第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

<社是>

技術を大切に 人を大切に 地球を大切に

<経営理念>

世の中が必要とするもの、世の中に価値があると認められるものを生み出すことで、社会に貢献し、企業としての価値を高め、長期的な発展と、すべてのステークホルダーの満足を目指す。

<長期ビジョン>

ESG経営の推進によりお客様や社会とともに持続的に成長し、再生可能エネルギーの活用と環境保全の分野を中心にリーディングカンパニーとして社会に必須の存在であり続け、2030年に経常利益200億円を目指す。

 

① 経営理念

当社の創業者である田熊常吉は、1912年の「タクマ式汽罐(ボイラ)」発明により国内産業の発展に大きく貢献しました。1938年にはボイラを通じて社会へ貢献するという「汽罐報国」の精神を掲げ当社を創業。以来、当社グループは、この精神を継承し、あらゆる種類のボイラを手がけるとともに、ボイラで培った技術を活かして廃棄物処理プラントや水処理プラントなどの環境衛生分野へ進出し、エネルギーの活用と環境保全の分野を中心に事業を広げ、社会の発展と課題の解決に貢献してまいりました。当社グループの経営理念はこの創業の精神にあり、事業活動を通じて社会の長期的、持続的な発展に貢献することが、当社グループの変わらぬ価値観です。

 

② 長期ビジョン(Vision2030)

グローバルでは気候変動問題の深刻化、また、新興国を中心に人口増加・都市化の急速な進展による衛生環境の悪化や、エネルギー需要の増加などが懸念されます。一方、国内においては人口減少・高齢化による内需の縮小、人材・担い手不足や財政の逼迫、インフラの老朽化などが懸念されており、将来に向けて持続可能な社会をいかに実現していくかが重要な課題です。このような中長期のトレンド・社会課題を踏まえ、当社グループは中長期の経営の指針として「長期ビジョン(Vision2030)」を策定しております。

当社グループは本ビジョンの下、事業活動を通じてお客様や社会の課題を解決することでESGに関する重要課題に取り組み持続的な成長を目指す、ESG経営を推進します。このESG経営の核となる事業活動の展開に際しては、当社グループの強みであるエネルギーの活用や環境保全に関する技術・ノウハウと、長期にわたるアフターサービス等を通じて培われたお客様との信頼関係を基に、「お客様の良きパートナー」となり、不屈の発明家精神を継承した当社グループの「イノベーション」によって生み出された有益な技術・サービスを通じて、再生可能エネルギーの活用と環境保全の分野を中心にお客様や社会の課題を解決いたします。この事業活動を通じてESGに関する重要課題に取り組み、お客様や社会とともに持続的に成長することで、2030年に経常利益200億円を目指してまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

① 第13次中期経営計画(2021~2023年度)の振り返り

第13次中計は、Vision 2030のファーストステップとして第12次中計までに構築した経営基盤・事業基盤をベースに、さらなる成長への布石を打つことをテーマとして取り組んでまいりました。EPC案件の件数や竣工時期等による年度ごとの業績変動はあるものの、アフターサービス等のストック型ビジネスをベース収益とし、第12次中計から受注高、売上高、営業利益とも堅調に推移しました。この結果、計画期間累計の連結経常利益は364億円と目標の360億円を上回りました。また、受注高についても5,213億円と参考目標値である4,500億円を大幅に上回りました。

 

 

② 第14次中期経営計画(2024~2026年度)

当社グループは、Vision 2030の実現に向けたセカンドステップとして、本年4月よりタクマグループ第14次中期経営計画(2024~2026年度)をスタートさせました。第14次中計では、「経営基盤の強化」、「従来ビジネスの一層の強化」、「将来の環境変化への対応」において第13次中計で取り組んできた施策を具現化し、第15次中計以降の成果獲得につなげることをテーマとしております。

[第14次中期経営計画の基本方針]

Vision 2030実現に向けては人材のリソース不足などの課題があり、第13次中計では課題解決に向け事業環境の見極め、採用強化などを通じて成長への布石を打ちました。第14次中計は、課題解決に向けた施策の策定・実行を進めつつ、一般廃棄物処理プラントの受注(更新、基幹改良)とストックを最大限活用した収益モデルの確立に優先的に経営資源を投入し、第15次中計以降のビジョン実現に向けた成長ストーリーを具現化します。

 


 

a. 経営基盤の強化

成長ストーリーの具現化のためには、経営基盤の強化を継続して行うことが必要となります。特にストック型ビジネス・EPC事業におけるリソースの拡充に向け、多様な人材の確保、人材育成による基盤強化を図るとともに、働き甲斐、働きやすさのさらなる向上により長期にわたって活躍できる社内環境の整備に取り組んでまいります。また、事業分野でのデジタル化、ナレッジマネジメント(注)などを推進することにより、生産性向上やスムーズな技術承継を図ります。

(注)ナレッジマネジメント:技術伝承・人材育成のため、個人の知識・情報をデータ資産として見える化し、組織全体で共有し活用すること。

 

b. 資本政策

市場の期待に応える事業成長を果たすための資本コストを意識した定量的な目標(ROE)を設定し、新たな株主還元方針を含めた経営資源の適切な配分を行ってまいります。また同時に、EPC事業、長期O&M事業を支える強固な財務基盤を維持しつつ、資本効率の向上と事業成長の両立を図ります。

 

c. ESGの取り組み

Vision 2030で掲げたESG経営の推進による「お客様や社会とともに持続可能な成長」を実現していくため、当社グループが優先的に取り組むべき7つの重要課題(マテリアリティ)を特定しております。第14次中計においては、「従業員エンゲージメント」と「顧客満足度」に関わる新たなKPIを設定し、事業活動を通じたESG課題への取り組みを引き続き推進してまいります。

 

 

<重要課題(マテリアリティ)>

Environment(環境)

気候変動対策への貢献

資源・環境保全

Social(社会)

お客様・地域との信頼関係の一層の強化

パートナーシップとイノベーションの推進

人材の活躍促進

安全と健康の確保

Governance(企業統治)

コーポレート・ガバナンスの強化

 

 

具体的な取り組み・KPIとその進捗については、統合報告書等を通じて情報発信してまいります。

 

d. 数値目標

Vision 2030で掲げた2030年度の経常利益200億円に向けて、第14次中計ではそのセカンドステップとして成長ストーリーの具現化を目指すものとし、数値目標として計画期間(3か年)累計の連結経常利益380億円を設定しております。また、新たに連結受注高累計6,000億円、2027年3月期ROE(自己資本利益率)9%以上を目標数値として設定し、その達成に向けて鋭意取り組んでまいります。

 

(3) 経営環境

自然災害の甚大化等、気候変動の影響が顕在化しつつあるなか、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーへの期待はますます高まっており、また、公共インフラの老朽化に伴う更新・延命化需要など、当社グループの主要事業領域においては、足元では引き続き堅調な需要が存在しております。一方、中長期的には人口減少・高齢化等の社会構造の変化に伴う需要の変化、行政サービスの外部化(民間活用)の進展による包括委託の増加や、地域課題解決に向けたニーズの高度化・多様化など、事業環境は大きく変化していくものと認識しております。

 

[環境・エネルギー(国内)事業]

自治体向けのごみ処理プラント、下水処理プラント及び民間事業者向けのバイオマス発電プラント等の建設(EPC事業)並びにそれらのプラントのメンテナンス、運転管理、運営、新電力事業等のアフターサービスを主要な事業としております。

EPC事業は、環境規制等の法規制、自治体・民間事業者への助成政策など国の政策や、公共投資・民間設備投資の動向などの影響を受けやすく、中長期的に需要が大きく変動する傾向にあります。一方、メンテナンス等のアフターサービス事業は、プラントの稼働後20~30年間のライフサイクルにわたって安定した需要が見込まれます。

EPC事業は、足元では引き続き需要は旺盛で、ごみ処理プラントでは老朽化に伴う更新・延命化需要、下水処理では汚泥焼却プラントの更新における省エネ・創エネ型への転換需要、また、民間事業者向けでは中小型バイオマス発電プラントや非化石燃料への燃料転換などの需要が存在しており、当面は引き続き堅調に推移するものと見込んでおります。また、アフターサービス事業では、ごみ処理におけるプラント運営の包括委託の増加、下水道事業における包括委託へ向けた動き、民間事業者向け当社納入プラントの増加によるアフターサービス対象プラントの増加や運営委託ニーズなど、今後の需要拡大が期待されます。

 

[環境・エネルギー(海外)事業]

海外におけるバイオマス発電プラント、廃棄物発電プラントの建設及びメンテナンスを主要な事業とし、現地法人を有するタイ並びに台湾を拠点に、東南アジアを中心に事業展開を進めております。

東南アジアでは各国政府主導のもと再エネ電源拡大や化石燃料の段階的廃止等に向けた政策が打ち出され、バイオマス発電プラントや既設石炭ボイラの燃料転換などの需要が見込まれ、中長期的にも高い市場ポテンシャルを有しておりますが、主力のバガス燃焼プラントではインド、中国メーカーとの厳しい競争環境が継続しております。また、都市化の進展により廃棄物発電のニーズは高まっているものの、制度・基準の未整備や政府の資金不足などにより安定的な市場を形成するまでには至っておりません。

 

[民生熱エネルギー事業]

商業施設や工場などの熱源装置として利用される小型貫流ボイラ、真空式温水発生機など、汎用ボイラの製造、販売、メンテナンスを主要な事業としております。

国内の汎用ボイラ市場は成熟市場であるものの、更新需要を中心に引き続き一定の需要とともに低・脱炭素化製品市場も需要の拡大が見込まれております。また、海外では東南アジアを中心に高効率・高機能機種や燃料転換の需要の拡大が見込まれております。

 

[設備・システム事業]

空調設備、給排水設備など建築設備の設計・施工と、クリーン機器、洗浄装置など半導体産業用設備の製造、販売、メンテナンスを主要な事業としております。

建築需要は当面は引き続き堅調に推移すると見込まれており、また、半導体製造装置市場も短期的には変動しながらも中長期的には拡大が期待されます。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ESG経営の推進

当社グループは、経営理念として「世の中が必要とするもの、世の中に価値があると認められるものを生み出すことで、社会に貢献し、企業としての価値を高め、長期的な発展と、すべてのステークホルダーの満足を目指す」、2030年に向けた長期ビジョン(Vision2030)として「ESG経営の推進によりお客様や社会とともに持続的に成長し、再生可能エネルギーの活用と環境保全の分野を中心にリーディングカンパニーとして社会に必須の存在であり続ける」を掲げております。また、長期ビジョン実現に向けた第14次中期経営計画においてESG経営の推進を掲げており、経営理念、長期ビジョンのもと、中期経営計画施策を通じてサステナビリティへの取り組みを進めております。

 

・ガバナンス及びリスク管理

当社グループは、長期ビジョンで掲げたESG経営の推進による「お客様や社会とともに持続的な成長」を実現していくため、様々なESG課題について、ステークホルダーにとっての重要度と、自社にとっての重要度の双方の観点から整理し、当社グループが優先的に取り組むべき7つの重要課題(マテリアリティ)を特定しております。また、特定した重要課題に対して、事業活動を通じた取り組み、KPI(数値目標)を策定しております。第14次中計においては、第13次中計で策定した事業活動を通じた取り組みを引き続き推進することとし、さらに「従業員エンゲージメント」と「顧客満足度」に関わる新たなKPIを設定しております。なお、事業活動を通じた取り組みは、中期経営計画施策に反映させております。

重要課題の特定にあたっては、中期経営計画策定担当役員の経営企画本部長のもと、「現状分析と課題整理」、「重要性評価と妥当性の検証(リスクと機会の評価・分析)」、「重要課題の特定」、「課題に対する取り組みとKPIの設定」のプロセスに沿って作業を進めました。また、各プロセスでの進捗状況は適時経営層に報告し、最終的に経営執行会議で審議を経て社長承認されたものを取締役会に報告しております。

取締役会は、毎年1回、KPIに対する実績報告を受け、サステナビリティの取り組みを監督しております。また、経営執行会議において、各本部及びグループ会社の中期経営計画の施策取り組み状況の報告を受け、サステナビリティ関連のリスク及び機会の評価、監督を行っており、社外取締役は、常勤監査等委員である取締役からの報告を通じて監督しております。

重要課題は、経営環境の変化に応じて定期的に見直す必要があることから、3年ごとの中期経営計画策定時に見直し要否を検討することとしております。

 

 

 

・戦略

重要課題に関するリスクと機会に対処するため、7つの重要課題を19のイシューに細分化した上で、下表1「重要課題と事業活動を通じた取り組み」のとおり、取り組み内容を設定しております。

 

(表1)重要課題と事業活動を通じた取り組み

 

重要課題

イシュー

事業活動を通じた取り組み

E

気候変動対策への貢献

●再生可能エネルギー(非化石エネルギー)の普及
●エネルギー効率の改善

●バイオマス発電プラントの提供
●燃料転換(バイオマス・RPF等)ボイラの提供
●再エネ・COフリー電力の供給
●自社におけるCO排出量(エネルギー使用量)削減
●運営受託施設におけるエネルギー効率の改善
●顧客施設・設備のエネルギー効率改善提案

資源・環境保全

●資源保全、環境負荷の低減
●未利用資源の有効活用

●高効率・低環境負荷の廃棄物発電プラントの提供
●汚泥焼却発電プラントの提供
●高度処理砂ろ過設備の提供
●未利用バイオマス燃焼技術の確立
●焼却灰再利用技術の構築
CO回収・利用技術の開発

S

お客様・地域との信頼関係の一層の強化

●お客様満足の追求
●プラント・設備の安定・継続稼働
●地域資源循環、地域に新たな価値の創出

●お客様の満足を得られる製品・サービスの提供
●運営・O&M事業における品質の向上
●メンテナンスサービスの高度化
●地域循環共生圏事業、地域活用・分散型電源への取り組み
●PPP等、さらなる民間活用への取り組み

パートナーシップと
イノベーションの推進

●デジタル技術の活用
(AI,IоT,ロボットなど)
●開かれたパートナーシップ
●イノベーションの推進

●施設やプラントの付加価値向上
●EPC業務、運転管理・メンテナンスサービスにおける競争力強化
●オープンイノベーションの推進
●既存事業やサービス拡充に資する新事業の推進
●社会やお客様に求められる技術や製品の開発

人材の活躍促進

●人材の確保・育成
●ダイバーシティの推進
●従業員満足度の向上

●新卒・キャリア採用の推進
●社会変化に応じた最適な人事諸制度の構築
●効果的な育成システムの構築
●多様な人材の雇用促進と就労支援体制の整備

安全と健康の確保

●労働安全衛生の確保
●従業員の健康管理
●働きやすい環境の整備

●労働災害発生の抑制
●健康障がいの防止および過重労働の是正
●働き方改革の推進

G

コーポレート・ガバナンスの強化

●コーポレート・ガバナンスの強化
●リスクマネジメントの強化
●コンプライアンスの徹底

●取締役会実効性評価等を通じた継続的改善
●適正な内部監査の継続
●リスクマネジメント活動のさらなる実効性向上
●プロジェクトリスク管理のさらなる徹底
●BCPの運用と継続的な見直し
●コンプライアンス教育の継続的な推進

 

※優先的に取り組むべき重要課題の1つとして「気候変動対策への貢献」を掲げるとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同し、気候変動に関するリスク低減と機会創出に向けた対応策を策定しております。なお、最新の取り組み状況等については、当社ウェブサイト等を通じて情報発信してまいります。

 

 

・指標及び目標

KPI及びそれに対する2023年度末時点の進捗状況は以下のとおりです。

重要課題

KPI

進捗

(2023年度末時点)

気候変動対策への貢献

自社製品・サービスを通じたCO削減目標

新規納入発電プラントによるCO排出削減可能量

・2026年度:年間125万トン

・2030年度:年間250万トン

 

 

自社のCO排出量削減目標

2026年度:タクマ本社、播磨工場および支社・支店の実質CO排出量ゼロ(Scope1およびScope2)

2030年度:タクマ国内全事業所(本社、支社、支店、工場、工事現場)の実質CO排出量ゼロ(Scope1およびScope2)

※ グループ会社を含めた2030年度目標値は検討中

調達品や顧客での当社製品利用によるCO排出量(Scope3)についても検討中

自社製品・サービスを通じたCO削減目標

2023年度:年間80.6万トン

2021~2023年度納入プラント(ごみ処理4件、下水汚泥2件、バイオマス15件)の納入翌月からの発電可能量(再エネ分)に基づき算定

 

自社のCO排出量削減目標

下表2「自社CO削減目標の進捗」参照

お客様・地域との信頼関係の一層の強化

顧客満足度

最高評価回答60%以上

 

第14次中計より新設

人材の活躍促進

女性総合職・基幹職確保数

35以上(2021~2025年度累計)

①女性総合職・基幹職確保数

29

 

育児支援制度利用率

25以上(2021~2025年度平均)

②育児支援制度利用率

44

 

従業員エンゲージメント

最高評価回答50以上

③従業員エンゲージメント

第14次中計より新設

安全と健康の確保

死亡災害発生件数

0件

死亡災害発生件数(2023年度実績)

0件

コーポレート・
ガバナンスの強化

重大なコンプライアンス違反

0件

重大なコンプライアンス違反(2023年度実績)

0件

 

(注)1 Scope1においてはJ-クレジット等の環境価値によるオフセットを含めた目標値

(注)2 Scope2においては調整後排出係数で算定する目標値

(注)3 顧客満足度においては顧客満足度調査のうち、お客様対応や製品品質全般の総合評価に関わる設問(4段階評価)の最高評価割合

(注)4 従業員エンゲージメントにおいては従業員意識調査のうち、「仕事のやりがい」、「会社に対する誇り」に関する各設問(5段階評価)の最高評価割合

 

(表2)自社CO削減目標の進捗

 

(単位: t-CO2)

本社

播磨工場

小計

(①+②)

支社/支店

工事現場

(未集計)

合計

(①+②+③)

2022

年度

Scope1

249

107

356

4

360

(うちクレジット購入量)

(0)

(0)

(0)

(0)

(0)

Scope2

0

0

0

193

193

合計

249

107

356

197

553

2023

年度

Scope1

240

168

408

4

412

(うちクレジット購入量)

(240)

(168)

(408)

(4)

(412)

Scope2

0

0

0

188

188

合計

(Scope1+Scope2)

240

168

408

193

601

合計

(クレジット購入量を減算)

0

0

0

188

188

 

(注)1  2022年4月より、本社及び播磨工場で使用する電気はすべて再エネ由来非化石電気に切替え済。

(注)2  工事現場のCO排出量は、集計対象とする現場の範囲、集計方法等を検討中。

(注)3  2023年度はScope1排出量相当分のJ-クレジットを購入。2023年度目標であるタクマ本社、播磨工場のScope1およびScope2の実質CO排出量ゼロを達成。

 

(2)人材の活躍促進

①人材の育成に関する方針

・方針

市場環境の変化や多様化する顧客ニーズを的確に捉え、顧客の課題解決を通じて社会の長期的、持続的な発展に貢献することをめざし、多様な価値観やバックグラウンドを持つ人材を確保し、社員に能力向上、能力発揮の機会を提供し、成長を促していくことを、人材の育成に関する方針に掲げております。

 

・戦略

「新卒・キャリア採用の推進」、「多様な人材の雇用促進と就労支援体制の整備」

当社は、重要課題「人材の活躍促進」に対する事業活動を通じた取り組みとして、「新卒・キャリア採用の推進」と「多様な人材の雇用促進と就労支援体制の整備」に取り組んでおります。

当社は、技術系中心の採用のため、当社が求める人材の多くは機械、電気、土木・建築等の工学系出身者やプラント関連の経験者であります。これらの分野においては女性が少ないため、総合職・基幹職に占める女性の割合、ひいては管理職に占める女性の割合が低くなっております。そのため、人材の多様性の観点から、中長期的な女性管理職の拡充に向けた取り組みとして、女性総合職・基幹職の採用に注力しており、新卒採用においては、自治体が開催する女子学生向け企業研究プロジェクトへの参画、女子学生を対象とした合同説明会への参加といった女子学生との接点を増やす取り組みなどを実施しております。

 

「効果的な育成システムの構築」

当社は、重要課題「人材の活躍促進」に対する事業活動を通じた取り組みとして、「効果的な育成システムの構築」に取り組んでおります。

各職場での業務を通じた育成(OJT)に加え、階層別・分野研修プログラム制度の充実を図っております。とくに近年はキャリア採用者が増加していることに加え、価値観の多様化が広まる中、社員間の相互理解や社内ネットワーク構築のため、効果的なコミュニケーションの取り方をテーマとした研修を実施しています。さらに、論理的思考力強化やITリテラシー向上に関する研修など、社員の能力向上に取り組んでおります。

 

②社内環境整備に関する方針

・方針

多様な人材が長期にわたって活躍することができるよう、働き甲斐、働きやすさを高めるべく人事諸制度、職場環境の整備を図ることを、社内環境整備に関する方針に掲げております。

 

・戦略

「社会変化に応じた最適な人事諸制度の構築」

当社は、重要課題「人材の活躍促進」に対する事業活動を通じた取り組みとして、「社会変化に応じた最適な人事諸制度の構築」に取り組んでおります。

育児休職、介護休職、フレックスタイム勤務、在宅勤務、短時間勤務など、社員が仕事と育児・介護など生活との両立が図れるよう人事諸制度を整備しております。とくに育児支援に関する制度については、対象となる社員に対して個別に制度を案内するなど利用しやすい職場風土の醸成を図っております。

 

③指標及び目標

人材の活躍促進に関する指標及び目標は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ESG経営の推進」に記載しております。

 

なお、「(2)人材の活躍促進」の記載については、当社のみを対象としております。当社においては具体的な取り組みが行なわれているものの、当社グループに属するすべての会社で行われていないため、当社グループにおける記載は困難であります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

・資機材及び工事価格の高騰

各種プラントのEPC事業においては、受注から納入まで3~5年程度と長期にわたるものが多く、見積から発注までのタイムラグが生じることから、その間に経済情勢の変動等により資機材や工事価格が大幅に上昇し、それを請負金額に反映することが困難な場合には、プロジェクトの採算悪化により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、資機材・工事価格動向のモニタリング・予測に加え、新規取引企業の開拓による調達先の多様化や、プロジェクト受注前の早期の段階より協力企業との連携を密にし、関係強化を図ることなどにより、コストアップリスクの排除に努めております。

 

・製品・サービスの瑕疵等

当社グループが提供する製品・サービスの瑕疵や設計・施工上の問題等により、性能未達や納期遅延、あるいは人的・物的被害を引き起こす重大な事故等が生じた場合、その修復のための多大な費用負担や多額の損害賠償責任を負い、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、そのような事態の発生により、当社グループに対する社会的評価やブランド価値が低下し、その後の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、EPC事業においては、計画・設計・施工の各段階で関係する部門長(本部長・センター長)を交えたデザインレビューを実施し、設計不備等の不具合発生を抑止するとともに、大型プロジェクトや新技術導入等の高リスクプロジェクトについては、「プロジェクトリスク管理規程」に基づき、見積引合い段階のリスク評価、受注後のリスク管理・モニタリング等を通じて、リスクの発現抑制に努めております。また、運転管理・運営等の事業においては、各種規程・マニュアルを整備し、教育・研修活動によりその浸透を図るとともに、定期的なモニタリングを通じてリスクの発現抑制に努めております。

 

・事業環境の変化

国の政策変更により自治体・民間事業者への助成制度が縮小された場合や、景気後退等により民間設備投資が縮小した場合には、各種プラントの新設・更新需要が減退し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、需要の減退により競合他社との価格競争が激化し、受注価格の下落により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、第14次中期経営計画の基本方針に基づき、人材の確保と育成、ナレッジマネジメントの推進等の経営基盤の強化により、EPC事業におけるリーディングカンパニーとしてのポジションの維持・拡大を図るとともに、プラントのライフサイクルにわたって安定した需要が見込まれるメンテナンス、運転管理、運営等のアフターサービス事業(ストック型ビジネス)の強化に注力しております。事業環境の変化に対応し得る収益基盤として、また、成長の中核を担うドライバーとしてストック型ビジネスの更なる拡大を目指してまいります。

(注)ナレッジマネジメント:技術伝承・人材育成のため、個人の知識・情報をデータ資産として見える化し、組織全体で共有し活用すること。

 

・気候変動

気候変動の影響と考えられる自然災害等が深刻さを増しており、世界の平均気温上昇を抑えるべく、温室効果ガス(GHG)排出量削減が求められております。豪雨や台風などの頻発化・激甚化による工事遅延やサプライチェーンの分断、低炭素・脱炭素社会への移行に伴う各種法規制の強化、政策・市場の変化等が生じ、当社グループの対応が遅れた場合には、事業コストの増加や各種プラントの新設・更新需要の減退等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループは、ESG経営の推進において、優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)の1つとして「気候変動対策への貢献」を掲げており、エネルギーの有効活用と環境保全の技術を用いた製品・サービスの提供を通じて、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率の改善、資源保全・環境負荷低減と未利用資源の有効活用へ取り組んでおります。また、2022年4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同し、気候変動に関するリスク低減と機会創出に向けた対応策を策定しております。TCFD提言に基づき情報開示を進めるとともに、引き続き事業活動を通じて気候変動の緩和や環境負荷の低減を図り、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

・コンプライアンス

当社グループは、国内及び事業を展開する各国・地域の法令・諸規制に服しており、法令等遵守の徹底に努めておりますが、万が一、重大な法令違反等が発生した場合には、過料や課徴金、損害賠償等による多額の損失や、営業停止等の行政処分による受注機会損失が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、そのような事態の発生により、当社グループに対する社会的評価が低下し、その後の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「コンプライアンス」を企業活動の重要な基盤と位置付け、継続的な啓発・教育活動によりその浸透・定着を図ってまいりました。引き続き、内部通報制度やCSR意識調査等の仕組みを効果的に運用・活用し、継続してその改善に取り組んでいくことで、グループ全体のコンプライアンス意識の更なる浸透・向上を図ってまいります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度の業績は、ごみ処理プラントやバイオマス発電プラントなど引き続き堅調な需要を着実に受注に結び付け、受注高は160,568百万円と期首目標(170,000百万円)を下回ったものの引き続き高水準となりました。

また、売上高はいずれのセグメントも増加し、前期に比べ6,515百万円増加149,166百万円となりました。この結果、受注残高は11,401百万円増加482,612百万円となりました。

損益面においては、主に環境・エネルギー(国内)事業の減益により、営業利益は前期に比べ3,584百万円減少10,229百万円、経常利益は3,517百万円減少11,166百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は867百万円減少8,754百万円となりました。

当連結会計年度のセグメントごとの業績は次のとおりです。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

前連結会計年度比増減額

受注高

売上高

営業損益

受注残高

受注高

売上高

営業損益

環境・エネルギー(国内)事業

131,567

119,190

11,228

460,023

1,286

3,204

△3,646

環境・エネルギー(海外)事業

2,280

2,440

184

5,868

△3,641

1,088

357

民生熱エネルギー事業

18,666

18,492

1,177

6,115

265

1,179

261

設備・システム事業

8,403

9,437

341

10,610

△5,925

1,076

△484

160,918

149,560

12,932

482,617

△8,014

6,550

△3,511

調整額

△350

△393

△2,703

△4

23

△34

△72

合計

160,568

149,166

10,229

482,612

△7,990

6,515

△3,584

 

 

当社グループの事業セグメントは、環境・エネルギー(国内)事業、環境・エネルギー(海外)事業、民生熱エネルギー事業及び設備・システム事業の4事業から構成され、そのうち環境・エネルギー(国内)事業が売上高の大部分を占める最も重要な事業セグメントになります。(当連結会計年度においては、セグメント間売上控除前の売上高合計の約8割、調整額消去前の営業利益合計の約9割を当該セグメントが占めております。)

 

[環境・エネルギー(国内)事業]

当連結会計年度においては、引き続き堅調な需要の獲得に努め、ごみ処理プラントのDBO事業2件のほか、バイオマス発電プラントや下水汚泥焼却発電プラントの建設工事などを受注し、エネルギープラントの一部案件で計画中止による契約解除(影響額100億円強の受注高のマイナス)があったものの、受注高は前期に比べ1,286百万円増加131,567百万円となりました。

≪当連結会計年度の主な受注案件≫

一般廃棄物処理プラント: ごみ処理プラントのDBO事業2件

エネルギープラント    : バイオマスプラント7件、産業廃棄物処理プラント1件

水処理プラント    : 砂ろ過設備大型更新工事1件、汚泥焼却発電プラント1件

 

また、売上高は主にごみ処理プラントのEPCやアフターサービスの増加により前期に比べ3,204百万円増加119,190百万円となりました。一方、損益面ではEPC事業における案件構成の変化や、播磨新工場の稼働に伴う償却負担の増加、人件費・研究開発費など営業費用の増加に加え、受託しているごみ処理プラント(ガス化溶融炉)のO&Mにおいて設備の不具合が発生し、第2四半期連結会計期間において復旧に向けた対策費用を計上したことなどから、営業利益は3,646百万円減少11,228百万円となりました。(対策費用の計上による当連結会計年度の損益への影響額は約10億円。)

ごみ処理プラントを中心に、バイオマス発電プラント、下水汚泥焼却発電プラント等の継続的な受注獲得により、EPC事業での市場ポジションの維持・拡大を図るとともに、データ活用による運営事業の更なる品質向上と収益力強化、延命化やソリューション提案の強化、新電力事業の拡大等によりストックを最大限活用した収益モデルの確立を目指してまいります。

EPC : Engineering Procurement Construction の略でプラント建設事業

O&M : Operation & Maintenance の略でプラント運営事業

DBO : Design Build Operate の略で建設・運営事業(EPC+O&M)

 

≪受注・売上推移(四半期累計)≫

 


≪受注・売上推移(四半期毎)≫ 

 


 

[環境・エネルギー(海外)事業]

当連結会計年度においては、新設プラントの受注が前期受注したベトナムの廃棄物処理プラント案件の追加受注にとどまったことから、受注高は前期に比べ3,641百万円減少2,280百万円となりました。

一方、売上高は受注済みプラントの建設工事の進捗もあり、前期に比べ1,088百万円増加2,440百万円、損益は前期の営業損失172百万円から184百万円の営業利益となりました。

新たなバイオマス燃料など対応燃料の拡充により競合との差別化を図り、バイオマス発電プラントの継続的な受注獲得を目指すとともに、タイ・台湾を中心に、今後の需要を取り込むべく、現地企業とのパートナーシップ等、廃棄物発電プラントの受注獲得に向けた体制構築と将来に向けた実績づくりを進めてまいります。

 

≪受注・売上推移(四半期累計)≫

 


 

[民生熱エネルギー事業]

当連結会計年度においては、コロナ禍からの緩やかな回復傾向が継続し、前期に比べ受注高は265百万円増加18,666百万円となりました。また、受注済み案件の進捗や大型案件の完工などにより、売上高は1,179百万円増加18,492百万円、営業利益は261百万円増加1,177百万円となりました。

更新需要やメンテナンスを中心に国内事業の維持・拡大、タイの現地法人を拠点に海外事業の拡大を図るとともに、水素、バイオマス、電気式など現有商品のブラッシュアップを含め、脱炭素社会を見据えた新たな熱源装置市場の開拓に取り組んでまいります。

 

≪受注・売上推移(四半期累計)≫

 


 

 

[設備・システム事業]

当連結会計年度においては、前期に建築設備事業において大型案件の受注があった反動や半導体産業用設備の減少により、受注高は前期に比べ5,925百万円減少8,403百万円となりました。

また、受注済み案件の進捗により売上高は前期に比べ1,076百万円増加9,437百万円となったものの、建築設備事業の一部案件において追加費用を計上したことなどにより、営業利益は484百万円減少341百万円となりました。

建築設備事業においては、営業力・施工能力の強化や採算性を重視した案件獲得により受注規模と利益の着実な拡大を図るとともに、半導体産業用設備においては国内販売の維持・拡大や海外販売の強化により収益の拡大を図ってまいります。

 

≪受注・売上推移(四半期累計)≫

 


 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は191,180百万円と前連結会計年度末に比べ11,491百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が19,905百万円の減少となったものの、受取手形、売掛金、契約資産があわせて18,128百万円、投資有価証券が6,286百万円、流動資産のその他が3,275百万円の増加となったことによるものであります。

負債は80,179百万円と前連結会計年度末に比べ1,658百万円の増加となりました。これは主に、支払手形及び買掛金、電子記録債務があわせて2,053百万円の増加となったことによるものであります。

純資産は111,000百万円と前連結会計年度末に比べ9,832百万円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が4,914百万円の増加となったほか、その他有価証券評価差額金が4,610百万円の増加となったことによるものであります。

この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は57.7%と前連結会計年度末に比べ1.7ポイントの増加となり、1株当たり純資産額は1,378円90銭と前連結会計年度末に比べ120円66銭の増加となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は39,938百万円と前連結会計年度末に比べ23,973百万円の減少となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、12,222百万円の資金の減少前連結会計年度は32,191百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が12,427百万円となったものの、売上債権により18,418百万円の減少となったほか、法人税等の支払額が5,398百万円となったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、8,438百万円の資金の減少前連結会計年度は5,604百万円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が5,010百万円となったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、3,379百万円の資金の減少前連結会計年度は4,280百万円の資金の減少)となりました。これは主に、配当金の支払額が3,839百万円となったことによるものであります。

 

 当社グループは、運転資金をはじめ、将来の事業展開に備えた設備投資、研究開発にかかる資金について、自己資金、前受金のほか、金融機関からの借入金によることとしており、今後も事業活動に必要な資金の調達に困難が生じることはないと考えております。なお、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における当社グループの生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

環境・エネルギー(国内)事業

85,510

9.5

環境・エネルギー(海外)事業

1,861

97.7

民生熱エネルギー事業

12,150

4.5

設備・システム事業

8,389

29.8

107,911

11.1

セグメント間の内部取引高(△)

△276

59.9

合計

107,635

11.0

 

(注) 金額は総製造費用で示しております。

 

 

② 受注状況

当連結会計年度における当社グループの受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

環境・エネルギー(国内)事業

131,567

1.0

460,023

2.8

環境・エネルギー(海外)事業

2,280

△61.5

5,868

△2.7

民生熱エネルギー事業

18,666

1.4

6,115

2.9

設備・システム事業

8,403

△41.4

10,610

△8.9

160,918

△4.7

482,617

2.4

セグメント間の内部受注高(△)

△350

△6.4

△4

△90.1

合計

160,568

△4.7

482,612

2.4

 

(注) 民生熱エネルギー事業は一部見込生産も行っております。上記の受注高及び受注残高には、受注生産分のほか見込生産分のうち納入先の確定したものも含まれております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における当社グループの販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

環境・エネルギー(国内)事業

119,190

2.8

環境・エネルギー(海外)事業

2,440

80.6

民生熱エネルギー事業

18,492

6.8

設備・システム事業

9,437

12.9

149,560

4.6

セグメント間の内部売上高(△)

△393

9.7

合計

149,166

4.6

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。経営者は、見積りが必要な事項について過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。特に連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりであります。

① 工事損失引当金

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております

 

② 繰延税金資産

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入契約

契約会社名

契約項目

契約年月

契約の相手方名称

契約の有効期間

㈱タクマ

液体の連続層ろ過装置

1979年4月

(スウェーデン王国)
ノルディック・ウォーター・プロダクツ社

2038年12月まで

㈱タクマ

有機性固形廃棄物の嫌気発酵プロセス

2011年12月

(スイス連邦)
ヒタチ・ゾウセン・イノバ社

10年間、以後1年毎に自動更新

 

(注) 上記契約に対する対価は、主として契約時に一時金を支払うほか、販売高に対して一定割合を支払っております。

 

 

(2) 技術供与契約

契約会社名

契約項目

契約年月

契約の相手方名称

契約の有効期間

㈱タクマ

N型パーム屑焚水管ボイラ

1982年9月

(インドネシア共和国)
スーパー・アンダラス・スティール社

15年間、以後1年毎に自動更新

㈱タクマ

ろ過式集塵装置用助剤

1993年7月

(日本)
三井金属パーライト株式会社

10年間、以後1年毎に自動更新

 

(注) 上記契約に対する対価は、主として契約時に一時金を受取るほか、販売高に対して一定割合を受取っております。

 

 

6【研究開発活動】

ESG経営の推進によりお客様や社会とともに持続的に成長し、再生可能エネルギーの活用と環境保全の分野を中心にリーディングカンパニーとして社会に必須の存在であり続けることを長期ビジョンに掲げ、持続可能な社会の実現に向け、研究開発をすすめております

当社グループの研究開発活動は、技術部門をエンジニアリング統轄本部に集約し、グループ各社との相互連携及び社外の研究機関や大学、企業との共同研究などを通じて、技術力の強化と伝承並びに新たな技術・商品・サービスの開発を積極的にすすめております

当連結会計年度の研究開発費の総額は1,629百万円であり、セグメントごとの主な研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(1) 環境・エネルギー事業

COの分離・回収・利用に関する技術など、脱炭素社会の実現に向けた研究開発をすすめております。COの分離回収に関する技術として、ごみ処理プラントやバイオマス発電プラントの排ガスから発生するCOを対象に、独自の非水系吸収液を用いた化学吸収法によるCO分離回収技術の研究開発を継続しております。また、分離回収したCOの利用に関する技術として、ごみ処理プラントの排ガスに含まれるCOを回収し化学品などの原料となるカーボンを生み出す技術やバイオガスから高濃度のメタンを生成するバイオメタネーションの研究開発を引き続き行っております。さらに、COの直接利用に関する技術として、ごみ処理プラントで生じる燃焼ガス中のCOを農業に利用する実証試験を開始しております。COの農業利用は、バイオマス発電プラントでは既に実用化し、設備の納入実績も有しており、本実証試験はごみ処理プラントでの実用化を目指すものです。

ごみ処理プラントの省人化に向けた製品・サービスのデジタル技術のほか、自社工場内に設置した多目的実証炉(ストーカ式実証炉)を活用し、ライフサイクルコストの低減やエネルギー回収の増大につながる独自技術の開発を継続しております。また、バイオマス発電プラントにおいて、各種バイオマス燃料の燃焼・発電利用に関する研究開発を引き続き実施しております。さらに、下水汚泥焼却発電システムにおいて、汚泥の含水率が変動しても安定して焼却・発電できる技術の開発を進めております。

当事業に係る研究開発費は1,520百万円であります。

 

(2) 民生熱エネルギー事業

貫流ボイラにおいて、高分子分離膜によるCO回収設備向けの「CO濃縮型小型貫流ボイラ」を開発しました。本製品は、蒸気負荷の変動に追従する排ガス再循環制御システムの開発により、排ガス再循環運転を継続しつつ、従来ボイラ同様の負荷追従運転を行うことを実現したほか、ボイラ排ガスのCO濃度を従来の約3倍に高めることを可能としました。排ガスからのCO回収は、各種工場で使用される小規模な汎用ボイラでは規模のメリットが得られず、発生源となるボイラに対してCO回収設備コストが大きくなりすぎるという課題がありますが、本製品により、CO回収設備のコンパクト化やランニングコスト削減などが期待できます。

このほか、水素焚き真空式温水発生機の改良開発などを行っており、引き続き、脱炭素社会を見据えた製品開発をすすめてまいります。

当事業に係る研究開発費は66百万円であります。

 

(3) 設備・システム事業

半導体工場向けの洗浄装置では、マイクロバブル洗浄技術を用いた洗浄装置について大学との共同研究を継続しております。本技術は従来の薬品を使用する洗浄と同等以上の洗浄性能を有するほか、純水や薬品の使用量が削減されることにより環境負荷の大幅な低減を可能とするものであり、大学設備を用いた精緻な分析評価の実施に加え、試作機を用いての評価試験を行うなど、開発をすすめております。

半導体工場のクリーンルーム向けのケミカルフィルタでは、高機能化、長寿命化を目指したフィルタの開発を実施しております。また、分析監視装置では、測定項目の拡充などの改良開発をすすめており、引き続き、クリーンルームにおける超清浄空間の維持管理対策をトータルソリューションで提供できるよう、商品開発をすすめてまいります。

フォトマスク製造装置向けの磁気シールドチャンバーでは、シールド材料評価、組立加工方法の検討をすすめ、シールド性能の向上を目指し開発をすすめております。

当事業に係る研究開発費は42百万円であります。