分野のうち、デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツカテゴリーにはネットワークを通じて販売するソフトウェアタイトル及びアドオンコンテンツ、ネットワークサービスカテゴリーにはゲーム、ビデオ及び音楽コンテンツ関連のネットワークサービス、ハードウェア・その他カテゴリーには家庭用ゲーム機、パッケージソフトウェア、家庭用ゲーム機と同梱販売されるソフトウェア、周辺機器及び外部プラットフォーム向け自社制作ソフトウェアなどが含まれています。音楽分野のうち、音楽制作(ストリーミング)にはストリーミングによるデジタルの音楽制作物の販売、音楽制作(その他)にはパッケージ及びダウンロードによるデジタルの音楽制作物の販売やアーティストのライブパフォーマンスからの収入、音楽出版には楽曲の詞、曲の管理及びライセンス、映像メディア・プラットフォームにはアニメーション作品及びゲームアプリケーションの制作・販売、音楽・映像関連商品の様々なサービス提供などが含まれています。映画分野のうち、映画製作には実写及びアニメーション映画作品の全世界での製作・買付・配給・販売、テレビ番組制作にはテレビ番組の制作・買付・販売、メディアネットワークには全世界でのテレビネットワーク及びDTC配信サービスのオペレーションなどが含まれています。ET&S分野のうち、テレビカテゴリーには液晶テレビ、有機ELテレビ、オーディオ・ビデオカテゴリーにはブルーレイディスクプレーヤー/レコーダー、家庭用オーディオ、ヘッドホン、メモリ内蔵型携帯オーディオ、静止画・動画カメラカテゴリーにはレンズ交換式カメラ、コンパクトデジタルカメラ、民生用・放送用ビデオカメラ、モバイル・コミュニケーションカテゴリーにはスマートフォン、インターネット関連サービス、その他カテゴリーにはプロジェクターなどを含むディスプレイ製品、医療用機器などが含まれています。

 

【地域別情報】

 顧客の所在国又は地域別に分類した2022年度及び2023年度における売上高及び金融ビジネス収入ならびに2023年3月31日及び2024年3月31日現在の非流動資産(有形固定資産、使用権資産、のれん、コンテンツ資産及びその他の無形資産)は以下のとおりです。

項目

2022年度

修正再表示

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

売上高及び金融ビジネス収入:

 

 

日本

2,126,508

3,027,526

米国

3,401,402

3,751,239

欧州

2,190,311

2,632,963

中国

855,437

1,000,907

アジア・太平洋地域

1,563,414

1,659,776

その他地域

837,301

948,357

 計

10,974,373

13,020,768

 

 

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

非流動資産(有形固定資産、使用権資産、のれん、コンテンツ資産及びその他の無形資産):

 

 

日本

1,875,354

2,036,616

米国

2,417,228

2,856,914

欧州

603,338

682,007

中国

34,322

32,154

アジア・太平洋地域

186,359

222,398

その他地域

107,162

226,761

 計

5,223,763

6,056,850

 

 日本、米国ならびに中国以外の各区分に属する主な国又は地域は以下のとおりです。

(1) 欧州       :イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア

(2) アジア・太平洋地域:インド、韓国、オセアニア、タイ、マレーシア

(3) その他地域    :中近東/アフリカ、ブラジル、メキシコ、カナダ

 

 売上高及び金融ビジネス収入、非流動資産(有形固定資産、使用権資産、のれん、コンテンツ資産及びその他の無形資産)に関して、欧州、アジア・太平洋地域、その他地域において個別には金額的に重要性のある国はありません。

 報告セグメント間及び地域間の取引は、市場の実勢価格を参考にして、その都度交渉の上で決定しています。

 2022年度及び2023年度において、単一顧客として重要な顧客に対する売上高及び金融ビジネス収入はありません。

 

5.金融商品

(1) 金融商品の測定方法ごとの帳簿価額

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在、ソニーが保有する資産及び負債の測定方法ごとの帳簿価額は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

修正再表示

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

資産

 

 

償却原価で測定する金融資産

 

 

金融分野における投資及び貸付

 

 

負債性証券

337,374

396,481

銀行ビジネスにおける住宅ローン

3,129,393

3,574,468

その他の貸出金

17,854

16,892

営業債権及びその他の債権 *

 

 

営業債権

1,754,034

2,140,220

その他の債権

2,712

5,971

その他の金融資産

 

 

定期預金

36,671

48,416

保証金

95,813

107,316

映画分野におけるその他の非流動債権

152,619

155,525

その他

19,582

47,849

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

金融分野における投資及び貸付

 

 

負債性証券

1,059,718

1,295,877

資本性証券

2,123,062

3,210,296

その他の金融資産

 

 

負債性証券

20,905

22,388

資本性証券

125,590

258,939

デリバティブ資産

70,144

72,423

 

 

項目

2023年3月31日

修正再表示

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

金融分野における投資及び貸付

 

 

負債性証券

1,486,566

1,243,109

その他の包括利益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

金融分野における投資及び貸付

 

 

負債性証券

10,406,699

9,593,519

その他の金融資産

 

 

負債性証券

125

140

その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

金融分野における投資及び貸付

 

 

資本性証券

5,453

7,305

その他の金融資産

 

 

資本性証券

421,845

309,710

資産合計

21,266,159

22,506,844

流動資産合計

2,196,054

2,669,709

非流動資産合計

19,070,105

19,837,135

(注)* 営業債権及びその他の債権の金額は、連結財政状態計算書の営業債権、その他の債権及び契約資産より契約

         資産の金額を除いた金額です。

上記の表には、現金及び現金同等物は含まれていません。注記27をご参照ください。

 

 

項目

2023年3月31日

修正再表示

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

負債

 

 

償却原価で測定する金融負債

 

 

短期借入金

1,914,934

1,812,605

1年以内に返済期限の到来する長期借入債務

187,942

217,711

営業債務及びその他の債務

 

 

営業債務

1,701,706

1,803,920

その他の債務

162,475

221,542

銀行ビジネスにおける顧客預金 *1

3,306,981

3,845,607

長期借入債務

1,767,696

2,058,117

繰延対価 *2

87,937

107,368

投資契約負債

55,779

60,392

その他の金融負債

61,128

65,790

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融負債

 

 

その他の金融負債

 

 

デリバティブ負債

34,123

29,287

条件付対価

51,512

50,343

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融負債

 

 

その他の金融負債

 

 

償還可能非支配持分

47,326

54,028

負債合計

9,379,539

10,326,710

流動負債合計

7,240,263

7,881,832

非流動負債合計

2,139,276

2,444,878

(注)*1 銀行ビジネスにおける顧客預金には、連結財政状態計算書のその他の金融負債に含まれる非流動負債も含ま

          れます。

   *2 繰延対価は、連結財政状態計算書上、その他の金融負債、又は営業債務及びその他の債務に計上されていま

          す。

 

(2) 継続的に公正価値で測定する金融商品

 ソニーが各金融商品の公正価値測定に利用している評価技法、それが通常どの公正価値のレベルに分類されているかは以下のとおりです。

 

負債性金融商品、資本性金融商品

 活発な市場における取引価格が利用可能である金融商品の公正価値の階層はレベル1に分類されます。レベル1の金融商品には上場されている資本性金融商品が含まれています。取引価格を利用できないもしくは市場が活発でない金融商品については、価格モデル、類似の特徴をもつ金融商品の取引価格あるいは割引キャッシュ・フローモデルを使用して見積もり、主にレベル2に分類しています。レベル2の金融商品には公社債の大部分など、上場されている金融商品ほどには活発に取引されていない取引価格により評価された負債性金融商品が含まれています。取引量が少ないもしくは評価に使用するインプットの観察可能性が低い金融商品についてはレベル3に分類しています。レベル3の金融商品には、主に、レベル1・レベル2に分類されなかったプライベートエクイティ投資、投資信託及びファンド投資、証券化商品及び市場における取引価格が利用できずインプットの観察可能性が低い国内外の社債が含まれています。ソニーはプライベートエクイティ投資の公正価値を主に類似企業の評価倍率や、割引キャッシュ・フローモデルを使用して見積もっています。類似企業の株価純資産倍率及び株価収益率ならびに割引キャッシュ・フローモデルにおいて使用する資本コスト及び継続価値算定に用いるEBITDA倍率等は、レベル3に分類された資本性金融商品の公正価値評価において重大な観察可能でないインプットとして使用されています。類似企業の株価純資産倍率及び株価収益率の増加(減少)や、割引キャッシュ・フローモデルにおいて使用する資本コストの減少(増加)及びEBITDA倍率の増加(減少)により、公正価値は増加(減少)します。ソニーは、投資信託及びファンド投資の公正価値を測定するにあたり、主に純資産価値を使用します。ソニーは、証券化商品及び市場における取引価格が利用できずインプットの観察可能性が低い国内外の社債の公正価値を測定するにあたり、主に証券業者から得た指標価格等の第三者の価格に調整を加えることなく使用、あるいは割引キャッシュ・フローモデルを使用して見積もっています。ソニーは、レベル3の金融商品の公正価値の検証のため、主として市場参加者が公正価値の測定に使用すると想定される仮定についてのマネジメントの判断や見積りを含む内部の価格モデルを使用しています。

 

デリバティブ

 上場されているデリバティブで、その取引価格を使用して公正価値を評価されているデリバティブの公正価値の階層はレベル1に分類されます。しかしながら上場されているデリバティブ契約は少数であり、ソニーが保有するデリバティブ契約の多くは、容易に観察可能な市場パラメータを基礎として利用したソニー内部のモデルによる評価を行っています。利用しているパラメータには、活発に価格が形成されているものや、価格情報提供者のような外部業者から入手したものが含まれています。デリバティブの種類や契約条項に応じて、ブラック・ショールズ・オプション・プライシング・モデル等の評価技法により公正価値を測定するとともに、その技法を継続的に適用しています。ソニーは、開発後一定期間を経過しているようなデリバティブ商品について、金融業界において広く受け入れられている評価モデルを使用しています。これらのモデルは、満期までの期間を含むデリバティブ契約の条項や、金利、ボラティリティ、取引相手の信用格付け等の市場で観察されるパラメータを使用しています。さらに、これらのモデルの多くは、その評価方法に重要な判断を必要としないものであり、モデルで使用しているインプット自体も活発な価格付けが行われる市場で容易に観察可能なものであるため、主観性の高いものではありません。これらの技法で評価されている金融商品は、通常、レベル2に分類されています。

 ソニーは、金利スワップの公正価値を決定するにあたり、市場において観察可能で、該当する金融商品の期間に対応する金利のイールド・カーブを使用した将来見積キャッシュ・フローの現在価値を使用しています。ソニーは、外国為替のデリバティブについて、直物相場及び時間価値等、市場で観察可能なインプットを利用した先物為替予約の評価モデルを使用しています。これらのデリバティブは、そのデリバティブ資産・負債の公正価値の測定に際して、主に観察可能なインプットを使用しているため、レベル2に分類されています。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在、ソニーにおいて継続的に公正価値で測定されている資産・負債の公正価値は、以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

修正再表示

金額(百万円)

レベル1

レベル2

レベル3

合計

連結財政状態計算書計上科目

金融分野に

おける投資

及び貸付

(流動)

その他の

金融資産

(流動)

金融分野に

おける投資

及び貸付

(非流動)

その他の

金融資産

(非流動)

資産

 

 

 

 

 

 

 

 

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国債

422,739

422,739

422,739

日本地方債

600

600

600

日本社債

16,872

38

16,910

16,872

38

外国国債

30,100

173,393

203,493

203,493

外国社債

5,515

3,377

8,892

5,515

3,377

投資信託及びファンド投資

367,193

60,796

427,989

410,499

17,490

資本性証券

2,236,646

5,217

6,789

2,248,652

2,123,062

125,590

デリバティブ資産

 

 

 

 

 

 

 

 

金利契約

43,844

43,844

438

43,406

外国為替契約

21,318

21,318

19,978

1,340

株式契約

290

4,692

4,982

4,982

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国債

1,285,920

1,285,920

1,001

1,284,919

日本地方債

16,038

16,038

2,010

14,028

日本社債

3,315

3,315

3,315

外国国債

35,895

35,895

35,895

外国社債

141,857

3,541

145,398

21,227

124,171

その他の包括利益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国債

7,901,817

7,901,817

7,901,817

日本地方債

45,458

45,458

1,369

44,089

日本社債

739,541

171,622

911,163

7,016

904,147

外国国債

1,145,709

1,145,709

1,145,584

125

外国社債

307,717

24,672

332,389

46,367

286,022

証券化商品

29,697

40,591

70,288

70,288

その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

資本性証券

103,270

324,028

427,298

5,453

421,845

資産合計

2,370,306

12,709,655

640,146

15,720,107

78,990

25,398

15,002,508

613,211

 

 

項目

2023年3月31日

修正再表示

金額(百万円)

レベル1

レベル2

レベル3

合計

連結財政状態計算書

計上科目

その他の

金融負債

(流動)

その他の

金融負債

(非流動)

負債

 

 

 

 

 

 

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融負債

 

 

 

 

 

 

デリバティブ負債

 

 

 

 

 

 

金利契約

5,656

5,656

427

5,229

外国為替契約

19,876

19,876

18,679

1,197

株式契約

3,321

5,270

8,591

8,591

条件付対価

51,512

51,512

14,790

36,722

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融負債

 

 

 

 

 

 

償還可能非支配持分

47,326

47,326

-

47,326

負債合計

3,321

30,802

98,838

132,961

42,487

90,474

 

 

項目

2024年3月31日

金額(百万円)

レベル1

レベル2

レベル3

合計

連結財政状態計算書計上科目

金融分野に

おける投資

及び貸付

(流動)

その他の

金融資産

(流動)

金融分野に

おける投資

及び貸付

(非流動)

その他の

金融資産

(非流動)

資産

 

 

 

 

 

 

 

 

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国債

423,129

423,129

423,129

日本地方債

1,846

1,846

1,846

日本社債

27,296

20

27,316

27,296

20

外国国債

39,363

192,325

231,688

231,688

外国社債

11,981

2,933

14,914

11,981

2,933

投資信託及びファンド投資

552,017

67,355

619,372

599,937

19,435

資本性証券

3,451,655

8,146

9,434

3,469,235

3,210,296

258,939

デリバティブ資産

 

 

 

 

 

 

 

 

金利契約

49,619

49,619

1,009

48,610

外国為替契約

20,425

20,425

18,774

1,651

株式契約

2,379

2,379

2,379

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国債

1,021,309

1,021,309

4,302

1,017,007

日本地方債

13,945

13,945

5,310

8,635

日本社債

3,302

3,302

3,302

外国国債

39,472

39,472

7,390

32,082

外国社債

159,158

5,923

165,081

49,578

115,503

その他の包括利益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国債

7,057,395

7,057,395

300

7,057,095

日本地方債

48,712

48,712

550

48,162

日本社債

743,804

138,848

882,652

11,414

871,238

外国国債

1,221,208

1,221,208

1,221,068

140

外国社債

266,362

34,757

301,119

28,363

272,756

証券化商品

60,565

22,008

82,573

82,573

その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

資本性証券

67,834

249,181

317,015

7,305

309,710

資産合計

3,558,852

11,922,016

532,838

16,013,706

110,509

22,162

15,239,597

641,438

 

 

項目

2024年3月31日

金額(百万円)

レベル1

レベル2

レベル3

合計

連結財政状態計算書

計上科目

その他の

金融負債

(流動)

その他の

金融負債

(非流動)

負債

 

 

 

 

 

 

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融負債

 

 

 

 

 

 

デリバティブ負債

 

 

 

 

 

 

金利契約

6,450

6,450

406

6,044

外国為替契約

17,493

17,493

16,297

1,196

株式契約

3,428

1,916

5,344

5,344

条件付対価

50,343

50,343

26,193

24,150

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融負債

 

 

 

 

 

 

償還可能非支配持分

54,028

54,028

54,028

負債合計

3,428

25,859

104,371

133,658

48,240

85,418

 

 上記の表には、現金及び現金同等物は含まれていません。注記27をご参照ください。

 一部の負債性証券は活発な市場における取引価格が利用可能になったため、レベル2からレベル1へ移動しました。2022年度及び2023年度の移動額はそれぞれ2,704百万円及び2,384百万円です。また、一部の負債性証券は活発な市場における取引価格が利用できなくなったため、レベル1からレベル2へ移動しました。2022年度と2023年度の移動額はそれぞれ1,982百万円及び847百万円です。

 一部の資本性証券は活発な市場における取引価格が利用可能になったため、レベル2からレベル1へ移動しました。2022年度の移動額は24,958百万円です。2023年度におけるレベル2からレベル1への移動はありません。

 

 レベル3に分類されている資産・負債の公正価値測定に用いた評価技法、重大な観察可能でないインプット、及びその範囲は以下のとおりです。

 

評価技法

重大な観察可能でないインプット

範囲

 

2023年3月31日

2024年3月31日

その他の包括利益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

日本社債

割引キャッシュ・フロー

クレジット・スプレッド

34bp~63bp

27bp~72bp

外国社債

10bp

-

証券化商品

150bp~190bp

90bp~170bp

(注)* bp=ベーシス・ポイント

 

 公正価値はクレジット・スプレッドの上昇(低下)により減少(増加)します。

 なお、レベル3に分類されている上記の資産について、重大な観察可能でないインプットを、合理的に考え得る代替的な仮定を反映するように変更した場合の公正価値の変動は重要ではありません。

 

 2022年度及び2023年度におけるレベル3に分類されている資産・負債の公正価値の変動は以下のとおりです。

項目

2022年度

金額(百万円)

期首残高

利得又は損失 *1

購入

売却又は

決済

レベル3

への移動

*4

レベル3

からの移動

 *5

その他

期末残高

純損益に

含まれる

金額 *2

その他の

包括利益に

含まれる

金額 *3

資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本社債

18

20

38

外国社債

117

△14

3,434

△70

△90

3,377

証券化商品

3,713

△3,713

投資信託及びファンド投資

48,520

△2,541

395

17,254

△2,832

60,796

資本性証券

3,217

△413

4,021

△36

6,789

デリバティブ資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式契約

4,024

△393

356

705

4,692

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外国社債

3,625

△84

3,541

その他の包括利益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本社債

154,245

6

△30,203

47,574

171,622

外国社債

20,837

598

24,362

△21,125

24,672

証券化商品

39,859

△389

6

13,575

△15,048

6,712

△4,124

40,591

その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資本性証券

205,509

△24,913

143,611

△126

146

△600

401

324,028

負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

条件付対価

21,552

△475

1,240

43,455

△13,951

△309

51,512

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

償還可能非支配持分

34,995

△1,410

2,877

13,670

△2,802

△4

47,326

 

 

項目

2023年度

金額(百万円)

期首残高

利得又は損失 *1

購入

売却又は

決済

レベル3

への移動

レベル3

からの移動

 *5

その他

期末残高

純損益に

含まれる

金額 *2

その他の

包括利益に

含まれる

金額 *3

資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本社債

38

20

△18

△20

20

外国社債

3,377

171

317

△932

2,933

投資信託及びファンド投資

60,796

3,781

736

8,677

△6,635

67,355

資本性証券

6,789

595

1

1,951

△152

250

9,434

デリバティブ資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式契約

4,692

△2,816

503

2,379

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外国社債

3,541

642

1,740

5,923

その他の包括利益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本社債

171,622

8

△32,782

138,848

外国社債

24,672

1,315

255

29,150

△19,148

△1,487

34,757

証券化商品

40,591

1,434

35

12,793

△24,437

△8,408

22,008

その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資本性証券

324,028

△6,987

6,342

△73,874

△1,175

847

249,181

負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

条件付対価

51,512

182

6,614

4,363

△12,328

50,343

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

償還可能非支配持分

47,326

△3,396

5,345

5,294

△541

54,028

(注)*1 負債項目は利得を負の値、損失を正の値で表示しています。

*2 連結損益計算書上、金融ビジネス収入、その他の営業損(益)(純額)、金融収益及び金融費用に含まれています。

*3 連結包括利益計算書上、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の変動、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の変動及び在外営業活動体の換算差額に含まれています。

*4 インプットの観察可能性が低下したため、一部の金融資産がレベル3へ移動しました。

*5 観察可能な市場データが利用可能となったため、一部の金融資産がレベル3から移動しました。

 

 

 2022年度及び2023年度末に保有するレベル3に分類されている資産・負債に関連する純損益に計上した未実現利益(損失)の変動は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

資産

 

 

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

負債性証券

 

 

外国社債

△14

171

投資信託及びファンド投資

△2,420

3,887

資本性証券

△413

495

デリバティブ資産

 

 

株式契約

△393

△2,816

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融資産

 

 

負債性証券

 

 

外国社債

△84

646

その他の包括利益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産

 

 

負債性証券

 

 

日本社債

6

8

外国社債

598

1,315

証券化商品

△389

1,461

負債

 

 

純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融負債

 

 

条件付対価

△2,683

△1,488

純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した金融負債

 

 

償還可能非支配持分

1,410

3,270

(注) 連結損益計算書上、金融ビジネス収入、その他の営業損(益)(純額)、金融収益及び金融費用に含まれています。

 

 ソニーは関係事業推進及び関係維持・強化等のための資本性金融商品への政策投資については、その保有目的に鑑み、主にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定しています。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定した資本性金融商品の内訳は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

市場性あり

103,270

67,834

市場性なし

324,028

249,181

合計

427,298

317,015

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在、市場性のあるその他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定した主要な資本性金融商品は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

Bilibili Inc.

54,214

29,410

ANYCOLOR㈱

10,061

8,568

㈱KADOKAWA

8,017

7,545

東映アニメーション㈱

10,407

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在、ソニーが保有する市場性のないその他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定した資本性金融商品の主要な業種別情報は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

エンタテインメント *1

259,214

187,294

製造業 *2

35,182

34,610

情報技術・通信・サービス業 *3

27,136

24,348

(注)*1 2023年3月31日現在の主な銘柄はEpic Games, Inc.及びScopely, Inc.です。

2024年3月31日現在の主な銘柄はEpic Games, Inc.です。

*2 主な銘柄は日亜化学工業㈱です。

*3 主な銘柄は㈱半導体エネルギー研究所です。

 

 ソニーは、保有資産の効率化及び有効活用を図るため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定した資本性金融商品の売却による認識の中止を行っています。2022年度及び2023年度中に認識を中止したものに係る情報は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

認識の中止時の公正価値

625

86,265

その他の包括利益で認識した累計額(税効果考慮後) *

△298

12,326

受取配当金

8

122

(注)* 累積その他の包括利益(税効果考慮後)は、資本性金融商品の認識の中止時に利益剰余金に振り替えていま

         す。

 

(3) 償却原価で測定されている金融商品

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在、償却原価で測定されている金融商品のレベルごとの公正価値は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

修正再表示

金額(百万円)

公正価値

帳簿価額

レベル1

レベル2

レベル3

資産

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

外国社債

4,814

4,814

4,796

証券化商品

324,153

324,153

331,354

その他

41

1,173

1,214

1,224

銀行ビジネスにおける住宅ローン

3,184,060

3,184,060

3,129,393

資産合計

4,855

3,509,386

3,514,241

3,466,767

負債

 

 

 

 

 

長期借入債務(1年以内に返済期限の到来する長期借入債務を含む)

1,343,077

67,844

1,410,921

1,423,392

投資契約負債

55,523

55,523

55,779

負債合計

1,398,600

67,844

1,466,444

1,479,171

 

 

項目

2024年3月31日

金額(百万円)

公正価値

帳簿価額

レベル1

レベル2

レベル3

資産

 

 

 

 

 

負債性証券

 

 

 

 

 

日本社債

9,957

9,957

9,950

外国社債

3,413

3,413

3,386

証券化商品

378,389

378,389

378,736

その他

41

4,368

4,409

4,409

銀行ビジネスにおける住宅ローン

3,634,011

3,634,011

3,574,468

資産合計

13,411

4,016,768

4,030,179

3,970,949

負債

 

 

 

 

 

長期借入債務(1年以内に返済期限の到来する長期借入債務を含む)

1,606,340

78,935

1,685,275

1,704,102

投資契約負債

59,578

59,578

60,392

負債合計

1,665,918

78,935

1,744,853

1,764,494

 

 上記の表には、償却原価で測定する金融商品のうち、主として短期取引であり帳簿価額が公正価値と近似するものを含めていません。

 

 レベル2に分類されている1年以内返済予定分を含む長期借入債務の公正価値は、主に類似した負債のソニーの現在の利率を使って、将来キャッシュ・フローを割り引いた金額で見積もられています。

 レベル2に分類されている投資契約負債の公正価値は、将来キャッシュ・フローを見積もり、リスクフリーレートのイールド・カーブに信用リスク等を加味した割引率で割り引いて算定しています。

 レベル3に分類されている金融商品は、主に銀行ビジネスにおける住宅ローン、証券化商品及びソニーが発行した一部の社債です。ソニーはこれらの金融商品の公正価値を決定するにあたり、将来キャッシュ・フローを見積もり、リスクフリーレートのイールド・カーブに一定の信用リスク等を加味した割引率で割り引いて算定しています。

 

(4) 金融分野における金融商品に関連する収益及び費用

 金融分野における金融商品に関連する収益及び費用は、連結損益計算書上、その他の金融ビジネス収入及びその他の金融ビジネス費用として計上されます。金融分野以外の分野に含まれる金融商品に関連する収益及び費用は、連結損益計算書上、金融収益及び金融費用として計上されます。金融収益及び金融費用の詳細については、注記24をご参照ください。

 

 2022年度及び2023年度の金融分野における金融商品に関連する収益及び費用の内訳は以下のとおりです。

項目

2022年度

修正再表示

金額(百万円)

純損益を

通じて公正

価値で測定

することが

要求される

金融商品

純損益を

通じて公正

価値で測定

するものと

指定した

金融商品

償却原価で

測定する

金融資産

償却原価で

測定する

金融負債

その他の

包括利益を

通じて公正

価値で測定

する負債性

金融商品

その他の

包括利益を

通じて公正

価値で測定

する資本性

金融商品

合計

収益 *

 

 

 

 

 

 

 

純損益に認識した正味利得(損失)

56,150

△109,480

14,242

△58,484

141,189

43,617

金利収益総額

38,787

184,519

223,306

配当収入

195

195

費用

 

 

 

 

 

 

 

金利費用総額

29,867

29,867

金融資産の

減損損失(利得)

144

8

152

 

項目

2023年度

金額(百万円)

純損益を

通じて公正

価値で測定

することが

要求される

金融商品

純損益を

通じて公正

価値で測定

するものと

指定した

金融商品

償却原価で

測定する

金融資産

償却原価で

測定する

金融負債

その他の

包括利益を

通じて公正

価値で測定

する負債性

金融商品

その他の

包括利益を

通じて公正

価値で測定

する資本性

金融商品

合計

収益 *

 

 

 

 

 

 

 

純損益に認識した正味利得(損失)

857,653

△120,317

5,279

△105,974

257,902

894,543

金利収益総額

52,060

191,209

243,269

配当収入

459

459

費用

 

 

 

 

 

 

 

金利費用総額

72,488

72,488

金融資産の

減損損失(利得)

△42

△3

△45

(注)* 収益には保険ビジネスから生じる投資収益が含まれています。注記13をご参照ください。

 

6.金融商品に関連するリスク管理

(1) 資本リスク

 ソニーが資本リスク管理として用いる指標として株主資本利益率(以下「ROE」)があります。

 

2023年3月31日

修正再表示

2024年3月31日

ROE*

16.4%

13.7%

(注)* ROEは当社株主に帰属する資本を用いて算出しています。

 

 なお、金融分野においては以下のとおり法令の規制を受けることから、資本については金融分野と金融分野以外を区別して管理しており、財務健全性維持の観点から、金融分野を除いた株主資本比率を参照しています。

 

 金融分野においては、ソニーは保険業法、銀行法にもとづき健全性の指標を一定水準以上に保つことが義務付けられています。ソニーが遵守すべき重要な指標は以下のとおりです。

保険ビジネス:ソルベンシー・マージン比率の維持

 生命保険子会社及び損害保険子会社は、日本国内の基準にもとづくソルベンシー・マージン比率を維持しています。

銀行ビジネス:自己資本比率の維持

 銀行子会社は、日本国内の基準にもとづく自己資本比率を維持しています。

 

 したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されています。2023年3月31日及び2024年3月31日現在のソニーフィナンシャルグループ㈱(以下「SFGI」)における総資産の帳簿価額は、それぞれ19,912,827百万円及び20,877,128百万円です。また、2023年3月31日及び2024年3月31日現在のSFGIの負債の帳簿価額は、それぞれ18,728,102百万円及び19,763,959百万円です。なお、2023年3月31日現在の金額についてはIFRS第17号にもとづき修正再表示しています。

 

(2) 金利リスク

 金融分野に含まれる保険ビジネスの金利リスクについては、注記13をご参照ください。また、金融分野に含まれる銀行ビジネスの金利リスクについては、(7)銀行ビジネスにおける市場リスクをご参照ください。

 

 リスク管理方針とエクスポージャー

 金利リスクは、市場金利の変動により、金融商品の公正価値もしくは金融商品から生じる将来キャッシュ・フローが変動するリスクとして定義されています。

 

 金融分野を除くソニー連結における金利リスクのエクスポージャーは、主に借入金や社債などの債務に関連しています。利息の金額は市場金利の変動に影響を受けるため、ソニーは、利息の将来キャッシュ・フローが変動する金利リスクにさらされています。

 主に金利の上昇による将来の利息の支払額の増加を抑えるために、社債を固定金利で発行することにより資金調達を行っています。

 

 また、主に資金調達コストの引き下げ、資金調達手段の多様化、金利及び外国為替レートの不利な変動ならびに金融商品の公正価値変動がもたらす借入債務及び負債性証券に係るリスクを軽減するために金利スワップ契約を利用しています。

 これらにより、金融分野を除くソニー連結において、金利リスクはキャッシュ・フローにとって重要ではありません。

 

(3) 価格変動リスク

 金融分野に含まれる保険ビジネスの価格変動リスクについては、注記13をご参照ください。また、金融分野に含まれる銀行ビジネスの価格変動リスクについては、(7)銀行ビジネスにおける市場リスクをご参照ください。

 

① リスク管理方針とエクスポージャー

 ソニーは、保有する国内外の企業等の株式から生じる価格変動リスクにさらされています。ソニーでは、資本性金融商品について、定期的に公正価値や発行体の財務状況等を把握し、保有状況を継続的に見直しています。

 

② 感応度分析

 2023年3月31日及び2024年3月31日における市場性のある資本性金融商品(株式)の市場価格が10%下落した場合に、税引前利益及びその他の包括利益(税効果考慮前)に与える影響は以下のとおりです。

 

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

税引前利益

△11,734

△24,621

その他の包括利益(税効果考慮前)

△9,800

△6,116

 

(4) 流動性リスク

 金融負債に係る満期分析以外の金融分野に含まれる保険ビジネスの流動性リスクについては、注記13をご参照ください。

 

① リスク管理方針

 以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野及び一部の子会社を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野に含まれる銀行ビジネスについては当該項目の最後に別途説明しています。

 

流動性マネジメントと資金の調達

 ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全な財政状態を維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。

 流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フロー及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて社債、コマーシャル・ペーパー(以下「CP」)、銀行借入などの手段を通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。

 当社、英国の子会社Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)及び米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)は日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なCPプログラム枠を有しています。2023年度末時点で当社、SGTS及びSCCは、円換算で合計1兆2,571億円分のCPプログラム枠を保有しています。2023年度末における発行残高はありません。

 金融・資本市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2023年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で7,664億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる3,500億円の円貨コミットメントライン、日本の銀行団と結んでいる1,700百万米ドルの複数通貨建てコミットメントライン、外国の銀行団と結んでいる1,050百万米ドルの複数通貨建てコミットメントラインです。金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及びこれらのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。

 ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の信用格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。ただし、グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの信用格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの信用格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。

 

キャッシュ・マネジメント

 ソニーは、日本においては当社、米国においてはSCC、それ以外の地域においてはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、当社、SGTS及びSCCにより純額ベースで運用又は調達をしています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合は当社、SGTS及びSCCに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合には当社、SGTS及びSCCを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーは当社、SGTS及びSCCの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。

 

金融分野に含まれる銀行ビジネス

 金融分野に含まれる銀行ビジネスにおいては、流動性リスクに関する管理諸規程を整備し、同諸規程に従い、流動性リスクの管理を実施しています。流動性リスクには、資金繰りリスクと市場流動性リスクがあります。資金繰りリスクとは、決済日に必要な資金が確保できなくなり、資金決済が履行できなくなることや、資金の確保に通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクです。資金繰りの状況をその資金繰りの逼迫度に応じてフェーズ分けし、各フェーズにおける管理手法、報告方法などを定めるとともに、必要に応じて、ガイドラインなどの設定と見直しを行っています。市場流動性リスクとは、市場の混乱などにより市場において取引ができなくなり、当社が保有するポジションを解消することが不可能となることや、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクです。各種取扱商品に対する市場流動性の状況を把握し、必要に応じて、商品ごとのガイドラインなどの設定と見直しを行っています。これらの流動性リスク管理は、リスク管理部門が行い、また、その管理状況を、銀行子会社の取締役会や経営会議に、定期的に報告しています。さらに、銀行子会社の内部監査部門によるリスク管理状況に対する監査を実施しています。

 

② 満期分析

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在、ソニーが保有する金融負債は以下のとおりです。

 

2023年3月31日

 

金額(百万円)

 

帳簿価額

合計

1年以内

1年超~

2年以内

2年超~

3年以内

3年超~

4年以内

4年超~

5年以内

5年超

銀行ビジネスにおける顧客預金 *1

3,306,981

3,316,556

3,171,377

30,215

14,933

1,060

2,410

96,561

社債

349,332

354,169

26,039

40,986

110,862

35,591

80,416

60,275

借入金

2,988,994

3,025,480

1,998,315

70,690

147,447

270,268

62,571

476,189

ローン・コミットメント

35,831

35,831

デリバティブ負債 *2

34,123

33,766

28,886

623

1,041

912

918

1,386

預り保証金

40,568

40,568

31,085

272

19

58

13

9,121

償還可能非支配持分

47,326

48,616

24,844

10,397

4,572

198

8,605

 

 

2023年3月31日

 

金額(百万円)

 

帳簿価額

合計

1年以内

1年超~

2年以内

2年超~

3年以内

3年超~

4年以内

4年超~

5年以内

リース負債

532,246

593,967

90,244

80,476

68,143

55,189

47,665

5年超~

6年以内

6年超~

7年以内

7年超~

8年以内

8年超~

9年以内

9年超~

10年以内

10年超

56,603

37,539

34,588

25,798

18,384

79,338

(注)*1 要求払預金は1年以内に含まれています。

*2 デリバティブ負債の純額決済・総額決済の内訳は以下のとおりです。

 

2023年3月31日

 

金額(百万円)

 

合計

1年以内

1年超~

2年以内

2年超~

3年以内

3年超~

4年以内

4年超~

5年以内

5年超

純額で決済するデリバティブ契約

 

 

 

 

 

 

 

支出

32,881

27,820

769

1,076

912

918

1,386

総額で決済するデリバティブ契約

 

 

 

 

 

 

 

収入

29,092

25,894

156

3,042

支出

29,977

26,960

10

3,007

 

 

 

2024年3月31日

 

金額(百万円)

 

帳簿価額

合計

1年以内

1年超~

2年以内

2年超~

3年以内

3年超~

4年以内

4年超~

5年以内

5年超

銀行ビジネスにおける顧客預金 *1

3,845,607

3,870,349

3,687,051

22,043

11,422

2,728

3,069

144,036

社債

544,078

554,986

42,236

112,112

126,786

101,302

80,974

91,576

借入金

2,972,629

3,013,803

1,909,097

84,525

259,511

231,829

156,945

371,896

ローン・コミットメント

50,965

50,965

デリバティブ負債 *2

29,287

29,557

23,465

1,179

1,178

1,145

953

1,637

預り保証金

44,864

44,864

31,479

135

9

24

10

13,207

償還可能非支配持分

54,028

54,389

14,794

25,740

99

5,292

8,464

 

 

2024年3月31日

 

金額(百万円)

 

帳簿価額

合計

1年以内

1年超~

2年以内

2年超~

3年以内

3年超~

4年以内

4年超~

5年以内

リース負債

571,726

671,899

106,505

96,090

85,917

68,624

57,850

5年超~

6年以内

6年超~

7年以内

7年超~

8年以内

8年超~

9年以内

9年超~

10年以内

10年超

51,240

47,630

37,279

29,390

21,954

69,420

(注)*1 要求払預金は1年以内に含まれています。

*2 デリバティブ負債の純額決済・総額決済の内訳は以下のとおりです。

 

2024年3月31日

 

金額(百万円)

 

合計

1年以内

1年超~

2年以内

2年超~

3年以内

3年超~

4年以内

4年超~

5年以内

5年超

純額で決済するデリバティブ契約

 

 

 

 

 

 

 

支出

28,220

22,128

1,179

1,178

1,145

953

1,637

総額で決済するデリバティブ契約

 

 

 

 

 

 

 

収入

49,187

49,187

支出

50,524

50,524

 

(5) 為替変動リスク

 金融分野に含まれる保険ビジネスの為替変動リスクについては、注記13をご参照ください。また、金融分野に含まれる銀行ビジネスの為替変動リスクについては、(7)銀行ビジネスにおける市場リスクをご参照ください。

 

① リスク管理方針とエクスポージャー

 外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、ソニーの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。ソニーは、主に為替予約等のデリバティブの利用や同一通貨建ての有価証券などで運用することにより、為替リスクの緩和に努めています。

 

 ソニーにおける為替変動リスクのエクスポージャー(純額)の主なものは、以下のとおりです。なお、デリバティブにより為替リスクがヘッジされている金額は除いています。

 

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

米ドル

45,316

81,000

ユーロ

1,459

282

(注)負債側のエクスポージャー(純額)を負の値、資産側のエクスポージャー(純額)を正の値と表示しています。

 

② 感応度分析

 ソニーが2023年3月31日及び2024年3月31日現在において保有する外貨建て金融商品について、日本円が、米ドル及びユーロに対してそれぞれ10%円高になった場合に、税引前利益に与える影響額は、以下のとおりです。なお、日本円が米ドル及びユーロに対してそれぞれ10%円安になった場合は、以下の表と同額で反対の影響があります。

 本分析は、その他全ての変数が一定であることを前提としています。

 

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

米ドル

△4,532

△8,100

ユーロ

△146

△28

 

(6) 信用リスク

① リスク管理方針とエクスポージャー

 ソニーでは、営業債権に係る顧客の信用リスク及び営業債権の為替リスクをヘッジするために保有するデリバティブに係る取引相手である金融機関の信用リスクにさらされています。

 

 営業債権については、与信管理に関する社内規程に従い、取引開始前に取引相手の経営内容の把握や信用度の判定を行って取引の適否の検討、与信限度額の設定及び債権保全策の検討をしています。取引開始後は、債権管理に関する社内規程に従い、取引相手ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、取引の経過、回収の内容、債権残高の推移動向を継続して記録管理し、また、取引相手の経営内容及びビジネス動向等の情報を積極的に収集することで、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っています。営業債権のうち、将来損失の発生が予想される部分に対して計上される損失評価引当金の計算にあたり、過去の回収率、現在の状況及び将来の経済状況の予測に加え、継続的な信用リスク評価にもとづいて顧客の信用力を判断しています。

 

 また、デリバティブ取引については、信用度の高い金融機関や中央清算機関等としか取引を行っておらず、取引時には担保の受取がされていることから、信用リスクは小さいと考えています。

 

 金融分野においては、「リスク管理基本規則」を制定し、子会社の規模、特性、及び業務内容に応じたリスク管理を行っています。金融分野のリスク管理に関する具体的な体制等は「リスク管理ガイドライン」に定めており、金融分野の子会社において、金融資産の特性に応じて、負債性証券の発行体の信用リスク、カウンターパーティーリスク、個人向け貸出金については、個別案件ごとの与信審査、与信限度額、信用情報管理、信用格付け、保証や担保の設定、問題債権への対応等に関する体制を整備して、それぞれ自律的なリスク管理を行っています。これらの管理状況は、金融分野の子会社における関連部署より、それらの取締役会へ定期的に報告しています。

② 信用リスク・エクスポージャー

(i)損失評価引当金の変動

営業債権、その他の債権及び契約資産等(映画分野におけるその他の非流動債権を含む)

 

2022年度

2023年度

全期間の予想信用損失

(百万円)

全期間の予想信用損失

(百万円)

期首残高

31,341

27,534

期首現在で認識されている金融資産の変動:

 

 

―認識の中止が行われた金融資産

△4,568

△2,018

組成又は新規購入した新規の金融資産

6,401

9,464

直接償却

△6,647

△5,990

モデル/リスク変数の変更

△1,409

643

外国為替及びその他の変動

2,416

3,433

期末残高

27,534

33,066

 

負債性証券

 

2022年度

2023年度

12ヵ月の予想信用損失 *

(百万円)

12ヵ月の予想信用損失 *

(百万円)

期首残高

53

61

期首現在で認識されている金融資産の変動:

 

 

―認識の中止が行われた金融資産

△4

△10

組成又は新規購入した新規の金融資産

13

8

モデル/リスク変数の変更

△1

△1

外国為替及びその他の変動

期末残高

61

58

(注)* 全ての負債性証券は当初認識時点より信用リスクが著しく増加していないため、損失評価引当金は12ヵ月の

         予想信用損失に等しい金額で測定されています。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、ほとんど全ての負債性証券に係る損失評価引当金は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する損失評価引当金です。

 

貸出金

 

金額(百万円)

12ヵ月の

予想信用損失

全期間の

予想信用損失

合計

2022年4月1日残高

164

927

1,091

2022年4月1日現在で認識されている金融資産の変動:

 

 

 

―全期間の予想信用損失への振替

△1

1

―12ヵ月の予想信用損失への振替

80

△80

―認識の中止が行われた金融資産

△6

△285

△291

組成又は新規購入した新規の金融資産

51

20

71

モデル/リスク変数の変更

25

241

266

外国為替及びその他の変動

2023年3月31日残高

313

824

1,137

2023年3月31日現在で認識されている金融資産の変動:

 

 

 

―全期間の予想信用損失への振替

△1

1

―12ヵ月の予想信用損失への振替

106

△106

―認識の中止が行われた金融資産

△24

△227

△251

組成又は新規購入した新規の金融資産

45

823

869

モデル/リスク変数の変更

△162

187

24

外国為替及びその他の変動

2024年3月31日残高

277

1,502

1,779

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在における信用減損している貸出金で、重要なものはありません。

 

(ⅱ)担保及びその他の信用補完の説明

 ソニーは、各顧客の信用度を案件ごとに評価しています。与信の拡大が必要と判断された際に、入手した担保の金額はマネジメントによる顧客の信用評価にもとづいています。保有される担保は変動するものの、主に下記のようなものを含んでいます。

 

・全資産に対する浮動担保及び事業

・特定の、又は関連する保証

・顧客の債務保証、有利及び不利な制約を含むローン契約

 

 担保及びその他の信用補完考慮前の金融資産に係る総額での帳簿価額は、これらの金融資産に係る信用リスクに対するソニーの最大エクスポージャーです。IFRS第9号「金融商品」(以下「IFRS第9号」)の減損の要求事項が適用されない有価証券に係る担保及びその他の信用補完考慮前の信用リスクに対する最大エクスポージャーについては、注記5に記載しています。

 

 金融分野において、住宅ローンは十分な担保を受け取っており、重要な損失評価引当金は認識されません。債券貸借取引の担保として受け入れている有価証券のうち、売却又は担保として自由に処分できる権利を有し、当該処分を行わず所有しているものの公正価値は、2023年3月31日時点で4,691百万円でしたが、2024年3月31日現在においては所有しているものはありません。また、各事業年度において当該処分を行った担保はありません。なお、これらの担保は、当該処分が行われるまで連結財政状態計算書には認識されません。

 

(ⅲ)リスクの等級ごとの信用リスク・エクスポージャー

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在におけるリスクの等級ごとの信用リスク・エクスポージャーは、以下のとおりです。

 

営業債権、その他の債権及び契約資産等(映画分野におけるその他の非流動債権を含む)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

債権の期日経過後日数別残高(総額での帳簿価額)

 

 

期日経過なし又は期日経過後30日以内

1,849,112

2,224,058

期日経過後30日超90日以内

46,332

47,942

期日経過後90日超

63,519

75,740

合計

1,958,963

2,347,740

 

負債性証券

 金融分野で保有している負債性証券について、各社のリスク管理上、ほとんど全てが投資適格先から構成されており、IFRS第9号の減損の要求が適用される金融商品として、12ヵ月の予想信用損失が計上されています。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、金融分野における主に外部の信用格付けによる信用格付けシステムにもとづく償却原価又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性証券の総額での帳簿価額の分析は以下のとおりです。

 

2023年3月31日

修正再表示

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

負債性証券の信用格付け別残高(総額での帳簿価額)

 

 

AAA

536,009

659,016

AA

2,807,684

3,122,639

A

7,328,136

7,111,836

BBB

9,625

15,668

その他

6,434

3,004

合計

10,687,888

10,912,163

 

貸出金

 金融分野の銀行ビジネスで保有している貸出金について、リスク管理上、債務者の信用区分を定期的に見直しており、IFRS第9号の減損の要求が適用される金融商品として、債務者の信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているか否かによって、12ヵ月又は全期間の予想信用損失が計上されています。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、金融分野の銀行ビジネスにおける債務者の信用区分にもとづく償却原価で測定する貸出金の総額での帳簿価額の分析は以下のとおりです。

 

2023年3月31日

 

金額(百万円)

 

正常先 *

正常先以外

合計

 

12ヵ月の

予想信用損失

全期間の

予想信用損失

小計

12ヵ月の

予想信用損失

全期間の

予想信用損失

小計

貸出金

 

 

 

 

 

 

 

住宅ローン

3,124,410

140

3,124,550

2,173

3,350

5,523

3,130,073

その他

16,852

242

17,094

4

74

78

17,172

合計

3,141,262

382

3,141,644

2,177

3,424

5,601

3,147,245

 

 

2024年3月31日

 

金額(百万円)

 

正常先 *

正常先以外

合計

 

12ヵ月の

予想信用損失

全期間の

予想信用損失

小計

12ヵ月の

予想信用損失

全期間の

予想信用損失

小計

貸出金

 

 

 

 

 

 

 

住宅ローン

3,570,142

247

3,570,389

1,998

2,706

4,704

3,575,093

その他

15,755

378

16,133

5

96

101

16,234

合計

3,585,897

625

3,586,522

2,003

2,802

4,805

3,591,327

(注)* 正常先は、業況が良好であり、かつ財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者です。

 

(ⅳ)純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した負債性証券に係る信用リスク

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在の純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した負債性証券に係る信用リスクのエクスポージャーは、それぞれ1,486,566百万円及び1,243,109百万円です。当該金融資産について、信用リスクの変化に起因する公正価値の変動額は、2022年度及び2023年度において、それぞれ509百万円の増加及び969百万円の減少です。またその変動の累計額は、2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、それぞれ2,535百万円及び1,566百万円の増加です。なお、2023年3月31日の金額についてはIFRS第17号にもとづき修正再表示しています。

 

(7) 銀行ビジネスにおける市場リスク

 ソニーは銀行ビジネスにおいて、市場リスクに関する管理諸規程を整備し、同諸規程に従い、金利・為替・株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動による資産・負債(オフバランスを含む)の価値及び資産・負債から生み出される収益への悪影響により損失を被るリスクを管理しています。市場リスクに関する管理諸規程において、リスク管理方法や手続等の詳細を明記しており、銀行子会社の取締役会にて決定されたALM及びリスク管理に関する方針にもとづき、原則として1ヵ月に1回開催されるALM委員会及びリスク管理委員会において実施状況の把握・確認、今後の対応、リスクの状況等について協議を行っています。日次管理としてはリスク管理部門において、金融資産及び金融負債の金利や為替レート、期間等を総合的に把握し、一定の保有期間及び信頼区間における予想最大損失額であるバリュー・アット・リスク(以下「VaR」)や金利感応度分析等により、モニタリングならびに規程の遵守状況等の管理を行っています。また、金利・為替の変動リスクをヘッジするための金利スワップ等のデリバティブ取引も行っています。VaRは、ヒストリカル法(観測期間:250日間、信頼区間:99.0%)により算出し、金利及び為替の変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用しています。2023年3月31日及び2024年3月31日現在の市場リスク量は、それぞれ21,433百万円及び18,046百万円です。なお、VaRは、金利及び為替を除くリスク変数が一定の場合を前提としています。また、金利及び為替の合理的な予想変動幅を超える変動が生じた場合には、算定額を超える影響が生じる可能性があります。前述の市場リスク管理は、リスク管理部門が中心となって行い、また、その管理状況を、銀行子会社の取締役会や経営会議に、定期的に報告しています。さらに、銀行子会社の内部監査部門によるリスク管理状況に対する監査を実施しています。

 

(8) 金利指標改革による影響

 LIBOR(London Interbank Offered Rate)や、その他の銀行間取引金利(IBOR)など、ベンチマーク金利の改革及びその移行が世界の規制当局の優先事項になりました。米ドルLIBOR以外のLIBORは、2021年12月31日、米ドルLIBORは2023年6月30日に公表停止となり、代表性を喪失しています。

 

 前述のとおり、日本円及び英ポンドのIBORは2021年12月31日をもって廃止されており、TONA(Tokyo Overnight Average Rate)やSONIA(The Sterling Overnight Index Average)といった代替金利に移行しています。また、米ドルLIBORについては2023年6月に公表停止となり、LIBORに代わってSOFR(Secured Overnight Financing Rate)へ移行しています。

 

 ソニーでは、2023年3月31日時点で保有していた、米ドルLIBORを参照金利とする契約については、2024年3月31日末時点で、代替金利指標への移行にともなう変更契約の締結を完了しています。

 

7.棚卸資産

 棚卸資産の内訳は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

製品

1,028,614

1,028,359

仕掛品

244,140

314,020

原材料・購入部品

195,288

176,265

合計

1,468,042

1,518,644

 

 2022年度及び2023年度における棚卸資産の評価損計上額はそれぞれ110,901百万円、117,633百万円です。

 2022年度及び2023年度において費用として認識され、売上原価に含まれている棚卸資産の金額は、それぞれ3,317,553百万円、3,635,969百万円です。2022年度及び2023年度におけるこれらの金額には、従業員給付費用がそれぞれ238,133百万円、307,041百万円、減価償却費及び償却費がそれぞれ189,230百万円、287,798百万円含まれています。その他の売上原価は主に材料費、外注加工費及び業務委託料等から構成されています。

 

8.関連会社及び共同支配企業に対する投資

 ソニーにとって個々に重要性のある関連会社及び共同支配企業はありません。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在における、ソニーにとって個々には重要性のない関連会社及び共同支配企業への投資の帳簿価額は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

持分法で会計処理されている投資

 

 

関連会社

279,640

363,611

共同支配企業

45,580

60,133

 計

325,220

423,744

 

 2022年度及び2023年度におけるソニーにとって個々には重要性のない関連会社及び共同支配企業の包括利益(純損益及びその他の包括利益)に対するソニーの持分は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

純損益に対する持分

 

 

関連会社

22,637

19,727

共同支配企業

1,812

△9,225

 小計

24,449

10,502

その他の包括利益に対する持分

 

 

関連会社

3,659

5,311

共同支配企業

40

37

 小計

3,699

5,348

包括利益に対する持分

 

 

関連会社

26,296

25,038

共同支配企業

1,852

△9,188

 計

28,148

15,850

 

 2024年1月31日、ソニーの完全子会社であるソニー銀行株式会社は、その連結子会社であったソニーペイメントサービス株式会社(以下「ソニーペイメントサービス」)の一部株式を、Blackstone Inc.とその関係会社が運営するプライベート・エクイティ・ファンドが設立した特別目的会社に譲渡しました。本譲渡により、ソニーペイメントサービスはソニーの持分法適用会社となり、ソニーは、2023年度において、本譲渡にともなう売却益及び譲渡後もソニーが継続して保有する株式の公正価値にもとづく再評価益の合計19,763百万円をその他の営業損(益)(純額)に計上しました。なお、本譲渡により認識を中止したソニーペイメントサービスの資産及び負債の金額に重要性はありません。

 

9.有形固定資産

 2022年度及び2023年度における有形固定資産の変動は以下のとおりです。

 

金額(百万円)

 

土地

建物及び

構築物

機械装置及び

その他の

有形固定資産

建設

仮勘定

合計

2022年4月1日残高

 

 

 

 

 

取得原価

78,160

832,785

1,953,985

145,940

3,010,870

減価償却累計額及び減損損失累計額

△37

△515,313

△1,381,020

△1,287

△1,897,657

帳簿価額

78,123

317,472

572,965

144,653

1,113,213

帳簿価額の変動

 

 

 

 

 

取得

700

17,369

112,351

364,450

494,870

企業結合による取得

168

2,480

5,939

8,587

科目振替

75

75,608

232,218

△314,742

△6,841

処分又は売却目的保有資産に分類 *1

△876

△1,610

△2,793

△644

△5,923

減価償却費 *2

△33,682

△234,530

△268,212

減損損失

△317

△570

△52

△939

外貨換算調整額

1,232

8,931

5,315

531

16,009

その他

△4,636

△1,264

△5,900

変動額合計

1,131

61,831

113,207

55,482

231,651

2023年3月31日残高

 

 

 

 

 

取得原価

79,291

921,156

2,202,010

201,299

3,403,756

減価償却累計額及び減損損失累計額

37

541,853

1,515,838

1,164

2,058,892

帳簿価額

79,254

379,303

686,172

200,135

1,344,864

帳簿価額の変動

 

 

 

 

 

取得

6,068

14,886

100,199

374,735

495,888

企業結合による取得

912

472

12

1,396

科目振替

616

76,731

314,967

△394,995

△2,681

処分又は売却目的保有資産に分類 *1

△2,077

△2,361

△3,416

△1,414

△9,268

減価償却費 *2

△39,781

△281,807

△321,588

減損損失

△76

△258

△11

△345

外貨換算調整額

2,085

15,913

7,366

5,729

31,093

その他

△1,744

△15,032

57

△16,719

変動額合計

6,692

64,480

122,491

△15,887

177,776

2024年3月31日残高

 

 

 

 

 

取得原価

85,983

1,033,758

2,551,174

185,287

3,856,202

減価償却累計額及び減損損失累計額

37

589,975

1,742,511

1,039

2,333,562

帳簿価額

85,946

443,783

808,663

184,248

1,522,640

 

(注)*1 継続的な使用によってではなく主に売却を通してキャッシュ・フローが生じると予想される資産又は処分グループは、売却目的保有資産として流動資産に分類されています。

 

*2 減価償却費は、棚卸資産の取得原価に配分され、棚卸資産が販売されると売上原価として認識されます。また、資産の使用状況によっては、連結損益計算書の販売費及び一般管理費、研究開発費に直接計上されています。

 

10.リース

 ソニーは、情報関連及びその他の機器、工場施設、事務所、倉庫、従業員の住居施設及びその他の資産をリースとして賃借しています。

 

(1) リース契約の借手として認識した使用権資産

 2022年度及び2023年度における使用権資産の変動は以下のとおりです。

項目

金額(百万円)

土地

建物及び

構築物

機械装置

合計

2022年4月1日残高

17,800

375,268

20,362

413,430

帳簿価額の変動

 

 

 

 

新規リース契約及びリース負債の再測定にともなう増加

1,533

90,395

36,604

128,532

リース契約の中止及びリース負債の再測定にともなう減少

△3,323

△10,654

△214

△14,191

減価償却費

△1,171

△77,368

△7,808

△86,347

その他

399

35,422

818

36,639

変動額合計

△2,562

37,795

29,400

64,633

2023年3月31日残高

15,238

413,063

49,762

478,063

帳簿価額の変動

 

 

 

 

新規リース契約及びリース負債の再測定にともなう増加

177

73,038

25,179

98,394

リース契約の中止及びリース負債の再測定にともなう減少

△74

△10,396

△467

△10,937

減価償却費

△1,169

△82,576

△11,097

△94,842

その他

643

31,379

695

32,717

変動額合計

△423

11,445

14,310

25,332

2024年3月31日残高

14,815

424,508

64,072

503,395

 

(2) リース契約の借手及び貸手として生じる収益、費用、キャッシュ・フロー(減価償却費を除く)に関する情報は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

リース負債に係る支払利息

10,382

12,833

短期リースの例外処理によるリース費用

36,807

20,798

サブリース収入

△1,784

△1,589

リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額

89,681

100,438

 

 リース負債を含む金融負債の満期分析については、注記6をご参照ください。

 

11.のれん及び無形資産

(1) のれん

 2022年度及び2023年度におけるのれんの変動は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

期首残高

 

 

取得原価

1,312,615

1,649,041

減損損失累計額

△359,720

△373,929

帳簿価額

952,895

1,275,112

帳簿価額の変動

 

 

取得 *

274,499

70,791

処分又は売却目的保有資産に分類

△445

△14,491

減損損失

外貨換算調整額

48,163

155,688

変動額合計

322,217

211,988

期末残高

 

 

取得原価

1,649,041

1,884,627

減損損失累計額

373,929

397,527

帳簿価額

1,275,112

1,487,100

(注)* 当該取得に関する詳細は注記30に記載しています。

 

 なお、2023年3月31日及び2024年3月31日現在におけるセグメントごとののれんの帳簿価額は以下のとおりです。

 

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

ゲーム&ネットワークサービス *1

407,121

465,647

音楽 *2

579,969

710,888

映画 *3

259,055

279,949

エンタテインメント・テクノロジー&サービス

14,654

15,829

イメージング&センシング・ソリューション

3,479

3,953

金融

10,834

10,834

その他

合計

1,275,112

1,487,100

(注)*1 ゲーム&ネットワークサービス

 G&NS分野における全てののれんは、G&NS分野全体を資金生成単位グループとするG&NS事業に配分されています。

 G&NS事業における耐用年数が確定できない無形資産の2023年3月31日及び2024年3月31日現在の帳簿価額はそれぞれ57,409百万円及び57,438百万円であり、これらはその他の無形資産として計上されています。プレイステーション®の商標は耐用年数が確定できない無形資産に含めていますが、これはプレイステーション®の商標はG&NS分野における製品・サービスの中核として使用されるものであり、ソニーには予測できる将来においてもプレイステーション®の商標を継続使用していく意向があるためです。

 資金生成単位グループの回収可能価額は、使用価値により測定しています。使用価値は、ターミナル・バリューを含む将来見積キャッシュ・フローの割引現在価値として算定しています。将来見積キャッシュ・フローは、資金生成単位グループの3ヵ年の中期計画にもとづいて作成され、予測期間最終年度後のターミナル・バリューは、永続成長率を使用して決定されています。2023年3月31日における成長率及び税引前割引率はそれぞれ1.5%及び10.8%、2024年3月31日における成長率及び税引前割引率はそれぞれ1.5%及び9.6%です。

 

*2 音楽

 音楽分野におけるのれんは、主に資金生成単位である国内での事業を除いた音楽制作事業及び音楽出版事業に配分されています。

 資金生成単位である音楽制作事業における2023年3月31日及び2024年3月31日現在ののれんの帳簿価額は、それぞれ255,834百万円及び342,653百万円です。資金生成単位の回収可能価額は、使用価値により測定しています。使用価値は、ターミナル・バリューを含む将来見積キャッシュ・フローの割引現在価値として算定しています。将来見積キャッシュ・フローは、資金生成単位の3ヵ年の中期計画にもとづいて作成され、予測期間最終年度後のターミナル・バリューは、永続成長率を使用して決定されています。2023年3月31日における成長率及び税引前割引率はそれぞれ1.0%及び12.8%、2024年3月31日における成長率及び税引前割引率はそれぞれ1.0%及び12.5%です。

 資金生成単位である音楽出版事業における2023年3月31日及び2024年3月31日現在ののれんの帳簿価額は、それぞれ290,833百万円及び330,240百万円です。資金生成単位の回収可能価額は、使用価値により測定しています。使用価値は、ターミナル・バリューを含む将来見積キャッシュ・フローの割引現在価値として算定しています。将来見積キャッシュ・フローは、資金生成単位の3ヵ年の中期計画にもとづいて作成され、予測期間最終年度後のターミナル・バリューは、永続成長率を使用して決定されています。2023年3月31日における成長率及び税引前割引率はそれぞれ3.0%及び11.1%、2024年3月31日における成長率及び税引前割引率はそれぞれ3.0%及び11.4%です。

 

*3 映画

 映画分野におけるのれんは、主に資金生成単位であるアニメーション配信事業に配分されています。

 資金生成単位であるアニメーション配信事業における2023年3月31日及び2024年3月31日現在ののれんの帳簿価額は、それぞれ124,265百万円及び141,155百万円です。資金生成単位の回収可能価額は、使用価値により測定しています。使用価値は、ターミナル・バリューを含む将来見積キャッシュ・フローの割引現在価値として算定しています。将来見積キャッシュ・フローは、資金生成単位の3ヵ年の中期計画にもとづいて作成されます。その際、3ヵ年予測期間後の予測収益の見積りにあたっては、逓減する成長率を用いています。ターミナル・バリューは、予測期間最終年度の見積キャッシュ・フローに適用される収益倍率にもとづいて算定されています。2023年3月31日における3ヵ年予測期間後の成長率は5.0%から15.0%、税引前割引率は16.2%、2024年3月31日における3ヵ年予測期間後の成長率は5.0%から12.0%、税引前割引率は15.9%です。

 

 使用価値の算定手法には、税引前割引率、永続成長率、競争及び規制環境ならびに技術動向などの重要な仮定を使用しています。各仮定について、過去の経験、外部情報、競合相手及び業界動向を考慮しています。また、使用価値の算定に用いた成長率及び税引前割引率について合理的な範囲内で変動があった場合においても、回収可能価額が帳簿価額を下回ることはないと考えています。

 

(2) コンテンツ資産

 2022年度及び2023年度におけるコンテンツ資産の変動は以下のとおりです。

 

金額(百万円)

 

繰延映画

製作費

テレビ放映権

ミュージック

・カタログ

アーティスト

・コント

ラクト

音楽配信権

ゲーム

コンテンツ

コンテンツ

資産合計

2022年4月1日残高

 

 

 

 

 

 

 

取得原価

3,549,934

395,045

914,418

30,278

43,219

46,086

4,978,980

償却累計額及び減損損失累計額

△3,096,457

△293,827

△209,628

△15,035

△9,158

△12,829

△3,636,934

帳簿価額

453,477

101,218

704,790

15,243

34,061

33,257

1,342,046

帳簿価額の変動

 

 

 

 

 

 

 

取得 *1

526,273

83,491

27,839

942

35

10,725

649,305

企業結合による取得

419

7

607

1,171

46,079

48,283

処分又は売却目的保有資産に分類

△38,899

△7

△38,906

償却費

△381,753

△76,824

△31,686

△1,285

△2,755

△15,820

△510,123

減損損失

△13,815

△236

△152

△14,203

外貨換算調整額

27,228

4,665

50,980

1,086

937

294

85,190

その他

290

290

変動額合計

119,453

11,339

47,504

743

△612

41,409

219,836

2023年3月31日残高

 

 

 

 

 

 

 

取得原価

4,320,022

419,025

1,008,942

32,484

45,988

97,386

5,923,847

償却累計額及び減損損失累計額

3,747,092

306,468

256,648

16,498

12,539

22,720

4,361,965

帳簿価額

572,930

112,557

752,294

15,986

33,449

74,666

1,561,882

帳簿価額の変動

 

 

 

 

 

 

 

取得 *1

329,104

97,028

20,842

3,061

146

83,757

533,938

企業結合等による取得 *2

229,884

15,075

2,627

247,586

処分又は売却目的保有資産に分類

△35,927

△7,371

△224

△227

△43,749

償却費

△397,855

△93,240

△43,779

△1,394

△3,146

△31,594

△571,008

減損損失

△13,454

△883

△16

△1,064

△15,417

外貨換算調整額

76,678

16,150

106,777

3,168

2,045

10,063

214,881

変動額合計

△41,454

11,684

313,724

19,670

1,672

60,935

366,231

2024年3月31日残高

 

 

 

 

 

 

 

取得原価

5,216,247

528,970

1,401,970

54,131

52,498

170,058

7,423,874

償却累計額及び減損損失累計額

4,684,771

404,729

335,952

18,475

17,377

34,457

5,495,761

帳簿価額

531,476

124,241

1,066,018

35,656

35,121

135,601

1,928,113

(注)*1 繰延映画製作費の取得には、内部製作した映画に係る製作費及び第三者から取得した金額が含まれています。繰延映画製作費全体に占める第三者から取得した金額の割合に重要性はありません。テレビ放映権、ミュージック・カタログ、アーティスト・コントラクト及び音楽配信権の取得は、主に第三者との契約により取得したものです。ゲームコンテンツの取得には、2022年度は主に自社制作したものが含まれ、2023年度は自社制作と第三者との契約により取得したものがおおむね均等に含まれています。

   *2 注記27(7)及び30(2)をご参照ください。

 

(3) その他の無形資産

 2022年度及び2023年度におけるその他の無形資産の変動は以下のとおりです。

 

金額(百万円)

特許権、

ノウハウ、

ライセンス

契約

顧客関係

商標

ソフト

ウェア

テレビ放送

委託契約

その他

合計

2022年4月1日残高

 

 

 

 

 

 

 

取得原価

213,649

58,427

32,683

952,153

61,939

155,479

1,474,330

償却累計額及び減損損失累計額

△193,982

△37,342

△8,053

△678,177

△33,881

△72,792

△1,024,227

帳簿価額

19,667

21,085

24,630

273,976

28,058

82,687

450,103

帳簿価額の変動

 

 

 

 

 

 

 

取得

6,432

17

117,019

3,323

126,791

企業結合による取得

2,056

9,237

16,655

26,298

38,394

92,640

内部開発

19,835

19,835

処分又は売却目的保有資産に分類

△8

△112

△14

△2,907

△129

△3,170

償却費

△8,152

△9,437

△4,290

△94,821

△3,954

△14,566

△135,220

減損損失

△8

△93

△342

△66

△509

外貨換算調整額

156

1,483

1,516

3,715

2,176

613

9,659

その他

△1,121

158

699

4,299

△322

3,713

変動額合計

△645

1,236

14,583

73,096

△1,778

27,247

113,739

2023年3月31日残高

 

 

 

 

 

 

 

取得原価

201,243

66,593

51,747

1,045,743

66,583

199,311

1,631,220

償却累計額及び減損損失累計額

182,221

44,272

12,534

698,671

40,303

89,377

1,067,378

帳簿価額

19,022

22,321

39,213

347,072

26,280

109,934

563,842

帳簿価額の変動

 

 

 

 

 

 

 

取得

8,854

20

145,515

6,038

160,427

企業結合による取得

371

2,003

1,887

13

123

4,397

内部開発

20,096

20,096

処分又は売却目的保有資産に分類

△16

△1,697

△616

△5,576

△33

△244

△8,182

償却費

△8,838

△10,166

△5,874

△110,296

△4,129

△14,587

△153,890

減損損失

△16

△8

△571

△595

外貨換算調整額

444

2,472

5,094

10,981

3,329

4,963

27,283

その他

97

△104

2,193

38

2,224

変動額合計

896

△7,388

407

62,918

△833

△4,240

51,760

2024年3月31日残高

 

 

 

 

 

 

 

取得原価

212,000

70,560

59,377

1,196,266

75,716

211,848

1,825,767

償却累計額及び減損損失累計額

192,082

55,627

19,757

786,276

50,269

106,154

1,210,165

帳簿価額

19,918

14,933

39,620

409,990

25,447

105,694

615,602

 

12.非金融資産の減損

 2022年度及び2023年度において計上されている減損損失の中には個々に重要な項目はありません。

 

13.金融分野における保険契約

(1) 保険契約における重要な判断及び見積り

① 保険契約の測定方法及びインプット

 保険契約を測定するために使用した方法及び主なインプットは以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

加重平均(%)

加重平均(%)

死亡率

1.03%

1.02%

解約・失効率

3.15%

3.57%

 

 ソニーは、過去及び直近の実績にもとづいて死亡率及び罹患率の見積りを行っており、過去の経験及びデータの傾向については統計的手法により分析しています。保険契約グループごとの死亡率及び罹患率の算出にあたっては、ソニーは、性別、健康状態及び喫煙習慣などの保険契約者の特性や経過期間による選択効果の影響など、当該保険契約グループの特性を考慮しています。また、生活習慣の変化及び将来における死亡率及び罹患率の改善などの社会的状況の変化を反映するため、適時に見積りの見直しを行っています。

 ソニーは、過去及び直近の実績にもとづいて解約率及び失効率の見積りを行っており、過去の経験及びデータの傾向については統計的手法により分析し、確率加重された解約率及び失効率を保険契約グループごとに算出しています。解約率及び失効率の見積りにあたっては、通常の解約に加え、動的解約を考慮しており、一部の保険契約において契約に付与する利回りが上昇する場合や、最低保証水準を上回る場合には、解約率が上昇する傾向を反映させています。解約率及び失効率の算出にあたっては、過去における実績データを考慮しており、実績データがない、又は少ない場合には、類似商品の実績や国内外の実務動向を参考にしています。

 ソニーは、当期の経費水準にもとづいて将来における経費の見積りを行っています。当該経費は、固定間接費及び変動間接費の配分を含む、保険契約グループに直接起因する経費から構成されます。また、将来の経費の見積りについては、インフレの調整を行っています。

 

② 将来キャッシュ・フローにおける裁量権

 直接連動有配当保険契約以外の一部の有配当保険契約について、裁量的な変更が履行キャッシュ・フローに与える影響は、CSMにおいて調整されています。こうした契約の投資方針については、ソニーに裁量権があるものの、市場状況に応じて設定されることから、金融リスクに関する仮定の変更が投資方針に与える影響を、保険金融収益又は費用に含めています。また、配当方針については、ソニーの裁量により変更することが可能であることから、配当方針の変更が履行キャッシュ・フローに与える影響は、CSMにおいて調整されています。

 

③ 非金融リスクに係るリスク調整

 非金融リスクに係るリスク調整は、保険子会社ごとに、非金融リスクを負担することに対する報酬を反映して決定しており、保険契約グループのリスク・プロファイルの分析を基礎として各保険契約グループに配分しています。また、非金融リスクに係るリスク調整には、当該保険会社が要求する報酬と整合的で、かつリスク回避の程度を反映する方法によって、分散効果を反映しています。

 ソニーは、非金融リスクに係るリスク調整を、主に資本コスト法により算定しています。資本コスト法においては、将来の各報告日における必要資本額に資本コスト率を乗じ、非流動性を調整したリスクフリーレートで割り引くことにより、非金融リスクに係るリスク調整を決定しています。当該必要資本額は、将来の各報告日において保険契約から生じる将来キャッシュ・フローの現在価値の確率分布を見積もった上で、保有期間1年、信頼水準99.5%において保険金及び経費支払いに関する契約上の義務の履行のためにソニーが必要とする資本を計算することによって決定しています。資本コスト率は、投資家が非金融リスクに対するエクスポージャーに対して要求する追加的な報酬を表しており、2022年度及び2023年度におけるソニーの加重平均資本コスト率は、それぞれ3.0%及び3.0%です。

 なお、2022年度及び2023年度において、資本コスト法により計算されたリスク調整額は、それぞれ86.0%及び84.1%の信頼水準(保有期間:保有契約の保険期間)に対応します。

 

④ 割引率

 全てのキャッシュ・フローは、当該キャッシュ・フローの特性と保険契約の流動性特性を反映するように調整したリスクフリーのイールド・カーブを用いて割り引いています。ソニーは、国債利回りを用いてリスクフリーのイールド・カーブを算定しています。当該イールド・カーブは、長期の実質金利とインフレ予想を反映して算定していますが、市場データのない期間の補外については、終局金利を用いて算定しています。具体的には、ソニーは、終局金利を3.5%、補外開始年度を40年目(米ドルの場合は30年目)とし、41年目(米ドルの場合は31年目)以降のフォワードレートは、30年間で終局金利の水準に収束するようにSmith-Wilson法により補外しています。保険契約の流動性特性を反映するために、リスクフリーのイールド・カーブは非流動性プレミアムによって調整しています。非流動性プレミアムは、ソニーの資産から参照ポートフォリオを設定して算定しています。

 以下の表は、主要通貨別の保険契約のキャッシュ・フローを割り引く際に用いたイールド・カーブ(スポット・レート換算)を示したものです。

年限

2023年3月31日

2024年3月31日

イールド・カーブ(%)

イールド・カーブ(%)

JPY

USD

JPY

USD

1年

△0.10%

4.73%

0.06%

5.11%

5年

0.11%

3.65%

0.38%

4.25%

10年

0.40%

3.54%

0.77%

4.25%

20年

1.10%

4.00%

1.58%

4.63%

30年

1.36%

3.71%

1.95%

4.37%

40年

1.50%

3.54%

2.14%

4.07%

 

⑤ 投資要素

 ソニーは、保険契約の投資要素を識別する際には、保険事故が発生するかどうかにかかわらず、全ての状況において、保険契約者に返済することが要求される金額を算出しています。かかる状況には、保険事故が発生する場合や、保険事故が発生せずに契約が満期を迎えたり解除されたりする場合も含まれます。投資要素については、保険収益及び保険サービス費用から除外しています。

 

⑥ カバー単位の決定

 各期間において保険収益として認識される保険契約グループのCSMの金額は、当該グループのカバー単位を識別し、当期に提供したカバー単位に配分したCSMの金額を純損益として認識することによって決定しています。カバー単位の数は、各契約について提供する給付の量及びカバーの予想存続期間を考慮して決定しています。具体的には、ソニーは以下を基礎として給付の量を決定しています。

・期間に応じて死亡保障の金額が逓増又は逓減する契約(例えば終身保険、定期保険、変額保険):死亡保険金額

・主契約と特約のカバー種類が異なる契約(例えば疾病・医療保険):保険期間で平準化した保険料

・投資関連サービスを有する年金契約(例えば変額個人年金保険):解約返戻金額(年金支払期間は保険料積立金額)

 ソニーは、保険契約者に提供される保険カバー、投資リターン・サービス、投資関連サービスの給付の相対的なウェイト付けの決定において、保険契約の特性を考慮し、それぞれの保険契約サービスに関連する給付の量を合算しています。

 

⑦ クレーム・ディベロップメント

 実際の保険金と従前に見積もった当該保険金に係る割引前の金額に重要な差異はないため、2023年度においてクレーム・ディベロップメントに関する情報を開示していません。

 

(2) 保険契約負債の調整表

 2022年度及び2023年度の保険契約負債の変動は以下のとおりです。

① 残存カバーに係る負債及び発生保険金に係る負債の変動

項目

金額(百万円)

残存カバーに係る負債

発生保険金に

係る負債 *4

合計

損失要素以外

損失要素

2022年4月1日残高

 

 

 

 

保険契約資産 *1

△84,000

28,670

△55,330

保険契約負債 *2*3

13,004,073

53,820

126,778

13,184,671

帳簿価額純額

12,920,073

53,820

155,448

13,129,341

保険収益

△554,570

△554,570

保険サービス費用

 

 

 

 

発生保険金及び他の発生した保険サービス費用

△3,493

272,243

268,750

保険獲得キャッシュ・フローの償却額

113,433

113,433

発生保険金に係る負債の変動

632

632

不利な契約に係る損失及び損失の戻入

△602

△602

保険サービス費用合計

113,433

△4,095

272,875

382,213

保険サービス損益

△441,137

△4,095

272,875

△172,357

保険金融費用(収益)

△927,674

2,048

308

△925,318

包括利益に認識した金額合計

△1,368,811

△2,047

273,183

△1,097,675

保険収益及び保険サービス費用から除外した投資要素

△776,575

776,575

当期のキャッシュ・フロー

 

 

 

 

受取保険料

1,609,362

1,609,362

保険獲得キャッシュ・フロー

△145,272

△145,272

支払った保険金及び他の保険サービス費用

△1,045,529

△1,045,529

当期のキャッシュ・フロー合計

1,464,090

△1,045,529

418,561

その他

△322

67

△693

△948

2023年3月31日残高

 

 

 

 

保険契約資産 *1

△93,283

32,532

△60,751

保険契約負債 *2*3

12,331,738

51,840

126,452

12,510,030

帳簿価額純額

12,238,455

51,840

158,984

12,449,279

保険収益

△586,115

△586,115

保険サービス費用

 

 

 

 

発生保険金及び他の発生した保険サービス費用

△3,721

276,809

273,088

保険獲得キャッシュ・フローの償却額

124,518

124,518

発生保険金に係る負債の変動

5,008

5,008

不利な契約に係る損失及び損失の戻入

4,592

4,592

保険サービス費用合計

124,518

871

281,817

407,206

保険サービス損益

△461,597

871

281,817

△178,909

保険金融費用(収益)

244,793

2,663

△251

247,205

包括利益に認識した金額合計

△216,804

3,534

281,566

68,296

保険収益及び保険サービス費用から除外した投資要素

△944,520

944,520

当期のキャッシュ・フロー

 

 

 

 

受取保険料

1,886,124

1,886,124

保険獲得キャッシュ・フロー

△153,410

△153,410

支払った保険金及び他の保険サービス費用

△1,212,518

△1,212,518

当期のキャッシュ・フロー合計

1,732,714

△1,212,518

520,196

その他

△199

△41

△167

△407

2024年3月31日残高

 

 

 

 

保険契約資産 *1

△90,377

33,402

△56,975

保険契約負債 *2*3

12,900,023

55,333

138,983

13,094,339

帳簿価額純額

12,809,646

55,333

172,385

13,037,364

(注)*1 保険契約資産は、連結財政状態計算書上、その他の流動資産又はその他の非流動資産に含まれています。

*2 保険契約負債の流動部分は、連結財政状態計算書上、その他の流動負債に含まれています。

*3 2022年4月1日、2023年3月31日及び2024年3月31日現在の保険契約負債の流動部分の帳簿価額は、それぞれ141,796百万円、145,057百万円及び162,344百万円です。また、保険契約負債の非流動部分の帳簿価額は、それぞれ13,042,875百万円、12,364,973百万円及び12,931,995百万円です。

*4 PAAで測定される保険契約の非金融リスクに係るリスク調整は、金額に重要性がないため、将来キャッシュ・フローの現在価値の見積りと区分せずに発生保険金に係る負債に含めて表示しています。

 

② PAAを適用せずに測定している保険契約の測定要素別の保険契約負債の変動

項目

金額(百万円)

将来キャッシュ・フローの現在価値の見積り

非金融リスクに

係るリスク調整

CSM

合計

2022年4月1日残高

 

 

 

 

保険契約資産

△222,149

10,092

156,727

△55,330

保険契約負債

10,842,043

436,103

1,810,803

13,088,949

帳簿価額純額

10,619,894

446,195

1,967,530

13,033,619

将来のサービスに関する変動

 

 

 

 

CSMを修正する見積りの変更

155,005

△29,046

△125,959

CSMを修正しない見積りの変更

△735

△2,512

△3,247

当期に当初認識した契約の影響

△318,707

28,042

293,310

2,645

将来のサービスに関する変動合計

△164,437

△3,516

167,351

△602

現在のサービスに関する変動

 

 

 

 

提供したサービスについて純損益に認識したCSM

△151,483

△151,483

非金融リスクに係るリスク調整のリスクの解放による変動

△23,466

△23,466

実績調整

21,622

21,622

現在のサービスに関する変動合計

21,622

△23,466

△151,483

△153,327

過去のサービスに関する変動

△628

△23

△651

保険サービス損益

△143,443

△27,005

15,868

△154,580

保険金融費用(収益)

△996,203

1,357

69,528

△925,318

包括利益に認識した金額合計

△1,139,646

△25,648

85,396

△1,079,898

当期のキャッシュ・フロー

 

 

 

 

受取保険料

1,479,110

1,479,110

保険獲得キャッシュ・フロー

△130,221

△130,221

支払った保険金及び他の保険サービス費用

△951,330

△951,330

当期のキャッシュ・フロー合計

397,559

397,559

その他

△1,008

470

△309

△847

2023年3月31日残高

 

 

 

 

保険契約資産

△341,096

39,067

241,278

△60,751

保険契約負債

10,217,895

381,950

1,811,339

12,411,184

帳簿価額純額

9,876,799

421,017

2,052,617

12,350,433

将来のサービスに関する変動

 

 

 

 

CSMを修正する見積りの変更

233,415

△18,328

△215,087

CSMを修正しない見積りの変更

6,008

△3,532

2,476

当期に当初認識した契約の影響

△403,124

40,912

364,328

2,116

将来のサービスに関する変動合計

△163,701

19,052

149,241

4,592

現在のサービスに関する変動

 

 

 

 

提供したサービスについて純損益に認識したCSM

△151,841

△151,841

非金融リスクに係るリスク調整のリスクの解放による変動

△26,899

△26,899

実績調整

5,076

5,076

現在のサービスに関する変動合計

5,076

△26,899

△151,841

△173,664

過去のサービスに関する変動

255

△2

253

保険サービス損益

△158,370

△7,849

△2,600

△168,819

保険金融費用(収益)

185,948

3,262

57,995

247,205

包括利益に認識した金額合計

27,578

△4,587

55,395

78,386

当期のキャッシュ・フロー

 

 

 

 

受取保険料

1,748,139

1,748,139

保険獲得キャッシュ・フロー

△138,544

△138,544

支払った保険金及び他の保険サービス費用

△1,107,850

△1,107,850

当期のキャッシュ・フロー合計

501,745

501,745

その他

△834

52

76

△706

2024年3月31日残高

 

 

 

 

保険契約資産

△291,878

27,824

207,079

△56,975

保険契約負債

10,697,166

388,658

1,901,009

12,986,833

帳簿価額純額

10,405,288

416,482

2,108,088

12,929,858

 

(3) 当期に当初認識した契約の影響

 PAAを適用せずに測定している保険契約について、2022年度及び2023年度に当初認識した契約から生じた測定要素に対する影響は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

収益性のある契約のグループ

不利である契約のグループ

合計

収益性のある契約のグループ

不利である契約のグループ

合計

将来のキャッシュ・アウトフローの現在価値の見積り

 

 

 

 

 

 

保険金及び他の保険サービス費用

1,675,615

6,271

1,681,886

2,117,351

4,844

2,122,195

保険獲得キャッシュ・フロー

144,128

2,142

146,270

143,674

2,203

145,877

将来のキャッシュ・アウトフローの現在価値の見積り合計

1,819,743

8,413

1,828,156

2,261,025

7,047

2,268,072

将来のキャッシュ・インフローの現在価値の見積り

△2,141,084

△5,779

△2,146,863

△2,666,256

△4,940

△2,671,196

将来のキャッシュ・フローの現在価値の見積り合計

△321,341

2,634

△318,707

△405,231

2,107

△403,124

非金融リスクに係るリスク調整

28,031

11

28,042

40,903

9

40,912

CSM

293,310

293,310

364,328

364,328

測定要素に対する影響合計

2,645

2,645

2,116

2,116

 

(4) 保険収益

 2022年度及び2023年度の保険収益の内訳は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

PAAを適用せずに測定している保険契約

 

 

残存カバーに係る負債の変動

 

 

予想発生保険金及び保険サービス費用

152,732

163,182

非金融リスクに係るリスク調整のリスクの解放による変動

23,466

26,899

提供したサービスについて純損益に認識したCSM

151,483

151,841

残存カバーに係る負債の変動合計

327,681

341,922

保険獲得キャッシュ・フローの回収

98,234

109,824

PAAを適用せずに測定している保険契約に係る保険収益合計

425,915

451,746

PAAを適用して測定している保険契約

128,655

134,369

保険収益合計

554,570

586,115

 

(5) CSMを純損益に認識すると予想している時期について

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在、PAAを適用せずに測定している保険契約について、CSMを純損益に認識すると予想している時期については以下のとおりです。

 

CSM

金額(百万円)

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

10年以内

10年超

合計

2023年3月31日

120,412

112,562

105,060

97,082

89,903

367,009

1,160,589

2,052,617

2024年3月31日

125,233

117,663

109,776

100,912

92,671

376,011

1,185,822

2,108,088

 

(6) 投資収益(純額)及び保険金融収益又は費用に関する説明

 2022年度及び2023年度の純損益及びその他の包括利益に認識した、資産に係る投資収益(純額)と保険金融費用(収益)は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

純損益に認識した金額

 

 

投資収益(純額) *1

 

 

純損益を通じて公正価値で測定する金融資産

△59,193

715,388

その他の包括利益を通じて公正価値で測定することが要求される負債性金融商品から生じる金利収益

179,207

180,822

為替差額

93,858

156,970

その他

△12,374

△35,463

投資収益(純額)合計

201,498

1,017,717

保険金融費用(収益) *2

 

 

変額保険・変額個人年金保険に係る基礎となる項目の変動ならびに金利及びその他金融リスクの変動による影響

△176,328

685,726

発生計上した利息

174,107

183,188

為替差額

103,391

173,230

その他

△15,771

△12,444

保険金融費用(収益)合計

85,399

1,029,700

純損益に認識した金額

116,099

△11,983

その他の包括利益に認識した金額

 

 

投資収益(純額)

 

 

基礎となる資産

△1,131,508

△969,774

投資収益(純額)合計

△1,131,508

△969,774

保険金融費用(収益) *2

 

 

金利及びその他金融リスクの変動による影響

△1,010,761

△782,495

その他

44

保険金融費用(収益)合計

△1,010,717

△782,495

その他の包括利益に認識した金額

△120,791

△187,279

投資収益(純額)及び保険金融費用(収益)合計

△4,692

△199,262

(注)*1 連結損益計算書上、その他の金融ビジネス収入に含まれています。

*2 費用を正の値、収益を負の値で表示しています。

 

 

(7) 変動手数料アプローチにより測定される保険契約の基礎となる項目

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在、変動手数料アプローチにより測定される保険契約の基礎となる項目の構成と公正価値の内訳は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

現金及び現金同等物

23,723

19,411

負債性証券

 

 

日本国債及び地方債・社債

40,143

42,349

外国国債及び地方債・社債

157,724

312,919

資本性証券

1,107,400

1,855,432

その他

964

2,390

変動手数料アプローチにより測定される保険契約の基礎となる項目の公正価値合計

1,329,954

2,232,501

 

(8) IFRS第17号の経過措置に関する開示

 ソニーは、2022年4月1日のIFRS第17号への移行に際し、一部の保険契約グループについては、過去における契約データやシステム上の制約により必要な情報を入手できないこと、又は、過去における見積りについて事後的判断を使用せずに再現することができないことなどから、完全な遡及適用は実務上不可能と判断しました。移行日時点で完全な遡及適用が実務上不可能な保険契約グループについては、代替的な移行アプローチである修正遡及アプローチ又は公正価値アプローチを適用しています。

 

 ソニーは、IFRS第17号への移行に関して、以下のアプローチを適用しました。

発行年度(会計年度)

経過措置

2015年度以降

全ての保険契約グループ:完全遡及アプローチ

1993~2014年度

直接連動有配当保険契約のグループ及び直接連動有配当保険契約以外の保険契約のグループの一部:公正価値アプローチ

上記以外の保険契約のグループ:修正遡及アプローチ

1992年度以前

全ての保険契約グループ:公正価値アプローチ

 

修正遡及アプローチ

 修正遡及アプローチの目的は、過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報を用いて、可能な限り遡及適用に最も近い結果を得ることにあります。ソニーは、IFRS第17号を遡及適用するための合理的かつ裏付けのある情報を有していない範囲でのみ、以下の各修正を行っています。

 

 ソニーは、一部の保険契約グループに対して以下の修正を行っています。

・1993年度から2014年度の間に発行、開始又は取得した契約グループの場合、当初認識時の将来キャッシュ・フローは、遡及的に決定可能な2015年4月1日現在の金額を、同日以前に発生したことが判明しているキャッシュ・フローを調整することによって見積もっています。

・1993年度から2012年度の間に発行、開始又は取得した契約グループの場合、当初認識時に観察可能なリスクフリーのイールド・カーブに適用する非流動性プレミアムは、観察可能なリスクフリーのイールド・カーブと遡及的に決定可能な2013年4月1日から2022年3月31日までの期間に係る割引率との間の平均スプレッドを算定することによって見積もっています。なお、2022年4月1日における累積その他の包括利益に認識される保険金融収益又は費用の金額は、当該割引率を使用して算定しています。

・当初認識時の非金融リスクに係るリスク調整は、2022年4月1日現在の金額を同日以前の予想されるリスクの解放額で修正することによって算定しています。

 

 このような履行キャッシュ・フローの修正を行った上で、当初認識時のCSM(又は損失要素)を以下のように算定しています。

・2022年4月1日以前に純損益として認識したCSMの金額は、2022年4月1日現在の残存カバー単位を同日以前の保険契約グループにもとづいて提供されたカバー単位と比較することによって算定しています。

・2022年4月1日以前に損失要素に配分した金額は、当初認識時の将来キャッシュ・アウトフローの現在価値の見積りに、非金融リスクに係るリスク調整を加算した合計額に対する損失要素の割合を用いることによって算定しています。

 

公正価値アプローチ

 公正価値アプローチに従い、2022年4月1日時点の契約上のCSM(又は損失要素)は、同日現在の保険契約グループの公正価値と履行キャッシュ・フローとの差額として算定しています。

 

 公正価値アプローチを適用して測定する全ての保険契約について、ソニーは、2022年4月1日時点で利用できる合理的で裏付け可能な情報を使用して以下の事項を判断しています。

・契約グループを識別する方法

・契約が直接連動有配当保険契約の定義を満たすか否か

・直接連動有配当保険契約以外の契約についての裁量的なキャッシュ・フローを識別する方法

 

 公正価値アプローチで測定された契約グループの当初認識時の割引率は、当初認識日ではなく2022年4月1日現在において決定されています。

 公正価値アプローチを適用して測定する全ての保険契約について、2022年4月1日における累積その他の包括利益に認識される保険金融収益又は費用の金額は、ゼロとしています。

 

 IFRS第17号の経過措置が連結財務諸表に与える影響は以下のとおりです。

 

① 移行アプローチ別の保険収益及びCSM

 ソニーは、IFRS第17号への移行に際して、完全な遡及適用が実務上不可能な保険契約グループについては、修正遡及アプローチ又は公正価値アプローチを適用しています。移行アプローチ別の2022年度及び2023年度における保険収益、ならびに2023年3月31日及び2024年3月31日現在における移行アプローチ別のCSMの残高は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

修正遡及

アプローチ

公正価値

アプローチ

新契約

及び

完全遡及

アプローチ

合計

修正遡及

アプローチ

公正価値

アプローチ

新契約

及び

完全遡及

アプローチ

合計

保険収益

190,199

26,988

337,383

554,570

185,731

27,079

373,305

586,115

CSM

 

 

 

 

 

 

 

 

期首残高

912,623

26,938

1,027,969

1,967,530

864,530

58,008

1,130,079

2,052,617

将来のサービスに関する変動

△2,007

34,088

135,270

167,351

△61,165

32,341

178,065

149,241

現在のサービスに関する変動

△74,984

△3,778

△72,721

△151,483

△66,827

△5,834

△79,180

△151,841

保険金融費用(収益)

29,352

1,107

39,069

69,528

26,954

1,673

29,368

57,995

その他

△454

△347

492

△309

177

83

△184

76

期末残高

864,530

58,008

1,130,079

2,052,617

763,669

86,271

1,258,148

2,108,088

 

 

 

② IFRS第17号適用にともなうその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産のその他の包括利益累計額に関する変動

 ソニーが移行日において修正遡及アプローチ又は公正価値アプローチを適用した保険契約グループに関連する投資資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産について、2022年度及び2023年度におけるその他の包括利益累計額に関する変動は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

期首残高

△878,774

△448,390

公正価値の変動(純額)

590,737

618,978

純損益に振り替えられた金額(純額)

7,018

16,903

関連する法人所得税

△167,371

△178,046

期末残高

△448,390

9,445

 

③ IFRS第17号適用時における金融資産の再指定

 IFRS第17号の適用にあたり、保険ビジネスにおける資産及び負債から発生する会計上のミスマッチを軽減する目的で、一部の金融資産の測定方法の再指定を行っています。主に、生命保険ビジネスにおいて、ソニーは一部の変額保険及び変額個人年金保険から生じる保険金融収益又は費用と整合させる目的で、一部の負債性証券を純損益を通じて公正価値で測定するものと指定することにより、会計上のミスマッチを軽減しています。

 ソニーは、IFRS第17号の適用開始前にIFRS第9号を適用しており、IFRS第17号の適用開始日(2023年4月1日)に存在する事実及び状況にもとづいて金融資産の再指定を行っています。なお、ソニーは、IFRS第17号の移行日(2022年4月1日)から適用開始日までの期間に認識の中止を行った金融資産についても、分類上書きを適用し再指定後の測定方法で会計処理をしています。再指定の影響を受ける金融資産について、2023年4月1日現在におけるIFRS第17号の適用前及び適用後の測定方法及び帳簿価額は以下のとおりです。

項目

2023年4月1日

金額(百万円)

適用前

適用後

帳簿価額

帳簿価額

負債性証券

 

 

純損益を通じて公正価値で測定するものとして再指定した金融資産 *1

 

 

日本国債及び地方債・社債

1,277,090

1,277,090

外国国債及び地方債・社債

20,570

20,570

その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものとして再指定した金融資産 *2

 

 

日本国債及び地方債・社債

84,651

88,497

(注)*1 IFRS第17号適用前はその他の包括利益を通じて公正価値で測定していました。

*2 IFRS第17号適用前は償却原価で測定していました。

 

(9) 保険及び市場リスク

① リスク管理方針とエクスポージャー

 ソニーは、生命保険ビジネスにおいて、以下の方法で様々な市場関連リスクを管理しています。

 

(i)保険リスクの管理

(a) 保険リスク

 保険引受リスクに関しては、責任準備金積立状況、自己資本の水準等にもとづき、必要に応じて保険種類ごとに契約限度額を設定するなど、適切なポートフォリオ管理を行っています。また、引受基準及び商品ごとの改廃基準等を社内規程として明確に定め、定期的に見直しています。

 

(b) 保険リスクの集中

 保険契約ポートフォリオには、過度に集中した保険リスクはありません。

 

(ⅱ)市場リスクの管理

(a) 金利リスクの管理

 生命保険子会社のリスク管理部門は、金利リスクの管理方法や手続等の詳細を定めた方針にもとづき当該リスクを管理しています。生命保険子会社の経営会議において審議された手法で決定されたALMに関する方針にもとづき、同社の取締役会において実際のリスク状況の決定・確認を行っています。また、金融商品の金利や期間を総合的に把握し、VaRを用いたリスク量の分析等によりモニタリングを行い、各リスクの状況を同社の取締役会及び経営会議において定期的に報告しています。

 ALM管理の一環として、保険契約債務の特性に見合った金融資産への投資を行っており、これにより金利リスクを可能な限り低減しています。また、ポートフォリオに含まれる金融資産の売買を通じて、期限到来時の保険金等の支払原資を十分に確保できるよう、金融資産と保険契約債務の金利感応度(デュレーション)を極力合わせています。

 

(b) 為替リスクの管理

 生命保険子会社のリスク管理部門は、為替リスクのリスク管理方法や手続等の詳細を定めた方針にもとづき当該リスクを管理しており、各リスクの状況を生命保険子会社の取締役会及び経営会議において定期的に報告しています。

 

(c) 株式の市場価格変動リスクの管理

 生命保険子会社のリスク管理部門は、株式の市場価格変動リスクの方法や手続等の詳細を定めた方針にもとづき当該リスクを管理しており、各リスクの状況を生命保険子会社の取締役会及び経営会議において定期的に報告しています。

 

(d) デリバティブ取引に関するリスク管理

 生命保険子会社のリスク管理部門は、デリバティブ取引に関するリスク管理方法や手続等の詳細を定めた方針にもとづき当該リスクを管理しており、各リスクの状況を生命保険子会社の取締役会及び経営会議において定期的に報告しています。

 

② 感応度分析

 ソニーが2023年3月31日及び2024年3月31日現在において生命保険ビジネスにおいて保有する保険契約及び金融商品について、前提条件が変更となった場合の税引前利益及び資本に与える影響額は以下のとおりです。

前提条件

前提条件

等の変化

2023年3月31日

保険契約

金融商品

合計

税引前利益

(百万円)

資本

(百万円)

税引前利益

(百万円)

資本

(百万円)

税引前利益

(百万円)

資本

(百万円)

金利

50bp低下

△215,660

△822,046

219,130

945,915

3,470

123,869

50bp上昇

168,357

689,356

△187,676

△822,251

△19,319

△132,895

株式の公正価値

10%低下

210,057

151,241

△213,251

△153,890

△3,194

△2,649

10%上昇

△213,822

△153,952

213,251

153,890

△571

△62

為替レート

10%円高

319,330

213,577

△338,934

△211,494

△19,604

2,083

10%円安

△322,502

△215,861

338,934

211,494

16,432

△4,367

維持費率

10%上昇

△3,934

△7,028

△3,934

△7,028

解約・失効率

10%上昇

596

16,398

596

16,398

死亡率(死亡保険)

5%上昇

△6,395

△6,443

△6,395

△6,443

死亡率(第三分野・年金)

5%上昇

1,941

4,629

1,941

4,629

罹患率

5%上昇

△9,373

△18,197

△9,373

△18,197

 

 

前提条件

前提条件

等の変化

2024年3月31日

保険契約

金融商品

合計

税引前利益

(百万円)

資本

(百万円)

税引前利益

(百万円)

資本

(百万円)

税引前利益

(百万円)

資本

(百万円)

金利

50bp低下

△152,232

△653,432

165,181

806,432

12,949

153,000

50bp上昇

112,418

548,289

△143,050

△705,029

△30,632

△156,740

株式の公正価値

10%低下

339,421

244,383

△341,783

△246,544

△2,362

△2,161

10%上昇

△344,921

△248,343

341,783

246,544

△3,138

△1,799

為替レート

10%円高

468,851

315,357

△470,452

△287,872

△1,601

27,485

10%円安

△475,489

△320,136

470,452

287,872

△5,037

△32,264

維持費率

10%上昇

△4,780

△8,024

△4,780

△8,024

解約・失効率

10%上昇

△13,351

△13,140

△13,351

△13,140

死亡率(死亡保険)

5%上昇

△4,892

△5,501

△4,892

△5,501

死亡率(第三分野・年金)

5%上昇

1,382

2,054

1,382

2,054

罹患率

5%上昇

△8,239

△11,700

△8,239

△11,700

* bp=ベーシス・ポイント

 

 

③ 流動性リスク

(i)リスク管理方針とエクスポージャー

 流動性リスク管理方針に則り、各保険子会社の経理部門は各部署からの報告にもとづき適時に資金繰り計画を作成・更新し、資金繰りの管理を行っており、各社のリスク管理部門は流動性リスクを管理しています。経理部門及びリスク管理部門は、これらの情報を各社の取締役会及び経営会議において定期的もしくは必要に応じて報告しています。

 

(ⅱ)満期分析

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在における保険契約負債及び投資契約負債から生じる残存割引前純額キャッシュ・アウトフローの推定タイミング、及び保険ビジネスにおいて保有する有価証券から生じる残存割引前キャッシュ・インフローの契約上のタイミングは以下のとおりです。なお、保険契約負債のキャッシュ・フローは、保険契約負債の帳簿価額の見積りと整合的な罹患率、死亡率及び解約率等に関する前提にもとづいています。

項目

2023年3月31日

金額(百万円)

合計

期限の定めなし

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

保険契約負債及び投資契約負債

16,809,194

△75,482

△44,017

9,281

54,108

102,498

16,762,806

保険ビジネスにおいて保有する有価証券

19,640,244

2,408,401

636,352

367,283

345,113

322,176

428,997

15,131,922

 

項目

2024年3月31日

金額(百万円)

合計

期限の定めなし

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

保険契約負債及び投資契約負債

19,173,131

60,673

86,008

127,079

175,412

248,021

18,475,938

保険ビジネスにおいて保有する有価証券

20,808,629

3,687,375

780,798

341,277

355,062

374,354

305,612

14,964,151

 

 上記は割引前の金額のため、合計額が連結財政状態計算書の保険契約負債と金融分野における投資及び貸付に含まれる有価証券の金額を上回っています。

 

(ⅲ)要求払金額

 ソニーが発行する保険契約の要求払金額と関連する保険契約のポートフォリオの帳簿価額は、以下のとおりです。なお、要求払金額は、2023年3月31日及び2024年3月31日時点で保険契約を解約された場合における解約返戻金額です。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

要求払金額

11,016,303

12,580,674

帳簿価額

12,290,369

12,870,195

 

14.短期借入金及び長期借入債務

 短期借入金及び長期借入債務の内訳は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

帳簿価額

(百万円)

加重平均利率

満期

短期借入金

1,914,934

1.89%

 

長期借入債務

 

 

 

長期借入金

1,074,060

1.70%

2023年-2056年

無担保社債

349,332

0.30%

2023年-2029年

リース負債

532,246

2.35%

 

 合計

1,955,638

 

 

控除:1年以内に返済期限の到来する長期借入債務

187,942

 

 

 合計

1,767,696

 

 

 

 

項目

2024年3月31日

帳簿価額

(百万円)

加重平均利率

満期

短期借入金

1,812,605

2.64%

 

長期借入債務

 

 

 

長期借入金

1,160,024

1.90%

2024年-2058年

無担保社債

544,078

0.41%

2024年-2034年

リース負債

571,726

2.53%

 

 合計

2,275,828

 

 

控除:1年以内に返済期限の到来する長期借入債務

217,711

 

 

 合計

2,058,117

 

 

 

 金融分野において、短期借入金と長期借入債務に対して担保を設定しています。担保に供している資産は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

有価証券

1,678,553

1,597,034

銀行ビジネスにおける住宅ローン

829,659

883,882

 

 上記のほか、金融分野において、短期の債券貸借取引として貸し付けている有価証券は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

有価証券

4,728

 

 また、金融分野において、為替決済、デリバティブ等の取引の担保として差し入れている有価証券は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

有価証券

80,328

77,524

 

 当社は、2024年3月に総額150,000百万円の無担保普通社債を発行しました。この発行により調達した資金のうち、80,000百万円を2024年3月末までにCP償還資金に、その残額を2024年3月末までに運転資金に充当しました。

 

 また、その他の短期借入金及び長期借入債務に、重大な不利益を及ぼす財務制限条項やクロスデフォルト条項は存在しません。

 

15.デリバティブ及びヘッジ活動

 ソニーは通常の事業において取得した、金融資産・負債を含む金融商品を所有しています。これらの金融商品は為替変動及び金利変動に起因する市場リスクにさらされています。これらのリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針にしたがい、先物為替予約、スワップ契約、通貨オプション契約及び金利スワップ契約(金利通貨スワップ契約を含む)を含むデリバティブを利用しています。金融分野においては、資産負債の総合管理(以下「ALM」)の一環として、その他のデリバティブも利用しています。これらのデリバティブは信用度の高い金融機関との間で取引されており、ほとんどの外国為替に係る契約は米ドル、ユーロ及びその他の主要国の通貨で構成されています。金融分野においてALMの一環として利用されている一部のデリバティブを除き、ソニーは、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においてALMの一環として利用されているデリバティブ取引は、あらかじめ定めたリスク管理方針にしたがい、一定の極度の範囲内で行われています。

 

 ソニーが保有するデリバティブの利用目的及び区分は下記のとおりです。

 

先物為替予約、スワップ契約及び通貨オプション契約

 ソニーは主として、外貨建て取引及び外貨建て営業債権・営業債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するため、先物為替予約、スワップ契約、買建て通貨オプション契約及び売建て通貨オプション契約を利用しています。なお、売建て通貨オプション契約は主に、買建て通貨オプション契約との組み合わせオプションとして行われており、対応する買建て通貨オプション契約と同月内に行使日を迎えるものです。

 また、ソニーは一部の外貨建ての売上及び仕入に係る予定取引から生じるキャッシュ・フローを固定するため、先物為替予約及び通貨オプション契約を利用しましたが、2022年度及び2023年度においてヘッジ関係の非有効部分には重要性はありません。したがって、これらのデリバティブは、キャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段として指定されました。

 一方、ヘッジとして指定されていないその他の先物為替予約及び通貨オプション契約の公正価値変動は、金融収益・金融費用として直ちに純損益に計上されています。

 なお、一部の金融子会社が保有する先物為替予約、通貨オプション契約及びスワップ契約の公正価値変動は、金融ビジネス収入として直ちに純損益に計上されています。

 

金利スワップ契約(金利通貨スワップ契約を含む)

 金利スワップ契約は、主に資金調達コストの引き下げ、資金調達手段の多様化、金利及び外国為替レートの不利な変動ならびに金融商品の公正価値変動がもたらす借入債務及び負債性証券に係るリスクを軽減するために利用されています。金融分野で締結している一部の金利スワップ契約は、固定金利付負債性証券の公正価値変動に起因するリスクを軽減するために利用されています。

 

 金融分野の一部の子会社がALMの一環として保有する金利スワップ契約の公正価値変動は、金融ビジネス収入として直ちに純損益に計上されています。

 

 上記以外のヘッジとして指定されていない金利スワップ契約は、変動金利付借入債務の金利変動に起因するリスク軽減のために利用されており、その公正価値変動は、金融収益・金融費用として直ちに純損益に計上されています。

 

その他の契約

 金融分野の一部の子会社がALMの一環として保有する株式先物契約、エクイティスワップ契約、債券先物契約、コモディティ先物契約、金利スワップション契約、その他の外国為替契約及び複合金融商品の公正価値変動は、金融ビジネス収入として直ちに純損益に計上されています。組込デリバティブをともなう複合金融商品は、組込デリバティブを分離せず、複合金融商品全体として公正価値で評価しています。複合金融商品は、負債性証券として注記5に記載されています。

 

 ソニーの保有するデリバティブの公正価値は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

デリバティブ

資産

デリバティブ

負債

デリバティブ

資産

デリバティブ

負債

金利契約

 

 

 

 

金利スワップ

43,464

3,139

49,347

3,876

金利スワップション

380

2,517

272

2,574

外国為替契約

 

 

 

 

先物為替予約

12,496

12,257

6,951

11,088

スワップ契約

3,774

5,781

7,442

4,066

買建て通貨オプション

508

835

74

791

売建て通貨オプション

5

4

その他の外国為替契約

4,540

998

5,958

1,544

株式契約

 

 

 

 

株式先物契約

290

3,321

3,428

エクイティスワップ

5,270

1,916

買建てオプション

4,692

2,379

 デリバティブ合計

70,144

34,123

72,423

29,287

 

 ソニーの保有するヘッジ手段として指定しているデリバティブの想定元本の満期分析情報及び公正価値は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

金額(百万円)

想定元本

公正価値

連結財政状態

計算書上の

表示科目

1年以内

1年超

デリバティブ

資産

デリバティブ

負債

キャッシュ・フロー

・ヘッジ

 

 

 

 

 

 

先物為替予約

70,125

70,125

458

その他の金融資産(流動)

平均レート(円/米ドル)

131.3

 

 

 

 

買建て通貨オプション

45,789

45,789

502

その他の金融資産(流動)

平均レート(円/米ドル)

125.8

 

 

 

 

売建て通貨オプション

47,995

47,995

835

その他の金融負債(流動)

平均レート(円/米ドル)

131.9

 

 

 

 

金利スワップ

159,918

159,918

28,513

その他の金融資産(非流動)

平均レート

1.5%

 

 

 

 

 

 

 

項目

2024年3月31日

金額(百万円)

想定元本

公正価値

連結財政状態

計算書上の

表示科目

1年以内

1年超

デリバティブ

資産

デリバティブ

負債

キャッシュ・フロー

・ヘッジ

 

 

 

 

 

 

先物為替予約

92,973

92,973

1,580

その他の金融負債(流動)

平均レート(円/米ドル)

145.7

 

 

 

 

買建て通貨オプション

17,224

17,224

70

その他の金融資産(流動)

平均レート(円/米ドル)

140.0

 

 

 

 

売建て通貨オプション

17,554

17,554

791

その他の金融負債(流動)

平均レート(円/米ドル)

142.7

 

 

 

 

金利スワップ

181,704

181,704

33,098

その他の金融資産(非流動)

平均レート

1.5%

 

 

 

 

 

 2022年度及び2023年度における、累積その他の包括利益の累計額に計上されたキャッシュ・フロー・ヘッジを適用しているヘッジ手段の公正価値の変動内容は以下のとおりです。

項目

金額(百万円)

外国為替契約

金利契約

合計

2022年4月1日残高

△5,503

11,537

6,034

その他の包括利益に認識したヘッジ手段の公正価値の変動

△26,950

13,975

△12,975

純損益への組替額 *1*2

34,825

△4,012

30,813

税効果

△2,408

△3,051

△5,459

2023年3月31日残高

△36

18,449

18,413

その他の包括利益に認識したヘッジ手段の公正価値の変動

△28,288

13,256

△15,032

純損益への組替額 *1*2

25,862

△8,880

16,982

税効果

742

△1,340

△598

2024年3月31日残高

△1,720

21,485

19,765

(注)*1 純損益への組替額は、連結損益計算書において、外国為替契約は「売上高」、金利契約は「金融費用」に計上されています。

*2 純損益に認識したヘッジの非有効部分の金額に重要性はありません。

 

16.金融資産と金融負債の相殺

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在の金融資産及び金融負債の総額、相殺額、連結財政状態計算書の計上額、及び取引相手との間の法的強制力のあるマスターネッティング契約又は類似契約の対象となっている金融資産及び金融負債は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

金額(百万円)

認識した金融

資産及び金融

負債の総額

連結財政状態

計算書で相殺

した金額

連結財政状態

計算書に表示

している純額

連結財政状態計算書で

相殺されない金額

純額

金融商品

現金担保

デリバティブ資産 *1

34,382

34,382

16,430

13,852

4,100

営業債権 *2

175,872

174,930

942

942

資産合計

210,254

174,930

35,324

16,430

13,852

5,042

デリバティブ負債 *1

31,997

31,997

21,700

5,216

5,081

営業債務 *2

281,295

174,930

106,365

106,365

短期借入金 *3

1,557,652

1,557,652

1,556,595

1,057

負債合計

1,870,944

174,930

1,696,014

1,578,295

5,216

112,503

 

 

項目

2024年3月31日

金額(百万円)

認識した金融

資産及び金融

負債の総額

連結財政状態

計算書で相殺

した金額

連結財政状態

計算書に表示

している純額

連結財政状態計算書で

相殺されない金額

純額

金融商品

現金担保

デリバティブ資産 *1

33,661

33,661

12,098

17,878

3,685

営業債権 *2

48,925

47,550

1,375

1,375

資産合計

82,586

47,550

35,036

12,098

17,878

5,060

デリバティブ負債 *1

28,107

28,107

13,153

6,522

8,432

営業債務 *2

69,436

47,550

21,886

21,886

短期借入金 *3

1,504,893

1,504,893

1,503,455

1,438

負債合計

1,602,436

47,550

1,554,886

1,516,608

6,522

31,756

(注)*1 一部の子会社は国際スワップデリバティブ協会(以下「ISDA」)マスター契約を中心としたマスターネッティング契約又は類似の契約を結んでいます。ISDAマスター契約は、複数のデリバティブ契約を結んでいる二者間の契約で、一方当事者について期限の利益喪失事由又は解約事由が発生した場合、これらのデリバティブ契約の中で対象となる契約について解約時の価額を算出し、両当事者間の決済を単一の通貨にて単一の純額決済で行うことができます。相殺の権利はマスターネッティング契約から生じますが、その権利は契約により自動的に付与されるものではありません。

*2 連結財政状態計算書で相殺した営業債権及び営業債務の金額は、有償支給取引に関連するものです。

*3 短期借入金の金額は、債券貸借取引及び現先取引に関連するものです。

 

17.従業員給付

(1) 確定給付制度及び退職金制度

 当社及び国内子会社の従業員は、通常、退職時に以下のような退職一時金又は年金の受給資格を付与されます。当社及び一部の子会社では、1年間の従業員個別の貢献を反映したポイントが毎年加算されるポイント制度を採用しています。このポイント制度のもとでは自己都合退職、会社都合退職にかかわらず、過去の勤務にもとづく累積ポイントと累積ポイントをベースに加算される利息ポイントの合計にもとづいて退職金支給額が計算されます。

 

 この年金制度のもとでは、一般的には現行の退職金規則による退職金の65%がこの制度により充当されます。残りの部分については、会社が支払う退職一時金により充当されます。年金給付は退職する従業員の選択により一時払いあるいは月払いの年金として支給されます。年金基金へ拠出された資金は、関係法令にしたがい数社の金融機関により運用されています。

 

 2012年4月1日より、当社及びほぼ全ての国内子会社は、終身年金を有期年金に変更するなどの現行年金制度の改定を行いました。また、確定拠出年金制度を導入し、2012年4月1日以降の入社者は確定給付年金制度には加入しません。

 

 2019年10月1日より、当社及びほぼ全ての国内子会社は、確定給付年金制度の改定を行い、制度改定前の退職者を除き、確定拠出年金制度に全て移行しました。

 

 いくつかの海外子会社は、ほぼ全従業員を対象とする確定給付年金制度あるいは退職一時金制度を有し、拠出による積立てを行うか又は引当金を計上しています。これらの制度にもとづく給付額は、主に現在の給与と勤続年数によって計算されます。

 

連結財政状態計算書で認識された確定給付負債(資産)の純額

 連結財政状態計算書の確定給付負債(資産)の純額は以下のとおりです。

項目

国内制度(百万円)

海外制度(百万円)

2023年3月31日

2024年3月31日

2023年3月31日

2024年3月31日

確定給付制度債務の現在価値

573,143

543,292

124,702

126,987

制度資産の公正価値

△447,747

△464,376

△56,987

△47,893

最低積立要件及び資産上限額の影響

6,897

9,837

3,455

3,457

確定給付負債(資産)の純額

132,293

88,753

71,170

82,551

連結財政状態計算書の金額

 

 

 

 

確定給付資産

△28,334

△69,208

△1,775

△2,328

確定給付負債

160,627

157,961

72,945

84,879

確定給付負債(資産)の純額

132,293

88,753

71,170

82,551

 

確定給付制度債務の現在価値

 2022年度及び2023年度における確定給付制度債務の変動は以下のとおりです。

項目

国内制度(百万円)

海外制度(百万円)

2022年度

2023年度

2022年度

2023年度

期首残高

614,763

573,143

277,903

124,702

当期勤務費用

12,660

12,078

2,319

1,783

過去勤務費用

5

11

△365

142

利息費用

4,367

6,534

4,623

5,349

再測定:

 

 

 

 

人口統計上の仮定の変更

2,974

4,399

△458

△385

財務上の仮定の変更

△27,314

△16,568

△60,179

1,170

その他

△569

1,677

△940

632

外貨換算調整額

11,213

16,068

従業員による拠出額

516

565

退職給付支払額

△33,741

△37,787

△9,798

△11,198

縮小・清算による影響額 *

△100,132

△11,841

その他

△2

△195

期末残高

573,143

543,292

124,702

126,987

(注)* 2022年度の海外制度の縮小・清算による影響額は、主に一部の英国子会社における確定給付型年金制度終了にともなう減少です。2023年度の海外制度の縮小・清算による影響額は、主に一部の米国子会社における確定給付型年金制度終了にともなう減少です。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在における確定給付制度債務の加重平均デュレーションは以下のとおりです。

項目

国内制度

海外制度

2023年3月31日

2024年3月31日

2023年3月31日

2024年3月31日

確定給付制度債務の加重平均デュレーション

11.2年

10.9年

12.2年

12.5年

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在の確定給付制度債務の現在価値の算定に用いた重要な数理計算上の仮定は以下のとおりです。

項目

国内制度

海外制度

2023年3月31日

2024年3月31日

2023年3月31日

2024年3月31日

割引率

1.1%

1.4%

4.3%

4.1%

 

 重要な数理計算上の仮定の変化による確定給付制度債務の感応度分析は以下のとおりです。

仮定の変動

国内制度

海外制度

金額(百万円)

金額(百万円)

2023年3月31日

2024年3月31日

2023年3月31日

2024年3月31日

割引率

 

 

 

 

0.25% 減少

16,042

14,362

3,487

3,657

0.25% 増加

△13,201

△12,077

△3,316

△3,493

 

 感応度分析の算定にあたっては、連結財政状態計算書に計上された確定給付負債の算定方法と同一の方法を適用しており、他の全ての変数は一定であると仮定しています。

 

制度資産の公正価値

 ソニーの年金運用方針は、確定給付制度債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する確定給付制度債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。

 

 ソニーの制度資産における運用方針は、将来の債務支払要求を満たすことができる運用収益を生み出すように策定されています。これらの債務の正確な決済金額は、制度加入者の退職日及び平均余命を含む将来の事象に左右されます。これらの債務は、現在の経済状況及びその他の関連する要因にもとづく数理計算上の仮定を使用して見積もられます。ソニーの投資戦略は、資本性証券のような潜在的に高利回りの資産と確定利付証券のようなボラティリティの低い資産をバランスよく組み込むことで、運用収益要求とポートフォリオにおけるリスク管理の必要性とのバランスをとっています。リスクには特にインフレーション、資本性証券資産価値のボラティリティ、年金積立水準に不利に影響し結果としてソニーの拠出額への依存性が増加するような金利の変動が含まれます。潜在的な制度資産のリスク集中を緩和するために、業種及び地域間のポートフォリオバランスを考慮しつつ、金利感応度、経済成長への依存性、為替、及び運用収益に影響するその他の要因にも配慮しています。2024年3月31日における当社及び大部分の国内子会社の年金制度の政策資産配分は、資産・負債総合管理の結果として、株式18%(2023年3月31日時点:15%)、確定利付証券51%(2023年3月31日時点:53%)、その他の投資31%(2023年3月31日時点:32%)となっています。また、海外子会社の加重平均政策資産配分は、株式2%(2023年3月31日時点:1%)、確定利付証券13%(2023年3月31日時点:28%)、その他の投資85%(2023年3月31日時点:71%)となっています。

 

 2022年度及び2023年度における制度資産の変動は以下のとおりです。

項目

国内制度(百万円)

海外制度(百万円)

2022年度

2023年度

2022年度

2023年度

期首残高

474,933

447,747

198,791

56,987

利息収益

3,649

5,424

2,804

2,592

再測定:

 

 

 

 

利息収益を除く制度資産に係る収益

△13,378

32,764

△43,173

△2,485

外貨換算調整額

5,760

7,521

会社による拠出額

5,650

2,316

3,444

5,381

従業員による拠出額

516

585

退職給付支払にともなう払出額

△23,107

△23,875

△8,240

△10,603

縮小・清算による影響額 *

△102,915

△12,085

期末残高

447,747

464,376

56,987

47,893

(注)* 2022年度の海外制度の縮小・清算による影響額は、主に一部の英国子会社における確定給付型年金制度終了にともなう減少です。2023年度の海外制度の縮小・清算による影響額は、主に一部の米国子会社における確定給付型年金制度終了にともなう減少です。

 

 ソニーは、制度資産の公正価値、制度資産の期待収益、及び確定給付制度債務の現在価値を勘案し、マネジメントにより適当と判断された場合に、確定給付年金制度への拠出を行っています。2024年度における拠出額の見込みは、国内制度で約20億円、海外制度で約50億円です。

 

 国内及び海外制度における制度資産の公正価値は以下のとおりです。

資産クラス

国内制度

金額(百万円)

2023年3月31日

活発な市場における市場相場価格

現金及び現金同等物

18,060

18,060

株式 *1

37,562

33,335

4,227

確定利付証券:

 

 

 

政府債 *2

10,369

975

9,394

社債 *3

4,587

25

4,562

合同運用ファンド *4

287,978

287,978

プライベートエクイティ

40,612

40,612

ヘッジファンド

48,579

48,579

合計

447,747

52,395

395,352

 

 

資産クラス

国内制度

金額(百万円)

2024年3月31日

活発な市場における市場相場価格

現金及び現金同等物

8,390

8,390

株式 *1

56,122

50,656

5,466

確定利付証券:

 

 

 

政府債 *2

11,211

1

11,210

社債 *3

5,403

5,403

合同運用ファンド *4

297,828

297,828

プライベートエクイティ

40,017

40,017

ヘッジファンド

45,405

45,405

合計

464,376

59,047

405,329

(注)*1 主に国内株式です。

*2 2023年3月31日及び2024年3月31日現在、国内の国債及び地方債を約85%及び84%、海外の国債及び地方債を約15%及び16%含みます。

*3 国内及び海外の社債及び政府系機関債を含みます。

*4 合同運用ファンドは、主に投資信託を含む合同資金による機関投資です。

 

資産クラス

海外制度

金額(百万円)

2023年3月31日

活発な市場における市場相場価格

現金及び現金同等物

2,403

2,403

株式 *1

65

65

確定利付証券:

 

 

 

政府債 *2

2,135

2,135

社債 *3

12,052

12,052

資産担保証券

61

61

保険契約 *4

19,401

341

19,060

合同運用ファンド *5

18,113

18,113

不動産及びその他

2,757

8

2,749

合計

56,987

2,817

54,170

 

 

資産クラス

海外制度

金額(百万円)

2024年3月31日

活発な市場における市場相場価格

現金及び現金同等物

4,692

4,692

株式 *1

84

84

確定利付証券:

 

 

 

政府債 *2

1,152

1,152

社債 *3

160

160

資産担保証券

36

36

保険契約 *4

21,736

359

21,377

合同運用ファンド *5

16,682

16,682

不動産及びその他

3,351

10

3,341

合計

47,893

5,145

42,748

(注)*1 主に海外株式です。

*2 主に海外の国債及び地方債を含みます。

*3 主に海外の社債を含みます。

*4 主に年金保険契約あるいは利益分配型年金保険契約及び団体保険契約を含みます。

*5 合同運用ファンドは、主に投資信託を含む合同資金による機関投資です。

 

最低積立要件及び資産上限額の影響

 2022年度及び2023年度における最低積立要件及び資産上限額の影響は以下のとおりです。

項目

国内制度(百万円)

海外制度(百万円)

2022年度

2023年度

2022年度

2023年度

期首残高

4,870

6,897

2,491

3,455

利息収益

39

83

65

186

再測定:

 

 

 

 

利息収益を除く資産上限額の変動

1,988

2,857

811

△728

外貨換算調整額

88

544

期末残高

6,897

9,837

3,455

3,457

 

(2) 確定拠出制度

 2022年度及び2023年度における確定拠出年金費用は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

国内制度

11,461

11,662

海外制度

17,271

16,137

 

 

(3) 従業員給付費用

 2022年度及び2023年度における、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「金融ビジネス費用」に含まれる従業員給付費用は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

従業員給付費用合計

1,539,965

1,743,936

 

 従業員給付費用には、給与、賞与、株式報酬費用、社会保険料、法定福利費及び退職給付に係る費用等を含めています。

 

18.映画分野における未払分配金債務

 2023年度における未払分配金債務の変動は以下のとおりです。

項目

2023年度

金額(百万円)

期首残高

423,175

流動

230,223

非流動

192,952

未払分配金債務の計上額

213,572

期中支払額

△215,967

期中に戻し入れられた未払額

△20,212

外貨換算調整額

57,256

期末残高

457,824

流動

251,743

非流動

206,081

 

 当期において、割引による金額的に重要性のある変動はありません。

 

19.その他の資産及び負債

(1) その他の資産

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在におけるその他の資産の内訳は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

修正再表示

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

前払金及び前払費用

481,080

606,389

未収還付法人所得税及びその他の未収税金

243,569

253,267

保険契約資産

60,751

56,975

その他

197,302

266,109

合計

982,702

1,182,740

流動資産

563,334

669,335

非流動資産

419,368

513,405

 

(2) その他の負債

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在におけるその他の負債の内訳は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

修正再表示

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

契約負債

508,454

534,432

未払短期従業員給付

394,948

477,737

返金負債

197,836

218,465

法人所得税以外の未払税金

185,230

167,244

未払費用

171,345

244,784

保険契約負債

145,057

162,344

その他の長期従業員給付債務

64,684

91,251

製品保証引当金

26,167

24,753

その他

127,252

147,765

合計

1,820,973

2,068,775

流動負債

1,693,380

1,906,396

非流動負債

127,593

162,379

 

 2023年度における製品保証引当金の変動は以下のとおりです。

項目

2023年度

金額(百万円)

期首残高

26,167

製品保証引当金の計上額

21,824

期中に使用された金額

△20,469

期中に戻し入れられた未使用金額

△5,238

外貨換算調整額

2,469

期末残高

24,753

 

20.資本

(1) 資本金

 2022年度及び2023年度における授権株式数は、3,600,000,000株です。

 

 2022年度及び2023年度における発行済株式数の変動は以下のとおりです。当社の発行する株式は、全て無額面の普通株式であり、発行済株式は全額払込済です。

項目

株式数(株)

2022年度

2023年度

期首残高

1,261,081,781

1,261,081,781

新株の発行

150,108

期末残高

1,261,081,781

1,261,231,889

 

 上記の発行済株式数に含まれる自己株式数は、2023年3月31日及び2024年3月31日現在、それぞれ26,584,221株、39,783,003株です。

 

 当社は会社法にもとづき取締役会の決議により随時分配可能額まで自己株式を取得することが可能です

 当社は2022年5月10日開催の取締役会において、会社法及び当社定款の規定にもとづき自己株式の取得枠の設定を決議し、2022年度において自己株式8,545,600株を89,118百万円で取得し、2023年度において自己株式798,000株を10,000百万円で取得しました。

 また、当社は2023年5月17日付の取締役会決議により、会社法及び当社定款の規定にもとづき自己株式の取得枠を設定し、2023年度において自己株式14,869,300株を192,532百万円で取得しました。

 

(2) 資本剰余金

 資本剰余金は、資本取引から生じた金額のうち資本金に含まれない金額で構成され、主な内訳は資本準備金です。日本の会社法は、株式の発行に対する払込み又は給付に係る金額の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りを資本準備金に組み入れることを規定しています。資本準備金は、株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。

 

(3) 利益剰余金

 利益剰余金は、利益準備金とその他の剰余金により構成されます。日本の会社法は、利益剰余金を原資とする配当を行う日において、配当額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで、資本準備金又は利益準備金として積み立てることを規定しています。利益準備金は、株主総会の決議により、取り崩すことができます。

 

 基準日が2022年度及び2023年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌年度となるものは以下のとおりです。

(決議)

株式の種類

配当金の総額

配当の原資

1株当たり

配当額

基準日

効力発生日

2023年4月28日

取締役会

普通株式

49,380

百万円

利益剰余金

40円00銭

2023年3月31日

2023年6月5日

2024年5月14日

取締役会

普通株式

54,965

百万円

利益剰余金

45円00銭

2024年3月31日

2024年6月10日

 

(4) その他の包括利益

 2022年度及び2023年度における累積その他の包括利益(税効果考慮後)の項目別の変動は以下のとおりです。

項目

金額(百万円)

2022年4月1日

現在残高

新会計基準

適用による

累積的影響額

2022年4月1日

修正再表示残高

当社株主に

帰属する

その他の

包括利益

修正再表示

利益剰余金への

振替額

2023年3月31日

修正再表示残高

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の変動

27,412

27,412

△36,862

298

△9,152

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の変動

847,833

11,204

859,037

△819,192

39,845

キャッシュ・フロー・ヘッジ

6,034

6,034

12,379

18,413

確定給付制度の再測定

18,891

△18,891

在外営業活動体の換算差額

337,678

337,678

175,525

513,203

保険金融収益(費用)

511

△1,911,861

△1,911,350

727,716

△1,183,634

持分法によるその他の包括利益

2,864

2,864

3,699

6,563

その他

336

336

△144

192

合計

1,222,332

△1,900,321

△677,989

82,012

△18,593

△614,570

 

項目

金額(百万円)

2023年4月1日

現在残高

当社株主に

帰属する

その他の

包括利益

利益剰余金への

振替額

2024年3月31日

現在残高

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の変動

△9,152

△53,814

△12,326

△75,292

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の変動

39,845

△704,636

△664,791

キャッシュ・フロー・ヘッジ

18,413

1,352

19,765

確定給付制度の再測定

25,875

△25,875

在外営業活動体の換算差額

513,203

439,490

952,693

保険金融収益(費用)

△1,183,634

563,396

△620,238

持分法によるその他の包括利益

6,563

5,348

△20

11,891

その他

192

△283

△91

合計

△614,570

276,728

△38,221

△376,063

 

 2022年度及び2023年度におけるその他の包括利益の内訳及び対応する税効果額(非支配持分を含む)は以下のとおりです。

項目

2022年度

修正再表示

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

純損益に振り替えられることのない項目

 

 

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の変動

 

 

当期発生額

△45,708

△70,838

税効果考慮前

△45,708

△70,838

税効果

8,846

17,024

税効果考慮後

△36,862

△53,814

確定給付制度の再測定

 

 

当期発生額

27,136

37,225

税効果考慮前

27,136

37,225

税効果

△8,245

△11,350

税効果考慮後

18,891

25,875

持分法によるその他の包括利益

 

 

当期発生額

197

704

税効果考慮前

197

704

税効果

△52

△91

税効果考慮後

145

613

 合計

△17,826

△27,326

純損益に振り替えられる可能性のある項目

 

 

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の変動

 

 

当期発生額

△1,132,497

△973,877

純損益への組替額

△5,300

△4,713

税効果考慮前

△1,137,797

△978,590

税効果

318,605

273,954

税効果考慮後

△819,192

△704,636

キャッシュ・フロー・ヘッジ

 

 

当期発生額

△12,975

△15,032

純損益への組替額

30,813

16,982

税効果考慮前

17,838

1,950

税効果

△5,459

△598

税効果考慮後

12,379

1,352

 

 

項目

2022年度

修正再表示

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

保険金融収益(費用)

 

 

当期発生額

1,010,717

782,495

純損益への組替額

税効果考慮前

1,010,717

782,495

税効果

△283,001

△219,099

税効果考慮後

727,716

563,396

在外営業活動体の換算差額

 

 

当期発生額

177,645

441,943

純損益への組替額

630

463

税効果考慮前

178,275

442,406

税効果

税効果考慮後

178,275

442,406

持分法によるその他の包括利益

 

 

当期発生額

3,554

4,735

純損益への組替額

税効果考慮前

3,554

4,735

税効果

税効果考慮後

3,554

4,735

その他

 

 

当期発生額

△200

△393

純損益への組替額

税効果考慮前

△200

△393

税効果

56

110

税効果考慮後

△144

△283

 合計

102,588

306,970

その他の包括利益合計

84,762

279,644

 

 

21.株式にもとづく報酬

 ソニーは2022年度及び2023年度において、株式にもとづく報酬に係る費用として、それぞれ15,781百万円及び21,657百万円を計上しました。

 

 当社は、主な株式にもとづく報酬制度として、当社の取締役、上級役員、執行役員、その他の役員及び従業員ならびに当社子会社の取締役、執行役員、その他の役員及び従業員に対する譲渡制限付株式ユニットによる事後交付型株式報酬制度(以下「本RSU制度」)と、当社の執行役及び従業員ならびに当社子会社の取締役その他の役員及び従業員に対する新株予約権を用いたストック・オプション制度を有しています。

 本RSU制度で付与される譲渡制限付株式ユニットは、主に、付与日から3年間にわたり段階的に権利が確定し、権利確定後、速やかに、権利確定したユニット数と同数の当社の普通株式を交付しています。なお、普通株式の交付にあたり、当社は新たに普通株式を発行し、又は自己株式を処分しています。

 ストック・オプション制度で交付される新株予約権は、主に、付与日から3年間にわたり段階的に権利が確定し、付与日より10年後まで権利行使が可能です。なお、権利行使にあたり、当社は新たに普通株式を発行し、又は自己株式を処分しています。

 

 2022年度及び2023年度において付与された新株予約権の付与日現在の1株当たり加重平均公正価値は、それぞれ3,123円及び3,665円です。2022年度及び2023年度における報酬費用を認識するにあたって、新株予約権の付与日現在の公正価値は、ブラック・ショールズ・オプション・プライシング・モデルにもとづいて、以下の加重平均想定値を使用して見積もられています。

項目

2022年度

2023年度

付与日現在の加重平均株価

11,389円

12,898円

加重平均リスクフリー利子率

1.88%

2.23%

加重平均見積権利行使期間

5.46年

5.61年

加重平均見積ボラティリティ *

26.55%

27.25%

加重平均見積配当率

0.47%

0.49%

(注)* 加重平均見積ボラティリティは、新株予約権の加重平均見積権利行使期間における当社普通株式のヒストリカル・ボラティリティです。

 

 2022年度及び2023年度におけるストック・オプション制度の実施状況は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

株式数(株)

加重平均

権利行使価格

(円)

株式数(株)

加重平均

権利行使価格

(円)

期首現在未行使残高

16,544,300

9,397

19,691,500

10,312

付与

4,744,300

10,979

2,438,100

12,663

権利行使

1,260,800

5,565

2,121,700

6,795

資格喪失もしくは期限切れ

336,300

12,654

446,000

13,301

期末現在未行使残高

19,691,500

10,312

19,561,900

11,652

期末現在行使可能残高

9,683,000

8,033

11,881,900

10,831

 

 2022年度及び2023年度において権利行使された新株予約権の権利行使時点での加重平均株価はそれぞれ11,404円及び13,146円です。

 

 2022年度及び2023年度における新株予約権の未行使残高の状況は以下のとおりです。

付与日

行使期間

行使価格

(円)

期末現在未行使残高

(株)

2022年度

2023年度

第26回

2013年11月20日

2014年11月20日から

2023年11月19日まで

2,007

14,400

第27回

2013年11月20日

2014年11月20日から

2023年11月19日まで

米ドル

110,700

20.01

第28回

2014年11月20日

2015年11月20日から

2024年11月19日まで

2,410.5

132,500

83,500

第29回

2014年11月20日

2015年11月20日から

2024年11月19日まで

米ドル

135,500

122,700

20.67

第30回

2015年11月19日

2016年11月19日から

2025年11月18日まで

3,404

186,900

89,000

第31回

2015年11月19日

2016年11月19日から

2025年11月18日まで

米ドル

148,200

131,300

27.51

第32回

2016年11月22日

2017年11月22日から

2026年11月21日まで

3,364

390,400

231,400

第33回

2016年11月22日

2017年11月22日から

2026年11月21日まで

米ドル

330,500

286,100

31.06

第34回

2017年11月21日

2018年11月21日から

2027年11月20日まで

5,231

434,200

280,200

第35回

2017年11月21日

2018年11月21日から

2027年11月20日まで

米ドル

620,500

505,700

45.73

第36回

2018年2月28日

2019年2月28日から

2028年2月27日まで

5,442

3,900

1,500

第38回

2018年11月20日

2019年11月20日から

2028年11月19日まで

6,440

839,900

596,700

第39回

2018年11月20日

2019年11月20日から

2028年11月19日まで

米ドル

760,500

654,300

56.22

第40回

2019年11月20日

2020年11月20日から

2029年11月19日まで

6,705

1,210,100

874,600

第41回

2019年11月20日

2020年11月20日から

2029年11月19日まで

米ドル

1,076,300

916,400

60.99

第42回

2020年4月17日

2021年4月17日から

2030年4月16日まで

米ドル

13,300

63.75

第43回

2020年11月18日

2021年11月18日から

2030年11月17日まで

9,237

2,060,400

1,654,000

第44回

2020年11月18日

2021年11月18日から

2030年11月17日まで

米ドル

1,862,100

1,714,600

87.48

第45回

2021年11月18日

2022年11月18日から

2031年11月17日まで

14,350

2,367,500

2,331,200

第46回

2021年11月18日

2022年11月18日から

2031年11月17日まで

米ドル

2,277,100

2,137,800

124.90

第47回

2022年11月16日

2023年11月16日から

2032年11月15日まで

11,390

2,427,100

2,401,200

第48回

2022年11月16日

2023年11月16日から

2032年11月15日まで

米ドル

2,289,500

2,124,000

77.89

第49回

2023年11月27日

2024年11月27日から

2033年11月26日まで

12,942

1,294,200

第50回

2023年11月27日

2024年11月27日から

2033年11月26日まで

米ドル

1,131,500

85.50

 

22.収益

(1) 契約残高

 顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債の残高は以下のとおりです。

項目

2022年4月1日

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

顧客との契約から生じた債権 *1

1,382,377

1,679,106

1,931,631

契約資産 *2

16,785

19,355

17,820

契約負債 *3

366,227

508,454

534,432

(注)*1 顧客との契約から生じた債権は、連結財政状態計算書のうち、営業債権、その他の債権及び契約資産、及び非流動のその他の金融資産に含まれています。

*2 契約資産は、連結財政状態計算書のうち、営業債権、その他の債権及び契約資産、及びその他の非流動資産に含まれています。

*3 契約負債は、連結財政状態計算書のうち、その他の流動負債及びその他の非流動負債に含まれています。

 

 契約負債は、主に契約の履行以前に顧客から受領した対価に関する残高です。2022年4月1日時点における契約負債残高のうち303,779百万円を、2023年4月1日時点における契約負債残高のうち444,964百万円を、2022年度及び2023年度それぞれにおいて収益として認識しています。過去の期間に充足(又は部分的に充足)した履行義務から認識した収益の金額に重要性はありません。

 

(2) 履行義務

 残存履行義務(未充足又は部分的に未充足)は、未履行の受注残高であり、将来の履行にともなって収益として認識されます。ソニーは実務上の便法を適用し、当初の予想期間が1年以内の契約を開示対象より除外しています。以下の表は、2023年3月31日及び2024年3月31日時点で充足していない履行義務に配分された取引価額の要約であり、そのうち50%以上が1年以内に、また、ほとんど全てが3年以内に収益として認識されるものと見込まれています。変動対価は、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲で、取引価格に含めています。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

映画-映画製作及びテレビ番組制作 *1

796,690

813,790

映画-メディアネットワーク

8,120

10,027

音楽 *2

140,842

112,609

その他

68,708

58,717

(注)*1 映画分野における映画製作及びテレビ番組制作については、契約期間にかかわらず全ての契約を含めています。

*2 音楽分野に含まれている金額は、主に更新され続けるコンテンツライブラリへの継続的なアクセス権のライセンス契約における、ロイヤルティの最低保証料又は固定収入です。

 

(3) 契約コスト

 契約コストの残高は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

契約獲得の増分コスト

6,110

6,882

 

 ソニーは、資産として認識するはずの契約獲得の増分コストの償却期間が1年以内である場合、発生時に費用として認識することを認める実務上の便法を適用しています。2022年度及び2023年度において認識された償却費は、それぞれ4,686百万円、4,562百万円です。契約獲得の増分コストは主にET&S分野におけるインターネット関連サービス事業で認識され、契約期間にわたり償却されます。

 

(4) 収益の分解

 売上高及び金融ビジネス収入のセグメント別、製品カテゴリー別及び地域別の内訳については注記4に記載しています。

 

23.連結損益計算書についての補足情報

(1) その他の営業損(益)(純額)

 ソニーは、取引の性質又はソニーのコアビジネスとの関連性等を考慮し、その他の営業損(益)(純額)を計上しています。

 

 その他の営業損(益)(純額)の内訳は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

ソニーペイメントサービスの一部株式譲渡にともなう利益*1

19,763

子会社及び関連会社株式の取得及び売却にともなう損失

(利益)(純額)

4,318

6,905

資産の除売却損(益)及び減損(純額)*2

417

4,675

その他

7,286

1,939

12,021

29,404

(注)*1 注記8をご参照ください。

*2 注記9及び11をご参照ください。

 

(2) 研究開発費

 2022年度及び2023年度の費用に計上された研究開発費は、それぞれ735,698百万円及び742,772百万円です。

 

(3) 広告宣伝費

 2022年度及び2023年度の販売費及び一般管理費に計上された広告宣伝費は、それぞれ391,131百万円及び422,655百万円です。

 

(4) 物流費用

 2022年度及び2023年度の販売費及び一般管理費に計上された製品の物流費用は、それぞれ95,208百万円及び85,108百万円で、ソニーグループ内での製品運搬費用も含まれています。

 

24.金融収益及び費用

金融収益

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

受取利息

 

 

償却原価で測定する金融資産

22,399

37,580

受取配当金

 

 

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産

3,488

1,138

資本性金融商品の再評価益

 

 

純損益を通じて公正価値で測定する金融資産 *2

71,385

その他

5,171

15,494

31,058

125,597

 

金融費用

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

支払利息

 

 

償却原価で測定する金融負債

16,016

28,163

その他

10,382

12,833

為替差損(純額)*1

14,489

6,989

資本性金融商品の再評価損

 

 

純損益を通じて公正価値で測定する金融資産 *2

4,623

その他

13,441

17,781

58,951

65,766

(注)*1 為替差損(純額)は外国為替契約から生じる利得及び損失を含みます。

   *2 ソニーは、Spotify Technology S.A.(以下「Spotify」)の株式を純損益を通じて公正価値で測定することが要求される資本性証券として保有しています。ソニーが保有するSpotify株式については、2022年度及び2023年度において、株価の変動からアーティストとレーベルへの分配見込額を調整し、それぞれ7,787百万円(58百万米ドル)の再評価損、64,764百万円(440百万米ドル)の再評価益を計上しました。

 

25.法人所得税

 税引前利益及び法人所得税の内訳は以下のとおりです。

項目

2022年度

修正再表示

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

税引前利益

1,274,496

1,268,662

法人所得税

 

 

当期税金

304,881

271,045

繰延税金

△42,158

17,123

法人所得税合計

262,723

288,168

 

 2022年度及び2023年度における国内の法人所得税の計上額は、それぞれ157,745百万円及び169,821百万円、海外の法人所得税の計上額は、それぞれ104,978百万円及び118,347百万円です。

 

 日本の法定税率と実効税率との差の分析は以下のとおりです。

項目

2022年度

修正再表示

2023年度

法定税率

31.5%

31.5%

損金に算入されない費用

0.2

0.3

税額控除

△3.0

△3.3

法定税率の変動

△0.1

0.1

未認識の繰延税金資産の変動

△1.0

△2.1

海外関係会社の未分配利益に係る繰延税金負債の変動

1.5

0.9

日本における生命保険及び損害保険事業に適用される軽減税率

△0.9

△0.4

海外との税率差

△6.0

△4.9

不確実な税務ポジションに対する負債の計上又は戻入れ

△0.3

0.1

外国子会社合算税制

△2.0

0.0

その他

0.7

0.5

実効税率

20.6%

22.7%

 

 ソニーは、一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対する繰延税金資産について、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。繰延税金資産の回収可能性は、関連する税務管轄における将来課税所得の発生によって決定されます。

 

 繰延税金資産・負債の主な発生原因別の内訳及び変動は以下のとおりです。

項目

2022年度

金額(百万円)

期首残高

新会計基準

適用による

累積的影響額

修正再表示

期首残高

純損益

として認識

(修正再表示)

その他の

包括利益

として認識

(修正再表示)

企業結合に

よる変動

直接資本

として認識

その他 *

修正再表示

期末残高

繰延税金資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

税務上繰越欠損金

71,087

71,087

△5,756

10,157

5,600

81,088

退職給付に係る負債

72,565

△3

72,562

5,826

△8,245

△28

△1,881

△1,099

67,135

コンテンツ資産を含む償却費

26,759

26,759

△1,675

△25,695

2,828

2,217

リース負債

96,100

5,330

101,430

12,818

221

4,378

118,847

製品保証引当金及び未払費用

141,344

326

141,670

4,070

1,599

2,643

149,982

保険契約負債

179,620

179,620

561,000

△740,620

棚卸資産

29,546

29,546

15,479

△302

44,723

減価償却費

43,189

43,189

△3,566

429

40,052

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品

27,581

27,581

繰越税額控除

38,884

38,884

△12,297

5,792

3,845

36,224

損失評価引当金

7,748

7,748

△1,857

259

6,150

投資の減損

9,816

9,816

△3,709

△55

6,052

前受収益

31,185

31,185

22,076

△2,299

2,478

53,440

その他

140,594

55,920

196,514

2,361

△2,408

21,427

△985

7,663

224,572

繰延税金資産合計

708,817

241,193

950,010

594,770

△723,692

11,174

△2,866

28,667

858,063

繰延税金負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

繰延保険契約費

△191,474

191,474

保険契約負債

△167,337

167,337

△667,224

457,619

5,886

△203,719

使用権資産

△59,566

△5,330

△64,896

△24,637

△208

△6,328

△96,069

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品

△15,969

△15,969

923

8,846

1,823

△4,377

純損益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品

△53,139

△53,139

31,952

△3,380

△24,567

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品

△327,359

△3,187

△330,546

39,764

291,024

△242

株式交換により取得した無形資産

△23,949

△23,949

△23,949

EMI Music Publishing買収に係る無形資産

△101,594

△101,594

2,277

△6,639

△105,956

海外関連会社の未分配利益

△56,031

△56,031

△15,318

1,759

△69,590

エムスリー㈱への投資

△42,692

△42,692

△4,646

△47,338

その他

△67,610

△13,242

△80,852

84,297

△52

△3,120

△159

△7,126

△7,012

繰延税金負債合計

△1,106,720

337,052

△769,668

△552,612

757,437

△3,328

△159

△14,247

△582,577

(注)* その他の主な内容は、在外営業活動体の換算差額です。

 

 

項目

2023年度

金額(百万円)

期首残高

純損益

として認識

その他の

包括利益

として認識

企業結合に

よる変動

直接資本

として認識

その他 *

期末残高

繰延税金資産

 

 

 

 

 

 

 

税務上繰越欠損金

81,088

△11,765

460

7,758

77,541

退職給付に係る負債

67,135

16,287

△11,350

△613

4,088

75,547

コンテンツ資産を含む償却費

2,217

14,293

3,109

19,619

リース負債

118,847

17,154

△271

135,730

製品保証引当金及び未払費用

149,982

7,918

9,502

167,402

棚卸資産

44,723

2,892

1,192

48,807

減価償却費

40,052

△663

2,214

41,603

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品

17,230

2,010

19,240

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品

27,581

74,703

273,954

6,289

382,527

繰越税額控除

36,224

11,698

2,991

6,733

57,646

損失評価引当金

6,150

3,525

1,066

10,741

投資の減損

6,052

2,279

△551

7,780

前受収益

53,440

△11,697

6,711

48,454

その他

224,572

47,828

△598

△7,352

△1,005

25,836

289,281

繰延税金資産合計

858,063

174,452

279,236

△3,901

△1,618

75,686

1,381,918

繰延税金負債

 

 

 

 

 

 

 

保険契約負債

△203,719

△79,827

△219,099

2,936

△499,709

使用権資産

△96,069

△16,775

△396

△113,240

その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品

△4,377

4,389

△206

194

純損益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品

△24,567

△24,753

△3,014

△52,334

株式交換により取得した無形資産

△23,949

△23,949

EMI Music Publishing買収に係る無形資産

△105,956

3,466

△14,501

△116,991

海外関連会社の未分配利益

△69,590

△6,856

△8,505

△84,951

エムスリー㈱への投資

△47,338

△5,287

△52,625

その他

△7,012

△65,932

19

△5,295

△20

△26,753

△104,993

繰延税金負債合計

△582,577

△191,575

△219,286

△5,295

△20

△50,039

△1,048,792

(注)* その他の主な内容は、在外営業活動体の換算差額です。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、ソニーは、繰延税金資産の回収可能性の評価の結果、日本の一部の子会社、ならびにスウェーデンのSony Mobile Communications AB、英国のSony Europe B.V.、ブラジルにおける一部の子会社及び他の税務管轄における一部の子会社の繰延税金資産を認識していません。2023年3月31日及び2024年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除は、以下のとおりです。

 

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

将来減算一時差異

126,406

134,602

繰越欠損金

1,384,658

1,424,553

繰越税額控除

18,853

16,869

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の失効期限別の内訳は、以下のとおりです。

 

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

5年以内

602,799

494,989

5年超10年以内

250,587

274,044

10年超15年以内

25,786

28,601

15年超

13,245

15,592

無期限

492,241

611,327

合計

1,384,658

1,424,553

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない繰越税額控除の失効期限は、無期限に繰越可能な税額控除を除き、大部分は5年以内に期限切れとなります。なお、2023年3月31日現在における無期限に繰越が可能な税額控除の金額は1,047百万円です。2024年3月31日現在における無期限に繰越が可能な税額控除はありません。

 

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、一部の海外関係会社の未分配利益のうち、将来配当することを予定していない将来加算一時差異の金額はそれぞれ560,888百万円及び1,122,164百万円です。また、それに対して認識していない繰延税金負債は2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、それぞれ8,974百万円及び17,955百万円です。また、1991年11月の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの公募による株式発行により計上された子会社株式売却益61,544百万円と2018年11月のEMI Music Publishingの取得にともなう既存持分の再評価益116,939百万円を含む、子会社における会計と税務の差異に起因する利益に関する将来加算一時差異に対しては、税務戦略にもとづき所有株式の処分から発生する重大な課税を見込んでいないため繰延税金負債を認識していません。

 

 また、上記のほか、2023年3月31日及び2024年3月31日現在において、繰延税金資産を認識していない在外営業活動体の換算差額に関する将来減算一時差異はそれぞれ181,037百万円及び275,810百万円、繰延税金負債を認識していない在外営業活動体の換算差額に関する将来加算一時差異はそれぞれ694,240百万円及び1,228,503百万円です。

 

 ソニーは、IASBが2023年5月に公表した「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール(IAS第12号改訂)」(以下「改訂IAS第12号」)を適用しています。また、改訂IAS第12号が定める一時的な例外規定を適用し、第2の柱モデルルールに関する税制から生じる税金について、繰延税金資産及び繰延税金負債の認識及び開示を行っていません。

 日本においては、第2の柱モデルルールに則したグローバル・ミニマム課税制度を導入する法律が2023年3月28日に成立しました。当該法律は、2024年4月1日からソニーに適用されます。なお、ソニーは第2の柱モデルルールから生じる法人所得税への、重要なエクスポージャーを想定していません。

 

26.基本的及び希薄化後EPSの調整表

 2022年度及び2023年度における基本的及び希薄化後EPSの調整計算は以下のとおりです。

項目

2022年度

修正再表示

2023年度

利益

(百万円)

加重平均

株式数

(千株)

EPS

(円)

利益

(百万円)

加重平均

株式数

(千株)

EPS

(円)

基本的EPS

 

 

 

 

 

 

当社株主に帰属する当期純利益

1,005,277

1,235,701

813.53

970,573

1,231,242

788.29

希薄化効果

 

 

 

 

 

 

ストック・オプション

3,617

 

3,680

 

譲渡制限付株式ユニット

29

 

409

 

転換社債型新株予約権付社債(ゼロクーポン)

51

2,030

 

 

希薄化後EPS

 

 

 

 

 

 

計算に用いる当社株主に帰属する当期純利益

1,005,328

1,241,377

809.85

970,573

1,235,331

785.68

 

 2022年度及び2023年度において、希薄化後EPSの計算から除いた潜在株式数はそれぞれ11,223千株及び6,895千株で、内容はストック・オプションです。

 

27.キャッシュ・フローに関する補足情報

(1) 金融分野におけるキャッシュ・フローの分類

 ソニーは、保険事業及び銀行業に関連する投資及び貸付、顧客預金、保険契約負債、借入金・債務等の資産及び負債の変動に係るキャッシュ・フローについて、主たる収益獲得活動から生じる変動であると捉え、連結キャッシュ・フロー計算書上、営業活動によるキャッシュ・フローに分類しています。

 

(2) コンテンツ資産に係るキャッシュ・フローの分類

 ソニーは、コンテンツ資産の増加及び処分に係るキャッシュ・フローについて、主たる収益獲得活動から生じる変動であると捉え、連結キャッシュ・フロー計算書上、営業活動によるキャッシュ・フローに分類しています。

 

(3) 利息及び配当

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

受取利息

 

 

金融ビジネス収入

224,137

244,292

金融収益

20,872

36,295

受取配当金

 

 

金融ビジネス収入

23,409

52,760

金融収益

3,488

1,138

支払利息

 

 

金融ビジネス費用

27,352

74,857

金融費用

11,663

22,667

(注)上記は利息及び配当から生じるキャッシュ・フローの金額が含まれる連結損益計算書の表示科目です。

ソニーは、上記の利息及び配当から生じるキャッシュ・フローについて、連結キャッシュ・フロー計算書上、営業活動によるキャッシュ・フローに分類しています。

 

(4) 現金収支をともなわない投資及び財務活動

 2022年度及び2023年度において、リース契約締結にともなう使用権資産の増加があり2022年度において転換社債型新株予約権付社債の株式への転換がありました。詳細は(5)財務活動から生じる負債の調整表をご参照ください。

 

(5) 財務活動から生じる負債の調整表

項目

金額(百万円)

短期借入金

長期借入債務

2022年4月1日残高

56,091

951,233

財務活動によるキャッシュ・フロー(純額)

32,391

229,578

企業結合による取得

32,009

非資金項目

 

 

転換社債型新株予約権付社債の株式への転換

△26,563

リース契約締結にともなう資産の取得

127,322

為替換算調整

4,533

22,684

その他

△369

△13,936

変動額合計

36,555

371,094

2023年3月31日残高

92,646

1,322,327

財務活動によるキャッシュ・フロー(純額)

△18,370

97,026

企業結合による取得

796

853

非資金項目

 

 

リース契約締結にともなう資産の取得

101,039

為替換算調整

12,097

76,168

その他

1,133

△11,400

変動額合計

△4,344

263,686

2024年3月31日残高

88,302

1,586,013

(注)連結キャッシュ・フロー計算書上、営業活動によるキャッシュ・フローに分類されている保険事業及び銀行業に関連する短期借入金及び長期借入債務の金額は、上記の金額から除外しています。

 

(6) 現金及び現金同等物の内訳

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

現金及び預金

1,227,541

1,535,476

当初満期3ヵ月以内の定期預金

76,452

63,169

マネー・マーケット・ファンド

116,607

219,559

コールローン

60,300

88,909

合計

1,480,900

1,907,113

(注)現金及び預金、当初満期3ヵ月以内の定期預金及びコールローンは、償却原価で測定する金融資産に分類されており、短期取引であり帳簿価額は公正価値と近似しています。また、マネー・マーケット・ファンドは、短期の流動性の高い投資であり、価値変動リスクが僅少なものです。マネー・マーケット・ファンドは、純損益を通じて公正価値で測定することが要求される金融資産に分類され、公正価値の階層はレベル1に分類されます。

 

(7) ビジネスの買収等による支出

 2023年度において、ソニーは、音楽分野において特定の音楽資産を保有する会社の持分を新たに取得し、その対価90,968百万円を、投資活動によるキャッシュ・フローの「ビジネスの買収等による支出」に含めています。なお、本取引は、事業を構成しない資産グループの取得として認識されています。

 本取引の結果、ソニーは、当該会社を連結子会社とし、コンテンツ資産(ミュージック・カタログ)182,689百万円と非支配持分90,968百万円を計上しました。

 

28.ストラクチャード・エンティティ

 ソニーは、適宜ストラクチャード・エンティティとの間で各種の取決めを結んでいます。

 

(1) 連結しているストラクチャード・エンティティ

 ソニーは金融分野において投資信託をストラクチャード・エンティティとして連結しています。当該ストラクチャード・エンティティは支配の決定に際して議決権又は類似の権利が支配の決定的な要因とならないように設計されていますが、ソニーが支配していると判断したものです。ソニーは、当該投資信託に対する契約上の義務なしに、連結している組成された企業に対する重要な財務的支援又はその他の重要な支援を提供したことはなく、提供する意図もありません。金融分野において連結しているストラクチャード・エンティティの資産及び負債は、契約上の取決めによって、その利用目的が制限されています。2023年3月31日及び2024年3月31日現在、これらのストラクチャード・エンティティの資産の総額は、それぞれ2,486,836百万円及び3,653,520百万円です。

 ソニーは音楽分野及び映画分野においても複数のストラクチャード・エンティティを連結しています。ソニーは、契約上の義務なしに、これらのストラクチャード・エンティティに対する重要な財務的支援又はその他の重要な支援の提供をしたことはなく、提供する意図もありません。

 

(2) 非連結のストラクチャード・エンティティ

 一部の営業債権売却プログラムにはストラクチャード・エンティティが関与しています。これらのストラクチャード・エンティティは全てスポンサー銀行に関連する特別目的会社です。定性的評価にもとづき、ソニーはこれらのストラクチャード・エンティティの活動を指揮する力、損失を負担する義務又は残存利益を受け取る権利がないためこれらのストラクチャード・エンティティを連結対象とはしていません。なお、ソニーの最大損失額は僅少と考えられます。

 金融分野においては、住宅ローン債権の一部について流動化取引を行っており、当該取引には非連結のストラクチャード・エンティティが関与しています。なお、金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が移転する又はキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を保持しているものの、そのキャッシュ・フローを再投資せず重要な遅滞なく他の当事者に支払う契約上の義務を負う場合であって、金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんど全てを移転している場合には、金融資産の認識を中止します。本流動化取引においては、この金融資産の認識の中止の要件を満たさないため、当該流動化資産の認識の中止を行っていません。2023年3月31日及び2024年3月31日現在、このような譲渡資産を金融分野における投資及び貸付に、それぞれ168,173百万円及び164,799百万円計上しています。また、2023年3月31日及び2024年3月31日現在、譲渡により発生した負債として1年以内に返済期限の到来する長期借入債務及び長期借入債務に、それぞれ169,500百万円及び166,024百万円計上しています。当該負債は、譲渡資産に対して支払いが行われた場合に決済されることとなりますが、その間、ソニーは当該譲渡資産を利用できません。なお、譲渡資産の譲受人は譲渡資産のみに遡及権を有しており、2023年3月31日及び2024年3月31日現在、譲渡資産の公正価値はそれぞれ170,695百万円及び167,071百万円であり、譲渡により発生した負債の公正価値はそれぞれ169,931百万円及び166,321百万円です。

 上記に加えて、金融分野においては、非連結のストラクチャード・エンティティに対し、投資を行っています。そのようなストラクチャード・エンティティに対するソニーの投資には、証券化商品、外国社債、その他の投資が含まれます。以下の表は、2023年3月31日及び2024年3月31日における非連結のストラクチャード・エンティティに対する投資の帳簿価額、連結財政状態計算書の科目、及び最大損失のエクスポージャーを表しています。なお、最大損失のエクスポージャーは、不利な環境変化から実際に発生すると見積もられる損失額を表したものでも、その損失額を減少させる効果のある経済的ヘッジ取引を反映したものでもありません。ストラクチャード・エンティティに対するソニーの関与に関わるリスクは帳簿価額及びコミットメントの金額に限定されます。

 

 

 

2023年3月31日

 

金額(百万円)

 

帳簿価額

最大損失の

エクスポー

ジャー

 

金融分野に

おける投資及び

貸付(流動)

金融分野に

おける投資及び

貸付(非流動)

その他の

金融資産

(流動)

証券化商品

401,642

401,642

外国社債 *1

20,806

186,878

207,684

その他の投資 *2

286,066

25,464

332,076

合計

20,806

874,586

25,464

941,402

 

 

2024年3月31日

 

金額(百万円)

 

帳簿価額

最大損失の

エクスポー

ジャー

 

金融分野に

おける投資及び

貸付(流動)

金融分野に

おける投資及び

貸付(非流動)

その他の

金融資産

(流動)

証券化商品

461,309

461,309

外国社債 *1

11,365

206,570

217,935

その他の投資 *2

456,705

24,836

503,683

合計

11,365

1,124,584

24,836

1,182,927

(注)*1 外国社債には、主にリパッケージ債が含まれています。

*2 その他の投資には、主に投資信託が含まれています。

 

29.連結子会社

 当社が直接的又は間接的に保有する主要な連結子会社は以下のとおりです。

名称

所在地

議決権の

所有割合(%)

(2024年3月31日現在)

㈱ソニー・インタラクティブエンタテインメント

日本

100.0

㈱ソニー・ミュージックエンタテインメント

日本

100.0

ソニー㈱

日本

100.0

ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ㈱

日本

100.0

ソニーネットワークコミュニケーションズ㈱

日本

100.0

ソニーマーケティング㈱

日本

100.0

ソニーセミコンダクタソリューションズ㈱

日本

100.0

ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング㈱

日本

100.0

ソニーストレージメディアソリューションズ㈱

日本

100.0

ソニーフィナンシャルグループ㈱

日本

100.0

ソニー生命保険㈱

日本

100.0

ソニー銀行㈱

日本

100.0

ソニー損害保険㈱

日本

100.0

Sony Corporation of America

米国

100.0

Sony Interactive Entertainment LLC

米国

100.0

Sony Music Entertainment

米国

100.0

Sony Music Publishing LLC

米国

100.0

Sony Pictures Entertainment Inc.

米国

100.0

Sony Electronics Inc.

米国

100.0

Sony Interactive Entertainment Europe Ltd.

英国

100.0

Sony Europe B.V.

英国

100.0

Sony Global Treasury Services Plc

英国

100.0

Sony Overseas Holding B.V.

オランダ

100.0

索尼(中国)有限公司

中国

100.0

Sony EMCS (Malaysia) Sdn. Bhd.

マレーシア

100.0

Sony Electronics (Singapore) Pte. Ltd.

シンガポール

100.0

 

30.企業結合

(1) 2022年度

Bungie, Inc.の取得

 2022年7月15日、ソニーの完全子会社であるSony Interactive Entertainment LLC(以下「SIE」)が、米国の独立系ゲーム開発会社Bungie, Inc.(以下「Bungie」)の全ての株式を取得しました。本取得にともない、Bungieはソニーの完全子会社となりました。本取得により、SIEは、Bungieが有するライブゲームサービスへのアプローチと技術的専門性へのアクセスが可能となります。

 運転資金その他の調整を経て決定された本取得の対価は、株式取得の対価及び確約された従業員インセンティブの支払いを含め、510,459百万円(3,701百万米ドル)であり、このうち、347,768百万円(2,522百万米ドル)が、本取得における企業結合取引の対価です。残りの162,691百万円(1,179百万米ドル)は、主に従業員株主に対する継続雇用を条件とした繰延支払い及び、その他のリテンションのための報酬です。かかる繰延支払いやリテンション報酬は、本取得日以降の要求される勤務期間にわたり費用認識されます。

 本取得日における企業結合取引の対価の公正価値は333,859百万円(2,421百万米ドル)で、207,511百万円(1,505百万米ドル)の現金対価、84,410百万円(612百万米ドル)の繰延対価、及び従業員株主の継続雇用を条件とし、本取得日時点で存在していた代替報酬の権利確定期間合計のうち権利確定済部分を含む41,938百万円(304百万米ドル)の条件付対価から構成されています。繰延対価及び条件付対価は、連結財政状態計算書上、その他の金融負債(流動・非流動)に計上しています。

 ソニーの2022年度の連結損益計算書には、本取得により発生した繰延支払いやリテンション報酬及び本取得日に認識した無形資産の償却費を含む本取得日以降のBungieの税引後の純損失47,420百万円(338百万米ドル)が含まれています。2022年度における本取得日以降のグループ内取引消去後のBungieの売上高は僅少のため、開示を省略しています。

 ソニーは、取得法にもとづきBungieを連結し、識別可能資産、引受負債及びその残余としてののれんを公正価値で計上しました。G&NS分野に計上されたBungieの資産及び負債に割り当てられた最終評価の公正価値の集計は以下のとおりです。

 

項目

金額(百万円)

現金及び現金同等物

37,800

営業債権、その他の債権及び契約資産

5,093

その他の流動資産

3,412

有形固定資産

7,481

使用権資産

15,540

のれん

193,801

コンテンツ資産

45,512

その他の無形資産

66,257

繰延税金資産

7,297

その他

3,564

資産合計

385,757

営業債務及びその他の債務

3,060

その他の流動負債

12,195

長期借入債務

30,944

その他

5,699

負債合計

51,898

 

 コンテンツ資産及びその他の無形資産には主にライセンス契約とソフトウェアが含まれています。のれんは、新たな収益の流入による将来の成長やソニーの既存の事業とのシナジー等を表し、税務上損金に算入されません。本取得により計上されたのれんはG&NS分野に含まれます。

 プロフォーマ情報は、本取得の与える影響が軽微なため、開示を省略しています。

 

(2) その他の取得

 2022年度においてソニーはその他いくつかの取得を行いました。支払われた対価の合計は92,743百万円であり、主として現金で支払われました。将来変更される可能性がある重要な条件付対価はありません。これらの取得により、ソニーはのれん80,698百万円と無形資産29,154百万円を計上しました。

 

 2023年度においてソニーはその他いくつかの取得を行いました。支払われた対価の合計は111,669百万円であり、主として現金で支払われました。将来変更される可能性がある重要な条件付対価はありません。これらの取得により、ソニーはのれん70,791百万円と無形資産69,294百万円を計上しました。

 

 これらの取得に関して重要な仕掛研究開発費への価格割当はありません。上記の全ての取得企業及び事業はそれぞれの取得日よりソニーの業績に連結されています。その他の取得は、個別及び総計で重要性がないため、プロフォーマ情報等は開示していません。

 

31.関連当事者との取引

(1) 持分法を適用している関連会社及び共同支配企業との取引残高及び取引高

 持分法を適用している関連会社及び共同支配企業との主な取引残高及び取引高は以下のとおりです。

項目

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

売掛金及び未収入金

 

 

関連会社

7,779

19,357

共同支配企業

6,326

3,913

 計

14,105

23,270

その他の流動資産

 

 

関連会社

7,747

8,195

共同支配企業

 計

7,747

8,195

買掛金

 

 

関連会社

1,425

997

共同支配企業

228

265

 計

1,653

1,262

短期借入金

 

 

関連会社

3,124

3,070

共同支配企業

25,218

26,384

 計

28,342

29,454

リース負債等

 

 

関連会社

74,955

78,102

共同支配企業

 計

74,955

78,102

有形固定資産 未払金

 

 

関連会社

12,050

16

共同支配企業

 計

12,050

16

 

 

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

売上高

 

 

関連会社

15,040

14,215

共同支配企業

30,220

34,199

 計

45,260

48,414

仕入高

 

 

関連会社

4,450

6,385

共同支配企業

649

723

 計

5,099

7,108

支払リース料等

 

 

関連会社

13,720

15,467

共同支配企業

 計

13,720

15,467

有形固定資産の購入

 

 

関連会社

20,553

16

共同支配企業

 計

20,553

16

 

 ソニーは関連会社に対して将来現金出資を行うことを当該関連会社の株主間で契約しており、かかる契約にもとづく2023年3月31日及び2024年3月31日現在の出資コミットメント残高はそれぞれ39,047百万円及び5,905百万円です。

 

(2) 主要な経営幹部に対する報酬

 2022年度及び2023年度における主要な経営幹部に対する報酬は以下のとおりです。

項目

2022年度

2023年度

金額(百万円)

金額(百万円)

短期従業員給付

1,831

1,660

株式にもとづく報酬

1,928

2,917

合計

3,759

4,577

(注) 主要な経営幹部に対する報酬は、当社の取締役(社外取締役を含む)及び執行役に対する報酬です。

 

32.パーチェス・コミットメント、偶発債務及びその他

(1) ローン・コミットメント

 金融子会社は、顧客に対する貸付契約にもとづき、貸付与信枠を有しています。2023年3月31日及び2024年3月31日現在、これらのうち貸付未実行残高はそれぞれ35,831百万円及び50,965百万円です。

 

(2) パーチェス・コミットメント

 2023年3月31日及び2024年3月31日現在の有形固定資産及び無形資産(コンテンツ資産を除く)のパーチェス・コミットメントの残高は、それぞれ292,975百万円及び160,919百万円です。

 

 上記のほか、ソニーは、物品又は役務提供を受けるサービスに対するパーチェス・コミットメントを締結しています。下記に記載のものを除き、個々に重要なものはありません。

 映画分野におけるパーチェス・コミットメントの残高は、2023年3月31日及び2024年3月31日現在、それぞれ137,291百万円及び188,592百万円です。これらは主に、製作関係者との間で締結した映画の製作及びテレビ番組の制作を行う契約、第三者との間で完成した映画作品もしくはそれに対する一部の権利を購入する契約及びスポーツイベントの放映権を購入する契約に関するものです。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主として、それぞれの会計期間末から3年以内の期間に関するものです。

 音楽分野におけるパーチェス・コミットメントの残高は、2023年3月31日及び2024年3月31日現在、それぞれ203,167百万円及び272,297百万円です。これらは主に、音楽アーティスト、作詞家ならびに音楽ソフトやビデオの制作・販売会社との間で締結した、将来の音楽作品の制作・配信・ライセンシングに関する契約に関するものです。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主として、それぞれの会計期間末から5年以内の期間に関するものです。

 G&NS分野におけるパーチェス・コミットメントの残高は、2023年3月31日及び2024年3月31日現在、それぞれ38,116百万円及び33,436百万円です。これらは主に、ゲームソフトウェアの開発、販売及び配信に関する長期契約に関するものです。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主として、それぞれの会計期間末から5年以内の期間に関するものです。

 このほかソニーは、部材の調達契約を締結しています。2023年3月31日及び2024年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額はそれぞれ288,260百万円及び211,930百万円です。

 

(3) 訴訟

 当社及び一部の子会社は、複数の訴訟の被告又は政府機関による調査の対象となっています。しかし、ソニーが現在知り得る限りの情報にもとづき、それらの訴訟その他の法的手続により生じ得る結果は、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与えることはないと考えています。

 

(4) 保証債務

 ソニーは、ある特定の事象又は状況が発生した場合に、被保証者への支払要求に対して保証を行っています。2023年3月31日及び2024年3月31日現在の保証債務にもとづく将来の潜在的支払債務は、それぞれ最大で458百万円及び410百万円です。

 

33.重要な後発事象

(自己株式の消却)

 当社は、当社取締役会から委任された当社代表執行役の決定により、以下のとおり、会社法の規定にもとづき、自己株式を消却しました。

①消却した株式の総数:12,612,300株

②消却日:2024年4月10日

 

(自己株式の取得枠設定)

 当社は、2024年5月14日開催の取締役会において、以下のとおり、会社法及び当社定款の規定にもとづき、自己株

式の取得枠を設定することを決議しました。

①取得し得る株式の総数:3,000万株(上限)

②株式の取得価額の総額:2,500億円(上限)

③取得期間:2024年5月15日~2025年5月14日

※以下に記載の株式分割効力発生日(2024年10月1日)の後、上記①に記載の取得し得る株式の総数は、1億5,000万株(上限)となります。

 

(株式分割)

 当社は、2024年5月14日開催の取締役会において、以下のとおり、株式分割を行うことを決議しました。

①分割の方法

 2024年9月30日を基準日として、同日最終の株主名簿に記載又は記録された株主の所有する当社普通株式を、1株につき5株の割合をもって分割します。

②分割により増加する株式数

 株式分割前の発行済株式総数:  1,248,619,589株

 今回の分割により増加する株式数:4,994,478,356株

 株式分割後の発行済株式総数:  6,243,097,945株

 株式分割後の発行可能株式総数: 18,000,000,000株

 ※上記発行済株式総数は、2024年4月末時点の発行済株式総数にもとづいており、株式分割の基準日までの間に、新株予約権の行使により増加する可能性があります。

③分割の日程

 基準公告日: 2024年9月13日

 基準日:   2024年9月30日

 効力発生日: 2024年10月1日

④定款の一部変更

 上記の株式分割にともない、会社法第184条第2項にもとづき、当該株式分割の効力発生日である2024年10月1日に、当社の発行可能株式総数を36億株から180億株に増加する定款の変更を行います。

⑤1株当たり情報への影響

 上記の株式分割が2023年3月31日に終了した1年間の期首に行われたと仮定した場合の1株当たり情報は、以下のとおりです。

                                              (単位:円)

 

2022年度

2023年度

基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益

162.71

157.66

希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益

161.97

157.14

 

⑥【連結附属明細表】
【社債明細表】

 連結財務諸表注記「14.短期借入金及び長期借入債務」に記載しています。

【借入金等明細表】

 連結財務諸表注記「14.短期借入金及び長期借入債務」に記載しています。

【資産除去債務明細表】

 2024年3月31日現在における資産除去債務の金額に重要性がないため、記載を省略しています。

 

(2)【その他】

① 当連結会計年度における四半期情報等

(累計期間)

第1四半期

第2四半期

第3四半期

当連結会計年度

売上高及び金融ビジネス収入

(百万円)

2,963,652

5,792,275

9,539,802

13,020,768

税引前利益(百万円)

276,034

533,629

992,184

1,268,662

当社株主に帰属する四半期

(当期)純利益(百万円)

217,545

417,650

781,568

970,573

基本的1株当たり当社株主に帰属する四半期(当期)純利益(円)

176.26

338.48

633.94

788.29

 

(会計期間)

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

基本的1株当たり当社株主に帰属する四半期純利益(円)

176.26

162.21

295.67

154.12

 

② 訴訟

 訴訟事件等については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『32.パーチェス・コミットメント、偶発債務及びその他』に記載のとおりです。